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特開2024-159456トレンチを有するウエハおよび半導体素子の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159456
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】トレンチを有するウエハおよび半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20241031BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L21/78 L
H01L21/88 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215396
(22)【出願日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2023-0056142
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】310024033
【氏名又は名称】エスケーハイニックス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung-daero,Bubal-eub,Icheon-si,Gyeonggi-do,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ゴン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒョン ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ スン ウォン
【テーマコード(参考)】
5F033
5F063
【Fターム(参考)】
5F033HH07
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH13
5F033HH19
5F033HH31
5F033JJ01
5F033NN32
5F033QQ09
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR29
5F033VV01
5F063AA36
5F063BA13
5F063BA28
5F063DD01
5F063DD25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体素子の製造工程において物理的に安定したシンギュレーション工程を提供する。
【解決手段】チップ領域CA及びスクライブレーンSLx、SLy、SLcを有するウエハWを準備し、スクライブレーンSL内のウエハ上にダミー金属パターンを形成し、ダミー金属パターンを取り囲む層間絶縁層を形成し、ダミー金属パターンおよび層間絶縁層上にダミートップ金属パターンを形成し、ダミートップ金属パターンを覆うパッシベーション層を形成し、パッシベーション層上に再配線絶縁層を形成し、再配線絶縁層を垂直に貫通するトレンチを形成し、トレンチに沿って、シンギュレーション工程(切断ブレードBやレーザビームによりスクライブレーンに沿って半導体素子を分離)を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ領域および前記チップ領域の間に配置された第1スクライブレーンと、
前記第1スクライブレーン内に配置された第1トレンチパターンとを含み、
前記第1スクライブレーンは、第1方向に延び、および
前記第1トレンチパターンは、前記第1方向に離隔した複数の第1トレンチグループを含むウエハ。
【請求項2】
前記第1トレンチグループは、それぞれ前記第1方向に延びる複数の第1トレンチを含む、請求項1に記載のウエハ。
【請求項3】
前記複数の第1トレンチは、互いに平行なセグメント型である、請求項2に記載のウエハ。
【請求項4】
前記第1トレンチは、第2方向にオフセット配列され、および
前記第1方向と前記第2方向とは、互いに垂直である、請求項1に記載のウエハ。
【請求項5】
前記チップ領域の間に配置された第2スクライブレーンと、
前記第2スクライブレーン内に配置された第2トレンチパターンとをさらに含み、
前記第2スクライブレーンは、第2方向に延び、
前記第1方向と前記第2方向とは、互いに垂直であり、および
前記第2トレンチパターンは、前記第2方向に延びる複数の第2トレンチを含む、請求項1に記載のウエハ。
【請求項6】
前記第2トレンチパターンは、前記第2方向に離隔した複数の第2トレンチグループを含み、および
前記第2トレンチグループは、それぞれ前記複数の第2トレンチを含む、請求項5に記載のウエハ。
【請求項7】
前記第1スクライブレーンと前記第2スクライブレーンとの交差するクロス-インターセクション領域と、
前記クロス-インターセクション領域内に配置されたクロス-インターセクショントレンチパターンとをさらに含む、請求項5に記載のウエハ。
【請求項8】
前記第1スクライブ領域内に前記チップ領域に隣接するように配置されたバリアガードリングパターンと、
前記バリアガードリングパターンと垂直に整列されるように配置されたバリアトレンチとをさらに含む、請求項1に記載のウエハ。
【請求項9】
前記第1スクライブ領域内に前記第1トレンチパターンと垂直に整列されるように配置されたダミー金属パターンと、
前記ダミー金属パターンを取り囲む層間絶縁層と、
前記ダミー金属パターンおよび前記層間絶縁層上に配置されたダミートップ金属パターンと、
前記ダミートップ金属パターンを取り囲むパッシベーション層とをさらに含む、請求項1に記載のウエハ。
【請求項10】
前記ダミートップ金属パターンの間に形成されたエアギャップをさらに含み、および
前記エアギャップは、前記パッシベーション層によって画定される、請求項9に記載のウエハ。
【請求項11】
チップ領域および前記チップ領域の間に配置されたスクライブレーンを含む基板を含み、
前記スクライブレーンは、
前記基板上に配置されたダミー金属パターンと、
前記ダミー金属パターン上に配置されたダミートップ金属パターンと、
前記ダミートップ金属パターン上に配置された再配線絶縁層と、
前記再配線絶縁層を垂直に貫通する複数のトレンチとを含み、
前記トレンチは、前記ダミー金属パターンおよび前記ダミートップ金属パターンと垂直に整列されたウエハ。
【請求項12】
前記ダミートップ金属パターンの間に形成されたエアギャップをさらに含む、請求項11に記載のウエハ。
【請求項13】
前記ダミー金属パターンを取り囲む層間絶縁層と、
前記ダミートップ金属パターンを取り囲むパッシベーション層とをさらに含み、
前記パッシベーション層は、前記エアギャップを画定する、請求項12に記載のウエハ。
【請求項14】
前記チップ領域は、それぞれ
前記基板上に配置された金属パターンと、
前記金属パターン上に配置されたトップ金属パターンと、
前記トップ金属パターン上に配置された再配線絶縁層と、
前記再配線絶縁層を垂直に貫通して前記トップ金属パターンの一部の表面を露出する再配線ビアホールと、
前記再配線ビアホールの内壁および前記トップ金属パターンの前記露出した表面上に配置された再配線ビア金属層と、
前記再配線絶縁層上に配置された再配線配線層とを含む、請求項11に記載のウエハ。
【請求項15】
前記トレンチの内壁上に形成されたキャッピング絶縁層をさらに含む、請求項11に記載のウエハ。
【請求項16】
チップ領域およびスクライブレーンを有するウエハを準備し、
前記スクライブレーン内の前記ウエハ上にダミー金属パターンを形成し、
前記ダミー金属パターンを取り囲む層間絶縁層を形成し、および
前記ダミー金属パターンおよび前記層間絶縁層上にダミートップ金属パターンを形成し、
前記ダミートップ金属パターンを覆うパッシベーション層を形成し、
前記パッシベーション層上に再配線絶縁層を形成し、
前記再配線絶縁層を垂直に貫通するトレンチを形成し、および
前記トレンチに沿ってシンギュレーション工程を行うことを含む半導体素子の製造方法。
【請求項17】
前記ダミートップ金属パターンの間にエアギャップを形成することをさらに含む、請求項16に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項18】
前記チップ領域内の前記ウエハ上に前記層間絶縁層で取り囲まれた金属パターンを形成し、
前記パッシベーション層で取り囲まれたトップ金属パターンを形成し、
前記再配線絶縁層を垂直に貫通して前記トップ金属パターンの一部の表面を露出する再配線ビアホールを形成し、および
前記再配線ビアホールの内壁および前記トップ金属パターンの前記露出した表面上に再配線ビア金属層をコンフォーマルに形成することをさらに含む、請求項16に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項19】
前記トレンチの内壁上にキャッピング絶縁層を形成することをさらに含む、請求項16に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項20】
前記スクライブレーン内に前記チップ領域に隣接するようにバリアガードリングパターンおよび前記バリアガードリングパターンと垂直に整列されたバリアトレンチを形成することをさらに含み、および前記バリアガードリングパターンは、前記ダミー金属パターンおよび前記ダミートップ金属パターンと同一の構造を有する、請求項16に記載の半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トレンチを有するウエハおよび半導体素子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハをシンギュレーションして複数の半導体素子を製造する技術が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の実施例が解決しようとする課題は、半導体素子の製造工程で物理的に安定したシンギュレーション工程を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するための、本開示の一実施例によるウエハは、チップ領域および前記チップ領域の間に配置された第1スクライブレーンと、前記第1スクライブレーン内に配置された第1トレンチパターンとを含むことができる。前記第1スクライブレーンは、第1方向に延びることができる。前記第1トレンチパターンは、前記第1方向に延びる複数の第1トレンチを含むことができる。
【0005】
上記の課題を解決するための、本開示の一実施例によるウエハは、チップ領域および前記チップ領域の間に配置されたスクライブレーンを含む基板を含むことができる。前記スクライブレーンは、前記基板上に配置されたダミー金属パターンと、前記ダミー金属パターン上に配置されたダミートップ金属パターンと、前記ダミートップ金属パターン上に配置された再配線絶縁層と、前記再配線絶縁層を垂直に貫通する複数のトレンチとを含むことができる。前記トレンチは、前記ダミー金属パターンおよび前記ダミートップ金属パターンと垂直に整列される。
【0006】
上記の課題を解決するための、本開示の一実施例による半導体素子の製造方法は、チップ領域およびスクライブレーンを有するウエハを準備し、前記スクライブレーン内の前記ウエハ上にダミー金属パターンを形成し、前記ダミー金属パターンを取り囲む層間絶縁層を形成し、および前記ダミー金属パターンおよび前記層間絶縁層上にダミートップ金属パターンを形成し、前記ダミートップ金属パターンを覆うパッシベーション層を形成し、前記パッシベーション層上に再配線絶縁層を形成し、前記再配線絶縁層を垂直に貫通するトレンチを形成し、および前記トレンチに沿ってシンギュレーション工程を行うことを含むことができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施例によれば、半導体素子が形成されたウエハは、スクライブレーン内に形成されたトレンチを含むことができる。トレンチを用いてシンギュレーション工程が物理的に安定するように行われる。また、追加的なフォトマスクおよびフォトリソグラフィ工程を行わず、既存の工程を用いてトレンチを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施例によるウエハを概略的に示す上面図である。
図2A図1のA領域を拡大した図である。
図2B図1のA領域を拡大した図である。
図2C図1のA領域を拡大した図である。
図3A図1のB領域を拡大した図である。
図3B図1のB領域を拡大した図である。
図3C図1のB領域を拡大した図である。
図3D図1のB領域を拡大した図である。
図3E図1のB領域を拡大した図である。
図4A】本開示の実施例による半導体素子製造用ウエハを概略的に示すために、図1のI-I’線に沿った縦断面図である。
図4B】本開示の実施例による半導体素子製造用ウエハを概略的に示すために、図1のI-I’線に沿った縦断面図である。
図5】本開示の実施例によるトレンチを詳細に示す拡大図である。
図6】本開示の実施例によるトレンチの側壁の傾斜角による形状を詳細に示す拡大図である。
図7A】本開示の一実施例によるトレンチを形成し、シンギュレーション工程を行って半導体素子を製造することを示す図である。
図7B】本開示の一実施例によるトレンチを形成し、シンギュレーション工程を行って半導体素子を製造することを示す図である。
図7C】本開示の一実施例によるトレンチを形成し、シンギュレーション工程を行って半導体素子を製造することを示す図である。
図7D】本開示の一実施例によるトレンチを形成し、シンギュレーション工程を行って半導体素子を製造することを示す図である。
図7E】本開示の一実施例によるトレンチを形成し、シンギュレーション工程を行って半導体素子を製造することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付した図面を参照して、多様な実施例が詳細に説明される。図面は必ずしも一定の割合で示されたものとは限らず、いくつかの例において、実施例の特徴を明確に示すために図面に示された構造物の少なくとも一部の比例は誇張されてもよい。図面または詳細な説明に2以上の層を有する多層構造物が開示された場合、図示のような層の相対的な位置関係や配列順序は特定の実施例を反映するだけであって、本発明がこれに限定されるわけではなく、層の相対的な位置関係や配列順序は異なっていてもよい。また、多層構造物の図面または詳細な説明は特定の多層構造物に存在するすべての層を反映しなくてもよい(例えば、図示の2層の間に1つ以上の追加の層が存在してもよい)。例えば、図面または詳細な説明の多層構造物において第1層が第2層上にあるか、または基板上にある場合、第1層が第2層上に直接形成されるか、または基板上に直接形成されてもよいことを示すだけでなく、1つ以上の他の層が第1層と第2層との間、または第1層と基板との間に存在する場合も示すことができる。
【0010】
図1は、本開示の一実施例によるウエハWを概略的に示す上面図(top view)である。図1を参照すれば、本開示の一実施例によるウエハWは、チップ領域CAおよびスクライブレーンSLを含むことができる。チップ領域CAは、マトリクス状に配列される。スクライブレーンSLは、チップ領域CAの間に格子(lattice)状に配置される。スクライブレーンSLは、ロウ方向xに延びるロウスクライブレーンSLxと、カラム方向yに延びるカラムスクライブレーンSLyと、ロウスクライブレーンSLxとカラムスクライブレーンSLyとの交差するクロス-インターセクション領域SLcとを含むことができる。スクライブレーンSL内にトレンチパターンTpが配置される。ロウ方向xとカラム方向yとは、互いに垂直に交差することができる。
【0011】
図2A図2Cは、図1のA領域を拡大した図であり、図3A図3Eは、図1のB領域を拡大した図である。図2Aを参照すれば、本開示の一実施例によるトレンチパターンTp1は、複数のトレンチグループTg1を含むことができる。複数のトレンチグループTg1は、それぞれロウ方向xおよびカラム方向yに沿って互いに離隔するように配置される。各トレンチグループTg1は、複数の平行なセグメント型トレンチTs1を含むことができる。例えば、ロウスクライブレーンSLx内に配置されたトレンチグループTg1は、ロウ方向xに延長および離隔するように配置された複数のセグメント型トレンチTs1を含むことができ、カラムスクライブレーンSLy内に配置されたトレンチグループTg1は、カラム方向yに延長および離隔するように配置された複数のセグメント型トレンチTs1を含むことができる。図面において、1つのトレンチグループTg1が5個のセグメント型トレンチTs1を含むと仮定して示されたが、本開示の技術的思想はこれに限定されない。多様な実施例において、トレンチグループTg1は、少なくとも1つ以上のセグメント型トレンチTs1を含むことができる。
【0012】
図2Bを参照すれば、本開示の一実施例によるトレンチパターンTp2は、複数のトレンチグループTg2を含むことができ、各トレンチグループTg2は、オフセット配列された複数のセグメント型トレンチTs2を含むことができる。複数のトレンチグループTg2は、それぞれロウ方向xおよびカラム方向yに沿って互いに離隔するように配置される。例えば、トレンチTs2は、ロウ方向xに延び、カラム方向yにオフセット配列されるか、カラム方向yに延び、ロウ方向xにオフセット配列される。
【0013】
図2Cを参照すれば、本開示の一実施例によるトレンチパターンTp3は、オフセット配列された複数のセグメント型トレンチTs3を含むことができる。各トレンチTs3は、ロウ方向xおよびカラム方向yに延びることができ、互いに離隔可能である。
【0014】
図1および図3A図3Eを参照すれば、本開示の一実施例によるウエハは、クロス-インターセクション領域SLc内に配置された多様なクロス-インターセクショントレンチTc1を含むことができる。図1を参照すれば、クロス-インターセクション領域SLc内にトレンチパターンTp1-Tp3は形成されない。図3A図3Eを参照すれば、クロス-インターセクション領域SLc内にクロス-インターセクショントレンチパターンTc1-Tc5が配置される。
【0015】
図3Aを参照すれば、クロス-インターセクショントレンチパターンTc1は、多角形(polygon)状を有することができる。例えば、クロス-インターセクショントレンチパターンTc1は、四角形(rectangular)状を有することができる。一実施例において、クロス-インターセクショントレンチパターンTc1は、円形または点(dot)状を有することができる。
【0016】
図3Bを参照すれば、クロス-インターセクショントレンチパターンTc2は、格子(lattice)状を有することができる。例えば、ロウ方向xに延びるライン形状のロウトレンチと、カラム方向yに延びるライン形状のカラムトレンチとが格子状に交差することができる。
【0017】
図3Cを参照すれば、クロス-インターセクショントレンチパターンTc3は、十字(cross)形状を有することができる。例えば、セグメント形状のロウトレンチと、セグメント形状のカラムトレンチとがそれぞれ交差することができる。
【0018】
図3Dを参照すれば、クロス-インターセクショントレンチパターンTc4は、ライン型トレンチとセグメント型トレンチとの組み合わせを含むことができる。セグメント型トレンチは、四角形またはドット型トレンチに代替されてもよい。ロウ方向xとカラム方向yとは、互いに逆転可能である。
【0019】
図3Eを参照すれば、クロス-インターセクショントレンチパターンTc5は、互いに交差しないセグメント型トレンチを含むことができる。
【0020】
図3A図3Eに示された多様な実施例によるクロス-インターセクショントレンチパターンTc1-Tc5の技術的思想は多様に組み合わされる。
【0021】
図4Aおよび図4Bは、本開示の実施例による半導体素子製造用ウエハW1、W2を概略的に示すために、図1のI-I’線に沿った縦断面図である。図4Aおよび図4Bを参照すれば、本開示の一実施例による半導体素子製造用ウエハW1、W2は、チップ領域CAの間のスクライブレーンSLx、SLyを含むことができる。
【0022】
チップ領域CAは、基板10上に配置された金属パターン20およびトップ金属パターン20T、層間絶縁層30、パッシベーション層41、42、再配線絶縁層51、および再配線配線層52、並びに再配線ビア構造55を含むことができる。
【0023】
スクライブレーンSLx、SLyは、基板10上に配置されたダミー金属パターン20Dおよびダミートップ金属パターン20DT、層間絶縁層30、パッシベーション層41、42、再配線絶縁層51、エアギャップG、およびトレンチTを含むことができる。
【0024】
チップ領域CA内の金属パターン20は、多層の金属配線および金属ビアを含むことができる。金属パターン20は、半導体素子の動作のための伝導性回路構成要素の一部であってもよい。
【0025】
金属パターン20は、ガードリングパターン25をさらに含むことができる。ガードリングパターン25は、水平方向に延びる複数のガードリング配線および垂直方向に延びる複数のガードリングビアを含むことができる。ガードリングパターン25は、スクライブレーンSLx、SLyから発生したクラックがチップ領域CAに伝播することをブロッキングすることができる。
【0026】
トップ金属パターン20Tは、金属パターン20上に配置された配線パターンまたはパッドパターンを含むことができる。層間絶縁層30は、金属パターン20を取り囲むことができる。層間絶縁層30は、多層のシリコン酸化物系絶縁層およびシリコン窒化物系絶縁層を含むことができる。
【0027】
パッシベーション層41、42は、下部パッシベーション層41および上部パッシベーション層42を含むことができる。下部パッシベーション層41は、トップ金属パターン20Tを取り囲んで覆うことができる。下部パッシベーション層41は、エアギャップGを画定できるように低いコンフォーマリティを有する酸化物を含むことができる。例えば、下部パッシベーション層41は、HDP(High Density Plasma)酸化物を含むことができる。上部パッシベーション層42は、下部パッシベーション層41上に配置されて、下部パッシベーション層41とエッチング選択比を有することができる。上部パッシベーション層42は、下部パッシベーション層41より硬くて(solid)緻密な(dense)絶縁物を含むことができる。例えば、上部パッシベーション層42は、シリコン窒化物系絶縁物を含むことができる。上部パッシベーション層42は、下部パッシベーション層41より硬くて緻密なので、クラックが発生する可能性が高い。したがって、クラックの発生を防止するために、上部パッシベーション層42は、下部パッシベーション層41より薄く形成される。
【0028】
再配線絶縁層51は、上部パッシベーション層42上に形成される。再配線絶縁層51は、上部パッシベーション層42より低い誘電率を有することができる。再配線絶縁層51は、トップ金属パターン20Tと再配線配線層52との間の寄生キャパシタンスを低減するために厚く形成される。例えば、再配線絶縁層51は、下部パッシベーション層41より厚く形成される。
【0029】
再配線配線層52は、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、ハンダ(SnAg)のような伝導性金属を含むことができる。特に、再配線配線層52は、優れた金属接合性、安定した電気的特性および熱伝導性、柔軟性などを満たすアルミニウム(Al)を含むことができる。再配線配線層52は、再配線ビア構造55を介してトップ金属パターン20Tの一部と電気的に連結可能である。
【0030】
再配線ビア構造55は、再配線ビアホール55Hおよび再配線ビア金属層55Lを含むことができる。再配線ビアホール55Hは、再配線絶縁層51および上部パッシベーション層42を垂直に貫通し、下部パッシベーション層41を部分的に貫通してトップ金属パターン20Tの上面を露出させることができる。再配線ビア金属層55Lは、再配線ビアホール55Hの内壁および露出したトップ金属パターン20Tの上面上にコンフォーマルに形成される。再配線配線層52と再配線ビア金属層55Lとは、同一の金属を含むことで一体型に形成される。
【0031】
スクライブレーンSLx、SLy内のダミー金属パターン20Dおよびダミートップ金属パターン20DTは、多層のダミー金属配線およびダミー金属ビアを含むことができる。ダミー金属パターン20Dは、工程モニタリングパターンまたはテストパターンを含むことができる。
【0032】
ダミートップ金属パターン20の間にエアギャップGが形成される。エアギャップGは、ダミートップ金属パターン20の間に形成されるように、下部パッシベーション層41によって画定される。エアギャップGは、ソーイング工程またはダイシング工程で切断経路(ソーイング経路(path)またはダイシング経路)を提供することができる。エアギャップGは、コンフォーマリティが低い絶縁層形成工程により形成される。例えば、HDP酸化物を含む下部パッシベーション層41を形成する工程を用いて形成される。
【0033】
トレンチTは、再配線絶縁層51を垂直に貫通するように形成される。トレンチTは、ダミー金属パターン20Dおよびダミートップ金属パターン20DTと垂直に整列されるように配置される。トレンチTは、再配線ビアホール55Hより狭い水平幅を有するように形成される。トレンチTは、再配線ビアホール55Hを形成する工程を用いて形成される。すなわち、トレンチTは、再配線ビアホール55Hと同時に形成される。トレンチTの水平幅が再配線ビアホール55Hより十分に狭いので、スクライブレーンSLx、SLy内の再配線絶縁層51のエッチング率が、チップ領域CA内の再配線絶縁層51のエッチング率より低い。したがって、再配線ビアホール55Hがトップ金属パターン20Tの上面を露出する時、トレンチTの底面は、再配線絶縁層51の内部または上部パッシベーション層42を露出させることができる。一実施例において、トレンチTの底面は、下部パッシベーション層41の内部に位置してもよい。他の実施例において、トレンチTの底面は、ダミートップ金属パターン20DTの上面を露出させることができる。さらに他の実施例において、トレンチTの底面は、エアギャップGと空間的に連結可能である。本開示の技術的思想によれば、追加的なフォトマスクおよびフォトリソグラフィ工程なしに、既存の工程を用いてトレンチTが形成可能である。すなわち、既存のフォトマスクを改善して既存の工程を行うことにより、本開示の実施例によるトレンチTが形成できる。
【0034】
トレンチTは、ソーイング工程またはダイシング工程において切断経路(ソーイング経路またはダイシング経路)を提供することができる。したがって、低いエネルギーを用いてクラックの発生が低い安定したシンギュレーション工程が行われる。
【0035】
図4Bをさらに参照すれば、本開示の一実施例による半導体素子製造用ウエハW2は、図4Aに図示および説明されたウエハW1と比較して、スクライブレーンSLx、SLy内にチップ領域CAに隣接するように配置されたバリアガードリングパターン25BおよびバリアトレンチTBをさらに含むことができる。
【0036】
バリアガードリングパターン25BおよびバリアトレンチTBは、スクライブレーンSLx、SLyの中央から発生したクラックを吸収することができる。すなわち、バリアガードリングパターン25BおよびバリアトレンチTBは、スクライブレーンSLx、SLyの中央から発生したクラックがチップ領域CAに伝播することをブロッキングおよび遮断することができる。
【0037】
他の実施例において、チップ領域CA内にガードリングパターン25Bが省略可能である。ソーイング工程またはダイシング工程は、スクライブレーンSLx、SLyの中央領域で行われる。すなわち、ソーイング工程またはダイシング工程は、ダミー金属パターン20D、ダミートップ金属パターン20DT、およびトレンチTが形成された領域で行われる。
【0038】
バリアガードリングパターン25BおよびバリアトレンチTBは、スクライブレーンSLx、SLyの外郭領域、すなわちチップ領域CAに隣接した位置に配置されて、スクライブレーンSLx、SLyの中央領域から発生するクラックをブロッキングおよび遮断することができる。
【0039】
図5は、本開示の実施例によるトレンチT1-T4を詳細に示す拡大図である。図5を参照すれば、トレンチT1-T4は、多様な深さd1-d4を有することができる。トレンチT1-T4の深さd1-d4は、シンギュレーション工程のエネルギーによって決定される。例えば、シンギュレーション工程のエネルギーが高い場合、相対的に低い深さd1を有する第1トレンチT1が形成され、シンギュレーション工程のエネルギーが低い場合、相対的に深い深さd3を有する第3トレンチT3が形成される。通常の工程において、中間の深さd2を有する第2トレンチT2が形成される。第1トレンチT1の底面は、再配線絶縁層51内に位置してもよい。第2トレンチT2の底面は、上部パッシベーション層42を露出させることができる。例えば、第2トレンチT2の底面は、上部パッシベーション層42内に位置してもよい。第3トレンチT3の底面は、下部パッシベーション層41内に位置してもよい。他の実施例において、エアギャップGに連結された第4トレンチT4が形成される。本開示の技術的思想によれば、シンギュレーションエネルギーとトレンチT1-T4の深さd1-d4は多様に選択および組み合わされる。半導体素子を製造する工程において、シンギュレーション工程が低いエネルギーを用いて安定して行われる。
【0040】
図6は、本開示の実施例によるトレンチTa-Tdの側壁の傾斜角による形状を詳細に示す拡大図である。図6を参照すれば、各トレンチTa-Tdは、多様な側壁の傾斜角を有することができる。側壁の傾斜角が小さいほど内部側壁上にキャッピング絶縁層60が厚く形成される。キャッピング絶縁層60は、湿気が侵入することをブロッキングすることができる。したがって、適切な厚さのキャッピング絶縁層60が形成されるように、トレンチTの側壁傾斜度が調整および設定可能である。キャッピング絶縁層60は、シリコン窒化物系の無機絶縁物を含むことができる。図6に示されたトレンチTa-Tdの形状は、本開示の技術的思想を理解しやすいように誇張された。
【0041】
図7A図7Eは、本開示の一実施例によるトレンチTを形成し、シンギュレーション工程を行って半導体素子100を製造することを示す図である。
【0042】
図7Aを参照すれば、前記方法は、チップ領域CAおよびスクライブレーンSLx、SLyを有する基板10を準備することを含むことができる。基板10は、ウエハ状態であってもよい。
【0043】
前記方法は、基板10、すなわちウエハ上に金属パターン20、ダミー金属パターン20Dを形成することをさらに含むことができる。金属パターン20は、チップ領域CA内に形成され、ダミー金属パターン20Dは、スクライブレーンSLx、SLy内に形成される。
【0044】
前記方法は、金属パターン20およびダミー金属パターン20Dを取り囲む層間絶縁層30を形成することをさらに含むことができる。金属パターン20、ダミー金属パターン20D、および層間絶縁層30は、それぞれ多層の物質層を含むことができる。したがって、金属パターン20、ダミー金属パターン20D、および層間絶縁層30を形成するための工程は、それぞれ繰り返し行われる。
【0045】
前記方法は、チップ領域CA内の層間絶縁層30上にトップ金属パターン20Tを形成し、スクライブレーンSLx、SLy内の層間絶縁層30上にダミートップ金属パターン20DTを形成することをさらに含むことができる。
【0046】
図7Bを参照すれば、前記方法は、チップ領域CAおよびスクライブレーンSLx、SLy内で、トップ金属パターン20Tおよびダミートップ金属パターン20DTを覆う下部パッシベーション層41を形成し、下部パッシベーション層41上に上部パッシベーション層42を形成し、および上部パッシベーション層42上に再配線絶縁層51を形成することをさらに含むことができる。下部パッシベーション層41は、HDP(high density plasma)酸化物形成工程を行って形成される。下部パッシベーション層41は、ダミートップ金属パターン20DTの間の空間を完全に満たさないように低いコンフォーマリティを有することができる。したがって、下部パッシベーション層41は、スクライブレーンSLx、SLy内のダミートップ金属パターン20DTの間にエアギャップGを画定することができる。他の実施例において、チップ領域CA内のトップ金属パターン20Tの間にもエアギャップGが形成される。
【0047】
図7Cを参照すれば、前記方法は、再配線ビアホール55HおよびトレンチTを形成することをさらに含むことができる。例えば、チップ領域CA内で再配線絶縁層51を貫通してトップ金属パターン20Tの一部の上面を露出させる再配線ビアホール55Hを形成し、スクライブレーンSLx、SLy内で再配線絶縁層51を垂直に貫通するトレンチTを形成することをさらに含むことができる。図5をさらに参照して、トレンチTの底面は、再配線絶縁層51の内部、上部パッシベーション層42の内部、または下部パッシベーション層41の内部に位置してもよい。他の実施例において、トレンチTの底は、エアギャップGと空間的に連結可能である。再配線ビアホール55HとトレンチTは、同一の工程により同時に形成される。
【0048】
図7Dを参照すれば、前記方法は、チップ領域CA内の再配線ビアホール55Hの内壁および底面上に再配線ビア金属層55Lおよび再配線絶縁層51上に再配線配線層52を形成することをさらに含むことができる。再配線ビア金属層55Lは、再配線ビアホール55Hの内壁および再配線ビアホール55H内に露出したトップ金属パターン20Tの表面上にコンフォーマルに形成される。再配線ビアホール55Hおよび再配線ビア金属層55Lを含む再配線ビア構造55が形成される。再配線配線層52は、スクライブレーンSLx、SLy内にも形成される。スクライブレーンSLx、SLy内で、再配線配線層52は、残存してもよく、除去されてもよい。図面において、スクライブレーンSLx、SLy内で再配線配線層52が除去された。
【0049】
一実施例において、前記方法は、全面的にキャッピング絶縁層(図6の60)を形成することをさらに含むことができる。キャッピング絶縁層60は、シリコン窒化物系絶縁物を含むことができる。
【0050】
図7Eを参照すれば、前記方法は、シンギュレーション工程を行ってスクライブレーンSLx、SLyに沿って半導体素子100を分離することをさらに含むことができる。切断ブレードBがスクライブレーンSLに沿って半導体素子100を分離することができる。切断ブレードBは、ソーイングブレードであってもよい。他の実施例において、切断ブレードBは、レーザビームに代替されてもよい。
【0051】
本発明の技術思想は上記の好ましい実施例により具体的に記録されたが、上記の実施例はその説明のためのものであり、それを制限するためではないことに注意しなければならない。また、本発明の技術分野における通常の専門家であれば本発明の技術思想の範囲内で多様な実施例が可能であることを理解することができる。
【符号の説明】
【0052】
W、W1、W2:ウエハ
CA:チップ領域
SL:スクライブレーン
SLx:ロウスクライブレーン
SLy:カラムスクライブレーン
SLc:クロス-インターセクション領域
Tp:トレンチパターン
Ts1-Tds3:セグメント型トレンチ
Tc1-Tc5:クロス-インターセクショントレンチ
T:トレンチ
TB:バリアトレンチ
10:基板
20:金属パターン
20D:ダミー金属パターン
20T:トップ金属パターン
20DT:ダミートップ金属パターン
25:ガードリングパターン
25B:バリアガードリングパターン
30:層間絶縁層
41:下部パッシベーション層
42:上部パッシベーション層
G:エアギャップ
51:再配線絶縁層
52:再配線配線層
55:再配線ビア構造
55H:再配線ビアホール
55L:再配線ビア金属層
60:キャッピング絶縁層
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E