IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニューフレアテクノロジーの特許一覧

特開2024-157150マーク位置計測装置、荷電粒子ビーム描画装置、及びマーク位置計測方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157150
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】マーク位置計測装置、荷電粒子ビーム描画装置、及びマーク位置計測方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20241030BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241030BHJP
   G03F 1/78 20120101ALI20241030BHJP
【FI】
H01L21/30 541K
G03F7/20 504
G03F1/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071315
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩司
【テーマコード(参考)】
2H195
5F056
【Fターム(参考)】
2H195BB10
2H195BB33
5F056AA01
5F056BA10
5F056BB10
5F056BD02
5F056BD05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】試料上に形成された複数のマークの検出信号の中から、所望のマークを高精度に特定可能な装置を提供する。
【解決手段】マーク位置計測装置は、複数のマークと交差するように複数のマークをレーザ光で走査することによってセンサにより得られるマーク毎の試料の表面の高さ位置分布を用いて、マーク毎に、走査された領域内において得られたマーク候補信号の位置を算出する位置算出部と、複数のマークの内、少なくとも1つのマークについて走査された方向に複数のマーク候補信号が得られた場合に、複数のマークから1つずつ選択されたマーク候補信号同士を組み合わせた複数の組み合わせを作成する組み合わせ作成部と、複数の組み合わせの内、同じ組み合わせのマーク候補信号の相対位置情報を所定の基準値と比較することにより、複数の組み合わせの中から複数のマークのマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択する選択部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマークが形成された試料を載置する移動可能なステージと、
レーザ光で前記試料を照射する照射器と前記レーザ光の照射に伴う前記試料からの反射光を受光し、前記試料の表面の高さ位置分布を出力する受光器とを有するセンサと、
前記複数のマークと交差するように前記複数のマークを前記レーザ光で走査することによって前記センサにより得られるマーク毎の前記試料の表面の高さ位置分布を用いて、前記マーク毎に、走査された領域内において得られたマーク候補信号の位置を算出する位置算出部と、
前記複数のマークの内、少なくとも1つのマークについて走査された方向に複数のマーク候補信号が得られた場合に、前記複数のマークから1つずつ選択されたマーク候補信号同士を組み合わせた複数の組み合わせを作成する組み合わせ作成部と、
前記複数の組み合わせの内、同じ組み合わせのマーク候補信号の相対位置情報を所定の基準値と比較することにより、前記複数の組み合わせの中から前記複数のマークのマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択する選択部と、
を備えたことを特徴とするマーク位置計測装置。
【請求項2】
前記相対位置情報として、距離を用いることを特徴とする請求項1記載のマーク位置計測装置。
【請求項3】
前記相対位置情報として、角度を用いることを特徴とする請求項1記載のマーク位置計測装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記複数の組み合わせに対して前記相対位置情報として距離と角度との少なくとも一方が前記基準値により近い組み合わせから順に優先度を付け、前記複数の組み合わせのうち、優先度の高い組み合わせから選択することを特徴とする請求項1記載のマーク位置計測装置。
【請求項5】
前記基準値として設計値を用いることを特徴とする請求項1記載のマーク位置計測装置。
【請求項6】
前記複数のマークとして2つ以上のマークについて走査し、
前記選択部は、前記相対位置情報として距離を比較することにより前記複数の組み合わせの中から前記2つのマークのマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のマーク位置計測装置。
【請求項7】
前記複数のマークとして3つ以上のマークについて走査し、
前記選択部は、前記相対位置情報として距離と角度の両方を比較することにより前記複数の組み合わせの中から前記3つ以上のマークのマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のマーク位置計測装置。
【請求項8】
前記位置算出部は、正規分布関数を用いて高さ位置分布の一部であるマーク候補信号を近似して得られる正規分布のピーク位置を当該マーク候補信号の位置として算出し、
前記位置算出部は、過去に同じマークの構造が形成された試料で使用された正規分布と同じパラメータを用いた正規分布を用いて前記複数のマーク候補信号を近似し、
前記組み合わせ作成部は、分布形状が合わず近似できなかったマーク候補信号を除いて前記複数の組み合わせを作成することを特徴とする請求項1記載のマーク位置計測装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のマーク位置計測装置と、
荷電粒子ビームを用いて、前記ステージ上の前記試料にパターンを描画する描画機構と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項10】
ステージ上に載置された複数のマークが形成された試料を移動させながら、照射器と受光部とを有するセンサを用いて、前記照射器によりレーザ光で前記試料を照射し、前記受光部により前記レーザ光の照射に伴う前記試料からの反射光を受光し、前記試料の表面の高さ位置分布を出力する工程と、
前記複数のマークと交差するように前記複数のマークを前記レーザ光で走査することによって前記センサにより得られるマーク毎の前記試料の表面の高さ位置分布を用いて、前記マーク毎に、走査された領域内において得られたマーク候補信号の位置を算出する工程と、
前記複数のマークのうち、少なくとも1つのマークについて走査された方向に複数のマーク候補信号が得られた場合に、前記複数のマークから1つずつ選択されたマーク候補信号同士を組み合わせた複数の組み合わせを作成する工程と、
前記複数の組み合わせの内、同じ組み合わせのマーク候補信号の相対位置情報を所定の基準値と比較することにより、前記複数の組み合わせの中から前記複数のマークのマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択し、選択された組み合わせを構成する各マーク候補信号の位置をマーク信号の位置として出力する工程と、
を備えたことを特徴とするマーク位置計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーク位置計測装置、荷電粒子ビーム描画装置、及びマーク位置計測方法に係り、例えば、描画対象試料のアライメントマークの位置を計測する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は半導体製造プロセスのなかでも唯一パターンを生成する極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。ここで、電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しており、ウェハ等へ電子線を使って描画することが行われている。
【0003】
例えば、マルチビームを使った描画装置がある。1本の電子ビームで描画する場合に比べて、マルチビームを用いることで一度に多くのビームを照射できるのでスループットを大幅に向上させることができる。かかるマルチビーム方式の描画装置では、例えば、電子銃から放出された電子ビームを複数の穴を持ったマスクに通してマルチビームを形成し、各々、ブランキング制御され、遮蔽されなかった各ビームが光学系で縮小され、偏向器で偏向され試料上の所望の位置へと照射される。
【0004】
ここで、マルチビーム描画を含む電子ビーム描画では、描画対象基板をステージ上に配置した際に、基板上に形成されるアライメントマークを電子ビームで検出する。そして、検出されたアライメントマークを基準にして、描画領域の位置合わせを行う。
電子ビーム描画において、マスク上の描画位置を高精度で特定して描画する場合がある。例えば、位相シフトマスクにおいて、多層でマスクを作成する場合、1層目と2層目のパターンの相対位置を合わせる必要がある。このマスクを使用したリソグラフィでの描画性能に影響を及ぼすため各層間のパターンの相対位置は数nm程度の高い精度で作成する必要がある。
また、EUV用のマスクでは、事前に欠陥検査した基板を使用し、その欠陥の座標を避けてパターン描画する。
そこで、マスク基板上に設けたマークを計測し、それを基準として位置合わせをして描画を行い、描画位置を高精度に特定している。
【0005】
昨今のアライメントマークは、従来のアライメントマークに比べて微細な線幅で形成される。電子ビームでマークを照射した際の電子収量が少なく、コントラストが得られにくい。その結果、S/N比が悪く、基板上のアライメントマークを見つけにくくなっているといった問題があった。この問題の対策として、コントラストを得るために電子ビームの照射量を高くすることが検討されている。しかしながら、かかる手法では、広範囲にわたって照射量の高い電子ビームがレジストに照射されることにより、レジストが飛散し、チャンバ内を汚染するといった問題がある。
【0006】
また、アライメントマークを見つける為のいくつかの方式の内、マーク上をレーザ光でスキャンし、反射光を検出し、マークで発生する反射光の変化からマーク位置を算出する方式が用いられているが、かかる方式では、マーク付近には、マーク以外の構造、レジストムラ、或いはノイズ等の影響により複数のマーク信号が計測される場合があるため、複数のマーク信号のうち、どれが真のマークの信号なのか判断しにくいといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-267758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一態様は、試料上に形成された複数のマークの検出信号の中から、所望のマークを高精度に特定可能な装置および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様のマーク位置計測装置は、
複数のマークが形成された試料を載置する移動可能なステージと、
レーザ光で試料を照射する照射器とレーザ光の照射に伴う試料からの反射光を受光し、試料の表面の高さ位置分布を出力する受光器とを有するセンサと、
複数のマークと交差するように複数のマークをレーザ光で走査することによってセンサにより得られるマーク毎の試料の表面の高さ位置分布を用いて、マーク毎に、走査された領域内において得られたマーク候補信号の位置を算出する位置算出部と、
複数のマークの内、少なくとも1つのマークについて走査された方向に複数のマーク候補信号が得られた場合に、複数のマークから1つずつ選択されたマーク候補信号同士を組み合わせた複数の組み合わせを作成する組み合わせ作成部と、
複数の組み合わせの内、同じ組み合わせのマーク候補信号の相対位置情報を所定の基準値と比較することにより、複数の組み合わせの中から複数のマークのマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択する選択部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、相対位置情報として、距離を用いると好適である。
【0011】
また、相対位置情報として、角度を用いると好適である。
【0012】
また、選択部は、複数の組み合わせに対して相対位置情報として距離と角度との少なくとも一方が基準値により近い組み合わせから順に優先度を付け、複数の組み合わせのうち、優先度の高い組み合わせから選択すると好適である。
【0013】
また、基準値として設計値を用いると好適である。
【0014】
また、複数のマークとして2つのマークについて走査し、
選択部は、相対位置情報として距離を比較することにより複数の組み合わせの中から2つのマークのマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択すると好適である。
【0015】
或いは、複数のマークとして3つ以上のマークについて走査し、
選択部は、相対位置情報として距離と角度の両方を比較することにより複数の組み合わせの中から3つ以上のマークのマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択すると好適である。
【0016】
また、位置算出部は、正規分布関数を用いて高さ位置分布の一部であるマーク候補信号を近似して得られる正規分布のピーク位置を当該マーク候補信号の位置として算出し、
位置算出部は、過去に同じマークの構造が形成された試料で使用された正規分布と同じパラメータを用いた正規分布を用いて複数のマーク候補信号を近似し、
組み合わせ作成部は、分布形状が合わず近似できなかったマーク候補信号を除いて複数の組み合わせを作成すると好適である。
【0017】
本発明の一態様の荷電粒子ビーム描画装置は、
上述したマーク位置計測装置と、
荷電粒子ビームを用いて、ステージ上の試料にパターンを描画する描画機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様のマーク位置計測方法は、
ステージ上に載置された複数のマークが形成された試料を移動させながら、照射器と受光部とを有するセンサを用いて、照射器によりレーザ光で試料を照射し、受光部によりレーザ光の照射に伴う試料からの反射光を受光し、試料の表面の高さ位置分布を出力する工程と、
複数のマークと交差するように複数のマークをレーザ光で走査することによってセンサにより得られるマーク毎の試料の表面の高さ位置分布を用いて、マーク毎に、走査された領域内において得られたマーク候補信号の位置を算出する工程と、
複数のマークのうち、少なくとも1つのマークについて走査された方向に複数のマーク候補信号が得られた場合に、複数のマークから1つずつ選択されたマーク候補信号同士を組み合わせた複数の組み合わせを作成する工程と、
複数の組み合わせの内、同じ組み合わせのマーク候補信号の相対位置情報を所定の基準値と比較することにより、複数の組み合わせの中から複数のマークのマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択し、選択された組み合わせを構成する各マーク候補信号の位置をマーク信号の位置として出力する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、試料上に形成された複数のマークの検出信号の中から、所望のマークを高精度に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。
図2】実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。
図3】実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構の構成を示す断面図である。
図4】実施の形態1における試料の構成の一例を示す上面図である。
図5】実施の形態1におけるアライメントマークの構成の一例を示す断面図である。
図6】実施の形態1におけるアライメントマークの構成の他の一例を示す断面図である。
図7】実施の形態1におけるマーク付近の高さ位置分布の一例を示す図である。
図8】実施の形態1における凹凸マーク以外の凹凸構造の一例を示す図である。
図9】実施の形態1における凹凸マーク以外の凹凸構造の他の一例を示す図である。
図10】実施の形態1における描画方法の要部工程の一例を示すフローチャート図である。
図11】実施の形態1におけるマークラフサーチの仕方を説明するための図である。
図12】実施の形態1におけるzセンサの測定原理を説明するための図である。
図13】実施の形態1におけるzセンサで使用されるレーザ光の強度分布の一例を示す図である。
図14】実施の形態1におけるzセンサでアライメントマークを走査する場合の照射光の状態の一例を示す断面図である。
図15】実施の形態1におけるzセンサでアライメントマークを走査した場合の反射光の状態の一例を示す断面図である。
図16】実施の形態1の変形例におけるマーク位置計測装置の一例を示す図である。
図17】実施の形態1における凹凸マークの高さ位置分布の一例を示す図である。
図18】実施の形態1における高さ位置分布の一例を示す図である。
図19】実施の形態1におけるマーク候補信号の組み合わせの一例を示す図である。
図20】実施の形態1における試料に2つのアライメントマークが配置される場合の一例を示す図である。
図21】実施の形態1における試料に3つ以上のアライメントマークが配置される場合の一例を示す図である。
図22】実施の形態1における組み合わせ優先度を示すテーブルの一例を示す図である。
図23】実施の形態1における描画動作の一例を説明するための概念図である。
図24】実施の形態1におけるマルチビームの照射領域と描画対象画素との一例を示す図である。
図25】実施の形態1におけるマルチビーム描画動作の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。また、以下、マルチビームを用いた描画装置について説明するが、これに限るものではない。シングルビームを用いた描画装置であっても構わない。例えば、可変成形(VSB)式の描画装置に適用することができる。
【0022】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。図1において、描画装置100は、描画機構150と制御系回路160を備えている。描画装置100は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置の一例であると共に、マルチ荷電粒子ビーム露光装置の一例である。描画機構150は、電子鏡筒102(電子ビームカラム)と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、ブランキングアパーチャアレイ機構204、縮小レンズ205、制限アパーチャ基板206、対物レンズ207、偏向器208、偏向器209、及び検出器226が配置されている。
【0023】
描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時(露光時)には描画対象基板となるマスク等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスク、或いは、半導体装置が製造される半導体基板(シリコンウェハ)等が含まれる。また、試料101には、レジストが塗布された、まだ何も描画されていないマスクブランクスが含まれる。試料101上には、後述する凹面と凸面とが同じ材料で構成される複数のアライメントマーク(凹凸マーク)が形成される。
【0024】
また、XYステージ105上には、さらに、XYステージ105の位置測定用のミラー210が配置される。
【0025】
また、描画室103上には、zセンサ220(センサの一例)が配置される。zセンサ220は、例えば可視光のレーザ光を発生する照射器222と、レーザ光の照射に伴う対象物からの反射光を受光する受光器224とを有する。
照射器222は、描画室103内のXYステージ105上に配置された試料101の表面にレーザ光を斜入射させる。これにより、照射器222は、レーザ光で試料101を照射する。照射器222から発生されたレーザ光は、正規分布の光強度分布を有する。また、照射器222から発生されたレーザ光は、試料101上に形成されるアライメントマークの幅サイズよりも大きい径サイズを有する。これは、射出時の光線径、導光する光学素子起因であると共に、試料に斜入射することにより、入射方向に広がる影響が大きい。例えば、試料101面上で10~300μmの径サイズのレーザ光が用いられる。例えば、試料101面上で200μm程度の径サイズのレーザ光が用いられると好適である。
受光器224は、レーザ光の照射に伴う試料101からの反射光を受光し、試料101の表面の高さ情報を出力する。受光器224として、例えば光位置センサが用いられる。受光器224は、反射光を受光して受光面上での受光位置のずれから試料101面の高さ位置を測定し、出力する。
【0026】
制御系回路160は、制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、デジタル・アナログ変換(DAC)アンプユニット132,134、検出回路135、レンズ制御回路136、ステージ制御機構138、ステージ位置測定器139及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142を有している。制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、検出回路135、レンズ制御回路136、ステージ制御機構138、ステージ位置測定器139及び記憶装置140,142は、図示しないバスを介して互いに接続されている。偏向制御回路130には、DACアンプユニット132,134及びブランキングアパーチャアレイ機構204が接続されている。偏向器209は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ132を介して偏向制御回路130により制御される。偏向器208は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ134を介して偏向制御回路130により制御される。照明レンズ202、縮小レンズ205、及び対物レンズ207といった例えば電磁レンズ群は、レンズ制御回路136により制御される。検出器226は、検出回路135に接続される。
【0027】
XYステージ105の位置はステージ制御機構138によって制御される図示しない各軸のモータの駆動によって制御される。ステージ位置測定器139は、ミラー210からの反射光を受光することによって、レーザ干渉法の原理でXYステージ105の位置を測長する。
【0028】
制御計算機110内には、高さ位置分布算出部50、マーク領域特定部52、高さ位置分布算出部54、マーク候補信号位置算出部56、組み合わせ作成部58、相対位置情報算出部60、指標算出部64、選択部66、マーク位置算出部68、判定部69、ショットデータ生成部70、データ加工部72、転送処理部74、及び描画制御部76が配置される。高さ位置分布算出部50、マーク領域特定部52、高さ位置分布算出部54、マーク候補信号位置算出部56、組み合わせ作成部58、相対位置情報算出部60、指標算出部64、選択部66、マーク位置算出部68、判定部69、ショットデータ生成部70、データ加工部72、転送処理部74、及び描画制御部76といった各「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路は、例えば、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置を含む。各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いても良いし、或いは異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。高さ位置分布算出部50、マーク領域特定部52、高さ位置分布算出部54、マーク候補信号位置算出部56、組み合わせ作成部58、相対位置情報算出部60、指標算出部64、選択部66、マーク位置算出部68、判定部69、ショットデータ生成部70、データ加工部72、転送処理部74、及び描画制御部76に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
【0029】
XYステージ105、zセンサ220、偏向器209、検出器226、検出回路135、高さ位置分布算出部50、マーク領域特定部52、高さ位置分布算出部54、マーク候補信号位置算出部56、組み合わせ作成部58、相対位置情報算出部60、指標算出部64、選択部66、マーク位置算出部68、及び判定部69等は、描画装置100の構成としてだけではなく、実施の形態1におけるマーク位置計測装置の構成としても用いられる。
【0030】
描画装置100の描画動作は、描画制御部76によって制御される。また、各ショットの照射時間データの偏向制御回路130への転送処理は、転送処理部74によって制御される。
【0031】
また、描画装置100の外部から描画データ(チップデータ)が入力され、記憶装置140に格納される。チップデータには、チップパターンを構成する複数の図形パターンの情報が定義される。具体的には、図形パターン毎に、例えば、図形コード、座標、及びサイズ等が定義される。
【0032】
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
【0033】
図2は、実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。図2において、成形アパーチャアレイ基板203には、縦(y方向)p列×横(x方向)q列(p,q≧2)の穴(開口部)22が所定の配列ピッチでマトリクス状に形成されている。図2の例では、例えば、縦横(x,y方向)に512×512列の穴22が形成される場合を示している。穴22の数は、これに限るものではない。例えば、32×32列の穴22が形成される場合であっても構わない。各穴22は、共に同じ寸法形状の矩形で形成される。或いは、同じ直径の円形であっても構わない。これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、マルチビーム20が形成されることになる。言い換えれば、成形アパーチャアレイ基板203は、マルチビーム20を形成し、放出する。成形アパーチャアレイ基板203は、マルチビーム20の放出源の一例となる。
【0034】
図3は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構の構成を示す断面図である。ブランキングアパーチャアレイ機構204は、図3に示すように、支持台33上にシリコン等からなる半導体基板を用いたブランキングアパーチャアレイ基板31が配置される。ブランキングアパーチャアレイ基板31の中央部のメンブレン領域330には、図2に示した成形アパーチャアレイ基板203の各穴22に対応する位置にマルチビーム20のそれぞれのビームの通過用の通過孔25(開口部)が開口される。そして、複数の通過孔25のうち対応する通過孔25を挟んで対向する位置に制御電極24と対向電極26の組(ブランカー:ブランキング偏向器)がそれぞれ配置される。また、各通過孔25の近傍のブランキングアパーチャアレイ基板31内部には、各通過孔25用の制御電極24に偏向電圧を印加する制御回路41(ロジック回路)が配置される。各ビーム用の対向電極26は、グランド接続される。
【0035】
制御回路41内には、図示しないアンプ(スイッチング回路の一例)が配置される。アンプの一例として、スイッチング回路となるCMOS(Complementary MOS)インバータ回路が配置される。CMOSインバータ回路の入力(IN)には、閾値電圧よりも低くなるL(low)電位(例えばグランド電位)と、閾値電圧以上となるH(high)電位(例えば、1.5V)とのいずれかが制御信号として印加される。実施の形態1では、CMOSインバータ回路の入力(IN)にL電位が印加される状態では、制御回路41に印加されるCMOSインバータ回路の出力(OUT)は正電位(Vdd)となり、対向電極26のグランド電位との電位差による電界により対応ビームを偏向し、制限アパーチャ基板206で遮蔽することでビームOFFになるように制御する。一方、CMOSインバータ回路の入力(IN)にH電位が印加される状態(アクティブ状態)では、CMOSインバータ回路の出力(OUT)はグランド電位となり、対向電極26のグランド電位との電位差が無くなり対応ビームを偏向しないので制限アパーチャ基板206を通過することでビームONになるように制御する。かかる偏向によってブランキング制御される。
【0036】
次に、描画機構150の動作の具体例について説明する。電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202によりほぼ垂直に成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、矩形の複数の穴22(開口部)が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、例えば矩形形状のマルチビーム(複数の電子ビーム)20が形成される。かかるマルチビーム20は、ブランキングアパーチャアレイ機構204のそれぞれ対応するブランカー内を通過する。かかるブランカーは、それぞれ、設定された描画時間(照射時間)の間、ビームがON状態になるように個別に通過するビームをブランキング制御する。
【0037】
ブランキングアパーチャアレイ機構204を通過したマルチビーム20は、縮小レンズ205によって、縮小され、制限アパーチャ基板206に形成された中心の穴に向かって進む。ここで、ブランキングアパーチャアレイ機構204のブランカーによって偏向された電子ビームは、制限アパーチャ基板206の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ基板206によって遮蔽される。一方、ブランキングアパーチャアレイ機構204のブランカーによって偏向されなかった電子ビームは、図1に示すように制限アパーチャ基板206の中心の穴を通過する。このように、制限アパーチャ基板206は、ブランキングアパーチャアレイ機構204のブランカーによってビームOFFの状態になるように偏向された各ビームを遮蔽する。そして、ビームONになってからビームOFFになるまでに形成された、制限アパーチャ基板206を通過したビームにより、1回分のショットの各ビームが形成される。制限アパーチャ基板206を通過したマルチビーム20は、対物レンズ207により焦点が合わされ、所望の縮小率のパターン像となり、偏向器208及び偏向器209によって、制限アパーチャ基板206を通過したマルチビーム20全体が同方向にまとめて偏向され、各ビームの試料101上のそれぞれの照射位置に照射される。また、例えばXYステージ105が連続移動している時、ビームの照射位置がXYステージ105の移動に追従するように偏向器208によってトラッキング制御が行われる。一度に照射されるマルチビーム20は、理想的には成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22の配列ピッチに上述した所望の縮小率を乗じたピッチで並ぶことになる。
【0038】
ここで、マルチビーム描画の他、例えばVSB方式のシングルビーム描画を含む電子ビーム描画では、描画対象基板をステージ上に配置した場合に、試料上に形成されるアライメントマークを検出する。そして、検出されたアライメントマークを基準にして、描画領域の位置合わせを行う。昨今のアライメントマークは、従来のアライメントマークに比べて微細な線幅で形成される。
【0039】
図4は、実施の形態1における試料の構成の一例を示す上面図である。図4において、試料101上には、中央部にある所望のパターンを描画するための描画領域30と、描画領域30の外部であって、例えば、試料101の4隅に、それぞれアライメントマーク領域10が設定される。図4の例では、4つのアライメントマーク領域10が設定される。各アライメントマーク領域10内には、マークサイズが大きい大マーク12(アライメントマーク及び凹凸マークの一例)とマークサイズが小さい小マーク14(アライメントマーク及び凹凸マークの他の一例)とが形成される。
【0040】
図4の例では、例えば11000μm角のアライメントマーク領域10内の対角位置に大マーク12と小マーク14とが形成される場合を示している。大マーク12と小マーク14として、共に例えば十字パターンが用いられる。大マーク12と小マーク14は、共に、凹面と凸面とが同じ材料で構成される凹凸構造の凹凸マークとして形成される。十字パターンが凹部となり、十字パターンの周囲が凸部となる。よって、試料101には、かかる凹凸マークが形成される。
【0041】
大マーク12は、マークサイズが4000μm程度と大きく形成され、仮のアライメントマークとして、主に、例えば、試料101面上の広範囲の領域からアライメントマーク領域10を探すために用いられる。小マーク14は、マークサイズが400μm程度と小さく形成され、位置の基準となるアライメントマークとして用いられる。大マーク12を位置の基準となるアライメントマークとして用いても構わない。また、試料101面上の広範囲の領域からアライメントマーク領域10を探すために用いられるマークとして、小マーク14を用いても構わない。
【0042】
大マーク12と小マーク14は、例えば、同じ線幅のパターンを用いる。大マーク12と小マーク14は、共に、2~200μmの線幅のx方向に延びるラインパターンとx方向に延びるラインパターンと同じ線幅サイズのy方向に延びるラインパターンとを組み合わせた十字パターンにより形成される。大マーク12と小マーク14は、共に、凹部の線幅が例えば、4~5μmで形成される。具体的な構成を以下に説明する。
【0043】
図5は、実施の形態1におけるアライメントマークの構成の一例を示す断面図である。図5の例では、露光用マスクを試料101とする場合を示している。かかる試料101では、図5に示すように、例えばガラス基板80上にクロム(Cr)等の遮光膜82が形成される。そして、遮光膜82に凹みを形成し、かかる凹み部分をアライメントマークの線幅として用いる。よって、凹部分の表面と凸部分の表面とが同じ遮光膜82になる。このように、アライメントマークとなる小マーク14は、同一材料の凹凸構造により形成される。大マーク12についても同様に同一材料の凹凸構造により形成される。そして、これらのマークが構成された試料101(マスク)に、レジストを塗布して描画装置100内に搬送され、マーク計測を行う。
【0044】
図6は、実施の形態1におけるアライメントマークの構成の他の一例を示す断面図である。図6の例では、EUV露光用マスクを試料101とする場合を示している。かかる試料101では、低熱膨張ガラス基板84上に、例えばモリブデン(Mo)とシリコン(Si)が多層に積層された多層膜86が形成される。そして、多層膜86の一部に凹みが形成され、かかる凹み部分を含む多層膜86上に、例えばCrやタンタル(Ta)を主成分とする吸収体膜88(反射防止膜)が形成される。そして、多層膜86の凹み部分上に形成される吸収体膜88の凹み部分をアライメントマークの線幅として用いる。よって、凹部分の表面と凸部分の表面とが同じ吸収体膜88になる。このように、アライメントマークとなる小マーク14は、同一材料の凹凸構造により形成される。大マーク12についても同様に同一材料の凹凸構造により形成される。そして、これらのマークが構成された試料101(マスク)に、レジストを塗布して描画装置100内に搬送され、マーク計測を行う。
【0045】
上述した図5図6ではマーク部が凹になる例を挙げ、以下の処理もこれに伴い凹型の信号処理として説明している。しかし、マーク部が凸になる場合がありうる。その場合は、出力信号が凸型になるだけで、一連の処理は同じである。
【0046】
従来、試料面101上のアライメントマークを電子ビームで探索し、そして、電子ビームでアライメントマークの位置を測定していた。しかしながら、同一材料の凹凸構造によるマークでは、電子ビームでマーク上を走査した場合の電子収量の差が少なく、コントラストが得られにくい。その結果、S/N比が小さく、試料101上のアライメントマークを見つけにくいといった問題があった。これに対して、コントラストを得るために電子ビームの照射量を高くすることが検討されている。しかしながら、かかる手法では、広範囲にわたって照射量の高い電子ビームでレジストが照射されることにより、レジストが飛散し、チャンバ内を汚染するといった問題がある。そこで、実施の形態1では、まずはレジストの飛散が生じない、或いは無視できる程度のレーザ光で試料101面の広範囲の領域からアライメントマークを探し、その中心位置を測定する。そして、中心位置が特定された後に電子ビームによりアライメントマークの中心位置をレーザ光での測定値よりも高精度に測定する。
【0047】
図7は、実施の形態1におけるマーク付近の高さ位置分布の一例を示す図である。
図8は、実施の形態1における凹凸マーク以外の凹凸構造の一例を示す図である。
図9は、実施の形態1における凹凸マーク以外の凹凸構造の他の一例を示す図である。
図7において、縦軸に高さ位置を示す。横軸に表面上の位置を示す。アライメントマークとなる小マーク14(或いは大マーク12)は、凹凸構造のうち、凹部に中心がある。よって、小マーク14(或いは大マーク12)の位置は高さ位置分布のうち、凹部の位置に存在することになる。しかし、図7の例では、かかる凹部を示す複数の凹凸信号が検出されている(矢印部)。これは、凹凸マーク以外の凹凸構造やノイズの影響による。凹凸マーク以外の凹凸構造として、例えば、図8に示すように、EUV露光用マスクの多層膜86に位相欠陥が生じている場合が挙げられる。かかる場合、位相欠陥上の表面には凹凸面が形成される。その他にも、例えば、図9に示すように、試料101表面に塗布されたレジスト膜83に塗布ムラが生じている場合が挙げられる。そのため、高さ位置分布に生じた複数の凹凸信号のうち、どれが小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)の信号なのか判断が困難になるといった問題がある。
【0048】
なお、マーク部が凸になる場合は、出力信号が凸型になる。その場合、凸部を示す複数の凹凸信号が検出される。よって、実施の形態1では、凹凸信号とは、マーク部が凹になる場合は、凹部を示す測定信号をいう。また、凹凸信号とは、マーク部が凸になる場合は、凸部を示す測定信号をいう。
【0049】
そこで、実施の形態1では、複数のアライメントマーク(凹凸マーク)を走査して、各アライメントマークのうち凹部を示す複数の凹凸信号を計測した場合に、他のアライメントマークの凹部を示す凹凸信号との関係を用いて、真のアライメントマークを特定する。以下、具体的な動作について説明する。
【0050】
図10は、実施の形態1における描画方法の要部工程の一例を示すフローチャート図である。図10において、実施の形態1における描画方法は、マーク探索工程(S102)と、マークラフサーチ工程(S104)と、高さ位置分布算出工程(S106)と、マーク候補信号位置算出工程(S108)と、組み合わせ作成工程(S110)と、相対位置情報(距離/角度)算出工程(S112)と、マーク選択(ラフ検出)工程(S114)と、マークスキャン工程(S120)と、マーク位置算出(ファイン検出)工程(S122)と、判定工程(S126)と、ショットデータ生成工程(S130)と、データ加工工程(S132)と、描画工程(S140)と、いった各工程が実施される。
描画に必要なマスク位置精度によっては、本件のマーク選択(ラフ検出)工程(S114)からショットデータ生成(S130)に進んでも良い。
【0051】
マーク探索工程(S102)として、zセンサ220を用いて、試料101上の広範囲の領域から大マーク12を探索する。試料101上のアライメントマーク領域10の位置は設計上決められている。しかしながら、描画室103内に搬入され、XYステージ105上に載置された試料101とXYステージ105との相対的な位置関係が設計上の位置関係に完全一致するとは限らない。例えば、試料101の配置ずれが生じ得る。そのため、設計上あるべき位置に大マーク12が存在しない場合が起こり得る。そこで、設計上の大マーク12の位置を元にして、実際の大マーク12を探索する。具体的には、zセンサ220からのレーザ光で大マーク12が照射される設計上の位置にXYステージ105を移動させる。その位置を基準にして、かかる基準の位置からレーザ光の照射位置が十分な距離だけ例えば-x方向に離れた位置からXYステージ105を例えば-x方向に所定のピッチで移動させる。これにより複数の測定位置で試料101の高さ位置を測定する。これにより相対的に試料面上のx方向の複数の測定位置で高さ位置が測定できる。測定された高さ位置情報は、制御計算機110に出力される。なお、大マーク12が照射される設計上の位置にXYステージ105を移動させる以外に、照射器222と受光器224を連動的に移動させ、レーザ光のビームを試料101上の表面に対して照射しても良い、又は、照射器222からレーザ光のビームの照射方向を変えるとともに、受光器224の受光位置も連動させて、レーザ光のビームを試料101上の表面を照射しても良い。
【0052】
高さ位置分布算出部54は、測定された高さ位置情報を入力し、高さ位置分布を算出する。そして、マーク領域特定部52は、高さ位置が周囲よりも低くなる位置を探索し、かかる位置をアライメントマーク領域10と特定する。zセンサ220から得られる高さ位置分布についての詳細は後述する。
【0053】
マークラフサーチ工程(S104)として、XYステージ105上に載置された試料101を移動させながら、zセンサ220を用いて、特定されたアライメントマーク領域10内の小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)を交差するようにレーザ光で走査して得られる、試料101の表面の高さ位置分布を測定する。アライメントマーク領域10が試料101の4隅にそれぞれあれば、4隅で特定されたアライメントマーク領域10について、それぞれ小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)に対するマークラフサーチ工程(S104)を行う。
【0054】
図11は、実施の形態1におけるマークラフサーチの仕方を説明するための図である。図11に示すように、小マーク14は、x方向に延びるラインパターンとy方向に延びるラインパターンを十字状に交差させることにより形成される。そこで、図11の紙面上、小マーク14のラインパターンの位置を測定する。ラインパターンが延びる方向と直交する方向を計測方向として、計測方向に走査する。例えば、レーザ光のビーム径サイズの2倍の距離を走査する。図11の例では、y方向に延びるラインパターンについてx方向に走査する場合と、x方向に延びるラインパターンについてy方向に走査する場合を示している。具体的にはXYステージ105を移動させることによりzセンサ220からのレーザ光の試料101面上での照射位置を複数の測定位置に順次移動させる。場所依存などによるノイズ信号が多い場合は計測方向に直交する非計測方向の複数の場所で繰り返し計算し平均化することで、ノイズ成分を平均化する、もしくは打ち消す。例えば先に記載したy方向に延びるラインパターンの計測では、x方向に走査計測した後、y方向にステップし、x方向に走査計測をする工程を繰り返す。マークラフサーチ工程(S104)では、x方向およびy方向に走査する際、図11に示すように、対象とするマーク(ここでは、例えば、小マーク14)のサイズよりも大きい走査範囲で走査すると好適である。
【0055】
図12は、実施の形態1におけるzセンサの測定原理を説明するための図である。レーザ光8が高さZ1で反射した反射光9が受光器で受光される反射光9の重心位置の受光位置1と、同じレーザ光8が高さZ2で反射した反射光9が受光器で受光される反射光9の重心位置の受光位置2とでは、受光位置が変化する。かかる受光位置に高さ変換係数を乗じることで試料101面上の高さ位置を算出できる。
【0056】
図13は、実施の形態1におけるzセンサで使用されるレーザ光の強度分布の一例を示す図である。図13に示すように、実施の形態1におけるzセンサ220で使用されるレーザ光は、正規分布の光強度分布を有する。言い換えれば、レーザ光は、ビームの中心ほど強度が大きく、放射状に外側に向かうほど強度が小さくなる。レーザ光として、例えば、可視光を用いると好適である。
【0057】
図14は、実施の形態1におけるzセンサでアライメントマークを走査する場合の照射光の状態の一例を示す断面図である。
図15は、実施の形態1におけるzセンサでアライメントマークを走査した場合の反射光の状態の一例を示す断面図である。
大マーク12及び小マーク14の線幅の微細化に伴い、zセンサ220で使用されるレーザ光8は、大マーク12(凹凸マーク)及び小マーク14(凹凸マーク)の幅サイズ(線幅サイズ)よりも大きい径サイズが用いられる。試料101面上で、例えば、10μm~300μmのビーム径で試料101面に照射される。試料101面上で、例えば、200μmのビーム径で試料101面に照射される。zセンサ220の照射器222は、かかるレーザ光8を試料101の表面に斜入射させる。そのため、図14に示すように、線幅Wの小マーク14(或いは大マーク12)を含む幅Sの広い領域がレーザ光8で同時に照射される。そして、受光器224では、レーザ光8の照射に伴う試料101からの反射光9を受光する。この際、受光器224は、図15に示すように、線幅Wの小マーク14(或いは大マーク12)を含む幅Sの広い領域からの反射光9を同時に受光する。反射光9には、図15に示すように、小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)の凹部の底面の高さ情報を持った一部の光(点線)が混ざっている。そして、受光器224は、試料101の表面の高さ情報を出力する。
【0058】
高さ位置分布算出工程(S106)として、高さ位置分布算出部54は、測定された高さ位置情報を入力し、高さ位置分布を算出する。試料101の表面の高さ位置分布は、図11に示したように、レーザ光8で小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)を交差するように走査して得られる。マークラフサーチ工程(S104)によって、図11の紙面上、小マーク14(或いは大マーク12)の上下左右の各位置でラインパターンの位置が測定されている。その際、ラインパターンが延びる方向(非計測方向)に位置をずらしながら多段に計測されるように繰り返しているので、多段の高さ位置情報が受光器224から出力されている。そこで、高さ位置分布算出部50は、多段で計測された計測結果を非計測方向に平均化する。これにより、マーク場所の差、及び計測時のノイズの影響を低減できる。
【0059】
小マーク14(或いは大マーク12)が試料101の4隅にそれぞれあれば、各小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)について、高さ位置分布算出工程(S106)を行う。
【0060】
上述した例では、zセンサにより試料101の表面の高さ位置を計測する場合について説明したが、これに限るものではない。
図16は、実施の形態1の変形例におけるマーク位置計測装置の一例を示す図である。図16の例では、マーク位置計測装置として、例えば、白色共焦点変位センサ300を用いる場合を示している。白色共焦点変位センサ300では、光源301から射出した連続的な波長の光が、ハーフミラー302で反射され、光学系303で屈折させられ、被検物体である試料101上へ照射される。この際、光学系303では軸上色収差を発生させるように設計することで、光軸上のずれた位置(高さ方向の各位置)に波長毎に焦点が合うようになる。図16の例では、照明光の波長3種(λ1、λ2、λ3)を例として挙げ、λ2(実線)がちょうど試料101表面で焦点があった状態を示している。試料101の表面で反射した光は、光学系303を通り、ハーフミラー302を透過し、分光器305前に構成されたピンホールが形成されたアパーチャ基板304に到達する。この時、試料101上で焦点があった光のみがピンホール位置でも集光するので、通過する。それ以外の波長光はピンホール位置では、中間像面を形成せずに所謂ボケるので十分な光が通過しない。通過した光は分光器305内部においてレンズ306によって集束方向に曲げられ、回折格子307によって分光され、レンズ308によって集束方向に曲げられ、受光センサ309上で結像する。受光センサ309上の結像位置が波長によって変わることを利用して、試料101の高さを検出することができる。マークラフサーチ工程(S104)において、zセンサ220の代わりに、白色共焦点変位センサ300で試料面上の高さ位置を計測しても好適である。
【0061】
図17は、実施の形態1における凹凸マークの高さ位置分布の一例を示す図である。図17において、縦軸は高さ位置を示し、横軸は試料上の位置(例えば、x方向の位置)を示す。実施の形態1では、zセンサ220で使用されるレーザ光8が正規分布の光強度分布を持つ。レーザ光8に光強度分布があれば、同様に、反射光9についても元となるレーザ光8の光強度に応じた光強度分布が生じる。高さ位置は、受光された反射光9の重心位置の受光位置に高さ変換係数を乗じることにより算出される。
【0062】
白色共焦点変位センサ300で試料面上の高さ位置を計測する場合には、高さ位置は、受光された反射光の波長に高さ変換係数を乗じることにより算出すればよい。zセンサ220の計測値に乗じる高さ変換係数と白色共焦点変位センサ300の計測値に乗じる高さ変換係数とが異なることは言うまでもない。以下、zセンサ220で計測する場合を主に説明する。
【0063】
反射光9の重心位置は、受光器224の受光面上の各受光位置の光強度が影響する。よって、凹面の底の高さ情報が光強度の大きい部分によって取得された方が光強度の小さい部分によって取得される場合よりも重心位置の変化を大きくできる。その結果、図17に示すように、レーザ光8のビーム径内に線幅Wの小マーク14(或いは大マーク12)が位置する場合に、光強度分布の位置のどの位置で線幅Wの小マーク14(或いは大マーク12)を照射したかによって、高さ位置が変化する。図17に示すように、高さ位置のA部では、レーザ光8の光強度のピーク位置(光強度の最大値)で小マーク14(或いは大マーク12)を照射する場合を示す。高さ位置のB部では、レーザ光8の光強度のピーク位置(光強度の最大値)の例えば20%程度の光強度位置で小マーク14(或いは大マーク12)を照射する場合を示す。図17に示すように、光強度の大きい位置で小マーク14(或いは大マーク12)を照射するほど、凸面の高さ位置に比べて凹面の高さ位置は大きく変化する。レーザ光8の光強度分布が正規分布であれば、正規分布のピークの位置で小マーク14(或いは大マーク12)を照射した場合に凹面の高さ位置は最も低い高さ位置として受光器224から出力される。よって、試料101の表面の高さ位置分布は、図17に示したように、光強度分布と小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)との相対位置関係により生じる、小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)の幅サイズよりも大きい範囲で連続して同方向に変化する部分を有する。高さ位置分布のピーク位置よりも左側では、凸面の高さ位置からピーク位置に向かって連続して高さ位置が低くなる方向に変化する。逆に、高さ位置分布のピーク位置よりも右側では、ピーク位置から凸面の高さ位置に向かって連続して高さ位置が高くなる方向に変化する。
【0064】
なお、実施の形態1において、ピーク位置とは、凸信号の上方の最大高さ位置を示す場合だけではなく、凹信号においては下方の最小位置を示す場合も含む。ここでは、下方の最小高さ位置をピーク位置として示している。
【0065】
小マーク14(或いは大マーク12)の上下左右の各位置でそれぞれ上述した高さ位置分布が算出される。
【0066】
マーク候補信号位置算出工程(S108)として、マーク候補信号位置算出部56(位置算出部)は、複数の小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)と交差するように複数の小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)をレーザ光で走査することによって得られる小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)毎の試料101の表面の高さ位置分布を用いて、小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)毎に、走査された領域内において得られたマーク候補信号の位置を算出する。マーク候補信号の位置は、例えば、小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)毎に、走査された領域内において得られた凹信号と凸信号とのうちの一方で表される。
【0067】
小マーク14(或いは大マーク12)が試料101の4隅にそれぞれあれば、各小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)について、走査された領域内走査された領域内において得られたマーク候補信号の位置を算出する。具体的には、以下のように動作する。
【0068】
マーク候補信号位置算出部56は、小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)の上下左右の各位置での高さ位置分布を試料101の表面の高さ情報として入力する。そして、マーク候補信号位置算出部56は、試料101の表面の高さ位置分布を用いて、各位置で計測された高さ位置分布に示された各マーク候補信号の位置を算出する。小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)の上下左右の各位置での同じ走査方向の高さ位置分布に複数のマーク候補信号があれば、すべてのマーク候補信号についてマーク候補信号の位置を算出する。具体的には以下のように算出する。
【0069】
マーク候補信号位置算出部56は、正規分布の密度関数(以下、正規分布関数とする。)を用いて試料101の表面の高さ位置分布の一部であるマーク候補信号を近似して得られる正規分布のピーク位置をマーク候補信号の位置として算出する。
【0070】
図18は、実施の形態1における高さ位置分布の一例を示す図である。図18において、縦軸は高さ位置を示し、横軸は位置を示す。図18では、走査方向の複数の測定位置の測定データがプロットされる。走査方向の複数の測定位置の測定データを正規分布関数で近似することで、近似線のピーク位置をマーク候補信号の位置として算出する。
【0071】
或いは、マーク候補信号位置算出部56は、試料101の表面の高さ位置分布の重心位置を算出し、重心位置をマーク候補信号の位置として算出しても好適である。重心位置gは、測定データの座標miと高さ位置hiとを用いて、以下の式(1)で算出できる。iはインデックスを示す。
(1) g=Σ(mi・hi)/Σhi
【0072】
或いは、マーク候補信号位置算出部56は、試料101の表面の高さ位置分布の最小高さ計測値の位置をマーク候補信号の位置として算出しても好適である。図18に示す複数の測定位置の測定データのうち最小高さ計測値をマーク候補信号の位置として算出する。
若しくは、マーク部が凸の場合は信号の向きが凸になるので、最大高さ計測値の位置をマーク候補信号の位置として算出しても好適である。
【0073】
いずれの手法を用いる場合でも、得られるマーク候補信号の位置の誤差を許容範囲内にできる。
【0074】
そして、マーク候補信号位置算出部56は、小マーク14(或いは大マーク12)の上の位置で測定されたx位置と小マーク14(或いは大マーク12)の下の位置で測定されたx位置との平均値を算出することにより、マーク候補信号の中心のx位置(x座標)を算出できる。同様に、小マーク14(或いは大マーク12)の右の位置で測定されたy位置と小マーク14(或いは大マーク12)の左の位置で測定されたy位置との平均値を算出することにより、マーク候補信号の中心のy位置(y座標)を算出できる。x方向の走査にて複数のマーク候補信号が測定された場合には、複数のx位置が得られる。かかる場合、複数のマーク候補信号の中心のx位置(x座標)を算出できる。同様に、y方向の走査にて複数のマーク候補信号が測定された場合には、複数のy位置が得られる。かかる場合、複数のマーク候補信号の中心のy位置(y座標)を算出できる。よって、複数のx座標と複数のy座標との組み合わせにより、複数のマーク候補信号の位置(x,y)が算出できる。
【0075】
組み合わせ作成工程(S110)として、組み合わせ作成部58は、複数の小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)のうち少なくとも1つの小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)について走査された方向に複数のマーク候補信号が得られた場合に、複数の小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)から1つずつ選択されたマーク候補信号同士を組み合わせた複数の組み合わせを作成する。
【0076】
図19は、実施の形態1におけるマーク候補信号の組み合わせの一例を示す図である。図19の例では、例えば、2つの小マーク14(或いは大マーク12)(マークA,B)について走査された場合を示している。図19の例では、凹信号で表されたそれぞれ3つずつのマーク候補信号が計測された場合を示している。マークAについて計測された3つのマーク候補信号のうちのどれが真のマーク信号か現時点では不明である。同様に、マークBについて計測された3つのマーク候補信号のうちのどれが真のマーク信号か現時点では不明である。そこですべての組み合わせを作成する。かかる場合、マークAの左のマーク候補信号とマークBの左のマーク候補信号との組み合わせa1と、マークAの左のマーク候補信号とマークBの中央のマーク候補信号との組み合わせa2と、マークAの左のマーク候補信号とマークBの右のマーク候補信号との組み合わせa3と、マークAの中央のマーク候補信号とマークBの左のマーク候補信号との組み合わせa4と、マークAの中央のマーク候補信号とマークBの中央のマーク候補信号との組み合わせa5と、マークAの中央のマーク候補信号とマークBの右のマーク候補信号との組み合わせa6と、マークAの右のマーク候補信号とマークBの左のマーク候補信号との組み合わせa7と、マークAの右のマーク候補信号とマークBの中央のマーク候補信号との組み合わせa8と、マークAの右のマーク候補信号とマークBの右のマーク候補信号との組み合わせa9と、の9個の組み合わせが作成される。
【0077】
相対位置情報(距離/角度)算出工程(S112)として、相対位置情報算出部60は、同じ組み合わせのマーク候補信号の位置同士間の相対位置情報を算出する。
【0078】
また、相対位置情報には、例えば、マーク候補信号の位置同士間の距離と、3点のマーク候補信号のうち1点のマーク候補信号の位置を共通にした2点ずつのマーク候補信号の位置を結んだ2直線の角度と、が含まれる。
【0079】
図20は、実施の形態1における試料に2つのアライメントマークが配置される場合の一例を示す図である。2つのアライメントマークA,Bが配置される場合、2つのマーク候補信号によって各組み合わせが構成される。かかる場合、相対位置情報算出部60は、マークA,Bの複数の組み合わせについて、それぞれ同じ組み合わせのマーク候補信号の位置同士間の距離を算出する。よって、組み合わせ数がn個あれば、n個の距離が算出される。
【0080】
図21は、実施の形態1における試料に3つ以上のアライメントマークが配置される場合の一例を示す図である。図21の例では、試料101に、例えば4つのアライメントマークA,B,C,Dが配置される場合の一例が示されている。試料101に、例えば3つのアライメントマークA,B,Cが配置される場合、3つのマーク候補信号によって各組み合わせが構成される。図21に示すように、4つのアライメントマークA,B,C,Dが配置される場合、4つのマーク候補信号によって各組み合わせが構成される。かかる場合、相対位置情報算出部60は、同じ組み合わせのマーク候補信号の位置同士間の距離を算出する。
試料101に、例えば3つのアライメントマークがあれば、1つの組み合わせあたり距離は3つ算出される。よって、組み合わせ数がn個あれば、3n個の距離が算出される。
4つのアライメントマークがあれば、1つの組み合わせあたり距離は6つ算出される。よって、組み合わせ数がn個あれば、6n個の距離が算出される。算出された距離は、組み合わせの識別子と関連させて記憶装置142に記憶される。
【0081】
また、相対位置情報算出部60は、同じ組み合わせの3点のマーク候補信号のうち1点のマーク候補信号の位置を共通にした2点ずつのマーク候補信号の位置を結んだ2直線の角度を算出する。例えば、マークAのマーク候補信号の位置を共通としたマークAB間のマーク候補信号同士を結んだ直線とマークAC間のマーク候補信号同士を結んだ直線との間の角度θを算出する。
試料101に、例えば3つのアライメントマークがあれば、1つの組み合わせあたり角度は3つ算出される。よって、組み合わせ数がn個あれば、3n個の角度が算出される。
4つのアライメントマークがあれば、1つの組み合わせあたり角度は12個算出される。よって、組み合わせ数がn個あれば、12n個の角度が算出される。算出された角度は、組み合わせの識別子と関連させて記憶装置142に記憶される。
【0082】
マーク選択(ラフ検出)工程(S114)として、選択部66は、複数の組み合わせの内、同じ組み合わせのマーク候補信号の相対位置情報を所定の基準値と比較することにより、複数の組み合わせの中から複数のマークのマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択する。基準値として設計値を用いると好適である。具体的には、選択部66は、同じ組み合わせのマーク候補信号の位置間の距離と同じ組み合わせの3点のマーク候補信号のうち1点のマーク候補信号の位置を共通にした2点ずつのマーク候補信号の位置を結んだ2直線の角度との少なくとも一方を設計値と比較することにより、複数の組み合わせの中から複数の小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)のマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択する。そして、選択部66は、選択された組み合わせを構成する各マーク候補信号の位置をマーク信号の位置として出力する。
【0083】
なお、複数の小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)として2つの小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)を走査する場合、選択部66は、距離を比較することにより複数の組み合わせの中から2つの小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)のマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択する。
【0084】
或いは、複数の小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)として3つ以上の小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)を走査する場合、選択部66は、距離と角度の両方を比較することにより複数の組み合わせの中から3つ以上の小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)のマーク信号となるマーク候補信号の組み合わせを選択する。
【0085】
そのために、指標算出部64は、距離を比較するための距離指標と角度を比較するための角度指標とを算出する。
【0086】
例えば、組み合わせ毎に、複数の距離が算出される場合、距離指標として、例えば、測定された距離と距離の設計値との差の2乗和を算出する。距離指標が小さい順に優先度を高くすると好適である。同様に、組み合わせ毎に、複数の角度が算出される場合、角度指標として、例えば、測定された角度と角度の設計値との差の2乗和を算出する。かかる角度指標が小さい順に優先度を高くすると好適である。
【0087】
或いは、組み合わせ毎に、複数の距離が算出される場合、例えば、測定された距離と距離の設計値との差の平均値、中央値、最小値、或いは最大値といった統計値が小さい順に優先度を高くすると好適である。同様に、組み合わせ毎に、複数の角度が算出される場合、例えば、測定された角度と角度の設計値との差の平均値、中央値、最小値、或いは最大値といった統計値が小さい順に優先度を高くすると好適である。
【0088】
図22は、実施の形態1における組み合わせ優先度を示すテーブルの一例を示す図である。図22の例では、組み合わせa1の距離指標がb1、角度指標がc1であることを示す。組み合わせa2の距離指標がb1、角度指標がc2であることを示す。組み合わせa3の距離指標がb2、角度指標がc3であることを示す。組み合わせa4の距離指標がb3、角度指標がc3であることを示す。組み合わせanの距離指標がbm、角度指標がckであることを示す。図22において距離指標が小さい順にb1,b2,b3,・・・bmとする。角度指標が小さい順にc1,c2,c3,・・・ckとする。かかる場合、組み合わせa1が最も設計値に近い組み合わせとして優先度1となる。組み合わせa2が次に設計値に近い組み合わせとして優先度2となる。組み合わせa3がさらに次に設計値に近い組み合わせとして優先度3となる。組み合わせa4がさらに次に設計値に近い組み合わせとして優先度4となる。図22の例では、距離指標が小さい順で並べ、距離指標が同じであれば、角度指標が小さい順で並べている。かかる場合に限るものではない。例えば、角度指標が小さい順で並べ、角度指標が同じであれば、距離指標が小さい順で並べても構わない。
【0089】
なお、2つの小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)を走査する場合、角度の情報が得られないので、かかる場合、各組み合わせの優先度は、距離が設計値に近い順で決まることになる。
【0090】
選択部66は、複数の組み合わせに対して距離と角度との少なくとも一方が設計値により近い組み合わせから順に優先度を付け、複数の組み合わせのうち、優先度の高い組み合わせから選択する。図22の例では、優先度1の組み合わせa1が選択されることになる。
【0091】
上述した例では、計測されたすべてのマーク候補信号について位置を算出し、組み合わせの要素としたが、これに限るものではない。
例えば、マーク候補信号位置算出部56は、過去に同じ小マーク14(或いは大マーク12)(凹凸マーク)の構造が形成された試料で使用された正規分布と同じパラメータを用いた正規分布を用いて複数のマーク候補信号を近似する。
そして、組み合わせ作成部58は、分布形状が合わず近似できなかったマーク候補信号を除いて複数の組み合わせを作成する。これにより、マーク候補信号の数を絞り込むことができる。その結果、計算処理の負荷を低減し、処理時間を短縮できる。
【0092】
以上のようにして、zセンサ220を用いたアライメントマーク(ここでは小マーク14)の中心位置を測定できる。このように、凹凸マーク付近に複数のマーク信号が計測される場合でも、複数のマーク信号のうち、高精度に、真のマークの信号を選択し、検出する事ができる。
次に、電子ビームを用いてアライメントマークの中心位置を高精度に測定する。具体的には、マーク選択(ラフ検出)工程(S114)にて選択された組み合わせを構成する各マーク候補信号の位置の情報を用いて、電子ビームで小マーク14(凹凸マーク)を照射可能な位置にXYステージ105を移動させた状態で、電子ビームで小マーク14(凹凸マーク)を走査して、小マーク14(凹凸マーク)の位置を計測する。
【0093】
マークスキャン工程(S120)として、まず、マーク選択(ラフ検出)工程(S114)にて選択された組み合わせを構成する各凹凸マークの位置の情報を用いて、電子ビームで小マーク14(凹凸マーク)を照射可能な位置にXYステージ105を移動させる。そして、電子ビームで小マーク14(凹凸マーク)を照射可能な位置にXYステージ105を移動させた状態で、偏向器209で電子ビームをビーム偏向することにより、小マーク14(凹凸マーク)を走査する。例えば、図11において説明したように、小マーク14の上下左右の位置を走査する。但し、ここでは、計測方向に例えば20~30μmの範囲で走査すれば足りる。このように、従来と比べて電子ビームで走査する範囲を大幅に小さくできる。
かかる走査に用いる電子ビームは、マルチビーム20のうち選択された1本のビーム、或いは選択された1本のビームに隣接するビームも合わせた数本の複数のビームを用いると好適である。ビームの選択は、ブランキングアパーチャ機構204によって選択されたビーム或いは複数のビームをONビームにし、残りのビームアレイをビームOFFに設定すればよい。
【0094】
小マーク14(凹凸マーク)を走査した際に試料101から放出された2次電子は、検出器226によって検出される。検出データは検出器226によってアナログデータからデジタルデータに変換される共に増幅され、検出器226から制御計算機110に出力される。
【0095】
マーク位置算出(ファイン検出)工程(S122)として、マーク位置算出部68は、マークスキャン工程(S120)によって得られた2次電子による小マーク14の上下左右の位置での2次電子画像データを用いて、小マーク14(凹凸マーク)の中心位置を算出する。例えば、2次電子画像内の小マーク14の上下左右の線幅を構成する両エッジ位置を計測し、上下の線幅の中心位置の平均値と左右の線幅の中心位置の平均値とをそれぞれ小マーク14のx,y座標として求めることができる。
【0096】
実施の形態1では、レジストの飛散が生じない或いは無視できる程度のレーザ光によるラフサーチの後に、電子ビームによるファインサーチを行うことで、電子ビームで走査する領域を小さくできる。既に小マーク14の概ねの位置はラフサーチによりわかっているので、凹凸マークが同じ材料で構成される場合であっても、電子ビームで小マーク14の凹凸構造を把握できる。よって、レジストの飛散を抑制或いは低減できる。また、電子ビームの入射照射量(ドーズ量)を大きくする場合であっても、レジストの飛散を低減できる。
【0097】
判定工程(S126)として、まず、相対位置情報算出部60は、算出された複数の小マーク14の位置間の距離を算出する。同様に、相対位置情報算出部60は、算出された複数の小マーク14のうち1点の小マークの位置を共通にした2点ずつの小マークの位置を結んだ2直線の角度を算出する。
そして、判定部69は、算出された距離と設計値の距離とを比較し、その差分(或いは差分の2乗和)がしきい値内かどうかを判定する。同様に、算出された角度と設計値の角度とを比較し、その差分(或いは差分の2乗和)がしきい値内かどうかを判定する。しきい値を超える場合には、エラーとして、マーク選択工程(S114)に戻り、次の優先度の組み合わせを選択する。そして、差分(或いは差分の2乗和)がしきい値内と判定されるまで、マーク選択工程(S114)から判定工程(S126)までの各工程を繰り返す。
【0098】
以上により、アライメントマークとなる小マーク14の高精度なx,y座標を求めることができる。
【0099】
また、大マーク12と小マークとのうち上述した内容と反対のマークを使用しても構わない。必要精度や構成されたマーク種や個数に応じて各工程で使い分ければよい。また、上述した例では、凹形状のアライメントマークを用いる場合を説明したが、凸形状のアライメントマークを用いる場合であっても構わない。かかる場合、マーク候補信号として検出される凹凸信号の向きが反転される。
【0100】
図23は、実施の形態1における描画動作の一例を説明するための概念図である。図23に示すように、試料101の描画領域30(太線)は、得られたアライメントマークとなる例えば小マーク14の位置を基準に位置が定義される。
描画領域30(太線)は、例えば、y方向に向かって所定の幅で短冊状の複数のストライプ領域32に仮想分割される。図19の例では、試料101の描画領域30が、例えばy方向に、1回のマルチビーム20の照射で照射可能な設計上の照射領域34(描画フィールド)のサイズと実質同じ幅サイズで複数のストライプ領域32に分割された場合を示している。設計上のマルチビーム20の照射領域34のx方向のサイズは、x方向のビーム数×x方向のビーム間ピッチで定義できる。矩形の照射領域34のy方向のサイズは、y方向のビーム数×y方向のビーム間ピッチで定義できる。
【0101】
まず、XYステージ105を移動させて、第1番目のストライプ領域32の左端、或いはさらに左側の位置にマルチビーム20の照射領域34が位置するように調整し、第1番目のストライプ領域32の描画が行われる。第1番目のストライプ領域32を描画する際には、XYステージ105を例えば-x方向に移動させることにより、相対的にx方向へと描画を進めていく。XYステージ105は例えば等速で連続移動させる。第1番目のストライプ領域32の描画終了後、ステージ位置を-y方向にストライプ領域32の幅のサイズだけ移動させる。
【0102】
そして、次に、第2番目のストライプ領域32の左端、或いはさらに左側の位置にマルチビーム20の照射領域34が位置するように調整し、XYステージ105を例えば-x方向に移動させることにより、相対的にx方向へと描画を進めていくことにより、第2番目のストライプ領域32の描画が行われる。
【0103】
また、図23の例では、同じ方向に向かって各ストライプ領域32の描画を進める場合を示したが、これに限るものではない。例えば、x方向へと描画を進めたストライプ領域32の次に描画するストライプ領域32については、XYステージ105を例えばx方向に移動させることにより、-x方向に向かって描画を行う場合であっても構わない。このように交互に向きを変えながら描画することでステージ移動時間を短くでき、ひいては描画時間を短縮できる。1回のショットでは、成形アパーチャアレイ基板203の各穴22を通過することによって形成されたマルチビーム20によって、最大で各穴22と同数の複数のショットパターンが一度に形成される。
【0104】
また、図23の例では、各ストライプ領域の描画処理のためのステージ移動を1回ずつ行う場合を示したが、これに限るものではない。同じ位置上を複数回ステージが移動するように多重描画を行っても好適である。その場合には、例えば、y方向にストライプ領域の幅の1/nのサイズのずらし量でずらしながら多重描画を行うと好適である。
【0105】
図24は、実施の形態1におけるマルチビームの照射領域と描画対象画素との一例を示す図である。図24において、ストライプ領域32は、例えば、マルチビーム20のビームサイズでメッシュ状の複数のメッシュ領域に分割される。かかる各メッシュ領域が、描画対象の画素36(単位照射領域、照射位置、或いは描画位置)となる。描画対象画素36のサイズは、ビームサイズに限定されるものではなく、ビームサイズとは関係なく任意の大きさで構成されるものでも構わない。例えば、ビームサイズの1/n(nは1以上の整数)のサイズで構成されても構わない。図24の例では、試料101の描画領域が、例えばy方向に、1回のマルチビーム20の照射で照射可能な照射領域34(描画フィールド)のサイズと実質同じ幅サイズで複数のストライプ領域32に分割された場合を示している。矩形の照射領域34のx方向のサイズは、x方向のビーム数×x方向のビーム間ピッチで定義できる。矩形の照射領域34のy方向のサイズは、y方向のビーム数×y方向のビーム間ピッチで定義できる。図24の例では、例えば512×512列のマルチビームの図示を8×8列のマルチビームに省略して示している。そして、照射領域34内に、1回のマルチビーム20のショットで照射可能な複数の画素28(ビームの描画位置)が示されている。隣り合う画素28間のピッチがマルチビームの各ビーム間のピッチとなる。x,y方向にビームピッチのサイズで囲まれた矩形の領域で1つのサブ照射領域29(ピッチセル)を構成する。図20の例では、各サブ照射領域29は、例えば4×4画素で構成される場合を示している。
【0106】
ショットデータ生成工程(S130)として、まず、ショットデータ生成部70は、画素36毎にショットデータを生成する。具体的には、以下のように動作する。まず、ショットデータ生成部70は、記憶装置140から描画データを読み出し、画素36毎に、当該画素36内のパターン面積密度ρ’を演算する。かかる処理は、例えば、ストライプ領域32毎に実行する。
【0107】
次に、ショットデータ生成部70は、まず、描画領域(ここでは、例えばストライプ領域32)を所定のサイズでメッシュ状に複数の近接メッシュ領域(近接効果補正計算用メッシュ領域)に仮想分割する。近接メッシュ領域のサイズは、近接効果の影響範囲の1/10程度、例えば、1μm程度に設定すると好適である。ショットデータ生成部70は、記憶装置140から描画データを読み出し、近接メッシュ領域毎に、当該近接メッシュ領域内に配置されるパターンのパターン面積密度ρ″を演算する。
【0108】
次に、ショットデータ生成部70は、近接メッシュ領域毎に、近接効果を補正するための近接効果補正照射係数Dp(x)(補正照射量)を演算する。未知の近接効果補正照射係数Dp(x)は、後方散乱係数η、しきい値モデルの照射量閾値Dth、パターン面積密度ρ″、及び分布関数g(x)を用いた、従来手法と同様の近接効果補正用のしきい値モデルによって定義できる。
【0109】
次に、ショットデータ生成部70は、画素36毎に、当該画素36に照射するための入射照射量D(x)(ドーズ量)を演算する。入射照射量D(x)は、例えば、基準照射量Dbaseに近接効果補正照射係数Dpとパターン面積密度ρ’とを乗じた値として演算すればよい。基準照射量Dbaseは、例えば、Dth/(1/2+η)で定義できる。以上により、描画データに定義される複数の図形パターンのレイアウトに基づいた、近接効果が補正された画素36毎の入射照射量D(x)を得ることができる。
【0110】
次に、ショットデータ生成部70は、画素36毎の照射時間を算出する。画素36毎の照射時間は、当該画素の入射照射量D(x)を電流密度Jで割ることで算出できる。
【0111】
データ加工工程(S132)として、データ加工部72は、得られた画素36毎の照射時間データをショット順に並び変えて、記憶装置142に格納する。転送処理部74は、ショット順に照射時間データを偏向制御回路130に転送する。
【0112】
描画工程(S140)として、描画制御部76による制御のもと、描画機構150は、XYステージ105を移動しながら、マルチビーム20を用いてXYステージ105上の試料101にパターンを描画する。マルチビーム描画では、描画処理を行いながら並行して後に描画処理を行う領域のショットデータを生成する。例えば、k番目のストライプ領域32の描画を行いながら、k+2番目のストライプ領域32用のショットデータを並行して生成する。かかる動作を繰り返しながら、全ストライプ領域32の描画を実施する。
【0113】
図25は、実施の形態1におけるマルチビーム描画動作の一例を説明するための図である。図25の例では、マルチビーム20のそれぞれ1つのビーム照射位置を含みビーム間ピッチで囲まれた各サブ照射領域29内を4つの異なるビームで描画する場合を示している。また、図25の例では、各サブ照射領域29内の1/4(照射に用いられるビーム本数分の1)の領域を描画する間に、XYステージ105が、2ビームピッチ分の距離だけ移動する速度で、連続移動する描画動作を示している。図25の例では、各サブ照射領域29が例えば4×4画素で構成される場合を示している。
【0114】
図25の例に示す描画動作では、例えば、XYステージ105がx方向に2ビームピッチ分の距離を移動する間に偏向器209によって順に照射位置(画素36)をシフトさせながらショットサイクルTでマルチビーム20を4ショットすることにより同じサブ照射領域29内の異なる4つの画素36を描画(露光)する。かかる4つの画素36を描画(露光)する間、照射領域34がXYステージ105の移動によって試料101との相対位置がずれないように、偏向器208によってマルチビーム20全体を一括偏向することによって、照射領域34をXYステージ105の移動に追従させる。言い換えれば、トラッキング制御が行われる。1回のトラッキングサイクルが終了するとトラッキングリセットして、前回のトラッキング開始位置に戻る。なお、各サブ照射領域29の左から1番目の画素列の描画は終了しているので、トラッキングリセットした後に、次回のトラッキングサイクルにおいてまず偏向器209は、各サブ照射領域29のまだ描画されていない例えば左から2番目の画素列を描画するように1番目の画素列とは異なるビームの描画位置を合わせる(シフトする)ように偏向する。ストライプ領域32の描画中、かかる動作を繰り返すことで、図19の下図に示すように、順次マルチビーム20の照射領域34(34a~34o)の位置が移動していき、描画を行っていく。
【0115】
以上のように、実施の形態1によれば、凹面と凸面とが同じ材料で構成される凹凸マークを複数の検出信号の中から高精度に特定できる。よって、かかる凹凸マークを検出できる。さらに、実施の形態1によれば、凹凸マーク付近のマーク以外の構造、レジストムラ、或いはノイズ等の影響により複数のマーク信号が計測される場合でも、複数のマーク信号のうち、高精度に、真のマークの信号を選択し、検出する事ができる。
【0116】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0117】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
【0118】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての位置計測装置、荷電粒子ビーム描画装置、及びマーク位置計測方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0119】
8 レーザ光
9 反射光
10 アライメントマーク領域
12 大マーク
14 小マーク
20 マルチビーム
22 穴
24 制御電極
25 通過孔
26 対向電極
29 サブ照射領域
30 描画領域
31 ブランキングアパーチャアレイ基板
32 ストライプ領域
34 照射領域
36 画素
41 制御回路
50 高さ位置分布算出部
52 マーク領域特定部
54 高さ位置分布算出部
56 マーク候補信号位置算出部
58 組み合わせ作成部
60 相対位置情報算出部
64 指標算出部
66 選択部
68 マーク位置算出部
69 判定部
70 ショットデータ生成部
72 データ加工部
74 転送処理部
76 描画制御部
80 ガラス基板
82 遮光膜
84 低熱膨張ガラス基板
86 多層膜
88 吸収体膜
100 描画装置
101 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 制御計算機
112 メモリ
130 偏向制御回路
132,134 DACアンプユニット
135 検出回路
136 レンズ制御回路
138 ステージ制御機構
139 ステージ位置測定器
140,142 記憶装置
150 描画機構
160 制御系回路
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203 成形アパーチャアレイ基板
204 ブランキングアパーチャアレイ機構
205 縮小レンズ
206 制限アパーチャ基板
207 対物レンズ
208 偏向器
209 偏向器
210 ミラー
220 zセンサ
222 投光器
224 受光器
226 検出器
300 白色共焦点変位センサ
301 光源
302 ハーフミラー
303 光学系
304 アパーチャ基板
305 分光器
306 レンズ
307 回折格子
308 レンズ
309 受光センサ
330 メンブレン領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25