(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157763
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】化合物の製造方法および化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 307/52 20060101AFI20241031BHJP
C07D 407/04 20060101ALI20241031BHJP
B01J 27/185 20060101ALI20241031BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
C07D307/52
C07D407/04 CSP
B01J27/185 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】37
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072314
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】北村 光晴
(72)【発明者】
【氏名】浅井 良
(72)【発明者】
【氏名】桐野 智明
(72)【発明者】
【氏名】中島 清隆
【テーマコード(参考)】
4C063
4G169
4H039
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC82
4C063DD75
4C063EE05
4G169AA02
4G169BB13B
4G169BC67B
4G169CB77
4G169DA05
4G169EB19
4H039CA71
(57)【要約】 (修正有)
【課題】2,5-ビス(アミノメチル)フラン(AMF)等の芳香族ジアミン化合物を選択性高く製造することができる化合物および前記化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】式(Pa)で表される化合物のホルミル基に、アミノ化反応を進行させることを含む、式(PA)で表される化合物の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Pa)で表される化合物のホルミル基に、アミノ化反応を進行させることを含む、式(PA)で表される化合物の製造方法。
【化1】
(式(Pa)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s1およびR
s2は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
【化2】
(式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s2およびR
s3は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記アミノ化反応は、アンモニアを用いて行う、請求項1に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【請求項3】
前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行う、請求項1または2に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【請求項4】
前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行い、前記溶媒が、A-(OH)mで表される化合物(ただし、Aは炭素数1~10の炭化水素基であり、mは1または2である)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【請求項5】
前記アミノ化反応は、アンモニアを用いて行い、前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行い、前記溶媒が、A-(OH)mで表される化合物(ただし、Aは炭素数1~10の炭化水素基であり、mは1または2である)を含む、請求項1に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【請求項6】
前記式(PA)中、Rs1およびRs2は、互いに結合して環を形成している、請求項1~5のいずれか1項に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【請求項7】
前記式(PA)中、n1が1である、請求項1~6のいずれか1項に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【請求項8】
前記式(PA)中、Xが酸素原子である、請求項1~7のいずれか1項に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【請求項9】
前記式(PA)中、Rs1およびRs2は、互いに結合して5員環または6員環を形成している、請求項1~8のいずれか1項に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【請求項10】
前記式(PA)中、Rs1およびRs2は、互いに結合して5員環または6員環を形成しており、
n1が1であり、
Xが酸素原子である、請求項1~9のいずれか1項に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【請求項11】
前記式(PA)で表される化合物が下記式(PA-2)で表される化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【化3】
(式(PA-2)中、R
s4は水素原子またはメチル基であり、n2は0または1である。)
【請求項12】
前記式(PA)で表される化合物が下記式(PA-3)で表される化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【化4】
【請求項13】
式(PA)で表される化合物中の(R
s1O)(R
s2O)CH-に対し、プロトン源を発生する化合物の存在下で、アミノ化反応を進行させることを含む、式(PB)で表される化合物の製造方法。
【化5】
(式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s1およびR
s2は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
【化6】
(式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、n1は、1または2である。)
【請求項14】
前記プロトン源を発生する化合物は、酸触媒および弱酸のアンモニウム塩から選択される少なくとも1種である、請求項13に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項15】
前記プロトン源を発生する化合物は、酢酸、ギ酸、乳酸、および、これらの酸のアンモニウム塩、ならびに、固体酸から選択される少なくとも1種である、請求項13に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項16】
前記プロトン源を発生する化合物は、酢酸および/または酢酸アンモニウムである、請求項13に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項17】
前記アミノ化反応は、アンモニアおよび/またはアンモニウム塩を用いて行う、請求項13~16のいずれか1項に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項18】
前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行う、請求項13~17のいずれか1項に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項19】
前記溶媒が、A-(OH)mで表される化合物(ただし、Aは炭素数1~10の炭化水素基であり、mは1または2である)を含む、請求項18に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項20】
前記A-(OH)mで表される化合物がメタノールを含む、請求項19に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項21】
前記溶媒におけるA-(OH)mで表される化合物と水の体積比率が、前記A-(OH)mで表される化合物1に対し、水が0以上1未満である、請求項19または20に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項22】
前記溶媒が、水を含む、請求項19~21のいずれか1項に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項23】
前記A-(OH)mで表される化合物と水の体積比率が、前記A-(OH)mで表される化合物1に対し、水が0超1未満である、請求項22に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項24】
前記アミノ化反応の反応系のpHが6.5~11.5である、請求項13~23のいずれか1項に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項25】
さらに、水を除去することを含む、請求項13~24のいずれか1項に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項26】
前記式(PA)中、Rs2およびRs3は、互いに結合して5員環または6員環を形成しており、n1が1であり、Xが酸素原子であるか、
それぞれ独立に、炭素数1~4の脂肪族炭化水素基であり、n1が1であり、
Xが酸素原子であり、
前記プロトン源を発生する化合物は、酢酸および/または弱酸のアンモニウム塩であり、
前記アミノ化反応は、アンモニアを用いて行い、
前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行い、
前記溶媒が、A-(OH)mで表される化合物(ただし、Aは炭素数1~10の炭化水素基であり、mは1または2である)を含む、請求項13~15のいずれか1項に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項27】
前記式(PA)で表される化合物を得ることと、前記式(PA)で表される化合物中の(Rs1O)(Rs2O)CH-に対するアミノ化反応とをワンポットで行う、請求項13~26のいずれか1項に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【請求項28】
請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法によって式(PA)で表される化合物を得ることを含む、請求項13~27のいずれか1項に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【化7】
(式(PB)中、Xはヘテロ原子であり、n1は、1または2である。)
【請求項29】
式(PA)で表される化合物。
【化8】
(式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s2およびR
s3は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項30】
前記式(PA)中、Rs1およびRs2は、互いに結合して環を形成している、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
前記式(PA)中、n1が1である、請求項29または30に記載の化合物。
【請求項32】
前記式(PA)中、Xが酸素原子である、請求項29~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
前記式(PA)中、Rs1およびRs2は、互いに結合して5員環または6員環を形成している、請求項29~32のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
前記式(PA)中、Rs1およびRs2は、互いに結合して5員環または6員環を形成しており、
n1が1であり、
Xが酸素原子である、請求項29~33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
下記式(PA-1)で表される化合物。
【化9】
(式(PA-1)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s1およびR
s2は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
【請求項36】
下記式(PA-2)で表される化合物。
【化10】
(式(PA-2)中、R
s4は水素原子またはメチル基であり、n2は0または1である。)
【請求項37】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物の製造方法および化合物に関する。特に、2,5-ビス(アミノメチル)フラン(AMF)等化合物を選択性高く製造することができる化合物の製造方法、および、そのために用いる中間体等に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂の硬化剤、潤滑剤、接着剤、柔軟仕上げ剤、界面活性剤として、また、ポリアミドやポリウレタンの原料として用いられるジアミン化合物は、ジアルデヒドから還元的アミノ化によって合成可能なことは知られている。
例えば、特許文献1には、2,5-ビス(アミノメチル)フラン(AMF)を製造する方法であって、2,5-ジホルミルフラン(DFF)、n-ブチルアミンおよび溶媒を反応容器内で混合し、さらに、前記反応容器内に水素化触媒、アンモニアおよび水素を添加し、還元的アミノ化反応を行う工程を含むことを特徴とする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、2,5-ビス(アミノメチル)フラン(AMF)の合成に際し、ブチルアミンを用いており、ブチルアミンの分離回収の手間がかかる。すなわち、新たな、2,5-ビス(アミノメチル)フラン(AMF)等の芳香族ジアミンの製造方法が求められる。
本発明はかかる課題を解決することを目的とするものであって、新規な芳香族ジアミンの製造方法を提供することを目的とする。また、前記新規な芳香族ジアミンの製造方法に用いる化合物、および、前記化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題のもの、本発明者が検討を行った結果、2,5-ジホルミルフラン(DFF)等の芳香族ジアルデヒドの片方のホルミル基をアセタールの形で保護した化合物を用いることにより、2,5-ビス(アミノメチル)フラン(AMF)等の芳香族ジアミンを選択性高く製造できることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>式(Pa)で表される化合物のホルミル基に、アミノ化反応を進行させることを含む、式(PA)で表される化合物の製造方法。
【化1】
(式(Pa)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s1およびR
s2は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
【化2】
(式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s2およびR
s3は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
<2>前記アミノ化反応は、アンモニアを用いて行う、<1>に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
<3>前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行う、<1>または<2>に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
<4>前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行い、前記溶媒が、A-(OH)
mで表される化合物(ただし、Aは炭素数1~10の炭化水素基であり、mは1または2である)を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
<5>前記アミノ化反応は、アンモニアを用いて行い、前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行い、前記溶媒が、A-(OH)
mで表される化合物(ただし、Aは炭素数1~10の炭化水素基であり、mは1または2である)を含む、<1>に記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
<6>前記式(PA)中、R
s1およびR
s2は、互いに結合して環を形成している、<1>~<5>のいずれか1つに記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
<7>前記式(PA)中、n1が1である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
<8>前記式(PA)中、Xが酸素原子である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
<9>前記式(PA)中、R
s1およびR
s2は、互いに結合して5員環または6員環を形成している、<1>~<8>のいずれか1つに記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
<10>前記式(PA)中、R
s1およびR
s2は、互いに結合して5員環または6員環を形成しており、
n1が1であり、
Xが酸素原子である、<1>~<9>のいずれか1つに記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
<11>前記式(PA)で表される化合物が下記式(PA-2)で表される化合物を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【化3】
(式(PA-2)中、R
s4は水素原子またはメチル基であり、n2は0または1である。)
<12>前記式(PA)で表される化合物が下記式(PA-3)で表される化合物を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の式(PA)で表される化合物の製造方法。
【化4】
<13>式(PA)で表される化合物中の(R
s1O)(R
s2O)CH-に対し、プロトン源を発生する化合物の存在下で、アミノ化反応を進行させることを含む、式(PB)で表される化合物の製造方法。
【化5】
(式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s1およびR
s2は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
【化6】
(式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、n1は、1または2である。)
<14>前記プロトン源を発生する化合物は、酸触媒および弱酸のアンモニウム塩から選択される少なくとも1種である、<13>に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<15>前記プロトン源を発生する化合物は、酢酸、ギ酸、乳酸、および、これらの酸のアンモニウム塩、ならびに、固体酸から選択される少なくとも1種である、<13>に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<16>前記プロトン源を発生する化合物は、酢酸および/または酢酸アンモニウムである、<13>に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<17>前記アミノ化反応は、アンモニアおよび/またはアンモニウム塩を用いて行う、<13>~<16>のいずれか1つに記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<18>前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行う、<13>~<17>のいずれか1つに記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<19>前記溶媒が、A-(OH)
mで表される化合物(ただし、Aは炭素数1~10の炭化水素基であり、mは1または2である)を含む、<18>に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<20>前記A-(OH)
mで表される化合物がメタノールを含む、<19>に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<21>前記溶媒におけるA-(OH)
mで表される化合物と水の体積比率が、前記A-(OH)
mで表される化合物1に対し、水が0以上1未満である、<19>または<20>に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<22>前記溶媒が、水を含む、<19>~<21>のいずれか1つに記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<23>前記A-(OH)
mで表される化合物と水の体積比率が、前記A-(OH)
mで表される化合物1に対し、水が0超1未満である、<22>に記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<24>前記アミノ化反応の反応系のpHが6.5~11.5である、<13>~<23>のいずれか1つに記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<25>さらに、水を除去することを含む、<13>~<24>のいずれか1つに記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<26>前記式(PA)中、R
s2およびR
s3は、互いに結合して5員環または6員環を形成しており、n1が1であり、Xが酸素原子であるか、
それぞれ独立に、炭素数1~4の脂肪族炭化水素基であり、n1が1であり、
Xが酸素原子であり、
前記プロトン源を発生する化合物は、酢酸および/または弱酸のアンモニウム塩であり、
前記アミノ化反応は、アンモニアを用いて行い、
前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行い、
前記溶媒が、A-(OH)
mで表される化合物(ただし、Aは炭素数1~10の炭化水素基であり、mは1または2である)を含む、<13>~<15>のいずれか1つに記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<27>前記式(PA)で表される化合物を得ることと、前記式(PA)で表される化合物中の(R
s1O)(R
s2O)CH-に対するアミノ化反応とをワンポットで行う、<13>~<26>のいずれか1つに記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
<28><1>~<12>のいずれか1つに記載の製造方法によって式(PA)で表される化合物を得ることを含む、<13>~<27>のいずれか1つに記載の式(PB)で表される化合物の製造方法。
【化7】
(式(PB)中、Xはヘテロ原子であり、n1は、1または2である。)
<29>式(PA)で表される化合物。
【化8】
(式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s2およびR
s3は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
<30>前記式(PA)中、R
s1およびR
s2は、互いに結合して環を形成している、<29>に記載の化合物。
<31>前記式(PA)中、n1が1である、<29>または<30>に記載の化合物。
<32>前記式(PA)中、Xが酸素原子である、<29>~<31>のいずれか1つに記載の化合物。
<33>前記式(PA)中、R
s1およびR
s2は、互いに結合して5員環または6員環を形成している、<29>~<32>のいずれか1つに記載の化合物。
<34>前記式(PA)中、R
s1およびR
s2は、互いに結合して5員環または6員環を形成しており、
n1が1であり、
Xが酸素原子である、<29>~<33>のいずれか1つに記載の化合物。
<35>下記式(PA-1)で表される化合物。
【化9】
(式(PA-1)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s1およびR
s2は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
<36>下記式(PA-2)で表される化合物。
【化10】
(式(PA-2)中、R
s4は水素原子またはメチル基であり、n2は0または1である。)
<37>下記式(PA-3)で表される化合物。
【化11】
【発明の効果】
【0006】
本発明により、新規な芳香族ジアミンの製造方法を提供可能になった。また、前記新規な芳香族ジアミンの製造方法に用いる化合物、および、前記化合物の製造方法を提供可能になった。
特に、高い精度で所定の芳香族ジアミンを製造可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例で得られたPD-AMFのNMRデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。本明細書では、置換および無置換を記していない表記は、無置換の方が好ましい。
【0009】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2023年1月1日時点における規格に基づくものとする。
【0010】
本実施形態では、式(PA)で表される化合物中の(R
s1O)(R
s2O)CH-に対し、プロトン源を発生する化合物の存在下で、アミノ化反応を進行させることを含む、式(PB)で表される化合物の製造方法を開示する。
【化12】
(式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s2およびR
s3は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
【化13】
(式(PB)中、Xはヘテロ原子であり、n1は、1または2である。)
より具体的には、後述する方法によって、式(PA)で表される化合物を得ること、プロトン源を発生する化合物の存在下で、前記式(PA)で表される化合物中の(R
s1O)(R
s2O)CH-に対し、アミノ化反応を進行させることを含む、式(PB)で表される化合物の製造方法であることが好ましい。さらに、式(PA)で表される化合物を得ることと、前記式(PA)で表される化合物中の(R
s1O)(R
s2O)CH-に対するアミノ化反応とをワンポットで行うことが好ましい。
一方、式(PA)で表される化合物を得る工程の後、式(PA)で表される化合物を分離し、分離した式(PA)で表される化合物中の(R
s1O)(R
s2O)CH-に対し、アミノ化反応を進行させて式(PB)で表される化合物を得てもよい。
【0011】
上記式(PA)で表される化合物は、ホルミル基がアセタールの形で保護されており、このような化合物を経由して、プロトン源を発生する化合物の存在下でアミノ化反応を進行させて式(PB)で表される化合物を製造することにより、選択性高く、式(PB)で表される化合物を得られることを見い出したものである。これは、式(PA)で表される化合物を用いることにより、ホルミル基の副反応が抑制されたと推測される。
【0012】
まず、本実施形態における式(PA)で表される化合物について説明する。
【化14】
(式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s2およびR
s3は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
【0013】
式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、酸素原子、窒素原子および硫黄原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。
【0014】
式(PA)中、Rs1およびRs2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、炭素数1~4の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基であることが好ましい。また、Rs1およびRs2は、互いに結合して環を形成していてもよい。なお、Rs1とRs2が互いに結合して環を形成している場合、後述する式(PA-2)で表わされるように、Rs1およびRs2である脂肪族炭化水素基同士が結合して、酸素原子2つを含む環状構造を形成していることが好ましい。
【0015】
前記式(PA)中、n1は、1または2であり、1であることが好ましい。
【0016】
前記式(PA)で表される化合物は、式(PA-1)で表される化合物であることが好ましい。
【化15】
(式(PA-1)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s1およびR
s2は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0017】
式(PA-1)における、X、Rs1およびRs2は、それぞれ独立に、式(PA)における、X、Rs1およびRs2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0018】
式(PA)中、R
s1およびR
s2の第一の実施形態は、R
s1およびR
s2が、互いに結合して環を形成していることである。第一の実施形態において、R
s1およびR
s2は、互いに結合して、3~8員環を形成していることが好ましく、5員環または6員環を形成していることがより好ましく、5員環を形成していることがより好ましい。
すなわち、式(PA)で表される化合物の第一の好ましい実施形態は、式(PA)中、R
s1およびR
s2は、互いに結合して5員環または6員環を形成しており、n1が1であり、Xが酸素原子であることであり、より好ましくは式(PA-2)で表される化合物であり、さらに好ましくは式(PA-3)で表される化合物である。
【化16】
(式(PA-2)中、R
s4は水素原子またはメチル基であり、n2は0または1である。)
式(PA-2)中、R
s4は水素原子またはメチル基であり、水素原子であることが好ましい。
式(PA-2)中、n2は0または1であり、1であることが好ましい。
【化17】
【0019】
式(PA)中、Rs1およびRs2の第二の実施形態は、Rs1およびRs2が、環を形成していないことである。第二の実施形態において、Rs1およびRs2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~10の直鎖アルキル基であることがさらに好ましい。第二の実施形態における炭素数1~10の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基を構成する炭素数は、1~8であることが好ましく、1~6であることがより好ましく、1~4であることがさらに好ましい。
第二の実施形態において、Rs1およびRs2は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、または、t-ブチル基が好ましい。
すなわち、式(PA)で表される化合物の第二の好ましい実施形態は、式(PA)中、Rs1およびRs2は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、または、t-ブチル基であり、n1が1であり、Xが酸素原子であることであり、より好ましくは式(PA-4)で表される化合物でありさらに好ましくは式(PA-5)で表される化合物および/または式(PA-6)で表される化合物である。
【0020】
【化18】
(式(PA-3)中、R
s11およびR
s22はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、または、t-ブチル基を示す。)
【0021】
【0022】
次に、式(PA)で表される化合物の製造方法について説明する。
式(PA)で表される化合物の製造方法は、式(Pa)で表される化合物のホルミル基に、アミノ化反応を進行させることを含むことが好ましい。
【化20】
(式(Pa)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s1およびR
s2は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
【化21】
(式(PA)中、Xはヘテロ原子であり、R
s1およびR
s2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であり、R
s1およびR
s2は、互いに結合して環を形成していてもよい。n1は、1または2である。n1が2のとき、それぞれのR
s1およびR
S2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
【0023】
このような化合物を用いることにより、式(Pa)で表される化合物から、式(PA)で表される化合物を経由して、式(PB)で表される化合物が得られる。また、式(Pa)で表される化合物から、ワンポットで、式(PA)で表される化合物を経由して、式(PB)で表される化合物を得ることもできる。ここでのワンポットとは、1つの反応系内(例えば、反応釜内)で、式(Pa)で表される化合物から式(PA)で表される化合物を経由して、式(PB)で表される化合物を得ることを意味する。
【0024】
式(Pa)における、X、R
s1、R
s2およびn1は、式(PA)におけるX、R
s1、R
s2およびn1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(Pa)で表される化合物は、例えば、式(Pa)におけるアセタール部分がホルミル基である化合物(a)から、公知の方法により製造することができる。
【化22】
(式(a)中、Xはヘテロ原子であり、n1は、1または2である。)
【0025】
式(PA)で表される化合物の製造方法において、前記アミノ化反応は、水素源と窒素源を供給して行うことが好ましく、アンモニアを用いて行うことがより好ましい。
【0026】
水素源としては、式(Pa)で表される化合物のホルミル基を還元できる水素源を供給可能であれば特に定めるものではないが、水素であることが好ましい。本実施形態の製造方法は、水素による加圧下で行われることが好ましい。水素による圧力は、1bar以上であることが好ましく、また、10bar以下であることが好ましい。
【0027】
式(PA)で表される化合物の製造方法においては、窒素源の量が原料(式(Pa)で表される化合物のホルミル基)1モルに対し、2モル以上であることが好ましく、8モル以上であってもよい。また、前記窒素源量は、原料(式(Pa)で表される化合物のホルミル基)1モルに対し、250モル以下であることが好ましく、100モル以下であってもよく、50モル以下であってもよく、40モル以下であってもよく、30モル以下であってもよい。
式(PA)で表される化合物の製造方法においては、窒素源を1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0028】
式(PA)で表される化合物の製造方法においては、アミノ化反応を金属触媒の存在下で行うことが好ましい。金属触媒を用いることにより、水素による還元を効果的に進行させることができる。金属触媒としては、水素による還元に用いられる金属触媒を広く用いることができ、その種類等特に定めるものではない。
金属触媒は、金属ニッケル、金属コバルト、ニッケル化合物、コバルト化合物が好ましく、金属ニッケル、金属コバルト、リン化ニッケル、リン化コバルトがより好ましい。これらの中でも、リン化コバルトが好ましく、リン化コバルトの粒子がより好ましい。リン化コバルトの詳細は、特開2021-013923号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
式(PA)で表される化合物の製造方法における金属触媒の量は、金属触媒を用いる場合、原料(式(Pa)で表される化合物のホルミル基)1モルに対し、0.01モル以上であることが好ましく、0.05モル以上であってもよく、0.08モル以上であってもよい。また、前記触媒は、原料(式(Pa)で表される化合物のホルミル基)1モルに対し、10モル以下であってもよく、5モル以下であってもよく、3モル以下であってもよく、0.4モル以下であってもよく、0.2モル以下であってもよい。
式(PA)で表される化合物の製造方法においては、金属触媒を1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0029】
式(PA)で表される化合物の製造方法においては、前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行うことが好ましい。
式(PA)で表される化合物の製造方法で用いる溶媒は、A-(OH)mで表される化合物(ただし、Aは炭素数1~10の炭化水素基であり、mは1または2である)を含むことが好ましい。このような溶媒を用いることにより、アミノ化反応を早く進行させることができる。
【0030】
A-(OH)mで表される化合物において、Aは炭素数1~10の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~5の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1~3の炭化水素基であることがさらに好ましい。また、炭化水素基はアルキル基であることが好ましい。
A-(OH)mで表される化合物においては、mが1である場合、Aはメチル基、エチル基であることが好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
A-(OH)mで表される化合物においては、mが2である場合、Aは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基であることが好ましい。
A-(OH)mで表される化合物において、mは、1であることが好ましい。
【0031】
A-(OH)mで表される化合物としては、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール等のアルキルモノアルコール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール等のアルキレンジオールが例示され、アルキルモノアルコールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールがさらに好ましい。
また、式(PA)で表される化合物の製造方法で用いる溶媒は、水を含んでいてもよいし、アミノ化反応の反応系に水を供給しないことも好ましい。
【0032】
式(PA)で表される化合物の製造方法における溶媒は、前記溶媒におけるA-(OH)mで表される化合物と水の体積比率が、前記A-(OH)mで表される化合物1に対し、水が0以上1未満であることである。このような構成とすることにより、副生成物の生成をより効果的に抑制できる。溶媒の第一の実施形態においては、水とA-(OH)mで表される化合物の体積比率が、前記A-(OH)mで表される化合物1に対し、また、0.9以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.4以下であることがさらに好ましく、0.3以下であることが一層好ましく、0.2以下、0.1以下であってもよい。
式(PA)で表される化合物の製造方法においては、A-(OH)mで表される化合物を1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0033】
式(PA)で表される化合物の製造方法で用いる溶媒は、A-(OH)mで表される化合物および水の総量(ただし、A-(OH)mで表される化合物および水の両方を含むことを必須とするものではない)が、溶媒の90体積%以上を占めることが好ましく、95体積%以上を占めることがより好ましく、99体積%以上を占めることがさらに好ましい。
【0034】
式(PA)で表される化合物の製造方法におけるアミノ化反応の反応温度は、50℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、95℃以上であることがさらに好ましく、100℃以上であることが一層好ましく、105℃以上であることがより一層好ましい。また、前記アミノ化反応の反応温度は、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましく、130℃以下であることが一層好ましく、125℃以下であることがより一層好ましい。
式(PA)で表される化合物の製造方法においては、反応温度は最初の昇温時と最後の降温時以外は同じ温度(ただし、±5℃の変動は誤差とする)であってもよいし、2段階以上の反応で反応させてもよい。本実施形態では、反応温度は最初の昇温時と最後の降温時以外は同じ温度(ただし、±5℃の変動は誤差とする)であることが好ましい。
【0035】
式(PA)で表される化合物の製造方法におけるアミノ化反応の反応時間は、1分以上であることが好ましく、30分以上であってもよく、1時間以上であってもよく、1.5時間以上であってもよい。また、前記アミノ化反応の反応時間は、50時間以下であってもよく、30時間以下であってもよく、20時間以下であってもよく、9時間以下であってもよい。
【0036】
式(PA)で表される化合物の製造方法において、反応後における反応混合物と触媒との分離は、沈降、遠心分離、濾過等の一般的な方法により行うことができる。また、反応混合物は、得られた反応溶液を必要に応じて濃縮した後、残渣をそのまま原材料や中間体として使用してもよく、反応混合物を適宜後処理して精製してもよい。
本実施形態においては、上述の通り、式(Pa)で表される化合物から、ワンポットで、式(PA)で表される化合物を経由して、式(PB)で表される化合物を得ることが好ましい。
また、本実施形態においては、上述の通り、式(Pa)で表される化合物から、式(PA)で表される化合物を得た後、式(PA)で表される化合物を分離し、分離した式(PA)で表される化合物を用いて式(PB)で表される化合物を得ることも好ましい。
【0037】
式(PA)で表される化合物の製造方法においては、原料(式(Pa)で表される化合物の)転化率が高ければ高いほどよく、35%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが一層好ましい。上限は100モル%であるが、99.99%以下であっても要求性能を満たすものである。
式(PA)で表される化合物の製造方法においては、式(PA)で表される化合物の製造方法の選択率が高ければ高いほどよく、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが一層好ましい。上限は100%である。
前記原料添加率および選択率は、後述する実施例の記載に従って測定される。
【0038】
次に、式(PB)で表される化合物の製造方法について説明する。式(PB)で表される化合物の製造方法は、式(PA)で表される化合物を得ること、プロトン源を発生する化合物の存在下で、前記式(PA)で表される化合物中の(R
s1O)(R
s2O)CH-に対し、アミノ化反応を進行させることを含む。
【化23】
(式(PB)中、Xはヘテロ原子であり、n1は、1または2である。)
【0039】
プロトン源を発生する化合物を用いることでアミノ化反応を効率的に進行させることができる。これは、プロトンの存在によりアセタール基が適度に加水分解されることで、効率的に窒素源と反応することができるためである。
本実施形態におけるアミノ化反応は、以下のようなメカニズムで進行していると推測される。まず、プロトンの存在によりアセタール基が加水分解され、ヘミアセタール基を発生する。ヘミアセタール基に対し、窒素源が求核攻撃すると同時にアルコールが脱離することで、式(PB)で表される化合物が得られる。ここで、ヘミアセタール基がさらに加水分解されるとホルミル基が発生する。ホルミル基が過剰に発生すると、基質のアミノ基等と反応してしまい、副反応の原因になる。
式(PB)中、Xおよびn1は、それぞれ、式(PA)におけるXおよびn1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(PA)で表される化合物およびその製造方法は、上述の式(PA)で表される化合物およびその製造方法と同じである。
【0040】
前記プロトン源を発生する化合物は、反応系(少なくとも、アミノ化反応時に、好ましくはアミノ化反応時およびアセタール基の加水分解時)にプロトン源を供給しうる化合物である限り、特に定めるものではない。プロトン源を発生する化合物は、酸触媒および弱酸のアンモニウム塩から選択される少なくとも1種であることが好ましく、酸触媒は弱酸であることが好ましく、酢酸、ギ酸、乳酸、および、これらの酸のアンモニウム塩、ならびに、固体酸から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、酢酸および酢酸のアンモニウム塩であることがさらに好ましい。
弱酸とは、pKaが3.5~10.0以下の酸をいい、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、イソ酪酸、モノクロロ酢酸などが例示される。
酸触媒は、リン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、イソ酪酸、モノクロロ酢酸が例示され、酢酸、ギ酸、乳酸が好ましく、酢酸がより好ましい。
弱酸のアンモニウム塩としては、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、酪酸アンモニウム、イソ酪酸アンモニウム、モノクロロ酢酸アンモニウムが例示され、酢酸アンモニウムがより好ましい。
プロトン源を発生する化合物が弱酸のアンモニウム塩の場合、アミノ化反応を進行させるために、別途、窒素源を供給してもよいし、供給しなくてもよい。
【0041】
式(PB)で表される化合物の製造方法で用いられるプロトン源を発生する化合物は、pKaが10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、ヘミアセタール基が生成し、アミノ化反応が効率的に進行する傾向にある。また、前記プロトン源を発生する化合物のpKaは、3.5以上であることが好ましく、4.0以上であることがより好ましく、4.5以上であることがさらに一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、アルコールが脱離しホルミル基の再生を効果的に抑制できる傾向にある。
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、プロトン源を発生する化合物のpKaは中和滴定によって測定された値である。
【0042】
式(PB)で表される化合物の製造方法では、式(PA)で表される化合物中の(Rs1O)(Rs2O)CH-に対し、アミノ化反応を進行させるが、アンモニアおよび/またはアンモニウム塩を用いてアミノ化反応を進行させることが好ましく、より好ましくはアンモニアを用いてアミノ化反応を進行させる。なお、アミノ化反応は、上記プロトン源を発生する化合物ともなる弱酸のアンモニウム塩によって進行させてもよい。この場合、プロトン源を発生する化合物とは別に窒素源を添加してもよいし、添加しなくてもよい。
アミノ化反応に用いるアンモニウム塩は、有機酸および無機酸をアンモニアで中和した塩を用いることができる。有機酸のアンモニウム塩としては、炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、酪酸アンモニウム、イソ酪酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、フタル酸二アンモニウム等が、無機酸のアンモニウム塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。これらのなかでも有機酸のアンモニウム塩が好ましく、炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、および、酪酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、酢酸アンモニウムを含むことがさらに好ましい。
【0043】
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、窒素源の量が原料(式(PA)で表される化合物に含まれるアセタール基)1モルに対し、2モル以上であることが好ましく、8モル以上であってもよい。また、前記窒素源量は、原料(式(PA)で表される化合物に含まれるアセタール基)1モルに対し、250モル以下であることが好ましく、100モル以下であってもよく、50モル以下であってもよく、40モル以下であってもよく、30モル以下であってもよい。
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、窒素源を1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0044】
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、アミノ化反応に際し、水素源が供給されることが好ましく、水素が供給されることがより好ましい。本実施形態の製造方法は、水素による加圧下で行われることが好ましい。水素による圧力は、1bar以上であることが好ましく、また、10bar以下であることが好ましい。
【0045】
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、アミノ化反応を金属触媒の存在下で行うことが好ましい。金属触媒を用いることにより、水素による還元を効果的に進行させることができる。金属触媒としては、水素による還元に用いられる金属触媒を広く用いることができ、その種類等特に定めるものではない。
金属触媒は、金属ニッケル、金属コバルト、ニッケル化合物、コバルト化合物が好ましく、金属ニッケル、金属コバルト、リン化ニッケル、リン化コバルトがより好ましい。これらの中でも、リン化コバルトが好ましく、リン化コバルトの粒子がより好ましい。リン化コバルトの詳細は、特開2021-013923号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
式(PB)で表される化合物の製造方法における金属触媒の量は、金属触媒を用いる場合、原料(式(PA)で表される化合物に含まれるアセタール基)1モルに対し、0.01モル以上であることが好ましく、0.05モル以上であってもよく、0.08モル以上であってもよい。また、前記触媒は、原料(式(PA)で表される化合物に含まれるアセタール基)1モルに対し、10モル以下であってもよく、5モル以下であってもよく、3モル以下であってもよく、0.4モル以下であってもよく、0.2モル以下であってもよい。
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、金属触媒を1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0046】
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、前記アミノ化反応を溶媒の存在下で行うことが好ましい。
式(PB)で表される化合物の製造方法で用いる溶媒は、A-(OH)mで表される化合物(ただし、Aは炭素数1~10の炭化水素基であり、mは1または2である)を含むことが好ましい。このような溶媒を用いることにより、アミノ化反応を早く進行させることができる。
また、式(PB)で表される化合物の製造方法で用いる溶媒は、水を含むことが好ましい。溶媒が水を含むことにより、反応速度が向上する効果が得られる。
一方、式(PB)で表される化合物の製造方法においては、アミノ化反応の反応系に水を供給しないことも好ましい。この場合、空気中などの水分により反応を進行させることもできる。
【0047】
A-(OH)mで表される化合物において、Aは炭素数1~10の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~5の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1~3の炭化水素基であることがさらに好ましい。また、炭化水素基はアルキル基であることが好ましい。
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、mが1である場合、Aはメチル基、エチル基であることが好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、mが2である場合、Aは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基であることが好ましい。
A-(OH)mで表される化合物において、mは、1であることが好ましい。
【0048】
A-(OH)mで表される化合物としては、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール等のアルキルモノアルコール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール等のアルキレンジオールが例示され、アルキルモノアルコールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールがさらに好ましい。
【0049】
式(PB)で表される化合物の製造方法における溶媒の第一の実施形態は、前記溶媒におけるA-(OH)mで表される化合物と水の体積比率が、前記A-(OH)mで表される化合物1に対し、水が0以上1未満であることである。このような構成とすることにより、副生成物の生成をより効果的に抑制できる。溶媒の第一の実施形態においては、水とA-(OH)mで表される化合物の体積比率が、前記A-(OH)mで表される化合物1に対し、水が0.1以上であってもよく、0.3以上であってもよく、また、1.5以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましい。
式(PB)で表される化合物の製造方法における溶媒の第二の実施形態は、前記A-(OH)mで表される化合物と水の体積比率が、前記A-(OH)mで表される化合物1に対し、水が0超1未満であることである。溶媒の第二の実施形態においては、水とA-(OH)mで表される化合物の体積比率が、前記A-(OH)mで表される化合物1に対し、水が0.1以上であってもよく、0.3以上であってもよく、また、1.5以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましい。溶媒の第二の実施形態を採用することにより、副生成物の生成の抑制と早いアミノ化反応の進行について特にバランスよく向上させることができる。
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、A-(OH)mで表される化合物を1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0050】
式(PB)で表される化合物の製造方法で用いる溶媒は、A-(OH)mで表される化合物および水の総量(ただし、A-(OH)mで表される化合物および水の両方を含むことを必須とするものではない)が、溶媒の90体積%以上を占めることが好ましく、95体積%以上を占めることがより好ましく、99体積%以上を占めることがさらに好ましい。
【0051】
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、アミノ化反応系のpHが6.5以上であることが好ましく、9.2以上であることがより好ましく、9.5以上であることがさらに好ましく、9.7以上であることが一層好ましく、10.0以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、アルコールが脱離しホルミル基の再生をより効果的に抑制できる傾向にある。式(PB)で表される化合物の製造方法においては、アミノ化反応系のpHが、また、11.5以下であることが好ましく、11.3以下であることがより好ましく、11.0以下であることがさらに好ましく、10.8以下であることが一層好ましく、10.7以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、ヘミアセタール基が生成しアミノ化反応がより効果的に進行する傾向にある。
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、反応系のpHは23℃で測定された値である。なお、測定には、堀場製作所製ハンディタイプpHメータ(D-51)を用いた。
【0052】
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、水を除去しながらアミノ化反応を進行させることが好ましい。このような構成とすることにより、未転化原料のアミノ化反応がより効果的に促進される傾向にある。
【0053】
式(PB)で表される化合物の製造方法におけるアミノ化反応の反応温度は、50℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、95℃以上であることがさらに好ましく、100℃以上であることが一層好ましく、105℃以上であることがより一層好ましい。また、前記アミノ化反応の反応温度は、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましく、130℃以下であることが一層好ましく、125℃以下であることがより一層好ましい。
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、反応温度は最初の昇温時と最後の降温時以外は同じ温度(ただし、±5℃の変動は誤差とする)であってもよいし、2段階以上の反応で反応させてもよい。式(PB)で表される化合物の製造方法では、反応温度は最初の昇温時と最後の降温時以外は同じ温度(ただし、±5℃の変動は誤差とする)であることが好ましい。
【0054】
式(PB)で表される化合物の製造方法におけるアミノ化反応の反応時間は、1分以上であることが好ましく、30分以上であってもよく、1時間以上であってもよく、2時間以上であってもよい。また、前記アミノ化反応の反応時間は、50時間以下であってもよく、30時間以下であってもよく、20時間以下であってもよく、9時間以下であってもよい。
【0055】
反応後における反応混合物(AMF)と触媒との分離は、沈降、遠心分離、濾過等の一般的な方法により行うことができる。触媒の分離は、使用する触媒に応じ、発火することを防ぐため、適宜、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、反応混合物は、得られた反応溶液を必要に応じて濃縮した後、残渣をそのまま原材料や中間体として使用してもよく、反応混合物を適宜後処理して精製してもよい。後処理の具体的な方法としては、抽出、蒸留、クロマグラフィー等の公知の精製方法を挙げることができる。これらの精製方法は、2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0056】
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、原料(式(PA)で表される化合物の)転化率が高ければ高いほどよく、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましく、50%以上であることが一層好ましく、80%以上であることがより一層好ましく、90%以上であることがさらに一層好ましい。上限は100モル%が好ましい。
式(PB)で表される化合物の製造方法においては、式(PB)で表される化合物の選択率が高ければ高いほどよく、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましく、50%以上であることが一層好ましく、70%以上であることがより一層好ましい。上限は100モル%が理想であるが、99%以下であっても要求性能を満たすものである。
前記原料添加率および選択率は、後述する実施例の記載に従って測定される。
【実施例0057】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
【0058】
<リン化コバルト触媒の合成例>
塩化コバルト(CoCl2)(1.0mmol)、ヘキサデシルアミン(10mmol)、トリフェニルホスファイト(10mmol)、1-オクタデセン(10.0mL)をシュレンクフラスコに加えて撹拌した。混合液をアルゴンフロー下で150℃、1時間加熱した。続いて、温度を20分間で溶媒沸点(約290℃)まで上昇させ、その後2時間維持した後、200℃まで冷却し、水浴で急速に室温まで冷却し黒色生成物を得た。得られた黒色生成物をアセトンで洗浄し、沈殿させて回収し、さらにクロロホルムとアセトンを用いて洗浄を行い、大気中で乾燥させてリン化コバルト触媒を得た。
【0059】
実施例1-1
<PD-DFFの合成>
下記スキームに従って、DFFをアセタール化した。具体的には、50mLフラスコに、DFF 0.5g、テトラヒドロフラン(THF)15mL、アンバーリスト15(AL-15)100mg、 1,3ープロパンジオール(1,3-PDO)0.308mLを仕込み、室温で24時間反応後、AL-15を濾別して反応後液を得た。得られた反応後液をエバポレーターで濃縮し、THFと1,3-PDOを取り除いた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液組成 酢酸エチル:ヘキサン=1:2)で精製し、PDーDFFを0.5g得た。
【化24】
【0060】
<PD-AMFの合成>
下記スキームに従って、上記で得られたPD-DFFをアミノ化した。具体的には、オートクレーブに、PD-DFF、メタノール(MeOH)、上記で得られたリン化コバルト触媒0.05mmol、窒素源(アンモニウム)を表1に示す割合で仕込み、水素圧5bar、反応温度120℃にて、2時間反応させた。
【化25】
【0061】
原料転化率は、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)測定により原料を定量し、算出した。
原料転化率の単位は%で示した。結果を表1に示す。
【0062】
生成物は、反応液のHPLC測定を行い、原料、生成物の同定ならびに定量を行った。
生成物中のPD-AMFの選択率、副生成物の選択率を計算で求めた。選択率とは、生成物の総モル数に対するPD-AMFのモル数、AMF(ジアミノメチルフラン)のモル数を意味する。結果を表1に示す。
また、得られたPD-AMFのNMRデータを
図1に示した。
【0063】
実施例1-2~1-3、比較例1-1
実施例1-1において、表1に示す通り変更し、他は同様に行った。
【0064】
【0065】
実施例2-1
<AMFの合成>
下記スキームに従って、上記で得られたPD-AMFをアミノ化した。具体的には、オートクレーブに、0.05mM濃度のPD-AMFメタノール溶液1mL、7Nアンモニアメタノール溶液1mL、重水1mL、上記で得られたリン化コバルト触媒4mgを仕込み、酢酸3.5mmoLを加えて溶液のpHを10.1に調整後、水素圧5bar、反応温度120℃にて3時間反応させた。反応後液の
1H―NMR測定(内部標準物質ジメチルホルムアミド)を行い、AMF収率91%と算出した。
【化26】
【0066】
原料転化率は、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)測定により原料を定量し、算出した。
原料転化率の単位は%で示した。結果を表2に示す。
【0067】
生成物は、反応液のHPLC測定を行い、原料、生成物の同定ならびに定量を行った。
生成物中のAMFの選択率、副生成物の選択率を計算で求めた。選択率とは、生成物の総モル数に対するAMFのモル数、副生成物のモル数を意味する。結果を表2に示す。
【0068】
実施例2-2~2-7、比較例2-1
実施例2-1において、表2に示す通り変更し、他は同様に行った。
【0069】
【0070】
上記表2における触媒は、リン化コバルト触媒である。
上記表2における酢酸またはNH4OAcがプロトン源を発生する化合物に相当する。
酢酸のpKaは4.75であり、酢酸アンモニウム塩のpKaは9.9である。
上記結果から明らかなとおり、式(PA)で表される化合物を経由して式(PB)で表される化合物を合成することにより、選択性高く、式(PB)で表される化合物が得られた。