(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158503
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】路盤材の製造方法及びその製造装置並びに二酸化炭素の回収方法
(51)【国際特許分類】
C04B 18/16 20230101AFI20241031BHJP
E01C 3/04 20060101ALI20241031BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20241031BHJP
B01D 53/80 20060101ALI20241031BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20241031BHJP
C04B 14/02 20060101ALI20241031BHJP
C04B 40/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C04B18/16
E01C3/04
B01D53/62 ZAB
B01D53/80
B01D53/14 210
C04B14/02 Z
C04B40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073748
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000201515
【氏名又は名称】前田道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田渕 亮丞
(72)【発明者】
【氏名】上河内 貴
(72)【発明者】
【氏名】小堺 規行
(72)【発明者】
【氏名】守安 弘周
(72)【発明者】
【氏名】越 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 知
【テーマコード(参考)】
2D051
4D002
4D020
4G112
【Fターム(参考)】
2D051CA09
2D051CA10
4D002AA09
4D002AC01
4D002AC04
4D002AC05
4D002AC10
4D002BA03
4D002BA14
4D002CA01
4D002CA20
4D002DA66
4D002EA02
4D002GA01
4D002GB01
4D002GB02
4D002GB03
4D002GB06
4D002GB08
4D002GB12
4D002HA09
4D020AA03
4D020BA30
4D020BB05
4D020CB25
4D020CB40
4D020CC01
4D020DA03
4D020DB02
4D020DB05
4D020DB07
4D020DB10
4D020DB14
4G112RA02
4G112RA05
(57)【要約】
【課題】多種多様な材料に適用し得る高い汎用性を有し、容易な作業により路盤材を製造し得る製造方法及び製造装置、並びに二酸化炭素の回収方法を提供する。
【解決手段】生コンクリートスラッジ水1と基材との接触を行う第一の接触工程、前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触を行う第二の接触工程、前記二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触を行う第三の接触工程、及び炭酸カルシウムを含む反応物を集塵装置で回収する回収工程、を備える路盤材の製造方法、第一の接触工程を行う接触装置、第二の接触工程を行う反応容器、第三の接触工程を行う煙道及び噴霧ノズル、及び集塵装置を備える路盤材の製造装置、並びに上記第一の接触工程、第二の接触工程、第三の接触工程及び回収工程を含む二酸化炭素の回収方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリートスラッジ水1と基材との接触により、前記生コンクリートスラッジ水1及び前記基材を含有する含有物を得る第一の接触工程、
前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触により、前記基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材を得る第二の接触工程、
次いで前記二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触により、炭酸カルシウムを含む反応物を得る第三の接触工程、及び
前記炭酸カルシウムを含む反応物を集塵装置で回収する回収工程、
を備える、
路盤材の製造方法。
【請求項2】
前記基材が、砕石、砕砂、アスファルト廃材由来の再生骨材及びコンクリート廃材由来の再生砕石から選ばれる少なくとも一種の材料である請求項1に記載の路盤材の製造方法。
【請求項3】
前記生コンクリートスラッジ水1と基材との接触が、前記生コンクリートスラッジ水1の噴霧により行われる、請求項1又は2に記載の路盤材の製造方法。
【請求項4】
前記基材100質量部に対する前記生コンクリートスラッジ水1の噴霧量が、0.1質量部以上15質量部以下である請求項3に記載の路盤材の製造方法。
【請求項5】
前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触が、反応容器内で行われる請求項1又は2に記載の路盤材の製造方法。
【請求項6】
前記二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触が、前記反応容器から排出された前記二酸化炭素含有ガスが通過する煙道内に、前記生コンクリートスラッジ水2を噴霧して行われる請求項5に記載の路盤材の製造方法。
【請求項7】
前記生コンクリートスラッジ水1及び前記生コンクリートスラッジ水2が、一の生コンクリートスラッジ水の供給設備より供給される請求項1又は2に記載の路盤材の製造方法。
【請求項8】
前記生コンクリートスラッジ水1及び前記生コンクリートスラッジ水2が、生コンクリートスラッジから固形分を除去した上澄み水又は前記固形分を含むスラッジ水である請求項1又は2に記載の路盤材の製造方法。
【請求項9】
前記生コンクリートスラッジ水1及び前記生コンクリートスラッジ水2が、前記上澄み水である請求項8に記載の路盤材の製造方法。
【請求項10】
前記第二の接触工程における前記二酸化炭素含有ガスの温度が、10℃以上90℃以下である請求項1又は2に記載の路盤材の製造方法。
【請求項11】
前記第三の接触工程における前記二酸化炭素含有ガス1m3/hに対する前記生コンクリートスラッジ水2の供給量が、0.5kg/h以上600kg/h以下である請求項1又は2に記載の路盤材の製造方法。
【請求項12】
前記路盤材が、前記基材の表面に前記炭酸カルシウムが被覆したものである請求項1又は2に記載の路盤材の製造方法。
【請求項13】
生コンクリートスラッジ水1と基材とを接触させて、前記生コンクリートスラッジ水1及び前記基材を含有する含有物を得る接触装置、
前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触により、前記基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材を得る反応容器、
前記反応容器から排出された前記二酸化炭素含有ガスが通過する煙道、
前記煙道に生コンクリートスラッジ水2を供給する噴霧ノズル、及び
前記煙道における前記二酸化炭素含有ガスと前記生コンクリートスラッジ水2との接触により得られる炭酸カルシウムを含む反応物を回収する集塵装置、
を備える、路盤材の製造装置。
【請求項14】
生コンクリートスラッジ水1と基材との接触により、前記生コンクリートスラッジ水1及び前記基材を含有する含有物を得る第一の接触工程、
前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触により、前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を反応させて炭酸カルシウムを含む反応物を得る第二の接触工程、
次いで前記二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触により、前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を反応させて炭酸カルシウムを含む反応物を得る第三の接触工程、及び
前記第三の接触工程で得られた前記炭酸カルシウムを含む反応物を集塵装置で回収する回収工程、
を含む、二酸化炭素の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路盤材の製造方法及びその製造装置並びに二酸化炭素の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化への関心が高まり、大気中への二酸化炭素の放出量の削減が求められている。発電所、焼却炉、セメント工場、製鉄所、工場設備等の各種設備において、操業により発生する二酸化炭素を含む排ガスの大気への放出量を低減し、回収することが検討されている。とりわけ、セメント工場における二酸化炭素の放出量の削減は、喫緊の課題として捉えられている。
【0003】
例えば特許文献1には、廃コンクリートを破砕して得た材料を集積し、乾燥状態と湿潤状態とを繰り返した条件下に所定期間暴露し、材料中に気中の二酸化炭素を取り込み固定化させることを特徴とする二酸化炭素の固定化方法が提案されている。また、特許文献2には、セメント質硬化体からなる、所定粒度を有する粉粒状体に、75~110℃の温度下で二酸化炭素含有ガスを接触させる際に、粉粒状体の水分量の調整の状況に応じて、当該ガスの相対湿度を調整する接触工程を含む二酸化炭素の固定化方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特開2009-028581号公報
特許文献2:特開2020-131076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、多種多様な材料に適用し得る高い汎用性を有し、容易な作業により路盤材を製造し得る製造方法及び製造装置、並びに二酸化炭素の回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の路盤材の製造方法を提供する。
1.生コンクリートスラッジ水1と基材との接触により、前記生コンクリートスラッジ水1及び前記基材を含有する含有物を得る第一の接触工程、
前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触により、前記基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材を得る第二の接触工程、
次いで前記二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触により、炭酸カルシウムを含む反応物を得る第三の接触工程、及び
前記炭酸カルシウムを含む反応物を集塵装置で回収する回収工程、
を備える、
路盤材の製造方法。
【0007】
さらに本発明は、以下の路盤材の製造方法を、好ましい実施態様として提供する。
2.前記基材が、砕石、砕砂、アスファルト廃材由来の再生骨材及びコンクリート廃材由来の再生砕石から選ばれる少なくとも一種の材料である上記1に記載の路盤材の製造方法。
3.前記生コンクリートスラッジ水1と基材との接触が、前記生コンクリートスラッジ水1の噴霧により行われる、上記1又は2に記載の路盤材の製造方法。
4.前記基材100質量部に対する前記生コンクリートスラッジ水1の噴霧量が、0.1質量部以上15質量部以下である上記3に記載の路盤材の製造方法
5.前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触が、反応容器内で行われる上記1又は2に記載の路盤材の製造方法。
6.前記二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触が、前記反応容器から排出された前記二酸化炭素含有ガスが通過する煙道内に、前記生コンクリートスラッジ水2を噴霧して行われる上記5に記載の路盤材の製造方法。
7.前記生コンクリートスラッジ水1及び前記生コンクリートスラッジ水2が、一の生コンクリートスラッジ水の供給設備より供給される上記1又は2に記載の路盤材の製造方法。
8.前記生コンクリートスラッジ水1及び前記生コンクリートスラッジ水2が、生コンクリートスラッジから固形分を除去した上澄み水又は前記固形分を含むスラッジ水である上記1又は2に記載の路盤材の製造方法。
9.前記生コンクリートスラッジ水1及び前記生コンクリートスラッジ水2が、前記上澄み水である上記8に記載の路盤材の製造方法。
10.前記第二の接触工程における前記二酸化炭素含有ガスの温度が、10℃以上90℃以下である上記1又は2に記載の路盤材の製造方法。
11.前記第三の接触工程における前記二酸化炭素含有ガス1m3/hに対する前記生コンクリートスラッジ水2の供給量が、0.5kg/h以上600kg/h以下である上記1又は2に記載の路盤材の製造方法。
12.前記路盤材が、前記基材の表面に前記炭酸カルシウムが被覆したものである上記1又は2に記載の路盤材の製造方法。
【0008】
本発明は、以下の路盤材の製造装置を提供する。
13.生コンクリートスラッジ水1と基材とを接触させて、前記生コンクリートスラッジ水1及び前記基材を含有する含有物を得る接触装置、
前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触により、前記基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材を得る反応容器、
前記反応容器から排出された前記二酸化炭素含有ガスが通過する煙道、
前記煙道に生コンクリートスラッジ水2を供給する噴霧ノズル、及び
前記煙道における前記二酸化炭素含有ガスと前記生コンクリートスラッジ水2との接触により得られる炭酸カルシウムを含む反応物を回収する集塵装置、
を備える、路盤材の製造装置。
【0009】
また、本発明は、以下の二酸化炭素の回収方法を提供する。
14.生コンクリートスラッジ水1と基材との接触により、前記生コンクリートスラッジ水1及び前記基材を含有する含有物を得る第一の接触工程、
前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触により、前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を反応させて炭酸カルシウムを含む反応物を得る第二の接触工程、
次いで前記二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触により、前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を反応させて炭酸カルシウムを含む反応物を得る第三の接触工程、及び
前記第三の接触工程で得られた前記炭酸カルシウムを含む反応物を集塵装置で回収する回収工程、
を含む、二酸化炭素の回収方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多種多様な材料に適用し得る高い汎用性を有し、容易な作業により路盤材を製造し得る製造方法及び製造装置、並びに二酸化炭素の回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の路盤材の製造装置の好ましい一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と称することがある。)について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されることはなく、発明の効果を阻害しない範囲において任意に変更して実施し得るものである。なお、本明細書中の「AA~BB」との数値範囲の表記は、「AA以上BB以下」であることを意味する。また、本明細書中において、数値範囲の記載に関する「以上」、「以下」及び「~」に係る数値は任意に組み合わせできる数値である。例えば、とある数値範囲について「CC~DD」及び「EE~FF」と記載されている場合、「CC~FF」、「EE~DD」といった数値範囲も含まれる。
【0013】
[路盤材の製造方法]
本実施形態の路盤材の製造方法は、
生コンクリートスラッジ水1と基材との接触により、前記生コンクリートスラッジ水1及び前記基材を含有する含有物を得る第一の接触工程、
前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触により、前記基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材を得る第二の接触工程、
次いで前記二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触により、炭酸カルシウムを含む反応物を得る第三の接触工程、及び
前記炭酸カルシウムを含む反応物を集塵装置で回収する回収工程、
を備える、
というものである。
【0014】
既述のように、大気中への二酸化炭素の放出量の削減が求められており、二酸化炭素の放出量の削減は喫緊の課題であるところ、多種多様な材料を適用できる汎用性の高さは極めて重要である。そして、例えば既設設備の簡便な改造工事、小型設備の設置といった軽微な対応により解決できること、また容易な作業により対応できることも要望されるようになっている。
【0015】
しかしながら、上記特許文献1に記載される技術においては、集積場において、シャワー散水することで湿潤状態とする必要があり、大規模な処理設備と煩雑な作業が必要となる。また上記特許文献2に記載される技術においては、二酸化炭素含有ガスの相対湿度を調整するという煩雑な作業が必要となる。さらに、上記特許文献1及び2に記載される技術は、いずれもコンクリート由来の材料を用いることしか想定されておらず、汎用性に欠けるものである。
【0016】
本発明者らは、二酸化炭素の回収方法に関する検討を進めてきたが、そのなかで、二酸化炭素の回収方法に使用する材料によっては、路盤材に好適な材料となり得ることを見出した。すなわち、使用する材料として路盤材の基材として用いられる材料を用い、また生コンクリートスラッジ水と基材との接触及び二酸化炭素含有ガスとの接触を行うだけで、二酸化炭素の回収だけでなく、二酸化炭素の回収に用いられた基材を路盤材として有効活用できることを見出した。
このように、本実施形態の路盤材の製造方法によれば、軽微な対応かつ容易な作業により、路盤材を製造することができ、これと同時に二酸化炭素の回収をも行うことができる。
【0017】
本実施形態の路盤材の製造方法によれば、二酸化炭素含有ガスと、生コンクリートスラッジ水との接触を行うことで、二酸化炭素含有ガスからさらに二酸化炭素の回収を行い、また通常廃棄物として廃棄される生コンクリートスラッジの廃棄量を低減することができる。
【0018】
以下、本実施形態の路盤材の製造方法について、
図1を用いながら説明する。
図1は、本実施形態の路盤材の製造装置の好ましい一態様を示すフロー図である。
図1に示されるフロー図には、路盤材の製造装置が、生コンクリートスラッジ水1と基材とを接触させる第一の接触工程により、生コンクリートスラッジ水1及び基材を含有する含有物を得る接触装置(第一の接触槽)、及び第一の接触工程で得られた含有物と二酸化炭素含有ガスとを接触させる第二の接触工程により、基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材を得る反応容器(第二の接触槽)を備えることが示されている。また、本実施形態の路盤材の製造装置は、反応容器から排出された二酸化炭素含有ガスが通過する煙道、煙道に生コンクリートスラッジ水2を供給する噴霧ノズル、及び煙道における二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触により得られる炭酸カルシウムを含む反応物を回収する集塵装置、を備えることも示されている。
【0019】
図1には、接触装置(第一の接触槽)において生コンクリートスラッジ水1と基材との第一の接触工程が行われること、第一の接触工程で得られた含有物は反応容器(第二の接触槽)に供給されて、含有物と二酸化炭素含有ガスとの第二の接触工程が行われ、基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材が得られること、さらに第二の接触工程で用いられた二酸化炭素含有ガスに、生コンクリートスラッジ水2が供給されて、二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との第三の接触工程が行われ、炭酸カルシウムを含む反応物が得られること、が示されている。ここで、二酸化炭素含有ガスは反応容器から排出されて煙道を通過し、煙道において噴霧ノズルを介して生コンクリートスラッジ水2が供給され、第三の接触工程が行われること、及び煙道において二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触により得られる炭酸カルシウム反応物が集塵装置で回収されること、が示されている。
また、
図1には、基材を破砕施設で破砕した後、破砕後の基材を移送ベルトコンベアにより基材ヤードに移動すること、基材ヤードからダンプ等の搬送車両を用いて輸送して、輸送ベルトコンベアにより基材を接触装置(第一の接触槽)に供給することも示されている。
【0020】
〔第一の接触工程〕
本実施形態の路盤材の製造方法は、生コンクリートスラッジ水1と基材との接触により、前記生コンクリートスラッジ水1及び前記基材を含有する含有物を得る第一の接触工程を備える。
第一の接触工程で得られる含有物は、生コンクリートスラッジ水1及び基材を含有するものであり、生コンクリートスラッジ水1と基材との接触により得られるものであることを考慮すると、基材の表面の少なくとも一部に生コンクリートスラッジ水1が被覆(付着)した形態となっている。
【0021】
(基材)
本実施形態の製造方法において用いられる基材は、路盤材として用い得る材料であれば特に制限なく使用することが可能である。例えば、一般に砕石、砕砂、アスファルト廃材由来の再生骨材、コンクリート廃材由来の再生砕石と称される材料等が好ましく挙げられる。例えば、
図1に示されるように、基材を、必要に応じて破砕施設で破砕してから用いてもよく、破砕施設では所望の路盤材に応じたサイズに破砕することができる。
【0022】
砕石としては、JIS A5001:2008に規定される、単粒度砕石(1号~7号)、クラッシャラン(C-20~C-40)、粒度調整砕石(M-25~M-40)のいずれを採用することも可能である。規格品としては、JIS A5005:2020に規定されるコンクリート用砕石も挙げられる。また、これらの砕石に準ずるものの規格外のものを砕石として使用することも可能である。
砕砂としては、JIS A5005:2020に規定されるコンクリート用砕砂が挙げられる。なお、砕砂に準ずるものの規格外のものを砕砂として使用することも可能である。
【0023】
再生骨材としては、JIS A5021:2018、JIS A5022:2018及びJIS A5023:2018に規定される、各々コンクリート用再生骨材H、M及びLのいずれを用いることもできる。また、これらの再生骨材に準ずるものの規格外のものを再生骨材として使用することも可能である。
【0024】
再生砕石としては、上記クラッシャラン、粒度調整砕石の再生材を用いた再生クラッシャラン(例えば、RC-40等)、再生粒度調整砕石(例えば、RM-30等)が挙げられる。
【0025】
(還元剤)
本実施形態の製造方法に用いられる上記基材は、水と接触することで六価クロムが溶出する場合がある。この場合、六価クロムの溶出量を低減するため、薬剤(主に還元剤)を使用することが好ましい。六価クロムを三価クロムに還元することで無毒化することができ、路盤材としての安全性の向上を図ることができるからである。そのため、基材からの六価クロムの溶出量が、例えば土壌環境基準に合致しない場合は、還元剤を使用することが有効である。
【0026】
還元剤としては、六価クロムを三価クロムに還元し、無毒化することができるものであれば特に制限なく使用することが可能である。例えば、水酸化鉄、塩化鉄、フッ化鉄、臭化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、リン酸鉄、チオシアン酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄等の鉄化合物等が好ましく挙げられ、中でもこれらの2価鉄化合物(第一鉄の化合物)が好ましい。
【0027】
これらの還元剤の使用量としては、例えば上記基材100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、上限として好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、より効率的に六価クロムを還元し、無毒化することができる。
【0028】
(生コンクリートスラッジ水1)
生コンクリート工場では、注文量に対して多めに生産して出荷されなかった残コン、供給先で使用されずに返品される戻りコン及びこれらの溶解処理物;ミキサー車等の設備洗浄により発生する洗浄排水;等のセメントを含む生コンクリートスラッジが発生する。本実施形態の路盤材の製造方法では、このように生コンクリート工場で発生する生コンクリートスラッジを、生コンクリートスラッジ水1として使用することができる。
【0029】
生コンクリートスラッジ1には、通常水、水に溶解する水酸化カルシウム等のカルシウム分、またスラッジの固形分(主に水和生成物、骨材微粒子等(主にシリカ、アルミ、鉄等の金属及びこれら金属の含有物、また炭酸カルシウムである。)を含む。)等が含まれる。そして、生コンクリートスラッジから固形分を除去し、水酸化カルシウム等を含む上澄み水と、スラッジの固形分(主に水和生成物、骨材微粒子等を含む。)を含むスラッジ水とに分けられることがある。この場合は、上澄み水、スラッジ水のいずれも、生コンクリートスラッジ水1として用いることができ、噴霧ノズルを用いる場合は、噴霧ノズルの閉塞を抑制する観点から、上澄み水が好ましい。
【0030】
本実施形態のシステムにおいて用いられる生コンクリートスラッジ水が上記上澄み水、スラッジ水のいずれの場合であっても、生コンクリートスラッジ水中の固形分濃度は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である。
【0031】
生コンクリートスラッジ水1には、既述のようにカルシウム分として水酸化カルシウムが溶解して存在するが、水酸化カルシウムは溶解度が低いことから固形分としても存在する。また、カルシウム分としては、炭酸カルシウム等も含まれており、主に固形分として存在する。このように、本実施形態の製造方法において用いられる生コンクリートスラッジ水1には、固形分として、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム分、また既述のようにスラッジの固形分(主に水和生成物、骨材微粒子等を含む。)等が含まれる。そして、これらの固形分、中でもカルシウム分として含まれる水酸化カルシウムが、既述のように第二の接触工程において二酸化炭素と接触することで炭酸カルシウムとなる。このようにして、路盤材が得られるとともに、二酸化炭素の回収が可能となる。
【0032】
炭酸カルシウムの生成を促進させる観点から、生コンクリートスラッジ水1中の固形分濃度は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.0015質量%以上、更に好ましくは0.002質量%以上である。
また、これと同様の観点から、生コンクリートスラッジ水1中の固形分の粒子径は、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは10μm以下、より更に好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.1μm以下である。
【0033】
本実施形態の製造方法において用いられる生コンクリートスラッジ水1が上記の上澄み水である場合、生コンクリートスラッジ水1に含まれるカルシウム分の濃度は、通常100mg/L以上であり、好ましくは250mg/L以上、より好ましくは500mg/L以上であり、更に好ましくは800mg/L以上である。上限としては高ければ高いほど好ましく、特に制限はないが、通常1500mg/L以下である。
また、生コンクリートスラッジ水1が上記のスラッジ水である場合、生コンクリートスラッジ水に含まれるカルシウム分の濃度は、通常1000mg/L以上であり、好ましくは10000mg/L以上、より好ましくは100000mg/L以上であり、更に好ましくは300000mg/L以上である。上限としては高ければ高いほど好ましく、特に制限はないが、通常3000000mg/L以下である。
【0034】
また、生コンクリートスラッジ水1としては、生コンクリートスラッジ1から得られる上記固形分と、水とを混合した混合物から、当該固形分を除去したものを用いることもできる。上記固形分には、水酸化カルシウム等のカルシウム分、また固形分に主に含まれる水和生成物には、水酸化カルシウム、カルシウムシリケート水和物等のカルシウム分が含まれている。そのため、上記混合物から固形分を除去したものにも、固形分から水に溶け出したカルシウム分が含まれており、生コンクリートスラッジ1からより多くのカルシウム分を炭酸カルシウムとすることが可能となる。
【0035】
(生コンクリートスラッジ水1と基材との接触)
生コンクリートスラッジ水1と基材との接触方法については、これらが接触すれば特に制限はなく、例えば生コンクリートスラッジ水1を基材に噴霧して接触させる方法、生コンクリートスラッジ水1に基材を投入して接触させる方法等が好ましく挙げられる。
【0036】
また、上記生コンクリートスラッジ水1を基材に噴霧して接触させる方法が採用される場合も、噴霧の仕方、噴霧量等によって変わり得るが、基材の表面の少なくとも一部にコンクリートスラッジ水1が被覆(付着)した形態となる。より具体的には、基材の表面の一部に生コンクリートスラッジ水1が被覆(付着)した形態、及び基材の表面の全面に生コンクリートスラッジ水1が被覆(付着)した形態となり得る。
【0037】
生コンクリートスラッジ水1と基材との接触により得られる、生コンクリートスラッジ水1及び基材を含有する含有物は、上記生コンクリートスラッジ水1に基材を投入して接触させる方法が採用される場合は、生コンクリートスラッジ水1の深さと基材の寸法との関係、また投入の仕方によりかわり得るが、上記噴霧した場合と同様に、基材の表面の少なくとも一部に生コンクリートスラッジ水1が被覆(付着)した形態となる。
【0038】
よって、いずれの接触方法によっても、含有物は、基材の表面の少なくとも一部にコンクリートスラッジ水1が被覆(付着)した形態となる。基材の表面とコンクリートスラッジ水1との被覆(付着)は、物理的な被覆(付着)であってもよく、化学的な被覆(付着)であってもよい。
【0039】
噴霧して接触させる場合は、例えば後述する噴霧ノズル等の噴霧に必要な軽微な冶具を用意すれば接触を行うことができること、また噴霧する箇所を任意に決定できるため、作業効率の点で有効である。例えば、
図1には、本実施形態の製造方法の好ましい一態様として、噴霧して接触させることが示されている。本実施形態の製造方法において、生コンクリートスラッジ水1の噴霧は、例えば接触装置(第一接触槽)の一箇所で行ってもよいし、
図1に示されるように、接触装置(第一接触槽)のほか、基材を保管する基材ヤード、搬送車両等を用いた搬送中、ベルトコンベヤを用いて接触装置(第一接触槽)に移動する際に、また反応容器(第二の接触槽)中で行うことができる。
【0040】
基材を生コンクリートスラッジ水1に投入して接触させる方法に比べて、基材の表面の全面にわたって生コンクリートスラッジ水1を被覆(付着)させにくい方法であるとはいえるものの、生コンクリートスラッジ水1を過不足なく基材と接触しやすいという優位性がある。また、使用する水分量を、噴霧する量により調整しやすく、所望に応じた接触を行いやすい点でも優位性がある。
また、基材の表面に微小な粒子(液滴)が集合して被覆(付着)することとなるので、微小な粒子(液滴)に含まれるカルシウム分と二酸化炭素とがより効率的に接触することができる。そのため、上記基材を生コンクリートスラッジ水1に投入して接触させる方法と同程度に、効率的に路盤材を製造することができ、また二酸化炭素を回収することができる。
【0041】
より確実に生コンクリートスラッジ水1と基材とを接触させる場合は、基材を生コンクリートスラッジ水1に投入して接触させる方法が有効である。他方、基材を生コンクリートスラッジ水1に投入して接触させる場合、生コンクリートスラッジ水を貯留し、かつ基材を投入するための槽が必要となり、槽内に基材から重金属が溶出する場合もある。また、接触の程度を上記噴霧に比べて調整しにくいため、所望の路盤材の性状に対応しにくい場合がある。
【0042】
これらを考慮すると、本実施形態の製造方法において、第一の接触工程における接触方法は、その状況に応じて適した方法を採用すればよいが、作業効率、調整のしやすさ等の点を考慮すると、生コンクリートスラッジ水1を基材に噴霧して接触させる方法がより好ましい。
【0043】
生コンクリートスラッジ水1を噴霧する場合、生コンクリートスラッジ水1に含まれる固形分の濃度及び固形分の粒子径、また生コンクリートスラッジ水1が上記の上澄み水である場合の生コンクリートスラッジ水1に含まれるカルシウム分の濃度は、上記範囲内にするとよい。上記範囲内であると、噴霧に使用される冶具(例えば、後述する噴霧ノズル)の閉塞を抑制することができ、より長期的に安定した路盤材の製造が可能となる。また、既述のように、基材の表面に微小な粒子(液滴)として被覆(付着)しやすくなることで、微小な粒子(液滴)に含まれるカルシウム分と二酸化炭素とがより効率的に接触し、より効率的に路盤材を製造することができ、また二酸化炭素を回収することができる。
【0044】
生コンクリートスラッジ水1を噴霧する場合、基材100質量部に対する生コンクリートスラッジ水1の噴霧量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1.0質量部以上であり、上限として好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。生コンクリートスラッジ水1の噴霧量が上記範囲内であると、より効率的に生コンクリートスラッジ水1と基材との接触を行うことができるため、より効率的に路盤材を製造することができ、また二酸化炭素を回収することができる。
【0045】
生コンクリートスラッジ水1は、例えば
図1に示されるように、生コンクリートスラッジ水タンクに貯蔵しておき、必要に応じて噴霧ノズルを介して噴霧による接触を行えばよい。例えば
図1に示されるように、一の生コンクリートスラッジ水タンクを備える生コンクリートスラッジ水の供給設備を有し、複数の噴霧ノズルに供給してもよいし、噴霧ノズルの場所によっては一の噴霧ノズルに一の生コンクリートスラッジ水の供給設備を設けてもよい。また、
図1に示されるように、生コンクリートスラッジ水1及び後述する生コンクリートスラッジ水2が、一の生コンクリートスラッジ水の供給設備より供給されてもよい。
【0046】
生コンクリートスラッジ水1を噴霧する場合、噴霧に使用される冶具としては、生コンクリートスラッジ水1を噴霧できる冶具であれば特に制限なく使用することができ、取り扱い及び入手の容易性等を考慮すると噴霧ノズルを使用することが好ましい。その他、噴霧ノズルの詳細については後述する。
【0047】
〔第二の接触工程〕
本実施形態の路盤材の製造方法は、上記の第一の接触工程で得られた含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触により、前記基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材を得る第二の接触工程を備える。
【0048】
第二の接触工程により得られる基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材は、基材及び炭酸カルシウムを含有していればその形態については特に制限はないが、好ましくは基材の表面の少なくとも一部に炭酸カルシウムが被覆(付着)した形態を有するものである。
既述のように、第一の接触工程で得られる含有物は、好ましくは基材の表面の少なくとも一部に生コンクリートスラッジ水1が付着(被覆)した形態を有するものである。この基材の表面の少なくとも一部に生コンクリートスラッジ水1が被覆(付着)した含有物において、生コンクリートスラッジ水1に含まれるカルシウム分と二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素との反応により、炭酸カルシウムが生成し、路盤材として、好ましくは基材の表面の少なくとも一部に炭酸カルシウムが被覆(付着)したものが得られる。また、生コンクリートスラッジ水には、空気中の二酸化炭素と反応して生成して既に存在している炭酸カルシウムの他、二酸化炭素含有ガスと反応しにくいシリカ、アルミ、鉄等の金属及びこれら金属の化合物等が含まれている。よって、路盤材は、生コンクリートスラッジ水に含まれるこれらの成分も基材の表面に被覆(付着)したものとなる。
【0049】
本実施形態の製造方法においては、このようにして、路盤材が得られるとともに、二酸化炭素は基材の表面の少なくとも一部に付着するカルシウム分との反応に消費され、炭酸カルシウムとして回収される。
【0050】
第二の接触工程における、含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触は、
図1に示されるように、反応容器(第二の接触槽)内で行われることが好ましい。このように第二の接触工程を行うことで、含有物と二酸化炭素との接触がより効率的に生じるため、より効率的に路盤材を製造することができる。
図1においては、反応容器(第二の接触槽)の下部から二酸化炭素が供給され、図示していないが例えば反応容器(第二の接触槽)の上部、及び接触装置(第一接触槽)の上部の少なくとも一方から二酸化炭素を排気すればよい。このように二酸化炭素を供給し、かつ排気することで、含有物と二酸化炭素との接触をより効率的に図ることができる。
【0051】
(二酸化炭素含有ガス)
本実施形態の製造方法で用いられる二酸化炭素含有ガスとしては、二酸化炭素を含有するガスであれば特に制限なく使用することができる。例えば、
図1に示されるように、各種工場設備から排出される排気ガス(「燃焼排ガス」とも称される。)が代表的に挙げられる。
【0052】
これらの二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素の濃度としては、例えば発電所からの燃焼排ガスであれば通常8~15体積%、プレキャストコンクリート(PCa)製品工場、アスファルト工場、焼却炉の燃焼排ガスであれば通常1~30体積%、セメント工場からの燃焼排ガスであれば通常15~30体積%、製鉄所からの排ガスであれば通常20~30体積%、またアスファルト合材工場のアスファルト合材に使用するための骨材の乾燥炉からの排ガスであれば、通常1~10体積%である。本実施形態の製造方法においては、いずれの燃焼排ガスも二酸化炭素含有ガスとして用いることが可能である。
【0053】
上記の中でも、生コンクリートスラッジ水1を使用することを考慮すると、プレキャストコンクリート(PCa)製品工場における焼成工程で排出する燃焼排ガスが好ましい。
本実施形態の製造方法は、後述する本実施形態の製造装置となる、接触装置及び反応容器(
図1における第一の接触槽及び第二の接触槽が該当する。)を、上記の各種工場設備に組み込む形で設置することで、これらの各種工場設備内で実施することが可能となる。
【0054】
二酸化炭素含有ガス(燃焼排ガス)の温度条件については、どこの排気ガスを用いるかに応じてかわり得るため一概にはいえないが、生コンクリートスラッジ水1が供給される箇所における温度として、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上であり、上限として好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下、さらに好ましくは80℃以下、よりさらに好ましくは70℃以下である。
また例えば100kg以上の多量の基材を用いる場合は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上、さらに好ましくは45℃以上、特に好ましくは55℃以上であり、上限として好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。温度条件を上記範囲とすると、より効率的に路盤材が得られる。
【0055】
二酸化炭素含有ガスの供給量は、含有物の処理量、第二の接触工程を行う反応容器の規模等に応じてかわり得るため一概にはいえないが、例えば含有物1tonに対する供給量として、好ましくは3Nm3/h以上、より好ましくは10Nm3/h以上、さらに好ましくは50Nm3/h以上であり、上限として好ましくは2500Nm3/h以下、より好ましくは2000Nm3/h以下、さらに好ましくは1500Nm3/h以下である。
【0056】
〔第三の接触工程〕
本実施形態の路盤材の製造方法は、次いで前記二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触により、炭酸カルシウムを含む反応物を得る第三の接触工程を備える。
【0057】
上記の第二の接触工程で用いられた二酸化炭素含有ガスは、通常最終的に大気に排気されることになるが、大気に排気される前に、第三の接触工程において二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2とを接触させることにより、炭酸カルシウムを含む反応物を得る。第三の接触工程では、二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2とを接触させることにより、炭酸カルシウムを含む反応物が得られる。よって、第三の接触工程では、上記第二の接触工程で二酸化炭素を回収した二酸化炭素含有ガスから、さらに二酸化炭素を回収することが可能となる。
【0058】
第三の接触工程で用いられる生コンクリートスラッジ水2は、上記生コンクリートスラッジ水1と同様の性状を有するものであり、上記生コンクリートスラッジ水1で説明したものと同様のものである。
【0059】
生コンクリートスラッジ水2は、生コンクリートスラッジ水1とは異なる性状を有するものも用いることもできるし、また生コンクリートスラッジ水1と同じものを用いることもできる。生コンクリートスラッジ水1と同じものを用いる場合、例えば
図1に示されるように、上記生コンクリートスラッジ水1及び生コンクリートスラッジ水2は、一の生コンクリートスラッジ水の供給設備から供給する(一の生コンクリートスラッジ水タンクから供給する、ともいえる。)ことができる。
【0060】
(二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触)
二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触の方法については、二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2とが接触する方法であれば特に制限はなく、二酸化炭素含有ガス中に生コンクリートスラッジ水2を噴霧して行うことが好ましい。より具体的には、二酸化炭素含有ガスは、通常煙道を通過して大気に放出されることを考慮すると、上記第二の接触工程で用いられた二酸化炭素含有ガスが通過する煙道内に、生コンクリートスラッジ水2を噴霧して行われることが好ましい。上記第二の接触工程が反応容器内で行われる場合、二酸化炭素含有ガスは反応容器から排出されたガスとなる。
【0061】
二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触を、生コンクリートスラッジ水2を噴霧して行うと、生コンクリートスラッジ水2と二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素とが接触しやすくなり、生コンクリートスラッジ水2中に二酸化炭素を効率的に取り込むことができる。そして、生コンクリートスラッジ水2に含まれるカルシウム分と二酸化炭素とが反応しやすくなるため、炭酸カルシウムを含む反応物の生成が促進し、また二酸化炭素の回収が促進する。
【0062】
生コンクリートスラッジ水2を噴霧する場合、生コンクリートスラッジ水2の煙道への供給量は、煙道を通過する排気ガスの流量、煙道のサイズ等に応じてかわり得るため一概にはいえないが、排気ガス1m3/hに対する供給量として、0.5kg/h以上600kg/h以下であるとよい。より効率的に炭酸カルシウムを含む反応物の生成を促進させる観点から、好ましくは5kg/h以上、より好ましくは10kg/h以上、更に好ましくは20kg/h以上、より更に好ましくは100kg/h以上であり、上限として好ましくは500kg/h以下である。なお、上記供給量は、噴霧ノズルが複数設けられている場合、全ての噴霧ノズルから供給される供給量である。
【0063】
生コンクリートスラッジ水2は、例えば
図1に示されるように、生コンクリートスラッジ水タンクに貯蔵しておき、必要に応じて噴霧ノズルを介して噴霧による接触を行えばよい。既述のように、生コンクリートスラッジ水1と2とは同じ性状を有するものを使用することができるため、生コンクリートスラッジ水1及び2は、
図1に示されるように一の生コンクリートスラッジ水タンクから供給する、すなわち一の生コンクリートスラッジ水タンクを共用して、一の生コンクリートスラッジ水の供給設備より供給することができる。また、第三の接触工程に用いられる噴霧ノズルとして複数の噴霧ノズルを用いる場合、
図1に示されるように、一の生コンクリートスラッジ水タンクを有し、複数の噴霧ノズルに供給してもよいし、噴霧ノズルの場所によっては一の噴霧ノズルに一の生コンクリートスラッジ水の供給設備を設けてもよい。
【0064】
生コンクリートスラッジ水2を噴霧する場合、噴霧に使用される冶具としては、生コンクリートスラッジ水2を噴霧できる冶具であれば特に制限なく使用することができ、取り扱い及び入手の容易性等を考慮すると噴霧ノズルを使用することが好ましい。その他、噴霧ノズルの詳細については後述する。
【0065】
(路盤材)
以上のようにして得られる路盤材は、基材及び炭酸カルシウムを含むものであり、好ましくは基材の表面に炭酸カルシウムが被覆(付着)したものとなる。炭酸カルシウムは、基材の表面の一部に被覆(付着)していてもよいし、全面に被覆(付着)していてもよい。いずれであっても、路盤材として好適に用いることができる。
【0066】
本実施形態の路盤材の製造方法により得られる路盤材は、従来路盤材として用いられる例えば砕石、スラグ、切込砂利、砂等の単一材料の代替品として好適に用いられる。これらの用途に用いる場合、基材に炭酸カルシウムとして固定化された二酸化炭素についてマスバランス認証を受けることで、本実施形態の路盤材の製造方法により得られる路盤材に固定化された二酸化炭素の使用量に応じてカーボンニュートラル化に貢献することが可能となる。
【0067】
(炭酸カルシウムを含む反応物)
本実施形態の路盤材の製造方法において、上記第三の接触工程により炭酸カルシウムを含む反応物が副生成物として得られる。炭酸カルシウムを含む反応物には、二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素と、生コンクリートスラッジ水2に含まれるカルシウム分との反応により生成する炭酸カルシウムが主に含まれる。第三の接触工程で得られる炭酸カルシウムを含む反応物は、例えば後述するように集塵装置を用いて回収することができる。
【0068】
炭酸カルシウムを含む反応物に含まれる炭酸カルシウムの純度は、通常90質量%以上であり、さらには92質量%以上、95質量%以上となる。このように、本実施形態の路盤材の製造方法において、副生成物として得られる炭酸カルシウムを含む反応物は、炭酸カルシウムの純度が極めて高く、高い品質を有する炭酸カルシウムの粉末となる。
【0069】
本実施形態の製造方法により回収される炭酸カルシウムを含む反応物は、セメント用組成物、モルタル、コンクリート、アスファルト等に用いられるフィラー、建材等の用途に好適に利用することができる。
【0070】
本実施形態の製造方法において生成する炭酸カルシウムは、単独で用いることもできるし、他の炭酸カルシウム等のフィラーと混合して用いることもできる。また、上記用途に用いる場合、炭酸カルシウムについてマスバランス認証を受けることで、本実施形態の製造方法により得られる炭酸カルシウムの使用量に応じてカーボンニュートラル化に貢献することが可能となる。
【0071】
生コンクリートスラッジ水には、ナトリウム、硫黄等も含まれるため、炭酸カルシウムを含む反応物には、これらに起因する不純物も含まれ得る。炭酸カルシウムを含む反応物に含まれる不純物の含有量は、通常10質量%以下程度であり、更には8質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下である。不純物の含有量は、このように少ないため、上記用途において使用することに、何らの支障もない。
【0072】
[路盤材の製造装置]
本実施形態の路盤材の製造装置は、
生コンクリートスラッジ水1と基材とを接触させて、前記生コンクリートスラッジ水1及び前記基材を含有する含有物を得る接触装置、
前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触により、前記基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材を得る反応容器、
前記反応容器から排出された前記二酸化炭素含有ガスが通過する煙道、
前記煙道に生コンクリートスラッジ水2を供給する噴霧ノズル、及び
前記煙道における前記二酸化炭素含有ガスと前記生コンクリートスラッジ水2との接触により得られる炭酸カルシウムを含む反応物を回収する集塵装置、
を備える、というものである。
【0073】
〔接触装置〕
接触装置は、生コンクリートスラッジ水1と基材とを接触させることができれば、特に制限なく使用することができ、例えば
図1に示されるような、基材を一時的に貯留する容器と、容器の上部に噴霧ノズルを備えた形式の装置を用いることができる。
【0074】
図1に示される接触装置において、容器部分は、上部の投入口が大きく、下部の排出口が小さい構造を有していることが示されている。このような形状としては、例えば角柱と角錐とを組み合わせた形状、円柱と円錐とを組み合わせた形状が挙げられ、例えばサイロ、ホッパー等の容器を用いるとよい。このような形状を有する接触装置を用いることで、生コンクリートスラッジ水1と基材との接触を効率的に行いやすく、また生コンクリートスラッジ水1及び基材を含む含有物を、より容易に反応容器に供給することができる。
【0075】
(生コンクリートスラッジ水1を噴霧するための噴霧ノズル)
接触装置は、生コンクリートスラッジ水1を基材に噴霧して接触させるため、噴霧ノズルを備えていることが好ましい。
噴霧ノズルにより基材に噴霧される生コンクリートスラッジ水1は、微小な粒子として基材に噴霧され、基材の表面に微小な粒子(液滴)として付着しやすくなることで、微小な粒子(液滴)に含まれるカルシウム分と二酸化炭素とがより効率的に接触し、より効率的に路盤材を製造することができ、また二酸化炭素を回収することができる。
【0076】
噴霧ノズルとしては、生コンクリートスラッジ水1を噴霧できるノズルであれば特に制限なく、噴霧ノズルとして市販されるもの等を使用することが可能である。例えば、生コンクリートスラッジ水1のみを噴霧する一流体ノズル、また必要に応じて空気等の気体とともに生コンクリートスラッジ水1を噴霧する二流体ノズル等の多流体ノズルを用いることができる。更に必要に応じて、超音波を発生させることで噴霧粒子をより細かくさせる機構を有するノズル(「超音波噴霧ノズル」とも称される。)を用いることもできる。
【0077】
噴霧ノズルの噴霧パターンとしては、特に制限なく採用でき、例えばフルコーン、ホローコーン(空円錐)、フラット(扇形)、ソリッド(直進)等が代表的に挙げられる。また、噴霧ノズルの噴霧角度についても、特に制限なく採用でき、好ましくは60°以上、より好ましくは90°以上であり、上限として好ましくは145°以下、より好ましくは140°以下である。
噴霧ノズルとしては、より良好な噴霧状態を確保し、第二の接触工程における二酸化炭素との接触による、カルシウム分と二酸化炭素との反応を促進する観点から、噴霧角度が大きいホローコーン(空円錐)、フラット(扇形)の噴霧パターンを有する噴霧ノズルを用いることが好ましい。
【0078】
噴霧ノズルにおける生コンクリートスラッジ水1の噴霧口の孔径は、噴霧ノズルが有する噴霧口の数、生コンクリートスラッジ水1の供給量等に応じてかわり得るため一概にはいえないが、より良好な噴霧状態を確保する観点から、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは1.0mm以上であり、上限として好ましくは10mm以下、より好ましくは5.0mm以下、より更に好ましくは3.0mm以下である。
【0079】
噴霧ノズルより噴霧される、生コンクリートスラッジ水1の噴霧粒子は、カルシウム分と二酸化炭素との反応を促進する観点から、細かければ細かいほど好ましい。噴霧粒子の粒子径としては、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、更に好ましくは100μm以下、より更に好ましくは50μm以下である。
【0080】
本実施形態の製造方法において、噴霧ノズルの設置数は、噴霧ノズルの大きさ、噴霧ノズルが有する噴霧口の孔径及び数、並びに生コンクリートスラッジ水1の供給量等に応じてかわり得るため一概にはいえないが、
図1に示されるように、生コンクリートスラッジ水1と基材との第一の接触工程を行う接触装置(第一の接触槽)の上部に少なくとも1つの噴霧ノズルを有することが好ましい。すなわち、接触装置(第一の接触槽)の上部には、1つの噴霧ノズルを有していてもよいし、必要に応じて2以上の噴霧ノズルを有していてもよい。
【0081】
図1に示されるように、噴霧ノズルは、接触装置(第一の接触槽)だけでなく、他の箇所に設けられていてもよい。例えば、基材を破砕施設で破砕した後、破砕後の基材を移送ベルトコンベアにより基材ヤードに移動する際のベルトコンベア上、基材ヤード(基材の出荷基地)から製造装置サイト(サイト内の輸送ベルトコンベア)までの搬送中(例えば搬送車両内)、製造装置サイト内の基材を接触装置(第一の接触槽)に輸送する際のベルトコンベア上、等に設けることができる。
【0082】
また、生コンクリートスラッジ水1と基材との接触を目的としない箇所、例えば
図1に示されるように、各種工場設備から二酸化炭素含有ガスを供給する際の供給ライン(反応容器(第二の接触槽)への供給口の直前)、反応容器(第二の接触槽)内に設けることもできる。
【0083】
(その他冶具)
接触装置は、その他冶具として、例えば接触装置の下部には、基材を接触装置にとどめて、生コンクリートスラッジ水1との接触時間を確保するため、例えばナイフゲート等の仕切り冶具を備えていることが好ましい。
また、生コンクリートスラッジ水1及び基材を含有する含有物を、定量的に反応容器に供給するため、ロータリーバルブ等の定量供給バルブを備えていることが好ましい。
【0084】
〔反応容器〕
反応容器は、上記接触装置で得られた含有物と、二酸化炭素含有ガスとを接触させることができれば、特に制限なく使用することができる。例えば、
図1に示されるように、上記接触装置の容器部分と同様の構造、すなわち上部の投入口が大きく、下部の排出口が小さい構造を有する容器を用いるとよい。
【0085】
また、二酸化炭素含有ガスの供給口及び排出口を有していることが好ましく、供給口は
図1に示されるように反応容器の下部に設けられていることが好ましい。また排出口は反応容器の上部に設けられていることが好ましい。このように設けられていることで、含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触を効率的に行いやすくなる。
【0086】
〔煙道〕
煙道は、二酸化炭素含有ガスを通過させるものである。煙道は、通常発電所、セメント工場、プレキャストコンクリート(PCa)製品工場、アスファルト工場、製鉄所、焼却炉、その他工場設備、これら各種設備に備えられるボイラー等から排出される排気ガスを煙突までに導くための配管、ダクトのことを意味するものである。
【0087】
煙道は、工場設備から排出される排気ガスをそのまま煙突に導くための配管だけでなく、
図1に示されるように、煙突から排気ガス(二酸化炭素含有ガス)を抽気して反応容器を通過した後の、反応容器から集塵装置まで、さらに集塵装置を通過した後、工場設備から排出される排気ガスの配管まで、も煙道に該当する。よって、煙道に後述する噴霧ノズルを設ける場合、工場設備から排出される排気ガスをそのまま煙突に導くための配管だけでなく、煙突から排気ガス(二酸化炭素含有ガス)を抽気して反応容器を通過した後の、反応容器から集塵装置まで、さらに集塵装置を通過した後、工場設備から排出される排気ガスの配管までの配管に、噴霧ノズルを設けることができる。
【0088】
煙道は、二酸化炭素を含む排気ガスを通過させ得るものであれば特に制限はなく、新設したものであってもよいし、また設備費用の低減を考慮すると、発電所、セメント工場、プレキャストコンクリート(PCa)製品工場、アスファルト工場、製鉄所、焼却炉、その他工場設備、これら各種設備に備えられるボイラー等から排出される排気ガスを排気させるために設置される既設の煙道であってもよい。本実施形態の製造装置が生コンクリートスラッジ水を用いることを考慮すると、煙道としては、プレキャストコンクリート(PCa)製品工場において排気ガスを排気させるために設置される既設の煙道を用いることが好ましい。よって、本実施形態の製造装置は、プレキャストコンクリート(PCa)製品工場に組み込まれる形で存在することが好ましい。
【0089】
〔生コンクリートスラッジ水2を供給するための噴霧ノズル〕
本実施形態の製造装置は、第三の接触工程における生コンクリートスラッジ水2を供給するために、噴霧ノズルを備える。生コンクリートスラッジ水2は、既述のように生コンクリートスラッジ水1と同じものを使用することが可能である。そのため、生コンクリートスラッジ水2の供給に用いられる噴霧ノズルとしては、上記生コンクリートスラッジ水1の供給に用いられる噴霧ノズルとして説明したものを用いることができる。
【0090】
噴霧ノズルの設置数は、噴霧ノズルの大きさ、噴霧ノズルが有する噴霧口の孔径及び数、生コンクリートスラッジ水2の供給量、並びに煙道の寸法等に応じてかわり得るため一概にはいえないが、1以上であればよく、上限としては通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下である。
【0091】
噴霧ノズルは、生コンクリートスラッジ水2を煙道に供給できれば、その設置箇所には特に制限はないが、
図1に示されるように、煙道に直接設けられることが好ましい。この場合、噴霧ノズルの設置箇所は、煙道の垂直方向の断面が円形である場合、当該円形の上半分の半円周上(最上点を0°とした場合の±90°以内)に設けられていることが好ましく、より好ましくは±60°以内、更に好ましくは±30°以内、より更に好ましくは±15°以内であり、特に好ましくは最上点である。また、煙道が角型ダクトの場合も、上記円形配管(又はダクト)の場合に準ずるものとする。
噴霧ノズルを複数設ける場合、複数の噴霧ノズルは、上記同一断面の円形上に設けられていてもよいし、例えば上記最上点に排気ガスの流れる方向に向かって順々に設けられていてもよい。
【0092】
〔集塵装置〕
本実施形態の製造装置は、煙道における二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触により得られる炭酸カルシウムを含む反応物を回収する集塵装置を備える。
集塵装置としては、乾式電気集塵装置、湿式電気集塵装置等の電気集塵装置、またろ過集塵装置(バグフィルター)等の各種集塵装置を用いることが可能である。本実施形態のシステムにおいては、電気消費量を低減すること、また取扱いが容易であること等を考慮すると、ろ過集塵装置(バグフィルター)が好ましい。
【0093】
集塵装置は、煙道における二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触(第三の接触工程)により生成する炭酸カルシウムを含む反応物を回収できる箇所に設けられていればよく、例えば
図1に示されるように、反応容器から排出された排気ガス(二酸化炭素含有ガス)が、工場設備から排出される排気ガスの配管に合流する前に設けられていてもよいし、また例えば反応容器から排出された排気ガス(二酸化炭素含有ガス)が、工場設備から排出される排気ガスの配管に合流した合流箇所から、煙突までに設けられていてもよい。後者の場合であって、噴霧ノズルを使用する場合、噴霧ノズルは合流前の煙道に設けられていてもよいし、合流後であって集塵装置の上流に設けられていてもよい。集塵装置の規模をより小さくする観点から、
図1に示されるように、合流前に設けられていることが好ましい。
【0094】
集塵装置は、
図1に示されるように、第三の接触工程により生成する炭酸カルシウムを含む反応物を回収するために設けられる、すなわち工場設備から排出される排気ガスのための集塵装置(
図1中の「工場設備内集塵装置」が該当する。)とは別個に設けられていてもよいし、また上記の後者の場合のように、工場設備に設けられる集塵装置と兼用してもよい。より品質の高い反応物(炭酸カルシウム)を得る観点から、
図1に示されるように、工場設備から排出される排気ガスのための集塵装置(工場設備内集塵装置)とは別個に設けられていることが好ましい。
【0095】
ろ過集塵装置(バグフィルター)に用いられるフィルターとしては、特に制限なく用いることが可能であり、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、木綿、羊毛、耐熱ナイロン、ガラス繊維、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の素材により構成されるフィルターが挙げられ、また静電フィルターのような機能付きフィルターを用いることもできる。
バグフィルターは、払い落し手段を有していてもよく、例えば脈動逆圧方式、パルスジェット方式による手段が好ましく挙げられ、中でもパルスジェット方式による手段が好ましい。
【0096】
〔その他装置〕
本実施形態の製造装置は、上記接触装置、反応容器、煙道、生コンクリートスラッジ水2を供給する噴霧ノズル及び集塵装置を備えるものであり、必要に応じてその他装置及び設備等を備えていてもよい。
【0097】
(生コンクリートスラッジ水の供給設備)
例えば
図1に示されるように、生コンクリートスラッジ水を貯蔵するための生コンクリートスラッジ水タンクを有するコンクリートスラッジ水の供給設備を備えることができる。生コンクリートスラッジ水を備えることで、一度生コンクリートスラッジ水を貯留してから、第一の接触工程で必要量に応じて供給することができるため、本実施形態の製造装置の稼働の安定性が向上する。
【0098】
生コンクリートスラッジ水タンクに、一時的に生コンクリートスラッジ水を貯蔵することで、必要量の変動に対応しやすくなるだけでなく、噴霧ノズルを用いた場合は、噴霧ノズルから一定量の噴霧がしやすくなる。そのため、生コンクリートスラッジ水と基材との接触が安定することで、含有物の均質化を図りやすくなり、路盤材の均質化を図りやすくなる。
【0099】
生コンクリートスラッジ水タンクは、スラッジ水を貯蔵できれば特に制限なく採用可能であり、例えば地上貯蔵タンク、地下貯蔵タンク等のように地上、地下のいずれに設けられるものであってもよく、固定屋根式、浮き屋根式と称される各種屋根式貯蔵タンク、また横置円筒形、縦置円筒形のような横置、縦置の貯蔵タンク等から選択して用いればよい。
また、生コンクリートスラッジ水タンクは、新設であってもよいし、既設のタンクを流用してもよい。
【0100】
生コンクリートスラッジ水タンクは、撹拌機を備えるものであることが好ましい。撹拌機を備えることで、生コンクリートスラッジ水には固形分が含まれる場合があるため、固形分の凝固を抑制することができる。
また、生コンクリートスラッジ水タンクは、固形分の凝固の抑制のため、遅延剤の供給冶具を備えていてもよい。遅延剤の供給冶具の形式等は特に制限なく、薬剤定量供給装置等の装置を採用すればよい。遅延剤としては、固形分の凝固を抑制しえる剤であれば特に制限なく採用可能であり、例えばグルコン酸塩、クエン酸及びその塩、酒石酸及びその塩等が挙げられる。
【0101】
また、生コンクリートスラッジ水タンクにはレベル計、当該レベル計により生コンクリートスラッジ水タンクに供給する生コンクリートスラッジ水の供給量を調節する調節弁等の各種計装品が備えられていてもよい。
【0102】
生コンクリートスラッジ水の供給設備は、上記生コンクリートスラッジ水タンクの他、例えば流量計、流量調節弁等の計装器を備えていてもよい。生コンクリートスラッジ水の供給先が複数存在する場合は、各供給先に計装器を備えていてもよい。
【0103】
生コンクリートスラッジ水の供給設備は、少なくとも生コンクリートスラッジ水タンクを有しており、好ましくは上記各種計装品、また噴霧ノズル等の供給先への配管を有するものである。既述のように、例えば噴霧ノズルを複数有する場合、一の生コンクリートスラッジ水の供給設備により複数の噴霧ノズルに生コンクリートスラッジ水に供給してもよいし、一の噴霧ノズルごとに生コンクリートスラッジ水を供給する、すなわち複数の生コンクリートスラッジ水の供給設備が備えられていてもよい。
【0104】
また、生コンクリートスラッジ水としては、生コンクリートスラッジ水1及び2が用いられるが、生コンクリートスラッジ水1及び2の各々について生コンクリートスラッジ水の供給設備が備えられていてもよいし、生コンクリートスラッジ水1及び2に対して一の生コンクリートスラッジ水の供給設備が設けられていてもよい。
【0105】
(基材の受け入れ及び搬送設備)
本実施形態の製造装置は、
図1に示されるように、必要に応じて受け入れた基材を破砕する破砕施設、搬送車両に基材を積み込むために一時的に基材を保管する基材ヤード、また破砕施設から基材ヤードに移送するための移送ベルトコンベア、基材ヤードから接触装置に輸送するための輸送ベルトコンベア等の各種ベルトコンベアを備えていてもよい。
これらの施設、ベルトコンベア等の形式については、公知の形式から適宜選択すればよい。また、
図1には好ましい一態様が示されているのであり、これらの施設、ベルトコンベア、搬送車両等は必要に応じて採用されることはいうまでもないことである。
【0106】
[二酸化炭素の回収方法]
本実施形態の二酸化炭素の回収方法は、
生コンクリートスラッジ水1と基材との接触により、前記生コンクリートスラッジ水1及び前記基材を含有する含有物を得る第一の接触工程、
前記含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触により、前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を反応させて炭酸カルシウムを含む反応物を得る第二の接触工程、
次いで前記二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触により、前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を反応させて炭酸カルシウムを含む反応物を得る第三の接触工程、及び
前記第三の接触工程で得られた前記炭酸カルシウムを含む反応物を集塵装置で回収する回収工程、
を含む、というものである。
【0107】
上記の本実施形態の路盤材の製造方法によれば、既述のように路盤材を製造できるだけでなく、二酸化炭素を回収することも可能となる。本実施形態の二酸化炭素の回収方法は、これに着目したものである。
【0108】
第一の接触工程、第二の接触工程、第三の接触工程、またこれらの接触工程で接触の対象となる、生コンクリートスラッジ水、基材、二酸化炭素含有ガス等については、上記路盤材の製造方法において説明したものと同じである。接触に際しての各種条件についても、上記路盤材の製造方法において説明したものと同じである。
また、回収工程における集塵装置、炭酸カルシウムを含む反応物についても、上記路盤材の製造方法において説明したものと同じである。
【実施例0109】
次に実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら制限されるものではない。
【0110】
(実施例1)
図1に示される構成を有する路盤材の製造装置における接触装置(第一の接触槽)、反応容器(第二の接触槽)、煙道、集塵装置及び煙突を用いた。
基材として砕石(粒径:13mm以下(13mm篩処理品))を用い、砕石を接触装置(第一の接触槽)の上部から1000gを投入し、次いで、生コンクリートスラッジ水1(カルシウム濃度:900質量ppm、固形分濃度:3質量%)15gを、噴霧ノズル(ノズル孔径:0.05mmφ)を介して噴霧しながら供給し、生コンクリートスラッジ水1と砕石との接触(第一の接触工程)を行い、生コンクリートスラッジ水1及び砕石を含む含有物を得た。得られた含有物を、反応容器(第二の接触槽)に供給し、次いで、25℃の二酸化炭素含有ガス(二酸化炭素濃度:3容量%)を0.03m
3/hの流量で供給し、含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触(第二の接触工程)を25℃の温度条件で行い、基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材を得た。
第二の接触工程で路盤材の製造にあたり、消費された二酸化炭素の量を二酸化炭素回収量として算出したところ、0.3kg-CO
2/t-基材となった。二酸化炭素回収量は、排ガス流量(m
3/s)×供給時間(s)×(反応容器入口の二酸化炭素濃度-反応容器出口の二酸化炭素濃度)×二酸化炭素の比重(kg/m
3)/基材の質量(ton)により算出した。
【0111】
第二の接触工程のあと、二酸化炭素含有ガスが通過する煙道(直径:100mm、流速:0.24m3/h、25℃)に、噴霧ノズル(ノズル孔径:0.5mmφ)を介して生コンクリートスラッジ水2(カルシウム濃度:900質量ppm、固形分濃度:22質量ppm、固形分粒子径:1~10μm)を88g/分(5.3kg/h)の流量で噴霧しながら供給し(噴霧粒子径:10~50μm)、二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触(第三の接触工程)を行った。集塵装置(バグフィルター)で回収された粉末を分析したところ、炭酸カルシウムの粉末(純度:96%)であることが確認された。以上の測定結果、また実施例における諸条件を、第1表に示す。
【0112】
(比較例1)
実施例1において、生コンクリートスラッジ水1及び2を使用せず、水を用いた以外は実施例1と同様にした。第二の接触工程で得られたものについて、実施例1と同様にして消費された二酸化炭素の量を二酸化炭素回収量として算出したところ、0.1kg-CO2/t-基材以下となった。また、炭酸カルシウムの粉末は得られなかった。以上の測定結果、また実施例における諸条件を、第1表に示す。
【0113】
(実施例2)
実施例1において、砕石を再生砕石(粒径:40mm以下(40mm篩処理品))とし、生コンクリートスラッジ水1の使用量を61.7gとした以外は、実施例1と同様にして路盤材を得た。
二酸化炭素回収量は、3.3kg-CO2/t-基材となり、集塵装置(バグフィルター)で回収された粉末を分析したところ、炭酸カルシウムの粉末(純度:96%)であることが確認された。以上の測定結果、また実施例における諸条件を、第1表に示す。
【0114】
(比較例2)
実施例2において、生コンクリートスラッジ水1及び2を使用せず、水を用いた以外は実施例2と同様にした。第二の接触工程で得られたものについて、実施例2と同様にして消費された二酸化炭素の量を二酸化炭素回収量として算出したところ、2.6kg-CO2/t-基材となった。また、炭酸カルシウムの粉末は得られなかった。以上の測定結果、また実施例における諸条件を、第1表に示す。
【0115】
(実施例3)
実施例1において、砕石を砕砂(粒径:2.85mm以下)とし、生コンクリートスラッジ水1の使用量を15gとし、生コンクリートスラッジ水2を2g/分(0.12kg/h)の流量で噴霧しながら供給した以外は、実施例1と同様にして路盤材を得た。
二酸化炭素回収量は、0.5kg-CO2/t-基材となり、集塵装置(バグフィルター)で回収された粉末を分析したところ、炭酸カルシウムの粉末(純度:93%)であることが確認された。以上の測定結果、また実施例における諸条件を、第1表に示す。
【0116】
(比較例3)
実施例3において、生コンクリートスラッジ水1及び2を使用せず、水を用いた以外は実施例3と同様にした。第二の接触工程で得られたものについて、実施例3と同様にして消費された二酸化炭素の量を二酸化炭素回収量として算出したところ、0.1kg-CO2/t-基材以下となった。また、炭酸カルシウムの粉末は得られなかった。以上の測定結果、また実施例における諸条件を、第1表に示す。
【0117】
(実施例4)
実施例1において、砕石を再生骨材(粒径:40mm以下)とし、生コンクリートスラッジ水1の使用量を15gとし、生コンクリートスラッジ水2を20g/分(1.2kg/h)の流量で噴霧しながら供給した以外は、実施例1と同様にして路盤材を得た。
二酸化炭素回収量は、0.3kg-CO2/t-基材となり、集塵装置(バグフィルター)で回収された粉末を分析したところ、炭酸カルシウムの粉末(純度:94%)であることが確認された。以上の測定結果、また実施例における諸条件を、第1表に示す。
【0118】
(比較例4)
実施例4において、生コンクリートスラッジ水1及び2を使用せず、水を用いた以外は実施例4と同様にした。第二の接触工程で得られたものについて、実施例4と同様にして消費された二酸化炭素の量を二酸化炭素回収量として算出したところ、0.1kg-CO2/t-基材以下となった。また、炭酸カルシウムの粉末は得られなかった。以上の測定結果、また実施例における諸条件を、第1表に示す。
【0119】
【0120】
実施例1~4の結果から、本実施形態の路盤材の製造方法によれば、効率的に基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材が得られることが確認された。
実施例1と比較例1との対比より、第一の接触工程において生コンクリートスラッジ水1を用いることで、二酸化炭素の回収量は3倍以上となる、すなわち3倍以上の炭酸カルシウムが基材の表面に被覆(付着)する路盤剤が得られることが分かる。また、実施例2と比較例2との対比から、二酸化炭素の回収量は27%向上する、すなわち1.27倍の炭酸カルシウムが基材の表面に被覆(付着)する路盤剤が得られることが分かる。また、実施例3と比較例3、及び実施例4と比較例4とによっても、各々5倍以上及び3倍以上の炭酸カルシウムが基材の表面に被覆(付着)する路盤材が得られることが分かる。
【0121】
また、第三の接触工程により得られる炭酸カルシウムを含む反応物は、炭酸カルシウムの純度が93~96%であり、高い品質を有する炭酸カルシウムの粉末であることが確認された。他方、生コンクリートスラッジ水2を使用しなかった比較例では、炭酸カルシウムを含む反応物は得られなかった。なお、第三の接触工程で用いられる二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度は、第二の接触工程で二酸化炭素の一部が消費されているため、3容量%以下となっている。
【0122】
以上、本実施形態の路盤材の製造方法によれば、砕石、再生砕石といった多種多様な材料に適用し得る高い汎用性を有し、第一の接触工程~第三の接触工程の接触という容易な作業により路盤材を製造し得ること、また二酸化炭素の回収も行い得ること、が確認された。さらに、品質の高い炭酸カルシウムが得られると同時に、炭酸カルシウムを得るにあたり二酸化炭素の回収を行い得ることも確認された。
よって、本実施形態の路盤材の製造方法は、第一及び第二の接触工程だけでなく、さらに第三の接触工程を含むことで、二酸化炭素を効率的に回収することができるため、そのまま二酸化炭素の回収方法としても好適に用いられることが確認された。
【0123】
(実施例5~8)
実施例1において、二酸化炭素含有ガスを第2表に示される条件にかえて、第三の接触工程のみを行った。実施例5~8により得られた炭酸カルシウムを含む反応物の測定結果を、第2表に示す。
【0124】
【表2】
*、生コンクリートスラッジ水2の供給量は、第三の接触工程における二酸化炭素含有ガス1m
3/hに対する生コンクリートスラッジ水2の供給量である。
【0125】
実施例5~8の結果によれば、上記条件の範囲内とすれば、炭酸カルシウム純度は91%以上といずれも極めて高く、高い品質を有する炭酸カルシウムの粉末が得られることが確認された。また、生コンクリートスラッジ水2の供給量を多くすると、炭酸カルシウムの純度が向上する傾向にあることが確認された。
【0126】
(実施例9)
図1に示される構成を有する路盤材の製造装置における接触装置(第一の接触槽)及び反応容器(第二の接触槽)を用いた。
基材として再生砕石(粒径:40mm以下)を用い、再生砕石を接触装置(第一の接触槽)の上部から1000kgを投入し、次いで、生コンクリートスラッジ水1(カルシウム濃度:900質量ppm、固形分濃度:3質量%)10kgを、噴霧ノズル(ノズル孔径:0.5mmφ)を介して噴霧しながら供給し、生コンクリートスラッジ水1と砕石との接触(第一の接触工程)を行い、生コンクリートスラッジ水1及び砕石を含む含有物を得た。得られた含有物を、反応容器(第二の接触槽)に供給し、次いで、60℃の二酸化炭素含有ガス(二酸化炭素濃度:3容量%)を300m
3/hの流量で供給し、含有物と二酸化炭素含有ガスとの接触(第二の接触工程)を60℃の温度条件で行い、基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材を得た。
第二の接触工程で路盤材の製造にあたり、消費された二酸化炭素の量を二酸化炭素回収量として算出したところ、5.1kg-CO
2/t-基材となった。
【0127】
第二の接触工程のあと、二酸化炭素含有ガスが通過する煙道(直径:100mm、流速:270m3/h、40℃)に、噴霧ノズル(ノズル孔径:0.5mmφ)を介して生コンクリートスラッジ水2(カルシウム濃度:900質量ppm、固形分濃度:22質量ppm、固形分粒子径:1~10μm)を13500kg/hの流量で噴霧しながら供給し(噴霧粒子径:10~50μm)、二酸化炭素含有ガスと生コンクリートスラッジ水2との接触(第三の接触工程)を行った。集塵装置(バグフィルター)で回収された粉末を分析したところ、炭酸カルシウムの粉末(純度:92%)であることが確認された。以上の測定結果、また実施例における諸条件を、第3表に示す。
【0128】
(実施例10~12)
実施例9において、二酸化炭素含有ガスの供給量及び温度を第3表に示される条件とした以外は、実施例9と同様にした。第二の接触工程で得られたものについて、実施例9と同様にして消費された二酸化炭素の量を二酸化炭素回収量として算出した結果を、第3表に示す。また、集塵装置(バグフィルター)で回収された粉末を分析したところ、炭酸カルシウムの粉末であることが確認された。炭酸カルシウム粉末の純度、また実施例における諸条件を、第3表に示す。
【0129】
【0130】
実施例1~4に比べて、1000倍量の基材を用いる実施例9~12によっても、本実施形態の路盤材の製造方法によれば、効率的に基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材が得られることが確認された。
【0131】
(実施例13及び14)
実施例9において、二酸化炭素含有ガスの供給量及び温度を第4表に示される条件とし、第二の接触工程までを行った以外は、実施例9と同様にした。実施例9と同様にして消費された二酸化炭素の量を二酸化炭素回収量として算出した結果を、第4表に示す。
【0132】
【0133】
実施例13及び14の結果から、実施例1~4に比べて、1000倍量の基材を用いる実施例13及び14によっても、本実施形態の路盤材の製造方法によれば、効率的に基材及び炭酸カルシウムを含有する路盤材が得られることが確認された。また、二酸化炭素含有ガスの温度を、実施例9~12よりも低い温度としていても、これらの実施例と同程度の純度の炭酸カルシウムが得られることも確認された。