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特開2024-157702現像剤収容体、画像形成ユニット、及び画像形成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157702
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】現像剤収容体、画像形成ユニット、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20241031BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G03G15/08 348B
G03G21/18 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072214
(22)【出願日】2023-04-26
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】春山 拓樹
(72)【発明者】
【氏名】島田 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】橋本 宏基
(72)【発明者】
【氏名】星野 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】川原 真一
(72)【発明者】
【氏名】松野 泰英
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AA02
2H077AA09
2H077AA35
2H077AB03
2H077AB12
2H077AC03
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD17
2H077AE03
2H077BA03
2H077BA08
2H077CA11
2H077EA14
2H171FA02
2H171FA03
2H171GA29
2H171JA23
2H171JA29
2H171KA22
2H171KA23
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB32
2H171QB36
2H171UA03
(57)【要約】
【課題】現像剤の飛散を低減できる現像剤収容体、画像形成ユニット、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像剤収容体(5)は、現像剤を収容する現像剤収容部(50)と、前記現像剤収容部(50)から前記現像剤を排出可能に設けられた排出口(500)と、前記排出口(500)を塞ぐ閉位置と前記排出口(500)を開状態にする開位置との間で移動自在に設けられた開閉部材(51)と、前記開閉部材(51)又は前記現像剤収容部(50)に取り付けられ、前記開閉部材(51)が前記開位置にあるときに前記排出口(500)を通じて前記現像剤収容部(50)の外に向けて突出する突出部材(512)とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部から前記現像剤を排出可能に設けられた排出口と、
前記排出口を塞ぐ閉位置と前記排出口を開状態にする開位置との間で移動自在に設けられた開閉部材と、
前記開閉部材又は前記現像剤収容部に取り付けられ、前記開閉部材が前記開位置にあるときに前記排出口を通じて前記現像剤収容部の外に向けて突出する突出部材と
を有することを特徴とする現像剤収容体。
【請求項2】
前記開閉部材における前記排出口を塞ぐ閉止面が前記開位置から前記閉位置に移動する際の移動方向を閉方向とし、前記開閉部材において前記突出部材が取り付け可能な取付面のうちの、前記排出口に対する前記閉方向の上流側の取付面を第1の取付面とし前記閉方向の下流側の取付面を第2の取付面とした場合、前記突出部材は、前記開閉部材の前記第1の取付面側に取り付けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の現像剤収容体。
【請求項3】
前記開閉部材における前記排出口を塞ぐ閉止面が前記開位置から前記閉位置に移動する際の移動方向を閉方向とし、前記開閉部材において前記突出部材が取り付け可能な取付面のうちの、前記排出口に対する前記閉方向の上流側の取付面を第1の取付面とし前記閉方向の下流側の取付面を第2の取付面とした場合、前記突出部材は、前記開閉部材の前記第1の取付面側に取り付けられた第1の突出部材と前記開閉部材の前記第2の取付面側に取り付けられた第2の突出部材とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の現像剤収容体。
【請求項4】
前記開閉部材は、前記現像剤収容部内に配置され、
前記突出部材は、前記開閉部材に取り付けられ、前記開閉部材が前記開位置にあるときに前記排出口を通じて前記現像剤収容部の外に向けて突出する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の現像剤収容体。
【請求項5】
前記第1の取付面は、前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動する際に前記排出口を前記閉方向に移動して横切る面であり、
前記排出口の淵部のうちの、前記第1の取付面側の淵部を第1の淵部とし、前記第2の取付面側の淵部を第2の淵部とした場合、前記第1の淵部は前記第1の取付面よりも前記第2の淵部に向けて突出している
ことを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項に記載の現像剤収容体。
【請求項6】
前記突出部材は、前記開閉部材が前記開位置にあるときに、前記排出口の淵部に当接された状態で保持される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の現像剤収容体。
【請求項7】
前記開閉部材が前記閉位置にあるときに、前記現像剤収容部と前記開閉部材との間に前記突出部材が収納される収納部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の現像剤収容体。
【請求項8】
前記突出部材は、可撓性を有するフィルム部材である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の現像剤収容体。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の現像剤収容体と、
前記排出口から排出された現像剤の補給を受け付ける現像剤受入口を備えた画像形成ユニット本体と
を有し、
前記開閉部材が前記開位置にあるときに、前記突出部材は、前記排出口を通じて前記現像剤受入口に向けて突出する
ことを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1項に記載の現像剤収容体を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、現像剤収容体、画像形成ユニット、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスによって画像を形成する画像形成装置で使用される着脱可能部品として、開閉部材が設けられた排出口を通じて現像剤収容部内の現像剤を排出可能な現像剤収容体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-45553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置の画像形成部に装着されている現像剤収容体を取り外すときに、現像剤収容体の排出口の周囲に付着している現像剤が飛散することがあるという問題があった。
【0005】
本開示は、現像剤の飛散を低減できる現像剤収容体、画像形成ユニット、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の現像剤収容体は、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部から前記現像剤を排出可能に設けられた排出口と、前記排出口を塞ぐ閉位置と前記排出口を開状態にする開位置との間で移動自在に設けられた開閉部材と、前記開閉部材又は前記現像剤収容部に取り付けられ、前記開閉部材が前記開位置にあるときに前記排出口を通じて前記現像剤収容部の外に向けて突出する突出部材とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、現像剤収容体の取り外し時における現像剤の飛散を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る画像形成装置の構造を示す断面図である。
図2図1の画像形成装置(前面カバーが開けられ、画像形成ユニットが取り外されているとき)の構造を示す断面図である。
図3】実施の形態1に係る画像形成ユニット(トナーカートリッジがドラムユニットに装着されているとき)の構造を示す断面図である。
図4】実施の形態1に係る画像形成ユニット(トナーカートリッジがドラムユニットに装着されていないとき)を示す断面図である。
図5】実施の形態1に係る画像形成ユニットのドラムユニットを示す斜視図である。
図6】実施の形態1に係るトナーカートリッジの外観(斜め上から見たとき)を示す斜視図である。
図7】実施の形態1に係るトナーカートリッジの外観(斜め下から見たとき)を示す斜視図である。
図8】実施の形態1に係るトナーカートリッジの排出口から出ている突出部材を示す斜視図である。
図9】実施の形態1に係るトナーカートリッジの状態(シャッターが閉位置にあるとき)を示す概略断面図である。
図10】実施の形態1に係るトナーカートリッジの状態(シャッターが開位置にあるとき)を示す概略断面図である。
図11】実施の形態1に係るトナーカートリッジのシャッターの閉動作を示す断面図(その1)である。
図12】実施の形態1に係るトナーカートリッジのシャッターの閉動作を示す断面図(その2)である。
図13】実施の形態1に係るトナーカートリッジのシャッターの閉動作を示す断面図(その3)である。
図14】実施の形態1に係るトナーカートリッジの引き抜き動作を示す断面図である。
図15】実施の形態2に係るトナーカートリッジの状態(シャッターが開位置にあるとき)を示す断面図である。
図16】実施の形態2に係るトナーカートリッジの状態(シャッターが閉位置に移動しているとき)を示す断面図である。
図17】実施の形態2に係るトナーカートリッジの状態(シャッターが閉位置にあるとき)を示す断面図である。
図18】実施の形態3に係るトナーカートリッジの状態(シャッターが開位置にあるとき)を示す断面図である。
図19】実施の形態4に係るトナーカートリッジの状態(シャッターが開位置にあるとき)を示す断面図である。
図20】実施の形態4に係るトナーカートリッジの状態(シャッターが閉位置にあるとき)を示す断面図である。
図21】実施の形態1の変形例に係るトナーカートリッジの構造及び動作を示す概略断面図(その1)である。
図22】実施の形態1の変形例に係るトナーカートリッジの構造及び動作を示す概略断面図(その2)である。
図23】実施の形態1の変形例に係るトナーカートリッジの構造及び動作を示す概略断面図(その3)である。
図24】実施の形態1の変形例に係るトナーカートリッジの構造及び動作を示す概略断面図(その4)である。
図25】実施の形態1の変形例に係るトナーカートリッジの構造及び動作を示す概略断面図(その5)である。
図26】実施の形態3の変形例に係るトナーカートリッジの構造及び動作を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施の形態に係る現像剤収容体、現像剤収容体を有する画像形成ユニット、及び現像剤収容体を有する画像形成装置を、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、実施の形態を適宜組み合わせること及び各実施の形態を適宜変更することが可能である。なお、以下の説明において、同じ又は同様の機能を持つ要素には、同じ符号が付されている。
【0010】
《1》実施の形態1
《1-1》構成
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置1の構造を示す断面図である。図2は、画像形成装置1(前面カバー6が装置前方に90度程度開けられ、画像形成ユニット3が取り外されているとき)の構造を示す断面図である。実施の形態1では、画像形成装置1がモノクロ印刷用の電子写真プリンタである例を説明するが、画像形成装置1は、カラー印刷用の電子写真プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、又は複合機などであってもよい。
【0011】
画像形成装置1は、電子写真プロセスによって用紙などの印刷媒体上に画像を形成する。画像形成装置1は、印刷機構である画像形成ユニット3を有している。画像形成ユニット3は、画像形成装置1の本体(筐体2)に対して着脱自在に形成されている。また、前面カバー6は、画像形成装置1の本体に対して開閉自在に取り付けられている。
【0012】
図3は、実施の形態1に係る画像形成ユニット3(トナーカートリッジ5がドラムユニット4に装着されているとき)の構造を示す断面図である。画像形成ユニット3は、例えば、ブラックの現像剤(トナー)によって現像剤像(トナー像)を形成する印刷機構である。ただし、トナーの種類は、ブラックトナーに限定されない。画像形成ユニット3は、画像形成部としてのドラムユニット4と、ドラムユニット4に着脱自在に装着される現像剤収容体としてのトナーカートリッジ5とを有している。ドラムユニット4は、「画像形成ユニット3の本体」又は「画像形成ユニット本体」とも呼ばれる。
【0013】
画像形成装置1の筐体2内の下部には、印刷媒体を収容する媒体カセット10と、媒体カセット10に収容されている印刷媒体を1枚ずつ送り出すピックアップローラ11と、印刷媒体のスキュー(すなわち、斜め送りされる状態)を修正するためのローラ対であるリタードローラ12及び搬送ローラ13とが備えられている。また、画像形成装置1の筐体2内には、印刷媒体を搬送路に沿って搬送する搬送ローラ対14及び搬送ローラ対15と、印刷媒体を案内する搬送路16と、露光装置としての光ヘッド18と、画像形成ユニット3で形成された静電潜像を印刷媒体上に転写する転写部材としての転写ローラ17と、トナー像を加熱及び加圧して印刷媒体上に定着させる定着器19と、定着器19を通過した印刷媒体を筐体2の外に排出するための搬送路20とを有している。光ヘッド18は、例えば、発光素子アレイヘッドであるLEDアレイヘッド、又はレーザ走査装置である。また、画像形成装置1の筐体2内には、印刷媒体の通過を検知するための複数の媒体センサ(図示せず)、及び印刷媒体を搬送するための図示しない搬送ローラが備えられている。
【0014】
ドラムユニット4は、帯電部材としての帯電ローラ43と、帯電ローラ43により表面が一様に帯電される像担持体としての感光体ドラム40と、現像部材としての現像ローラ41と、現像ローラ41上のトナー層の厚みを規制する層形成ブレードとしての現像ブレード42と、トナー供給部材としての供給ローラ46と、クリーニング部材としてのクリーニングブレード44と、廃現像剤搬送部材としての廃トナー搬送部材45とを有している。現像ローラ41と、現像ブレード42と、供給ローラ46とは、感光体ドラム40上にトナーを供給することで、光ヘッド18によって形成された静電潜像を現像する現像部を構成している。
【0015】
画像形成装置1の光ヘッド18には、画像データが入力され、画像データに基づいて発光素子の点灯が制御される。画像形成ユニット3では、一様帯電されている感光体ドラム40の表面が光ヘッド18の発光により露光され、感光体ドラム40の表面に静電潜像が形成される。
【0016】
トナーカートリッジ5から現像室カバーフレーム47内に供給されたトナーは、供給ローラ46と現像ローラ41とによって強く擦られて摩擦帯電される。トナーは、供給ローラ46を経て現像ローラ41に供給され、現像ブレード42によって現像ローラ41上において薄層化され、感光体ドラム40との接触部に運ばれる。尚、図面の都合上、現像ブレード42が現像ローラ41に食い込んだように描写されているが、実際は現像ブレード42が現像ローラ41の表面に接して弾性変形している。
【0017】
現像ローラ41上のトナーは、静電気力によって感光体ドラム40上に移動し、感光体ドラム40上に静電潜像に対応するトナー像が形成される。画像形成ユニット3の感光体ドラム40の下方には、転写ローラ17が配置されている。感光体ドラム40上のトナー像は、感光体ドラム40と転写ローラ17との間を搬送される印刷媒体上に転写ローラ17によって転写される。トナー像が転写された印刷媒体は、定着器19を通過して、印刷媒体上にトナー像が定着される。
【0018】
図4は、実施の形態1に係る画像形成ユニット3(トナーカートリッジ5がドラムユニット4に装着されていないとき)を示す断面図である。図5は、実施の形態1に係る画像形成ユニット3のドラムユニット4を示す斜視図である。
【0019】
画像形成ユニット3は、画像形成部としてのドラムユニット4と、現像剤収容体としてのトナーカートリッジ5とから構成される。トナーカートリッジ5は、ドラムユニット4の上部の所定位置に装着される。トナーカートリッジ5内に残っているトナーが無くなったときには、ユーザーは、トナーカートリッジ5をドラムユニット4から取り外して、新品のトナーカートリッジ5をドラムユニット4に装着する。
【0020】
実施の形態1では、トナーカートリッジ5は、ドラムユニット4に対して(すなわち、画像形成装置1の水平方向に対して)所定の角度θ(例えば、15°)の挿入方向Da及び引抜方向Dbに挿抜することで着脱可能である。また、トナーカートリッジ5の着脱は、ドラムユニット4が画像形成装置1の本体に装着されているとき、及びドラムユニット4が画像形成装置1の本体から取り外されているときのいずれにおいても可能である。
【0021】
ドラムユニット4は、感光体ドラム40と、現像ローラ41と、現像ブレード42と、帯電ローラ43と、クリーニングブレード44と、廃トナー搬送部材45と、供給ローラ46と、現像室カバーフレーム47と、サイドフレーム49R、49Lとを有している。現像室カバーフレーム47は、トナーカートリッジ5から供給されるトナーを受け入れる現像剤受入口としてのトナー受入口470と、スポンジなどの弾性部材からなるシール部材471とを有している。シール部材471は、トナー受入口470を囲うように、トナー受入口470の周辺に配置されている。
【0022】
ドラムユニット4の左右両側のサイドフレーム49R、49Lは、挿入方向Da及び引抜方向Dbに延在するガイド溝490R、490Lを有している。ガイド溝490R、490Lは、トナーカートリッジ5の挿入方向Da及び引抜方向Dbとほぼ平行に延在している。
【0023】
図6は、実施の形態1に係るトナーカートリッジ5の外観(斜め上から見たとき)を示す斜視図である。図7は、実施の形態1に係るトナーカートリッジ5の外観(斜め下から見たとき)を示す斜視図である。図8は、実施の形態1に係るトナーカートリッジ5の排出口500から突出している突出部材512aを示す斜視図である。
【0024】
トナーカートリッジ5は、トナーを収容する現像剤収容部としてのトナー収容部50と、シャッター51(図4)と、サイドフレーム52L、52Rと、操作レバー53とを有している。トナー収容部50は、トナーカートリッジ5の本体、すなわち、トナーカートリッジ本体である。トナー収容部50は、トナーを収容し、下面に現像剤供給口としての排出口500を有している。トナー収容部50は、「トナーカートリッジ本体フレーム」ともいう。
【0025】
図9は、トナーカートリッジ5の状態(シャッター51が閉位置にあるとき)を示す概略断面図である。図10は、トナーカートリッジ5の状態(シャッター51が開位置にあるとき)を示す概略断面図である。
【0026】
トナーカートリッジ5のトナー収容部50には、トナー収容部50内のトナーを排出可能(すなわち、補給可能)に設けられた排出口500と、排出口500を塞ぐ閉位置(図9の位置)と排出口500を開状態にする開位置(図10の位置)との間で移動自在に設けられた開閉部材としてのシャッター51とを有している。トナー収容部50は、排出口500と突出部501を備えている。シャッター51は、トナーカートリッジ5のサイドフレーム52L、52Rに回転可能に支持されており、排出口500の開位置と排出口500の閉位置とを回転移動可能となっている。また、シャッター51は、シャッターインナー筒部510と、そのシャッターインナー開口部5101、弾性部材からなるシャッターシール部511と、突出部材512aとを備えている。つまり、トナーカートリッジ5は、シャッター51に取り付けられ、シャッター51が開位置(図10の位置)にあるときに排出口500を通じてトナー収容部50の外に向けて突出する突出部材512aを有している。突出部材512aは、例えば、可撓性のあるシート状のフィルム部材(例えば、PET)である。フィルム部材の材料として、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ウレタン、テフロン、などが望ましい。また、このフィルム部材は、折り曲げられた屈曲状態から平面状態に復元する(或いは前記屈曲が平面状態に近づく方向に所定量以上復元する)弾性部材であることが望ましい。
【0027】
シャッター51は、シャッターインナー開口部5101を向く面である取付面51a、51bを有している。取付面51aと51bとは、シャッターインナー開口部5101を挟んで向き合っている。シャッター51が開位置から閉位置に移動する際の移動方向を閉方向D1とし(図9では、シャッター51における排出口500を塞ぐ閉止面が開位置から閉位置に移動する際の移動方向を閉方向D1とし)、シャッター51において突出部材512aが取り付け可能な取付面51a、51b(すなわち、端部)のうちの、排出口500に対する閉方向D1の上流側の取付面51aを第1の取付面とし、閉方向D1の下流側の取付面51bを第2の取付面とした場合、突出部材512aは、シャッター51の取付面51a側に取り付けられている。突出部材512aは、例えば、接着剤によって取付面51aに固定されている。突出部材512aは、例えば、シャッター51の内面と取付面51aとの両方に接着されてもよい。実施の形態1では、シャッター51の取付面51a、51bのうちの閉方向D1の上流側の取付面51a(第1の取付面)に突出部材512aを貼り付けることによって、排出口500の内面にトナーが付着することを抑制でき、また、シャッター51の閉動作時にトナーの飛散を抑制できる。
【0028】
現像室カバーフレーム47は、トナー受入口470と、トナー受入口470の周囲を囲うように設けられた弾性部材からなるシール部材471とを備えている。シール部材471のトナー受入口470側の面(すなわち、内側の面)は、ほぼ鉛直方向に拡がる鉛直領域472を形成している。
【0029】
図9に示されるように、シャッター51が閉位置にあるときに、シャッター51のシャッターシール部511は排出口500を覆う位置にあり、排出口500は塞がれている。このとき、突出部材512aは、シャッター51のシャッターシール部511のシャッターインナー開口部5101を向く面である取付面51aに貼り付けられているため、排出口500が塞がれているときはシャッターインナー筒部510とトナー収容部50の間に形成される収納部に突出部材512aの先端が排出口500に向くように折りたたまれている。尚、図面の都合上、シャッターシール部511やシール部材471が他の部品に食い込んだように描写されているが、実際にはこのように描写された各シール部材は適度に弾性変形した状態にある。
【0030】
排出口500の開状態時、シャッターインナー開口部5101は排出口500と対応する位置にあり、排出口500は開状態であり、突出部材512aは排出口500が開いたことで、折りたたまれた状態から広がった状態になる。このとき、突出部材512aの先端はトナー収容部50より突出した位置にある。突出部材512aはトナーカートリッジ5の枠体の突出部501によってたわみが矯正される。
【0031】
突出部材512aの長さは、シャッター51が閉位置にあるときはトナーシール性能に影響がないようにシャッターシール部511までは届かない長さであり、シャッター51が開位置にあるときは現像室カバーフレーム47のトナー受入口470を向く鉛直領域472の鉛直方向長さより長い。取付面51aは、シャッター51が開位置から閉位置に移動する際に排出口500を閉方向D1に移動して横切る面であり、排出口500の淵部(すなわち、取付面51aの外側の先端に隣接する排出口500の端部)は、取付面の他の箇所よりも排出口に向けて突出している。言い換えれば、取付面51a(第1の取付面)は、シャッター51が開位置から閉位置に移動する際に排出口500を閉方向D1に移動して横切る面であり、排出口500の互いに向かい合う淵部のうちの、取付面51a側の淵部を第1の淵部とし、第1の淵部に向かい合う淵部を第2の淵部とした場合、第1の淵部は第1の取付面よりも第2の淵部に向けて突出している。突出部材512aは、シャッター51が開位置にあるときに、排出口500の淵部に当接された状態で保持される。
【0032】
《1-2》動作
図11から図13は、実施の形態1に係るトナーカートリッジ5のシャッター51の閉動作を示す断面図(その1~その3)である。図14は、実施の形態1に係るトナーカートリッジ5の引き抜き動作を示す断面図である。
【0033】
トナーカートリッジ5をドラムユニット4から取り外す操作における動作を説明する。トナーカートリッジ5をドラムユニット4から取り外す際に、ユーザーが操作レバー53を操作することで、シャッター51のシャッターインナー筒部510において排出口500を塞ぐ閉止面が排出口500を塞ぐ方向である閉方向D1に移動(すなわち、回転)する。シャッターインナー開口部5101に貼り付けられた突出部材512aは、シャッターインナー筒部510の回転動作に伴い移動する。図11及び図12に示されるように。突出部材512aは、シャッターインナー筒部510の回転動作中に現像室カバーフレーム47のトナー受入口470を向く鉛直領域472に接触することで、鉛直領域472に付着しているトナー60をはたき落とす。
【0034】
シャッター51のシャッターインナー筒部510の閉方向D1の移動(すなわち、回転)が進み、排出口500が塞がれると、図13に示されるように、突出部材512aは、シャッターインナー筒部510とトナー収容部50との間に収納されるように、折りたたまれる。図14に示されるように、この状態で、ユーザーがトナーカートリッジ5を挿入方向Daの反対方向である引抜方向Dbに引き抜いた際に、現像室カバーフレーム47のトナー受入口470を向く鉛直領域472に付着しているトナーがはたき落とされる。
【0035】
《1-3》効果
以上に説明したように、実施の形態1によれば、使用済みのトナーカートリッジ5をドラムユニット4から取り外す際、ドラムユニット4の枠体のトナー受入口470を向く鉛直領域472に付着するトナーがはたき落とされる。このため、トナーカートリッジ5の引き抜きによるトナーの飛散が防止でき、画像形成ユニット3及び画像形成装置1の内部のトナーの飛散を抑制することができる。
【0036】
《2》実施の形態2
《2-1》構成
実施の形態1では、突出部材512aがシャッター51の閉方向D1の上流側の取付面51aに取り付けられている例を説明したが、実施の形態2では、突出部材512a(第1の突出部材)がシャッター51の閉方向D1の上流側の取付面51a(第1の取付面)に取り付けられており且つ突出部材512b(第2の突出部材)がシャッター51の閉方向D1の下流側の取付面51b(第2の取付面)に取り付けられている例を説明する。これ以外に関し、実施の形態2の構造は、実施の形態1のものと同じである。
【0037】
《2-2》動作
図15は、実施の形態2に係るトナーカートリッジ5の状態(シャッター51が開位置にあるとき)を示す断面図である。図16は、実施の形態2に係るトナーカートリッジ5の状態(シャッター51が閉位置に移動しているとき)を示す断面図である。
【0038】
シャッター51が開位置にあるとき、突出部材512a及び512bの先端をトナー収容部50より外に突出している。突出部材512a及び512bは、現像室カバーフレーム47のトナー受入口470を向く鉛直領域472の鉛直方向の長さより長い形状であることが望ましい。シャッター51が開位置にあるとき、突出部材512a及び512bは、トナー受入口470を向く鉛直領域472を覆っている。
【0039】
実施の形態2では、シャッター51が開位置にあるとき、突出部材512aは、トナー収容部50の排出口500に向けて突き出た突出部501によって撓みが矯正されており、突出部材512bは、トナー供給時のトナーの自重によって部材の撓みが矯正される。
【0040】
実施の形態2では、突出部材512aがトナー受入口470を向く鉛直領域472に付着したトナー60をはたき落とす構造と、突出部材512bがトナー受入口470を向く鉛直領域472を覆っていることでトナーカートリッジ5からのトナー供給動作中にトナー受入口470を向く鉛直領域472に付着するトナーを低減させる構造とを有している。
【0041】
図17は、実施の形態2に係るトナーカートリッジ5の状態(シャッター51が閉位置にあるとき)を示す断面図である。排出口500を閉位置に移動させた際、突出部材512bに付着したトナー60はシャッターインナー筒部510の回転動作により突出部材512b、512aが折りたたまれる動作とともに、トナーカートリッジ5内に移動する。
【0042】
《2-3》効果
以上に説明したように、実施の形態2によれば、ドラムユニット4の枠体のトナー受入口470を向く鉛直領域472に付着するトナーを減らすことができる。また、使用済みのトナーカートリッジ5をドラムユニット4から取り外す際、ドラムユニット4の枠体のトナー受入口470を向く鉛直領域472に付着するトナーがはたき落とされる。このため、トナーカートリッジ5の引き抜きによるトナーの飛散が防止でき、画像形成ユニット3及び画像形成装置1の内部のトナーの飛散を抑制することができる。
【0043】
《3》実施の形態3
《3-1》構成
実施の形態1では、突出部材512aがシャッター51の閉方向D1の上流側の取付面51aに取り付けられている例を説明したが、実施の形態3では、突出部材512bがシャッター51の閉方向D1の下流側の取付面51bに取り付けられている例を説明する。
【0044】
図18は、実施の形態3に係るトナーカートリッジ5の状態(シャッター51が開位置にあるとき)を示す断面図である。シャッター51が開位置から閉位置に移動する際の移動方向を閉方向D1とし、排出口500の取付面のうちの閉方向D1の上流側の取付面51aを第1の取付面とし、閉方向D1の下流側の取付面51bを第2の取付面とした場合、突出部材512bは、シャッター51の取付面51b側に取り付けられている。これ以外に関し、実施の形態3の構造は、実施の形態1又は2のものと同じである。
【0045】
《3-2》動作
実施の形態3の動作は、実施の形態2の動作(突出部材512bに関する部分)と同じである。つまり、シャッター51が排出口500を塞ぐ閉位置にあるときに、突出部材512bによって覆われていたトナー受入口470の鉛直領域472にはトナーが付着していない状態となる。
【0046】
《3-3》効果
以上に説明したように、実施の形態3によれば、ドラムユニット4の枠体のトナー受入口470を向く鉛直領域472に付着するトナーを減らすことができる。このため、トナーカートリッジ5の引き抜きによるトナーの飛散が低減でき、画像形成ユニット3及び画像形成装置1の内部のトナーの飛散を抑制することができる。
【0047】
《4》実施の形態4
《4-1》構成
上記実施の形態1から3では、シャッター51がトナーカートリッジ5の本体の内部に備えられており且つ突出部材512a、512bがシャッター51に取り付けられている例を説明したが、実施の形態4では、シャッター51cがトナーカートリッジ5の本体の外側に備えられており且つ突出部材512cがトナーカートリッジ5の本体に取り付けられている。
【0048】
図19は、実施の形態4に係るトナーカートリッジ5の状態(シャッター51cが開位置にあるとき)を示す断面図である。図20は、実施の形態4に係るトナーカートリッジ5の状態(シャッター51cが閉位置にあるとき)を示す断面図である。
【0049】
トナー収容部50は、排出口500と、突出部材512cと、シャッター51cとを備えている。シャッター51は、例えば、閉方向D1に延在する案内溝又は案内レールなど(図示せず)によってトナー収容部50に対して閉方向D1に平行な方向に移動可能(ここでは、スライド可能)に取り付けられており、排出口500を開閉自在に構成されている。シャッター51cが開位置にあるとき、突出部材512cはドラムユニット4のトナー受入口470を向く鉛直領域472を覆うように位置する。上記以外に関し、実施の形態4の構造は、基本的に実施の形態1から3のいずれかと同様である。
【0050】
《4-2》動作
トナーカートリッジ5をドラムユニット4から取り外す操作における動作を説明する。トナーカートリッジ5をドラムユニット4から取り外す際に、ユーザーの操作によって、シャッター51cはトナー収容部50に対して相対的に閉方向D1へ移動して、トナー収容部50の排出口500を塞ぐ。トナー収容部50の内部に貼り付けられた突出部材512cはシャッター51cの移動中にシャッター51cと接触することで変形させられ、シャッター51cが閉位置に位置するときにはトナー収容部50の内部に収納された状態となる。シャッター51cが排出口500を塞いだ際、突出部材512cによって覆われていたトナー受入口470の鉛直領域472にはトナーが付着していない状態となる。
【0051】
《4-3》効果
以上に説明したように、実施の形態4によれば、使用済みのトナーカートリッジ5をドラムユニット4から取り外す際に、ドラムユニット4の枠体のトナー受入口470を向く鉛直領域472にトナーを付着させないことで、トナーカートリッジ5の引き抜きによるトナーの飛散を抑制でき、画像形成ユニット3及び画像形成装置1の内部におけるトナーの飛散を抑制することができる。
【0052】
《5》変形例
図21から図25は、実施の形態1の変形例に係るトナーカートリッジ5の構造及び動作を示す概略断面図(その1~その5)である。この例では、突出部材512aは、シャッター51の取付面51aに取り付けられている。実施の形態1の変形例に係るトナーカートリッジ5は、画像形成装置本体に対して挿入方向Daにトナーカートリッジ5をスライドさせることによって(図21)、シャッター51が画像形成装置本体の係合部(段差部)に当たり(図22)、さらに挿入方向Daに挿入することで、シャッター51が開位置に移動して開状態になる(図23)。このとき、シャッター51の取付面51aに取り付けられている突出部材512aは、重力によって下に垂れ下がる。
【0053】
トナーカートリッジ5内のトナーが消費されて空になった後、トナーカートリッジ5を引き抜くときには、引抜方向Dbにトナーカートリッジ5を引き抜くと、突出部材512aによってトナー受入口470の周辺に付着したトナーが叩き落とされ(図24)、さらに引抜方向Dbにトナーカートリッジ5を引き抜くと、シャッター51は図示しないスプリングなどの付勢部材によって排出口500を塞ぐ閉位置に移動する(図25)。
【0054】
この場合にも、突出部材512aにより、トナー受入口470の周辺からトナーがはたき落とされるので、画像形成装置1の内部におけるトナーの飛散が抑制される。
【0055】
図26は、実施の形態3の変形例に係るトナーカートリッジ5の構造及び動作を示す概略断面図である。この例では、突出部材512bは、シャッター51の取付面51bに取り付けられている。また、シャッター51cは、図示しないスプリングなどの付勢部材によって、閉方向D1に付勢されている。この場合にも、突出部材512bにより、トナー受入口470の周辺にトナーが付着しにくいので、画像形成装置1の内部におけるトナーの飛散が抑制される。
【符号の説明】
【0056】
1 画像形成装置、 2 筐体、 3 画像形成ユニット、 4 ドラムユニット(画像形成部、画像形成ユニット本体)、 5 トナーカートリッジ(現像剤収容体)、 6 前面カバー、 47 現像室カバーフレーム、 50 トナー収容部(現像剤収容部)、 51、51c シャッター(開閉部材)、 51a 取付面(第1の取付面)、 51b 取付面(第2の取付面)、 53 操作レバー(操作部)、 470 トナー受入口(現像剤受入口)、 471 シール部材、 500 排出口、 510 シャッターインナー筒部、 511 シャッターシール部、 512a、512b、512c 突出部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
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