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特開2024-156864暗視野デジタルホログラフィ顕微鏡および関連する計測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156864
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】暗視野デジタルホログラフィ顕微鏡および関連する計測方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/06 20060101AFI20241029BHJP
   G03H 1/04 20060101ALI20241029BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20241029BHJP
   G01B 9/021 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G02B21/06
G03H1/04
G01B11/02 G
G01B9/021
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024127596
(22)【出願日】2024-08-02
(62)【分割の表示】P 2022537243の分割
【原出願日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】19216970.4
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20167524.6
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】クーン、ウィレム、マリー、ジュリア、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】デン ボーフ、アリー、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】テンネル、ヴァスコ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】パンデイ、ニテシュ
(72)【発明者】
【氏名】メシニ、クリストス
(72)【発明者】
【氏名】デ ブル、ヨハンネス フィッツジェラルド
(57)【要約】
【解決手段】構造の関心のある特性を決定するように構成された暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡が開示される。暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡は、第1照明放射ビームと第1参照放射ビームとを含む第1ビームペアと、第2照明放射ビームと第2参照放射ビームとを含む第2ビームペアとを少なくとも提供するように構成された照明装置と、第1および第2の照明ビームからそれぞれ生じる、構造によって散乱された第1散乱放射および第2散乱放射を捕捉するように動作可能な1つまたは複数の光学素子を備える。第1ビームペアのビームは相互にコヒーレントであり、第2ビームペアのビームは相互にコヒーレントである。照明装置は、第1ビームペアと第2ビームペアとの間にインコヒーレンスを与えるように構成される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造の関心のある特性を決定するように構成された暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡であって、
少なくとも、第1照明放射ビームと第1参照放射ビームとを含む第1ビームペアと、第2照明放射ビームと第2参照放射ビームとを含む第2ビームペアとを提供するように構成された照明装置と、
少なくとも、前記構造が前記第1照明放射ビームによって照明されることから生じる、前記構造によって散乱される第1散乱放射をキャプチャするとともに、前記構造が前記第2照明放射ビームによって照明されることから生じる、前記構造によって散乱される第2散乱放射をキャプチャするように動作可能である結像ブランチであって、0.1より大きい検出NAを有する結像ブランチと、
を備え、
前記照明装置は、
第1照明放射ビームおよび第1参照放射ビームが、少なくとも部分的に時間的および空間的にコヒーレントであり、
第2照明放射ビームおよび第2参照放射ビームが、少なくとも部分的に時間的および空間的にコヒーレントである、ように構成され、
前記照明装置は、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアとの間に時間的および/または空間的インコヒーレンスを与えるように構成される、暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項2】
前記照明装置は、前記構造を第1方向から照明するように前記第1照明放射ビームを向かわせるとともに、前記構造を第2方向から照明するように前記第2照明放射ビームを向かわせるように動作可能であり、前記第2方向は前記第1方向とは異なる、請求項1に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項3】
前記結像ブランチはさらにセンサを備え、当該暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡は、前記第1散乱放射と第1参照ビームとの干渉から生じる第1干渉パターンと、前記第2散乱放射と第2参照ビームとの干渉から生じる第2干渉パターンとを含む干渉画像を前記センサ上で同時にキャプチャするように動作可能であり、
任意選択で、当該暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡は、前記第1干渉パターンと前記第2干渉パターンが前記センサ上で少なくとも部分的に空間的に重なるように動作可能である、請求項1または2に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項4】
前記第1参照放射ビームおよび前記第2参照放射ビームが、当該暗視野デジタルホログラフィ顕微鏡の光軸に対してそれぞれ異なる方位角でそれぞれ入射するように配置されるように構成され、
任意選択で、前記第1参照放射ビームの前記方位角と前記第2参照放射ビームの前記方位角は、2つの前記干渉パターンが空間周波数領域で分離可能であるように十分に大きな差を含むように構成される、請求項3に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項5】
前記第1参照放射ビームおよび前記第2参照放射ビームが、当該暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡の光軸に対してそれぞれ異なる入射角でそれぞれ入射するように配置されるように構成される、請求項3または4に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項6】
前記照明装置は、前記第1ビームペアのビームを少なくとも部分的にコヒーレントに維持するために、前記第1照明放射ビームと前記第1参照放射ビームの一方を、前記第1照明放射ビームと前記第1参照放射ビームの他方に対して調整可能に遅延させるとともに、前記第2ビームペアのビームを少なくとも部分的にコヒーレントに維持するために、前記第2照明放射ビームと前記第2参照放射ビームの一方を、前記第2照明放射ビームと前記第2参照放射ビームの他方に対して調整可能に遅延させるように動作可能なコヒーレンスマッチング構成をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項7】
前記照明装置は、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアの一方を、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアの他方に対して遅延させるように動作可能であることによって、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアとの間にインコヒーレンスを与えるように構成された時間遅延構成を備え、
任意選択で、前記時間遅延構成は、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアの一方を、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアの他方に対して調整可能に遅延させて前記インコヒーレンスを与えるように動作可能な調整可能な時間遅延構成を含む、請求項6に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項8】
前記照明装置は、前記第1ビームペアを提供するように動作可能な第1ブランチと、前記第2ビームペアを提供するように動作可能な第2ブランチとを含み、
前記時間遅延構成は、前記第1ブランチまたは前記第1ブランチの一方に、前記第1ブランチまたは前記第2ブランチの他方に対して遅延を与えるように動作可能な遅延線を少なくとも備え、
前記コヒーレンスマッチング構成は、前記第1参照放射ビームおよび前記第1照明放射ビームの少なくとも1つを調整可能に遅延させるように動作可能な前記第1ブランチ内の第1コヒーレンスマッチング構成と、前記第2参照放射ビームおよび前記第2照明放射ビームの少なくとも1つを調整可能に遅延させるように動作可能な第2ブランチ内の第2コヒーレンスマッチング構成とを含む、請求項7に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項9】
前記照明装置は、前記第1照明放射ビームおよび前記第2照明放射ビームを提供するように動作可能な第1ブランチと、前記第1参照放射ビームおよび第2参照放射ビームを提供するように動作可能な第2ブランチとを備え、
前記コヒーレンスマッチング構成および前記時間遅延構成は、少なくとも、前記第1ブランチまたは前記第2ブランチの一方に、前記第1ブランチまたは前記第2ブランチの他方に対して調整可能な遅延を与えるように動作可能な第1調整可能遅延線と、前記第1照明放射ビームおよび前記第2照明放射ビームの少なくとも1つに調整可能な遅延を与えるように動作可能な前記第1ブランチ内の第2調整可能遅延線と、前記第1参照放射ビームおよび前記第2参照放射ビームの少なくとも1つに調整可能な遅延を与えるように動作可能な前記第2ブランチ内の第3調整可能遅延線との共同最適化を介して実装される、請求項7に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項10】
前記第1照明放射ビームは、前記構造を第1入射角で照明するように構成され、前記第2照明放射ビームは、前記第1入射角とは異なる第2入射角で前記構造を照明するように構成される、請求項1から9のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項11】
前記照明装置は、単一の放射源を含み、前記照明装置は、前記単一の放射源から前記第1ビームペアおよび前記第2ビームペアを生成するように構成されている、請求項1から10のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項12】
前記単一の光源は、少なくとも部分的にコヒーレントな放射を放出するように構成される、請求項11に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項13】
前記照明装置は、前記第1参照放射ビームおよび第2参照ビームがそれぞれ第1パワーレベルで生成され、前記第1照明放射ビームおよび第2照明ビームがそれぞれ第2パワーレベルで生成されるように構成され、前記第2パワーレベルは前記第1パワーレベルよりも大きい、請求項1から12のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【請求項14】
リソグラフィプロセスによって基板上に形成されたターゲットの関心のある特性を決定する方法であって、
第1照明放射ビームで前記ターゲットを照明し、前記ターゲットから散乱された、結果として得られる第1散乱放射をキャプチャすることと、
第2照明放射ビームで前記ターゲットを照明し、前記ターゲットから散乱された、結果として得られる第2散乱放射をキャプチャすることと、
前記第1照明放射ビームおよび第1参照放射ビームを含む第1ビームペアと、前記第2照明放射ビームおよび第2参照放射ビームを含む第2ビームペアとの間に空間的および/または時間的インコヒーレンスを与えることであって、
前記第1ビームペアのビームが少なくとも部分的に空間的および時間的にコヒーレントであり、
前記第2ビームペアのビームが少なくとも部分的に空間的および時間的にコヒーレントであり、
前記第1ビームペアのいずれのビームも、前記第2ビームペアのいずれのビームに対しても空間的および/または時間的にインコヒーレントである、ことと、
前記第1散乱放射と第1参照放射ビームとの干渉から生じる第1干渉パターンと、前記第2散乱放射と第2参照ビームとの干渉から生じる第2干渉パターンとを同時に生成することと、を備える方法。
【請求項15】
請求項1から13のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡を備える、基板上の構造の関心のある特性を測定するための計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2019 年12 月17日に出願された欧州出願第19216970.4号および2020年4月1日に出願された欧州出願第20167524.6号の優先権を主張する。これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡、特に高速暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡に関し、集積回路の製造における計測用途に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを付与するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用することができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)のパターン(「設計レイアウト」または「設計」とも呼ばれる)を、基板(例えばウェハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている代表的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm、13.5nmである。4~20nmの範囲内、例えば6.7nmまたは13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置を用いて、例えば波長193nmの放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成することができる。
【0005】
低kリソグラフィを使用して、リソグラフィ装置の古典的な解像限界よりも小さい寸法のフィーチャを処理することができる。このようなプロセスでは、解像度の式はCD=k×λ/NAとして表すことができる。ここで、λは使用する放射の波長、NAはリソグラフィ装置の投影光学系の開口数、CDは「限界寸法」(通常、印刷される最小のフィーチャサイズであるが、この場合はハーフピッチ)およびkは経験的な解像度係数である。一般に、kが小さいほど、特定の電気的機能と性能を実現するために回路設計者が計画した形状と寸法に似たパターンを基板に再現することが難しくなる。これらの困難を克服するために、高度な微調整ステップをリソグラフィ投影装置および/または設計レイアウトに適用することができる。これらには、たとえば、NAの最適化、カスタマイズされた照明スキーム、位相シフトパターニングデバイスの使用、設計レイアウトにおける光学近接効果補正(OPC:optical proximity correction、「光学補正およびプロセス補正」とも呼ばれる)などの設計レイアウトのさまざまな最適化、または一般に「解像度向上技術」(RET:resolution enhancement techniques)として定義されている他の方法が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、リソグラフィ装置の安定性を制御するための厳しい制御ループを使用して、低kでのパターンの再現を改善することができる。
【0006】
製造プロセス中に、製造された構造を検査する、および/または製造された構造の特性を測定する必要がある。適切な検査および計測装置が当技術分野で知られている。既知の計測装置の1つはスキャトロメータであり、例えば暗視野スキャトロメータである。
【0007】
特許出願公開US2016/0161864A1、特許出願公開US2010/0328655A1、および特許出願公開US2006/0066855A1は、フォトリソグラフィ装置の実施形態およびスキャトロメータの実施形態について論じている。引用された文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の計測装置などの暗視野顕微鏡は、より一般的には、照明経路と検出経路の間で角度の全範囲 (角度分解瞳孔内の領域に対応する) を共有する必要があるため、照明および検出のための角度範囲が制限されるという問題を有する。これにより、照明および/または検出における実効開口数(NA)が制限される。照明と検出の両方の実効NAを増やすという問題は、順次取得方式(sequential acquisition scheme)を実装することによって対処されている。その結果、測定速度が不必要に低下する。
【0009】
より広い範囲の回折角度にわたって回折光を捕捉することによって解像度を改善するために、少なくとも検出光学系の実効NAが増加した暗視野顕微鏡を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様では、構造の関心のある特性を決定するように構成された暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡が提供される。これは、少なくとも、第1照明放射ビームと第1参照放射ビームとを含む第1ビームペアと、第2照明放射ビームと第2参照放射ビームとを含む第2ビームペアとを提供するように構成された照明装置と、少なくとも、構造が第1照明放射ビームによって照明されることから生じる、構造によって散乱される第1散乱放射を検出するとともに、構造が第2照明放射ビームによって照明されることから生じる、構造によって散乱される第2散乱放射を検出するように動作可能である結像ブランチであって、0.1より大きい検出NAを有する結像ブランチと、を備える。照明装置は、第1照明放射ビームおよび第1参照放射ビームが、少なくとも部分的に時間的および空間的にコヒーレントであり、第2照明放射ビームおよび第2参照放射ビームが、少なくとも部分的に時間的および空間的にコヒーレントである、ように構成される。照明装置は、第1ビームペアと第2ビームペアとの間に時間的および/または空間的インコヒーレンスを与えるように構成される。
【0011】
本発明の第2の態様では、リソグラフィプロセスによって基板上に形成されたターゲットの関心のある特性を決定する方法が提供される。この方法は、第1照明放射ビームでターゲットを照明し、ターゲットから散乱された、結果として得られる第1散乱放射をキャプチャすることと、第2照明放射ビームでターゲットを照明し、ターゲットから散乱された、結果として得られる第2散乱放射をキャプチャすることと、第1照明ビームおよび第1参照ビームを含む第1ビームペアと、第2照明ビームおよび第2参照ビームを含む第2ビームペアとの間に空間的および/または時間的インコヒーレンスを与えることであって、第1ビームペアのビームが少なくとも部分的に空間的および時間的にコヒーレントであり、第2ビームペアのビームが少なくとも部分的に空間的および時間的にコヒーレントであり、第1ビームペアのいずれのビームも、第2ビームペアのいずれのビームに対しても空間的および/または時間的にインコヒーレントである、ことと、第1散乱放射と第1参照放射ビームとの干渉から生じる第1干渉パターンと、第2散乱放射と第2参照ビームとの干渉から生じる第2干渉パターンとを同時に生成することと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施形態は、添付の概略図を参照して、例としてのみ説明される。
図1】リソグラフィ装置の概略図である。
図2】リソグラフィセルの概略図である。
図3】半導体製造を最適化するための3つの主要技術間の連携を表す、全体的なリソグラフィの概略図である。
図4】本発明の実施形態による暗視野デジタルホログラフィ顕微鏡を含み得る、計測装置として使用されるスキャトロメトリ装置の概略図である。
図5】本発明の実施形態による暗視野デジタルホログラフィ顕微鏡を含み得るレベルセンサ装置の概略図である。
図6】本発明の実施形態による暗視野デジタルホログラフィ顕微鏡を含み得るアライメントセンサ装置の概略図である。
図7】並列取得方式で動作する回折ベースの暗視野計測装置の例を概略的に示す図である。
図8】順次取得方式で動作する回折ベースの暗視野計測装置の別の例を概略的に示す図である。
図9】順次取得方式で動作する暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡の例を概略的に示す図である。
図10】一実施形態による、並行取得方式で動作する暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡(df-DHM)を概略的に示す図である。
図11】一実施形態による、複数の放射ビームを提供することができる照明装置を概略的に示す図である。
図12】異なる実施形態による、複数の放射ビームを提供することができる照明装置を概略的に示す図である。
図13】空間周波数領域におけるフーリエ変換画像を示す図である。
図14】別の異なる実施形態による、複素フィールドの振幅および位相を決定するための方法のフローチャートを示す図である。
図15】暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡を制御するためのコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書では、「放射線」および「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、波長が365、248、193、157または126nm)およびEUV(極端紫外線放射、例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する)を含むすべてのタイプの電磁放射線を包含するために使用される。
【0014】
本明細書で使用される「レチクル」、「マスク」または「パターニングデバイス」という用語は、入射放射ビームに基板の目標部分に作成されるべきパターンに対応するパターン化された断面を与えるために使用できる一般的なパターニングデバイスを指すと広く解釈され得る。「ライトバルブ」という用語もこの文脈で使用できる。標準的なマスク(透過型または反射型、バイナリ、位相シフト、ハイブリッドなど)に加えて、他のこのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDアレイを含む。
【0015】
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。このリソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成される照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構築され、特定のパラメータにしたがってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするよう構成される第1位置決め装置PMに接続されるマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと;基板(例えばレジストコートされたウェハ)Wを保持するよう構築され、特定のパラメータにしたがって基板サポートを正確に位置決めするよう構成される第2位置決め装置PWに接続される基板サポート(例えばウェハテーブル)WTと;パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば一以上のダイを含む)目標部分Cに投影するよう構成される投影システム(例えば屈折型投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0016】
動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して、放射源SOからビームを受け取る。照明システムILは、放射を方向付け、放射を成形し、および/または放射を制御するための屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型、および/または他の形式の光学素子といった各種光学素子またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの平面におけるその断面において所望の空間および角度強度分布を有するように放射ビームBを調整するために使用されてもよい。
【0017】
本明細書において使用する「投影システム」PSという用語は、使用する露光放射、および/または液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁光学システムおよび/または静電光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」PSという用語と同義と見なすことができる。
【0018】
リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wの間の隙間を埋めるように、基板の少なくとも一部が比較的高屈折率を有する液体(例えば水)により覆われる形式の装置であってよい。これは、液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術の詳細については、米国特許第6952253号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
リソグラフィ装置LAはまた、2つ以上の基板サポートWT(「デュアルステージ」とも呼ばれる)を有するタイプのものであり得る。そのような「多段」機械では、基板サポートWTを並行して使用することができ、および/または基板Wのその後の露光の準備におけるステップを、基板サポートWTの1つに位置する基板W上で実行することができる。他の基板サポートWT上の基板Wは、他の基板W上のパターンを露光するために使用されている。
【0020】
基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは、測定ステージを含み得る。測定ステージは、センサおよび/または洗浄装置を保持するように配置されている。センサは、投影システムPSの特性または放射ビームBの特性を測定するように配置することができる。測定ステージは、複数のセンサを保持することができる。洗浄装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば、投影システムPSの一部または液浸液を提供するシステムの一部を洗浄するように構成することができる。基板サポートWTが投影システムPSから離れているとき、測定ステージは投影システムPSの下に移動することができる。
【0021】
動作中、放射ビームBは、マスクサポートMTに保持されるパターニングデバイス、例えばマスクMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によりパターン化される。マスクMAの通過後、放射ビームBはビームを基板Wの目標部分Cに合焦させる投影システムPSを通過する。第2位置決め装置PWおよび位置測定システムIFの助けを借りて、放射ビームBの経路内の異なる目標部分Cを集束されアライメントされた位置に位置するように基板サポートWTを正確に移動できる。同様に、第1位置決め装置PMおよび場合により別の位置センサ(図1には明示されていない)は、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために用いることができる。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示の基板アライメントマークP1、P2は専用の目標部分を占めるが、それらは目標部分の間のスペースに配置されてもよい。基板アライメントマークP1、P2は、これらが目標部分Cの間に配置されるとき、スクライブレーンアライメントマークとして知られている。
【0022】
図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、たまにリソセルまたは(リソ)クラスタとも称され、しばしば基板W上での露光前および露光後プロセスを実行するための装置も含むリソグラフィシセルLCの一部を形成してよい。従来、これらは、例えば基板Wの温度を調整するため、例えばレジスト層の溶剤を調整するために、レジスト層を堆積させるスピンコート装置SC、露光されたレジストを現像する現像装置DE、冷却プレートCH、およびベークプレートBKを含む。基板ハンドラまたはロボットROは、基板Wを入力/出力ポートI/O1,I/O2から取り出し、それらを異なるプロセス装置間で基板を移動させ、リソグラフィ装置LAのローディングベイLBに基板Wを運ぶ。リソセルの装置(しばしば集合的にトラックとも称される)は、通常はトラック制御ユニットTCUの制御下にあり、TCU自体は監視制御システムSCSにより制御され、SCSは例えばリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置LAを制御してもよい。
【0023】
リソグラフィ装置LAによって露光された基板Wを正確かつ一貫して露光するために、基板を検査して、後続の層間のオーバーレイエラー、線幅、限界寸法(CD)などのパターン構造の特性を測定することが望ましい。この目的のために、検査ツール(図示せず)をリソセルLCに含めることができる。エラーが検出された場合、たとえば、特に同じバッチまたはロットの他の基板Wがまだ露光または処理される前に検査がなされる場合には、後続の基板の露光または基板Wで実行される他の処理ステップを調整することができる。
【0024】
計測装置と呼ばれることもある検査装置は、基板Wの特性、特に、異なる基板Wの特性がどのように変化するか、または同じ基板Wの異なる層に関連する特性が層ごとにどのように変化するかを決定するために使用される。あるいは、検査装置は、基板W上の欠陥を特定するように構成されてもよく、例えば、リソセルLCの一部であってもよく、またはリソグラフィ装置LAに統合されてもよく、または独立型(スタンドアロン)の装置であってもよい。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層の画像)、または半潜像(後露光ベークステップPEB後のレジスト層の画像)、または現像されたレジスト画像(レジストの露光部分または非露光部分が除去された画像)、またはエッチングされた画像(エッチングなどのパターン転写ステップ後)の特性を測定することができる。
【0025】
通常、リソグラフィ装置LAでのパターニングプロセスは、基板W上の構造のディメンジョニングおよび配置の高精度を必要とする処理における最も重要なステップの1つである。この高精度を保証するために、図3に概略的に示すように、3つのシステムをいわゆる「全体的な」統制環境で組み合わせることができる。これらのシステムの1つは、計測ツールMT(2番目のシステム)とコンピュータシステムCL(3番目のシステム)に(実質的に)接続されているリソグラフィ装置LAである。そのような「全体的な」環境の鍵は、これら3つのシステム間の連携を最適化してプロセスウィンドウ全体を強化し、リソグラフィ装置LAによって実行されるパターニングがプロセスウィンドウ内にとどまることを保証する厳密な制御ループを提供することである。プロセスウィンドウは、特定の製造プロセスが定義された結果(機能的半導体デバイスなど)を生成する一連のプロセスパラメータ(たとえば、ドーズ、フォーカス、オーバーレイ)、通常、その範囲内でリソグラフィプロセスまたはパターニングプロセスのプロセスパラメーターが変化を許可される、を定義する。
【0026】
コンピュータシステムCLは、パターン化される設計レイアウト(の一部)を使用して、どの解像度向上技術を使用するかを予測し、計算機によるリソグラフィシミュレーションおよび計算を実行して、どのマスクレイアウトおよびリソグラフィ装置設定がパターニングプロセスの最大の全体的なプロセスウィンドウを達成するかを決定することができる(図3において第1スケールSC1の二重矢印で示されている)。通常、解像度向上技術は、リソグラフィ装置LAのパターニングの可能性に一致するように構成される。コンピュータシステムCLはまた、例えば次善の処理によって欠陥が存在するかどうかを予測するために、プロセスウィンドウ内のどこでリソグラフィ装置LAが現在動作しているか(例えば、計測ツールMTからの入力を使用して)を検出するために使用されてもよい(図3において第2スケールSC2の「0」を指す矢印で示されている)。
【0027】
計測ツールMTは、コンピュータシステムCLに入力を提供して、正確なシミュレーションおよび予測を可能にすることができ、リソグラフィ装置LAにフィードバックを提供して、例えばリソグラフィ装置LAの較正状態にいて起こり得るドリフトを特定することができる(図3において第3スケールSC3の複数の矢印で示されている)。
【0028】
リソグラフィプロセスでは、例えばプロセス制御および検証のために、作成された構造の測定を頻繁に行うことが望ましい。このような測定を行うためのツールは、通常、計測ツールMTと呼ばれる。そのような測定を行うための様々なタイプの計測ツールMT、走査型電子顕微鏡または様々な形態のスキャトロメータ計測ツールMTが含まれる、が知られている。スキャトロメータは、瞳またはスキャトロメータの対物レンズの瞳との共役面にセンサを有することにより(通常は瞳ベースの測定と呼ばれる測定)、または像平面または像平面との共役面にセンサを有することにより、リソグラフィプロセスのパラメータの測定(この場合、測定は、通常、画像またはフィールドベースの測定と呼ばれる)を可能とする汎用性の高い機器である。このようなスキャトロメータおよび関連する測定技術は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、特許出願US20100328655号、US2011102753A1号、US20120044470A号、US20110249244号、US20110026032号またはEP1,628,164A号にさらに記載されている。上述のスキャトロメータは、軟X線からの光および可視から近赤外の波長範囲の光を使用して格子を測定することができる。
【0029】
第1の実施形態では、スキャトロメータMTは、角度分解スキャトロメータである。そのようなスキャトロメータでは、回折格子の特性を再構成または計算するために、測定された信号に再構成法を適用することができる。そのような再構成は、例えば、散乱放射とターゲット構造の数学的モデルとの相互作用をシミュレーションし、シミュレーション結果を測定結果と比較することから生じ得る。数学的モデルのパラメータは、シミュレートされた相互作用が実際のターゲットから観察されたものと同様の回折パターンを生成するまで調整される。
【0030】
第2の実施形態では、スキャトロメータMTは分光スキャトロメータMTである。そのような分光スキャトロメータMTでは、放射源から放出された放射はターゲットに向けられ、ターゲットからの反射または散乱放射は、正反射性の反射放射のスペクトルを測定する(つまり、波長の関数としての強度の測定)スペクトロメータ検出器に向けられる。このデータから、例えば厳密結合波解析と非線形回帰により、またはシミュレーションされたスペクトルのライブラリとの比較により、検出されたスペクトルを生じさせるターゲットの構造またはプロファイルを再構築できる。
【0031】
第3の実施形態では、スキャトロメータMTは、エリプソメトリックスキャトロメータである。エリプソメトリックスキャトロメータは、各偏光状態の散乱放射を測定することにより、リソグラフィプロセスのパラメータを決定することを可能にする。そのような計測装置は、例えば、計測装置の照明セクションに適切な偏光フィルタを使用することにより、(直線、円、または楕円などの)偏光を放出する。計測装置に適した放射源は、偏光放射も提供してもよい。既存のエリプソメトリックスキャトロメータの様々な実施形態は、米国特許出願第11/451,599号、第11/708,678号、第12/256,780号、第12/486,449号、第12/920,968号、第12/922,587号、第13/000,229号、第13/033,135号、第13/533,110号および第13/891,410号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
散乱計などの計測装置を図4に示す。これは、放射を基板Wに投影する広帯域(白色光)放射プロジェクタ2を備える。反射または散乱された放射は、分光計検出器4に渡される。分光計検出器4は、鏡面反射による放射のスペクトル6(つまり、波長の関数としての強度の測定)を測定する。このデータから、検出されたスペクトルを生じさせる構造またはプロファイル8は、処理ユニットPUによって、例えば厳密結合波解析と非線形回帰によって、または図3の下部に示すように、シミュレートされたスペクトルのライブラリとの比較によって、再構成され得る。一般に、再構成では、構造の一般的な形式がわかっており、構造が作成されたプロセスの知識からいくつかのパラメータが想定され、スキャトロメトリデータから決定される構造のパラメータはわずかである。そのようなスキャトロメータは、法線入射スキャトロメータまたは斜め入射スキャトロメータとして構成することができる。
【0033】
計測ターゲットの測定によるリソグラフィパラメータの全体的な測定品質は、このリソグラフィパラメータの測定に用いる測定レシピによって少なくとも部分的に決まる。「基板測定レシピ」の用語は、測定自体の一以上のパラメータを含んでもよいし、測定された一以上のパターンの一以上のパラメータを含んでもよいし、または両方を含んでもよい。例えば、ある基板測定レシピに用いられる測定が回折ベースの光学測定である場合、測定の一以上のパラメータは、放射の波長、放射の偏光、基板に対する放射の入射角、基板上のパターンに対する放射の向きなどを含んでもよい。測定レシピを選択する基準の一つは、例えば、プロセスの変動に対する一つの測定パラメータの感受性であってもよい。より多くの例は、米国特許出願US2016-0161863号および公開米国特許出願US2016/0370717に記載されており、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0034】
IC製造で使用される別のタイプの計測ツールは、トポグラフィ測定システム、レベルセンサ又は高さセンサである。そのようなツールは、基板(またはウェハ)の上面のトポグラフィを測定するために、リソグラフィ装置に統合することができる。基板のトポグラフィのマップは、高さマップとも称され、基板の高さを基板上の位置の関数として示すこれらの測定から生成され得る。この高さマップはその後、基板上の適正合焦位置でパターニングデバイスの空間像を提供するべく、基板へのパターンの転写の際に基板の位置を補正するために用いられ得る。この文脈において、「高さ」とは、基板に対して概して面外の寸法(Z軸とも称される)を指すことが理解されるであろう。典型的には、レベル又は高さセンサは(自身の光学系に対して)固定された場所で測定を実施し、基板とレベル又は高さセンサの光学系との間の相対移動が基板全体の各場所での高さ測定をもたらす。
【0035】
本技術分野において既知のレベル又は高さセンサLSの一例が図5に概略的に示されている。同図は動作の原理のみを図示している。この例において、レベルセンサは、投影ユニットLSP及び検出ユニットLSDを含む光学系を備えている。投影ユニットLSPは、投影ユニットLSPの投影格子PGRによって付与される放射ビームLSBを提供する放射源LSOを備えている。放射源LSOは、例えば、スーパコンティニューム光源のような狭帯域又は広帯域光源、偏光又は非偏光レーザビームのような偏光又は非偏光、パルス又は連続であってもよい。放射源LSOは、複数のLEDなど、異なる色又は波長範囲を有する複数の放射源を含んでいてもよい。レベルセンサLSの放射源LSOは、可視放射に限定されず、追加的又は代替的にはUV及び/又はIR放射並びに基板の表面からの反射に適した任意の範囲の波長を包含し得る。
【0036】
投影格子PGRは、周期的に変化する強度を有する放射ビームBE1をもたらす周期構造を備える周期的格子である。周期的に変化する強度を有する放射ビームBE1は、入射基板表面に垂直な軸(Z軸)に対して0度から90度、典型的には70度から80度の入射角ANGをもって、基板W上の測定場所MLOの方に誘導される。測定場所MLOで、パターン形成された放射ビームBE1は、基板Wによって反射され(矢印BE2によって示される)、検出ユニットLSDの方に誘導される。
【0037】
測定場所MLOにおける高さレベルを判定するために、レベルセンサは更に、検出格子DGRと、検出器DETと、検出器DETの出力信号を処理する処理ユニット(図示しない)とを備える検出システムを備えている。検出格子DGRは投影格子PGRと同一であってもよい。検出器DETは、受光した光を示す、例えば、光検出器のように受光した光の強度を示す、又はカメラのように受光した強度の空間的分布を表す、検出器出力信号を生成する。検出器DETは1つ以上の検出器タイプの任意の組み合わせを備えていてもよい。
【0038】
三角測量技術によって、測定場所MLOにおける高さレベルを判定することができる。検出された高さレベルは、典型的には検出器DETによって測定された信号強度に関係しており、その信号強度は、とりわけ投影格子PGRの設計及び(斜め)入射角ANGに応じて決まる周期性を有する。
【0039】
投影ユニットLSP及び/又は検出ユニットLSDは、投影格子PGRと検出格子DGRとの間のパターン形成された放射ビームの経路に沿って、レンズ及び/又はミラーなど、更なる光学素子を含んでいてもよい(図示せず)。
【0040】
一実施形態においては、検出格子DGRは省略されてもよく、検出器DETは検出格子DGRがある位置に設置されてもよい。そのような構成は、投影格子PGRの像のより直接的な検出を提供する。
【0041】
基板Wの表面を効果的にカバーするために、レベルセンサLSは、測定ビームBE1のアレイを基板Wの表面上に投影し、それによってより大きな測定範囲をカバーする測定領域MLO又はスポットのアレイを生成するように構成されていてもよい。
【0042】
一般的なタイプの様々な高さセンサが、例えば、参照により組み込まれる米国特許第7265364号明細書及び米国特許第7646471号明細書に開示されている。可視又は赤外放射の代わりにUV放射を用いた高さセンサが、参照により組み込まれる米国特許出願公開第2010233600A1号明細書に開示されている。参照により組み込まれる国際公開第2016102127A1には、多素子検出器を用いて、検出格子を必要とせずに、格子像の位置を検出及び認識する小型の高さセンサが記載されている。
【0043】
IC製造で使用される別のタイプの計測ツールは、アライメントセンサである。したがって、リソグラフィ装置の性能の重要な態様は、付与されたパターンを、以前の層において(同じ装置又は異なるリソグラフィ装置によって)定められたフィーチャに関して正しくまた正確に配置するための能力である。このために、マークまたはターゲットの1つ以上のセットが基板に提供される。各マークは、その位置を、位置センサ、典型的には光学位置センサによって後に測定することが可能な構造である。位置センサは「アライメントセンサ」と呼ばれ、マークは「アライメントマーク」と呼ばれることがある。
【0044】
リソグラフィ装置は、1つまたは複数の(例えば、複数の)アライメントセンサを含むことができ、それによって、基板上に設けられたアライメントマークの位置を正確に測定することができる。アラインメント(または位置)センサは、回折や干渉などの光学現象を使用して、基板上に形成されたアラインメントマークから位置情報を取得し得る。現在のリソグラフィ装置で使用されているアライメントセンサの例は、米国特許6961115号に記載されている自己参照干渉計に基づいている。たとえば、米国特許公開2015261097A1号に開示されているように、位置センサのさまざまな拡張と変更が開発されている。これらすべての公表文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
図6は、例えば、援用により本願に含まれる米国特許6961116号に記載されているような既知のアライメントセンサASの一実施形態の概略ブロック図である。放射源RSOは、1つ以上の波長の放射ビームRBを提供し、この放射ビームRBは、誘導(diverting)光学系によって、基板W上に位置付けられたマークAMのようなマーク上へ照明スポットSPとして誘導される。この例では、誘導光学系はスポットミラーSM及び対物レンズOLを含む。マークAMを照明する照明スポットSPは、マーク自体の幅よりもわずかに小さい直径とすることができる。
【0046】
アライメントマークAMによって回折された放射は、(この例では対物レンズOLを介して)情報保持ビームIBにコリメートされる。「回折される」という用語は、マークからの0次回折(反射と呼ぶことができる)を含むことが意図される。例えば上記の米国特許6961116号に開示されているタイプの自己参照干渉計SRIは、ビームIBをそれ自体と干渉させ、その後ビームは光検出器PDによって受光される。放射源RSOによって2つ以上の波長が生成される場合は、追加の光学系(図示せず)を含ませて別個のビームを提供してもよい。光検出器は単一の要素とするか、又は所望の場合は多くの画素を含むことができる。光検出器はセンサアレイを含み得る。
【0047】
この例ではスポットミラーSMを含む誘導光学系が、マークから反射した0次放射を阻止するよう機能することで、情報保持ビームIBがマークAMからの高次回折放射だけを含むようにしてもよい(これは測定に必須ではないが、信号対雑音比を改善する)。
【0048】
強度信号SIが処理ユニットPUに供給される。ブロックSRIにおける光学処理とユニットPUにおける計算処理の組み合わせによって、基準フレームに対する基板上のX及びYの位置の値が出力される。
【0049】
図示されているタイプの単一測定は、マークの1つのピッチに対応する特定範囲内のマークの位置を固定するだけである。これと関連付けてもっと粗い測定技法を用い
て、このマーク位置を含む正弦波の周期を識別する。マークが作製されている材料やマークの下及び/又は上に提供されている材料とは無関係に、精度の向上及び/又はマークのロバストな検出のため、様々な波長で、粗いレベル及び/又は微細レベルで同一のプロセスを繰り返すことができる。波長は、同時に処理されるように光学的に多重化及び逆多重化すること、及び/又は時分割もしくは周波数分割によって多重化することができる。
【0050】
この例では、アライメントセンサ及びスポットSPは固定状態のままであり、移動するのは基板Wである。従ってアライメントセンサは、基準フレームに堅固かつ高精度に搭載されながら、実質的に基板Wの移動方向と反対の方向にマークAMをスキャンすることができる。基板Wのこの移動は、基板Wが基板サポートに搭載されると共に基板位置決めシステムが基板サポートの移動を制御することによって制御される。基板サポート位置センサ(例えば干渉計)が、基板サポート(図示せず)の位置を測定する。一実施形態では、基板サポート上に1つ以上の(アライメント)マークが設けられている。基板サポート上に設けられたマークの位置を測定することにより、位置センサで決定される基板サポートの位置を較正できる(例えばアライメントシステムが接続されているフレームに対して)。基板上に設けられたアライメントマークの位置を測定することにより、基板サポートに対して基板の位置を決定できる。
【0051】
リソグラフィプロセスを監視するために、パターン化された基板のパラメータが測定される。パラメータには、例えば、パターン化された基板の中または上に形成された連続する層の間のオーバーレイエラーが含まれる。この測定は、製品基板および/または専用の計測ターゲットで実行できる。走査型電子顕微鏡やさまざまな専用ツールの使用を含む、リソグラフィプロセスで形成された微細構造を測定するためのさまざまな手法がある。特殊な検査ツールの高速で非侵襲的な形式は、放射ビームが基板の表面上のターゲットに向けられ、散乱または反射ビームの特性が測定されるスキャトロメータである。
【0052】
既知のスキャトロメータの例には、US2006033921A1号およびUS2010201963A1号に記載されているタイプの角度分解スキャトロメータが含まれる。このようなスキャトロメータで使用されるターゲットは比較的大きく、たとえば40μm×40μmの格子であり、測定ビームは格子よりも小さいスポットを生成する(つまり、格子はアンダーフィルされる)。再構成によるフィーチャ形状の測定に加えて、公開特許出願US2006066855A1号に記載されているように、そのような装置を使用して回折ベースのオーバーレイを測定することができる。回折次数の暗視野結像を使用した回折ベースのオーバーレイ計測により、より小さいターゲットでのオーバーレイ測定が可能になる。暗視野結像計測の例は、国際特許出願WO2009/078708号およびWO2009/106279号に見ることができ、これらの文書は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。この技術のさらなる展開は、公開特許公報US20110027704A号、US20110043791A号、US2011102753A1号、US20120044470A号、US20120123581A号、US20130258310A号、US20130271740A号およびWO2013178422A1号に記載されている。これらのターゲットは、照明スポットよりも小さくすることができ、ウェハ上の製品構造に囲まれていてもよい。複合格子ターゲットを使用して、複数の格子を1つの画像で測定できる。これらすべての出願の内容も参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
上述の計測装置などの暗視野顕微鏡には、より一般的には、照明経路と検出経路との間で角度の全範囲を共有することが必要とされる場合があるため、ターゲットの照明および/またはターゲットによって回折される光の検出のための角度の範囲が制限されるという問題がある。これにより、照明と検出における実効NAが制限される。
【0054】
回折に基づく暗視野計測装置では、放射ビームが計測ターゲットに向けられ、散乱放射の1つまたは複数の特性が測定されて、ターゲットの関心のある特性が決定される。散乱放射の特性は、例えば、単一の散乱角での強度(例えば、波長の関数として)、または散乱角の関数としての1つ以上の波長での強度を含み得る。
【0055】
暗視野計測におけるターゲットの測定は、例えば、1次回折次数I+1の第1強度および-1次回折次数(I-1)の第2強度を測定することと、ターゲットの非対称性を示す強度非対称性(A=I+1-I-1)を計算することを含み得る。計測ターゲットは、1つまたは複数の格子構造を含み、そこから関心のあるパラメータがそのような強度非対称測定から推測され得る。例えば、ターゲットは、ターゲットの非対称性が関心のあるパラメータによって変化するように設計される。例えば、オーバーレイ計測では、ターゲットは、半導体デバイスの異なる層にパターン化された少なくとも一対の重なり合うサブ格子によって形成された少なくとも1つの複合格子を含むことができる。したがって、ターゲットの非対称性は、2つの層のアライメント、つまりオーバーレイに依存する。他のターゲットは、露光中に使用される焦点設定に基づいてさまざまな程度の変動で露光される構造で形成され得る。その測定は、(再び強度の非対称性を介して)その焦点設定を推測できるようにする。
【0056】
図7および図8は、回折に基づく暗視野計測装置の2つの例を概略的に示す。簡単にするために、両方の図は、2つのデバイスの動作原理を説明する目的に十分な一部の構成要素のみを示していることに留意されたい。
【0057】
図7に示すように、放射の第1照明ビームIB1は、デバイスの一方の側から基板WAのオーバーレイターゲットに斜めに入射することができる。格子ベースのオーバーレイターゲットは、第1照明ビームをいくつかの回折次数に回折することができる。デバイスは暗視野結像用に構成されているため、0次回折次数は、光学コンポーネントによってブロックされるか、対物レンズOBの開口数から完全に外れるように構成される。対物レンズOBによって、少なくとも1つの非0次回折次数、例えば、正の1次回折次数+1stDFを集めることができる。対物レンズOBの瞳面で、第1ウェッジWG1を使用して、回折放射をリダイレクトして、所望のビーム経路をたどることができる。最後に、結像レンズを使用して、回折次数、たとえば正の1次回折次数+1stDFをイメージセンサIS上に集束させて、第1画像IM1が第1位置に形成されるようにすることができる。
【0058】
同様に、放射の第2照明ビームIB2は、システムの反対側から基板WAの同じオーバーレイターゲットOTに斜めに入射することができる。第2照明ビームIB2の入射角は、第1照明ビームIB1の入射角と同じであってよい。少なくとも1つの非0次回折次数、例えば負の1次回折次数-1stDFは、対物レンズOBによって集められ、続いて第2ウェッジWG2によってリダイレクトされ得る。次いで、負の1次回折次数-1stDFは、第2画像IM2が第2位置に形成されるように、結像レンズILによってイメージセンサIS上に焦点を合わせることができる。
【0059】
図7の例は、並列取得方式(parallel acquisition scheme)で操作される。オーバーレイターゲットは、照明ビームIB1、IB2の両方によって同時に照明される。それに対応して、オーバーレイターゲットの2つの空間的に分離された画像IM1、IM2が同時に取得される。このような並列取得方式により、測定速度が速くなり、スループットが高くなる。ただし、対物レンズOBの瞳面は、2つの回折次数、例えば+1stDFおよび-1stDFで共有されなければならない。瞳を相互に排他的な照明瞳と検出瞳に分割した結果、照明NAと検出NAが減少する。照明NAと検出NAの間のトレードオフにはある程度の柔軟性があるが、最終的に照明NAと検出NAの両方を必要なだけ大きくすることは、単一の瞳内では不可能である。これにより、対応する各照明ビームと、+1stDFおよび-1stDFビームの角度範囲が制限され、許容される格子ピッチサイズおよび/または照明波長の範囲が制限され、したがって、そのような計測システムの設計に厳しい要件が課せられる。
【0060】
図8は、別の例示的な暗視野計測デバイス(または図7のデバイスの異なる動作モード)を概略的に示している。主な違いは、図8の計測デバイスが順次取得方式で動作することである。順次取得方式では、計測ターゲットOT は常に1つの方向から1つの照明ビームのみで照明され、それにより、任意の時点でターゲットの1つの画像のみが形成され、取得される。図8を参照すると、第1の時点t=T1において、第1の照明ビームIB1がスイッチオンされ、計測装置の一方の側から基板WAのオーバーレイターゲットOT上に斜めに向けられる。オーバーレイターゲットの格子との相互作用の後、多数の回折次数が生成され得る。少なくとも1つの非0次回折次数、例えば正の1次回折次数+1stDFは、対物レンズOBによって集められ、続いて結像レンズILによって画像センサIS上に集束され得る。
【0061】
オーバーレイ格子の第1画像IM1が取得された後、第2の時点t=T2において、第1照明ビームIB1がオフに切り替えられ、第2照明ビームIB2がオンに切り替えられる。第2照明ビームIB2は、計測装置の反対側から同じオーバーレイターゲット上に直接斜めに向けられる。少なくとも1つの生成された回折次数、たとえば負の1次回折次数-1stDFは、対物レンズOBによって集められ、続いて画像センサIS上に集束されて、オーバーレイターゲットの第2画像IM2を形成し得る。画像IM1およびIM2の両方が、画像センサ上の共通の位置に形成され得ることに留意されたい。
【0062】
この時間多重化取得方式では、対物レンズOBの全NAが、回折ビーム+1stDFおよび-1stDFを検出するために利用可能にされる。対物レンズのNAに制限がないということは、格子ピッチサイズ、照明波長、照明角度など、関連する設計パラメータの範囲が広くなり、システム設計の柔軟性が高まることを意味する。ただし、複数の画像取得が必要になるという事実は、測定速度が低下し、システムのスループットに影響を与えることを意味する。
【0063】
加えて、例えばオーバーレイエラーの正確な決定は、2つの取得画像IM1、IM2間の微小相対強度差(または強度非対称性)の正確な測定に依存する。典型的な相対強度差は、取得した画像の1つ、たとえばIM1またはIM2の強度の10-4のオーダである。このような小さな強度差は、照明放射の強度および/または波長の変動によって簡単に小さくなる。したがって、照明ビームは、連続した画像取得中に安定した状態を維持する必要がある。これは、所望の強度と波長の安定性を提供する安定した光源を使用することによって達成できる。あるいは、照明ビームの強度および/または波長の変動が積極的に監視され、十分に補償されるように、たとえば強度/波長監視デバイスおよび対応するフィードバック制御ループなどの追加のハードウェアおよびソフトウェアを計測デバイスに組み込む必要がある。場合によっては、照明ビームの強度を積極的に追跡するために、強度監視装置を使用することができる。強度監視装置から生成された信号は、照明ビームの強度変動を(例えば電子的に)補正するために使用することができる。これらのソリューションはすべて、システム全体の複雑さとコストを増大させる。
【0064】
前述の問題の一部またはすべては、デジタルホログラフィック顕微鏡法、特に暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡を使用することによって対処することができる。デジタルホログラフィック顕微鏡は、ホログラフィと顕微鏡を組み合わせた結像技術である。オブジェクトの投影画像を記録する他の顕微鏡観察方法とは異なり、デジタルホログラフィック顕微鏡は、3次元(3D)オブジェクトの照射によって得られるオブジェクト放射と、オブジェクト放射とコヒーレントな参照放射との間の干渉によって形成されるホログラムを記録する。画像は、例えば電荷結合素子(CCD)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を使用して取得することができる。オブジェクト放射はオブジェクトから散乱された放射であるため、オブジェクト放射の波面はオブジェクトによって変調または成形される。散乱放射は、反射放射、回折放射、または透過放射を含み得る。したがって、オブジェクト放射の波面は、照射されたオブジェクトの情報、たとえば 3D形状情報を運ぶ。撮影されたホログラムの画像に基づいて、コンピュータ再構成アルゴリズムを使用することにより、オブジェクトの画像を数値的に再構成することができる。図7および図8の例で説明したように、強度ベースの計測に勝るホログラムベースの計測の重要な利点は、ホログラムベースの計測がオブジェクトの強度および位相情報の両方を取得できることである。追加の位相情報を使用すると、オブジェクトの特性をより正確に判定できる。
【0065】
参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願WO2019197117A1号は、基板上に製造された構造の特性、例えばオーバーレイを決定するための暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡(df-DHM)に基づく方法および計測装置を開示している。説明の目的で、国際特許出願WO2019197117A1号の図3図9に再現されている。図9は、リソグラフィ・プロセス計測での使用に特に適合された、開示されたdf-DHMを概略的に示している。
【0066】
図7および図8に示した前の例と比較して、図9のdf-DHMは、追加の2つの参照放射ビーム51、52(参照放射)を提供するために使用される参照光学ユニット16、18をさらに備える。このような2つの参照放射ビーム51、52は、それぞれ、散乱放射ビーム31、32(オブジェクト放射)の2つの対応する部分41、42とペアになる。2つの散乱参照ビームのペアは、2つの干渉パターンを形成するために順次使用される。コヒーレンス制御は、各ビームペア内の2つの散乱参照ビーム間の相対光路長差(OPD:optical path-length difference)を調整することによって提供される。ただし、2つのビームペア間でコヒーレンス制御を利用することはできない。
【0067】
単一の光源の使用および不十分なコヒーレンス制御により、4つの放射ビームすべて、すなわち散乱放射31の第1部分41、第1参照放射51、散乱放射32の第2部分42、および第2参照放射52は、相互にコヒーレントである。これらの4つの相互にコヒーレントな放射ビームが同時にセンサ6の同じ位置に到達できる場合、つまり、並列取得方式で動作する場合、パターンを含む所望の情報および望ましくないアーティファクト寄与パターン(artefact-contributing patterns)を含む複数の干渉パターンが互いに重なり合うことになる。望ましくない干渉パターンは、例えば、第1散乱放射31の部分41と第2散乱放射32の部分42との間の干渉によって形成され得る。重なった干渉パターンを完全に分離することは技術的に難しく、時間がかかるため、この配置での並列取得は非現実的である。
【0068】
図8の例と同様に、図9の例で順次取得方式を使用すると、対物レンズの全NAを照明と検出の両方に利用できるようになる。ただし、このシステムは、順次取得による測定速度の低下という同じ問題を抱えている。したがって、高い測定速度と高い設計自由度を同時に得ることができるように、並行取得を実行できるdf-DHMを有することが望ましい。
【0069】
図10は、一実施形態による暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡(df-DHM)1000の結像ブランチを概略的に示す。暗視野デジタル ホログラフィック顕微鏡(df-DHM)は、結像ブランチと照明ブランチを備える。この実施形態では、基板1050上の構造を含む計測ターゲット1060は、放射の2つの照明ビーム、すなわち、放射の第1照明ビーム1010および放射の第2照明ビーム1020によって照明される。一実施形態では、そのような2つの照明ビーム1010、1020は、計測ターゲット1060を同時に照明することができる。
【0070】
一実施形態では、第1照明ビーム1010は、光軸OAに対して第1方向に第1入射角で計測ターゲット1060に入射し得る。第2照明ビーム1020は、光軸OAに対して第2方向に第2入射角で計測ターゲット1060に入射し得る。第1照明ビーム1010の第1入射角と第2照明ビーム1020の第2入射角は実質的に同じであってもよい。各照明ビームの入射角は、例えば、70度から90度の範囲、50度から90度の範囲、30度から90度の範囲、10度から90度の範囲とすることができる。計測ターゲット1060の照明は、ターゲットから散乱される放射をもたらすことがある。一実施形態では、第1照明ビーム1010は、第1方向に対応する第1方位角で計測ターゲット1060に入射し得る。第2照明ビーム1020は、第2方向に対応する第2方位角で計測ターゲット1060に入射し得る。第1照明ビーム1010の第1方位角と第2照明ビーム1020の第2方位角は異なっていてもよい(たとえば180度離れた反対側の角度)。
【0071】
計測ターゲット1060の構造に応じて、散乱放射は、反射放射、回折放射、または透過放射を含み得る。この実施形態では、計測ターゲットは、回折ベースのオーバーレイターゲットであってもよい。各照明ビームは、少なくとも1つの非0次回折次数を含む散乱ビームに対応し得る。各散乱ビームは、照射された計測ターゲットの情報を運ぶ。例えば、第1照明ビーム1010は、正の1次回折次数+1stDFを含む第1散乱ビーム1011に対応し得る。第2照明ビーム1020は、負の1次回折次数-1stDFを含む第2散乱ビーム1021に対応し得る。ゼロ次回折次数および他の望ましくない回折次数は、ビーム遮断要素(図示せず)によって遮断されるか、または対物レンズ1070のNAから完全に外れるように構成され得る。結果として、df-DHMは、暗視野モードで操作され得る。 いくつかの実施形態では、対物レンズ1070の同じ光学効果を達成するために、1つまたは複数の光学要素、例えば、レンズの組み合わせを使用することができることに留意されたい。
【0072】
計測ターゲット1060のサイズが小さいため、結像ブランチは正味の正の倍率(例えば、10倍より大きい、20倍より大きい、または30倍以上)を有することができる。
【0073】
散乱ビーム1011、1021の両方は、対物レンズ1070によって集められ、その後、画像センサ1080上に再集束され得る。結像ブランチの対物レンズ1070は、(図示のように)検出経路でのみ使用され、照明(例えば、計測ターゲット1060への照明の焦点合わせ)には使用されない結像対物レンズであってもよいことに留意されたい。そのため、照明は必ずしも散乱光と同じ対物レンズを通過する必要はない。他の実施形態では、散乱放射を収集し、計測ターゲット1060上に照明の焦点を合わせるために、対物レンズを結像ブランチと照明ブランチとの間で共有してもよい。
【0074】
散乱光/回折光をできるだけ多く収集することが望ましく、したがって、高NAの検出経路または結像ブランチが望ましい。この点に関して、高NAは、例えば、0.1より大きい、0.2より大きい、0.3より大きい、または0.4より大きい。他の実施形態では、高NAは、0.8以上のNAを指し得る。
【0075】
対物レンズ1070は複数のレンズを含むことができ、および/またはdf-DHM1000は、2つ以上のレンズ、例えば図9の例示的なdf-DHGと同様の対物レンズと結像レンズ、を有するレンズシステムを含むことができ、それによって、 2つのレンズの間の対物レンズの瞳面と、結像レンズの焦点における像面とを定義する。この実施形態では、第1散乱ビーム1011の部分1012と第2散乱ビーム1021の部分1022が、画像センサ1080の共通の位置に同時に入射する。同時に、放射の2つの参照ビーム、すなわち、第1参照ビーム1030および第2参照ビーム1040が、画像センサ1080の同じ位置に入射する。そのような4つのビームは、散乱放射および参照放射の2つのペアにグループ化され得る。例えば、第1散乱参照ビームペアは、第1散乱ビーム1011の部分1012および第1参照ビーム1030を含み得る。同様に、第2散乱参照ビームペアは、第2散乱ビーム1021の部分1022および第2参照ビーム1040を含み得る。これらの2つの散乱参照ビームペアは、その後、空間ドメインで少なくとも部分的にオーバーラップする2つの干渉パターン(ホログラフィック画像)を形成し得る。
【0076】
一実施形態では、少なくとも部分的に空間的に重なり合う2つの干渉パターンを(例えば、空間周波数領域で)分離するために、第1参照ビーム1030は、光軸OAに対して第1入射角を有し、第2参照ビーム1040は、光軸OAに対して第2入射角を有し得る。第1入射角と第2入射角は異なる。代替的または追加的に、第1参照ビーム1030は光軸OAに対して第1方位角を有し、第2の参照ビーム1040は光軸OAに対して第2方位角を有し得る。第1方位角と第2方位角は異なる。
【0077】
干渉パターンを生成するために、各散乱参照ビームペアの2つのビームは、干渉パターンを形成するのに十分な程度まで、互いに少なくとも部分的にコヒーレントでなければならない。各散乱放射ビームは、対応する照明放射に対して位相オフセットを有する場合があることに留意されたい。例えば、画像センサ1080の像平面において、そのような位相オフセットは、計測ターゲット1060から画像センサ1080までの光路長(OPD)による、および計測ターゲットとの相互作用による寄与を含み得る。上述のように、一方のペアの各ビームが他方のペアのどのビームにもインコヒーレントであるように、第1散乱参照ビームペアと第2の散乱参照ビームペアとの間のコヒーレンスを制御する必要がある。つまり、干渉は同じビームペア内のビーム間でのみ発生し、異なるビームペア間では抑制される必要がある。このようにして、所望の干渉パターンのみ、例えば、それぞれの散乱参照ビームのペアによって形成される2つの干渉パターンがイメージセンサ1080上に重ね合わされて形成され、したがって、望ましくない干渉パターンを分離または除去する問題が回避される。
【0078】
より具体的には、同じビームペア内のビーム間のコヒーレンスは、時間的および空間的コヒーレンスでなければならない。これらのビーム間の相互コヒーレンス機能は、空間と時間に依存する。典型的な近似は、この関数を空間成分と時間成分に因数分解することである。ただし、ビームが角度を付けて移動する場合 (軸外システムなど)、この近似はもはや理想的ではない。オブジェクトビームと参照ビームがカメラで干渉するように、十分なコヒーレンスが必要である。時間的および空間的コヒーレンスを単純化するために、これは、カメラ上のすべてのポイントが光源から同じ光路長 (たとえば、「時間的コヒーレンス」長の範囲内) を持つことを意味する。限定された空間コヒーレンスのために、参照ビームのすべての点もオブジェクトビームの対応する点にマッピングする必要がある (これは、オブジェクトと参照アームの両方がカメラ上でビームスプリッタの像を作成する必要があることを意味する場合がある)。シングルモード光ファイバが使用される場合、空間コヒーレンスが非常に大きくなる場合があります。
【0079】
(同じビームペアの)参照ビームと空間的および時間的にコヒーレントであることに加えて、各オブジェクトビームは、オーバーレイターゲットの全領域にわたって滑らかであってよい(例えば、均一に照射される)。
【0080】
一実施形態では、図10のdf-DHMで使用される両方の照明ビーム1010、1020および両方の参照ビーム1030、1040は、照明デバイスを備える照明ブランチによって提供され得る。図11は、一実施形態による照明装置を概略的に示す。図11に示されるように、光源1110は、少なくとも部分的にコヒーレントな主放射ビーム1111を放射し得る。主放射ビーム1111は、軟X線および可視から近IRまでの範囲の波長を含み得る。主放射ビーム1111は、第1ビームスプリッタ1120によって2つのビーム、すなわち第1放射ビーム1112と第2放射ビーム1114に分割され得る。この実施形態では、第1ビームスプリッタ1120は、50/50の分割比を含んでもよく、それによって、第1放射ビーム1112および第2放射ビーム1114は、実質的に同じパワーレベルを有し得る。その後、2つのビーム1112、1114は、それぞれ2つの異なるビーム経路をたどることができる。
【0081】
ビーム経路1112、1114のうちの1つ、ここに示される例では第2ビーム経路において、これは大部分任意であるが、第2放射ビーム1114(または第1ビーム1112)は遅延を受けてもよい。ここに示す例では、遅延は、プリズム1132を含む調整可能な光遅延線AD1などのインコヒーレンス遅延構成を介して実行される。調整可能な光遅延線AD1、またはより一般的には遅延を使用して、第1ビーム経路のビームと第2ビーム経路のビームとの間のOPD(またはコヒーレンス)を制御することができる。これは、第1ビームペアが第2ビームペアと干渉しないように、これらのビームがコヒーレントではないことを確実にするために行うことができる。この遅延線の代わりに、ビーム経路1112、1114の間に「ハードな」経路差を意図的に導入してもよい。
【0082】
一実施形態では、調整可能な光遅延線AD1は、インコヒーレンスを課しながら、両方のビームに同様の強度変動を持たせるために、2つの経路間の時間遅延ができるだけ短く維持されるように動作可能であり得る。
【0083】
第1ビーム経路において、第1放射ビーム1112は、第2ビームスプリッタ1122に入射し得る。第2ビームスプリッタ1122は、第1放射ビーム1112を別の2つのビーム、すなわち第1照明ビーム1010および第1参照ビーム1030に分割し得る。第2ビームスプリッタ1122の分割比に応じて、第1照明ビーム1010と第1参照ビーム1030は異なるパワーを有し得る。第2ビームスプリッタ1122の分割比は、90/10、80/20、70/30、60/40、または50/50であってもよい。この実施形態では、第1照明ビーム1010のパワーは、第1参照ビーム1030のパワーより高くてもよい。次に、2つのビーム1010、1030のそれぞれは、反射素子1140によって光遅延線に反射されてもよい。各光遅延線は、固定または調整可能であり、入射放射を再帰反射する反射光学素子を備えていてもよい。反射光学素子は、直角プリズム1130または1131であってもよい。いくつかの実施形態では、反射光学素子は、一対の反射ミラーであってもよい。この実施形態では、第1照明ビーム1010は、プリズム1131を備える固定の光学遅延線を通過することができ、一方、第1参照ビーム1030は、プリズム1130を備える調整可能な光学遅延線AD2を通過することができる。異なる実施形態では、第1照明ビーム1010は、プリズム1130を含む調整可能な光学遅延線を通過することができ、一方、第1参照ビーム1030は、プリズム1131を含む固定の光学遅延線を通過することができる。これらの2つのシナリオのいずれにおいても、2つのビーム1010、1030間の相対OPDは調整可能である。2つのビーム1010、1030は、出力ビームの第1ペアを形成する。これは、ビーム1010、1030間のOPDの調整を可能にする調整可能な経路長構成の一例にすぎないことに留意されたい。これを達成するための他の適切な構成を代わりに使用することができる。
【0084】
放射の第2ビーム1114は、第3ビームスプリッタ1124によって2つのビーム、例えば、第2照明ビーム1020および第2参照ビーム1040に分割され得る。第3ビームスプリッタ1124の分割比に応じて、2つのビームは異なるパワーを有することができる。この実施形態では、第3ビームスプリッタ1124の分割比は、第1照明ビーム1010および第2照明ビーム1020が実質的に同じパワーレベルを有し、第1の参照ビーム1020が実質的に同じパワーレベルを有し、第1参照ビーム1030と第2参照ビーム1040が実質的に同じパワーレベルを有するように、第2ビームスプリッタ1122の分割比と同じであってよい。この実施形態では、第2照明ビーム1020のパワーは、第2参照ビーム1040のパワーよりも高くてもよい。次いで、2つのビーム1020、1040は、反射素子1142によってそれぞれ2つの光遅延線(一方は固定され他方は調整可能)に反射されてもよい。この実施形態では、第2照明ビーム1020は、プリズム1133を備える固定の光遅延線を通過することができ、一方、第2参照ビーム1040は、プリズム1134を備える調整可能な光遅延線AD3を通過することができる。異なる実施形態では、第2照明ビーム1020は、プリズム1134を含む調整可能な光遅延線を通過することができ、一方、第2参照ビーム1040は、プリズム1133を含む固定光遅延線を通過することができる。これらの2つのシナリオのいずれにおいても、2つのビーム1020、1040間の相対OPDは調整可能であり得る。2つのビーム1020、1040は、出力ビームの第2ペアを形成する。これは、ビーム1020、1040間の光路長の調整を可能にする調整可能な経路長構成の一例にすぎないことに留意されたい。これを達成するための他の適切な構成を代わりに使用することができる。
【0085】
それぞれの光遅延線を出た後、4つの放射ビーム、すなわち第1照明ビーム1010、第1参照ビーム1030、第2照明ビーム1020、および第2参照ビーム1040は、照明デバイス1100を出てもよく、df-DHMにおける照明および参照ビーム、例えば、図10のdf-DHMの対応するビームとして使用されてもよい。一実施形態では、照明装置1100を出る前に、これらの4つのビームの一部または全ては、各ビームのビームパラメータ、伝播方向、偏光状態、および/または光パワーを個別に制御できるように、光ビーム成形素子、光ステアリングミラー、光偏光素子、および光パワー制御素子などの追加の光学素子をそれぞれ通過することができる。ビームパラメータは、ビーム形状、ビーム直径、およびビーム発散を含み得る。一実施形態では、出力ビームの第1ペアおよび出力ビームの第2ペアのいずれかの2つのビームは、異なるパワーレベルを有し得る。出力ビームの第1ペアの1つのビームは、出力ビームの第2ペアの1つのビームと実質的に同じパワーレベルを有することができる。
【0086】
図11のイルミネータから出射する放射ビームの伝播方向は、図10のdf-DHMの光軸OAに対するビームの入射角および方位角を決定する。基準のデカルト座標系のオリエンテーションが、図10の上部に示されている。ビームの入射角とは、顕微鏡の光軸 (破線) またはz軸と、入射ビームまたはそのx-z平面への投影との間のx-z平面での角度を指す。ビームの方位角とは、x軸と入射ビームまたはそのx-y平面への投影との間の角度を指す。
【0087】
対応して、第1照明ビーム1010と第1参照ビーム1030との間の相対OPDは、光遅延線AD2を使用して調整することができ、一方、第2照明ビーム1020と第2参照ビーム1040との間の相対OPDは、光遅延線AD2を使用して調整することができる。相対OPDによる位相遅延(relative OPD induced phase delay)が、放射の各照射ビームとそれに関連する散乱放射ビームとの間の位相オフセットをカバーするのに十分である限り、各散乱ビーム放射(例えば第1散乱ビーム1011または第2散乱ビーム1021)と、そのペアの参照ビーム放射(例えば第1参照ビーム1030または第2参照ビーム1040)との間のコヒーレンスは、独立して制御または最適化することができる。加えて、調整可能な光遅延線AD1を使用して、2つの照明参照ビームペアまたは2つの散乱参照ビームペア(例えば、第1散乱ビーム1011の部分1012と第1の参照ビーム1030とを含む第1散乱参照ビームペア;第2の散乱ビーム1021の部分1022と第2参照ビーム1040とを含む第2散乱参照ビームペア)の間に十分な位相遅延を意図的に加えて、1つのビーム ペアの任意のビームが、他のビームペアの任意のビームと干渉しないようにすることができる。このようにして、2つの所望の干渉パターンのみが、画像センサ1080上の2つの散乱参照ビームペアによってそれぞれ形成される。
【0088】
図12は、異なる実施形態による照明装置1200を概略的に示す。図12の照明装置は、図11の照明装置と類似している。主な違いは、図12の実施形態では、3つのビームスプリッタ1220、1222、1224が、図11の実施形態におけるそれぞれのカウンターパートと比較して、異なる分割比を有し得ることである。異なる分割比を使用する結果として、装置から出力される4つの放射ビーム1010、1020、1030、1040の一部または全部が、図11の実施形態におけるそれぞれの位置のカウンターパートと比較して異なるパワーを有し得る。例えば、この実施形態では、(ビームスプリッタ1222からの)上部ブランチから出力される2つのビーム1010、1020は、相互に同様のパワーを有し、(ビームスプリッタ1224からの)下部ブランチから出力される2つのビーム1030、1040についても同様であり、ビーム1010、1020のペアのパワーは、ビーム1030、1040のペアのパワーとは異なる。したがって、この実施形態では、第1および第2照明ビーム1010、1020は、ビームスプリッタ1222を介してペアとして出力され得、第1および第2参照ビーム1030、1040は、ビームスプリッタ1224を介してペアとして出力され得る。
【0089】
したがって、図11は、(ビームスプリッタ1122を介した)第1出力ブランチが第1ビームペアブランチ(例えば、+1次回折次数照明および+1次参照ビーム)を含み、(ビームスプリッタ1124を介した)第2出力ブランチが第2ビームペアブランチ(例えば、-1次回折照明および-1次参照ビーム)を含む構成を示す。対照的に、図12では、第1出力ブランチは照明ブランチ (たとえば、+1次回折次数および 1次回折次数の照明ビーム) であり、第2出力ブランチは参照ブランチ (たとえば、+1次回折次数および1次回折次数の参照ビーム)である。
【0090】
異なるビームの組み合わせに関係なく、3つの調整可能な光遅延線AD1’、AD2’、AD3’は、4つのビームすべてに対して十分なコヒーレンス(またはOPD)制御を提供して、所望の干渉パターンのみが図10の画像センサ1080上に形成されるようにすることができる。一実施形態では、基準アームの遅延線AD3’は、照明アームの遅延線AD2’よりもかなり長い(数十mm)。
【0091】
したがって、図11の構成では、調整可能な光遅延線AD1は、第1ブランチまたは第2ブランチの一方に第1ブランチまたは第2ブランチの他方に対して遅延を課すように動作可能なインコヒーレンス遅延構成を実装することができる。調整可能な光遅延線AD2、AD3は、各ビームペア内のビームのコヒーレンスマッチングのためのコヒーレンスマッチング構成を実装する。対照的に、図12の構成では、コヒーレンスマッチング構成およびインコヒーレンス遅延構成は、調整可能な光遅延線AD1と調整可能な光遅延線AD2、AD3との間の共同最適化によって一緒に実装され得る。後者の場合、プリズム1130ではなくプリズム1131が調整可能である場合、またはプリズム1134ではなくプリズム1133が調整可能である場合、最適化は異なることに留意されたい。
【0092】
計測ターゲット1060の構造の特徴は、計測装置の処理ユニット1090によって決定される。処理ユニット1090は、画像センサ1080によって記録された第1干渉パターンおよび第2干渉パターンを使用して、計測ターゲット1060の構造の特性を決定する。一実施形態では、処理ユニット1090は、画像センサ1080に結合されて、センサ1080によって記録された第1干渉パターンおよび第2干渉パターンに関する情報を含む信号を受信する。一実施形態では、処理ユニット1090は、df-DHM1000の対物レンズ1070の収差を補正する。一実施形態では、第1干渉パターンおよび第2干渉パターンの測定は、時間的に同時に(並行して)放射で実行され、処理ユニット1090は、基板1050上の計測ターゲット1060の構造の特性を決定するために、測定値を同時に(並行して)使用するように構成される。
【0093】
一実施形態では、処理ユニット1090は、第1干渉パターンを使用して、第1散乱放射線1011の部分1012に関連する、センサ1080における放射の複素フィールド(complex field)(ここでは「複素」とは、振幅および位相情報の両方が存在することを意味する)を計算する。同様に、処理ユニット1090は、第2干渉パターンを使用して、第2散乱放射1021の部分1022に関連する、センサ1080での放射の複素フィールドを計算する。参照放射を物体から散乱された放射と干渉させることによって形成される干渉パターンから放射の複素フィールドを計算することは、ホログラフィから一般的に知られている。リソグラフィにおける計測の文脈でそのような計算を実行する方法についての詳細は、たとえば、参照により本明細書に組み込まれるUS2016/0061750A1号に記載されている。
【0094】
df-DHM1000の光学特性が既知である場合、計算された複素フィールドのそれぞれを数学的および計算的に逆伝搬(back-propagate)させて、計測ターゲット1060における第1散乱放射線1011および第2散乱放射線1021の対応する複素フィールドを得ることが可能である。
【0095】
複素フィールドの知識を有することは、位相および振幅情報の両方が利用可能でない代替モードに対して、基板1050上の計測ターゲット1060の特性を決定するための追加情報を提供する。たとえば、2018年2月27日に出願された欧州特許出願EP18158745.2号では、散乱放射の位相情報を使用して、基板上の異なる層の構造間のオーバーレイエラー(決定される構造の特性の一例)を決定する方法が開示されている。欧州特許出願EP18158745.2は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
一実施形態では、計測ターゲット1060の構造の特徴は、第1干渉パターンと第2干渉パターンとを比較することによって決定される。一実施形態では、構造の特性は、第1干渉パターンと第2干渉パターンとの間の差に基づいて決定される。第1干渉パターンと第2干渉パターンとの間の差は、例えば、計測ターゲット1060の構造における非対称性に関する情報を含み得る。計測ターゲット1060の構造における非対称性に関する情報を取得することは、オーバーレイに関する情報を提供し得る。一実施形態では、2018年2月27日に出願されたEP18158745.2号に記載されているように、計算された複素フィールドから得られた位相情報を使用してオーバーレイ情報を得る。オーバーレイは、異なる時間に形成されたパターン、異なるプロセスを使用して形成されたパターン、および/または異なる層で形成されたパターンなど、計測ターゲット1060内の異なるパターン間の望ましくないミスアライメントを表す。他の実施形態では、決定される計測ターゲット1060の構造の特性は、計測ターゲット1060の構造を製造するためにリソグラフィプロセスで使用される放射の焦点の誤差を示す誤差を含み得る。さらに他の実施形態では、決定される計測ターゲット1060の構造の特性は、計測ターゲット1060の構造を製造するためにリソグラフィプロセスで使用される放射の放射線量の誤差を示す誤差を含み得る。
【0097】
計測ターゲット1060の構造に起因しない第1干渉パターンと第2干渉パターンとの間の差への寄与、例えば前述の不要な干渉パターンを最小限に抑えることが重要である。3つの調整可能な光遅延線AD1、AD2、AD3を使用することにより、放射の4つのビーム、すなわち第1散乱ビーム1011、第1参照ビーム1030、第2散乱ビーム1021、第2参照ビーム1040に対して十分なコヒーレンス制御を適用することによって、これらの寄与が効果的に抑制される。
【0098】
2つの複素フィールドを正確に計算するために、2つの干渉パターンは、背景迷光および/または残留0次回折次数から完全に分離されるべきである。さらに、各干渉パターンからターゲット情報を抽出するには、重なっている2つの干渉パターンも分離する必要がある。空間周波数多重化を使用することで、重なっている複数の干渉パターンを完全に分離できる。このような方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願US20180011022A1号に詳細に記載されている。
【0099】
空間周波数多重化により、処理ユニット1090は、複数の重ね合わせ干渉パターンを含む記録画像を二次元(2D)フーリエ変換にかけて、フーリエ変換画像を取得する。得られたフーリエ変換像の横軸と縦軸は、それぞれ空間周波数座標系(fx,fy)におけるfxとfyの2軸に対応する。得られたフーリエ変換画像には複数の空間スペクトルが存在し、それぞれが記録画像の一部に対応している。
【0100】
図13は、2つの重なり合う干渉パターンを含む記録された画像を2Dフーリエ変換にかけることによって得られる空間周波数ドメインにおける例示的な2Dフーリエ画像を示す。図13に示されるように、2Dフーリエ画像は5つの空間スペクトル:0次フーリエ成分を含むベース空間スペクトル1301、放射1011の第1散乱ビームの部分1012で形成される第1干渉パターンに対応する第1高次空間スペクトル1311、放射線1021の第2散乱ビームの部分1022で形成される第2干渉パターンに対応する第2高次空間スペクトル1312、第1高次空間スペクトル1311と共役の第1共役空間スペクトル1321、第2の高次空間スペクトル1312と共役の第2共役空間スペクトル1322、を含む。
【0101】
ベーススペクトルの中心は、空間周波数座標の原点Oである。ベーススペクトルの位置は固定されている。しかしながら、高次空間スペクトルおよびそれらの共役スペクトルの位置は、例えば、各参照ビームの入射角および/または方位角を変更することによって、基本スペクトルに対して調整することができる。各高次空間スペクトルの中心とビース空間スペクトルの中心との間の半径距離は、散乱ビーム1011または1021の部分1012または1022の光軸と、参照ビーム1030または1040の光軸との間の角度に関連する。角度が大きいほど、高次空間スペクトルは (ベース空間スペクトルに対して) 離れる。したがって、散乱ビームの一部の軸と参照ビームの軸との間に十分に大きな角度を与えることによって、高次空間スペクトル1311または1312をベース空間スペクトル1301から完全に分離することができる。しかしながら、参照ビームの角度は、散乱ビーム1011または1021の部分1012または1022の光軸と参照ビーム1030または1040の光軸との間の角度の増加がホログラムフリンジのフリンジ間隔の減少をもたらすので、任意に高くすることはできない。最終的に、角度は画像センサ1080のピクセルピッチによって制限される。ホログラムのフリンジ (または干渉パターン)は、センサピクセルによって適切にサンプリングされなければならない。ホログラムの最大周波数は、サンプリングのナイキスト基準を満たす必要がある。
【0102】
さらに、各参照ビームの方位角は、原点Oに対する空間スペクトルの円周位置に影響を与える。高次空間スペクトルの円周位置は、高次空間スペクトルと空間周波数軸fxとの間の角度によって表される。例えば、第1高次空間スペクトルの円周位置は、角度1331によって表される。したがって、高次空間スペクトル1311、1312は、2つの参照ビームの方位角の差が十分に大きいことを保証することによって、互いに完全に分離することができる。
【0103】
分離されると、処理ユニット1090は、フーリエ画像から各高次空間スペクトルを抽出し、その後、抽出された高次空間スペクトルに逆フーリエ変換を施す。放射の両方の参照ビームがイルミネータ1100によって直接提供されるので、画像センサ1080における強度分布などの参照放射の情報は、計算または測定のいずれかによって決定できることに留意されたい。逆フーリエ変換の結果と参照放射の情報に基づいて、ペアになった散乱放射の複素フィールドを取得できます。詳細については以下で説明する。最後に、放射の2つの散乱ビームの複素フィールドを使用して、計測ターゲット1060の構造の特性を決定し、および/またはdf-DHM1000の対物レンズ1070の光学収差を補正する。
【0104】
引き続き図13を参照すると、既存の方法は、散乱ビーム1011または1021の部分1012または1022の複素フィールドの振幅および位相を決定するために、2Dフーリエ画像1300の高次空間スペクトルまたは側波帯(SB)1311または1312のみを使用する。ベース空間スペクトルまたは中心帯(CB)1301に含まれる情報は、決定プロセスにおいて完全に破棄される。このように、既存の方法は、ノイズ制限、例えば低い信号対雑音比になりがちであり、それによってスループットの損失につながる。本実施形態の異なる態様によれば、画像センサにおける散乱放射の複素フィールドの振幅および位相を決定するためのより優れた、より正確な方法を提供することによって、既存の方法を改善する方法が提供される。これは、CB1301とSB1311または1312の両方に含まれる情報を考慮することによって実現される。
【0105】
図13のフーリエ画像の別の用語は、しばしばホログラムのフーリエ表現と呼ばれることに留意されたい。図13の4つの画像は、(2d)フーリエ変換を介して空間周波数領域でホログラムをそのフーリエ表現またはフーリエ スペクトルに変換することによって得られる。
【0106】
図14は、一実施形態による複素フィールドの振幅および位相の決定のための方法のフローチャートを示す(例えば、処理ユニット1090またはその他によって実行され得る)。図14を参照すると、ステップ1401で、オブジェクトまたはターゲットの照射後にホログラム(または干渉パターン)が生成され、続いてフーリエ変換によって空間周波数領域でそのフーリエ表現またはフーリエスペクトルに変換されてもよい。このフーリエ表現には、ホログラムで使用される参照波の傾斜角がSBの空間周波数成分を考慮して十分に大きい場合、CBとそれぞれのSBが空間的に分離されるという有利な特性がある。さらに注目すべきは、図13では、SBがペアで表示され、一方のペアはSB111と1321で構成され、もう一方のペアはSB1312と1322で構成されることである。SBペアごとに、2つのSBは同一の情報を伝送する。それらは互いに複素共役であるからであり、SBペアごとに1つのSBを選択するだけで十分である。ステップ1402において、フーリエ表現におけるCBが選択され、続いて、選択されたCBの逆フーリエ変換を介して像平面における対応する成分を計算するために使用され得る。ステップ1403で、フーリエ表現で1つまたは複数の別個のSBを選択することができ、選択されたSBのそれぞれを使用して、選択されたSBの逆フーリエ変換を介して像平面内の対応する成分を計算することができる。ステップ1404において、複素フィールドの振幅および/または位相は、像平面における計算されたCBおよびSB成分に基づいて決定され得る。本方法の実施の詳細を以下に説明する。
【0107】
図14の実施形態は非限定的な例に過ぎず、他の実施形態は、特定の要件によって決定されるより多くのまたはより少ないステップを含み得ることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態は、オブジェクトまたはターゲットの照明のステップをさらに含むことができ、それを第1ステップとして使用することができる。いくつかの他の実施形態は、CBの逆フーリエ変換およびSBの逆フーリエ変換が時間的に順次ではなく並行して実行できるように、ステップ1402および1403を単一のステップに結合することができる。
【0108】
単一の干渉パターンで十分な場合、照明デバイス1100または1200によって提供される照明参照ビームペアの1つを使用して、ターゲット1060を照明することができる。続いて、ステップ1401で、オブジェクトまたはターゲットからの散乱放射が、照明-参照ビームペアから提供される参照放射とともに、所望の単一干渉パターンを形成する。そのような単一の干渉パターンは、フーリエ変換を介して空間周波数領域で2Dフーリエ表現に変換することができる。この場合、2Dフーリエ表現(図示せず)は、1つのCBと1ペアの相互共役SBとを含むことができる。散乱参照ビームペアのそれぞれのビームの相互傾斜角は、結果として得られるCBおよびSBが空間周波数領域で重ならないように調整され得る。次いで、ステップ1402において、フーリエ表現におけるCBが選択され、逆フーリエ変換によって像平面におけるその対応する成分(すなわち、後述のCBexp(R))を計算するために使用され得る。それに続いて、ステップ1403で、フーリエ表現内の相互に共役なSBの1つが選択され、逆フーリエ変換によって像平面内の対応する成分(すなわち、後述のSBexp(R))を計算するために使用され得る。最後に、ステップ1404で、計算された情報(すなわち、後述のCBexp(R)およびSBexp(R))に基づいて、オブジェクトまたはターゲットからの散乱放射の複素フィールドの振幅および位相が決定され得る。ステップ1404は、以下の数学的記述によってさらに説明される。
【0109】
以下の数学的説明では、逆フーリエ変換をCBとSBに別々に適用し、対応する像平面の成分をそれぞれ実数値関数CB(R)と複素数値関数SB(R)で表す。Rは像平面の2D座標である。
CBには、散乱ビームの自己相関と参照ビームの自己相関の両方が含まれていることに留意すべきである。参照ビームのパワーは次の式で与えられる。
【数1】
【0110】
像平面の複素数値フィールドは、Φ(R)で表され、これは、p(R)で表される結像光学系 (例えば、対物レンズ1070) の点広がり関数とのサンプルフィールドΦ(R) (サンプル/ターゲットから散乱したフィールド) の畳み込みに等しくなる。すなわち:
【数2】
【0111】
像平面におけるの複素数値フィールドΦ(R)は、振幅A(R)と位相φ(R)で次のように表すことができる。
【数3】
【0112】
ホログラムH(R)または干渉パターンは次のようにモデル化される。
【数4】
ここで、Kは参照波の波数ベクトル、sは参照波の振幅を表す。
【数5】
【0113】
複素数値フィールドの振幅と位相を推定するための最小二乗関数は、次のように定義できる。
【数6】
【0114】
上記の最小二乗関数は、パーセバルの定理と、CBとSBがフーリエ表現で十分に分離されているという事実に基づいて、便利に書き直すことができる。CBおよびCBから分離可能な2つの共役SBからのそれぞれの寄与を組み込んだ後、上記の式は次のようにより明示的に表すことができる。
【数7】
ここで、CBexp(R)とSBexp(R)はそれぞれ、実験的に測定されたホログラムから導出された像平面におけるCBおよびSB成分と、モデル化されたCBおよびSB成分を示す。すなわち、
CBmod(R)およびSBmod(R)は、次のように表される。
【数8】
および
【数9】
簡単のためCBexp(R)およびSBexp(R)を実験的に測定されたCB成分とSB成分と呼ぶことにする。
【0115】
振幅A(R)と位相φ(R)のパラメータフィッティングは、S、つまり式[6]のそれぞれの導関数によって得られる。
【数10】
【数11】
【0116】
の後者の導関数、つまり式[10]は、(Rの特定の値に対して) 以下をもたらす。
【数12】
ここから、複素フィールドの位相φ(R)を次のように推定できる。
【数13】
【0117】
位相φ(R)は側波帯からしか測定できないため、その推定値は係数sまたは参照ビームの振幅|Φref(R)|に依存しない。しかしながら、側波帯における最適な信号対雑音比のために、sの値はs=0.5として選択され得る。
【0118】
の前者の導関数、つまり式[9]は、(像平面Rにおける位置の任意の値に対して)以下をもたらす。
【数14】
【0119】
上記の関係は次のように簡略化できます (明白なRを省略)。
【数15】
【0120】
この関係において、第1項はCBに関連し、第2項はSBに関連する。以下の理由から、これら2つの項のそれぞれの振幅の開を個別に取得できる。これは、CBでの振幅のそれぞれの推定値と以下をもたらす。
【数16】
そしてSBにおいて:
【数17】
ここで、^ は見積もりを示す。
【0121】
このような2つの式、つまり式[15]と式[16]を使用すると、Aに関するSの導関数から得られる式[14]は次のように簡略化できる。
【数18】
【0122】
任意の画像位置Rにおける振幅Aの真の解(正および実数値)は、標準的な数学的アプローチを使用して、上記の三次方程式から容易に解くことができる[17]。真の解のいくつかの興味深い特性をさらに導き出すことができる。A>0および0<s<1という事実から、次のいずれかである2つのレジームを考えることができる。
【数19】
またはその逆:
【数20】
【0123】
別の言い方をすれば、これは次のいずれかを意味する。
【数21】
またはその逆:
【数22】
【0124】
図10の実施形態に関して説明した動作など、2つの(重なる)干渉パターンが望まれる状況では、照明装置1100または1200によって提供される照明参照ビームペアの両方を使用して、ターゲット1060を照明することができる。上述のように、2つの(重なり合う)干渉パターンは、2ペアの散乱参照ビームによってそれぞれ形成され得る。したがって、処理ユニットは、それぞれが1つの散乱ビームに対応する2つの複素フィールドの振幅と位相を決定する必要がある。いくつかの実施形態では、処理ユニット1070はまた、上記の4つのステップ(すなわち、図14の1401から1404)を実行して、決定プロセスを完了することができる。ただし、今回は、2Dフーリエ表現は、図13のフーリエ表現の例のように、2つのそれぞれのCDの重ね合わせと、2ペアの相互共役で十分に分離されたSB(または合計4つのSB)を含むことができる。相互に共役なSBの各ペアには、2つの干渉パターンのうちの1つの情報が含まれる。例えば、相互に共役なSBの第1ペアは、散乱参照ビームの第1ペアによって形成される第1干渉パターンの情報を含む。一方、互いに共役なSBの第2ペアは、散乱参照ビームの第2ペアによって形成される第2干渉パターンの情報を含む。両方の散乱参照ビームペアは、結果として得られるCBおよびSBが空間周波数領域で重複しないように配置され得る。
【0125】
干渉パターンのキャプチャ画像が空間周波数領域にフーリエ変換されるステップ1401の後、ステップ1402で、2つの重なったそれぞれのCBを含むフーリエ表現の中心領域が選択され、その対応する成分、すなわち逆フーリエ変換による像平面におけるCBexp(R)を計算するために使用される。表記を簡単にするために、ここではCBexp(R)は、2つのそれぞれの散乱参照ビームのペアの重ね合わせたCBを表すことに注意する。この成分のモデル化されたバージョンにも同じ表記法が使用される。続いて、ステップ1403で、フーリエ表現におけるSBの各ペアの1つが選択され、逆フーリエ変換によって像平面における対応する成分を計算するために使用される。その結果、2つの異なる干渉パターン(または複素フィールド) を指す、インデックス「1」および「2」を有する2つの像平面成分SB1,exp(R)およびSB2,exp(R)が取得され得る。最後に、ステップ1404で、計算された情報、例えば、CBexp(R)、SB1,exp(R)およびSB2,exp(R)に基づいて、両方の複素フィールドの振幅および位相が決定され得る。ステップ1404は、単一のホログラムまたは干渉パターンの場合の前述の数学的記述(式[1]から式[21)の拡張である以下の数学的記述によってさらに説明される。
【0126】
以下の数学的記述では、逆フーリエ変換は、像平面における対応する成分を取得するために、フーリエ画像内のCB、例えば図13の1301、および2つの選択されたSBのそれぞれ、例えば図13の1311および1312に別々に適用される。このような像平面成分は、それぞれ実数値関数CB(R)と複素数値関数SB(R)およびSB(R)で表される。ここで、Rは像平面の2D座標であり、インデックス「1」および「2」は、2つの異なる干渉パターン (または複素フィールド) を指す。多重化されたホログラムH(R)は、2つの別個のホログラムまたは干渉パターン(インデックス「1」と「2」は2つの別個のホログラムを指す)のインコヒーレントな重ね合わせとしてモデル化され、一般性を失うことなく、両方の個々のホログラムに対して同じ分割比sを仮定する。
【数23】
【0127】
上記の多重化されたホログラムのフーリエ変換は、フーリエ表現の単一のCB(2つのそれぞれの散乱参照ビームペアの2つの個別のCBに由来する)および次のようにモデル化される2つの別個のSBを含む。
【数24】
および
【数25】
【数26】
【0128】
多重化されたホログラムに対して最小化される最小二乗関数は、次のとおりである。
【数27】
【0129】
位相φ(R)およびφ(R)の最適化は、各位相関数φ(R)またはφ(R)に関してSの導関数を取得することを含み、従って、多重化されていない(単一の)ホログラムの場合と同じである。位相は、それぞれのSBでのみ検出可能であるためである(2つのそれぞれの散乱参照ビームのペアでオーバーラップが発生するCBでは検出できない)。これは、個々のホログラムと同様に、位相についても同じ解が導き出されることを意味する(側波帯は多重化されたホログラムのフーリエ空間で分離されているため)。
【数28】
および
【数29】
【0130】
同様に、振幅A(R)およびA(R)の最適化は、各振幅関数A(R)またはA(R)に関してSの導関数を取得することを含み、A(R)およびA(R)で次の2つの方程式が得られる。
【数30】
【数31】
【0131】
【数32】
の関係を適用することにより、上記の2つの式[29]および[30]は次のように書き換えることができる。
【数33】
【数34】
【0132】
上記の一連の方程式は、さまざまな方法で解くことができる。一般性を失うことなく、実施例として1つの特定の方策をここで説明する。2つの式[31]と[32]を除算すると、2つの振幅の比が得られる。
【数35】
【0133】
式[33]を式[31]に適用してA(R)を除去すると、唯一の未知のパラメータA(R)を含む式が得られる(明白なRを省略)。
【数36】
ここで、εは小さな正の値で、SB信号の電力が小さい領域でのノイズ増幅を回避する。特定の画像位置Rで多重化されたホログラムに含まれる第1ホログラムの(正の実数値)振幅Aの真の解は、三次方程式[34]から容易に解くことができる。多重化されたホログラムに含まれる第2ホログラムの振幅Aの値は、その後、比率の関係、つまり式[33]から導き出すことができる。
【0134】
前述の実施形態は、照明および参照放射ビームの複数のペアを有するdf-DHMに対してさらに一般化することができることに留意されたい。いくつかの実施形態では、複数の照明放射ビームのそれぞれは、異なる方位角および/または異なる入射角を含むことができる。同様に、複数の参照ビームのそれぞれは、異なる方位角および/または異なる入射角を含むことができる。例えば、一実施形態では、主にx-z平面にある2つの照明放射ビーム1010、1020に加えて、主にy-z平面にある別の2つの照明放射ビーム(図示せず)を使用して、ターゲット1060を照明することができる。2つの追加の参照放射ビームを使用して、2つの追加の照明放射ビームとそれぞれペアにすることもできる。これにより、4つの少なくとも部分的に空間的に重なり合う干渉パターンが生じ、その各々は、一対の照明および参照放射ビームに対応し得る。各追加参照放射ビームの方位角および/または入射角を適切に構成することにより、少なくとも部分的に空間的に重なり合う4つの干渉パターンを空間周波数領域で分離することができる。このようにして、ターゲットの構造に関するより多くの情報、例えば、ターゲットの構造におけるy軸非対称性を得ることができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、照明装置は、照明放射ビームと参照放射ビームの複数のペアを提供することができる。照明装置はまた、所望の干渉パターンのみが画像センサ上に形成されるように、放射ビーム間の十分なコヒーレンス制御を提供することができる。照明放射ビームと参照放射線ビームの複数のペアは、複数の相互にインコヒーレントで空間的に重なり合う干渉パターンの形成をもたらし得る。したがって、多重化されたホログラムH(R)は、複数の別個のホログラムまたは干渉パターンのインコヒーレントな重ね合わせとしてモデル化することができる。次に、2つのオーバーレイホログラムの場合の式[22]をさらに拡張して、すべての個別のホログラムの振幅関数と位相関数を含めることができる。したがって、ホログラムインデックスは、n個のホログラムが形成される場合、「1,2」から「1,2,3・・・およびn」に拡張する必要がある。図14に示す決定プロセスは、任意の数のオーバーレイホログラム、たとえば3つ以上のオーバーレイホログラムに等しく適用できることに留意されたい。
【0136】
1つまたは複数の複素フィールドの振幅および位相を決定するための方法の異なる実施形態、例えば、図14の実施形態は、図10から図12の実施形態と組み合わせて、または独立して使用できることにも留意されたい。単独で使用する場合、他のタイプの df-DHMを使用してホログラムまたは干渉パターンを生成できる。
【0137】
一実施形態では、処理ユニット1090はコンピュータシステムであってもよい。コンピュータシステムは、フーリエ変換を実行すること、個々の高次空間スペクトルをそれぞれ抽出すること、逆フーリエ変換を実行すること、複素フィールドを計算すること、および結果に基づいて構造の特性を決定することを含む、前述のすべてのタスクを実行するために使用される画像再構成アルゴリズムを備えることができる。
【0138】
図15は、本明細書で開示される方法およびフローの実施を支援することができるコンピュータシステム1500を示すブロック図である。コンピュータシステム1500は、情報を通信するためのバス1502または他の通信メカニズムと、情報を処理するためにバス1502に結合されたプロセッサ1504(または複数のプロセッサ1504および1505)とを含む。コンピュータシステム1500は、プロセッサ1504によって実行される情報および命令を記憶するためにバス1502に結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶装置などのメインメモリ1506も含む。コンピュータシステム1500は、プロセッサ1504のための静的情報および命令を記憶するために、バス1502に結合された読み出し専用メモリ(ROM)1508または他の静的記憶装置をさらに含む。磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶装置1510が提供され、情報および命令を記憶するためにバス1502に結合される。
【0139】
コンピュータシステム1500は、バス1502を介して、コンピュータユーザに情報を表示するための陰極線管(CRT)またはフラットパネルまたはタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ1512に結合され得る。英数字およびその他のキーを含む入力デバイス1514は、情報およびコマンド選択をプロセッサ1504に伝達するためにバス1502に結合されている。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ1504に伝達し、ディスプレイ1512上のカーソル移動を制御するための、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御1516である。この入力装置は、典型的には、第1の軸(例えばx)および第2の軸(例えばy)の2軸に自由度2を有し、デバイスが平面内の位置を指定できるようにする。タッチパネル(スクリーン)ディスプレイを入力装置として使用することもできる。
【0140】
本明細書に記載の方法のうちの1つまたは複数は、メインメモリ1506に含まれる1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行するプロセッサ1504に応答して、コンピュータシステム1500によって実行され得る。そのような命令は、記憶装置1510などの別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ1506に読み込まれ得る。メインメモリ1506に含まれる一連の命令の実行により、プロセッサ1504は、本明細書に記載のプロセスステップを実行する。メインメモリ1506に含まれる一連の命令を実行するために、マルチプロセッシング構成の1つまたは複数のプロセッサを使用することもできる。別の実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用することができる。したがって、本明細書の説明は、ハードウェア回路とソフトウェアの特定の組み合わせに限定されない。
【0141】
本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ1504に命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性媒体には、例えば、記憶装置1510などの光ディスクまたは磁気ディスクが含まれる。揮発性媒体には、メインメモリ1506などのダイナミックメモリが含まれる。伝送媒体には、バス1502を構成するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバが含まれる。伝送媒体は、無線周波数(RF)および赤外線(IR)データ通信中に生成されるような音響波または光波の形を取ることもできる。コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、その他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを持つその他の物理媒体、RAM、PROM、および EPROM、FLASH-EPROM、その他のメモリチップまたはカートリッジ、以下で説明する搬送波、またはコンピュータが読み取ることができるその他の媒体、が含まれる。
【0142】
実行のために、1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ1504に搬送する際に、様々な形態のコンピュータ可読媒体を使用することができる。例えば、命令は、最初はリモートコンピュータの磁気ディスクに載せられていてもよい。リモートコンピュータは命令を動的メモリにロードし、モデムを使用して電話回線経由で命令を送信できる。コンピュータシステム1500にローカルなモデムは、電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。バス1502に結合された赤外線検出器は、赤外線信号で搬送されるデータを受信し、データをバス1502上に置くことができる。バス1502はデータをメインメモリ1506に搬送し、そこからプロセッサ1504が命令を取り出して実行する。メインメモリ1506によって受信された命令は、オプションとして、プロセッサ1504による実行前または実行後のいずれかに記憶装置1510に記憶され得る。
【0143】
コンピュータシステム1500はまた、好ましくは、バス1502に結合された通信インターフェース1518を含む。通信インターフェース1518は、ローカルネットワーク1522に接続されたネットワークリンク1520に結合する双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース1518は、対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を提供する統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カードまたはモデムであってよい。別の例として、通信インターフェース1518は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。ワイヤレスリンクを実装してもよい。そのような実装では、通信インターフェース1518は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁気信号、または光信号を送受信する。
【0144】
ネットワークリンク1520は、通常、1つまたは複数のネットワークを介して他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク1520は、ローカルネットワーク1522を介してホストコンピュータ1524またはインターネットサービスプロバイダ(ISP)1526によって操作されるデータ機器への接続を提供することができる。次に、ISP1526は、現在一般に「インターネット」1528と呼ばれる世界規模のパケットデータ通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク1522およびインターネット1528は両方とも、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁気信号、または光信号を使用する。コンピュータシステム1500との間でデジタルデータを搬送する、さまざまなネットワークを介した信号と、ネットワーク リンク1520上および通信インターフェース1518を介した信号は、情報を搬送する搬送波の例示的な形態である。
【0145】
コンピュータシステム1500は、ネットワーク、ネットワークリンク1520、および通信インターフェース1518を介して、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、サーバ1530は、インターネット1528、ISP1526、ローカルネットワーク1522および通信インターフェース1518を介して、アプリケーションプログラムのために要求されたコードを送信し得る。このようなダウンロードされたアプリケーションの1つは、たとえば、本明細書で説明する技術の1つまたは複数を提供し得る。受信されたコードは、受信されるとプロセッサ1504によって実行され、および/または後で実行するために記憶装置1510または他の不揮発性記憶装置に格納されてもよい。このようにして、コンピュータシステム1500は、搬送波の形でアプリケーションコードを得ることができる。
【0146】
さらなる実施形態は、後続の番号が付けられた項で論じられている。
1.構造の関心のある特性を決定するように構成された暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡であって、
少なくとも、第1照明放射ビームと第1参照放射ビームとを含む第1ビームペアと、第2照明放射ビームと第2参照放射ビームとを含む第2ビームペアとを提供するように構成された照明装置と、
少なくとも、前記構造が前記第1照明放射ビームによって照明されることから生じる、前記構造によって散乱される第1散乱放射を検出するとともに、前記構造が前記第2照明放射ビームによって照明されることから生じる、前記構造によって散乱される第2散乱放射を検出するように動作可能である結像ブランチであって、0.1より大きい、任意選択で0.8より大きい検出NAを有する結像ブランチと、
を備え、
前記照明装置は、
第1照明放射ビームおよび第1参照放射ビームが、少なくとも部分的に時間的および空間的にコヒーレントであり、
第2照明放射ビームおよび第2参照放射ビームが、少なくとも部分的に時間的および空間的にコヒーレントである、ように構成され、
前記照明装置は、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアとの間に時間的および/または空間的インコヒーレンスを与えるように構成される、暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
2.前記照明装置は、前記構造を第1方向から照明するように前記第1照明放射ビームを向かわせるとともに、前記構造を第2方向から照明するように前記第2照明放射ビームを向かわせるように動作可能であり、前記第2方向は前記第1方向とは異なる、項1に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
3.前記結像ブランチは、センサを備え、当該暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡は、前記第1散乱放射と第1参照ビームとの干渉から生じる第1干渉パターンと、前記第2散乱放射と第2参照ビームとの干渉から生じる第2干渉パターンとを含む干渉画像を前記センサ上で同時にキャプチャするように動作可能である、項1または2に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
4.前記第1干渉パターンと前記第2干渉パターンが前記センサ上で少なくとも部分的に空間的に重なるように動作可能である、項3に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
5.前記第1参照放射ビームおよび前記第2参照放射ビームが、当該暗視野デジタルホログラフィ顕微鏡の光軸に対してそれぞれ異なる方位角でそれぞれ入射するように配置されるように構成される、項3または4に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
6.前記第1参照放射ビームの前記方位角と前記第2参照放射ビームの前記方位角は、2つの前記干渉パターンが空間周波数領域で分離可能であるように十分に大きな差を含むように構成される、項5に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
7.前記第1参照放射ビームおよび前記第2参照放射ビームが、当該暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡の光軸に対してそれぞれ異なる入射角でそれぞれ入射するように配置されるように構成される、項3から6のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
8.前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像をフーリエ表現に変換することであって、前記フーリエ表現が中心帯および少なくとも一対の側波帯を含むことと、
前記中心帯および前記少なくとも一対の側波帯の少なくとも1つの側波帯から、前記第1散乱放射および前記第2散乱放射のうちの少なくとも1つの複素フィールドの少なくとも振幅を決定することと、
を実行可能なプロセッサを備える、項3から7のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
9.前記少なくとも一対の側波帯は、
散乱参照ビームペアの前記第1干渉パターンに関する第1情報を含む共役側波帯の第1ペアと、
散乱参照ビームペアの前記第2干渉パターンに関する第2情報を含む共役側波帯の第2ペアと、
を含む、項8に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
10.前記プロセッサは、
前記中心帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第1成分を計算することと、
前記第1側波帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第2成分を計算することと、
前記第2側波帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第3成分を計算することと、
前記干渉画像の前記第1成分、前記第2成分および前記第3成分から、前記第1散乱放射の第1複素フィールドの第1振幅および第1位相を決定し、前記第2散乱放射の第2複素フィールドの第2振幅および第2位相を決定することと、
を実行可能である、項9に記載の暗視野デジタル ホログラフィック顕微鏡。
11.前記第1散乱放射の前記複素フィールドの第1振幅および第1位相の決定および前記第2散乱放射の前記複素フィールドの第2振幅および第2位相の決定が、
モデル化された第1成分、モデル化された第2成分、およびモデル化された第3成分を含む、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンのモデル化された画像を得ることと、
前記干渉画像と前記モデル化画像とのマッチングを表すパフォーマンス関数を定義することと、
前記パフォーマンス関数を最適化(例えば、最小化)して、前記第1位相、前記第2位相、前記第1振幅、および前記第2振幅のうちの1つまたは複数の値を取得することと、
をさらに含むように、前記プロセッサが構成される、項10に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
12.前記プロセッサは、前記パフォーマンス関数の前記最適化がさらに、
前記第1位相に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第1位相の値をフィッティングすることと、
前記第2位相に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第2位相の値をフィッティングすることと、
前記第1振幅に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第1振幅の値をフィッティングすることと、
前記第2振幅に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第2振幅の値をフィッティングすることと、
を含むように構成される、項11に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
13.前記照明装置は、前記第1ビームペアのビームを少なくとも部分的にコヒーレントに維持するために、前記第1照明ビームと前記第1参照ビームの一方を、前記第1照明ビームと前記第1参照ビームの他方に対して調整可能に遅延させるとともに、前記第2ビームペアのビームを少なくとも部分的にコヒーレントに維持するために、前記第2照明ビームと前記第2参照ビームの一方を、前記第2照明ビームと前記第2参照ビームの他方に対して調整可能に遅延させるように動作可能なコヒーレンスマッチング構成をさらに備える、前項のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
14.前記照明装置は、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアの一方を、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアの他方に対して遅延させるように動作可能であることによって、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアとの間にインコヒーレンスを与えるように構成された時間遅延構成を備える、 項13に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
15.前記時間遅延構成は、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアの一方を、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアの他方に対して調整可能に遅延させて前記インコヒーレンスを与えるように動作可能な調整可能な時間遅延構成を含む、項14に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
16.前記照明装置は、前記第1ビームペアを提供するように動作可能な第1ブランチと、前記第2ビームペアを提供するように動作可能な第2ブランチとを含み、
前記時間遅延構成は、前記第1ブランチまたは前記第1ブランチの一方に、前記第1ブランチまたは前記第2ブランチの他方に対して遅延を与えるように動作可能な遅延線を少なくとも備え、
前記コヒーレンスマッチング構成は、前記第1参照ビームおよび前記第1照明ビームの少なくとも1つを調整可能に遅延させるように動作可能な前記第1ブランチ内の第1コヒーレンスマッチング構成と、前記第2参照ビームおよび前記第2照明ビームの少なくとも1つを調整可能に遅延させるように動作可能な第2ブランチ内の第2コヒーレンスマッチング構成とを含む、項14または15に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
17.前記照明装置は、前記第1照明ビームおよび前記第2照明ビームを提供するように動作可能な第1ブランチと、前記第1参照ビームおよび第2参照ビームを提供するように動作可能な第2ブランチとを備え、
前記コヒーレンスマッチング構成および前記時間遅延構成は、少なくとも、前記第1ブランチまたは前記第2ブランチの一方に、前記第1ブランチまたは前記第2ブランチの他方に対して調整可能な遅延を与えるように動作可能な第1調整可能遅延線と、前記第1照明ビームおよび前記第2照明ビームの少なくとも1つに調整可能な遅延を与えるように動作可能な前記第1ブランチ内の第2調整可能遅延線と、前記第1参照ビームおよび前記第2参照ビームの少なくとも1つに調整可能な遅延を与えるように動作可能な前記第2ブランチ内の第3調整可能遅延線との共同最適化を介して実装される、項14または15に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
18.前記第1照明放射ビームは、前記構造を第1入射角で照明するように構成され、前記第2照明放射ビームは、前記第1入射角とは異なる第2入射角で前記構造を照明するように構成される、前項のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
19.前記照明装置は、単一の放射源を含み、前記照明装置は、前記単一の放射源から前記第1ビームペアおよび前記第2ビームペアを生成するように構成されている、前項のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
20.前記単一の光源は、少なくとも部分的にコヒーレントな放射を放出するように構成される、項19に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
21.前記照明装置は、前記第1参照ビームおよび第2参照ビームがそれぞれ第1パワーレベルで生成され、前記第1照明ビームおよび第2照明ビームがそれぞれ第2パワーレベルで生成されるように構成され、前記第2パワーレベルは前記第1パワーレベルよりも大きい、前項のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
22.前記構造が前記第1照明放射ビームによって照明されることから生じる、前記構造によって散乱された第1散乱放射をキャプチャするとともに、前記構造が前記第2照明放射ビームによって照明されることから生じる、前記構造によって散乱された第2散乱放射をキャプチャするように動作可能な1つまたは複数の光学素子をさらに備える、前項のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
23.前記結像ブランチは、少なくとも前記第1散乱放射および前記第2散乱放射をキャプチャするように動作可能な対物レンズをさらに備える、前項のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
24.前記結像ブランチは、正味の正の倍率を含む、前項のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
25.前記照明装置は、前記構造を実質的に均一に照射するために、前記第1照明ビームおよび前記第2照明ビームがそれぞれ滑らかなプロファイルを含むように構成される、前項のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
26.リソグラフィプロセスによって基板上に形成されたターゲットの関心のある特性を決定する方法であって、
第1照明放射ビームで前記ターゲットを照明し、前記ターゲットから散乱された、結果として得られる第1散乱放射をキャプチャすることと、
第2照明放射ビームで前記ターゲットを照明し、前記ターゲットから散乱された、結果として得られる第2散乱放射をキャプチャすることと、
前記第1照明ビームおよび前記第1参照ビームを含む第1ビームペアと、前記第2照明ビームおよび前記第2参照ビームを含む第2ビームペアとの間に空間的および/または時間的インコヒーレンスを与えることであって、
前記第1ビームペアのビームが少なくとも部分的に空間的および時間的にコヒーレントであり、
前記第2ビームペアのビームが少なくとも部分的に空間的および時間的にコヒーレントであり、
前記第1ビームペアのいずれのビームも、前記第2ビームペアのいずれのビームに対しても空間的および/または時間的にインコヒーレントである、ことと、
前記第1散乱放射と第1参照放射ビームとの干渉から生じる第1干渉パターンと、前記第2散乱放射と第2参照ビームとの干渉から生じる第2干渉パターンとを同時に生成することと、を備える方法。
27.前記第1照明放射ビームを方向付けて前記ターゲットを第1入射角で照射し、前記第2照明放射ビームを方向付けて前記ターゲットを第2入射角で照射することをさらに備え、前記第1入射角は前記第2入射角とは異なる、項26に記載の方法。
28.前記第1照明放射ビームを方向付けて前記ターゲットを第1方位角で照射し、前記第2照明放射ビームを方向付けて前記ターゲットを第2方位角で照射することをさらに備え、前記第1方位角は前記第2方位角とは異なる、項26または27に記載の方法。
29.前記暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡の光軸に対してそれぞれ異なる方位角でそれぞれ入射するように、前記第1参照放射ビームおよび前記第2参照放射ビームを方向付けることをさらに備える、項26から28のいずれかに記載の方法。
30.前記第1参照放射ビームの前記方位角と前記第2参照放射ビームの前記方位角は、2つの前記干渉パターンが空間周波数領域で分離可能であるように十分に大きな差を含む、項29に記載の方法。
31.前記暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡の光軸に対してそれぞれ異なる入射角でそれぞれ入射するように、前記第1参照放射ビームおよび前記第2参照放射ビームを方向付けることをさらに備える、項29または30のいずれかに記載の方法。
32.前記第1ビームペアのビームを少なくとも部分的にコヒーレントに維持するために、前記第1照明ビームと前記第1参照ビームの一方を、前記第1照明ビームと前記第1参照ビームの他方に対して調整可能に遅延させることと、前記第2ビームペアのビームを少なくとも部分的にコヒーレントに維持するために、前記第2照明ビームと前記第2参照ビームの一方を、前記第2照明ビームと前記第2参照ビームの他方に対して調整可能に遅延させることと、をさらに備える、項26から31のいずれかに記載の方法。
33.前記第1ビームペアと前記第2ビームペアの一方を、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアの他方に対して調整可能に遅延させて、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアとの間にインコヒーレンスを与えることをさらに備える、項32に記載の方法。
34.共通の放射源から、前記第1照明放射ビームおよび前記第1参照放射ビームを含む前記第1ビームペアと、前記第2照明放射ビームおよび前記第2参照放射ビームを含む前記第2ビームペアとを生成するステップをさらに備える、項26から33ののいずれかに記載の方法。
35.前記第1参照ビームおよび第2参照ビームを第1パワーレベルに設定することと、前記第1照射ビームおよび第2照射ビームを第2パワーレベルに設定することをさらに備え、前記第2パワーレベルが前記第1パワーレベルより大きい、項26から34のいずれかに記載の方法。
36.前記ビームペア間に前記インコヒーレンスを与えるとき、前記第1ビームペアと前記第2ビームペアとの間の時間遅延をできるだけ短く維持することを備える、項26から35のいずれかに記載の方法。
37.前記第1干渉パターンと前記第2干渉パターンが少なくとも部分的に空間的に重なり合うように、前記第1干渉パターンと前記第2干渉パターンを画像化して、干渉画像を取得することを備える、項26から36のいずれかに記載の方法。
38.前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像をフーリエ表現に変換することであって、前記フーリエ表現が中心帯および少なくとも一対の側波帯を含むことと、
前記中心帯および前記少なくとも一対の側波帯のうち少なくとも1つの側波帯から、前記第1散乱放射および前記第2散乱放射のうちの少なくとも1つの複素フィールドの少なくとも振幅を決定することと、
をさらに備える、項37に記載の方法。
39.前記少なくとも一対の側波帯は、
前記第1干渉パターンに関する第1情報を含む共役側波帯の第1ペアと、
前記第2干渉パターンに関する第2情報を含む共役側波帯の第2ペアと、
を含む、項38に記載の方法。
40.前記決定するステップは、
前記中心帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第1成分を計算することと、
前記第1側波帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第2成分を計算することと、
前記第2側波帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第3成分を計算することと、
前記干渉画像の前記第1成分、前記第2成分および前記第3成分から、前記第1散乱放射の第1複素フィールドの第1振幅および第1位相を決定し、前記第2散乱放射の第2複素フィールドの第2振幅および第2位相を決定することと、
をさらに備える、項39に記載の方法。
41.前記共役側波帯の第1ペアおよび前記共役側波帯の第2ペアのそれぞれが、前記中心帯および任意の他の側波帯から分離可能である、項40に記載の方法。
42.前記第1散乱放射の前記複素フィールドの第1振幅および第1位相の決定および前記第2散乱放射の前記複素フィールドの第2振幅および第2位相の決定が、
モデル化された第1成分、モデル化された第2成分、およびモデル化された第3成分を含む、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンのモデル化された画像を得ることと、
前記干渉画像と前記モデル化画像とのマッチングを表すパフォーマンス関数を定義することと、
前記パフォーマンス関数を最適化(例えば、最小化)して、前記第1位相、前記第2位相、前記第1振幅、および前記第2振幅のうちの1つまたは複数の値を取得することと、
をさらに備える、項40または41に記載の方法。
43.前記パフォーマンス関数の前記最適化はさらに、
前記第1位相に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第1位相の値をフィッティングすることと、
前記第2位相に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第2位相の値をフィッティングすることと、
前記第1振幅に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第1振幅の値をフィッティングすることと、
前記第2振幅に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第2振幅の値をフィッティングすることと、
を備える、項42に記載の方法。
44.項1から22または項52から56のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡を備える、基板上の構造の関心のある特性を測定するための計測装置。
45.項1から25または項52から56のいずれかに記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡を備える、基板上の構造を検査するための検査装置。
46.構造を表す複素フィールドの少なくとも振幅を決定する方法であって、
第1照明放射ビームで前記構造を照明し、前記構造から散乱された、結果として得られる第1散乱放射をキャプチャすることと、
第2照明放射ビームで前記構造を照明し、前記構造から散乱された、結果として得られる第2散乱放射をキャプチャすることと、
前記第1干渉パターンと前記第2干渉パターンが少なくとも部分的に空間的に重なり合うように、前記第1散乱放射と第1参照放射ビームとの干渉から生じる第1干渉パターンと、前記第2散乱放射と第2参照放射ビームとの干渉から生じる第2干渉パターンと、を画像化して、干渉画像を取得することと、
前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像をフーリエ表現に変換することであって、前記フーリエ表現は中心帯および少なくとも一対の側波帯を含むことと、
前記中心帯および前記少なくとも一対の側波帯から、前記第1散乱放射および前記第2散乱放射のうちの少なくとも1つの複素フィールドの少なくとも振幅を決定することと、
を備える方法。
47.前記少なくとも一対の側波帯は、
前記第1干渉パターンに関する第1情報を含む共役側波帯の第1ペアと、
前記第2干渉パターンに関する第2情報を含む共役側波帯の第2ペアと、
を含む、項46に記載の方法。
48.前記決定するステップは、
前記中心帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第1成分を計算することと、
前記第1側波帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第2成分を計算することと、
前記第2側波帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第3成分を計算することと、
前記干渉画像の前記第1成分、前記第2成分および前記第3成分から、前記第1散乱放射の第1複素フィールドの第1振幅および第1位相を決定し、前記第2散乱放射の第2複素フィールドの第2振幅および第2位相を決定することと、
をさらに備える、項47に記載の方法。
49.前記共役側波帯の第1ペアおよび前記共役側波帯の第2ペアのそれぞれが、前記中心帯および任意の他の側波帯から分離可能である、項48に記載の方法。
50.前記第1散乱放射の前記複素フィールドの第1振幅および第1位相の決定および前記第2散乱放射の前記複素フィールドの第2振幅および第2位相の決定が、
モデル化された第1成分、モデル化された第2成分、およびモデル化された第3成分を含む、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンのモデル化された画像を得ることと、
前記干渉画像と前記モデル化画像とのマッチングを表すパフォーマンス関数を定義することと、
前記パフォーマンス関数を最適化(例えば、最小化)して、前記第1位相、前記第2位相、前記第1振幅、および前記第2振幅のうちの1つまたは複数の値を取得することと、
をさらに備える、項48または49に記載の方法。
51.前記パフォーマンス関数の前記最適化はさらに、
前記第1位相に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第1位相の値をフィッティングすることと、
前記第2位相に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第2位相の値をフィッティングすることと、
前記第1振幅に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第1振幅の値をフィッティングすることと、
前記第2振幅に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第2振幅の値をフィッティングすることと、
を備える、項50に記載の方法。
52.構造の関心のある特性を決定するように構成された暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡であって、
前記暗視野デジタルホログラフィ顕微鏡が、(例えば同時に)前記構造が前記第1照明放射ビームによって照明されることから生じる、前記構造によって散乱された第1散乱放射をキャプチャするとともに、前記構造が前記第2照明放射ビームによって照明されることから生じる、前記構造によって散乱される第2散乱放射をキャプチャするように動作可能であるように、少なくとも、第1照明放射ビームおよび第1参照放射ビームを含む第1ビームペアと、第2照明放射ビームおよび第2参照放射ビームを含む第2ビームペアと、を(例えば同時に)提供するように構成された照明装置と、
前記第1散乱放射と前記第1参照ビームとの干渉から生じる第1干渉パターンと、前記第2散乱放射と前記第2参照ビームとの干渉から生じる第2干渉パターンとを含む干渉画像を同時にキャプチャするように動作可能なセンサと、
前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像をフーリエ表現に変換することであって、前記フーリエ表現が中心帯および少なくとも一対の側波帯を含むことと、
前記中心帯および前記少なくとも一対の側波帯から、前記第1散乱放射および前記第2散乱放射のうちの少なくとも1つの複素フィールドの少なくとも振幅を決定することと、を動作可能なプロセッサと、
を備える、暗視野デジタルホログラフィ顕微鏡。
53.前記少なくとも一対の側波帯は、
前記第1干渉パターンに関する第1情報を含む共役側波帯の第1ペアと、
前記第2干渉パターンに関する第2情報を含む共役側波帯の第2ペアと、
を含む、項52に記載の暗視野デジタルホログラフィ顕微鏡。
54.前記プロセッサは、
前記中心帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第1成分を計算することと、
前記第1側波帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第2成分を計算することと、
前記第2側波帯を使用して、逆フーリエ変換によって、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンの前記干渉画像における第3成分を計算することと、
前記干渉画像の前記第1成分、前記第2成分および前記第3成分から、前記第1散乱放射の第1複素フィールドの第1振幅および第1位相を決定し、前記第2散乱放射の第2複素フィールドの第2振幅および第2位相を決定することと、
を動作可能である、項54に記載の暗視野デジタルホログラフィ顕微鏡。
55.前記第1散乱放射の前記複素フィールドの第1振幅および第1位相の決定および前記第2散乱放射の前記複素フィールドの第2振幅および第2位相の決定が、
モデル化された第1成分、モデル化された第2成分、およびモデル化された第3成分を含む、前記第1干渉パターンおよび前記第2干渉パターンのモデル化された画像を得ることと、
前記干渉画像と前記モデル化画像とのマッチングを表すパフォーマンス関数を定義することと、
前記パフォーマンス関数を最適化(例えば、最小化)して、前記第1位相、前記第2位相、前記第1振幅、および前記第2振幅のうちの1つまたは複数の値を取得することと、
をさらに含むように、前記プロセッサが構成される、項54に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
56.前記プロセッサは、前記パフォーマンス関数の前記最適化がさらに、
前記第1位相に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第1位相の値をフィッティングすることと、
前記第2位相に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第2位相の値をフィッティングすることと、
前記第1振幅に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第1振幅の値をフィッティングすることと、
前記第2振幅に関して前記パフォーマンス関数の導関数を取得することにより、前記第2振幅の値をフィッティングすることと、
を含むように構成される、項11に記載の暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡。
【0147】
本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特定の言及がなされ得るが、本明細書に記載されるリソグラフィ装置は、他の用途を有し得ることを理解するべきである。他の可能な用途には、統合光学システム、磁区メモリ、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどのガイダンスと検出パターンの製造が含まれる。
【0148】
本明細書では、リソグラフィ装置との関連で本発明の実施形態を具体的に参照することができるが、本発明の実施形態は、他の装置で使用することができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、またはウェハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニングデバイス)などの物体を測定または処理する任意の装置の一部を形成することができる。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。そのようなリソグラフィツールは、真空条件または周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0149】
上記では、光学リソグラフィの文脈での本発明の実施形態の使用について具体的に言及してきたが、文脈が許せば、本発明は光学リソグラフィに限定されず、その他のアプリケーション、たとえばインプリントリソグラフィでも使用することができる。
【0150】
本発明の特定の実施形態が上記で説明されたが、本発明は、説明された以外の方法で実施されてもよいことが理解されよう。上記の説明は、限定ではなく例示を意図したものである。したがって、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、記載された本発明に変更を加えることができることが当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】