(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015684
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240130BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117916
(22)【出願日】2022-07-25
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム 産学共同(育成型)「畦畔管理のためのデータ活用型農作業支援アプリの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】菊地 麗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】草刈機などの作業用車両を走行面の状態に応じて適切に制御すること。
【解決手段】草刈機の制御システムは、草刈機の周辺状況を示す第1情報を取得する第1取得部と、前記草刈機の位置を認識可能な第2情報を取得する第2取得部と、前記第1情報および前記第2情報を参照し、前記草刈機の周辺に存在する障害物の位置と特徴情報を認識する認識部と、記憶部に記憶された障害物情報であって、過去に認識された障害物の位置と特徴情報とが対応付けられた障害物情報を参照し、前記認識部により位置と特徴情報とが認識された障害物が、過去に位置と特徴情報が認識された第1障害物と同一であるか否かを判定する判定部と、前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であると判定された場合、過去に前記第1障害物について確定され記憶部に記憶された回避挙動で障害物を回避するように前記草刈機を制御する制御部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
草刈機の周辺状況を示す第1情報を取得する第1取得部と、
前記草刈機の位置を認識可能な第2情報を取得する第2取得部と、
前記第1情報および前記第2情報を参照し、前記草刈機の周辺に存在する障害物の位置と特徴情報を認識する認識部と、
記憶部に記憶された障害物情報であって、過去に認識された障害物の位置と特徴情報とが対応付けられた障害物情報を参照し、前記認識部により位置と特徴情報とが認識された障害物が、過去に位置と特徴情報が認識された第1障害物と同一であるか否かを判定する判定部と、
前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であると判定された場合、過去に前記第1障害物について確定され記憶部に記憶された回避挙動で障害物を回避するように前記草刈機を制御する制御部と、
を備える草刈機の制御システム。
【請求項2】
前記判定部は、
前記過去に認識された障害物の位置と前記認識部により認識された障害物の位置との比較結果および前記過去に認識された障害物の特徴情報と前記認識部により認識された障害物の特徴情報との比較結果とに基づいて、前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であるか否かを判定する、
請求項1に記載の草刈機の制御システム。
【請求項3】
前記判定部が、前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一でないと判定した場合または前記障害物情報において前記認識部により認識された障害物と同じ位置に対応付けられた過去に認識された障害物が存在しない場合、
記憶装置に記憶された、前記認識された障害物と同種の障害物に対応付けられた回避挙動を検索する検索部を備え、
前記制御部は、前記検索部が検索した回避挙動に基づいて、前記第1障害物を回避するように前記草刈機を制御する、
請求項1または2に記載の草刈機の制御システム。
【請求項4】
前記検索部は、更に、
前記第1情報を解析して得られた前記認識部により認識された障害物の特徴情報と類似する特徴情報を有する障害物を同種の障害物として認識し、
前記特徴情報は、サイズと、材質と、形状とのうち一部または全部の情報が反映された障害物の特徴を示す情報である、
請求項3に記載の草刈機の制御システム。
【請求項5】
前記判定部が、前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一でないと判定した場合または前記障害物情報において前記認識部により認識された障害物と同じ位置に対応付けられた過去に認識された障害物が存在しない場合、前記認識された障害物の情報を記憶装置に記憶させる登録部を更に備える(畦畔DBの更新)、
請求項1または2に記載の草刈機の制御システム。
【請求項6】
前記登録部は、
前記認識された障害物の位置と、前記認識された障害物の特徴情報とに基づいて得られたリスク或いはリスクに基づく回避挙動とを対応付けた情報を前記記憶装置に記憶させ、
前記特徴情報は、前記障害物のサイズと、材質と、形状とのうち一部または全部の情報が反映された障害物の特徴を示す情報である、
請求項5に記載の草刈機の制御システム。
【請求項7】
前記登録部は、
前記認識された障害物が存在する期間に関する情報と、前記認識された障害物の位置と、前記認識された障害物の特徴情報とに基づいて得られたリスク或いはリスクに基づく回避挙動とを対応付けた情報を前記記憶装置に記憶させる、
請求項6に記載の草刈機の制御システム。
【請求項8】
前記認識された障害物が存在する期間に関する情報は、前記障害物が常設であることを示す情報と、前記障害物が置かれる期間または季節を示す情報とのうち一方または双方を含む、
請求項7に記載の草刈機の制御システム。
【請求項9】
前記草刈機の作業領域は、畦畔または法面であり、
前記登録部は、
前記畦畔または法面に隣接する隣接領域の状況に関する情報と、前記認識された障害物が存在する期間に関する情報と、前記認識された障害物の位置と、前記認識された障害物の特徴情報とに基づいて得たリスク或いはリスクに基づく回避挙動とを対応付けた情報を前記記憶装置に記憶させる、
請求項5に記載の草刈機の制御システム。
【請求項10】
前記第1取得部は、前記認識された障害物に対する処理後の所定のタイミングにおいて、草刈機の周辺状況を示す第1情報を取得し、
前記第2取得部は、前記所定のタイミングにおいて、前記草刈機の位置を認識可能な第2情報を取得し、
前記認識部は、前記第1情報および前記第2情報を参照し、前記草刈機の周辺に存在する障害物の位置と特徴情報とを認識し、
前記判定部は、記憶部に記憶された障害物情報であって、前記所定のタイミングの前に登録部が登録した障害物の位置と特徴情報が対応付けられた障害物情報を参照し、前記所定のタイミングの後に前記認識部により位置と特徴情報とが認識された障害物が、前記登録部により登録された位置と特徴情報が認識された第1障害物と同一であるか否かを判定し、
前記制御部は、前記所定のタイミングの後に前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であると判定された場合、前記第1障害物について確定され記憶部に記憶された回避挙動で障害物を回避するように前記草刈機を制御する、
請求項6に記載の草刈機の制御システム。
【請求項11】
コンピュータが、
草刈機の周辺状況を示す第1情報を取得する第1取得処理と、
前記草刈機の位置を認識可能な第2情報を取得する第2取得処理と、
前記第1情報および前記第2情報を参照し、前記草刈機の周辺に存在する障害物の位置と特徴情報を認識する認識処理と、
記憶部に記憶された障害物情報であって、過去に認識された障害物の位置と特徴情報とが対応付けられた障害物情報を参照し、前記認識処理により位置と特徴情報とが認識された障害物が、過去に位置と特徴情報が認識された第1障害物と同一であるか否かを判定する判定処理と、
前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であると判定された場合、過去に前記第1障害物について確定され記憶部に記憶された回避挙動で障害物を回避するように前記草刈機を制御する制御処理と、
を実行する制御方法。
【請求項12】
コンピュータに、
草刈機の周辺状況を示す第1情報を取得する第1取得処理と、
前記草刈機の位置を認識可能な第2情報を取得する第2取得処理と、
前記第1情報および前記第2情報を参照し、前記草刈機の周辺に存在する障害物の位置と特徴情報を認識する認識処理と、
記憶部に記憶された障害物情報であって、過去に認識された障害物の位置と特徴情報とが対応付けられた障害物情報を参照し、前記認識処理により位置と特徴情報とが認識された障害物が、過去に位置と特徴情報が認識された第1障害物と同一であるか否かを判定する判定処理と、
前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であると判定された場合、過去に前記第1障害物について確定され記憶部に記憶された回避挙動で障害物を回避するように前記草刈機を制御する制御処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行面を移動しながら作業を行う移動体と、前記移動体の移動方向に交差する方向に移動可能に設けられ、前記移動体の移動を支援する移動支援部を有する支援装置と、を備えた移動ユニットが開示されている(例えば特許文献1)。上記の移動体は、前記走行面の状態を検知し、検知した前記走行面の状態に応じて、前記移動体の移動を制御し、前記移動支援部は、前記移動支援部と前記移動体とを張力のかかった状態で接続する接続部材と、前記移動体が移動しているか否かを示す移動可否状況と、前記移動体の前記移動方向とに応じて、前記接続部材の張力を制御する張力制御部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-042528号公報
【特許文献2】特開2019-201560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、走行面の状態に応じて適切に草刈機などの作業用車両を制御することができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、作業用車両を走行面の状態に応じて適切に制御する制御システム、制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。例えば、作業用車両である草刈機を走行面の状態に応じて適切に制御することができる制御システム、制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様である制御システムは、草刈機の周辺状況を示す第1情報を取得する第1取得部と、前記草刈機の位置を認識可能な第2情報を取得する第2取得部と、前記第1情報および前記第2情報を参照し、前記草刈機の周辺に存在する障害物の位置と特徴情報を認識する認識部と、記憶部に記憶された障害物情報であって、過去に認識された障害物の位置と特徴情報とが対応付けられた障害物情報を参照し、前記認識部により位置と特徴情報とが認識された障害物が、過去に位置と特徴情報が認識された第1障害物と同一であるか否かを判定する判定部と、前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であると判定された場合、過去に前記第1障害物について確定され記憶部に記憶された回避挙動で障害物を回避するように前記草刈機を制御する制御部とを備える。
【0007】
本発明の第2の態様の制御システムは、前記判定部は、前記過去に認識された障害物の位置と前記認識部により認識された障害物の位置との比較結果および前記過去に認識された障害物の特徴情報と前記認識部により認識された障害物の特徴情報との比較結果とに基づいて、前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であるか否かを判定する。
【0008】
本発明の第3の態様である制御システムは、前記判定部が、前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一でないと判定した場合または前記障害物情報において前記認識部により認識された障害物と同じ位置に対応付けられた過去に認識された障害物が存在しない場合、記憶装置に記憶された、前記認識された障害物と同種の障害物に対応付けられた回避挙動を検索する検索部を備え、前記制御部は、前記検索部が検索した回避挙動に基づいて、前記第1障害物を回避するように前記草刈機を制御する。
【0009】
本発明の第4の態様である制御システムは、前記検索部は、更に、前記第1情報を解析して得られた前記認識部により認識された障害物の特徴情報と類似する特徴情報を有する障害物を同種の障害物として認識し、前記特徴情報は、サイズと、材質と、形状とのうち一部または全部の情報が反映された障害物の特徴を示す情報である。
【0010】
本発明の第5の態様である制御システムは、前記判定部が、前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一でないと判定した場合または前記障害物情報において前記認識部により認識された障害物と同じ位置に対応付けられた過去に認識された障害物が存在しない場合、前記認識された障害物の情報を記憶装置に記憶させる登録部を更に備える。
【0011】
本発明の第6の態様である制御システムは、前記登録部は、前記認識された障害物の位置と、前記認識された障害物の特徴情報とに基づいて得られたリスク或いはリスクに基づく回避挙動とを対応付けた情報を前記記憶装置に記憶させ、前記特徴情報は、前記障害物のサイズと、材質と、形状とのうち一部または全部の情報が反映された障害物の特徴を示す情報である。
【0012】
本発明の第7の態様である制御システムは、前記登録部は、前記認識された障害物が存在する期間に関する情報と、前記認識された障害物の位置と、前記認識された障害物の特徴情報とに基づいて得られたリスク或いはリスクに基づく回避挙動とを対応付けた情報を前記記憶装置に記憶させる。
【0013】
本発明の第8の態様である制御システムは、前記認識された障害物が存在する期間に関する情報は、前記障害物が常設であることを示す情報と、前記障害物が置かれる期間または季節を示す情報とのうち一方または双方を含む。
【0014】
本発明の第9の態様である制御システムは、前記草刈機の作業領域は、畦畔または法面であり、前記登録部は、前記畦畔または法面に隣接領域の状況に関する情報と、前記認識された障害物が存在する期間に関する情報と、前記認識された障害物の位置と、前記認識された障害物の特徴情報とに基づいて得たリスク或いはリスクに基づく回避挙動とを対応付けた情報を前記記憶装置に記憶させる。
【0015】
本発明の第10の態様である制御システムは、前記第1取得部は、前記認識された障害物に対する処理後の所定のタイミングにおいて、草刈機の周辺状況を示す第1情報を取得し、前記第2取得部は、前記所定のタイミングにおいて、前記草刈機の位置を認識可能な第2情報を取得し、前記認識部は、前記第1情報および前記第2情報を参照し、前記草刈機の周辺に存在する障害物の位置と特徴情報とを認識し、前記判定部は、記憶部に記憶された障害物情報であって、前記所定のタイミングの前に登録部が登録した障害物の位置と特徴情報が対応付けられた障害物情報を参照し、前記所定のタイミングの後に前記認識部により位置と特徴情報とが認識された障害物が、前記登録部により登録された位置と特徴情報が認識された第1障害物と同一であるか否かを判定し、前記制御部は、前記所定のタイミングの後に前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であると判定された場合、前記第1障害物について確定され記憶部に記憶された回避挙動で障害物を回避するように前記草刈機を制御する。
【0016】
本発明の他の態様である制御方法は、コンピュータが、草刈機の周辺状況を示す第1情報を取得する第1取得処理と、前記草刈機の位置を認識可能な第2情報を取得する第2取得処理と、前記第1情報および前記第2情報を参照し、前記草刈機の周辺に存在する障害物の位置と特徴情報を認識する認識処理と、記憶部に記憶された障害物情報であって、過去に認識された障害物の位置と特徴情報とが対応付けられた障害物情報を参照し、前記認識処理により位置と特徴情報とが認識された障害物が、過去に位置と特徴情報が認識された第1障害物と同一であるか否かを判定する判定処理と、前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であると判定された場合、過去に前記第1障害物について確定され記憶部に記憶された回避挙動で障害物を回避するように前記草刈機を制御する制御処理とを実行する。
【0017】
本発明の他の態様であるプログラムは、コンピュータに、草刈機の周辺状況を示す第1情報を取得する第1取得処理と、前記草刈機の位置を認識可能な第2情報を取得する第2取得処理と、前記第1情報および前記第2情報を参照し、前記草刈機の周辺に存在する障害物の位置と特徴情報を認識する認識処理と、記憶部に記憶された障害物情報であって、過去に認識された障害物の位置と特徴情報とが対応付けられた障害物情報を参照し、前記認識処理により位置と特徴情報とが認識された障害物が、過去に位置と特徴情報が認識された第1障害物と同一であるか否かを判定する判定処理と、前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であると判定された場合、過去に前記第1障害物について確定され記憶部に記憶された回避挙動で障害物を回避するように前記草刈機を制御する制御処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の態様から第12の態様である制御システム、制御方法、またはプログラムは、走行面の状態に応じて適切に草刈機などの作業用車両を制御することができる。例えば、制御システムは、過去に認識された障害物を回避したときの回避挙動で障害物を確実に回避することができる。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、制御システムは、過去に認識されていない障害物であっても、同種の障害物に対応付けられた回避挙動に基づいて障害物を回避することができる。
【0020】
本発明の第5の態様から第9の態様によれば、制御システムは、作業領域に関する情報を詳細に記憶部に記憶させることができる。制御システムは、この情報を参照することで、より確実に障害物を回避することができる。
【0021】
本発明の第10の態様によれば、過去に記憶部に登録した障害物の情報を参照することで、適切に障害物を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】作業用車両10の機能構成について説明するための図である。
【
図4】分類結果と処理との関係の一例を示す図である。
【
図5】制御装置70により実行される処理の流れの一例を示すフローチャート(その1)である。
【
図6】認識障害物情報96の内容の一例を示す図である。
【
図8】ステップS114およびステップS116の処理について説明するための図である。
【
図9】制御装置70により実行される処理の流れの一例を示すフローチャート(その2)である。
【
図10】種別分類障害物情報98の内容の一例を示す図である。
【
図11】更新された認識障害物情報96の内容の一例を示す図である。
【
図12】異なる位置に設けられたカメラユニットCの一例を示す図である。
【
図13】変形例2の作業用車両システム1Aの機能構成の一例を示す図である。
【
図14】種別分類障害物情報98Aの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の制御システム、制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0024】
[作業用車両の使用例]
図1および
図2に示すように、作業用車両10は、例えば、斜面上の作業領域Wの草刈り作業を行うための車両である。斜面とは、例えば、畦畔部であるが、これに限らず、造成地の法面や堤防の法面であってもよい。作業領域Wは、例えば、斜面に限らず平面であってもよい。本実施形態では、作業用車両10は、草刈機であるものとして説明するが、草刈機とは異なる他の作業用車両10であってもよい。作業用車両10は、後述するようにワイヤなどによって懸架されるものに限られない。
図1および
図2に示す作業用車両10の外観は一例であり、これに限定されるものではない。
【0025】
作業用車両10の車体は、例えば、所定の間隔で存在する固定対象に支持された2本のワイヤR1,R2により斜面上の作業領域Wに懸架される。固定対象とは、例えば、作業領域Wまたは作業領域W近傍の斜面の頂部や途中において、地面に所定の間隔で打ち込まれた一対の杭P1,P2である。固定対象は杭P1,P2の他に、ガードレール、樹木、その他の構造物であってもよい。ワイヤR1,R2の一端は、上記固定対象に結ばれて支持されもよい。
【0026】
作業用車両10は、例えば、後述する制御装置70により制御される。また、作業用車両10は、端末装置100と無線通信を行い、端末装置100において受け付けられた操作に基づいて制御される。例えば、作業用車両10の車体の2本のワイヤR1,R2の巻き取りおよび繰り出し量がそれぞれ独立に調整されることにより、作業領域Wにおいて所定の走行軌道に沿った走行が可能となる。そして、作業用車両10は、例えば、作業領域Wを走行しながら作業領域Wの地面において雑草などの草本類を刈ることが可能となる。
【0027】
作業用車両10の車体上には、例えば、2本のワイヤR1,R2の巻き取りまたは繰り出し量を調整するためのドラム部50が載置されている。車体上には、更にドラム部50を制御するための制御装置70と、制御装置70と端末装置100などの外部装置との通信を行う通信部20と、作業用車両10の周辺を撮像するカメラ30と、作業用車両10の各機器に電力を供給する電源部40と、草刈り作業を行うための作業機器60とが載置されている(
図3参照)。車体の下面には、例えば、車体を移動自在に支持する車輪が取り付けられている。車体の下面には、作業機器60の駆動部62により駆動される草刈りを行うための刈刃であるカッタ64が接続されている。カッタ64は、例えばナイロンコードカッターや金属フリー刃である。
【0028】
以下の説明では重複する説明については符号を括弧書きで記載する。ワイヤR1(R2)は、ロープ体であり、例えば、金属線が編まれたワイヤである。ワイヤR1(R2)は、金属製のワイヤの他、天然素材、合成繊維、複合素材、樹脂製の素材等で編まれた紐や綱、あるいは樹脂で成形されたロープ体であってもよい。
【0029】
ワイヤR1(R2)の一端は、例えば、輪状に形成されており、地面に対して固定された杭P1(P2)に引っ掛けられて支持される。ワイヤR1(R2)の一端には、杭P1(P2)に引っ掛けるためのスナップフックやその他の支持部材が連結されていてもよい。杭P1(P2)は、例えば、鉄筋等が加工された鋼棒である。杭P1(P2)は、例えば、予め地面に埋め込まれた塩化ビニル管に挿入される。杭P1(P2)は、地面に直接打ち込まれてもよい。杭P1(P2)は、鋼棒の他、ワイヤR1,R2の一端を支持することができるのであればどのようなものを用いてもよい。
【0030】
ワイヤR1(R2)の他端は、例えば、車体上に倒立して取り付けられたドラム部50のドラム51(56)に繋がれている。ドラム51(56)は、例えば、筒状のプーリ53(58)とプーリ53(58)を回転駆動するモータ52(57)とを備える(
図3参照)。プーリ53(58)とモータ52(57)のシャフト(不図示)とは同心に連結されている。プーリ53(58)にはワイヤR1(R2)の他端が繋がれており、使用開始前の状態ではワイヤR1(R2)が巻き取られている。
【0031】
使用開始時には、ワイヤR1(R2)がドラム51(56)から引き出され、一端が杭P1(P2)に引っ掛けられる。杭P1(P2)に引っ掛けられたワイヤR1(R2)には張力が生じる。ワイヤR1(R2)に張力が生じた状態でモータ52(57)を正転または逆転することにより、ワイヤR1(R2)の巻き取りおよび繰り出し量が調整される。車体の初期位置は、走行開始地点における2本のワイヤR1及びR2の長さに基づいて決定される。
【0032】
上記のように、ワイヤR1(R2)の巻き取り繰り出し量が調整され、作業用車両10の位置が調整される。作業用車両10が走行する経路は予め定められており、予め定められた経路に沿って作業用車両10が走行するようにワイヤR1(R2)の巻き取り繰り出し量が調整される。作業用車両10は、例えば、杭P1、P2の近くから杭P1と杭P2と結んだラインと平行なラインに沿って作業領域Wを走行し、当該ラインの走行が終了すると、杭P1および杭P2から遠ざかる方向のラインに作業用車両10の位置をスライドさせて、同様に走行する。これを繰り返して、作業用車両10は作業領域Wの草刈りを行う。
【0033】
[作業用車両の機能構成]
図3は、作業用車両10の機能構成について説明するための図である。作業用車両10は、例えば、通信部20と、カメラ30と、電源部40と、ドラム部50と、作業機器60と、制御装置70と、記憶部90とを備える。
【0034】
通信部20は、他の装置と通信するための通信インターフェースである。カメラ30は、作業用車両10に対して予め設定された設定領域を撮像する。設定領域とは作業用車両の少なくとも前方(進行方向)を含む領域である。カメラ30は、例えば広角レンズを用いて画角の広い範囲、360度の範囲、作業用車両10の下方の範囲を撮像するものであってもよい。下方の範囲が撮像された画像は、草刈りが終了しているか否かの判定に用いられてもよい。電源部40は、例えば、繰り返し充放電可能な蓄電池である。電源部40は、作業用車両10の各機器に電力を共有する。
【0035】
ドラム部50は、ドラム51と、ドラム56とを含む。ドラム51は、例えば、モータ52およびプーリ53を備える。ドラム56は、例えば、モータ57およびプーリ58を備える。上述したように、ドラム部50は、ワイヤR1(R2)の巻き取りおよび繰り出し量を調整する。作業機器60は、例えば、駆動部62と、カッタ64とを備える。カッタ64は、駆動部62により駆動されて草を刈り取る。
【0036】
制御装置70は、例えば、第1処理部72と、第2処理部74と、認識部76と、判定部78と、検索部80と、登録更新部82と、制御部84とを備える。これらの機能部の一部または全部は、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能部の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで制御装置70にインストールされてもよい。第1処理部72は「第1取得部」の一例であり、第2処理部74は「第2取得部」の一例である。
【0037】
記憶部90は、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現されてよい。記憶部90には、作業情報92と、畦畔情報94と、対応情報95と、認識障害物情報96と、種別分類障害物情報98とが記憶されている。認識障害物情報96と、種別分類障害物情報98とは、一つの情報(例えばデータベース)として管理されてもよい。これらの情報の詳細については後述する。認識障害物情報96または種別分類障害物情報98は「障害物情報」の一例である。
【0038】
第1処理部72は、作業用車両10(草刈機)の周辺状況を示す第1情報を取得する。第1処理部72は、カメラ30により撮像された画像を解析して障害物の有無や、障害物の特徴を示す情報を取得する。特徴を示す情報(特徴情報)とは、例えば、障害物の大きさと、材質と、形状とのうち一部または全部の情報が反映された障害物の特徴を示す情報である。第1処理部72は、例えば、画像の各画素の輝度値を示す情報や、輝度値の分布の情報などを用いて、画像における障害物や障害物の特徴を示す情報を取得する。第1処理部72は、例えば、テクスチャ解析などの所定のコンピュータ処理を行って特徴を示す情報を取得する。例えば、第1処理部72は、画像を入力すると、画像における障害物の位置、大きさ、材質、形状などを出力するように学習された学習モデルを用いて障害物の位置および特徴を示す情報を取得してもよい。大きさは、例えば、画像における大きさが実際の大きさに変換されたものである。ここでの材質は、色やテクスチャ解析から予測した原料の物質であり、例えば、金属、非金属、木材等の種類を示す。
【0039】
第2処理部74は、草刈機の位置を認識可能な第2情報を取得する。第2処理部74は、予め規定された杭P1の位置、杭P2の位置、ワイヤR1の長さ、およびワイヤR2の長さに基づいて、作業用車両10の位置を導出する。第2処理部74は、例えば、作業領域Wを平面とみなし、三角測量や三辺測量の原理を用いて平面の基準位置に対する作業用車両10の位置(XY座標)を算出する。
【0040】
第2処理部74は、第1処理部72が取得した画像における障害物の位置を特定する。例えば、第2処理部74は、参照情報を参照して、画像における障害物の位置を特定する。参照情報は、例えば、作業用車両10の位置と画像の領域における位置との組み合わせごとに、組み合わせに対応する実際の位置とが対応付けられた情報である。例えば、参照情報には、作業用車両10の位置が位置Aであり、そのときに撮像された画像の領域Aに存在する障害物の実際の位置が位置A#であることが対応付けられている。なお、上記の処理は、参照情報に代えて、作業用車両10の位置と画像の領域に対応する位置とを入力すると、実際の位置を出力する関数などが用いられてもよい。
【0041】
なお、作業用車両10には、GNSS(Global Navigation Satellite System)装置が搭載され、第2処理部74は、GNSS装置から得られた位置情報を利用しても、作業用車両10の位置や障害物の位置を特定してもよい。
【0042】
認識部76は、第1情報および第2情報を参照し、草刈機の周辺に存在する障害物の位置と特徴情報を認識する。認識部76は、例えば、ある位置に障害物が存在し、その障害物の大きさが○○mm3、形状が××、材質が△△(例えばプラスチックなど)であることを認識する。形状とは、例えば、2次元形状(例えば丸などの形状)であってもよし、複数の方向から障害物が撮像された画像から得られた3次元形状(例えば球などの形状)であってもよい。より具体的には、認識部76は、画像にける障害物と風景との境界線を抽出し、抽出した境界線から形状に関する特徴情報(特徴量)を取得する。この特徴情報は、実際には、円や四角などのきれいな形を表すものではないことが多い。この形状に関する特徴情報が、記憶部90に記憶された認識障害物情報96の特徴情報と比較される。
【0043】
判定部78は、記憶部90に記憶された認識障害物情報96であって、過去に認識された障害物の位置と特徴情報が対応付けられた認識障害物情報96を参照し、認識部76により位置と特徴情報とが認識された障害物が、過去に位置と特徴情報が認識された第1障害物と同一であるか否かを判定する。
【0044】
検索部80は、記憶部90に記憶された認識された障害物と同種の障害物に対応付けられた回避挙動を示す情報を検索する。登録更新部82は、認識された障害物の情報を記憶部90に記憶させる。
【0045】
制御部84は、認識された障害物と過去に認識された障害物とが同一であると判定された場合、過去に第1障害物について確定され記憶部90に記憶された回避挙動で障害物を回避するように草刈機を制御する。回避挙動は、例えば、機体座標の推移、軌跡または、各種モータ等の駆動制御のための制御指令などの過去の値(過去の作業用車両10の推移、軌跡、または制御指令)などでもよい。
【0046】
[端末装置の機能構成]
端末装置100は、スマートフォンや、タブレット端末、ノートパソコン、デスクトップパソコンなどのユーザが利用する端末装置である。端末装置100は、例えば、表示部110と、通信部120と、制御部130とを備える。表示部110は、例えば、タッチパネル機構を備えたディスプレイなどの表示部である。通信部120は、作業用車両10と通信するための通信インターフェースである。制御部130は、端末装置100の各部を制御する制御部である。
【0047】
表示部110には、カメラ30により撮像された画像が表示されたり、作業用車両10の行動を制御するための操作ボタンが表示されたりする。例えば、利用者は、画像を見ながら、操作ボタンを操作することで、作業用車両10の行動を制御することができる。行動とは、進行する速度や作業用車両10が移動する経路(障害物を回避するための経路を含む)などである。
【0048】
[処理の概要]
作業用車両10の制御装置70は、認識された障害物の分類結果に応じて処理の内容を変更する。
図4は、分類結果と処理との関係の一例を示す図である。
【0049】
障害物が既知の障害物である場合、制御装置70は、認識障害物情報96に登録された既知の障害物の回避挙動を援用して、障害物を回避する。この処理は、「前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であると判定された場合、過去に前記第1障害物について確定され記憶部に記憶された回避挙動で障害物を回避するように前記草刈機を制御する」処理の一例である。これにより、作業用車両10は、利用者に問い合わせを行わずに、当該障害物を回避することができる。
【0050】
障害物が未知であるが、同種の障害物の情報が認識障害物情報96に記憶されている場合、制御装置70は、認識障害物情報96に同種の障害物の回避挙動を援用して、障害物を回避する。この処理は、「前記検索部が検索した回避挙動に基づいて、前記第1障害物を回避するように前記草刈機を制御する」処理の一例である。これにより、作業用車両10は、利用者に問い合わせを行わずに、当該障害物を回避することができる。
【0051】
障害物が新規である場合、制御装置70は、認識障害物情報96を更新する。この処理は、「前記認識された障害物の情報を記憶装置に記憶させる」処理の一例である。これにより、新規の障害物の情報が記憶部90に登録される。更に、利用者の指示に基づいて作業用車両10が新規の障害物を回避できた場合、この回避挙動が新規の障害物を回避するための回避挙動として新規の障害物に対して対応付けられる。これにより、次回、作業用車両10は、認識障害物情報96を参照することで利用者に問い合わせを行わずに、当該障害物を回避することができる。
【0052】
以上のように、作業用車両10は、障害物の分類結果、種別に応じた適切な制御を行うことができる。以下、フローチャートを参照して、これらの処理について説明する。
【0053】
[フローチャート(その1)]
図5は、制御装置70により実行される処理の流れの一例を示すフローチャート(その1)である。本処理は、作業用車両10が、作業を開始しようとした際に実行される処理である。なお、開始後は、例えば、ステップS100およびステップS102の処理が省略されて実行される。
【0054】
まず、制御装置70が、記憶部90に記憶された作業情報92から作業情報を取得する(ステップS100)。作業情報とは、作業の内容や作業用車両10の仕様などの情報である。作業情報92は、上記の作業の内容や作業用車両10の仕様を示す情報を含む。
【0055】
次に、制御装置70が、記憶部90に記憶された畦畔情報94から、作業対象の作業領域(例えば畦畔)の情報を取得する(ステップS102)。作業領域の情報とは、畦畔情報94に含まれる情報であって、畦畔の位置、傾斜、凹凸、形状を示す情報や、作業領域の座標の情報、杭の位置の情報、作業開始位置などである。制御装置70は、これらの情報に基づいて、作業用車両10が作業を行う経路を生成して自律作業を行わせることができる。この際、制御装置70は、作業用車両10の仕様が畦畔の傾斜に適合しない場合は、適合しないことを示す情報を端末装置100に通知してもよい。また、経路の情報は、畦畔情報94に含まれていてもよい。
【0056】
次に、第1処理部72は、カメラ30により撮像された新規の画像を取得する(ステップS104)。次に、第1処理部72は、画像解析を行って画像内の障害物を抽出する(ステップS106)。次に、第1処理部72は、障害物が存在しているか否かを判定する(ステップS108)。障害物が存在していない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。この場合、進行方向に障害物が存在していないため、作業用車両10は、進行方向に進行しながら作業を継続することができる。障害物を存在している場合、制御部84は、作業用車両10に作業を停止させる(ステップS110)。例えば、カッタ64の駆動が停止される。なお、進行方向に関して予め少し先の方の領域が撮像された画像を取得すると好適である。早めに障害物を抽出することができ、作業用車両10がだんだん障害物に近づいていくことで大きさの予測も可能となるためである。
【0057】
次に、判定部78は、認識障害物情報96を参照して、既存の障害物の情報を取得する(ステップS112)。次に、判定部78は、ステップS108で認識された障害物と、既存の障害物とを比較して(ステップS114)、ステップS108で認識された障害物が既知の障害物であるか否かを判定する(ステップS116)。
【0058】
図6は、認識障害物情報96の内容の一例を示す図である。認識障害物情報96は、畦畔の識別情報(畦畔ID)、障害物の識別情報、および障害物の特徴を示すコードに対して、畦畔IDに対応する領域において過去に認識された障害物の位置(座標)、サイズ、材質、形状、および回避挙動が対応付けられた情報である。回避挙動は、過去に作業用車両10が障害物を回避した際に、うまく障害物を回避することができた回避挙動である。コードは、当該障害物のサイズ、材質、形状のそれぞれの分類ごとに振られるコードの組み合わせである。例えば、当該障害物のサイズの特徴を示すコード(最初の2桁の数字)と、材質の特徴を示すコード(次の2桁の数字)と、形状の特徴を示すコード(その次の2桁の数字)との組み合わせが障害物の特徴を示すコード(
図6の例では6桁のコード)である。コードによって障害物のカテゴリや種別が特定可能となる。例えば、サイズ、材質、および形状が同一または類似する障害物に対しては、同一のコードが付与される。コードは、特徴量解析の結果から規定のカテゴライズに基づいて自動で付与されてよいし、利用者が予め入力してもよい。また、コードは、図示するように数字に限らず、アルファベットや記号など任意に設定されてもよい。また、認識障害物情報96のコードは、後述する時期を示すコードが付与されてもよい。
【0059】
ここで、コードは、対応情報95が参照され付与される。例えば、登録更新部82がコードを付与する。
図7は対応情報95の一例を示す図である。対応情報95は、例えば、時期やサイズ、材質、形状、リスク、回避挙動のコードを特定するための情報である。対応情報95を参照することで、例えば、コード「00」が付与される時期やサイズ、材質、形状、リスク、回避挙動を特定することができる。例えば、対応情報95を参照することで、時期「通年」のコードは「00」、サイズ1000以下のコードは「01」、材質「木材」のコードは「02」であることが分かる。これにより障害物の特徴に応じたコードを付与することができる。
【0060】
例えば、サイズ、材質、形状の特徴を示すコードが3桁である場合、例えば、3種類の特徴を示すコード(たとえば9桁、010010011)を情報検索システムのカラムに入れることで、データベースの検索が早くなり、類似の障害物を抽出することが容易となる。例えば、更に、コードの前から○桁目の値が△△の情報と指定すれば、指定した情報を容易に検索することが可能である。上記のコードにおいて、例えば時期を示す3桁のコードを振り、12桁とするようにしてもよい。これにより、時期を指定したフィルタリングが可能となる。
【0061】
図8は、ステップS114およびステップS116の処理について説明するための図である。判定部78は、過去に認識された障害物の位置と認識部76により認識された障害物(本ルーチンの処理で認識された障害物)の位置との比較結果および過去に認識された障害物の特徴情報と認識部76により認識された障害物の特徴情報との比較結果とに基づいて、認識された障害物と過去に認識された障害物とが同一であるか否かを判定する。
【0062】
時刻Tにおける画像IM(T)に障害物OBが存在する場合、認識部76が、障害物OBの位置、特徴情報(大きさ、材質、形状)を認識する。判定部78は、認識障害物情報96を参照して、時刻Tよりも過去に障害物OBと同じ位置に障害物が存在していたか否かを判定する。認識障害物情報96には、過去に認識された障害物の位置と特徴情報とが対応付けられている。特徴情報とは、例えば、障害物の特徴が数値化された情報である。前述したコードは、特徴情報の一例である。
【0063】
例えば、時刻T-1において、障害物OBと同じ位置に障害物が存在していた場合、判定部78は、障害物OBの特徴情報と、過去に認識された障害物の特徴情報とを比較して、類似度が所定度合以上である場合、同一の障害物であると判定する。類似度は、例えば、特徴情報の要素ごとの類似度を所定の手法を用いて判定し、これらの合計や平均が閾値以上である場合、同一と判定されてもよい。また、特徴情報と所定のルールとに基づいて、障害物を分類して、分類結果が同一である場合、同じ障害物であると判定されてもよい。例えば、コードが同一である場合、同じ障害物であると判定されてもよい。例えば、異なる位置または特徴情報が異なる場合、異なる障害物であると判定される。
【0064】
ステップS116の処理で既知の障害物でないと判定された場合、登録更新部82は、新規の障害物を発見したとみなして(ステップS118)、認識障害物情報96を更新する(ステップS120)。登録更新部82は、例えば、前述した
図8で示した位置情報と特徴情報とを対応付けた情報を認識障害物情報96に対応付ける。これにより、前述した
図6で示した、畦畔IDに対して、新たに発見された障害物の位置および特徴情報を含むレコードが追加される。そして、
図9のステップS200の処理に進む。
【0065】
なお、ステップS112の処理において、認識した障害物の位置に過去に障害物が存在していた情報が認識障害物情報96に登録されていなかった場合、ステップS118以降の処理が実行される。
【0066】
ステップS116の処理で既知の障害物であると判定された場合(例えば位置と特徴情報とが一致した場合)、検索部80は、既知の障害物に対する回避挙動を検索し(ステップS122)、
図9のステップS206の処理に進む。
【0067】
[フローチャート(その2)]
図9は、制御装置70により実行される処理の流れの一例を示すフローチャート(その2)である。本処理は、
図5のフローチャート(その1)に続くフローチャートである。
【0068】
図5のステップS118、S120で新規の障害物が発見された場合、検索部80は、新規の障害物の種別が種別分類障害物情報98(DB内)に格納された障害物の種別と同一であるか否かを判定する(ステップS200)。検索部80は、種別分類障害物情報98を参照し、認識部76により認識された障害物の特徴情報と類似する特徴情報を有する障害物を同種の障害物として認識する。新規の障害物の種別が種別分類障害物情報98に格納された障害物の種別と同一である場合、検索部80は、同一の種別の障害物に対応する回避挙動を読み込む(ステップS202)。
【0069】
図10は、種別分類障害物情報98の内容の一例を示す図である。種別分類障害物情報98は、例えば、障害物の特徴を示すコードに対して、リスク、および回避挙動が対応付けられた情報である。リスク、回避挙動などの情報は、例えば、コードごとや類似するコードごとに付与され、例えば、過去に作業用車両10が行った処理や動作の実績に基づいて対応付けられたものである。なお、
図10の例では、時期を示す情報についてもコードが付与されている。
図10の最初の2桁のコードが時期を示すコードである。時期を示す情報を有さない場合、時期を示す2桁のコードは省略されてもよいし、時期を示す情報を有さないことを示すコードが付与されてもよい。
【0070】
時期を示す情報は、認識された障害物が存在する期間に関する情報である。期間に関する情報は、例えば、障害物が常設であることを示す情報と、障害物が置かれる期間または季節を示す情報とのうち一方または双方を含む。例えば、障害物が常設された物体である場合、当該障害物は通年存在することを示す情報がコードに対応付けられる。例えば、障害物が肥料、肥料袋・堆肥袋、収穫用コンテナ・袋、苗箱などの場合、畦畔の種別、地域などに応じて、肥料、肥料袋・堆肥袋、収穫用コンテナ・袋、苗箱などが置かれている時期が予め定められることがある。例えば、梅雨(例えば6月から7月上旬)に、水田には堰板、波板などの障害物が存在していることがある。この場合、当該障害物は梅雨の時期に存在していることを示す情報がコードに対応付けられる。
【0071】
上記のコードは、例えば、上述した対応情報85、上記の時期および障害物の特徴情報に基づいて特定される。例えば、類似するコードや同じ種別と判断可能なコードは同じ種別に分類され、同じリスクおよび同じ回避挙動が対応付けられている。コードの組み合わせに対して、予め、代表種別が対応付けられていてもよい。例えば、時期「一時的」、サイズ「500以下」、材質「金属(スチール)」、形状「円筒」を表すコードで代表例「空き缶類」などの代表種別が対応付けられてもよい。現在の時期を示す情報は、例えば、利用者によって入力される情報である。例えば、検索部80は、利用者が入力した時期や日付に対応するコードと新規の障害物の特徴情報を示すコードとの組み合わせに合致する時期と特徴情報に対応するコードを特定する。検索部80は、更に、コードに対応付けられたリスクと、回避挙動とを取得する。これにより種別が同じ障害物の回避挙動が取得される。
【0072】
例えば、コードに対して、障害物の特徴情報(サイズ、材質、形状)が対応付けられているが、まだ回避挙動が対応付けられていない場合、当該コードまたは当該種別に類似するコードまたは種別の回避挙動が援用されてもよい。類似するコードまたは種別は、予め規定されている。また、当該畦畔IDとは異なる畦畔IDにおける当該コードまたは種別に対して回避挙動が対応付けられている場合、この回避挙動が援用されてもよい。また、
図10の例および本実施形態では、物体を障害物としているが、障害物には作業領域における土地の凹凸などが含まれ、土地の凹凸に対してもコード、特徴情報、種別、リスク、および回避挙動が対応付けられていてもよい。
【0073】
図9のステップS206の処理において、制御部84が、取得した回避挙動で障害物を回避するように作業用車両10を制御する(ステップS206)。例えば、制御部84は、ワイヤR1、R2が障害物に干渉せず、障害物を回避した回避後に、予め定められた経路に作業用車両10が戻るような経路生成する。制御部84は、生成した経路で作業用車両10が走行するように作業用車両10を制御する。
【0074】
ステップS200の処理で新規の障害物の種別が種別分類障害物情報98に格納された障害物の種別と同一でない場合、検索部80は、通信部120を用いて新規の障害物が発見されたことを端末装置100に通知する(ステップS204)。作業用車両10が、通知に応じた利用者の指示を受信した場合、制御部84は、指示に基づいて作業用車両10を制御する(ステップS206)。通知とは、メールやSMS(ショートメッセージサービス)などの通知である。例えば、利用者は、端末装置100を操作して、どのように作業用車両10に障害物を回避させるかを指示することができる。利用者が指示を行うと、利用者が指示した回避挙動で障害物を回避するように作業用車両10が行動する。通知の際に、新規の障害物のコードまたは種別に近いコードや、新規の障害物の特徴情報に近い特徴情報を有する障害物の回避挙動が抽出され、抽出された回避挙動が提案されてもよい。利用者は、同じ特徴を有する障害物の回避挙動を容易に選択することができる。
【0075】
前述した
図5のステップS116で障害物が既知の障害物であると判定され、ステップS122の処理に進んだ場合、制御部84は、認識障害物情報96の過去の当該障害物に対応付けられた回避挙動で障害物を回避させるように作業用車両10を制御する(ステップS206)。
【0076】
ステップS206の処理が行われると、制御部84は、障害物を回避できたか否かを判定する(ステップS208)。障害物が回避できた場合、制御部84は、障害物を回避可能であることを利用者の端末装置100に情報を通知する(ステップS210)。そして、制御部84は、作業用車両10の作業を再開させる(ステップS212)。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0077】
なお、登録更新部82は、認識された障害物の位置と、認識された障害物の特徴情報とに基づいて得られたリスク或いはリスクに基づく回避挙動とを対応付けた情報を記憶部90に記憶させてもよい。上記の処理において、新規の障害物を利用者の指示に基づいて回避できた場合、登録更新部82は、認識障害物情報96を更新してもよい。また、同様に、回避できなかった場合、指示に基づく回避挙動が適切でないこと認識障害物情報96に対応付けられてもよい。また、登録更新部82は、利用者の操作に基づいて得たリスクの情報を認識障害物情報96の障害物(コード)に対して対応付けてもよいし、作業用車両10が回避を失敗した場合に生じた結果(例えば滑落や脱輪が生じたことなど)に基づくリスクの情報を障害物に対して対応付けてもよい。
【0078】
図11は、更新された認識障害物情報96の内容の一例を示す図である。前述した
図5のステップS120において、登録更新部82は、新規の障害物の位置および特徴情報のレコードを追加している。更に、登録更新部82は、新規の障害物を回避した回避挙動を当該レコードに付加する。例えば、
図11のように、回避挙動「Z」がレコードに追加される。これにより、次回の処理において、当該障害物は回避挙動「Z」において回避される。この処理は、「前記所定のタイミングの後に前記認識された障害物と前記第1障害物とが同一であると判定された場合、前記第1障害物について確定され記憶部に記憶された回避挙動で障害物を回避するように前記草刈機を制御する」処理の一例である。
【0079】
上記の障害物の種別や特徴(コード)と回避を成功した回避挙動の情報との組み合わせや、障害物の種別や特徴と回避を失敗した回避挙動の情報との組み合わせ、本処理で得られた情報などは、記憶部90に蓄積され、AI(Artificial Intelligence)などの機械学習のための学習データとして活用することができる。これらの情報を活用することで、障害物の種別や特徴ごとの適切な回避挙動が導出される。更に、
図5のステップS100で取得された作業用車両10の機種(仕様などの情報)が回避挙動に紐づけられるので、同様の仕様(例えば、サイズ、タイヤ・履帯形状、適用傾斜範囲など)をもつ機種でも、同様の回避挙動(例えば座標や移動軌跡)が利用可能になる。
【0080】
なお、登録更新部82は、認識障害物情報96における障害物が存在する期間に関する情報を障害物に対して対応付けてもよい。障害物が存在する期間に関する情報は、例えば、利用者によって入力される情報である。これにより、障害物を回避する際に利用される種別分類障害物情報98が生成される。
【0081】
ステップS208の処理で障害物が回避できない場合、制御部84は、障害物を回避できないこと(回避不可であること)を利用者の端末装置100に情報を通知し(ステップS214)、更に、自己回避不可であるため、現地に作業者(例えば草刈りのために端末装置100を利用している者)を呼び出す通知を端末装置100に送信する(ステップS216)。この際、作業用車両10は停止している状態である。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。上記の処理において、作業者に代えて(加えて)、たとえば復旧作業専門スタッフや、復旧用ロボットなど専任の作業対象が呼び出されてもよい。
【0082】
[まとめ]
ここで、中山間地には多数の小規模圃場が存在し、それに付随する畦畔面積も大きく、畦畔管理作業の軽労化・省力化が喫緊の課題となっている。畦畔の維持や農地への雑草進入・病虫害を防ぐためにも、畦畔管理は重要な作業であるが、担い手の不足・高齢化により、畦畔管理が困難になり営農継続が難しくなる場合も想定される。畦畔管理は生産に直接結びつかない労働であり、作業の省力化・効率化が求められている。そこで、作業用車両10の自律作業時の作業リスクや機体トラブルの減少を目的して、上記の処理が行われる。畦畔管理作業が円滑に進むことで、限られた労働力の有効活用、省力化が可能となる。
【0083】
リモコン式草刈機は各社から市販化されており、一部の機種は傾斜40度程度の畦畔法面でも運用可能である。自律作業が可能な芝刈ロボットについても市販化が進み、指定区域内の平地の芝や雑草を自動で管理することが可能となっている。
【0084】
既存の市販機は、畦畔法面内の凹凸による局所的な急傾斜により、運用時のトラブルが見受けられ、転倒・滑落、直進性の低下などが発生し、傾斜地での安定運用が困難である。自律作業機能を搭載した急傾斜に対応可能な草刈機は有用である。急傾斜に特化したワイヤーロープ誘導式小型草刈機には、ロープの巻き伸ばしで位置を誘導するという構造上、ロープが絡まったり破断したりした際に生じる滑落リスクがある。リモコン式草刈機の自律作業の安定運用のためには作業エリア内の障害物情報に基づいた制御が必要である。
【0085】
そこで、本実施形態では、以下の機能構成を有する。データベースを利用して既存の障害物の座標が既知の場合は、草刈機本体の位置座標と比較することで、相対位置が判断可能であり、距離センサなどなくても障害物回避が可能である。同じ位置に同じ種類(過去と同一の障害物、地面に固定されたコンクリート構造物・電柱・などが該当)の障害物があった場合、または別の位置に同じ種類(上記と同じか、可搬性の障害物、発生リスクが小さい障害物)があった場合、データベースを参照し、回避実績がある移動軌跡を再現可能である。種別を分類するコードにより各障害物の特徴量が数値化され、可搬性の障害物で軽量・小体積のもの(空き缶など)があった場合は、回避制御としてつついて対象物を移動させるなどの動作を提案が可能である。
【0086】
更に、ワイヤーロープ誘導式の場合は、支柱と機体本体を結んだ左右のワイヤーロープの軌跡も経路計算から取得することができ、障害物座標に干渉するような経路を避けることができる。回避実績がない場合は、自律作業のためのプログラムの目標座標と予測軌道を障害物の座標と比較し、軌道上から排除可能である。現在座標と目標座標間の予測軌道上に障害物が存在した場合、新たな目標座標を既知の経路上に設定し回避制御を行った上で、当初の目標座標に達するような制御をすることができる。既知の障害物に対する自律回避を行い、障害物の判別結果・回避実績を蓄積することで自律作業AIのための学習データの集積をすることができる。自律作業が可能な草刈機が中山間集落営農法人へ導入されることで、草刈り作業の省力化が図られ、更に作業機の運用安定性が向上する。
【0087】
[変形例1]
上述した実施形態では、カメラ30が作業用車両10に設けられるものとして説明したが、これに代えてまたは加えて、カメラユニット(またはカメラ)が作業用車両10とは異なる位置に設けられてもよい。
図12は、異なる位置に設けられたカメラユニットCの一例を示す図である。図示するように、例えば、カメラユニットCのカメラは、作業領域Wを撮像可能な位置に設けられる。カメラユニットCのカメラにより撮像された画像は、作業用車両10に提供される。作業用車両10の制御装置70は、提供された画像に基づいて、上述した処理を行う。例えば、カメラ30が撮像し位置に対応する座標の情報や、画像内における領域に対応する位置は、画像と共に、作業用車両10に提供される。例えば、カメラユニットCの制御装置が、カメラの撮像領域をずらしながら画像を取得する場合、ずらした位置に対応する領域がどの座標に対応する位置かを認識することができ、カメラが撮像した領域に対応する座標と、画像とを対応付けた情報を作業用車両10に提供する。例えば、作業領域Wが撮像される場合は、作業用車両10の制御装置70が、画像の領域と座標とが対応付けられた情報を参照して、画像から特定された障害物の位置を認識する。なお、本処理に用いられる画像は、ドローンにより作業前に作業領域が撮像された空撮画像であってもよい。
【0088】
[変形例2]
上述した実施形態において、作業用車両10に搭載されていた機能構成の一部または全部は、他の装置に搭載されていてもよい。
図13は、変形例2の作業用車両システム1Aの機能構成の一例を示す図である。作業用車両システム1Aは、作業用車両10に代えて(または加えて)作業用車両10Aを備え、更に情報処理装置200を備える。
【0089】
作業用車両10は、情報処理部83と制御部84とを含む制御装置70Aを備える。例えば、制御装置70に含まれていた制御部84以外の機能構成は、情報処理装置200の制御装置210に含まれる。制御装置210には、第1処理部211と、第2処理部212と、認識部213と、判定部214と、検索部215と、登録更新部216と、情報提供部217とを備える。これらは制御装置70に含まれていた機能部と同様の名称の機能部と同様の機能構成を有する。また、作業用車両10の記憶部90に記憶されていた情報は、情報処理装置200の記憶部220に記憶されている。記憶部220には、作業情報222、畦畔情報224、対応情報225、認識障害物情報226、および種別分類障害物情報228が記憶されている。これらは作業用車両10の記憶部90に記憶されていた同様の名称の情報と同様である。
【0090】
例えば、制御装置210は、作業用車両10Aの情報処理部83から画像を取得する。情報処理装置200の制御装置210は、取得した画像に基づいて、上述した実施形態の処理を実行し、処理結果に基づいて回避挙動の情報を取得する。制御装置210の情報提供部217が、取得した回避挙動の情報を作業用車両10Aに提供する。これにより、作業用車両10Aが、提供された回避挙動の情報に基づいて障害物を回避する。なお、障害物が新規の障害物である場合、情報処理装置200が、端末装置100に通知を行う。
【0091】
[変形例3]
上述した実施形態では、制御装置70は、画像を解析して障害物を認識するものとしたが、画像に加えてまたは代えて、センサの検出結果に基づいて障害物や障害物の特徴を認識して、上述した処理を行ってもよい。この場合、センサの検出結果から得られた特徴情報が記憶部90に記憶される。センサの検出結果とは、例えば、ミリ波や、マイクロ波、赤外線など種々の電磁波を利用したLiDARなどの光学的センサやマイクロ波センサなどの検出結果である。また、センサは、圧縮力や反発力などを検知する接触センサであってもよい。例えば、制御装置70は、作業用車両10が障害物に接触した際に接触センサにより検出された検出結果と、予め規定された検出結果に対応する特徴情報とに基づいて、障害物に対する回避挙動を決定してもよい。
【0092】
[変形例4]
畦畔の法面に隣接している圃場の状況によってリスクまたは回避挙動が変更されてもよい。
図14は、種別分類障害物情報98Aの一例を示す図である。例えば、コードが同じであっても、隣接する隣接領域の状況ごとにリスクおよび回避挙動が設定されてもよい。例えば、隣接領域が圃場であり圃場の状況が水田などである場合、作業用車両10が水田に落ちると、作業用車両10に対する影響が大きいので、隣接領域が圃場であり畑地である場合よりも大きいリスクが設定されている。この場合、例えば、大回りなど陸田の回避挙動よりもより確実に障害物を回避できる回避挙動が行われる。例えば、作業用車両10は、画像や利用者によって入力された情報に基づいて圃場の状況を認識して、これに対応する回避挙動を取得する。これにより、よりリスクを回避した行動を作業用車両10が実行することができる。また、時期によって作柄や輪作体系が異なり圃場の状況が水田だったり畑地だったりするので、同じ方面を作業する場合であっても時期によって回避行動が異なることがある。また、隣接領域が、河川や、水路、ため池、家屋など圃場以外の構造物であることもある。この場合も、構造物の種別ごとに回避挙動が決定されてもよい。なお、圃場の状況ごとにコードが付与されていてもよい。
【0093】
上記の例では、種別分類障害物情報98Aに圃場の状況が対応付けられるものとして説明したが、これに加えて認識障害物情報96に畦畔の法面に隣接している圃場の状況が対応付けられてもよい。例えば、登録更新部82は、圃場の状況を障害物、リスク、および回避挙動に対応付ける。圃場の状況は、利用者によって入力された情報であってもよいし、所定のデータベースに管理されている畦畔IDに対応付けられた圃場の状況であってもよい。これにより、登録更新部82は、圃場の状況を加味した認識障害物情報96を生成することができる。
【0094】
以上説明した実施形態によれば、制御装置70は、認識した障害物と、記憶部に記憶された情報とに基づいて、当該障害物に対して適切な回避挙動で障害物を回避することができる。制御装置70は、走行面の状態に応じて適切に草刈機などの作業用車両を制御することができる。
【0095】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 作業用車両システム
10 作業用車両
30 カメラ
70 制御装置
72 第1処理部
74 第2処理部
76 認識部
78 判定部
80 検索部
82 登録更新部
84 制御部
90 記憶部
96 認識障害物情報
98 種別分類障害物情報
100 端末装置