(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157693
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】添加剤造粒物、プラスチック組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09K 15/08 20060101AFI20241031BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241031BHJP
C08K 5/134 20060101ALI20241031BHJP
C08K 5/526 20060101ALI20241031BHJP
C08K 5/375 20060101ALI20241031BHJP
C09K 15/10 20060101ALI20241031BHJP
C09K 15/32 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C09K15/08
C08L101/00
C08K5/134
C08K5/526
C08K5/375
C09K15/10
C09K15/32 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072195
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】北郷 美希
(72)【発明者】
【氏名】森本 順次
【テーマコード(参考)】
4H025
4J002
【Fターム(参考)】
4H025AA13
4H025AA15
4H025AA23
4H025AA65
4H025AA83
4J002AA001
4J002AA011
4J002BB031
4J002BB061
4J002BB071
4J002BB121
4J002BB171
4J002BC021
4J002BG041
4J002CB001
4J002CG001
4J002CH071
4J002CK021
4J002CL001
4J002CN011
4J002EJ066
4J002EV077
4J002EW067
4J002EW087
4J002FD076
4J002FD077
(57)【要約】
【課題】3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンを含む造粒物であって、良好な流動性を有する造粒物を提供する。
【解決手段】フェノール系酸化防止剤(1)を含有する酸化防止剤(a)を含む組成物(A)から形成されてなる添加剤造粒物であって、フェノール系酸化防止剤(1)の総量に対して、40~100質量%の、Cu-Kα波長のX線を用いたX線回折測定により、回折角2θ=4.2°および2θ=10.6°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有する3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンであるフェノール系酸化防止剤(1-1-1)を含む、添加剤造粒物。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール系酸化防止剤(1)を含有する酸化防止剤(a)を含む組成物(A)から形成されてなる添加剤造粒物であって、フェノール系酸化防止剤(1)の総量に対して、40~100質量%の、Cu-Kα波長のX線を用いたX線回折測定により、回折角2θ=4.2°および2θ=10.6°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有する3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンであるフェノール系酸化防止剤(1-1-1)を含む、添加剤造粒物。
【請求項2】
前記フェノール系酸化防止剤(1-1-1)の含有量は、フェノール系酸化防止剤(1)に含まれる3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンであるフェノール系酸化防止剤(1-1)の総量に対して、40~100質量%である、請求項1に記載の添加剤造粒物。
【請求項3】
フェノール系酸化防止剤(1)において、前記フェノール系酸化防止剤(1-1-1)の量と、Cu-Kα波長のX線を用いたX線回折測定により、回折角2θ=7.9°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有する3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンであるフェノール系酸化防止剤(1-1-2)の量との比率が(1-1-1):(1-1-2)=100:0~40:60である、請求項1に記載の添加剤造粒物。
【請求項4】
組成物(A)に含まれるフェノール系酸化防止剤(1)の量は、組成物(A)の総量に対して、2~30質量%である、請求項1に記載の添加剤造粒物。
【請求項5】
組成物(A)に含まれる酸化防止剤(a)の量は、組成物(A)の総量に対して、25~100質量%である、請求項1に記載の添加剤造粒物。
【請求項6】
酸化防止剤(a)は、リン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)をさらに含む、請求項1に記載の添加剤造粒物。
【請求項7】
組成物(A)に含まれる、フェノール系酸化防止剤(1)と、リン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)との総量は、組成物(A)の総量に対して、25~100質量%である、請求項6に記載の添加剤造粒物。
【請求項8】
酸化防止剤(a)の総量に対する、フェノール系酸化防止剤(1)の量は5~30質量%であり、リン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)の総量は70~95質量%である、請求項6に記載の添加剤造粒物。
【請求項9】
酸化防止剤(a)の総量に対する、フェノール系酸化防止剤(1)の量は10~15質量%であり、リン系酸化防止剤(2)の量は48~53質量%であり、イオウ系酸化防止剤(3)の量は35~40質量%である、請求項6に記載の添加剤造粒物。
【請求項10】
組成物(A)は、中和剤、滑剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、金属石鹸、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、顔料、難燃剤、充填剤、核剤、可塑剤、加工助剤、発泡剤、および乳化剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の添加剤造粒物。
【請求項11】
添加剤造粒物のメジアン径(質量基準)が0.1~7mmである、請求項1に記載の添加剤造粒物。
【請求項12】
プラスチック100質量部に対して、請求項1~10のいずれかに記載の添加剤造粒物を0.005~10質量部配合する工程を含む、プラスチック組成物の製造方法。
【請求項13】
プラスチックは熱可塑性樹脂である、請求項12に記載のプラスチック組成物の製造方法。
【請求項14】
プラスチックはポリオレフィン系樹脂である、請求項12に記載のプラスチック組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤造粒物、プラスチック組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンは、フェノール系酸化防止剤として知られるヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルであり、ε晶、δ晶、αβ晶、またはγ晶の結晶構造を有することが知られている(特許文献1)。
【0003】
そのうち、ε晶はX線回折測定により、回折角2θ=7.9°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有し、該ε晶のヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルの粉粒体も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-87860号公報
【特許文献2】特開2015-157853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンは、優れた酸化防止効果を有するが、該フェノール系酸化防止剤をプラスチックに添加して使用する際に、造粒物として添加することを検討したところ、造粒物の流動性が悪くなる場合があった。特に、このような造粒物は、輸送される、倉庫などに貯蔵保管されるなど、製造後に一定の期間が経過した後に使用される場合が多いが、このような保管などの期間中に造粒物の流動性が悪くなる場合があることがわかった。したがって、本発明は、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンを含む造粒物であって、良好な流動性を有する造粒物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、造粒物の流動性に影響を及ぼす要因について詳細に検討した結果、該フェノール系酸化防止剤の結晶構造が造粒物の流動性に影響することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕フェノール系酸化防止剤(1)を含有する酸化防止剤(a)を含む組成物(A)から形成されてなる添加剤造粒物であって、フェノール系酸化防止剤(1)の総量に対して、40~100質量%の、Cu-Kα波長のX線を用いたX線回折測定により、回折角2θ=4.2°および2θ=10.6°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有する3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンであるフェノール系酸化防止剤(1-1-1)を含む、添加剤造粒物。
〔2〕前記フェノール系酸化防止剤(1-1-1)の含有量は、フェノール系酸化防止剤(1)に含まれる3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンであるフェノール系酸化防止剤(1-1)の総量に対して、40~100質量%である、〔1〕に記載の添加剤造粒物。
〔3〕フェノール系酸化防止剤(1)において、前記フェノール系酸化防止剤(1-1-1)の量と、Cu-Kα波長のX線を用いたX線回折測定により、回折角2θ=7.9°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有する3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンであるフェノール系酸化防止剤(1-1-2)の量との比率が(1-1-1):(1-1-2)=100:0~40:60である、〔1〕または〔2〕に記載の添加剤造粒物。
〔4〕組成物(A)に含まれるフェノール系酸化防止剤(1)の量は、組成物(A)の総量に対して、2~30質量%である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の添加剤造粒物。
〔5〕組成物(A)に含まれる酸化防止剤(a)の量は、組成物(A)の総量に対して、25~100質量%である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の添加剤造粒物。
〔6〕酸化防止剤(a)は、リン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)をさらに含む、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の添加剤造粒物。
〔7〕組成物(A)に含まれる、フェノール系酸化防止剤(1)と、リン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)との総量は、組成物(A)の総量に対して、25~100質量%である、〔6〕に記載の添加剤造粒物。
〔8〕酸化防止剤(a)の総量に対する、フェノール系酸化防止剤(1)の量は5~30質量%であり、リン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)の総量は70~95質量%である、〔6〕または〔7〕に記載の添加剤造粒物。
〔9〕酸化防止剤(a)の総量に対する、フェノール系酸化防止剤(1)の量は10~15質量%であり、リン系酸化防止剤(2)の量は48~53質量%であり、イオウ系酸化防止剤(3)の量は35~40質量%である、〔6〕~〔8〕のいずれかに記載の添加剤造粒物。
〔10〕組成物(A)は、中和剤、滑剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、金属石鹸、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、顔料、難燃剤、充填剤、核剤、可塑剤、加工助剤、発泡剤、および乳化剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の添加剤造粒物。
〔11〕添加剤造粒物のメジアン径(質量基準)が0.1~7mmである、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の添加剤造粒物。
〔12〕プラスチック100質量部に対して、〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の添加剤造粒物を0.005~10質量部配合する工程を含む、プラスチック組成物の製造方法。
〔13〕プラスチックは熱可塑性樹脂である、〔12〕に記載のプラスチック組成物の製造方法。
〔14〕プラスチックはポリオレフィン系樹脂である、請求項〔12〕に記載のプラスチック組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンを含む造粒物であって、良好な流動性を有する造粒物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例で使用した化合物(1-1-1)のCu-Kα波長のX線を用いたX線回折測定結果を示す図である。
【
図2】実施例で使用した化合物(1-1-2)のCu-Kα波長のX線を用いたX線回折測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。また、特定の特徴について複数の上限値および下限値が記載されている場合、これらの上限値および下限値のうち任意の上限値と下限値とを組合せて好適な数値範囲とすることができる。
【0011】
本発明の添加剤造粒物は、組成物(A)から形成されてなる造粒物であり、該組成物(A)は、酸化防止剤(a)として1種類または2種以上のフェノール系酸化防止剤(1)を少なくとも含む。該フェノール系酸化防止剤(1)は、その総量に対して40~100質量%の、Cu-Kα波長のX線を用いたX線回折測定により、回折角2θ=4.2°および2θ=10.6°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有する3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンであるフェノール系酸化防止剤(1-1-1)を含む。なお、回折角2θ=4.2°および2θ=10.6°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有する3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンは、δ晶の結晶構造を有し、δ晶の該化合物を本明細書においてフェノール系酸化防止剤(1-1-1)と称する。
【0012】
添加剤造粒物を形成する組成物(A)が、フェノール系酸化防止剤(1)中に特定の量でフェノール系酸化防止剤(1-1-1)を含有することにより、驚くべきことに、該添加剤造粒物の流動性が向上することがわかった。また、造粒物を製造後、一定の期間が経過した後であっても、流動性を維持することができることもわかった。
【0013】
〔酸化防止剤(a)〕
(フェノール系酸化防止剤(1))
本発明において、組成物(A)は、フェノール系酸化防止剤(1)を少なくとも含む酸化防止剤(a)を含む。フェノール系酸化防止剤(1)としては、例えば、式(I):
【化1】
で表されるフェノール系酸化防止剤である、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン(1-1)が挙げられる。フェノール系酸化防止剤(1-1)は、特開平6-87860号公報に記載されるように、Cu-Kα波長のX線を用いたX線回折測定において、回折角2θ=4.2°および2θ=10.6°に鋭いX線回折ピークを示すδ晶、回折角2θ=7.9°に鋭いX線回折ピークを示すε晶、回折角2θ=2.8°、2θ=8.7°、2θ=11.7°に鋭いX線回折ピークを示すαβ晶、固有のX線回折ピークを示さないγ晶などの結晶構造を有することが知られている。本明細書において、式(I)で表されるフェノール系酸化防止剤(1-1)のうち、回折角2θ=4.2°および2θ=10.6°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有するδ晶の化合物をフェノール系酸化防止剤(1-1-1)とも称し、回折角2θ=7.9°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有するε晶の化合物をフェノール系酸化防止剤(1-1-2)とも称し、回折角2θ=2.8°、2θ=8.7°、2θ=11.7°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有するαβ晶の化合物をフェノール系酸化防止剤(1-1-3)とも称し、固有のX線回折ピークを示さない結晶構造を有するγ晶の化合物をフェノール系酸化防止剤(1-1-4)とも称する。なお、上記の特定のX線回折ピークを示す結晶構造を有するフェノール系酸化防止剤は、それぞれ、単一の結晶系であり、通常、特定の融点を有する。具体的には、回折角2θ=4.2°および2θ=10.6°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有するδ晶のフェノール系酸化防止剤(1-1-1)の融点は、通常、約124~127℃である。同様に、フェノール系酸化防止剤(1-1-2)の融点は、通常、約116~119℃であり、フェノール系酸化防止剤(1-1-3)の融点は、通常、約104~109℃であり、フェノール系酸化防止剤(1-1-4)の融点は、通常、約45~55℃である。
【0014】
組成物(A)は、酸化防止剤(a)として、1種類のフェノール系酸化防止剤を含有してもよいし、2種類以上のフェノール系酸化防止剤を含有してもよいし、フェノール系酸化防止剤以外の他の酸化防止剤を含有してもよいが、回折角2θ=4.2°および2θ=10.6°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有するδ晶の式(I)で表される化合物、すなわちフェノール系酸化防止剤(1-1-1)を少なくとも含む。
【0015】
組成物(A)に含まれるフェノール系酸化防止剤(1)の総量に対するフェノール系酸化防止剤(1-1-1)の量は40~100質量%である。該量が40質量%未満である場合、フェノール系酸化防止剤(1-1-1)による造粒物の流動性向上作用を得にくくなる。フェノール系酸化防止剤(1-1-1)の量は、40質量%以上であるが、流動性向上の観点からは、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらにより好ましくは99質量%以上である。該量の上限は特に限定されず、100質量%以下であればよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記フェノール系酸化防止剤(1-1-1)の含有量は、造粒物の流動性の観点から、フェノール系酸化防止剤(1)に含まれる3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンであるフェノール系酸化防止剤(1-1)の総量に対して、好ましくは40~100質量%、より好ましくは50~100質量%、さらに好ましくは75~100質量%、さらにより好ましくは90~100質量%、さらにより好ましくは99~100質量%である。
【0017】
組成物(A)に含まれるフェノール系酸化防止剤(1)としては、上記のフェノール系酸化防止剤(1-1-1)の他に、式(I)で表される、δ晶以外の結晶系を有する酸化防止剤(例えば上記のフェノール系酸化防止剤(1-1-2)または(1-1-3)または(1-1-4))、式(II):
【化2】
[式(II)中、R
1は炭素数1~9のアルキル基を表し、Xはヘテロ原子および/または環状基を含んでいてもよい炭素数1~18のn価のアルコール残基を表し、nは2または4の整数を表す]
で表されるフェノール系酸化防止剤(但し、式(I)で表されるフェノール系酸化防止剤は除く)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、4,4‘-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、N,N‘-(ヘキサン-1,6-ジイル)ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、4,4’-ブチリデンビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)等が挙げられる。
【0018】
式(II)中のR1としては、メチル基、t-ブチル基、t-ペンチル基、t-オクチル基などの炭素数1~8の直鎖アルキル基または炭素数3~8の分岐鎖アルキル基が挙げられる。R1は、好ましくはメチル基またはt-ブチル基である。
【0019】
式(II)中のnは2または4である。
【0020】
式(II)中のXは、n価のアルコール残基であり、Xに含まれる炭素数は1~18である。ここで、アルコール残基とは、アルコールから水酸基を除いた置換基を意味する。Xには、酸素原子、イオウ原子、窒素原子などのヘテロ原子が含まれていてもよく、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造などの脂環式基、ベンゼン構造など芳香族基などの環状基が含まれていてもよい。環状基の炭素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。
【0021】
アルコール残基を与えるアルコールとしては、例えば、ステアリルアルコール、デシルアルコール、オクチルアルコール、トリエチレングリコール、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、ペンタエリスリトールなどが挙げられ、中でも、ステアリルアルコール、トリエチレングリコール、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、ペンタエリスリトールが好ましい。
【0022】
フェノール系化合物(II)としては、例えば、ビス{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸}トリエチレングリコリルエステル、テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸}ペンタエリスリチルエステルなどが挙げられる。但し、式(I)で表されるフェノール系酸化防止剤は式(II)で表されるフェノール系酸化防止剤には含まれない。
【0023】
添加剤造粒物を形成する組成物(A)は、フェノール系酸化防止剤(1)を含み、耐熱着色性(高温で混練成形しても着色が抑制される特性)の観点からは、該フェノール系酸化防止剤(1)に含まれる式(I)で表されるフェノール化合物および式(II)で表される化合物の合計量は、組成物(A)に含まれるフェノール系酸化防止剤(1)100質量部に対して、好ましくは90質量部以上、より好ましくは95質量部以上、さらに好ましくは99質量部以上である。
【0024】
添加剤造粒物を形成する組成物(A)に含まれるフェノール系酸化防止剤(1)の量は、加工安定性向上の観点から、組成物(A)の総量に対して、好ましくは2質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、コスト削減の観点からは、組成物(A)の総量に基づいて、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
【0025】
添加剤造粒物を形成する組成物(A)に含まれる酸化防止剤(a)の量は、加工安定性向上の観点から、組成物(A)の総量に対して、好ましくは25質量%以上、より好ましくは26質量%以上、さらに好ましくは27質量%以上である。該量の上限は特に限定されず、組成物(A)の総量に基づいて100質量%以下であればよいが、コスト削減の観点からは、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
【0026】
添加剤造粒物を形成する組成物(A)において、フェノール系酸化防止剤(1)として含まれる、前記フェノール系酸化防止剤(1-1-1)の量と、前記フェノール系酸化防止剤(1-1-2)の量との比率(1-1-1):(1-1-2)は、好ましくは100:0~40:60、より好ましくは100:0~45:55、さらに好ましくは100:0~50:50である。この態様において、添加剤造粒物は、造粒物全体として上記の成分を含んでいればよい。したがって、添加剤造粒物は、例えば、フェノール系酸化防止剤(1-1-1)を含有する組成物(A)からなる添加剤造粒物であってもよいし、フェノール系酸化防止剤(1-1-1)とフェノール系酸化防止剤(1-1-2)とを含有する組成物(A)からなる添加剤造粒物であってもよいし、フェノール系酸化防止剤(1-1-1)を含有する組成物(A)からなる添加剤造粒物(a1)と、フェノール系酸化防止剤(1-1-2)を含有する組成物(B)からなる添加剤造粒物(b1)とを、フェノール系酸化防止剤(1-1-1)の量と、前記フェノール系酸化防止剤(1-1-2)の量との比率(1-1-1):(1-1-2)が、好ましくは100:0~40:60、より好ましくは100:0~45:55、さらに好ましくは100:0~50:50となるような割合で混合して得た混合物であってもよい。
【0027】
添加剤造粒物を形成する組成物(A)は、酸化防止剤(a)として、フェノール系酸化防止剤(1)のみを含んでいてもよいし、フェノール系酸化防止剤(1)以外の酸化防止剤をさらに含んでいてもよい。フェノール系酸化防止剤(1)以外の酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤(2)、イオウ系酸化防止剤(3)、ヒンダードアミン系酸化防止剤等が挙げられる。組成物(A)は、例えば、酸化防止剤(a)としてリン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)をさらに含んでよい。
【0028】
(リン系酸化防止剤(2))
リン系酸化防止剤(2)としては、例えば2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスファイト、トリイソデシルホスファイト等が挙げられる。組成物(A)は、リン系酸化防止剤(2)として、1種類のリン系酸化防止剤を含有してもよいし、2種以上のリン系酸化防止剤を含有してもよい。耐熱着色性および抗酸化性の向上の観点からは、リン系酸化防止剤は、式(III):
【化3】
[式(III)中、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立に、炭素数1~8の直鎖アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖アルキル基または水素原子を表す]
で示されるリン系酸化防止剤、式(IV):
【化4】
[式(IV)中、R
6、R
7、およびR
8は、それぞれ独立に、炭素数1~8の直鎖アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖アルキル基または水素原子を表す]
で表されるリン系酸化防止剤、および/または式(V):
【化5】
[式(V)中、R
9、R
10、およびR
11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8の直鎖アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖アルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7~12のアラルキル基またはフェニル基を表す]
で表されるリン系酸化防止剤であることが好ましい。
【0029】
式(III)中の、R3、R4、およびR5は、それぞれ独立に、炭素数1~8の直鎖アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖アルキル基または水素原子を表す。直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、t-ブチル基、t-ペンチル基、t-オクチル基などが挙げられる。R3、R4、R5は、好ましくは水素原子、メチル基、またはt-ブチル基である。式(III)で表されるリン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
【0030】
式(IV)中の、R6、R7、およびR8は、それぞれ独立に、炭素数1~8の直鎖アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖アルキル基または水素原子を表す。直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基としては、式(III)中のR3等について例示した基と同様の基が例示される。R6、R7、R8は、好ましくは水素原子、メチル基、t-ブチル基である。式(IV)で表されるリン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0031】
式(V)中の、R9、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8の直鎖アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖アルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7~12のアラルキル基またはフェニル基を表す。直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基としては、式(III)中のR3等について例示した基と同様の基が例示される。炭素数5~8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられ、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等が挙げられ、炭素数7~12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
【0032】
式(V)において、R9は、好ましくは、炭素数1~8の直鎖アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖アルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基を表し、より好ましくは、t-アルキル基、シクロヘキシル基、1-メチルシクロヘキシル基を表す。
【0033】
式(V)において、R10は、好ましくは、炭素数1~8の直鎖アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖アルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基を表し、より好ましくは、メチル基、t-ブチル基、t-ペンチル基を表す。
【0034】
式(V)において、R11は、好ましくは、水素原子、炭素数1~8の直鎖アルキル基または炭素数3~8の分岐鎖アルキル基を表し、より好ましくは、水素原子またはメチル基を表す。
【0035】
式(V)において、Bは単結合、硫黄原子または-CHR12-基を表し、R12は水素原子、炭素数1~8の直鎖アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖アルキル基または炭素数5~8のシクロアルキル基を表す。炭素数1~8の直鎖アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖アルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基としては、前記R9と同じ基が例示される。-CHR12-基としては、例えば、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、1-シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。Bは、好ましくは単結合、メチレン基またはエチリデン基を表す。
【0036】
式(V)において、Aは炭素数2~8のアルキレン基または*-C(=O)-R13-基を表し、R13は単結合または炭素数1~8のアルキレン基を表し、*印は、>P-O-部分の酸素原子側との結合手であることを表す。炭素数1~8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。Aとしては、炭素数2~4のアルキレン基または前述した*-C(=O)-R13-基が好ましい。上記の炭素数2~4のアルキレン基は、その炭素-炭素結合がヘテロ原子を含む基で中断されていてもよい。この場合のヘテロ原子を含む基としては、-O-C(=O)-または-C(=O)-O-基が挙げられる。R13としては、炭素数1~4のアルキレン基が好ましい。
【0037】
YおよびZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1~8のアルコキシ基または炭素数7~12のアラルキルオキシ基を表し、他方は水素原子、炭素数1~8の直鎖アルキル基または炭素数3~8の分岐鎖アルキル基を表すが、Yがヒドロキシル基であるときは、R12およびR13のいずれか一方は炭素数3~8の直鎖アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖アルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7~12のアラルキル基またはフェニル基であることが好ましい。炭素数1~8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられ、炭素数7~12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0038】
式(V)におけるYがヒドロキシル基である場合は、Zが水素原子またはメチル基であることがより好ましく、R12およびR13の一方がt-ブチル基であることがより好ましい。
【0039】
式(V)におけるZがヒドロキシル基である場合は、R13がメチル基であり、Yが水素原子であり、R12がt-ブチル基であることが好ましい。
【0040】
また、式(V)におけるR9、R10、R11は、それぞれ、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。
【0041】
式(V)で表されるリン系酸化防止剤としては、好ましくは以下が挙げられる:6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロポキシ]-4,8-ジ-t-ブチル-2,10-ジメチル-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-4,8-ジ-t-ブチル-2,10-ジメチル-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン等。
【0042】
(イオウ系酸化防止剤(3))
イオウ系酸化防止剤(3)としては、例えばビス[2-メチル-4-{3-n-アルキル(C12またはC14)チオプロピオニルオキシ}-5-t-ブチルフェニル]スルフィドが挙げられる。組成物(A)は、イオウ系酸化防止剤(3)として、1種類のイオウ系酸化防止剤を含有してもよいし、2種以上のイオウ系酸化防止剤を含有してもよい。耐熱着色性および抗酸化性の向上の観点からは、イオウ系酸化防止剤は、式(VI):
(R14-D-S-C2H4CO2)m-E (VI)
[式(VI)中、R14は炭素数12~18の直鎖アルキル基または炭素数12~18の分岐鎖アルキル基を表し、Dは単結合または-C2H4CO2-基を表し、mは1~4の整数を表し、Eは炭素数5~18のm価のアルコール残基を表す]
で表されるイオウ系酸化防止剤であることが好ましい。
【0043】
式(VI)中、R14としては、ドデシル基、テトラデシル基またはオクタデシル基などが好ましい。また、Eにおけるアルコール残基とは、アルコールの水酸基以外の部分をいう。アルコール残基を与えるアルコールとしては、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0044】
特に、式(VI)で表されるイオウ系酸化防止剤において、式(VI)中のDが単結合である場合は、R14がドデシル基であり、mが4であり、Eがペンタエリスリトール残基である化合物が好ましい。また、Dが-C2H4CO2-基である場合は、R14がドデシル基、テトラデシル基またはオクタデシル基であり、mが1であり、Eが上記R14に対応する炭素数12、14または18のアルコール残基であることが好ましい。
【0045】
なお、Dが-C2H4CO2-基である場合は、通常、アルコール残基とDはエステル基で結合している。具体的にはEが1価の場合、-C2H4CO2-Zとなっている。
【0046】
式(VI)で表されるイオウ系酸化防止剤としては、例えば3,3’-チオジプロピオン酸ジ-n-ドデシルエステル、3,3’-チオジプロピオン酸ジ-n-テトラデシルエステル、3,3’-チオジプロピオン酸ジ-n-オクタデシルエステル、およびテトラキス(3-ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリチルエステル等が挙げられる。
【0047】
本発明の好ましい一実施形態において、添加剤造粒物を形成する組成物(A)が、酸化防止剤(a)として、フェノール系酸化防止剤(1)と、リン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)とを含有する場合、フェノール系酸化防止剤(1)と、リン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)との総量は、組成物(A)の総量に対して、好ましくは25~100質量%、より好ましくは26~90質量%、さらにより好ましくは27~80質量%である。
【0048】
本発明のより好ましい一実施形態において、添加剤造粒物を形成する組成物(A)が、酸化防止剤(a)として、フェノール系酸化防止剤(1)と、リン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)とを含有する場合、酸化防止剤(a)の総量に対するフェノール系酸化防止剤(1)の量は、好ましくは5~30質量%、より好ましくは8~20質量%、さらに好ましくは10~15質量%であり、酸化防止剤(a)の総量に対するリン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)の総量は、好ましくは70~95質量%、より好ましくは80~92質量%、さらに好ましくは85~90質量%である。なお、組成物(A)は、フェノール系酸化防止剤(1)の総量に対して40~100質量%のフェノール系酸化防止剤(1-1-1)を含む。
【0049】
本発明のより好ましい一実施形態において、添加剤造粒物を形成する組成物(A)が、酸化防止剤(a)として、フェノール系酸化防止剤(1)と、リン系酸化防止剤(2)と、イオウ系酸化防止剤(3)とを含有する場合、酸化防止剤(a)の総量に対するフェノール系酸化防止剤(1)の量は、好ましくは10~15質量%、より好ましくは10~14質量%、さらに好ましくは11~14質量%であり、リン系酸化防止剤(2)の量は、好ましくは48~53質量%、より好ましくは49~52質量%、さらに好ましくは49~51質量%であり、イオウ系酸化防止剤(3)の量は、好ましくは35~40質量%、より好ましくは36~39質量%、さらに好ましくは36~38質量%である。なお、組成物(A)は、フェノール系酸化防止剤(1)の総量に対して40~100質量%のフェノール系酸化防止剤(1-1-1)を含む。
【0050】
フェノール系酸化防止剤(1)は、耐熱着色性および抗酸化性の向上の観点からは、式(I)で表されるフェノール系酸化防止剤および式(II)で表されるフェノール系酸化防止剤で表される酸化防止剤からなる群から選択される化合物であることが好ましく、但し、流動性が高い添加剤造粒物を得る観点で、フェノール系酸化防止剤(1)の総量に対して40~100質量%のフェノール系酸化防止剤(1-1-1)を含む。
リン系酸化防止剤(2)は、耐熱着色性および抗酸化性の向上の観点からは、式(III)で表されるリン系酸化防止剤、式(IV)で表されるリン系酸化防止剤、および式(V)で表されるリン系酸化防止剤からなる群から選択される化合物であることが好ましく、式(III)で表されるリン系酸化防止剤であることがより好ましい。
イオウ系酸化防止剤(3)は、耐熱着色性および抗酸化性の向上の観点からは、式(VI)で表されるイオウ系酸化防止剤からなる群から選択される化合物であることが好ましく、式(VI)中のDが-C2H4CO2-基であり、R14がドデシル基、テトラデシル基またはオクタデシル基であり、mが1であり、Eが上記R14に対応する炭素数12、14または18のアルコール残基であるイオウ系酸化防止剤がより好ましい。
【0051】
(他の添加剤)
添加剤造粒物を形成する組成物(A)は、酸化防止剤(a)の他に、当技術分野で既知の種々の添加剤をさらに含んでよい。このような添加剤としては、中和剤、滑剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、金属石鹸、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、顔料、難燃剤、充填剤、核剤、可塑剤、加工助剤、発泡剤、乳化剤、からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤が挙げられる。組成物(A)は、これらの添加剤の1種をさらに含んでもよいし、2種以上を組み合わせて含んでもよい。組成物(A)における上記の添加剤の含有量は特に限定されないが、加工安定性の観点から、組成物(A)の総量に基づいて、好ましくは10~75質量%、より好ましくは15~70質量%、さらに好ましくは20~65質量%である。
【0052】
中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、合成ハイドロタルサイト、天然ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0053】
滑剤としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、プロピレングリコールモノ
ステアレート、ステアリルステアレート、ソルビタンステアレート 等が挙げられる。
【0054】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(融点81~86℃)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)エステル、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル メタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6-(1,1,3,3、-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}-1,6-ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}](融点100~135℃)等が挙げられる。
【0055】
紫外線吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-n-オクチロキシベンゾフェノン(融点45℃以上)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-t-ペンチルフェノール(融点77℃以上)、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル-]-5-(オクチロキシ)フェノール(融点87~89℃)、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(融点127℃)、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(融点137℃)、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(融点192℃)等が挙げられる。
【0056】
金属石鹸としては、カルシウムステアレートのような脂肪酸金属塩等が挙げられる。
【0057】
帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤、ベタイン型の両性界面活性剤、リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤;硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤;多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤;カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0058】
アンチブロッキング剤としては、アルミニウムシリケート、合成シリカ、天然シリカ、ゼオライト、カオリンや珪藻土等の無機アンチブロッキング剤、または、ポリメチルメタアクリル酸架橋物等の有機アンチブロッキング剤が挙げられる。
【0059】
顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリレンまたはペリニン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロ-ピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ジスアゾ縮合系顔料やベンズイミダゾロン系顔料等が挙げられる。
【0060】
難燃剤としては、デカブロモビフェニル、三酸化アンチモン、リン系難燃剤、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0061】
充填剤としては、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、カーボンファイバー、ゼオライト、金属粉、金属酸化物等が挙げられる。
【0062】
核剤としては、α-ナフタレンスルホン酸のNa塩、α-ナフタレンスルホン酸のMg塩、α-ナフタレンスルホン酸のCa塩、α-ナフタレンスルホン酸のAl塩、8-アミノナフタレンスルホン酸のNa塩、ベンゼンスルホン酸のNa塩、ベンゼンスルホン酸のMg塩、ベンゼンスルホン酸のCa塩、ベンゼンスルホン酸のAl塩、2,5-ジクロロベンゼンスルホン酸のCa塩、2,5-ジクロロベンゼンスルホン酸のMg塩、m-キシレンスルホン酸のCa塩、m-キシレンスルホン酸のMg塩、安息香酸(融点122℃)、安息香酸ナトリウム(融点147℃)、p-イソプロピル安息香酸、o-t-ブチル安息香酸、p-t-ブチル安息香酸、モノフェニル酢酸(融点77℃)、ジフェニル酢酸、ジフェニル酢酸のLi塩、Al塩、Na塩、ジフェニル酢酸のNa塩、ジフェニル酢酸のMg塩、ジフェニル酢酸のCa塩、ジフェニル酢酸のBa塩、ジフェニル酢酸のAl塩、フェニルジメチル酢酸、フェニルジメチル酢酸のLi塩、フェニルジメチル酢酸のNa塩、フェニルジメチル酢酸のMg塩、フェニルジメチル酢酸のCa塩、フェニルジメチル酢酸のBa塩、フタル酸のMg塩、琥珀酸(融点185℃)、琥珀酸のLi塩、琥珀酸のNa塩、琥珀酸のMg塩、琥珀酸のCa塩、琥珀酸のBa塩、グルタール酸(融点95~99℃)、グルタール酸のLi塩、グルタール酸のNa塩、グルタール酸のMg塩、グルタール酸のCa塩、グルタール酸のBa塩、アジピン酸(融点151~153℃)、スベリン酸、スベリン酸のLi塩、スベリン酸のNa塩、スベリン酸のMg塩、スベリン酸のCa塩、スベリン酸のBa塩、セバシン酸、セバシン酸のLi塩、セバシン酸のNa塩、セバシン酸のMg塩、セバシン酸のCa塩、セバシン酸のAl塩、ジフェニルホスフィン酸(融点193~196℃)、ジフェニルホスフィン酸のLi塩、ジフェニルホスフィン酸のNa塩、ジフェニルホスフィン酸のK塩、ジフェニルホスフィン酸のCa塩、ジフェニルホスフィン酸のMg塩、ジフェニルホスフィン酸のAl塩、4,4’-ジクロロジフェニルホスフィン酸のLi塩、4,4’-ジメチルジフェニルホスフィン酸のNa塩、ジナフチルホスフィン酸、ジナフチルホスフィン酸のLi塩、ジナフチルホスフィン酸のNa塩、ジナフチルホスフィン酸のMg塩、ジナフチルホスフィン酸のCa塩、ジナフチルホスフィン酸のAl塩等が挙げられる。
【0063】
可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0064】
加工助剤としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
【0065】
発泡剤としては、化学発泡剤、物理発泡剤等が挙げられる。化学発泡剤としては、無機化合物および有機化合物が挙げられる。無機化合物としては、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸アンモニウム等が挙げられる。また、有機化合物としては、ポリカルボン酸、アゾ化合物、スルホンヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、イソシアネート化合物等が挙げられる。物理発泡剤としては、不活性ガス、ブタン、ペンタン等の揮発性有機化合物等が挙げられ、不活性ガスとしては、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム等が挙げられる。
【0066】
乳化剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ソルビタントリステアレート等が挙げられる。
【0067】
本発明の好ましい一実施形態において、組成物(A)は、組成物(A)の総量に対して、25~100質量%の酸化防止剤(a)を含有し、酸化防止剤(a)は、フェノール系酸化防止剤(1)と、リン系酸化防止剤(2)および/またはイオウ系酸化防止剤(3)とを含み、該酸化防止剤に含まれるフェノール系酸化防止剤(1)の量は組成物(A)の総量に対して2~30質量%であり、フェノール系酸化防止剤(1)の総量に対するフェノール系酸化防止剤(1-1-1)の量は40~100質量%であることが好ましい。
【0068】
〔添加剤造粒物〕
本発明の添加剤造粒物は、組成物(A)から形成されてなる造粒物である。添加剤造粒物の形状としては、例えば、単軸または多軸の溶融押出押出し機やディスクペレッターのような半乾式押出し機を用い造粒してなる「ペレット」、撹拌造粒して得られる「顆粒」、ローラーコンパクターのような圧縮造粒を用い造粒してなる「フレーク」などが挙げられる。なお、上記の添加剤造粒物の形状は、JIS-Z8841(1993)10項 解説表1 造粒物の形状および名称に記載の定義で分類された形状を意味する。また、添加剤造粒物は、1粒の造粒物を指すのではなく、造粒物の集合体を意味するものである。上記の形状のうち、流動性に優れると共に、熱可塑性樹脂への分散性に優れる観点からは、「顆粒」が好ましい。顆粒形状の添加剤造粒物は、押出造粒および撹拌造粒などのいずれの方法でも得られるが、組成物(A)を撹拌造粒して得られる「顆粒」がより好ましい。
【0069】
添加剤造粒物の製造方法は特に限定されないが、組成物(A)を適当な温度範囲内、例えば40℃~80℃、好ましくは40℃~70℃、とりわけ好ましくは40℃~60℃の温度範囲で、撹拌造粒または押出造粒する方法などが挙げられる。
【0070】
撹拌造粒に用いる機器としては、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ハイスピードミキサーなどの高速回転機器、バーチカルグラニュレータなどの撹拌混合造粒機、転動流動コーティング装置などが挙げられる。また、特開2010-254958号公報に記載の製造方法により造粒物を製造してもよい。
【0071】
撹拌造粒方法としては、例えば、組成物(A)を構成する原料をヘンシェルミキサー等の混合機に仕込んだ後に高速で撹拌混合する方法が挙げられる。温度を上記の範囲内に設定する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサーに温水ジャケットを取り付けて加温する方法、例えば、高速撹拌に伴って発生する剪断熱を利用して昇温する方法等が挙げられる。
【0072】
添加剤造粒物の大きさは、特に限定されないが、例えば撹拌造粒により製造する場合、メジアン径(質量基準)が、好ましくは0.1~7mm、より好ましくは0.15~6mm、さらに好ましくは0.18~6mm、さらにより好ましくは0.20~6mmである。なお、メジアン径(質量基準)は、ロータップ型振とう機(例えば、ロータップ型振とう機RL-1、化学共栄社)を用い、試料約100gをふるい分け時間15分、振とう数290rpm/60Hz、振り幅25mm、打数156tpm/60Hzで機械ふるい分けを行うことで求められる。
【0073】
上記のようなメジアン径(質量基準)を有する添加剤造粒物の製造方法としては、例えば、撹拌翼を有する撹拌造粒機であって、該撹拌造粒機の内部の該撹拌翼における先端部と該撹拌造粒機内部の壁面とのクリアランスを30mm以下に調整した撹拌造粒機を用いる方法などが挙げられる。上記のようなメジアン径(質量基準)を有する添加剤造粒物は、好ましくは顆粒形状である。
【0074】
押出造粒に用いる機器としては、例えば、単軸または多軸の溶融押出し機、ディスクペレッター等の半乾式押出し機などが挙げられる。
【0075】
押出造粒方法としては、例えば、組成物(A)を構成する原料を、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサーなどの混合機で混合して混合物を調製し、該混合物をホッパー等から押出し機に投入、押出機の剪断発熱や加温設備により、押出機内の材料温度が40℃~80℃になるように調整することで、容易に押出すことができ、円柱状の造粒物が得られる。押出された円柱状造粒物をカッター等で適当な長さにカットすることで、ペレット状の添加剤造粒物を得ることができる。ダイスの口径や押出し速度、カット速度の調節により、任意のサイズのペレット状の添加剤造粒物を製造できるが、分散性の観点からは、直径2~5mm、長さ2~5mmの範囲であることが好ましい。
【0076】
本発明の添加剤造粒物は、フェノール系酸化防止剤(1)の総量に対して、40~100質量%のフェノール系酸化防止剤(1-1-1)を含む。添加剤造粒物に含まれるフェノール系酸化防止剤(1)の総量に対するフェノール系酸化防止剤(1-1-1)の量の割合は、例えば添加剤造粒物を製造する際の仕込み比から算出してもよいし、添加剤造粒物に含まれるフェノール系酸化防止剤(1)の量をHPLCで同定、定量すると共に、フェノール系酸化防止剤(1-1-1)の量をDSCで124~127℃付近の融解時の吸熱量から算出し、これらの量から該割合を算出してもよい。
【0077】
本発明の一実施形態に係る添加剤造粒物は、例えば、プラスチック、例えば熱可塑性樹脂等に配合されて用いられる。添加剤造粒物とプラスチックとの配合割合としては、例えば、プラスチック100質量部に対して0.005~10質量部の添加剤造粒物を配合するような割合を挙げることができ、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.01~3質量部の配合割合が挙げられる。本発明は、プラスチックに本発明の添加剤造粒物を配合するプラスチック組成物の製造方法、好ましくはプラスチック100質量部に対して、0.005~10質量部の本発明の添加剤造粒物を配合するプラスチック組成物の製造方法、ならびに該プラスチック組成物も提供する。上記の製造方法により得られるプラスチック組成物は、流動性が高い添加剤造粒物を添加したものであるため、例えば添加剤の添加量のばらつきが少ない、添加剤が均一に分散しているなどの利点がある。本発明によれば、プラスチック100質量部に対して、本発明の添加剤造粒物を0.005~10質量部配合する工程を含む、プラスチックの安定化方法も提供できる。
【0078】
添加剤造粒物を配合するプラスチックは、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、市販されている樹脂であれば特に限定されないが、例えば、エチレン-プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン(HD-PE)、低密度ポリエチレン(LD-PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等)、メチルペンテンポリマー、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン類(ポリ(p-メチルスチレン)、ポリ(α-メチルスチレン)等のポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、特殊アクリルゴム-アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体等)、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、メタクリル樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、1,2-ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体等が挙げられ、成形加工性の良さから、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ならびにポリスチレン系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。
【0079】
ここで、ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンに由来する構造単位を含有するポリオレフィン系樹脂を意味し、具体的には、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα-オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、ポリプロピレン系樹脂は1種類で使用してもよく、2種以上をブレンドして使用してもよい。
【0080】
α-オレフィンとしては、例えば、炭素原子数4~12のα-オレフィンが挙げられ例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられ、好ましくは1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンが挙げられる。
【0081】
プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-1-ヘキセンランダム共重合体、プロピレン-1-オクテンランダム共重合体等が挙げられる。
【0082】
プロピレン-エチレン-α-オレフィン共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体等が挙げられる。
【0083】
プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα-オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体における主にプロピレンからなる共重合体成分としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体成分、プロピレン-1-ブテン共重合体成分、プロピレン-1-ヘキセン共重合体成分等が挙げられ、プロピレンとエチレンおよび/またはα-オレフィンの共重合体成分としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体成分、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体成分、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体成分、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体成分、プロピレン-1-ブテン共重合体成分、プロピレン-1-ヘキセン共重合体成分、プロピレン-1-オクテン共重合体成分等が挙げられる。尚、プロピレンとエチレンおよび/またはα-オレフィンの共重合体成分におけるエチレンおよび/または炭素原子数4~12のα-オレフィンの含有量は、例えば、0.01~20重量%である。
【0084】
また、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα-オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンブロック共重合体、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン)-(プロピレン-1-ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)-(プロピレン-1-ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ヘキセン)ブロック共重合体等が挙げられる。
【0085】
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、好ましくは、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4~12のα-オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体が用いられ、さらに好ましくは、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4~12のα-オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体が用いられる。
【0086】
添加剤造粒物をプラスチックに配合する方法としては、例えば、添加剤造粒物とプラスチックとを混合後、単軸または多軸の押出し機により溶融混練する方法、例えば、熱可塑性樹脂を重合した後の溶液に添加剤造粒物をフィードして添加する方法等が挙げられる。このようにして得られた熱可塑性樹脂は、フィルム、成形材料やパイプ等の製品に加工することができる。
【0087】
本発明の添加剤造粒物は流動性が良好であるため、熱可塑性樹脂等のプラスチックに配合する際に、取扱が容易であり、添加量のばらつきが生じにくく、均一性の高いプラスチック組成物を製造することが可能である。また、本発明の添加剤造粒物をプラスチックに配合すると、均一に添加剤造粒物の効果が発揮され、耐熱着色性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【実施例0088】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0089】
実施例および比較例で使用した成分を以下に記載する。
・化合物(1-1-1):Cu-Kα波長のX線を用いたX線回折測定により、回折角2θ=4.2°および2θ=10.6°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有する3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン。(
図1にX線回折測定結果を示す。なお、
図1および
図2中の横軸の左端は4°である。)
・化合物(1-1-2):Cu-Kα波長のX線を用いたX線回折測定により、回折角2θ=7.9°に鋭いX線回折ピークを示す結晶構造を有する3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン(
図2にX線回折測定結果を示す)。
・化合物(2-1):トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト「イルガフォス168(登録商標)」(BASF製)
・化合物(3-1):3,3’-チオジプロピオン酸ジ-n-テトラデシルエステル「スミライザーTPM(登録商標)」(住友化学製)
【0090】
(実施例1:添加剤造粒物A-1の製造)
容量10Lのハイスピードミキサー(深江パウテック株式会社製:型番FS-GS-10J)中に、化合物(1-1-1)187.5g、化合物(2-1)750.0g、化合物(3-1)562.5gを投入した。投入後、ハイスピードミキサーのジャケットに50℃の温水を通水することにより、ハイスピードミキサーが具備する撹拌槽を昇温した。その後、撹拌羽根の回転数450rpm、チョッパー羽根の回転数2000rpmに設定し、化合物を混合した。アジテーター電流4.7Aになる時点で撹拌を停止し、241μmのメジアン径(質量基準)を有する添加剤造粒物A-1を得た。
【0091】
(比較例2:添加剤造粒物A-2の製造)
添加剤造粒物A-1の製造で用いた化合物(1-1-1)の代わりに化合物(1-1-2)を用いたこと以外は、添加剤造粒物A-1の製造と同様にして、添加剤造粒物A-2を得た。
【0092】
(実施例2~3、比較例1)
表1に示した割合で合計80.0gの添加剤造粒物A-1および/または添加剤造粒物A-2を20Lポリ袋に投入し、均一になるように混合し、添加剤造粒物B-1~B-3を得た。
【0093】
(流動性)
得られた実施例1~3、比較例1、2の添加剤造粒物を口径95mm、足外径20mmの漏斗(止栓付)にそれぞれ80.0g投入した。止栓を引き抜いた際の添加剤造粒物の初期状態の流動性を評価した。初期状態を評価後、温度35℃、湿度80%RHの恒温恒湿槽に7日間保管した後、同様の方法で流動性を評価した。結果を表1に示す。
流動性の評価基準
○:全量流下する。
×:ブリッジ現象により、全量流下せず。
【0094】
(質量基準のメジアン径)
添加剤造粒物A-1およびA-2のそれぞれを測定試料とし、ロータップ型振とう機RL-1(化学共栄社)を用いて、100gの試料を、ふるい分け時間15分、振とう数290rpm/60Hz、振り幅25mm、打数156tpm/60Hzの条件で機械ふるい分けし、質量基準のメジアン径を求めた。添加剤造粒物A-1およびA-2のメジアン径は0.1~7mmの範囲内であった。
【0095】
【0096】
製造例で使用した成分を以下に記載する。
・化合物(4-1):ステアリン酸カルシウム「Calcium Stearate WLC(登録商標)」(Faci製)
・化合物(5-1):安息香酸ナトリウム「Sodium Benzoate 20M(登録商標)」(BASF製)
・化合物(6-1):ハイドロタルサイト「DHT-4C(登録商標)」(協和化学製)
・化合物(7-1):タルク「Micron White 5000S(登録商標)」(林化成製)
・化合物(8-1):オレイン酸アミド「Kemamide VO(登録商標)」(PMC製)
【0097】
(製造例 添加剤造粒物A-3)
容量100Lのハイスピードミキサー(深江パウテック株式会社製:型番FS-100)に、化合物(1-1-1)8.9重量部、化合物(2-1)35.7重量部、化合物(3-1)26.8重量部、化合物(5-1)25.0重量部、化合物(6-1)3.6重量部からなる原料(合計15kg)を投入する。ハイスピードミキサーのジャケットに50℃の温水を通水することにより、ハイスピードミキサーが具備する撹拌槽を昇温する。ハイスピードミキサーの撹拌槽の内部に有する撹拌翼の回転数を165rpm(翼先端速度として6m/s)、チョッパーの回転数を1500rpm(翼先端速度として10m/s)に設定した後、この状態を維持しながらハイスピードミキサーを約20分間運転する。このようにして、前記原料からなる混合物が撹拌造粒されてなる添加剤造粒物A-3を得る。
【0098】
(製造例 添加剤造粒物A-4)
添加剤造粒物A-3で用いる化合物(1-1-1)の代わりに化合物(1-1-2)を用いたこと以外は、添加剤造粒物A-3と同様にして、添加剤造粒物A-4を得た。
【0099】
(製造例 添加剤造粒物A-5)
容量100Lのハイスピードミキサー(深江パウテック株式会社製:型番FS-100)に、化合物(1-1-1)9.6重量部、化合物(2-1)38.2重量部、化合物(3-1)29.1重量部、化合物(4-1)19.3重量部、化合物(7-1)3.8重量部からなる原料(合計15kg)を投入する。ハイスピードミキサーのジャケットに50℃の温水を通水することにより、ハイスピードミキサーが具備する撹拌槽を昇温する。ハイスピードミキサーの撹拌槽の内部に有する撹拌翼の回転数を165rpm(翼先端速度として6m/s)、チョッパーの回転数を1500rpm(翼先端速度として10m/s)に設定した後、この状態を維持しながらハイスピードミキサーを約1分20秒間運転する。このようにして、前記原料からなる混合物が撹拌造粒されてなる添加剤造粒物A-5を得る。
【0100】
(製造例 添加剤造粒物A-6)
添加剤造粒物A-5で用いる化合物(1-1-1)の代わりに化合物(1-1-2)を用いること以外は、添加剤造粒物A-5と同様にして、添加剤造粒物A-6を得る。
【0101】
(製造例 添加剤造粒物A-7)
容量100Lのハイスピードミキサー(深江パウテック株式会社製:型番FS-100)に、化合物(1-1-1)3.9重量部、化合物(2-1)15.4重量部、化合物(3-1)11.5重量部、化合物(4-1)7.7重量部、化合物(7-1)46.1重量部、化合物(8-1)15.4重量部からなる原料(合計15kg)を投入する。ハイスピードミキサーのジャケットに50℃の温水を通水することにより、ハイスピードミキサーが具備する撹拌槽を昇温する。ハイスピードミキサーの撹拌槽の内部に有する撹拌翼の回転数を165rpm(翼先端速度として6m/s)、チョッパーの回転数を1500rpm(翼先端速度として10m/s)に設定した後、この状態を維持しながらハイスピードミキサーを約40分間運転する。このようにして、前記原料からなる混合物が撹拌造粒されてなる添加剤造粒物A-7を得る。
【0102】
(製造例 添加剤造粒物A-8)
添加剤造粒物A-7で用いる化合物(1-1-1)の代わりに化合物(1-1-2)を用いたこと以外は、添加剤造粒物A-7と同様にして、添加剤造粒物A-8を得た。
【0103】
(製造例 添加剤造粒物A-9)
容量100Lのハイスピードミキサー(深江パウテック株式会社製:型番FS-100)に、化合物(1-1-1)8.9重量部、化合物(2-1)35.7重量部、化合物(3-1)26.8重量部、化合物(5-1)25.0重量部、化合物(6-1)3.6重量部からなる原料を、ヘンシェルミキサーを用いて混合する。その後、この混合物をディスクペレッター(ダルトン社製:型番F-5)に投入し、運転する。ローラー下のディスクダイより押出され、その直後にカッティングされたペレット状の添加剤造粒物A-9を得る。
【0104】
(製造例 添加剤造粒物A-10)
添加剤造粒物A-9で用いる化合物(1-1-1)の代わりに化合物(1-1-2)を用いること以外は、添加剤造粒物A-9と同様にして、添加剤造粒物A-10を得る。
【0105】
(製造例 添加剤造粒物A-11)
容量100Lのハイスピードミキサー(深江パウテック株式会社製:型番FS-100)に、化合物(1-1-1)9.6重量部、化合物(2-1)38.2重量部、化合物(3-1)29.1重量部、化合物(4-1)19.3重量部、化合物(7-1)3.8重量部からなる原料を、ヘンシェルミキサーを用いて混合する。その後、この混合物をディスクペレッター(ダルトン社製:型番F-5)に投入し、運転する。ローラー下のディスクダイより押出され、その直後にカッティングされたペレット状の添加剤造粒物A-11を得る。
【0106】
(製造例 添加剤造粒物A-12)
添加剤造粒物A-11で用いる化合物(1-1-1)の代わりに化合物(1-1-2)を用いること以外は、添加剤造粒物A-11と同様にして、添加剤造粒物A-12を得る。
【0107】
(製造例 添加剤造粒物A-13)
化合物(1-1-1)3.9重量部、化合物(2-1)15.4重量部、化合物(3-1)11.5重量部、化合物(4-1)7.7重量部、化合物(7-1)46.1重量部、化合物(8-1)15.4重量部からなる原料を、ヘンシェルミキサーを用いて混合する。その後、この混合物をディスクペレッター(ダルトン社製:型番F-5)に投入し、運転する。ローラー下のディスクダイより押出され、その直後にカッティングされたペレット状の添加剤造粒物A-13を得る。
【0108】
(製造例 添加剤造粒物A-14)
添加剤造粒物A-13で用いる化合物(1-1-1)の代わりに化合物(1-1-2)を用いること以外は、添加剤造粒物A-13と同様にして、添加剤造粒物A-14を得る。
【0109】
上記の製造例で得られる添加剤造粒物A-3、A-5、A-7、A-9、A-11およびA-13は、実施例1と同様の初期および7日後の流動性を有すると考えられる。また、上記の製造例で得られる添加剤造粒物A-4、A-6、A-8、A-10、A-12およびA-14は、比較例2と同様の初期および7日後の流動性を有すると考えられる。