(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157322
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】アライメント装置、アライメント方法及び成膜装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/04 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
C23C14/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071619
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長沼 義人
(72)【発明者】
【氏名】谷 和憲
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA62
4K029BB03
4K029BD01
4K029CA01
4K029HA01
(57)【要約】
【課題】精度良くアライメントを行うことができるアライメント装置、アライメント方法及び成膜装置を提供する。
【解決手段】第1部材と第2部材との位置合わせを行うアライメント装置であって、第1部材と第2部材を撮像可能な撮像手段と、第1アライメントマークが設けられた第1部材と第2部材とを撮像手段により撮像して得られた第1画像から、第1アライメントマークを検出する検出手段と、検出手段により検出された第1アライメントマークの位置に基づき第1部材と第2部材の相対位置を調整する位置調整手段と、を有し、検出手段は、第1画像における一部の領域を探索領域として設定し、探索領域内で第1アライメントマークを検出することを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と第2部材との位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記第1部材と前記第2部材を撮像可能な撮像手段と、
第1アライメントマークが設けられた前記第1部材と前記第2部材とを前記撮像手段により撮像して得られた第1画像から、前記第1アライメントマークを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記第1アライメントマークの位置に基づき前記第1部材と前記第2部材の相対位置を調整する位置調整手段と、
を有し、
前記検出手段は、前記第1画像における一部の領域を探索領域として設定し、前記探索領域内で前記第1アライメントマークを検出することを特徴とするアライメント装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、撮像により得られた前記第1画像に仮想アライメントマークの画像を合成して出力し、
前記検出手段は、前記第1画像に含まれる前記第1アライメントマーク及び前記仮想アライメントマークを検出し、
前記位置調整手段は、前記検出手段により検出された前記第1アライメントマークと前記仮想アライメントマークの位置に基づき、前記第1部材と前記第2部材の相対位置を調整する請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記第1アライメントマークが設けられた前記第1部材と第2アライメントマークが設けられた前記第2部材とを前記撮像手段により撮像して得られた前記第1画像から、前記第1アライメントマークと前記第2アライメントマークを検出し、
前記位置調整手段は、前記検出手段により検出された前記第1アライメントマークと前記第2アライメントマークの位置に基づき、前記第1部材と前記第2部材の相対位置を調整する請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記第1アライメントマークが設けられた前記第1部材を前記撮像手段により撮像して得られた第2画像から、前記第1アライメントマークを検出し、
前記検出手段は、前記第2画像における前記第1アライメントマークの位置に基づき、前記第1画像における前記探索領域を設定する請求項1~3のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項5】
前記第2画像から検出された前記第1アライメントマークの位置の情報を記憶する記憶手段を有し、
前記検出手段は、前記記憶手段から取得した前記第2画像における前記第1アライメントマークの位置に基づき、前記第1画像における前記探索領域を設定する請求項4に記載のアライメント装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記探索領域内で前記第1アライメントマークに対応するモデル画像とのパターンマッチングにより前記第1アライメントマークを検出する請求項1~3のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項7】
前記アライメント装置に前記第1部材を搬入する搬送手段と、
前記アライメント装置内に載置された前記第2部材に対し、前記撮像手段による撮像が可能な計測位置まで前記搬入された前記第1部材を移動する移動手段と、
を有し、
前記検出手段は、前記搬送手段により前記第1部材が搬入されてから前記移動手段により前記第1部材が前記計測位置に移動するまでの間に、前記探索領域を設定する処理を行
う請求項1~3のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項8】
前記第1部材はマスクであり、前記第2部材は前記マスクを介して成膜材料が成膜される基板である請求項1~3のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項9】
前記第1部材は基板であり、前記第2部材は前記基板が載置され前記基板を搬送する基板キャリアである請求項1~3のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項10】
前記第1部材は基板であり、前記第2部材は前記基板を吸着する静電チャックである請求項1~3のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項11】
前記第1部材はマスクであり、前記第2部材は前記マスクが載置されるマスク台である請求項1~3のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項12】
第1アライメントマークが設けられた第1部材と第2部材を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程により得られた第1画像から前記第1アライメントマークを検出する検出工程と、
前記検出工程により検出された前記第1アライメントマークの位置に基づき前記第1部材と前記第2部材の相対位置を調整する位置調整工程と、
を有するアライメント方法であって、
前記検出工程では、前記第1画像における一部の領域を探索領域として設定し、前記探索領域内で前記第1アライメントマークを検出することを特徴とするアライメント方法。
【請求項13】
請求項8に記載のアライメント装置と、
前記基板に薄膜を形成するための成膜源と、
を有し、前記アライメント装置により相対位置を調整された前記マスクを介して前記基板に前記成膜源により薄膜を形成することを特徴とする成膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメント装置、アライメント方法及び成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイとして有機電界発光ディスプレイが脚光を浴びている。有機電界発光ディスプレイは、自発光ディスプレイとして、応答速度、視野角、薄型化などの特性が液晶パネルディスプレイより優れており、モニタ、テレビ、スマートフォンに代表される各種携帯端末などで既存の液晶パネルディスプレイを急速に代替している。また、自動車用ディスプレイ等でも、その応用分野が広がっている。
【0003】
有機電界発光ディスプレイは、2つの向かい合う電極(カソード電極、アノード電極)の間に発光を起こす有機物層が形成された基本構造を有する。有機電界発光ディスプレイの有機物層及び電極金属層は、真空チャンバ内で所望する画素パターンが形成されたマスクを介して基板に蒸着物質を蒸着させることで製造されるが、基板上の所望する位置に所望するパターンで蒸着物質を蒸着させるために、基板への蒸着が行われる前にマスクと基板の位置を精密に合わせる工程(アライメントという)が行われる。また、基板を基板キャリアに載せて搬送する構成の成膜装置では、基板と基板キャリアとのアライメントも高精度の成膜のためには重要になる。
【0004】
特許文献1には、レーザ光を基板に照射したりカメラによって基板を撮影したりすることで基板のエッジにおける欠損やクラックの有無を検査する基板検査装置が記載されている。この基板検査装置では、カメラで撮影した基板の画像に対する画像認識処理によって基板の位置を取得する。特許文献2には、基板に設けられたアライメントマークをカメラで撮影して得られるマーク撮影画像を、予めカメラでアライメントマークを撮影した実画像より作成されたモデル画像と比較することにより、マーク撮影画像内のアライメントマークの位置を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-003469号公報
【特許文献2】特開2020-169391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アライメントのためのアライメントマークの撮影時に撮影対象の部材に汚れが存在すると、撮影により得られた画像において汚れがアライメントマークとして誤検出される可能性がある。その場合、精度良くアライメントを行うことができない。
【0007】
本発明の目的は、精度良くアライメントを行うことができるアライメント装置、アライメント方法及び成膜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1部材と第2部材との位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記第1部材と前記第2部材を撮像可能な撮像手段と、
第1アライメントマークが設けられた前記第1部材と前記第2部材とを前記撮像手段により撮像して得られた第1画像から、前記第1アライメントマークを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記第1アライメントマークの位置に基づき前記第1部材と前記第2部材の相対位置を調整する位置調整手段と、
を有し、
前記検出手段は、前記第1画像における一部の領域を探索領域として設定し、前記探索領域内で前記第1アライメントマークを検出することを特徴とするアライメント装置である。
【0009】
本発明は、第1アライメントマークが設けられた第1部材と第2部材を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程により得られた第1画像から前記第1アライメントマークを検出する検出工程と、
前記検出工程により検出された前記第1アライメントマークの位置に基づき前記第1部材と前記第2部材の相対位置を調整する位置調整工程と、
を有するアライメント方法であって、
前記検出工程では、前記第1画像における一部の領域を探索領域として設定し、前記探索領域内で前記第1アライメントマークを検出することを特徴とするアライメント方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、精度良くアライメントを行うことができるアライメント装置、アライメント方法及び成膜装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例の有機EL表示装置の製造ラインの一部の模式図である。
【
図3】アライメント装置の構成を概略的に示す図である。
【
図4】マスクと冷却板とのアライメント工程を説明する図である。
【
図5】アライメント工程で撮像により得られる画像データの一例を示す図である。
【
図6】基板とマスクとのアライメントを説明する図である。
【
図7】基板とマスクとのアライメントを説明する図である。
【
図8】マーク撮影画像と基準モデル画像とのパターンマッチング方式を説明する図である。
【
図9】電子デバイスの製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施例を説明する。ただし、以下の実施例は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲はそれらの構成に限定されない。また、以下の説明における、装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、処理フロー、製造条件、寸法、材質、形状などは、特に記載がないかぎりは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
本発明は、基板の表面に真空蒸着によってパターンの薄膜(材料層)を形成する装置に好ましく適用することができる。基板の材料では硝子、高分子材料のフィルム、金属などの任意の材料を選択することができるし、また、蒸着材料としても有機材料、金属性材料(金属、金属酸化物など)などの任意の材料を選択することができる。本発明の技術は、具体的には、有機電子デバイス(例えば、有機EL表示装置、薄膜太陽電池)、光学部材などの製造装置に適用可能である。その中でも、有機EL表示装置の製造装置において蒸着材料を蒸発させて有機EL表示素子を形成するのは、本発明は好ましい適用例の一つである。
【0014】
<電子デバイス製造ライン>
図1は、電子デバイスの製造ラインの構成の一部を模式的に示す上視図である。
図1の製造ラインは、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられる。スマートフォン用の表示パネルの場合、例えば約1800mm×約1500mmのサイズの基板に有機ELの成膜を行った後、該基板をダイシングして複数の小サイズのパネルが作製される。
【0015】
電子デバイスの製造ラインは、一般に、
図1に示すように、複数の成膜室11、12と、搬送室13とを有する。搬送室13内には、基板10を保持し搬送する搬送ロボット14が設けられている。搬送ロボット14は、例えば、多関節アームに、基板10を保持するロボットハンドが取り付けられた構造を持つロボットであり、各成膜室への基板10の搬入/搬出を行う搬送手段である。
【0016】
各成膜室11、12にはそれぞれ成膜装置(蒸着装置ともよぶ)が設けられている。搬送ロボット14との基板10の受け渡し、基板10とマスク15の相対位置の調整(アライメント)、マスク15上への基板10の固定、成膜(蒸着)などの一連の成膜プロセスは、成膜装置によって自動で行われる。以下、成膜室の成膜装置の構成に対して説明する。
【0017】
<成膜装置>
図2は、成膜装置2の構成を概略的に示す断面図である。以下の説明においては、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を使う。成膜時に基板10が水平面(XY平面)と平行に固定されると仮定し、基板10の短辺に平行な方向をX方向、長辺に平行な方向をY方向とする。またZ軸周りの回転角をθで表示する。
【0018】
成膜装置2は、成膜工程が行われる空間を定める真空チャンバ20を具備する。真空チャンバ20の内部は、真空雰囲気、或いは、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気で維持される。
【0019】
成膜装置2の真空チャンバ20内の上部には、基板10を保持して搬送する基板保持ユニット21、マスク15を保持して搬送するマスク保持ユニット22、基板10を冷却するための冷却板23、金属材質のマスク15に磁力を印加するためのマグネット板24、位置調整されたマスク15を置くマスク台25などが設けられ、成膜装置の真空チャンバ20内の下部には、蒸着材料が収納される成膜源26などが設けられる。
【0020】
基板保持ユニット21は、搬送室13の搬送ロボット14から受け取った基板10を保持し、搬送する手段であり、基板ホルダとも呼ぶ。
【0021】
マスク保持ユニット22は、成膜装置2の真空チャンバ20内に搬入されたマスク15をマスク台25上に載置するまでマスク15を保持及び搬送する手段である。
【0022】
基板保持ユニット21の下には、真空チャンバ20に固定されたフレーム状のマスク台25が設置され、マスク台25には、基板10上に形成される薄膜パターンに対応する開口パターンを有するマスク15が置かれる。特に、スマートフォン用の有機EL素子を製造するのに使われるマスク15は、微細な開口パターンが形成された金属製のマスクであり、FMM(Fine Metal Mask)とも呼ぶ。
【0023】
冷却板23は、基板保持ユニット21の支持部上方に設置されて、成膜時に基板10のマスク15とは反対側の面に密着され、成膜時の基板10の温度の上昇を抑制することで
有機材料の変質や劣化を抑制する役目をする板型部材である。
【0024】
冷却板23の上には、金属製のマスク15に磁力を印加してマスク15の撓みを防止し、マスク15と基板10とを密着させるためのマグネット板24が設けられる。マグネット板24は、永久磁石又は電磁石からなることができ、複数のモジュールに区画されることができる。また、マグネット板24は、冷却板23と一体に形成されることもできる。
【0025】
成膜源26は、基板10に成膜される蒸着材料が収納されるるつぼ(不図示)、るつぼを加熱するためのヒータ(不図示)、蒸着源からの蒸発レートが一定になるまで蒸着材料が基板10に飛散することを阻むシャッタ(不図示)などを含む。成膜源26は、点蒸着源、線形蒸着源、リボルバ蒸着源など、用途によって多様な構成を持つことができる。
【0026】
図2に図示しなかったが、成膜装置2は、基板10に蒸着された膜の厚さを測定するための膜厚モニタ(不図示)及び、膜厚算出ユニット(不図示)を含む。
【0027】
成膜装置2の真空チャンバ20の外部上面には、基板保持ユニット21、マスク保持ユニット22、冷却板23/マグネット板24などを鉛直方向(Z方向、第3方向)に昇降させるための昇降機構、及び基板10のマスク15に対するアライメント又は、マスク15の冷却板/マグネット板に対するアライメントのために水平面に平行に(X方向、Y方向、θ方向に)基板保持ユニット21及び/又はマスク保持ユニット22を移動させるための駆動機構(アライメントステージ)などが設置される。
【0028】
冷却板23及びマグネット板24をZ方向に昇降させるための昇降機構は、基板保持ユニット21をXYθ方向に移動させるためのアライメントステージから分離/独立しており、アライメントステージのXYθ移動によってそれに繋がっている基板保持ユニット21がXYθ移動をする場合にも、冷却板/マグネット板昇降機構はXYθ移動をしないでXYθ方向に固定されるようにする。
【0029】
成膜装置2には、マスク15と基板10のアライメントのために、真空チャンバ20の天井に設けられた窓28を通じて基板10及びマスク15に形成されたアライメントマークを撮影するアライメントカメラ40が設けられる。アライメントカメラ40は、冷却板23、基板10、マスク15の所定の領域が視野に収めることができるように配置されている。アライメントカメラ40によって撮影された冷却板23、基板10、マスク15の所定の領域の画像データに基づく制御部29による画像処理によって、冷却板23とマスク15とを位置合わせするマスクアライメント、及び、マスク15と基板10とを位置合わせする基板アライメントが行われる。
【0030】
以下、本実施例の成膜装置で行われる成膜プロセスの各ステップを説明する。まず、成膜装置の真空チャンバ20内に新しいマスク15が搬入されて、マスク保持ユニット22上に載置されると、マスク保持ユニット22に置かれたマスク15の位置を冷却板23の位置に対して調整するマスクアライメント工程が行われる。冷却板23に対して位置調整されたマスク15は、マスク保持ユニット22によって下降され、マスク台25上に置かれる。
【0031】
搬送室13の搬送ロボット14によって基板10が、真空チャンバ20内に搬入されて基板保持ユニット21に置かれる。続いて、基板10とマスク15の相対的位置の測定及び調整を行う基板アライメント工程が行われる。基板アライメント工程が完了すると、基板保持ユニット21が昇降機構によって降りて基板10をマスク15上に置き、その後、冷却板23とマグネット板24が昇降機構によって降りることで基板10とマスク15を密着させる。この状態で、成膜源26のシャッタが開かれて、成膜源26のるつぼから蒸
発された蒸着材料が、マスク15の微細パターン開口を通して基板10に蒸着される。
【0032】
基板10に蒸着された蒸着材料の膜厚が所定の厚さに到逹すると、成膜源26のシャッタが閉じ、その後、搬送ロボット14が、基板10を真空チャンバ20から搬送室13に搬出する。所定の枚数の基板10に対して、基板搬入から基板搬出までの工程を繰り返して行った後、蒸着材料が堆積されてこれ以上使うことができなくなったマスク15を、成膜装置から搬出して、新しいマスク15を成膜装置に搬入する。
【0033】
<アライメントステージ>
以下、
図3を参照して実施例1のアライメントステージ30の構成を説明する。真空チャンバ20の外部上面(第1外部面)には、基板10のマスク15に対する位置調整及びマスク15の冷却板/マグネット板に対する位置調整のために基板保持ユニット21及びマスク保持ユニット22をXYθ方向に移動させるための位置調整手段であるアライメントステージ30、基板保持ユニット21をZ軸方向に昇降させるための基板Z軸昇降機構31(基板第3方向駆動機構)、及び冷却板23及び/又はマグネット板24をZ軸方向に昇降させるための冷却板Z軸昇降機構32(冷却板第3方向駆動機構)、マスク15をZ軸方向に昇降させるためのマスクZ軸昇降機構33(マスク第3方向駆動機構)が設置される。
【0034】
アライメントステージ30は、真空チャンバの外部上面に固定されたアライメントステージ駆動用モータ301(第1モータ)からリニアガイド(第1駆動力伝達機構)を通じてXYθ方向への駆動力を受ける。すなわち、真空チャンバ外側上面にガイドレール(不図示)が固定されて設置され、ガイドレール上にリニアブロックが移動可能に設置される。リニアブロック上にアライメントステージベース板302(第1ベースプレート)が搭載される。真空チャンバの外側上面に固定されたアライメントステージ駆動用モータ301からの駆動力によってリニアブロックをXYθ方向に移動させることで、リニアブロック上に搭載されたアライメントステージベース板302を、すなわちアライメントステージ30全体をXYθ方向に移動させることができる。
【0035】
基板保持ユニット21を昇降させるための昇降機構及びマスク保持ユニット22を昇降させるための昇降機構は後述するようにアライメントステージ30に搭載されるので、基板保持ユニット21及びマスク保持ユニット22は、アライメントステージがXYθ方向に移動するにつれて、これらそれぞれに保持された基板10及びマスク15とともにXYθ方向に移動する。
【0036】
基板Z軸昇降機構31は、基板保持ユニット21をZ軸方向に昇降させる機構であり、アライメントステージベース板302上に設置される。真空チャンバ20内の基板保持ユニット21は、真空チャンバ20の外部上面を通して基板Z軸昇降機構31に繋がる。基板Z軸昇降機構31は、基板昇降駆動用モータ311(第3モータ)と基板昇降駆動用モータ311の駆動力を基板保持ユニット21に伝達するための基板昇降駆動力伝達機構(第3駆動力伝達機構)としてリニアガイド312を含む。実施例1では、基板昇降駆動力伝達機構としてリニアガイド312を使っているが、本発明はここに限定されず、ボールねじなどを使うこともできる。
【0037】
冷却板Z軸昇降機構32は、冷却板23及び/又はマグネット板24をZ方向に駆動させるための冷却板昇降駆動用モータ321(第2モータ)及び冷却板昇降駆動力伝達機構(第2駆動力伝達機構)としてボールねじ322を含み、真空チャンバの外部上面に固定された冷却板Z軸昇降機構ベース板323(第2ベースプレート)上に設置される。実施例1では、冷却板昇降駆動力伝達機構としてボールねじ322を使っているが、本発明はここに限定されず、リニアガイドなどを使うこともできる。
【0038】
このように、実施例1では、冷却板Z軸昇降機構32は、アライメントステージ30上に設置されず、アライメントステージ30から分離/独立されて真空チャンバ20の外部上面に固定された冷却板Z軸昇降機構ベース板323に設置されるので、アライメントステージ30がXYθ方向に移動しても、冷却板Z軸昇降機構32はXYθ方向には移動せずXYθ方向には固定される。
【0039】
マスクZ軸昇降機構33は、マスク保持ユニット22をZ軸方向に昇降させるための機構であり、アライメントステージ30に搭載される。真空チャンバ20内のマスク保持ユニット22は、真空チャンバ20の外部上面を通してマスクZ軸昇降機構33に繋がっている。マスクZ軸昇降機構33は、マスク昇降駆動用モータ331(第4モータ)とボールねじ332(第4駆動力伝達機構)を含み、マスク15交換の時に使用済みのマスク15を搬送ロボットで排出して、新しいマスク15を受け取り、マスクアライメント工程を経ってマスク15をマスク台25上に載せるまでマスク保持ユニット22を昇降させる機能を遂行する。
【0040】
制御部29は、アライメントステージ駆動用モータ301、基板昇降駆動用モータ311、冷却板昇降駆動用モータ321及びマスク昇降駆動用モータ331を制御することにより、アライメントステージ30、基板Z軸昇降機構31、冷却板Z軸昇降機構32及びマスクZ軸昇降機構33の動作を制御する。以下の説明におけるアライメントステージ30、基板Z軸昇降機構31、冷却板Z軸昇降機構32及びマスクZ軸昇降機構33の動作は、制御部29の制御のもとに行われる。なお、
図3では、図面が煩雑になるのを避けるため、制御部29とその制御対象の部材との接続線は記載を省略した。制御部29は、不揮発メモリ等により構成される記憶手段291に情報を格納し、記憶手段291に記憶された情報を取得することができる。
【0041】
<マスクアライメント>
図4を参照してマスク15のアライメント工程を説明する。マスク15の交換時期になると、マスクZ軸昇降機構33は、マスク保持ユニット22をZ軸方向に駆動させて、使用済みのマスク15を、マスク台25上の蒸着位置から搬送ロボットがマスク15を受け取りすることができる排出位置に上昇させる。搬送ロボットは、使用済みのマスク15をマスク保持ユニット22から受け取って、真空チャンバ外に排出し、新しいマスク15を真空チャンバ内に搬入して、排出位置にとどまっているマスク保持ユニット22に新しいマスク15を渡す。
【0042】
続いて、
図4(d)及び
図4(e)に図示したように、真空チャンバ20の外部上面に設置されたアライメントカメラ40を使って、マスク保持ユニット22に載せられているマスク15のアライメントマークであるマスクマーク16を撮影する。アライメントカメラ40は、
図4(e)に示すように、撮影により得られる画像データ42内に、マスクマーク16との位置合わせに用いる仮想アライメントマーク412の画像を合成して出力可能である。言い換えると、アライメントカメラ40のFOVには仮想アライメントマーク412が現れるようにすることが可能であり、被写体の画像と仮想アライメントマーク412の画像を含む画像データを出力可能である。
【0043】
アライメントカメラ40による撮影により得られた画像データ42は、制御部29に送信され、制御部29は受信した画像データ42に対し画像処理を行って、仮想アライメントマーク412とマスクマーク16との相対的な位置を測定する。測定結果に基づき、アライメントステージ30によってマスク保持ユニット22をXYθ方向に移動させて、マスク15の位置を調整する。この時、冷却板23/マグネット板24が設置された冷却板Z軸昇降機構32は、アライメントステージ30から分離及び独立されて設置されるため
、マスク保持ユニット22に保持されたマスク15に対して冷却板23/マグネット板24を相対移動させてこれらの位置を調整することができる。なお、
図4(e)に示す仮想アライメントマーク412の形状やマスクマーク16の形状は一例であり、これに限らない。仮想アライメントマーク412は、仮想アライメントマーク412とマスクマーク16とを位置合わせすることによりマスク15と冷却板23及びマグネット板24との位置合わせが可能となるように予め構成されている。
【0044】
なお、
図4(a)、
図4(b)に示すように、冷却板23の下面又は、マグネット板24の上面に設置されたアライメントマークプレート41のアライメントマーク411とマスク保持ユニット22に載せられているマスク15のアライメントマークであるマスクマーク16をアライメントカメラ40により撮影してマスクアライメントを行うこともできる。この場合、
図4(c)に示すように、アライメントカメラ40による撮像により得られる画像データ42内に、アライメントマーク411とマスクマーク16の両方が含まれるように撮影を行う。画像データ42は、制御部29に送信され、制御部29は受信した画像データ42に対し画像処理を行って、アライメントマーク411とマスクマーク16との相対的な位置を測定する。
図4(c)の例では、アライメントマークプレート41の平面形状は凸字状であり、アライメントマークプレート41に形成されたアライメントマーク411は円形の開口により形成されるが、アライメントマークプレート41及びアライメントマーク411の構成はこれに限定されない。マスクマーク16は、マスク15のフレーム上に形成された十字形の模様であるが、マスクマーク16の構成はこの例に限られない。なお、マスクマーク16とアライメントマーク411はマスク15と冷却板23にそれぞれ複数設けられていても良い。その場合、複数箇所のアライメントマーク411及びマスクマーク16の位置に対応した位置に複数のアライメントカメラ40を設け、複数のアライメントカメラ40から出力される複数の画像データに基づいてマスクアライメントを行うことで、より精度良くアライメントを行うことができる。
【0045】
アライメントマークの撮影結果に基づき、冷却板23/マグネット板24とマスク保持ユニット22に載せられているマスク15の相対的位置がXYθ方向にずれていることが判明した場合、アライメントステージ30によってマスク保持ユニット22をXYθ方向に移動させて、マスク15を冷却板23/マグネット板24に対して位置調整する。この時、冷却板23/マグネット板24が設置された冷却板Z軸昇降機構32は、アライメントステージ30から分離及び独立されて設置されるため、マスク保持ユニット22に保持されたマスク15に対して冷却板23/マグネット板24を相対移動させてこれらの位置を調整することができる。
【0046】
マグネット板24の上面にアライメントマークプレート41を設置する場合、マグネット板24への設置が簡単で設置位置を正確にできる。これに比べて、冷却板23の下面にアライメントマークプレート41を設置するためには、冷却板23の下面側にアライメントマークプレート41を埋め込まなければならないので設置が複雑になるが、アライメントカメラ40の焦点が合わせられているマスク15のマスクマーク16にもっと近く設置されることができるため、アライメントカメラ40によるアライメントマークの認識精度を高めることができる。
【0047】
制御部29は、上記のマスク15と冷却板23とのアライメントであるマスクアライメント工程において撮影された画像データ42におけるマスクマーク16の位置を記憶する。画像データ42は、アライメントカメラ40の視野に対応する。
図5(a)に示すように、マスクマーク16の位置として、制御部29は、例えば、マスクマーク16の中心点の座標(x1,y1)を記憶する。なお、制御部29は、画像データ42におけるマスクマーク16の位置に基づいて後述する探索領域を決定し、探索領域の位置及びサイズを記憶するようにしてもよい。
【0048】
マスクアライメントが完了すると、マスクZ軸昇降機構33によってマスク保持ユニット22を下降させてマスク15を排出位置からマスク台25上の蒸着位置まで下降させた後、マスク台25上にマスク15を載置する。以上のようなマスクアライメント工程を通じて、マスク15と冷却板23/マグネット板24の位置を相対的に調整することができる。
【0049】
<基板アライメント>
成膜装置2の真空チャンバ20内に基板10が、搬送室13の搬送ロボット14によって搬入されて搬入位置に待機した基板保持ユニット21に載置されると、基板Z軸昇降機構31によって基板保持ユニット21がZ軸方向に降りてマスク15の上方の決まった高さの計測位置に移動する。続いて、
図6に示すように、アライメントカメラ40によって、基板保持ユニット21によって保持された基板10のアライメントマーク17(基板マーク)と、マスク台25に置かれた状態のマスク15のアライメントマーク16(マスクマーク)を撮影する。アライメントカメラ40による撮像により得られた画像データは、制御部29に送信され、制御部29は受信した画像データに対し画像処理を行って、基板マーク17とマスクマーク16との相対的な位置を測定する。
【0050】
基板10とマスク15とのアライメント(基板アライメント)について説明する。
図7(A)は、基板10を上から見た図である。基板10には基板マーク17a、17b、17c、17d(適宜、基板マーク17と総称する)が基板10の四隅に設けられている。基板マーク17a~17dのそれぞれを、対応する4つのアライメントカメラ40a~40d(適宜、アライメントカメラ40と総称する)それぞれによって同時に撮像し、撮像された画像に基づき基板マーク17a~17dのそれぞれの中心点の位置を取得する。4点の位置関係から基板10の位置情報を取得することができる。
【0051】
図7(B)は、マスク15を上から見た図である。マスク15は、枠状のマスクフレーム15aに数μm~数十μm程度の厚さのマスク箔15bが溶接固定された構造を有する。マスクフレーム15aは、マスク箔15bをその面方向(X方向及びY方向)に引っ張った状態で、マスク箔15bが撓まないように支持する。マスク箔15bは、基板10に成膜するパターンに応じた開口が形成する境界部を有し、基板10にマスク15を載置した状態で境界部が基板10に密着し、蒸発やスパッタリングにより基板10に向かって飛来した成膜材料を遮蔽する。基板10としてガラス基板又はガラス基板上にポリイミド等の樹脂製のフィルムが形成された基板を用いる場合、マスクフレーム15a及びマスク箔15bの主要な材料としては、鉄又は鉄合金、例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。
【0052】
マスクフレーム15aにはマスクマーク16a、16b、16c、16d(適宜、マスクマーク16と総称する)がマスクフレーム15aの四隅に設けられている。マスクマーク16a~16dのそれぞれを、対応する4つのアライメントカメラ40a~40dそれぞれによって撮像し、撮像された画像に基づきマスクマーク16a~16dのそれぞれの中心点の位置を取得する。4点の位置関係からマスク15の位置情報を取得することができる。なお、基板マーク17、マスクマーク16、アライメントカメラ40の位置や数は、この例に限定されない。また、基板10には、基板マーク17の他に角度調整を行うためのアライメントマーク(角度マーク)が設けられていてもよい。
【0053】
図7(C)は、アライメントカメラ40の視野44及び視野44内に捉えられた1組の基板マーク17及びマスクマーク16を模式的に示した図である。アライメントカメラ40の視野44内に基板マーク17とマスクマーク16の両方が同時に入っていれば、その視野44を撮像して得られた画像データに基づき基板マーク17とマスクマーク16の中
心点の位置関係を取得することができる。基板マーク17とマスクマーク16の中心点の座標は、アライメントカメラ40の撮像によって得られた画像データに基づいて、制御部29の実行する画像処理により求められる。なお、画像処理は制御部29とは別途に設けられる画像処理装置で行ってもよい。また、基板マーク17とマスクマーク16の形状は
図7に例示した四角形や十字形に限られないが、アライメントマークとしては中心位置を算出しやすく対称性を有する×印や丸形等のような形状を用いることが好ましい。
【0054】
複数のアライメントカメラ40は、真空チャンバ20の内部で支持されている基板10に設けられた基板マーク17とマスク15に設けられたマスクマーク16とを撮像可能な位置に設置される。基板10とマスク15とのアライメントを行う際には、アライメントカメラ40の撮像視野内に基板マーク17及びマスクマーク16が含まれる。制御部29は、アライメントカメラ40による撮像により得られた基板マーク17及びマスクマーク16の画像を含む画像データに基づき、基板10及びマスク15の位置を取得し、基板10の成膜面に沿う方向における基板10とマスク15との相対的な位置関係を測定する。
【0055】
制御部29は、アライメントカメラ40によって撮像された画像データ43を解析して基板マーク17及びマスクマーク16を検出し、基板マーク17及びマスクマーク16の位置を取得する。ここで、基板10の表面に汚れが存在した場合、
図5(b)に示すように、画像データ43に汚れに対応するノイズ画像19a、19bが存在することになる。この場合、画像処理において、ノイズ画像19a、19bがマスクマークとして誤検出されてしまう可能性がある。そうすると、マスクマーク16の正確な位置を取得することができず、結果として基板10とマスク15とのアライメントを精度良く行えないことになる。
【0056】
そこで実施例1では、制御部29は、マスクアライメント工程において撮像された
図5(a)に示す画像データ42において検出されたマスクマーク16の位置(x1,y1)を記憶しておく。そして、マスクマーク16の位置に基づき、基板アライメント工程において撮像された画像データ43においてマスクマーク16を探索するマスクマーク探索領域160を設定する。マスクマーク探索領域160は、例えば、マスクマーク16の位置(x1,y1)を中心としてX方向に所定の幅ΔX、Y方向に所定の幅ΔYを有する矩形領域とすることができる。なお、マスクマーク探索領域160の設定方法(大きさや形状)はこの例に限らず、例えばマスクマーク16の位置(x1,y1)を中心とする円形や楕円形の領域を設定してもよい。
【0057】
制御部29は、基板アライメント工程において撮像された画像データ43のうち、マスクマーク探索領域160のみを対象としてマスクマーク16の探索を行う。マスクマーク16の探索方法は、例えば、マスクマーク16のモデル画像との相関値が最も高い位置を探索するパターンマッチングの画像処理により行うことができる。
【0058】
図8に示すように、探索領域160内で基準モデル画像310と同一のサイズを持つ領域の画像データ(例えば、画素別の輝度データ)と基準モデル画像310のデータ(例えば、画素別の輝度データ)を互いに比較して、これらの画像間の相関関係値(correlation value、例えば、基準モデル画像310及び探索領域160内の当該領域の全体画素の輝度データが一致する度合いを表すパラメータの値)を算出する。算出された相関関係値が所定の閾値を越えて十分な相関関係を持っている場合には、探索領域160内に基準モデル画像310に対応するマスクマーク16が存在すると判定する。算出された相関関係値が所定の閾値に及ばない場合(つまり、探索領域160内の当該領域の画像と基準モデル画像310が十分に一致しないと判定される場合)には、探索領域160内の領域をXY平面上で1画素ずつ移動させながら探索領域160内の他の領域について同一の過程を繰り返して探索領域160内に基準モデル画像310が存在するかどう
かを検出する。探索領域160内に基準モデル画像310との相関関係値が閾値を超える領域が複数存在する場合は、相関関係値が最も大きい領域の位置を基準モデル画像310に対応するマスクマーク16の位置と特定することができる。
【0059】
この際、使用されるマスクマーク16の基準モデル画像310は、マスクマーク16の設計データ(サイズ及び形状等)に基づいてソフトウェアによって人為的に合成することによって作成したり(人工画像モデル;artificial model)、基板10やマスク15のアライメントマークの実画像をカメラで撮影して、各画素別の輝度データを抽出してこれを記憶手段に記憶しておくことにより、作成したりすることができる(実画像モデル;real model)。
【0060】
アライメントカメラ40の位置は固定されていて、そのフォーカスは蒸着位置に合わせているため、アライメントカメラ40で撮影された画像上のマスクマーク16は基板10の位置(高さ)に応じて(基板10が蒸着位置にあるか、それとも計測位置にあるかに応じて)異なる形状(例えば、サイズ)を持つようになり、フォーカスの度合いが異なる。従って、計測位置と蒸着位置の両方でそれぞれの基準モデル画像310を作成しておき、フォーカス度合いに応じて実画像モデルを適用するか、又は人工画像モデルを適用するかを決定してもよい。なお、マスクマーク16の探索方法は上記の例に限られない。
【0061】
基板10に汚れが存在することに起因して、マスク15と基板10をアライメントカメラ40により撮像して得られた画像データ43にノイズ画像19a、19bが存在しても、マスクマーク探索領域160内にはノイズ画像が存在しないか、存在したとしてもマスクマーク探索領域160と基準モデル画像310とがパターンマッチングしない程度の微小なノイズ画像になるため、ノイズ画像19a、19bをマスクマークとして誤検出してしまうことを抑制できる。これにより、高精度でマスクマーク16を検出することができ、結果として高精度で基板10とマスク15のアライメントを行うことができる。また、マスクマーク16の探索領域の大きさがマスクマーク探索領域160の大きさに限られるため、画像データ43の全体を対象としてマスクマーク16を探索する場合と比較してマスクマークの検出に要する画像処理の負荷を軽減でき、処理速度を向上させることができる。
【0062】
なお、画像データ43においてマスクマーク探索領域160を設定する処理は、基板10が真空チャンバ20内に搬入されてから、基板Z軸昇降機構31によって基板保持ユニット21がZ軸方向に降りてマスク15の上方の決まった高さの計測位置に移動するまでの間に、実行するようにしてもよい。そうすることにより、基板10が計測位置に到達して、アライメントカメラ40によって基板マーク17とマスクマーク16の撮影が行われるタイミングではマスクマーク探索領域160が決定されている状態となるため、アライメントカメラ40によって画像データ43が得られ次第、マスクマーク探索領域160内でマスクマーク16の探索のための画像処理を開始することができ、アライメントの処理時間をより短縮することができる。
【0063】
制御部29は、画像データ43の解析に基づき取得した基板マーク17及びマスクマーク16の位置情報に基づき、基板10の成膜面に平行なXY面に沿う方向における基板マーク17とマスクマーク16の相対的な位置関係を取得する。相対的な位置関係の情報は、例えば、基板マーク17とマスクマーク16の間の距離及び角度である。制御部29は、基板マーク17とマスクマーク16の相対的な位置関係に基づき、基板マーク17とマスクマーク16を接近させるための基板10のX方向、Y方向及びθZ方向の移動量を算出する。算出したX方向、Y方向及びθZ方向の移動量をアライメントステージ30のアライメントステージ駆動用モータ301の駆動量に変換し、制御信号を出力する。これにより基板10とマスク15の相対的な位置がXY面内で移動する。このとき、基板10と
マスク15のZ方向の距離は変化せず、XY面内において位置が変化する。XY面は、撓みのない理想的な状態における基板10の成膜面と平行な面であり、本実施例では水平面と平行である。アライメントステージ30、アライメントカメラ40、制御部29は、基板10とマスク15が離隔している離隔状態において、基板10の成膜面に沿う方向における基板10とマスク15との相対的な位置関係の測定結果に基づき、基板10とマスク15との基板10の成膜面に平行なXY面内での相対的な位置を調整するアライメントを行うアライメント装置を構成する。
【0064】
なお、実施例1では1種類のアライメントカメラ40を用いてアライメントを行う例を説明したが、2種類以上の異なる倍率及び視野を有するカメラを用いてアライメントを行うこともできる。例えば、比較的広い視野を有するが低倍率(低解像度)のカメラと、比較的狭い視野を有するが高倍率(高解像度)のカメラとを用いたアライメント方法がある。まず、低倍率カメラを用いて基板マーク17とマスクマーク16がともに高倍率カメラの視野内に入るよう大まかに位置調整するラフアライメントを行い、次に、高倍率カメラを用いて基板マーク17とマスクマーク16の位置を高精度に合わせるファインアライメントを行うこともできる。ラフアライメントではマスク15と基板10とが撓みを考慮しても接触しない離隔状態に保持してアライメントを行い、ファインアライメントではマスク15と基板10とが接触する程度まで接近させた状態で保持してアライメントを行ってもよい。ラフアライメント及びファインアライメントのうち、先行して実施されたマスクアライメントで用いられたアライメントカメラ40と同じ視野を有するアライメントカメラを用いて行われるアライメントにおいて、上記のようにマスクマーク探索領域160を設定した上でのマスクマーク16の探索処理を行うことができる。
【0065】
上記の基板アライメントでは、アライメントカメラ40によって撮影された画像データ43における基板マーク17及びマスクマーク16の画像に基づき基板10とマスク15の位置関係を測定し、アライメントを行う例を説明したが、基板アライメントにおいても、
図5(c)に示すように、アライメントカメラ40のFOVに仮想的なアライメントマーク412が現れるように構成し、画像データ43における仮想的なアライメントマーク412及び実際にマスク15上に存在するマスクマーク16の画像に基づき基板10とマスク15の位置関係を測定し、アライメントを行うようにしてもよい。この場合、基板10を保持する基板保持ユニット21とアライメントカメラ40との位置関係等の成膜装置2の構成に基づき、アライメントカメラ40のFOVに現れる仮想的なアライメントマーク412の位置と基板10の位置との対応関係を予め求めておくことにより、仮想的なアライメントマーク412及びマスクマーク16に基づく基板アライメントを行うことができる。このように仮想的なアライメントマーク412を用いる場合も、
図4(c)に示すように、基板10に汚れや傷が存在することに起因して画像データ43にノイズ画像19a、19bが現れることがある。これに対し、
図4(a)に示すマスクアライメント時の撮影で得られた画像データ42におけるマスクマーク16の位置に基づき探索領域160を設定し、画像データ43内の探索領域160に限定してマスクマーク16の探索を行うことで、ノイズ画像19a、19bをマスクマークと誤認識してしまうことを抑制できる。また、マスクマーク16の探索に要する画像処理の負荷を軽減することができ、基板アライメントにかかる処理時間の短縮を図ることができる。
【0066】
実施例1では、基板10のZ方向の位置を、撓みを考慮して基板10とマスク15とが接触しない所定の位置に保持した離隔状態で、アライメントステージ30を駆動して基板10とマスク15とのアライメントを行う。アライメントを行うときの基板10のZ方向の位置をアライメント位置と称する。また、基板10とマスク15のアライメント完了後、基板10を下降させてマスク15に載置し、基板10とマスク15を密着させた載置状態に切り替える。このときの基板10のZ方向の位置をマスク載置位置と称する。アライメントカメラ40は、基板10がアライメント位置にあるときとマスク載置位置にあると
きの少なくとも2つの位置にあるときの基板マーク17及びマスクマーク16の撮像を行う。制御部29は、離隔状態であるアライメント位置においてアライメントカメラ40によって基板マーク17とマスクマーク16を撮像し、撮像画像に基づいてアライメントを行う。アライメント完了後、載置状態であるマスク載置位置においてアライメントカメラ40によって基板マーク17とマスクマーク16を撮像し、撮像画像に基づいて、基板10をマスク15に載置する過程で基板10とマスク15の接触等に起因して位置ずれが生じていないか確認する。位置ずれが生じている場合は、再度、アライメント位置においてアライメントを行う。
【0067】
成膜装置2の真空チャンバ20内に基板10を搬入する過程で、搬送ロボット14による搬送誤差によって、基板保持ユニット21に基板10がずれて置かれた場合、基板10とマスク台25に置かれたマスク15との間に相対的な位置ずれが発生する。この場合、基板保持ユニット21が繋がれているアライメントステージ30をXYθ方向に移動させて、基板10とマスク15の相対的な位置を調整する。このように基板10をマスク台25上のマスク15に対して位置調整するためにアライメントステージ30をXYθ方向に移動させても、実施例1では、冷却板Z軸昇降機構32がアライメントステージ30から分離して独立に真空チャンバ20の外部上面に固定されているので、冷却板Z軸昇降機構32はXYθ方向に移動せず、マスクアライメント完了時の冷却板23/マグネット板24とマスク15との間の位置調整のされた状態を維持することができる。
【0068】
また、搬送ロボット14による基板10の搬送誤差によって、基板10が冷却板23に対して相対的にずれた位置で基板保持ユニット21上に載置された場合、基板10をマスク台25上のマスク15に対して位置調整することで、マスクアライメント工程を通じてマスク台25上のマスク15に対し位置調整されている冷却板23と基板10との間の位置調整もできるようになる。
【0069】
基板10のマスク15に対するアライメントが完了すると、基板保持ユニット21は基板Z軸昇降機構31によってマスク15上に降りてマスク15上に基板10を下ろす。これにより基板10がマスク15に載置された載置状態に切り替える。基板Z軸昇降機構31は、離隔状態と載置状態とを切り替えるように基板10を成膜面に交差する方向に移動させる移動手段である。実施例1では、基板10の移動方向はZ方向に略平行である。
【0070】
続いて、冷却板Z軸昇降機構32の駆動によって冷却板23及びマグネット板24が降りて基板10の上面に置かれる。この際、マグネット板24の磁力によって金属性のマスク15が引力を受けるようになり、これにより、基板10とマスク15が密着状態になる。
【0071】
実施例1によれば、基板10とマスク15のアライメント時に、基板10の汚れ等によりアライメントカメラ40の撮像によって得られた画像データにノイズ成分が含まれる場合でも、精度良く、高速に、アライメントマークを検出することが可能となる。従って、基板10とマスク15のアライメントを精度良く行うことができる。
【0072】
実施例1では、マスク15と冷却板23とのマスクアライメントを行った後、基板10とマスク15との基板アライメントを行う場合に、マスクアライメント時に測定したマスクマーク16の位置に基づき、基板アライメント時のマスクマーク探索領域160を設定する例を説明したが、本発明はこの例に限られない。
【0073】
例えば、基板キャリアに基板を保持させて基板キャリアをローラやリニアモータを用いて搬送することで基板を搬送する構成を有する成膜装置に本発明を適用することができる。この場合、基板を基板キャリアに載置する際に、基板を搬送するハンドの動作や基板と
基板キャリアとの接触等により、基板と基板キャリアとの位置が想定している位置からずれることがある。そこで、基板に設けたアライメントマーク(基板マーク)と基板キャリアに設けたアライメントマーク(キャリアマーク)をアライメントカメラで撮影して、得られた画像データを解析することにより、基板と基板キャリアとの位置ずれを補正するアライメントを行うことができる。その際にも、基板や基板キャリアに汚れが付着している場合、その汚れがアライメントマークとして誤検出される可能性がある。そこで、基板と基板キャリアとのアライメントに先行して、基板マーク又はキャリアマークのみがアライメントカメラの視野に入る状態で撮像を行い、検出された基板マーク又はキャリアマークの位置に基づいて探索領域を設定し、基板と基板キャリアとのアライメント時には、撮像により得られた画像データのうち探索領域内に限定して基板マーク又はキャリアマークを探索する画像処理を行うことができる。これにより、汚れをアライメントマークとして誤検出することを抑制でき、基板マーク又はキャリアマークの探索の画像処理に要する時間を短縮することができる。
【0074】
同様に、基板を吸着する静電チャックと基板とのアライメントや、真空チャンバ内でマスクを載置するマスク台とマスクとのアライメント等の、種々のアライメントを行うアライメント装置に本発明を適用することで、アライメントの精度を高め、画像処理を速くすることができる。すなわち、本発明は、第1部材に設けられた第1アライメントマークと第2部材に設けられた第2アライメントマークを撮影して得られた第1画像データから第1アライメントマークの位置と第2アライメントマークの位置を検出し、検出結果に基づき第1部材と第2部材との相対位置を調整するアライメント装置に適用できる。この場合、第1アライメントマークのみを撮影して得られた第2画像データに基づき、第1画像データの一部の領域を探索領域に設定し、第1画像データのうち探索領域において第1アライメントマークを検出する。また、本発明は、FOVに仮想的なアライメントマークを出現させて撮影可能なアライメントカメラを用いて、位置合わせ対象の2つの部材のいずれか一方に設置されたアライメントマークを撮影し、FOVの仮想的なアライメントマークと当該撮影した部材上のアライメントマークとに基づき、当該2つの部材の位置合わせを行うアライメント装置にも適用することができる。すなわち、本発明は、第1部材と第2部材との位置合わせを行うアライメント装置において、第1部材及び第2部材を撮影して得られた第1画像データから第1部材に設けられたアライメントマークを検出し、検出結果に基づき第1部材と第2部材との相対位置を調整するアライメント装置に適用できる。この場合、第1部材のみを撮影して得られた第2画像データにおける第1部材のアライメントマークの位置に基づき、第1画像データの一部の領域を探索領域に設定し、第1画像データのうち探索領域においてアライメントマークを検出する。
【0075】
なお、探索領域は、第1アライメントマークのみを撮影して得られた第2画像データに基づき設定する方法に限られない。第1画像データのうち、第1アライメントマークが存在する可能性が高い領域の位置や大きさは、第1部材における第1アライメントマークの設けられた位置の情報から予めある程度予測することができる。予め予測した第1アライメントマークが存在する可能性が高い領域を、探索領域として設定してもよい。この場合、第1部材と第2部材のアライメントに先行して、第1アライメントマークのみを撮像する工程は必ずしも必要ない。第1画像データにおいて第1アライメントマークが存在する可能性が高い領域の位置や大きさの情報を予め不揮発メモリ等の記憶手段291に記憶させておき、制御部29は記憶手段291から取得した探索領域の情報を用いて、第1画像データから第1アライメントマークを検出するようにしてもよい。なお、上記の実施例では、先行するマスクアライメント時に検出したマスクマーク16の位置(x1,y1)の情報を記憶手段291に記憶させておき、基板アライメント時に記憶手段291から読み出したマスクマーク16の位置情報に基づき探索領域160を設定する方法を例示したが、この例に限られない。例えば、マスクアライメント時にマスクマーク16の位置情報に基づき探索領域160を決定し、探索領域160の情報を記憶手段291に記憶させてお
き、基板アライメント時に記憶手段291から探索領域160の情報を取得してマスクマーク16の検出処理を行ってもよい。
【0076】
<電子デバイスの製造方法>
次に、本実施例の成膜装置を用いた電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成及び製造方法を例示する。
【0077】
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。
図9(a)は有機EL表示装置60の全体図、
図9(b)は1画素の断面構造を表している。
図9(a)に示すように、有機EL表示装置60の表示領域61には、発光素子を複数備える画素62がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域61において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本実施例にかかる有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子62R、第2発光素子62G、第3発光素子62Bの組み合わせにより画素62が構成されている。画素62は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組み合わせで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン発光素子と白色発光素子の組み合わせでもよく、少なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。
【0078】
図9(b)は、
図9(a)のA-B線における部分断面模式図である。画素62は、基板63上に、第1電極(陽極)64と、正孔輸送層65と、発光層66R、66G、66Bのいずれかと、電子輸送層67と、第2電極(陰極)68と、を備える有機EL素子を有している。これらのうち、正孔輸送層65、発光層66R、66G、66B、電子輸送層67が有機層に当たる。また、本実施例では、発光層66Rは赤色を発する有機EL層、発光層66Gは緑色を発する有機EL層、発光層66Bは青色を発する有機EL層である。発光層66R、66G、66Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。また、第1電極64は、発光素子毎に分離して形成されている。正孔輸送層65と電子輸送層67と第2電極68は、複数の発光素子62R、62G、62Bと共通で形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、第1電極64と第2電極68とが異物によってショートするのを防ぐために、第1電極64間に絶縁層69が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層70が設けられている。
【0079】
図9(b)では正孔輸送層65や電子輸送層67が一つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によって、正孔ブロック層や電子ブロック層を含む複数の層で形成されてもよい。また、第1電極64と正孔輸送層65との間には、第1電極64から正孔輸送層65への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔注入層を形成することもできる。同様に、第2電極68と電子輸送層67の間にも電子注入層が形成されことができる。
【0080】
次に、有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)及び第1電極64が形成された基板63を準備する。
【0081】
第1電極64が形成された基板63の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法により、第1電極64が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層69を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
【0082】
絶縁層69がパターニングされた基板63を第1の有機材料成膜装置に搬入し、基板保持ユニットにて基板を保持し、正孔輸送層65を、表示領域の第1電極64の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層65は真空蒸着により成膜される。実際には、正孔輸送層65は表示領域61よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。
【0083】
次に、正孔輸送層65までが形成された基板63を第2の有機材料成膜装置に搬入し、基板保持ユニットにて保持する。基板とマスクとのアライメントを行い、基板をマスクの上に載置し、基板63の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層66Rを成膜する。
【0084】
本実施例によれば、成膜装置の冷却板/マグネット板を昇降させる冷却板Z軸昇降機構32をアライメントステージ30から分離/独立することで、搬送ロボット14による搬送誤差を解消するためにアライメントステージ30を駆動して位置補正をする場合にも冷却板/マグネット板、基板、マスクの間の相対的位置を効果的に調整させることができるし、これによって成膜不良を効果的に低減させることができる。
【0085】
発光層66Rの成膜と同様に、第3の有機材料成膜装置により緑色を発する発光層66Gを成膜し、さらに第4の有機材料成膜装置により青色を発する発光層66Bを成膜する。発光層66R、66G、66Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置により表示領域61の全体に電子輸送層67を成膜する。電子輸送層67は、3色の発光層66R、66G、66Bに共通の層として形成される。
【0086】
電子輸送層67まで形成された基板を金属性蒸着材料成膜装置で移動させて第2電極68を成膜する。その後プラズマCVD装置に移動して保護層70を成膜して、有機EL表示装置60が完成する。
【0087】
絶縁層69がパターニングされた基板63を成膜装置に搬入してから保護層70の成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気の下で行われる。
【0088】
上記の実施例は本発明の一例を説明したもので、本発明は上記の実施例の構成に限定されないし、その技術思想の範囲内で適切に変形しても良い。
【符号の説明】
【0089】
10:基板、15:マスク、16:マスクマーク、17:基板マーク、29:制御部、30:アライメントステージ、40:アライメントカメラ、160:探索領域