(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157853
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 1/32 20060101AFI20241031BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F28F1/32 U
F28D1/053 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072472
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】801000027
【氏名又は名称】学校法人明治大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 翔
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋介
(72)【発明者】
【氏名】亀谷 幸憲
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA17
3L103AA37
3L103BB17
3L103BB33
3L103BB42
3L103CC17
3L103CC18
3L103CC22
3L103CC26
3L103CC27
3L103DD08
3L103DD32
3L103DD33
3L103DD82
3L103DD85
(57)【要約】
【課題】熱交換効率が高い熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器は、第1方向に延びる扁平な管状に形成されるとともに互いに向かい合う扁平面を有し且つ前記第1方向に沿うように内部流体が流れる内部流路が形成される複数のチューブと、前記複数のチューブにおいて互いに向かい合う前記扁平面の間に配置されるとともに前記チューブの外部を流れる外部流体が互いに向かい合う前記扁平面の間を前記第1方向と交差する第2方向に流れるように前記複数のチューブに接合されるフィンと、を備え、前記フィンには、滑らかに連続する複数の波が形成され、前記波の頂部近傍には、前記フィンの外表面から突出する突起、又は、前記フィンを貫通する孔が形成され、前記フィンは、前記外部流体が前記波の頂部近傍の前記突起又は前記孔に向かうように案内するガイド構造を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる扁平な管状に形成されるとともに互いに向かい合う扁平面を有し且つ前記第1方向に沿うように内部流体が流れる内部流路が形成される複数のチューブと、
前記複数のチューブにおいて互いに向かい合う前記扁平面の間に配置されるとともに前記チューブの外部を流れる外部流体が互いに向かい合う前記扁平面の間を前記第1方向と交差する第2方向に流れるように前記複数のチューブに接合されるフィンと、を備え、
前記フィンには、滑らかに連続する複数の波が形成され、
前記波の頂部近傍には、前記フィンの外表面から突出する突起、又は、前記フィンを貫通する孔が形成され、
前記フィンは、前記外部流体が前記波の頂部近傍の前記突起又は前記孔に向かうように案内するガイド構造を備える、
熱交換器。
【請求項2】
前記フィンは、前記外部流体の流入側から見て前記波の最頂部の両脇に双子山をなすように膨出する双子山構造を更に備える、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記フィンには、前記波の頂部近傍の前記突起の裏側の部分を貫通する孔が形成される、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記フィンには、前記フィンの幅方向外側部から前記フィンの幅方向内側に向かうように切り欠かれた切欠きと、前記切欠きの近傍から突出する突起と、が形成される、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記フィンには、前記フィンの幅方向外側部から前記フィンの幅方向内側に向かうように並ぶ複数の孔が形成される、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱交換器の一例として、コルゲートフィン型熱交換器が開示されている。この熱交換器は、扁平な中空管として形成されて第1の熱交換流体の流路をなす複数の扁平チューブを備える。各扁平チューブ間には、コルゲートフィンが配置される。コルゲートフィンは、第2の熱交換流体が水平方向に流れるように各扁平チューブに接合される。コルゲートフィンには、扁平チューブとの接合部近傍に複数の貫通孔が形成される。これにより、前縁効果による高い伝熱性能を得ると共に、フィン上に第2の熱交換流体に含まれる水分が凝縮した場合でも凝縮水の高い排水性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の熱交換器は、高い伝熱促進を実現しつつ凝縮水の高い排水性を確保しうるものである。しかし、抵抗低減の性能面で改善の余地がある。そのため、抵抗低減及び伝熱促進を両立できる(熱交換効率が高い)熱交換器が要求されている。
【0005】
そこで本発明は、熱交換効率が高い熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る熱交換器は、第1方向に延びる扁平な管状に形成されるとともに互いに向かい合う扁平面を有し且つ前記第1方向に沿うように内部流体が流れる内部流路が形成される複数のチューブと、前記複数のチューブにおいて互いに向かい合う前記扁平面の間に配置されるとともに前記チューブの外部を流れる外部流体が互いに向かい合う前記扁平面の間を前記第1方向と交差する第2方向に流れるように前記複数のチューブに接合されるフィンと、を備え、前記フィンには、滑らかに連続する複数の波が形成され、前記波の頂部近傍には、前記フィンの外表面から突出する突起、又は、前記フィンを貫通する孔が形成され、前記フィンは、前記外部流体が前記波の頂部近傍の前記突起又は前記孔に向かうように案内するガイド構造を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、熱交換効率が高い熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】複数のチューブの間にフィンが配置されている様子の斜視図。
【
図3】複数のチューブの間にフィンが配置されている様子の平面図。
【
図4】
図3の一部を拡大した図であって、初期形状のフィンの斜視図。
【
図9】随伴解析における壁から離れる直前のフィン形状の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、熱交換器の一例として、コルゲートフィン型熱交換器を例に挙げて説明する。例えば、コルゲートフィン型熱交換器は、各種の空気調和装置や冷凍装置などの冷凍サイクル、あるいは、内燃機関からの排ガスや燃料電池からのオフガスから熱エネルギーを回収する熱回収装置などのエネルギー変換装置に用いられる。
【0010】
<熱交換器>
図1は、実施形態に係る熱交換器1の概略図である。
図1に示すように、熱交換器1は、複数のチューブ10と、フィン20と、上部ヘッダー30と、下部ヘッダー40と、を備える。
【0011】
チューブ10は、第1方向に延びる扁平な管状に形成される。複数のチューブ10は、互いに向かい合う扁平面11を有する。チューブ10には、第1方向(
図1の上下方向)に沿うように内部流体が流れる内部流路12が形成される。第1方向は、鉛直方向に相当する。本実施形態では、複数のチューブ10は、鉛直方向に沿って延びている。例えば、内部流体としては、ハイドロフロオロカーボンや水、オイル、水-エチレングリコール混合不凍液等の熱交換媒体が挙げられる。なお、
図1の熱交換器1は、縦置きでも横置きでもよい。例えば、熱交換器の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0012】
フィン20は、複数のチューブ10において互いに向かい合う扁平面11の間に配置される。フィン20は、チューブ10の外部を流れる外部流体が互いに向かい合う扁平面11の間を第1方向と交差する第2方向(
図1の奥行方向)に流れるように複数のチューブ10に接合される。第2方向は、鉛直方向と直交する水平方向に相当する。本実施形態では、複数のフィン20は、複数のチューブ10において互いに向かい合う扁平面11の間を水平方向に沿って延びている。例えば、外部流体としては、空気や排ガス等の熱交換媒体が挙げられる。
【0013】
上部ヘッダー30は、熱交換器1の上部に配置される。上部ヘッダー30には、内部流体の流入口31が形成される。内部流体の流入口31は、上部ヘッダー30の一側部(
図1の右側部)に配置される。なお、内部流体の流入口31の配置場所は、上記に限らず、例えば、
図1の左右真ん中でもよいし、左側部でもよい。例えば、内部流体の流入口31は、側面部ではなく、上面部に配置されてもよい。例えば、内部流体の流入口31の配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0014】
下部ヘッダー40は、熱交換器1の下部に配置される。下部ヘッダー40には、内部流体の流出口41が形成される。内部流体の流出口41は、下部ヘッダー40の一側部とは反対側の他側部(上部ヘッダー30の一側部と対向する部分とは反対側の部分、
図1の左側部)に配置される。なお、内部流体の流出口41の配置場所は、上記に限らず、例えば、内部流体の流入口31に対して反対側でなくてもよいし、
図1の左右真ん中でもよいし、右側部でもよい。例えば、内部流体の流出口41は、側面部ではなく、下面部に配置されてもよい。例えば、内部流体の流出口41の配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0015】
熱交換器1の構成要素(チューブ10、フィン20、上部ヘッダー30及び下部ヘッダー40)は、内部流体及び外部流体に対して耐腐食性を有するとともに熱伝導率の高い金属材料で形成される。例えば、外部流体として空気が用いられる場合は、熱交換機の構成要素は、アルミニウムや銅、ステンレス等で形成される。例えば、外部流体として内燃機関からの排ガスや燃料電池から排ガスが用いられる場合は、熱交換器1の構成要素は、ステンレス等で形成される。
【0016】
本実施形態の熱交換器1は、車両用(例えば、建設機械や燃料電池車、電気自動車、内燃機関車等)の熱交換器1である。本実施形態のチューブ10、フィン20、上部ヘッダー30及び下部ヘッダー40の各部材は、アルミニウムで形成される。本実施形態の内部流体は、ハイドロフルオロカーボンである。本実施形態の外部流体は、空気である。例えば、チューブ10の間隔は、5mm以上10mm以下に設定される。チューブ10の間隔は、
図1の左右方向に向かい合う2つのチューブ10の扁平面11の間隔に相当する。例えば、フィン20の間隔は、5mm以上10mm以下に設定される。フィン20の間隔は、
図1の上下方向に向かい合う2つのフィン20の対向面(上面又は下面)の間隔に相当する。
【0017】
例えば、内部流体は、図中矢印Vinで示すように、流入口31から上部ヘッダー30の内側空間に流れ込む。その後、内部流体は、チューブ10の内部流路12を鉛直上方から鉛直下方に流れる。その後、内部流体は、下部ヘッダー40の内側空間に流れ込む。その後、内部流体は、図中矢印Voutで示すように、下部ヘッダー40の流出口41から排出される。図示はしないが、熱交換器1は、内部流体を全体として回流させるための隔壁又は仕切り壁を備えてもよい。
【0018】
例えば、外部流体は、
図1の奥行方向において手前から奥に向かって、複数のチューブ10の間を抜けるように流れる。
【0019】
図2は、複数のチューブ10の間にフィン20が配置されている様子の斜視図である。
図2は、
図1において二点鎖線で囲んだ部分を拡大した斜視図に相当する。
図3は、複数のチューブ10の間にフィン20が配置されている様子の平面図である。
図3は、
図2の一部を鉛直上方から見た上面図に相当する。図中の矢印Wは、外部流体の流れ方向を示している。以下、外部流体の流れ方向上流を単に「上流」、外部流体の流れ方向下流を単に「下流」ということがある。
【0020】
図2及び
図3を併せて参照し、フィン20には、滑らかに連続する複数の波22が形成される。フィン20は、第2方向に沿う水平面21を備える。水平面21は、複数の波22が形成される面を平坦面と仮想した場合の仮想平面に相当する。波22とは、水平面21に対して高低差を有した凸凹であり、凸部と凹部とを繰り返して形成されている。複数の波22は、フィン20の水平面21に形成される。例えば、フィン20に形成される波22の高さは、1mm以上2mm以下に設定される。波22の間隔は、波22の最頂部と最底部との間隔に相当する。波22の間隔は、波22がしわを含む概念とした場合、フィン20に形成されるしわの最上部と最下部との間隔に相当する。なお、滑らかに連続する複数の波22には、V字型の波に限らず、正弦波や矩形波、三角波、のこぎり波などの形も含まれてもよい。
【0021】
例えば、フィン20は、第1方向に沿う垂直面(不図示)を更に備えてもよい。例えば、フィン20は、水平面21と垂直面とが交互につづら折り状(蛇腹状)に形成されてもよい。例えば、フィン20の垂直面は、チューブ10の扁平面11にろう付け等で接合されてもよい。例えば、フィン20の水平面21の端縁は、チューブ10の扁平面11にろう付け等で接合されてもよい。例えば、フィン20とチューブ10との接合態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0022】
図4は、
図3の一部を拡大した図であって、初期形状のフィン20の斜視図である。
図4においては、波22が周期的に形成されるフィン20の一部(以下「基準フィン20」ともいう。)と併せて基準フィン20が接合される壁25の一部(以下「基準壁25」ともいう。)を示している。例えば、
図4に示す形状の寸法Lxは外部流体の流れ方向Wにおける基準フィン20の長さ、Lyは基準フィン20の幅方向の長さ、Lzは基準壁25の高さに相当する。なお、各寸法Lx,Ly,Lzは、設計仕様に応じて変更することができる。
【0023】
<初期形状のフィンの一例>
図2から
図4を併せて参照し、フィン20には、滑らかに連続する複数の波22が外部流体の流れ方向Wに周期的に形成される。複数の波22は、
図3の水平面を見ると、頂部線23及び底部線24の屈曲がV字(具体的には逆V字)となるように形成される。なお、複数の波22は、外部流体の流入側から見て、頂部線23及び底部線24の屈曲がW字又はM字となるように形成されてもよい。
【0024】
複数の波22は、この波22の頂部を連ねた頂部線23と外部流体の主要な流れとのなす角Aが一定の鋭角となるように形成される。「波の頂部」は、波22の凸部と凹部との繰り返しにおける凸部の頂を意味する。「頂部線と外部流体の主要な流れとのなす角が一定の鋭角」とは、外部流体の流れ方向W上流においても「なす角」が一定の鋭角となるだけでなく外部流体の流れ方向W中流及び下流においても「なす角」が一定の鋭角となること、即ち、フィン20の全体にわたって同一の角度を保持することを意味する。
【0025】
複数の波22は、頂部線23が少なくとも一回屈曲するように形成される。「頂部線が少なくとも一回屈曲する」とは、波22の頂部の連なりが一回以上屈曲していること、複数にわたって屈曲する場合にはジグザグに屈曲していることを意味する。図の例では、頂部線23は、一回のみ屈曲している。なお、複数の波22は、複数回にわたって屈曲してもよい。
【0026】
複数の波22は、頂部線23の屈曲点23aを連ねた屈曲線が外部流体の主流に一致するように形成される。「頂部線の屈曲点を連ねた屈曲線」とは、複数の波22の頂部の連なりの屈曲点23aを連続的に連ねた線、即ち、n個の屈曲点を有する第1波、n個の屈曲点を有する第2波、n個の屈曲点を有する第3波・・・とn個の屈曲点を有する複数の波があるときに、第1波の1番目の屈曲点、第2波の1番目の屈曲点、第3波の1番目の屈曲点・・・を連ねた線や、第1波のm番目の屈曲点、第2波のm番目の屈曲点、第3波のm番目の屈曲点・・・を連ねた線などを意味する。図の例では、頂部線23は一回のみ屈曲しているため、頂部線23の屈曲点23aを連ねた屈曲線は、第1波22の1つの屈曲点23a、第2波22の1つの屈曲点23a、第3波22の1つの屈曲点23a・・・を連ねた線となる。
【0027】
波22の底部を連ねた底部線24は、波22が凸部と凹部とを繰り返すものであるため、隣り合う頂部線23の間に頂部線23と同様に現れる。「波の底部」は、波22の凸部と凹部との繰り返しにおける凹部の底を意味する。即ち、本実施形態のフィン20においては、少なくとも一回屈曲する頂部線23と少なくとも一回屈曲する底部線24とが交互に繰り返し現れる。
【0028】
複数の波22は、この波22の底部を連ねた底部線24と外部流体の主要な流れとのなす角Aが一定の鋭角となるように形成される。「底部線と外部流体の主要な流れとのなす角が一定の鋭角」とは、外部流体の流れ方向W上流においても「なす角」が一定の鋭角となるだけでなく外部流体の流れ方向W中流及び下流においても「なす角」が一定の鋭角となること、即ち、フィン20の全体にわたって同一の角度を保持することを意味する。
【0029】
<フィンの形状設計の手法>
本願発明者は、鋭意研究の結果、逆解析(随伴法)により、新形状のフィンを発明した。従来のパラメトリックな手法では、形状パラメータ(例えば、フィンの山高さ、ピッチ、角度など)を予め決めてシミュレーション(ベンチ試験)を行い、性能(伝熱性能、抵抗性能)を評価する。これに対し逆解析(随伴法)は、形状パラメータを決めないため、フィンの形状が限定されない。そのため、大幅に性能を向上できる新形状(最適解)のフィンを見出すことができる可能性が高い。
【0030】
以下、フィンの最適解を求めるための概要について
図5から
図9を参照して説明する。
図5は、フィンの最適化の概要のフローチャートである。
図6は、順解析における温度分布の説明図である。
図7は、順解析における断面平均速度の説明図である。
図8は、随伴解析における感度の例の説明図である。
図9は、随伴解析における壁から離れる直前のフィン形状の説明図である。
【0031】
例えば、フィン形状の最適解を得るために、順解析、随伴解析及び形状更新を行う。
先ず、順解析として、直接数値シミュレーションを行う(
図5のステップS1)。次に、渦粘性・渦拡散係数のチューニングを行う(
図5のステップS2)。
【0032】
このようにして、(I)熱・風の流れを計算する。例えば、温度分布、断面平均速度など)。
図6の温度分布において、フィンの温度(高低)を白黒で示す。フィンの温度は、白色から黒色に近づくに従って低くなる。
図7の断面平均速度において、フィンの周囲を流れる流体の速度の大きさ(強弱)を白黒で示し、流れの向きを矢印で示す。流体の速度は、白色から黒色に近づくに従って速くなる(強くなる)。順解析の後、随伴解析に移行する。
【0033】
次に、随伴解析として、RANS(Reynolds-Averaged Navier-Stokes)随伴シミュレーションを行う(
図5のステップS3)。次に、フィンの感度計算を行う(
図5のステップS4)。フィンの感度の例としては、
図8の矢印方向から風を流したときに、フィンが収縮又は拡張する度合いが挙げられる。
図8の感度の例において、フィンが収縮又は拡張する度合いを白黒で示す。フィンは、白色から黒色に近づくに従って拡張する度合いが大きくなる。
【0034】
次に、感度フィルタリングを行う(
図5のステップS5)。次に、フィンの形状更新を行う(
図5のステップS6)。このようにして、(II)フィンの感度を計算して形状を更新する。例えば、上記の(I)、(II)を繰り返して、フィンの形状が収束するまで計算する。
【0035】
<コスト関数>
コスト関数は、流体抵抗と伝熱の線形和で表される。コスト関数は、次式(1)で求められる。式(1)において、fFはファニングの摩擦係数、Stはスタントン数、ωは重み係数、A0はアナロジファクタである。
【0036】
【0037】
例えば、重み係数ωを系統的に変えることで、フィンの性能を伝熱促進重視から圧損低減重視へと段階的な最適化を狙うことができる。例えば、重み係数とフィンの性能との関係からデータベースを作成し、フィンの性能変化のキーとなる形状要素を抽出することで、伝熱面の設計に利用することができる。
【0038】
<壁から離れる直前の形状>
図9は、随伴解析における壁(基準壁に相当)から離れる直前のフィン形状(基準フィンの形状に相当)の例を示す。例えば、重み係数ωが0の場合は、フィンは上流への枝構造を持つ形状となる。例えば、重み係数ωが1の場合は、フィンはチャネル壁付近の肉抜き(基準壁付近の切欠きに相当)を持つ形状となる。
【0039】
<フィンの性能の変化>
図10は、フィンの性能の変化の説明図である。
図10において、縦軸は伝熱性能、横軸は抵抗性能を示す。
図10において、横線は伝熱性能の目標値、縦線は圧力損失目標の目標低減値を示す。
図10において、初期形状のフィンを白丸で示し、所定の重み係数ωに対応する形状を所定のハッチングをした丸で示す。
【0040】
図10を併せて参照し、フィンの性能は、重み係数ωを変えることで変化する。本手法によれば、抵抗低減及び伝熱促進を両立できる新形状(最適解)のフィンを得ることができることが分かった。更に、伝熱重視の形状や抵抗重視の形状、その中間の性能を持つ形状のフィンを得ることができることが分かった。
【0041】
<第1実施形態のフィン形状>
図11は、第1実施形態に係るフィン100の斜視図である。
図12は、第1実施形態に係るフィン100の平面図である。
図13は、
図12のXIII-XIII断面を含む図である。
図14は、
図12のXIV-XIV断面を含む図である。図中の矢印Wは、外部流体の流れ方向を示している。
【0042】
図11から
図14を併せて参照し、第1実施形態のフィン100は、基準フィン20(
図4参照)に対して、(1-1)ガイド機能を持つ凸構造と、(1-2)突起直後の孔構造と、を組み合わせた形状となっている。
図11から
図14において、基準フィン20と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
なお、第1実施形態のフィン100の形状は、基準フィン20の形状よりも複雑である。そのため、第1実施形態のフィン100の形状の各部(例えば、波の頂部等)の位置は、基準フィン20の各部の位置と厳密には一致しない(完全同一ではない)場合がある。
【0043】
第1実施形態のフィン100において、波22の頂部近傍には、フィン100の外表面から突出する突起101(以下「頂側突起101」ともいう。)が形成される。頂側突起101は、外部流体の流入側から見て波22の最頂部の両脇に一対形成される。頂側突起101は、上面視で上流に向かって突出している。頂側突起101は、断面視でL字状を有する。具体的に、頂側突起101は、断面視で上方に向かって湾曲するフィン100の頂部から更に上方に突出した後に上流に向かって突出する形状を有する。頂側突起101の先端部(上流に臨む部分)は、上流に向かって湾曲している。なお、頂側突起101は、上方に突出してから上流に向かって突出する形状が最も効果的であるが、上方に突出するだけでもよいし、上流に突出するだけでもよい。
【0044】
フィン100は、外部流体が波22の頂部近傍の頂側突起101に向かうように案内するガイド構造1-1を備える。ガイド構造1-1は、頂部線23に沿う凸構造102を有する。凸構造102は、上面視でV字をなす頂部23線に沿うV字形状を有する。外部流体は、V字形状の凸構造102に沿って頂側突起101に向かうように案内される。凸構造102は、断面視で上方に向かって湾曲するフィン100の頂部から更に上方に突出する凸形状を有する。
【0045】
フィン100には、波22の頂部近傍の頂側突起101の裏側(下流側に相当)の部分を貫通する孔110(以下「裏側孔110」ともいう。)が形成される。裏側孔110は、頂側突起101の直後の下流に形成される。頂側突起101の直後の裏側孔110は、上面視で2つの頂側突起101に対して1つの孔でもよいし、1つの頂側突起101に対して1つの孔でもよいし、1つの頂側突起101に対して2つの孔でもよいし、対応する数の組み合わせは自由である。裏側孔110は、上面視で頂部線23に沿う長軸を持つ形状に形成されてもよいし、上面視で長円形状又は楕円形状に形成されてもよい。例えば、裏側孔110は、長軸を持ってもよいし、長軸を持たない円のような孔でもよいし、任意の形状に開口していればよい。
【0046】
フィン100には、フィン100の幅方向外側部からフィン100の幅方向内側に向かうように切り欠かれた切欠き111が形成される。切欠き111は、上面視で湾曲又は屈曲の形状(例えば、丸みを帯びた又は尖った複雑な凹形状)を有する。
【0047】
フィン100には、裏側孔110以外に、複数の孔112,113が形成される。裏側孔110以外の複数の孔112,113には、フィン100とフィン100の幅方向外側部に形成される孔112、波22の最底部の近傍の部分を貫通する孔113が含まれる。
【0048】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の熱交換器1は、第1方向に延びる扁平な管状に形成されるとともに互いに向かい合う扁平面11を有し且つ第1方向に沿うように内部流体が流れる内部流路12が形成される複数のチューブ10と、複数のチューブ10において互いに向かい合う扁平面11の間に配置されるとともにチューブ10の外部を流れる外部流体が互いに向かい合う扁平面11の間を第1方向と交差する第2方向に流れるように複数のチューブ10に接合されるフィン100と、を備える。フィン100には、滑らかに連続する複数の波22が形成される。波22の頂部近傍には、フィン100の外表面から突出する頂側突起101が形成される。フィン100は、外部流体が波22の頂部近傍の頂側突起101に向かうように案内するガイド構造1-1を備える。
この構成によれば、ガイド構造1-1により、外部流体が波22の頂部近傍の頂側突起101に向かうように案内されることで、フィンが複数の波のみを有する場合(例えば基準フィン20)と比較して、外部流体の流れをより効果的に誘起することができる。したがって、抵抗低減及び伝熱促進を両立することができる。
建設機械の電動化に伴い、冷却用に設けられていた従来の大型ファンに替えて、小型ファンを複数並列に並べて配置することが想定される。このような配置では、熱交換器の抵抗が大きく、冷却するために十分な風量を確保することが困難となる可能性が高い。燃料電池車の場合は、従来のディーゼルエンジン車と比べて、冷却水温を低く設定する必要があり、冷却水への熱損失が大きい。このことから、燃料電池車の放熱性能は、従来のディーゼルエンジン車よりも必要になるといわれている。本実施形態によれば、上述した構成により、建設機械の電動化に適した熱交換効率の高い熱交換器1を提供することができる。
【0049】
本実施形態では、フィン100には、波22の頂部近傍の頂側突起101の裏側の部分を貫通する裏側孔110が形成される。
この構成によれば、波22の頂部近傍の頂側突起101の裏側の部分を貫通する裏側孔110により、頂側突起101によって掻き乱された外部流体を、裏側孔110から噴き出してくる外部流体により吹き飛ばすことができる。したがって、更なる抵抗低減に寄与する。
【0050】
<第2実施形態のフィン形状>
図15は、第2実施形態に係るフィン200の斜視図である。
図16は、第2実施形態に係るフィン200の平面図である。
図17は、
図16のXVII-XVII断面を含む図である。
図18は、
図16のXVIII-XVIII断面を含む図である。図中の矢印Wは、外部流体の流れ方向を示している。
【0051】
第1実施形態では、フィン100が(1-1)ガイド機能を持つ凸構造及び(1-2)突起直後の孔構造等を備える例(
図11から
図14参照)を挙げて説明した。第2実施形態では、
図15から
図18に示すように、フィン200が(2-1)双子山構造、(2-2)サイドの切欠き+突起構造、(2-3)サイドの複数孔構造等を備える点で第1実施形態と相違している。以下の説明において、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
なお、第2実施形態のフィン200の形状は、第1実施形態と同様、基準フィン20の形状よりも複雑である。そのため、第2実施形態のフィン200の形状の各部(例えば、波の頂部等)の位置は、基準フィン20の各部の位置と厳密には一致しない(完全同一ではない)場合がある。
【0052】
図15から
図18を併せて参照し、第2実施形態のフィン200は、外部流体の流入側から見て波22の最頂部の両脇に双子山をなすように膨出する双子山構造2-1を更に備える。双子山構造2-1は、外部流体の流入側から見て波22の最頂部の両脇に膨出する一対の山203が連なることで形成される。双子山構造2-1は、断面視で上方に向かって湾曲するフィン200の頂部から更に左右上方に膨出する形状を有する。双子山構造2-1は、断面視で左右中心線(フィン200の幅方向中心線)を対称軸として対称形状に形成されてもよい。
【0053】
フィン200には、フィン200の幅方向外側部からフィン200の幅方向内側に向かうように切り欠かれた切欠き211と、切欠き211の近傍から突出する突起204(以下「外側突起204」ともいう。)と、が形成される。
【0054】
切欠き211は、上面視で湾曲又は屈曲の形状(例えば、丸みを帯びた又は尖った複雑な凹形状)を有する。外側突起204は、切欠き211のうち上面視でフィン200の幅方向外端縁から幅方向内側かつ下流側に向かって延びる部分を仕切るように設けられる。外側突起204は、断面視で切欠き211のうち波22の頂部から底部に向けて傾斜する部分の途中に介在する隙間に設けられる。
【0055】
フィン200には、フィン200の幅方向外側部からフィン200の幅方向内側に向かうように並ぶ複数の孔212(以下「外側孔212」ともいう。)が形成される。外側孔212は、上面視で頂部線23に沿うように形成される。例えば、外側孔212は、上面視で長円形状又は楕円形状に形成されてもよい。例えば、外側孔212は、長軸を持ってもよいし、長軸を持たない円のような孔でもよいし、任意の形状に開口していればよい。
図の例では、フィン200の幅方向片側に3つの外側孔212が並んで形成される。なお、外側孔212の個数は、1つでも2つでもよいし、4つ以上でもよく、任意の個数でもよい。外側孔212の大きさ(開口面積)は、3つのうち上面視で幅方向最外側にある孔が最も大きく、幅方向内側に向かうに従って順に小さくなっている。なお、外側孔212の大きさは、幅方向内側に向かうに従って順に大きくなっていてもよいし、すべて同じ大きさでもよく、外側孔212の大きさについては任意である。
【0056】
<作用効果>
第2実施形態では、フィン200は、外部流体の流入側から見て波22の最頂部の両脇に双子山をなすように膨出する双子山構造2-1を更に備える。
この構成によれば、双子山構造2-1により、外部流体に渦を生成して外部流体をかき混ぜることができる。したがって、伝熱性能を更に向上させることができる。
さらに本実施形態によれば、上述した構成により、建設機械の電動化に適した熱交換効率の高い熱交換器を提供することができる。
【0057】
第2実施形態では、フィン200には、フィン200の幅方向外側部からフィン200の幅方向内側に向かうように切り欠かれた切欠き211と、切欠き211の近傍から突出する外側突起204と、が形成される。
例えば、フィンに切欠きのみが形成される場合は、抵抗低減は実現できるが、同時に表面積も減るため伝熱性能が低下してしまう。これに対し本構成によれば、切欠き211により、更なる抵抗低減を実現するとともに、切欠き211の近傍から突出する突起204により、切欠き211による伝熱性能の低下を抑制することができる。
【0058】
第2実施形態では、フィン200には、フィン200の幅方向外側部からフィン200の幅方向内側に向かうように並ぶ複数の孔212が形成される。
例えば、フィンに1つの大きな切欠きのみが形成される場合は、抵抗低減は実現できるが、同時に表面積も減るため伝熱性能が低下してしまう。これに対し本構成によれば、フィン200に複数の孔212が形成されることで、伝熱性能の低下を抑制しつつ抵抗低減を実現することができる。
【0059】
<第3実施形態>
図19は、第3実施形態に係るフィン300の斜視図である。
第1実施形態では、フィン100が主に下記2つの構造を備える例(
図11から
図14参照)を挙げて説明した。
(1-1)ガイド機能を持つ凸構造
(1-2)突起直後の孔構造
第2実施形態では、フィン200が主に下記3つの構造を備える例(
図15から
図18参照)を挙げて説明した。
(2-1)双子山構造
(2-2)サイドの切欠き+突起構造
(2-3)サイドの複数孔構造
第3実施形態では、
図19に示すように、フィン300が上記5つの構造を備える点で上述した実施形態と相違している。以下の説明において、上述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
なお、第3実施形態のフィン300の形状は、第1実施形態及び第2実施形態と同様、基準フィン20の形状よりも複雑である。そのため、第3実施形態のフィン300の形状の各部(例えば、波の頂部等)の位置は、基準フィン20の各部の位置と厳密には一致しない(完全同一ではない)場合がある。
【0060】
図19を併せて参照し、第3実施形態のフィン300は、主に下記5つの構造を備える。
(3-1)ガイド機能を持つ凸構造
(3-2)突起直後の孔構造
(3-3)双子山構造
(3-4)サイドの切欠き+突起構造
(3-5)サイドの複数孔構造
【0061】
<作用効果>
第3実施形態では、フィン300が上記(3-1)から(3-5)の全ての構造を備えることで、以下の効果を奏する。
ガイド機能を持つ凸構造3-1により、外部流体の流れをより効果的に誘起することができるため、抵抗低減及び伝熱促進を両立することができる。
突起直後の孔構造3-2により、突起によって掻き乱された外部流体を突起直後の孔から噴き出す外部流体により吹き飛ばすことができるため、更なる抵抗低減に寄与する。
双子山構造3-3により、渦を生成して外部流体をかき混ぜることができるため、伝熱性能を更に向上させることができる。
サイドの切欠き+突起構造3-4により、更なる抵抗低減を実現するとともに、切欠きによる伝熱性能の低下を抑制することができる。
サイドの複数孔構造3-5により、伝熱性能の低下を抑制しつつ抵抗低減を実現することができる。
さらに本実施形態によれば、上述した構成により、建設機械の電動化に適した熱交換効率の高い熱交換器を提供することができる。
【0062】
<その他の実施形態>
上述した第1実施形態では、波の頂部近傍には、フィンの外表面から突出する突起が形成され、フィンは、外部流体が波の頂部近傍の突起に向かうように案内するガイド構造を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、波の頂部近傍には、フィンの外表面から突出する突起が形成されなくてもよい。例えば、波の頂部近傍には、フィンを貫通する孔が形成されてもよい。例えば、フィンは、外部流体が波の頂部近傍の孔に向かうように案内するガイド構造を備えてもよい。例えば、波の頂部近傍には、フィンの外表面から突出する突起、又は、フィンを貫通する孔が形成され、フィンは、外部流体が波の頂部近傍の突起又は孔に向かうように案内するガイド構造を備えていればよい。例えば、ガイド構造の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0063】
上述した第1実施形態では、フィンには、波の頂部近傍の突起の裏側の部分を貫通する孔が形成される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、フィンには、波の頂部近傍の突起の裏側の部分を貫通する孔が形成されなくてもよい。例えば、波の頂部近傍の突起の裏側の部分を貫通する孔の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0064】
上述した第2実施形態では、フィンは、外部流体の流入側から見て波の最頂部の両脇に双子山をなすように膨出する双子山構造を更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、フィンは、双子山構造を備えなくてもよい。例えば、双子山構造の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0065】
上述した第2実施形態では、フィンには、フィンの幅方向外側部からフィンの幅方向内側に向かうように切り欠かれた切欠きと、切欠きの近傍から突出する突起と、が形成される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、フィンには、フィンの幅方向外側部からフィンの幅方向内側に向かうように切り欠かれた切欠きの近傍から突出する突起が形成されなくてもよい。例えば、フィンには、フィンの幅方向外側部からフィンの幅方向内側に向かうように切り欠かれた切欠きのみが形成されてもよい。例えば、フィンには、切欠きが形成されなくてもよい。例えば、切欠き、及び、切欠きの近傍から突出する突起の形成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0066】
上述した第2実施形態では、フィンには、フィンの幅方向外側部からフィンの幅方向内側に向かうように並ぶ複数の孔が形成される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、フィンには、フィンの幅方向外側部からフィンの幅方向内側に向かうように並ぶ複数の孔が形成されなくてもよい。例えば、フィンには、1つの大きな切欠きのみが形成されてもよい。例えば、切欠きの形成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0067】
上述した実施形態では、熱交換器の一例として、コルゲートフィン型熱交換器を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、熱交換器は、ルーバーフィン又はオフセットフィンを含んで構成されてもよい。例えば、熱交換器の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0068】
上述した実施形態では、熱交換器を車両に適用した例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、熱交換器は、各種の空気調和装置や冷凍装置などの冷凍サイクル、あるいは、内燃機関からの排ガスや燃料電池からのオフガスから熱エネルギーを回収する熱回収装置などのエネルギー変換装置に適用してもよい。例えば、熱交換器の適用態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0069】
上述した実施形態では、複数のチューブが鉛直方向に沿って延びている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、複数のチューブは、鉛直方向と交差する方向に延びていてもよい。例えば、複数のチューブは、水平方向に延びていてもよい。例えば、複数のチューブは、鉛直方向及び水平方向に対して交差する方向に延びていてもよい。例えば、チューブの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0070】
上述した実施形態では、複数のフィンは、複数のチューブにおいて互いに向かい合う扁平面の間を水平方向に沿って延びている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、複数のフィンは、複数のチューブにおいて互いに向かい合う扁平面の間を水平方向と交差する方向に延びていてもよい。例えば、フィンの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0071】
(付記1)
第1方向に延びる扁平な管状に形成されるとともに互いに向かい合う扁平面を有し且つ前記第1方向に沿うように内部流体が流れる内部流路が形成される複数のチューブと、
前記複数のチューブにおいて互いに向かい合う前記扁平面の間に配置されるとともに前記チューブの外部を流れる外部流体が互いに向かい合う前記扁平面の間を前記第1方向と交差する第2方向に流れるように前記複数のチューブに接合されるフィンと、を備え、
前記フィンには、滑らかに連続する複数の波が形成され、
前記波の頂部近傍には、前記フィンの外表面から突出する突起、又は、前記フィンを貫通する孔が形成され、
前記フィンは、前記外部流体が前記波の頂部近傍の前記突起又は前記孔に向かうように案内するガイド構造を備える、
熱交換器。
【0072】
(付記2)
前記フィンは、前記外部流体の流入側から見て前記波の最頂部の両脇に双子山をなすように膨出する双子山構造を更に備える、
付記1に記載の熱交換器。
【0073】
(付記3)
前記フィンには、前記波の頂部近傍の前記突起の裏側の部分を貫通する孔が形成される、
付記1又は2に記載の熱交換器。
【0074】
(付記4)
前記フィンには、前記フィンの幅方向外側部から前記フィンの幅方向内側に向かうように切り欠かれた切欠きと、前記切欠きの近傍から突出する突起と、が形成される、
付記1から3の何れかに記載の熱交換器。
【0075】
(付記5)
前記フィンには、前記フィンの幅方向外側部から前記フィンの幅方向内側に向かうように並ぶ複数の孔が形成される、
付記1から4の何れかに記載の熱交換器。
【0076】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…熱交換器、1-1,3-1…ガイド機能を持つ凸構造(ガイド構造)、10…チューブ、11…扁平面、12…内部流路、20,100,200,300…フィン、101…頂側突起(波の頂部近傍の突起)、110…裏側孔(波の頂部近傍の突起の裏側の部分を貫通する孔)、2-1,3-3…双子山構造、204…外側突起(切欠きの近傍から突出する突起)、211…切欠き、212…外側孔(フィンの幅方向外側部からフィンの幅方向内側に向かうように並ぶ複数の孔)