(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156693
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】設計ファイル内の階層構造情報の保存
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G03F7/20 501
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024111414
(22)【出願日】2024-07-11
(62)【分割の表示】P 2022526340の分割
【原出願日】2019-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カン, チュン-シン
(72)【発明者】
【氏名】トン, インフォン
(72)【発明者】
【氏名】フン, リック アール.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヤオ チョン
(72)【発明者】
【氏名】カオ, ツァイチョアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】データ量を削減しながらも設計ファイルの階層構造情報を維持したデジタルリソグラフィのための設計ファイルを認証する方法を提供する。
【解決手段】デジタルリソグラフィのための設計ファイルを認証するための認証デバイスは、メモリ及びコントローラを備えている。メモリは、設計ファイルを含む。コントローラは、設計ファイルへアクセスし、設計ファイルに1つ又は複数の適合性ルールを適用して、設計ファイルの適合性を判定するように構成されている。適合性ルールは、設計ファイル内の非直交端部の検出、設計ファイル内の非適合重複構造の検出、及び設計ファイルの参照層と設計ファイルのターゲット層との間の非適合相互作用の検出のうちの少なくとも1つを含む。コントローラは、非直交端部、非適合重複構造、及び非適合相互作用の数と閾値との比較に応答して、設計ファイルを認証するようにさらに構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリからのデジタルリソグラフィデバイスのための設計ファイルへアクセスすることと、
前記設計ファイルに1つ又は複数の適合性ルールを適用して、
前記設計ファイル内の非直交端部を検出すること、
前記設計ファイル内の非適合重複構造を検出すること、及び
前記設計ファイルの基準層と前記設計ファイルのターゲット層との間の非適合相互作用を検出すること
のうちの少なくとも1つによって、前記設計ファイルの適合性を判定することと、
非直交端部、非適合重複構造、及び非適合相互作用の数と閾値との比較に応答して、前記設計ファイルを認証することと
を含む方法。
【請求項2】
非直交端部を検出することが、
第1の構造と第2の構造との間の重複領域を検出することと、
前記第1の構造が前記第2の構造と直交する端部を形成するかどうかを判定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重複領域を検出することが、
前記第1の構造及び前記第2の構造の周りに複数のマーカを生成することと、
前記複数のマーカの中から、前記第1の構造及び前記第2の構造の相互作用領域を特定する第1のマーカ及び第2のマーカを選択することと
を含み、前記第1の構造が前記第2の構造と直交する端部を形成するかどうかを判定することが、
前記第1のマーカが前記第2のマーカと直交するかどうかを判定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
非適合重複構造を検出することが、
第1の構造が第2の構造内に延在する量を第1の閾値と比較することと、
前記第1の構造と前記第2の構造との間の重複領域において非直交である前記第1の構造及び前記第2の構造のうちの少なくとも一方の、1つ又は複数の端部を特定することと、
前記重複領域内の前記第1の構造の隣接する端部の数を端部閾値と比較することと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の構造及び前記第2の構造に対応する位置は、
前記第1の構造が前記第2の構造内に延在する量が前記第1の閾値を超過することと、
前記重複領域内で少なくとも1つの非直交端部を特定することと、
前記隣接する端部の数が前記端部閾値を超過することと
のうちの1つ又は複数に応答して、非適合であると判定され得る、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
構造間の非適合重複を検出することが、
第2の構造と重複する第1の構造を特定することと、
前記第1の構造と前記第2の構造との間の重複の量を決定することと、
前記重複の量を閾値と比較することと
を含み、
前記構造に対応する位置は、前記重複の量が前記閾値より小さいことに応答して非適合であると判定され得る、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
デジタルリソグラフィのための設計ファイルを認証するための認証デバイスであって、
前記設計ファイルを含むメモリと、
コントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記設計ファイルへアクセスし、
前記設計ファイルに1つ又は複数の適合性ルールを適用して、
前記設計ファイル内の非直交端部を検出すること、
前記設計ファイル内の非適合重複構造を検出すること、及び
前記設計ファイルの基準層と前記設計ファイルのターゲット層との間の非適合相互作用を検出すること
のうちの少なくとも1つによって、前記設計ファイルの適合性を判定し、
非直交端部、非適合重複構造、及び非適合相互作用の数と閾値との比較に応答して、前記設計ファイルを認証する
ように構成されている、認証デバイス。
【請求項8】
非直交端部を検出することが、
第1の構造と第2の構造との間の重複領域を検出することと、
前記第1の構造が前記第2の構造と直交する端部を形成し損ねるかどうかを判定することと
を含む、請求項7に記載の認証デバイス。
【請求項9】
前記重複領域を検出することが、
前記第1の構造及び前記第2の構造の周りに複数のマーカを生成することと、
前記複数のマーカの中から、前記第1の構造及び前記第2の構造の相互作用領域を特定する第1のマーカ及び第2のマーカを選択することと
を含み、前記第1の構造が前記第2の構造と直交する端部を形成し損ねるかどうかを判定することが、
前記第1のマーカが前記第2のマーカと直交するかどうかを判定することを含む、請求項8に記載の認証デバイス。
【請求項10】
非適合重複構造を検出することが、
第1の構造が第2の構造内に延在する量を第1の閾値と比較することと、
前記第1の構造と前記第2の構造との間の重複領域において非直交である前記第1の構造及び前記第2の構造のうちの少なくとも一方の、1つ又は複数の端部を特定することと、
前記重複領域内の前記第1の構造の隣接する端部の数を端部閾値と比較することと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の認証デバイス。
【請求項11】
構造間の非適合重複を検出することが、
第2の構造と重複する第1の構造を特定することと、
前記第1の構造と前記第2の構造との間の重複の量を決定することと、
前記重複の量を閾値と比較することと
を含む、請求項7に記載の認証デバイス。
【請求項12】
デジタルリソグラフィのための設計ファイルを認証するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、
コンピュータ可読プログラムコードを実装したコンピュータ可読記憶媒体を含み、前記コンピュータ可読プログラムコードは、
メモリからの前記設計ファイルへアクセスし、
前記設計ファイルに1つ又は複数の適合性ルールを適用して、
前記設計ファイル内の非直交端部を検出すること、
前記設計ファイル内の非適合重複構造を検出すること、及び
前記設計ファイルの基準層と前記設計ファイルのターゲット層との間の非適合相互作用を検出すること
のうちの少なくとも1つによって、前記設計ファイルの適合性を判定し、
非直交端部、非適合重複構造、及び非適合相互作用の数と閾値との比較に応答して、前記設計ファイルを認証する
ように、1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、コンピュータプログラム製品。
【請求項13】
非直交端部を検出することが、
前記設計ファイル内の第1の構造と第2の構造との間の重複領域を検出することと、
前記第1の構造が前記第2の構造と直交する端部を形成し損ねるかどうかを判定することと
を含む、請求項12に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
非適合重複構造を検出することが、
第1の構造が第2の構造内に延在する量を第1の閾値と比較することと、
前記第1の構造と前記第2の構造との間の重複領域において非直交である前記第1の構造及び前記第2の構造のうちの少なくとも一方の、1つ又は複数の端部を特定することと、
前記重複領域内の前記第1の構造の隣接する端部の数を端部閾値と比較することと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
前記構造間の前記非適合重複を検出することが、
第2の構造と重複する第1の構造を特定することと、
前記第1の構造と前記第2の構造との間の重複の量を決定することと、
前記重複の量を閾値と比較することと
を含む、請求項14に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、デジタルリソグラフィシステムのための設計ファイルを認証することに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]リソグラフィ法は、半導体デバイスの製造において使用される。従来のリソグラフィ法には、設計パターンをフォトマスクのセットに転写し、フォトレジストに転写することが含まれる。デジタルリソグラフィ処理では、画像処理を用いて、設計パターンがフォトレジスト上に直接デジタル化される。しかしながら、フォトレジストをデジタル化するために転送されるデータ量が大きいため、デジタルリソグラフィ処理の速度が制限される。さらに、現在の認証方法では、設計ファイルから構造情報が除去されてしまう。
【0003】
[0003]したがって、当該技術分野では、データ量を削減しながらも、さらに設計ファイルの階層構造情報を維持する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]例示的な一実施形態では、方法は、デジタルリソグラフィデバイスのための設計ファイルにアクセスすることと、設計ファイルに1つ又は複数の適合性ルールを適用して、適合性を判定することとを含む。1つ又は複数の適合性ルールを適用することは、設計ファイル内の非直交端部を検出することと、設計ファイル内の非適合重複構造を検出することと、設計ファイルの参照層と設計ファイルのターゲット層との間の非適合相互作用を検出することとを含む。この方法は、非直交端部、非適合重複構造、及び非適合相互作用の数と閾値との比較に応答して、設計ファイルを認証することをさらに含む。
【0005】
[0005]例示的な一実施形態では、デジタルリソグラフィのための設計ファイルを認証するための認証デバイスは、メモリ及びコントローラを備えている。メモリは、設計ファイルを含む。コントローラは、設計ファイルへアクセスし、設計ファイルに1つ又は複数の適合性ルールを適用して、設計ファイルの適合性を判定するように構成されている。適合性ルールは、設計ファイル内の非直交端部の検出、設計ファイル内の非適合重複構造の検出、及び設計ファイルの参照層と設計ファイルのターゲット層との間の非適合相互作用の検出のうちの少なくとも1つを含む。コントローラは、非直交端部、非適合重複構造、及び非適合相互作用の数と閾値との比較に応答して、設計ファイルを認証するようにさらに構成されている。
【0006】
[0006]例示的な一実施形態では、デジタルリソグラフィのための設計ファイルを認証するコンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読プログラムコードを実装したコンピュータ可読記憶媒体を含む。コンピュータ可読プログラムコードは、設計ファイルへアクセスし、設計ファイルに1つ又は複数の適合性ルールを適用して、設計ファイルの適合性を判定し、非直交端部、非適合重複構造、及び非適合相互作用の数と閾値との比較に応答して、設計ファイルを認証するように、1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である。設計ファイルへの1つ又は複数の適合性ルールの適用は、設計ファイル内の非直交端部の検出、設計ファイル内の非適合重複構造の検出、及び設計ファイルの参照層と設計ファイルのターゲット層との間の非適合相互作用の検出のうちの少なくとも1つを含む。
【0007】
[0007]本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができる。そのうちの幾つかの実施形態は添付の図面で例示されている。しかし、添付図面は、例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】1つ又は複数の実施形態に係る、デジタルリソグラフィシステムの概略図である。
【
図2】1つ又は複数の実施形態に係る、認証デバイスの概略図である。
【
図3】1つ又は複数の実施形態に係る、設計ファイルを認証するための方法のフロー図である。
【
図4】1つ又は複数の実施形態に係る、適合した設計ファイルを決定するフロー図である。
【
図5】1つ又は複数の実施形態に係るセル構造の概略図である。
【
図6】1つ又は複数の実施形態に係るセル構造の概略図である。
【
図7】1つ又は複数の実施形態に係るセル構造の概略図である。
【
図8】1つ又は複数の実施形態に係るセル構造の概略図である。
【
図9】1つ又は複数の実施形態に係るセル構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013]理解を容易にするために、可能な場合には、図面で共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号が使用された。ある実施形態の要素及び特徴を、さらなる記述がなくても、他の実施形態に有利に組み込むことができることが意図されている。
【0010】
[0014]本明細書に記載された実施形態は、総データ量を低減し、データ輻輳を回避するために、元の設計ファイル内の階層構造情報の少なくとも一部を維持しながら、デジタルパターンの変換を行うように最適化された設計ファイルを認証するための方法を提供する。この方法は、設計ファイルの非適合セルを検出するために、一組の適合ルールについて設計ファイルを評価することを含む。非適合セル及び/又は位置マーカのリストが、是正処置のためにユーザに提示され得る。設計ファイルが、非適合セル及び/又は位置マーカの比率に基づいて閾値を満たすと判定された場合、設計ファイルが認証され得る。認証された設計ファイルは、処理のためにデジタルリソグラフィシステムのコントローラに通信され得る。
【0011】
[0015]
図1は、1つ又は複数の実施形態に係る、デジタルリソグラフィシステム100の斜視図である。システム100は、デジタルリソグラフィデバイス101及び認証デバイス130を含む。デジタルリソグラフィデバイス101は、ステージ114及び処理装置104を含む。ステージ114は、スラブ102上に配置された一対のトラック116によって支持されている。基板120が、ステージ114によって支持されている。ステージ114は、スラブ102上に配置された一対のトラック116によって支持されている。ステージ114は、
図1に示す座標系によって示されるように、一対のトラック116に沿ってX方向に移動する。一実施形態では、一対のトラック116は、一対の平行な磁気チャネルである。図示されているように、一対のトラック116の各トラックは、直線経路上に延在している。ステージ114の位置情報をコントローラ122に提供するために、エンコーダ118がステージ114に接続されている。
【0012】
[0016]コントローラ122は、概して、本明細書に記載された処理技法の制御及び自動化を容易にするように設計されている。コントローラ122は、処理装置104、ステージ114、及びエンコーダ118と連結されるか、又は通信し得る。処理装置104及びエンコーダ118は、基板処理及び基板の位置合わせに関する情報をコントローラ122に提供し得る。例えば、処理装置104は、基板処理が完了したことをコントローラ122に警告するために、コントローラ122に情報を提供し得る。コントローラ122は、認証デバイス130によって提供される設計ファイルに基づいて、デジタルリソグラフィプロセスの制御及び自動化を容易にする。コントローラ122によって読み取り可能な、イメージング設計ファイルとも呼ばれ得る設計ファイル(又はコンピュータ命令)は、基板に対してどのタスクが実行可能かを決定する。設計ファイル(例えば、
図2の設計ファイル220)は、処理時間及び基板位置をモニタリングかつ制御するためのコード及びマスクパターンデータを含む。マスクパターンデータは、電磁放射を用いてフォトレジストに書き込まれるパターンに対応する。
【0013】
[0017]基板120は、フラットパネルディスプレイの一部として使用される任意の適切な材料、例えば、ガラスを含む。他の実施形態では、基板120は、フラットパネルディスプレイの一部として使用することが可能な他の材料で製作される。基板120には、パターンエッチングなどによりパターニングされる薄膜が形成されており、当該パターニングされる薄膜には、電磁放射、例えばUV(紫外)又は深UV「光」に感応するフォトレジスト層が形成されている。ポジ型フォトレジストは、放射線に露光されると、フォトレジスト現像液に溶解するフォトレジスト部分を含む。フォトレジスト現像液は、電磁放射を用いてパターンがフォトレジストに書き込まれた後にフォトレジストに塗布される。ネガ型フォトレジストは、放射線に露光されると、フォトレジスト現像液に溶解しないフォトレジスト部分を含む。フォトレジスト現像液は、電磁放射を用いてパターンがフォトレジストに書き込まれた後にフォトレジストに塗布される。フォトレジストの化学組成により、そのフォトレジストがポジ型フォトレジストであるか、又はネガ型フォトレジストであるかが決まる。フォトレジストの例には、ジアゾナフトキノン、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルグルタルイミド)、及びSU-8のうちの少なくとも1つが含まれるが、これらに限定されない。フォトレジストが電磁放射に露光された後、レジストが現像され、下層の膜層上にパターニングされたフォトレジストが残る。次いで、パターニングされたフォトレジストを用いて、下層の薄膜がフォトレジストの開口を通してパターンエッチングされ、ディスプレイパネルの電子回路の一部が形成される。
【0014】
[0018]処理装置104は、支持体108及び処理ユニット106を含む。処理装置104は、一対のトラック116に跨がり、スラブ102上に配置され、それにより、一対のトラック116及びステージ114が処理ユニット106の下方を通過するための開口112を含む。処理ユニット106は、支持体108によってスラブ102の上に支持される。一実施形態では、処理ユニット106は、フォトリソグラフィプロセスでフォトレジストを露光するよう構成されたパターン生成器である。幾つかの実施形態において、パターン生成器は、マスクレスリソグラフィプロセスを実行するよう構成される。処理ユニット106は、複数の画像投影システムを含む。
【0015】
[0019]稼働中、ステージ114は、
図1に示すローディング(搭載)位置から処理位置へとX方向に移動する。処理位置は、処理ユニット106の下方の1つ又は複数の位置である。ここでは、システム101は概略的に示されている。システム101は、基板120上のフォトレジスト層の幅全体を、Y方向に露光することが可能なように寸法形成されており、すなわち、基板120は、実際のフラットパネルディスプレイ基板のものと比較して小さい。しかしながら、実際の処理システムにおいて、処理装置104は、Y方向においては、Y方向における基板120の幅よりも遥かに小さく、基板120は、処理装置104の下方で-X方向に連続的に動かされ、+Y方向に動かされ又は進められ、処理装置104の下方で+X方向へと戻して走査される。上記のX方向の走査及びY方向の進行の動作は、基板全域が処理装置104の書き込み可能な領域の下を通過するまで続けられる。
【0016】
[0020]
図2は、1つ又は複数の実施形態に係る認証デバイス130を示す。認証デバイス130は、コンピューティングデバイス210及び入力/出力(I/O)デバイス230を含む。認証デバイス130は、設計ファイル(例えば、設計ファイル220)を生成、最適化、認証、かつ/又は更新するために利用され得る。
【0017】
[0021]コンピューティングデバイス210は、コントローラ212、ネットワークインターフェース214、及びメモリ216を含み得る。コントローラ212は、メモリ216に記憶されたプログラミングデータを読み出して実行し、他のシステム構成要素の動作を連携させる。同様に、コントローラ212は、メモリ216内に存在するアプリケーションデータを記憶し、読み出す。コントローラ212は、1つ又は複数の中央処理ユニット(CPU)であり得る。
【0018】
[0022]メモリ216は、コントローラ212によって実行される命令及びロジックを記憶することができる。さらに、メモリ216は、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び不揮発性メモリ(NVM)のうちの1つ又は複数であり得る。NVMは、とりわけ、ハードディスク、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、リムーバブルストレージデバイスであってもよい。さらに、メモリ216は、設計アプリケーション218及び設計ファイル220を含み得る。
【0019】
[0023]設計アプリケーション218は、設計ファイル220の設計データを生成、最適化、認証、かつ/又は更新する。設計アプリケーション218は、設計ファイル220の設計データを生成、最適化、かつ/又は更新するために、コントローラ212によって制御され得る。
【0020】
[0024]設計ファイル220は、メモリ内に格納されてもよく、コントローラ212及び設計アプリケーション218によってアクセス可能である。設計ファイル220は、基板120をパターニングするためにコントローラ122によって解釈され得る設計データを含み得る。例えば、設計ファイル220は、階層的物理設計(レイアウト)データを示す。階層的物理設計データは、コアピクセルと周辺ロジック領域とから構成され得る。コアピクセル領域は、反復性が高くてもよく、設計データの90%以上を表す。さらに、階層構造を維持することにより、コントローラ122に転送されるデータ量が減少する。例えば、階層的ジオメトリーエンジンを用いたグローバルバイアシング(global biasing)の適用と比較して、データ量を約100から約1000倍減少し得る。データインフレーションは、結果的にデータパス内でのデータ送信の失敗を引き起こし得る。さらに、設計アプリケーション218は、セルレベルサイジング内のグローバルサイジング、及び階層的修復を最適化することができる。設計ファイル220は、設計パターンファイルとも呼ばれる。設計ファイル220は、種々のフォーマットで提供され得る。例えば、設計ファイル220のフォーマットは、とりわけ、GDSフォーマット及びOASISフォーマットのうちの1つであってもよい。設計ファイル220の設計データは、基板(例えば、基板120)上に生成されるパターンの構造を有するセルを含む。セルは、トランジスタの論理素子又は半導体デバイスの別の素子をグループ化したものであり得る。さらに、セルは、多角形などの幾何学的オブジェクト(境界、経路、及び他のセル)を含み得る。セル内のオブジェクトは、対応する設計の「層」に割り当てられる。種々の層は、リソグラフィプロセスにおける種々の処理ステップを表し得る。その素子が描画されるときは、いつでもセルが参照され得る。例えば、トランジスタが描画されるとき、いつでもトランジスタに対応するセルを参照することができる。さらに、セルは、設計ファイルの設計内の1つ又は複数の層に跨がることができる。セル階層は、1つ又は複数のセルを含み得る。例えば、最上位セルは、対応するオブジェクトのすべての素子を含むことができ、階層の下位レベル内の各セルは、オブジェクトの異なる部分の素子を含み得る。設計ファイル220は、ピクセルセル、ビットマップ、又は同様のファイルの形態であってもよい。設計ファイル220は、1つ又は複数の構造に対応する対象領域を含み得る。構造は、幾何学的形状として構築され得る。さらに、対象領域は、認証及び/又は最適化プロセス中にセルとして表され得る。
【0021】
[0025]I/Oデバイス230は、とりわけ、キーボード、ディスプレイデバイス、マウス、オーディオデバイス、及びタッチスクリーンのうちの1つ又は複数を含んでもよい。I/Oデバイス230は、認証デバイス130に情報を入力するため、かつ/又は認証デバイス130からデータを出力するために利用され得る。例えば、ユーザは、設計ファイル220の素子を生成かつ/又は調整するために、キーボード及びポインティングデバイスを使用してもよい。
【0022】
[0026]ネットワークインターフェース214は、通信ネットワークを介してデータを送信し得る。例えば、ネットワークインターフェース214は、通信ネットワークを介してデジタルリソグラフィデバイス101に設計ファイルを送信し得る。
【0023】
[0027]設計ファイル220内の構造を設計ファイル220によって示されるサイズで印刷することができるように、設計ファイル220のグローバルサイジングは、露光量をより高い値に設定することを可能にする。さらに、構造を示すデータは設計ファイル220の暗い部分又は明るい部分のいずれかによって表すことができるので、サイジング処理中に構造の端部を第1の量だけ内側又は外側に移動させることができる。第1の量は、構造の最小幅より少なくてもよい。
【0024】
[0028]設計ファイル220のセルレベルでバイアシングを実行するために、設計アプリケーション218をコントローラ212によって実行することができる。各セルは、設計ファイル220内で特定された対象領域に対応し得る。バイアシングは、設計ファイル220のセルに含まれるパターン構造データのフィーチャサイジングを含み得る。2つの重複するセルについて、対応する描画データが内側にサイジングされる場合、セル間に間隙が形成されないように、設計ファイルのセルレベルサイジングを完了させることができる。同様に、描画データが上向きにサイジングされる場合、デジタルリソグラフィプロセス中に間隔空けが解決されるように、セル間の間隔が維持される。
【0025】
[0029]
図3は、1つ又は複数の実施形態に係る、デジタルリソグラフィのための設計ファイル(例えば、設計ファイル220)を準備するための方法300を示す。動作310では、設計ファイルの1つ又は複数の適合性チェックが実行される。例えば、1つ又は複数の適合性チェックは、設計ファイルの3つの適合性チェックを含んでもよい。適合性チェックは、セル間相互作用が発生するデータを特定することを含み得る。さらに、適合性チェックは、セル相互作用領域においてすべての非直交端部を特定することを含み得る。非直交端部はエラーとしてフラグが付けられる。さらに、1つ又は複数の適合性チェックは、設計ファイル220が重複領域についてチェックされるバイアシングダウン(biasing down)チェックを含んでもよい。1つ又は複数のセル内の任意の重複領域は、ターゲットバイアシングダウン閾値と比較される。非適合重複領域は、ターゲットバイアシング閾値よりも重複が少ない重複領域に対応する。さらに、バイアシングアップのために、1つ又は複数の適合性チェックは、バイアシングアップが完了した後の空間違反についてセルをチェックすることができる。選択的バイアシング及びグレートーンのために、1つ又は複数の適合性チェックは、基準層及びターゲット層が、セルレベル及び階層レベル動作の両方について、異なる結果を生じさせるどうかを判定することを含み得る。設計ファイル220の1つ又は複数の適合性チェックを実行するために、設計アプリケーション218がコントローラ212によって実行される。適合性チェックを実行することは、設計ファイル220のセル内の1つ又は複数の対象領域を特定して、当該セルを1つ又は複数の適合性ルールと比較することを含み得る。適合性チェックは、
図4に関連してさらに詳細に説明される。
【0026】
[0030]動作320では、バイアシングは、設計ファイル220のセルレベルで実行される。バイアシングは、階層内の他のセルインスタンスからの近接する多角形の影響を考慮することなく、セルレベルでのバイアシングアップ又はバイアシングを含み得る。バイアシングは、全体的に又は選択された領域に施され得る。バイアシングプロセスからの結果は、動作310によって特定された構造素子間に不十分な重複を生み出すことがあるので、セルレベルでのバイアシングの結果は、最上位の設計セルからのグローバルサイジングプロセスによって生じた結果と一致しない場合がある。動作320は、動作310の適合性チェックに合格するか又はそれを満たす設計データに適用され得る。例えば、幾つかの非適合エラーは、動作330では修復できない場合がある。このようなエラーを含む設計ファイルは、適合性チェックに失敗したとのフラグが付けられる場合があり、このような設計ファイルに対してはバイアシングが実行されないことがある。さらに、階層的幾何学エンジンを使用する従来のグローバルサイジングと比べて、動作320ではセル間相互作用が考慮されないので、動作320で利用される処理時間の量が減少する。さらに、動作320では、入力された設計ファイル220と同じ階層構造が維持される。
【0027】
[0031]動作330では、動作320で生成された設計ファイルの階層レベル修復が行われる。設計アプリケーション218は、コントローラ212上で実行され、動作320からの出力設計ファイルの階層レベル修復を実行することができる。設計ファイルの階層レベル修復は、設計ファイルが非適合であるとの判定に基づいて完了し得る。動作320中にセルレベルバイアシングプロセスが完了したときに階層レベル修復プロセスが完了し得る。例えば、階層レベル修復プロセスは、バイアシングダウン量の2倍よりも小さい間隙を充填することを含み得る。間隙は、動作320中に行われるバイアシングダウン操作によって導入されることがあり、動作310によって特定された重複領域が十分ではないことの結果であり得る。動作320の出力の階層レベル修復を実行することにより、相互作用するセルインスタンスの共通の親セルにおいて追加のデータを追加することができる。しかしながら、従来のグローバルバイアシングとは異なり、修復操作は、より小さな範囲又は領域に限定されることがあり、大規模な階層的平坦化を引き起こす可能性は低い。例えば、階層レベルの修復は、設計ファイルの約2%以下に適用され得る。したがって、データ量への影響は、動作330の階層レベル修復については制限される。さらに、従来のグローバルリサイジングは、コントローラ122に転送されるデータ量を増加させ得る階層的平坦化をもたらす結果となり得る。デジタルリソグラフィのための設計ファイルを認証かつ準備する従来の方法と比較して、動作310の適合性ルールを利用することにより、データ量を少なくとも約90%低減させることができる。さらに、動作330は任意選択的であり、方法300から除外されてもよい。
【0028】
[0032]
図4は、1つ又は複数の実施形態に係る、設計ファイルを認証するための方法400を示す。方法400の動作420に関連して説明するように、適合性ルールに適合すると判定された設計ファイルの場合、セルレベルのバイアシング及び修復を使用して生成された結果は、従来の階層的ジオメトリーエンジンを使用したバイアシングと実質的に類似する。しかしながら、方法400に関連して説明された適合性ルールを利用した場合、デジタルリソグラフィのためにデジタルリソグラフィデバイス101に供給されるデータの量が減少する。例えば、グローバルサイジングを利用する場合、それぞれの非適合位置についてセル間に間隙が存在することがあり、対応するバイアシングの正確さを保つために1つの追加の多角形が必要とされることがあり、その結果データ量が増大する。さらに、非直交相互作用端部を含むと判定された設計ファイルは、かようなエラーが修復可能でない場合があるために拒絶され得る。方法400に関連して記載された認証プロセスは、デジタルリソグラフィデバイス101に提供されるデータ量と相関させるために使用することができる。
【0029】
[0033]動作410では、設計ファイルがアクセスされる。例えば、設計ファイル220は、メモリ216からアクセスされ得る。設計アプリケーション218は、メモリ216からの設計ファイル220にアクセスして、設計ファイル220内の1つ又は複数の対象領域を特定し得る。
【0030】
[0034]動作420では、設計ファイルの適合性チェックが実行される。例えば、設計アプリケーション218は、コントローラ212上で実行され、設計ファイル220に1つ又は複数のルールを適用して、設計ファイルが適合しているかどうかを判定する。非適合位置を決定することは、上述のように、非直交構造、不十分な重複構造、及び/又はセルと階層レベルとの間の選択的動作の違いを検出することを含み得る。動作422~426は、適合性チェックをさらに詳細に説明する。
【0031】
[0035]動作422では、設計アプリケーション218は、セルの対象領域内に非直交端部が存在するか否かを判定する。非直交端部を決定することは、重複構造の端部が0度又は180度以外の角度であり得るどうかを判定することを含み得る。例えば、設計アプリケーション218は、1つ若しくは複数の構造、又は多角形、及びセル間の対象領域を特定し、構造から1つ又は複数の端部を特定し、特定された端部が互いに対して直交しないか否かを判定し得る。非直交端部が特定された場合、対応する対象領域は、非適合であるとマーキングされ、エラーリストに追加され得る。
【0032】
[0036]設計ファイルを分析し、隣接するセル同士の構造の相互作用を検出し、検出された相互作用を対象領域としてフラグ付けすることによって、対象領域が設計アプリケーション218によって決定される。
図6を参照すると、設計アプリケーション218は、構造614と共通階層内の他のセルの構造との間のセル間相互作用を検出することによって、対象領域616を決定することができる。相互作用構造は、少なくとも部分的に重複する構造である。さらに、相互作用する構造は、共通の階層層にある。セル600のビュー610は、構造614と他の隣接セルの構造との間の相互作用に対応する対象領域616(例えば、対象領域616a及び対象領域616b)を含む。例えば、対象領域616aは、構造614が第1のセルの構造と相互作用する位置に対応し、対象領域616bは、構造614が第2のセルの構造と相互作用する位置に対応する。構造614が別のセルの対応する構造と相互作用しないことが判明した場合、1つ又は複数の対象領域を除外してもよい。さらに、ビュー620に示すように、対象領域616aは、階層レベルにおける構造614と構造626との間の相互作用に対応する。
【0033】
[0037]設計アプリケーション218は、さらに、セル内にマーカを生成する。マーカはセルの構造の端部に対応する。マーカを利用して、非適合対象領域及び対応する非適合セルを検出することができる。
図6に示すように、セル600には、構造614の端部に対応するマーカ612が付されている。設計アプリケーション218は、重複構造の重複端部のマーカを利用して、対象領域が適合しているか否かを判定する。例えば、非適合対象領域を検出することは、2つの構造間の相互作用に対応するマーカを選択すること、及び選択されたマーカ間に形成された角度が0度又は180度と異なるか否かを判定することを含む。
図6及びビュー620を参照すると、マーカ612a及び624は、マーカ612a及び624が構造614と626との間の相互作用の重複端部に対応するという決定に基づいて選択される。別の言い方をすれば、マーカ612a及び624が構造614及び626の階層的相互作用を特定するときに、マーカ612a及び624が選択される。したがって、マーカ612a及び626は、対象領域616aが適合しているかどうかを決定するために、設計アプリケーション218によって使用され得る。例えば、ビュー630の領域636によって示されるように、非直交端部が検出され、構造614と626との間でフラグ付けされる。非直交端部を決定することは、マーカ612aとマーカ624との間の角度が0度又は180度以外の値であるか否かを判定することを含む。例えば、設計アプリケーション218はマーカ612aとマーカ624との間に形成される角度を測定し、その値が0度又は180度と異なる場合に対象領域616aが不適合であると判定される。選択されたマーカ612aとマーカ624との間に形成された角度が0度又は180度以外の値であると判定された場合、対象領域は、設計アプリケーション218によって非適合であると判定され、セル600は、非適合であるとマーキングされてエラーリストに追加される。あるいは、対象領域に非直交端部がないと判定された場合、対象領域及び対応するセルは適合していると判定される。さらに、1つ又は複数の非適合セルを含むと判定された設計ファイルは拒絶され得る。
【0034】
[0038]動作424では、設計アプリケーション218は、重複構造素子が適合しているか否かを判定する。例えば、設計アプリケーション218は、コントローラ212によって実行され、対象領域内の重複端部を特定し、重複端部の数を決定し、重複端部の数が端部閾値を満たすか否かを決定する。端部閾値は、セルの適合対象領域が重複領域内に3つより多くの隣接端部がないように設定することができる。さらに、重複閾値を満たす対象領域は、端部閾値によって規定されたよりも多くの隣接端部がない対象領域であり得る。
図7を参照すると、対象領域700が設計アプリケーション218によって評価され、対象領域700が重複閾値を満たすか否かが判定され得る。例えば、対象領域700は、構造702及び704を含む。設計アプリケーション218は、構造702と重複する構造704の端部の数を重複閾値と比較する。重複閾値は、3の値を有してもよい。さらに、重複閾値は、3より小さい又は大きい値を有してもよい。
図7に示されるように、構造702に重なる構造704の端部の数は5であり、対象領域700は、非適合であるとしてマーキングされてエラーリストに追加され得る。
【0035】
[0039]さらに、動作424は、構造702及び構造704のうちの少なくとも一方の1つ又は複数の端部を特定すること、及び重複の距離が距離閾値未満であるか否かを判定することを含み得る。重複量が距離閾値未満である場合、対応する対象領域は、非適合であると示され得る。
図8を参照すると、構造802及び804を含む対象領域800が示されている。構造804は、領域806によって示される第1の量だけ構造802と重複する。設計アプリケーション218によってこの重複量が重複閾値と比較され、対象領域800を含むセルが適合しているか否かが判定される。重複閾値は、目標バイアス量(例えば、セルがリサイジング中にバイアシングされる量)と少なくとも同じ値であってよい。領域806によって示される重複量が重複閾値を満たさない場合、対象領域800を含むセルは、非適合であると判定されてエラーリストに追加され得る。
【0036】
[0040]動作426では、設計アプリケーション218は、セル構成内に選択的バイアシングエラーが存在するか否かを判定する。例えば、設計アプリケーション218は、セル内の1つ又は複数の構造を特定し、その構造を、設計ファイル(例えば、設計ファイル220)の複合階層データと比較して、選択プロセス中に不一致が存在するか否かを判定することができる。構造がセルから除外されたときにエラーが存在すると判定され得る。例えば、
図9に示すように、対象領域900は、基準層902及びターゲット層904を含む。しかしながら、階層構成ビュー910で示されるように、基準層902は、異なるセルインスタンスから別のターゲット層904の上を通過する。したがって、対象領域900を含むセルは、エラーを含み、非適合であると特定され得る。したがって、対象領域900を含むセルは、エラーリストに追加され得る。
【0037】
[0041]動作430では、ユーザは、エラーに対処するよう促される。例えば、ユーザは、エラーリスト内で特定されたエラーに対処するように促され得る。エラーリストは、動作420によって生成され得る。さらに、エラーリストは、評価され、それらの重大度に基づいてグループ化され得る。例えば、動作422及び426によって生成された非適合エラーは、グループ化され、是正処理のために特定され得る。さらに、動作424からの非適合エラーをパーセンテージ閾値と比較して、設計ファイルが適合チェックに合格したか否かを判定することができる。例えば、動作424中に特定された端部の95%が重複閾値を満たすと判定された場合、設計ファイルはチェックに合格する。しかしながら、動作424中に特定された端部の5%超が重複閾値を満たさないと判定された場合、設計ファイルはチェックに合格しなかったことになる。さらに、重複閾値を満たす端部の割合が約95%を超える場合、コントローラ122に転送されるデータ量の低減が達成され得る。追加的に又は代替的に、設計アプリケーション218は、コントローラ212によって実行され、動作420の適合性チェックに基づいてエラーリストを生成し得る。
【0038】
[0042]コントローラ212によって実行される設計アプリケーション218は、I/O装置を介してエラーリストをユーザに出力し、それと共に、特定されたエラーを訂正するようユーザに設計ファイル220の更新を要求することができる。例えば、エラーリストは、認証デバイス130の表示デバイスを介してユーザに提示され得る。ユーザは、特定されたエラーを訂正するために設計ファイル220を更新することができる。設計ファイルが修正された後、方法400を利用して、更新された設計ファイルを評価かつ認証することができる。代替的に、ユーザは、特定されたエラーを訂正する要求を無視して、設計ファイル220をデジタルリソグラフィデバイス101に通信することを選択してもよい。しかし、認証されていない設計ファイルを使用すると、デジタルリソグラフィプロセス中にエラーが発生する可能性がある。
【0039】
[0043]方法400は、設計ファイルを修復するという任意選択的な動作440をさらに含み得る。例えば、設計ファイルは、非適合領域のうちの1つ又は複数の領域でセル要素間の間隙(又は空間)を埋めることによって修復される。設計ファイルの自動修復のために動作424の非適合エラーの検出又は判定に応答して、動作440が実施されてもよい。あるいは、方法400は、データ量を低減するために特定されたエラーに対処するようユーザに要求することの代替又は追加として、動作440を含み得る。さらに、セルレベルのバイアシングダウンと、セル又はセル素子間の間隙のパッチングとの組み合わせは、従来のグローバルバイアシングの結果と比べて同等の結果を生み出すことがある。さらに、上述のセルレベルバイアシング操作は、階層構造を変更せず、したがって、コントローラ122に転送されるデータ量を増加させない。設計修復操作(例えば、動作440)中にデータ量が増加することがあるので、非適合エラーがより少ない設計ファイルがよりコンパクトな設計ファイルを生成することになる。
【0040】
[0044]動作450では、設計ファイルが認証される。例えば、設計ファイル220は、認証プロセス(例えば、方法400)中にエラーが特定されない場合、設計アプリケーション218によって、デジタルリソグラフィプロセスに適合し、準備ができていると認証され得る。設計ファイルが認証された後、設計ファイル220は、デジタルリソグラフィデバイス101に通信され得る。例えば、設計ファイル220は、ネットワークインターフェース214及び通信ネットワークを介して、デジタルリソグラフィデバイス101のコントローラ122に通信され得る。代替的に又は追加的に、設計ファイル220は、デジタルリソグラフィデバイス101に転送される前に、取り外し可能なメモリに保存され得る。
【0041】
[0045]デジタルリソグラフィプロセスで使用される設計ファイルの認証は、デジタルリソグラフィプロセス中に発生し得るエラーの低減に役立つ。例えば、認証プロセスは、設計ファイルがデジタルリソグラフィプロセスに提供される前に、設計ファイル内のエラーを特定することができる。さらに、デジタルリソグラフィプロセスに提供されるデータの量は、階層レベルで行われる設計ファイルへの調整を用いて、セルレベルで認証を実行することによって低減することができる。
【0042】
[0046]
図3及び
図4に示される方法は、コンピュータプログラム製品内に格納され、コントローラ(例えば、コントローラ122及び/又は212)上で実行され得る。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。
【0043】
[0047]コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用される命令を保持かつ記憶することが可能な有形デバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、メモリ216を含み得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又は前述の任意の適切な組合せであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な実施例の非網羅的なリストには、とりわけ、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読取り専用メモリ、ポータブルコンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク、メモリスティック、又はフロッピーディスクが含まれる。
【0044】
[0048]本明細書に記載するコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスにダウンロードするか、又は、ネットワーク(例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/又は無線ネットワーク)を介して、外部コンピュータ若しくは外部記憶デバイスにダウンロードすることができる。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために、コンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0045】
[0049]本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令集合アーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ(state-setting data)、又は任意の組み合わせの1つ又は複数のプログラミング言語(Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語若しくは類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む)で書かれたソースコード若しくはオブジェクトコードのいずれかであってもよい。幾つかの実施形態では、例えば、ログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、電子回路をパーソナル化するコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0046】
[0050]本発明の態様は、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照しながら本明細書で説明される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図におけるブロックの組合せをコンピュータ可読プログラム命令によって実施できることを理解されたい。
【0047】
[0051]これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コントローラ122及び/又はコントローラ212に提供され得る。さらに、コンピュータ可読プログラム命令が、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されて、マシンを生成することができ、これにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能/動作を実施するための手段を作り出す。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、メモリ216に記憶されてもよい。
【0048】
[0052]以上の記載は、本開示の実施例を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施例及びさらなる実施例を考案してもよく、本開示の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリからのデジタルリソグラフィデバイスのための設計ファイルへアクセスすることと、
前記設計ファイル内で規定される第1の構造と第2の構造とが重複する対象領域を特定することと、
1つ又は複数の階層層内のセルの構造間の相互作用に基づいて、前記設計ファイル内の対象領域を検出することと、
前記設計ファイルに1つ又は複数の適合性ルールを適用して、前記設計ファイルの前記第1の構造と前記設計ファイルの前記第2の構造との間の非適合相互作用を検出することによって、前記設計ファイルの適合性を判定することと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の構造が基準層であり、前記第2の構造がターゲット層である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記設計ファイルの前記第1の構造と前記設計ファイルの前記第2の構造との間の前記非適合相互作用を検出することが、
セル内の1つ又は複数の構造を特定することと、
前記構造を、前記設計ファイルの前記階層層と比較することと、
前記1つ又は複数の構造と前記階層層との間に不一致が存在するか否かを判定することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不一致を含む前記対象領域を、エラーリストに含めることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
エラーが、セルから除外された構造を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記対象領域を前記エラーリストに含めたことに応答して、前記設計ファイルを認証することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
非適合であると判定された1つ又は複数の対象領域が存在することに応答して、前記設計ファイルを拒絶することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
デジタルリソグラフィのための設計ファイルを認証するための認証デバイスであって、
前記設計ファイルを含むメモリと、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、
前記メモリからのデジタルリソグラフィデバイスのための前記設計ファイルへアクセスし、
前記設計ファイル内で規定される第1の構造と第2の構造とが重複する対象領域を特定し、
1つ又は複数の階層層内のセルの構造間の相互作用に基づいて、前記設計ファイル内の対象領域を検出し、
前記設計ファイルに1つ又は複数の適合性ルールを適用して、前記設計ファイルの前記第1の構造と前記設計ファイルの前記第2の構造との間の非適合相互作用を検出することによって、前記設計ファイルの適合性を判定する
ように構成されている、認証デバイス。
【請求項9】
前記第1の構造が基準層であり、前記第2の構造がターゲット層である、請求項8に記載の認証デバイス。
【請求項10】
前記設計ファイルの前記第1の構造と前記設計ファイルの前記第2の構造との間の前記非適合相互作用を検出することが、
セル内の1つ又は複数の構造を特定することと、
前記構造を、前記設計ファイルの前記階層層と比較することと、
前記1つ又は複数の構造と前記階層層との間に不一致が存在するか否かを判定することと
をさらに含む、請求項8に記載の認証デバイス。
【請求項11】
前記コントローラがさらに、前記不一致を含む前記対象領域を、エラーリストに含めるように構成されている、請求項10に記載の認証デバイス。
【請求項12】
エラーが、セルから除外された構造を含む、請求項11に記載の認証デバイス。
【請求項13】
前記コントローラがさらに、前記対象領域を前記エラーリストに含めたことに応答して、前記設計ファイルを認証するように構成されている、請求項11に記載の認証デバイス。
【請求項14】
前記コントローラがさらに、非適合であると判定された1つ又は複数の対象領域が存在することに応答して、前記設計ファイルを拒絶するように構成されている、請求項8に記載の認証デバイス。
【請求項15】
デジタルリソグラフィのための設計ファイルを認証するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、
コンピュータ可読プログラムコードを実装したコンピュータ可読記憶媒体を含み、前記コンピュータ可読プログラムコードは、
メモリからのデジタルリソグラフィデバイスのための前記設計ファイルへアクセスし、
前記設計ファイル内で規定される第1の構造と第2の構造とが重複する対象領域を特定し、
1つ又は複数の階層層内のセルの構造間の相互作用に基づいて、前記設計ファイル内の対象領域を検出し、
前記設計ファイルに1つ又は複数の適合性ルールを適用して、前記設計ファイルの前記第1の構造と前記設計ファイルの前記第2の構造との間の非適合相互作用を検出することによって、前記設計ファイルの適合性を判定する
ように、1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、コンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記第1の構造が基準層であり、前記第2の構造がターゲット層である、請求項15に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
前記コンピュータ可読プログラムコードがさらに、
セル内の1つ又は複数の構造を特定し、
前記構造を、前記設計ファイルの前記階層層と比較し、
前記1つ又は複数の構造と前記階層層との間に不一致が存在するか否かを判定する
ように、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、請求項15に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記コンピュータ可読プログラムコードがさらに、前記不一致を含む前記対象領域を、エラーリストに含めるように、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記コンピュータ可読プログラムコードがさらに、前記対象領域を前記エラーリストに含めたことに応答して、前記設計ファイルを認証するように、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、請求項18に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記コンピュータ可読プログラムコードがさらに、非適合であると判定された1つ又は複数の対象領域が存在することに応答して、前記設計ファイルを拒絶するように、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、請求項15に記載のコンピュータプログラム製品。
【外国語明細書】