(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157540
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】レーザアブレーション再堆積物を低減するための真空チャンバ内制御ガス膜デバイス
(51)【国際特許分類】
B23K 15/00 20060101AFI20241030BHJP
B23K 26/16 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B23K15/00 507
B23K15/00 508
B23K26/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024070188
(22)【出願日】2024-04-24
(31)【優先権主張番号】63/498,227
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/509,205
(32)【優先日】2023-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ヤロスラフ ヴェルコフスキー
(72)【発明者】
【氏名】レムコ ティー.ジェイ.ピー.グルツ
(72)【発明者】
【氏名】マレク メリチャール
【テーマコード(参考)】
4E066
4E168
【Fターム(参考)】
4E066AA01
4E066AA02
4E066BA13
4E066BE08
4E066BF08
4E168AD01
4E168AD18
4E168CB22
4E168FC01
4E168FC04
(57)【要約】
【課題】従来技術の問題を解決する。
【解決手段】レーザアブレーション又はイオンビームミリングに関連付けられる表面汚染及びデブリ堆積は、ワークピースへ方向付けられた流れを好適な真空圧力での吸引と組み合わせることによって、低減される。真空圧力は、典型的には、真空チャンバ内の離れた表面上への堆積を回避するために、どの汚染物質又はデブリも相対的に短い平均自由行程を有するように選択される。シャッタを使用して、加工中に荷電粒子ビーム光学カラムの一部分を遮蔽することができる。相対的に短いMFPに関連付けられた真空圧力での加工を、相対的に長いMFPに関連付けられた真空圧力での加工と組み合わせて、粗い及び微細なミリング又はアブレーションを提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビーム(CPB)装置であって、
真空エンクロージャによって画定される真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に位置する少なくとも1つのCPB対物レンズであって、ワークピースが前記真空チャンバ内に位置する状態で、前記ワークピースの画像を生成するように動作可能であり、又は前記ワークピースから材料を除去するために若しくは前記ワークピースに材料を追加するために加工用CPBを前記ワークピースに方向付けるように動作可能である、少なくとも1つのCPB対物レンズと、
それぞれ、前記ワークピースにガス流を方向付けるように及び前記ワークピースからガス流を受容するように位置する、ガス入口及びガス出口と、を備える、
荷電粒子ビーム(CPB)装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのCPB対物レンズは、前記ワークピースの画像を生成するように位置し、かつ前記ワークピースから材料を除去するため又は前記ワークピースに材料を追加するために前記加工用CPBを前記ワークピースに方向付けるように位置する、請求項1に記載のCPB装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのCPB対物レンズは、前記ワークピースの画像を生成するように位置する第1のCPBレンズと、前記ワークピースから材料を除去するため又は前記ワークピースに材料を追加するために前記加工用CPBを前記ワークピースに方向付けるように位置する第2のCPBレンズと、を含む、請求項1に記載のCPB装置。
【請求項4】
前記第1のCPBレンズは、電子ビームに応答して、前記ワークピースの前記画像を生成し、前記第2のCPBレンズによって前記ワークピースに方向付けられる前記加工用CPBが、イオンビームである、請求項3に記載のCPB装置。
【請求項5】
前記ワークピースから材料を除去するため又は前記ワークピースに材料を追加するために、前記真空チャンバ内に位置する前記ワークピースに加工用光ビームを方向付けるように位置する光学系を更に備える、請求項1に記載のCPB装置。
【請求項6】
前記光学系は、前記真空チャンバ内に位置する前記ワークピースの画像を生成するように位置する少なくとも1つのレンズを含む、請求項5に記載のCPB装置。
【請求項7】
前記光学系は、前記ワークピースへの光ビーム経路内に位置する光学要素を含み、前記光学要素は、前記真空チャンバの内部に露出するように位置する少なくとも1つの表面を有する、請求項5に記載のCPB装置。
【請求項8】
前記光学要素は、光学窓又はレンズである、請求項7に記載のCPB装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのCPB対物レンズと前記ワークピースとの間に位置し、かつ加工に応答して前記ワークピースにおいて生成される汚染物質から前記CPB対物レンズを遮蔽するように動作可能である、シャッタを更に備える、請求項1に記載のCPB装置。
【請求項10】
前記ガス入口及び前記ガス出口は、入口弁及び出口弁にそれぞれ結合されており、前記入口弁及び前記出口弁の少なくとも一方を可変的に調節するように結合されたコントローラを更に備える、請求項9に記載のCPB装置。
【請求項11】
通気弁を更に備え、前記コントローラは、前記通気弁を制御することによって、前記真空エンクロージャ内の圧力を確立するように動作可能である、請求項10に記載のCPB装置。
【請求項12】
前記コントローラは、通気弁を作動させてバックグラウンドガスを入れること、前記入口弁を作動させて前記ガス流を、前記ガス入口を介して前記ワークピースに方向付けること、及び前記出口弁を作動させて、前記ワークピースの上方でガス入口からガス出口への前記ガス流を確立することによって、前記真空エンクロージャ内に低真空圧を確立するように動作可能である、請求項10に記載のCPB装置。
【請求項13】
前記コントローラは、通気弁の作動によって前記真空エンクロージャ内に高真空圧を確立し、前記入口弁を作動させて前記ガス入口を介した前記ワークピースへの前記ガス流を終了させ、前記出口弁を作動させて前記ワークピースからの前記ガス流の受容を終了させるように動作可能である、請求項10に記載のCPB装置。
【請求項14】
第1の圧力の真空チャンバ内にワークピースを位置させることと、
前記第1の圧力の前記真空チャンバ内に位置する前記ワークピースを第1の加工用ビームに曝露することと、
前記第1の圧力で前記ワークピースを前記曝露している間、ガス流をワークピース表面に方向付けることと、前記ワークピースからガス流を回収することと、を含む、
方法。
【請求項15】
前記第1の圧力は、低真空圧である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ガス流は、窒素、酸素、希ガス、有機ガス、キャリアガス、ハロゲン含有ガス、及び二酸化炭素のうちの1つ以上から本質的になる、請求項14に記載の方法。任意のガスが導入され得、異なる混合方法を使用することができる。
【請求項17】
前記第1の圧力での前記曝露の後に、
前記ワークピースが前記真空チャンバ内に位置する状態で、前記真空チャンバ内に第2の圧力を確立すること、及び前記ワークピース表面にガス流を前記方向付けること及び前記ワークピースから前記ガス流を前記回収することを中断することと、
前記真空チャンバ内の前記ワークピースを第2の加工用ビームに曝露することと、を更に含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の圧力は、高真空圧である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の加工用ビームは、第1の加工速度を生成するように動作する光ビームであり、前記第2の加工用ビームは、第2の加工速度を生成するように動作する前記光ビームであり、前記第1の加工速度は、前記第2の加工速度よりも大きい、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の加工用ビーム及び前記第2の加工用ビームは、共通の光ビーム源によって生成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の加工用ビーム及び前記第2の加工用ビームは、レーザビームである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ワークピースを加工する方法であって、
ガス流を前記ワークピースに方向付け、かつ前記ワークピースからデブリを吸引しながら、低真空環境において、真空チャンバ内で前記ワークピースを第1の速度で加工することと、
前記ワークピースにガス流を方向付けること及び前記ワークピースからデブリを吸引することなく、高真空環境において、前記真空チャンバ内で前記ワークピースを第2の速度で加工することであって、前記第1の速度が、前記第2の速度よりも多いデブリ又は表面汚染の生成に関連付けられる、加工することと、
前記加工の後、前記真空チャンバ内で前記ワークピースを撮像することと、を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2023年4月25日に出願された米国仮特許出願第63/498,227号の利益を主張するものである。
【0002】
(技術分野)
本開示は、真空加工に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの用途において、ミリング又はアブレーションプロセスが、真空チャンバ内に位置するワークピースに適用される。これらのプロセス中に、ワークピースから除去された材料が、真空チャンバ内に位置する構成要素の表面を汚染する可能性がある。これらの表面としては、レーザビームが通って方向付けられるカバーガラスの表面などの光学窓表面、荷電粒子ビーム(charged particle beam、CPB)光学系を遮蔽するために使用されるシャッタの表面、及びワークピース自体の表面が挙げられる。加工スループットを改善し、かつ参照により本明細書に組み込まれる特許文献1で考察されているような汚染による、光学窓などの部品を交換する必要性を回避するために、真空中に位置するワークピースのイオンビーム及びレーザビーム加工における材料再堆積などの汚染を低減することが、必要である。代替的なアプローチ、特に、ワークピースが、加工及び撮像のために、同じ真空チャンバ内に位置するままであることを可能にするアプローチが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、ガス流を流管からワークピースに方向付けることができる加工方法、装置、及びシステム、並びに方向付けられたガス流の一部分及びワークピース加工によって生成された汚染物質を抽出するために使用される吸引管に関する。ワークピースは、真空チャンバ内の様々な位置における汚染物質又は加工デブリの堆積を制御するように選択される異なる圧力を有する真空チャンバ内に位置させることができる。一例では、高真空を微細加工(及びSEM撮像)に使用し、低真空を粗加工又は高速加工に使用することができる。ワークピースは、圧力、方向付けられたガス流、吸引、及び加工用ビーム特性が変化するとき、真空チャンバ内に位置したままであることができ、ワークピースは、低真空での加工のために別個のチャンバに移動される必要はない。方向付けられたガス流及び吸引を伴う低真空は、ワークピース及び近くの表面におけるデブリを低減させ、迅速な加工を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】ガス流をワークピースに方向付けること、及び吸引を適用してワークピースから汚染を除去することによって、汚染を制御するように動作可能な代表的なシステムを例解する。
【
図1A】対物レンズの磁極片に対するガス送達管及び吸引管の代表的な配置を例解する。
【
図1B】ガス送達管及び吸引管の代替的な位置を例解する。
【
図1C】ガス送達管及び吸引管の代替的な位置を例解する。
【
図2】汚染を低減するようにワークピースを加工する代表的な方法を例解する。
【
図3】汚染を低減するようにワークピースを撮像及び加工するように動作可能な代表的なシステムを例解する。
【
図4】微細加工と粗加工とが組み合わされた代表的な方法を例解する。
【
図5】低減された汚染を伴うイオンビームミリング又はレーザアブレーションなどの加工を実装するための、ガス流、吸引、及び真空チャンバ圧力の制御のための代表的な配置を例解する。
【
図6】開示される方法、システム、及び装置のいずれかとともに使用するための代表的な制御システムを例解する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
真空チャンバ内でのミリング及び/又はアブレーションプロセスによって生成される汚染は、加工及び撮像のために使用されるシステムの複数の構成要素、並びに加工されているワークピースに影響を及ぼす可能性がある。例えば、材料が、ワークピース上に、アブレーション光ビームが通ってワークピースに送達されるカバーガラス若しくは他の光学要素などの光学窓、又はCPB撮像構成要素(電子レンズなど)を再堆積から遮蔽するように位置するシャッタ上に再堆積される可能性がある。他の表面も、再堆積された材料を受容する可能性があるが、これらの3つの例は、説明の便宜上使用され得る。低真空に関連付けられた圧力では、アブレーションされた材料又は他の汚染物質は、相対的に短い平均自由行程を有し、ワークピース表面、及びCPB光学系を保護するために使用されるシャッタなどの近くの表面に再堆積する傾向がある一方、光学窓は、遠すぎて、感知できるほどの汚染を受けない。高真空に関連付けられた圧力では、アブレーションされた材料又は他の汚染物質は、長い平均自由行程を有し、シャッタ及び光学窓などの真空チャンバ全体にわたって再堆積する傾向がある一方、ワークピースは、ほとんど汚染を受けない。
【0007】
開示される方法及び装置は、ワークピースがチャンバ内に位置する状態で、キャリアガスを好適な圧力でワークピース表面領域に提供することによって、加工領域の局所的制御を可能にする。局所的な制御可能な圧力及び局所的なガス流は、様々な状況において、利点を提供する。例えば、加工デブリの再堆積及び関連付けられた表面汚染を制御するために、キャリアガスをインサイチュで、ワークピース表面の選択された領域に方向付けることができる。場合によっては、堆積物を低減するために、フッ素又は酸素などの反応性ガスが、使用される。一例では、レーザアブレーション加工を、加工されているワークピース表面でキャリアガスを用いて、実行することができ、加工速度を調節することができる。加工速度は、提供される汚染制御により、キャリアガスの局所的適用を伴わない場合よりも増加され、より高い温度で実行され得る。相対的に高い局所圧力でワークピース表面に局所的に供給される有機又はハロゲン化合物などの前駆体と組み合わされたキャリアガスを使用するプロセスは、例えば前駆体分解による局所的なコーティング及び/又は堆積を可能にする。他の例では、エッチングプロセスは、局所的なガス送達に基づいて、局所化され得る。そのようなプロセスは、ワークピースを第2のチャンバ内に移動させることなく、インサイチュで実行することができる。キャリアガス及びデブリの局所除去と組み合わされた材料除去又はエッチングにかかわらず、(前駆体又は他のガスを伴う)キャリアガスの局所送達は、チャンバ内の他の表面及びチャンバ壁の露出を制限する。
【0008】
以下の表に示されるように、汚染は、真空チャンバ圧力の好適な選択、及びガス流をワークピースに方向付けること、並びにワークピースでの吸引による汚染物質の除去によって、制御され得る。表中、Lは、低汚染を指し、LLは、最低の汚染を指し、Hは、高汚染を指し、HHは、最高の汚染を指し、Mは、中程度汚染を指す。低真空に関連付けられた圧力は、LVとして示され、高真空に関連付けられた圧力は、HVとして示される。LVでは、方向付けられたガス流及び吸引の両方を使用することは、シャッタ及びワークピースの汚染を低減する傾向がある。この配置は、相対的に大量の汚染物質を生成する大量ミリング又はアブレーションプロセスに好ましい。表に示されるように、この配置は、いくらかのワークピース汚染を生じ、より良好なミリング又はアブレーション結果を、HVに関連付けられた圧力で得ることができる。HVでの加工は、光学窓(及び真空チャンバ内の他の表面)を汚染する傾向があるので、HV加工は、方向付けられたガス流又は吸引を伴わない最終又は微細加工で使用され得、バルク又は粗加工は、方向付けられたガス流及び吸引を伴うLVで行われる。
【0009】
【0010】
ミリング/アブレーション特性
開示されるアプローチは、レーザ対物レンズカバーガラス、レーザチャンバシャッタ、電子及びイオンビーム検出器、他の内部構成要素、並びに表面又は加工されているワークピースを汚染する可能性がある、真空チャンバ内のレーザアブレーション再堆積物/デブリを低減することができる。したがって、レーザ構成要素(レーザ対物レンズカバーガラス、レーザチャンバシャッタ)及び電子光学構成要素の寿命を延ばすことができ、カバーガラスを交換しなければならない頻度が低減され、より高い材料加工スループット及び所有コスト(例えば、保守及び消耗品)の低減がもたらされる。カバーガラスの汚染が低減されると、予防保守の頻度を少なくすることができ、ワークピース加工中及びワークピース加工の結果としてレーザ出力が低下する傾向がなくなる。典型的な用途としては、半導体(論理、メモリ、パッケージデバイス)、材料研究(金属、セラミック、ポリマー、電池など)、及び生命科学(軟質材料)のためのレーザによるチャンバ内での大量の材料除去が挙げられる。屈折性材料(金属)は、高い割合の汚染と関連付けられ、そのような材料での加工によって生成される汚染が、開示されるアプローチの1つの用途である。好適な圧力での局所ガス流は、満足のいく堆積速度を提供することができる一方、同時に、ワークピースを含む加工チャンバ全体にわたる汚染を制限する。イオンビームミリングは、好適な真空を確立することによって、同じ加工チャンバ内で実行され得る。
【0011】
(用語)
本明細書で使用される場合、高真空又は高真空圧(HV又はHV圧)は、0.1Pa未満、典型的には、0.05Pa、0.01Pa、0.001Pa、又はそれ未満などのはるかに低いチャンバ圧力を意味する。HV圧力では、平均自由行程(mean free path、MFP)は、一般に十分に長く、その結果、ワークピースにおいて生成された汚染は、真空チャンバ全体の表面に伝播し得る。例えば、0.01Paでは、窒素のMFPは、約50mm程度である。他の圧力及び材料については、MFPは、圧力に反比例し、温度に比例し、分子直径の二乗に反比例すると推定することができる。低真空又は低真空圧(LV又はLV圧)は、2Pa、5Pa、10Pa、100Pa、1kPa、又はそれ以上を超える圧力を指す。2Paにおける窒素のMFPは、約2mm程度であり、典型的に使用されるLV圧では、MFPは、十分に小さい可能性があり、その結果、ミリング又は他のプロセスからの汚染は、チャンバ壁及び構成要素に到達しない。典型的には、ワークピース撮像に使用される対物レンズに近接して配置されるシャッタ及びワークピース表面のみが、生成される任意の汚染物質の数個のMFP内にある。
【0012】
本明細書で使用される場合、CPB光学カラムは、撮像又はワークピース加工のためにCPBビームを集束させるために使用されるCPBレンズ、偏向器、及び/又はスティグメータなどのCPB光学要素の組み合わせを備える。CPB光学カラムの対物レンズは、CPB光学カラムを使用して撮像又は加工されるワークピースに最も近い光学要素を指す。CPBカラムの光学要素は、一般に、軸に沿って整列される。
【0013】
真空の生成及び維持に関連付けられるポンプ速度又はポンプスピードは、チャンバ圧力が低減され得る速度を指す。ポンプ速度及びポンプスピードは、便宜的に容積/時間として示される。ポンプ速度/スピードの変化は、ポンプの制御、又はポンプをチャンバに結合する弁の制御などによって、ポンプのチャンバへの接続を変化させることで達成され得る。本明細書で使用される場合、弁は、流量及び排気を調節するように選択的に動作可能であり、典型的には、完全開放状態と完全閉鎖状態との間の調節可能な制御を提供する。
【0014】
流管又はガス入口は、ガス流をワークピースに方向付けることができるデバイスを指す。管と呼ばれる一方で、デバイスなどの断面は、多角形、楕円形、又は他の形状であることができ、円形断面に限定されない。そのような流管の端部は、ノズルとして構成することができるが、これは、一般に不要である。吸引管又はガス出口は、ワークピースからのガス流及びデブリの一部分を捕捉し、それらを真空チャンバの表面及び内部から離れるように方向付けるデバイスを指す。流れ及び吸引は、任意の角度でワークピースに/から入射するように構成することができるが、場合によっては、ガス流が方向付けられるワークピースの反対側のワークピース領域で、残留汚染がより明瞭である可能性がある。チャンバ圧力は、窒素、二酸化炭素、希ガス、例えば、アルゴン、キセノン、若しくは他の希ガス、又は他の非反応性ガスなどのガス若しくはガスの混合物の導入によって調節することができる。他の例では、汚染物質と反応するガスが、再堆積を更に低減するために使用される。これらのガス及び混合物はまた、ワークピースに方向付けられたガス流のために使用され得る。窒素は、加工システムにおいて一般に利用可能であり、好都合である。
【0015】
実施例において、ワークピースは、1つ以上のチャンバ圧力で加工され、ワークピース加工にも使用することができる、SEM動作に好適な圧力で撮像される。LV圧力でのワークピース加工は、いくつかの例では、LV圧力として「粗」又は「高速」加工(例えば、ミリング又はアブレーション)と呼ばれる一方、HV圧力を加工することは、HV圧力で生成される優れたエッジのために微細加工と呼ばれる。ワークピースは、加工のために圧力が変更される単一のチャンバ内で加工及び撮像される。本明細書で「インサイチュでの」加工と呼ばれるこのアプローチは、異なるチャンバ内での撮像及び加工のためにワークピースを搬送する、及び整列させる必要性を回避する。
【実施例0016】
図1を参照すると、走査電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)などの荷電粒子ビーム(CPB)システムの一部分100は、真空チャンバ113内に位置するワークピース取付ポスト106上に位置するワークピース103などのワークピースにおいて、レーザ誘起アブレーションを提供するように構成されている。CPBシステムは、CPB源101と、対物レンズ108と、軸111に沿って位置する、本明細書ではCPB光学カラムと呼ばれる追加のCPB光学系110と、を含む。シャッタ112は、対物レンズ108とワークピース103との間に位置し、レーザアブレーションに関連付けられた材料のデブリ及び再堆積から、又は他の例では、集束イオンビーム(focused ion beam、FIB)ミリングなどのイオンビームミリングに関連付けられた材料のデブリ及び再堆積から対物レンズ108を保護するように移動可能である。
【0017】
図1において、レーザ(図示せず)は、光ビーム114を軸115に沿って、ガラススライド又はカバーガラスなどの窓116を通してワークピース103上の加工領域に送達するように位置する。光ビーム曝露に応答して、材料のプルーム130が、一般に生成されるが、この例では、プルーム130に関連付けられる表面汚染が、排除又は低減される。吸引管120は、121で示されるように、ワークピース103から材料を引き離すように位置し、ガス送達管(「流管」)124は、流れ領域126によって示されるように、窒素ガス流などのガス流をワークピース103に方向付けるように位置する。弁136、137は、吸引管120及びガス送達管124を真空チャンバ113に選択的に結合するために提供される。ガス流及びガス吸引の方向は、ワークピース103の上に層流ガス流などのガス流を生成するために、軸に沿って、又はある角度で対向して位置することができる。典型的には、光ビーム114の軸115は、ワークピース103に垂直であり、層流方向は、レーザビーム軸114に垂直である。場合によっては、整列は、優れた性能のために、及び/又は対物レンズ108などのCPB光学系による機械的妨害を回避するために、選択される。ワークピース及びガス流並びにガス吸引の方向の他の整列が、以下に考察されるように
図1A~
図1Cに例解されている。
【0018】
真空チャンバ113内の圧力は、好ましい加工条件に基づいて選択することができ、ガス送達管124及び吸引管120は、必要に応じて作動させることができる。HV又はLVなどの圧力は、通気弁148及びガス調整器146を介して真空チャンバ113に結合されたガス供給源147からのガスで調整することができる。固定されたチャンバ圧を維持するために、吸引管120によって提供される吸引速度は、ガス送達管124と、通気弁148を介して提供されるガス流との組み合わされた流量に対応する。この例に示されるように、吸引管120は、磁極片の形状によって画定され得る、CPB対物レンズ108の外面125に実質的に平行に整列される。他の例では、ガス送達管124は、CPB対物レンズ108の表面123に実質的に平行に整列され、他の例では、吸引管120及びガス送達管の両方が、このように配置される。ワークピース103は、説明のために特定の配向で例解されているが、任意の角度に配向され得る。
図1において、ワークピース103は、図示されていない集束イオンビーム(FIB)光学カラムで生成されたFIBを用いて加工され得る。
【0019】
図1Aを参照すると、代表的な加工システム150は、ワークピース156のSEM撮像のために位置するCPB光学カラム152及び対物レンズ154を含む。
図1Aにおいて、ワークピース156は、座標系151のX軸を中心に回転されるように示され、Y方向に延在し、レーザビームなどの光加工用ビームは、典型的には、ほぼ垂直入射でワークピースに入射する。流管170は、吸引管172への実質的に層状のガス流171を生成する。流管170及び吸引管172は、CPB光学カラム152の軸176に対する垂線174に対して角度θの面を有する、対物レンズ154の外側に平行に延在するように位置する。管170、172は、2、5、10、又は20度以内のθの角度で位置することができ、角度は、管ごとに同じ又は異なり得る。ワークピース156は、加工のために傾けられて示されているが、撮像のために、軸176に垂直な作業面を有するように傾けることができる。シャッタ175を対物レンズ154とワークピース156との間に選択的に挿入して、加工中に対物レンズ154を遮蔽することができる。
【0020】
図1及び
図1Aに示されるような吸引管及び流管は、他の方法で配置することもできるが、CPBレンズに関連付けられた磁極片形状に基づく配置が、好都合であり得る。
図1Bは、ワークピース表面に実質的に平行にワークピース182を横切って方向付けられる流管184からのガス流を受容するように位置する吸引管180を例解する。吸引管180は、流管184の反対側に流管184に対向して位置しているが、この場合、好ましくはワークピース表面サイズの数倍未満である距離Dだけオフセットされて示されている。場合によっては、吸引管、流管、又はその両方が、ワークピース表面に対して相対的に小さい角度で位置する。
図1Cに示されるように、流管190は、ワークピース表面192に対して角度θで位置し、θは、15、10、5、又は1度未満である。しかしながら、他の例では、任意の角度を使用することができる。