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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156301
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】発光装置及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/54 20100101AFI20241029BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20241029BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20241029BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L33/60
H01L33/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070656
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】井村 俊文
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA02
5F142CE04
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG32
5F142DA13
5F142DB16
5F142DB18
5F142FA42
5F142FA46
5F142GA01
5F142GA11
5F142GA28
(57)【要約】
【課題】光束が向上した発光装置及び発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】発光装置100は、発光素子10と、上面20a及び上面20aの反対側となる下面20b、上面20aと繋がる側面20cを有し、下面20bから側面20cにかけて傾斜部25を有し、下面20bが発光素子10の上面10aと向かい合うように配置される第1透光性部材20と、発光素子10の側面10cに配置される第2透光性部材30と、第2透光性部材30の少なくとも一部に配置され、かつ、第1透光性部材20の傾斜部25に配置される光反射部材40と、を備えており、第2透光性部材30は、発光素子10側から第1透光性部材20に向かって第1傾斜角θ1を備える第1面30aと、第1面30aに連続して第1傾斜角θ1よりも傾斜角が小さい第2傾斜角θ2を備える第2面30bと、を備える。
【選択図】図1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光取出し面となる上面及び前記上面の反対側となる下面、前記上面と前記下面とが繋がる側面を有する発光素子と、
上面及び前記上面の反対側となる下面、前記上面と繋がる側面を有し、前記下面から前記側面にかけて傾斜部を有し、前記下面が前記発光素子の前記上面と向かい合うように配置される第1透光性部材と、
前記発光素子の前記側面に配置される第2透光性部材と、
前記第2透光性部材の少なくとも一部に配置され、かつ、前記第1透光性部材の前記傾斜部に配置される光反射部材と、を備えており、
前記第2透光性部材は、前記発光素子側から前記第1透光性部材に向かって第1傾斜角を備える第1面と、前記第1面に連続して前記第1傾斜角よりも傾斜角が小さい第2傾斜角を備える第2面と、を備える発光装置。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記発光素子の前記下面側から見て前記発光素子の外縁よりも外側に位置する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記傾斜部は、前記第1透光性部材の外縁にある、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記傾斜部は、前記発光素子を挟んで、向かい合う位置にそれぞれ配置されている、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第2透光性部材の前記第2面と、前記傾斜部と、は傾斜角度が同じであり、かつ、面一である、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第2透光性部材は、前記第2面に連続して前記第2傾斜角よりも傾斜角が小さい第3傾斜角を備える第3面を備える、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第2透光性部材の前記第3面と、前記傾斜部と、は傾斜角度が同じであり、かつ、面一である、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子の前記上面に対し垂直方向に切断した断面視において、前記第1透光性部材の前記側面と前記傾斜部との角の頂点と、前記第1透光性部材の前記側面の延長線と前記第1透光性部材の前記下面の延長線との交点と、の距離は、10μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項9】
前記発光素子の前記上面に対し垂直方向に切断した断面視において、前記第1透光性部材の前記下面と前記傾斜部との角の頂点と、前記第1透光性部材の前記側面の延長線と前記第1透光性部材の前記下面の延長線との交点と、の距離は、10μm以上200μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項10】
前記光反射部材は、光拡散部材と、前記光拡散部材を含む被覆部材と、を有する、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第2透光性部材は、前記発光素子と前記第1透光性部材との間に配置されている、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第2透光性部材は、JIS-A硬度が70以上のシリコーン樹脂である、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項13】
前記第2透光性部材の屈折率は、1.45以上1.70以下である、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項14】
前記第1透光性部材は、蛍光体を含む波長変換層と、透光性の透光層と、を有し、前記波長変換層が前記発光素子の前記上面と向かい合うように配置され、前記傾斜部は前記波長変換層にのみ配置される、請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項15】
光取出し面となる上面及び前記上面の反対側となる下面、前記上面と前記下面とが繋がる側面を有する発光素子と、前記発光素子の前記上面と向かい合うように配置される第1透光性部材と、前記発光素子の前記側面に配置され、前記発光素子側から前記第1透光性部材に向かって第1傾斜角を備える第1面を有する第2透光性部材と、を備える構造体を準備することと、
前記第1透光性部材まで到達するように、前記第2透光性部材の少なくとも一部を除去し、前記第1透光性部材に溝を設けることと、
隣り合う前記第2透光性部材の間、及び、前記第1透光性部材の溝に、光反射部材を配置することと、を含み、
前記溝を設けることにおいて、前記第2透光性部材に、前記第1面に連続して前記第1傾斜角よりも傾斜角が小さい第2傾斜角を備える第2面を形成する発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記溝を設けることにおいて、前記第2面に連続して前記第2傾斜角よりも傾斜角が小さい第3傾斜角を備える第3面を形成する、請求項15に記載の発光装置の製造方法。
【請求項17】
前記溝を設けることにおいて、前記第2透光性部材の前記第2面と、前記溝の内側面と、は傾斜角度が同じとなり、かつ、面一となるように、前記第2透光性部材の少なくとも一部を除去する、請求項15に記載の発光装置の製造方法。
【請求項18】
前記溝を設けることにおいて、前記第2透光性部材の前記第3面と、前記溝の内側面と、は傾斜角度が同じとなり、かつ、面一となるように、前記第2透光性部材の少なくとも一部を除去する、請求項16に記載の発光装置の製造方法。
【請求項19】
前記光反射部材を配置した後、前記溝を通るように、前記光反射部材及び前記第1透光性部材を切断する、請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1透光性部材は、蛍光体を含む波長変換層であり、前記光反射部材を配置した後、前記波長変換層における前記発光素子と反対側の面に透光性の透光層を配置し、前記透光層を配置した後、前記溝を通るように、前記光反射部材、前記波長変換層、及び、前記透光層を切断する、請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項21】
前記溝を設けることにおいて、前記溝は、2つの前記発光素子の間に設ける、請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項22】
前記溝を設けることにおいて、前記溝は、2つの前記発光素子を挟んで、向かい合う位置にそれぞれ設ける、請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項23】
前記溝を設けることにおいて、前記溝は、前記発光素子を囲むように設ける、請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項24】
前記溝を設けることにおいて、前記第1透光性部材の厚さ方向における前記溝の深さは、10μm以下である、請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項25】
前記溝を設けることにおいて、前記溝の幅は、20μm以上400μm以下である、請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項26】
前記光反射部材を配置することにおいて、前記光反射部材は、光拡散部材と、前記光拡散部材を含む被覆部材と、を有する、請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、基板と、基板に実装される光半導体素子と、光半導体素子の上面に配置される蛍光体層と、光半導体素子の周側面及び蛍光体層の側面を被覆し、光半導体素子の電極面を露出する封止層とを備える光半導体装置が開示されている。また、例えば、特許文献2には、光半導体素子と、光半導体素子上に配置される複合機能層と、光半導体素子の側面を被覆する第1光反射層と、複合機能層の側面を被覆する第2光反射層とを備える光半導体素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-213451号公報
【特許文献2】特開2018-120944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、光束が向上した発光装置及び発光装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る発光装置は、光取出し面となる上面及び前記上面の反対側となる下面、前記上面と前記下面とが繋がる側面を有する発光素子と、上面及び前記上面の反対側となる下面、前記上面と繋がる側面を有し、前記下面から前記側面にかけて傾斜部を有し、前記下面が前記発光素子の前記上面と向かい合うように配置される第1透光性部材と、前記発光素子の前記側面に配置される第2透光性部材と、前記第2透光性部材の少なくとも一部に配置され、かつ、前記第1透光性部材の前記傾斜部に配置される光反射部材と、を備えており、前記第2透光性部材は、前記発光素子側から前記第1透光性部材に向かって第1傾斜角を備える第1面と、前記第1面に連続して前記第1傾斜角よりも傾斜角が小さい第2傾斜角を備える第2面と、を備える。
【0006】
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、光取出し面となる上面及び前記上面の反対側となる下面、前記上面と前記下面とが繋がる側面を有する発光素子と、前記発光素子の前記上面と向かい合うように配置される第1透光性部材と、前記発光素子の前記側面に配置され、前記発光素子側から前記第1透光性部材に向かって第1傾斜角を備える第1面を有する第2透光性部材と、を備える構造体を準備することと、前記第1透光性部材まで到達するように、前記第2透光性部材の少なくとも一部を除去し、前記第1透光性部材に溝を設けることと、隣り合う前記第2透光性部材の間、及び、前記第1透光性部材の溝に、光反射部材を配置することと、を含み、前記溝を設けることにおいて、前記第2透光性部材に、前記第1面に連続して前記第1傾斜角よりも傾斜角が小さい第2傾斜角を備える第2面を形成する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る実施形態によれば、光束が向上した発光装置及び発光装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】第1実施形態に係る発光装置の全体を模式的に示す斜視図である。
図1B】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図である。
図1C】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す底面図である。
図1D図1BのID-ID線における断面を模式的に示す断面図である。
図1E】第1実施形態に係る発光装置の傾斜角を説明する説明図である。
図2】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
図3A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図3B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図3C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図3D】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図3E】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図3F】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図3G】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図3H】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図3I】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図3J】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図4A】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
図4B】第2実施形態に係る発光装置の傾斜角を説明する説明図である。
図5A】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図5B】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図6A】第3実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
図6B】第3実施形態に係る発光装置の傾斜角を説明する説明図である。
図7A】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図7B】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図7C】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図8A】第4実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図である。
図8B図8BのVIIIB-VIIIB線における断面を模式的に示す断面図である。
図9】第5実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。但し、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための発光装置及び発光装置の製造方法を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる例示に過ぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張又は簡略化していることがある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略したり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりすることがある。更に、「覆う」とは直に接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して覆う場合も含む。また、「配置する」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して配置する場合も含む。なお、本明細書において「平面視」とは、発光装置の発光面である上面側から観察することを意味する。
【0010】
<第1実施形態>
[発光装置]
図1Aは、第1実施形態に係る発光装置の全体を模式的に示す斜視図である。図1Bは、第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図である。図1Cは、第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す底面図である。図1Dは、図1BのID-ID線における断面を模式的に示す断面図である。図1Eは、第1実施形態に係る発光装置の傾斜角を説明する説明図である。
【0011】
発光装置100は、光取出し面となる上面10a及び上面10aの反対側となる下面10b、上面10aと下面10bとが繋がる側面10cを有する発光素子10と、上面20a及び上面20aの反対側となる下面20b、上面20aと繋がる側面20cを有し、下面20bから側面20cにかけて傾斜部25を有し、下面20bが発光素子10の上面10aと向かい合うように配置される第1透光性部材20と、発光素子10の側面10cに配置される第2透光性部材30と、第2透光性部材30の少なくとも一部に配置され、かつ、第1透光性部材20の傾斜部25に配置される光反射部材40と、を備えている。第2透光性部材30は、発光素子10側から第1透光性部材20に向かって第1傾斜角θ1を備える第1面30aと、第1面30aに連続して第1傾斜角θ1よりも傾斜角が小さい第2傾斜角θ2を備える第2面30bと、を備える。
以下、発光装置100の各構成について説明する。
【0012】
(発光素子)
発光素子10は、光取出し面となる上面10aと、上面10aの反対側の底面となる下面10bと、上面10a及び下面10bを繋ぐ面となる側面10cと、を有する。発光素子10は、一例として直方体形状であり、下面10bに素子電極13を備えている。発光素子10は、例えば、サファイアからなる素子基板11と、窒化物半導体を含む半導体構造体12と、を有している。具体的には、発光素子10は、素子基板11と、素子基板11の一面側に配置された半導体構造体12と、素子電極13と、を備えている。
半導体構造体12は、n側半導体層と、p側半導体層と、n側半導体層とp側半導体層とに挟まれた活性層と、を含む。活性層は、単一量子井戸(SQW)構造としてもよいし、複数の井戸層を含む多重量子井戸(MQW)構造としてもよい。半導体構造体12は、窒化物半導体からなる複数の半導体層を含む。窒化物半導体は、InAlGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)からなる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含む。活性層の発光ピーク波長は、目的に応じて適宜選択することができる。活性層は、例えば可視光又は紫外光を発光可能に構成されている。
【0013】
半導体構造体12は、n側半導体層と、活性層と、p側半導体層と、を含む発光部を複数含んでいてもよい。半導体構造体12が複数の発光部を含む場合、それぞれの発光部において、発光ピーク波長が異なる井戸層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ井戸層を含んでいてもよい。なお、発光ピーク波長が同じとは、5nm以下のばらつきがある場合も含むことをいう。複数の発光部の発光ピーク波長の組み合わせは、適宜選択することができる。例えば、半導体構造体12が2つの発光部を含む場合、それぞれの発光部が発する光の組み合わせとして、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、又は、緑色光と赤色光等の組み合わせが挙げられる。例えば、半導体構造体12が3つの発光部を含む場合、それぞれの発光部が発する光の組み合わせとして、青色光、緑色光、及び赤色光とする組み合わせが挙げられる。各発光部は、他の井戸層と発光ピーク波長が異なる井戸層を1以上含んでいてもよい。
発光素子10の素子電極13は、第1素子電極131及び第2素子電極132が下面10bに間を空けて配置されている。
【0014】
(第1透光性部材)
第1透光性部材20は、発光装置100の発光面となる上面20aと、上面20aの反対側となる下面20bと、上面20aと繋がる側面20cと、を有する。第1透光性部材20は、下面20bから側面20cにかけて傾斜部25を有し、下面20bが発光素子10の上面10aと向かい合うように配置されている。第1透光性部材20は、ここでは、一例として、板状で平面視が矩形であり、蛍光体を含む波長変換層21と、波長変換層21に接合する透光性の透光層22と、を有している。そして、波長変換層21は発光素子10の上面10aと向かい合うように配置され、傾斜部25は波長変換層21にのみ配置されている。この第1透光性部材20は、発光素子10からの光の少なくとも一部を吸収し、異なる波長に波長変換するものである。第1透光性部材20は、後記する第2透光性部材30を介して、波長変換層21が発光素子10の上面10aに対向するように配置されている。また、第1透光性部材20は、発光素子10の光取出し面である上面10aよりも大きい面積の下面20bが、当該発光素子10の上面10aに対向するように配置されている。すなわち、第1透光性部材20の外縁は、平面視において、発光素子10の外縁よりも外側に位置する大きさのものが配置されている。
【0015】
波長変換層21としては、例えば樹脂、ガラス、無機物等の透光性材料を蛍光体のバインダーとして混合して成形したものを用いることができる。バインダーとしては、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂バインダー、ガラス等の無機バインダーを用いることができる。また、蛍光体としては、例えば青色発光素子と好適に組み合わせて白色系の混色光を発光させることができる代表的な蛍光体である、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG系蛍光体)を用いることができる。そして、白色に発光可能な発光装置100とする場合、波長変換層21に含まれる蛍光体の濃度を、白色に発光可能となるように調整する。また、蛍光体の濃度は、例えば5%~70%程度とすることが好ましい。
【0016】
更に、発光素子10に青色発光素子を用い、蛍光体にYAG系蛍光体と、赤色成分の多い窒化物系蛍光体と、を用いることにより、アンバー色を発光させることもできる。アンバー色とは、例えばドミナント波長でいえば、580nm~600nmの範囲に位置する領域のことをいう。
【0017】
このような蛍光体としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばLu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばTb(Al,Ga)12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(POCl:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、SrAl1425:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、CaMgSi16Cl:Eu)、シリケート系蛍光体(例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体(例えば、(La,Y)Si11:Ce)、BSESN系蛍光体(例えば、(Ba,Sr)Si:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K(Si1-xAl)F6-x:Mn ここで、xは、0<x<1を満たす。)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する量子ドット(例えば、(Cs,FA,MA)(Pb,Sn)(F,Cl,Br,I) ここで、FAとMAは、それぞれホルムアミジニウムとメチルアンモニウムを表す。)、II-VI族量子ドット(例えば、CdSe)、III-V族量子ドット(例えば、InP)、又はカルコパイライト構造を有する量子ドット(例えば、(Ag,Cu)(In,Ga)(S,Se))等を用いることができる。
【0018】
透光層22は、例えば樹脂、ガラス、無機物等の透光性材料を用いた板状の部材である。この透光層22は、平面視で波長変換層21と同等の大きさで波長変換層21の上面に下面が当接するように配置されている。樹脂としては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。ガラスとしては、例えばホウ珪酸ガラス、石英ガラス等を用いることができる。なお、透光層22には、光拡散部材を含有させてもよい。前記した波長変換層21の蛍光体濃度を高くすると色ムラが発生し易くなるが、透光層22に光拡散部材を含有させることで、色ムラ、更には輝度ムラを低減することができる。光拡散部材としては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト等が挙げられる。
【0019】
なお、第1透光性部材20は、波長変換層21と透光層22との2層により構成されている例を示したが、3層以上積層したものでもよい。第1透光性部材20は、波長変換層21のみ、又は、透光層22のみ、の1層でもよい。また、第1透光性部材20には、必要に応じて光拡散部材を添加してもよい。そして、第1透光性部材20の厚さT1は、例えば50μm以上300μm以下、好ましくは70μm以上200μm以下とすることができる。第1透光性部材20が300μm以下の厚さの場合、放熱性が向上する傾向がある。また、放熱性の観点から波長変換層21は薄ければ薄い程好ましい。一方で第1透光性部材20を50μm以上の厚さとすることで、所定の発光色を実現すると共に、機械的強度を保持することができる。これらを考慮して、第1透光性部材20は、上記した適切な厚さとすることが好ましい。なお、第1透光性部材20の厚さT1とは、第1透光性部材20の上面20aに対し垂直方向における最大厚さのことをいう。
【0020】
第1透光性部材20は、下面20bから側面20cにかけて傾斜部25を有している。傾斜部25は、第1透光性部材20の下面20bと側面20cとを繋ぐ傾斜面である。ここでは、傾斜部25は、波長変換層21にのみ配置されている。そして、傾斜部25には、対向して接するように光反射部材40が配置されている。発光装置100は、第1透光性部材20が傾斜部25を有し、傾斜部25に光反射部材40が配置されていることで、発光装置100の上面方向への光取出し効率が向上し、光束が向上する。
【0021】
傾斜部25は、発光素子10の下面10b側から見て発光素子10の外縁よりも外側に位置していることが好ましい。これにより、傾斜部25に光反射部材40を配置することができ、発光装置100の光束が向上する。また、傾斜部25は、第1透光性部材20の外縁にあることが好ましい。これにより、発光装置100の外縁から光が出やすくなり、発光装置100の光束が向上する。なお、傾斜部25が第1透光性部材20の外縁にあるとは、第1透光性部材20の側面20cに繋がるように傾斜部25が配置されていることをいう。
【0022】
傾斜部25は、発光素子10を挟んで、向かい合う位置にそれぞれ配置されていることが好ましい。これにより、色ムラ及び輝度ムラを低減することができる。ここでは傾斜部25は、発光素子10の周囲に連続して配置され、発光素子10を囲むように配置されている。これにより、発光素子10の側面10c側の全周から発する光の光取出し効率が向上し、光束が向上する。傾斜部25は、断面形状が直線的なものや、湾曲した曲線的なものや、円弧状のものであってもよい。本実施形態では、傾斜部25の断面形状は、発光装置100の内側に凹むように湾曲している。
【0023】
発光素子10の上面10aに対し垂直方向に切断した断面視において、第1透光性部材20の側面20cと傾斜部25との角の頂点と、第1透光性部材20の側面20cの延長線と第1透光性部材20の下面20bの延長線との交点と、の距離D1は、10μm以下であることが好ましい。距離D1が10μm以下であれば、傾斜部25の部位における波長変換層21の厚さを大きくすることができ、所定の発光色を実現し易くなる。距離D1は、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。距離D1は、発光装置100の上面方向への光取出し効率を向上させる観点から、例えば、2μm以上が好ましい。
【0024】
傾斜部25は、傾斜始端から傾斜終端までの距離D2が10μm以上200μm以下であることが好ましい。なお、傾斜始端から傾斜終端とは、発光素子10の上面10aに対し垂直方向に切断した断面視において、第1透光性部材20の下面20bと傾斜部25との角の頂点と、第1透光性部材20の側面20cの延長線と第1透光性部材20の下面20bの延長線との交点と、の距離のことをいう。傾斜部25は、距離D2が10μm以上であれば、傾斜部25に配置される光反射部材40の幅を大きくすることができ、発光装置100の上面方向への光取出し効率が向上し、光束が向上する。距離D2は、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは50μm以上である。一方、距離D2が200μm以下であれば、傾斜部25の部位における波長変換層21の幅を大きくすることができ、所定の発光色を実現し易くなる。距離D2は、より好ましくは120μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
【0025】
(第2透光性部材)
第2透光性部材30は、発光素子10からの光を第1透光性部材20に導く部材である。第2透光性部材30は、発光素子10の側面10cに配置されている。第2透光性部材30は、発光素子10の側面10c全体に配置されていてもよいし、発光素子10の側面10cの一部に配置されていてもよい。なお、発光素子10の側面10cの一部に配置されるとは、発光素子10の4つの側面10c全体のうちの一部に配置される場合の他、発光素子10の4つの側面10cのうち、1つから3つのうちの1つ以上の側面10c全体に配置される場合も含むものである。また、第2透光性部材30は、発光素子10の下面10bをわずかに、例えば、発光素子10の側面10cから垂直方向に0.15mm以下の部位に配置されていてもよい。また、例えば、発光素子10の下面10bから垂直方向に0.1mm以下の部位に配置されていてもよい。本実施形態では、第2透光性部材30は、発光素子10の4つの側面10c全体に配置されており、ここでは下面10bには配置されていないものとする。
【0026】
第2透光性部材30は、所定の厚さで発光素子10と第1透光性部材20との間に配置されていてもよい。これにより、発光素子10の上面10a及び第1透光性部材20の下面20bが保護され易くなる。本実施形態では、第2透光性部材30は、発光素子10と第1透光性部材20との間に配置されているものとする。なお、発光素子10と第1透光性部材20との間に配置された第2透光性部材30の厚さが薄いと、放熱性が向上すると共に、発光素子10と第1透光性部材20との間の第2透光性部材30を透過する光の損失が少なくなるため、発光装置100の上面方向への光取出し効率が向上し、光束が向上する。
【0027】
第2透光性部材30としては、発光素子10からの出射光を第1透光性部材20へと有効に導光でき、発光素子10と第1透光性部材20を光学的に連結できる透光性材料を用いることが好ましい。第2透光性部材30としては、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂を用いることができ、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。第2透光性部材30は、JIS-A硬度が70以上のシリコーン樹脂であることが好ましい。このような樹脂であれば、第2透光性部材30の強度が向上すると共に、発光素子10からの出射光を効率良く第1透光性部材20に導くことができる。また、ダイシング性が良くなる。
【0028】
第2透光性部材30の屈折率は、1.45以上1.70以下であることが好ましい。第2透光性部材30の屈折率を素子基板11の屈折率よりも低くすることで、発光素子10からの出射光を効率良く第1透光性部材20を介して外部に放出することができる。これにより、発光装置100の光取出し効率が向上し、光束が向上する。第2透光性部材30の屈折率は、より好ましくは1.47以上、更に好ましくは1.50以上である。また、第2透光性部材30の屈折率は、より好ましくは1.65以下、更に好ましくは1.60以下である。
【0029】
第2透光性部材30は、発光素子10側から第1透光性部材20に向かって第1傾斜角θ1を備える第1面30aと、第1面30aに連続して第1傾斜角θ1よりも傾斜角が小さい第2傾斜角θ2を備える第2面30bと、を備えている。
なお、発光素子10側から第1透光性部材20に向かって第1傾斜角θ1を備えるとは、第1透光性部材20側が鋭角となるように第1傾斜角θ1が形成されていることをいう。また、ここでは、発光素子10の側面10cから第1透光性部材20に向かって第1傾斜角θ1を備えているものとするが、発光素子10の下面10bに第2透光性部材30が配置されている場合は、発光素子10側面の延長線の部位から第1透光性部材20に向かって第1傾斜角θ1を備えるものとしてもよい。
【0030】
また、後記するように、ここでの第1傾斜角θ1は、角の頂点P1と、角の頂点P2と、を通る線L2を1つの基準とした所定角度である。すなわち、第1傾斜角θ1は、第2透光性部材30の第1面30aを平面とした場合の所定の角度である。また、後記するように、ここでの第2傾斜角θ2は、角の頂点P2と、角の頂点P3と、を通る線L4を1つの基準とした所定角度である。
【0031】
具体的には、発光素子10の上面10aに対し垂直方向に切断した断面視において、発光素子10の上面10aに対し垂直方向を基準とし、第2透光性部材30は、第1傾斜角θ1を備える第1面30aと、第1面30aに連続して第1傾斜角θ1よりも傾斜角が小さい第2傾斜角θ2を備える第2面30bと、を備えている。なお、前記基準とする発光素子10の上面10aに対し垂直方向とは、ここでは、発光素子10の上面10aに対し、発光素子10の側面10cと第2透光性部材30とが接する位置における垂直方向のことをいう。
【0032】
発光装置100は、第2透光性部材30が第1面30a及び第2面30bを備えることで、第2透光性部材30の形状が大きくなり、第2透光性部材30の体積が大きくなる。これにより、発光素子10からの出射光が第2透光性部材30を通過する距離を長くすることができ、発光装置100の光取出し効率が向上し、光束が向上する。また、第1面30aが第1傾斜角θ1を備え、第2面30bが第2傾斜角θ2を備えることで、発光装置100の上面方向への光取出し効率が向上し、光束が向上する。
第2透光性部材30の第1面30aは、平面であってもよく、例えば凹状に湾曲した曲面であってもよい。本実施形態では、第2透光性部材30の第1面30aは、第1透光性部材20側に凹むように湾曲している。また、第1面30aは平滑であるが、後記するように、例えば、第2面30bはブレードで第2透光性部材を除去することで形成されるため、表面が荒れている。また、溝を形成する際に、例えば、第2面30bはブレードで第2透光性部材を除去することで形成されるため、第2面30bと傾斜部25とが連続している(図3G図3H参照)。
【0033】
第1傾斜角θ1は、線L1と線L2とのなす角度である。第2傾斜角θ2は、線L3と線L4とのなす角度である。ここで、発光素子10の側面10cと第2透光性部材30の第1面30aとの角の頂点をP1とし、第2透光性部材30の第1面30aと第2透光性部材30の第2面30bとの角の頂点をP2とし、第1透光性部材20の側面20cと傾斜部25との角の頂点をP3とする。
【0034】
第1傾斜角θ1は、角の頂点P1を通り、発光素子10の上面10aに対し垂直方向の線L1と、角の頂点P1及び角の頂点P2を通る線L2と、のなす角度である。ここでは、第1傾斜角θ1は、発光素子10の側面10cと線L2とのなす角度である。第2傾斜角θ2は、角の頂点P2を通り、発光素子10の上面10aに対し垂直方向の線L3と、角の頂点P2及び角の頂点P3を通る線L4と、のなす角度である。
なお、第2透光性部材30が発光素子10の下面10bに配置されている場合は、発光素子10の側面10cの延長線と、第2透光性部材30の第1面30aと、の角の頂点をP1とすることができる。なお、この場合、線L1よりも第2透光性部材30の第2面30b側を第2透光性部材30の第1面30aとする。
【0035】
第1傾斜角θ1及び第2傾斜角θ2は、いずれも0度より大きく90度未満である。第1傾斜角θ1は、56度以上89度以下が好ましく、60度以上85度以下がより好ましく、65度以上80度以下が更に好ましい。第2傾斜角θ2は、1度以上55度以下が好ましく、15度以上50度以下がより好ましく、20度以上45度以下が更に好ましい。
【0036】
第2透光性部材30の幅W1は、50μm以上500μm以下であることが好ましい。第2透光性部材30の幅W1が50μm以上であれば、発光素子10からの出射光が第2透光性部材30を通過する距離を長くすることができ、発光装置100の光取出し効率が向上し、光束が向上する。第2透光性部材30の幅W1は、より好ましくは80μm以上、更に好ましくは100μm以上である。一方、第2透光性部材30の幅W1が500μm以下であれば、第2透光性部材30の量を低減でき、経済的である。第2透光性部材30の幅W1は、より好ましくは400μm以下、更に好ましくは350μm以下である。なお、第2透光性部材30の幅W1とは、発光素子10の側面10cに対して垂直方向の最大幅のことをいう。また、図1Dに示すように、第2透光性部材30の幅W1は、発光素子10の上面10aに対し垂直方向に切断した断面視において、発光素子10の片側における第2透光性部材30の幅W1である。
【0037】
第2透光性部材30の厚さT2は、50μm以上300μm以下であることが好ましい。第2透光性部材30の厚さT2が50μm以上であれば、発光素子10からの出射光が第2透光性部材30を通過する距離を長くすることができ、発光装置100の光取出し効率が向上し、光束が向上する。第2透光性部材30の厚さT2は、より好ましくは80μm以上、更に好ましくは100μm以上である。一方、第2透光性部材30の厚さT2が300μm以下であれば、第2透光性部材30の量を低減でき、経済的である。第2透光性部材30の厚さT2は、より好ましくは250μm以下、更に好ましくは200μm以下である。なお、第2透光性部材30の厚さT2とは、発光素子10の上面10aに対して垂直方向の最大厚さのことをいう。
【0038】
(光反射部材)
光反射部材40は、第2透光性部材30の少なくとも一部に配置され、かつ、第1透光性部材20の傾斜部25に配置されている。具体的には、光反射部材40は、第2透光性部材30の第1面30a及び第2面30bと、発光素子10の下面10bと、素子電極13の側面と、に配置され、かつ、第1透光性部材20の傾斜部25に配置されている。この光反射部材40は、発光素子10からの光を反射するためのものである。光反射部材40は、発光素子10から出射された光を第1透光性部材20の波長変換層21に入射させることができる。光反射部材40は、発光装置100の側面の一部を構成している。また、光反射部材40は、発光素子10を直接的又は間接的に覆う。
【0039】
光反射部材40は、光拡散部材と、光拡散部材を含む被覆部材と、を有することが好ましい。光拡散部材としては、例えば、透光層22で例示したものが挙げられる。被覆部材は、例えば、有機物又は無機物の少なくともいずれか1種である。有機物としては、例えば、樹脂が挙げられる。無機物としては、例えば、ガラス、セラミックスが挙げられる。
樹脂としては、例えばシリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリフタルアミド樹脂、の1種以上を含む樹脂又はハイブリッド樹脂等が挙げられる。なかでも、耐熱性、電気絶縁性に優れ、柔軟性のあるシリコーン樹脂をベースポリマーとして含有する樹脂が好ましい。
【0040】
被覆部材を構成する樹脂の屈折率は、1.35以上1.60以下であることが好ましい。光拡散部材と被覆部材との屈折率差を大きくすることで、発光素子10からの出射光を効率良く第1透光性部材20を介して外部に放出することができる。これにより、発光装置100の光取出し効率が向上し、光束が向上する。樹脂の屈折率は、より好ましくは1.36以上、更に好ましくは1.38以上である。また、樹脂の屈折率は、より好ましくは1.58以下、更に好ましくは1.56以下である。
【0041】
[発光装置の動作]
発光装置100を駆動すると、外部電源から発光素子10に電流が供給され、発光素子10が発光する。発光素子10により上方に向かう光は、第2透光性部材30を介して第1透光性部材20の波長変換層21により波長が変換されて、例えば、白色の光として外部に出射される。また、発光素子10から横方向に向かう光は、光反射部材40で反射され、第2透光性部材30を介して第1透光性部材20の波長変換層21により波長が変換されて、例えば、白色の光として外部に出射される。この際、第2透光性部材30が第1面30a及び第2面30bを備えることで、発光装置100の光取出し効率が向上し、光束が向上する。また、第1面30aが第1傾斜角θ1を備え、第2面30bが第2傾斜角θ2を備えることで、発光装置100の上面方向への光取出し効率が向上し、光束が向上する。また、第1透光性部材20が傾斜部25を有し、傾斜部25に光反射部材40が配置されていることで、発光装置100の上面方向への光取出し効率が向上し、光束が向上する。
【0042】
[発光装置の製造方法]
図2は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。図3Aから図3Jは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
【0043】
発光装置100の製造方法は、光取出し面となる上面10a及び上面10aの反対側となる下面10b、上面10aと下面10bとが繋がる側面10cを有する発光素子10と、発光素子10の上面10aと向かい合うように配置される第1透光性部材200と、発光素子10の側面10cに配置され、発光素子10側から第1透光性部材20に向かって第1傾斜角θ1を備える第1面300aを有する第2透光性部材300と、を備える構造体15を準備することと、第1透光性部材200まで到達するように、第2透光性部材300の少なくとも一部を除去し、第1透光性部材200に溝26を設けることと、隣り合う第2透光性部材300の間、及び、第1透光性部材200の溝26に、光反射部材40を配置することと、を含み、溝26を設けることにおいて、第2透光性部材30に、第1面30aに連続して第1傾斜角θ1よりも傾斜角が小さい第2傾斜角θ2を備える第2面30bを形成する。
【0044】
また、発光装置100の製造方法は、第1透光性部材200が、蛍光体を含む波長変換層210であり、光反射部材40を配置した後、波長変換層210における発光素子10と反対側の面に透光性の透光層22を配置することを含んでもよい。更に、透光層22を配置した後、溝26を通るように、光反射部材40、波長変換層210、及び、透光層22を切断することを含んでもよい。
本製造方法において、第1透光性部材200は、波長変換層210であるものとし、個片化後の第1透光性部材20は、波長変換層21と、透光層22と、を有するものとして説明する。
【0045】
発光装置100の製造方法では、構造体を準備することS11と、溝を設けることS12と、光反射部材を配置することS13と、透光層を配置することS14と、切断することS15と、を含むこととして説明する。
なお、各部材の材質や配置等については、前記した発光装置100の説明で述べた通りであるので、ここでは適宜、説明を省略する。また、発光素子の数や各部材の大きさは説明しやすいようにしているため、図示した状態に限定されるものではない。また、ここでは、適宜、図1Aから図1Eを参照する。
【0046】
(構造体を準備すること)
構造体を準備することS11(以下、適宜、工程S11という)は、発光素子10と、発光素子10の上面10aと向かい合うように配置される第1透光性部材200(波長変換層210)と、発光素子10の側面10cに配置される第2透光性部材300と、を備える構造体15を準備するものである。
【0047】
この工程S11では、図3Aから図3Cに示すように、まず、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の支持部材61上に配置した硬化前のシート状の第2透光性部材300と、ポリイミド等の支持部材62上に配置したシート状の波長変換層210を準備する。次に、波長変換層210に第2透光性部材300を貼り合わせ、支持部材61を剥離する。次に、図3D図3Eに示すように、第2透光性部材300上に発光素子10を配置し、加圧部材63により加圧して第2透光性部材300に発光素子10を埋め込む。その後、第2透光性部材300を硬化する。第2透光性部材300の硬化は、例えば、100℃以上200℃以下の温度で、0.5時間以上10時間以下の条件で行う。図3Fに示すように、第2透光性部材300の硬化により、隣り合う発光素子10の間に配置された第2透光性部材300にひけが生じる。これにより、第2透光性部材300に第1面300aが形成される。ただし、第2透光性部材300の第1面300aは、第2透光性部材300を研磨又は研削をすることで形成してもよい。これにより、第1傾斜角θ1を精度良く形成することができる。
【0048】
(溝を設けること)
溝を設けることS12(以下、適宜、工程S12という)は、第1透光性部材200まで到達するように、第2透光性部材300の少なくとも一部を除去し、第1透光性部材200に溝26を設けるものである。
この工程S12では、図3G図3Hに示すように、例えば、所定幅及び所定形状のブレード71により、隣り合う発光素子10の間に配置された第2透光性部材300の一部を除去すると共に、第1透光性部材200に溝26を形成する。これにより、第2透光性部材30に、第1面30aに連続して第1傾斜角θ1よりも傾斜角が小さい第2傾斜角θ2を備える第2面30bが形成される(図1E参照)。
本製造方法では、使用するブレード71の形状は、第2透光性部材300を除去する方向に切断した断面視で、長方形状の先端が凸状に湾曲した形状である。よって、第2透光性部材30の第2面30b及び溝26は、このブレード71の形状に沿った形状となる。なお、第2透光性部材300の除去は、例えば、研削又は切削により行うことができるが、レーザー光により行ってもよく、エッチングにより行ってもよい。
【0049】
工程S12において、溝26は、例えば、2つの発光素子10の間に設ける。また、工程S12において、溝26は、例えば、2つの発光素子10を挟んで、向かい合う位置にそれぞれ設ける。ここでは、溝26は、発光素子10を囲むように設けられている。
【0050】
工程S12において、第1透光性部材200の厚さ方向における溝26の深さd1は、発光装置100における距離D1と同様の理由で、10μm以下であることが好ましい。深さd1は、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。深さd1は、発光装置100の上面方向への光取出し効率を向上させる観点から、例えば、2μm以上が好ましい。なお、溝26の深さd1とは、発光素子10の上面10aに対して垂直方向の最大深さのことをいう。また、工程S12において、溝26の幅W2は、発光装置100における距離D2と同様の理由で、20μm以上400μm以下であることが好ましい。幅W2は、より好ましくは60μm以上、更に好ましくは100μm以上である。幅W2は、より好ましくは240μm以下、更に好ましくは200μm以下である。なお、溝26の幅W2とは、発光素子10の側面10cに対して垂直方向の最大幅のことをいう。
【0051】
(光反射部材を配置すること)
光反射部材を配置することS13(以下、適宜、工程S13という)は、図3Hに示すように、隣り合う第2透光性部材30の間、及び、第1透光性部材200の溝26に、光反射部材40を配置するものである。工程S13において、光反射部材40は、光拡散部材と、光拡散部材を含む被覆部材と、を有することが好ましい。
この工程S13では、例えば固定された第1透光性部材200の上側において、第1透光性部材200に対して上下方向あるいは水平方向等に移動(可動)させることができる樹脂吐出装置を用いて光反射部材40を構成する樹脂等を発光素子10を覆うように配置して硬化させる。その後、樹脂を研削して素子電極を露出させる。
【0052】
(透光層を配置すること)
透光層を配置することS14(以下、適宜、工程S14という)は、図3Iに示すように、波長変換層210における発光素子10と反対側の面に透光性の透光層22を配置するものである。
この工程S14では、例えば、UVテープ等の支持部材64上に発光素子10が対向するように光反射部材40を形成した構造体を配置する。次に、例えば、透光層22を構成する樹脂等をスプレー法により塗布して硬化させる。
【0053】
(切断すること)
切断することS15(以下、適宜、工程S15という)は、図3Jに示すように、溝26を通るように、光反射部材40、波長変換層210、及び、透光層22を切断するものである。この工程S15により、発光装置が個片化される。また、溝26を通るように切断することによって、傾斜部25が形成される。
この工程S15では、溝26の左右方向の中央を通る位置で切断することが好ましい。切断は、ブレードによるブレードダイシング、レーザー光によるレーザーダイシング等の公知の方法により行うことができる。
【0054】
次に、他の実施形態について説明する。なお、ここでは、適宜、図1Aから図1Eを参照し、既に説明した構成は適宜、説明を省略する。なお、既に説明した構成は同じ符号又は対応する符号(例えば、100に対し、100A、100B等)を付して適宜説明を省略する。また、以下に説明する他の実施形態に係る発光装置においても、光束が向上した発光装置とすることができる。
【0055】
<第2実施形態>
図4Aは、第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。図4Bは、第2実施形態に係る発光装置の傾斜角を説明する説明図である。図5A図5Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
【0056】
発光装置100Aは、第1実施形態の発光装置100の構成と比較して、第1透光性部材20Aの傾斜部25Aの形状が異なる点が異なっている。
発光装置100Aは、第1透光性部材20Aが波長変換層21Aと透光層22とを有し、波長変換層21Aに傾斜部25Aが形成されている。また、第1面30Aaに連続する第2面30Abが第1透光性部材20Aに向かうにつれて発光装置100Aの外側に広がるように傾斜している。また、傾斜部25Aは、断面形状が直線的である。そして、第2透光性部材30Aの第2面30Abと、傾斜部25Aと、は、面一となるように連続して形成されている。すなわち、第2透光性部材30Aの第2面30Abと、傾斜部25Aと、は傾斜角度が同じであり、かつ、面一である。
【0057】
発光装置100Aの製造は、図5A図5Bに示すように、例えば、工程S12において、第2透光性部材300を除去する方向に切断した断面視で、三角形状のブレード72を用いて溝26Aを形成することで行うことができる。これにより、第2透光性部材30Aの第2面30Abと、溝26Aの内側面と、は傾斜角度が同じとなり、かつ、面一となるように、第2透光性部材300の少なくとも一部を除去することができる。
【0058】
<第3実施形態>
図6Aは、第3実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。図6Bは、第3実施形態に係る発光装置の傾斜角を説明する説明図である。図7Aから図7Cは、第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
【0059】
発光装置100Bは、第1実施形態の発光装置100の構成と比較して、第2透光性部材30Bが、第3傾斜角θ3を備える第3面30Bcを備える点、及び、第1透光性部材20Bの傾斜部25Bの形状が異なる点が異なっている。
発光装置100Bは、第1透光性部材20Bが波長変換層21Bと透光層22とを有し、波長変換層21Bに傾斜部25Bが形成されている。
発光装置100Bは、第2透光性部材30Bが、発光素子10側から第1透光性部材20Bに向かって第1傾斜角θ1を備える第1面30Baと、第1面30Baに連続して第1傾斜角θ1よりも傾斜角が小さい第2傾斜角θ2を備える第2面30Bbと、第2面30Bbに連続して第2傾斜角θ2よりも傾斜角が小さい第3傾斜角θ3を備える第3面30Bcと、を備えている。そして、第2透光性部材30Bの第3面30Bcと、傾斜部25Bと、は傾斜角度が同じであり、かつ、面一である。
【0060】
後記するように、ここでの第1傾斜角θ1は、角の頂点P1と、角の頂点P2と、を通る線L2を1つの基準とした所定角度である。すなわち、第1傾斜角θ1は、第2透光性部材30Bの第1面30Baを平面とした場合の所定の角度である。また、後記するように、ここでの第2傾斜角θ2は、角の頂点P2と、角の頂点をP4と、を通る線L4を1つの基準とした所定角度である。また、後記するように、ここでの第3傾斜角θ3は、角の頂点P3と、角の頂点P4と、を通る線L6を1つの基準とした所定角度である。
【0061】
第1傾斜角θ1は、線L1と線L2とのなす角度である。第2傾斜角θ2は、線L3と線L4とのなす角度である。第3傾斜角θ3は、線L5と線L6とのなす角度である。ここで、発光素子10の側面10cと第2透光性部材30Bの第1面30Baとの角の頂点をP1とし、第2透光性部材30Bの第1面30Baと第2透光性部材30Bの第2面30Bbとの角の頂点をP2とし、第1透光性部材20Bの側面20Bcと傾斜部25Bとの角の頂点をP3とし、第2透光性部材30Bの第2面30Bbと第2透光性部材30Bの第3面30Bcとの角の頂点をP4とする。
【0062】
第1傾斜角θ1は、角の頂点P1を通り、発光素子10の上面10aに対し垂直方向の線L1と、角の頂点P1及び角の頂点P2を通る線L2と、のなす角度である。ここでは、第1傾斜角θ1は、発光素子10の側面10cと線L2とのなす角度である。第2傾斜角θ2は、角の頂点P2を通り、発光素子10の上面10aに対し垂直方向の線L3と、角の頂点P2及び角の頂点P4を通る線L4と、のなす角度である。第3傾斜角θ3は、角の頂点P4を通り、発光素子10の上面10aに対し垂直方向の線L5と、角の頂点P3及び角の頂点P4を通る線L6と、のなす角度である。
【0063】
第1傾斜角θ1、第2傾斜角θ2、及び第3傾斜角θ3は、いずれも0度より大きく90度未満である。第1傾斜角θ1は、56度以上89度以下が好ましく、60度以上85度以下がより好ましく、65度以上80度以下が更に好ましい。第2傾斜角θ2は、20度以上55度以下が好ましく、25度以上50度以下がより好ましく、30度以上45度以下が更に好ましい。第3傾斜角θ3は、1度以上44度以下が好ましく、5度以上40度以下がより好ましく、10度以上35度以下が更に好ましい。
【0064】
発光装置100Bの製造は、図7Aから図7Cに示すように、例えば、工程S12において、第2透光性部材300を除去する方向に切断した断面視で、三角形状のブレードを2種類用いて溝26Bを形成することで行うことができる。
具体的には、まず、幅の広い三角形状のブレード73を用いて、第2透光性部材300の少なくとも一部を除去する。これにより、第2透光性部材300に第2面300Bbが形成される。次に、幅の狭い三角形状のブレード74を用いて、第1透光性部材200まで到達するように第2透光性部材300の少なくとも一部を除去し、第1透光性部材200に溝26Bを設ける。これにより、第2透光性部材30Bに、第2面30Bbに連続して第2傾斜角θ2よりも傾斜角が小さい第3傾斜角θ3を備える第3面30Bcを形成する。また、これにより、第2透光性部材30Bの第3面30Bcと、溝26Bの内側面と、は傾斜角度が同じとなり、かつ、面一となるように、第2透光性部材300の少なくとも一部を除去することができる(図6B参照)。
なお、ここでは第2透光性部材300に第2面30Bbを形成する工程も工程S12に含むものとしたが、第2面30Bbを形成する工程は、工程S12とは別の工程としてもよい。
【0065】
<第4実施形態>
図8Aは、第4実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図である。図8Bは、図8BのVIIIB-VIIIB線における断面を模式的に示す断面図である。
【0066】
発光装置100Cは、第1実施形態の発光装置100の構成と比較して、傾斜部25が発光素子10の周囲の一部に配置されている点が異なっている。
発光装置100Cは、第1透光性部材20Cが波長変換層21Cと透光層22とを有し、波長変換層21Cに傾斜部25が形成されている。
発光装置100Cは、傾斜部25が、発光素子10を挟んで水平方向に向かい合う位置にそれぞれ配置されている。ここでは、図面上、左右方向のそれぞれに、第1透光性部材20Cの端部まで延びるように傾斜部25が形成されている。しかしながら、傾斜部25は、図面上、上下方向のそれぞれに配置されていてもよい。また、傾斜部25は、左右方向のいずれか一方、又は、上下方向のいずれか一方にのみ配置されていてもよい。また、傾斜部25は、第1透光性部材20Cの端部まで配置されていなくてもよく、また、断続的に配置されていていてもよい。
【0067】
発光装置100Cの製造は、例えば、工程S12において、2つの発光素子10の間に溝26を設けると共に、2つの発光素子10を挟んで、水平方向に向かい合う位置にそれぞれ溝26を設けることで行うことができる。なお、左右方向のいずれか一方、又は、上下方向のいずれか一方にのみ溝26を配置する場合は、例えば、2つの発光素子10を挟んで、水平方向に向かい合う位置にそれぞれ溝26を設けるか、又は、2つの発光素子10の間に溝26を設けることで溝26を配置することができる。
【0068】
<第5実施形態>
図9は、第5実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【0069】
発光装置100Dは、第1実施形態の発光装置100の構成と比較して、第1透光性部材20Dが、透光層を有さず、蛍光体を含む波長変換層21Dのみからなる点が異なっている。
発光装置100Dは、第1透光性部材20Dが波長変換層21Dのみからなるため、発光装置の薄型化を図ることができる。また、透光層を形成しないため、製造工程を簡略化することができる。
【0070】
発光装置100Dの製造は、例えば、光反射部材40を配置した後、透光層を配置せずに、溝26を通るように、光反射部材40及び第1透光性部材20Dを切断することで行うことができる。
【0071】
本開示の実施形態に係る発光装置及び発光装置の製造方法は、例えば、以下の通りである。
[項1]
光取出し面となる上面及び前記上面の反対側となる下面、前記上面と前記下面とが繋がる側面を有する発光素子と、
上面及び前記上面の反対側となる下面、前記上面と繋がる側面を有し、前記下面から前記側面にかけて傾斜部を有し、前記下面が前記発光素子の前記上面と向かい合うように配置される第1透光性部材と、
前記発光素子の前記側面に配置される第2透光性部材と、
前記第2透光性部材の少なくとも一部に配置され、かつ、前記第1透光性部材の前記傾斜部に配置される光反射部材と、を備えており、
前記第2透光性部材は、前記発光素子側から前記第1透光性部材に向かって第1傾斜角を備える第1面と、前記第1面に連続して前記第1傾斜角よりも傾斜角が小さい第2傾斜角を備える第2面と、を備える発光装置。
[項2]
前記傾斜部は、前記発光素子の前記下面側から見て前記発光素子の外縁よりも外側に位置する、項1に記載の発光装置。
[項3]
前記傾斜部は、前記第1透光性部材の外縁にある、項1又は項2に記載の発光装置。
[項4]
前記傾斜部は、前記発光素子を挟んで、向かい合う位置にそれぞれ配置されている、項1から項3のいずれか一項に記載の発光装置。
[項5]
前記第2透光性部材の前記第2面と、前記傾斜部と、は傾斜角度が同じであり、かつ、面一である、項1から項4のいずれか一項に記載の発光装置。
[項6]
前記第2透光性部材は、前記第2面に連続して前記第2傾斜角よりも傾斜角が小さい第3傾斜角を備える第3面を備える、項1から項4のいずれか一項に記載の発光装置。
[項7]
前記第2透光性部材の前記第3面と、前記傾斜部と、は傾斜角度が同じであり、かつ、面一である、項6に記載の発光装置。
[項8]
前記発光素子の前記上面に対し垂直方向に切断した断面視において、前記第1透光性部材の前記側面と前記傾斜部との角の頂点と、前記第1透光性部材の前記側面の延長線と前記第1透光性部材の前記下面の延長線との交点と、の距離は、10μm以下である、項1から項7のいずれか一項に記載の発光装置。
[項9]
前記発光素子の前記上面に対し垂直方向に切断した断面視において、前記第1透光性部材の前記下面と前記傾斜部との角の頂点と、前記第1透光性部材の前記側面の延長線と前記第1透光性部材の前記下面の延長線との交点と、の距離は、10μm以上200μm以下である、項1から項8のいずれか一項に記載の発光装置。
[項10]
前記光反射部材は、光拡散部材と、前記光拡散部材を含む被覆部材と、を有する、項1から項9のいずれか一項に記載の発光装置。
[項11]
前記第2透光性部材は、前記発光素子と前記第1透光性部材との間に配置されている、項1から項10のいずれか一項に記載の発光装置。
[項12]
前記第2透光性部材は、JIS-A硬度が70以上のシリコーン樹脂である、項1から項11のいずれか一項に記載の発光装置。
[項13]
前記第2透光性部材の屈折率は、1.45以上1.70以下である、項1から項12のいずれか一項に記載の発光装置。
[項14]
前記第1透光性部材は、蛍光体を含む波長変換層と、透光性の透光層と、を有し、前記波長変換層が前記発光素子の前記上面と向かい合うように配置され、前記傾斜部は前記波長変換層にのみ配置される、項1から項13のいずれか一項に記載の発光装置。
[項15]
光取出し面となる上面及び前記上面の反対側となる下面、前記上面と前記下面とが繋がる側面を有する発光素子と、前記発光素子の前記上面と向かい合うように配置される第1透光性部材と、前記発光素子の前記側面に配置され、前記発光素子側から前記第1透光性部材に向かって第1傾斜角を備える第1面を有する第2透光性部材と、を備える構造体を準備することと、
前記第1透光性部材まで到達するように、前記第2透光性部材の少なくとも一部を除去し、前記第1透光性部材に溝を設けることと、
隣り合う前記第2透光性部材の間、及び、前記第1透光性部材の溝に、光反射部材を配置することと、を含み、
前記溝を設けることにおいて、前記第2透光性部材に、前記第1面に連続して前記第1傾斜角よりも傾斜角が小さい第2傾斜角を備える第2面を形成する発光装置の製造方法。
[項16]
前記溝を設けることにおいて、前記第2面に連続して前記第2傾斜角よりも傾斜角が小さい第3傾斜角を備える第3面を形成する、項15に記載の発光装置の製造方法。
[項17]
前記溝を設けることにおいて、前記第2透光性部材の前記第2面と、前記溝の内側面と、は傾斜角度が同じとなり、かつ、面一となるように、前記第2透光性部材の少なくとも一部を除去する、項15に記載の発光装置の製造方法。
[項18]
前記溝を設けることにおいて、前記第2透光性部材の前記第3面と、前記溝の内側面と、は傾斜角度が同じとなり、かつ、面一となるように、前記第2透光性部材の少なくとも一部を除去する、項16に記載の発光装置の製造方法。
[項19]
前記光反射部材を配置した後、前記溝を通るように、前記光反射部材及び前記第1透光性部材を切断する、項15から項18のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
[項20]
前記第1透光性部材は、蛍光体を含む波長変換層であり、前記光反射部材を配置した後、前記波長変換層における前記発光素子と反対側の面に透光性の透光層を配置し、前記透光層を配置した後、前記溝を通るように、前記光反射部材、前記波長変換層、及び、前記透光層を切断する、項15から項18のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
[項21]
前記溝を設けることにおいて、前記溝は、2つの前記発光素子の間に設ける、項15から項20のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
[項22]
前記溝を設けることにおいて、前記溝は、2つの前記発光素子を挟んで、向かい合う位置にそれぞれ設ける、項15から項21のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
[項23]
前記溝を設けることにおいて、前記溝は、前記発光素子を囲むように設ける、項15から項22のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
[項24]
前記溝を設けることにおいて、前記第1透光性部材の厚さ方向における前記溝の深さは、10μm以下である、項15から項23のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
[項25]
前記溝を設けることにおいて、前記溝の幅は、20μm以上400μm以下である、項15から項24のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
[項26]
前記光反射部材を配置することにおいて、前記光反射部材は、光拡散部材と、前記光拡散部材を含む被覆部材と、を有する、項15から項25のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示に係る発光装置は、照明器具に好適に利用することができる。その他、本開示に係る発光装置は、液晶ディスプレイのバックライト光源、車載用の内装若しくは外装の灯具、屋内用ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 発光素子
10a 上面
10b 下面
10c 側面
11 素子基板
12 半導体構造体
13 素子電極
131 第1素子電極
132 第2素子電極
15 構造体
20、20A、20B、20C、20D 第1透光性部材
20a 上面
20b 下面
20c、20Bc 側面
200 第1透光性部材
21、21A、21B、21C、21D 波長変換層
210 波長変換層
22 透光層
25、25A、25B 傾斜部
26、26A、26B 溝
30、30A、30B 第2透光性部材
30a、30Aa、30Ba 第1面
30b、30Ab、30Bb 第2面
30Bc 第3面
300 第2透光性部材
300a 第1面
300Bb 第2面
40 光反射部材
61 支持部材
62 支持部材
63 加圧部材
64 支持部材
71 ブレード
72 ブレード
73 ブレード
74 ブレード
100、100A、100B、100C、100D 発光装置
D1、D2 距離
d1 深さ
L1、L2、L3、L4、L5、L6 線
P1、P2、P3、P4 角の頂点
T1、T2 厚さ
W1、W2 幅
θ1 第1傾斜角
θ2 第2傾斜角
θ3 第3傾斜角
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9