(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159262
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 37/005 20120101AFI20241031BHJP
B24B 37/12 20120101ALI20241031BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20241031BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20241031BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B24B37/005 A
B24B37/12 D
B24B49/12
B24B37/00 K
H01L21/304 622R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075132
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元木 健順
(72)【発明者】
【氏名】中谷 友哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝雅
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB23
3C158AA07
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
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3C158EB01
3C158EC08
3C158ED00
5F057AA12
5F057AA16
5F057AA32
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5F057BB07
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5F057BB12
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5F057FA02
5F057FA13
5F057FA37
5F057FA42
5F057GA02
5F057GB02
5F057GB13
(57)【要約】
【課題】被加工物を保持する保持テーブルの上方に研磨ユニットを備える研磨装置において、保持テーブル側による高さ調整ではない機構によって、研磨パッドによる加工圧力を可変できる研磨装置を提供すること。
【解決手段】研磨装置1は、被加工物を保持する保持テーブル10と、保持テーブル10の上方に配設され、研磨パッド44をスピンドル41の先端のマウント42に装着してスピンドル41を回転させることによって研磨パッド44を回転させ保持テーブル10に保持された被加工物200を研磨する研磨ユニット40と、各構成要素を制御する制御ユニット50と、を備え、マウント42は、径方向に区画されて独立し、付与される力によって高さ方向に変形する変形室46を有し、制御ユニット50により変形室46に付与する力を制御して研磨パッド44が被加工物200を研磨する研磨面の高さを変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持テーブルと、
該保持テーブルの上方に配設され、研磨パッドをスピンドルの先端のマウントに装着して該スピンドルを回転させることによって該研磨パッドを回転させ該保持テーブルに保持された該被加工物を研磨する研磨ユニットと、
各構成要素を制御する制御ユニットと、を備えた研磨装置であって、
該マウントは、径方向に区画されて独立し、付与される力によって高さ方向に変形する変形室を有し、
該制御ユニットにより該変形室に付与する力を制御して該研磨パッドが該被加工物を研磨する研磨面の高さを変化させることを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
該マウントは、一端が該変形室に連通し他端が空圧源に接続された連通路を有し、空圧による力によって該変形室を変形させることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
該マウントは、該変形室に対応する位置に可動部を有し、該可動部の押圧力によって該変形室を変形させることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項4】
該研磨パッドは、プラテンに接着されていて、該プラテンを介して該マウントに装着され、
該変形室に付与する力が該プラテンを介して該研磨パッドの研磨面の高さを変化させることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項5】
該プラテンは、該マウントの該変形室に対応するように径方向に区画されていることを特徴とする請求項4に記載の研磨装置。
【請求項6】
該マウントは、該変形室に対応する位置に電磁石を有し、
該プラテンは、該電磁石に対応する位置に永久磁石を有し、
電磁力の引力と斥力によって該変形室を変形させることを特徴とする請求項4に記載の研磨装置。
【請求項7】
該マウントは、径方向に区画されて独立し、変形しない非変形室を更に有することを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項8】
該非変形室は、上下に貫通する貫通孔を有して、
該貫通孔を介して、該被加工物の厚さを非接触で測定する測定光、または該被加工物を研磨するための研磨材を導入することを特徴とする請求項7に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持テーブルに保持された被加工物を研磨パッドによって研磨する研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等の板状の被加工物の裏面を研削加工して所定の厚さに仕上げる研削装置によって生じた加工歪みを除去するために、研磨液を用いてCMP加工(Chemical Mechanical Polishing)を施す研磨装置がある。研磨装置は、被加工物を保持する保持テーブルと、保持テーブルの上方に配設され研磨パッドを先端に装着して鉛直方向を回転軸として研磨パッドを回転させるスピンドルを有した研磨ユニットと、で構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、研磨装置においては、被加工物を保持する保持部材の内部に形成した同心円状の環状領域に加圧流体を供給することで被加工物の所定の高さを変化させ、研磨工具による研磨圧力を環状領域ごとに可変させている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-53662号公報
【特許文献2】特開平09-225821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、同一の保持テーブル上の被加工物を、先に研削ユニットの研削ホイールで研削した後、研磨ユニットで研磨をする構成の装置の場合、被加工物を保持する保持テーブル側の高さを変化させて研磨工具による研磨圧力を変える際、研削する際の高さと研磨する際の高さをそれぞれに合わせて調整する必要があり煩わしいという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加工物を保持する保持テーブルの上方に研磨ユニットを備える研磨装置において、保持テーブル側による高さ調整ではない機構によって、研磨パッドによる加工圧力を可変できる研磨装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の研磨装置は、被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルの上方に配設され、研磨パッドをスピンドルの先端のマウントに装着して該スピンドルを回転させることによって該研磨パッドを回転させ該保持テーブルに保持された該被加工物を研磨する研磨ユニットと、各構成要素を制御する制御ユニットと、を備えた研磨装置であって、該マウントは、径方向に区画されて独立し、付与される力によって高さ方向に変形する変形室を有し、該制御ユニットにより該変形室に付与する力を制御して該研磨パッドが該被加工物を研磨する研磨面の高さを変化させることを特徴とする。
【0008】
該マウントは、一端が該変形室に連通し他端が空圧源に接続された連通路を有し、空圧による力によって該変形室を変形させてもよい。
【0009】
該マウントは、該変形室に対応する位置に可動部を有し、該可動部の押圧力によって該変形室を変形させてもよい。
【0010】
該研磨パッドは、プラテンに接着されていて、該プラテンを介して該マウントに装着され、該変形室に付与する力が該プラテンを介して該研磨パッドの研磨面の高さを変化させてもよい。
【0011】
該プラテンは、該マウントの該変形室に対応するように径方向に区画されてもよい。
【0012】
該マウントは、該変形室に対応する位置に電磁石を有し、該プラテンは、該電磁石に対応する位置に永久磁石を有し、電磁力の引力と斥力によって該変形室を変形させてもよい。
【0013】
該マウントは、径方向に区画されて独立し、変形しない非変形室を更に有してもよい。
【0014】
該非変形室は、上下に貫通する貫通孔を有して、該貫通孔を介して、該被加工物の厚さを非接触で測定する測定光、または該被加工物を研磨するための研磨材を導入してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、スピンドルに装着されるマウントが、径方向に区画されて独立し、付与される力によって高さ方向に変形する変形室を有し、変形室に付与する力を制御して研磨パッドが被加工物を研磨する研磨面の高さを変化させることができるため、被加工物を保持する保持テーブルの上方に研磨ユニットを備える研磨装置において、保持テーブル側による高さ調整ではない機構によって、研磨パッドによる加工圧力(研磨圧)を可変できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る研磨装置を含む研削研磨装置の構成例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1の研磨装置の動作処理の一例を説明する断面図である。
【
図7】
図7は、
図1の研磨装置の動作処理の一例を説明する断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る研磨装置の要部を示す側断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る研磨装置の要部を示す上面図である。
【
図10】
図10は、実施形態3に係る研磨装置の要部を示す側断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態3に係る研磨装置の要部を示す上面図である。
【
図12】
図12は、実施形態4に係る研磨装置の要部を示す側断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態5に係る研磨装置の要部を示す側断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態6に係る研磨装置の要部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0018】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る研磨装置1を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る研磨装置1を含む研削研磨装置100の構成例を示す斜視図である。
図2及び
図3は、いずれも、
図1の研磨装置1の要部を示す斜視図である。
図4は、
図1の研磨装置1の要部を示す側断面図である。
図5は、
図1の研磨装置1の要部を示す上面図である。研削研磨装置100は、
図1に示すように、保持テーブル10と、ターンテーブル20と、2つの研削ユニット30(第1研削ユニット30-1及び第2研削ユニット30-2)と、研磨ユニット40と、制御ユニット50と、カセット61,62と、位置合わせユニット63と、搬入ユニット64と、搬出ユニット65と、洗浄ユニット66と、搬出入ユニット67と、を備える。実施形態1に係る研磨装置1は、研削研磨装置100の各構成要素のうち、保持テーブル10と、研磨ユニット40と、制御ユニット50のうち保持テーブル10及び研磨ユニット40の動作処理の制御に関する部分等と、を含んで構成される。
【0019】
実施形態1に係る研磨装置1の研磨加工の対象であり、
図1の研削研磨装置100の研削加工及び研磨加工の対象である被加工物200は、
図1に示すように、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素などを母材とする円板状の半導体デバイスウェーハや光デバイスウェーハなどのウェーハである。被加工物200は、平坦な表面の格子状に形成される複数の分割予定ラインによって区画された領域にデバイスが形成されていてもよい。被加工物200は、表面に粘着テープや樹脂シートが貼着されて、デバイスが粘着テープや樹脂シートにより保護されていてもよい。被加工物200は、このようにデバイスが形成されている場合、デバイスが形成された側の裏側の面が、研削研磨装置100により研削及び研磨されて、その後に不図示の切削装置等により分割予定ラインに沿って切削されて分割されることにより、デバイスのチップが製造される。被加工物200は、本発明ではこれに限定されず、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0020】
保持テーブル10は、
図4に示すように、凹部が形成された円盤状の枠体11と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の吸着部12と、を備える。保持テーブル10の吸着部12は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から形成され、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。保持テーブル10の吸着部12の上面は、被加工物200が載置されて、真空吸引源から導入される負圧により、載置された被加工物200を下方側から吸引保持する保持面13である。保持面13は、本実施形態では、被加工物200の被加工面を上方に向けて載置され、載置された被加工物200を被加工面の裏側の面側から吸引保持する。
【0021】
保持面13と保持テーブル10の枠体11の上面とは、実施形態1では、同一平面上に配置されており、水平面であるXY平面に平行に形成されているが、本発明ではこれに限定されず、例えば中心を頂点とし外周が僅かに低い円錐面状に形成されていてもよい。保持テーブル10は、ターンテーブル20により水平面と平行な円形軌道に沿って移動自在に設けられている。保持テーブル10は、枠体11及び吸着部12の下方に回転駆動源14が設けられており、回転駆動源14により、ターンテーブル20に対して独立に、所定の回転軸回りに回転自在に設けられている。保持テーブル10の回転軸は、実施形態1では、鉛直方向に平行でかつXY平面に直交するZ軸に平行であるが、本発明ではこれに限定されず、鉛直方向に対して所定の範囲内の傾斜角だけ傾斜して(させて)もよい。
【0022】
ターンテーブル20は、
図1に示すように、平面視で保持テーブル10よりも大きな円板状のテーブルであり、装置本体の上面に水平面内で回転自在に設けられ、所定のタイミングで回転駆動される。ターンテーブル20上には、実施形態1では例えば4つの保持テーブル10が、例えば90°の位相角で等間隔に配設されている。ターンテーブル20上に配設されたこれらの4つの保持テーブル10は、ターンテーブル20の回転によって、搬入搬出位置301、第1研削位置302、第2研削位置303、研磨位置304、搬入搬出位置301に順次移動される。
【0023】
第1研削ユニット30-1と、第2研削ユニット30-2とは、概ね同じ構成を有する。なお、第1研削ユニット30-1と、第2研削ユニット30-2とについて、同じ構成の部分を説明する際や、特に区別しない場合には、研削ユニット30と略記する。研削ユニット30は、
図1に示すように、スピンドル31と、研削ホイール32と、研削送りユニット33と、を有する。スピンドル31は、鉛直方向(Z軸方向)に平行な軸心回りに回転可能に設けられ、下端に着脱可能に装着された研削ホイール32を鉛直方向に平行な軸心回りに回転可能に支持する。研削ホイール32は、下面に研削砥石を環状に配置している。研削ホイール32が環状に配置している研削砥石は、本実施形態では、例えば、ダイヤモンド、cBN(cubic Boron Nitride)等の砥粒を、メタルボンド、レジンボンド、ビトリファイドボンド等のボンド材(結合材)で固定することによって形成されている。
【0024】
研削送りユニット33は、研削ユニット30のスピンドル31及びスピンドル31に装着された研削ホイール32を保持テーブル10及び保持テーブル10に保持された被加工物200に対して研削送り方向(鉛直方向と平行なZ軸方向)に沿って相対的に移動させる研削送りをすることにより、スピンドル31及び研削ホイール32と保持テーブル10及び保持テーブル10に保持された被加工物200とを相対的に研削送り方向に沿って接近および離間させる。
【0025】
研削送りユニット33は、例えば、
図1に示すように、モータと、ボールねじと、ガイドと、を有する公知のボールねじ機構である。研削送りユニット33は、Z軸の軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるモータと、スピンドル31をZ軸方向に移動自在に支持するガイドと、を有して構成されている。研削送りユニット33は、制御ユニット50により、モータの駆動が制御されることにより、研削送り速度や研削送り量等が制御される。
【0026】
第1研削ユニット30-1と第2研削ユニット30-2とは、第1研削ユニット30-1のスピンドル31が、第1研削位置302に位置付けられた保持テーブル10の保持面13に鉛直方向に対向するように配置されている一方で、第2研削ユニット30-2のスピンドル31が、第2研削位置303に位置付けられた保持テーブル10の保持面13に鉛直方向に対向するように配置されている点と、第1研削ユニット30-1の研削ホイール32が環状に配置している研削砥石を形成する砥粒の粒径と、第2研削ユニット30-2の研削ホイール32が環状に配置している研削砥石を形成する砥粒の粒径と、が異なってもいい点とで、互いに異なる。
【0027】
研削研磨装置100は、実施形態1では、例えば、第2研削ユニット30-2の研削ホイール32が環状に配置している研削砥石を形成する砥粒の粒径が、第1研削ユニット30-1の研削ホイール32が環状に配置している研削砥石を形成する砥粒の粒径よりも小さく、このため、第1研削ユニット30-1により被加工物200に対して粗研削を実施し、その後、第2研削ユニット30-2により被加工物200に対して仕上げ研削を実施する。
【0028】
なお、研削ホイール32が環状に配置している研削砥石を形成する砥粒の粒径の表し方には、幾何学的径、相当径等の既知の手法がある。幾何学的径には、フェレー(Feret)径、定方向最大径(即ち、Krummbein径)、Martin径、ふるい径等があり、相当径には、投影面積円相当径(即ち、Heywood径)、等表面積球相当径、等体積球相当径、ストークス径、光散乱径等がある。また、砥粒の粒径が小さいとは、砥粒の粒径が高番手であることである。砥粒の番手は、粒径が小さくなるに従って大きくなるパラメータである。
【0029】
研磨ユニット40は、
図1に示すように、スピンドル41と、マウント42と、プラテン43と、研磨パッド44と、研磨送りユニット45と、を備える。スピンドル41は、
図1に示すように、鉛直方向(Z軸方向)に平行な軸心回りに回転可能に設けられ、研磨位置304に位置付けられた保持テーブル10の保持面13に鉛直方向に対向するように配置されている。
【0030】
スピンドル41は、
図4に示すように、下端にマウント42が装着される。研磨パッド44は、
図2に示すように、被加工物200を研磨する研磨面とは反対側の面がプラテン43に接着されて、
図4に示すように、プラテン43を介してマウント42に装着され、さらにマウント42を介してスピンドル41の下端に装着される。スピンドル41は、下端に装着されるマウント42、プラテン43及び研磨パッド44を鉛直方向に平行な軸心回りに回転可能に支持する。
【0031】
マウント42とプラテン43とは、実施形態1では、詳細には、
図4に示すように、マウント42に形成された後述する変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれの間の境界部分と、プラテン43に形成された後述するプラテン区画部43-1,43-2,43-3のそれぞれの間の境界部分と、が互いに鉛直方向に沿って対向して配置されており、マウント42のこの各境界部分とプラテン43のこの各境界部分とをプラテン43側から互いに不図示のねじでねじ止めすることにより、プラテン43がマウント42に装着されている。また、研磨パッド44は、被加工物200を研磨する研磨面とは反対側の面に、例えば粘着剤等の粘着性を有する合成樹脂から構成された糊層が形成され、この糊層により、プラテン43の下面に接着される。
【0032】
マウント42及びプラテン43は、いずれも、両面が概ね平坦な円板状の部材である。実施形態1では、マウント42及びプラテン43は、直径が誤差の範囲内で同じ長さに形成されている。実施形態1では、マウント42は、プラテン43よりも厚く形成されており、プラテン43は、マウント42よりも薄く形成されている。また、実施形態1では、マウント42及びプラテン43の互いの中心が平面視で一致するように、鉛直方向に配列されて、マウント42にプラテン43が装着されて固定される。マウント42は、実施形態1では、後述する変形室46を構成する部分を除き、例えば、SUS316L等のステンレス鋼やアルミニウム等の金属で形成されている。プラテン43は、実施形態1では、例えばポリ塩化ビニル(塩ビ)や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のプラスチック材料で形成されている。
【0033】
マウント42は、
図4に示すように、スピンドル41に装着される側とは反対側、すなわち、プラテン43及び研磨パッド44が装着される下側に、変形室46を有する。変形室46は、円周状の境界によって互いに径方向に区画されて独立して複数形成されている。変形室46は、実施形態1では、
図4及び
図5に示すように、径方向に3分割されて、具体的には、内周側に形成された平面視で略円形状の変形室46-1と、変形室46-1の外周側全周を囲繞する平面視で円環形状の変形室46-2と、外周側に形成され、変形室46-2の外周側全周を囲繞する平面視で円環形状の変形室46-3と、を有する。なお、変形室46-1,46-2,46-3について、同じ構成の部分を説明する際や、特に区別しない場合には、変形室46と略記する。変形室46は、実施形態1では、3つ形成されているが、本発明ではこれに限定されず、いくつ形成されてもよい。また、各変形室46のサイズ、すなわち内径及び外径は、本発明では特に限定されず、適宜変更できる。
【0034】
変形室46は、それぞれ、付与される力によって鉛直方向(Z軸方向)に平行な高さ方向に変形する。変形室46は、実施形態1では、マウント42の主要部分とは別に、弾性部材で形成されている。変形室46を形成する弾性部材は、クロロプレンゴムやフッ素ゴム、シリコンゴム等のゴム部材である。変形室46は、このようなゴム部材で形成されるため、例えば、研磨装置1を使用する室温(例えば、25℃)における静的弾性率(ヤング率)が0.5MPa以上10MPa以下であり、好ましくは1MPa以上5MPa以下であり、変形室46に付与される力の変化に応じて数μm程度上下方向に変形できる。ここで、静的弾性率(ヤング率)は、日本工業規格のJIS R 1602:1995に従う方法で測定される。
【0035】
変形室46は、いずれも、上面側が変形室46と比較して十分剛体のマウント42の本体部分であり、それぞれに付与される力に応じて、それぞれ下方側を、概ね研磨パッド44の研磨面に対して垂直な鉛直方向に沿って変形する。変形室46は、実施形態1では、内部の空間の圧力に応じて、それぞれの内部の空間を膨張もしくは圧縮させる方向に沿って変形する。
【0036】
マウント42は、実施形態1では、
図4に示すように、一端がそれぞれ変形室46-1,46-2,46-3に連通し、他端がそれぞれ圧力コントローラ72-1,72-2,72-3と開閉弁73-1,73-2,73-3とを介して、空圧源74に接続された連通路71-1,71-2,71-3を有する。連通路71-1,71-2,71-3は、
図4に示すように、マウント42内、スピンドル41内及びスピンドル41の上端に設けられたロータリージョイント75内にわたって形成され、マウント42側の一端がそれぞれ変形室46-1,46-2,46-3に連通し、ロータリージョイント75側の他端がそれぞれ圧力コントローラ72-1,72-2,72-3と開閉弁73-1,73-2,73-3とを介して、空圧源74に接続されている。
【0037】
圧力コントローラ72-1,72-2,72-3は、連通路71-1,71-2,71-3の一端側がそれぞれ連通している変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれの内部の圧力を制御する。圧力コントローラ72-1,72-2,72-3は、例えば、空圧源74から供給される圧縮空気等の高圧ガスの連通先の変形室46-1,46-2,46-3への供給量や、空圧源74から供給された高圧ガスの外部(大気)への排出量を制御することで、連通先の変形室46-1,46-2,46-3の内部の空間の圧力(空圧による力)を制御する。
【0038】
開閉弁73-1,73-2,73-3は、複数の連通路71-1,71-2,71-3のそれぞれの開閉を切り替える。開閉弁73-1,73-2,73-3は、開放に切り替えることで、空圧源74と接続先の変形室46-1,46-2,46-3との間を連通し、連通路71-1,71-2,71-3により空圧源74から供給される高圧ガスを連通先の変形室46-1,46-2,46-3に供給する。開閉弁73-1,73-2,73-3は、閉鎖に切り替えることで、空圧源74と接続先の変形室46-1,46-2,46-3との間の連通を遮断し、連通路71-1,71-2,71-3による空圧源74からの接続先の変形室46-1,46-2,46-3への高圧ガスの供給を停止する。マウント42は、このように、連通路71-1,71-2,71-3を通じた空圧による力の供給が制御されることにより、変形室46-1,46-2,46-3の内部の圧力が制御されて、変形室46-1,46-2,46-3の上下方向の変形(変形量等)が制御される。
【0039】
ロータリージョイント75は、
図4に示すように、円柱状に形成されている。ロータリージョイント75は、スピンドル41の上方、上端に配設され、内部に連通路71-1,71-2,71-3が通り抜けるように形成されており、スピンドル41内を通って設けられている連通路71-1,71-2,71-3による変形室46-1,46-2,46-3と、圧力コントローラ72-1,72-2,72-3及び開閉弁73-1,73-2,73-3を介した空圧源74との間の連通を維持した状態で、スピンドル41をZ軸方向と平行な軸心周りに回転自在な状態を形成する。
【0040】
プラテン43は、
図2に示すように、マウント42の変形室46-1,46-2,46-3に対応するように、円周状の境界によって互いに径方向に区画されて独立して複数のプラテン区画部43-1,43-2,43-3が形成されている。プラテン43は、実施形態1では、
図2及び
図4に示すように、径方向に3分割されて、具体的には、内周側に形成された平面視で略円形状のプラテン区画部43-1と、プラテン区画部43-1の外周側全周を囲繞する平面視で円環形状のプラテン区画部43-2と、外周側に形成され、プラテン区画部43-2の外周側全周を囲繞する平面視で円環形状のプラテン区画部43-3と、を有する。
【0041】
図4に示すように、プラテン区画部43-1,43-2,43-3と、変形室46-1,46-2,46-3とは、互いに対応しており、平面視で概ね同一の形状及び大きさを有して形成され、互いに鉛直方向に沿って対向して配置される。すなわち、プラテン区画部43-1,43-2,43-3は、変形室46-1,46-2,46-3の数に合わせて3つ形成されている。また、プラテン区画部43-1,43-2,43-3は、変形室46-1,46-2,46-3のサイズ、すなわち内径及び外径に合わせて形成されている。
【0042】
プラテン区画部43-1,43-2,43-3のそれぞれの間の境界部分は、実施形態1では、プラテン43の主要部分と同様の材料で構成されながらも、プラテン43の主要部分よりも変形しやすく形成されているか、もしくは、プラテン43の主要部分よりも変形しやすい別種のプラスチック材料や変形室46と同様の弾性部材等で形成されている。プラテン43は、プラテン区画部43-1,43-2,43-3のそれぞれの間の境界部分が、このようにプラテン43の主要部分よりも変形しやすく形成されている場合、プラテン区画部43-1,43-2,43-3が、互いに独立して、概ね研磨パッド44の研磨面に対して垂直な鉛直方向に沿って数μm程度上下方向に変位できる。また、プラテン43は、プラテン区画部43-1,43-2,43-3のそれぞれの間の境界部分が、このようなプラテン43の主要部分とは別種のプラスチック材料で形成されている場合、例えば研磨装置1を使用する室温(例えば、25℃)における静的弾性率(ヤング率)が500MPa以上5000MPa以下であり、好ましくは1000MPa以上4500MPa以下であるので、プラテン区画部43-1,43-2,43-3が、互いに独立して、概ね研磨パッド44の研磨面に対して垂直な鉛直方向に沿って数μm程度上下方向に変位できる。また、プラテン43は、プラテン区画部43-1,43-2,43-3のそれぞれの間の境界部分が、このような変形室46と同様の弾性部材等で形成されている場合、変形室46と同様に、プラテン区画部43-1,43-2,43-3が、互いに独立して、概ね研磨パッド44の研磨面に対して垂直な鉛直方向に沿って数μm程度上下方向に変位できる。
【0043】
研磨パッド44は、実施形態1では、例えば、不織布や、ウレタンなどの弾性を有する樹脂等により形成されたものが使用される。また、研磨パッド44は、固定砥粒を含んでいても含んでいなくてもよい。研磨パッド44は、
図3に示すように、研磨パッド44に供給される研磨材49(
図4参照)の通り道となる溝44-1が形成されていても良い。
【0044】
このような研磨ユニット40では、マウント42の各変形室46にそれぞれ力が付与されると、各変形室46が、この付与された力に応じて、概ね研磨パッド44の研磨面に対して垂直な鉛直方向に沿って変形し、プラテン43のプラテン区画部43-1,43-2,43-3が、それぞれ対応する変形室46-1,46-2,46-3の変形に応じて、概ね研磨パッド44の研磨面に対して垂直な鉛直方向に沿って変位し、研磨パッド44が、このプラテン区画部43-1,43-2,43-3の変位に応じて、被加工物200を研磨する研磨面の鉛直方向に沿った高さを変化させる。すなわち、研磨ユニット40では、研磨パッド44は、プラテン43に接着されていて、プラテン43を介してマウント42に装着され、マウント42の変形室46に付与する力がプラテン43を介して研磨パッド44の研磨面の高さを変化させる。
【0045】
なお、研磨ユニット40は、本発明ではプラテン43が省略されてもよく、この場合、研磨パッド44が、マウント42の変形室46が形成された側に接着される。この場合には、研磨パッド44は、研磨面とは反対側の面に、十分に柔軟性を有する糊層が形成され、この糊層により、マウント42の変形室46が形成された側に接着されることが好ましく、マウント42の変形室46に付与する力がこの十分に柔軟性を有する糊層を介して研磨パッド44の研磨面の高さを変化させる。
【0046】
研磨送りユニット45は、研磨ユニット40のスピンドル41及びスピンドル41に装着されたマウント42、プラテン43及び研磨パッド44を保持テーブル10及び保持テーブル10に保持された被加工物200に対して研磨送り方向(鉛直方向と平行なZ軸方向)に沿って相対的に移動させる研磨送りをすることにより、スピンドル41、マウント42、プラテン43及び研磨パッド44と保持テーブル10及び保持テーブル10に保持された被加工物200とを相対的に研磨送り方向に沿って接近および離間させる。
【0047】
研磨送りユニット45は、例えば、
図1に示すように、モータと、ボールねじと、ガイドと、を有する公知のボールねじ機構である。研磨送りユニット45は、Z軸の軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるモータと、スピンドル41をZ軸方向に移動自在に支持するガイドと、を有して構成されている。研磨送りユニット45は、制御ユニット50により、モータの駆動が制御されることにより、研磨送り速度や研磨送り量等が制御される。
【0048】
研磨ユニット40は、
図4に示すように、研磨材供給部47をさらに備えても良い。研磨材供給部47は、研磨位置304に位置付けられた保持テーブル10に保持された被加工物200の研磨パッド44によって研磨される被研磨面(被加工面)に、被加工物200の被研磨面を研磨パッド44の研磨面で研磨するためもしくは研磨することを促すための研磨材49を供給する。研磨材供給部47は、実施形態1では、
図4に示すように、液状の研磨材49を、研磨パッド44の研磨面に向けて噴射することで、研磨パッド44の研磨面を介して、被加工物200の研磨パッド44によって研磨される被研磨面に供給する。
【0049】
なお、研磨材供給部47は、本発明ではこの形態に限定されず、例えばスピンドル41、マウント42及びプラテン43内を貫通する貫通孔を介して、研磨材供給源から研磨パッド44の研磨面に向けて研磨材49が供給されても良い。
【0050】
このような研磨ユニット40は、研磨パッド44をスピンドル41の先端のマウント42に装着して、マウント42の各変形室46にそれぞれ力を付与することにより研磨パッド44の研磨面の高さを所望の高さに変化させてから、研磨材供給部47により研磨パッド44の研磨面に研磨材49を供給しつつ、スピンドル41を回転させることによって研磨パッド44を概ね研磨面に直交する回転軸回りに回転させながら、研磨送りユニット45により研磨パッド44を研磨位置304に位置付けられた保持テーブル10に保持された被加工物200に対して相対的に接近させる方向に移動させて、研磨パッド44の研磨面を保持テーブル10上の被加工物200の被研磨面に対して押圧することにより、研磨パッド44の研磨面で保持テーブル10上の被加工物200の被研磨面を研磨する。
【0051】
研磨ユニット40は、実施形態1では、研磨材供給部47により液状の研磨材49を供給しながら研磨パッド44を用いて被加工物200に対して湿式研磨を実施しても良く、研磨材供給部47により研磨材49を供給しないで研磨パッド44を用いて被加工物200に対して乾式研磨を実施しても良い。研磨ユニット40は、湿式研磨として、研磨材供給部47により液状の研磨材49として砥粒を含むスラリーを供給しながら研磨パッド44により被加工物200を研磨しても良く、研磨材供給部47により液状の研磨材49として純水を供給しながら固定砥粒を含む研磨パッド44を用いて被加工物200を研磨しても良く、研磨材供給部47により液状の研磨材49としてアルカリ性の研磨液を供給しながら研磨パッド44を用いて化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を実施しても良い。
【0052】
研磨ユニット40は、
図5に示すように、平面視で、プラテン43の中心と一致するマウント42の各変形室46の中心が、被加工物200の中心に相当する保持テーブル10の保持面13の中心に対して水平方向にずれて配置されている。このため、研磨ユニット40は、マウント42の各変形室46にそれぞれ異なる力が付与されて、当該各変形室46と対応するプラテン43及び研磨パッド44の研磨面の高さが異なるように制御された場合、変形室46-1,46-2,46-3の異なる変形に応じて、異なる高さの研磨面の研磨パッド44で、被加工物200の外周領域を研磨することができる。ここで、研磨パッド44の研磨面の高さによって、研磨パッド44で被加工物200を研磨する際の研磨パッド44を被加工物200に押圧する研磨圧が決まる。したがって、研磨ユニット40は、変形室46-1,46-2,46-3の異なる変形に応じて、異なる3種類の研磨圧で、被加工物200の外周領域を研磨することができる。なお、このような研磨パッド44の研磨面の高さや研磨圧の変化は、被加工物200を保持する保持テーブル10側による被加工物200の被研磨面の高さの制御等では実質的に実現が困難なものである。
【0053】
制御ユニット50は、研磨装置1を含む研削研磨装置100の各構成要素の動作を制御して、研磨装置1による被加工物200に対する研磨処理を含む各種処理を、研磨装置1に実施させるとともに、この研磨処理に加えて研削ユニット30による被加工物200に対する研削処理等を含む各種処理を、研磨装置1を含む研削研磨装置100に実施させる。制御ユニット50は、開閉弁73-1,73-2,73-3の開閉を制御することにより、空圧源74から変形室46-1,46-2,46-3に供給する空圧による力を制御して、変形室46-1,46-2,46-3の内部の圧力、変形室46-1,46-2,46-3の上下方向の変形を制御して、プラテン43のプラテン区画部43-1,43-2,43-3の上下方向の変位を制御して、研磨パッド44の研磨面の上下方向の高さを制御して、研磨パッド44で被加工物200を研磨する際の研磨圧を制御する。
【0054】
制御ユニット50は、実施形態1では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット50が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット50の演算処理装置は、制御ユニット50の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、研磨装置1を含む研削研磨装置100を制御するための制御信号を、制御ユニット50の入出力インターフェース装置を介して研磨装置1を含む研削研磨装置100の各構成要素に出力する。
【0055】
カセット61,62は、複数の被加工物200を収容するための収容器であり、実施形態1では、装置本体の上面にターンテーブル20が設けられた側とは反対側(
図1の手前側)に設けられている。位置合わせユニット63は、カセット61,62から取り出された加工処理前の被加工物200が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。搬入ユニット64は、吸着パッドを有し、位置合わせユニット63で位置合わせされた加工処理前の被加工物200を吸着保持して搬入搬出位置301に位置付けられた保持テーブル10上に搬入する。搬出ユニット65は、搬入搬出位置301に位置付けられた保持テーブル10上に保持された研削処理及び研磨処理後(加工処理後)の被加工物200を吸着保持して洗浄ユニット66に搬出する。洗浄ユニット66は、加工処理後の被加工物200を洗浄し、加工処理された被加工面に付着している研削屑や研磨屑等のコンタミネーションを除去する。搬出入ユニット67は、加工処理前の被加工物200をカセット61,62から位置合わせユニット63へ搬出するとともに、加工処理後かつ洗浄後の被加工物200を洗浄ユニット66からカセット61,62へ搬入する。搬出入ユニット67は、例えばU字型の形状をしたハンドを備えるロボットピックであり、U字型ハンドによって被加工物200を吸着保持して被加工物200を搬送する。
【0056】
以上のような構成を有する実施形態1に係る研磨装置1の動作処理の一例を説明する。研磨装置1の研磨ユニット40が設置された研磨位置304には、まず、以下のようにして、研削研磨装置100により研削処理後の被加工物200が搬送される。研削研磨装置100は、まず、搬出入ユニット67によりカセット61,62から加工処理前の被加工物200を取り出し、位置合わせユニット63で被加工物200を中心位置合わせした後、搬入ユニット64により被加工物200を搬入搬出位置301に位置付けられた保持テーブル10上に搬入し、保持テーブル10により搬入された被加工物200を吸引保持し、ターンテーブル20により被加工物200を保持した保持テーブル10を第1研削位置302に移動させ、第1研削ユニット30-1により第1研削位置302に位置付けられた保持テーブル10上の被加工物200を粗研削処理し、ターンテーブル20により粗研削処理された被加工物200を保持した保持テーブル10を第2研削位置303に移動させ、第2研削ユニット30-2により第2研削位置303に位置付けられた保持テーブル10上の被加工物200を仕上げ研削処理し、ターンテーブル20により仕上げ研削処理された被加工物200を保持した保持テーブル10を研磨位置304に移動させる。
【0057】
図6及び
図7は、いずれも、
図1の研磨装置1の動作処理の一例を説明する断面図である。実施形態1に係る研磨装置1は、制御ユニット50が変形室46-1,46-2,46-3の内部に圧力を全く加えていない場合、
図6に示すように、変形室46-1,46-2,46-3がほとんど平坦な状態となる。実施形態1に係る研磨装置1は、一方で、制御ユニット50が変形室46-1,46-2,46-3の内部に圧力を加えた場合、
図7に示すように、変形室46-1,46-2,46-3が鉛直方向に沿って膨張する方向に変形した状態となる。
【0058】
実施形態1に係る研磨装置1は、これに鑑み、制御ユニット50が変形室46-1,46-2,46-3の一部に圧力を加えると、変形室46-1,46-2,46-3の一部が鉛直方向に沿って膨張する方向に変形した状態とすることができ、これにより、研磨パッド44の研磨面の高さが径方向に変化した状態とすることができる。実施形態1に係る研磨装置1は、制御ユニット50が、このように研磨面の高さが径方向に変化した状態の研磨パッド44で、研磨位置304に位置付けられた保持テーブル10に保持された被加工物200の被研磨面を研磨する事で、研磨パッド44で被加工物200を研磨する際の研磨圧を、研磨パッド44の水平方向における位置に応じて、変形室46-1,46-2,46-3と対応する領域毎に、変化した状態とすることができる。
【0059】
以上のような構成を有する実施形態1に係る研磨装置1は、スピンドル41に装着されるマウント42が、径方向に区画されて独立し、付与される力によって高さ方向に変形する変形室46を有し、制御ユニット50により変形室46に付与する力を制御して研磨パッド44が被加工物200を研磨する研磨面の高さを変化させることができる。このため、実施形態1に係る研磨装置1は、被加工物200を保持する保持テーブル10の上方に研磨ユニット40を備える研磨装置1において、保持テーブル10側による高さ調整ではない機構によって、研磨パッド44による加工圧力(研磨圧)を可変できるという作用効果を奏する。
【0060】
また、このような実施形態1に係る研磨装置1を含む研削研磨装置100は、同一の保持テーブル10上の被加工物200を、先に研削ユニット30の研削ホイール32で研削した後、研磨ユニット40で研磨をする構成の装置であるが、上記したように、保持テーブル10側による高さ調整ではない機構によって、研磨ユニット40側で変形室46に付与する力を制御して研磨パッド44が被加工物200を研磨する研磨面の高さを変化させることができるので、従来のような、被加工物200を保持する保持テーブル10側の高さを変化させて研磨工具(研磨パッド44)による研磨圧力を変える際、研削する際の高さと研磨する際の高さをそれぞれに合わせて調整する必要があり煩わしいという問題を解消できるものとなる。
【0061】
また、実施形態1に係る研磨装置1は、マウント42が、一端が変形室46-1,46-2,46-3に連通し他端が空圧源74に接続された連通路71-1,71-2,71-3を有し、空圧による力によって変形室46-1,46-2,46-3を変形させる。このため、実施形態1に係る研磨装置1は、好適に、変形室46-1,46-2,46-3の変形を個別に制御して、研磨パッド44による加工圧力(研磨圧)を可変できる。
【0062】
また、実施形態1に係る研磨装置1は、研磨パッド44が、プラテン43に接着されていて、プラテン43を介してマウント42に装着され、変形室46に付与する力がプラテン43を介して研磨パッド44の研磨面の高さを変化させる。このため、実施形態1に係る研磨装置1は、研磨パッド44がプラテン43を介してマウント42に装着される形態であっても、上記したように、変形室46-1,46-2,46-3の変形を制御して、研磨パッド44による加工圧力(研磨圧)を可変できる。実施形態1に係る研磨装置1は、さらに、プラテン43が、マウント42の変形室46に対応するように径方向に区画されてプラテン区画部43-1,43-2,43-3が形成されているので、変形室46-1,46-2,46-3の変形を研磨パッド44の研磨面の高さの変化に好適に反映できる。
【0063】
なお、実施形態1に係る研磨装置1は、プラテン43が変形室46に対応するように径方向に区画されてプラテン区画部43-1,43-2,43-3が形成されていなくてもよく、この場合、変形室46-1,46-2,46-3を変形に基づく変形室46-1,46-2,46-3の境界部分の変化が、変形室46-1,46-2,46-3の境界部分に対応するプラテン43の領域によって緩やかにされて、研磨パッド44の研磨面の高さの変化に緩やかに反映させる事ができる。
【0064】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る研磨装置1-2を図面に基づいて説明する。
図8及び
図9は、それぞれ、実施形態2に係る研磨装置1-2の要部を示す側断面図及び上面図である。
図8及び
図9は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
実施形態2に係る研磨装置1-2は、
図8に示すように、実施形態1に係る研磨装置1において、研磨ユニット40を研磨ユニット40-2に変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。研磨ユニット40-2は、
図8及び
図9に示すように、実施形態1の研磨ユニット40において、マウント42に形成された変形室46-2が、圧力(空圧)が加えられていない状態と同様の形状及び大きさである一方で、変形しない非変形室46-4に変更され、これに伴い、変形室46-2に連通されていた連通路71-2が圧力コントローラ72-2及び開閉弁73-2とともに省略されたものである。
【0066】
研磨ユニット40-2は、さらに、非変形室46-4を含むマウント42内に上下に貫通する貫通孔48-4が形成され、貫通孔48-4の上端側に非接触厚み測定器81が設けられており、一端が非接触厚み測定器81に接続され、他端が制御ユニット50に接続された光ファイバー82が設けられている。
【0067】
非接触厚み測定器81は、光ファイバー82を介して制御ユニット50との間で通信し、制御ユニット50からの制御を受けて、貫通孔48-4を介して被加工物200の厚さを非接触で測定するための測定光83を導入することで、研磨ユニット40-2が研磨パッド44により被加工物200を研磨中に、その状態でその場で(in-situで)被加工物200の厚さを測定し、この測定した被加工物200の厚さの情報を光ファイバー82を介して制御ユニット50に出力する。光ファイバー82は、非接触厚み測定器81と制御ユニット50とを通信可能に接続する。光ファイバー82は、実施形態2では、スピンドル41内及びロータリージョイント75内を通って、配設されている。
【0068】
以上のような構成を有する実施形態2に係る研磨装置1-2は、実施形態1に係る研磨装置1において、マウント42に形成された変形室46-2に代えて、圧力(空圧)が加えられていない状態と同様の形状及び大きさの変形しない非変形室46-4に変更したものであり、実施形態1と同様に、制御ユニット50により変形室46-1,46-3に付与する力を制御して研磨パッド44が被加工物200を研磨する研磨面の高さを変化させることができるので、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0069】
また、実施形態2に係る研磨装置1-2は、実施形態1のように、マウント42が、全ての領域に変形室46が形成されなくてもよく、径方向に区画されて独立し、変形しない非変形室46-4を更に有することができる。実施形態2に係る研磨装置1-2は、このように非変形室46-4を有する場合、非変形室46-4が、上下に貫通する貫通孔48-4を有して、貫通孔48-4を介して、被加工物200の厚さを非接触で測定する測定光83を導入することができ、これにより、研磨パッド44により被加工物200を研磨中に、その状態でその場で(in-situで)被加工物200の厚さを測定できる。
【0070】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る研磨装置1-3を図面に基づいて説明する。
図10及び
図11は、それぞれ、実施形態3に係る研磨装置1-3の要部を示す側断面図及び上面図である。
図10及び
図11は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
実施形態3に係る研磨装置1-3は、
図10に示すように、実施形態1に係る研磨装置1において、研磨ユニット40を研磨ユニット40-3に変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。研磨ユニット40-3は、
図10及び
図11に示すように、実施形態1の研磨ユニット40において、マウント42に形成された変形室46-1が、圧力(空圧)が加えられていない状態と同様の形状及び大きさである一方で、変形しない非変形室46-5に変更され、これに伴い、変形室46-1に連通されていた連通路71-1が圧力コントローラ72-1及び開閉弁73-1とともに省略されたものである。
【0072】
研磨ユニット40-3は、さらに、非変形室46-5を含むマウント42内に上下に貫通する貫通孔48-5が形成され、貫通孔48-5の上端側に、一端が研磨パッド44の研磨面に連通し、他端が開閉弁77を介して研磨材供給源78に連通された研磨材供給路76が設けられている。研磨材供給路76は、開閉弁77が制御ユニット50に制御されて、被加工物200の被研磨面を研磨パッド44の研磨面で研磨するためもしくは研磨することを促すための研磨材49(例えば、液状の研磨材49としての砥粒を含むスラリー)を、研磨材供給源78から貫通孔48-5を介して研磨パッド44の研磨面に導入する。研磨材供給路76は、実施形態3では、研磨パッド44内、プラテン43内、非変形室46-5内に形成された貫通孔48-5内を含むマウント42内、スピンドル41内及びロータリージョイント75内を通って、配設されている。
【0073】
以上のような構成を有する実施形態3に係る研磨装置1-3は、実施形態1に係る研磨装置1において、マウント42に形成された変形室46-1に代えて、圧力(空圧)が加えられていない状態と同様の形状及び大きさの変形しない非変形室46-5に変更したものであり、実施形態1と同様に、制御ユニット50により変形室46-2,46-3に付与する力を制御して研磨パッド44が被加工物200を研磨する研磨面の高さを変化させることができるので、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0074】
また、実施形態3に係る研磨装置1-3は、実施形態1のように、マウント42が、全ての領域に変形室46が形成されなくてもよく、径方向に区画されて独立し、変形しない非変形室46-5を更に有することができる。実施形態3に係る研磨装置1-3は、このように非変形室46-5を有する場合、非変形室46-5が、上下に貫通する貫通孔48-5を有して、貫通孔48-5を介して、被加工物200の被研磨面を研磨パッド44の研磨面で研磨するためもしくは研磨することを促すための研磨材49を研磨パッド44の研磨面に導入することができる。
【0075】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4に係る研磨装置1-4を図面に基づいて説明する。
図12は、実施形態4に係る研磨装置1-4の要部を示す側断面図である。
図12は、実施形態1、実施形態2及び実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
実施形態4に係る研磨装置1-4は、
図12に示すように、実施形態1に係る研磨装置1において、研磨ユニット40を研磨ユニット40-4に変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。研磨ユニット40-4は、
図12に示すように、実施形態1の研磨ユニット40において、変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれの内部の圧力を制御するための連通路71-1,71-2,71-3、圧力コントローラ72-1,72-2,72-3、開閉弁73-1,73-2,73-3、及び、空圧源74に代えて、変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれに対応する位置に、鉛直方向に沿って上下方向に可動する可動部91-1,91-2,91-3を設けるように変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0077】
実施形態4では、マウント42は、変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれに対応する位置に、鉛直方向に沿って上下方向に可動する可動部91-1,91-2,91-3を有する。可動部91-1,91-2,91-3は、実施形態4では、いずれも、電圧を加えることに応じて鉛直方向に沿って上下方向に可動するピエゾアクチュエータである。可動部91-1,91-2,91-3は、それぞれ電圧供給線92-1,92-2,92-3を介して制御ユニット50と電気的に接続されている。
【0078】
可動部91-1,91-2,91-3は、電圧供給線92-1,92-2,92-3を介して電圧が供給されることにより、鉛直方向に沿って上下方向に可動し、この可動による押圧力に伴って、それぞれ変形室46-1,46-2,46-3を鉛直方向に沿って上下方向に変形させる。電圧供給線92-1,92-2,92-3は、制御ユニット50の制御に応じて、可動部91-1,91-2,91-3に電圧を供給する。電圧供給線92-1,92-2,92-3は、実施形態4では、マウント42内、スピンドル41内及びロータリージョイント75内を通って、配設されている。制御ユニット50は、電圧供給線92-1,92-2,92-3を介して可動部91-1,91-2,91-3に供給する電圧を制御することにより、可動部91-1,91-2,91-3の上下方向の可動(可動量)及び押圧(押圧力)を制御して、変形室46-1,46-2,46-3の上下方向の変形(変形量等)を制御する。
【0079】
以上のような構成を有する実施形態4に係る研磨装置1-4は、実施形態1に係る研磨装置1において、変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれの内部に空圧源74からの空圧を供給することにより変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれの上下方向の変形(変形量等)を制御することに代えて、変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれに対応する位置に備えられた可動部91-1,91-2,91-3に供給する電圧を制御して可動部91-1,91-2,91-3のそれぞれの上下方向の可動(可動量)及び押圧(押圧力)を制御することにより変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれの上下方向の変形(変形量等)を制御するように変更したものであるので、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0080】
〔実施形態5〕
本発明の実施形態5に係る研磨装置1-5を図面に基づいて説明する。
図13は、実施形態5に係る研磨装置1-5の要部を示す側断面図である。
図13は、実施形態1、実施形態2、実施形態3及び実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0081】
実施形態5に係る研磨装置1-5は、
図13に示すように、実施形態1に係る研磨装置1において、研磨ユニット40を研磨ユニット40-5に変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。研磨ユニット40-5は、
図13に示すように、実施形態1の研磨ユニット40において、変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれの内部の圧力を制御するための連通路71-1,71-2,71-3、圧力コントローラ72-1,72-2,72-3、開閉弁73-1,73-2,73-3、及び、空圧源74に代えて、マウント42において変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれに対応する位置に電磁石93-1,93-2,93-3を設け、プラテン43において電磁石93-1,93-2,93-3のそれぞれに対応する位置に永久磁石95-1,95-2,95-3を設けるように変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0082】
実施形態5では、マウント42は、変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれに対応する位置に、鉛直方向(上下方向)に沿った磁力を発生可能な電磁石93-1,93-2,93-3を有する。電磁石93-1,93-2,93-3は、それぞれ電流供給線94-1,94-2,94-3を介して制御ユニット50と電気的に接続されている。プラテン43は、電磁石93-1,93-2,93-3のそれぞれに鉛直方向(上下方向)に沿って対向する位置に永久磁石95-1,95-2,95-3を有する。永久磁石95-1,95-2,95-3は、固形に固められた部材であり、それぞれ、プラテン43のプラテン区画部43-1,43-2,43-3に埋め込まれている。
【0083】
制御ユニット50は、電流供給線94-1,94-2,94-3を介して電磁石93-1,93-2,93-3に供給する電流を制御することにより、電磁石93-1,93-2,93-3に発生する鉛直方向(上下方向)の磁力を制御して、電磁石93-1,93-2,93-3と永久磁石95-1,95-2,95-3との間に働く磁力を制御することにより、電磁石93-1,93-2,93-3と永久磁石95-1,95-2,95-3との間に働く引力と斥力によってそれぞれ対応する変形室46-1,46-2,46-3の上下方向の変形(変形量等)を制御する。
【0084】
以上のような構成を有する実施形態5に係る研磨装置1-5は、実施形態1に係る研磨装置1において、変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれの内部に空圧源74からの空圧を供給することにより変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれの上下方向の変形(変形量等)を制御することに代えて、変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれに対応する位置に備えられた、マウント42側に設けられた電磁石93-1,93-2,93-3とプラテン43側に設けられた永久磁石95-1,95-2,95-3との間に働く磁力(引力もしくは斥力、力の大きさ)を制御することにより変形室46-1,46-2,46-3のそれぞれの上下方向の変形(変形量等)を制御するように変更したものであるので、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0085】
〔実施形態6〕
本発明の実施形態6に係る研磨装置1-6を図面に基づいて説明する。
図14は、実施形態6に係る研磨装置1-6の要部を示す側断面図である。
図14は、実施形態1、実施形態2、実施形態3、実施形態4及び実施形態5と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
実施形態6に係る研磨装置1-6は、
図14に示すように、実施形態5に係る研磨装置1-5において、研磨ユニット40-5を研磨ユニット40-6に変更したものであり、その他の構成は実施形態5と同様である。研磨ユニット40-6は、
図14に示すように、実施形態5の研磨ユニット40-5において、永久磁石95-1,95-2,95-3に代えて、変形室46-1,46-2,46-3内もしくはプラテン43内に流動性を有する磁気粘性流体96-1,96-2,96-3を設けるように変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。なお、磁気粘性流体96-1,96-2,96-3は、永久磁石を含み、かつ、流動性を備える流動部材であるため、実施形態5の固形に固められた永久磁石95-1,95-2,95-3とは異なる部材であるが、本発明に係る永久磁石には含まれる部材である。
【0087】
制御ユニット50は、電流供給線94-1,94-2,94-3を介して電磁石93-1,93-2,93-3に供給する電流を制御することにより、電磁石93-1,93-2,93-3に発生する鉛直方向(上下方向)の磁力を制御して、電磁石93-1,93-2,93-3から磁気粘性流体96-1,96-2,96-3に印加する鉛直方向(上下方向)の磁力を制御することにより、磁気粘性流体96-1,96-2,96-3の粘性を制御して、これにより、それぞれ対応する変形室46-1,46-2,46-3の上下方向の変形(変形量等)を制御する。
【0088】
以上のような構成を有する実施形態6に係る研磨装置1-6は、実施形態5に係る研磨装置1-5において、永久磁石95-1,95-2,95-3に代えて、変形室46-1,46-2,46-3内もしくはプラテン43内に流動性を有する磁気粘性流体96-1,96-2,96-3を設けるように変更して、電磁石93-1,93-2,93-3から磁気粘性流体96-1,96-2,96-3に印加する鉛直方向(上下方向)の磁力を制御することにより、磁気粘性流体96-1,96-2,96-3の粘性を制御して、それぞれ対応する変形室46-1,46-2,46-3の上下方向の変形(変形量等)を制御するように変更したものであるので、実施形態5と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0089】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0090】
1,1-2,1-3,1-4,1-5,1-6 研磨装置
10 保持テーブル
40,40-2,40-3,40-4,40-5,40-6 研磨ユニット
41 スピンドル
42 マウント
43 プラテン
43-1,43-2,43-3 プラテン区画部
44 研磨パッド
46,46-1,46-2,46-3 変形室
46-4,46-5 非変形室
48-4,48-5 貫通孔
49 研磨材
50 制御ユニット
71-1,71-2,71-3 連通路
74 空圧源
83 測定光
91-1,91-2,91-3 可動部
93-1,93-2,93-3 電磁石
95-1,95-2,95-3 永久磁石
96-1,96-2,96-3 磁気粘性流体
200 被加工物