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特開2024-158960基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム
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  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158960
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20241031BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L21/31 E
H01L21/31 B
H01L21/324 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074631
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板谷 秀治
(72)【発明者】
【氏名】菊池 俊之
【テーマコード(参考)】
5F045
【Fターム(参考)】
5F045AA03
5F045AA20
5F045AC11
5F045DP03
5F045EB03
5F045EC05
5F045EC07
5F045EE04
5F045EF05
5F045EG01
5F045EG05
5F045EK07
5F045GB06
5F045GB15
(57)【要約】
【課題】処理ガスを用いて基板を処理する基板処理装置において、処理ガス供給配管の内部に残留した処理ガスの影響を低減可能な技術を提供する。
【解決手段】基板を処理する処理容器と、前記基板を処理する処理ガスを供給する処理ガス供給部と、前記処理ガス供給部と前記処理容器とに接続され、前記処理容器に前記処理ガスを供給する処理ガス供給配管と、前記処理ガス供給配管に設けられた排気部と、前記処理ガス供給配管内の残留ガスを前記排気部から排気するよう制御可能な制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理容器と、
前記基板を処理する処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記処理ガス供給部と前記処理容器とに接続され、前記処理容器に前記処理ガスを供給する処理ガス供給配管と、
前記処理ガス供給配管に設けられた排気部と、
前記処理ガス供給配管内の残留ガスを前記排気部から排気するよう制御可能な制御部と、
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記排気部は、前記処理ガス供給配管における、前記処理ガス供給部側よりも前記処理容器側に近い位置に設けられている、
請求項1に記載の、基板処理装置。
【請求項3】
前記排気部は、前記処理ガス供給配管に接続される処理ガス排気配管を有する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理ガス排気配管は、前記処理ガス排気配管を開閉するバルブを有する、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記バルブは、前記処理ガスの温度に耐えることができる材料で構成される、
請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理ガス排気配管は、金属製で構成され、内壁に腐食防止の加工がされている、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理ガス供給配管の内部に残留した残留ガスを検知する検知部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記処理ガス供給配管から残留ガスを排気する残留ガス排気時間を計測し、前記残留ガス排気時間があらかじめ定められた閾値を超えた場合に排気異常の通知を行う、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記閾値を記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部より取得した前記閾値と前記残留ガス排気時間とを比較することで、異常判定を行う、
請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記記憶部は、前記制御部から前記排気異常が通知された場合に、前記排気異常の履歴を記憶する、
請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記基板の処理状態を表示する表示部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記排気異常が通知された場合に、前記排気異常を前記表示部に表示するよう制御を行う、
請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記残留ガス排気時間が前記閾値に満たない場合は通知を行わない、
請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記排気部は、前記処理容器内の残留ガスを排気することが可能な、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記処理容器内の残留ガスを排気するよう前記排気部を制御可能な、
請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
基板を処理する処理ガスを処理ガス供給配管に接続される処理ガス供給部から前記基板を処理する処理容器に供給する工程と、
前記処理容器内で前記基板を処理する工程と、
前記処理ガス供給配管に設けた排気部によって、前記処理ガス供給配管内の残留ガスを前記排気部から排気する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記排気部は、前記処理ガス供給配管における、前記処理ガス供給部側よりも前記処理容器側に近い位置に設けられており、前記排気する工程では、さらに前記処理容器内の残留ガスを前記排気部から排気する、
請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
基板を処理する処理ガスを処理ガス供給配管に接続される処理ガス供給部から前記基板を処理する処理容器に供給する手順と、
前記処理容器内で前記基板を処理する手順と、
前記処理ガス供給配管に設けた排気部によって、前記処理ガス供給配管内の残留ガスを前記排気部から排気する手順と、
を有するコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項17】
前記排気部は、前記処理ガス供給配管における、前記処理ガス供給部側よりも前記処理容器側に近い位置に設けられており、前記排気する手順では、さらに前記処理容器内の残留ガスを前記排気部から排気する、
請求項16に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程における基板処理では、例えば、特許文献1に記載のような基板処理装置が使用されている。この種の基板処理装置では、基板を処理する処理空間に基板を配置し、処理空間内に処理ガスを供給して基板を処理する。また処理空間内の排気を行う排気部が設けられ、処理空間内の排気を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-49575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、処理容器へ処理ガスを供給する処理ガス供給配管の内部に処理ガスが残留し、それが基板処理に影響する可能性がある。
【0005】
本開示は、処理ガスを用いて基板を処理する基板処理装置において、処理ガス供給配管の内部に残留した処理ガスの影響を低減可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、基板を処理する処理容器と、前記基板を処理する処理ガスを供給する処理ガス供給部と、前記処理ガス供給部と前記処理容器とに接続され、前記処理容器に前記処理ガスを供給する処理ガス供給配管と、前記処理ガス供給配管に設けられた排気部と、前記処理ガス供給配管内の残留ガスを前記排気部から排気するよう制御可能な制御部と、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、処理ガスを用いて基板を処理する基板処理装置において、処理ガス供給配管の内部に残留した処理ガスの影響を低減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る基板処理装置を表す図である。
図2】本開示の実施形態に係る基板処理装置のコントローラを示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る基板処理装置におけるガス供給部を示す図である。
図4図3に続けて本開示の実施形態に係る基板処理装置におけるガス供給部を示す図である。
図5図4に続けて本開示の実施形態に係る基板処理装置におけるガス供給部を示す図である。
図6図5に続けて本開示の実施形態に係る基板処理装置におけるガス供給部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(基板処理装置の概要)
本実施形態で説明する基板処理装置は、半導体装置の製造工程で用いられるもので、処理対象となる基板を処理室に収容した状態で当該基板をヒータなどにより加熱して処理を施すものである。基板処理装置が処理対象とする基板としては、例えば、半導体装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体ウエハ基板(以下、単に「ウエハ」という。)が挙げられる。また、基板処理装置が行う処理としては、例えば、酸化処理、拡散処理、イオン打ち込み後のキャリア活性化や平坦化のためのリフローやアニール、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)反応による成膜処理等が挙げられる。
【0011】
(構成)
次に、本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成例について、図1を用いて説明する。図1は、本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の斜透視図である。
【0012】
(装置全体)
基板処理装置200は、基板100を処理する処理容器202を有する。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料により構成されている。処理容器202内には、基板としてのシリコン基板等の基板100を処理する処理空間205と、基板100を処理空間205に搬送する際に基板100が通過する搬送空間206とが形成されている。処理容器202は、上部容器202aと下部容器202bで構成される。上部容器202aと下部容器202bの間には仕切り板208が設けられる。
【0013】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ149に隣接した基板搬入出口148が設けられており、基板100は基板搬入出口148を介して図示しない真空搬送室との間を移動する。下部容器202bの底部側には、リフトピン207が複数設けられている。さらに、下部容器202bは接地されている。
【0014】
処理空間205を構成する処理室は、例えば基板載置台(サセプタ)212とシャワーヘッド230で構成される。処理空間205内には、基板100が載置される基板載置部210が設けられている。基板載置部210は、基板100を載置する基板載置面211と、基板載置面211を表面に持つ基板載置台212と、基板載置台212に内包された加熱源としてのヒータ213を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。ヒータ213には、ヒータ213の温度を制御する温度制御部220が接続される。
【0015】
基板載置台212はシャフト217によって支持される。シャフト217の支持部は処理容器202の底壁に設けられた穴215を貫通しており、さらには支持板216を介して処理容器202の外部で駆動系である第1の昇降機構としての昇降機構218に接続されている。昇降機構218を作動させてシャフト217及び基板載置台212を昇降させることにより、基板載置面211上に載置される基板100を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われている。処理容器202内は気密に保持されている。
【0016】
基板載置台212は、基板100の搬送時には、基板載置面211が基板搬入出口148に対向する位置(基板搬送位置と言う)まで下降し、基板100の処理時には、図1で示されるように、基板100が処理空間205内の基板処理位置となるまで上昇する。
【0017】
リフトピン207は、支持板316を介して処理容器202の外部で駆動系である第2の昇降機構としての昇降機構318に接続されている。昇降機構318を作動させてリフトピン207を昇降させることにより、リフトピン207の先端部を基板載置面211の上面から突出させて、リフトピン207の先端部で基板100を下方から支持するように構成させることが可能となっている。また、昇降機構318を作動させて、リフトピン207の先端部を貫通孔214の内部に埋没させて、リフトピン207の先端部で貫通孔214を塞ぐように構成させることが可能となっている。
【0018】
具体的には、基板載置台212を基板搬送位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が基板載置面211の上面から突出して、リフトピン207が基板100を下方から支持するようになっている。また、図1に示すように、基板載置台212を基板処理位置まで上昇させたときには、リフトピン207の先端部は、基板載置台212の貫通孔214で基板100に触れない位置に移動する。これによりリフトピン207の先端部は、複数のリフトピン207で基板載置台212の貫通孔214を塞ぐように構成される。つまり、リフトピン207の先端部は基板載置面211の上面から貫通孔214の内部に埋没して、基板載置面211が基板100の裏面を下方から支持するようになっている。
【0019】
処理空間205の上部(上流側)には、シャワーヘッド230が設けられている。シャワーヘッド230は、蓋231を有する。蓋231は、フランジ232を有し、フランジ232は、上部容器202a上に支持される。さらに、蓋231は位置決め部233を有する。位置決め部233が上部容器202aに嵌合されることで、蓋231が固定される。
【0020】
シャワーヘッド230は、バッファ空間234を有する。バッファ空間234は、蓋231と位置決め部233で構成される空間をいう。バッファ空間234と処理空間205は連通している。バッファ空間234に供給されたガスは、バッファ空間234の内部で拡散し、処理空間205に均一に供給される。ここではバッファ空間234と処理空間205を別の構成として説明したが、それに限るものではなく、バッファ空間234を処理空間205に含めてもよい。
【0021】
処理空間205は、主に上部容器202a、基板処理ポジションにおける基板載置台212の上部構造で構成される。また、バッファ空間234及び処理空間205を構成する構造を処理室と呼ぶ。すなわち、本実施形態において処理室は、シャワーヘッド230を含む。なお、処理室は処理空間205を構成する構造であればよく、上記構造にとらわれないことは言うまでもない。
【0022】
搬送空間206は、主に下部容器202b、基板処理ポジションにおける基板載置台212の下部構造で構成される。搬送空間206を構成する構造を搬送室と呼ぶ。搬送室は処理室の下方に配される。なお、搬送室は搬送空間206を構成する構造であればよく、上記構造にとらわれないことは言うまでもない。
【0023】
(ガス供給部)
続いてガス供給部240を説明する。ガス供給部240は、処理ガス供給部243、不活性ガス供給部247、バイパス配管249a、第一排気部262、第二排気部263を有している。また、共通ガス供給配管242には、接続部254を介して処理ガス供給配管243a、不活性ガス供給配管247a、及び第一排気部262が接続されている。
【0024】
共通ガス供給配管242は、接続部254との間に、第三バルブ252cを有している。この第三バルブ252cが開弁している場合に、接続部254から共通ガス供給配管242を通って処理容器202へ、ガスが流れる。なお、接続部254の内部の圧力が処理容器202の内部の圧力よりも小さい場合には、処理容器202から共通ガス供給配管242を通って接続部254へガスが流れる。
【0025】
また、本実施形態において、接続部254は、後述する処理ガス供給配管243a及び共通ガス供給配管242を合わせた配管のうち、処理ガス供給部243側よりもシャワーヘッド230に近い側に設けられている。ここで、「シャワーヘッド230に近い側」とは、一例として、後述する第二バルブ252bから接続部254までに生じる管摩擦抵抗による圧力損失と、接続部254からシャワーヘッド230までに生じる管摩擦抵抗による圧力損失と、が実質的に等しくなる箇所を指す。なぜならば、後述する処理ガス供給配管243aとシャワーヘッド230とを比べた場合、一般的には処理ガス供給配管243aのほうが管体の内径が大きく(流路抵抗が小さい)ため、コンダクタンスが大きい。このため、第二バルブ252bから接続部254までに生じる管摩擦抵抗による圧力損失と、接続部254からシャワーヘッド230までに生じる管摩擦抵抗による圧力損失と、を等しくした場合、接続部254の位置は、シャワーヘッド230に近い側となるためである。
【0026】
処理ガス供給配管243aを含む処理ガス供給部243からは基板100を処理する処理ガスが主に供給され、不活性ガス供給部247からは主に不活性ガスが供給される。
【0027】
(処理ガス供給部、及び処理ガス供給配管)
処理ガス供給部243は、処理ガス供給配管243aに接続され、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)243cと、開度調整弁である第二バルブ252bとを備えている。処理ガス供給配管243aには上流方向から順に、処理ガス供給源243b、MFC243c、第二バルブ252bが設けられている。なお、処理ガス供給部243に処理ガス供給源243bを含めても良い。
【0028】
そして、処理ガス供給配管243aは、接続部254と接続されている。これにより処理ガス供給部243から供給された処理ガスが、共通ガス供給配管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0029】
処理ガス供給源243bは、一例として酸化ガスを生成し、その酸化ガスをMFC243cに供給する。酸化剤(酸化ガス)としては、例えば、酸素(O)及び水素(H)含有ガスを用いることができる。O及びH含有ガスとしては、例えば、水蒸気(H2Oガス)、過酸化水素(H2O2)ガス、水素(H2)ガス+酸素(O2)ガス、H2ガス+オゾン(O3)ガス等を用いることができる。また、酸化剤としては、O及びH含有ガスの他、例えば、酸素(O)含有ガスを用いることができる。O含有ガスとしては、例えば、O2ガス、O3ガス、亜酸化窒素(N2O)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO2)ガス、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO2)ガス等を用いることができる。なお、O及びH含有ガスも、O含有ガスの一種である。酸化剤としては、これらのうち1以上を用いることができる。また、本実施形態では、処理ガス供給源243bは、キャリアガスを供給することなく、原料ガスのみを供給する場合を例として説明する。
【0030】
また、処理ガス供給配管243aは、分岐部243e、及び検知部243dを有する。分岐部243eは、処理ガス供給部243の下流側に配置されており、後述するバイパス配管249aと接続されている。
【0031】
検知部243dは、処理ガス供給配管243aの内部の処理ガスの濃度を検知するセンサである。言い換えれば、検知部243dは、処理ガス供給配管243aの内部に残留したガスを検知する。検知部243dは、処理ガス供給配管243aの内部における処理ガスの濃度をコントローラ280に通知する。
【0032】
(不活性ガス供給部、及び不活性ガス供給配管)
不活性ガス供給部247は、不活性ガス供給配管247aに接続され、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)247cを備えている。不活性ガス供給配管247aには上流方向から順に、不活性ガス供給源247b、MFC247cが設けられている。なお、不活性ガス供給部247に不活性ガス供給源247bを含めても良い。
【0033】
不活性ガス供給源247bは、不活性ガスが供給される。不活性ガスは、例えば窒素(N2)ガスである。
【0034】
不活性ガス供給配管247aは、第四バルブ252dを介して接続部254と接続されている。これにより不活性ガス供給部247から供給された不活性ガスが、共通ガス供給配管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0035】
なお、不活性ガス供給源247bから供給される不活性ガスの圧力は、処理ガス供給源243bから供給される供給ガスの圧力よりも大きい。また、接続部254に供給される不活性ガスの圧力は、処理ガスの圧力よりも大きい。不活性ガス供給源247bから供給される不活性ガスは、基板処理工程では、処理容器202やシャワーヘッド230内に留まったガスをパージするパージガスとして作用する。
【0036】
また、不活性ガス供給配管247aは、分岐部247eを有する。分岐部247eは、不活性ガス供給部247の下流側に配置されており、後述するバイパス配管249aと接続されている。
【0037】
(バイパス配管)
バイパス配管249aは、第一バルブ252aと、第五バルブ252eと、第六バルブ252fと、分岐部249eとを有している。また、バイパス配管249aは、不活性ガス供給配管247aの分岐部247eに第一バルブ252aを介して接続され、処理ガス供給配管243aの分岐部243eに第五バルブ252eを介して接続される。また、バイパス配管249aは、第六バルブ252fを介して後述する第二排気部263と接続される。なお、第一バルブ252a、第五バルブ252e、及び第六バルブ252fは、それぞれ分岐部249eを介してバイパス配管249aに設けられている。すなわち、バイパス配管249aは、分岐部249eにより三方に分岐する配管である。
【0038】
(第一排気部)
第一排気部262は、接続部254に接続され、ガス供給部240における配管の内部のガスを排気する部分である。言い換えれば、第一排気部262は、処理ガス供給配管243aに設けられている。なお、第一排気部262は、本開示に係る排気部の一例である。
【0039】
より具体的には、第一排気部262は、処理ガス排気配管の一例である第一処理ガス排気配管262aを有しており、第一処理ガス排気配管262aの一端が接続部254に、他端が後述する処理室排気部261と接続されている。また、第一処理ガス排気配管262aは、第七バルブ252gを有している。
【0040】
第一処理ガス排気配管262aは、第七バルブ252gを介し接続部254と接続されており、第七バルブ252gが開弁した場合に、接続部254からガス供給部240における配管の内部のガスが第一処理ガス排気配管262aに流れる。なお、第一処理ガス排気配管262aは、金属製で構成され、内壁に腐食防止の加工がされている。
【0041】
なお、本実施形態における第一排気部262は、処理空間205に残留した残留ガスを排気することが可能とされている。また、第七バルブ252gは、後述するようにシャワーヘッド230内において高温とされた処理ガスの温度に耐えることができる材料で構成されている。
【0042】
ところで、上述のように、第一処理ガス排気配管262aは、接続部254と接続されており、接続部254は、処理ガス供給配管243a及び共通ガス供給配管242とを合わせた配管のうち、シャワーヘッド230に近い側に設けられている。すなわち、本実施形態において第一排気部262は、処理ガス供給配管243a及び共通ガス供給配管242を合わせた配管のうち、シャワーヘッド230に近い側に設けられている。
【0043】
(第二排気部)
第二排気部263は、バイパス配管249aと接続され、ガス供給部240における配管の内部のガスを排気する部分である。
【0044】
より具体的には、第二排気部263は、第二処理ガス排気配管263aを有しており、後述する処理室排気部261と接続されている。また、第二処理ガス排気配管263aは、第七バルブ252gを有している。第二処理ガス排気配管263aは、金属製で構成され、内壁に腐食防止の加工がされている。
【0045】
また、第二処理ガス排気配管263aは、第六バルブ252fを介してバイパス配管249aと接続されている。これにより、ガス供給部240における配管の内部のガスは、第六バルブ252fが開弁した場合に、バイパス配管249aから第二処理ガス排気配管263aに流れる。なお、第六バルブ252fは、後述するようにシャワーヘッド230内において高温とされた処理ガスの温度に耐えることができる材料で構成されている。
【0046】
なお、本実施形態において第二バルブ252bは、一例として開度調整弁である。また、本実施形態において第二バルブ252bを除き、ガス供給部240が有するそれぞれのバルブは、一例として開閉弁である。なお、以後の説明において、第一バルブ252aから第七バルブ252gを特に区別しない場合は、単にバルブ252と称す。
【0047】
(排気部)
処理容器202の雰囲気を排気する排気部は、処理空間205の雰囲気を排気する処理室排気部261で主に構成される。
【0048】
処理室排気部261は、排気管261aとバルブ261b、APC(AutoPressure Controller)261c、圧力検出部261dを有する。排気管261aは、処理空間205に連通するよう設けられる。排気管261aには、処理空間205内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC261c、処理空間205の圧力を計測する第一の圧力検出部261dが設けられる。APC261cは開度調整可能な弁体(図示せず)を有し、後述するコントローラ280からの指示に応じて排気管261aのコンダクタンスを調整する。また、排気管261aにおいてAPC261cの上流側にはバルブ261bが設けられる。
【0049】
排気管261aの下流側には、DP(Dry Pump。ドライポンプ)278が設けられる。DP278は、排気管261aを介して、処理空間205の雰囲気を排気する。
【0050】
また、本実施形態における処理室排気部261は、第一排気部262及び第二排気部263と接続されている。より具体的には、図1に示されるように、排気管261aのAPC261cの下流側には、第一処理ガス排気配管262aと、第二処理ガス排気配管263aと、が接続されている。なお、図1において、第一処理ガス排気配管262a及び第二処理ガス排気配管263aは、それぞれ配管の途中の図示を省略している。
【0051】
このように、本実施形態におけるDP278は、排気管261aを介して第一処理ガス排気配管262a及び第二処理ガス排気配管263aと接続されている。このため、DP278は、第一処理ガス排気配管262a及び第二処理ガス排気配管263aを介して、ガス供給部240における配管内部のガスを排気する。
【0052】
(コントローラ)
次に、図2を用いて、本実施形態における制御部の一例であり、基板処理装置200の各部の動作を制御するコントローラ280について説明する。図2は、本開示の実施形態に係る基板処理装置のコントローラを説明する図である。
【0053】
基板処理装置200は、基板処理装置200の各部の動作を制御するコントローラ280を有している。コントローラ280は、図2に記載のように、演算部(CPU)280a、一時記憶部(RAM)280b、記憶部280c、I/Oポート280dを少なくとも有する。コントローラ280は、I/Oポート280dを介して基板処理装置200の各構成に接続され、送受信部283を介して上位コントローラ(上位装置)270や使用者の指示に応じて記憶部280cからプログラムやレシピを呼び出し、その内容に応じて各構成の動作を制御する。基板処理装置200の各構成には、昇降機構218,318が含まれる。コントローラ280は、後述する図3図6の説明において記載する各工程(基板を搬入する工程~基板を搬出する工程)を実施するための手順が記載されたプログラムを実施することで、昇降機構218,318の動作を制御することができるように構成されている。
【0054】
また、コントローラ280は、前述の処理室排気部261及び、バルブ252と接続されている。すなわち、コントローラ280は、後述する図3図6の説明において記載する各工程(基板を搬入する工程~基板を搬出する工程)を実施するための手順が記載されたプログラムを実施することで、処理室排気部261、バルブ252の動作を制御可能に構成されている。すなわち、コントローラ280は、処理ガス供給配管243a内の残留ガスを第一排気部262から排気するよう制御可能とされており、また、処理容器202内の残留ガスを処理室排気部261から排気するよう制御可能とされている。
【0055】
また、コントローラ280は、前述の検知部243dと接続されており、処理ガス供給配管243aの内部のガスの濃度を測定する。
【0056】
また、コントローラ280は、後述する各工程においてガス供給部240から配管の内部のガスを排気する時間である、残留ガス排気時間を計測する。より具体的には、CPU280aは、コントローラ280が排気処理を実行した時点から経過した時間を排気処理が完了するまで計測する。そしてCPU280aは、記憶部280cに格納されたあらかじめ定められた閾値を取得し、あらかじめ定められた閾値と、残留ガス排気時間とを比較し、残留ガス排気時間が閾値よりも長い場合に、排気異常と判定する。
【0057】
また、本実施形態におけるコントローラ280には、一例としてタッチパネルである入出力装置281が接続されている。この入出力装置281は、コントローラ280から出力された情報を表示する機能を有している。コントローラ280は、CPU280aが排気異常を判定した場合に、入出力装置281に排気異常が生じていることを表示させるよう制御を行う。すなわち、本実施形態において入出力装置281は、表示部の一例であり、排気異常が生じていることを表示させることは、通知を行うことの一例である。
【0058】
なお、本実施形態におけるコントローラ280は、排気異常が生じていると判定した場合に、記憶部280cに排気異常を記録する。言い換えれば、記憶部280cは、コントローラ280から排気異常が通知された場合に、排気異常の履歴を記憶する。
【0059】
なお、本実施形態におけるコントローラ280は、残留ガス排気時間が記憶部280cに記憶された閾値よりも短い場合においては、入出力装置281に通知を行わない。
【0060】
なお、コントローラ280は、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)282を用意し、外部記憶装置282を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、本実施形態に係るコントローラ280を構成することができる。また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置282を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用いても良いし、上位装置270から送受信部283を介して情報を受信し、外部記憶装置282を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。また、入出力装置281を用いて、コントローラ280に指示をしても良い。
【0061】
なお、記憶部280cや外部記憶装置282は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部280c単体のみを含む場合、外部記憶装置282単体のみを含む場合、又は、その両方を含む場合がある。
【0062】
(半導体装置の製造方法)
次に、半導体装置の製造方法の一工程を説明する。ここでは、基板100上にSiO2膜を形成する膜形成工程を説明する。以下の説明において、基板処理装置200を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0063】
(基板を搬入する工程)
図1の基板処理装置200において、ゲートバルブ149を開いて、基板搬入出口148から処理容器202の下部容器202b内の基板100を搬入する。基板100は、基板載置台212に配置された貫通孔214を通して基板載置台212の表面から突き出した複数のリフトピン207の上に載置される。ゲートバルブ149が閉じられる。その後、基板載置台212が上昇し、基板100が基板載置台212に載置される。そして、基板載置台212が基板処理位置で停止し、次に、複数のリフトピン207が貫通孔214内で基板100に触れない位置に移動される。これにより、基板載置台212の貫通孔214が複数のリフトピン207で塞がれるように構成されている。基板100は図1に記載されている状態とされている。
【0064】
なお、この状態においては、図1、及び図3に示されるように、ガス供給部240におけるそれぞれのバルブ252は、閉弁された状態とされている。
【0065】
なお、図1、及び図3に示される状態において、バイパス配管249a及び処理ガス供給配管243aの内部は、処理ガス源から供給される処理ガスの圧力、及び不活性ガス供給源247bから供給される不活性ガスの圧力よりも低圧とされている。言い換えれば、バイパス配管249aは、あらかじめ第二排気部263によって真空引きされており、処理ガス供給配管243aは、あらかじめ第一排気部262によって真空引きされている。
【0066】
また、図1、及び図3に示される状態において、コントローラ280は、DP278を駆動させると共に、APC216cの開度をあらかじめ定めた開度としている。また、コントローラ280は、バルブ261bを開弁した状態としている。すなわち、処理容器202の内部は、真空引きされている。
【0067】
(処理ガスを供給する工程)
処理ガスを供給する工程では、コントローラ280は、図4に示されるように、第二バルブ252b及び第三バルブ252cを開弁する。これにより、処理ガスは、処理ガス供給部243の処理ガス供給源243bから処理ガス供給配管243aを通って処理容器202に供給される。
【0068】
(基板100を処理する工程)
続いて、図4に示されるように、基板100を処理する工程においては、コントローラ280は、処理ガスをシャワーヘッド230から処理容器202内の基板100に向かって吹き付ける。そしてコントローラ280は、基板100が処理ガスに曝露した状態をあらかじめ定められた時間だけ保つ。これにより、基板100上には、SiO2膜が形成される。
【0069】
(不活性ガスをパージする工程)
続いて、図5に示されるようにコントローラ280は、第一バルブ252a、第四バルブ252d、第五バルブ252eを開弁する。これにより、不活性ガスは、接続部254から、共通ガス供給配管242を通って処理容器202内に流れる。これにより、接続部254から処理容器202までの空間は、不活性ガスによってパージされる。
【0070】
また、図5に示されるように、本実施形態におけるコントローラ280は、第二バルブ252bが開弁された状態を保つことにより、処理ガス供給配管243aにおける第二バルブ252bから分岐部243eまでを処理ガスを溜める。これにより、コントローラ280は、処理ガス供給配管243aにおける第二バルブ252bから分岐部243eの間にガスバリア243fを形成する。
【0071】
また、上述のように、本実施形態においてバイパス配管249aの内部は、基板100を処理工程するまで不活性ガスの圧力よりも低圧とされていたため、不活性ガスは、第一バルブ252aを通ってバイパス配管249aに流れる。また、同様に処理ガス供給配管243aの内部の不活性ガスは、第四バルブ252dを通ってバイパス配管249aに流れる。このため、処理ガス供給配管243aの内部は、不活性ガス供給配管247aの内部よりも低圧となるため、不活性ガスは、接続部254から処理ガス供給配管243aの上流に向かって流れる。これにより、処理ガス供給配管243aの内部は、不活性ガスによってパージされる。
【0072】
なお、図5に示されるように、処理ガス供給配管243aにおける第二バルブ252bから分岐部243eまでには、ガスバリア243fが形成されている。また、図5に示されるように処理ガス供給配管243aの下流側から分岐部243eに向かって不活性ガスが流れるため、ガスバリア243fの部分では、処理ガスの圧力が高まる。このため、処理ガス供給配管243aにおける第二バルブ252bから分岐部243eまでの部分では、不活性ガスが処理ガスに混ざりにくい。
【0073】
(残留ガスを排気部から排気する工程)
続いて、コントローラ280は、第二バルブ252bを閉弁して、処理ガスの供給を停止する。
【0074】
また、コントローラ280は、第二バルブ252bを閉弁した後、第一バルブ252a、第四バルブ252d、及び第五バルブ252eを閉弁して、不活性ガスの接続部254及びバイパス配管249aへの供給を停止する。
【0075】
また、コントローラ280は、図6に示されるように、第一バルブ252a、第四バルブ252d、及び第五バルブ252eを閉弁した後、第六バルブ252f、及び第七バルブ252gを開弁する。そしてコントローラ280は、処理ガス供給配管243a及び処理容器202の内部に残留した残留ガス(処理ガスと不活性ガスとが混合したガス)を、第一排気部262から排気する。また、コントローラ280は、バイパス配管249aの内部に残留した残留ガスを、第二排気部263から排気する。
【0076】
そして、コントローラ280は、処理ガス供給配管243aの内部の残留ガスを排気した後(残留ガスの濃度が、あらかじめ定められた閾値以下となったことを確認した後)、第七バルブ252gを閉弁する。また、コントローラ280は、バイパス配管249aの内部の残留ガスを排気した後、第六バルブ252fを閉弁する。なお、第六バルブ252f及び第七バルブ252gを閉弁する時期は、異なっていてもよい。すなわち、コントローラ280は、処理ガス供給配管243aの内部の残留ガスが排気されたことを確認すれば、バイパス配管249aの内部に残留ガスが残留した状態においても、第七バルブ252gを閉弁し、次の工程に移行してもよい。
【0077】
(基板100を搬出する工程)
そして、基板載置台212及び複数のリフトピン207は、基板搬送位置に移動し、基板100が基板載置台212の表面から突き出した複数のリフトピン207の上に載置される。次に、基板処理装置200のゲートバルブ149が開かれて、基板搬入出口148から処理容器202内の基板100が処理容器202の外部へ搬出される。その後、ゲートバルブ149が閉じられて、基板処理工程が終了する。搬出された基板100は、次の処理工程へ搬送される。
【0078】
そして、上述の工程を繰り返すことにより、基板100が次々と処理される。
【0079】
なお、上述の残留ガスを排気部から排気する工程において、コントローラ280は、第七バルブ252gを開弁させると共に、残留ガス排気時間の計測を始める。また、コントローラ280は、記憶部280cに格納され、あらかじめ定められた閾値と、残留ガス排気時間を比較し、排気異常の判定を行う。そしてコントローラ280は、排気異常が生じていると判定した場合に、入出力装置281に排気の異常を表示させる。
【0080】
続いて、本実施形態による基板処理装置200の作用及び効果を説明する。
【0081】
(作用及び効果)
本実施形態に係る基板処理装置200によれば、処理ガス供給配管243aの内部に残留した処理ガスは、第一排気部262から排気される。
【0082】
ここで、本実施形態に係る基板処理装置200では、処理ガス供給配管243aに第一排気部262を設けることにより、処理室を介さずに処理ガス供給配管243a内の残留ガスを排気し、基板100の処理サイクルタイムを短縮する。
【0083】
したがって、本実施形態に係る基板処理装置200によれば、処理室へ処理ガスを供給する処理ガス供給配管243aの内部に残留した処理ガスを、処理室を通して排気する構成と比べ、速やかに排気することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る基板処理装置200では、第一排気部262は、処理ガス供給配管243aにおける、処理ガス源よりも処理容器202側に近い位置に接続されている。このため、本実施形態に係る基板処理装置200によれば、処理ガス供給配管243aの内部に残留したガスだけではなく、処理容器202内のシャワーヘッド230の処理ガス供給側の残留ガスも排気しやすい。
【0085】
また、本実施形態に係る基板処理装置200では、第一排気部262は、処理ガス供給配管243aに接続される第一処理ガス排気配管262aを有する。このため、本実施形態に係る基板処理装置200によれば、処理ガス供給配管243aの内部の残留ガスを第一排気部262から速やかに排気することができる。
【0086】
また、本実施形態に係る基板処理装置200では、第一処理ガス排気配管262aは、第七バルブ252gを有する。このため、本実施形態に係る基板処理装置200によれば、処理ガス供給配管243aの内部の残留ガスを排気する制御をすることができる。
【0087】
また、本実施形態に係る基板処理装置200では、第一バルブ252aは、処理ガスの温度に耐えることができる材料で構成される。このため、本実施形態に係る基板処理装置200によれば、処理ガスにより第一バルブ252aが高温状態となった場合でも正常に動作する。
【0088】
また、本実施形態に係る基板処理装置200では、第一処理ガス排気配管262aは、金属製で構成され、内壁に腐食防止の加工がされている。このため、本実施形態に係る基板処理装置200によれば、第一処理ガス排気配管262aが処理ガスによる腐食に耐える。
【0089】
また、本実施形態に係る基板処理装置200では、処理ガス供給配管243aの内部に残留した残留ガスを検知する検知部243dをさらに備えている。また、コントローラ280は、処理ガス供給配管243aから残留ガスを排気する残留ガス排気時間を計測し、残留ガス排気時間があらかじめ定められた閾値を超えた場合に排気異常の通知を行う。
【0090】
本実施形態の基板処理装置200によれば、検知部243dが残留ガスを検知することによって、残留ガス排気時間を明確に計測することができる。またこれにより、本実施形態の基板処理装置200によれば、作業者に処理ガスが排気されたことを知らせることができる。
【0091】
また、本実施形態に係る基板処理装置200は、閾値を記憶する記憶部280cをさらに備えている。またコントローラ280は、記憶部280cより取得した閾値と残留ガス排気時間とを比較することで、異常判定を行う。
【0092】
本実施形態の基板処理装置200によれば、作業者がコントローラ280に対して都度閾値の設定を行うことがなくなり、作業者が誤った閾値の設定を行うことを回避することができる。
【0093】
また、本実施形態に係る基板処理装置200では、記憶部280cは、コントローラ280から排気異常が通知された場合に、排気異常の履歴を記憶する。このため、本実施形態に係る基板処理装置200によれば、過去に発生した排気する工程の異常を作業者が確認することができる。
【0094】
また、本実施形態に係る基板処理装置200は、基板100の処理状態を表示する表示部をさらに備える。また、コントローラ280は、排気異常が通知された場合に、排気異常を表示部に表示する。このため、本実施形態に係る基板処理装置200によれば、排気する工程で異常が発生した場合に、作業者が異常の確認を行いやすい。
【0095】
また、本実施形態に係る基板処理装置200では、コントローラ280は、残留ガス排気時間が閾値に満たない場合は通知を行わない。このため、本実施形態に係る基板処理装置200によれば、不要な通知によって発生する、基板処理を行う作業者の負担が低減される。
【0096】
また、本実施形態に係る基板処理装置200では、第一排気部262は、処理容器202内の残留ガスを排気することが可能とされている。
【0097】
処理容器202の上部側には処理ガスを供給する共通ガス供給配管242が設けられ、共通ガス供給配管242から供給された処理ガスを処理容器202内のシャワーヘッド230を介して処理空間205に均一に供給する。しかし、シャワーヘッド230が有するバッファ空間234に滞留するガスは処理空間205を介して短時間での排気を行うことは難しい。処理容器202近傍に設けられた第一排気部262によりシャワーヘッド230内の残留ガスを排気することで、処理容器202から排気を行うよりも短時間で排気を行うことができる。
【0098】
また、本実施形態に係る基板処理装置200では、コントローラ280は、処理容器202内の残留ガスを排気するよう第一排気部262を制御可能とされている。このため、本実施形態に係る基板処理装置200によれば、コントローラ280が処理容器202内の残留ガスの排気を自動で行うため、基板処理を行う作業者の負担が低減される。
【0099】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、処理ガス供給配管243aの内部に残留した処理ガスは、第一排気部262から排気される。
【0100】
ここで、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、処理ガス供給配管243aに第一排気部262を設けることにより、処理室を介さずに処理ガス供給配管243a内の残留ガスを排気し、基板100の処理におけるサイクルタイムを短縮する。
【0101】
したがって、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、処理室へ処理ガスを供給する処理ガス供給配管243aの内部に残留した処理ガスを、処理室を通して排気する製造方法と比べ、速やかに排気することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、第一排気部262は、処理ガス供給配管243aにおける、処理ガス供給部243側よりも処理容器202側に近い位置に設けられている。また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、排気する工程では、さらに処理容器202内の残留ガスを第一排気部262から排気する。
【0103】
本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、処理ガス供給配管243aの内部に残留したガスだけではなく、処理容器202内のシャワーヘッド230の処理ガス供給側の残留ガスも排気しやすい。
【0104】
また、本実施形態に係るプログラムは、基板100を処理する処理ガスを処理ガス供給配管243aに接続される処理ガス供給部243から基板100を処理する処理容器202に供給する手順と、を、コントローラ280に実行させる。また、本実施形態に係るプログラムは、処理容器202内で基板100を処理する手順と、を、コントローラ280に実行させる。そして、本実施形態に係るプログラムは、処理ガス供給配管243aに設けた第一排気部262によって、処理ガス供給配管243a内の残留ガスを第一排気部262から排気する手順と、をコントローラ280に実行させる。
【0105】
本実施形態に係るプログラムによれば、処理ガス供給配管243aの内部に残留した処理ガスは、第一排気部262から排気される。
【0106】
上述のように、本実施形態に係る基板処理装置200では、処理ガス供給配管243aに第一排気部262を設けることにより、処理室を介さずに処理ガス供給配管243a内の残留ガスを排気し、基板100の処理サイクルタイムを短縮する。
【0107】
したがって、本実施形態に係るプログラムによれば、処理室へ処理ガスを供給する処理ガス供給配管243aの内部に残留した処理ガスを、処理室を通して排気する処理を実行させるプログラムと比べ、速やかに排気することができる。
【0108】
また、本実施形態に係るプログラムは、排気する手順では、第一排気部262から、さらに処理容器202内の残留ガスを排気させることをコントローラ280に実行させる。
【0109】
このため、本実施形態に係るプログラムによれば、処理ガス供給配管243aの内部に残留したガスだけではなく、処理容器202内のシャワーヘッド230の処理ガス供給側の残留ガスも排気しやすい。
【0110】
(変形例)
なお、上述の説明において、第一排気部262は、処理ガス供給配管243aにおける処理ガス供給部243側よりも処理容器202に近い位置に設けられているとしたが、本実施形態に係る基板処理装置200は、これに限られない。例えば、処理ガス供給配管243a内の残留ガスを第一排気部262から排気することが可能とされていれば、接続部254は、処理容器202側よりも処理ガス供給部243に近い位置に設けられていてもよい。
【0111】
また、上述の説明において、第一排気部262は、第一処理ガス排気配管262aを有していたが、本実施形態に係る基板処理装置200は、これに限られない。例えば、処理ガス供給配管243a内の残留ガスを排気することが可能とされていれば、第一排気部262は、第一処理ガス排気配管262aを有さずに、外部に排気してもよい。
【0112】
また、上述の説明において、処理ガス供給配管243aには、検知部243dが設けられていたが、本実施形態に係る基板処理装置200は、これに限られない。例えば、コントローラ280は、計測された排気時間があらかじめ定められた閾値を超えた場合に、処理ガス供給配管243aの内部の残留ガスが排気されたと判定してもよい。
【0113】
また、上述の説明において、コントローラ280は、排気時間があらかじめ定められた閾値を超えた場合に、排気異常の通知を行っていたが、本実施形態に係る基板処理装置200は、これに限られない。例えば、コントローラ280は、排気異常の通知を行わなくてもよい。
【0114】
また、上述の説明において、コントローラ280は、排気異常が生じた場合に、排気異常の履歴を記憶部280cに記憶していたが、本実施形態に係る基板処理装置200は、これに限られない。例えば、コントローラ280は、排気異常が生じた場合においても排気異常の履歴を記憶しなくてもよい。
【0115】
また、上述の説明において、コントローラ280は、排気異常が生じた場合に、排気異常を入出力装置281に表示させていたが、本実施形態に係る基板処理装置200は、これに限られない。例えば、コントローラ280は、排気異常が生じた場合においても、排気異常を入出力装置281に表示させなくてもよい。
【0116】
また、上述の説明において、第一排気部262は、処理室の内部の残留ガスを排気可能とされていたが、本実施形態に係る基板処理装置200は、これに限られない。例えば、第一排気部262は、処理ガス供給配管243aの内部の残留ガスを排気することが可能とされていれば、処理室の内部の残留ガスについては排気することが可能とされていなくてもよい。
【0117】
これらの変形例においても、処理容器202へ処理ガスを供給する処理ガス供給配管243aの内部に残留した処理ガスを、処理室を通して排気する構成と比べ、速やかに排気することができる。また、上述の態様や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の態様や変形例の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【0118】
また、上述の態様では、一度に1枚又は数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、例えば、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。また、上述の態様では、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【0119】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の態様や変形例と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の態様や変形例と同様の効果が得られる。
【0120】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0121】
100 基板
202 処理容器
243 処理ガス供給部
262 第一排気部(排気部の一例)
262a 第一処理ガス排気配管(処理ガス排気配管の一例)
280 コントローラ(制御部の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6