(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159425
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】照射装置、および照射システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241031BHJP
F21L 4/00 20060101ALI20241031BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20241031BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20241031BHJP
B60Q 1/50 20060101ALI20241031BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20241031BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241031BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20241031BHJP
【FI】
G08G1/16 A
F21L4/00 520
F21V9/40 400
B60Q1/00 G
B60Q1/50 Z
F21W103:60
F21Y115:10
F21Y115:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177674
(22)【出願日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2023072340
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北本 優也
(72)【発明者】
【氏名】楠本 悟史
【テーマコード(参考)】
3K339
5H181
【Fターム(参考)】
3K339AA22
3K339AA43
3K339BA03
3K339BA07
3K339BA09
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5H181AA01
5H181AA05
5H181AA20
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5H181BB04
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5H181LL01
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5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】歩行者または車両のどちらか一方に配置され、自動車が歩行者または車両に接近していることを報知可能な照射装置を提供すること。
【解決手段】照射装置は、歩行者または車両のどちらか一方に配置される照射装置であって、走行中の自動車から受信した危険度に関する情報に基づき、前記危険度に対応する支援情報を路面に表示する表示部を有し、自動車が歩行者または車両に接近していることを路面に表示した前記支援情報により報知可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者または車両のどちらか一方に配置される照射装置であって、
走行中の自動車から受信した危険度に関する情報に基づき、前記危険度に対応する支援情報を路面に表示する表示部を有し、
自動車が歩行者または車両に接近していることを路面に表示した前記支援情報により報知可能な照射装置。
【請求項2】
歩行者または前記車両としての自転車のどちらか一方に配置される請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記表示部は、歩行者または車両の運転者のどちらか一方に認識させる前記支援情報を、歩行者または車両の運転者のどちらか一方の進行方向における前方の路面に表示する、請求項1に記載の照射装置。
【請求項4】
前記表示部は、自動車の運転者に認識させる前記支援情報を、歩行者または車両の運転者のどちらか一方の進行方向における後方の路面に表示する、請求項1または請求項2に記載の照射装置。
【請求項5】
前記表示部は、個別に点灯駆動可能な複数の発光部を有する、請求項1または請求項2に記載の照射装置。
【請求項6】
前記支援情報は、歩行者または車両のどちらか一方の進行方向に関する情報を含む、請求項4に記載の照射装置。
【請求項7】
前記表示部は、歩行者または車両のどちらか一方と自動車との間の距離が所定の距離閾値以下になった場合、歩行者または車両のどちらか一方に自動車が到達するまでの到達時間が所定の時間閾値以下になった場合、および自動車の走行速度が所定の速度閾値以上になった場合の少なくとも1つである場合に、前記危険度に関する情報に対応する前記支援情報を路面に表示する、請求項1または請求項2に記載の照射装置。
【請求項8】
前記支援情報は、歩行者または車両のどちらか一方に自動車が到達するまでの時間、前記危険度、および自動車が接近してくる方向の少なくとも1つを含む、請求項1または請求項2に記載の照射装置。
【請求項9】
前記危険度に関する情報は、自動車の位置、自動車の速度、自動車の大きさ、自動車の種別、自動車の運転者による歩行者または車両の認識有無、自動車が自動運転しているか否か、自動車の接近方向、並びに自動車と他の交通手段との関係、の少なくとも1つに関する情報を含む、請求項1または請求項2に記載の照射装置。
【請求項10】
歩行者または車両のどちらか一方に配置される照射装置と、前記照射装置と通信可能に接続された情報端末と、を有する照射システムであって、
前記情報端末は、走行中の自動車から受信した危険度に関する情報を前記照射装置に送信する送信部を有し、
前記照射装置は、前記情報端末から受信した前記危険度に関する情報に基づき、前記危険度に対応する支援情報を路面に表示する表示部を有し、
自動車が歩行者または車両に接近していることを路面に表示した前記支援情報により報知可能な照射システム。
【請求項11】
走行中の自動車は、前記危険度に関する情報を前記送信部に送信する外部装置を有し、
前記外部装置と前記送信部とはインターネットを介して通信する請求項10に記載の照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照射装置、および照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、対象物である自転車の運転者に視認可能な投射領域に、自動車が接近していることを通知する画像を投射する構成が開示されている。また特許文献2には、自動車側が備えている状況把握部、運転支援部および車両動作制御部の情報について情報通信部を介して取得することで第1車両および第2車両の動作を予測し、光照射部により、道路または歩道の路面に対して誘導情報および路面情報を投影して描画する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-152246号公報
【特許文献2】特開2021-075952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の構成では、歩行者または自転車等の車両のどちらか一方に配置された装置から、自動車が歩行者または車両に接近していることを報知することはできない。
【0005】
本開示に係る実施形態は、歩行者または車両のどちらか一方に配置され、自動車が歩行者または車両に接近していることを報知可能な照射装置、および照射システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る照射装置は、歩行者または車両のどちらか一方に配置される照射装置であって、走行中の自動車から受信した危険度に関する情報に基づき、前記危険度に対応する支援情報を路面に表示する表示部を有し、自動車が歩行者または車両に接近していることを路面に表示した前記支援情報により報知可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態に係る照射システムは、歩行者または車両のどちらか一方に配置される照射装置と、前記照射装置と通信可能に接続された情報端末と、を有する照射システムであって、前記情報端末は、走行中の自動車から受信した危険度に関する情報を前記照射装置に送信する送信部を有し、前記照射装置は、前記情報端末から受信した前記危険度に関する情報に基づき、前記危険度に対応する支援情報を路面に表示する表示部を有し、自動車が歩行者または車両に接近していることを路面に表示した前記支援情報により報知可能である。
【0008】
本開示に係る実施形態によれば、歩行者または車両のどちらか一方に配置され、自動車が歩行者または車両に接近していることを報知可能な照射装置、および照射システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る照射装置の機能の一例を説明する模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る照射装置の構成の一例を模式的に示す第1図である。
【
図3】第1実施形態に係る照射装置の構成の一例を模式的に示す第2図である。
【
図4】第1実施形態に係る照射装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態に係る制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】車種を示すアイコンの第1例を示す図である。
【
図7】車種を示すアイコンの第2例を示す図である。
【
図8】車種を示すアイコンの第3例を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る支援情報の生成方法例を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係る制御部による処理例を示すフロー図である。
【
図11】第1実施形態に係る支援情報の一例を示す模式図である。
【
図12】路面に表示された支援情報を示す模式図である。
【
図13】第2実施形態に係る照射システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図14】第2実施形態に係る照射システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】第2実施形態に係る情報端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】第2実施形態に係る情報端末の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】実施形態に係る表示部に用いるマイクロLEDアレイの斜視図である。
【
図18】実施形態に係る表示部に用いるマイクロLEDアレイの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る照射装置、および照射システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下に示す形態は、本開示の技術思想を具現化するための照射装置、および照射システムを例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており詳細説明を適宜省略する。
【0011】
本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素が複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に"第1"、"第2"等と付記して区別することがある。また、本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象が異なる場合があり得る。そのため、特許請求の範囲において本明細書と同一の付記がされた構成要素が記載されていても、この構成要素によって特定される対象が、本明細書と特許請求の範囲との間で一致しないことがあり得る。
【0012】
[第1実施形態]
<照射装置100の機能例>
図1は、本実施形態に係る照射装置100の機能の一例を説明する模式図である。照射装置100は、歩行者または車両のどちらか一方に配置される。歩行者は、道路や歩道等を歩行する者を意味する。実施形態に係る歩行者には、道路や歩道等において一時的に停止している者も含まれる。また、実施形態に係る車両には、自転車、自動二輪車、原動機付き自転車、電動自転車、一輪車、三輪車、車椅子、電動車椅子、キックボード、ベビーカー等が含まれる。
【0013】
図1は、自転車200および自転車運転者300を鉛直上方から見た様子を示している。
図1は、車両の一例である自転車200が路面10上を走行している状況を示している。鉛直上方は、例えば路面10の法線に沿う方向である。自転車運転者300は、自転車200の運転者である。自転車運転者300は、自転車200に乗り、自転車200を運転している。照射装置100は、自転車200に配置されている。
【0014】
本実施形態では、照射装置100は、走行中の自動車400から受信した危険度情報Rkに基づき、危険度に対応する支援情報Siを路面10に表示する表示部1を有する。照射装置100は、自動車400が自転車200に接近していることを路面10に表示した支援情報Siにより報知可能である。
【0015】
図1に示す例では、表示部1は、第1表示部11と第2表示部12とを含む。支援情報Siは、第1支援情報Si1と第2支援情報Si2とを含む。第1表示部11は、例えば自転車200の前輪201の上方に配置される。第1表示部11は、自転車運転者300に認識させる第1支援情報Si1を、自転車運転者300の進行方向250における前方の路面10に表示する。第2表示部12は、例えば自転車200の後輪202の上方に配置される。第2表示部12は、自動車の運転者に認識させる第2支援情報Si2を、自転車運転者300の進行方向250における後方の路面10に表示する。
【0016】
第1支援情報Si1および第2支援情報Si2のそれぞれは、図形、文字、模様等のパターンを含む。第1表示部11および第2表示部12のそれぞれは、図形、文字、模様等のパターンを含む支援情報Siを路面10に投影することにより、路面10に支援情報Siを表示できる。
【0017】
危険度情報Rkは、自転車200にとっての危険の度合いを意味する危険度に関する情報である。照射装置100は、走行中の自動車400が無線により送信する危険度情報Rkを受信できる。照射装置100は、危険度情報Rkを、自動車400から直接受信してもよいし、インターネット等のネットワークを介して受信してもよい。直接受信する場合には、Bluetooth(登録商標)、Wifi(登録商標)、赤外線通信等の無線通信規格を使用できる。また照射装置100は、信号機、街路灯等を介したLifiを用いて自動車400から危険度情報Rkを受信してもよい。
【0018】
危険度情報Rkは、照射装置100等の特定の受信相手に対して自動車400が送信した情報であってもよいし、不特定の受信相手に対して自動車400が送信した情報であってもよい。危険度情報Rkに含まれる情報は、危険度情報Rkを送信する自動車400に関するものであってもよいし、危険度情報Rkを送信する自動車400以外の自動車であって、自転車200に接近する自動車に関する情報であってもよい。
【0019】
第1支援情報Si1は、自転車200に自動車400が接近していることを示す情報である。第1支援情報Si1は、自転車200を運転する自転車運転者300が視認できるように、自転車200の前方の路面10に表示される。自転車運転者300は、自転車200の前方の路面10に表示された第1支援情報Si1を視認することで、自転車200に自動車400が接近していることを認識できる。
【0020】
第2支援情報Si2は、自転車200が存在していることを示す情報である。第2支援情報Si2は、自転車200の後方または側方を走行する自動車の運転者が視認できるように、自転車200の後方の路面10に表示される。自転車200の後方または側方を走行する自動車の運転者は、自転車200の後方の路面10に表示された第2支援情報Si2を視認することで、自身の近傍に自転車200が存在していることを認識できる。なお、自転車200の後方または側方を走行する自動車は、自動車400であってもよいし、自動車400以外の自動車であってもよい。また、
図1における自動車400は、危険度情報Rkを発信する自動車を模式的に示したものであり、自転車200との位置関係や方向の関係を示すものではない。
【0021】
本実施形態では、自転車200に配置される照射装置100により、走行中の自動車400から危険度情報Rkを受信し、危険度に対応する支援情報Siを路面10に表示することで、自動車が自転車200に接近していることを報知できる。例えば、夜間等の互いに存在を認識しづらい環境において、交通における自転車200の安全性を向上させることができる。
【0022】
照射装置100は、第1表示部11および第2表示部12の少なくとも一方を有し、第1支援情報Si1および第2支援情報Si2の少なくとも一方を表示してよい。第1支援情報Si1および第2支援情報Si2の少なくとも一方を表示する場合にも、交通における自転車200の安全性を向上させることができる。
【0023】
照射装置100は、歩行者に配置されてもよい。照射装置100が歩行者に配置されることには、例えば、歩行者が照射装置100を把持したり、歩行者が身体の一部または衣服の一部に照射装置100を装着したりすること等が含まれる。
【0024】
第1表示部11は、歩行者に認識させる第1支援情報Si1を、歩行者の進行方向における前方の路面10に表示してよい。第2表示部12は、自動車の運転者に認識させる第2支援情報Si2を、歩行者の進行方向における後方の路面10に表示してよい。照射装置100は、例えば、自動車が歩行者に接近していることを報知し、夜間等の互いに存在を認識しづらい環境において、交通における歩行者の安全性を向上させることができる。
【0025】
なお、以降では、説明を簡単にするために、歩行者または車両のどちらか一方が対象になり得る事項であっても、車両としての自転車200が対象である場合を代表して説明し、歩行者や自転車200以外が対象である場合の説明を適宜省略する。
【0026】
<照射装置100の構成例>
図2~4を参照して、照射装置100の構成について説明する。
図2~3は、照射装置100の構成の一例を模式的に示す図である。
図2は、照射装置100が配置された自転車200を側方から見た様子を模式的に示している。
図3は、照射装置100が配置された自転車200を上方から見た様子を模式的に示している。
図4は、照射装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
図2~4に示すように、照射装置100は、表示部1と制御部2とを有する。上述したように、表示部1は、第1表示部11と第2表示部12とを含む。
図2に示すように、第1表示部11は、フロントフォーク203等に取り付けられることで、前輪201の上方に配置される。第2表示部12は、シートポスト204等に取り付けられることで、後輪202の上方に配置される。但し、自転車200の進行方向における前方の路面に第1支援情報Si1を表示できれば、第1表示部11が配置される位置は制限されない。また、自転車200の進行方向における後方の路面に第2支援情報Si2を表示できれば、第2表示部12が配置される位置は制限されない。
【0028】
第1表示部11および第2表示部12のそれぞれは、個別に点灯駆動可能な複数の発光部を有してよい。この複数の発光部を有する第1表示部11および第2表示部12として、例えばマイクロLED(Light Emitting Diode)アレイを用いることができる。マイクロLEDアレイは、一次元状または二次元状に配置された複数のLEDを有し、複数のLEDを個別に点灯駆動可能である。第1表示部11は、マイクロLEDアレイにおける複数のLEDを個別に点灯駆動させることにより、第1支援情報Si1を路面に投影して表示できる。第2表示部12は、マイクロLEDアレイにおける複数のLEDを個別に点灯駆動させることにより、第2支援情報Si2を路面に投影して表示できる。なお、第1表示部11および第2表示部12のそれぞれは、マイクロLEDアレイにより生成される支援情報Siを、レンズ等の光学部材を通して路面に投影してもよい。
【0029】
第1表示部11および第2表示部12のそれぞれは、マイクロLEDアレイを含むものに限定されない。例えば、第1表示部11および第2表示部12のそれぞれは、自転車200の進行方向を示す矢印の図形が表面に形成された回転板を、モータ等の駆動部により回転させ、自転車200の進行方向に応じた向きに設定された矢印の図形を投影表示してもよい。このような回転板を用いることで、照射装置100を廉価に構成することができる。
【0030】
第1表示部11および第2表示部12のそれぞれは、液晶パネルまたはOLED(Organic Light Emitting Diode)Displayと、レンズと、を含み、支援情報Siを路面に投影表示可能なプロジェクタであってもよい。さらに、第1表示部11および第2表示部12のそれぞれは、同じ表示方式により支援情報Siを表示してよいし、異なる表示方式により支援情報Siを表示してもよい。
【0031】
第1表示部11および第2表示部12のそれぞれは、表示する支援情報Siの輝度調整機能を備えてもよい。また照射装置100は、表示部1による支援情報Siの表示機能に加えて、支援情報Siが報知する内容を音声により報知する音声報知機能を備えてもよい。このような音声報知機能は、スピーカー等により実現できる。
【0032】
図2~4に示すように、自転車200には、GPS(Global Positioning System)センサ210、ジャイロセンサ220およびハンドルセンサ230が配置されている。
【0033】
GPSセンサ210は、GPSを用いて自転車200の位置に関する情報である位置情報Pを取得する。ジャイロセンサ220は、自転車200の傾き角度、傾き角速度または傾き角加速度に関する情報である傾き情報Eを取得する。ハンドルセンサ230は、自転車200のハンドルの切れ角θに基づき、自転車200の進行方向に関する情報である進行方向情報Dを取得する。GPSセンサ210、ジャイロセンサ220およびハンドルセンサ230のそれぞれは、照射装置100の制御部2に対して、有線または無線により通信可能に接続されている。GPSセンサ210は位置情報Pを、ジャイロセンサ220は角度情報Eを、ハンドルセンサ230は進行方向情報Dを、それぞれ制御部2に送信することができる。
【0034】
図4において、制御部2は、コンピュータによって構築されている。制御部2は、CPU(Central Processing Unit)211と、ROM(Read Only Memory)212と、RAM(Random Access Memory)213と、を有する。また、制御部2は、HDD/SSD(Hard Disk Drive/Solid State Drive)214と、機器接続I/F(Interface)215と、通信I/F216と、を有する。これらは、システムバスAを介して相互に通信可能に接続されている。
【0035】
CPU211は、各種の演算処理を含む制御処理を実行する。ROM212は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU211の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM213は、CPU211のワークエリアとして使用される。HDD/SSD214は、プログラム等の各種情報、自動車400からの危険度情報Rk、GPSセンサ210等の各センサにより取得される情報等を記憶する。
【0036】
機器接続I/F215は、制御部2を各種の外部機器と有線または無線で接続するためのインターフェースである。ここでの外部機器は、GPSセンサ210、ジャイロセンサ220、ハンドルセンサ230および表示部1等である。制御部2は、機器接続I/F215を介して、表示部1における第1表示部11に対して第1制御信号C1を、表示部1における第2表示部12に対して第2制御信号C2を出力できる。
【0037】
通信I/F216は、通信ネットワーク等を介して外部装置との間で通信するためのインターフェースである。例えば、制御部2は、通信I/F216を介してインターネットに接続し、インターネットを介して外部装置との間で通信する。ここでの外部装置は、自動車400のECU(Electronic Control Unit)等である。但し、通信I/F216は、インターネットを介さずに自動車400と直接通信してもよい。
【0038】
<制御部2の機能構成例>
次に、
図5~9を参照して、制御部2の機能構成について説明する。
図5は、制御部2の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6~8は、自動車の種別を表すアイコンを示す図である。
図6は第1例である。
図7は第2例である。
図8は第3例である。
図9は、支援情報Siの生成方法の一例を説明する図である。
【0039】
図5に示すように、制御部2は、受信部21と、取得部22と、判定部23と、生成部24と、格納部25と、表示制御部26と、出力部27と、を有する。
【0040】
取得部22および出力部27の各機能は、機器接続I/F215等により実現できる。受信部21の機能は通信I/F216等により実現できる。格納部25の機能は、HDD/SSD214等の不揮発性メモリにより実現できる。判定部23、生成部24および表示制御部26の各機能は、CPU211等のプロセッサがROM212等の不揮発性メモリに格納されたプログラムに規定された処理を実行すること等により実現できる。なお、これら機能の一部は、PC(Personal Computer)またはサーバ等の外部装置により実現されてもよい。また、これら機能の一部は、制御部2と外部装置との分散処理により実現されてもよい。判定部23、生成部24および表示制御部26の各機能には、AI(artificial intelligence)を用いてもよい。
【0041】
受信部21は、
図1に示した自動車400のECUとの間での通信ネットワーク等を介した通信を制御することにより、自動車400から危険度情報Rkを受信する。なお、受信部21は、自動車400のECUとの間での直接の通信を制御することにより、自動車400から危険度情報Rkを受信してもよい。受信部21は、受信した危険度情報Rkを判定部23および生成部24に出力する。
【0042】
本実施形態では、危険度情報Rkは、自動車の位置、自動車の速度、自動車の大きさ、自動車の種別、自動車の運転者による歩行者または車両の認識有無、自動車が自動運転であるか否か、自動車の接近方向、並びに自動車と他の交通手段との関係、の少なくとも1つに関する情報を含んでよい。なお、自動車の接近方向は、自動車が自転車200に向けて接近してくる方向を意味する。また、自動車と他の交通手段との関係は、自動車が交通信号機の信号に応じて停止することや発進すること等を意味する。危険度情報Rkは、上記の他、自転車との交差が予測される地点における道路の状況に関する情報等を含んでもよい。道路に関する状況は、道幅が狭いまたは広い等の状況である。また、危険度情報Rkは、自動車の周囲の明るさ、自動車の周囲の騒音値、自動車の周囲の障害物の有無に関する情報を含んでよい。
【0043】
例えば、危険度情報Rkの内容によっては、危険度情報Rkを受信した照射装置が実際には危険でないのに危険であると認識したり、実際に危険であるのに危険を認識できなかったりして、危険度の認識の信頼性が低くなる可能性がある。危険度の認識の信頼性が低くなると、危険度の報知の信頼性が低くなる。本実施形態では、危険度情報Rkが危険度情報Rkは、自動車の位置、自動車の速度、自動車の大きさ、自動車の種別、自動車の運転者による歩行者または車両の認識有無、自動車が自動運転であるか否か、自動車の接近方向、並びに自動車と他の交通手段との関係、の少なくとも1つに関する情報を含む。これにより、危険度情報Rkを受信した照射装置100は、自転車200の危険度を、高い信頼性で認識し、自動車が自転車200に接近していることを
図1に示した自転車運転者300等に対し、高い信頼性で報知することができる。
【0044】
取得部22は、制御部2とGPSセンサ210との間での通信を制御することにより、GPSセンサ210から自転車200の位置情報Pを取得する。また取得部22は、制御部2とジャイロセンサ220との間での通信を制御することにより、ジャイロセンサ220から自転車200の傾き情報Eを取得する。さらに取得部22は、制御部2とハンドルセンサ230との間での通信を制御することにより、ハンドルセンサ230からハンドルの切れ角θに関する情報を取得する。取得部22は、位置情報Pと傾き情報Eと、ハンドルの切れ角θに関する情報と、に基づき、自転車200の進行方向情報Dを演算により取得する。取得部22は、自転車200の位置情報を判定部23に、自転車200の傾き情報Eおよび進行方向情報Dのそれぞれを生成部24に出力する。
【0045】
判定部23は、自転車200と自動車との間の距離Lが所定の距離閾値Ls以下であるか否かを判定する。また判定部23は、自転車200に自動車が到達するまでの到達時間Tが所定の時間閾値Ts以下であるか否かを判定する。さらに判定部23は、自動車の走行速度Vが所定の速度閾値Vs以上であるか否かを判定する。
【0046】
例えば、判定部23は、受信部21からの危険度情報Rkに含まれる自動車の位置に関する情報と、取得部22からの自転車200の位置情報Pと、に基づき、自転車200と自動車との間の距離Lを算出する。判定部23は、格納部25に格納される閾値情報251から読み出した距離閾値Lsと、算出した距離L、とを比較することで、距離Lが距離閾値Ls以下であるか否かを判定できる。
【0047】
また、判定部23は、受信部21からの危険度情報Rkに含まれる自動車の速度に関する情報と、取得部22からの自転車200の位置情報Pと、に主に基づき、自転車200に自動車が到達するまでの到達時間Tを算出する。判定部23は、格納部25に格納される閾値情報251から読み出した時間閾値Tsと、算出した時間T、とを比較することで、時間Tが時間閾値Ts以下であるか否かを判定できる。
【0048】
また、判定部23は、受信部21からの危険度情報Rkに含まれる自動車の走行速度Vに関する情報と、格納部25に格納される閾値情報251から読み出した速度閾値Vsと、とを比較することで、走行速度Vが速度閾値Vs以下であるか否かを判定できる。
【0049】
判定部23は、判定結果情報J、距離L、到達時間Tおよび走行速度Vの情報を生成部24に出力する。判定結果情報Jは、自転車200と自動車との間の距離Lが距離閾値Ls以下になった場合、歩行者または車両のどちらか一方に自動車が到達するまでの到達時間Tが時間閾値Ts以下になった場合、および自動車の走行速度Vが速度閾値Vs以上になった場合の少なくとも1つの場合であることを示す情報である。
【0050】
距離閾値Ls、時間閾値Tsおよび速度閾値Vsの少なくとも1つは、危険度情報Rkに対応づけられた複数の閾値が予め定められ、閾値情報251に格納されてよい。判定部23は、閾値情報251を参照して危険度情報Rkに応じた閾値を読み出して用いてよい。
【0051】
生成部24は、危険度情報Rkに対応する支援情報Siを生成する。本実施形態に示す例では、表示部1は、第1支援情報Si1および第2支援情報Si2を表示するため、生成部24は、第1支援情報Si1および第2支援情報Si2のそれぞれを生成する。
【0052】
例えば、生成部24は、危険度情報Rkに基づき、格納部25に格納される対応情報252を参照して報知内容Isを取得し、報知内容Isに基づき支援情報Siを生成できる。ここで、以下の表1は、対応情報252の一例を示している。
【0053】
【0054】
表1において、危険度情報Rkは、自動車の種別、自動車の運転者による自転車200の認識有無、自動運転の有無、並びに自動車の速度が速度閾値Vs以上であるか否かの情報を含み、また、これらの情報の組合せに対応付けられた「危険度」の情報を含んでいる。なお、「運転者の認識有無」では、「〇」は認識有、「×」は認識無を、それぞれ表している。自動運転では、「〇」は自動運転を行っている自動車を、「-」は自動運転を行っていない自動車を、それぞれ表している。「速度が速度閾値以上」では、「〇」は速度閾値以上であることを、「-」は速度閾値以上でないことを、それぞれ表している。「危険度」では、「高」は高いことを、「低」は低いことを、それぞれ表している。なお、特殊車は、危険度との関係性が低いため、「危険度」における「特殊車」の欄には「-」が表示されている。特殊車は、例えば、救急車等の緊急車両である。
【0055】
報知内容Isは、危険度情報Rkに応じて、自転車200の運転者に報知すべき内容を意味する。「アイコン」は、自動車の種別に対応付けられた図形である。自動車の種別の「大型車」は、
図6に示すアイコンIc1に対応する。アイコンIc1は大型車を表す図形である。自動車の種別の「普通車」は、
図7に示すアイコンIc2に対応する。アイコンIc2は普通車を表す図形である。自動車の種別の「特殊車」は、
図8に示すアイコンIc3に対応する。アイコンIc3は、特殊車を表す図形である。
【0056】
「表示方法」は、一例として「点滅」と「点灯」を含む。危険度が高い場合、あるいは自動車の運転者が自転車200を認識していない場合には、自転車200の運転者の注意を惹くために、「表示方法」は、パターンを点滅させる「点滅」になる。危険度が低い場合、あるいは自動車の運転者が自転車200を認識している場合には、危険度が高い場合と比較して自転車200の運転者の注意を惹かなくてよいため、「表示方法」は、パターンを連続して点灯させる「点灯」になる。
【0057】
「色」は、一例として「赤」と「緑」を含む。危険度が高い場合、あるいは自動車の運転者が自転車200を認識していない場合には、自転車200の運転者に警戒心を抱かせるために、「色」は警戒色である「赤」になる。危険度が低い場合、あるいは自動車の運転者が自転車200を認識している場合は、危険度が低い場合と比較して自転車200の運転者に警戒心を抱かせなくてよいため、「色」は、非警戒色である「緑」になる。
【0058】
例えば、生成部24は、
図9に示す第1支援情報Si1を生成できる。
図9において、第1支援情報Si1は、到達時間Tに対応する文字パターンTpと、アイコンIc2の図形パターンIc2pと、危険度情報Rkに含まれる自動車の接近方向情報Nに対応する図形パターンNpと、を含んでいる。なお、
図9における図形パターンNpは、矢印が向く方向、すなわち自転車200の後方から自動車が接近していることを示している。
【0059】
生成部24は、表1に示す危険度情報Rkにおいて、「自動車の種別」が「普通車」、「運転者の認識有無」が「〇」、「自動運転」が「〇」、「速度が速度閾値以上」が「-」、「危険度」が「低」である場合に、緑色で点滅表示されるアイコンIc2の図形パターンIc2pを生成できる。なお、
図9では、図形パターンIc2pにおける斜線ハッチングは、緑色であることを表している。生成部24は、このように生成した第1支援情報Si1と、第2支援情報Si2と、を表示制御部26に出力する。
【0060】
図5において、表示制御部26は、生成部24からの第1支援情報Si1および第2支援情報Si2に基づき、出力部27を介して第1制御信号C1および第2制御信号C2を出力することで、第1表示部11および第2表示部12の駆動を制御する。第1表示部11は、表示制御部26の制御下で、第1制御信号C1に応じて第1支援情報Si1を自転車200の進行方向における前方の路面に投影表示する。第2表示部12は、表示制御部26の制御下で、第2制御信号C2に応じて第2支援情報Si2を自転車200の進行方向における後方の路面に投影表示する。
【0061】
本実施形態では、表示部1は、自転車200と自動車との間の距離Lが所定の距離閾値Ls以下になった場合、自転車200に自動車が到達するまでの到達時間Tが所定の時間閾値Ts以下になった場合、および自動車の走行速度Vが所定の速度閾値Vs以上になった場合の少なくとも1つの場合に、危険度情報Rkに対応する支援情報Siを路面に表示する。これにより、本実施形態では、自動車が自転車200に接近していることを、
図1に示した自転車運転者300等に対し、高い信頼性で報知することができる。
【0062】
出力部27は、表示制御部26からの第1制御信号C1および第2制御信号C2に応じて、制御部2と第1表示部11および第2表示部12それぞれとの間における通信を制御する。
【0063】
<制御部2による処理例>
図10は、制御部2による処理の一例を示すフローチャートである。例えば、制御部2は、
図1に示した自動車400から危険度情報Rkを受信したことをトリガーにして、
図10の処理を開始する。但し、制御部2による処理のトリガーは、危険度情報Rkの受信に限らず、予め定められた自転車運転者300による自転車200の運転操作や、自転車運転者300による処理の開始操作等であってよい。
【0064】
まず、ステップS1において、制御部2は、取得部22により、制御部2とハンドルセンサ230との間での通信を制御することにより、ハンドルセンサ230から自転車200の進行方向情報Dを取得する。取得部22は、進行方向情報Dを制御部2に出力する。
【0065】
続いて、ステップS2において、制御部2は、取得部22により、制御部2とGPSセンサ210との間での通信を制御することにより、GPSセンサ210から自転車200の位置情報Pを取得する。取得部22は、位置情報Pを制御部2に出力する。
【0066】
なお、ステップS1~S2の処理は、順番が適宜変更されてよいし、各ステップの処理が並行して実行されてよい。
【0067】
続いて、ステップS3において、制御部2は、判定部23により、受信部21からの危険度情報Rkに含まれる自動車の位置に関する情報と、取得部22からの自転車200の位置情報Pと、に基づき、自転車200と自動車との間の距離Lを算出する。そして制御部2は、判定部23により、格納部25に格納される閾値情報251から読み出した距離閾値Lsと、算出した距離L、とを比較することで、距離Lが距離閾値Ls以下であるか否かを判定する。
【0068】
ステップS3において、距離Lが距離閾値Ls以下であると判定された場合には(ステップS3、YES)、制御部2は、判定部23により、判定結果情報J、距離L、到達時間Tおよび走行速度Vの情報を生成部24に出力した後、ステップS6に処理を移行する。一方、距離Lが距離閾値Ls以下ではないと判定された場合には(ステップS3、NO)、制御部2は、ステップS4に処理を移行する。
【0069】
続いて、ステップS4において、制御部2は、判定部23により、受信部21からの危険度情報Rkに含まれる自動車の速度に関する情報と、取得部22からの自転車200の位置情報Pと、に主に基づき、自転車200に自動車が到達するまでの到達時間Tを算出する。そして制御部2は、判定部23により、格納部25に格納される閾値情報251から読み出した時間閾値Tsと、算出した時間T、とを比較することで、時間Tが時間閾値Ts以下であるか否かを判定する。
【0070】
ステップS4において、時間Tが時間閾値Ts以下であると判定された場合には(ステップS4、YES)、制御部2は、判定部23により、判定結果情報J、距離L、到達時間Tおよび走行速度Vの情報を生成部24に出力した後、ステップS6に処理を移行する。一方、時間Tが時間閾値Ts以下ではないと判定された場合には(ステップS4、NO)、制御部2は、ステップS5に処理を移行する。
【0071】
続いて、ステップS5において、制御部2は、判定部23により、受信部21からの危険度情報Rkに含まれる自動車の走行速度Vに関する情報と、格納部25に格納される閾値情報251から読み出した速度閾値Vsと、とを比較することで、走行速度Vが速度閾値Vs以下であるか否かを判定する。
【0072】
ステップS5において、走行速度Vが速度閾値Vs以下であると判定された場合には(ステップS5、YES)、制御部2は、判定部23により、判定結果情報J、距離L、到達時間Tおよび走行速度Vの情報を生成部24に出力した後、ステップS6に処理を移行する。一方、走行速度Vが速度閾値Vs以下ではないと判定された場合には(ステップS5、NO)、制御部2は、処理を終了する。
【0073】
なお、ステップS3~S5の処理は、順番が適宜変更されてよいし、各ステップの処理が並行して実行されてよい。
【0074】
続いて、ステップS6において、制御部2は、生成部24により、危険度情報Rkに対応する支援情報Siを生成する。生成部24は、第1支援情報Si1および第2支援情報Si2のそれぞれを生成する。
【0075】
続いて、ステップS7において、制御部2は、表示制御部26により、生成部24からの第1支援情報Si1および第2支援情報Si2に基づき、出力部27を介して第1制御信号C1および第2制御信号C2を出力する。第1表示部11は、第1制御信号C1に応じて、第1支援情報Si1を路面に表示する。第2表示部12は、第2制御信号C2に応じて、第2支援情報Si2を路面に表示する。
【0076】
制御部2は、表示制御部26により、所定時間の経過後、表示部1による路面への支援情報Siの表示を停止させる。この所定時間は、
図1に示した自転車運転者300が支援情報Siを視認するために必要十分な時間であることが好ましい。
【0077】
また、制御部2は、判定部23による判定を繰り返し実行し、距離Lが距離閾値Lsよりも長く、到達時間Tが時間閾値Tsよりも長く、かつ走行速度Vが速度閾値Vs未満であると判定された場合に、表示部1による路面への支援情報Siの表示を停止させてもよい。このようにすることで、路面に支援情報Siを表示する時間を必要最小限に抑えることができるため、照射装置100の消費電力を削減することができる。
【0078】
以上のようにして、制御部2は、危険度情報Rkに基づき支援情報Sを路面に表示する処理を実行することができる。照射装置100は、支援情報Sを路面に表示することで、自動車が自転車200に接近していることを報知することができる。
【0079】
<支援情報例>
図11は、支援情報Siの一例を示す模式図である。
図11において、照射装置100は、自転車200の進行方向250における前方に第1支援情報Si1を、自転車200の進行方向250における後方に第2支援情報Si2を、それぞれ表示している。
【0080】
第1支援情報Si1は、自転車200へ接近する自動車の種別や危険度等を示すアイコンに対応する図形パターンIc2p1,Ic2p2と、自転車200への自動車の接近方向情報Nに対応する図形パターンNp1,Np2と、を含んでいる。
【0081】
図形パターンIc2p1は、危険度が高い赤色で表示された普通車が自転車200に接近していることを表している。図形パターンIc2p1におけるドットハッチングは、赤色を表している。図形パターンIc2p2は、危険度が低い緑色で表示された普通車が自転車200に接近していることを表している。図形パターンIc2p2における斜線ハッチングは、緑色を表している。図形パターンNp1は、図形パターンIc2p1に対応する自動車が、矢印が向く方向から接近していることを表している。図形パターンNp2は、図形パターンIc2p2に対応する自動車が、矢印が向く方向から接近していることを表している。
【0082】
図11に示すように、本実施形態では、支援情報Siは、危険度、および自動車が接近してくる方向を含んでよい。支援情報Siが危険度、および自動車が接近してくる方向を含むことで、支援情報Siを提示された自転車200の運転者は、危険を回避する行動を行いやすくなる。
【0083】
第2支援情報Si2は、自転車200の進行方向情報Dに対応する図形パターンDpを含んでいる。図形パターンDpは、矢印が向く方向に自転車200が進行することを示している。例えば、図形パターンDpにおける矢印が向く方向は、自転車200の進行方向情報Dに応じて変化する。
図11に示すように、本実施形態では、支援情報Siは、自転車200の進行方向に関する情報を含んでよい。自転車200の進行方向を表示することで、進行方向を提示された自動車は、危険を回避する動作を行いやすくなる。
【0084】
図12は、路面10に表示された支援情報Siの一例を示す模式図である。
図12に示す支援情報Siは、到達時間Tに対応する文字パターンTpを含んでいる。支援情報Siが到達時間Tを含むことで、支援情報Siを提示された自転車200の運転者は、危険を回避する行動を行いやすくなる。
【0085】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る照射システムについて説明する。なお、既に説明した実施形態および変形例と同一の名称、符号については、同一もしくは同質の部材又は構成部を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0086】
本実施形態に係る照射システムは、照射装置100と通信可能に接続された情報端末を有する点が、第1実施形態に係る照射装置100と主に異なる。
【0087】
<照射システム1000の構成例>
図13~14を参照して、第2実施形態に係る照射システムについて説明する。
図13は、第2実施形態に係る照射システム1000の構成の一例を示す模式図である。
図14は、照射システム1000の構成の一例を示すブロック図である。
【0088】
図13~14に示すように、本実施形態では、照射システム1000は、照射装置100と、情報端末500と、を有する。また、照射システム1000は、GPSセンサ210と、ジャイロセンサ220と、ハンドルセンサ230と、を有してよい。なお、情報端末500がGPSセンサやジャイロセンサを有する場合には、照射システム1000は、情報端末500が有するGPSセンサやジャイロセンサを利用することもできる。
【0089】
情報端末500は、例えばスマートフォンである。情報端末500は、自転車200のフロントフォーク203に配置されている。但し、情報端末500は、スマートフォンに限らず、携帯電話やノートPCの他、腕時計型携帯情報端末等のウェアラブルコンピュータ等であってもよい。また、情報端末500は、自転車200におけるフロントフォーク203以外の部分に配置されてよいし、自転車運転者300がカバンや衣服のポケット等に収容されてもよい。情報端末500は、照射装置100と通信可能に接続されている。
【0090】
<情報端末500の構成例>
図15は、情報端末500の機能構成の一例を示すブロック図である。
図15において、情報端末500は、コンピュータによって構築されている。情報端末500は、CPU501と、ROM502と、RAM503と、通信I/F504と、を有する。これらは、システムバスBを介して相互に通信可能に接続されている。
【0091】
CPU501は、各種の演算処理を含む制御処理を実行する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。通信I/F504は、通信ネットワーク等を介して外部装置との間で通信するためのインターフェースである。例えば、情報端末500は、通信I/F504を介してインターネットに接続し、インターネットを介して外部装置との間で通信する。ここでの外部装置は、自動車のECU等である。但し、通信I/F504は、インターネットを介さずに自動車400と直接通信してもよい。
【0092】
図16は、情報端末500の機能構成の一例を示すブロック図である。
図15に示すように、情報端末500は、受信部511と、送信部512と、を有する。受信部511および送信部512の各機能は、通信I/F216等により実現できる。
【0093】
受信部511は、走行中の自動車との間での通信ネットワーク等を介した通信を制御することにより、該走行中の自動車から危険度情報Rkを受信する。なお、受信部511は、自動車のECUとの間での直接の通信を制御することにより、自動車から危険度情報Rkを受信してもよい。受信部511は、受信した危険度情報Rkを送信部512に出力する。
【0094】
送信部512は、照射装置100との間での通信を制御することにより、危険度情報Rkを照射装置100に送信する。
図5に示した制御部2の受信部21は、送信部512から危険度情報Rkを受信できる。
【0095】
<照射システム1000の主な作用効果>
照射システム1000は、走行中の自動車から情報端末500を介して危険度情報Rkを受信するため、走行中の自動車との通信機能を照射装置100が備えなくてよい。これにより、照射装置100の構成を簡略化できる。この作用効果以外の照射システム1000の作用効果は、第1実施形態とほぼ同じである。
【0096】
図17~19に、表示部1に用いる個別に点灯駆動可能な複数の発光部を有するマイクロLEDアレイの例を示す。
図17は、マイクロLEDアレイの斜視図である。
図18は、マイクロLEDアレイの上面図である。
図19は、
図18におけるXIX-XIX線の断面図である。なお、
図17~19では、方向表現として、X軸、Y軸、及びZ軸を有する直交座標を用いる。X軸に沿う方向をX方向、Y軸に沿う方向をY方向、Z軸に沿う方向をZ方向という。また、Z方向を上下方向として表現する。但し、これら方向表現は、本開示の実施形態の方向を限定しない。
【0097】
図17~19に示すように、平板状の第1基板601上に複数の発光部であるLED600が配列されている。第1基板601は、例えば、複数のLED600の駆動を制御するための回路が集積された集積回路(IC:Integrated Circuit)基板を用いることができる。第1基板601は、平板状の第2基板602上に配置されている。複数のLED600のそれぞれは、第1基板601上に配置された給電用の第1端子611と電気的に接続され、第1端子611は、第2基板602上に配置された給電用の第2端子612と導電性のワイヤ620で電気的に接続されている。
【0098】
複数のLED600が配置された領域の平面視形状は、長辺及び短辺を有する長方形状であり、例えば、長辺の長さは8mm以上18mm以下、短辺の長さは2mm以上6mm以下である。1つの発光部の平面視形状は、例えば、1辺の長さが5μm以上100μm以下の矩形状である。LED600の個数は、例えば、1000個以上20000個以下である。LED600には、例えば、青色光、緑色光、赤色光を発する半導体発光素子を用いることができる。青色光、緑色光および赤色光のそれぞれを発するLED600を用いることで、カラーの投影表示が可能な表示部1とすることができる。
【0099】
複数のLED600を覆うように透光性部材630が配置されている。透光性部材630は、例えば、蛍光体等の波長変換部材を含む樹脂部材である。複数のLED600からの光は、主に透光部材の上面から取り出される。青色光を発するLED600と、LED600からの光の一部を黄色光に変換する蛍光体と、を用いることで、白色光を発する表示部1とすることできる。なお、第1基板601の上面の周縁と、第2基板602の上面とを覆うように光反射性部材640が配置されている。光反射性部材640は、例えば、光拡散材を含む樹脂部材である。
【0100】
このようなマイクロLEDアレイを用いて複数の発光部を個別に駆動させることで、様々なパターンを含む支援情報Siを路面に投影表示することできる。なお、
図17~19に示すマイクロLEDアレイは、上述した第1実施形態および第2実施形態のいずれに対しても適用可能である。
【0101】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形および置換を加えることができる。
【0102】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【0103】
機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、または一部の機能を他のブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェアまたはソフトウェアが並列または時分割に処理してもよい。また複数のコンピュータに一部または全部の機能を分散させてもよい。
【0104】
本開示の照射装置および照射システムは、歩行者または車両のどちらか一方に配置され、自動車が歩行者または車両に接近していることを報知できるので、特に、道路交通において、歩行者または車両の安全を確保する用途等に好適に利用できる。但し、本開示の照射装置および照射システムはこれら用途に限定されるものではない。
【0105】
本開示の態様は、例えば、以下のとおりである。
<項1> 歩行者または車両のどちらか一方に配置される照射装置であって、走行中の自動車から受信した危険度に関する情報に基づき、前記危険度に対応する支援情報を路面に表示する表示部を有し、自動車が歩行者または車両に接近していることを路面に表示した前記支援情報により報知可能な照射装置である。
<項2> 歩行者または前記車両としての自転車のどちらか一方に配置される<項1>に記載の照射装置である。
<項3> 前記表示部は、歩行者または車両の運転者のどちらか一方に認識させる前記支援情報を、歩行者または車両の運転者のどちらか一方の進行方向における前方の路面に表示する、前記<項1>または前記<項2>に記載の照射装置である。
<項4> 前記表示部は、自動車の運転者に認識させる前記支援情報を、歩行者または車両の運転者のどちらか一方の進行方向における後方の路面に表示する、前記<項1>から前記<項3>のいずれか1つに記載の照射装置である。
<項5> 前記表示部は、個別に点灯駆動可能な複数の発光部を有する、前記<項1>から前記<項4>のいずれか1つに記載の照射装置である。
<項6> 前記支援情報は、歩行者または車両のどちらか一方の進行方向に関する情報を含む、前記<項4>に記載の照射装置である。
<項7> 前記表示部は、歩行者または車両のどちらか一方と自動車との間の距離が所定の距離閾値以下になった場合、歩行者または車両のどちらか一方に自動車が到達するまでの到達時間が所定の時間閾値以下になった場合、および自動車の走行速度が所定の速度閾値以上になった場合の少なくとも1つである場合に、前記危険度に関する情報に対応する前記支援情報を路面に表示する、前記<項1>から前記<項6>のいずれか1つに記載の照射装置である。
<項8> 前記支援情報は、歩行者または車両のどちらか一方に自動車が到達するまでの時間、前記危険度、および自動車が接近してくる方向の少なくとも1つを含む、前記<項1>から前記<項7>のいずれか1つに記載の照射装置である。
<項9> 前記危険度に関する情報は、自動車の位置、自動車の速度、自動車の大きさ、自動車の種別、自動車の運転者による歩行者または車両の認識有無、自動車が自動運転しているか否か、自動車の接近方向、並びに自動車と他の交通手段との関係、の少なくとも1つに関する情報を含む、前記<項1>から前記<項8>のいずれか1つに記載の照射装置である。
<項10> 歩行者または車両のどちらか一方に配置される照射装置と、前記照射装置と通信可能に接続された情報端末と、を有する照射システムであって、前記情報端末は、走行中の自動車から受信した危険度に関する情報を前記照射装置に送信する送信部を有し、前記照射装置は、前記情報端末から受信した前記危険度に関する情報に基づき、前記危険度に対応する支援情報を路面に表示する表示部を有し、自動車が歩行者または車両に接近していることを路面に表示した前記支援情報により報知可能な照射システムである。
<項11> 走行中の自動車は、前記危険度に関する情報を前記送信部に送信する外部装置を有し、前記外部装置と前記送信部とはインターネットを介して通信する前記<項10>に記載の照射システムである。
【符号の説明】
【0106】
1 表示部
11 第1表示部
12 第2表示部
2 制御部
21 受信部
22 取得部
23 判定部
24 生成部
25 格納部
26 表示制御部
27 出力部
211 CPU
212 ROM
213 RAM
214 HDD/SSD
215 機器接続I/F
216 通信I/F
10 路面
100 照射装置
200 自転車
201 前輪
202 後輪
203 フロントフォーク
204 シートポスト
210 GPSセンサ
220 ジャイロセンサ
230 ハンドルセンサ
250 進行方向
251 閾値情報
252 対応情報
300 自転車運転者
400 自動車
500 情報端末
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 通信I/F
511 受信部
512 送信部
600 LED
601 第1基板
602 第2基板
611 第1端子
612 第2端子
620 ワイヤ
630 透光性部材
640 光反射性部材
1000 照射システム
A、B システムバス
C1 第1制御信号
C2 第2制御信号
D 進行方向情報
E 傾き情報
Ic1、Ic2、Ic3 アイコン
Is 報知内容
Dp、Ic2p、Ic2p1、Ic2p2、Np、Np1、Np2 図形パターン
J 判定結果情報
L 距離情報
Ls 距離閾値
P 位置情報
Rk 危険度情報
Si 支援情報
Si1 第1支援情報
Si2 第2支援情報
T 到達時間
Ts 時間閾値
Tp 文字パターン
V 走行速度
Vs 速度閾値