(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155998
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法、管理プログラムおよび管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20241024BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20241024BHJP
【FI】
G06Q10/087
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024145621
(22)【出願日】2024-08-27
(62)【分割の表示】P 2020154553の分割
【原出願日】2020-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2020107186
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】力久 弘昭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政寛
(72)【発明者】
【氏名】本間 豊
(72)【発明者】
【氏名】久保田 聡
(57)【要約】
【課題】顧客会社の運営に与える影響を抑制し、かつ、製造会社による設備の製造および保管のためのコストを抑制する管理装置を提供する。
【解決手段】顧客情報を登録する第1登録部11と、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する第1算出部13と、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する判定部14と、実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する第1発注部15と、顧客ごとに、設備の代替品の購入にかかる支払金を計算する計算部16と、計算された支払金を顧客に提示する提示部17とを備え、計算部16は、第1発注部15の発注により製造された設備の製造価格に基づいて、設備の代替品に関する費用を算出し、算出した設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を再計算し、提示部17は、計算部16により再計算された支払金を顧客に提示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の在庫を管理する管理装置において、
少なくとも顧客が使用している設備に関する情報を含む顧客情報を登録する第1登録部と、
前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する第1算出部と、
前記第1算出部で算出された前記第1在庫数と、実際の設備の在庫数とを比較し、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する第1発注部と、
前記第1登録部により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する計算部と、
前記計算部により計算された支払金を顧客に提示する提示部とを備え、
前記計算部は、前記第1発注部の発注により製造された設備の製造価格に基づいて、前記設備の代替品に関する費用を算出し、算出した前記設備の代替品に関する費用に基づいて、前記支払金を再計算し、
前記提示部は、前記計算部により再計算された前記支払金を顧客に提示する管理装置。
【請求項2】
前記第1登録部に登録されている顧客から設備の交換要求を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けた交換する設備の個数を前記実際の設備の在庫数から減ずる減算部と、
前記受付部により設備の交換要求を受け付けた場合、施工業者に設備の交換を発注する第2発注部とを備える請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
少なくとも、過去の施工に関する情報を含む施工業者に関する情報を登録する第2登録部と、
複数の施工業者が登録されており、前記受付部により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、前記施工業者に関する情報に含まれている前記過去の施工に関する情報に基づいて、施工業者の優先順位を決定し、または、複数の施工業者が登録されており、前記受付部により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、前記施工業者に関する情報に含まれている前記過去の施工に関する情報に基づいて、施工業者の優先順位を決定し、設備の優先順位を示す情報に基づいて、施工を行う設備の優先順位を決定する第1決定部とを備え、
前記第2発注部は、複数の施工業者が登録されており、前記受付部により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、前記第1決定部により決定された施工業者の優先順位に基づいて、施工業者を選択し、選択した施工業者に設備の交換を発注し、または、複数の施工業者が登録されており、前記受付部により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、前記第1決定部により決定された施工業者の優先順位に基づいて、施工業者を選択し、選択した施工業者に、前記第1決定部により決定された設備の優先順位に基づいて決定された設備の交換を発注する請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
少なくとも、過去の施工に関する情報を含む施工業者に関する情報を登録する第2登録部と、
施工業者が1社だけ登録されており、前記受付部により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、当該施工業者に決定し、または、施工業者が1社だけ登録されており、前記受付部により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、当該施工業者に決定し、設備の優先順位を示す情報に基づいて、施工を行う設備の優先順位を決定する第1決定部とを備え、
前記第2発注部は、施工業者が1社だけ登録されており、前記受付部により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、前記第1決定部により決定された施工業者に設備の交換を発注し、または、施工業者が1社だけ登録されており、前記受付部により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、前記第1決定部により決定された施工業者に、前記第1決定部により決定された設備の優先順位に基づいて決定された設備の交換を発注する請求項2に記載の管理装置。
【請求項5】
前記受付部により設備の交換要求を受け付けた場合、前記第1決定部により決定された施工業者の優先順位に基づいて、施工業者を複数選択し、選択した複数の施工業者に施工仕様書を通知する通知部と、
前記複数の施工業者から見積書を受信する第1受信部と、
前記見積書を前記受付部により設備の交換要求を受け付けた顧客に送信する第1送信部と、
前記第1送信部により前記見積書を送付した顧客による選択結果を受信する第2受信部と、
前記第1受信部により見積書を受信した前記複数の施工業者に前記選択結果を送信する第2送信部とを備え、
前記第2発注部は、前記選択結果に基づいて、顧客に選択された施工業者に設備の交換を発注する請求項3に記載の管理装置。
【請求項6】
設備を製造する際の材料を購入する時機を決定する第2決定部を備え、
前記第1発注部は、前記第2決定部により決定された時機に設備を製造する際の材料を買い入れるように指示する請求項1から5のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項7】
前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの耐用期間を示す情報を算出する第2算出部を備え、
前記第1算出部は、前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数と、前記第2算出部により算出された前記設備ごとの耐用期間を示す情報とに基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する請求項1から6のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項8】
前記設備は、電力を伝送する電力伝送線であり、
前記電力伝送線には、複数の仕様があり、
上位の仕様で構成される電力伝送線は、下位の仕様で構成される電力伝送線に対して互換性があり、
前記第1在庫数には、少なくとも上位の仕様で構成される電力伝送線が1本含まれる請求項1から6のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項9】
前記上位の仕様とは、電力伝送線に伝送できる許容電圧が大きいこと、電力送電線のサイズが大きいこと、または、電力伝送線の種類が上位のものである請求項8に記載の管理装置。
【請求項10】
設備の在庫を管理する管理方法において、
少なくとも顧客が使用している設備に関する情報を含む顧客情報を登録する第1登録工程と、
前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する第1算出工程と、
前記第1算出工程で算出された前記第1在庫数と、実際の設備の在庫数とを比較し、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する第1発注工程と、
前記第1登録工程により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する計算工程と、
前記計算工程により計算された支払金を顧客に提示する提示工程とを備え、
前記計算工程では、前記第1発注工程での発注により製造された設備の製造価格に基づいて、前記設備の代替品に関する費用を算出し、算出した前記設備の代替品に関する費用に基づいて、前記支払金を再計算し、
前記提示工程では、前記計算工程により再計算された前記支払金を顧客に提示する管理方法。
【請求項11】
設備の在庫を管理する管理プログラムにおいて、
コンピュータに、
少なくとも顧客が使用している設備に関する情報を含む顧客情報を登録する第1登録工程と、
前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する第1算出工程と、
前記第1算出工程で算出された前記第1在庫数と、実際の設備の在庫数とを比較し、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する第1発注工程と、
前記第1登録工程により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する計算工程と、
前記計算工程により計算された支払金を顧客に提示する提示工程と、を実行させるための管理プログラムであり、
前記計算工程では、前記第1発注工程での発注により製造された設備の製造価格に基づいて、前記設備の代替品に関する費用を算出し、算出した前記設備の代替品に関する費用に基づいて、前記支払金を再計算し、
前記提示工程では、前記計算工程により再計算された前記支払金を顧客に提示する管理プログラム。
【請求項12】
サーバと、設備の在庫を管理する管理装置を備える管理システムにおいて、
前記管理装置は、
少なくとも顧客が使用している設備に関する情報を含む顧客情報を登録し、当該顧客情報を前記サーバに保存する第1登録部と、
前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する第1算出部と、
前記第1算出部で算出された前記第1在庫数と、実際の設備の在庫数とを比較し、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する第1発注部と、
前記第1登録部により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する計算部と、
前記計算部により計算された支払金を顧客に提示する提示部とを備え、
前記計算部では、前記第1発注部の発注により製造された設備の製造価格に基づいて、前記設備の代替品に関する費用を算出し、算出した前記設備の代替品に関する費用に基づいて、前記支払金を再計算し、
前記提示部は、前記計算部により再計算された前記支払金を顧客に提示する管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設備を管理する管理装置、管理方法、管理プログラムおよび管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
設備の一つである電力伝送線の取引では、一般的に、製造会社は、購入を希望する会社(以下、顧客会社と称する)からの依頼に応じて、見積もりを作成する。なお、電力伝送線とは、裸線や絶縁電線である被覆されていない電線と、CV(cross-linked polyethylene insulated vinyl sheath cable)ケーブルと、OFケーブルを包括する概念である。顧客会社は、見積もりの内容を検討し、発注を行う。製造会社は、受注品の生産に必要な部品と数量、各部品の発注から納入までにかかる時間(以下、納入リードタイムという)、製造にかかる時間、施工業者が電線敷設作業の実施できる日程等に基づき、受注品の納期(指定納期)に間に合うように各部品の発注処理を行う。
【0003】
ここで、受注品の製造に必要な部品の在庫が無い場合には、納入リードタイムが最も長い部品または材料に合わせて製造が行われることとなり、短納期の要請に応えられない可能性がある。
【0004】
そこで、納入リードタイムが長い部品または材料は、安全在庫を設定して在庫を確保しておき、安全在庫の範囲内の数量であれば、部品の納入リードタイムに影響されることなく生産することを可能にする技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、在庫量を少なめに設定した場合、在庫を余剰に保持しないため、製造会社による在庫の製造および保管のためのコストの抑制を図ることができるが、在庫量以上の受注があった際に納入リードタイム以下での対応が困難になり、短納期の要請に応えられず、顧客会社の運営に影響を与えてしまう。一方、在庫数を多めに設定した場合には、顧客会社から受注に応じて、設備を提供することができ、顧客会社の運営に影響を与えないが、在庫数を下回る受注状況が続いたときには、在庫を長期間抱えることになり、製造会社による在庫の製造および保管のためのコストの抑制を図ることが困難になる。結果的に、社会インフラの維持ができなかったり、社会インフラの維持コストが上昇したりする。
【0007】
本願発明では、顧客会社の運営に与える影響を抑制し、かつ、製造会社による設備の製造および保管のためのコストを抑制することにより社会インフラを維持し、この維持コストを抑制することができる管理装置、管理方法、管理プログラムおよび管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る管理装置は、設備の在庫を管理する管理装置において、少なくとも顧客が使用している設備に関する情報を含む顧客情報を登録する第1登録部と、前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する第1算出部と、前記第1算出部で算出された前記第1在庫数と、実際の設備の在庫数とを比較し、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する判定部と、前記判定部により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する第1発注部と、前記第1登録部により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する計算部と、前記計算部により計算された支払金を顧客に提示する提示部とを備える。
【0009】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、前記第1登録部に登録されている顧客から設備の交換要求を受け付ける受付部と、前記受付部により受け付けた交換する設備の個数を前記実際の設備の在庫数から減ずる減算部と、前記受付部により設備の交換要求を受け付けた場合、施工業者に設備の交換を発注する第2発注部とを備える構成である。
【0010】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、少なくとも、過去の施工に関する情報を含む施工業者に関する情報を登録する第2登録部と、複数の施工業者が登録されており、前記受付部により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、前記施工業者に関する情報に含まれている前記過去の施工に関する情報に基づいて、施工業者の優先順位を決定し、または、複数の施工業者が登録されており、前記受付部により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、前記施工業者に関する情報に含まれている前記過去の施工に関する情報に基づいて、施工業者の優先順位を決定し、設備の優先順位を示す情報に基づいて、施工を行う設備の優先順位を決定する第1決定部とを備え、前記第2発注部は、複数の施工業者が登録されており、前記受付部により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、前記第1決定部により決定された施工業者の優先順位に基づいて、施工業者を選択し、選択した施工業者に設備の交換を発注し、または、複数の施工業者が登録されており、前記受付部により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、前記第1決定部により決定された施工業者の優先順位に基づいて、施工業者を選択し、選択した施工業者に、前記第1決定部により決定された設備の優先順位に基づいて決定された設備の交換を発注する構成である。
【0011】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、少なくとも、過去の施工に関する情報を含む施工業者に関する情報を登録する第2登録部と、施工業者が1社だけ登録されており、前記受付部により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、当該施工業者に決定し、または、施工業者が1社だけ登録されており、前記受付部により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、当該施工業者に決定し、設備の優先順位を示す情報に基づいて、施工を行う設備の優先順位を決定する第1決定部とを備え、前記第2発注部は、施工業者が1社だけ登録されており、前記受付部により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、前記第1決定部により決定された施工業者に設備の交換を発注し、または、施工業者が1社だけ登録されており、前記受付部により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、前記第1決定部により決定された施工業者に、前記第1決定部により決定された設備の優先順位に基づいて決定された設備の交換を発注する構成である。
【0012】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、前記受付部により設備の交換要求を受け付けた場合、前記第1決定部により決定された施工業者の優先順位に基づいて、施工業者を複数選択し、選択した複数の施工業者に施工仕様書を通知する通知部と、前記複数の施工業者から見積書を受信する第1受信部と、前記見積書を前記受付部により設備の交換要求を受け付けた顧客に送信する第1送信部と、前記第1送信部により前記見積書を送付した顧客による選択結果を受信する第2受信部と、前記第1受信部により見積書を受信した前記複数の施工業者に前記選択結果を送信する第2送信部とを備え、前記第2発注部は、前記選択結果に基づいて、顧客に選択された施工業者に設備の交換を発注する構成である。
【0013】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、設備を製造する際の材料を購入する時機を決定する第2決定部を備え、前記第1発注部は、前記第2決定部により決定された時機に設備を製造する際の材料を買い入れるように指示する構成である。
【0014】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの耐用期間を示す情報を算出する第2算出部を備え、前記第1算出部は、前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数と、前記第2算出部により算出された前記設備ごとの耐用期間を示す情報とに基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する構成である。
【0015】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、前記第2算出部は、外部装置から提供された設備に関する情報に基づいて生成された予測モデルを利用して、前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの耐用期間を示す情報を算出する構成である。
【0016】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、前記計算部は、前記第2算出部により算出された前記設備の種類ごとの耐用期間を示す情報に基づいて積立期間を決定し、当該積立期間と、前記設備の代替品に関する費用とに基づいて、前記積立金を計算する構成である。
【0017】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、前記計算部は、前記第2算出部により算出された前記設備の種類ごとの耐用期間を示す情報に基づいて積立期間を決定し、当該積立期間と、前記設備の前記設備の代替品の交換前の事前対応に関する費用とに基づいて、前記積立金を計算する構成である。
【0018】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、前記計算部は、前記第2算出部により算出された前記設備の種類ごとの耐用期間を示す情報に基づいて積立期間を決定し、当該積立期間と、設備の交換時の初期不良の診断に関する費用に基づいて、前記積立金を計算する構成である。
【0019】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、前記計算部は、前記第1発注部の発注により製造された設備の製造価格に基づいて、前記設備の代替品に関する費用を算出し、算出した前記設備の代替品に関する費用と前記積立期間とに基づいて、前記支払金を再計算し、前記提示部は、前記計算部により再計算された前記支払金を顧客に提示する構成である。
【0020】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、前記設備は、電力を伝送する電力伝送線であり、前記電力伝送線には、複数の仕様があり、上位の仕様で構成される電力伝送線は、下位の仕様で構成される電力伝送線に対して互換性があり、前記第1在庫数には、少なくとも上位の仕様で構成される電力伝送線が1本含まれる構成である。
【0021】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、前記上位の仕様とは、電力伝送線に伝送できる許容電圧が大きいこと、電力送電線のサイズが大きいこと、または、電力伝送線の種類が上位のものである。
【0022】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、前記第2算出部は、前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、または、外部装置から提供された設備に関する情報に基づいて生成された予測モデルを利用して、前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、電力伝送線の仕様ごとの耐用期間を算出し、前記第1算出部は、前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、電力伝送線の仕様ごとの総個数を求め、当該総個数と、前記第2算出部により算出された前記電力伝送線の仕様ごとの耐用期間とに基づいて、電力伝送線の仕様ごとに第1在庫数を算出し、前記判定部は、前記第1算出部で算出された前記第1在庫数と、実際の電力伝送線の在庫数とを比較し、実際の電力伝送線の在庫数が不足しているか否かを判定し、前記第1発注部は、前記判定部により実際の電力伝送線の在庫数が不足していると判定された場合、前記第2算出部により算出された前記電力伝送線の仕様ごとの耐用期間から交換日を算出し、当該交換日から電力伝送線の製造に要する時間を考慮した製造開始日を算出し、当該製造開始日に基づいて、電力伝送線の製造を発注する構成である。
【0023】
本開示に係る管理装置は、上記開示において、上位の仕様で構成される電力伝送線は、下位の仕様で構成される電力伝送線に対して互換性があり、前記第1在庫数には、少なくとも上位の仕様で構成される電力伝送線が1本含まれる。
【0024】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る管理方法において、設備の在庫を管理する管理方法において、少なくとも顧客が使用している設備に関する情報を含む顧客情報を登録する第1登録工程と、前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する第1算出工程と、前記第1算出工程で算出された前記第1在庫数と、実際の設備の在庫数とを比較し、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する判定工程と、前記判定工程により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する第1発注工程と、前記第1登録工程により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する計算工程と、前記計算工程により計算された支払金を顧客に提示する提示工程とを備える。
【0025】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る設備の在庫を管理する管理プログラムにおいて、コンピュータに、少なくとも顧客が使用している設備に関する情報を含む顧客情報を登録する第1登録工程と、前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する第1算出工程と、前記第1算出工程で算出された前記第1在庫数と、実際の設備の在庫数とを比較し、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する判定工程と、前記判定工程により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する第1発注工程と、前記第1登録工程により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する計算工程と、前記計算工程により計算された支払金を顧客に提示する提示工程と、を実行させるためのプログラムである。
【0026】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るサーバと、設備の在庫を管理する管理装置を備える管理システムにおいて、前記管理装置は、少なくとも顧客が使用している設備に関する情報を含む顧客情報を登録し、当該顧客情報を前記サーバに保存する第1登録部と、前記顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する第1算出部と、前記第1算出部で算出された前記第1在庫数と、実際の設備の在庫数とを比較し、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する判定部と、前記判定部により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する第1発注部と、前記第1登録部により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する計算部と、前記計算部により計算された支払金を顧客に提示する提示部とを備える。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、顧客会社の運営に与える影響を抑制し、かつ、製造会社による設備の製造および保管のためのコストを抑制することにより社会インフラを維持し、この維持コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、管理システムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、交換が必要になる設備(在庫)ごとの設備情報を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、設備ごとの在庫数を示すテーブルを模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第1情報の一例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、第2情報の一例を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、第3情報の一例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、計算部により計算される積立金の代表的なモデルを模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、再計算の前後の積立金を算出するモデルの一例を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、施工業者に関する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、設備の優先順位を示す情報の一例を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、顧客会社の運営に与える影響を抑制し、かつ、製造会社による設備の製造および保管のためのコストを抑制する管理方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本実施形態に係る設備を管理する管理装置、管理方法、管理プログラムおよび管理システムの構成と動作について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0030】
(管理システムの構成について)
図1は、サーバ2と、本実施例に係る設備の在庫を管理する管理装置1を備える管理システム100の構成を示す図である。管理システム100では、ネットワークNW1を介して、顧客端末装置3と管理装置1とが相互に接続されている。本実施形態では、「顧客端末装置3」と称した場合、複数の顧客端末装置3a、3b、・・・、3nを個別的に示す場合と、複数の顧客端末装置3a、3b、・・・、3nを全体的に示す場合がある。なお、顧客は多いほどよいが、1社でも本実施例の効果を奏する。
【0031】
また、管理装置1は、設備を製造し、その設備の在庫などを管理する会社(以下、設備製造管理会社と称する)または組織により運用される装置である。設備とは、屋内および屋外を問わず、建物や路上などに敷設される部材であり、例えば、電線(通信線、電力線を含む)、電柱、電力関連設備(碍子、変圧器、接続部品など)、光ファイバ、光ファイバ関連設備(クロージャー)などである。本実施例では、電線を設備の代表例として説明する。顧客端末装置3は、設備製造管理会社により製造された設備の提供を受ける会社または組織により運用される装置である。
【0032】
管理システム100では、ネットワークNW2を介して、施工業者端末装置4と管理装置1とが相互に接続されている。本実施形態では、「施工業者端末装置4」と称した場合、複数の施工業者端末装置4a、4b、・・・、4nを個別的に示す場合と、複数の施工業者端末装置4a、4b、・・・、4nを全体的に示す場合がある。施工業者端末装置4は、設備製造管理会社により製造された設備を敷設する会社または組織により運用される装置である。
【0033】
管理システム100では、管理装置1とサーバ2とが接続されている。本実施形態では、「サーバ2」と称した場合、複数のサーバ2a、2b、2cを個別的に示す場合と、複数のサーバ2a、2b、2cを全体的に示す場合がある。なお、複数のサーバ2a、2b、2cは、一つのサーバで構成されてもよい。また、サーバ2は、ネットワークNW1またはネットワークNW2を介して、管理装置1と相互に接続される構成でもよい。
【0034】
また、
図1に示す構成例では、ネットワークNW1とネットワークNW2とが別のネットワークとして示されているが、この構成に限定されず、同じネットワークであってもよい。
【0035】
(管理装置の構成)
管理装置1は、
図1に示すように、第1登録部11と、第1算出部13と、判定部14と、第1発注部15と、計算部16と、提示部17とを備える。
【0036】
第1登録部11は、少なくとも顧客が使用している設備に関する情報を含む顧客情報を登録する。ここで顧客情報について説明する。顧客は、顧客端末装置3を利用して、管理装置1から提供される所定の登録フォームに必要事項を記入する。また、顧客は、必要事項を入力した登録フォームを管理装置1に送信する。第1登録部11は、顧客端末装置3から受信した登録フォームの内容に基づいて顧客情報を生成する。
【0037】
図2は、顧客情報I1を模式的に示す図である。顧客情報I1は、顧客を固有に示す顧客IDごとに生成されており、設備を固有に識別するためのID(identification)である設備IDと、この設備を敷設した年月日を示す敷設年月日と、設備の耐用期間と、設備を製造した製造年月日などの情報が含まれている。第1登録部11は、生成した顧客情報I1をサーバ2aに保存する。
【0038】
第1算出部13は、顧客情報I1に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する。
【0039】
ここで、第1算出部13の動作について説明する。第1算出部13は、サーバ2aにアクセスして、顧客情報I1を読み出し、読み出した顧客情報I1に基づいて、設備情報を生成する。
図3は、交換が必要になる設備(在庫)ごとの設備情報I2を模式的に示す図である。設備情報I2は、設備の種類ごとに生成されている。
図3に示す例では、電線(電力)の設備情報I2_1、電線(通信)の設備情報I2_2および光ファイバの設備情報I2_nが設備として示されているが、これらに限定されない。また、設備情報I2は、顧客IDごとに交換が必要になる本数が示されている。交換が必要になる設備の総個数(総本数)は、設備ごとの本数を合計した値である。設備情報I2は、例えば、サーバ2aに保存される。
【0040】
第1在庫数は、交換が必要になる設備の総個数よりも少ない数である。具体的には、第1算出部13は、交換が必要になる電線の総本数Nに基づいて、予め定められている第1在庫数を算出するテーブルまたは関数を利用して、第1在庫数を算出する構成でもよい。
【0041】
また、設備の種類によって、第1在庫数を算出するルールを変更してもよい。例えば、第1算出部13は、電線(信号伝送に利用する電線)の総個(本)数が600本の場合には、5割減(第1在庫数は300本)、または、9割減(第1在庫数は60本)などにする。また、電線(電力伝送に利用する電線)の総個(本)数が600本の場合には、4割減(第1在庫数は360本)、または、8割減(第1在庫数は120本)などにする。電線(信号伝送に利用する電線)も電線(電力伝送に利用する電線)のいずれも、断線後には納入リードタイムを短くしたいという社会要求がある。ここで、例えば、電線(信号伝送に利用する電線)は、移動型無線車などを用いて、一時的な復旧ができることがある。そこで、それらの状況を考慮しながら、在庫数を決定してもよい。
【0042】
判定部14は、第1算出部13で算出された第1在庫数と、実際の設備の在庫数とを比較し、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する。上述したように、第1在庫数は、将来において交換が必要になる電線の総本数Nに基づいて算出される。よって、一般的に、総本数Nが多くなれば、第1在庫数も多くなり、総本数Nが少なくなれば、第1在庫数も少なくなるが、総本数Nの増加率または減少率と、第1在庫数の増加率と減少率は同一ではない。例えば、総本数Nが600本から300本増えて(増加率は、+150%)、900本になった場合でも、第1在庫数が150%増加するわけではない。つまり、インフラを維持するために確保すべき、資源について、その削減が可能となる。
【0043】
図4は、設備ごとの在庫数を示すテーブルT1を模式的に示す図である。実際の設備の在庫数を示すテーブルT1は、サーバ2bに格納されており、常に最新の在庫数が示されるように更新される。
図4に示す例では、電線(電力)の在庫数を示すテーブルT1_1、電線(通信)の在庫数を示すテーブルT1_2および光ファイバの在庫数を示すテーブルT1_nが示されているが、これらに限定されない。
【0044】
第1発注部15は、判定部14により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する。第1発注部15からの発注に応じて、管理装置1を管理する会社が設備の製造を開始する。
【0045】
計算部16は、第1登録部11により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する。具体的には、計算部16は、詳細は後述する第2算出部12により算出された設備の種類ごとの耐用期間を示す情報に基づいて、第1登録部11により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する。設備の代替品に関する費用とは、代替品を製造する費用、代用品を保管する費用、代替品を現地まで運搬する費用および代替品を設置する費用などを含む費用である。また、設備の代替品に関する費用には、設備の代替品の交換前の事前対応に関する費用も含んでもよい。また、支払金は、一括で支払われてもよいし、分割で支払われてもよい。なお、以下では、分割で支払う金銭を積立金と称する。
【0046】
例えば、ある設備の耐用期間が20年であり、設備の代替品に関する費用を1億2千万円に設定した場合、ひと月当たり積立金は、50万円になる。また、ある設備の耐用期間が20年であり、設備の代替品に関する費用を1千2百万円に設定した場合、ひと月当たり積立金は、5万円になる。
【0047】
提示部17は、計算部16により計算された支払金を顧客に提示する。具体的には、提示部17は、ネットワークNW1を介して該当する顧客端末装置3に対して支払金に関する情報を通知する。例えば、支払金が分割で支払われる積立金の場合、顧客は、指定された銀行口座に対して、毎月指定された期日までに積立金を入金する。
【0048】
このようにして、管理装置1は、予め顧客から設備に関する支払いを受け、この支払金を原資として、設備を製造することができるので、製造会社による設備の製造および保管のコストを抑制することができる。
【0049】
また、管理装置1は、判定部14により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、第1発注部15により設備の製造を発注するので、一定の在庫を確保することができ、在庫不足による顧客会社の運営に与える影響を抑制することができる。
【0050】
上記のように、管理装置1は、顧客会社の運営に与える影響を抑制し、かつ、製造会社による設備の製造および保管のためのコストを抑制することができる。その結果、社会インフラを維持し、この維持コストを抑制することができる。
【0051】
(第2算出部の動作について)
管理装置1は、第2算出部12を備える。第2算出部12は、サーバ2aにアクセスして、顧客情報I1を読み出し、読み出した顧客情報I1に含まれている設備に関する情報(例えば、設備の耐用期間や設備を製造した製造年月日など)に基づいて、設備の種類ごとの耐用期間を示す情報を算出する。
【0052】
設備の種類ごとの耐用期間を示す情報とは、設備の耐用期間、または、設備の耐用期間の延長または短縮を示す情報である。設備の耐用期間は、例えば、「後20年」または「後30年」などのように示されてもよいし、「後20年~30年」または「後30年~35年」などのように示されてもよい。なお、設備の耐用期間の算出手順の詳細については後述する。
【0053】
設備の耐用期間の延長または短縮を示す情報は、例えば、「耐用期間+耐用期間×20%」、「耐用期間-耐用期間×20%」または「耐用期間±耐用期間×20%」などのように示されてもよい。例えば、設備の耐用期間が20年だったが、実際に交換した期間が15年であった場合、この設備が設置されていた場所の環境条件によって耐用期間が短縮(25%短縮)したと仮定する。この場合、第2算出部12は、「20年-5年(20年×25%)」を設備の耐用期間の延長または短縮を示す情報として算出する。
【0054】
第1算出部13は、顧客情報I1に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求める。第1算出部13は、当該総個数と、第2算出部12により算出された設備ごとの耐用期間を示す情報とに基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する。
【0055】
第1算出部13は、交換が必要になる電線の総本数Nと、第2算出部12により算出された電線の耐用期間(耐用期間の平均値)Mとに基づいて、M/Nにより第1在庫数を算出する。例えば、交換が必要になる電線の総本数が600本であり、第1算出部13により算出された電線の耐用期間(耐用期間の平均値)が20年の場合、第2算出部12は、30本(=600本/20年)を第1年目の第1在庫数にする。
【0056】
また、第1算出部13は、耐用期間を区切り、それらの耐用期間に属する電線の総本数に基づいて、第1在庫数を算出してもよい。例えば、10年ごとに、第iグループを設定する。第一グループ(0~10年)、第二グループ(11~20年)、第三グループ(21~30年)とする。また、それぞれのグループに属する電線数Niについて、第一グループではN1として100本、第二グループではN2として300本、第三グループではN3として200本であったとする。在庫としてグループごとに1/10本の割合Rを保有するとして、それぞれ、第一グループでは10本(N1×R)、第二グループでは、30本(N2×R)、第三グループでは、20本(N3×R)としてもよい。
【0057】
また、第1算出部13は、交換が必要になる電線の総本数Nと、第2算出部12により算出された電線の耐用期間(耐用期間の平均値)Mとに基づいて、予め定められている第1在庫数を算出するテーブルを利用して、第1在庫数を算出してもよい。例えば、交換が必要になる電線の総本数が600本であって、第1算出部13により算出された電線の耐用期間(耐用期間の平均値)が20年の場合、5割減(第1在庫数は300本)、また、交換が必要になる電線の総本数が600本であって、第1算出部13により算出された電線の耐用期間(耐用期間の平均値)が40年の場合、9割減(第1在庫数は60本)などでもよい。
【0058】
(耐用期間の算出手順_1)
第2算出部12は、例えば、
図2に示す顧客情報I1に含まれている「耐用期間」と「製造年月日」に基づいて、耐用期間を算出する。ここで耐用期間について説明する。構造物も含めて、これらの建造物などに敷設される設備には、一般的に、設計上の耐用期間が定められている。また、耐用期間は、「20年」または「30年」などのように年数で示されてもよいし、「20年~30年」または「30年~40年」などのように期間で示されてもよい。
【0059】
第2算出部12は、耐用期間と製造年月日から交換時期を求め、交換時期と計算日から耐用期間を算出する。例えば、耐用期間が「30年」、設備の製造年月日が「1998年10月9日」、計算日が「2020年10月10日」の場合、第2算出部12は、交換時期を「2028年10月」と求め、耐用期間を「(後)8年」と算出する。
【0060】
(耐用期間の算出手順_2)
上述したように、構造物も含めて、これらの建造物などに敷設される設備には、一般的に、設計上の耐用期間(10年~20年など)が定められている。しかし、設備の敷設環境や使用状況などにより、設備が予想以上に劣化し、この耐用期間が変化する。例えば、設備の一例である電線の劣化要因としては、過電圧や過電流等の電気的要因、電線内部への浸水、機械的要因(振動、衝撃、圧縮、屈曲など)、熱的要因(高温や低温による物性の低下)、紫外線や塩分付着(物性低下)、微生物による劣化、施工不良などが考えられる。また、これらの劣化要因が複数組み合わされることにより、さらに設備の劣化が促進され、耐用期間未満での交換が必要になる場合がある。また、同じ設備であっても、敷設環境や使用状況などが異なれば、個々に劣化状態が異なり、耐用期間が異なる。
【0061】
特に、電線や光ファイバなどの長尺(たとえば、10m以上、さらにのぞましくは100m以上)の構造物では、たとえ一体物であっても、部位によって、構造、敷設環境または使用状況が異なるので、劣化状態が異なる。例えば、送電線では、端末部と電線部で構造が異なる。また、長距離(たとえば、数km)にわたって電線部が敷設される場合は、同じ電線部であっても、敷設環境または使用状況が異なる部位が発生する。その結果、部位によって、耐用期間や劣化状態が異なることになる。
【0062】
そこで、第2算出部12は、敷設環境または使用状況に基づいて、設備の耐用期間を算出する構成を有する。具体的には、第2算出部12は、外部装置から提供された設備に関する情報に基づいて生成された予測モデルを利用して、顧客情報I1に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の耐用期間を算出(実際は、予測)する構成である。外部装置から提供された設備に関する情報とは、例えば、設備の情報(納入時期、製品名、ロット、敷設年、利用材料など)、設備の周辺の環境情報(水、湿度、温度など)、基準となる設備の情報(20年で壊れた事実や、製品名、ロット、敷設年、利用材料など)、基準となる設備の周辺の環境情報(水、湿度、温度など)である。
【0063】
図5は、第2算出部12の構成を示す図である。第2算出部12は、学習部51と、データ処理部52と、分析予測部53とを備える。
【0064】
学習部51は、サーバ2に保存されている複数のデータに基づいて学習を行い、学習した結果から複数の予測モデルを生成する。本実施例では、予測モデルは、機械学習やディープラーニング(深層学習)などを用いて生成する場合について説明するが、これに限定されず、回帰演算を用いて生成してもよい。
【0065】
ここで、学習部51の動作について説明する。学習部51は、サーバ2に保存されている複数のデータに基づいて学習を行い、学習した結果から、設備の劣化要因と設備の耐用期間に関する予測モデルを生成する。サーバ2には、設備IDごとに、第1情報I3、第2情報I4および第3情報I5が関連付けられている。第1情報I3、第2情報I4および第3情報I5は、設備を運用および管理している者(例えば、顧客端末装置3の管理者)から提供される情報である。
【0066】
図6は、第1情報I3の一例を模式的に示す図である。
図7は、第2情報I4の一例を模式的に示す図である。
図8は、第3情報I5の一例を模式的に示す図である。
【0067】
第1情報I3は、
図6に示すように、設備ID、設備を製造した年月日を示す製造年月日、設備を製造した会社名を示す製造会社名、設備の定格電圧や定格温度などを示すスペック情報、設備を敷設した年月日を示す敷設年月日、設備を敷設した業者名を示す敷設業者名、設備を実際に敷設した作業者名を示す作業者名、設備を敷設したときの環境の情報(温度や湿度や天気などの情報)を示す環境情報などを含む情報である。なお、第1情報I3に含まれている項目は、
図6に示す項目に限定されない。
【0068】
設備IDは、設備の形状(平型、丸型など)、用途(通信用、電力用など)、材料名(ビニル、ポリエチレンなど)、サイズなどに基づいて、同じ設備には同じIDが付与される。
【0069】
また、設備IDは、製造会社ごとに独自のIDを付与している場合がある。この場合には、管理装置1は、予め定められている変換表などに基づいて、同等品には同じIDが付与されるように設備IDを編集する。
【0070】
第2情報I4は、
図7に示すように、設備IDごとに、各種のセンサにより取得された設備周辺の環境の変化に関する情報および設備内部の環境の変化に関する情報(以下、センシング情報と称する場合がある)が時系列で構成されている情報である。センシング情報には、設備筐体内の温度、湿度、内部圧力、浸水量、ケーブル本体の温度・ケーブルの曲げ状況・引張状況・ケーブルの応力などが含まれる)なお、
図7には、代表として「設備ID:0000000a」の第2情報I4を模式的に示している。
【0071】
センシング情報とは、設備周辺の温度、湿度、振動数、ケーブルの曲げ状況・引張状況・ケーブルの応力などの情報である。なお、センシング情報は、設備周辺の温度、湿度、振動数、ケーブルの曲げ状況・引張状況・ケーブルの応力に限定されず、設備周辺の日射量や紫外線量や降水の酸性度などを含めてもよい。
【0072】
設備周辺には、温度、湿度および振動、水没などを検出する各種のセンサが配置されている。各種のセンサは、予め定められたタイミングで温度などをセンシングする。予め定められたタイミングとは、例えば、10分ごと、30分ごと、1時間ごと、などである。データのセンシングのタイミングとデータの送信のタイミングは、同時でなくてもよい。また、データは、有線や無線を使ったオンラインで取得することが望ましいが、ロボットや人手を用いたオフラインでデータを取得してもよい。さらに、電子回路を用いない環境評価試験片を用いてもよい。すなわち、例えば、水に触れると色の変わるセンサを配置して、その色の変化をオフラインで分析してもよい。
【0073】
また、第2情報I4は、各種のセンサによりセンシングされたデータを所定の期間ごとに平均化し、その平均化されたデータで構成されてもよい。例えば、気温の場合、一日ごとに、午前の平均値と午後の平均値で示されてもよいし、最低気温と最高気温で示されてもよい。
【0074】
また、第2情報I4は、各種のセンサによりセンシングされた全データから構成されてもよい。この構成の場合には、管理装置1は、第2情報I4に含まれている各データを所定の期間ごとに平均化するなどの処理を行ってもよい。
【0075】
第3情報I5は、
図8に示すように、設備IDと、設備の劣化状態を確認した日時を示す日時情報と、設備の劣化状態などの情報を含む情報である。なお、第3情報I5に含まれている項目は、
図8に示す項目に限定されない。
【0076】
設備の劣化状態は、設備の補修や交換の目安になる情報である。設備が被覆されている電線の場合の劣化状態について説明する。例えば、電線が断線し、交換を行った場合には、「A」状態とし、電線(シース(外皮))の外観に変化(変色、変質、腐食、粉塵付着など)が生じている場合には、「B」状態、電線の外観に変化がない場合には、「C」状態などとする。
【0077】
なお、設備に関するデータには、第1情報I3、第2情報I4および第3情報I5以外の情報が含まれてもよく、例えば、保全記録(設備の点検記録、故障修理の記録)に関する情報なども含まれてもよい。設備に関するデータを入力する手段としては、キーボード、カメラ、ビデオ、各種センサなどがある。また、キーボードなどから入力されたデータは、演算・加工された二次データを設備に関するデータとしてもよい。
【0078】
例えば、学習部51は、第3情報I5に基づいて、設備の劣化状態が「A」状態になっている設備IDを抽出する。
【0079】
学習部51は、抽出した設備IDに関連付けられている情報の中から、劣化要因になり得る情報を抽出する。劣化要因になり得る情報とは、質の高い設備に関するデータを意味し、例えば、第1情報I3に含まれている、敷設業者名、作業者名、設備を敷設したときの環境の情報、第2情報I4に含まれている、センシング情報、設備の劣化状態が「A」状態になるまでの期間などである。設備の劣化状態が「A」状態になるまでの期間は、例えば、第1情報I3に含まれている敷設年月日と第3情報I5に含まれている日時情報とから算出することができる。
【0080】
敷設業者名、作業者名および設備を敷設したときの環境の情報は、施工不良の原因になり得る情報である。例えば、作業者A氏が敷設した設備は、他の作業者が敷設した設備よりも、耐用期間が短い場合などがある。このような場合には、この作業者A氏の氏名が劣化要因の特徴となる情報に該当する。
【0081】
センシング情報は、電線内部への浸水、電線周囲の水の存在、機械的要因(振動、衝撃、圧縮、屈曲など)、熱的要因(高温や低温による物性の低下)、その他環境要因(湿度、日射)などになり得る情報である。特に、水の影響を測定することが望ましい。
【0082】
学習部51は、抽出した劣化要因になり得る情報に基づいて、個々の劣化要因の特徴を学習し、学習した結果から、設備ごとの劣化要因と耐用期間に関する予測モデルを生成する。
【0083】
また、学習部51は、一度生成した予測モデルを所定のタイミングで自動的に評価し、この評価に基づいて更新する処理を行う構成でもよい。具体的には、学習部51は、ある予測モデルについて、精度低下を検知した場合、この予測モデルを自動的に更新する。例えば、学習部51は、予測モデルの利用回数の低下などを契機にして精度の低下を検知してもよい。このように構成されることにより、学習部51は、予測精度(予測モデルの品質)を維持することができる。また、この予測精度の低下に関する情報を管理装置1の管理者や第1情報I3、第2情報I4および第3情報I5の情報を提供した者(例えば、顧客端末装置3の管理者)に通知してもよい。
【0084】
データ処理部52は、第1登録部11により登録された顧客情報I1を処理する。例えば、データ処理部52は、顧客情報I1を処理し、設備IDや設備を敷設する環境情報などを特定する。
【0085】
分析予測部53は、学習部により生成された予測モデルを利用して、データ処理部52で処理された結果に基づいて、設備が敷設される環境に応じた設備の耐用期間を予測する。
【0086】
また、第2算出部12は、上述のように予測モデルを利用せずに設備の耐用期間を算出する構成でもよい。例えば、ダミーサンプルを実際に敷設されている設備(電線)の近くに配置し、所定期間(例えば、1年間)経過後に回収する。第2算出部12は、回収したダミーサンプルを分析し、分析結果に基づいて、当該ダミーサンプルが配置されていた付近に敷設されている設備(電線)の耐用期間を算出する構成でもよい。ダミーサンプルは、敷設されている設備(電線)よりも、環境の影響を受けやすく、劣化しやすいものとする。
【0087】
さらに、比較の根拠として、教師データとなる電線の情報と、顧客の電線の情報の双方を提示して耐用期間を顧客へ提示してもよい。すなわち、教師となる電線の情報や、教師となる電線の周辺環境情報、顧客の電線の情報、あるいは、顧客の電線の周辺環境情報を顧客へ提示してもよい。例えば、教師となる電線の周囲の1年間の湿度平均と、顧客の電線の周囲の1年間の湿度平均を提示して、相対的に、顧客の電線の劣化を提示してもよい。すなわち、教師となる電線よりも、「年平均で湿度が高い」こと、「同等である」こと、あるいは、「年平均で湿度が低いこと」を定量的に示してもよい。電線の周囲環境情報は、外部サーバに保管された、電線の近隣のセンサの測定値から類推してもよい。
【0088】
(計算部の第1の動作について)
計算部16は、第2算出部12により算出された設備の種類ごとの耐用期間を示す情報に基づいて積立期間を決定し、当該積立期間と、設備の代替品に関する費用とに基づいて、支払金を計算する構成でもよい。以下では、支払金は、分割払いの積立金として説明する。
【0089】
図9は、計算部16により計算される積立金の代表的なモデルを模式的に示す図である。
図9(a)は、設備の耐用期間が後20年の場合における積立金を計算するモデルの一例を模式的に示す図である。
【0090】
例えば、設備の耐用期間が後20年であって、設備の代替品に関する費用の総額を1億2千万円に設定した場合、計算部16は、ひと月当たり積立金を50万円と算出する。なお、計算部16は、ひと月当たりの積立金を均等にしない構成でもよい。例えば、計算部16は、10年目までの積立金と、10年目以降の積立金を変更してもよい。
【0091】
また、
図9(b)は、設備の耐用期間が後5年の場合における積立金を計算するモデルの一例を模式的に示す図である。また、設備の耐用期間が後5年であって、設備の代替品に関する費用の総額を1億2千万円に設定した場合、計算部16は、ひと月当たり積立金を200万円と算出する。なお、計算部16は、上述と同様に、ひと月当たりの積立金を均等にしない構成でもよい。例えば、計算部16は、3年目までの積立金と、3年目以降の積立金を変更してもよい。
【0092】
また、積立金が満額(設備の代替品に関する費用の総額)になった後において、燃料費や人件費の高騰などにより、代替品を現地まで運搬する費用や代替品を設置する費用などが高騰する可能性がある。よって、
図9(a)および
図9(b)に示すように、積立金が満額になった後も一定の費用を徴収する構成でもよい。
【0093】
このような構成により、管理装置1は、予め顧客から設備の代替品に関する費用の一部を定期的に積立金として支払いを受け、この積立金を原資として、設備を製造することができるので、製造会社による設備の製造および保管のコストを抑制することができる。また、顧客会社は、設備の代替品に関する費用を計画的に積み立てることができる。
【0094】
図9(c)は、設備の耐用期間よりも前に設備が破損した場合における積立金を計算するモデルの一例を模式的に示す図である。設備の耐用期間よりも前に設備が破損した場合であっても、管理装置1は、破損するまでに積み立てていた積立金があるため、顧客会社に対して少ない支払いで決済することができ、かつ、設備の代替品をタイムリーに提供できるため、顧客会社の運営に影響を与えない。
【0095】
(計算部の第2の動作について)
計算部16は、第2算出部12により算出された設備の種類ごとの耐用期間を示す情報に基づいて積立期間を決定し、当該積立期間と、設備の代替品の交換前の事前対応に関する費用とに基づいて、支払金を計算する構成でもよい。以下では、支払金は、分割払いの積立金として説明する。
【0096】
設備の代替品の交換前の事前対応に関する費用とは、応急対応または長期対応にかかる費用のことである。応急対応では、施工が容易であったり、顧客の仕様差を吸収可能であったりする、応急対応品としての電線を交換する。この応急対応品は、長期対応品に比べて、例えば、電流容量や長期信頼性を緩和したりすることで、軽量化したり曲げやすくしたりする、迅速な応急対応を可能とする。また、応急対応品を利用する期間は、顧客での電力の使用量や使用時間に制約を設ける。さらに、応急対応品を利用する期間で、電流容量や長期信頼性を高めた長期対応品を製造する。これらの初期対応に必要な費用から、積立金を計算してもよい。
【0097】
(計算部の第3の動作について)
計算部16は、第2算出部12により算出された設備の種類ごとの耐用期間を示す情報に基づいて積立期間を決定し、当該積立期間と、設備の交換時の初期不良の診断とに基づいて、支払金(積立金)を計算する構成でもよい。
【0098】
交換後には、交換した設備の初期不良の診断をするのに、敷設した環境情報を取得するセンサの設置や、敷設した設備の画像解析などが必要になる。これらの設備の交換時の初期不良の診断に必要な費用から、支払金(積立金)を計算してもよい。
【0099】
また、計算部16は、第1発注部15の発注により製造された設備の製造価格に基づいて、設備の代替品に関する費用を算出し、算出した設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を再計算する構成でもよい。この構成の場合、提示部17は、計算部16により再計算された支払金を顧客に提示する。なお、支払金は、一括で支払われてもよいし、分割で支払われてもよい。分割で支払う金銭は、積立金と称される。
【0100】
図10は、再計算の前後の積立金を算出するモデルの一例を模式的に示す図である。例えば、銅を原料とする電線の場合、銅を購入する時期によって銅建値が異なる。よって、銅建値が廉価な時期に銅を買い入れて、電線を製造した場合、電線の製造価格を低く抑えることができる。また、燃料費や人件費も時期によって異なる。よって、燃料費や人件費が廉価な時期に電線を運搬および設置した場合、代替品を現地まで運搬する費用および代替品を設置する費用を低く抑えることができる。
【0101】
例えば、
図10(a)に示すように、ある設備の耐用期間が20年であり、設備の代替品に関する費用(積立額P1)を1億2千万円に設定した場合、ひと月当たり積立金は、50万円になる。
【0102】
そして、10年が経過し、銅建値や人件費などが下がった場合、
図10(b)に示すように、計算部16は、10年目以降の設備の代替品に関する費用(積立額P2)を1億円に再設定する。また、10年目までに6000千万円を積み立てているので、残金は4000万円になる。よって、10年目以降のひと月当たりの積立金は、約33万円になる。なお、上述では、耐用期間が20年に対して10年目で積立金の再計算を行った例を示したが、この例に限定されず、一定期間ごと(例えば、3年など)または不定期間で積立金の再計算を行ってもよい。
【0103】
このように構成されることにより、管理装置1は、設備の代替品に関する費用が変化した場合には積立金を再計算し、再計算した積立金を顧客会社に通知することにより、顧客会社の積立金の負担を低減することができる。なお、管理装置1は、積立金の再計算を行っても耐用期間内で変動させずに、積立金が満額に達したときに、差額分を顧客会社に返金する構成でもよい。
【0104】
(設備の製造時期について)
管理装置1は、
図1に示すように、設備を製造する際の材料(原料)を購入する時機を決定する第2決定部28を備える構成でもよい。この構成によれば、第1発注部15は、第2決定部28により決定された時機に設備を製造する際の材料を買い入れるように指示する。
【0105】
上述したように、銅を原料とする電線の場合、銅を購入する時期によって銅建値が異なる。よって、銅建値が廉価な時期に銅を買い入れて、電線を製造した場合、電線の製造価格を低く抑えることができる。
【0106】
第2決定部28は、例えば、銅建値の過去N(Nは1以上の整数)カ月の平均値に基づいて、設備を製造する際の材料(原料)を購入する時機を決定する。また、第2決定部28は、銅建値の値動きを予測するWebサイトの情報に基づいて、設備を製造する際の材料(原料)を購入する時機を決定する構成でもよい。
【0107】
(ツー・サイド・プラットフォームの第1の構成について)
管理装置1は、
図1に示すように、受付部18と、減算部19と、第2発注部20とを備える。受付部18は、第1登録部11に登録されている顧客から設備の交換要求を受け付ける。具体的には、受付部18は、顧客端末装置3から設備の交換要求を受け付けた時に、サーバ2aにアクセスして顧客情報I1を読み出し、受け付けた顧客が登録されていることを確認する。また、計算部16は、設備の耐用期間よりも前に受付部18により交換要求を受け付けた場合には、残金に基づいて支払金額を計算する。
【0108】
減算部19は、受付部18により受け付けた交換する設備の個数を実際の設備の在庫数から減ずる。具体的には、減算部19は、サーバ2bにアクセスし、交換する設備の個数を実際の設備の在庫数から減ずるように在庫数を示すテーブルを更新する。
【0109】
第2発注部20は、受付部18により設備の交換要求を受け付けた場合、施工業者に設備の交換を発注する。具体的には、第2発注部20は、ネットワークNW2を介して、施工業者が管理する施工業者端末装置4に発注を行う。施工業者は、設備を受け取り、発注された内容にしたがって、設備を現場まで運搬し、設備の敷設を行う。
【0110】
このようにして、管理装置1は、顧客会社からの交換要求を受け付けたときに、設備の在庫数を減算し、また、設備を施工する業者に施工を発注するので、在庫の管理を行いながら仲介手続きを行うことができる。
【0111】
(ツー・サイド・プラットフォームの第2の構成について)
管理装置1は、
図1に示すように、第2登録部21と、第1決定部22とを備える。施工業者が複数いる場合であって、交換設備が1つの場合と、複数の場合とについて説明する。
【0112】
第2登録部21は、少なくとも、過去の施工に関する情報を含む施工業者に関する情報I6を登録する。具体的には、第2登録部21は、どの施工業者がどの設備を施工したのかの情報が含まれる施工業者に関する情報I6を生成し、この施工業者に関する情報I6をサーバ2cに保存する。
【0113】
図11は、施工業者に関する情報I6の一例を模式的に示す図である。施工業者に関する情報I6は、施工業者に固有に付与されている施工業者IDと、設備IDと、施工した年月日を示す施工年月日と、顧客による評価(過去の施工に関する情報)などの項目が含まれている。顧客による評価とは、施工後における顧客会社による評価である。なお、施工業者に関する情報I6に含まれている項目は一例であって、この項目に限定されない。
【0114】
第1決定部22は、複数の施工業者が登録されており、受付部18により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、施工業者に関する情報I6に含まれている過去の施工に関する情報に基づいて、施工業者の優先順位を決定する。具体的には、第1決定部22は、サーバ2cにアクセスし、施工業者に関する情報I6を読み出し、過去の施工実績などから設備ごとに施工業者の優先順位を決定する。
【0115】
また、第1決定部22は、複数の施工業者が登録されており、受付部18により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、施工業者に関する情報I6に含まれている過去の施工に関する情報に基づいて、施工業者の優先順位を決定し、設備の優先順位を示す情報に基づいて、施工を行う設備の優先順位を決定する。
【0116】
図12は、設備の優先順位を示す情報I7の一例を模式的に示す図である。設備の優先順位を示す情報I7には、施工場所と、優先順位が示されている。
【0117】
第2発注部20は、複数の施工業者が登録されており、受付部18により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、第1決定部22により決定された施工業者の優先順位に基づいて、施工業者を選択し、選択した施工業者に設備の交換を発注する。
【0118】
また、第2発注部20は、複数の施工業者が登録されており、受付部18により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、第1決定部22により決定された施工業者の優先順位に基づいて、施工業者を選択し、選択した施工業者に、第1決定部22により決定された設備の優先順位に基づいて決定された設備の交換を発注する。
【0119】
このようにして、管理装置1は、施工業者が複数存在する場合、施工業者の過去の施工実績などに基づいて、優先順位に基づいて施工業者を決定する。よって、過去の施工実績や評価などに基づいて、施工業者が決定されるので、管理装置1を適用することにより、しっかりとした施工を行う施工業者は、評価が高くなり、継続的に受注を受けることができる。
【0120】
また、管理装置1は、交換対象の設備が複数ある場合、優先順位の高い設備を優先的に選択する。よって、管理装置1は、優先順位の高い場所の設備の施工を最優先で行うことができる。
【0121】
つぎに、施工業者が1社のみであって、交換設備が1つの場合と、複数の場合とについて説明する。第2登録部21は、少なくとも、過去の施工に関する情報を含む施工業者に関する情報I6を登録する。第1決定部22は、施工業者が1社だけ登録されており、受付部18により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、当該施工業者に決定する。
【0122】
また、第1決定部22は、施工業者が1社だけ登録されており、受付部18により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、当該施工業者に決定し、設備の優先順位を示す情報に基づいて、施工を行う設備の優先順位を決定する。
【0123】
第2発注部20は、施工業者が1社だけ登録されており、受付部18により1つの設備の交換要求を受け付けた場合、第1決定部22により決定された施工業者に設備の交換を発注する。
【0124】
また、第2発注部20は、施工業者が1社だけ登録されており、受付部18により複数の設備の交換要求を受け付けた場合、第1決定部22により決定された施工業者に、第1決定部22により決定された設備の優先順位に基づいて決定された設備の交換を発注する。
【0125】
このようにして、管理装置1は、施工業者が1社の場合であって、交換対象の設備が複数ある場合、優先順位の高い設備を優先的に選択して、この施工業者に発注を行う。よって、管理装置1は、優先順位の高い場所の設備の施工を最優先で行うことができる。
【0126】
(ツー・サイド・プラットフォームの第3の構成について)
管理装置1は、
図1に示すように、通知部23と、第1受信部24と、第1送信部25と、第2受信部26と、第2送信部27とを備える。
【0127】
通知部23は、受付部18により設備の交換要求を受け付けた場合、第1決定部22により決定された施工業者の優先順位に基づいて、施工業者を複数選択し、選択した複数の施工業者に施工仕様書を通知する。具体的には、通知部23は、ネットワークNW2を介して、選択した複数の施工業者が管理する施工業者端末装置4に施工仕様書を通知(送付)する。
【0128】
第1受信部24は、複数の施工業者から見積書を受信する。施工業者は、施工仕様書の内容を確認し、施工工事を行う際の見積書を作成し、施工業者端末装置4を利用して作成した見積書を管理装置1に送信する。
【0129】
第1送信部25は、見積書を受付部18により設備の交換要求を受け付けた顧客に送信する。顧客は、受信した見積書の内容を検討し、一の施工業者を選択する。
【0130】
第2受信部26は、第1送信部25により見積書を送付した顧客による選択結果を受信する。第2送信部27は、第1受信部24により見積書を受信した複数の施工業者に選択結果を送信する。第2送信部27は、選択されなかった施工業者に対しても選択結果を送信する。第2発注部20は、選択結果に基づいて、顧客に選択された施工業者に設備の交換を発注する。
【0131】
このようにして、管理装置1は、顧客から設備の施工を受注した場合、優先順位に基づいて、複数の施工業者に施工仕様書を送信し、各施工業者から受信した見積書を顧客に送信し、顧客により選択された施工業者に対して設備の交換を発注する。よって、顧客は、優先順位に基づいて選ばれた複数の施工業者の中から好みの施工業者を選ぶことができる。
【0132】
(上位互換用の電力送電線を在庫にする構成について)
ここで、仕様ごとに異なる電力伝送線の在庫を保有すると、在庫量が増加する。電力伝送線とは、裸線や絶縁電線である被覆されていない電線と、CV(cross-linked polyethylene insulated vinyl sheath cable)ケーブルと、OF(Oil-filled cable)ケーブルなどを包括する概念である。CVケーブルとは、架橋結合をしたポリエチレンを絶縁材料として用いた電力用ケーブルのことである。OFケーブルとは、ケーブル内に絶縁油の通路を設け、端部に設けた重力タンク又は圧力タンクで適当な油圧を加え、温度変化による気泡の発生を防止したケーブルである。また、電力伝送線の種類であるCVケーブルとOFケーブルを比較した場合、CVケーブルの方が上位のケーブルである。
【0133】
また、電力伝送線の仕様とは、サイズ(太さ)、種類、許容電流、許容電圧などがある。サイズは、単線と、撚り線とで異なる。撚り線のサイズは、例えば、400sq(断面積が400mm2)、250sq(断面積が250mm2)、200sq(断面積が200mm2)などがある。また、電力伝送線のサイズが大きいものほど上位の仕様となる。上述の例では、上位の仕様から順に、400sq(断面積が400mm2)、250sq(断面積が250mm2)、200sq(断面積が200mm2)である。許容電流は、例えば、電力伝送線のサイズに応じて7A、12A、17Aなどがある。また、電力伝送線のサイズが大きいほど許容電力は大きい。許容電圧は、600Vから500kV程度である。また、許容電圧は、電力伝送線に伝送できる電圧が大きい(高い)ほど上位の仕様である。また、電力伝送線は、上位互換を有する。つまり、400sqの電力伝送線は、250sqの電力伝送線の代替として用いることができる。
【0134】
例えば、サイズが大きい電力伝送線(以下では、上位送電線と称する)を用意すれば、同じサイズの大きい電力伝送線だけでなく、サイズが小さい電力伝送線(以下では、下位送電線と称する)にも適用できる。よって、上位送電線を保有するようにすれば、在庫量を抑えることができる。また、仕様が異なる電力伝送線同士を接続するときには、異種接続部というコネクタを用いる。
【0135】
一方、上位送電線の方が下位送電線よりも高価である。そのため、上述したように、電力送電線の交換時に、下位送電線から上位送電線に変更すると、価格の高騰(アップグレード)を招き、交換のコストが増大する。
【0136】
そこで、上位送電線で在庫を保有しつつ、適切なタイミング(例えば、耐用期間に基づく交換日よりも前のタイミング)で、交換に適した仕様の電力送電線を製造する。例えば、耐用期間に基づく運用の場合(つまり、耐用期間前に交換が生じない場合)には、使用中の電力伝送線と同じ仕様の電力伝送線が用意できているので、アップグレードを生じることなく交換を行うことができる。また、耐用期間よりも前に、使用中の電力伝送線が破損し、交換の必要が生じた場合、在庫である上位送電線を活用することにより、アップグレードが生じてしまうが、顧客会社の運営に与える影響を抑制することができる。
【0137】
具体的な構成と動作について以下に説明する。設備は、電力を伝送する電力伝送線である。電力伝送線には、複数の仕様がある。第2算出部12は、顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、または、外部装置から提供された設備に関する情報に基づいて生成された予測モデルを利用して、顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、電力伝送線の仕様ごとの耐用期間を算出する。
【0138】
例えば、第2算出部12は、すべての顧客の400sqの電力伝送線、250sqの電力伝送線、200sqの電力伝送線のそれぞれの耐用期間を算出する。
【0139】
第1算出部13は、顧客情報に含まれている設備に関する情報に基づいて、電力伝送線の仕様ごとの総個数を求め、当該総個数と、第2算出部12により算出された電力伝送線の仕様ごとの耐用期間とに基づいて、電力伝送線の仕様ごとに第1在庫数を算出する。
【0140】
例えば、第1算出部13は、400sqの電力伝送線の在庫数は「20本」、250sqの電力伝送線の在庫数は「50本」、200sqの電力伝送線の在庫数は「200本」と算出する。
【0141】
判定部14は、第1算出部13で算出された第1在庫数と、実際の電力伝送線の在庫数とを比較し、実際の電力伝送線の在庫数が不足しているか否かを判定する。
【0142】
第1発注部15は、判定部14により実際の電力伝送線の在庫数が不足していると判定された場合、第2算出部12により算出された電力伝送線の仕様ごとの耐用期間から交換日を算出し、当該交換日から電力伝送線の製造に要する時間を考慮した製造開始日を算出し、当該製造開始日に基づいて、電力伝送線の製造を発注する。
【0143】
例えば、第1発注部15は、第2算出部12により算出された250sqの電力伝送線の耐用期間が25年の場合、施工日(1995年12月10日)に基づいて、交換日を「2020年12月10日」として算出する。第1発注部15は、電力伝送線の製造に要する時間が6カ月の場合、「2020年6月10日」に250sqの電力伝送線の製造を発注する。
【0144】
また、上述したように、上位の仕様で構成される電力伝送線(上位伝送線)は、下位の仕様で構成される電力伝送線(下位伝送線)に対して互換性がある。第1在庫数には、少なくとも上位の仕様で構成される電力伝送線が1本含まれる。また、上位の仕様とは、電力伝送線に伝送できる許容電圧が大きいこと、電力送電線のサイズが大きいこと、または、電力伝送線の種類が上位のものをいう。電力伝送線の種類とは、OFケーブル、遮水層付CVケーブル、遮水層なしCVケーブルなどがある。これらの種類が異なるケーブルを接続するときには、異種接続部により接続する。また、第1在庫数には、上位の仕様で構成される電力伝送線と下位の電力伝送線とを接続するための異種接続部(少なくとも2個)が含まれる。
【0145】
このように構成されることにより、管理装置1は、上位送電線で在庫を保有しつつ、適切なタイミング(例えば、耐用期間に基づく交換日よりも前のタイミング)で、交換に適した仕様の電力送電線を製造するので、耐用期間に基づく運用の場合には、使用中の電力伝送線と同じ仕様の電力伝送線が用意できているので、アップグレードを生じることなく交換を行うことができ、また、耐用期間よりも前に、使用中の電力伝送線が破損し、交換の必要が生じた場合、在庫である上位送電線を活用することにより、アップグレードが生じてしまうが、顧客会社の運営に与える影響を抑制することができる。
【0146】
また、他の電力伝送線の製造開始日がまだ到来しない場合には、在庫は、上位伝送線が1本だけというケースがあり得る。よって、製造会社による設備の保管のためのコストをより抑制することができる。
【0147】
(管理方法について)
つぎに、顧客会社の運営に与える影響を抑制し、かつ、製造会社による設備の製造および保管のためのコストを抑制する管理方法について説明する。
図13は、当該管理方法の手順を示すフローチャートである。
【0148】
ステップST1において、第1登録部11は、少なくとも顧客が使用している設備に関する情報を含む顧客情報I1を登録する(第1登録工程)。
【0149】
ステップST2において、第1算出部13は、顧客情報I1に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する(第1算出工程)。
【0150】
ステップST3において、判定部14は、第1算出工程で算出された第1在庫数と、実際の設備の在庫数とを比較し、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する(判定工程)。
【0151】
ステップST4において、第1発注部15は、判定工程により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する(第1発注工程)。
【0152】
ステップST5において、計算部16は、第1登録工程により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する(計算工程)。
【0153】
ステップST6において、提示部17は、計算工程により計算された支払金を顧客に提示する(提示工程)。
【0154】
このようにして、管理方法は、予め顧客から設備に関する支払いを受け、この支払金を原資として、設備を製造することができるので、製造会社による設備の製造および保管のコストを抑制することができる。
【0155】
また、管理方法は、判定工程により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、第1発注工程により設備の製造を発注するので、一定の在庫を確保することができ、在庫不足による顧客会社の運営に与える影響を抑制することができる。
【0156】
(管理プログラムについて)
顧客会社の運営に与える影響を抑制し、かつ、製造会社による設備の製造および保管のためのコストを抑制する管理プログラムは、主に以下の工程で構成されており、コンピュータ500(ハードウェア)によって実行される。
【0157】
工程1:少なくとも顧客が使用している設備に関する情報を含む顧客情報I1を登録する工程
工程2:顧客情報I1に含まれている設備に関する情報に基づいて、設備の種類ごとの総個数を求め、当該総個数に基づいて、設備の種類ごとに第1在庫数を算出する工程
工程3:第1算出工程で算出された第1在庫数と、実際の設備の在庫数とを比較し、実際の設備の在庫数が不足しているか否かを判定する工程
工程4:工程3により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、不足している設備の製造を発注する工程
工程5:工程1により登録された顧客ごとに、設備の代替品に関する費用に基づいて、支払金を計算する工程
工程6:工程5により計算された積立金を顧客に提示する工程
【0158】
ここで、コンピュータ500の構成と動作について図を用いて説明する。
図14は、コンピュータ500の構成を示す図である。コンピュータ500は、
図14に示すように、プロセッサ501と、メモリ502と、ストレージ503と、入出力I/F504と、通信I/F505とがバスA上に接続されて構成されており、これらの各構成要素の協働により、本開示に記載される機能、および/または、方法を実現する。
【0159】
入出力I/F504には、ディスプレイやポインティングデバイス(例えば、マウスやキーボードなど)が接続される。通信I/Fは、所定の通信規格に準拠したインターフェイスであり、有線または無線によりネットワークNW1およびネットワークNW2を介して、装置(例えば、顧客端末装置3および施工業者端末装置4)と通信を行う。通信I/Fは、提示部17と、受付部18と、通知部23と、第1受信部24と、第1送信部25と、第2受信部26と、第2送信部27に相当する。
【0160】
メモリ502は、RAM(Random Access Memory)で構成される。RAMは、揮発メモリまたは不揮発性メモリで構成されている。
【0161】
ストレージ503は、ROM(Read Only Memory)で構成される。ROMは、不揮発性メモリで構成されており、例えば、HDD(Hard Disc Drive)またはSSD(Solid State Drive)により実現される。ストレージ503は、上述したサーバ2に相当する。ストレージ503には、上述した工程1~工程6で実現される管理プログラムなどの各種のプログラムが格納されている。
【0162】
例えば、プロセッサ501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。プロセッサ501は、ストレージ503からオペレーティングシステムや多様な機能を実現する様々なプログラムをメモリ502にロードし、ロードしたプログラムに含まれる命令を実行する演算装置である。
【0163】
具体的には、プロセッサ501は、ユーザの操作を受け付けた場合、ストレージ503に格納されているプログラム(例えば、本発明に係る管理プログラム)を読み出し、読み出したプログラムをメモリ502に展開し、プログラムを実行する。また、プロセッサ501が管理プログラムを実行することにより、第1登録部11と、第2算出部12と、第1算出部13と、判定部14と、第1発注部15と、計算部16と、減算部19と、第2発注部20と、第2登録部21と、第1決定部22と、第2決定部28の各機能が実現される。
【0164】
ここで、プロセッサ501の構成について説明する。プロセッサ501は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、これら以外の各種演算装置、またはこれらの組み合わせにより実現される。
【0165】
また、本開示に記載される機能、および/または、方法を実現するために、プロセッサ501、メモリ502およびストレージ503などの機能の一部または全部は、専用のハードウェアである処理回路601で構成されてもよい。
図15は、コンピュータ600の処理回路601の構成を示す図である。処理回路601は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものである。
【0166】
また、プロセッサ501は、単一の構成要素として説明したが、これに限られず、複数の物理的に別体のプロセッサの集合により構成されてもよい。本明細書において、プロセッサ501によって実行されるとして説明されるプログラムまたは当該プログラムに含まれる命令は、単一のプロセッサ501で実行されてもよいし、複数のプロセッサにより分散して実行されてもよい。また、プロセッサ501によって実行されるプログラムまたは当該プログラムに含まれる命令は、複数の仮想プロセッサにより実行されてもよい。
【0167】
このようにして、管理プログラムをコンピュータ500,600で実行することにより、予め顧客から設備に関する支払いを受け、この支払金を原資として、設備を製造させることができるので、製造会社による設備の製造および保管のコストを抑制することができる。
【0168】
また、管理プログラムをコンピュータ500,600で実行することにより、工程3(判定工程)により実際の設備の在庫数が不足していると判定された場合、工程4(第1発注工程)により設備の製造を発注するので、一定の在庫を確保することができ、在庫不足による顧客会社の運営に与える影響を抑制することができる。
【0169】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0170】
1 管理装置
2 サーバ
3 顧客端末装置
4 施工業者端末装置
11 第1登録部
12 第2算出部
13 第1算出部
14 判定部
15 第1発注部
16 計算部
17 提示部
18 受付部
19 減算部
20 第2発注部
21 第2登録部
22 第1決定部
23 通知部
24 第1受信部
25 第1送信部
26 第2受信部
27 第2送信部
28 第2決定部
51 学習部
52 データ処理部
53 分析予測部
100 管理システム