(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158235
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】スピンナ洗浄装置及び加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241031BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20241031BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20241031BHJP
B24B 55/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L21/304 648L
H01L21/304 643A
H01L21/304 631
B24B7/04 A
B24B55/06
B24B55/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073264
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】禹 俊洙
【テーマコード(参考)】
3C043
3C047
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
3C043BA03
3C043BA09
3C043BA16
3C043CC04
3C043DD05
3C043DD06
3C043DD12
3C043EE04
3C047FF04
3C047FF17
3C047FF19
3C047GG01
3C047GG08
3C047HH17
5F057AA21
5F057CA14
5F057DA11
5F057EC27
5F057FA13
5F057FA48
5F157AB02
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5F157AB33
5F157AB90
5F157AC04
5F157AC23
5F157BB22
5F157BB45
5F157CB13
5F157CF66
5F157DB51
5F157DC51
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】洗浄液によるワークの汚染を防ぐことができるスピンナ洗浄装置及び加工液に含まれる加工屑によるワークの損傷を防ぐことができる加工装置を提供すること。
【解決手段】スピンナテーブルと、回転機構と、スピンナテーブルを収容するケース30と、洗浄水供給ユニットを備えるスピンナ洗浄装置のケース30は、スピンナテーブルの外周を囲む筒状の壁31と、該壁31の下端に連結された底板33と、該底板33に開口する排水口とを備え、壁31の内面に、スピンナテーブルの回転方向に向かって斜め下方に傾斜するフィン37を周方向に複数形成する。また、チャックテーブルと、加工ユニットと、加工具とチャックテーブルとを収容する加工室とを備える加工装置の加工室の壁の内面140に、加工具の回転方向に向かって斜め下方に傾斜するフィンを水平方向に複数形成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持するスピンナテーブルと、
該スピンナテーブルをその中心を軸に回転させる回転機構と、
該スピンナテーブルを収容するケースと、
該ワークに洗浄水を供給する洗浄水供給ユニットと、
を備えるスピンナ洗浄装置であって、
該ケースは、該スピンナテーブルの外周を囲む筒状の壁と、該壁の下端に連結された底板と、該底板に開口する排水口と、を備え、
該壁の内面には、該スピンナテーブルの回転方向に向かって斜め下方に傾斜するフィンを周方向に複数形成したことを特徴とするスピンナ洗浄装置。
【請求項2】
加工液をワークに供給しながら該ワークを加工具によって加工する加工装置であって、
ワークを保持するチャックテーブルと、
該加工具を回転させてワークを加工する加工ユニットと、
該加工具がワークに接触するワークの加工部に加工液を供給する加工液供給ユニットと、
該加工具と該チャックテーブルとを収容する壁と天井と底板とからなる加工室と、
を備え、
該壁の内面に、該加工具の回転方向に向かって斜め下方に傾斜するフィンを水平方向に複数形成したことを特徴とする加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転するスピンナテーブルに保持されたワークを洗浄水によって洗浄するスピンナ洗浄装置と、チャックテーブルに保持されたワークを加工具によって加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスの製造工程においては、円板状の半導体ウェーハ(以下、単に「ウェーハ」と称する)の表面が格子状に形成されたストリート(分割予定ライン)によって複数のデバイス領域に区画され、各デバイス領域にICやLSIなどのデバイスがそれぞれ形成される。そして、このように多数のデバイスが形成されたウェーハを例えば切削ブレードによってストリートに沿って切削して該ウェーハを分割することによって、複数のチップが製造されている。
【0003】
ところで、ウェーハを切削ブレードによって切削する切削装置においては、切削加工後のウェーハの表面をスピンナ洗浄装置によって洗浄することが行われている(例えば、特許文献1参照)。このスピンナ洗浄装置においては、ウェーハを保持したスピンナテーブルを高速回転させた状態で、ウェーハの中心部上方から洗浄水がウェーハの上面に噴射される。すると、洗浄水は、高速回転するスピンナテーブルによる遠心力によってウェーハの径方向外方へと流れて該ウェーハの上面全体に行き渡り、ウェーハの上面の汚れを該ウェーハの外周から径方向外方へと洗い流す。
【0004】
そして、ウェーハの洗浄後は、洗浄時よりもさらに高速でスピンナテーブルを回転させて遠心力を強め、洗浄水をウェーハから吹き飛ばすことによって該ウェーハの上面を乾燥させるようにしている。この場合、ウェーハの洗浄中に吹き飛ばされた洗浄水の水滴がウェーハに付着してウェーハの上面を汚すことがあるため、下方向に旋回する螺旋状の気流を発生させ、ウェーハへの水滴の付着を防ぐようにしている。
【0005】
また、加工室内において、チャックテーブルに保持されたウェーハなどのワークを、高速回転する加工具によって加工する加工装置においては、ワークの加工部に加工液を供給しながら該ワークの加工がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スピンナ洗浄装置において、ウェーハの洗浄後に下方向に旋回する螺旋状の気流を発生させる場合、気流の流路面積を下方向に行くにしたがって次第に拡大して該気流を減速させることによって、エアと水滴との比重差によって水滴をエアから分離させる気液分離方式を採用しているため、スピンナ洗浄装置が大型化するという問題がある。
【0008】
また、加工室内でワークの加工部に加工液を供給しながら、高速回転する加工具によってワークを加工する加工装置においては、加工具の高速回転による遠心力を受けた加工液が加工室の壁内面に当たって跳ね返り、この跳ね返った加工屑を含む加工液がワークに付着するため、この付着した加工液に含まれる加工屑がワークの上面と加工具との間に進入し、この進入した加工屑によってワークを損傷するスクラッチが形成されるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、効果的な気液分離方式を採用することによって、大型化を招くことなく洗浄液によるワークの汚染を防ぐことができるスピンナ洗浄装置及び加工液に含まれる加工屑によるワークの損傷を防ぐことができる加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための第1発明は、ワークを保持するスピンナテーブルと、該スピンナテーブルをその中心を軸に回転させる回転機構と、該スピンナテーブルを収容するケースと、該ワークに洗浄水を供給する洗浄水供給ユニットと、を備えるスピンナ洗浄装置であって、該ケースは、該スピンナテーブルの外周を囲む筒状の壁と、該壁の下端に連結された底板と、該底板に開口する排水口と、を備え、該壁の内面には、該スピンナテーブルの回転方向に向かって斜め下方に傾斜するフィンを周方向に複数形成したことを特徴とする。
【0011】
また、第2発明は、加工液をワークの加工部に供給しながら該ワークを加工具によって加工する加工装置であって、ワークを保持するチャックテーブルと、該加工具を回転させてワークを加工する加工ユニットと、該加工具がワークに接触するワークの加工部に加工液を供給する加工液供給ユニットと、該加工具と該チャックテーブルとを収容する壁と天井と底板とからなる加工室と、を備え、該壁の内面に、該加工具の回転方向に向かって斜め下方に傾斜するフィンを水平方向に複数形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、スピンナテーブルの回転による遠心力によって周囲に飛散する噴霧状の洗浄水は、スピンナテーブルの回転方向に旋回しながらケースの壁内面の各フィンに衝突して付着し、隣接する各2つのフィンの間の溝に沿って水滴となって落下する。この場合、溝は、フィンに沿ってスピンナテーブルの回転方向に向かって斜め下方に傾斜しているため、該溝に沿う水滴の落下が、スピンナテーブルの回転方向に沿って流れる気流によって促進される。この結果、噴霧状の研削水の流速を下げるために流路断面積を流れ方向に沿って漸増させる必要がなく、効果的な気液分離を実現して洗浄水のワーク上面への付着を抑制することができ、該洗浄水の付着によるワーク上面の汚染を防ぐことができる。
【0013】
また、第2発明によれば、加工具の回転による遠心力によって周囲に飛散する噴霧状の加工液は、加工具の回転方向に旋回しながら加工室の壁の内面の各フィンに衝突して付着し、隣接する各2つのフィンの間の溝に沿って液滴となって落下する。この場合、溝は、フィンに沿って加工具の回転方向に向かって斜め下方に傾斜しているため、該溝に沿う液滴の落下が、加工具の回転方向に沿って流れる気流によって促進される。この結果、効果的な気液分離を実現して加工液のウェーハ上面への付着を抑制することができ、加工液に含まれる加工屑のワーク上面と加工具との間への進入を抑制することができる。このため、加工屑によってワーク上面にスクラッチが形成されることがなく、スクラッチによるワークの破損などが防がれ、当該ワークに高い品質が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1発明に係るスピンナ洗浄装置の部分破断斜視図である。
【
図2】第1発明に係るスピンナ洗浄装置の破断平面図である。
【
図3】第1発明に係るスピンナ洗浄装置のケース上部(リングカバー部分)の破断斜視図である。
【
図4】
図2のA-A線断面図(スピンナテーブル上昇時)である。
【
図5】
図2のA-A線断面図(スピンナテーブル下降時)である。
【
図8】第1発明の別形態を示す
図7と同様の図である。
【
図9】第2発明に係る研削装置の破断斜視図である。
【
図10】第2発明に係る研削装置要部の破断側面図(非研削時)である。
【
図11】第2発明に係る研削装置要部の破断側面図(研削時)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
[第1発明]
先ず、第1発明に係るスピンナ洗浄装置の構成について説明すると、
図1に示すスピンナ洗浄装置1は、研削加工や研磨加工、或いは切削加工などが施されたワークであるウェーハWを洗浄水によって洗浄する装置であって、ウェーハWを保持して回転するスピンナテーブル10と、該スピンナテーブル10をその軸回りに回転させる回転機構(
図3参照)20と、スピンナテーブル10や回転機構20などを収容するケース30と、ウェーハWに向かって洗浄水を供給する洗浄水供給ユニット40を主要な構成要素として備えている。
【0017】
ここで、ウェーハWは、
図1に示すように、例えば、単結晶のシリコン(Si)で構成された薄い円板状の部材であって、その表面(
図1においては、上面)が格子状に配列された互いに直交するストリート(分割予定ライン)L1,L2によって複数の矩形領域に区画されており、各矩形領域には、ICやLSIなどのデバイスDがそれぞれ形成されている。そして、このように表面に多数のデバイスDが形成されたウェーハWは、ワークセットWSに組み込まれ、後述のように、このウェーハWに向けて洗浄水が噴射されることによって該ウェーハWの上面が洗浄される。なお、ウェーハWの材質としては、シリコン(Si)以外に、シリコンカーバイド(SiC)、ガラス、セラミックス、サファイアなどが用いられる。また、ワークとしては、ウェーハW以外の任意のものが用いられる。
【0018】
前記ワークセットWSは、
図1に示すように、リング状のリングフレームFの円形の開口部を塞いで貼着されたテープTに円板状のウェーハWの裏面(
図1においては下面)を貼着することによって、該テープTを介してウェーハWをリングフレームFに支持させて該ウェーハWとリングフレームF及びテープTを一体化して構成されている。
【0019】
ここで、スピンナ洗浄装置1の主要な構成要素であるスピンナテーブル10、回転機構20、ケース30及び洗浄水供給ユニット40の構成についてそれぞれ説明する。
【0020】
(スピンナテーブル)
スピンナテーブル10は、ウェーハWが組み込まれたワークセットWSを保持して回転する円板状の部材であって、
図3及び
図4に示すように、その中心部の下部には、回転軸11を介してロータリジョイント12が取り付けられている。ここで、スピンナテーブル10の上面には、
図1及び
図2に示すように、該スピンナテーブル10の中心周りに内外二重の円形溝2,3が同心円状に形成されており、これらの円形溝2,3は、スピンナテーブル10の中心を通る直線溝4によって互いに連通している。
【0021】
そして、
図3及び
図4に示すように、スピンナテーブル10の内部には、円形溝2,3と直線溝4から垂直下方に延びる連通路5がそれぞれ形成されており、これらの連通路5は、スピンナテーブル10の内部に水平に形成された放射状の複数の吸引路6にそれぞれ接続されている。また、スピンナテーブル10と回転軸11及びロータリジョイント12の各中心部には、吸引路7が垂直方向に形成されており、この吸引路7は、その上端がスピンナテーブル10の内部に形成された前記吸引路6に接続されている。そして、吸引路7の下端は、ロータリジョイント12の内部に形成された空間12aに開口している。
【0022】
ここで、ロータリジョイント12との内部には、空間12aから横方向に水平に延びる吸引路8が形成されており、この吸引路8には、配管13及び開閉バルブV1を介して真空ポンプなどの吸引源14に接続されている。なお、ロータリジョイント12の上端外周には、テーブルベース15が結着されており、このテーブルベース15の外周端には、垂直下方に一体に延びる円筒状のスカート部15aが形成されている。
【0023】
また、
図1及び
図2に示すように、スピンナテーブル10の外周の周方向4箇所には、後述のようにワークセットWSのリングフレームFを把持する(
図4参照)ためのクランパ16が周方向に等角度ピッチ(90°ピッチ)で取り付けられている。ここで、各クランパ16は、
図3及び
図4に示すように、スピンナテーブル10の外周から径方向外方へと延びる矩形プレート状の一対の支持プレート16A(
図3及び
図4には、一方のみ図示)と、これらの支持プレート16Aの先端部に中間部が軸17によって上下に回動可能に枢支されたクランプ部材16Bによって構成されている。ここで、各クランプ部材16Bは、基端部(軸17よりも径方向外方の部分)に形成されたウェイト部16aと、先端部(軸17よりも径方向内方の部分)に形成された爪部16bによって構成されている。
【0024】
ところで、スピンナテーブル10は、昇降機構50によってロータリジョイント12や回転機構20と共に上下に昇降可能であって、昇降機構50は、駆動源であるシリンダユニット51とスピンナテーブル10の昇降をガイドするためのガイドユニット52とで構成されている。ここで、シリンダユニット51とガイドユニット52は、テーブルベース15とベースプレート18との間に介設されている。なお、
図3及び
図4には、シリンダユニット51とガイドユニット52を各1つずつ図示しているが、これらのシリンダユニット51とガイドユニット52は、テーブルベース15とベースプレート18との間において周方向に複数設けられている。
【0025】
上記シリンダユニット51は、例えばエアシリンダによって構成されており、このエアシリンダは、シリンダ51aと、該シリンダ51a内に上下摺動可能に嵌装された不図示のピストンと、該ピストンからシリンダ51aを貫通して垂直上方に延びるピストンロッド51bによって構成されており、ピストンロッド51bの上端がテーブルベース15に取り付けられ、シリンダ51aの下端がベースプレート18上に取り付けられている。なお、図示しないが、シリンダ51aの内部は、ピストンによって上部室と下部室とに区画されており、後述のように上部室と下部室に対して圧縮エアを供排することによってピストンロッド51bが上下動してスピンナテーブル10が上下に昇降する。
【0026】
また、前記ガイドユニット52もエアシリンダによって構成されており、このエアシリンダは、下端がベースプレート18に取り付けられて垂直に立設されたシリンダ52aと、該シリンダ52a内に上下摺動可能に嵌装された不図示のピストンと、該ピストンからシリンダ52aを貫通して垂直上方に延びるピストンロッド52bによって構成されており、ピストンロッド52bの上端がテーブルベース15に取り付けられている。このガイドユニット52は、スピンナテーブル10の昇降を所定の減衰力を持ってガイドするものであって、図示しないが、シリンダ52a内のピストンによって区画された上部室と下部には、小孔がそれぞれ開口しており、スピンナテーブル10の昇降動に伴ってシリンダ52a内のエアが小孔を介して供排されることによって、スピンナテーブル10の昇降動に所定の減衰力を付与するダンパー効果が得られる。
【0027】
(回転機構)
回転機構20は、スピンナテーブル10をその軸回りに所定の速度で
図5に矢印方向(反時計方向)に回転させる機構であって、本実施形態においては、
図4及び
図5に示すように、ロータリジョイント12の下端に取り付けられたサーボモータ21によって構成されている。
【0028】
(ケース)
ケース30は、スピンナテーブル10や回転機構20、後述の洗浄水供給ユニット40などを収容する有底二重円筒状の部材であって、その上方が大気中に開口している。具体的には、
図4及び
図5に示すように、ケース30は、内外二重円筒状の壁(外壁)31と該壁31の内側に同心状に配置された内壁32と、これらの壁31と内壁32の各下端部同士を連結する略水平なリングプレート状の底板33によって有底二重円筒状に形成されている。ここで、内壁32の高さは壁31の高さよりも低く設定されており、この内壁32の外周側には、テーブルベース15のスカート部15aが近接配置されており、これらの内壁32とスカート部15aとが両者の間に所定の僅かな隙間を隔てて上下方向において互いにオーバーラップすることによって、所定のラビリンス効果(シール効果)が得られ、内壁32の内部(壁31と内壁32との間の排水・排気空間S1)への水の進入が防がれる。ここで、ケース30には、壁31と内壁32及び底板33によって区画される有底二重円筒状の上記排水・排気空間S1が形成されている。
【0029】
また、
図2、
図4及び
図5に示すように、底板33の一部には、円孔状の排水口34が開口しており、壁31の下端の一部には、排水・排気空間S1に開口する排気口35が接線方向(
図2参照)に沿って形成されている。
【0030】
さらに、
図1~
図5に示すように、ケース30の壁31の上部内面からは、上方に向かって縮径するテーパ円筒状のリングカバー36が一体に形成されている。
【0031】
ところで、本実施形態においては、
図2~
図7に示すように、リングカバー36と壁31の各内面には、矩形突起状のフィン37がスピンナテーブル10の回転方向(
図7の矢印方向)に向かって斜め下方に傾斜する矩形突起状のフィン37が周方向に等角度ピッチで複数形成されており、隣接するフィン37の間には、フィン37と同じくスピンナテーブル10の回転方向に向かって斜め下方に傾斜する矩形凹状の溝38が周方向に等角度ピッチで複数形成されている。ここで、
図4及び
図5に示すように、各フィン37と底板33との間には、所定の隙間δがそれぞれ形成されている。なお、本実施形態では、ケース30とは別部材である複数の矩形プレートを壁31の内面に溶接することによって、壁31の内面に複数のフィン37を周方向に等角度ピッチで形成したが、
図8に示すように、壁31に機械加工による削り出しによって複数の溝38を形成することによって、隣接する2つの溝38の間に凸状のフィン37をそれぞれ形成するようにしてもよい。
【0032】
(洗浄水供給ユニット)
洗浄水供給ユニット40は、ウェーハWに向かって洗浄水を供給するものであって、
図2~
図5においては、図示を省略している。この洗浄水供給ユニット40は、
図1に示すように、スピンナテーブル10の外周側において垂直に起立する旋回軸41と、該旋回軸41の上端から水平に延びる水平管42と、該水平管42の直角下方に屈曲する先端部に取り付けられた洗浄水ノズル43を含んで構成されている。ここで、水平管42の長さは、該水平管42が旋回軸41を中心として水平に旋回したときに、その先端に取り付けられた洗浄水ノズル43がウェーハWの上面中心の上方に開口する長さを有している。なお、水平管42は、不図示の洗浄水供給源に接続されている。また、旋回軸41は、その下端が不図示の回転機構に連結されており、回転機構によって軸中心回りに回転駆動される。
【0033】
次に、以上のように構成されたスピンナ洗浄装置1の作用、つまり、ウェーハWの洗浄水による洗浄方法について説明する。
【0034】
ウェーハWの洗浄に際しては、昇降機構50の駆動源であるシリンダユニット51が駆動され、該シリンダユニット51のピストンロッド51bが
図4に示すように上昇するため、該ピストンロッド51bに連結されたスピンナテーブル10が回転機構20やテーブルベース15などと共に上昇し、スピンナテーブル10の上面がリングカバー36の上方に位置する。すなわち、シリンダユニット51のシリンダ51a内に形成された下部室に圧縮エアを供給するとともに、上部室からエアを排出すると、下部室内の圧力によって不図示のピストンとピストンロッド51bが上昇するため、前述のように、スピンナテーブル10が上昇し、このスピンナテーブル10の上昇が減衰力を発生するガイドユニット52によってガイドされる。
【0035】
上記状態において、ワークセットWSがテープTを下にしてスピンナテーブル10の上面に載置される。なお、このとき、スピンナテーブル10の外周4箇所に設けられたクランパ16においては、クランプ部材16Bは、その基端部のウェイト部16aが自重によって垂直に起立した状態にあり、クランプ部材16Bの先端の爪部16bも起立状態にある。
【0036】
上記状態から
図4に示す吸引源14が駆動されて開閉バルブV1が開かれると、吸引源14に発生する負圧が配管13、吸引路8、ロータリジョイント12の空間12a、吸引路7,6及び連通路5を経てスピンナテーブル10の上面に形成された円形溝2,3と直線溝4へと伝達されるため、これらの円形溝2,3と直線溝4が真空引きされ、スピンナテーブル10の上面に負圧が発生する。このため、スピンナテーブル10の上面に載置されたワークセットWSが負圧によってスピンナテーブル10の上面に吸引保持される。
【0037】
上述のように、ワークセットWSがスピンナテーブル10の上面に吸引保持されると、昇降機構50の駆動源であるシリンダユニット51が駆動され、該シリンダユニット51のピストンロッド51bが
図5に示すように下降するため、該ピストンロッド51bにテーブルベース15を介して連結されたスピンナテーブル10が回転機構20と共に下降し、スピンナテーブル10の上面に保持されたワークセットWSがリングカバー36の下方に位置する。すなわち、シリンダユニット51のシリンダ51a内に形成された上部室に圧縮エアを供給するとともに、下部室からエアを排出すると、上部室内の圧力によって不図示のピストンとピストンロッド51bが下降するため、前述のように、スピンナテーブル10が下降し、このスピンナテーブル10の下降が減衰力を発生するガイドユニット52によってガイドされる。
【0038】
上記状態から、回転機構20によってスピンナテーブル10が
図5の矢印方向(反時計方向)に所定の速度で回転駆動されるとともに、洗浄水供給ユニット40の旋回軸41が不図示の回転機構によって軸回りに所定の角度だけ回転し、水平管42が旋回軸41を中心として同角度だけ水平に旋回して先端の洗浄水ノズル43がウェーハWの中心部の上方に位置決めされ、不図示の洗浄水供給源から供給される洗浄水が洗浄水ノズル43からウェーハWの中心に向けて噴射される。
【0039】
上述のように、スピンナテーブル10が所定の速度で回転駆動されると、このスピンナテーブル10と共に回転する4つのクランパ16の各クランプ部材16Bのウェイト部16aに作用する遠心力によって該ウェイト部16aが軸17を中心として
図5の矢印方向に回転するため、各クランプ部材16Bの先端の爪部16bがワークセットWSのリングフレームFをスピンナテーブル10との間で挟持する。このため、ワークセットWSのリングフレームFが4つのクランパ16によってクランプされ、ワークセットWSがスピンナテーブル10の上面に確実に固定されて保持される。
【0040】
また、上述のようにスピンナテーブル10に保持されて該スピンナテーブル10と共に回転するワークセットWSのウェーハWの中心部に向けて洗浄水ノズル43から洗浄水が噴射されると、該洗浄水は、遠心力によってウェーハWの上面を中心から径方向外方に向かって放射状に流れ、その過程で、ウェーハWの上面に付着した加工屑などを洗い流す。そして、このようにウェーハWの上面を洗浄した洗浄水は、遠心力によってウェーハWの外周端からエアと共に噴霧となってスピンナテーブル10の周囲に飛散する。このとき、ケース30内の排水・排気空間S1の上部においては、スピンナテーブル10の回転によって高速の旋回気流が発生する。
【0041】
而して、本実施形態では、前述のように、ケース30のリングカバー36と壁31の各内面に、スピンナテーブル10の回転方向(
図7の矢印方向)に向かって斜め下方に傾斜する矩形突起状のフィン37が周方向に等角度ピッチで複数形成されており、隣接するフィン37の間には、フィン37と同じくスピンナテーブル10の回転方向に向かって斜め下方に傾斜する凹状の溝38がそれぞれ周方向に等角度ピッチで形成されているため、スピンナテーブル10の回転による遠心力によって周囲に飛散する噴霧状の洗浄水は、スピンナテーブル10の回転方向に旋回しながらケース30の壁31とリングカバー36の各内面に突設された各フィン37に衝突して該フィン37の側面に付着し、隣接する各2つのフィン37の間の溝38に沿って水滴となってそれぞれ落下する。この場合、溝38は、フィン37に沿ってスピンナテーブル10の回転方向に向かって斜め下方に傾斜しているため、該溝38に沿う水滴の落下が、スピンナテーブル10の回転方向に沿って流れる旋回気流を生成して、その旋回気流が該溝38によって旋回気流に含まれる水滴とともに下方向に流れることでスピンナテーブル10の周囲には負圧が形成される。
【0042】
そして、ケース30の壁31の内面に形成された複数の溝38に沿って流れる水滴は、底板33上に落下し、底板33に開口する排水口34からケース30の外へと排出される。ここで、本実施形態では、前述のように、各フィン37と底板33との間には、所定の隙間δ(
図4、
図5及び
図7参照)がそれぞれ形成されているため、各溝38から底板33への水滴の落下がスムーズになされる。
【0043】
また、洗浄水の噴霧から水滴が除去されたエアは、ケース30の壁31の下部に開口する排気口35からケース30の外部へと排出される。ここで、排気口35は、前述のように、排水・排気空間S1内の旋回流に対して接線方向に開口しているため、この排気口35からの排気が効率よくスムーズになされる。
【0044】
以上の洗浄水によるウェーハWの洗浄が終了すると、洗浄時よりもさらに高速でスピンナテーブル10を回転させて遠心力を強め、洗浄水をウェーハWから吹き飛ばすことによって該ウェーハWの上面を乾燥させるようにしている。この場合、ウェーハWの洗浄中に吹き飛ばされた洗浄水の水滴は、前述と同様に、スピンナテーブル10の回転方向に旋回しながらケース30の壁31とリングカバー36の各内面に突設されたフィン37に衝突して該フィン37の側面に付着し、隣接する各2つのフィン37の間の溝38に沿って水滴となってそれぞれ落下する。したがって、フィン37と溝38による効果的な気液分離によってエアから分離された洗浄水の水滴が回収されてケース30の外へと排出されるため、乾燥したウェーハWに洗浄水の水滴が再付着することがなく、ウェーハWの上面にウォーターマークなどが残ることがない。
【0045】
以上のように、本実施の形態では、ケース30の壁31とリングカバー36の各内面に、スピンナテーブル10の回転方向(
図7の矢印方向)に向かって斜め下方に傾斜する矩形突起状のフィン37を周方向に等角度ピッチで複数形成することによって、ウェーハWの洗浄に供されて周囲に飛散する噴霧状の洗浄水を効果的に気液分離することができるため、従来のように噴霧状の研削水の流速を下げるために流路断面積を流れ方向に沿って漸増させる必要がなく、洗浄水のウェーハWの上面への付着を抑制することができ、該洗浄水の付着によるウェーハW上面の汚染(ウォーターマーク)を防ぐことができるという効果が得られる。なお、
図8に示す構成によっても、同様の効果が得られる。
【0046】
ところで、本実施の形態に係るスピンナ洗浄装置1においては、スピンナテーブル10にワークセットWSを保持する構成を採用したが、スピンナテーブル10は、ワークセットWSではなく、ウェーハWを直接吸引保持してもよく、或いはエッジクランプ方式によってウェーハWの外周縁を保持してもよい。また、スピンナ洗浄装置1によって洗浄するワークは、ウェーハW以外の任意のものであってもよい。
【0047】
[第2発明]
次に、第2発明に係る加工装置の一形態としての研削装置の構成について説明する。なお、以下の説明においては、
図9に示す矢印方向をそれぞれX軸方向(前後方向)、Y軸方向(左右方向)、Z軸方向(上下方向)とする。
【0048】
図9に示す研削装置100は、ワークである円板状のウェーハWを研削加工するものであって、次の構成要素を備えている。すなわち、研削装置100は、ウェーハWを保持するチャックテーブル110と、加工具である後述の研削砥石125b(
図10参照)によってウェーハWを研削(加工)する加工ユニットである研削ユニット120と、チャックテーブル110に保持されたウェーハWに加工液である研削水を供給する研削水供給ユニット130と、研削砥石125bとチャックテーブル110とを収容する加工室S2(
図10参照)を形成する壁140を主要な構成要素として備えている。
【0049】
ここで、ウェーハWは、単結晶のシリコン母材で構成されており、
図9に示す状態において下方を向いている表面には、複数の不図示のデバイスが形成されており、これらのデバイスは、ウェーハWの表面に貼着された保護テープT1によって保護ざれている。そして、ウェーハWは、その表面(
図9においては下面)がチャックテーブル110の保持面に吸引保持され、裏面(
図9においては上面)が研削水の供給を受けながら研削ユニット120の研削砥石125b(
図10参照)によって研削される。
【0050】
次に、研削装置100の主要な構成要素であるチャックテーブル110、研削ユニット120、研削水供給ユニット130及び壁140の構成についてそれぞれ説明する。
【0051】
(チャックテーブル)
チャックテーブル110は、円板状の部材であって、その上部中央部には、
図10に示すように、多孔質のセラミックなどで構成された円板状のポーラス部材110Aが組み込まれている。そして、ポーラス部材110Aは、その上面が円板状のウェーハWを吸引保持する保持面を構成しており、このポーラス部材110Aには、真空ポンプなどの不図示の吸引源が選択的に接続される。
【0052】
ここで、チャックテーブル110は、
図10に示すように、スライダ111に傾き調整機構112を介して固定支持されたリング状の保持部材113にベアリング114によって回転可能に支持されており、回転機構101によって軸心を中心として
図10の矢印方向(反時計方向)に所定の速度で回転駆動される。ここで、回転機構101は、駆動源である電動モータ102と、該電動モータ102の出力軸に結着された小径の駆動プーリ103と、チャックテーブル110から垂直下方に延びる回転軸110aの外周に結着された大径の従動プーリ104と、これらの駆動プーリ103と従動プーリ104に巻装された無端状のタイミングベルト105によって構成されている。したがって、電動モータ102が起動されて駆動プーリ103が回転駆動されると、この駆動プーリ103の回転は、タイミングベルト105によって減速されて従動プーリ104へと伝達され、該従動プーリ104と共にチャックテーブル110の回転軸110aが回転するため、チャックテーブル110が
図10の矢印方向に所定の速度で回転駆動される。
【0053】
ところで、チャックテーブル110は、傾き調整機構112によって水平面に対する傾きが調整可能であるが、この傾き調整機構112や保持部材、回転機構101などは、スライダ111上に固定された円筒状のケース115内に収容されている。そして、ケース115の上部にはリング状の支持部材116が取り付けられており、この支持部材116上には、矩形プレート状のカバー部材117が立設されている。
【0054】
また、
図9に示すように、研削装置100は、前後方向(Y軸方向)に長い矩形ボックス状のベース200を備えており、このベース200の内部には、
図10に示す水平移動機構150が収容されている。
【0055】
上記水平移動機構150は、前記スライダ111と、該スライダ111の移動方向である前後方向(Y軸方向)に沿って互いに平行に配設された左右一対のガイドレール151(
図10には、一方のみ図示)と、これらのガイドレール151の間においてY軸方向(前後方向)に沿って延びる回転可能なボールネジ152と、該ボールネジ152を正逆転させるサーボモータ153などによって構成されている。ここで、ボールネジ152の両端部(
図10の左端部と右端部)は軸受154によって回転可能に支持されており、その一端(
図10の左端)は、駆動源であるサーボモータ153に連結されている。そして、このボールネジ152には、スライダ111から下方に向かって突設された不図示のナット部材が螺合している。
【0056】
したがって、サーボモータ153を起動してボールネジ152を正逆転させると、このボールネジ152に螺合する不図示のナット部材がスライダ111と共に一対のガイドレール151に沿ってY軸方向(前後方向)に摺動するため、このスライダ111と共にチャックテーブル110も回転機構101などと共にY軸方向に沿って一体的に移動する。この結果、チャックテーブル110の保持面に吸引保持されたウェーハWもY軸方向に沿って移動する。
【0057】
(研削ユニット)
研削ユニット120は、
図10に示すように、ホルダ121に収容されたスピンドルモータ122と、該スピンドルモータ122によって鉛直な軸心を中心として回転駆動されるスピンドル123と、該スピンドル123の下端に取り付けられた円板状のマウント124と、該マウント124の下面に着脱可能に装着された研削ホイール125とを備えている。ここで、研削ホイール125は、円板状の基台125aと、該基台125aの下面に円環状に取り付けられた複数の研削砥石125bによって構成されている。なお、研削砥石125bは、ウェーハWを研削するための加工具であって、その下面は、ウェーハWに接触する研削面を構成している。
【0058】
ところで、研削ユニット120は、垂直移動機構160によって鉛直方向(Z軸方向)に沿って昇降可能であって、この垂直移動機構160は、ベース200の上面の+Y軸方向端部(後端部)上に垂直に立設された矩形ボックス状のコラム201の-Y軸方向端面(前面)に配置されている。この垂直移動機構160は、研削ユニット120に設けられたホルダ121の背面に取り付けられた矩形プレート状の昇降板161を、ホルダ121及び該ホルダ121に保持されたスピンドル123と研削ホイール125と共に左右一対のガイドレール162に沿ってZ軸方向に昇降動させる機構である。ここで、左右一対のガイドレール162は、コラム201の前面に垂直且つ互いに平行に配設されている。
【0059】
また、左右一対のガイドレール162の間には、回転可能なボールネジ163がZ軸方向(上下方向)に沿って垂直に立設されており、該ボールネジ163の上端は、駆動源である正逆転可能なサーボモータ164に連結されている。ここで、サーボモータ164は、コラム201の上面に取り付けられた矩形プレート状のブラケット165を介して縦置き状態で取り付けられている。また、ボールネジ163の下端は、軸受166によってコラム201に回転可能に支持されており、このボールネジ163には、昇降板161の背面に後方(+Y軸方向)に向かって水平に突設されたナット部材167が螺合している。
【0060】
したがって、サーボモータ164を駆動してボールネジ163を正逆転させれば、このボールネジ163に螺合するナット部材167が取り付けられた昇降板161が研削ユニット120と共にZ軸に沿って上下動する。
【0061】
(研削水供給ユニット)
研削水供給ユニット130は、研削加工中のウェーハWと研削砥石125bとの接触部(加工部)に研削水を供給するものであって、
図10に示すように、研削水供給源131と、該研削水供給源131から延びる配管132と、該配管132に設けられた開閉バルブV2を備えている。なお、配管132は、研削ユニット120のスピンドルモータ122とスピンドル123、マウント124及び研削ホイール125の各軸中心に形成された不図示の供給路の上端に接続されており、供給路は、研削ホイール125の基台125aの研削砥石125bの内側に開口する複数の噴射ノズル133に接続されている。
【0062】
(壁)
図9~
図11に示すように、ベース200上には、矩形ボック状の壁140が設置されており、この壁140によって形成された加工室S2には、
図10及び
図11に示すように、チャックテーブル110と、研削ユニット120の下端部(マウント124と研削ホイール125)が収容されている。なお、加工室S2の天板140Aには、研削ユニット120の研削ホイール125が貫通するための円孔140aが形成されている。また、壁140の-Y軸方向の前壁140Bの一部には、チャックテーブル110の通過を許容する矩形の開口部140bが形成されている。
【0063】
ところで、本実施形態においては、
図9~
図11に示すように、加工室S2を形成する壁140の4つの壁、つまり、前壁140Bと左右の側壁140C及び後壁140Dの各内面には、矩形突起状のフィン141がチャックテーブル110の回転方向(
図12の矢印方向)に向かって斜め下方に傾斜するフィン141が水平方向(
図10及び
図11の左右方向)沿って等間隔で複数形成されており、隣接するフィン141の間には、フィン141と同じくチャックテーブル110の回転方向に向かって斜め下方に傾斜する凹状の溝142が長手方向に等間隔で複数形成されている。なお、本実施形態では、
図12に示すように、壁140とは別部材である複数の矩形プレートを壁140の内面に溶接することによって、壁140の内面に複数のフィン141を水平方向に等間隔で形成したが、
図13に示すように、壁140に機械加工による削り出しによって複数の溝142を形成することによって、隣接する溝142の間に凸状のフィン141をそれぞれ形成するようにしてもよい。また、フィンを形成した板を、前壁140Bと左右の側壁140C及び後壁140Dの各内面に、例えば、面ファスナ、磁石などにより脱着可能に配置するようにしてもよい。
【0064】
[ウェーハの研削方法]
次に、以上のように構成された研削装置100の作用、つまり、研削装置100によるウェーハWの研削方法について説明する。
【0065】
研削装置100によってウェーハWを研削するには、
図10に示すように、チャックテーブル110が壁140の加工室S2の外に位置している状態において、該チャックテーブル110の保持面上にウェーハWを載置する。そして、チャックテーブル110のポーラス部材110Aを不図示の吸引源によって真空引きすると、該ポーラス部材110Aに負圧が発生し、この負圧に引かれてウェーハWがチャックテーブル110の保持面上に吸引保持される。
【0066】
上述のように、ウェーハWがチャックテーブル110の保持面に吸引保持されると、水平移動機構150によってスライダ111とチャックテーブル110がガイドレール151に沿って-Y軸方向(後方)へと移動し、
図11に示すように、チャックテーブル110とこれに保持されたウェーハWが回転機構101などと共に壁140内へと移動して加工室S2内に収容される。このとき、チャックテーブル110は、これに保持されたウェーハWの中心を研削砥石125bの外接円が通過するように位置決めされ、壁140の前壁140Bに形成された開口部140bは、カバー部材117によって図示のように塞がれる。
【0067】
そして、上記状態から、チャックテーブル110の保持面上に保持されたウェーハWの上面(裏面)が研削ユニット120によって所定の厚みになるまで研削される。すなわち、チャックテーブル110が回転機構101によって軸心を中心として
図11の矢印方向(反時計方向)に所定の速度で回転駆動されるとともに、研削ユニット120のスピンドルモータ122が起動されて研削ホイール125が垂直な軸心を中心として所定の速度でチャックテーブル110と同方向に回転駆動される。
【0068】
上述のようにチャックテーブル110と研削ホイール125が所定の速度で同方向に回転している状態から、垂直移動機構160によって研削ユニット120を鉛直下方(-Z軸方向)に研削砥石35bの研削面(下面)がチャックテーブル110の保持面に吸引保持されたウェーハWの上面に接触する位置まで移動させる。すると、チャックテーブル110の回転によって、該チャックテーブル110に保持されたウェーハWの上面(裏面)が研削砥石35bによって研削されるが、このウェーハWの研削加工においては、研削水供給ユニット130からの研削水がウェーハWと研削砥石125bとの接触部(加工部)に向けて噴射される。すなわち、研削水供給ユニット130の研削水供給源131からの研削水は、配管132と研削ユニット120のスピンドルモータ122やスピンドル123などの軸心に形成された不図示の連通路を通って研削ホイール125の基台125aに形成された複数の噴射ノズル133から研削加工中のウェーハWに向けて噴射される。すると、研削によって発生してウェーハWの上面に付着した研削屑が研削水によって除去されるとともに、ウェーハWと研削砥石125bとの接触部(加工部)が研削水によって冷却される。
【0069】
ところで、ウェーハWの研削加工中に研削水供給ユニット130の研削水供給源131からウェーハWと研削砥石125bとの接触部(加工部)に向けて噴射されて該接触部の洗浄と冷却に供された研削水は、ウェーハWと研削ホイール125(研削砥石125b)の回転に伴う遠心力によって加工室S2において周囲に噴霧となって飛散する。
【0070】
而して、本実施形態では、前述のように、壁140の内面に、研削ホイール125(研削砥石125b)の回転方向(
図12の矢印方向)に向かって斜め下方に傾斜する矩形突起状のフィン141が水平方向に等間隔で複数形成されており、隣接するフィン141の間には、フィン141と同じく研削ホイール125(研削砥石125b)の回転方向に向かって斜め下方に傾斜する凹状の溝142が水平方向に等間隔で複数形成されているため、研削ホイール125(研削砥石125b)の回転による遠心力によって周囲に飛散する噴霧状の洗浄水は、研削ホイール125(研削砥石125b)の回転方向に旋回しながら壁140の内面の各フィン141の側面にそれぞれ衝突して該側面に付着し、隣接するフィン141の間の溝142に沿って水滴となって落下する。この場合、溝142は、フィン141に沿って研削ホイール125(研削砥石125b)の回転方向に向かって斜め下方に傾斜しているため、該溝142に沿う水滴の落下が、研削ホイール125(研削砥石125b)の回転方向に沿って流れる気流によって促進される。
【0071】
したがって、本実施の形態に係る研削装置100においては、効果的な気液分離を実現して研削水のウェーハWの上面への付着を抑制することができ、研削水に含まれる研削屑のウェーハの上面と研削砥石との間への進入を抑制することができる。このため、研削屑によってウェーハWの上面にスクラッチが形成されることがなく、スクラッチによるウェーハWの破損などが防がれ、当該ウェーハWに高い品質が確保されるという効果が得られる。なお、
図13に示す構成によっても、同様の効果が得られる。また、研削装置100によって研削されるワークは、ウェーハW以外の任意のものであってもよい。例えば、ワークWは、樹脂基板、ガラス基板であってもよい。
【0072】
ところで、以上は加工装置の一形態としての研削装置に対して第2発明を適用した形態について説明したが、第2発明は、研削装置の他、研磨装置、バイト切削装置など加工液を供給し加工具を回転させワークを加工する他の加工装置に対しても同様に適用可能である。
【0073】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0074】
1:スピンナ洗浄装置、2,3:円形溝、4:直線溝、5:連通路、6~8:吸引路、
10:スピンナテーブル、11:回転軸、12:ロータリジョイント、12a:空間、
13:配管、14:吸引源、15:テーブルベース、15a:スカート部、
16:クランパ、16A:支持プレート、16B:クランプ部材、16a:ウェイト部、16b:爪部、17:軸、18:ベースプレート、20:回転機構、
21:サーボモータ、30:ケース、31:壁、32:内壁、33:底板、
34:排水口、35:排気口、36:リングカバー、37:フィン、38:溝、
40:洗浄水供給ユニット、41:旋回軸、42:水平管、43:洗浄水ノズル、
50:昇降機構、51:シリンダユニット、51a:シリンダ、
51b:ピストンロッド、52:ガイドユニット、52a:シリンダ、
52b:ピストンロッド、100:研削装置(加工装置)、101:回転機構、
102:電動モータ、103:駆動プーリ、104:従動プーリ、
105:タイミングベルト、110:チャックテーブル、110A:ポーラス部材、
110a:回転軸、111:スライダ、112:傾き調整機構、113:保持部材、
114:ベアリング、115:ケース、116:支持部材、117:カバー部材、
120:研削ユニット(加工ユニット)、121:ホルダ、122:スピンドルモータ、
123:スピンドル、124:マウント、125:研削委ホイール、125a:基台、
125b:研削砥石(加工具)、130:研削水供給ユニット(加工液供給ユニット)、131:研削水供給源、132:配管、133:噴射ノズル、140:壁、
140A:天板、140B:前壁、140C:側壁、140D:後壁、140a:円孔、140b:開口部、141:フィン、142:溝、150:水平移動機構、
151:ガイドレール、152:ボールネジ、153:サーボモータ、154:軸受、
160:垂直移動機構、161:昇降板、162:ガイドレール、163:ボールネジ、164:サーボモータ、165:ブラケット、166:軸受、167:ナット部材、
200:ベース、201:コラム、D:デバイス、F:リングフレーム、
L1,L2:ストリート、S1:排水・排気空間、S2:加工室、T:テープ、
T1:保護テープ、V1,V2:開閉バルブ、WS:ワークセット、
W:ウェーハ(ワーク)、δ:隙間