(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156511
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20241029BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241029BHJP
B41J 2/52 20060101ALI20241029BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241029BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241029BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20241029BHJP
H04N 1/46 20060101ALI20241029BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J29/42 F
B41J2/52
G03G15/00 303
G03G21/00 510
G03G21/00 386
G03G15/01 Y
H04N1/46
H04N1/407
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071034
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】牧野 洋二
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
2H300
5C077
【Fターム(参考)】
2C061AP00
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061CQ05
2C061CQ23
2C061CQ34
2C061KK18
2C061KK26
2C061KK28
2C061KK35
2H270LA19
2H270LB06
2H270LB13
2H270LD03
2H270LD09
2H270LD14
2H270MB25
2H270MB27
2H270MB39
2H270MB41
2H270MB43
2H270QA13
2H270QB01
2H270QB05
2H270RA27
2H270RB01
2H270RB04
2H270RC11
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
2H300EA13
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC02
2H300EC05
2H300EF03
2H300EH16
2H300EJ09
2H300EK03
2H300GG07
2H300GG11
2H300RR21
2H300RR31
2H300RR50
2H300TT03
2H300TT04
5C077LL11
5C077MM27
5C077MP08
5C077PP33
5C077PP36
5C077PP74
5C077PQ08
5C077TT02
(57)【要約】
【課題】複数の印刷物を印刷する画像形成装置において、画像形成装置のコンディションの変化、及び印刷中に生じる色変動等により、色変動が悪化した不要な印刷物が排出されてしまうことを抑制する。
【解決手段】画像形成装置は、印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出する測色領域抽出部と、単数部の印刷ジョブによって予め印刷された第1のページであって、前記測色領域における測色値を基準値として登録した第1のページと、複数部の前記印刷ジョブによって繰り返し印刷される第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出する測色領域抽出部と、
単数部の印刷ジョブによって予め印刷された第1のページであって、前記測色領域における測色値を基準値として登録した第1のページと、複数部の前記印刷ジョブによって繰り返し印刷される第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、
を有する、画像形成装置。
【請求項2】
予め印刷した単数部の前記印刷ジョブによって抽出された前記測色領域における測色値を基準値として登録する基準値登録部を有する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記色差判定部は、予め印刷された単数部の前記印刷ジョブの基準とする前記測色領域における前記第1のページの測色値と、判定の対象となる、複数部による繰り返し印刷される前記印刷ジョブの前記第2のページの測色値との差分を前記色差として算出する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1のページは、予め印刷が行われる単数部の前記印刷ジョブに含まれるページであり、
前記第2のページは、前記印刷ジョブが複数部印刷されたときの1部目以降に含まれる、前記第1のページと同一のページ数のページであり、
前記色差判定部は、予め印刷が行われる単数部の前記印刷ジョブに含まれるページと、複数部の前記印刷ジョブとの同一ページ数によるページの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記測色領域抽出部によって自動的に抽出された測色領域を元にして、ユーザから、前記画像が形成される領域のうち測色すべき領域から除外する除外領域の指定、追加する測色領域の指定、のうち少なくとも1つの指定を受け付け、受け付けた指定に基づいて変更した領域を前記測色領域とする、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
算出された前記色差が、設定された閾値を超過した場合、印刷を一時停止し、前記色差が超過したことを示すメッセージを表示する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記色差判定部が算出した前記色差を示す情報を表示する表示制御部を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像データを含む印刷ジョブデータを画像形成装置に送信する情報処理装置と、前記画像形成装置とを含む画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出する測色領域抽出部と、
単数部の印刷ジョブによって予め印刷された第1のページであって、前記測色領域における測色値を基準値として登録した第1のページと、複数部の前記印刷ジョブによって繰り返し印刷される第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、
を有する、
画像形成システム。
【請求項9】
画像形成装置が、
印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出する処理と、
単数部の印刷ジョブによって予め印刷された第1のページであって、前記測色領域における測色値を基準値として登録した第1のページと、複数部の前記印刷ジョブによって繰り返し印刷される第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する処理と、
を実行する、画像形成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置で印刷に使用する色の階調を補正する技術がある。例えば、画像形成装置で印刷された印刷物をセンサで読み取って、読み取った色と目標の色とを比較することによって、印刷対象の画像データの階調を補正する色安定処理が知られている。
【0003】
また、印刷要求により印刷された画像の印刷領域外、すなわち用紙の端部付近となる位置に被測色部を合成した画像が印刷され、被測色部の測色結果に基づいて、画像品質を満たしているかを評価する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、例えば、複数の印刷物を繰り返し印刷する場合、画像形成装置のコンディションの変化、及び印刷中に生じる色変動等により、色変動が悪化したまま印刷が行われ、色変動が悪化した不要な印刷物が排出されてしまう場合がある。なお、この問題は、例えば、特許文献1に開示された技術を適用しても解決することはできない。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、複数の印刷物を印刷する画像形成装置において、画像形成装置のコンディションの変化、及び印刷中に生じる色変動等により、色変動が悪化した不要な印刷物が排出されてしまうことを抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出する測色領域抽出部と、単数部の印刷ジョブによって予め印刷された第1のページであって、前記測色領域における測色値を基準値として登録した第1のページと、複数部の前記印刷ジョブによって繰り返し印刷される第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、複数の印刷物を印刷する画像形成装置において、画像形成装置のコンディションの変化、及び印刷中に生じる色変動等により、色変動が悪化した不要な印刷物が排出されてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る画像形成システムのシステム構成の例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を説明するための図である。
【
図3】第1の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る画像形成装置の機能構成の概要を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る画像形成装置の機能構成の詳細を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る基準値の登録処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】一実施形態に係る測色領域の自動抽出について説明するための図である。
【
図9】一実施形態に係る測色除外領域の指定について説明するための図である。
【
図10】一実施形態に係る測色除外領域の指定画面の例を示す図である。
【
図11】一実施形態に係る測色領域の指定について説明するための図である。
【
図12】一実施形態に係る測色領域の指定画面の例を示す図である。
【
図13】一実施形態に係る色差判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図14】一実施形態に係る色差超過メッセージの表示画面の例を示す図である。
【
図15】一実施形態に係る色差情報の表示画面の例を示す図である。
【
図16】一実施形態に係る色差算出処理の例を示すフローチャートである。
【
図17】第2の実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態(本実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、一実施形態に係る画像形成システムのシステム構成の例を示す図である。画像形成システム1は、例えば、画像形成装置100、ユーザ端末101、及びサーバ102等を含む。画像形成装置100、ユーザ端末101、及びサーバ102は、例えば、インターネット、又はLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク103を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0011】
画像形成装置100は、例えば、カラープロダクションプリンタ、レーザープリンタ、又はインクジェットプリンタ等の画像を形成する装置である。例えば、画像形成装置100は、ユーザ端末101、又はサーバ102等から画像データを受信し、受信した画像データに基づいて、記録媒体である用紙に画像を印刷する画像形成処理(印刷処理)を実行する。
【0012】
ユーザ端末101は、ユーザの操作に基づいて、画像の印刷を指示する端末である。例えば、ユーザ端末101は、画像データを含む印刷ジョブデータを画像形成装置100またはサーバ102に送信する。
【0013】
サーバ102は、コンピュータの構成を有する情報処置装置、又は複数のコンピュータを含むシステムである。サーバ102は、例えば、印刷ジョブデータの管理、及びカラープロファイルの管理等を行う。例えば、サーバ102は、ユーザ端末101から印刷ジョブデータを受信すると、受信したジョブデータを、印刷待ちの印刷ジョブデータを格納する記憶部に待ち行列として追加する。また、管理サーバ40は、待ち行列に追加された順に、または適宜設定された優先度にしたがって、待ち行列から印刷ジョブデータを抽出して、画像形成装置100に送信する。なお、ユーザ端末101、及びサーバ102は、画像データを含む印刷ジョブデータを画像形成装置に送信する情報処理装置の一例である。
【0014】
(課題について)
複数の印刷物を印刷する画像形成装置100では、例えば、数百枚、数千枚といった連続出力における出力色の安定性が求められる。特に、チラシやカタログ類など、数ページごとに、若干のコンテンツが差し替えられた程度の同種原稿が反復印刷されるようなユースケースでは再現色の安定管理が重要となる。
【0015】
しかし、本格的な商用印刷とは異なり、画像形成システム1が利用される動作環境は、必ずしも厳密には管理されない場合がある。また、画像形成システム1には、例えば、多様な原稿種の混合印刷により、トナーやインキの供給量やマシンコンディションも刻々と変化するといった回避不能な不安定要因もある。
【0016】
そのため、例えば、連続的に大量印刷する印刷物の画像上の写真領域や、デザイン画、コーポレートロゴなど、色を管理したい領域に対する色の安定管理が難しい。例えば、事前にキャリブレーションなどによって、画像形成装置100の色調整作業を実施し、所望する色味状態に調整しておいても、画像形成装置100を数時間放置するだけでマシンコンディションの変化等によって、調整した色味状態が変化する場合がある。従って、放置後にジョブを印刷した場合、印刷初期の印刷物の色味状態が所望する色味でない状態で連続印刷が開始されてしまう恐れがある。さらに、印刷中に生じる色変動によっても色味が変化してしまうため、色変動が悪化した状態のまま印刷を完了させた場合、色変動が悪化した不要な印刷物が大量に排出されてしまうケースがある。
【0017】
そこで、本実施形態に係る画像形成装置100は、印刷画像の繰り返し印刷を行う場合、予め1部数分のジョブを印刷し、印刷したジョブの各ページの画像上で測色可能な領域を抽出し、当該領域の色情報を基準値として登録する。また、画像形成装置100は、同じジョブの複数部による繰り返し印刷を実施するときに、1部目以降の同一ページ間の同一画像領域間で測色された色情報の色差をそれぞれ比較し、比較した色差が予め設定した色差閾値を超過した際に印刷動作を一時停止する。従って、ユーザは、印刷を中断するか、継続するかの判断、及び操作が可能となるため、色変動状態が悪化して不要となってしまうような印刷物(損紙)の排出を抑制することが可能となる。
【0018】
<ハードウェア構成>
(画像形成装置の内部構造)
図2は、一実施形態に係る画像形成装置の内部構造について説明するための図である。画像形成装置100は、例えば、画像形成機構4、給紙部2、転写部5、定着部6、測定センサ45、及び排紙部7等を備える。
【0019】
給紙部2は、用紙Pを画像形成機構4に搬送する。給紙部2は、例えば、給紙口20、給紙ローラ21、及びレジストローラ対22等を有する。給紙口20は、画像形成機構4の内部に用紙Pを給紙するための開口部である。給紙ローラ21は、給紙口20から給紙された用紙Pを転写部5まで搬送するためのローラである。レジストローラ対22は、給紙ローラ21から搬送される用紙Pを所定のタイミングで転写部5に送り出すためのローラ対である。
【0020】
画像形成機構4は、用紙Pに画像を形成する。画像形成機構4は、4つのプロセスユニット4Y、4M、4Cおよび4Kを有している。プロセスユニット4Y、4M、4Cおよび4Kは、転写ベルト47にトナー像を転写するための複数の基本色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色に対応している。また、プロセスユニット4Y、4M、4Cおよび4Kは、それぞれ像担持体であるドラム状の感光体40Y、40M、40Cおよび40Kを有する。プロセスユニット4Y、4M、4Cおよび4Kは、いずれも同様の構成を有し、説明が重複するため、ここでは、特にイエロー(Y)に対応するプロセスユニット4Yの構成について説明する。
【0021】
プロセスユニット4Yは、感光体40Yと、帯電装置42Yと、レーザユニット53Yと、現像装置43Yと、1次転写ローラ5Yと、クリーニング装置44Yと、を有する。感光体40Yは、
図2に示される反時計方向である方向Aに回転する回転体としての像担持体であるドラム状の部材であり、レーザユニット53Yが射出する走査光の被走査面である感光層が形成されている。帯電装置42Yは、感光体40Yを帯電させる装置である。レーザユニット53Yは、走査光を走査することによって、感光体40Yに潜像を形成するユニットである。
【0022】
現像装置43Yは、レーザユニット53Yにより形成された感光体40Y上の潜像に対して、イエロー(Y)のトナーにより現像してトナー像を形成する装置である。1次転写ローラ205Yは、巻き掛けられた転写ベルト47に対して、感光体40Yに形成されたトナー像を転写するローラである。クリーニング装置44Yは、トナー像が転写ベルト47に転写された後に、感光体40Yに残っている余分なトナーを取り除く装置である。
【0023】
画像形成機構4はこのようなプロセスユニット4Y、4M、4Cおよび4Kによって、入力された原稿データ(入力画像)に基づいて、基本色の混色により転写ベルト47上に混色の画像であるトナー像を形成する。
【0024】
転写部5は、転写ベルト47に形成されたトナー像を用紙Pに転写する。転写部5は、転写ベルト47と、駆動ローラ201と、従動ローラ202と、2次転写ローラ203と、を有する。転写ベルト47は、伸びの少ないポリイミド樹脂に、電気抵抗を調整するためのカーボン粉末を分散させたベルトである。転写ベルト47は、駆動ローラ201と、従動ローラ202と、2次転写ローラ203と、1次転写ローラ205Y、205M、205C、及び205Kと、に巻き掛けられている。
【0025】
駆動ローラ201は、
図2の方向Bに回転するように駆動源によって駆動される。従動ローラ202は、駆動ローラ201と同様に方向Bに回転する。
【0026】
2次転写ローラ203は、2次転写位置Nにおいて、対向するローラと共に転写ベルト47に当接してニップ部を形成しているローラである。2次転写ローラ203は、2次転写位置Nにおいて、対向するローラとの間に転写ベルト47を用紙Pと共に挟み込み、2次転写バイアスをかけて転写ベルト47表面のトナー像を用紙Pに転写する。2次転写バイアスとしては、転写ベルト47の表面に帯電している静電荷とは逆の極性の電荷を付与する。2次転写位置Nでトナー像が転写された用紙Pは、定着部6へ搬送される。
【0027】
測定センサ45は、用紙Pに定着された画像の反射特性を測定する。測定センサ45は、複数のモノクロラインセンサを組み合わせたインライン式の色度測定器である。複数のモノクロラインセンサは、R(赤)、G(緑)およびB(青)の3つの測定対象色に対して感度を持つように、前段に各測定対象色に対応するバンドパスフィルタが取り付けられている。
【0028】
測定センサ45は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色に対応する3つの分光特性を備えた測定チャンネルを有している。測定センサ45が有する測定チャンネルの個数を測定チャンネル数という。測定センサ45は、定着位置N2よりも用紙Pの搬送方向の下流に設置され、用紙Pに形成された画像(カラー画像)の全体または一部の反射特性を測定する。
【0029】
なお、測定センサ45は、少なくとも1つの分光特性を有する測定チャンネル、すなわち、1つ以上の基本色に対して感度を持った測定チャンネルを有するセンサであればよく、いわゆるカラースキャナであってもよい。また、測定センサ45は、単一の分光特性を有するモノクロラインセンサであってもよい。
【0030】
定着部6は、転写部5により転写された用紙Pの画像を定着させる。定着部6は、加熱ローラ61と定着ローラ62との間に形成された定着ニップ部N2を用紙Pが通過する際に、熱および圧力の作用により、用紙Pに担持されたトナー像を定着させ、用紙P上に良好なカラー画像を形成する。定着部6を通過した定着済みの用紙Pは、排紙部7から画像形成機構4の外へ排紙される。
【0031】
排紙部7は、用紙Pを外部に排出する。排紙部7は、切替爪と両面ユニットとを備え、切替爪の態様に応じて用紙Pを両面ユニットに進入させることによって、両面への画像形成を実現させる構成であってもよい。
【0032】
(画像形成装置のハードウェア構成)
図3は、一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。画像形成装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)301、メモリ302、補助記憶装置303、ネットワークI/F(Interface)304、プリンタエンジンI/F305、画像形成機構4、スキャナI/F306、及びスキャナ307等を備える。このうち、CPU301、メモリ302、補助記憶装置303、ネットワークI/F304、プリンタエンジンI/F305、スキャナI/F306、及び操作パネル308は、バス309を介して、互いにデータ通信可能に接続されている。
【0033】
CPU301は、画像形成装置100の動作を総括的に制御する演算装置(プロセッサ)である。メモリ302は、例えば、ファームウェア等のプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及びCPU301の演算処理時のワークエリア(作業領域)として使用されるRAM(Random Access Memory)等を含む。補助記憶装置303は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等の大容量の記憶装置であり、OS(Operating System)、各種プログラム、印刷データ、及びカラープロファイル等を記憶する。
【0034】
ネットワークI/F304は、画像形成装置100を通信ネットワーク103に接続し、外部の装置と通信するための通信インタフェースである。プリンタエンジンI/F305は、画像形成装置100が備える各装置が画像形成機構4と通信するためのインタフェースである。スキャナI/F306は、画像形成装置100が備える各装置がスキャナ27と通信するためのインタフェースである。スキャナ27は、測定センサ45の機能により用紙Pの画像を読み取る装置である。
【0035】
操作パネル308は、様々な表示画面を表示する表示デバイス、及びユーザによる入力操作を受け付ける入力デバイス等を備えている。なお、
図3に示した画像形成装置100のハードウェア構成は一例を示すものであり、その他の構成要素を含むものであってもよい。
【0036】
(コンピュータのハードウェア構成)
ユーザ端末101、及びサーバ102は、例えば、
図4に示すようなコンピュータ400のハードウェア構成を有している。或いは、サーバ102は、複数のコンピュータ400によって構成される。
【0037】
図4は、一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。コンピュータ400は、例えば、
図4に示されるように、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、HD(Hard Disk)404、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ405、ディスプレイ406、外部機器接続I/F(Interface)407、ネットワークI/F408、キーボード409、ポインティングデバイス410、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ412、メディアI/F414、及びバスライン415等を備えている。
【0038】
これらのうち、CPU401は、コンピュータ400全体の動作を制御する。ROM402は、例えば、起動用ファイル等のコンピュータ400の起動に用いられるプログラム、及びデータ等を記憶する。RAM403は、例えば、CPU401のワークエリア等として使用される。HD404は、例えば、OS(Operating System)、アプリケーション、デバイスドライバ等のプログラムや、各種データを記憶する。HDDコントローラ405は、例えば、CPU401の制御に従ってHD404に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0039】
ディスプレイ406は、例えば、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。なお、ディスプレイ406は、コンピュータ400の外部に設けられていてもよい。外部機器接続I/F407は、コンピュータ400に、外部装置を接続するためのインタフェースである。ネットワークI/F408は、例えば、通信ネットワークN等を利用してデータ通信をするためのインタフェースである。
【0040】
キーボード409は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス410は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行なう入力手段の一種である。なお、キーボード409、及びポインティングデバイス410は、コンピュータ300の外部に設けられていてもよい。
【0041】
DVD-RWドライブ412は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW411に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RW411は、DVD-RWに限らず、他の着脱可能な記録媒体であってもよい。メディアI/F414は、フラッシュメモリ等のメディア413に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。バスライン415は、上記の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス及び各種の制御信号等を含む。なお、
図4に示したコンピュータ400のハードウェア構成は一例である。
【0042】
<機能構成>
(画像形成装置の機能構成)
図5は、一実施形態に係る画像形成装置の機能構成の概要を示す図である。画像形成装置100は、例えば、画像処理部510、画像形成部520、及び表示制御部530等を有する。
【0043】
画像処理部510は、ユーザ端末101、又はサーバ102から通信ネットワーク103を介して受信した原稿データを、画像形成機構4で印刷可能な形式に変換するための画像処理を行う。ここで、原稿データは、例えば、RGBまたはCMYKでカラー指定されたビットマップデータ、テキストデータ、又は図形の描画命令等を含むデータフォーマットによって表現されたデータ等である。
【0044】
画像処理部510は、画像処理を行った原稿データを、画像形成機構4の基本色から構成された画素配列(ビットマップデータ、又はビットマップデータと等価な圧縮形式)を有する画像データに変換し、変換された画像データを階調処理部501に送る。
【0045】
画像形成部520は、例えば、階調処理部501、色差判定部502、画像検査部503、及び画像形成制御部504等を含む。階調処理部501は、画像処理部510によって変換された画素配列を有する画像データを、画像形成機構4が表現可能な階調数の画像データに変換する。
【0046】
画像検査部503は、画像形成機構4により印刷出力された用紙Pからスキャナ27により画像をインライン形式により検出する(読み込む)。例えば、画像検査部503は、スキャナ27に含まれる測定センサ45を制御することによって、画像を検出する。測定センサ45は、画像形成機構4によって形成された画像に向けて光を照射して、その反射光を受光することによって、画像の反射率を2次元的に面で測定して画像として検出する。すなわち、画像を検出することは、画像を構成する色を測定(以下、測色という)することになる。なお、画像検査部503の動作の詳細は後述する。
【0047】
色差判定部502は、画像検査部503によって検出された部ごとの画像の色を比較して色差を算出する。具体的には、色差判定部502は、予め1部数分の印刷ジョブデータを印刷した際に基準として登録した画像の色と、その後、複数部設定による印刷を行ったときのn部目(nは1以上の整数)の画像の色との色差を算出する。そして、色差判定部502は、算出された色差が、あらかじめ設定された閾値を超過した場合に、画像形成制御部504に通知する。なお、色差判定部502の動作の詳細については後述する。
【0048】
画像形成制御部504は、画像形成機構4による画像の形成を制御する。画像形成制御部504は、階調処理部501によって変換された画像データに基づいて、用紙Pに画像を印刷するように、画像形成機構4を制御する。また、画像形成制御部504は、通知を受けると、印刷を一時停止して、ユーザの指示を待つ。そして、画像形成制御部504は、ユーザから再開の指示を受けると、印刷を再開する。
【0049】
階調処理部501、色差判定部502、画像検査部503および画像形成制御部504は、それぞれ、CPU301がメモリ302に展開したプログラムに規定された処理を実行することによって実現される。なお、階調処理部501、色差判定部502、画像検査部503(スキャナ27を除く)、及び画像形成制御部504の機能の一部、又は全部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0050】
表示制御部530は、後述する、測色除外領域の指定画面、測色領域の指定画面、色差超過メッセージの表示画面、及び色差情報の表示画面等の様々な表示画面を、操作パネル308等の表示部に表示して、ユーザの操作を受け付ける表示制御処理を実行する。
【0051】
画像処理部510、及び表示制御部530は、例えば、画像形成部520を実現するハードウェアとは独立したハードウェアが、専用のソフトウェアおよび拡張ボード等を備えることによって実現される。したがって、画像処理部510を実現するハードウェアは、画像形成部520を実現するハードウェアと切り離して交換可能な構成となっていてもよい。
【0052】
なお、画像処理部510、及び表示制御部530は、画像形成部520を実現するハードウェアと通信可能であれば、画像形成装置100とは別体の端末によって実現されてもよく、例えばユーザ端末101、又はサーバ102によって実現されてもよい。また、画像処理部510、及び表示制御部530は、画像形成部520を実現するハードウェアによって実現されてもよい。
【0053】
図6は、一実施形態に係る画像形成装置の機能構成の詳細を示す図である。画像処理部510は、例えば、第一変換部601、第二変換部602、階調補正部603、及び画像記憶部604等を含む。
【0054】
第一変換部601は、原稿データQをLab形式に変換する。第二変換部602は、Lab形式をCMYK形式に変換する。階調補正部603は、選択されたカラープロファイルに基づいて階調を補正する。階調が補正されたデータを画像データRとする。画像記憶部604は、生成された画像データRを含む各種のデータを、一時的に、或いは画像形成を行う間、継続的に記憶する。
【0055】
画像検査部503は、測定センサ45によって測定された計測値mesColに基づいて測色値mesLabを算出する。例えば、画像検査部503は、計測値mesColを測色値mesLabに変換する計測値変換部605を含む。
【0056】
色差判定部502は、抽出された測色領域における測色の結果から第1のページと後続の第2のページとの間の色差を算出し、算出された色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する。例えば、色差判定部502は、単数部の印刷ジョブによって予め印刷された第1のページであって、前記測色領域における測色値を基準値として登録した第1のページと、複数部の当該印刷ジョブによって繰り返し印刷される第2のページとの間の色差を算出する。第1のページと第2のページは、例えば、印刷ジョブに含まれる異なるページである。なお、第1のページと第2のページは、印刷ジョブが複数の部数を含む場合において、異なる部に含まれる同一のページ数のページであってもよい。例えば、第1のページは、予め印刷した印刷ジョブの1部目に含まれるページである。また、第2のページは、複数部設定によって印刷された印刷ジョブのn部目(nは1以上の整数)以降に含まれる、第1のページと同一のページ数のページである。
【0057】
色差判定部502は、例えば、測色領域抽出部606、色差算出部607、及び基準値登録部608等を含む。測色領域抽出部606は、印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出する。例えば、測色領域抽出部606は、画像データRに含まれる画像の階調変化を解析して、例えば階調変化の少ない領域を測色に適した領域として抽出する。
【0058】
なお、測色領域抽出部606は、表示制御部530が表示する測色領域の指定画面において、ユーザの指定を受けた領域を測色領域としてもよい。さらに、測色領域抽出部606は、表示制御部530が表示する測色除外領域の指定画面において、ユーザの指定を受けた除外領域を測色除外領域としてもよい。ユーザから測色除外領域が指定されると、測色領域抽出部606は、画像データRにおける画像領域のうち、測色除外領域以外の領域から測色領域を抽出する。
【0059】
色差算出部607は、基準となる予め印刷した1部数分の印刷ジョブの測色領域における測色値と、判定の対象となる複数部設定による印刷ジョブの測色値との差分を色差として算出する。基準値登録部608は、予め印刷した単数部の印刷ジョブによって抽出された測色領域における測色値を基準値として登録する。例えば、基準値登録部608は、1部数分の印刷ジョブの各ページの測色値mesLabを、画像形成装置100に事前に登録する。
【0060】
例えば、色差算出部607は、基準値登録部608が事前に登録した1部数分の印刷ジョブの各ページの測色値mesLabと、複数部設定によって繰り返し印刷される同一印刷ジョブのn部目に含まれる各ページの測色値mesLabとを画像検査部503から取得して、取得された各測色値mesLabの色差を算出する。なお、詳細な説明については後述する。
【0061】
図6に示した各機能構成の動作について、画像の形成を行う手順に沿ってさらに説明する。ユーザ端末101、又はサーバ102は、通信ネットワーク103を介して、印刷要求と共に原稿データQを画像形成装置100に送信する。原稿データQは、RGB、或いはCMYKなどによってカラー指定されたビットマップ、テキストまたは図形の描画命令を含む複雑なデータフォーマットである。
【0062】
画像処理部510は、受け取った原稿データQを展開し、画像形成機構4が有するシアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKの各基本色で構成された画素配列、例えば各画素の色情報を格子状に並べたビットマップデータに変換する。
【0063】
階調処理部501は、ビットマップデータに含まれる各画素を画像形成機構4で表現可能な階調数に変換する。画像形成制御部504は、階調処理部501によって階調数が変換された画像データRに基づいて、用紙P上に画像を形成するように、画像形成機構4を制御する。
【0064】
画像検査部503は、測定センサ45の検知したトナー像の反射特性を用いて、後述するように用紙P上の画像をスキャンする。色差算出部607は、測色領域抽出部606に基づいて抽出された測色領域における基準値登録部608へ事前に登録された1部数分の印刷ジョブの測色値mesLabと、複数部設定によって繰り返し印刷される同一印刷ジョブの1部目以降の同一ページ、同一領域における測色値mesLabとの色差を算出する。
【0065】
色差判定部502は、各測色値の色差が設定された閾値を超過した場合に、画像形成制御部504に印刷を一時停止するように指示する。また、表示制御部530は、例えば、色差超過メッセージの表示画面を表示し、ユーザによる印刷を継続するか、中止するかの選択操作を受け付ける。画像形成装置100は、ユーザによる選択操作に基づいて、印刷を継続、又は中止する。
【0066】
なお、色差判定部502が扱う形式をLab(CIELab)形式とし、画像処理部510がCMYK形式の色データである原稿データQをLab形式に変換する例を示しているが、Lab形式に限定されるものではなく、色の変化量を明確にできる形式であれば、他の色表現形式を用いてもよい。
【0067】
また、第一変換部601、第二変換部602、及び計測値変換部605は、それぞれの色空間変換のために、カラープロファイルと呼ばれる基礎データを必要とする。これらのカラープロファイルのうち、原稿色からLab値への変換に必要なカラープロファイルは、原稿データQに添付されているか予め用意されているものが使用される。また、計測値変換部605に必要なカラープロファイルは、画像検査部503に予め設定されている。
【0068】
第二変換部602に必要なカラープロファイルは、用紙Pの種類によって色再現特性に影響が出るために、サーバ102に予め保存された複数のカラープロファイルから用紙Pの種類に合った適切なカラープロファイルを選択して設定することが望ましい。
【0069】
画像処理部510は、このような用紙Pの種類によるカラープロファイルの変更を、ユーザの選択に応じて行ってもよいし、入力された原稿データQに適合する用紙Pの選択に合わせて行ってもよい。画像処理部510は、このようなカラープロファイルとして、例えばICC(International Color Consortium)の定めるICCプロファイルを用いてもよい。
【0070】
なお、
図6に示した画像形成装置の機能構成の詳細は一例である。例えば、測色領域抽出部606、及び基準値登録部608等は、色差判定部502の外部に設けられていてもよい。
【0071】
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係る画像形成方法の処理の流れについて説明する。
【0072】
(基準値の登録処理)
図7は、一実施形態に係る基準値の登録処理の例を示すフローチャートである。この処理は、予め1部数分の印刷ジョブの印刷を行い、基準とする測色値を画像形成装置100に登録する基準値の登録処理の例を示している。
【0073】
ステップS701において、画像形成装置100は、ユーザの操作に基づいて、基準値の登録を行いたい印刷ジョブの1部数分の印刷を開始する。
【0074】
ステップS702において、画像形成装置100の測色領域抽出部606は、印刷が開始されると。測色領域の自動抽出を行う。なお、測色領域の自動抽出については後述する。
【0075】
ステップS703において、印刷ジョブが完了すると、ステップS704において、測色領域抽出部606は、ユーザの操作に基づいて、測色除外領域が指定されたか否かを判断する。測色除外領域が指定された場合、測色領域抽出部606は、処理をステップS705に移行させる。一方、測色除外領域が指定されていない場合、測色領域抽出部606は、処理をステップS706に移行させる。なお、測色除外領域は、測色の対象から除外する領域であって、測色対象ページ内の画像上の一部の領域で除外したい領域がある場合に、後述する測色除外領域の指定画面等により、ユーザによって指定される。
【0076】
ステップS705に移行すると、測色領域抽出部606は、ユーザによって指定された領域を、測色除外領域として設定する。
【0077】
ステップS706に移行すると、測色領域抽出部606は、ユーザの操作に基づいて、測色領域が指定されたか否かを判断する。測色領域が指定された場合、測色領域抽出部606は、処理をステップS707に移行させる。一方、測色領域が指定されていない場合、測色領域抽出部606は、処理をステップS708に移行させる。なお、測色領域は、測色対象ページ内の画像上の測色の対象とする領域であって、ユーザが注目して色管理したい領域がある場合に、後述する測色領域の指定画面等により、ユーザによって指定される。
【0078】
ステップS707に移行すると、測色領域抽出部606は、測色除外領域指定情報と測色領域指定情報とのうち、ユーザによって指定された指定情報に基づいて、測色領域を抽出する。
【0079】
ステップS708に移行すると、画像形成装置100の基準値登録部608は、抽出された測色領域内の測色値mesLabを取得する。ステップS709において、基準値登録部608は、取得した測色値mesLabを基準値として、印刷ジョブ、又はページごとに、画像形成装置100に登録する。
【0080】
(測色領域の自動抽出について)
図8は、一実施形態に係る測色領域の自動抽出について説明するための図である。
図7のステップS702において、測色領域抽出部606は、測色領域の自動抽出を行う。
【0081】
図8は、画像データRから測色領域を自動抽出する方法の一例を表しており、同一の色系統の印刷領域から抽出される測色領域を示している。図内の黒い矩形は、測色領域抽出部606によって自動的に印刷領域から抽出されたN個の測色領域(xi,yi)(i=1,2,・・・,N)を示している。各測色領域は、測色するのに適した数mm四方程度の測色領域であって、形成される画像上の色階調変化の少ない領域に配置される。以下、各測色領域の位置をその中心座標(x,y)で表す。
【0082】
なお、ここでは、用紙Pが画像形成装置100において搬送される紙送り方向、所謂、副走査方向を座標yとし、副走査方向と直行する方向(主走査方向)を座標xとして説明する。
【0083】
また、1つの測色領域の大きさは、あらかじめ指定された画素面積の領域でもよく、例えば5mm角程度、すなわち400dpi換算で41×41画素の領域である。しかし、測色領域抽出部606は、例えば、測色に適した領域があらかじめ指定された画素面積に満たない場合には、1つの測色領域の大きさをより小さい画素面積の領域としてもよい。例えば、測色領域抽出部606は、測色に適した領域が5mm角程度に満たないと判断すると、測色領域1点の大きさを例えば21×21画素の領域として抽出してもよい。これにより、画像上の色階調の違いによる色変化の影響の小さい、適切な色変動量を取得することができる。
【0084】
測色領域抽出部606は、単ページもしくは連続する数ページで構成された最初に印刷される印刷ジョブの1部数分からN個の測色領域Ref(xi,yi)を抽出する。色差算出部607は、N個の測色領域Ref(xi,yi)の測色値mesLabを、それぞれ基準値mesLabRef(p)(xi,yi)として記憶する。ここで、pはページを示す。
【0085】
また、色差算出部607は、複数部に設定され繰り返し印刷が行われる印刷ジョブの1部目から部数ごとに、事前に取得し登録されたN個の測色領域Ref(p)(xi,yi)と、同じページの同じ位置の測色領域となるDif(nc)(p)(xi,yi)の測色値mesLabDif(nc)(p)(xi,yi)を取得する。ここで、ncは部数を示す。
【0086】
色差算出部607は、部ごとにN個取得したそれぞれの測色値mesLab
Dif(nc)(p)(xi,yi)と、基準値mesLab
Ref(p)(xi,yi)を、(式1)に適用して、色差ΔLab(nc)(p)(xi,yi)を算出する。
【数1】
【0087】
次に、色差判定部502は、算出した測色領域毎の色差ΔLab(nc)(p)(xi,yi)に対して予め設定した色差閾値を超過しているか判定する。
【0088】
また、色差判定部502は、算出した測色領域毎の色差ΔLab(nc)(p)(xi,yi)を、
図8に示すような領域1~13の領域別に分類してまとめ、各領域別の測色値mesLab
Dif(nc)(p)(xi,yi)と基準値mesLab
Ref(p)(xi,yi)の平均値から算出した色差による判定を行ってもよい。
【0089】
また、色差判定部502は、例えば、青系、赤系、緑系、グレー系で濃度が薄い範囲、濃い範囲、その中間の範囲などの色系統(図中の色系統A~Hなど)別に分類し、その同一色系統別にまとめられた測色値mesLabDif(nc)(p)(xi,yi)と基準値mesLabRef(p)(xi,yi)の平均値から算出した色差による判定を行ってもよい。
【0090】
これにより、領域別もしくは色系統別の色差判定が可能になるほか、近傍領域もしくは、同一色系統の色変動が平滑化できるので、例えば画像形成プロセスで生じるページ内の濃度ムラなどによる変動の偏り誤差が低減でき、より正確な色差判定が実現できる。
【0091】
また、色差判定部502は、ページごとに測色値mesLabDif(nc)(p)(xi,yi)と基準値mesLabRef(p)(xi,yi)をまとめ、その平均値から算出した色差による判定を行ってもよい。
【0092】
また、色差判定部502は、色差ΔLab(nc)(p)(xi,yi)から国際照明委員会(CIE)で定義されている計算式に基づく色差ΔE値を算出し、算出した色差ΔEによる判定を行ってもよい。
【0093】
(測色除外領域の指定について)
図9は、一実施形態に係る測色除外領域の指定について説明するための図である。この図は、測色対象ページ内の画像上の一部の領域に対する測色を行いたくない場合に、ユーザが測色を行いたくない領域を除外領域として指定した状態を表す図の一例である。
【0094】
バリアブルデータ印刷は、印刷ジョブの複数部による繰り返し印刷を行う際に、任意のページの部分的な領域に対して印刷部ごとに異なる文字または画像を挿入して印刷する方法である。繰り返し印刷の部ごとに異なる文字または画像が挿入された場合、挿入された領域の色構成が変わる可能性があるため、色管理には適さない領域となることが考えられる。そのため、異なる文字または画像が挿入される領域を測色領域から除外することが望ましい。
【0095】
そこで、画像形成装置100の表示制御部530は、例えば、
図10に示すような測色除外領域の指定画面1000を、操作パネル308等の表示部に表示する。ユーザは、例えば、マウス、又はタッチパネル等の入力デバイスなどを使って、測色を除外したい領域を矩形枠で囲んで指定を行う。
図10の例では、
図9に示した1つの除外領域を指定した例を示しているが、測色領域の指定画面1000では、1つ以上の領域を指定できるようになっている。
【0096】
また、測色除外領域の指定画面1000では、指定済の領域の情報を消去して再度、領域を指定できるようにしてもよい。これによって、ユーザが誤って領域を指定した場合や、色管理したくない領域が変更された場合の対応が容易となる。
【0097】
それぞれ指定された領域の座標情報は、測色領域抽出部606へ送られる。測色領域抽出部606は、送られた座標情報に基づいて測色除外領域以外の領域を測色領域として抽出し、色差判定部502は、抽出された測色領域において取得された測色値に基づいて色差判定を行う。
【0098】
これにより、繰り返し印刷部ごとに異なる画像情報が挿入されるような場合でも、異なる画像情報が挿入される領域に含まれる測色領域を除外した測色による色差判定が実現できる。
【0099】
また、測色領域抽出部606は、印刷ジョブにおいて指定された除外領域の情報を記憶しておき、時間をおいて再度同一の印刷ジョブを実行する際に、記憶されている除外領域の情報を呼び出して再利用してもよい。これにより、再印刷時においても同一印刷ジョブにおける同一領域を除外した色差評価が可能となる。
【0100】
なお、測色領域抽出部606は、自動的に抽出された測色領域を元にして、ユーザから、除外領域の指定、及び、追加する測色領域の指定、のうち少なくとも1つの指定を受け付け、受け付けた指定に基づいて変更した領域を測色領域としてもよい。
【0101】
(測色領域の指定について)
図11は、一実施形態に係る測色領域の指定について説明するための図である。この図は、
図8に図示した自動抽出された測色領域の中から、指定したい測色領域を指定する場合の状態を示す図の一例である。これにより、例えば、ユーザが特に注目して色管理したい領域のみを自ら指定、選択し、その領域の測色値に基づいて色差判定を行うことを実現する。
【0102】
画像形成装置100の表示制御部530は、例えば、
図12に示すような測色領域の指定画面1200に印刷を行うジョブ画像1201を表示する。ユーザは、例えば、マウス、又はタッチパネル等の入力デバイスなどを使って、指定したい領域を矩形枠で囲んで指定を行う。
【0103】
図12の例では、
図11に示した3つの指定領域1、2、3を指定した例を示しているが、測色領域の指定画面1200では、1つ以上の領域を指定できるようになっている。また、測色領域の指定画面1200では、指定済の領域の情報を消去して再度、領域を指定できるようにしてもよい。これによって、ユーザが誤って領域を指定した場合や、色管理したい領域が変更された場合の対応が容易となる。
【0104】
それぞれ指定された測色領域の座標情報は、測色領域抽出部606へ送られる。測色領域抽出部606は、送られた座標情報に基づいて測色領域を抽出し、色差判定部502は、抽出された測色領域において取得された測色値に基づいて色差判定を行う。これにより、ユーザが特に注目して色管理したい領域を自ら指定し、指定された領域の測色値に基づく色差判定が実現できる。
【0105】
また、色差判定部502は、算出した測色領域毎の色差ΔLab(nc)(p)(xi,yi)を、指定領域別に分類してまとめ、各領域別の測色値mesLabDif(nc)(p)(xi,yi)と、基準値mesLabRef(p)(xi,yi)の平均値から算出した色差によって判定してもよい。
【0106】
また、色差判定部502は、同一色系統別に分類し、色系統別にまとめられた測色値mesLabDif(nc)(p)(xi,yi)と、基準値mesLabRef(p)(xi,yi)の平均値から算出した色差による判定をしてもよい。さらに、同一ページ単位毎の色差判定を行うために、色差判定部502は、ページ単位毎の測色値mesLabDif(nc)(p)(xi,yi)と、基準値mesLabRef(p)(xi,yi)をまとめ、その平均値から算出した色差によって判定してもよい。
【0107】
また、色差判定部502にて、色系統別にまとめられた測色値の判定を行う場合は、色系統別に複数の色差閾値の設定を受けてもよい。また、画像形成装置100は、領域別またはページ別に複数の色差閾値の設定を受けてもよいし、領域またはページに共通の色差閾値の設定を受けてもよい。
【0108】
また、色差判定部502は、色差ΔLab(nc)(p)(xi,yi)から国際照明委員会(CIE)で定義されている計算式に基づく色差ΔE値を算出し、算出した色差ΔEによる判定を行っても良い。
【0109】
なお、測色領域抽出部606は、印刷ジョブにおいて指定された領域の情報を記憶しておき、時間をおいて再度同一の印刷ジョブを実行する際に、記憶されている指定領域の情報を呼び出して再利用してもよい。これにより、再印刷時においても同一印刷ジョブにおける同一領域の色差評価が可能となる。
【0110】
(色差判定処理)
図13は、一実施形態に係る色差判定処理の例を示すフローチャートである。この処理は、画像形成装置100が、例えば、
図7で説明した基準値の登録処理を実行した後に、複数部に設定された印刷ジョブを実行するときに実行する色差判定処理の例を示している。
【0111】
ステップS1301において、画像形成装置100は、ユーザの操作を受けて、色差判定を行うための色差閾値の設定を受ける。
【0112】
ステップS1302において、画像形成装置100は、複数部に設定された印刷ジョブを開始する。
【0113】
ステップS1303において、画像形成装置100の色差算出部607は、登録済の測色領域情報に基づいて測色値mesLab値を取得する。また、ステップS1304において、色差算出部607は、色差算出処理を実行する。ここで、色差算出処理は、用紙Pに画像を印刷するとともに、印刷された画像から事前に登録済の測色領域情報に基づいて、それぞれのページの測色領域の測色値mesLabを抽出し、事前に登録された基準となる測色値と、1部目以降の色差を算出する処理である。なお、色差算出処理の具体的な処理内容については後述する。
【0114】
ステップS1305において、画像形成装置100の色差判定部502は、色差算出処理で算出された色差値がステップS1301で設定された色差閾値を超過しているか否かを判断する。算出された色差値が色差閾値を超過している場合、色差判定部502は、処理をステップS1306に移行させる。一方、算出された色差値が色差閾値を超過している場合、色差判定部502は、処理をステップS1309に移行させる。
【0115】
ステップS1306に移行すると、画像形成装置100の画像形成制御部504は、印刷を一時停止し、表示制御部530は、例えば、
図14に示すような、色差超過メッセージの表示画面1400を、操作パネル308等の表示部に表示する。
【0116】
図14は、一実施形態に係る色差超過メッセージの表示画面の例を示す図である。色差超過メッセージの表示画面1400は、例えば、印刷継続ボタン1401と印刷ストップボタン1402とを含む。
【0117】
ユーザは、印刷継続ボタン1401を選択することにより、画像形成制御部504が一時停止している印刷の継続(再開)を、画像形成装置100に指示することができる。また、ユーザは、印刷ストップボタン1402を選択することにより、画像形成制御部504が一時停止している印刷の中断(中止)を、画像形成装置100に指示することができる。
【0118】
ステップS1307において、画像形成装置100の表示制御部530は、色差超過メッセージの表示画面1400に対して、印刷の継続指示があったかを判断する。例えば、ユーザが印刷継続ボタン1401を選択した場合、表示制御部530は、印刷の継続指示があったと判断する。一方、ユーザが印刷ストップボタン1402を選択した場合、表示制御部530は、印刷の継続指示がなかったと判断する。
【0119】
印刷の継続指示があった場合、画像形成制御部504は、処理をステップS1309に移行させる。一方、印刷の継続指示がなかった場合、表示制御部530は、処理をステップS1308に移行させる。
【0120】
ステップS1308に移行すると、画像形成制御部504は、印刷を中断(又は中止)して、処理をステップS1310に移行させる。
【0121】
一方、ステップS1309に移行すると、画像形成制御部504は、印刷を継続(再開)して印刷ジョブを終了させた後、処理をステップS1310に移行させる。
【0122】
ステップS1310において、画像形成装置100の表示制御部530は、色差判定を行った印刷ジョブごとに色差情報を示す表示画面を表示する。例えば、表示制御部530は、
図15に示すような色差情報の表示画面1500を、操作パネル308等の表示部に表示する。
【0123】
図15は、一実施形態に係る色差情報の表示画面の例を示す図である。色差情報の表示画面1500には、例えば、データ保護ボタン1501、データ削除ボタン1502、及びデータチェックボタン1503等が、印刷ジョブごとに表示される。
【0124】
データ保護ボタン1501は、色差判定を行った印刷ジョブごとの色差情報を表示するほか、色差情報を一定期間保護するためのGUI(Graphical User Interface)である。データ保護ボタン1501がON(保護有効)されている期間は、対象の印刷ジョブの色差情報は削除不可能となり保護される。
【0125】
データ削除ボタン1502は、色差情報を削除するためのGUIである。データ削除ボタン1502が押された場合は、画像形成装置100は、対象の印刷ジョブの色差情報を削除する。
【0126】
データチェックボタン1503は、色差情報の詳細を確認するためのGUIである。データチェックボタン1503が押されると、画像形成装置100の表示制御部530は、対象の印刷ジョブの色差情報の詳細情報を表示する。詳細情報は、例えば、色系統別の色差判定結果に対し色系統別、部ごとの判定結果の一覧、または領域別、部ごとまたはページ毎の判定結果の一覧を含んでもよい。
【0127】
(色差算出処理)
図16は、一実施形態に係る色差算出処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、
図13のステップS1304において、色差算出部607が実行する色差算出処理の一例を示している。画像形成装置100は、印刷ジョブに複数の部数の印刷指示が含まれる場合、各部ごとに以下に示すステップS1601からステップS1607までの処理を実行する。
【0128】
ステップS1601において、画像処理部510の第一変換部601は、受信した原稿データQを、デバイスに依存しないLab形式の表色値docLabに変換する。原稿データQは、例えば、RGB形式、又はCMYK形式で表現された色を示すデータである。
【0129】
ステップS1602において、第二変換部602は、表色値docLabを画像形成機構4の基本色であるシアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKの各色それぞれの8bitの整数階調値の組である階調値prnCMYKに変換する。
【0130】
ステップS1603において、階調補正部603は、prnCMYKを画像データRとして出力する。階調補正部603は、初期状態においては階調値prnCMYKを変更せずにそのまま画像データRとして出力する。なお、階調補正部603は、色安定処理の結果として階調補正が必要となった場合、色安定処理の結果に基づく階調の補正を行ってもよい。
【0131】
ステップS1601からステップS1603までの処理は、原稿データQに含まれるベクトルデータおよびフォント等の展開とともに行われる。結果として得られる画像データRは、原稿データQの色情報を量子化した基本色C、M、Y、Kの4色分のビットマップデータである。出力された画像データRは、印刷に用いた原稿ごとに画像処理部510の画像記憶部604に格納される。
【0132】
ステップS1604において、階調処理部501は、基本色ごとに、例えば、8bitで送られてくるカラー値を、画像形成機構4に対応した形式に変換する。例えば、階調処理部501は、画像形成機構4が表現可能な階調数に合うように、面積階調法や誤差拡散法を用いて変換する。
【0133】
ステップS1605において、画像形成制御部504は、出力された画像データRに基づいて、用紙P上に画像を形成する。例えば、画像形成制御部504は、画像形成機構4を制御してトナー像を形成し、形成されたトナー像を転写部5によって用紙P上に転写する。
【0134】
ステップS1606において、画像検査部503は、用紙P上に形成された画像から、測色値mesLabを取得する。例えば、画像形成制御部504によって形成されたトナー像は、転写部5によって用紙P上に転写された後、測定センサ45の測定したトナー像の反射特性を用いてスキャンされる。画像検査部503は、スキャンされた画像の色を計測して計測値mesColとして計測値変換部605に入力する。計測値変換部605は、入力された計測値mesColをLab値に変換し、Lab値化された測色値mesLabを出力する。
【0135】
ステップS1607において、色差算出部607は、事前に登録された基準となる測色値と、処理中の部数の測色値との色差を算出する。
【0136】
[第2の実施形態]
図2、3で説明した画像形成装置100の構成は一例である。本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、
図17に示すように、画像検査部503を有していない印刷装置1710と、印刷検査装置1720とによって構成される画像形成装置1700であってもよい。
【0137】
図17は、第2の実施形態に係る画像形成装置100の構成例を示す図である。第2の実施形態に係る画像形成装置1700は、一例として、
図17に示すように、印刷装置1710、印刷検査装置1720、及びスタッカ1730等を含む。
【0138】
印刷装置1710は、外部の情報処理装置等から受信した印刷データ、及びジョブ情報に基づいて、記録媒体である用紙への印刷を行うプリンタである。例えば、印刷装置1710は、給紙部1711から用紙を取得し、取得した用紙を、搬送経路1712に従って搬送する。また、印刷装置1710は、搬送ベルト1714に沿って、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の感光体ドラム1713K、1713C、1713M、及び1713Yが並べられている。印刷装置1710は、この感光体ドラム1713K、1713C、1713M、及び1713Yで各色のトナー像を搬送ベルト1714上に重ね、ローラ1715で、搬送される用紙にトナー像を転写し、ローラ1716で、用紙上に定着させる。
【0139】
印刷装置1710は、片面印刷の場合は、用紙をそのまま印刷検査装置1720に排出し、両面印刷の場合は、反転パス1717で用紙を反転して、再び搬送経路1712に従って搬送する。これにより、印刷装置1710は、用紙の表面と同様にして、裏面にもトナー像を転写、及び定着し、その後、用紙を印刷検査装置1720に排出する。
【0140】
印刷検査装置1720は、印刷装置1710が印刷した印刷物を検査する検査装置である。例えば、印刷検査装置1720は、読取装置1721、1722を用いて、搬送経路1723において用紙の両面を読み取って、読取画像を生成する。印刷検査装置1720は、読み取った用紙を、スタッカ1730に排出する。
【0141】
(ハードウェア構成)
印刷装置1710は、例えば、
図3で説明した画像形成装置100のハードウェア構成から、スキャナI/F306、スキャナ307、測定センサ45等を省略したハードウェア構成を備えている。印刷検査装置1720は、例えば、
図3で説明した画像形成装置100のハードウェア構成から、プリンタエンジンI/F305、及び画像形成機構4等を省略したハードウェア構成を備えている。
【0142】
なお、
図17の例では、印刷装置1710が操作パネル1701を備え、印刷検査装置1720が別の操作パネル1702を備えている。ただし、これは一例であり、画像形成装置1700は、操作パネル1701、又は操作パネル1702のいずれか一方を備えていればよい。
【0143】
(機能構成)
印刷装置1710は、一例として、
図6の画像処理部510、階調処理部501、及び画像形成制御部504等を有する。また、印刷検査装置1720は、一例として、
図6の画像検査部503、及び色差判定部502等を有する。表示制御部530は、印刷装置1710が備えていてもよいし、印刷検査装置1720が備えていてもよいし、印刷装置1710と印刷検査装置1720が備えていてもよい。
【0144】
第2の実施形態によれば、既存の印刷装置1710に、例えば、
図7で説明した基準値の登録処理、
図13で説明した色差判定処理、及び
図16で説明した色差算出処理等を実行する印刷検査装置1720を容易に追加できるようになる。
以上、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、複数の印刷物を印刷する画像形成装置において、画像形成装置のコンディションの変化、及び印刷中に生じる色変動等により、色変動が悪化した不要な印刷物が排出されてしまうことを抑制することができる。
【0145】
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、印刷対象の画像における測色領域を抽出し、抽出された測色領域において用紙に印刷された画像を測色した測色値に基づいて、印刷ジョブの部ごとの色差によって色変動を判定する。したがって、印刷対象の画像の色変動の検査の精度を向上させることができる。
【0146】
なお、測色領域抽出部606は、印刷対象の画像の階調変化の少ない領域を測色領域として抽出してもよい。これによって、画像上の色階調の違いによる色変化の影響の小さい適切な色変動量を取得することができる。
【0147】
また、測色領域抽出部606は、画像が形成される領域のうちから測色すべき領域から除外する除外領域の指定を受けると、指定された除外領域以外の領域を測色領域として抽出してもよい。これによって、繰り返し印刷の部ごとに異なる画像が挿入されるような場合でも、異なる画像が挿入される領域に含まれる測色領域を除外した測色が可能となる。
【0148】
また、測色領域抽出部606は、画像が形成される領域から測色する領域の指定を受けると、指定された領域を測色領域として抽出してもよい。これによって、ユーザが注目して色管理したい領域を自ら指定し、指定された領域の測色値に基づく色差判定を実現できる。
【0149】
また、測色領域抽出部606は、あらかじめ指定された画素面積の領域を単位として、測色領域を抽出してもよい。これによって、測色領域内の予め指定した画素面積の色を少なくとも一つ取得することで測色領域の測色値を取得できる。
【0150】
また、測色領域抽出部606は、あらかじめ指定された画素面積の領域が印刷対象の画像の階調変化の少ない領域に満たないと判定すると、画素面積より小さい領域を単位として測色領域を抽出してもよい。これによって、画像上の色階調の違いによる色変化の影響の小さい、適切な色変動量を取得することができる。
【0151】
また、画像形成装置100は、色差判定部502が、色差が設定された閾値を超過したと判定すると、印刷を一時停止して色差が超過したことを示すメッセージを表示してもよい。これによって、色変動状態が悪化したことを、印刷操作を行うオペレータ等に知らせることができる。
【0152】
また、画像形成装置100は、算出された前記色差を示す情報を表示してもよい。これによって、ユーザが色変動状態を確認できる。
【0153】
<補足>
上記で説明した各実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0154】
また、画像形成装置100の各機能構成は、1つの装置にまとめられていてもよいし、複数の装置に分けられていてもよい。また、画像形成装置100の各機能構成のうち、少なくとの一部は、ユーザ端末101、又はサーバ102が有していてもよい。
【0155】
<付記>
本明細書には、下記の各項の画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法、及びプログラムが開示されている。
(第1項)
印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出する測色領域抽出部と、
単数部の印刷ジョブによって予め印刷された第1のページであって、前記測色領域における測色値を基準値として登録した第1のページと、複数部の前記印刷ジョブによって繰り返し印刷される第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、
を有する、画像形成装置。
(第2項)
予め印刷した単数部の前記印刷ジョブによって抽出された前記測色領域における測色値を基準値として登録する基準値登録部を有する、第1項に記載の画像形成装置。
(第3項)
前記色差判定部は、予め印刷された単数部の前記印刷ジョブの基準とする前記測色領域における前記第1のページの測色値と、判定の対象となる、複数部による繰り返し印刷される前記印刷ジョブの前記第2のページの測色値との差分を前記色差として算出する、
第1項又は第2項に記載の画像形成装置。
(第4項)
前記第1のページは、予め印刷が行われる単数部の前記印刷ジョブに含まれるページであり、
前記第2のページは、前記印刷ジョブが複数部印刷されたときの1部目以降に含まれる、前記第1のページと同一のページ数のページであり、
前記色差判定部は、予め印刷が行われる単数部の前記印刷ジョブに含まれるページと、複数部の前記印刷ジョブとの同一ページ数によるページの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する、
第1項又は第2項に記載の画像形成装置。
(第5項)
前記測色領域抽出部によって自動的に抽出された測色領域を元にして、ユーザから、前記画像が形成される領域のうち測色すべき領域から除外する除外領域の指定、追加する測色領域の指定、のうち少なくとも1つの指定を受け付け、受け付けた指定に基づいて変更した領域を前記測色領域とする、
第1項~第4項のいずれかに記載の画像形成装置。
(第6項)
算出された前記色差が、設定された閾値を超過した場合、印刷を一時停止し、前記色差が超過したことを示すメッセージを表示する、第1項~第5項のいずれかに記載の画像形成装置。
(第7項)
前記色差判定部が算出した前記色差を示す情報を表示する表示制御部を有する、第1項~第6項のいずれかに記載の画像形成装置。
(第8項)
画像データを含む印刷ジョブデータを画像形成装置に送信する情報処理装置と、前記画像形成装置とを含む画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出する測色領域抽出部と、
単数部の印刷ジョブによって予め印刷された第1のページであって、前記測色領域における測色値を基準値として登録した第1のページと、複数部の前記印刷ジョブによって繰り返し印刷される第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する色差判定部と、
を有する、
画像形成システム。
(第9項)
画像形成装置が、
印刷対象の画像が形成される領域から測色領域を抽出する処理と、
単数部の印刷ジョブによって予め印刷された第1のページであって、前記測色領域における測色値を基準値として登録した第1のページと、複数部の前記印刷ジョブによって繰り返し印刷される第2のページとの間の色差を算出し、算出された前記色差に基づいて印刷を継続するか否かを判定する処理と、
を実行する、画像形成方法。
(第10項)
第9項に記載の画像形成方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
(第11項)
前記測色領域抽出部は、前記印刷対象の画像の階調変化の少ない領域を前記測色領域として抽出する、第1項に記載の画像形成装置。
(第12項)
前記測色領域抽出部は、前記画像が形成される領域のうち測色すべき領域から除外する除外領域の指定を受けると、指定された前記除外領域以外の領域を前記測色領域として抽出する、第1項に記載の画像形成装置。
(第13項)
前記測色領域抽出部は、前記測色領域抽出部にて抽出されたうち、前記画像が形成される領域からユーザによって測色する領域の指定を受けると、指定された前記領域を前記測色領域として抽出する、第1項に記載の画像形成装置。
(第14項)
前記測色領域抽出部は、ユーザによる領域の指定を消去して再度、領域または色の指定を受け付ける、第11項~第13項のいずれかに記載の画像形成装置。
(第15項)
前記測色領域抽出部は、印刷ジョブにおいて指定された除外領域の情報を記憶しておき、時間をおいて再度同一の印刷ジョブを実行する際に、記憶されている前記除外領域の情報を呼び出して再利用する、第1項に記載の画像形成装置。
(第16項)
前記測色領域抽出部は、あらかじめ指定された画素面積の領域を単位として、前記測色領域を抽出する、第1項に記載の画像形成装置。
(第17項)
前記測色領域抽出部は、あらかじめ指定された画素面積の領域が前記印刷対象の画像の階調変化の少ない領域に満たないと判定すると、前記画素面積より小さい領域を単位として前記測色領域を抽出する、第1項に記載の画像形成装置。
(第18項)
前記色差判定部は、算出された測色領域毎の色差を、指定領域別に分類してまとめ、各領域別の測色値と基準値の平均値から算出した色差によって判定する、第1項に記載の画像形成装置。
(第19項)
前記指定領域別の閾値の設定を受け付け、
前記色差判定部は、前記閾値と前記色差とを比較して判定する、
第18項に記載の画像形成装置。
(第20項)
前記色差判定部は、算出された測色領域毎の色差を、同一色系統別に分類してまとめ、各色系統別の測色値と基準値の平均値から算出した色差によって判定する、第1項に記載の画像形成装置。
(第21項)
前記同一色系統別の閾値の設定を受け付け、
前記色差判定部は、前記閾値と前記色差とを比較して判定する、
第20項に記載の画像形成装置。
【0156】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、及び応用が可能である。
【符号の説明】
【0157】
1 画像形成システム
100 画像形成装置
101 ユーザ端末(情報処理装置)
102 サーバ(情報処理装置)
400 コンピュータ
502 色差判定部
606 測色領域抽出部
608 基準値登録部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0158】