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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158793
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】前駆体用バブリング容器
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/448 20060101AFI20241031BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20241031BHJP
   B01D 45/08 20060101ALI20241031BHJP
   B01D 45/06 20060101ALI20241031BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C23C16/448
C23C16/44 J
B01D45/08
B01D45/06
H01L21/31 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074321
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】幸田 祥人
(72)【発明者】
【氏名】村田 逸人
(72)【発明者】
【氏名】和田 吉史
(72)【発明者】
【氏名】亀岡 崇史
【テーマコード(参考)】
4D031
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4D031AB02
4D031AB11
4D031AB23
4D031BA01
4D031DA01
4D031EA01
4K030BA01
4K030BA40
4K030BA44
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA01
4K030JA03
4K030JA04
4K030JA05
4K030KA46
4K030LA02
4K030LA15
5F045AA05
5F045AA15
5F045EE03
(57)【要約】
【課題】薄膜形成に必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供する。
【解決手段】薄膜形成プロセスに必要な前駆体を供給する前駆体バブリング容器であって、前駆体を収容する収容部と、前記収容部にキャリアガスを導入し、収容部内にある前駆体の中でキャリアガスをバブリングさせるキャリアガス導入ラインと、前記収容部内で前記前駆体の蒸気を導出する前駆体導出ラインと、前記前駆体導出ライン上に配置される前駆体とキャリアガスの混合ガス中に含まれるミスト成分を除去するためのフィルタと、フィルタの閉塞を防止するための構成とを備える、前駆体用バブリング容器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体を収容する収容部と、
外部から前記収容部内にキャリアガスを導入し、前記収容部内にある前記前駆体の中で前記キャリアガスをバブリングさせるキャリアガス導入ラインと、
前記収容部内で発生した前記前駆体の蒸気を外部へ導出する前駆体導出ラインと、
前記前駆体導出ライン上に配置される、前記前駆体の蒸気と前記キャリアガスの混合ガス中に含まれるミスト成分を除去するためのフィルタと、
を有する前駆体用バブリング容器であり、
前記前駆体導出ラインの前記収容部内にある先端側には屈曲した屈曲部が設けられており、
前記前駆体導出ラインの先端の導出口から前記屈曲部へ向かう軸線と、前記前駆体導出ラインの前記屈曲部から後端へ向かう軸線とがなすエルボ角Θが90°≦Θ≦120°であり、
前記収容部を上方から見下ろして、前記キャリアガス導入ラインの先端の吹込み口と、前記前駆体導出ラインの前記屈曲部とを結ぶ仮想の直線と、前記前駆体導出ラインの先端の前記導出口から前記屈曲部へ向かう軸線とのなす角Θが、前記吹込み口が前記導出口の真反対にあるときを0°としたとき、0°≦Θ≦±45°である、前駆体用バブリング容器。
【請求項2】
前駆体を収容する収容部と、
外部から前記収容部内にキャリアガスを導入し、前記収容部内にある前記前駆体の中で前記キャリアガスをバブリングさせるキャリアガス導入ラインと、
前記収容部内で発生した前記前駆体の蒸気を外部へ導出する前駆体導出ラインと、
前記前駆体導出ライン上に配置される、前記前駆体の蒸気と前記キャリアガスの混合ガス中に含まれるミスト成分を除去するためのフィルタと、
を有する前駆体用バブリング容器であり、
前記収容部内に液状の前記前駆体が収容されており、
前記前駆体の液面から前記前駆体導出ラインの先端の導出口までの鉛直方向の距離L(単位:mm)が、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(単位:Standard Litter Min)とした場合に計算式:5x+10で与えられる値以上である、前駆体用バブリング容器。
【請求項3】
前駆体を収容する収容部と、
外部から前記収容部内にキャリアガスを導入し、前記収容部内にある前記前駆体の中で前記キャリアガスをバブリングさせるキャリアガス導入ラインと、
前記収容部内で発生した前記前駆体の蒸気を外部へ導出する前駆体導出ラインと、
前記前駆体導出ライン上に配置される、前記前駆体の蒸気と前記キャリアガスの混合ガス中に含まれるミスト成分を除去するためのフィルタと、
を有する前駆体用バブリング容器であり、
前記収容部内に液状の前記前駆体が収容されており、
前記前駆体の液面と前記前駆体導出ラインの先端の導出口との間に、
開口率10~60%の多孔プレートを有する、前駆体用バブリング容器。
【請求項4】
前駆体を収容する収容部と、
外部から前記収容部内にキャリアガスを導入し、前記収容部内にある前記前駆体の中で前記キャリアガスをバブリングさせるキャリアガス導入ラインと、
前記収容部内で発生した前記前駆体の蒸気を外部へ導出する前駆体導出ラインと、
前記前駆体導出ライン上に配置される、前記前駆体の蒸気と前記キャリアガスの混合ガス中に含まれるミスト成分を除去するためのフィルタと、
を有する前駆体用バブリング容器であり、
次の構成1、2、3のうち2つ以上の構成を有する、前駆体用バブリング容器。
(構成1)
前記前駆体導出ラインの前記収容部内にある先端側には屈曲した屈曲部が設けられており、前記前駆体導出ラインの先端の導出口から前記屈曲部へ向かう軸線と、前記前駆体導出ラインの前記屈曲部から後端へ向かう軸線とがなすエルボ角Θが90°≦Θ≦120°であり、
前記収容部を上方から見下ろして、前記キャリアガス導入ラインの先端の吹込み口と、前記前駆体導出ラインの前記屈曲部とを結ぶ仮想の直線と、前記前駆体導出ラインの先端の前記導出口から前記屈曲部へ向かう軸線とのなす角Θが、前記吹込み口が前記導出口の真反対にあるときを0°としたとき、0°≦Θ≦±45°である。
(構成2)
前記収容部内に液状の前記前駆体が収容されており、前記前駆体の液面から前記前駆体導出ラインの先端の導出口までの鉛直方向の距離L(単位:mm)が、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(単位:Standard Litter Min)とした場合に計算式:5x+10で与えられる値以上である。
(構成3)
前記収容部内に液状の前記前駆体が収容されており、前記前駆体の液面と前記前駆体導出ラインの先端の導出口との間に、開口率10~60%の多孔プレートを有する。
【請求項5】
前記フィルタの材質が金属あるいは樹脂である、請求項1~4のいずれか一項に記載の前駆体用バブリング容器。
【請求項6】
前記キャリアガス導入ラインの先端に、さらにスパージャーが設置されている、請求項4に記載の前駆体用バブリング容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前駆体用バブリング容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業では化学気相堆積(CVD)及び原子層堆積(ALD)などによる薄膜形成プロセスにおいて、液体または固体の形態で提供される多様な化学物質(前駆体)を使用している。例えば、前駆体材料としては、バリア層、高誘電率/低誘電率絶縁膜、金属電極膜、相互接続層、強誘電性層、窒化珪素層又は酸化珪素層用の構成成分が挙げられる。また、成膜プロセスに加えて、化合物半導体用のドーパントとして働く構成成分や、エッチング材料が挙げられ得る。例示的な前駆体材料としては、アルミニウム、バリウム、ビスマス、クロム、コバルト、銅、金、ハフニウム、インジウム、イリジウム、鉄、ランタン、鉛、マグネシウム、モリブデン、ニッケル、ニオブ、白金、ルテニウム、銀、ストロンチウム、タンタル、チタン、タングステン、イットリウム及びジルコニウム等の無機化合物及び有機金属化合物が挙げられる。
【0003】
これらの前駆体の多くは常温で液体または固体である。前駆体が低い蒸気圧を有する場合は、容器から半導体製造装置へ蒸気を運ぶためにキャリアガスがしばしば使用される。キャリアガスが使用される際、典型的には2つのタイプの容器が用いられる。1つ目のタイプは前駆体に沈めたチューブからキャリアガスを導入するバブリング容器であり、2つ目のタイプは容器の気相スペースをキャリアガスが通り抜けるクロスフロー容器である。後者のクロスフロー容器ではプロセスにおいて必要とされる濃度で前駆体を供給できないため、高濃度で供給する場合は前者のバブリング容器が多く使用される。
【0004】
上記のような背景下、従来、バブリングによる供給方法を用いる際、バブリング装置の排出口の間に位置するバッフルディスクによりミストを除去する容器(例えば特許文献1)や容器の蓋を加工して、複雑な流路を通過させることでミストを除去する容器(例えば特許文献2)、容器を細長い円筒形状にして、容器外にフィルタを設置することでミストを除去する容器(例えば特許文献3)、出口ポートの向きを調整することでミストを除去する容器(例えば特許文献4)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-150709号公報
【特許文献2】特表2020-516775号公報
【特許文献3】特開2011-194313号公報
【特許文献4】特表2020-509239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バブリングによる供給方法を用いると高濃度の前駆体を供給できる一方、バブリングによって発生する気泡がはじける際に大量のミスト(気化していない前駆体)の飛散を伴う。生じたミストが半導体製造装置内に入り込み、ウエハを汚染することによる歩留まりの低下に起因する生産効率の低下や、配管を開放する作業の際に、半導体製造装置までの配管に付着したミスト由来の有害な前駆体を人が吸引する危険性がある。そのため、特許文献3に記載されたような、ミストの混入を防止するためにフィルタを設置する必要がある。
【0007】
また、膜質や成膜速度などを安定させるためには、前駆体の蒸気を一定の濃度、一定の流量で半導体製造装置に供給する必要がある。蒸気の濃度や流量は、前駆体が気化または昇華する容器内の圧力に依存するため、圧力を一定に維持するように制御しなければならない。しかし、バブリングによって発生したミストによるバルブの閉塞やフィルタの目詰まりが発生すると容器内の圧力は上昇し、それに伴いキャリアガスの分圧が減少することから、前駆体の蒸気の濃度の低下を引き起こす。そのため、フィルタを閉塞させないでバブリングによる供給を行う必要がある。
【0008】
従来の技術としては、ミストの半導体装置側への流出を抑制する容器として特許文献1~4に記載されたような先行特許があるが、ミストの流出量を定量的に評価されておらず効果があるか不明確である。
【0009】
本発明は、バブリングによって発生するミストが半導体製造装置側へ流出することを抑制し、かつ導出する前駆体の蒸気の濃度が一定になるように容器内圧力の変動を抑えることができるバブリング容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は以下の構成を備える。
[1]前駆体を収容する収容部と、
外部から前記収容部内にキャリアガスを導入し、前記収容部内にある前記前駆体の中で前記キャリアガスをバブリングさせるキャリアガス導入ラインと、
前記収容部内で発生した前記前駆体の蒸気を外部へ導出する前駆体導出ラインと、
前記前駆体導出ライン上に配置される、前記前駆体の蒸気と前記キャリアガスの混合ガス中に含まれるミスト成分を除去するためのフィルタと、
を有する前駆体用バブリング容器であり、
前記前駆体導出ラインの前記収容部内にある先端側には屈曲した屈曲部が設けられており、
前記前駆体導出ラインの先端の導出口から前記屈曲部へ向かう軸線と、前記前駆体導出ラインの前記屈曲部から後端へ向かう軸線とがなすエルボ角Θが90°≦Θ≦120°であり、
前記収容部を上方から見下ろして、前記キャリアガス導入ラインの先端の吹込み口と、前記前駆体導出ラインの前記屈曲部とを結ぶ仮想の直線と、前記前駆体導出ラインの先端の前記導出口から前記屈曲部へ向かう軸線とのなす角Θが、前記吹込み口が前記導出口の真反対にあるときを0°としたとき、0°≦Θ≦±45°である、前駆体用バブリング容器。
[2]
前駆体を収容する収容部と、
外部から前記収容部内にキャリアガスを導入し、前記収容部内にある前記前駆体の中で前記キャリアガスをバブリングさせるキャリアガス導入ラインと、
前記収容部内で発生した前記前駆体の蒸気を外部へ導出する前駆体導出ラインと、
前記前駆体導出ライン上に配置される、前記前駆体の蒸気と前記キャリアガスの混合ガス中に含まれるミスト成分を除去するためのフィルタと、
を有する前駆体用バブリング容器であり、
前記収容部内に液状の前記前駆体が収容されており、
前記前駆体の液面から前記前駆体導出ラインの先端の導出口までの鉛直方向の距離L(単位:mm)が、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(単位:Standard Litter Min)とした場合に計算式:5x+10で与えられる値以上である、前駆体用バブリング容器。
[3]
前駆体を収容する収容部と、
外部から前記収容部内にキャリアガスを導入し、前記収容部内にある前記前駆体の中で前記キャリアガスをバブリングさせるキャリアガス導入ラインと、
前記収容部内で発生した前記前駆体の蒸気を外部へ導出する前駆体導出ラインと、
前記前駆体導出ライン上に配置される、前記前駆体の蒸気と前記キャリアガスの混合ガス中に含まれるミスト成分を除去するためのフィルタと、
を有する前駆体用バブリング容器であり、
前記収容部内に液状の前記前駆体が収容されており、
前記前駆体の液面と前記前駆体導出ラインの先端の導出口との間に、
開口率10~60%の多孔プレートを有する、前駆体用バブリング容器。
[4]
前駆体を収容する収容部と、
外部から前記収容部内にキャリアガスを導入し、前記収容部内にある前記前駆体の中で前記キャリアガスをバブリングさせるキャリアガス導入ラインと、
前記収容部内で発生した前記前駆体の蒸気を外部へ導出する前駆体導出ラインと、
前記前駆体導出ライン上に配置される、前記前駆体の蒸気と前記キャリアガスの混合ガス中に含まれるミスト成分を除去するためのフィルタと、
を有する前駆体用バブリング容器であり、
次の構成1、2、3のうち2つ以上の構成を有する、前駆体用バブリング容器。
(構成1)
前記前駆体導出ラインの前記収容部内にある先端側には屈曲した屈曲部が設けられており、前記前駆体導出ラインの先端の導出口から前記屈曲部へ向かう軸線と、前記前駆体導出ラインの前記屈曲部から後端へ向かう軸線とがなすエルボ角Θが90°≦Θ≦120°であり、
前記収容部を上方から見下ろして、前記キャリアガス導入ラインの先端の吹込み口と、前記前駆体導出ラインの前記屈曲部とを結ぶ仮想の直線と、前記前駆体導出ラインの先端の前記導出口から前記屈曲部へ向かう軸線とのなす角Θが、前記吹込み口が前記導出口の真反対にあるときを0°としたとき、0°≦Θ≦±45°である。
(構成2)
前記収容部内に液状の前記前駆体が収容されており、前記前駆体の液面から前記前駆体導出ラインの先端の導出口までの鉛直方向の距離L(単位:mm)が、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(単位:Standard Litter Min)とした場合に計算式:5x+10で与えられる値以上である。
(構成3)
前記収容部内に液状の前記前駆体が収容されており、前記前駆体の液面と前記前駆体導出ラインの先端の導出口との間に、開口率10~60%の多孔プレートを有する。
[5]
前記フィルタの材質が金属あるいは樹脂である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の前駆体用バブリング容器。
[6]
前記キャリアガス導入ラインの先端に、さらにスパージャーが設置されている、[4]に記載の前駆体用バブリング容器。
【発明の効果】
【0011】
本発明のバブリング容器によれば、バブリングによって発生するミストが半導体製造装置側へ流出することを抑制し、かつ導出する前駆体の蒸気の濃度が一定になるように容器内圧力の変動を抑えることができる。
本発明のバブリング容器から導出されるガスに混入したミスト量は、国際標準化機構(ISO 14644-1)で規定されているクラスに分類して定量的に評価することができる。本発明にあっては、フィルタの閉塞を防止するための構成も検討されており、フィルタを閉塞させることなく安定して前駆体を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る前駆体用バブリング容器の実施の一形態を示す断面図。
図2】前駆体用バブリング容器10の前駆体導出ライン4の屈曲部6の拡大図。
図3】前駆体用バブリング容器10のキャリアガス導入ライン3と前駆体導出ライン4の位置関係を示す天面図。
図4】本発明に係る前駆体用バブリング容器の実施の一形態を示す断面図。
図5】本発明に係る前駆体用バブリング容器の実施の一形態を示す断面図。
図6】本発明に係る前駆体用バブリング容器の実施例の試験における一形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は例示する実施形態だけに限定されるものではない。
また、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0014】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態は、図1に示す収容部2と、収容部2内へ挿入されるキャリアガス導入ライン3及び前駆体導出ライン4と、前駆体導出ライン4上に配置されるフィルタ5と、とを有する前駆体用バブリング容器1である。以下、「前駆体用バブリング容器」を単に「バブリング容器」ということがある。
【0015】
収容部2は前駆体を収容する容器本体である。容器本体の内部の圧力を制御するために、容器内部は基本的に密封されている。例えば、容器本体は容器の側面2aと底面2bを構成し、蓋体が容器本体の天面2cを覆うことにより内部が密封される。キャリアガス導入ライン3及び前駆体導出ライン4は、蓋体の天面2cを鉛直下向きに貫通する管である。キャリアガスは、収容部2の外部にある後端3bから管内へ入る。その後、収容部2の内部にある先端3aから収容部2内へ導入される。キャリアガスの導入流量は第一導入弁3zによって調整される。先端3aは液状の前駆体P中に位置しており、キャリアガスが吹き込まれると、前駆体P中でバブルBが発生する。これに伴い、収容部2内の前駆体Pの液面よりも上方に位置するガスが、前駆体Pの蒸気を伴って、前駆体導出ライン4の先端4aの導出口から管内を通って外部にある後端4bへ導出される。先端4aは前駆体Pの液面よりも上方に位置する。前駆体Pの蒸気を含むキャリアガスの導出流量は、第一導出弁4y及び第二導出弁4zによって調整される。各弁を制御することにより、密封された収容部2内の圧力を制御することができる。
【0016】
前駆体導出ライン4の収容部2内における先端側には、管が屈曲した屈曲部6が設けられている。
図1図2に示す前駆体導出ライン4の先端4aの導出口から屈曲部6へ向かう軸線(管軸)ax1と、前駆体導出ライン4の屈曲部6から後端4bへ向かう軸線(管軸)ax2と、がなす角をエルボ角Θという。屈曲部6の正確な位置を点で示す場合、前記2つの軸線の交点である。軸線は管の中心軸を示す。
エルボ角Θは90°≦Θ≦120°であり、90°≦Θ≦110°でもよいし、90°≦Θ≦100°でもよい。
前駆体導出ライン4の軸線ax2と鉛直方向とのなす角(鋭角側)は、10°以下が好ましく、5°以下がより好ましく、1°以下がさらに好ましく、0°(平行)が最も好ましい。この範囲であると、エルボ角Θを設定することによる、本発明の効果がより一層得られる。
【0017】
図3に示すように、天面2c側の上方から鉛直下向きに見下ろして、キャリアガス導入ライン3の先端3aの吹込み口と、前駆体導出ライン4の屈曲部6とを結ぶ仮想の直線L1と、前駆体導出ライン4の先端4aの導出口から屈曲部6へ向かう軸線L2(図2の軸線ax1と同じ。)とのなす角を角Θという。前記吹込み口の正確な位置を点で示す場合、吹込み口の中心である。前記導出口の正確な位置を点で示す場合、導出口の中心である。
図3に示すように上方から鉛直下向きに見下ろして、前記吹込み口が前記導出口の真反対にあるときを0°としたとき、角Θは0°≦Θ≦±45°であり、0°≦Θ≦±40°でもよいし、0°≦Θ≦±35°でもよい。
ここで、Θの正負は導出口の向きを示す。図3のように0°の向きから時計回りの方向を正とした場合、反時計回りの方向が負となる。図3の例では、Θは+45°である。
【0018】
収容部2へアルミニウムや鉄などの半導体産業等における薄膜形成プロセス等に用いられる前駆体を収容する。前記前駆体の液面は、前記導出口よりも鉛直下方に位置する。
収容部2内に収容する前駆P体の中に、キャリアガス導入ライン3を介してキャリアガスを吹込み、気泡を生じさせ曝気させるバブリングを行う。
バブリングにより発生した前記前駆体の蒸気は、前駆体導出ライン4の収容部2内の先端4aの導出口から前駆体導出ライン4内に取り込まれ、収容部2の内部にある屈曲部6を介して後端4b側へ導出される。先端4aから後端4bの途中であって、収容部2の外部において、第一導出弁4yと第二導出弁4zの間にフィルタ5が設置されている。フィルタ5によってキャリアガスに含まれるミスト成分が除去された後、半導体製造装置などの導出先の装置へ導出される。
【0019】
前駆体Pの液面におけるバブルBの破裂にともない、液面上のキャリアガスに満たされた空間(ガスエリア)に前駆体Pのミストが生じる。エルボ角Θは90°≦Θ≦120°であるので、生じたミストが、前駆体導出ライン4の先端4aの導出口から屈曲部6まで到達したとしても、屈曲部6を曲がり切らずに管内壁に衝突し、後端4bへ向かうことが抑制される。また、少数のミストが屈曲部6を通過して管内を上昇したとしても、フィルタ5によって遮断される。さらに、角Θは、0°≦Θ≦±45°であるので、前駆体導出ライン4の先端4aの導出口が、キャリアガス導入ライン3の先端3aの吹込み口から遠ざけられているので、吹込み口近傍のバブルの発生源からも遠ざけられており、ミストが前駆体導出ライン4の導出口へ入り込むことが抑制されている。この結果、ミストの半導体製造装置などへの流出を抑制することができる。
【0020】
容器は、容器本体と蓋体とを備える。容器本体の形状は特に制限されず、例えば、底面の直径(差し渡しの長さ)よりも、高さ方向の長さが長い筒形状が挙げられる。筒形状の高さ方向に直交する断面の形状は特に制限されず、例えば、円、楕円、四角、その他の多角形等が挙げられる。容器本体の天部は上方に開口されていることが好ましい。容器本体の天部に蓋体が嵌合し、容器内部が密閉可能とされる。
容器の材質としては、前駆体に対する耐食性等を有し、かつ、負圧ないし加圧状態に耐えうる強度を有したものであれば、特に限定されず、例えば、-0.1~0.3MPaGの範囲の圧力に耐えうるステンレス鋼(SUS)を用いることができる。
容器の容積としては、半導体製造装置などのへの供給に十分な前駆体の蒸気を発生させることが可能な量の前駆体を収容できる大きさがあればよい。
また、容器の内径は、内部に供給されるガスの均一な拡散と、前駆体のガス化効率を勘案して、最適な内径を選択すればよい。具体的な容積の目安として、例えば100~10000cmが挙げられる。具体的な内径、高さの目安としては、例えば内径5~20cm、高さ5~30cmが挙げられる。
【0021】
キャリアガス導入ライン3は、収容部2内の前駆体Pに向けてキャリアガス供給する管であり、その材質としては、前記前駆体や収容部2内に充填するキャリアガスに対する耐食性や耐圧強度を有した材質であれば特に限定されず、例えば、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
キャリアガス導入ライン3に用いる配管の径としても、収容部2に対して前駆体Pを不足無く供給できる径であれば特に限定されず、例えば、外径が9~10mm、内径が7~8mmの配管を用いることができる。
【0022】
キャリアガス導入ライン3によって供給されるキャリアガスは、収容部2に収容される前駆体P内に供給するため、収容部2内下方に向けたキャリアガス導入ラインの前記吹込み口は、前駆体Pの液面よりも下方に配置することができる。
【0023】
前駆体導出ライン4は、バブリングにより発生した前駆体Pの蒸気を半導体製造装置などの導出先の装置へ供給する管であり、その材質としては、前駆体やキャリアガスに対する耐食性や耐圧強度を有した材質であれば特に限定されず、例えば、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
前駆体導出ライン4に用いる配管の径としても、収容部2内で発生した前駆体Pの蒸気を十分に導出できる径であれば特に限定されず、例えば、外径が9~10mm、内径が7~8mmの配管を用いることができる。
前駆体導出部6は、バブリングにより発生した前駆体Pの蒸気を取り込むため、収容部2内の前駆体Pの液面よりも上方に配置することができる。
【0024】
フィルタ5はキャリアガスに含まれるミスト成分を除去するためのものであり、前駆体導出ライン4上に配置することができる。その材質としては、前駆体やキャリアガスに対する耐食性や耐圧強度を有した材質であれば特に限定されず、例えば、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
フィルタ5の孔径としては、導出ライン4上に配置でき、前駆体Pの蒸気を十分に導出できる径であれば特に限定されないが、ミスト成分をより除去するためには小さな孔径が望ましく、例えば、孔径が0.2μmのフィルタを用いることができる。孔径が小さいと、ミストが孔を通過し難くなる。
【0025】
図示例において、前記エルボ角Θは、前駆体導出ライン4の先端4aの導出口から屈曲部6までの区間の管軸Aが、収容部2内の前駆体Pの液面に対して水平あるいは垂直方向に配置されているかを規定する。前駆体導出ライン4の屈曲部6から後端4bまでの区間の管軸が鉛直下向きであるので、エルボ角Θが180°の場合は、管軸Aが鉛直下向きに配置されていることを意味する。この場合は、バブリングに伴って発生したミストが、先端4aの導出口から後端4bへ向けて導出されやすく、半導体製造装置内へ混入しやすくなる。一方、エルボ角Θが0°、つまりは前記導出口が鉛直上向きに配置されたと仮定した場合は、本来の役割である前駆体の蒸気の出口としての働きが損なわれる。そのため、エルボ角Θとしては、収容部2内の前駆体Pの液面に対して水平、あるいは水平よりもやや下側に傾けた90°≦Θ≦120°が好ましい。
【0026】
角Θは、前駆体導出ライン4の先端4aの導出口が、キャリアガス導入ライン3の先端3aの吹込み口に対して正面あるいは真反対に配置されているかを規定する。角Θが180°の場合は、前記導出口は前記吹込み口に対して正面側に配置されている(正対している)ことを意味する。この場合は、バブリングに伴って発生するミスト量が多いエリアに向けて導出口が正対するため、半導体製造装置内へミストが混入しやすくなる。そのため、角Θとしては、キャリアガス導入ライン3に対して真反対を中心とした0°≦Θ≦±45°が好ましい。
【0027】
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態は、図4に例示するように、収容部2と、キャリアガス導入ライン3と、前駆体導出ライン4と、フィルタ5とを有するバブリング容器10である。
前駆体導出ライン4の収容部2内にある先端側に、屈曲部6が設けられていないことを除いて、第一実施形態のバブリング容器1と同じ構成部品を有する。本実施形態において、第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0028】
本実施形態の収容部2内には液状の前駆体Pが収容されている。収容部2内において、前駆体Pの液面上はガスが満たされたガスエリアである。
図4で示す収容部2内における前駆体Pの液面から前駆体導出ライン4の先端4aの導出口の中心までの鉛直方向の距離L(単位:mm)が、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(単位:Standard Litter Min:slm)とした場合に計算式:5x+10で与えられる値以上である。これは、前駆体の液面から導出口までに一定以上の間隔をおくことを意味し、これにより、バブリングに伴って発生したミストが、前記導出口へ到達し、延いては半導体製造装置内へ混入することを防止することができる。距離Lの上限値は特に制限されず、前駆体Pの蒸気がキャリアガスに伴って導出可能であればよく、目安として例えば(5x+50)mm以下が挙げられる。ここで、slmは、1atm、0℃条件下の1分間あたりに換算した流量である。この流量は、例えば第一導入弁3zに設置した流量計で測定される。
【0029】
<第三実施形態>
本発明の第三実施形態は、図5に例示するように、収容部2と、キャリアガス導入ライン3と、前駆体導出ライン4と、フィルタ5とを有するバブリング容器20である。
前駆体導出ライン4の収容部2内にある先端側に、屈曲部6が設けられていないこと、及び、多孔プレート7が設置されていることを除いて、第一実施形態のバブリング容器1と同じ構成部品を有する。本実施形態において、第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0030】
本実施形態の収容部2内には液状の前駆体Pが収容されている。収容部2内において、前駆体Pの液面上はガスが満たされたガスエリアである。
図5で示す収容部2内における前駆体Pの液面と前駆体導出ライン4の先端4aの導出口との間に、開口率10~60%の多孔プレート7を有する。この開口率は20~50%でもよいし、30~40%でもよい。キャリアガス導入ライン3は多孔プレート7を貫通している。多孔プレート7の設置により、バブリングに伴って発生したミストを、多孔プレート7によって遮断し、前記導出口へミストが到達することを抑制し、延いては半導体製造装置内へミストが混入することを防止することができる。
【0031】
多孔プレート7は、多数の貫通孔が設けられた板材である。多孔プレート7の開口率(単位:%)は、多孔プレート7の主面の貫通孔を含む全体の面積を100%として、全ての貫通孔の開口面積の合計が占める百分率である。
各貫通孔の形状は特に制限されず、例えば、円、楕円、矩形等の任意の形状が挙げられる。各貫通孔の最も長い差し渡しの長さは、例えば、0.10~1.00mm程度が、ミストの遮断効率と蒸気の透過効率のバランスを取る観点から好ましい。各貫通孔の形状およびサイズは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
多孔プレート7の板厚は特に制限されず、例えば1~5mm程度が挙げられる。
多孔プレート7の材質は、前駆体やキャリアガスに対する耐食性や耐圧強度を有した材質であれば特に限定されず、例えば、SUS等の金属、ふっ素樹脂等の耐薬品性の樹脂が挙げられる。
多孔プレート7は1枚のみを設置してもよいし、複数枚を任意の間隔で多段に配置してもよい。
【0032】
<第四実施形態>
本発明の第四実施形態は、第一実施形態で説明した屈曲部6に関する構成1、第二実施形態で説明した距離Lに関する構成2、及び、第三実施形態で説明した多孔プレート7に関する構成3の3つの構成のうち、2つ以上の構成を有する。
【0033】
図6に、上記3つの構成全てを備えたバブリング容器30を例示する。バブリング容器30は、収容部2と、キャリアガス導入ライン3と、前駆体導出ライン4と、フィルタ5とを有する。さらに屈曲部6と多孔プレート7が備えられ、距離Lが前述の通りに調整されている。本実施形態において、前述の第一~第三実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0034】
以上で説明した第一~第四実施形態のバブリング容器のキャリアガス導入ライン3の先端3aの吹込み口には、スパージャーをさらに設置してもよい。ここでスパージャーとは、キャリアガスが透過可能な多孔質体である。スパージャーを通すことにより、液状の前駆体P内で発生するバブルを微細化させ、ミストの発生を抑制し、前駆体Pの蒸気化の効率を高めることができる。スパージャーの細孔サイズは例えば0.1μm~200μmとすることができる。
【実施例0035】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
ミストの測定はSEMI F70-0302ガス供給システムからのミスト発生を測定するための試験方法を参照し実施した。測定器はリオン株式会社の気中パーティクルカウンタ(KS-93)を用いて、粒子径0.1~0.5μmのミスト量の評価を実施した。
フィルタの閉塞有無については、前駆体の収容部の圧力が測定できるように圧力計を設置し、バブリング前後の圧力を測定し、圧力差を評価した。バブリング時間は8(hour)とした。
【0037】
測定したミスト量は、パーティクルカウンター(個/L)として示した。ミストの発生量としては1slm当たりのミスト量が1.339個以下(ISOの清浄度クラスにおけるクラス3)以下であることが好ましく、より好ましくは1slm当たりのミスト量が0.134個以下(ISOの清浄度クラスにおけるクラス2)以下であることである。
【0038】
前駆体の供給量は前駆体の分圧、つまり「前駆体の蒸気圧」/「容器内の圧力」に依存するため、フィルタが閉塞すると容器内圧力が上昇し、前駆体の供給量が低下するリスクが高まる。そのため圧力の変動範囲としては100Pa(1Torr弱)であることがより好ましく、さらに好ましくは10Pa(0.1Torr)以下である。
【0039】
また、フィルタを閉塞させることなく前駆体を安定して供給するため、フィルタの閉塞を防止するための構成について、以下に詳細を説明する。
【0040】
バブリングに伴うミストの発生メカニズムとして、バブルの膜に穴の開き始めた瞬間に中の気体が吹出し、膜の分裂した一部分の吹上げによってミストが発生すると言われている(参考文献:土木学会論文集No.705/II-59,19-29,2002.5「水表面の気泡の破裂現象に対する表面張力と粘性の影響の個別評価の試み」)。そのため、ミストの発生量はバブルの数及び大きさ等に影響を受けると考えられる。
【0041】
次に、ミストが容器外に導出するリスクを抑えるために備えたそれぞれ構成の効果について考察する。
【0042】
構成1-1:エルボ角(Θ)が90°≦Θ≦120°
ミストはバブルの膜がはじけた時に上向き方向に吹き上がる。配管が図2で示すΘ が180°である場合は、開口部が鉛直に下向きであり水面と平行であるため、吹き上がったミストを吸い込みやすくなる。そのため、図2に示す通り配管に適切な角度を付けることによって、ミストを吸い込みにくくする効果がある。一方で90°より傾きを小さくすると、輸送中などに配管内に液体状の前駆体が誤って入り込んでしまった場合に、容器をひっくり返して取り出さなければならないなどのリスクがあるため90°≦Θ≦120°が好ましい。
【0043】
構成1-2:角Θが0°≦Θ≦45°
前駆体の中でバブリングされたガスは上向きに浮上し、バブルの発生量が多い箇所ほどミストの発生量は多くなる。そのため、図3に示す通り前駆体導出ライン4をそういったミスト発生量が多い箇所からできるだけ離れている向きに設定することで、ミストを吸い込みにくくすることができる。
【0044】
構成2:前駆体導出ライン4の先端4aの導出口の中心までの鉛直方向の距離L(単位:mm)が、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(slm)とした場合に計算式:5x+10で与えられる値以上である。
バブルの膜がはじけた時に上向き方向に吹き上がるミストのサイズは様々である。サイズの大きいミストは重量が大きいため重力などの影響により、キャリアガスに乗って容器外に導出されるリスクは小さくなる。そのため、使用する流量にあわせて鉛直方向に容器を設計することが大切である。また、容器を長くすることでリスクは低減できるが、容器が大型化され装置内に収まらないあるいは製作コストが増加することから、使用状況に合わせた設計が必要である。
【0045】
構成3:収容部2内における前駆体Pの液面と前駆体導出ライン4の先端4aの導出口との間に、開口率10~60%の多孔プレート7を有する。
多孔プレートはバブルの膜がはじけた時に発生するミストを容器内で抑えることができる。そのため、本多孔プレートを有することで、前記前駆体導出ライン4から出るミストを低減することができる。多孔プレートの開口率は一般的に市販されている10~60%のものを使用することができる。10%より小さい場合は、穴が塞がってしまう。また60%より大きい場合は多孔プレートとしての強度が無く、加工の際に割れるなどの懸念がある。
それぞれに実施例について、さらに詳細に試験条件を以下に示す。
【0046】
(実施例1)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:90°
・角Θ:0°
【0047】
結果を表1に示す。表1に示すように、エルボ角Θを90°、角Θを0°とすることで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは1.11(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス3を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は76(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0048】
(実施例2)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:90°
・角Θ:45°
【0049】
結果を表1に示す。表1に示すように、エルボ角Θを90°、角Θを45°とすることで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.97(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス3を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は88(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0050】
(比較例1)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:90°
・角Θ:60°
【0051】
結果を表3に示す。表3に示すように、エルボ角Θは90°であるものの、角Θを0°≦Θ≦±45°の範囲外である60°とした比較例1では、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは5.4(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス4に留まり、また、バブリング前後における容器内圧力変動は150(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給することができなかった。
【0052】
(比較例2)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:90°
・角Θ:180°
【0053】
結果を表3に示す。表3に示すように、エルボ角Θは90°であるものの、角Θを0°≦Θ≦±45°の範囲外である180°とした比較例2では、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは14.5(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス5に留まり、また、バブリング前後における容器内圧力変動は231(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給することができなかった。
【0054】
(実施例3)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:120°
・角Θ:0°
【0055】
結果を表1に示す。表1に示すように、エルボ角Θを120°、角Θを0°とすることで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.89(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス3を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は92(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0056】
(実施例4)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:120°
・角Θ:45°
【0057】
結果を表1に示す。表1に示すように、エルボ角Θを120°、角Θを45°とすることで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.88(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス3を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は98(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0058】
(比較例3)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:135°
・角Θ:0°
【0059】
結果を表3に示す。表3に示すように、角Θは0°であるものの、エルボ角Θを90°≦Θ≦120°の範囲外である135°とした比較例3では、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは24.5(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス5に留まり、また、バブリング前後における容器内圧力変動は367(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給することができなかった。
【0060】
(比較例4)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:180°
・角Θ:0°
【0061】
結果を表3に示す。表3に示すように、角Θは0°であるもののエルボ角Θを90°≦Θ≦120°の範囲外である180°とした比較例3では、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは50.1(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス5に留まり、また、バブリング前後における容器内圧力変動は226(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給することができなかった。
【0062】
(実施例5)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・液面から出口配管までの鉛直方向の間隔L:L=5x+10(L=60mm)
【0063】
結果を表1に示す。表1に示すように、収容部2内における前駆体Pの液面から前駆体導出ライン4の出口配管中心までの鉛直方向の距離Lを、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(slm)とした場合に5x+10で与えられる値以上である60mmとすることで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは1.21(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス3を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は86(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0064】
(実施例6)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:0.001(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・液面から出口配管までの鉛直方向の間隔L:L=5x+10(L≒10mm)
【0065】
結果を表1に示す。表1に示すように、収容部2内における前駆体Pの液面から前駆体導出ライン4の出口配管中心までの鉛直方向の距離Lを、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(slm)とした場合に5x+10で与えられる値以上である10mmとすることで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.84(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス3を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は66(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0066】
(実施例7)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:30(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・液面から出口配管までの鉛直方向の間隔L:L=5x+10(L=160mm)
【0067】
結果を表1に示す。表1に示すように、収容部2内における前駆体Pの液面から前駆体導出ライン4の出口配管中心までの鉛直方向の距離Lを、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(slm)とした場合に5x+10で与えられる値以上である160mmとすることで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは1.06(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス3を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は90(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0068】
(比較例5)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・液面から出口配管までの鉛直方向の間隔L:L<5x+10(L=55mm)
【0069】
結果を表3に示す。表3に示すように、収容部2内における前駆体Pの液面から前駆体導出ライン4の出口配管中心までの鉛直方向の距離Lを、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(slm)とした場合に5x+10で与えられる値以上の範囲外である55mmとした比較例5では、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは3.4(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス4に留まり、また、バブリング前後における容器内圧力変動は143(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給することができなかった。
【0070】
(実施例8)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・多孔プレートの開口率:60%
【0071】
結果を表1に示す。表1に示すように、収容部2内における前駆体Pの液面と前駆体導出ライン4の出口部である前駆体導出部6との間に、開口率60%の多孔プレートを有することで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.91(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス3を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は94(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0072】
(実施例9)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・多孔プレートの開口率:10%
【0073】
結果を表1に示す。表1に示すように、収容部2内における前駆体Pの液面と前駆体導出ライン4の出口部である前駆体導出部6との間に、開口率10%の多孔プレートを有することで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.55(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス3を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は76(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0074】
(比較例6)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・多孔プレートの開口率:70%
【0075】
結果を表3に示す。表3に示すように、収容部2内における前駆体Pの液面と前駆体導出ライン4の出口部である前駆体導出部6との間に、開口率70%の多孔プレートを有した比較例6では、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは4.2(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス4に留まり、また、バブリング前後における容器内圧力変動は403(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給することができなかった。
【0076】
(比較例7)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・多孔プレートの開口率:5%
【0077】
結果を表3に示す。表3に示すように、収容部2内における前駆体Pの液面と前駆体導出ライン4の出口部である前駆体導出部6との間に、開口率5%の多孔プレートを有した比較例7では、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.3(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス3を達成したものの、バブリング前後における容器内圧力変動は580(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給することができなかった。
【0078】
(実施例10)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:90°
・角Θ:0°
・液面から出口配管までの鉛直方向の間隔L:L=5x+10(L=60mm)
【0079】
結果を表2に示す。表2に示すように、エルボ角Θを90°、角Θを0°とし、かつ、収容部2内における前駆体Pの液面から前駆体導出ライン4の出口配管中心までの鉛直方向の距離Lが、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(slm)とした場合に5x+10で与えられる値以上である60mmとすることで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.12(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス2を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は21(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0080】
(実施例11)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:90°
・角Θ:0°
・多孔プレートの開口率:60%
【0081】
結果を表2に示す。表2に示すように、エルボ角Θを90°、角Θを0°とし、かつ、収容部2内における前駆体Pの液面と前駆体導出ライン4の出口部である前駆体導出部6との間に、開口率60%の多孔プレートを有することで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.10(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス2を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は27(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0082】
(実施例12)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・液面から出口配管までの鉛直方向の間隔L:L=5x+10(L=60mm)
・多孔プレートの開口率:60%
【0083】
結果を表2に示す。表2に示すように、収容部2内における前駆体Pの液面から前駆体導出ライン4の出口配管中心までの鉛直方向の距離Lが、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(slm)とした場合に5x+10で与えられる値以上である60mmとし、かつ、前記収容部2内における前記前駆体の液面と前記前駆体導出ライン4の出口部である前記前駆体導出部6との間に、開口率60%の多孔プレートを有することで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.10(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス2を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は19(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0084】
(実施例13)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:90°
・角Θ:0°
・液面から出口配管までの鉛直方向の間隔L:L=5x+10(L=60mm)
・多孔プレートの開口率:60%
【0085】
結果を表2に示す。表2に示すように、エルボ角Θを90°、角Θを0°とし、かつ、収容部2内における前駆体Pの液面から前駆体導出ライン4の出口配管中心までの鉛直方向の距離Lが、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(slm)とした場合に5x+10で与えられる値以上である60mmとし、かつ、収容部2内における前駆体Pの液面と前駆体導出ライン4の出口部である前駆体導出部6との間に、開口率60%の多孔プレートを有することで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.09(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス2を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は9(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0086】
(実施例14)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ふっ素樹脂
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:単管
・エルボ角Θ:90°
・角Θ:0°
・液面から出口配管までの鉛直方向の間隔L:L=5x+10(L=60mm)
【0087】
結果を表2に示す。表2に示すように、エルボ角Θを90°、角Θを0°とし、かつ、収容部2内における前駆体Pの液面から前駆体導出ライン4の出口配管中心までの鉛直方向の距離Lが、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(slm)とした場合に5x+10で与えられる値以上である60mmとすることで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.10(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス2を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は30(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0088】
(実施例15)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:孔径0.1μmのスパージャー
・エルボ角Θ:90°
・角Θ:0°
・液面から出口配管までの鉛直方向の間隔L:L=5x+10(L=60mm)
【0089】
結果を表2に示す。表2に示すように、エルボ角Θを90°、角Θを0°とし、かつ、収容部2内における前駆体Pの液面から前駆体導出ライン4の出口配管中心までの鉛直方向の距離Lが、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(slm)とした場合に5x+10で与えられる値以上である60mmとすることで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.10(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス2を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は29(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0090】
(実施例16)
前駆体用バブリング容器として、図6に示す前駆体用バブリング容器を用いて、ミスト発生量評価試験及びバブリング前後における前駆体の収容部の圧力差の評価を行った。
試験条件及び方法は、以下の通りである。
・キャリアガス流量:10(slm)
・フィルタの孔径、材質:0.2(μm)、ステンレス鋼(SUS)
・前駆体へのガス供給ラインの配管端部の形状:孔径200μmのスパージャー
・エルボ角Θ:90°
・角Θ:0°
・液面から出口配管までの鉛直方向の間隔L:L=5x+10(L=60mm)
【0091】
結果を表2に示す。表2に示すように、エルボ角Θを90°、角Θを0°とし、かつ、収容部2内における前駆体Pの液面から前駆体導出ライン4の出口配管中心までの鉛直方向の距離Lが、xを0.001~30slmのキャリアガス流量(slm)とした場合に5x+10で与えられる値以上である60mmとすることで、キャリアガスとの差分で示したパーティクルカウンターは0.10(個/L)でありISO清浄度クラスにおけるクラス2を達成し、かつ、バブリング前後における容器内圧力変動は27(Pa)を示し、必要な前駆体を安定的に供給可能な前駆体バブリング容器を提供することができた。
【0092】
上記の実施例結果を表1、表2に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
上記の比較例結果を表3に示す。
【0096】
【表3】
【符号の説明】
【0097】
1、10、20…前駆体バブリング容器
2…収容部
2a…容器の側面
2b…容器の底面
2c…容器の天面
3…キャリアガス導入ライン
3a…収容部2の内部にある先端
3b…収容部2の外部にある後端
3z…第一導入弁
4…前駆体導出ライン
4a…先端
4b…後端
4y…第一導出弁
4z…第二導出弁
ax1…前駆体導出ライン4の先端4aの導出口から屈曲部6へ向かう軸線(管軸)
ax2…前駆体導出ライン4の屈曲部6から後端4bへ向かう軸線(管軸)
5…フィルタ
6…前駆体導出ライン4の屈曲部
7…多孔プレート
Θ…ax1と、ax2と、がなす角
Θ…L1と、L2と、がなす角
P…前駆体
B…バブル
L1…天面2c側の上方から見下ろして、キャリアガス導入ライン3の先端3aの吹込み口と、前駆体導出ライン4の屈曲部6とを結ぶ仮想の直線
L2…天面2c側の上方から見下ろして、前駆体導出ライン4の先端4aの導出口から屈曲部6へ向かう軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6