IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友化学株式会社の特許一覧

特開2024-155741着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155741
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20241024BHJP
   C08K 5/18 20060101ALI20241024BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/18
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037351
(22)【出願日】2024-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2023069558
(32)【優先日】2023-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星 隼人
(72)【発明者】
【氏名】森本 純平
【テーマコード(参考)】
2H148
4J002
【Fターム(参考)】
2H148BE08
2H148BE15
2H148BE22
2H148BF11
2H148BG02
2H148BG06
2H148BG07
2H148BH12
4J002BG071
4J002EN086
4J002FD096
4J002GQ00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐光性に優れるカラーフィルタを形成可能な着色樹脂組成物を提供する。
【解決手段】着色剤、樹脂、及び式(I)で表される化合物を含む着色樹脂組成物であって、前記着色剤がトリアリールメタン構造を有する着色剤を含有する、着色樹脂組成物。

[式中、Ra1~Ra5、Rb1~Rb5、及びRc1~Rc5は、独立に、水素原子、置換/無置換の炭素数1~20の炭化水素基、-ORd1、又は-NRd2d3を表し、Rd1及びRd2は、独立に、置換/無置換の炭素数1~12の炭化水素基を表し、Rd3は、水素原子又は置換/無置換の炭素数1~12の炭化水素基を表す。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、樹脂、及び式(I)で表される化合物を含む着色樹脂組成物であって、前記着色剤がトリアリールメタン構造を有する着色剤を含有する、着色樹脂組成物。
【化1】

[式(I)中、
a1~Ra5、Rb1~Rb5、及びRc1~Rc5は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基、-ORd1、又は-NRd2d3を表し、
d1及びRd2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基を表し、
d3は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基を表す。]
【請求項2】
前記Ra1、Ra2、Ra4、Ra5、Rb1、Rb2、Rb4、Rb5、Rc1、Rc2、Rc4、及びRc5が、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す、請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
前記トリアリールメタン構造を有する着色剤が、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
【化2】

[式(1)中、
1A~R8Aは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基を表し、
9A~R14Aは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を表し、
1Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表し、
bA及びcAは、互いに独立に、1以上の整数を表し、
dAは、0以上の整数を表し、
XAcA-は、cA価のアニオンを表す。]
【化3】

[式(2)中、
1~R4及びR13は、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基を表し、
5~R12は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~5の炭化水素基を表し、
1及びT2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表し、
1は、置換基を有していてもよい炭素数1~12のa価の脂肪族炭化水素基又は式(i)で表される基を表し、
aは、2以上の整数を表し、
b及びcは、互いに独立に、1以上の整数を表し、
dは、0以上の整数を表し、
c-は、c価のアニオンを表す。]
【化4】

[式(i)中、
3は、置換基を有していてもよいa価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよいa価の芳香族複素環基を表し、
2は、置換基を有していてもよい炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基を表し、
*は、T2との結合手を表す。]
【請求項4】
前記トリアリールメタン構造を有する着色剤が、式(2n)で表される化合物を含む、請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
【化5】

[式(2n)中、
1n~R4n及びR13nは、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基を表し、
5n~R12nは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~5の炭化水素基を表し、
1nは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表し、
2nは、置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基を表し、
1nは、置換基を有していてもよい炭素数1~12のan価の脂肪族炭化水素基又は式(in)で表される基を表し、
anは、2以上の整数を表し、
bn及びcnは、互いに独立に、1以上の整数を表し、
dnは、0以上の整数を表し、
cn-は、cn価のアニオンを表す。]
【化6】

[式(in)中、
3nは、置換基を有していてもよいan価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよいan価の芳香族複素環基を表し、
2nは、置換基を有していてもよい炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基を表し、
*は、T2nとの結合手を表す。]
【請求項5】
さらに重合性化合物及び重合開始剤を含有する、請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、及びプラズマディスプレイ等の表示装置や、CCD、CMOSセンサ等の固体撮像素子に使用されるカラーフィルタは、着色樹脂組成物から製造される。このような着色樹脂組成物としては、種々の着色剤が使用されており、例えば、着色剤としてトリアリールメタン構造を有する着色剤を含む着色樹脂組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-14748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、着色剤としてトリアリールメタン構造を有する着色剤を含む着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタでは、耐光性が十分に満足できない場合があった。特許文献1には、具体的に、トリアリールメタン構造を有する着色剤を用いる着色樹脂組成物において、ヒンダードアミン系光安定剤である(株)ADEKA製のアデカスタブLA-57等を含む組成物が開示されているが、該組成物から形成されるカラーフィルタでも、耐光性は十分に満足できるものではなかった。
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって、耐光性に優れるカラーフィルタを形成可能な着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 着色剤、樹脂、及び式(I)で表される化合物を含む着色樹脂組成物であって、前記着色剤がトリアリールメタン構造を有する着色剤を含有する、着色樹脂組成物。
【化1】

[式(I)中、
a1~Ra5、Rb1~Rb5、及びRc1~Rc5は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基、-ORd1、又は-NRd2d3を表し、
d1及びRd2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基を表し、
d3は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基を表す。

[2] 前記Ra1、Ra2、Ra4、Ra5、Rb1、Rb2、Rb4、Rb5、Rc1、Rc2、Rc4、及びRc5が、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す、[1]に記載の着色樹脂組成物。
[3] 前記トリアリールメタン構造を有する着色剤が、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、[1]又は[2]に記載の着色樹脂組成物。
【化2】

[式(1)中、
1A~R8Aは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基を表し、
9A~R14Aは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を表し、
1Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表し、
bA及びcAは、互いに独立に、1以上の整数を表し、
dAは、0以上の整数を表し、
XAcA-は、cA価のアニオンを表す。]
【化3】

[式(2)中、
1~R4及びR13は、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基を表し、
5~R12は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~5の炭化水素基を表し、
1及びT2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表し、
1は、置換基を有していてもよい炭素数1~12のa価の脂肪族炭化水素基又は式(i)で表される基を表し、
aは、2以上の整数を表し、
b及びcは、互いに独立に、1以上の整数を表し、
dは、0以上の整数を表し、
c-は、c価のアニオンを表す。]
【化4】

[式(i)中、
3は、置換基を有していてもよいa価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよいa価の芳香族複素環基を表し、
2は、置換基を有していてもよい炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基を表し、
*は、T2との結合手を表す。]
[4] 前記トリアリールメタン構造を有する着色剤が、式(2n)で表される化合物を含む、[1]又は[2]に記載の着色樹脂組成物。
【化5】

[式(2n)中、
1n~R4n及びR13nは、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基を表し、
5n~R12nは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~5の炭化水素基を表し、
1nは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表し、
2nは、置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基を表し、
1nは、置換基を有していてもよい炭素数1~12のan価の脂肪族炭化水素基又は式(in)で表される基を表し、
anは、2以上の整数を表し、
bn及びcnは、互いに独立に、1以上の整数を表し、
dnは、0以上の整数を表し、
cn-は、cn価のアニオンを表す。]
【化6】

[式(in)中、
3nは、置換基を有していてもよいan価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよいan価の芳香族複素環基を表し、
2nは、置換基を有していてもよい炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基を表し、
*は、T2nとの結合手を表す。]
[5] さらに重合性化合物及び重合開始剤を含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[7] [6]に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、耐光性に優れたカラーフィルタを形成可能な着色樹脂組成物を提供することができる。より具体的には、耐光性に優れたカラーフィルタを形成可能な、トリアリールメタン構造を有する着色剤を含む着色樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(以下、着色剤(A)とも称する)、樹脂(以下、樹脂(B)とも称する)、及び式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)とも称する)を含み、前記着色剤がトリアリールメタン構造を有する着色剤を含む。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに重合性化合物(以下、重合性化合物(C)とも称する)及び重合開始剤(以下、重合開始剤(D)とも称する)を含むことが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに溶剤(以下、溶剤(E)とも称する)を含んでいてもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに重合開始助剤(以下、重合開始助剤(D1)とも称する)を含んでいてもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、さらにレベリング剤(以下、レベリング剤(F)とも称する)を含んでいてもよい。
なお、本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組み合わせて使用することができる。
【0008】
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、トリアリールメタン構造を有する着色剤(以下、トリアリールメタン系色材とも称する)を含有する。着色剤(A)がトリアリールメタン系色材を含有することにより、得られるカラーフィルタを高明度とできる。
トリアリールメタン系色材としては、分子内にトリアリールメタン構造を少なくとも1つ有していればよく、2つ以上有していてもよい。また、トリアリールメタン系色材としては、染料であっても、顔料(特にレーキ顔料)であってもよい。
【0009】
トリアリールメタン系色材としては、例えば、下記式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)とも称する)、下記式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)とも称する)、下記式(2n)で表される化合物(以下、化合物(2n)とも称する)等が挙げられる。なお、化合物(1)には化合物(1)の互変異性体も含まれ、化合物(2)には化合物(2)の互変異性体も含まれ、化合物(2n)には化合物(2n)の互変異性体も含まれる。
【0010】
【化7】

[式(1)中、
1A~R8Aは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基を表し、
9A~R14Aは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を表し、
1Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表し、
bA及びcAは、互いに独立に、1以上の整数を表し、
dAは、0以上の整数を表し、
XAcA-は、cA価のアニオンを表す。]
【0011】
【化8】

[式(2)中、
1~R4及びR13は、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基を表し、
5~R12は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~5の炭化水素基を表し、
1及びT2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表し、
1は、置換基を有していてもよい炭素数1~12のa価の脂肪族炭化水素基又は式(i)で表される基を表し、
aは、2以上の整数を表し、
b及びcは、互いに独立に、1以上の整数を表し、
dは、0以上の整数を表し、
c-は、c価のアニオンを表す。]
【0012】
【化9】

[式(i)中、
3は、置換基を有していてもよいa価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよいa価の芳香族複素環基を表し、
2は、置換基を有していてもよい炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基を表し、
*は、T2との結合手を表す。]
【0013】
【化10】

[式(2n)中、
1n~R4n及びR13nは、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基を表し、
5n~R12nは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~5の炭化水素基を表し、
1nは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表し、
2nは、置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基を表し、
1nは、置換基を有していてもよい炭素数1~12のan価の脂肪族炭化水素基又は式(in)で表される基を表し、
anは、2以上の整数を表し、
bn及びcnは、互いに独立に、1以上の整数を表し、
dnは、0以上の整数を表し、
cn-は、cn価のアニオンを表す。]
【0014】
【化11】

[式(in)中、
3nは、置換基を有していてもよいan価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよいan価の芳香族複素環基を表し、
2nは、置換基を有していてもよい炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基を表し、
*は、T2nとの結合手を表す。]
【0015】
耐光性向上の観点から、トリアリールメタン系色材は、化合物(1)、化合物(2)、及び化合物(2n)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、化合物(1)及び化合物(2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。
【0016】
9A~R14Aで表される炭素数1~30の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和であってもよく、鎖状又は脂環式であってもよい。
【0017】
前記飽和又は不飽和鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、(1-エチル)プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、(1-エチル)ブチル基、(2-エチル)ブチル基、(1-プロピル)ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、(2-メチル)ペンチル基、(1-エチル)ペンチル基、(3-エチル)ペンチル基、(1-プロピル)ペンチル基、(1-ブチル)ペンチル基、イソヘキシル基、(2-メチル)ヘキシル基、(5-メチル)ヘキシル基、(2-エチル)ヘキシル基、(1-ブチル)ヘキシル基、(2-メチル)ヘプチル基、(2-エチル)ヘプチル基、(3-エチル)ヘプチル基、(2-メチル)オクチル基、(2-エチル)オクチル基等の分岐鎖状アルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、(1-メチル)エテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、(1-(2-プロペニル))エテニル基、(1,2-ジメチル)プロペニル基、2-ペンテニル基等のアルケニル基;等が挙げられる。
【0018】
前記飽和又は不飽和脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;シクロヘキセニル基(例えば、シクロヘキサ-2-エン、シクロヘキサ-3-エン)、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基等が挙げられる。
【0019】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等のアリール基;o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、o-イソプロピルフェニル基、m-イソプロピルフェニル基、p-イソプロピルフェニル基、2-メチル-6-イソプロピルフェニル基、4-ブチルフェニル基、o-tert-ブチルフェニル基、m-tert-ブチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基等のアルキルアリール基;4-ビニルフェニル基等のアルケニルアリール基;等が挙げられる。
【0020】
前記炭素数1~30の炭化水素基は、炭素数の上限が30である限り、上記に挙げた鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる2つ以上を組み合わせた基であってもよい。このような基は、例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-メチル-1-フェニルエチル基等のアラルキル基;フェニルエテニル基(フェニルビニル基)等のアリールアルケニル基;フェニルエチニル基等のアリールアルキニル基;1-メチルシクロプロピル基、1-メチルシクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、1,2-ジメチルシクロヘキシル基、1,3-ジメチルシクロヘキシル基、1,4-ジメチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、2,4-ジメチルシクロヘキシル基、2,5-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、3,4-ジメチルシクロヘキシル基、3,5-ジメチルシクロヘキシル基、2,2-ジメチルシクロヘキシル基、3,3-ジメチルシクロヘキシル基、4,4-ジメチルシクロヘキシル基、2,4,6-トリメチルシクロヘキシル基、2,2,6,6-テトラメチルシクロヘキシル基、3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル基等の1以上のアルキル基又は脂環式炭化水素基が結合した脂環式炭化水素基;シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、シクロブチルエチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、2-メチルシクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基等の1以上の脂環式炭化水素基が結合したアルキル基;等が挙げられる。
【0021】
前記炭素数1~30の炭化水素基が有していてもよい置換基(以下、置換基Aとも称する)としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ホルミル基、置換又は非置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、-SO3 -、及び-SO3Aからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上が挙げられ、MAは水素原子又はアルカリ金属原子を表す。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基が挙げられる。
前記置換アミノ基としては、1つ又は2つの炭化水素基を有するアミノ基が挙げられ、前記炭化水素基としては、上述の炭素数1~30の炭化水素基として例示した基のうち、炭素数が1~10の基が挙げられる。置換アミノ基としては、例えば、N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N,N-ジプロピルアミノ基、N-イソプロピルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N-フェニルアミノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-エチルメチルアミノ基、N,N-メチルフェニルアミノ基、N,N-エチルフェニルアミノ基等が挙げられる。
前記アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
【0022】
1A~R8A、R1~R4、R13、R1n~R4n、及びR13nで表される炭素数1~10の炭化水素基としては、上述の炭素数1~30の炭化水素基として例示した基のうち、炭素数が1~10の基が挙げられる。
【0023】
前記炭素数1~10の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基Aとして例示した基が挙げられる。
【0024】
5~R12及びR5n~R12nで表される炭素数1~5の炭化水素基としては、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基が挙げられ、具体的には、上述の炭素数1~30の炭化水素基として例示した脂肪族炭化水素基の例示のうち、炭素数が1~5の基が挙げられる。
【0025】
前記炭素数1~5の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基Aとして例示した基が挙げられる。
【0026】
1A~R8A、R5~R12、及びR5n~R12nで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0027】
1A、T1、T2、及びT1nで表される2価の芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素環において、環を構成する炭素原子に直接結合する2つの水素原子が結合手に置き換わった基である。2価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環は、単環及び縮合環のいずれでもよく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、及びそれら芳香族炭化水素環が有する少なくとも1つの水素原子が炭化水素基に置き換わった構造等が挙げられる。前記炭化水素基としては、上述の炭素数1~30の炭化水素基として例示した基のうち、炭素数が1~10の基が挙げられ、好ましくは飽和鎖状炭化水素基、アリール基、又はアルキルアリール基であり、より好ましくは炭素数1~4の飽和鎖状炭化水素基である。芳香族炭化水素環に結合する炭化水素基の数は、0~4が好ましく、0~3がより好ましい。2価の芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~30、より好ましくは6~20、さらに好ましくは6~18、よりさらに好ましくは6~12である。2価の芳香族炭化水素基として、具体的には、以下の式(Ta-1)~(Ta-8)で表される基等が挙げられる。
【0028】
【化12】
【0029】
1A、T1、T2、及びT1nで表される2価の芳香族複素環基とは、芳香族複素環において、環を構成する原子に直接結合する2つの水素原子が結合手に置き換わった基である。2価の芳香族複素環基を構成する芳香族複素環は、単環及び縮合環のいずれでもよく、例えば、ピロール環、オキサゾール環、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、ベンゾフラン環、及びそれら芳香族複素環が有する少なくとも1つの水素原子が置換基を有していてもよい炭化水素基に置き換わった構造等が挙げられる。前記炭化水素基としては、上述の炭素数1~30の炭化水素基として例示した基のうち、炭素数が1~12の基が挙げられ、好ましくは飽和鎖状炭化水素基、アリール基、又はアルキルアリール基である。前記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基Aとして例示した基が挙げられ、ハロゲン原子が好ましい。芳香族複素環に結合する炭化水素基の数は、0~4が好ましく、0~3がより好ましい。芳香族複素環としては、窒素原子を含む芳香族複素環が好ましく、窒素原子を含む5員環の芳香族複素環がより好ましく、チアゾール環又はチアゾール環が有する少なくとも1つの水素原子が炭化水素基に置き換わった構造がさらに好ましい。2価の芳香族複素環基の炭素数は、好ましくは2~30、より好ましくは3~20、さらに好ましくは3~18、よりさらに好ましくは3~15である。前記2価の芳香族複素環基として、具体的には、以下の式(t1)で表される基であることが特に好ましい。
【0030】
【化13】

[式(t1)中、
55は、水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を表す。]
【0031】
55で表される炭素数1~10の炭化水素基としては、上述の炭素数1~30の炭化水素基として例示した基のうち、炭素数が1~10の基が挙げられる。
【0032】
前記2価の芳香族炭化水素基及び2価の芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、置換基Aとして例示した基が挙げられる。
【0033】
2nで表される2価の脂環式炭化水素基とは、脂環式炭化水素において、環を構成する炭素原子に直接結合する2つの水素原子が結合手に置き換わった基である。2価の脂環式炭化水素基を構成する脂環式炭化水素は、飽和及び不飽和のいずれでもよく、また単環及び多環のいずれでもよい。脂環式炭化水素としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン基等の単環のシクロアルカン;シクロプロペン、シクロブテン、シクロプロペン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環のシクロアルケン;ビシクロ[6.3.0]ウンデカン、ビシクロ[4.4.0]デカン等の2環式アルカン;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン等の2環式アルケン;等が挙げられる。脂環式炭化水素の炭素数は、好ましくは3~30、より好ましくは3~20、さらに好ましくは4~16、よりさらに好ましくは4~12である。脂環式炭化水素としては、特に5員環又は6員環であることが好ましく、また飽和脂環式炭化水素であることが好ましい。
【0034】
前記2価の脂環式炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等の炭素数1~4のフルオロアルキル基;トリフルオロメトキシ基等の炭素数1~4のフルオロアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基が好ましく、アルキル基がより好ましい。2価の脂環式炭化水素基が有する置換基の数は、0~4が好ましく、0~2がより好ましく、0又は1がさらに好ましい。
【0035】
1で表される炭素数1~12のa価の脂肪族炭化水素基、及びL1nで表される炭素数1~12のan価の脂肪族炭化水素基とは、脂肪族炭化水素を構成するa個又はan個の水素原子が結合手に置き換わった基である。a個の結合手は、それぞれ異なる炭素原子に存在することが好ましく、an個の結合手は、それぞれ異なる炭素原子に存在することが好ましい。a価の脂肪族炭化水素基としては、a価の鎖状炭化水素基、a価の脂環式炭化水素基、鎖状炭化水素基と脂環式炭化水素基とを組み合わせたa価の基等が挙げられ、an価の脂肪族炭化水素基としては、an価の鎖状炭化水素基、an価の脂環式炭化水素基、鎖状炭化水素基と脂環式炭化水素基とを組み合わせたan価の基等が挙げられる。
【0036】
a価の鎖状炭化水素基及びan価の鎖状炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、飽和であることが好ましい。a価の飽和鎖状炭化水素基及びan価の飽和鎖状炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等のアルカンジイル基;下記式(a-1)~(a-2)で表される基等のアルカントリイル基;下記式(a-3)で表される基等のアルカンテトライル基;等が挙げられる。a価の鎖状炭化水素基及びan価の鎖状炭化水素基の炭素数は、1~8が好ましく、1~6がより好ましい。
【0037】
【化14】
【0038】
a価の脂環式炭化水素基及びan価の脂環式炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、飽和であることが好ましい。a価の飽和脂環式炭化水素基及びan価の飽和脂環式炭化水素基としては、シクロヘキサン-1,2-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、ノルボルナン-2,5-ジイル基等の2価の飽和脂環式炭化水素基;シクロヘキサン-1,3,5-トリイル基等の3価の飽和脂環式炭化水素基;シクロヘキサン-1,2,4,5-テトライル基等の4価の飽和脂環式炭化水素基;等が挙げられる。a価の脂環式炭化水素基及びan価の脂環式炭化水素基の炭素数は、3~10が好ましく、3~6がより好ましい。
【0039】
鎖状炭化水素基と脂環式炭化水素基とを組み合わせたa価の基としては、少なくとも1つの鎖状炭化水素基と、少なくとも1つの飽和脂環式炭化水素基を組み合わせたa価の基であることが好ましく、例えば、下記式(a-4)~(a-7)で表される基等が挙げられる。また鎖状炭化水素基と脂環式炭化水素基とを組み合わせたan価の基としては、少なくとも1つの鎖状炭化水素基と、少なくとも1つの飽和脂環式炭化水素基を組み合わせたan価の基であることが好ましく、例えば、下記式(a-4)~(a-7)で表される基等が挙げられる。
【0040】
【化15】
【0041】
前記炭素数1~12のa価の脂肪族炭化水素基、及び前記炭素数1~12のan価の脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基Aとして例示した基が挙げられる。
【0042】
1は、式(i)で表される基であってもよく、L1nは、式(in)で表される基であってもよい。
【0043】
式(i)において、T3で表されるa価の芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素環において、環を構成する炭素原子に直接結合するa個の水素原子が結合手に置き換わった基である。a価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環としては、上述の2価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環として説明した構造が挙げられる。
【0044】
式(i)において、T3で表されるa価の芳香族複素環基とは、芳香族複素環において、環を構成する原子に直接結合するa個の水素原子が結合手に置き換わった基である。a価の芳香族複素環基を構成する芳香族複素環としては、上述の2価の芳香族複素環基を構成する芳香族複素環として説明した構造が挙げられる。
【0045】
式(in)において、T3nで表されるan価の芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素環において、環を構成する炭素原子に直接結合するan個の水素原子が結合手に置き換わった基である。an価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環としては、上述の2価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環として説明した構造が挙げられる。
【0046】
式(in)において、T3nで表されるan価の芳香族複素環基とは、芳香族複素環において、環を構成する原子に直接結合するan個の水素原子が結合手に置き換わった基である。an価の芳香族複素環基を構成する芳香族複素環としては、上述の2価の芳香族複素環基を構成する芳香族複素環として説明した構造が挙げられる。
【0047】
前記a価の芳香族炭化水素基、a価の芳香族複素環基、an価の芳香族炭化水素基、及びan価の芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、置換基Aとして例示した基が挙げられる。
【0048】
式(i)において、L2で表される炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~5の2価の鎖状炭化水素基、炭素数1~5の2価の脂環式炭化水素基が挙げられる。
【0049】
式(in)において、L2nで表される炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~5の2価の鎖状炭化水素基、炭素数1~5の2価の脂環式炭化水素基が挙げられる。
【0050】
2又はL2nとしての2価の鎖状炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、2価の飽和鎖状炭化水素基であることが好ましい。2価の飽和鎖状炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基等のアルカンジイル基が挙げられる。
【0051】
2又はL2nとしての2価の脂環式炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、2価の飽和脂環式炭化水素基であることが好ましい。2価の飽和脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル-1,2-ジイル基、シクロブチル-1,3-ジイル基等が挙げられる。
【0052】
2で表される炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基、及びL2nで表される炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基Aとして例示した基が挙げられる。
【0053】
式(i)で表される基及び式(in)で表される基としては、具体的に下記式(i1)又は(i2)で表される基が挙げられる。
【0054】
【化16】

[式(i1)、(i2)中、
i1~Li5は、互いに独立に、炭素数1~5の2価の飽和鎖状炭化水素基を表す。]
【0055】
i1~Li5で表される2価の飽和鎖状炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基等が挙げられる。
【0056】
式(i1)、(i2)中、Li1とLi2、並びにLi3~Li5は、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0057】
XAcA-で表されるcA価のアニオン、Xc-で表されるc価のアニオン、及びXcn-で表されるcn価のアニオンとしては、公知のアニオンが挙げられ、具体的には、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン;含ホウ素アニオン;含アルミニウムアニオン;含フッ素アニオン;並びにタングステン、モリブデン、ケイ素、及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と酸素とを必須元素として含有するアニオン;等が挙げられる。
【0058】
含ホウ素アニオン及び含アルミニウムアニオンとしては、例えば、下記式(4)で表されるアニオンが挙げられる。
【0059】
【化17】

[式(4)中、
1、W2は、互いに独立に、1価のプロトン供与性置換基からプロトンを放出してなる置換基2つを有する基を表す。
Mは、ホウ素又はアルミニウムを表す。]
【0060】
1価のプロトン供与性置換基からプロトンを放出してなる置換基を2つ有する基としては、1価のプロトン供与性置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボン酸基等)を少なくとも2つ有する化合物において2つのプロトン供与性置換基それぞれからプロトンが放出されてなる基が挙げられる。当該化合物としては、置換基を有していてもよいカテコール、置換基を有していてもよい2,3-ジヒドロキシナフタレン、置換基を有していてもよい2,2’-ビフェノール、置換基を有していてもよい3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、置換基を有していてもよい2-ヒドロキシ-1-ナフトエ酸、置換基を有していてもよい1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、置換基を有していてもよいビナフトール、置換基を有していてもよいサリチル酸、置換基を有していてもよいベンジル酸、又は置換基を有していてもよいマンデル酸であることが好ましい。
【0061】
前記例示の化合物において、置換基としては、飽和炭化水素基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基等)、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0062】
置換基を有していてもよいサリチル酸としては、サリチル酸、3-メチルサリチル酸、3-tert-ブチルサリチル酸、3-メトキシサリチル酸、3-ニトロサリチル酸、4-トリフルオロメチルサリチル酸、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸、3-アミノサリチル酸、4-アミノサリチル酸、5-アミノサリチル酸、6-アミノサリチル酸等のモノアミノサリチル酸;3-ヒドロキシサリチル酸(2,3-ジヒドロキシ安息香酸)、4-ヒドロキシサリチル酸(2,4-ジヒドロキシ安息香酸)、5-ヒドロキシサリチル酸(2,5-ジヒドロキシ安息香酸)、6-ヒドロキシサリチル酸(2,6-ジヒドロキシ安息香酸)等のモノヒドロキシサリチル酸;4,5-ジヒドロキシサリチル酸、4,6-ジヒドロキシサリチル酸等のジヒドロキシサリチル酸;3-クロロサリチル酸、4-クロロサリチル酸、5-クロロサリチル酸、6-クロロサリチル酸、3-ブロモサリチル酸、4-ブロモサリチル酸、5-ブロモサリチル酸、6-ブロモサリチル酸等のモノハロサリチル酸;3,5-ジクロロサリチル酸、3,5-ジブロモサリチル酸、3,5-ジヨードサリチル酸等のジハロサリチル酸;3,5,6-トリクロロサリチル酸等のトリハロサリチル酸;等が挙げられる。
【0063】
置換基を有していてもよいベンジル酸としては、
【0064】
【化18】
【0065】
置換基を有していてもよいマンデル酸としては、
【0066】
【化19】

等が挙げられる。
【0067】
式(4)で表されるアニオンのうち好ましいアニオンとしては、下記式で表されるアニオンであって、下記表1に記載の置換基を有するアニオン(BC-1)~(BC-24)、並びにそれぞれ式(BC-25)、(BC-26)、(BC-27)、及び(BC-28)で示されるアニオン(BC-25)~(BC-28)等が挙げられる。
【0068】
【化20】
【0069】
【表1】
【0070】
【化21】
【0071】
【化22】
【0072】
【化23】
【0073】
【化24】
【0074】
有機溶剤への溶解性の観点から、式(4)で表されるアニオンとしては、アニオン(BC-1)、(BC-2)、(BC-3)、(BC-25)、(BC-26)、(BC-27)が好ましく、アニオン(BC-1)、(BC-2)、(BC-25)がより好ましく、アニオン(BC-1)、(BC-2)がさらに好ましい。
【0075】
含フッ素アニオンとしては、例えば、下記式(6)、(7)、(8)、(9)で表される基が挙げられる。
【0076】
【化25】

[式(6)中、
3及びW4は、互いに独立に、フッ素原子若しくは炭素数1~4のフッ化アルキル基を表すか、又はW3とW4とが一緒になって炭素数1~4のフッ化アルカンジイル基を表す。]
【0077】
【化26】

[式(7)中、
5~W7は、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1~4のフッ化アルキル基を表す。]
【0078】
【化27】

[式(8)中、
1は、炭素数1~4のフッ化アルカンジイル基を表す。]
【0079】
【化28】

[式(9)中、
2は、炭素数1~4のフッ化アルキル基を表す。]
【0080】
式(6)、(7)、及び(9)において、炭素数1~4のフッ化アルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。該パーフルオロアルキル基としては、-CF3、-CF2CF3、-CF2CF2CF3、-CF(CF32、-CF2CF2CF2CF3、-CF2CF(CF32、-C(CF33等が挙げられる。
【0081】
式(6)及び(8)において、炭素数1~4のフッ化アルカンジイル基としては、パーフルオロアルカンジイル基が好ましい。パーフルオロアルカンジイル基としては、-CF2-、-CF2CF2-、-CF2CF2CF2-、-C(CF32-、-CF2CF2CF2CF2-等が挙げられる。
【0082】
式(6)で表されるアニオン(以下、アニオン(6)とも称する)としては、それぞれ式(6-1)~(6-6)で示されるアニオン(以下、「アニオン(6-1)」~「アニオン(6-6)」とも称する)が挙げられる。
【0083】
【化29】
【0084】
式(7)で表されるアニオン(以下、アニオン(7)とも称する)としては、下記式(7-1)で示される(以下、アニオン(7-1)とも称する)が挙げられる。
【0085】
【化30】
【0086】
式(8)で表されるアニオン(以下、アニオン(8)とも称する)としては、それぞれ式(8-1)~(8-4)で示されるアニオン(以下、「アニオン(8-1)」~「アニオン(8-4)」とも称する)が挙げられる。
【0087】
【化31】
【0088】
式(9)で表されるアニオン(以下、アニオン(9)とも称する)としては、それぞれ式(9-1)~(9-4)で示されるアニオン(以下、「アニオン(9-1)」~「アニオン(9-4)」とも称する)が挙げられる。
【0089】
【化32】
【0090】
有機溶剤への溶解性の観点から、XAcA-で表されるcA価のアニオン、及びXc-で表されるc価のアニオンとしては、アニオン(6)、アニオン(7)、アニオン(8)、及びアニオン(9)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアニオン(すなわち含フッ素アニオン)であることが好ましく、アニオン(6-1)、アニオン(6-2)、アニオン(7-1)がより好ましく、アニオン(6-2)がさらに好ましい。
【0091】
XAcA-で表されるcA価のアニオン、Xc-で表されるc価のアニオン、及びXcn-で表されるcn価のアニオンとして、タングステン、モリブデン、ケイ素、及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンが挙げられる。XAcA-で表されるcA価のアニオンとしては、モリブデンを必須元素として含有するヘテロポリ酸のアニオンが好ましく、リンモリブデン酸イオン、及びリンタングステンモリブデン酸イオンがより好ましい。Xc-で表されるc価のアニオン及びXcn-で表されるcn価のアニオンとしては、タングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸又はイソポリ酸のアニオンが好ましく、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、及びタングステン系イソポリ酸のアニオンがより好ましい。
【0092】
モリブデンを必須元素として含有するヘテロポリ酸のアニオンとしては、例えば、[PMo12403-、[P2Mo18626-等のケギン型又はドーソン型リンモリブデン酸イオン、[PW3Mo9403-、[PW9Mo3403-、[PW11Mo1403-等の[PW12-nMon403-(0<n<12)で表されるケギン型リンタングステンモリブデン酸イオン等が挙げられる。
【0093】
タングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸又はイソポリ酸のアニオンとしては、例えば、ケギン型リンタングステン酸イオンα-[PW12403-、ドーソン型リンタングステン酸イオンα-[P218626-、β-[P218626-、ケギン型ケイタングステン酸イオンα-[SiW12404-、β-[SiW12404-、γ-[SiW12404-、さらにその他の例として[P2176110-、[P2155612-、[H22124812-、[NaP53011014-、α-[SiW93410-、γ-[SiW10368-、α-[SiW11398-、β-[SiW11398-、[W6192-、[W10324-、WO4 2-等が挙げられる。
【0094】
モリブデン又はタングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸又はイソポリ酸のアニオン以外のアニオンとしては、ケイ素及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とからなるアニオンが好ましい。このようなケイ素及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とからなるアニオンとしては、具体的には、SiO3 2-、PO4 3-が挙げられる。
【0095】
式(1)中、複数のR1A~R14A、T1A、及びXAcA-は、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、それぞれ同一であることが好ましい。
【0096】
式(2)中、複数のR1~R13、T1、T2、及びL1は、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、それぞれ同一であることが好ましい。
式(2n)中、複数のR1n~R13n、T1n、T2n、及びL1nは、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、それぞれ同一であることが好ましい。
【0097】
化合物(1)としては、以下の態様であることが好ましい。
【0098】
1A~R8Aは、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~4の飽和鎖状炭化水素基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
【0099】
9A~R14Aは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数7~10のアルキルアリール基であることが好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基であることがより好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~6の飽和鎖状炭化水素基であることがさらに好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~4の飽和鎖状炭化水素基であることがよりさらに好ましい。
【0100】
1Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい窒素原子を含む2価の芳香族複素環基であることが好ましい。前記2価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、又はそれら環が有する少なくとも1つの水素原子が炭素数1~10(好ましくは、炭素数1~4)の飽和鎖状炭化水素基に置き換わった構造であることが好ましく、ナフタレン環又はナフタレン環が有する少なくとも1つの水素原子が炭素数1~4の飽和鎖状炭化水素基に置き換わった構造であることがより好ましい。T1Aとしては、下記式(Tc-1)~(Tc-14)で表される基のいずれかであることが好ましく、式(Tc-1)~(Tc-8)で表される基のいずれかであることがより好ましく、式(Tc-7)、(Tc-8)で表される基のいずれかであることがさらに好ましい。
【0101】
【化33】

[式中、*は炭素原子との結合手を表し、**は窒素原子との結合手を表す。]
【0102】
XAcA-で表されるcA価のアニオンとしては、ハロゲン化物イオンであるか、或いはタングステン、モリブデン、ケイ素、及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と酸素とを必須元素として含有するアニオンが好ましく、ハロゲン化物イオン、又はモリブデンを必須元素として含有するヘテロポリ酸のアニオンであることがより好ましく、ハロゲン化物イオン、ケギン型リンモリブデン酸イオン、又はケギン型リンタングステンモリブデン酸イオンがさらに好ましい。
【0103】
化合物(1)が有する置換基(特に、R9A~R14A、T1Aが有していてもよい置換基)としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、置換又は非置換のアミノ基、-SO3 -、及び-SO3Aからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上であることが好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルコキシ基、-SO3 -、及び-SO3Aからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上である。
【0104】
cAは、通常1~14のいずれかの整数であり、好ましくは1~12のいずれかの整数であり、より好ましくは1~10のいずれかの整数であり、さらに好ましくは1~6のいずれかの整数であり、よりさらに好ましくは1~4のいずれかの整数である。
【0105】
bA及びdAは、cA、及び化合物(1)が置換基として有する-SO3 -の数(以下、該数をeAとも称する)に応じて決定され、一般的には、式(1)全体の電荷が0となるようにして調整される。従って、通常、式(1)中のbA~dAは下記式(zA)の関係を満たす。
bA=(cA×dA)+eA ・・・(zA)
[式(zA)中、
bA~dAは、前記と同じ意味を示し、
eAは、化合物(1)が置換基として有する-SO3 -の数を示す。]
【0106】
eAは0以上の整数であり、好ましくは0以上5以下、より好ましくは0以上3以下であり、さらに好ましくは0又は1である。特にdAが1以上である場合、eAは0、すなわち化合物(1)が-SO3 -を有さないことが好ましく、dAが0である場合、eA=bAであることが好ましい。
【0107】
化合物(1)としては、具体的に、下記式(1-a)と表2とで特定される化合物(1-a1)~(1-a18)が挙げられる。
【0108】
【化34】
【0109】
【表2】
【0110】
表中、Hは水素原子、Etはエチル基、Tc-8及びTc-9はそれぞれ下記式(Tc-8)、(Tc-9)で表される基を示す。
【0111】
【化35】

[式中、*は炭素原子との結合手を表し、**は窒素原子との結合手を表す。]
【0112】
化合物(1)の製造方法は特に制限されず、化合物(1)の構造に応じて、公知の有機合成反応を適宜組み合わせることにより製造することができる。
【0113】
化合物(2)としては、以下の態様であることが好ましい。
【0114】
1~R4は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数7~10のアルキルアリール基であることが好ましい。
【0115】
特に、R1及びR3が、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数7~10のアルキルアリール基であり、且つR2及びR4が、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基であることが好ましく、
1及びR3が、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基であり、且つR2及びR4が、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基であることがより好ましく、
1及びR3が、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基であって、該フェニル基に結合するNに対してオルト位となる2つの結合位置のうち少なくとも一方に炭素数1~4のアルキル基を有する基であり、且つR2及びR4が、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~6の飽和鎖状炭化水素基であることがさらに好ましく、
1及びR3が、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基であって、該フェニル基に結合するNに対してオルト位となる2つの結合位置のうち少なくとも一方に炭素数1~4のアルキル基を有する基であり、且つR2及びR4が、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2~6の飽和鎖状炭化水素基であることがよりさらに好ましく、
1及びR3が、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基であって、該フェニル基に結合するNに対してオルト位となる2つの結合位置にそれぞれ炭素数1~3のアルキル基を有する基であり、且つR2及びR4が、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数2~6の飽和鎖状炭化水素基であることが特に好ましい。
ここで、前記フェニル基が有していてもよい置換基としては、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ホルミル基、置換又は非置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、-SO3 -、及び-SO3A(MAは前記と同じ)からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上が挙げられ、中でも、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及び-SO3 -からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上が好ましく、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、及び-SO3 -からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上がより好ましい。
特に、前記フェニル基が置換基を有さない、若しくは置換基として炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ホルミル基、置換又は非置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、-SO3 -、及び-SO3Aからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の置換基のみ(好ましくは、炭素数1~4のアルキル基及び-SO3 -からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の置換基のみ)を有する場合、得られるカラーフィルタの明度をより高めることができる。
また、前記フェニル基が置換基としてアルコキシ基(好ましくはメトキシ基)を有する場合、得られるカラーフィルタの耐光性をより高めることができる。前記アルコキシ基(好ましくはメトキシ基)の置換位置は特に限定されないが、フェニル基に結合するNに対してパラ位となる位置に結合することにより、前記耐光性向上効果をさらに高めることができる。
【0116】
上述のR1~R4の好ましい態様において、R1及びR3は、互いに独立に、下記式(r1)~(r3)で表される基のいずれかであることが特に好ましい。なお、式(r1)~(r3)で表される基が有する水素原子のいずれか1つ以上が、-SO3 -で置換されていてもよい。
【0117】
【化36】

[式中、
r1~Rr4は、互いに独立に、炭素数1~4のアルキル基を表し、
*は、結合手を表す。]
【0118】
r1~Rr4は、メチル基であることが好ましい。
【0119】
5~R12は、水素原子であることが好ましい。
【0120】
13は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~6の炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~6の飽和鎖状炭化水素基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であることがさらに好ましい。
【0121】
1は、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、前記2価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、又はそれら環が有する少なくとも1つの水素原子が炭素数1~10(好ましくは、炭素数1~4)の飽和鎖状炭化水素基に置き換わった構造であることが好ましい。T1としては、上記式(Ta-1)~(Ta-8)で表される基のいずれかであることがより好ましく、上記式(Ta-8)で表される基がさらに好ましい。
【0122】
2は、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、前記2価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、又はそれら環が有する少なくとも1つの水素原子が炭素数1~10(好ましくは、1~4)の飽和鎖状炭化水素基に置き換わった構造であることが好ましく、ベンゼン環又はベンゼン環が有する少なくとも1つの水素原子が炭素数1~4の飽和鎖状炭化水素基に置き換わった構造であることがより好ましい。T2としては、下記式(Tb-1)~(Tb-10)で表される基のいずれかであることがさらに好ましく、式(Tb-3)、(Tb-5)、(Tb-6)、(Tb-9)、(Tb-10)で表される基のいずれかであることがよりさらに好ましく、式(Tb-5)、(Tb-6)、(Tb-9)、(Tb-10)で表される基のいずれかであることがいっそう好ましい。
【0123】
【化37】

[式中、*はL1との結合手を表し、**は窒素原子との結合手を表す。]
【0124】
1は、置換基を有していてもよい炭素数1~8のa価の脂肪族炭化水素基であるか、又は式(i)で表される基において、T3が置換基を有していてもよいa価の芳香族炭化水素基であり、L2が炭素数1~5の2価の飽和鎖状炭化水素基である基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3~10の2価の飽和脂環式炭化水素基、又は上記式(i1)或いは(i2)で表される基であることがより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3~10の2価の飽和脂環式炭化水素基、又は下記式(i-1)~(i-4)で表される基のいずれかであることがさらに好ましい。
【0125】
【化38】
【0126】
c-で表されるc価のアニオンとしては、ハロゲン化物イオンであるか、或いはタングステン、モリブデン、ケイ素、及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と酸素とを必須元素として含有するアニオンが好ましく、ハロゲン化物イオン、又はタングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸又はイソポリ酸のアニオンであることがより好ましく、ハロゲン化物イオン、ケギン型リンタングステン酸イオン、又はドーソン型リンタングステン酸イオンがさらに好ましい。
【0127】
化合物(2)が有する置換基(特に、R1~R4、R13が有していてもよい置換基)としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、置換又は非置換のアミノ基、-SO3 -、及び-SO3Aからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上であることが好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルコキシ基、-SO3 -、及び-SO3Aからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上である。
【0128】
aは、2以上6以下の整数であることが好ましく、より好ましくは2以上4以下の整数、さらに好ましくは2又は3である。
【0129】
cは、通常1~14のいずれかの整数であり、好ましくは1~12のいずれかの整数であり、より好ましくは1~10のいずれかの整数であり、さらに好ましくは1~6のいずれかの整数であり、特に好ましくは1~4のいずれかの整数である。
【0130】
b及びdは、a、c、及び化合物(2)が置換基として有する-SO3 -の数(以下、該数をeとも称する)に応じて決定され、一般的には、式(2)全体の電荷が0となるようにして調整される。従って、通常、式(2)中のa~dは下記式(z)の関係を満たす。
a×b=(c×d)+e ・・・(z)
[式(z)中、
a~dは前記と同じ意味を示し、
eは、化合物(2)が置換基として有する-SO3 -の数を示す。]
【0131】
eは0以上の整数であり、好ましくは0以上(a+1)以下、より好ましくは0以上a以下、さらに好ましくは0又はaである。特にdが1以上である場合、eは0、すなわち化合物(2)が-SO3 -を有さないことが好ましく、dが0である場合、e=a×bであることが好ましい。
【0132】
化合物(2)としては、下記式(2-1)で表される化合物であることが好ましい。
【0133】
【化39】

[式(2-1)中、
101及びR103は、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基であり、
102及びR104は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基であり、
105~R112は、水素原子であり、
113は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~6の飽和鎖状炭化水素基であり、
101及びT102は、互いに独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基であって、前記2価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環が、ベンゼン環、ナフタレン環、又はそれら環が有する少なくとも1つの水素原子が炭素数1~4の飽和鎖状炭化水素基に置き換わった構造であり、
101は、置換基を有していてもよい炭素数1~8のa101価の脂肪族炭化水素基であるか、又は式(i)で表される基において、T3が置換基を有していてもよいa101価の芳香族炭化水素基であり、L2が炭素数1~5の2価の飽和鎖状炭化水素基である基であり、
a101は、2又は3であり、
d101は、1以上の整数であり、
b、c、及びXc-は、前記と同じ意味を示す。]
【0134】
101及びR103で表されるフェニル基が有していてもよい置換基としては、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ホルミル基、置換又は非置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、及び-SO3A(MAは、前記と同じ意味を表す)からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上が挙げられ、中でも、炭素数1~4のアルキル基及び炭素数1~4のアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上が好ましい。ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アミノ基、アルカリ金属原子としては、置換基Aとして説明したものと同様である。
【0135】
101及びR103は、置換基を有していてもよいフェニル基であって、該フェニル基に結合するNに対してオルト位となる2つの結合位置のうち少なくとも一方(好ましくは両方)に炭素数1~4のアルキル基を有する基であることが好ましい。特に、R101及びR103は、互いに独立に、上記式(r1)~(r3)で表される基のいずれかであることが好ましい。
【0136】
102及びR104は、置換基を有していてもよい炭素数1~6の飽和鎖状炭化水素基であることが好ましく、炭素数2~6の飽和鎖状炭化水素基であることがより好ましい。R102及びR104で表される飽和鎖状炭化水素基が有していてもよい置換基(以下、置換基Bとも称する)としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ホルミル基、置換又は非置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、及び-SO3A(MAは、前記と同じ意味を表す)からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上が挙げられる。ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アミノ基、アルカリ金属原子としては、置換基Aとして説明したものと同様である。
【0137】
113で表される炭素数1~6の飽和鎖状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基Bとして説明した基が挙げられる。
【0138】
101で表される2価の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基Bとして説明した基が挙げられる。T101としては、上記式(Ta-1)~(Ta-8)で表される基のいずれかであることが好ましく、式(Ta-8)で表される基であることがより好ましい。
【0139】
102で表される2価の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基Bとして説明した基が挙げられ、中でも、ハロゲン原子及びアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上が好ましい。T102としては、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基であって、前記2価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環が、ベンゼン環又はベンゼン環が有する少なくとも1つの水素原子が炭素数1~4の飽和鎖状炭化水素基に置き換わった構造であることが好ましく、上記式(Tb-1)~(Tb-10)で表される基のいずれかであることがより好ましく、式(Tb-5)、(Tb-6)、(Tb-9)、(Tb-10)で表される基のいずれかであることが特に好ましい。
【0140】
式(2-1)において、L101で表される炭素数1~8のa価の飽和鎖状炭化水素基、T3で表されるa価の芳香族炭化水素基、及び式(i)におけるL2が有していてもよい置換基としては、置換基Bとして説明した基が挙げられる。L101としては、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3~10の2価の飽和脂環式炭化水素基、又は上記式(i1)或いは(i2)で表される基のいずれかであることが好ましい。
【0141】
式(2-1)で表される化合物は、電荷が0であることが好ましい。
【0142】
化合物(2)としては、具体的に、下記式(2-a)と表3~5とで特定される化合物(2-a1)~(2-a108)が挙げられる。
【0143】
【化40】
【0144】
【表3】
【0145】
【表4】
【0146】
【表5】
【0147】
表中、Hは水素原子、Etはエチル基、Prはn-プロピル基を示し、r-1~r-3はそれぞれ下記式(r-1)~(r-3)で表される基を示し、Ta-8は下記式(Ta-8)で表される基を示し、Tb-5~Tb-6及びTb-9~Tb-10はそれぞれ下記式(Tb-5)~(Tb-6)、(Tb-9)~(Tb-10)で表される基を示し、l-1は下記式(l-1)で表される基を示し、i-2及びi-4はそれぞれ下記式(i-2)、(i-4)で表される基を示す。
【0148】
【化41】

[式中、*は窒素原子との結合手を表す。]
【0149】
【化42】

[式中、*は結合手を表す。]
【0150】
【化43】

[式中、*はL1との結合手を表し、**は窒素原子との結合手を表す。]
【0151】
【化44】

[式中、*はT2との結合手を表す。]
【0152】
化合物(2)としては、化合物(2-a1)~(2-a36)、(2-a55)~(2-a90)が好ましく、化合物(2-a1)~(2-a18)、(2-a55)~(2-a72)がより好ましい。
【0153】
化合物(2)の合成方法の例としては、国際公開第2022/234774号に記載の方法が挙げられる。
【0154】
化合物(2n)としては、以下の態様であることが好ましい。
【0155】
1n~R4nは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数7~10のアルキルアリール基であることが好ましい。
【0156】
特に、R1n及びR3nが、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数7~10のアルキルアリール基であり、且つR2n及びR4nが、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基であることが好ましく、
1n及びR3nが、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基であり、且つR2n及びR4nが、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基であることがより好ましく、
1n及びR3nが、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基であって、該フェニル基に結合するNに対してオルト位となる2つの結合位置のうち少なくとも一方に炭素数1~4のアルキル基を有する基であり、且つR2n及びR4nが、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~6の飽和鎖状炭化水素基であることがさらに好ましく、
1n及びR3nが、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基であって、該フェニル基に結合するNに対してオルト位となる2つの結合位置のうち少なくとも一方に炭素数1~4のアルキル基を有する基であり、且つR2n及びR4nが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2~6の飽和鎖状炭化水素基であることがよりさらに好ましく、
1n及びR3nが、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基であって、該フェニル基に結合するNに対してオルト位となる2つの結合位置の一方に炭素数1~3のアルキル基を有する基であり、且つR2n及びR4nが、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数2~6の飽和鎖状炭化水素基であることが特に好ましい。
ここで、前記フェニル基が有していてもよい置換基としては、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ホルミル基、置換又は非置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、-SO3 -、及び-SO3A(MAは前記と同じ)からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上が挙げられ、中でも、炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及び-SO3 -からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上が好ましく、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、及び-SO3 -からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上がより好ましい。
特に、前記フェニル基が置換基を有さない、若しくは置換基として炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ホルミル基、置換又は非置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、-SO3 -、及び-SO3Aからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の置換基のみ(好ましくは、炭素数1~4のアルキル基及び-SO3 -からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の置換基のみ)を有する場合、得られるカラーフィルタの明度をより高めることができる。
また、前記フェニル基が置換基としてアルコキシ基(好ましくはメトキシ基)を有する場合、得られるカラーフィルタの耐光性をより高めることができる。前記アルコキシ基(好ましくはメトキシ基)の置換位置は特に限定されないが、フェニル基に結合するNに対してパラ位となる位置に結合することにより、前記耐光性向上効果をさらに高めることができる。
【0157】
上述のR1n~R4nの好ましい態様において、R1n及びR3nは、互いに独立に、下記式(rn-1)~(rn-4)で表される基のいずれかであることが特に好ましい。なお、式(rn-1)~(rn-4)で表される基が有する水素原子のいずれか1つ以上が、-SO3 -で置換されていてもよい。
【0158】
【化45】

[式中、
rn1~Rrn4は、互いに独立に、炭素数1~4のアルキル基を表し、
*は、結合手を表す。]
【0159】
rn1~Rrn4は、メチル基であることが好ましい。
【0160】
5n~R12nは、水素原子であることが好ましい。
【0161】
13nは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~6の炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~6の飽和鎖状炭化水素基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基であることがさらに好ましく、水素原子であることがよりさらに好ましい。
【0162】
1nは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、前記2価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、又はそれら環が有する少なくとも1つの水素原子が炭素数1~10(好ましくは、炭素数1~4)の飽和鎖状炭化水素基に置き換わった構造であることが好ましい。T1nとしては、上記式(Ta-1)~(Ta-8)で表される基のいずれかであることがより好ましく、上記式(Ta-8)で表される基がさらに好ましい。
【0163】
2nは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の脂環式炭化水素基であることが好ましい。前記2価の脂環式炭化水素基を構成する脂環式炭化水素としては、飽和脂環式炭化水素が好ましく、単環のシクロアルカンがより好ましく、5員環又は6員環のシクロアルカンがさらに好ましく、シクロヘキサンがよりさらに好ましい。前記2価の脂環式炭化水素基が置換基を有する場合、前記置換基としては、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。T2nとしては、下記式(Tbn5)~(Tbn10)で表される基のいずれかであることが特に好ましい。
【0164】
【化46】

[式中、
rn5~Rrn9は、互いに独立に、炭素数1~4のアルキル基を表し、
*はL1nとの結合手を表し、
**は窒素原子との結合手を表す。]
【0165】
rn5~Rrn9は、メチル基であることが好ましい。
【0166】
1nは、置換基を有していてもよい炭素数1~8のan価の脂肪族炭化水素基であるか、又は式(in)で表される基において、T3nが置換基を有していてもよいan価の芳香族炭化水素基であり、L2nが炭素数1~5の2価の飽和鎖状炭化水素基である基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3~10の2価の飽和脂環式炭化水素基、又は上記式(i1)或いは(i2)で表される基であることがより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3~10の2価の飽和脂環式炭化水素基、又は上記式(i-1)~(i-4)で表される基のいずれかであることがさらに好ましい。
【0167】
cn-で表されるcn価のアニオンとしては、ハロゲン化物イオンであるか、或いはタングステン、モリブデン、ケイ素、及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と酸素とを必須元素として含有するアニオンが好ましく、ハロゲン化物イオン、又はタングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸又はイソポリ酸のアニオンであることがより好ましく、ハロゲン化物イオン、ケギン型リンタングステン酸イオン、又はドーソン型リンタングステン酸イオンがさらに好ましい。
【0168】
化合物(2n)が有する置換基(特に、R1n~R4n、R13nが有していてもよい置換基)としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、置換又は非置換のアミノ基、-SO3 -、及び-SO3Aからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上であることが好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルコキシ基、-SO3 -、及び-SO3Aからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上である。
【0169】
anは、2以上6以下の整数であることが好ましく、より好ましくは2以上4以下の整数、さらに好ましくは2又は3である。
【0170】
cnは、通常1~14のいずれかの整数であり、好ましくは1~12のいずれかの整数であり、より好ましくは1~10のいずれかの整数であり、さらに好ましくは1~6のいずれかの整数であり、特に好ましくは1~4のいずれかの整数である。
【0171】
bn及びdnは、an、cn、及び化合物(2n)が置換基として有する-SO3 -の数(以下、該数をenとも称する)に応じて決定され、一般的には、式(2n)全体の電荷が0となるようにして調整される。従って、通常、式(2n)中のan~dnは下記式(zn)の関係を満たす。
an×bn=(cn×dn)+en ・・・(zn)
[式(zn)中、
an~dnは前記と同じ意味を示し、
enは、化合物(2n)が置換基として有する-SO3 -の数を示す。]
【0172】
enは0以上の整数であり、好ましくは0以上(an+1)以下、より好ましくは0以上an以下、さらに好ましくは0又はanである。特にdnが1以上である場合、enは0、すなわち化合物(2n)が-SO3 -を有さないことが好ましく、dnが0である場合、en=an×bnであることが好ましい。
【0173】
化合物(2n)としては、具体的に、下記式(2n-a)と表6~8とで特定される化合物(2n-a1)~(2n-a108)が挙げられる。
【0174】
【化47】
【0175】
【表6】
【0176】
【表7】
【0177】
【表8】
【0178】
表中、Hは水素原子、Etはエチル基、Prはn-プロピル基を示し、rn1~rn3はそれぞれ下記式(rn1)~(rn3)で表される基を示し、Ta-8は下記式(Ta-8)で表される基を示し、Tbn5~Tbn8はそれぞれ下記式(Tbn5)~(Tbn8)で表される基を示し、l-1及びl-2はそれぞれ下記式(l-1)、(l-2)で表される基を示し、i-2は下記式(i-2)で表される基を示す。
【0179】
【化48】

[式中、*は窒素原子との結合手を表す。]
【0180】
【化49】

[式中、*は結合手を表す。]
【0181】
【化50】

[式中、*はL1nとの結合手を表し、**は窒素原子との結合手を表す。]
【0182】
【化51】

[式中、*はT2nとの結合手を表す。]
【0183】
化合物(2n)としては、化合物(2n-a1)~(2n-a36)、(2n-a55)~(2n-a90)が好ましく、化合物(2n-a1)~(2n-a18)、(2n-a55)~(2n-a72)がより好ましく、化合物(2n-a1)~(2n-a18)がさらに好ましい。
【0184】
化合物(2n)の製造方法は特に制限されず、化合物(2n)の構造に応じて、公知の有機合成反応を適宜組み合わせることにより製造することができる。
【0185】
トリアリールメタン系色材としては、市販品等の公知の着色剤を用いてもよい。
【0186】
公知のトリアリールメタン構造を有する染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されているトリアリールメタン構造を有する化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知のトリアリールメタン構造を有する化合物が挙げられる。
具体的には、
C.I.ソルベントブルー4、5;
C.I.ソルベントグリーン1;
C.I.アシッドバイオレット6B、15、16、17、19、21、23、24、25、38、49、72;
C.I.アシッドブルー1、3、5、7、9、11、13、15、17、22、24、26、34、38、48、75、83、84、86、88、90、90:1、91、93、93:1、100、103、104、108、109、110、119、123、142、147、213、269;
C.I.アシッドグリーン3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、50、50:1;
C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、14;
C.I.ベーシックブルー1、5、7、8、11、26、81、83;
C.I.ベーシックグリーン1、4;
C.I.ダイレクトブルー41;
C.I.フードバイオレット3;
C.I.モーダントレッド29、42、52、62、76、78;
C.I.モーダントバイオレット1、1:1、3、6、8、10、11、15、16、17、18、19、21、23、27、28、33、36、39、49;
C.I.モーダントブルー1、3、29;
C.I.モーダントグリーン3、13、21、23、31;
等のカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられる。
【0187】
公知のトリアリールメタン構造を有する顔料(レーキ顔料)としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されているトリアリールメタン構造を有する化合物が挙げられる。
具体的には、
C.I.ピグメントバイオレット3、3:1、3:3、39;
C.I.ピグメントブルー1、1:2、2、3、8、9、12、14、24、56、56:1、61、61:1、62、78;
C.I.ピグメントグリーン1、2、4;
等のカラーインデックス(C.I.)番号の顔料が挙げられる。
【0188】
トリアリールメタン系色材(好ましくは、化合物(1)、化合物(2)、及び化合物(2n)からなる群から選ばれる少なくとも1種)の含有率(2種以上のトリアリールメタン系色材を含む場合は総含有率)は、着色剤(A)の総量中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、いっそう好ましくは85質量%以上であり、また100質量%であってもよい。
【0189】
着色剤(A)は、トリアリールメタン系色材以外の染料(以下、染料(A1-1)とも称する)及び/又は顔料(以下、顔料(A1-2)とも称する)を含んでいてもよい。以下、染料(A1-1)及び顔料(A1-2)を合わせて着色剤(A1)という場合がある。これらは単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0190】
染料(A1-1)は、公知の染料を使用することができ、例えば、溶剤染料、酸性染料、直接染料、媒染染料等が挙げられる。染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、キサンテン染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、フタロシアニン染料、ペリレン染料、キノフタロン染料、イソインドリン染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。
【0191】
染料(A1-1)として、具体的には、
C.I.ソルベントイエロー4、14、15、23、24、25、38、62、63、68、79、81、82、83、89、94、98、99、117、162、163、167、189;
C.I.ソルベントレッド24、45、49、90,91、111、118、119、122、124、125、127、130、132、143、145、146、150、151、155、160、168、169、172、175、181、207、218、222、227、230、245、247;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、41、54、56、77、86、99;
C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60;
C.I.ソルベントブルー14、18、35、36、37、38、44、45、58、59、59:1、63、67、68、69、70、78、79、83、90、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139;
C.I.ソルベントグリーン3、4、5、7、28、29、32、33、34、35;等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、33、34、35、37、40、42、44、50、51、52、57、66、73、76、80、87、88、91、92、94、95、97、98、103、106、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、155、158、160、172、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、289、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、388、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、149、162、169、173;
C.I.アシッドバイオレット7、9、30、34;
C.I.アシッドブルー18、19、23、25、29、40、41、42、43、45、51、54、59、60、62、70、72、74、78、80、82、87、92、96、102、112、113、117、120、126、127、129、130、131、138、140、150、151、154、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、187、192、199、203、204、210、229、234、236、242、243、249、256、259、267、280、285、290、315、324:1、335、340;
C.I.アシッドグリーン1、25、27、28、41、58、63、65、80、104、105、106、109;等のC.I.アシッド染料、
C.I.ダイレクトイエロー2、4、28、33、34、35、38、39、43、44、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、132、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトブルー1、2、3、6、8、15、22、25、28、29、40、42、47、52、55、57、71、76、77、78、80、81、84、85、86、87、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、120、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、195、196、198、199、200、201、202、203、207、209、210、212、213、214、222、225、226、228、229、236、237、238、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、79、82;等のC.I.ダイレクト染料、
C.I.ディスパースイエロー51、54、76;
C.I.ディスパースバイオレット26、27;
C.I.ディスパースブルー1、14、56、60;等のC.I.ディスパース染料、
C.I.ベーシックレッド1、9、10;
C.I.ベーシックブルー3、9、19、21、22、24、25、28、29、40、41、45、47、54、58、59、60、64、65、66、67、68;等のC.I.ベーシック染料、
C.I.リアクティブイエロー2、76、116;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.リアクティブレッド36;等のC.I.リアクティブ染料、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、27、30、32、33、36、37、38、39、41、43、45、46、48、53、56、63、71、74、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントバイオレット1:1、2、4、5、7、14、22、24、30、31、32、37、40、41、44、45、47、48、53、58;
C.I.モーダントブルー7、9、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84;
C.I.モーダントグリーン1、4、5、10、15、19、26、29、33、34、35、41、43、53;等のC.I.モーダント染料、
C.I.バットグリーン1;等のC.I.バット染料
等のカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられる。
【0192】
顔料(A1-2)としては、公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ系顔料、シアニン系顔料、キサンテン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、ナフトキノン系顔料、キノンイミン系顔料、メチン系顔料、アゾメチン系顔料、スクアリリウム系顔料、アクリジン系顔料、スチリル系顔料、クマリン系顔料、キノリン系顔料、ニトロ系顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。
【0193】
顔料(A1-2)としては、具体的には、
C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214、231等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等のオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、144、149、166、168、176、177、180、190、192、202、209、215、216、224、242、254、255、264、265、266、268、269、273、291等の赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、63等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25等のブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7等の黒色顔料;
等のカラーインデックス(C.I.)番号の顔料が挙げられる。
【0194】
着色剤(A1)としては、得られるカラーフィルタの耐光性の良化、また分光スペクトルの調整のし易さの観点から、バイオレット色染料及びバイオレット色顔料(以下、これらを総称してバイオレット色着色剤とも称する)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0195】
バイオレット色着色剤としては、例えば、上記染料(A1-1)の例示のうち色相がバイオレットに分類されている染料、上記顔料(A1-2)の例示うち色相がバイオレットに分類されている顔料等が挙げられる。
バイオレット色顔料としては、耐熱性の観点から、C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38が好ましい。
【0196】
着色剤(A1)としてのバイオレット色着色剤は、キサンテン構造を有するキサンテン系色材から選ばれるものが好ましく、具体的には、下記式(11)で表される化合物(以下、化合物(11)とも称する)から選ばれるものがより好ましい。
【0197】
【化52】

[式(11)中、
1x~R4xは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、又は-NR11x-で置き換わっていてもよい。R1x及びR2xは、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R3x及びR4xは、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
5xは、-OH、-SO3 -、-SO3H、-SO3 -Zx+、-CO2H、-CO2 -Zx+、-CO28x、-SO38x、又は-SO2NR9x10xを表す。
6x及びR7xは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
mxは、0~5の整数を表し、mxが2以上のとき、複数のR5xは同一でも異なってもよい。
axは、0又は1の整数を表す。
Xxは、ハロゲン原子を表す。
Zx+は、+N(R11x4、Na+、又はK+を表し、4つのR11xは同一でも異なってもよい。
8xは、炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
9x及びR10xは、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、-NH-、又は-NR8x-で置き換っていてもよく、R9x及びR10xは、互いに結合して窒素原子を含んだ3~10員環の複素環を形成していてもよい。
11xは、水素原子、炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基、又は炭素数7~10のアラルキル基を表す。]
【0198】
1x~R4x及びR8x~R11xで表される炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基等の炭素数3~20の脂環式飽和炭化水素基;等が挙げられる。
【0199】
1x~R4xで表される炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、4-ビニルフェニル基、o-イソプロピルフェニル基、m-イソプロピルフェニル基、p-イソプロピルフェニル基、o-tert-ブチルフェニル基、m-tert-ブチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ(tert-ブチル)フェニル基、3,5-ジ(tert-ブチル)-4-メチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、4-ペンチルフェニル基、2,6-ビス(1-メチルエチル)フェニル基、2,4,6-トリス(1-メチルエチル)フェニル基、4-シクロヘキシルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、4-オクチルフェニル基、4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-1-ナフチル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントリル基、2-ドデシルフェニル基、3-ドデシルフェニル基、4-ドデシルフェニル基、ペリレニル基、クリセニル基、ピレニル基等が挙げられる。
【0200】
1x~R4xで表される炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基又は炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、-OH、-OR8x、-SO3 -、-SO3H、-SO3 -Zx+、-CO2H、-CO28x、-SR8x、-SO28x、-SO38x、-SO2NR9x10xが挙げられる。これらの置換基の中でも、-SO3 -、-SO3H、-SO3 -Zx+、及び-SO2NR9x10xからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0201】
1x及びR2xは、窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R3x及びR4xは、窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。該窒素原子を含む環としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0202】
【化53】
【0203】
-OR8xとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、イコシルオキシ基等が挙げられる。
【0204】
-CO28xとしては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、イコシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0205】
-SR8xとしては、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基、デシルスルファニル基、イコシルスルファニル基等が挙げられる。
【0206】
-SO28xとしては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、デシルスルホニル基、イコシルスルホニル基等が挙げられる。
【0207】
-SO38xとしては、例えば、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロポキシスルホニル基、tert-ブトキシスルホニル基、ヘキシルオキシスルホニル基、イコシルオキシスルホニル基等が挙げられる。
【0208】
-SO2NR9x10xとしては、例えば、
スルファモイル基;
N-メチルスルファモイル基、N-エチルスルファモイル基、N-プロピルスルファモイル基、N-イソプロピルスルファモイル基、N-ブチルスルファモイル基、N-イソブチルスルファモイル基、N-sec-ブチルスルファモイル基、N-tert-ブチルスルファモイル基、N-ペンチルスルファモイル基、N-(1-エチルプロピル)スルファモイル基、N-(1,1-ジメチルプロピル)スルファモイル基、N-(1,2-ジメチルプロピル)スルファモイル基、N-(2,2-ジメチルプロピル)スルファモイル基、N-(1-メチルブチル)スルファモイル基、N-(2-メチルブチル)スルファモイル基、N-(3-メチルブチル)スルファモイル基、N-シクロペンチルスルファモイル基、N-ヘキシルスルファモイル基、N-(1,3-ジメチルブチル)スルファモイル基、N-(3,3-ジメチルブチル)スルファモイル基、N-ヘプチルスルファモイル基、N-(1-メチルヘキシル)スルファモイル基、N-(1,4-ジメチルペンチル)スルファモイル基、N-オクチルスルファモイル基、N-(2-エチルヘキシル)スルファモイル基、N-(1,5-ジメチル)ヘキシルスルファモイル基、N-(1,1,2,2-テトラメチルブチル)スルファモイル基等のN-1置換スルファモイル基;
N,N-ジメチルスルファモイル基、N,N-エチルメチルスルファモイル基、N,N-ジエチルスルファモイル基、N,N-プロピルメチルスルファモイル基、N,N-イソプロピルメチルスルファモイル基、N,N-tert-ブチルメチルスルファモイル基、N,N-ブチルエチルスルファモイル基、N,N-ビス(1-メチルプロピル)スルファモイル基、N,N-ヘプチルメチルスルファモイル基等のN,N-2置換スルファモイル基;
が挙げられる。
【0209】
9x及びR10xで表される炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、-OH、ハロゲン原子が挙げられ、該飽和炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、-NH-、又は-NR8x-で置き換っていてもよい。
【0210】
9x及びR10xは、互いに結合して窒素原子と一緒に3~10員環の複素環を形成していてもよい。該複素環としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0211】
【化54】
【0212】
6x及びR7xを表す炭素数1~6のアルキル基としては、上記で挙げた直鎖状アルキル基及び分岐鎖状アルキル基のうち、炭素数1~6のものが挙げられる。
【0213】
11xを表す炭素数7~10のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルブチル基等が挙げられる。
【0214】
Zx+は、+N(R11x4、Na+、又はK+であり、好ましくは+N(R11x4である。
【0215】
mxは、1~4が好ましく、1又は2がより好ましい。
【0216】
化合物(11)としては、下記式(11a)で表される化合物(以下、化合物(11a)とも称する)が好ましい。
【0217】
【化55】

[式(11a)中、
32x及びR33xは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、
31x及びR34xは、互いに独立に、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルスルファニル基、又は炭素数1~4のアルキルスルホニル基を表し、
31x及びR32xは、窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R33x及びR34xは、窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
px及びqxは、互いに独立に、0~5の整数を表し、pxが2以上である場合、複数のR31xは同一でも異なってもよく、qxが2以上である場合、複数のR34xは同一でも異なってもよい。]
【0218】
31x、R32x、R33x、及びR34xで表される炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
【0219】
31x及びR34xで表される炭素数1~4のアルキルスルファニル基としては、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基等が挙げられる。
【0220】
31x及びR34xで表される炭素数1~4のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基等が挙げられる。
【0221】
化合物(11a)としては、以下の態様であることが好ましい。
【0222】
32x及びR33xは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子であることがより好ましい。
31x及びR34xは、互いに独立に、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
px及びqxは、互いに独立に、0~2の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。
【0223】
化合物(11a)としては、下記式(11a-1)で表される化合物が特に好ましい。
【0224】
【化56】
【0225】
着色剤(A1)としてバイオレット色着色剤を含む場合、トリアリールメタン系色材に対するバイオレット色着色剤(好ましくはキサンテン系色材、より好ましくは化合物(11))の含有量比(バイオレット色着色剤の含有量/トリアリールメタン系色材の含有量)は、質量比で、好ましくは0.001以上1.0以下、より好ましくは0.005以上、さらに好ましくは0.01以上、よりさらに好ましくは0.05以上であり、またより好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下、よりさらに好ましくは0.3以下である。
【0226】
着色剤(A1)としてバイオレット色着色剤を含む場合、バイオレット色着色剤(好ましくはキサンテン系色材、より好ましくは化合物(11))の含有率は、着色剤(A)の総量中、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上、よりさらに好ましくは5.0質量%以上であり、またより好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは25質量%以下である。
【0227】
着色樹脂組成物が溶剤(E)を含む場合、予め着色剤(A)と溶剤(E)とを含む着色剤含有液を調製した後に、該着色剤含有液を使用して着色樹脂組成物を調製してもよい。着色剤(A)が溶剤(E)に溶解しない場合、例えば着色剤(A)が顔料等を含む場合には、着色剤含有液は、着色剤(A)を溶剤(E)に分散させて混合することにより調製できる。着色剤含有液は、着色樹脂組成物に含有される溶剤(E)の一部又は全部を含んでいてもよい。
【0228】
着色剤含有液中の固形分の含有率は、着色剤含有液の総量に対して、100質量%未満であり、好ましくは1質量%以上80質量%以下、より好ましくは2質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上65質量%以下である。
【0229】
着色剤含有液中の着色剤(A)の含有率は、着色剤含有液中の固形分の総量に対して、100質量%以下であり、好ましくは1質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上90質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以上85質量%以下である。
【0230】
着色剤(A)は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による着色剤(A)表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。着色剤(A)の粒径は、略均一であることが好ましい。
【0231】
着色剤(A)は、分散剤を含有させて分散処理を行うことで、着色剤(A)が溶液中で均一に分散した状態にしてもよい。着色剤(A)として2種以上を組み合わせて使用する場合は、それぞれを単独で分散処理してもよいし、複数種を混合して分散処理してもよい。
【0232】
分散剤としては、例えば、界面活性剤等が挙げられ、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性のいずれの界面活性剤であってもよい。具体的には、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの分散剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。分散剤としては、商品名で表すと、KP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(登録商標)(ゼネカ(株)製)、EFKA(登録商標)(BASF社製)、アジスパー(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)及びDisperbyk(登録商標)(ビックケミー(株)製)、BYK(登録商標)(ビックケミー(株)製)等が挙げられる。分散剤として、後述する樹脂(B)を使用してもよい。
【0233】
分散剤を用いる場合、該分散剤(固形分)の使用量は、着色剤(A)100質量部に対して、通常1質量部以上10000質量部以下であり、好ましくは5質量部以上5000質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上1000質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以上800質量部以下である。該分散剤の使用量が前記の範囲にあると、より均一な分散状態の着色剤含有液(分散液)が得られる傾向がある。
【0234】
着色剤(A)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、よりさらに好ましくは5質量%以上、いっそう好ましくは10質量%以上、よりいっそう好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、またより好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下、よりさらに好ましくは40質量%以下である。着色剤(A)の含有率が前記の範囲にあると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中に樹脂(B)を必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができることから好ましい。
ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0235】
<化合物(I)>
本発明の着色樹脂組成物は、トリアリールメタン系色材(好ましくは、化合物(1)、化合物(2)、及び化合物(2n)からなる群から選ばれる少なくとも1種)を含む着色剤と共に、下記式(I)で表される化合物を含有することにより、耐光性に優れたカラーフィルタを形成することが可能である。なお、化合物(I)には化合物(I)の互変異性体も含まれる。
【0236】
【化57】

[式(I)中、
a1~Ra5、Rb1~Rb5、及びRc1~Rc5は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基、-ORd1、又は-NRd2d3を表し、
d1及びRd2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基を表し、
d3は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基を表す。]
【0237】
トリアリールメタン系色材を含有する着色樹脂組成物において、化合物(I)を含むことにより耐光性に優れたカラーフィルタを形成できるのは、以下の理由によるものであると推測できる。なお、該理由は本発明を限定するものではない。
まず、トリアリールメタン系色材を用いる場合の耐光性の劣化は、一重項酸素酸化機構により生じるトリアリールメタン系色材の光酸化反応によるものであると推察される。そして、化合物(I)はトリアリールメタン系色材と同様にアリール部を3つ有するものであるために、化合物(I)はトリアリールメタン系色材とπ-πスタッキング相互作用により近傍に位置しているものと推察される。ここで、化合物(I)は窒素上の不対電子やアリール部のπ電子により、一重項酸素で励起されても安定な化合物である。そのため、一重項酸素がトリアリールメタン系色材に作用しようとした場合に、近傍に位置する化合物(I)に一重項酸素が特異的に作用することにより、トリアリールメタン系色材への作用が抑制されるので、結果としてトリアリールメタン系色材及び化合物(I)を含有する着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタの耐光性の劣化が抑制されると推察される。
【0238】
化合物(I)は、実質的に無色の化合物であることが好ましい。本明細書における「実質的に無色の化合物」とは、可視光領域に極大吸収を有しない化合物を示す。
【0239】
a1~Ra5、Rb1~Rb5、及びRc1~Rc5で表される炭素数1~20の炭化水素基としては、上述の式(1)中のR9A~R14Aで表される炭素数1~30の炭化水素基として例示した基のうち、炭素数が1~20の基が挙げられる。
d1~Rd3で表される炭素数1~12の炭化水素基としては、上述の式(1)中のR9A~R14Aで表される炭素数1~30の炭化水素基として例示した基のうち、炭素数が1~12の基が挙げられる。
【0240】
-ORd1としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4-メチルシクロヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0241】
-NRd2d3としては、例えば、
N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N-イソプロピルアミノ基、N-ブチルアミノ基、N-イソブチルアミノ基、N-sec-ブチルアミノ基、N-tert-ブチルアミノ基、N-ペンチルアミノ基、N-(1-エチルプロピル)アミノ基、N-(1,1-ジメチルプロピル)アミノ基、N-(2,2-ジメチルプロピル)アミノ基、N-(1-メチルブチル)アミノ基、N-(3-メチルブチル)アミノ基、N-シクロペンチルアミノ基、N-ヘキシルアミノ基、N-シクロヘキシルアミノ基、N-ヘプチルアミノ基、N-フェニルアミノ基、N-ベンジルアミノ基、N-トルイルアミノ基、N-ビフェニルアミノ基等のN-1置換アミノ基;
N,N-ジメチルアミノ基、N,N-エチルメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N,N-プロピルメチルアミノ基、N,N-イソプロピルメチルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N,N-tert-ブチルメチルアミノ基、N,N-ブチルエチルアミノ基、N,N-ビス(1-メチルプロピル)アミノ基、N,N-ヘプチルメチルアミノ基、N,N-ジヘプチルアミノ基、N,N-シクロペンチルメチルアミノ基、N,N-シクロペンチルエチルアミノ基、N,N-ジシクロペンチルアミノ基、N,N-シクロヘキシルメチルアミノ基、N,N-シクロヘキシルエチルアミノ基、N,N-ジシクロヘキシルアミノ基、N,N-フェニルメチルアミノ基、N,N-フェニルエチルアミノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ベンシルメチルアミノ基、N,N-ベンシルエチルアミノ基、N,N-ジベンシルアミノ基、N,N-トルイルメチルアミノ基、N,N-トルイルエチルアミノ基、N,N-ジトルイルアミノ基、N,N-ジビフェニルアミノ基等のN,N-2置換アミノ基;
等が挙げられる。
【0242】
a1~Ra5、Rb1~Rb5、及びRc1~Rc5で表される炭素数1~20の炭化水素基、及びRd1~Rd3で表される炭素数1~12の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ホルミル基;カルボキシル基;アクリロイル基;メタクリロイル基;アクリロイルオキシ基;メタクリロイルオキシ基;非置換アミノ基;N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N-イソプロピルアミノ基、N-フェニルアミノ基等の炭素数1~10の炭化水素基を1つ有するN-1置換アミノ基;N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N,N-ジプロピルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-エチルメチルアミノ基、N,N-メチルフェニルアミノ基等の炭素数1~10の炭化水素基を2つ有するN-2置換アミノ基;ニトロ基;シアノ基;アクリロイルアミノ基;メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
【0243】
化合物(I)が有する置換基としては、ハロゲン原子、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、非置換アミノ基、N-1置換アミノ基、N-2置換アミノ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基がより好ましく、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基がさらに好ましい。
置換基として、アクリロイルオキシ基やメタクリロイルオキシ基等の重合性基を有すれば、着色樹脂組成物中において化合物(I)が凝集したり、カラーフィルタから化合物(I)がブリードアウトしたりするのを抑制することができる。
化合物(I)が置換基として重合性基を有する場合、その数は2以下であることが好ましく、より好ましくは1以下である。
【0244】
化合物(I)としては、以下の態様であることが好ましい。
【0245】
a1、Ra2、Ra4、Ra5、Rb1、Rb2、Rb4、Rb5、Rc1、Rc2、Rc4、及びRc5は、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることがよりさらに好ましい。
【0246】
a3、Rb3、及びRc3は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基、又は-NRd2d3であることが好ましく、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~12の芳香族炭化水素基、又は-NRd2d3であることがより好ましく、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基、又は-NRd2d3であることがさらに好ましく、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基、又は-NRd2d3であることがよりさらに好ましい。
a3、Rb3、及びRc3のうち少なくとも1つは、水素原子又は炭素数1~10の飽和炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であることがより好ましい。
【0247】
d1としては、置換基を有していてもよい炭素数1~6の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数6~12の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~4の飽和炭化水素基、又は炭素数6~10の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
【0248】
d2としては、置換基を有していてもよい炭素数1~6の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数6~12の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~4の飽和炭化水素基、又は炭素数6~12の芳香族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数6~12の芳香族炭化水素基であることがさらに好ましく、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、又はビフェニル基であることがよりさらに好ましい。
d3としては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~6の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数6~12の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~4の飽和炭化水素基、又は炭素数6~12の芳香族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数6~12の芳香族炭化水素基であることがさらに好ましく、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、又はビフェニル基であることがよりさらに好ましい。
d2とRd3とは、同一の基であることが好ましい。
【0249】
-NRd2d3としては、具体的には、下記式(N-1)~(N-8)で表される基が挙げられ、式(N-5)~(N-8)で表される基のいずれかであることが特に好ましい。
【0250】
【化58】

[式中、*は結合手を表す。]
【0251】
化合物(I)としては、具体的に、下記式(I-a)と表9とで特定される化合物(I-a1)~(I-a60)が挙げられる。
【0252】
【化59】
【0253】
【表9】
【0254】
表中、Hは水素原子、Mtはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示し、N-1及びN-5~N-8はそれぞれ下記式(N-1)、(N-5)~(N-8)で表される基を示し、Nb-1~Nb-6はそれぞれ下記式(Nb-1)~(Nb-6)で表される基を示す。
【0255】
【化60】

[式中、*は結合手を表す。]
【0256】
化合物(I)としては、化合物(I-a1)~(I-a17)、(I-a21)、(I-a22)、(I-a29)、(I-a30)、(I-a46)~(I-a49)が好ましく、化合物(I-a1)~(I-a4)、(I-a6)、(I-a7)、(I-a14)~(I-a17)、(I-a19)、(I-a21)、(I-a22)、(I-a29)、(I-a30)、(I-a46)、(I-a47)、(I-a49)がより好ましく、化合物(I-a1)、(I-a14)、(I-a17)、(I-a29)、(I-a46)がさらに好ましい。
【0257】
化合物(I)の製造方法は特に制限されず、化合物(I)の構造に応じて、公知の有機合成反応を適宜組み合わせることにより製造することができ、市販品の化合物を用いてもよい。
【0258】
トリアリールメタン系色材に対する化合物(I)の含有量比(化合物(I)の含有量/トリアリールメタン系色材の含有量)は、質量比で、好ましくは0.001以上1.0以下であり、より好ましくは0.004以上、さらに好ましくは0.008以上、よりさらに好ましくは0.02以上であり、またより好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下、よりさらに好ましくは0.3以下である。トリアリールメタン系色材に対する化合物(I)の含有量比が前記の範囲にあると、より耐光性に優れたカラーフィルタを形成可能な着色樹脂組成物とすることができるため好ましい。またトリアリールメタン系色材に対する化合物(I)の含有量比が前記所定の上限値以下であると、着色樹脂組成物中の化合物(I)の含有率を抑制できるため、化合物(I)以外の成分(特に、樹脂や重合性化合物等の硬化成分)の含有率を十分に確保することができる。そして着色樹脂組成物中の硬化成分の含有率が十分に確保されることにより、カラーフィルタ形成時の現像前後での膜厚変化の抑制や、得られるカラーフィルタの耐溶剤性の向上等の信頼性を良好とすることができる。
【0259】
着色剤(A)に対する化合物(I)の含有量比(化合物(I)の含有量/着色剤(A)の含有量)は、質量比で、好ましくは0.001以上1.0以下であり、より好ましくは0.003以上、さらに好ましくは0.005以上、よりさらに好ましくは0.01以上であり、またより好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下、よりさらに好ましくは0.3以下である。着色剤(A)に対する化合物(I)の含有量比が前記の範囲にあると、より耐光性に優れたカラーフィルタを形成可能な着色樹脂組成物とすることができるため好ましい。また着色剤(A)に対する化合物(I)の含有量比が前記所定の上限値以下であると、着色樹脂組成物中の化合物(I)の含有率を抑制できるため、化合物(I)以外の成分(特に、樹脂や重合性化合物等の硬化成分)の含有率を十分に確保することができる。そして着色樹脂組成物中の硬化成分の含有率が十分に確保されることにより、カラーフィルタ形成時の現像前後での膜厚変化の抑制や、得られるカラーフィルタの耐溶剤性の向上等の信頼性を良好とすることができる。
【0260】
化合物(I)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.01質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、よりさらに好ましくは0.5質量%以上、いっそう好ましくは1.0質量%以上、よりいっそう好ましくは1.5質量%以上、特に好ましくは1.8質量%以上であり、またより好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下であり、いっそう好ましくは8.0質量%以下である。化合物(I)の含有率が前記の範囲にあると、より耐光性に優れたカラーフィルタを形成可能な着色樹脂組成物とすることができるため好ましい。また化合物(I)の含有率が前記所定の上限値以下であれば、化合物(I)以外の成分(特に、樹脂や重合性化合物等の硬化成分)の含有率を十分に確保することができる。そして着色樹脂組成物中の硬化成分の含有率が十分に確保されることにより、カラーフィルタ形成時の現像前後での膜厚変化の抑制や、得られるカラーフィルタの耐溶剤性の向上等の信頼性を良好とすることができる。
【0261】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]~[K6]等が挙げられ、樹脂[K1]~[K6]からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
樹脂[K1]:不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体(a)(以下、「(a)」とも称する)に由来する構造単位と、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下、「(b)」とも称する)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K2]:前記(a)に由来する構造単位と前記(b)に由来する構造単位と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる)(以下、「(c)」とも称する)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K3]:前記(a)に由来する構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K4]:前記(a)に由来する構造単位に前記(b)を付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体であり、(b)が付加しない(a)に由来する構造単位を含む共重合体;
樹脂[K4’]:前記(a)に由来する構造単位に前記(b)を付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体であり、(b)が付加しない(a)に由来する構造単位を含まない共重合体;
樹脂[K5]:前記(b)に由来する構造単位に前記(a)を付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体((a)が付加しない(b)に由来する構造単位を含んでもよいが、含まないことが好ましい);
樹脂[K6]:前記(b)に由来する構造単位に前記(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体。
【0262】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂の現像液(特に、アルカリ水溶液)への溶解性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0263】
(b)は、例えば、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環、及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(b)は、炭素数2~4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
なお本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0264】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下、「(b1)」とも称する)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下、「(b2)」とも称する)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下、「(b3)」とも称する)等が挙げられる。
【0265】
(b1)としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)(以下、「(b1-1)」とも称する)、脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-2)(以下、「(b1-2)」とも称する)が挙げられる。
【0266】
(b1-1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0267】
(b1-2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;(株)ダイセル製)、式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物等が挙げられる。
【0268】
【化61】

[式(BI)及び式(BII)中、
e及びRfは、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子はヒドロキシ基で置換されていてもよい。
e及びXfは、単結合、*-Rg-、*-Rg-O-、*-Rg-S-、又は*-Rg-NH-を表す。
gは、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0269】
e及びRfで表される炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
e及びRfとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0270】
炭素数1~6のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等が挙げられる。
e及びXfとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*-CH2-O-、及び*-CH2CH2-O-が挙げられ、より好ましくは単結合、*-CH2CH2-O-が挙げられる(*はOとの結合手を表す)。
【0271】
式(BI)で表される化合物としては、式(BI-1)~式(BI-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(BI-1)、式(BI-3)、式(BII-5)、式(BI-7)、式(BI-9)、又は式(BI-11)~式(BI-15)で表される化合物が好ましく、式(BI-1)、式(BI-7)、式(BI-9)、又は式(BI-15)で表される化合物がより好ましい。
【0272】
【化62】
【0273】
式(BII)で表される化合物としては、式(BII-1)~式(BII-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(BII-1)、式(BII-3)、式(BII-5)、式(BII-7)、式(BII-9)、又は式(BII-11)~式(BII-15)で表される化合物が好ましく、式(BII-1)、式(BII-7)、式(BII-9)、又は式(BII-15)で表される化合物がより好ましい。
【0274】
【化63】
【0275】
式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物は、それぞれ単独で用いても、2種以上を併用してもよい。式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物を併用する場合、これらの含有比率〔式(BI)で表される化合物:式(BII)で表される化合物〕はモル基準で、好ましくは5:95~95:5、より好ましくは20:80~80:20である。
【0276】
(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b2)としては、3-メチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0277】
(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0278】
(b)としては、得られるカラーフィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(b1)であることが好ましい。さらに、着色樹脂組成物の保存安定性が優れるという点で、(b1-2)がより好ましい。
【0279】
(c)としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、不飽和ジカルボン酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル類;不飽和脂肪族炭化水素環、不飽和複素環、又は芳香族環を有するビニルモノマー等が挙げられる。
【0280】
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」と称され、また「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」と称される場合がある)、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」と称される)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の環状不飽和脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸エステルとしては、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステルが挙げられる。
【0281】
これらの不飽和カルボン酸エステル類のうち、メチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等のC1-10アルキル(メタ)アクリレート;
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート等の環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート等の環状不飽和脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル類;等が好ましい。
【0282】
不飽和脂肪族炭化水素環を有するビニルモノマーとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(または2-ノルボルネンとも称する)、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物類が挙げられる。
【0283】
不飽和複素環を有するビニルモノマーとしては、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類が挙げられる。
【0284】
芳香族環を有するビニルモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン等のスチレン系モノマーが挙げられる。
【0285】
その他のビニルモノマーとして、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;
塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有モノマー;
アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。
【0286】
これらのビニルモノマーのうち、共重合反応性及び耐熱性の観点から、スチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド等のジカルボニルイミド誘導体、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物が好ましい。
【0287】
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位とは、共重合体の主鎖を構成する(a)由来の構造単位に付加によって(b)が結合して構成される単位のことをいい、(b)に由来するペンダント不飽和基を有する。この構造単位において、(a)は前記例示のいずれでもよく、(b)も前記例示のいずれでもよい。(a)としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸が好ましい。(b)としては、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)がより好ましい。
【0288】
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位とは、共重合体の主鎖を構成する(b)由来の構造単位に付加によって(a)が結合して構成される単位のことをいい、(a)に由来するペンダント不飽和基を有する。この構造単位において、(b)は前記例示のいずれでもよく、(a)も前記例示のいずれでもよい。(b)としては、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)がより好ましい。(a)としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸が好ましい。
【0289】
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位とは、共重合体の主鎖を構成する(b)由来の構造単位に付加によって(a)が結合して生じる水酸基に、カルボン酸無水物がハーフエステル化することによって結合した構造単位のことであり、カルボン酸無水物に由来するペンダントカルボキシ基と、(a)に由来するペンダント不飽和基を有する。この構造単位において、(b)は前記例示のいずれでもよく、(a)も前記例示のいずれでもよい。(b)としては、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)がより好ましい。(a)としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸が好ましい。
カルボン酸無水物としては、マロン酸無水物、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物等の飽和脂肪族多価カルボン酸無水物;無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物等の不飽和脂肪族多価カルボン酸無水物;3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物;3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の脂環式多価カルボン酸無水物等の多価カルボン酸無水物が挙げられる。
【0290】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~60モル%
(b)に由来する構造単位;40~98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10~50モル%
(b)に由来する構造単位;50~90モル%
であることがより好ましい。
(a)に由来する構造単位と(b)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、及び得られるカラーフィルタの耐溶剤性に優れる傾向がある。
【0291】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0292】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤、及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、撹拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、本発明の着色樹脂組成物の溶剤(E)として後述する溶剤等が挙げられる。
【0293】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮或いは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、本発明の着色樹脂組成物に含まれる溶剤を使用することにより、反応後の溶液をそのまま本発明の着色樹脂組成物の調製に使用することができるため、本発明の着色樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0294】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;1~70モル%
(b)に由来する構造単位;1~60モル%
(c)に由来する構造単位;20~95モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;3~50モル%
(b)に由来する構造単位;3~40モル%
(c)に由来する構造単位;30~90モル%
であることがより好ましく、
(a)に由来する構造単位;5~40モル%
(b)に由来する構造単位;5~30モル%
(c)に由来する構造単位;40~80モル%
であることがよりさらに好ましい。
(a)に由来する構造単位、(b)に由来する構造単位、及び(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、並びに得られるカラーフィルタの耐溶剤性、耐熱性、及び機械強度に優れる傾向がある。
【0295】
樹脂[K2]において(a)は、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸が好ましい。(b)としては、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)が好ましく、脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-2)がより好ましい。(c)としては、環状不飽和脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル類、ジカルボニルイミド誘導体が好ましい。
【0296】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0297】
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~60モル%
(c)に由来する構造単位;40~98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10~50モル%
(c)に由来する構造単位;50~90モル%
であることがより好ましく、
(a)に由来する構造単位;35~45モル%
(c)に由来する構造単位;55~65モル%
であることがよりさらに好ましい。
(a)に由来する構造単位と(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0298】
樹脂[K3]において(a)は、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸が好ましい。(c)としては、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
【0299】
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0300】
樹脂[K4]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K4]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位((b)は付加していない);1~60モル%
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;1~50モル%
(c)に由来する構造単位;30~90モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位((b)は付加していない);5~50モル%
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;5~40モル%
(c)に由来する構造単位;35~80モル%
であることがより好ましく、
(a)に由来する構造単位((b)は付加していない);10~40モル%
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;10~25モル%
(c)に由来する構造単位;40~75モル%
であることがよりさらに好ましい。
(a)に由来する構造単位((b)は付加していない)と、(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位と、(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K4]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0301】
(a)に由来する構造単位((b)は付加していない)としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸に由来する構造単位が好ましい。(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸に由来する構造単位に、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)を付加させた構造単位が好ましい。(c)に由来する構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル類、ビシクロ不飽和化合物、及びスチレン系モノマーからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、2種以上がより好ましい。
【0302】
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]で挙げたもの同じ比率であることが好ましい。
次に、前記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えば、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えば、ハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60~130℃で、1~10時間反応することにより、樹脂[K4]を製造することができる。
【0303】
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、5~80モルが好ましく、より好ましくは10~75モルである。この範囲にすることにより、着色樹脂組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、並びに得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性、機械強度、及び感度のバランスが良好になる傾向がある。
前記反応触媒の使用量は、(a)、(b)、及び(c)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部が好ましい。前記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)、及び(c)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部が好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0304】
樹脂[K4’]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K4’]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;5~95モル%
(c)に由来する構造単位;5~95モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;15~90モル%
(c)に由来する構造単位;10~85モル%
であることがより好ましく、
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;20~80モル%
(c)に由来する構造単位;20~80モル%
であることがよりさらに好ましい。
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位と、(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K4’]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0305】
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸に由来する構造単位に、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)を付加させた構造単位が好ましい。(c)に由来する構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、2種以上がより好ましい。
【0306】
樹脂[K4’]は、上記の樹脂[K4]の製造方法を参照して行ってもよく、(b)の使用量は、(a)100モルに対して、100モル以上であることが好ましい。
【0307】
樹脂[K5]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K5]を構成する全構造単位中、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~30モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位;5~95モル%
(c)に由来する構造単位;5~95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~10モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位;15~90モル%
(c)に由来する構造単位;10~85モル%
であることがより好ましく、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~5モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位;20~80モル%
(c)に由来する構造単位;20~80モル%
であることがよりさらに好ましい。
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない)と、(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位と、(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K5]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0308】
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない)としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)に由来する構造単位が好ましい。(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)に由来する構造単位に(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を付加させた構造単位が好ましい。(c)に由来する構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、2種以上がより好ましい。
【0309】
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮或いは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、それぞれ、
(b)に由来する構造単位;5~95モル%
(c)に由来する構造単位;5~95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10~90モル%
(c)に由来する構造単位;10~90モル%
であることがより好ましい。
【0310】
さらに、樹脂[K4]又は樹脂[K4’]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。
前記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5~100モルが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K5]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1-1)が好ましい。
【0311】
樹脂[K6]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K6]を構成する全構造単位中、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~30モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位(カルボン酸無水物は付加していない);20~85モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位;2~40モル%
(c)に由来する構造単位;10~60モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~10モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位(カルボン酸無水物は付加していない);40~80モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位;3~30モル%
(c)に由来する構造単位;15~50モル%
であることがより好ましく、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~5モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位(カルボン酸無水物は付加していない);50~70モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位;5~20モル%
(c)に由来する構造単位;20~40モル%
であることがよりさらに好ましい。
【0312】
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない)と、(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位(カルボン酸無水物は付加していない)と、(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位と、(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K6]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0313】
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない)としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)に由来する構造単位が好ましい。(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位(カルボン酸無水物は付加していない)としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)に由来する構造単位に(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を付加させた構造単位が好ましい。(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)に由来する構造単位に(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を付加させ、無水コハク酸等の飽和脂肪族多価カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位が好ましい。(c)に由来する構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、2種以上がより好ましい。
【0314】
樹脂[K6]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、それぞれ、
(b)に由来する構造単位;5~95モル%
(c)に由来する構造単位;5~95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10~90モル%
(c)に由来する構造単位;10~90モル%
であることがより好ましい。
【0315】
さらに、樹脂[K4]又は樹脂[K4’]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させる。(a)の使用量は、(b)100モルに対して、80~100モルが好ましい。
【0316】
前記環状エーテルと(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モル(言い換えれば(a)の使用によって生じたヒドロキシ基1モル)に対して、0.05~1モルが好ましく、0.10~0.8モルがより好ましく、0.13~0.7モルがよりさらに好ましい。
【0317】
樹脂(B)としては、具体的に、
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];
グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)
アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/フェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、ノルボルネン/ビニルトルエン/(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、ノルボルネン/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸の共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸の共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させた樹脂等の樹脂[K4’];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂、メチル(メタ)アクリレート/2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂等の樹脂[K6];等が挙げられる。
【0318】
樹脂[K1]~[K6]は、1種でもよく2種以上を組み合わせてもよい。中でも、樹脂(B)としては、樹脂[K1]及び樹脂[K2]からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、樹脂[K1]が特に好ましい。
【0319】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは5,000~50,000であり、さらに好ましくは5,000~30,000である。分子量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの硬度が向上し、残膜率が高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、着色パターンの解像度が向上する傾向がある。
【0320】
樹脂(B)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1~6であり、より好ましくは1.2~4である。
【0321】
樹脂(B)の酸価は、固形分換算で、好ましくは20~170mg-KOH/gであり、より好ましくは25~150mg-KOH/g、さらに好ましくは30~135mg-KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0322】
樹脂(B)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは2質量%以上65質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上55質量%以下であり、15質量%以上55質量%以下であり、18質量%以上55質量%以下である。樹脂(B)の含有率が、前記の範囲内にあると、着色パターンが形成でき、また着色パターンの解像度及び残膜率が向上する傾向がある。
【0323】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0324】
エチレン性不飽和結合を1つ有する重合性化合物としては、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドン等、並びに上述の単量体(a)、単量体(b)、及び単量体(c)等が挙げられる。
【0325】
エチレン性不飽和結合を2つ有する重合性化合物としては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、及び3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0326】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート)、テトラペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート)、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルコキシ化ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、アルコキシ化ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート)、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート)等が挙げられる。
中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、トリメチロールプロパントリアクリレート及びジペンタエリスリトールポリアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0327】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは50以上4,000以下であり、より好ましくは70以上3,500以下であり、さらに好ましくは100以上3,000以下であり、よりさらに好ましくは150以上2,900以下であり、特に好ましくは250以上1,500以下である。
【0328】
重合性化合物(C)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対して、例えば、1質量%以上99質量%以下であってよく、好ましくは3質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上80質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以上70質量%以下であり、よりさらに好ましくは10質量%以上70質量%以下である。なお、この含有率に重合性基を有する化合物(I)の含有率は含まれない。重合性化合物(C)の含有率が、前記の範囲内にあると、着色パターン形成時の残膜率、及びカラーフィルタの耐薬品性が向上する傾向がある。
【0329】
樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは10質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上90質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上85質量%以下であり、よりさらに好ましくは25質量%以上80質量%以下であり、いっそう好ましくは30質量%以上75質量%以下である。樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計の含有率が、前記の範囲内にあると、カラーフィルタ形成時の現像前後での膜厚変化の抑制、及びカラーフィルタの耐溶剤性が向上する傾向がある。
【0330】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であればよい。
【0331】
重合開始剤(D)として、O-アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、及びアシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。
【0332】
前記O-アシルオキシム化合物は、式(d-1)で表される部分構造を有する化合物である。式中、*は結合手を表す。
【0333】
【化64】
【0334】
前記O-アシルオキシム化合物としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE01(N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン)、イルガキュアOXE02(N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン)(以上、BASF社製)、N-1919(ADEKA社製)、TR-PBG327(N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン)(常州強力電子新材料社製)等の市販品を用いてもよい。中でも、O-アシルオキシム化合物は、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、及びN-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミンがより好ましい。これらのO-アシルオキシム化合物であると、高明度なカラーフィルタが得られる傾向にある。
【0335】
前記アルキルフェノン化合物は、式(d-2)で表される部分構造又は式(d-3)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。式中、*は結合手を表す。
【0336】
【化65】
【0337】
式(d-2)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン等が挙げられる。イルガキュア369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0338】
式(d-3)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d-2)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
【0339】
前記トリアジン化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0340】
前記アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)819(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0341】
前記ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6-75372号公報、特開平6-75373号公報等参照)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照)、4,4’,5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているビイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照)等が挙げられる。中でも、下記式で表される化合物及びこれらの混合物が好ましい。
【0342】
【化66】
【0343】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0344】
酸を発生する重合開始剤としては、例えば、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-アセトキシフェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等が挙げられる。
【0345】
重合開始剤(D)としては、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O-アシルオキシム化合物、及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、O-アシルオキシム化合物及び/又はビイミダゾール化合物を含む重合開始剤がより好ましく、O-アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がさらに好ましい。
【0346】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
【0347】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤(D)によって重合が開始された重合性化合物(C)の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
【0348】
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物、カルボン酸化合物等が挙げられる。
【0349】
前記アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、好ましくは4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。また、アミン化合物として、EAB-F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0350】
前記アルコキシアントラセン化合物としては、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0351】
前記チオキサントン化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0352】
前記カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0353】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、着色樹脂組成物に含まれる全樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
【0354】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。
溶剤(E)は、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び、-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶剤は、2種以上を併用してもよい。
【0355】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0356】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソール等が挙げられる。
【0357】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0358】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
【0359】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0360】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。
【0361】
アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0362】
溶剤(E)としては、エーテル溶剤及びエーテルエステル溶剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む溶剤が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
【0363】
溶剤(E)を含む場合、溶剤(E)の含有率は、着色樹脂組成物の総量に対して、通常99.99質量%以下であり、好ましくは40質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは50質量%以上97質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以上95質量%以下であり、よりさらに好ましくは70質量%以上93質量%以下である。言い換えると、着色樹脂組成物の固形分の総量は、通常0.01質量%以上であり、好ましくは1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、よりさらに好ましくは7質量%以上30質量%以下である。溶剤(E)の含有率が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0364】
<レベリング剤(F)>
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
【0365】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452、及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0366】
フッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(AGC(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0367】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0368】
レベリング剤(F)を含有する場合、レベリング剤(F)の含有率は、着色樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.0005質量%以上1質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以上0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.005質量%以上0.3質量%以下である。なお、この含有率に顔料分散剤の含有率は含まれない。レベリング剤(F)の含有率が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0369】
<その他の成分>
着色樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、クエンチャー、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等の当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0370】
<着色樹脂組成物の製造方法>
着色樹脂組成物は、例えば、着色剤(A)(トリアリールメタン系色材を含む)、樹脂(B)、及び化合物(I)、並びに必要に応じて用いられる重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、重合開始助剤(D1)、溶剤(E)、レベリング剤(F)、及びその他の成分を混合することにより調製できる。混合は、公知又は慣用の装置や条件により行うことができる。
【0371】
着色剤(A)は、予め溶剤(E)の一部又は全部と混合し、平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミル等を用いて分散させて得られた着色剤含有液(分散液)として用いてもよく、着色剤含有液として用いることが好ましい。この際、必要に応じて前記分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。このようにして得られた着色剤含有液に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色樹脂組成物を調製できる。ビーズミル用いる場合、ビーズの直径は0.05mm以上0.5mm以下が好ましく、ビーズの材質はガラス、セラミック、金属等が挙げられる。
また、着色剤(A)として染料を含む場合の該染料は、予め溶剤(E)の一部又は全部に溶解させて溶液を調製してもよい。該溶液を、孔径0.01~1μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0372】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色樹脂組成物からカラーフィルタを形成することができる。カラーフィルタの着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて着色組成物層を形成し、フォトマスクを介して該着色組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、前記着色組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜が本発明のカラーフィルタである。
【0373】
カラーフィルタ(硬化膜)の膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは6μm以下、さらに好ましくは4.5μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。
【0374】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。また、シリコン基板上にHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理を施した基板を使用してもよい。
【0375】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。
【0376】
まず、着色樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な着色組成物層を得る。塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。加熱乾燥を行う場合の温度は、30℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上110℃以下がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間以上60分間以下であることが好ましく、30秒間以上30分間以下であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50Pa以上150Pa以下の圧力下、20℃以上25℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。着色組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
【0377】
次に、着色組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。また、露光面全体に均一に平行光線を照射することや、フォトマスクと着色組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。着色塗膜を形成する場合には、フォトマスクを用いずに露光すればよい。
露光に用いられる光源としては、250nm以上450nm以下の波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
【0378】
露光後の着色組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、着色組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以上5質量%以下である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。現像方法は、パドル法、ディッピング法、及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後の基板は、水洗されることが好ましい。
【0379】
さらに、得られた着色パターン又は着色塗膜に、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、80℃以上250℃以下が好ましく、90℃以上245℃以下がより好ましい。ポストベーク時間は、1分間以上120分間以下が好ましく、2分間以上30分間以下がより好ましい。
【0380】
このようにして得られた着色パターン及び着色塗膜は、カラーフィルタとして有用である。
【0381】
<表示装置>
前記カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)に用いられるカラーフィルタとして有用であり、固体撮像素子等にも用いることができる。
【実施例0382】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0383】
<合成例1:化合物(2-a5)の合成>
国際公開第2022/234774号に記載の合成方法にて、式(2-a5)で表される化合物(以下、化合物(2-a5)とも称する)を得た。
【0384】
【化67】
【0385】
<合成例2:化合物(2n-a4)の合成>
特開2018-138678号公報に記載の合成方法にて、式(2n-a4)で表される化合物(以下、化合物(2n-a4)とも称する)を得た。
【0386】
【化68】
【0387】
<合成例3:分散液(A1)の調製>
C.I.ピグメントブルー1 12.8部
アクリル系分散剤 3.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 84.0部
を混合し、ビーズミルを用いて色素を十分に分散させることにより、分散液(A1)を得た。
【0388】
<合成例4:分散液(A2)の調製>
化合物(2-a5) 12.3部
アクリル系分散剤 3.7部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 84.0部
を混合し、ビーズミルを用いて色素を十分に分散させることにより、分散液(A2)を得た。
【0389】
<合成例5:分散液(A3)の調製>
化合物(2-a5) 10.5部
Pink Base(太陽ファインケミカル社製) 1.7部
アクリル系分散剤 3.8部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 84.0部
を混合し、ビーズミルを用いて色素を十分に分散させることにより、分散液(A3)を得た。
【0390】
<合成例6:分散液(A4)の調製>
化合物(2n-a4) 12.3部
アクリル系分散剤 3.7部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 84.0部
を混合し、ビーズミルを用いて色素を十分に分散させることにより、分散液(A4)を得た。
【0391】
<合成例7:樹脂(B-1)の調製>
還流冷却器、滴下ロート、及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気下とし、3-メトキシ-1-ブタノール200部、及び3-メトキシブチルアセテート105部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸60部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で1:1)240部を、3-メトキシブチルアセテート140部に溶解して溶液を調製し、該溶液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)30部を3-メトキシブチルアセテート225部に溶解した混合溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、4時間同温度で保持し、その後室温まで冷却して、固形分32.6重量%、酸価110mg-KOH/g(固形分換算)の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液に含まれる樹脂(B-1)の重量平均分子量(Mw)は13,400、分散度は2.50であった。
【0392】
得られた樹脂(B-1)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法を用いて、以下の条件で行った。以下の条件で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)を分散度とした。
装置 :HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム :TSK-GELG2000HXL
カラム温度 :40℃
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :1.0mL/min
被検液固形分濃度 :0.001~0.01質量%
注入量 :50μL
検出器 :RI
校正用標準物質 :TSK STANDARD POLYSTYRENE
F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500
(東ソー(株)製)
【0393】
<実施例1~12及び比較例1>
(1)着色樹脂組成物の調製
表10に記載の各成分を、表10に記載の配合量となるように混合して着色樹脂組成物を得た。なお、着色樹脂組成物の調製にあたり、着色樹脂組成物の固形分が20%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合した。表10における各成分の配合量の単位は「質量部」であり、また該配合量は固形分換算値である。
【0394】
表10における各成分は、以下の通りである。
着色剤(A-1) :上記で得られた分散液(A1)に由来するC.I.ピグメントブルー1
着色剤(A-2) :上記で得られた分散液(A2)に由来する化合物(2-a5)
着色剤(A-3) :上記で得られた分散液(A3)に由来する化合物(2-a5)及びPink Baseの混合物
着色剤(A-4) :上記で得られた分散液(A4)に由来する化合物(2n-a4)
分散剤 :上記で得られた分散液(A1)~(A4)のいずれかに由来するアクリル系分散剤
樹脂(B) :上記で得られた樹脂溶液に由来する樹脂(B-1)
重合性化合物(C) :トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名「A-TMPT」)
重合開始剤(D) :TR-PBG327(常州強力電子新材料社製)
化合物(x) :アデカスタブLA-57((株)ADEKA製)
化合物(I-a1) :Triphenylamine
化合物(I-a29):4’-(Di-p-tolylamino-[1,1’-biphenyl]-4-yl Acrylate
化合物(I-a17):Tri-p-tolylamine
化合物(I-a46):N,N-Bis(4-biphenylyl)aniline
化合物(I-a14):N,N,N’,N’-Tetraphenyl-1,4-phenylenediamine
レベリング剤(F) :ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名「トーレシリコーンSH8400」)
【0395】
【表10】
【0396】
(2)耐光性の評価
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、着色樹脂組成物をスピンコート法で塗布したのち、80℃で1分間プリベークして着色組成物層を形成した。放冷後、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、100mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。その後、ホットプレート100℃で15分間ポストベークを行い、着色塗膜を得た。
得られた着色塗膜の上に紫外線カットフィルター(COLORED OPTICAL GLASS L38;HOYA(株)製;380nm以下の光をカットする)を配置し、耐光性試験機(サンテストCPS+:(株)東洋精機製作所製)にて、キセノンランプ光を12時間照射した。
照射前後でxy色度座標(x、y)及びYを測定し、該測定値からJIS Z 8730:2009(7.色差の計算方法)に記載される方法で色差△E*abを計算し、結果を表11に示した。△E*abはその値が小さいほど色変化が小さいことを意味し、色変化が小さいほど耐光性が良好であるといえる。また、着色塗膜の耐光性が良好であれば、同じ着色樹脂組成物から作製された着色パターンも、耐光性は良好であるといえる。
【0397】
【表11】