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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156449
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】キャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 55/02 20060101AFI20241029BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B65D55/02
B65D47/08
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070920
(22)【出願日】2023-04-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000161884
【氏名又は名称】アスカカンパニー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】ZACROS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170025
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 一
(72)【発明者】
【氏名】城野 仁男
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘嗣
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB01
3E084GB06
3E084KB01
3E084LA18
3E084LB02
3E084LD01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】螺合後のキャップの逆回転を確実に防止するとともに、割り型を用いずに製造性に優れるキャップ付き容器を提供する
【解決手段】口部側フランジは、口部の外周面で、口部側ねじ山の最下端の位置よりも下方の位置に、口部の径方向の外側に向かって、円環状に設けられる。口部側ラッチ爪は、所定の位置から、口部の上方に向かって所定の高さで突出されている。段差面は、キャップの内周面で、口部側ラッチ爪に対向する対向周壁の厚みを薄くすることで形成されている。キャップ側ラッチ歯は、段差面から、キャップの下方向に向かって、口部側ラッチ爪の高さに対応する所定の高さで突出されている。キャップ側フランジは、キャップの周壁のうち、薄く形成された下方周壁の内周面で、口部側フランジに対向する位置に、ねじ山周壁の内周面と下方周壁の内周面との間の厚みよりも薄い所定の厚みで、キャップの中心に向かって、円環状に設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に口部側ねじ山を有し、容器本体に設けられた口部と、
円筒状に構成され、内周面にキャップ側ねじ山を有し、前記口部に対する螺合により、当該口部に装着可能なキャップと、
前記口部の外周面で、前記口部側ねじ山の最下端の位置よりも下方の位置に、前記口部の径方向の外側に向かって、円環状に設けられた口部側フランジと、
前記口部側フランジの径方向の先端部、又は、前記口部の上方の先端部を含む所定の位置から、前記口部の上方に向かって所定の高さで突出された口部側ラッチ爪と、
前記キャップの内周面で、螺合後の口部の前記口部側ラッチ爪に対向する対向周壁の厚みを薄くすることで形成された段差面と、
前記段差面から、前記キャップの下方向に向かって、前記口部側ラッチ爪の高さに対応する所定の高さで突出されたキャップ側ラッチ歯と、
前記キャップの周壁のうち、薄く形成された下方周壁の内周面で、螺合後の口部の前記口部側フランジに対向する位置に、前記キャップ側ねじ山が設けられたねじ山周壁の内周面と前記下方周壁の内周面との間の厚みよりも薄い所定の厚みで、前記キャップの中心に向かって、円環状に設けられたキャップ側フランジと、
を備え、
前記キャップを前記口部に螺合すると、前記キャップ側ラッチ歯が前記口部側ラッチ爪に当接するとともに、前記口部側フランジが前記キャップ側フランジに引っ掛かる、
キャップ付き容器。
【請求項2】
前記口部側ラッチ爪の上面角度は、前記口部側ねじ山のリード角度に対応し、
前記キャップ側ラッチ歯の上面角度は、前記キャップ側ねじ山のリード角度に対応する、
請求項1に記載のキャップ付き容器。
【請求項3】
前記口部側ラッチ爪の高さは、前記口部側ねじ山の一周に対して当該口部側ラッチ爪の長さが占める割合を、前記口部側ねじ山のピッチで乗じた値に対応し、
前記キャップ側ラッチ歯の高さは、前記キャップ側ねじ山の一周に対して当該キャップ側ラッチ歯の長さが占める割合を、前記キャップ側ねじ山のピッチで乗じた値に対応する、
請求項1に記載のキャップ付き容器。
【請求項4】
前記口部側ラッチ爪の上面角度は、前記口部側ねじ山のリード角度に対応し、
前記キャップ側ラッチ歯の上面角度は、前記キャップ側ねじ山のリード角度に対応し、
前記口部側ラッチ爪の高さは、前記口部側ねじ山の一周に対して当該口部側ラッチ爪の長さが占める割合を、前記口部側ねじ山のピッチで乗じた値に対応し、
前記キャップ側ラッチ歯の高さは、前記キャップ側ねじ山の一周に対して当該キャップ側ラッチ歯の長さが占める割合を、前記キャップ側ねじ山のピッチで乗じた値に対応する、
請求項1に記載のキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、キャップの口部に螺合して装着されるキャップ付き容器について、キャップと口部との係合力(螺合保持力)を強化するための技術が多種存在する。例えば、特開2008-94416号公報(特許文献1)には、容器頸部にヒンジ付きキャップを装着したキャップ付き容器が開示されている。このヒンジ付きキャップは、容器頸部に直接嵌合する封止膜が設けられた内キャップと、切り刃付きシール開封用の円筒体と注出口と注出口を開閉するヒンジ付き頂蓋が設けられたキャップ本体とを備える。又、内キャップとキャップ本体は、螺合による接合関係を有し、使用状態となる螺合終端に逆転を防止するロック機構が形成されている。更に、内キャップの封止膜が、使用開始時に行う螺合により開封される。又、容器本体と内キャップの装着機構が、水平方向の係合機構と垂直方向の係合機構から構成され、水平方向の係合機構が、容器本体の頸部に形成された環状突起部とキャップ内面に形成された環状突起部とを係合して回動可能、かつ、抜止防止の構成としている。そして、垂直方向の係合機構が、容器本体の頸部に形成した縦リブとキャップ内面に設けた複数の縦リブとを係合したものであり、この係合関係は、ある程度大きな力を加えて、キャップを逆回転及び/又は正回転したときに、回動を許容する程度の係合抵抗に構成したものである。これにより、キャップを逆転させても、キャップが容器から外れることが無く、安全で、ヒンジキャップの存在に気づかずに、キャップ本体を逆転しても、事故が発生しないとしている。
【0003】
又、特開2015-221690号公報(特許文献2)には、容器本体の口部に装着され、注出口から内容物を案内する注出筒を具える中栓と、中栓に装着されるヒンジキャップとからなる中栓付きヒンジキャップが開示されている。ここで、ヒンジキャップは、中栓に回転可能に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設される上蓋とからなっている。又、上蓋の頂壁裏面から垂設される密封筒部の外周面先端部には、注出筒内周面に当接して、容器内を密封するシール端部が設けられている。そして、ヒンジキャップの中栓に対する周方向位置が、ヒンジを中心とするシール端部の注出筒内周面との接点を通る回転半径が注出筒内周面と交差して開蓋不能な未開封位置と、シール端部の回転半径が注出筒内周面から離隔して開蓋可能となる開封位置とに移動可能に配設されている。ここで、キャップ本体と中栓は、開封位置において互いの周方向位置を固定するロック機構を具え、ロック機構は、径方向に隙間を有して軸方向に嵌入可能および互いに回転可能に形成された、中栓に設けられた注出筒より大径のロック外周面と、キャップ本体の下部に設けられたロック内周面とからなる。ロック外周面から外方に、周方向所定間隔を有する係合凹部を挟んで乗り越え凸部と、乗り越え凸部より開封方向に係止凸部とが突設され、ロック内周面からは内方に爪部が突設されている。爪部は、爪基部と、ロック爪とからなり、爪基部は、径方向の高さが、乗り越え凸部とロック内周面との間隙より低く、係止凸部とロック内周面との間隙より高い高さを持っている。ロック爪は、爪基部から開封方向と反対側へ斜め内方に延び、弾性変形可能である。爪部は係合凹部に嵌合可能である。これにより、爪部が係合凹部に嵌合することで、ロック機構が働き、開封防止のための特別の部材を必要とすることなく未開封状態を保ち、ヒンジキャップを中栓に対して回転するだけで開蓋可能な開封位置に移行することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-94416号公報
【特許文献2】特開2015-221690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、容器用キャップでは、一般的に、キャップの内面に設けられたキャップ用突起(ラッチ歯、リブとも言う)と、容器の口部の外面に設けられた口部用突起(ラッチ爪とも言う)とが係合することで、キャップの回転を止める構成としている。
【0006】
しかしながら、キャップ用突起と口部用突起とは、一般的に弱い力での係合であるため、キャップ用突起を口部用突起に係合させた後に、係合力の弱さから、キャップが口部に対して逆回転することがある(トルクバックともいう)。例えば、容器の内容物が液体の場合、螺合後のキャップが逆回転すると、キャップの気密性が失われて、液体がキャップから漏れ出るという課題がある。螺合後のキャップの逆回転を防止するためには、キャップと口部との係合力を高める必要がある。
【0007】
又、キャップ用突起や口部用突起は、内面や外面から突出している構成が殆どであり、このようなキャップ用突起や口部用突起は、アンダーカットと呼ばれ、射出成形用の金型を複雑化する原因となる。例えば、キャップの内面に設けられたキャップ用突起を金型で射出成形するためには、金型を複数に分割した割り型を採用し、複数の割り型を段階的に抜く必要がある。このような割り型は、金型のコストが増加するとともに、抜き工程の数も増加し、生産性が低下するという課題がある。一方、既存のキャップや容器用口部に、上述のアンダーカットを設ける場合は、今までのキャップや容器用口部の形状に大幅な改造が必要になるが、このような大幅な形状の改造を行うと、コストが掛かるという課題がある。又、今までの形状で受け入れられてきた市場において、大幅な改造がなされた形状のキャップや容器用口部では、製造メーカや一般消費者が受け入れ難い可能性もある。
【0008】
ここで、上述した特許文献1に記載の技術では、容器本体の頸部に縦リブを形成するとともに、キャップ内面に複数の縦リブを形成する構成である。特許文献2に記載の技術では、中栓のロック外周面に乗り越え凸部と係止凸部とを形成するとともに、キャップ本体のロック内周面に爪部を突設させる構成である。これらの構成は、単なるキャップ用突起と口部用突起との係合であるため、螺合後のキャップの逆回転が生じる可能性があり、キャップの気密性が失われる可能性がある。又、単純にキャップ用突起をキャップの内面から突出する構成であれば、割り型が必要になるとともに、大幅な形状の改造が必要になるという課題がある。
【0009】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、螺合後のキャップの逆回転を確実に防止するとともに、割り型を用いずに製造性に優れるキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るキャップ付き容器は、口部と、キャップと、口部側フランジと、口部側ラッチ爪と、段差面と、キャップ側ラッチ歯と、キャップ側フランジと、を備える。口部は、外周面に口部側ねじ山を有し、容器本体に設けられる。キャップは、円筒状に構成され、内周面にキャップ側ねじ山を有し、前記口部に対する螺合により、当該口部に装着可能である。口部側フランジは、前記口部の外周面で、前記口部側ねじ山の最下端の位置よりも下方の位置に、前記口部の径方向の外側に向かって、円環状に設けられる。口部側ラッチ爪は、前記口部側フランジの径方向の先端部、又は、前記口部の上方の先端部を含む所定の位置から、前記口部の上方に向かって所定の高さで突出される。段差面は、前記キャップの内周面で、螺合後の口部の口部側ラッチ爪に対向する対向周壁の厚みを薄くすることで形成される。キャップ側ラッチ歯は、前記段差面から、前記キャップの下方向に向かって、前記口部側ラッチ爪の高さに対応する所定の高さで突出される。キャップ側フランジは、前記キャップの周壁のうち、薄く形成された下方周壁の内周面で、螺合後の口部の口部側フランジに対向する位置に、前記ねじ山周壁の内周面と前記下方周壁の内周面との間の厚みよりも薄い所定の厚みで、前記キャップの中心に向かって、円環状に設けられる。
【0011】
そして、本発明にキャップ付き容器は、前記キャップを前記口部に螺合すると、前記キャップ側ラッチ歯が前記口部側ラッチ爪に当接するとともに、前記口部側フランジが前記キャップ側フランジに引っ掛かる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、螺合後のキャップの逆回転を確実に防止するとともに、割り型を用いずに製造性に優れるキャップ付き容器を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るキャップ付き容器のキャップと口部の一例を示す正面視斜視図である。
図2】本発明に係るキャップ付き容器のキャップと口部の一例を示す右側面視斜視図と、左側面視斜視図と、である。
図3】本発明に係るキャップ付き容器の口部の一例を示す正面視断面図と、キャップの一例を示す正面視断面図と、である。
図4】本発明に係るキャップ付き容器のキャップを口部に装着する場合の一例を示す右側面視斜視図と、キャップを口部に装着した場合の一例を示す右側面視斜視図と、である。
図5】本発明に係るキャップ付き容器のキャップを口部に装着する場合の一例を示す斜視断面図と、キャップを口部に装着した場合の一例を示す斜視断面図と、平面視斜視図と、である。
図6】本発明に係るキャップ付き容器のキャップを口部に装着する場合の一例を示す正面視断面図と、キャップを口部に装着した場合の一例を示す正面視断面図と、である。
図7】本発明に係るキャップ付き容器のキャップから内側の金型を下方へ引き抜く場合の一例を示す正面視断面図と、キャップから内側の金型を下方へ引き抜いた場合の一例を示す正面視断面図と、である。
図8】本発明に係るキャップ付き容器のキャップと口部における口部側ラッチ爪とキャップ側ラッチ歯の形状と数を変更した場合の一例を示す右側面視斜視図と、口部側ラッチ爪とキャップ側ラッチ歯との形状を変更した場合の一例を示す右側面視斜視図と、である。
図9】口部側ラッチ爪とキャップ側ラッチ歯の位置を変更した場合のキャップ付き容器のキャップと口部の一例を示す正面視斜視図と正面視断面図と、である。
図10】口部側ラッチ爪とキャップ側ラッチ歯の位置を変更したキャップを口部に装着する場合の一例を示す正面視断面図である。
図11】比較例に係るキャップ付き容器のキャップと口部の一例を示す正面視斜視図と、キャップを口部に装着した場合の一例を示す正面視斜視図と、である。
図12】比較例に係るキャップ付き容器のキャップを口部に装着した場合の一例を示す斜視断面図と、平面視斜視図と、である。
図13】実施例と比較例のそれぞれの係合力の確認試験の結果の一例を示す表である。
図14】比較例に係るキャップ付き容器のキャップに三つの内側の金型が設けられた場合の一例を示す正面視断面図と、キャップから第三の内側の金型を下方へ移動させて、第一と第二の内側の金型をキャップの内側へ移動させた場合の一例を示す正面視断面図と、である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0015】
本発明に係るキャップ付き容器1は、図1図3に示すように、口部10と、キャップ11と、を備える。ここで、口部10は、外周面に口部側ねじ山10aを有し、容器本体1に設けられている。ここでは、口部10の上方は、円筒状に構成されている。
【0016】
又、キャップ11は、円筒状に構成され、内周面にキャップ側ねじ山11aを有し、口部10に対する螺合により、当該口部10に装着可能である。ここでは、キャップ11は、ヒンジキャップであり、例えば、バタフライヒンジタイプのキャップ、点ヒンジタイプのキャップ、帯ヒンジタイプのキャップを挙げることが出来る。
【0017】
又、口部10には、口部側フランジ12と、口部側ラッチ爪13と、を備える。口部側フランジ12は、口部10の外周面で、口部側ねじ山10aの最下端の位置よりも下方の(第一の)位置P1に、口部10の径方向の外側に向かって、円環状に設けられている。ここでは、口部側フランジ12は、円環状に類似する円錐状に設けられている。尚、口部側フランジ12の円環は、基本的に、連続した円環を想定するが、これに限らず、例えば、複数の扇状の口部側フランジ12を間欠的に口部10の周方向に配置することで、不連続であるが略円環を構成する形状でも構わない。
【0018】
又、口部側ラッチ爪13は、口部側フランジ12の径方向の先端部12a、又は、口部10の上方の先端部を含む所定の位置から、口部10の上方に向かって所定の高さh1で突出されている。ここでは、口部側ラッチ爪13は、口部側フランジ12の径方向の先端部12aの一部12a1から局所的に突出されている。口部側ラッチ爪13は、口部側フランジ12の中心から見て放射状に均等に4つ設けられている。又、口部側ラッチ爪13の形状は、例えば、クサビ形の角錐台であり、キャップ11を開ける口部側ねじ山10aの回転方向の口部側ラッチ爪13の第一の側面13aが、キャップ11を閉める口部側ねじ山10aの回転方向の口部側ラッチ爪13の第二の側面13bよりも広く構成されている。
【0019】
又、キャップ11には、段差面14と、キャップ側ラッチ歯15と、キャップ側フランジ16と、を備える。段差面14は、キャップ11の内周面で、螺合後の口部10の口部側ラッチ爪13に対向する対向周壁11bの厚みt1を薄くすることで形成されている。ここでは、段差面14は、対向周壁11bの厚みt1を、キャップ側ねじ山11aが設けられたねじ山周壁11cの厚みt2よりも薄くすることで、例えば、逆L字状に構成されている。
【0020】
又、キャップ側ラッチ歯15は、段差面14から、キャップ11の下方向に向かって、口部側ラッチ爪13の高さh1に対応する所定の高さh2で突出されている。ここでは、キャップ側ラッチ歯15は、段差面14の一部14a1に局所的に設けられ、口部側ラッチ爪13の設置位置に対応して、キャップ11の中心から見て放射状に均等に4つ設けられている。又、キャップ側ラッチ歯15の形状は、例えば、クサビ形の角錐台であり、キャップ11を閉めるキャップ側ねじ山11aの回転方向のキャップ側ラッチ歯15の第一の側面15aが、キャップ11を開けるキャップ側ねじ山11aの回転方向のキャップ側ラッチ歯15の第二の側面15bよりも広く構成されている。
【0021】
又、キャップ側フランジ16は、キャップ11の周壁のうち、薄く形成された下方周壁11dの内周面で、螺合後の口部10の口部側フランジ12に対向する(第二の)位置P2に、ねじ山周壁11cの内周面と下方周壁11dの内周面との間の厚みt3よりも薄い所定の厚みt4で、キャップ11の中心に向かって、円環状に設けられている。ここでは、口部側ラッチ爪13が、口部側フランジ12の径方向の先端部12aに設けられていることから、キャップ側ラッチ歯15が設けられる対向周壁11bは、キャップ11の下方周壁11dと連続している。又、ねじ山周壁11cの内周面と下方周壁11dの内周面との間の厚みt3は、段差面14の厚み(高さ)に相当する。
【0022】
尚、キャップ側フランジ16の円環は、上述と同様に、基本的に、連続した円環を想定するが、これに限らず、例えば、複数の扇状のキャップ側フランジ16を間欠的にキャップ11の周方向に配置することで、不連続であるが略円環を構成する形状でも構わない。
【0023】
そして、本発明に係るキャップ付き容器1は、図4図7に示すように、キャップ11を口部10に螺合すると、キャップ側ラッチ歯15が口部側ラッチ爪13に当接するとともに、口部側フランジ12がキャップ側フランジ16に引っ掛かる。これにより、螺合後のキャップ11の逆回転を確実に防止するとともに、割り型を用いずに製造性に優れるキャップ付き容器を提供することが出来る。
【0024】
即ち、本発明では、キャップ11を口部10に螺合すると、キャップ11のキャップ側ねじ山11aが口部10の口部側ねじ山10aに沿って回転して、キャップ11のキャップ側ラッチ歯15が、口部側ねじ山10aに対するキャップ側ねじ山11aの回転(螺合)によって、口部10の口部側ラッチ爪13に上方から接近して当接する。
【0025】
ここで、図6に示すように、口部側ラッチ爪13とキャップ側ラッチ歯15との当接に伴って、口部側フランジ12がキャップ側フランジ16に接近し、キャップ側フランジ16の先端部16aを乗り上げて、キャップ側フランジ16に当接する。つまり、口部側ラッチ爪13がキャップ側ラッチ歯15に当接することによって、口部側フランジ12がキャップ側フランジ16に当接する。このような二つの当接により、口部10とキャップ11との接触面積(当接面積)を増加させ、キャップ11と口部10との係合力を高めることが可能となる。その結果、螺合後のキャップ11が逆回転しようとしても、キャップ11と口部10との係合力の高さから、キャップ11の逆回転を防止することが出来る。従って、本発明では、容器の内容物が液体の場合であっても、キャップ11の気密性を確保し、液体がキャップ11から漏れ出ることを確実に防止することが出来るのである。
【0026】
又、口部側ねじ山10aに対するキャップ側ねじ山11aの回転によって、口部側フランジ12がキャップ側フランジ16に当接するように構成することで、一定のクイック感をユーザに与えることが出来ることから、ユーザにキャップ11の閉め状態を知らせることが可能となる。
【0027】
ここで、本発明では、口部側ラッチ爪13は、口部側フランジ12の径方向の先端部12aから、口部10の上方向に向かって突出されている。このことから、口部側フランジ12や口部側ラッチ爪13の外周面に接触する外側の金型は、口部10の左右方向のいずれかに移動させるだけで、外側の金型を抜くことが出来る。つまり、外側の金型を、口部側フランジ12の部分だけ口部側ラッチ爪13の形状に合わせて凹ますことで構成することが可能である。その結果、外側の金型が複雑化する必要が無く、金型の作成を容易にすることが出来る。
【0028】
これは、キャップ側ラッチ歯15についても同様の作用効果がある。つまり、キャップ側ラッチ歯15は、段差面14から、キャップ11の下方向に向かって突出されていることから、段差面14やキャップ側ラッチ歯15の外周面に接触する外側の金型は、段差面14の部分だけキャップ側ラッチ歯15の形状に合わせて凹ますことで構成することが可能となる。
【0029】
更に、キャップ側フランジ16は、段差面14の厚みt3よりも薄い所定の厚みt4で構成されている。このことから、図7に示すように、キャップ11の内周面の一部やキャップ11の下方周壁11dの内周面に接触する内側の金型M1の構造を一つの抜き型で構成することが出来る。つまり、キャップ側フランジ16の厚みt4(高さ)が薄いことから、このキャップ側フランジ16の厚みt4に合わせて、内側の金型M1をキャップ11の左右方向に移動させる必要が無い。そして、内側の金型M1をキャップ11の下方向に移動させるだけで、キャップ側フランジ16が多少凹むことで、内側の金型M1を抜くことが出来るのである。これにより、内側の金型M1を、キャップ11の左右方向に移動させるために割り型にする必要が無くなり、内側の金型M1のコストを低下させて、抜き工程の数を減らし、生産性を向上させることが出来るのである。このように、本発明では、キャップ11の機能面と生産面の両方を高めることが可能となる。
【0030】
ここで、口部10とキャップ11を構成する樹脂に特に限定は無く、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等を挙げることが出来る。
【0031】
又、口部10の構成は、口部側フランジ12と、口部側ラッチ爪13と、を備えていれば、特に限定は無いが、例えば、図1図2に示すように、スパウトパウチ用の構成でも良いし、瓶用の構成でも構わない。
【0032】
又、キャップ11の構成は、段差面14と、キャップ側ラッチ歯15と、キャップ側フランジ16と、を備えていれば、特に限定は無いが、例えば、図1図2に示すように、ヒンジキャップの構成でも良いし、ヒンジなしの通常のキャップの構成でも構わない。
【0033】
又、口部側フランジ12の形状に特に限定は無いが、例えば、図1図3に示すように、断面形状が、底辺が口部10の左右方向に平行で、斜辺が口部10の上方に延びた三角形状の円錐状でも良いし、断面形状が、底辺が口部10の左右方向に平行で、斜辺が口部10の下方に延びた逆三角形状の逆円錐状でも良いし、断面形状が、半円又は半楕円の形状の円環状でも良いし、断面形状が、四角形の円環状でも良い。口部側フランジ12の平面視での円環形状に特に限定は無いが、円環形状の他に多角形の環形状でも構わない。
【0034】
又、口部側フランジ12が設けられる下方の位置P1は、口部側フランジ12とキャップ側フランジ16との当接との兼ね合いで、キャップ側フランジ16が設けられる下方の位置P2に基づいて設定される。
【0035】
又、口部側フランジ12の先端部12aの形状に特に限定は無いが、例えば、図1図3に示すように、四角形状でも良いし、半円又は半楕円の形状でも構わない。又、口部側フランジ12の先端部12の厚み(高さ)に特に限定は無いが、例えば、図6に示すように、キャップ側フランジ16の先端部16aを乗り越える程度の厚みに設計されると好ましい。
【0036】
又、口部側ラッチ爪13の形状に特に限定はないが、例えば、図1図3に示すように、クサビ形の角錐台でも良いし、図8に示すように、三角錐形や四角錐台等の多角錐台でも良いし、半球状や半楕円球状でも良い。口部側ラッチ爪13の長さに特に限定は無いが、図1図3に示すように、局所的な長さでも良いし、口部側ねじ山10aの一周の4分の1の長さや口部側ねじ山10aの一周の2分の1の長さ等、適宜設計可能である。
【0037】
ここで、口部側ラッチ爪13の上面角度は、口部側ねじ山10aのリード角度に対応すると好ましく、キャップ側ラッチ歯15の上面角度は、キャップ側ねじ山11aのリード角度に対応すると好ましい。口部側ラッチ爪13の上面角度とは、水平線に対して口部側ラッチ爪13の上面が形成する角度を意味し、口部側ねじ山10aのリード角度とは、水平線に対して口部側ねじ山10aが形成する角度を意味する。又、キャップ側ラッチ歯15の上面角度とは、水平線に対してキャップ側ラッチ歯15の上面が形成する角度を意味し、キャップ側ねじ山11aのリード角度とは、水平線に対してキャップ側ねじ山11aが形成する角度を意味する。これにより、口部側ねじ山10aに対するキャップ側ねじ山11aの回転によって、キャップ側ラッチ歯15が口部側ラッチ爪13に上方から接近したとしても、キャップ側ラッチ歯15よりも前のキャップ側ラッチ歯15が口部側ラッチ爪13に衝突することなく、口部側ラッチ爪13の上方を横切り、次のキャップ側ラッチ歯15を口部側ラッチ爪13に当接させることが可能となる。
【0038】
尚、口部側ねじ山10aのリード角度は、キャップ側ねじ山11aのリード角度と同一であると好ましいが、上述の衝突が生じない範囲内で、キャップ側ねじ山11aのリード角度を中心とした所定の範囲内に含まれていても構わない。
【0039】
又、口部側ラッチ爪13の高さh1は、口部側ラッチ爪13とキャップ側ラッチ歯15との当接の兼ね合いで、キャップ11が口部10に螺合された場合の口部側フランジ12との下方の位置P1と、キャップ11の段差面14が設けられた位置と、キャップ側ラッチ歯15の高さh2とに基づいて設定される。
【0040】
例えば、口部側ラッチ爪13の高さh1は、口部側ねじ山10aの一周に対して口部側ラッチ爪13の長さが占める割合を、口部側ねじ山10aのピッチ(口部側ねじ山10aの山から山までの長さ、又は、谷から谷までの長さ)で乗じた値に対応すると好ましい。同様に、キャップ側ラッチ歯15の高さh2は、キャップ側ねじ山11aの一周に対してキャップ側ラッチ歯15の長さが占める割合を、キャップ側ねじ山11aのピッチ(キャップ側ねじ山11aの山から山までの長さ、又は、谷から谷までの長さ)で乗じた値に対応すると好ましい。これにより、口部側ねじ山10aに対するキャップ側ねじ山11aの回転によって、キャップ側ラッチ歯15が口部側ラッチ爪13に上方から接近したとしても、キャップ側ラッチ歯15よりも前のキャップ側ラッチ歯15が口部側ラッチ爪13に衝突することなく、次のキャップ側ラッチ歯15を口部側ラッチ爪13に当接させることが可能となる。
【0041】
又、口部側ラッチ爪13が口部側フランジ12の径方向の先端部12aに設けられている場合、口部側ラッチ爪13の高さh1は、例えば、図3に示すように、口部側フランジ12の最上端の位置12bと、口部側フランジ12の最下端の位置12cとの間の高さ以下であると好ましく、つまり、口部側ラッチ爪13の高さh1は、口部側フランジ12の厚みt5(高さ)以下であると好ましい。これにより、口部側ラッチ爪13を製造するための外側の金型を構成する際に、口部側フランジ12の部分の凹みから超えない範囲で、口部側ラッチ爪13の形状に合った部分を凹ますことで構成することが出来るため、金型の作成をより容易にすることが出来る。
【0042】
又、口部側ラッチ爪13の数に特に限定は無いが、例えば、図1図3に示すように、口部側フランジ12の中心から見て放射状に均等に4つにしても良いし、不均一に4つにしても良いし、図8に示すように、口部側フランジ12の中心から見て対称に2つにしても良いし、不均一に2つにしても良いし、口部側フランジ12の中心から見て放射状に均等に6つにしたり8つにしたりしても構わない。口部側ラッチ爪13の数は、口部10の径方向のサイズに応じて適宜設計され、口部10の径方向のサイズが大きくなる程、口部側ラッチ爪13の数を増やしても構わない。
【0043】
尚、口部側ラッチ爪13は、キャップ側ラッチ歯15と当接することから、口部側ラッチ爪13の数は、キャップ側ラッチ歯15の数と同一に設定される。又、口部側ラッチ爪13の設置位置は、キャップ側ラッチ歯15の設置位置と同一に設定される。
【0044】
又、図1図6に示すように、口部側ラッチ爪13の第一の側面13aが口部側ラッチ爪13の第二の側面13bよりも広く構成されている。又、キャップ側ラッチ歯15の第一の側面15aがキャップ側ラッチ歯15の第二の側面15bよりも広く構成されている。つまり、キャップ側ラッチ歯15の第一の側面15aと当接する口部側ラッチ爪13の第一の側面13aを広く構成し、口部側ラッチ爪13の第一の側面13aと当接するキャップ側ラッチ歯15の第一の側面15aを広く構成している。これにより、キャップ11を口部10に螺合した際に、口部側ラッチ爪13の第一の側面13aがキャップ側ラッチ歯15の第一の側面15aと当接して、その接触面積が広くなるため、キャップ11の位置決めを確実にするとともに、キャップ11と口部10との係合力を高めることが可能となる。
【0045】
又、段差面14の形状に特に限定は無いが、例えば、図1図3に示すように、逆L字状に構成しても良いし、傾斜状や円弧状に構成しても構わない。
【0046】
又、キャップ側ラッチ歯15の形状に特に限定はないが、例えば、図1図3に示すように、クサビ形の角錐台でも良いし、図8に示すように、三角錐形や四角錐台等の多角錐台でも良いし、半球状や半楕円球状でも良い。又、キャップ側ラッチ歯15の形状は、口部側ラッチ爪13とキャップ側ラッチ歯15との当接の兼ね合いで、口部側ラッチ爪13の形状と同一でも良いし、若干異なっていても構わない。又、キャップ側ラッチ歯15の長さに特に限定は無いが、図1図3に示すように、局所的な長さでも良いし、キャップ側ねじ山11aの一周の4分の1の長さやキャップ側ねじ山11aの一周の2分の1の長さ等、適宜設計可能である。尚、キャップ側ラッチ歯15の長さは、口部側ラッチ爪13の長さと同一に設定されると好ましい。
【0047】
さて、上述では、口部側ラッチ爪13が口部側フランジ12の径方向の先端部12aの一部12a1に設けられ、キャップ側ラッチ歯15が段差面14の一部14a1に設けられていたが、他の構成であっても構わない。例えば、図9に示すように、口部側ラッチ爪13は、口部10の上方の先端部10bから、口部10の上方に向かって所定の高さh1で突出されている。又、段差面14は、キャップ11の内周面で、螺合後の口部10の口部側ラッチ爪13に対向する対向周壁11bの厚みを薄くすることで形成されている。ここでは、段差面14は、キャップ11の内周面で、キャップ側ねじ山11aの上方の先端部11a1に形成されている。そして、キャップ側ラッチ歯15は、段差面14から、キャップ11の下方向に向かって、口部側ラッチ爪13の高さh1に対応する所定の高さh2で突出されている。尚、図9では、キャップ11を上下方向に切断されているキャップ11の正面視斜視図が表されている。
【0048】
ここで、口部側ラッチ爪13の上面角度α1は、口部側ねじ山10aのリード角度α2に対応し、キャップ側ラッチ歯15の上面角度β1は、キャップ側ねじ山11aのリード角度β2に対応している。
【0049】
又、口部側ラッチ爪13の長さは、口部側ねじ山10aの一周の4分の1の長さで設けられているため、口部側ラッチ爪13の高さh1は、口部側ねじ山10aの一周に対して口部側ラッチ爪13の長さが占める割合(4分の1)を、口部側ねじ山10aのピッチで乗じた値(口部側ねじ山10aのピッチの4分の1)に対応している。又、口部側ラッチ爪13の長さが口部側ねじ山10aの一周の4分の1の長さであるため、口部側ラッチ爪13の数は4つ設けられている。
【0050】
同様に、キャップ側ラッチ歯15の長さは、キャップ側ねじ山11aの一周の4分の1の長さで設けられているため、キャップ側ラッチ歯15の高さh2は、キャップ側ねじ山11aの一周に対してキャップ側ラッチ歯15の長さが占める割合(4分の1)を、キャップ側ねじ山11aのピッチで乗じた値(キャップ側ねじ山11aのピッチの4分の1)に対応している。又、キャップ側ラッチ歯15の長さがキャップ側ねじ山11aの一周の4分の1の長さであるため、キャップ側ラッチ歯15の数は4つ設けられている。
【0051】
そして、図10に示すように、キャップ11を口部10に螺合すると、キャップ側ねじ山11aが口部側ねじ山10aに沿って回転して、キャップ側ラッチ歯15が口部側ラッチ爪13に上方から接近したとしても、キャップ側ラッチ歯15よりも前のキャップ側ラッチ歯15が口部側ラッチ爪13に衝突することなく、次のキャップ側ラッチ歯15を口部側ラッチ爪13に当接させることが可能となる。
【0052】
又、口部側ラッチ爪13がキャップ側ラッチ歯15に当接することによって、口部側フランジ12がキャップ側フランジ16を乗り上げて、キャップ側フランジ16に当接する。このように構成しても、本発明の作用効果を奏する。
【0053】
ここで、口部側ラッチ爪13とキャップ側ラッチ歯15との接触面積は、口部側ラッチ爪13の高さh1とキャップ側ラッチ歯15の高さh2によって変動するものの、口部側ラッチ爪13の高さh1とキャップ側ラッチ歯15の高さh2に対して4分の1以上の高さの重なりによる接触面積であると、好ましい。これにより、口部側ラッチ爪13とキャップ側ラッチ歯15との接触面積を十分に確保することが出来る。
【0054】
又、口部側ラッチ爪13は、口部10の上方の先端部10bから、口部10の上方向に向かって突出されている。つまり、口部10の上方の先端部10bや口部側ラッチ爪13の外周面に接触する外側の金型は、上述と同様に、口部10の上方の先端部10bの部分だけ口部側ラッチ爪13の形状に合わせて凹ますことで構成することが可能であり、外側の金型が複雑化する必要が無く、金型の作成を容易にすることが出来る。
【0055】
更に、これは、キャップ側ラッチ歯15についても同様であり、段差面14やキャップ側ラッチ歯15の外周面に接触する外側の金型を、段差面14の部分だけキャップ側ラッチ歯15の形状に合わせて凹ますことで構成することが可能なのである。
【0056】
尚、図9図10では、口部側ねじ山10aとキャップ側ねじ山11aには、ねじ山に対して上下方向に沿って開口された水抜き用のスリットが設けられている。
【0057】
さて、キャップ側フランジ16の形状に特に限定は無いが、例えば、図1図3図9に示すように、断面形状が、半円又は半楕円の形状の円環状でも良いし、断面形状が、四角形の円環状でも良いし、断面形状が、底辺が口部10の左右方向に平行で、斜辺が口部10の上方に延びた三角形状の円錐状でも良いし、断面形状が、底辺が口部10の左右方向に平行で、斜辺が口部10の下方に延びた逆三角形状の逆円錐状でも良い。又、キャップ側フランジ16の平面視での円環形状に特に限定は無いが、円環形状の他に多角形の環形状でも構わない。
【0058】
又、キャップ側フランジ16の先端部16aの形状に特に限定は無いが、例えば、図1図3図9に示すように、半円又は半楕円の形状でも良いし、四角形状でも構わない。又、キャップ側フランジ16の先端部16aの厚み(高さ)に特に限定は無いが、例えば、図6に示すように、口部側フランジ12の先端部12aに引っ掛かる程度の厚みに設計されると好ましい。
【0059】
さて、本発明に係るキャップ付き容器1の作用効果について説明する。実施例として、図1図8に基づいて、口部10とキャップ11とを製造した。ここで、実施例では、口部側フランジ12は、円錐状に構成され、口部側ラッチ爪13は、クサビ形の角錐台に構成され、口部側フランジ12の中心から見て対称に2つ設けられている。又、段差面14は、逆L字状に構成され、キャップ側ラッチ歯15は、口部側ラッチ爪13に対応して、クサビ形の角錐台に構成され、キャップ11の中心から見て対称に2つ設けられている。又、キャップ側フランジ16は、円環状に構成されている。
【0060】
一方、比較例として、図11図12に基づいて、キャップ付き容器2の口部20とキャップ21とを製造した。ここで、比較例では、口部側フランジ22は、円錐状に構成され、口部側ラッチ爪23は、口部側フランジ22の最下端よりも下方の位置に直方体として突出して設けられており、口部側フランジ22の中心から見て対称に2つ設けられている。又、キャップ21には、段差面24が設けられているが、この段差面24は、口部側フランジ22が当接するように設定されている。又、キャップ側ラッチ歯25は、キャップ21の内側に向かって、段差面24の厚み(高さ)よりも厚く突出している。このような構成は、従来と同様である。又、比較例の口部20及びキャップ21は、実施例の口部10及びキャップ11と同等のサイズに構成した。
【0061】
さて、所定の締めトルク値で締めることが可能な自動トルクメーターを用意し、係合力の確認試験を行った。先ず、実施例と比較例のそれぞれを自動トルクメーターに設置し、手動でキャップを口部に螺合して、両者が軽く止まるところまで(口部側ラッチ爪とキャップ側ラッチ歯とが当接するところまで)閉めた。その時、キャップの中心線と口部の中心線とに基準線を設けて、キャップの基準線と口部の基準線とを一致させて、その時の口部とキャップの位置関係を±0度として定義した。
【0062】
次に、50N*cmから、70N*cm、90N*cm、110N*cm、130N*cm、140N*cmまでの締めトルク値を自動トルクメーターに設定し、30度/secの締め速度で締めトルク値までキャップを締めた。その時のキャップの向きを、キャップの中心線と口部の中心線とに基づいて分度器でキャップの角度として測定した。ここで、キャップの角度の符号がプラスの場合は、キャップが閉め過ぎている場合に該当し、キャップの角度の符号がマイナスの場合は、キャップが閉められていない場合に該当する。
【0063】
その結果、図13に示すように、比較例では、締めトルク値が110N*cmの場合、キャップの角度は、+5度であったが、締めトルク値が130N*cmの場合、キャップの角度が、+15度と急激に増加し、締めトルク値が140N*cmの場合、キャップの角度が、+20度と著しく増加した。ここで、キャップの角度の規格は、目視で±9度と設定されており、締めトルク値が130N*cmの場合、比較例では、キャップと口部との係合力が不足して、規格を満たさないことが理解される。
【0064】
一方、実施例では、締めトルク値が110N*cmの場合、キャップの角度は、+4度であったが、締めトルク値が130N*cmの場合、キャップの角度が、+6度となり、更に強い締めトルク値が140N*cmの場合であっても、キャップの角度が、+7度を維持していた。つまり、締めトルク値が140N*cmの場合であっても、実施例では、キャップの角度の規格を満たしており、キャップと口部との係合力が十分にあることが理解される。
【0065】
さて、比較例のキャップ21について、内側の金型を検討すると、比較例では、2つのキャップ側ラッチ歯25は、キャップ21の内側に向かって、段差面24の厚みよりも厚く突出していることから、図14に示すように、第一のキャップ側ラッチ歯25の内周面に接触する第一の内側の金型M11と、第二のキャップ側ラッチ歯25の内周面に接触する第二の内側の金型M12と、第一の内側の金型M11と、第二の内側の金型M12との間に挟まった第三の内側の金型M13とが必要となる。ここで、これらの金型M11、M12、M13を抜く場合、先ず、第三の内側の金型M13をキャップ21の下方に移動させてから、第一の内側の金型M11と、第二の内側の金型M12とのそれぞれをキャップ21の内側に移動させる必要がある。このように、比較例では、実施例と比較して、内側の金型M11、M12、M13が複数になるとともに、複雑化し、且つ、抜き工程の数が増え、生産性が悪いことが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明に係るキャップ付き容器は、食品調味料、薬品、化粧品、シャンプー、リンス、液体せっけんなど、液体の内容物を収容するキャップ付き容器に有用であり、螺合後のキャップの逆回転を確実に防止するとともに、割り型を用いずに製造性に優れるキャップ付き容器として有効である。
【符号の説明】
【0067】
1 キャップ付き容器
10 口部
11 キャップ
12 口部側フランジ
13 口部側ラッチ爪
14 段差面
15 キャップ側ラッチ歯
16 キャップ側フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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