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特開2024-156446画像形成装置、印刷システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156446
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】画像形成装置、印刷システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20241029BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B41J29/38 201
H04N1/00 127Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070915
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浅川 和宏
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP04
2C061AP07
2C061HJ06
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2C061HP06
5C062AA05
5C062AA29
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
(57)【要約】
【課題】データの書き込み先とする他の画像形成装置の限定を抑制すると共に、印刷機能を損なわずに他の画像形成装置に書き込まれたデータを印刷すること。
【解決手段】ストレージを搭載し、ネットワークを介して他の画像形成装置と通信可能な画像形成装置であって、ストレージへのデータの書き込みが発生した場合に、自機及び他の画像形成装置のストレージの寿命に関する情報を取得する手段と、ストレージの寿命に関する情報に基づいて判断した自機又は他の画像形成装置のストレージをデータの書き込み先としてデータを書き込む手段と、他の画像形成装置のストレージに書き込んだデータを印刷する場合に、自機及び他の画像形成装置の性能に関する情報に基づき、性能が自機よりも劣位でないデータの書き込み先の他の画像形成装置又はデータ転送元の自機を、データの印刷先として選択する選択手段と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレージを搭載し、ネットワークを介して他の画像形成装置と通信可能な画像形成装置であって、
前記ストレージへのデータの書き込みが発生した場合に、自機及び前記他の画像形成装置のストレージの寿命に関する情報を取得する寿命情報取得手段と、
前記ストレージの寿命に関する情報に基づいて判断した前記自機又は前記他の画像形成装置のストレージを前記データの書き込み先としてデータを書き込む書き込み手段と、
前記他の画像形成装置のストレージに書き込んだデータを印刷する場合に、前記自機及び前記他の画像形成装置の性能に関する情報に基づき、前記性能が前記自機よりも劣位でない前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置又はデータ転送元の前記自機を、前記データの印刷先として選択する選択手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置の性能が前記データ転送元の前記自機の性能よりも劣位でなければ、前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置を前記印刷先として選択する
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置の性能が前記データ転送元の前記自機の性能よりも劣位であり、且つ、前記自機が前記データを印刷可能であれば、前記自機を前記印刷先として選択する
請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記自機が前記データを印刷可能でなければ、前記他の画像形成装置の中から前記自機とデータ互換性のある一の前記他の画像形成装置を前記印刷先として選択する
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記選択手段は、前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置の性能が前記データ転送元の前記自機の性能よりも劣位である場合に、前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置を前記印刷先として選択するか否かの選択操作をユーザから受け付ける
請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ストレージの寿命に関する情報に基づき前記自機又は前記他の画像形成装置のストレージを前記データの書き込み先として判断する判断手段、を更に有し、
前記判断手段は、前記自機とデータ互換性のある前記他の画像形成装置から前記データの書き込み先を選択するか、前記自機とのデータ互換性を考慮せずに前記他の画像形成装置から前記データの書き込み先を選択するか、の選択操作をユーザから受け付ける
請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項7】
ストレージを搭載した複数の画像形成装置がネットワークを介して通信可能な印刷システムであって、
第1の画像形成装置の前記ストレージへのデータの書き込みが発生した場合に、前記複数の画像形成装置のストレージの寿命に関する情報を取得する寿命情報取得手段と、
前記ストレージの寿命に関する情報に基づいて前記データの書き込み先として判断した第2の画像形成装置のストレージに前記データを書き込む書き込み手段と、
前記第2の画像形成装置のストレージに書き込んだデータを印刷する場合に、前記第1の画像形成装置及び前記第2の画像形成装置の性能に関する情報に基づき、前記性能が前記第1の画像形成装置よりも劣位でない前記第2の画像形成装置又は前記第1の画像形成装置を、前記データの印刷先として選択する選択手段と、
前記印刷先として前記第2の画像形成装置が選択された場合に前記第2の画像形成装置で前記データを印刷させ、前記印刷先として前記第1の画像形成装置が選択された場合に前記データを前記第1の画像形成装置に送信して印刷させる印刷制御手段と、
を有する印刷システム。
【請求項8】
ストレージを搭載し、ネットワークを介して他の画像形成装置と通信可能な画像形成装置に、
前記ストレージへのデータの書き込みが発生した場合に、自機及び前記他の画像形成装置のストレージの寿命に関する情報を取得する寿命情報取得ステップ、
前記ストレージの寿命に関する情報に基づいて判断した前記自機又は前記他の画像形成装置のストレージを前記データの書き込み先としてデータを書き込む書き込みステップ、
前記他の画像形成装置のストレージに書き込んだデータを印刷する場合に、前記自機及び前記他の画像形成装置の性能に関する情報に基づき、前記性能が前記自機よりも劣位でない前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置又はデータ転送元の前記自機を、前記データの印刷先として選択する選択ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、印刷システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばSSD(ソリッドステートドライブ)などの書き込み回数に制限のある記憶装置を搭載した画像形成装置が知られている。SSDを搭載した画像形成装置は、スキャンした画像データ等をSSDに記憶する。特許文献1には、SSDを搭載した画像形成装置において、SSDの書き込み回数が寿命に達することで、ユーザが意図せず画像形成装置が急に使用できなくなることを抑制する技術が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術は、ストレージを搭載し、ネットワークを介して他の画像形成装置と通信可能な画像形成装置の中からストレージの寿命に関する情報に基づいて判断された他の画像形成装置のストレージにデータを書き込むことについて考慮されていない。また、従来の技術は、他の画像形成装置のストレージに書き込んだデータを、データ転送元の画像形成装置の性能を考慮して印刷することについて考慮されていない。
【0004】
本発明の一実施形態は、データの書き込み先とする他の画像形成装置の限定を抑制すると共に、印刷機能を損なわずに他の画像形成装置に書き込まれたデータを印刷することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、ストレージを搭載し、ネットワークを介して他の画像形成装置と通信可能な画像形成装置であって、前記ストレージへのデータの書き込みが発生した場合に、自機及び前記他の画像形成装置のストレージの寿命に関する情報を取得する寿命情報取得手段と、前記ストレージの寿命に関する情報に基づいて判断した前記自機又は前記他の画像形成装置のストレージを前記データの書き込み先としてデータを書き込む書き込み手段と、前記他の画像形成装置のストレージに書き込んだデータを印刷する場合に、前記自機及び前記他の画像形成装置の性能に関する情報に基づき、前記性能が前記自機よりも劣位でない前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置又はデータ転送元の前記自機を、前記データの印刷先として選択する選択手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、データの書き込み先とする他の画像形成装置の限定を抑制できると共に、印刷機能を損なわずに他の画像形成装置に書き込まれたデータを印刷できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る印刷システムの一例のシステム構成図である。
図2】画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。
図3】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図4】本実施形態に係る画像形成装置の一例の機能構成図である。
図5】本実施形態に係る印刷システムで画像形成装置のストレージへのデータの書き込みが発生した場合の処理の一例のフローチャートである。
図6】寿命に関する情報の一例の構成図である。
図7】本実施形態に係る印刷システムでデータの印刷が発生した場合の処理の一例のフローチャートである。
図8】ステップS34の処理の一例のフローチャートである。
図9】同一のネットワーク内の複数の画像形成装置のエンジン分類を示したテーブル例である。
図10】警告画面の一例のイメージ図である。
図11】設定選択画面の一例のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0009】
<システム構成例>
図1は、本実施形態に係る印刷システム1の一例のシステム構成図である。印刷システム1は、画像形成装置10A~10D、及びサーバ装置12を有する構成である。印刷システム1の画像形成装置10A~10D、及びサーバ装置12は、ネットワーク18を介して通信可能である。以下では、画像形成装置10A~10Dを画像形成装置10と総称する場合がある。
【0010】
画像形成装置10は、ストレージが搭載されている。ストレージは、書き込み回数又は稼働時間などに制限(寿命)のある記憶装置の一例であり、例えばSSDである。画像形成装置10は、印刷機能を有する装置であって、プリンタ、複写機、複合機等である。
【0011】
ネットワーク18は、例えばLAN(ローカルエリアネットワーク)であり、画像形成装置10A~10D、及びサーバ装置12が相互通信可能なネットワークセグメントの一例である。なお、ネットワーク18を介して通信可能な複数の画像形成装置10は、同一のネットワーク18内の複数の画像形成装置10の一例である。
【0012】
サーバ装置12は、例えば1台以上の情報処理装置により構成される。なお、サーバ装置12は、ネットワーク18内に存在してもよいし、インターネットなどのネットワーク18の外に存在してもよい。サーバ装置12は、クラウドコンピューティングに対応していてもよい。サーバ装置12は、画像形成装置10に提供する後述の情報を管理する。
【0013】
なお、図1の印刷システム1の構成は一例である。図1はネットワーク18内に存在する画像形成装置10が4台の例を示したが、4台以外であってもよい。また、図1の印刷システム1は、サーバ装置12の機能を画像形成装置10に設けることで、サーバ装置12を省略してもよい。また、図1の印刷システム1は、後述の画像形成装置10の機能の少なくとも一部をサーバ装置12に設ける構成としてもよい。さらに、図1の印刷システム1は、ユーザが操作し、画像形成装置10又はサーバ装置12に対して各種要求を行うユーザ端末を含んでいてもよい。
【0014】
<ハードウェア構成>
図2は画像形成装置10の一例のハードウェア構成図である。図2に示す画像形成装置10は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、ネットワークI/F104、パネルI/F105、スキャナI/F112、エンジンI/F113、外部I/F114、操作パネル121、スキャナエンジン122、プロッタエンジン123、及びストレージ124を有する構成であり、それぞれが相互に接続されている。
【0015】
CPU101は、画像形成装置10の全体制御を行う。ROM103は、画像形成装置10が起動されるときに実行されるプログラム又は各種データを格納する。RAM102は、ROM103から読み出した各種プログラム、又は印刷データなどのデータを一時保持する。なお、RAM102に一時保持されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0016】
パネルI/F111は、操作パネル121のインタフェースである。操作パネル121は、ユーザへのメッセージ等を表示する表示機能と、ユーザからの操作を受け付ける入力機能と、を有する。
【0017】
スキャナI/F112は、スキャナエンジン122のインタフェースである。スキャナエンジン122は、原稿からデータ(画像データ)を読み取る。スキャナエンジン122が原稿から読み取った画像データは、スキャナI/F112を介してRAM102に書き込まれる。
【0018】
エンジンI/F113は、プロッタエンジン123のインタフェースである。プロッタエンジン123は、印刷するデータ(印刷データ)をエンジンI/F113を介して受信する。プロッタエンジン123は、エンジンI/F113を介して受信した印刷データを用紙に印刷する。
【0019】
外部I/F114は、ストレージ124のインタフェースである。ストレージ124は書き込み回数又は稼働時間などに制限のある記憶装置である。ネットワークI/F104は、画像形成装置10が、ネットワーク18を介して通信を行うためのインタフェースである。
【0020】
サーバ装置12は、例えば図3のコンピュータ500によって構築される。図3は、コンピュータ500の一例のハードウェア構成図である。
【0021】
コンピュータ500は、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(DVD Rewritable)ドライブ514、及びメディアI/F516を有する構成である。
【0022】
CPU501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0023】
ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。外部機器は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等である。
【0024】
ネットワークI/F509は、ネットワーク18を利用してデータ通信を行うためのインタフェースである。コンピュータ500は、バスライン510を更に備えている。バスライン510は、図3に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0025】
キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力部の一例である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力部の一例である。
【0026】
DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWは、DVD-R等の光記憶媒体であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込みを制御する。
【0027】
<機能構成>
図4は、本実施形態に係る画像形成装置10の一例の機能構成図である。なお、図4の機能構成は、本実施形態に係る画像形成装置10の機能構成のうち、本実施形態の説明に不要な機能構成を適宜省略している。
【0028】
画像形成装置10は、寿命情報取得部20、性能情報取得部22、判断部24、設定情報取得部26、書き込み部28、選択部30、データ取得部32、記憶部34、及び印刷制御部36を有する。
【0029】
寿命情報取得部20は、同一のネットワーク18内の複数の画像形成装置10に搭載されているストレージ124の寿命に関する情報を取得する。寿命に関する情報の詳細は後述する。寿命情報取得部20が取得するストレージ124の寿命に関する情報は、サーバ装置12が管理している情報であってもよいし、画像形成装置10がそれぞれ管理している情報であってもよい。
【0030】
性能情報取得部22は、同一のネットワーク18内の複数の画像形成装置10の性能に関する情報を取得する。性能に関する情報の詳細は後述する。性能情報取得部22が取得する複数の画像形成装置10の性能に関する情報は、サーバ装置12が管理している情報であってもよいし、画像形成装置10がそれぞれ管理している情報であってもよい。
【0031】
判断部24は、ストレージ124へのデータの書き込みが発生した場合に、自機のストレージ124又は同一のネットワーク18内の他の画像形成装置10のストレージ124からデータの書き込み先を判断する。判断部24は、自機に搭載されているストレージ124の寿命に関する情報に基づき、自機のストレージ124をデータの書き込み先とするか否かを判断する。また、判断部24は、自機のストレージ124をデータの書き込み先としない場合に、同一のネットワーク18内の他の画像形成装置10のストレージ124の寿命に関する情報に基づき、同一のネットワーク18内の他の画像形成装置10の中からデータの書き込み先とする他の画像形成装置10を判断する。
【0032】
設定情報取得部26は、ユーザから受け付けた選択操作に基づいた後述の設定情報を取得する。設定情報取得部26は、例えば設定選択画面を表示し、ユーザからの選択操作を受け付ける。
【0033】
書き込み部28は、判断部24がデータの書き込み先として判断した自機又は他の画像形成装置10の記憶部34にデータを書き込む。記憶部34はストレージ124により実現される。
【0034】
選択部30は、他の画像形成装置10の記憶部34に書き込んだデータを印刷する場合に、自機及び他の画像形成装置10の性能に関する情報に基づき、データの印刷先を選択する。選択部30は、データの書き込み先の他の画像形成装置10の性能が自機よりも劣位でなければ、データの書き込み先の他の画像形成装置10をデータの印刷先として選択する。選択部30は、データの書き込み先の他の画像形成装置10の性能が自機よりも劣位であれば、自機をデータの印刷先として選択する。なお、選択部30は、自機で印刷可能でない場合に、データの書き込み先の他の画像形成装置10以外の他の画像形成装置10であって、自機とデータ互換性のある他の画像形成装置10をデータの印刷先として選択する。
【0035】
性能が劣位でないとは、データ互換性があり、データ転送元の画像形成装置10と比較して利用できない機能及び制限を受ける機能が含まれていない場合をいう。また、性能が劣位とは、データ互換性がなく、データ転送元の画像形成装置10と比較して、利用できない機能又は制限を受ける機能が含まれている場合をいう。
【0036】
データ取得部32は、他の画像形成装置10の記憶部34に書き込んだデータを印刷する場合であって、選択部30が自機をデータの印刷先として選択した場合に、データの書き込み先の他の画像形成装置10からデータを取得する。また、データ取得部32は、自機の記憶部34に書き込んだデータを印刷する場合、自機の記憶部34からデータを取得する。印刷制御部36は、データ取得部32が取得したデータを印刷する。また、データ取得部32は、他の画像形成装置10の記憶部34に書き込んだデータを印刷する場合であって、自機とデータ互換性のある他の画像形成装置10をデータの印刷先として選択した場合に、選択した他の画像形成装置10にデータを送信する。
【0037】
なお、選択部30は、データの書き込み先の他の画像形成装置10の性能が自機よりも劣位である場合に、データの書き込み先の他の画像形成装置10を印刷先として選択するか否かの選択操作をユーザから受け付けるようにしてもよい。また、判断部24は、自機とデータ互換性のある他の画像形成装置10からデータの書き込み先を選択するか、自機とのデータ互換性を考慮せずに他の画像形成装置10からデータの書き込み先を選択するかの選択操作をユーザから受け付けるようにしてもよい。
【0038】
<処理>
図5は、本実施形態に係る印刷システム1で画像形成装置10のストレージ124へのデータの書き込みが発生した場合の処理の一例のフローチャートである。
【0039】
ステップS10において、判断部24は自機のストレージ124の寿命に関する情報を参照し、自機のストレージ124の寿命が近いか否かを判定する。判断部24は、例えば自機のストレージ124の寿命に関する情報に含まれる残り書き込み回数又は残り稼働時間が閾値以下になった場合に、自機のストレージ124の寿命が近いと判定する。
【0040】
自機のストレージ124の寿命が近いと判定しなければ、書き込み部28はステップS20の処理を行う。ステップS20において、書き込み部28は自機のストレージ124により実現される記憶部34にデータを書き込む。自機のストレージ124の寿命が近いと判定すれば、寿命情報取得部20は、ステップS12の処理を行う。
【0041】
ステップS12において、寿命情報取得部20は、同一のネットワーク18内の複数の画像形成装置10に搭載されているストレージ124の例えば図6に示す寿命に関する情報を取得する。
【0042】
図6は、寿命に関する情報の一例の構成図である。図6の寿命に関する情報は、装置識別子、残り書き込み回数、及び残り稼働時間を項目として有する。装置識別子は、画像形成装置10を識別する識別情報の一例である。残り書き込み回数は、装置識別子により識別される画像形成装置10に搭載されているストレージ124の書き込み回数の制限(寿命)を表している。また、残り稼働時間は、装置識別子により識別される画像形成装置10に搭載されているストレージ124の稼働時間の制限(寿命)を表している。
【0043】
ステップS14において、判断部24はステップS12で取得した同一のネットワーク18内の複数の画像形成装置10に搭載されているストレージ124の寿命に関する情報に基づき、データの書き込み先の他の画像形成装置10を選択する。
【0044】
例えば判断部24は、ステップS12で取得した同一のネットワーク18内の複数の画像形成装置10に搭載されているストレージ124の寿命に関する情報を比較し、寿命に最も余裕のある他の画像形成装置10をデータの書き込み先として選択する。
【0045】
ステップS16において、書き込み部28は、ステップS14で選択されたデータの書き込み先の他の画像形成装置10にデータを転送し、他の画像形成装置10のストレージ124にデータを書き込む。また、書き込み部28はステップS18において、データ転送元及び書き込み先の画像形成装置10に関する情報をサーバ装置12に通知する。
【0046】
図7は、本実施形態に係る印刷システム1でデータの印刷が発生した場合の処理の一例のフローチャートである。
【0047】
ステップS30において、選択部30は他の画像形成装置10に転送したデータの印刷であるか否かを判定する。データ取得部32は、他の画像形成装置10に転送したデータの印刷でなければ、ステップS38の処理を行う。ステップS38において、データ取得部32は自機の記憶部34からデータを読み出す。印刷制御部36はデータ取得部32が記憶部34から読み出したデータを印刷する。
【0048】
他の画像形成装置10に転送したデータの印刷であれば、ステップS32において、性能情報取得部22は、自機及び書き込み先の他の画像形成装置10の性能に関する情報を取得する。画像形成装置10の性能に関する情報は、データの書き込み先の他の画像形成装置10の性能が自機よりも劣位であるか否かを判定できる情報であって、例えば画像形成装置10のエンジン性能又はソフトウェア機能などの情報である。
【0049】
ステップS34において、選択部30はステップS32で取得した自機及び書き込み先の他の画像形成装置10の性能に関する情報に基づき、データを印刷する画像形成装置10を選択する。ステップS34の処理は、例えば図8に示すように行われる。
【0050】
図8は、ステップS34の処理の一例のフローチャートである。
【0051】
ステップS50において、選択部30は、データの書き込み先の他の画像形成装置10の性能が自機よりも劣位であるか否かを判定する。
【0052】
データの書き込み先の他の画像形成装置10の性能が自機よりも劣位でなければ、選択部30はステップS62の処理に進む。ステップS62において、選択部30は、データの書き込み先の他の画像形成装置10で印刷機能を損なわずに印刷できるため、データを印刷する画像形成装置10として、データの書き込み先の他の画像形成装置10を選択する。
【0053】
データの書き込み先の他の画像形成装置10の性能が自機よりも劣位であれば、選択部30はステップS52の処理に進む。ステップS52において、選択部30は自機が印刷できる状態であり、データを自機で印刷可能か否かを判定する。
【0054】
自機で印刷可能であれば、選択部30はステップS54において、データの書き込み先の他の画像形成装置10で印刷機能を損なわずに印刷できないため、データを印刷する画像形成装置10として自機を選択する。ステップS56において、データ取得部32は書き込み先の他の画像形成装置10からデータを引き戻す。
【0055】
自機で印刷可能でなければ、選択部30はステップS58において、データを印刷する他の画像形成装置10として、同一のネットワーク18内の複数の画像形成装置10の中から自機とデータ互換性のある他の画像形成装置10を選択する。そして、ステップS60において、データ取得部32は書き込み先の他の画像形成装置10からデータを引き戻し、ステップS58で選択した他の画像形成装置10にデータを送信する。図7に戻り説明を続ける。ステップS36において、印刷制御部36はステップS34で選択された印刷先からデータを印刷するように制御する。
【0056】
例えばデータ転送元が画像形成装置10A、データの書き込み先が画像形成装置10Bである場合について説明する。画像形成装置10Bの記憶部34に書き込まれたデータを印刷する際、印刷システム1はデータの書き込み先の画像形成装置10Bの性能がデータ転送元の画像形成装置10Aよりも劣位であるか判定される。
【0057】
データの書き込み先の画像形成装置10Bの性能がデータ転送元の画像形成装置10Aよりも劣位でなければ、印刷システム1はデータの書き込み先の画像形成装置10Bで印刷機能を損なわずに印刷できるため、データの書き込み先の画像形成装置10Bで印刷を行う。
【0058】
データの書き込み先の画像形成装置10Bの性能がデータ転送元の画像形成装置10Aよりも劣位であれば、印刷システム1は画像形成装置10Aで利用可能な印刷機能が利用できない又は制限を受ける可能性があるため、データの書き込み先の画像形成装置10Bで印刷機能を損なわずに印刷できないと判断する。
【0059】
データの書き込み先の画像形成装置10Bで印刷機能を損なわずに印刷できないと判断した場合、印刷システム1はデータの書き込み先の画像形成装置10Bからデータ転送元の画像形成装置10Aにデータを引き戻す。データ転送元の画像形成装置10Aが印刷可能な状態であれば、印刷システム1は画像形成装置10Aでデータを印刷する。データ転送元の画像形成装置10Aが印刷可能な状態でなければ、印刷システム1は画像形成装置10Aとデータ互換性のある例えば画像形成装置10Dにデータを送信し、印刷する。
【0060】
データ転送元の画像形成装置10Aは、例えば図9に示すテーブルを利用して、同一のネットワーク18内の複数の画像形成装置10から、データ互換性のある他の画像形成装置10を選択する。
【0061】
図9は、同一のネットワーク18内の複数の画像形成装置10のエンジン分類を示したテーブル例である。図9のテーブルでは、同一のネットワーク18内の複数の画像形成装置10ごとにエンジン分類が設定されている。図9のテーブルにおいて、同じアルファベットのエンジン分類であれば、データ互換性があるものとする。なお、図9のテーブル構成は一例である。
【0062】
なお、本実施形態に係る印刷システム1において、ユーザはデータ転送元の画像形成装置10よりも性能が劣位なデータの書き込み先の他の画像形成装置10からデータを印刷したい場合もあると想定される。そこで、本実施形態に係る印刷システム1では、選択部30が例えば図10に示すような警告画面1000をユーザに提示し、印刷機能の一部が利用できない又は制限を受けることをユーザに理解させ、データの書き込み先の他の画像形成装置10からデータを印刷するか否かの選択操作をユーザから受け付けるようにしてもよい。図10は警告画面1000の一例のイメージ図である。
【0063】
上記では、同一のネットワーク18内の複数の画像形成装置10の中からストレージ124の寿命に余裕のある他の画像形成装置10をデータの書き込み先として選択することにより、寿命に余裕のある他の画像形成装置10を十分活用する例を示した。本実施形態に係る画像形成装置10は例えば図11に示すような設定選択画面1100をユーザに提示することで、データ転送元の画像形成装置10とデータ互換性のある他の画像形成装置10の範囲内でデータの書き込み先を選択するか、データ転送元の画像形成装置10とのデータ互換性を考慮せずにデータの書き込み先を選択するかの選択操作をユーザから受け付けるようにしてもよい。図11は、設定選択画面1100の一例のイメージ図である。
【0064】
以上、本実施形態によれば、自機のストレージ124の寿命が近ければ、同一のネットワーク18内の他の画像形成装置10にデータを転送して書き込む印刷システム1において、データ互換性の有無による書き込み先の限定を行わず、且つ、印刷機能を損なわずに印刷を行うことができる。
【0065】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0066】
例えば本実施形態に係る印刷システム1は、サーバ装置12でデータ転送元及びデータの書き込み先の情報を管理することで、同一のネットワーク18内の画像形成装置10であれば、サーバ装置12から、印刷しようとしているデータのデータ転送元及びデータの書き込み先の情報を取得できる。したがって、ユーザは同一のネットワーク18内の画像形成装置10の何れからでも、同一のネットワーク18内の画像形成装置10の何れかに書き込まれたデータを、上記ように印刷できる。
【0067】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0068】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
ストレージを搭載し、ネットワークを介して他の画像形成装置と通信可能な画像形成装置であって、
前記ストレージへのデータの書き込みが発生した場合に、自機及び前記他の画像形成装置のストレージの寿命に関する情報を取得する寿命情報取得手段と、
前記ストレージの寿命に関する情報に基づいて判断した前記自機又は前記他の画像形成装置のストレージを前記データの書き込み先としてデータを書き込む書き込み手段と、
前記他の画像形成装置のストレージに書き込んだデータを印刷する場合に、前記自機及び前記他の画像形成装置の性能に関する情報に基づき、前記性能が前記自機よりも劣位でない前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置又はデータ転送元の前記自機を、前記データの印刷先として選択する選択手段と、
を有する画像形成装置。
<2>
前記選択手段は、前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置の性能が前記データ転送元の前記自機の性能よりも劣位でなければ、前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置を前記印刷先として選択する
前記<1>記載の画像形成装置。
<3>
前記選択手段は、前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置の性能が前記データ転送元の前記自機の性能よりも劣位であり、且つ、前記自機が前記データを印刷可能であれば、前記自機を前記印刷先として選択する
前記<1>又は<2>記載の画像形成装置。
<4>
前記選択手段は、前記自機が前記データを印刷可能でなければ、前記他の画像形成装置の中から前記自機とデータ互換性のある一の前記他の画像形成装置を前記印刷先として選択する
前記<3>記載の画像形成装置。
<5>
前記選択手段は、前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置の性能が前記データ転送元の前記自機の性能よりも劣位である場合に、前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置を前記印刷先として選択するか否かの選択操作をユーザから受け付ける
前記<1>乃至<4>の何れか一項に記載の画像形成装置。
<6>
前記ストレージの寿命に関する情報に基づき前記自機又は前記他の画像形成装置のストレージを前記データの書き込み先として判断する判断手段、を更に有し、
前記判断手段は、前記自機とデータ互換性のある前記他の画像形成装置から前記データの書き込み先を選択するか、前記自機とのデータ互換性を考慮せずに前記他の画像形成装置から前記データの書き込み先を選択するか、の選択操作をユーザから受け付ける
前記<1>乃至<5>の何れか一項に記載の画像形成装置。
<7>
ストレージを搭載した複数の画像形成装置がネットワークを介して通信可能な印刷システムであって、
第1の画像形成装置の前記ストレージへのデータの書き込みが発生した場合に、前記複数の画像形成装置のストレージの寿命に関する情報を取得する寿命情報取得手段と、
前記ストレージの寿命に関する情報に基づいて前記データの書き込み先として判断した第2の画像形成装置のストレージに前記データを書き込む書き込み手段と、
前記他の画像形成装置のストレージに書き込んだデータを印刷する場合に、前記第1の画像形成装置及び前記第2の画像形成装置の性能に関する情報に基づき、前記性能が前記第1の画像形成装置よりも劣位でない前記第2の画像形成装置又は前記第1の画像形成装置を、前記データの印刷先として選択する選択手段と、
前記印刷先として前記第2の画像形成装置が選択された場合に前記第2の画像形成装置で前記データを印刷させ、前記印刷先として前記第1の画像形成装置が選択された場合に前記データを前記第1の画像形成装置に送信して印刷させる印刷制御手段と、
を有する印刷システム。
<8>
ストレージを搭載し、ネットワークを介して他の画像形成装置と通信可能な画像形成装置に、
前記ストレージへのデータの書き込みが発生した場合に、自機及び前記他の画像形成装置のストレージの寿命に関する情報を取得する寿命情報取得ステップ、
前記ストレージの寿命に関する情報に基づいて判断した前記自機又は前記他の画像形成装置のストレージを前記データの書き込み先としてデータを書き込む書き込みステップ、
前記他の画像形成装置のストレージに書き込んだデータを印刷する場合に、前記自機及び前記他の画像形成装置の性能に関する情報に基づき、前記性能が前記自機よりも劣位でない前記データの書き込み先の前記他の画像形成装置又はデータ転送元の前記自機を、前記データの印刷先として選択する選択ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0069】
1 印刷システム
10、10A~10D 画像形成装置
12 サーバ装置
18 ネットワーク
20 寿命情報取得部
22 性能情報取得部
24 判断部
26 設定情報取得部
28 書き込み部
30 選択部
32 データ取得部
34 記憶部
36 印刷制御部
124 ストレージ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2021-026319号公報
図1
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