(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159512
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241031BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 651A
H01L21/304 648A
H01L21/304 648J
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037765
(22)【出願日】2024-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2023074986
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 充
(72)【発明者】
【氏名】外崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】宮本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】武渕 健一
(72)【発明者】
【氏名】宮川 紗希
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 正三
(72)【発明者】
【氏名】石井 亮平
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA32
5F131BA33
5F131BA43
5F131BB02
5F131BB03
5F131CA06
5F131CA09
5F131CA12
5F131CA32
5F131DA02
5F131DA22
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB63
5F131DB76
5F131DB82
5F131DD03
5F131DD13
5F131DD25
5F157AA02
5F157AA03
5F157AA70
5F157AA96
5F157AB46
5F157AB48
5F157AC53
5F157BA07
5F157BB13
5F157BB36
5F157CB13
5F157CB14
5F157CF76
5F157DB46
5F157DB57
(57)【要約】
【課題】研磨された基板(例えばウェーハ)を速やかに洗浄モジュールまで搬送することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】第1処理ユニット101は、基板Wを研磨する研磨モジュール1A,1Bと、基板Wを洗浄する洗浄モジュール8,9と、洗浄された基板Wを乾燥させる乾燥モジュール11と、第1処理ユニット101の一方側から反対側まで延びる基板搬送装置14と、基板Wを基板搬送装置14から研磨モジュール1A,1Bに、研磨モジュール1A,1Bから洗浄モジュール8,9に搬送する昇降搬送装置5と、基板Wを搬送する中継搬送装置6を備える。中継搬送装置6は、処理ユニット101,102の間で基板Wを搬送するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための第1処理ユニットおよび第2処理ユニットを備え、
前記第1処理ユニットおよび前記第2処理ユニットのそれぞれは、
基板を研磨する研磨モジュールと、
前記基板を洗浄する洗浄モジュールと、
前記洗浄された基板を乾燥させる乾燥モジュールと、
各処理ユニットの一方側から反対側まで延びる基板搬送装置と、
前記基板を前記基板搬送装置から前記研磨モジュールに、前記研磨モジュールから前記洗浄モジュールに搬送する昇降搬送装置と、
前記基板を搬送する中継搬送装置を備え、
前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットと前記第2処理ユニットとの間で前記基板を搬送するように構成されている、基板処理装置。
【請求項2】
前記研磨モジュールと前記洗浄モジュールは、前記昇降搬送装置を内部に有する昇降搬送エリアによって仕切られている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットと前記第2処理ユニットとの間に配置されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板搬送装置は、第1位置、第2位置、および第3位置で停止可能な基板ステージを備えており、前記第3位置は、前記第1位置と前記第2位置との間に位置しており、前記昇降搬送装置は前記第3位置にある前記基板ステージにアクセス可能に構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1処理ユニットの前記基板搬送装置の前記第2位置は、前記第2処理ユニットの前記基板搬送装置の前記第1位置に隣接しており、
前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットの前記基板搬送装置の前記第2位置と、前記第2処理ユニットの前記基板搬送装置の前記第1位置の両方にアクセス可能に構成されている、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1処理ユニットの前記昇降搬送装置および前記中継搬送装置、前記第2処理ユニットの前記昇降搬送装置および前記中継搬送装置は、等間隔で交互に配列されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1処理ユニットおよび前記第2処理ユニットのそれぞれは、複数の研磨モジュールを備えており、
前記第1処理ユニットの前記複数の研磨モジュール、および前記第2処理ユニットの前記複数の研磨モジュールは、等間隔で配列されている、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第1処理ユニットの前記昇降搬送装置および前記中継搬送装置と、前記第2処理ユニットの前記昇降搬送装置および前記中継搬送装置の配列間隔は、前記第1処理ユニットの前記複数の研磨モジュールと、前記第2処理ユニットの前記複数の研磨モジュールの配列間隔と同じである、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記昇降搬送装置は、前記基板を前記研磨モジュールに搬送する前に前記洗浄ユニットに搬送するように構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記中継搬送装置は、前記基板を前記洗浄モジュールから前記乾燥モジュールに搬送するように構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットの前記研磨モジュールおよび前記第2処理ユニットの前記研磨モジュールの両方にアクセス可能に構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置から前記第1処理ユニットの前記研磨モジュールまでの距離は、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置から前記第2処理ユニットの前記研磨モジュールまでの距離と同じである、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットの前記洗浄モジュールおよび前記第2処理ユニットの前記洗浄モジュールの両方にアクセス可能に構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置から前記第1処理ユニットの前記洗浄モジュールまでの距離は、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置から前記第2処理ユニットの前記洗浄モジュールまでの距離と同じである、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記基板処理装置は、前記第1処理ユニットおよび前記第2処理ユニットの動作を制御する動作制御部をさらに備え、
前記動作制御部は、
前記第1処理ユニット内の消耗部品のメンテナンスに関わる第1メンテナンス指標値と、前記第2処理ユニット内の消耗部品のメンテナンスに関わる第2メンテナンス指標値を算定し、
前記第1メンテナンス指標値および前記第2メンテナンス指標値に基づいて、前記第1処理ユニットのメンテナンス時期および前記第2処理ユニットのメンテナンス時期を予測し、
前記第1処理ユニットの予測されたメンテナンス時期が、前記第2処理ユニットの予測されたメンテナンス時期に重複するときは、前記第1処理ユニットおよび前記第2処理ユニットのうちの少なくとも一方の稼働率を変化させることで、前記第1処理ユニットの予測されたメンテナンス時期が、前記第2処理ユニットの予測されたメンテナンス時期に重複しないようにする、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記第1処理ユニットのメンテナンス時期が、前記第2処理ユニットのメンテナンス時期よりも先に到達すると予想されるときは、前記動作制御部は、前記第1処理ユニットの稼働率を上げるか、または前記第2処理ユニットの稼働率を下げるか、または前記第1処理ユニットの稼働率を上げ、かつ前記第2処理ユニットの稼働率を下げるように構成されている、請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記第2処理ユニットのメンテナンス時期が、前記第1処理ユニットのメンテナンス時期よりも先に到達すると予想されるときは、前記動作制御部は、前記第2処理ユニットの稼働率を上げるか、または前記第1処理ユニットの稼働率を下げるか、または前記第2処理ユニットの稼働率を上げ、かつ前記第1処理ユニットの稼働率を下げるように構成されている、請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項18】
基板を処理するための第1処理ユニット、第2処理ユニット、および第3処理ユニットを備え、
前記第1処理ユニット、前記第2処理ユニット、および前記第3処理ユニットのそれぞれは、
基板を研磨する複数の研磨モジュールと、
基板を洗浄する洗浄モジュールと、
洗浄された基板を乾燥させる乾燥モジュールと、
各処理ユニットの一方側から反対側まで延びる基板搬送装置と、
基板を前記基板搬送装置から前記研磨モジュールに、前記研磨モジュールから前記洗浄モジュールに搬送する昇降搬送装置と、
基板を搬送する中継搬送装置を備え、
前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットと前記第2処理ユニットとの間で前記基板を搬送するように構成されており、
前記第2処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第2処理ユニットと前記第3処理ユニットとの間で前記基板を搬送するように構成されている、基板処理装置。
【請求項19】
前記第1処理ユニットの前記複数の研磨モジュール、前記第2処理ユニットの前記複数の研磨モジュール、および第3処理ユニットの前記複数の研磨モジュールは、複数の基板の三段階研磨を並行して行うように構成されている、請求項18に記載の基板処理装置。
【請求項20】
前記基板処理装置は、前記第1処理ユニット、前記第2処理ユニット、および前記第3処理ユニットの動作を制御する動作制御部をさらに備え、
前記動作制御部は、
前記第1処理ユニット内の消耗部品のメンテナンスに関わる第1メンテナンス指標値と、前記第2処理ユニット内の消耗部品のメンテナンスに関わる第2メンテナンス指標値と、前記第3処理ユニット内の消耗部品のメンテナンスに関わる第3メンテナンス指標値を算定し、
前記第1メンテナンス指標値、前記第2メンテナンス指標値、および前記第3メンテナンス指標値に基づいて、前記第1処理ユニットのメンテナンス時期、前記第2処理ユニットのメンテナンス時期、および前記第1処理ユニットのメンテナンス時期を予測し、
前記第1処理ユニット、前記第2処理ユニット、および前記第3処理ユニットうちのいずれか2つの予測されたメンテナンス時期が重複するときは、前記2つの処理ユニットのうちの少なくとも一方の稼働率を変化させることで、前記2つの処理ユニットの予測されたメンテナンス時期が重複しないようにする、請求項18に記載の基板処理装置。
【請求項21】
前記2つの処理ユニットのうちの一方のメンテナンス時期が、前記2つの処理ユニットのうちの他方のメンテナンス時期よりも先に到達すると予想されるときは、前記動作制御部は、前記2つの処理ユニットのうちの前記一方の稼働率を上げるか、または前記2つの処理ユニットのうちの前記他方の稼働率を下げるか、または前記2つの処理ユニットのうちの前記一方の稼働率を上げ、かつ前記2つの処理ユニットのうちの前記他方の稼働率を下げるように構成されている、請求項20に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ、円形基板、角基板、パネルなどの半導体デバイスに使用される基板を処理するための基板処理装置に関し、特に複数の研磨モジュールを備えた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造では、ウェーハの上に多くの種類の材料が膜状に繰り返し形成され、積層構造を形成する。この積層構造を形成するためには、ウェーハの表面を平坦にする技術が重要となっている。このようなウェーハの表面を平坦化する一手段として、化学機械研磨(CMP)を行う研磨装置が用いられている。
【0003】
研磨装置は、一般に、研磨パッドが取り付けられた研磨テーブルと、ウェーハを研磨テーブル上の研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドと、研磨液を研磨パッド上に供給するノズルとを備えている。ノズルから研磨液を研磨パッド上に供給しながら、研磨ヘッドによりウェーハを研磨パッドに押し付け、さらに研磨ヘッドと研磨パッドとを相対移動させることにより、ウェーハを研磨する。
【0004】
基板処理装置は、上述のような化学機械研磨(CMP)を行う研磨モジュールと、研磨後のウェーハを洗浄する洗浄モジュールと、洗浄されたウェーハを乾燥させる乾燥モジュールを有する装置である。研磨モジュールによって研磨されたウェーハは、搬送ロボットにより洗浄モジュールおよび乾燥モジュールに搬送され、洗浄モジュールおよび乾燥モジュールによって洗浄および乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ウェーハを多段階で研磨する目的や、複数のウェーハを同時に研磨する目的から、複数の研磨モジュールを備える必要がある。しかし、多くの研磨モジュールを設置すると、ある研磨モジュールは他の研磨モジュールに比べて、洗浄モジュールから離れて配置されるために、研磨されたウェーハを洗浄モジュールに搬送するのに、より長い時間がかかることがある。その結果、研磨されたウェーハの表面に露出する金属が、研磨液により腐食するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、研磨された基板(例えばウェーハ)を速やかに洗浄モジュールまで搬送することができる基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、基板を処理するための第1処理ユニットおよび第2処理ユニットを備え、前記第1処理ユニットおよび前記第2処理ユニットのそれぞれは、基板を研磨する研磨モジュールと、前記基板を洗浄する洗浄モジュールと、前記洗浄された基板を乾燥させる乾燥モジュールと、各処理ユニットの一方側から反対側まで延びる基板搬送装置と、前記基板を前記基板搬送装置から前記研磨モジュールに、前記研磨モジュールから前記洗浄モジュールに搬送する昇降搬送装置と、前記基板を搬送する中継搬送装置を備え、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットと前記第2処理ユニットとの間で前記基板を搬送するように構成されている、基板処理装置が提供される。
【0009】
一態様では、前記研磨モジュールと前記洗浄モジュールは、前記昇降搬送装置を内部に有する昇降搬送エリアによって仕切られている。
一態様では、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットと前記第2処理ユニットとの間に配置されている。
一態様では、前記基板搬送装置は、第1位置、第2位置、および第3位置で停止可能な基板ステージを備えており、前記第3位置は、前記第1位置と前記第2位置との間に位置しており、前記昇降搬送装置は前記第3位置にある前記基板ステージにアクセス可能に構成されている。
一態様では、前記第1処理ユニットの前記基板搬送装置の前記第2位置は、前記第2処理ユニットの前記基板搬送装置の前記第1位置に隣接しており、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットの前記基板搬送装置の前記第2位置と、前記第2処理ユニットの前記基板搬送装置の前記第1位置の両方にアクセス可能に構成されている。
【0010】
一態様では、前記第1処理ユニットの前記昇降搬送装置および前記中継搬送装置、前記第2処理ユニットの前記昇降搬送装置および前記中継搬送装置は、等間隔で交互に配列されている。
一態様では、前記第1処理ユニットおよび前記第2処理ユニットのそれぞれは、複数の研磨モジュールを備えており、前記第1処理ユニットの前記複数の研磨モジュール、および前記第2処理ユニットの前記複数の研磨モジュールは、等間隔で配列されている。
一態様では、前記第1処理ユニットの前記昇降搬送装置および前記中継搬送装置と、前記第2処理ユニットの前記昇降搬送装置および前記中継搬送装置の配列間隔は、前記第1処理ユニットの前記複数の研磨モジュールと、前記第2処理ユニットの前記複数の研磨モジュールの配列間隔と同じである。
一態様では、前記昇降搬送装置は、前記基板を前記研磨モジュールに搬送する前に前記洗浄ユニットに搬送するように構成されている。
一態様では、前記中継搬送装置は、前記基板を前記洗浄モジュールから前記乾燥モジュールに搬送するように構成されている。
【0011】
一態様では、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットの前記研磨モジュールおよび前記第2処理ユニットの前記研磨モジュールの両方にアクセス可能に構成されている。
一態様では、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置から前記第1処理ユニットの前記研磨モジュールまでの距離は、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置から前記第2処理ユニットの前記研磨モジュールまでの距離と同じである。
一態様では、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットの前記洗浄モジュールおよび前記第2処理ユニットの前記洗浄モジュールの両方にアクセス可能に構成されている。
一態様では、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置から前記第1処理ユニットの前記洗浄モジュールまでの距離は、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置から前記第2処理ユニットの前記洗浄モジュールまでの距離と同じである。
【0012】
一態様では、前記基板処理装置は、前記第1処理ユニットおよび前記第2処理ユニットの動作を制御する動作制御部をさらに備え、前記動作制御部は、前記第1処理ユニット内の消耗部品のメンテナンスに関わる第1メンテナンス指標値と、前記第2処理ユニット内の消耗部品のメンテナンスに関わる第2メンテナンス指標値を算定し、前記第1メンテナンス指標値および前記第2メンテナンス指標値に基づいて、前記第1処理ユニットのメンテナンス時期および前記第2処理ユニットのメンテナンス時期を予測し、前記第1処理ユニットの予測されたメンテナンス時期が、前記第2処理ユニットの予測されたメンテナンス時期に重複するときは、前記第1処理ユニットおよび前記第2処理ユニットのうちの少なくとも一方の稼働率を変化させることで、前記第1処理ユニットの予測されたメンテナンス時期が、前記第2処理ユニットの予測されたメンテナンス時期に重複しないようにする。
一態様では、前記第1処理ユニットのメンテナンス時期が、前記第2処理ユニットのメンテナンス時期よりも先に到達すると予想されるときは、前記動作制御部は、前記第1処理ユニットの稼働率を上げるか、または前記第2処理ユニットの稼働率を下げるか、または前記第1処理ユニットの稼働率を上げ、かつ前記第2処理ユニットの稼働率を下げるように構成されている。
一態様では、前記第2処理ユニットのメンテナンス時期が、前記第1処理ユニットのメンテナンス時期よりも先に到達すると予想されるときは、前記動作制御部は、前記第2処理ユニットの稼働率を上げるか、または前記第1処理ユニットの稼働率を下げるか、または前記第2処理ユニットの稼働率を上げ、かつ前記第1処理ユニットの稼働率を下げるように構成されている。
【0013】
一態様では、基板を処理するための第1処理ユニット、第2処理ユニット、および第3処理ユニットを備え、前記第1処理ユニット、前記第2処理ユニット、および前記第3処理ユニットのそれぞれは、基板を研磨する複数の研磨モジュールと、基板を洗浄する洗浄モジュールと、洗浄された基板を乾燥させる乾燥モジュールと、各処理ユニットの一方側から反対側まで延びる基板搬送装置と、基板を前記基板搬送装置から前記研磨モジュールに、前記研磨モジュールから前記洗浄モジュールに搬送する昇降搬送装置と、基板を搬送する中継搬送装置を備え、前記第1処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第1処理ユニットと前記第2処理ユニットとの間で前記基板を搬送するように構成されており、前記第2処理ユニットの前記中継搬送装置は、前記第2処理ユニットと前記第3処理ユニットとの間で前記基板を搬送するように構成されている、基板処理装置が提供される。
【0014】
一態様では、前記第1処理ユニットの前記複数の研磨モジュール、前記第2処理ユニットの前記複数の研磨モジュール、および第3処理ユニットの前記複数の研磨モジュールは、複数の基板の三段階研磨を並行して行うように構成されている。
一態様では、前記基板処理装置は、前記第1処理ユニット、前記第2処理ユニット、および前記第3処理ユニットの動作を制御する動作制御部をさらに備え、前記動作制御部は、前記第1処理ユニット内の消耗部品のメンテナンスに関わる第1メンテナンス指標値と、前記第2処理ユニット内の消耗部品のメンテナンスに関わる第2メンテナンス指標値と、前記第3処理ユニット内の消耗部品のメンテナンスに関わる第3メンテナンス指標値を算定し、前記第1メンテナンス指標値、前記第2メンテナンス指標値、および前記第3メンテナンス指標値に基づいて、前記第1処理ユニットのメンテナンス時期、前記第2処理ユニットのメンテナンス時期、および前記第1処理ユニットのメンテナンス時期を予測し、前記第1処理ユニット、前記第2処理ユニット、および前記第3処理ユニットうちのいずれか2つの予測されたメンテナンス時期が重複するときは、前記2つの処理ユニットのうちの少なくとも一方の稼働率を変化させることで、前記2つの処理ユニットの予測されたメンテナンス時期が重複しないようにする。
一態様では、前記2つの処理ユニットのうちの一方のメンテナンス時期が、前記2つの処理ユニットのうちの他方のメンテナンス時期よりも先に到達すると予想されるときは、前記動作制御部は、前記2つの処理ユニットのうちの前記一方の稼働率を上げるか、または前記2つの処理ユニットのうちの前記他方の稼働率を下げるか、または前記2つの処理ユニットのうちの前記一方の稼働率を上げ、かつ前記2つの処理ユニットのうちの前記他方の稼働率を下げるように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1処理ユニットおよび第2処理ユニットのそれぞれは、研磨モジュール、洗浄モジュール、昇降搬送装置を備えているので、各処理ユニット内で基板の研磨および洗浄を完結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】基板処理装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、基板搬送装置の一実施形態を示す側面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のA-A線断面図である。
【
図7】
図7(a)は、基板搬送装置の他の実施形態を示す側面図であり、
図7(b)は、
図7(a)のB-B線断面図である。
【
図8】基板搬送装置のさらに他の実施形態を示す側面図である。
【
図9】基板搬送装置のさらに他の実施形態を示す側面図である。
【
図10】
図10(a)は、基板搬送装置のさらに他の実施形態を示す側面図であり、
図10(b)は、
図10(a)のC-C線断面図である。
【
図11】
図11(a)は、基板搬送装置のさらに他の実施形態を示す側面図であり、
図11(b)は、
図11(a)のD-D線断面図である。
【
図12】基板の搬送経路と処理シーケンスの一例を示す図である。
【
図13】基板の搬送経路と処理シーケンスの他の例を示す図である。
【
図14】基板の搬送経路と処理シーケンスのさらに他の例を示す図である。
【
図15】第1メンテナンス指標値および第2メンテナンス指標値の時間に伴う変化を示すグラフである。
【
図16】第1処理ユニットと第2処理ユニットのメンテナンス時期が重複する例を示すグラフである。
【
図17】第1処理ユニットの稼働率を上げることで、メンテナンス時期の重複を回避する一実施形態を示すグラフである。
【
図18】第2処理ユニットの稼働率を下げることで、メンテナンス時期の重複を回避する一実施形態を示すグラフである。
【
図19】第1処理ユニットの稼働率を上げ、かつ第2処理ユニットの稼働率を下げることで、メンテナンス時期の重複を回避する一実施形態を示すグラフである。
【
図20】基板処理装置の他の実施形態を示す平面図である。
【
図21】基板の搬送経路と処理シーケンスの一例を示す図である。
【
図22】基板の搬送経路と処理シーケンスの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、基板処理装置の一実施形態を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す基板処理装置の側面図であり、
図3は、
図1に示す基板処理装置の平面図である。基板処理装置は、基板Wを処理するための第1処理ユニット101および第2処理ユニット102を備えている。基板Wの処理には、基板Wの研磨、洗浄、および乾燥が含まれる。第1処理ユニット101および第2処理ユニット102は、横並びに配列されている。基板Wの具体例としては、半導体デバイスに使用されるウェーハ、円形基板、角基板、パネルなどが挙げられる。以下に説明する実施形態では、基板Wとして円形ウェーハが使用される。
【0018】
第1処理ユニット101および第2処理ユニット102は同じ構成要素を有しているので、以下、第1処理ユニット101について説明する。以下の説明は第2処理ユニット102にも適用できる。第1処理ユニット101は、基板Wを研磨する複数の研磨モジュール1A,1Bと、基板Wを洗浄する複数の洗浄モジュール7,8,9,10と、洗浄された基板Wを乾燥させる乾燥モジュール11と、第1処理ユニット101の一方側から反対側まで延びる基板搬送装置14と、基板Wを基板搬送装置14から各研磨モジュール1A,1Bに、各研磨モジュール1A,1Bから複数の洗浄モジュール7,8,9に搬送する昇降搬送装置5を備えている。昇降搬送装置5は、基板Wを洗浄モジュール7,8,9,10間で搬送するように構成されている。
【0019】
第1処理ユニット101は、基板Wを洗浄モジュール10から乾燥モジュール11に、乾燥モジュール11から基板搬送装置14に搬送するように構成された中継搬送装置6をさらに備えている。第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、第1処理ユニット101と第2処理ユニット102との間で基板Wを搬送するように構成されている。基板処理装置は、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102の上記構成要素の動作を制御する動作制御部15を備えている。
【0020】
図3に示すように、研磨モジュール1A,1B、昇降搬送装置5、中継搬送装置6、洗浄モジュール7,8,9,10および乾燥モジュール11の周囲は壁(筐体)16で囲まれており、壁16の内部の雰囲気が他のエリアに拡散しないように、清浄度がコントロールされている。基板Wは、壁(筐体)16に設けられた開口部(シャッターを備える)を通じて搬送される。特に、研磨モジュール1A,1Bと洗浄モジュール7,8,9,10は、昇降搬送装置5を内部に有する昇降搬送エリア17によって仕切られている。昇降搬送エリア17は壁(筐体)16によって形成されている。
図1および
図2では、壁(筐体)16の詳細の図示は省略している。
【0021】
第1処理ユニット101および第2処理ユニット102のそれぞれは、ユニット化された組立体である。一実施形態では、第2処理ユニット102は、第1処理ユニット101に着脱可能に連結されており、第2処理ユニット102の全体は、第1処理ユニット101から分離することが可能である。さらに、同様の構成を持つ1つまたは複数の追加の処理ユニットを第2処理ユニット102に連結することも可能である。すなわち、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102を含む3つ以上の処理ユニットを直列に連結することが可能である。
【0022】
第1処理ユニット101および第2処理ユニット102を含む複数の処理ユニットの動作は、動作制御部15によって制御される。動作制御部15は、プログラムが格納された記憶装置15aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置15bを備えている。動作制御部15は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。記憶装置15aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置15bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、動作制御部15の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0023】
図1乃至
図3に示す実施形態では、第1処理ユニット101は、同じ高さに並列に配置された2つの研磨モジュール1A,1Bを備えている。一実施形態では、処理ユニット101,102のそれぞれは、単一の研磨モジュールを備えてもよく、他の実施形態では、処理ユニット101,102のそれぞれは、3つ以上の研磨モジュールを備えてもよい。基板搬送装置14は、研磨モジュール1A,1B、洗浄モジュール7,8,9,10、乾燥モジュール11よりも高い位置に配置されている。本実施形態では、基板搬送装置14は、洗浄モジュール7,8,9,10および乾燥モジュール11の上方に配置されている。
【0024】
昇降搬送装置5は、基板搬送装置14、研磨モジュール1A,1B、洗浄モジュール7,8,9,10にアクセス可能な保持ハンド40を備えている。保持ハンド40は、
図1の矢印で示すように、上下に移動可能である。第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、第1処理ユニット101の研磨モジュール1B、洗浄モジュール10、乾燥モジュール11、基板搬送装置14、および第2処理ユニット102の基板搬送装置14、研磨モジュール1C、および洗浄モジュール7,8にアクセス可能な保持ハンド60を備えている。保持ハンド60は、
図1の矢印で示すように、上下に移動可能である。
【0025】
研磨すべき基板Wは、その被研磨面が上向きの状態で、第1処理ユニット101の基板搬送装置14によって搬送される。第1処理ユニット101の昇降搬送装置5は、基板搬送装置14まで上昇し、基板Wを基板搬送装置14から取り出す。さらに、昇降搬送装置5は、基板Wの被研磨面が下向きになるように基板Wを反転させ、その後、研磨モジュール1A,1Bのいずれか一方に渡す。基板Wは、研磨モジュール1Aおよび研磨モジュール1Bの一方または両方によって研磨される。研磨モジュール1A,1B間の基板Wの搬送は、昇降搬送装置5によって行われる。
【0026】
2つの研磨モジュール1A,1Bは同じ構成要素を有しているので、以下、研磨モジュール1Aについて説明する。詳細な説明を省略するが、第2処理ユニット102の研磨モジュール1C,1Dも同じ構成要素を有している。
【0027】
研磨モジュール1Aは、研磨パッド20を支持する研磨テーブル21と、研磨テーブル21を回転させるテーブルモータ22と、研磨液を研磨パッド20上に供給する研磨液供給ノズル24と、基板Wを研磨パッド20に押し付けて基板Wを研磨する2つの研磨ヘッド25,25と、研磨ヘッド25,25をそれらの軸心を中心に回転させる研磨ヘッドモータ(図示せず)を有している。2つの研磨ヘッド25,25は、ヘッドアーム28に回転可能に支持されており、上記研磨ヘッドモータはヘッドアーム28内に配置されている。ヘッドアーム28の中央部は支持軸29により支持されている。
【0028】
研磨モジュール1Aは、基板Wを昇降搬送装置5から受け取り、基板Wを2つの研磨ヘッド25,25のうちの一方に渡す基板ローダー33をさらに備えている。基板ローダー33は、研磨テーブル21の外側に配置されている。昇降搬送装置5は、基板Wの被研磨面が下方を向くように基板Wを反転させるように構成されており、基板Wの被研磨面が下方を向いた状態で基板Wを基板ローダー33に渡す。
【0029】
研磨モジュール1Aは、ヘッドアーム28および2つの研磨ヘッド25,25を支持軸29を中心に回転させるアーム旋回モータ(図示せず)をさらに備えている。このアーム旋回モータは、ヘッドアーム28または支持軸29に設置されている。ヘッドアーム28がアーム旋回モータによって180度の角度だけ回転されると、2つの研磨ヘッド25,25のうちの一方は研磨パッド20の上方位置に移動され、他方の研磨ヘッド25は基板ローダー33の上方位置に移動される。基板ローダー33は、基板Wを持ち上げ、研磨テーブル21の外側にある研磨ヘッド25に基板Wを渡すように構成されている。研磨ヘッド25,25は、真空吸引によりその下面に基板Wを保持することが可能に構成されている。一実施形態では、研磨モジュール1A,1Bのうちの一方または両方は、単一の研磨ヘッド25を有してもよい。
【0030】
基板Wの研磨は、次のようにして行われる。研磨すべき基板Wが研磨ヘッド25により保持されると、ヘッドアーム28は180度回転し、研磨ヘッド25は基板Wとともに、研磨パッド20の上方位置に移動する。研磨テーブル21および研磨パッド20は、テーブルモータ22により回転し、研磨液供給ノズル24から研磨液(典型的にはスラリー)が研磨パッド20上に供給される。研磨ヘッド25は、ヘッドアーム28内に配置された研磨ヘッドモータ(図示せず)により回転されながら、基板Wの下面(被研磨面)を研磨パッド20に押し付ける。基板Wの下面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッド20の機械的作用の組み合わせにより研磨される。本実施形態の研磨モジュール1A,1Bは、基板Wを化学機械的に研磨する化学機械研磨装置(CMP装置)である。
【0031】
基板Wの研磨が終了すると、ヘッドアーム28は180度回転し、研磨ヘッド25は研磨された基板Wとともに、基板ローダー33の上方位置に移動する。研磨ヘッド25は、基板Wをリリースし、基板Wは基板ローダー33上に置かれる。昇降搬送装置5の保持ハンド40は、基板Wを基板ローダー33から取り出し、複数の洗浄モジュール7~10のいずれかに基板Wを搬入する。本実施形態では、研磨モジュール1Aが2つの研磨ヘッド25,25を有しているので、一方の研磨ヘッド25が研磨パッド20の上方位置にある間あるいは基板Wを研磨している間に、他方の研磨ヘッド25が基板Wをリリースし、次に研磨する基板を保持することができる。
【0032】
本実施形態の複数の洗浄モジュール7,8,9,10は、前洗浄モジュールまたは後洗浄モジュールとして使用される洗浄モジュール7と、後洗浄モジュールとして使用される複数の(
図1では3つの)洗浄モジュール8,9,10を含む。前洗浄モジュールは、研磨モジュール1A,1Bによって研磨される前の基板Wを洗浄するための洗浄装置であり、後洗浄モジュールは、研磨モジュール1A,1Bによって研磨された後の基板Wを洗浄するための洗浄装置である。洗浄モジュール7と洗浄モジュール8は、縦方向に沿って配列され、洗浄モジュール9、洗浄モジュール10、および乾燥モジュール11も、縦方向に沿って配列されている。洗浄モジュール7,8のグループは、洗浄モジュール9,10および乾燥モジュール11のグループから離れて配置されている。洗浄モジュール7は洗浄モジュール8の上に配置されている。乾燥モジュール11は洗浄モジュール10の上に配置され、洗浄モジュール10は洗浄モジュール9の上に配置されている。
【0033】
4つの洗浄モジュール7,8,9,10のタイプは特に限定されない。一例では、洗浄モジュール7はバフ洗浄装置またはスポンジスクラブ洗浄装置であり、洗浄モジュール8,9はスポンジスクラブ洗浄装置であり、洗浄モジュール10は二流体ジェット洗浄装置である。洗浄モジュール7,8,9,10の洗浄メカニズムは、公知の構成を使用することができる。乾燥モジュール11のタイプも特に限定されない。例えば、乾燥モジュール11は、イソプロピルアルコールの蒸気を基板Wに吹き付けて基板Wを乾燥させるIPA乾燥装置であってもよく、あるいは、基板Wを高速で回転させることで液体を基板Wから除去するスピン乾燥装置であってもよい。
【0034】
昇降搬送装置5の動作は、基板Wを研磨モジュール1Aまたは1Bに搬送する前に洗浄モジュール7に搬送する前洗浄モードと、基板Wを研磨モジュール1Aまたは1Bから取り出した後に洗浄モジュール7に搬送する後洗浄モードとの間で切り替えるように構成されている。前洗浄モードでは、洗浄モジュール7は前洗浄モジュールとして動作する。すなわち、動作制御部15は、昇降搬送装置5に指令を与えて、基板Wを研磨モジュール1Aまたは1Bに搬送する前に、基板Wを基板搬送装置14から洗浄モジュール7に搬送させる。前洗浄モジュールとしての洗浄モジュール7は、研磨前の基板Wを洗浄する。後洗浄モードでは、洗浄モジュール7は後洗浄モジュールとして動作する。すなわち、動作制御部15は、昇降搬送装置5に指令を与えて、研磨された基板Wを研磨モジュール1Aまたは1Bから洗浄モジュール7に搬送させる。後洗浄モジュールとしての洗浄モジュール7は、研磨された基板Wを洗浄する。
【0035】
前洗浄モードでは、研磨された基板Wは、洗浄モジュール8、洗浄モジュール9、および洗浄モジュール10の順に搬送され、これら洗浄モジュール8,9,10によって洗浄される。後洗浄モードでは、研磨された基板Wは、洗浄モジュール7、洗浄モジュール8、洗浄モジュール9、および洗浄モジュール10の順に搬送され、これら洗浄モジュール7,8,9,10によって洗浄される。
【0036】
本実施形態では、昇降搬送装置5は、洗浄モジュール7,8,9,10にアクセス可能に構成され、中継搬送装置6は、洗浄モジュール10および乾燥モジュール11にアクセス可能に構成されている。したがって、昇降搬送装置5は、清浄度の低い(すなわち研磨液および研磨屑が付着した)研磨後の基板Wを搬送し、中継搬送装置6は、清浄度の高い、洗浄後の基板Wを搬送する。さらに、2つの搬送装置、すなわち昇降搬送装置5と中継搬送装置6を用いることで、基板の搬送が律速になることを防ぎ、複数の基板を連続的に処理することができる。
【0037】
一実施形態では、昇降搬送装置5は、上下に配置され互いに独立して動作する2つの保持ハンド40を有し、中継搬送装置6は、上下に配置され互いに独立して動作する2つの保持ハンド60を有する。例えば、下側の保持ハンド40は、ウエット状態の基板を搬送し、上側の保持ハンド40は、乾燥した基板を搬送することができる。同様に、下側の保持ハンド60は、ウエット状態の基板を搬送し、上側の保持ハンド60は、乾燥した基板を搬送することができる。
【0038】
一実施形態では、昇降搬送装置5は、洗浄モジュール7,8,9,10および乾燥モジュール11のすべてにアクセス可能に構成されてもよい。この場合は、基板Wの洗浄モジュール7,8,9,10および乾燥モジュール11への搬入および搬出は、昇降搬送装置5によって実行される。
【0039】
基板搬送装置14は、基板Wを支持する基板ステージ71と、基板ステージ71を水平に移動させるステージ移動機構72を備えている。基板ステージ71はステージ移動機構72に連結されている。ステージ移動機構72は、第1処理ユニット101の一方側から反対側まで水平に延びている。より具体的には、ステージ移動機構72は、第1処理ユニット101の幅方向に延びており、洗浄モジュール7,8,9,10および乾燥モジュール11の上方に配置されている。本実施形態の基板搬送装置14は、基板Wを直線上に移動させるリニアトランスポータである。
【0040】
ステージ移動機構72は、基板ステージ71を第1位置P1、第2位置P2、および第3位置P3で停止させるように構成されている。第1位置P1は、第1処理ユニット101の一方側に位置しており、第2位置P2は第1処理ユニット101の反対側に位置している。第3位置P3は、第1位置P1と第2位置P2との間に位置している。より具体的には、第1位置P1は、洗浄モジュール7,8の上方にあり、第2位置P2は洗浄モジュール9,10および乾燥モジュール11の上方にある。第3位置P3は、洗浄モジュール7,8のグループと、洗浄モジュール9,10および乾燥モジュール11のグループの間に位置している。
【0041】
基板処理装置は、第1処理ユニット101に隣接したロード・アンロード部50を備えている。
図2および
図3に示すように、ロード・アンロード部50は、複数の基板Wが収納されたカセットストレージ100が置かれるカセットローダー53と、研磨すべき1つの基板Wをカセットストレージ100から取り出して、基板搬送装置14に渡す搬送ロボット55をさらに備えている。搬送ロボット55は、カセットローダー53と基板搬送装置14との間に配置されている。
【0042】
基板処理装置は、搬送ロボット55を水平方向および上下方向に移動させる水平移動機構56および上下移動機構57をさらに備えている。搬送ロボット55、水平移動機構56、および上下移動機構57は、
図1に示す動作制御部15に接続されており、搬送ロボット55、水平移動機構56、および上下移動機構57の動作は、動作制御部15によって制御される。
【0043】
上下移動機構57は、搬送ロボット55をカセットストレージ100と基板搬送装置14との間で昇降させるように構成されている。すなわち、搬送ロボット55は、研磨すべき1つの基板Wをカセットストレージ100から取り出し、上下移動機構57により基板搬送装置14まで上昇して、基板Wを第1処理ユニット101の基板搬送装置14の基板ステージ71上に置く。さらに、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102の少なくとも一方によって処理(研磨、洗浄、乾燥)された基板Wは、第1処理ユニット101の基板搬送装置14の基板ステージ71から搬送ロボット55によって取り出される。搬送ロボット55は、処理された基板Wとともに、上下移動機構57によって下降され、処理された基板Wをカセットストレージ100に戻す。
【0044】
研磨ヘッド25,25は、図示しないフレームから吊り下げられている。より具体的には、支持軸29は、図示しないフレームから下方に延びており、ヘッドアーム28は、支持軸29の下部に回転可能に支持されている。ヘッドアーム28または支持軸29には、ヘッドアーム28および2つの研磨ヘッド25,25を支持軸29を中心に回転させるアーム旋回モータ(図示せず)が設置されている。研磨モジュール1Bも同様の構成を有している。
【0045】
図4は、昇降搬送装置5の一実施形態を示す図である。
図4に示すように、昇降搬送装置5は、基板Wを保持するための保持ハンド40と、保持ハンド40を反転させる反転装置41と、反転装置41が固定されたロボットアーム42と、保持ハンド40、反転装置41、およびロボットアーム42を上昇および下降させる昇降機構44を備えている。
【0046】
保持ハンド40は、基板Wの周縁部を保持するように構成されており、反転装置41によって基板Wおよび保持ハンド40が反転されたときに、基板Wが保持ハンド40から落下しないようになっている。反転装置41は、基板Wを保持した保持ハンド40を、基板Wが反転するまで水平軸まわりに回転させるように構成されている。
【0047】
図5は、中継搬送装置6の一実施形態を示す図である。中継搬送装置6は、昇降搬送装置5と基本的に同じ構成を有している。すなわち、
図5に示すように、中継搬送装置6は、基板Wを保持するための保持ハンド60と、保持ハンド60を反転させる反転装置61と、反転装置61が固定されたロボットアーム62と、保持ハンド60、反転装置61、およびロボットアーム62を上昇および下降させる昇降機構64を備えている。
【0048】
保持ハンド60は、基板Wの周縁部を保持するように構成されており、反転装置61によって基板Wおよび保持ハンド60が反転されたときに、基板Wが保持ハンド60から落下しないようになっている。反転装置61は、基板Wを保持した保持ハンド60を、基板Wが反転するまで水平軸まわりに回転させるように構成されている。
【0049】
図1乃至
図3に示すように、昇降搬送装置5は、基板搬送装置14の第3位置P3にある基板ステージ71にアクセス可能に構成されている。研磨前の基板Wは、その被研磨面が上向きの状態で、基板搬送装置14によって搬送され、
図2に示すように、第3位置P3に停止する。保持ハンド40は、基板搬送装置14まで上昇し、第3位置P3にある基板ステージ71上の基板を取り出す。
【0050】
上述した前洗浄モードでは、昇降搬送装置5は、研磨前の基板Wを、その被研磨面が上向きの状態で、洗浄モジュール7に搬入する。基板Wは洗浄モジュール7によって前洗浄される。昇降搬送装置5は、前洗浄された基板Wを洗浄モジュール7から取り出し、その後、昇降搬送装置5の反転装置41は、基板Wの被研磨面が下向きになるように基板Wを反転させる。さらに、昇降搬送装置5は、研磨モジュール1A,1Bのいずれかの基板ローダー33に基板Wを置く。
【0051】
上述した後洗浄モードでは、昇降搬送装置5は、研磨前の基板Wを、基板搬送装置14から取り出し、その後、昇降搬送装置5の反転装置41は、基板Wの被研磨面が下向きになるように基板Wを反転させる。さらに、昇降搬送装置5は、研磨モジュール1A,1Bのいずれかの基板ローダー33に基板Wを置く。
【0052】
前洗浄モードと後洗浄モードのいずれにおいても、基板Wの反転は、基板Wを基板搬送装置14から取り出した後であって、かつ基板Wを研磨モジュール1A,1Bのいずれかに搬入するまでの間に実行される。基板Wの反転は、基板Wを下降させる前、または基板Wを下降させているとき、または基板Wを下降させた後に実行されてよい。
【0053】
研磨モジュール1A,1Bのいずれかによって研磨された基板Wは、研磨された面が下向きの状態で、研磨ヘッド25から基板ローダー33上にリリースされる。昇降搬送装置5の保持ハンド40は、研磨された基板Wを基板ローダー33から取り出す。その後、昇降搬送装置5の反転装置41は、研磨された面が上向きとなるように保持ハンド40および基板Wを反転させる。そして、洗浄モジュール7または8に基板Wを搬入する。
【0054】
このように、昇降搬送装置5は、基板Wの研磨モジュールからの取り出し、基板Wの反転、および基板Wの洗浄モジュールへの搬入を含む一連の動作を実行できるので、研磨された基板Wの研磨モジュールから洗浄モジュールへの搬送時間を短くすることができる。特に、研磨された基板は、昇降搬送装置5によって直接(すなわち、仮置き台などを経由せずに)洗浄モジュールに搬入されるので、研磨された基板Wの搬送時間が短くできる。これにより、基板Wの表面の金属が腐食することを極力防ぐことができる。
【0055】
研磨された基板Wは、複数の洗浄モジュール7,8,9,10のうちの少なくとも1つによって洗浄される。一例では、研磨された基板Wは、昇降搬送装置5によって洗浄モジュール8、洗浄モジュール9、洗浄モジュール10の順に搬送され、これら洗浄モジュール8,9,10によって洗浄される。洗浄された基板Wは、中継搬送装置6によって洗浄モジュール10から乾燥モジュール11に搬送され、乾燥モジュール11によって乾燥される。このようにして処理された(すなわち研磨、洗浄、乾燥された)基板Wは、第1処理ユニット101の中継搬送装置6によって第1処理ユニット101の基板搬送装置14の第2位置P2にある基板ステージ71上に搬送される。基板搬送装置14は、基板Wを第2位置P2から第1位置P1まで搬送する。搬送ロボット55は、基板Wを基板搬送装置14から取り出し、カセットストレージ100に戻す。
【0056】
図6(a)は、基板搬送装置14の一実施形態を示す側面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のA-A線断面図である。
図6(a)および
図6(b)に示す実施形態の基板搬送装置14は、基板ステージ71およびステージ移動機構72の全体を覆うトンネルカバー75を有している。トンネルカバー75は、ステージ移動機構72の長手方向に沿って第1位置P1から第2位置P2まで延びている。基板ステージ71は、トンネルカバー75の内部を移動可能である。トンネルカバー75は、移動する基板ステージ71上の基板Wを常に覆っているので、基板Wをパーティクルなどの異物から保護することができ、基板Wの清浄度を維持することができる。
【0057】
トンネルカバー75は、第1位置P1に第1開口部O1を有し、第2位置P2に第2開口部O2を有し、第3位置P3に第3開口部O3を有している。第1開口部O1、第2開口部O2、第3開口部O3にはそれぞれシャッター(図示せず)が設けられている。昇降搬送装置5は、第3開口部O3を通じて基板Wを基板ステージ71から取り出すことができる。中継搬送装置6は、第2開口部O2を通じて基板Wを基板ステージ71に搬送し、基板ステージ71から取り出すことができる。搬送ロボット55は、第1処理ユニット101の第1開口部O1を通じて基板Wを基板ステージ71に搬送し、基板ステージ71から取り出すことができる。中継搬送装置6は、第2処理ユニット102の基板搬送装置14の第1開口部O1を通じて基板Wを基板ステージ71に搬送し、基板ステージ71から取り出すことができる。第1処理ユニット101の第1開口部O1と第2処理ユニット102の第1開口部O1は、第1位置P1に位置する基板ステージ71に対して異なる位置または角度に設けられうる。
【0058】
図7(a)は、基板搬送装置14の他の実施形態を示す側面図であり、
図7(b)は、
図7(a)のB-B線断面図である。
図7(a)および
図7(b)に示す基板搬送装置14は、基板ステージ71の全体を覆うステージカバー77を有している。ステージカバー77は基板ステージ71に固定されており、基板ステージ71と一体に移動可能である。ステージカバー77は、移動する基板ステージ71上の基板Wを常に覆っているので、基板Wをパーティクルなどの異物から保護することができ、基板Wの清浄度を維持することができる。
【0059】
基板Wは、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3のそれぞれにおいて、ステージカバー77の開口部78を通じて基板搬送装置14の内外に搬送される。ステージカバー77の走行方向側にも壁を有していてもよい。ステージカバー77の開口部78にシャッターが設けられていてもよい。
図6のトンネルカバー75と
図7のステージカバー77を組み合わせてもよい。
【0060】
図8は、基板搬送装置14のさらに他の実施形態を示す側面図である。
図8に示す基板搬送装置14は、
図6(a)および
図6(b)に示す基板搬送装置14を2組有している。すなわち、
図8に示す基板搬送装置14は、上側基板搬送装置14Aと下側基板搬送装置14Bを備えている。上側基板搬送装置14Aは、下側基板搬送装置14Bの上方に配置されている。
【0061】
上側基板搬送装置14Aは、基板W1を支持する上側基板ステージ71Aと、上側基板ステージ71Aを水平に移動させる上側ステージ移動機構72Aと、上側基板ステージ71Aおよび上側ステージ移動機構72Aの全体を覆う上側トンネルカバー75Aを有している。上側基板ステージ71Aは上側ステージ移動機構72Aに連結されている。
【0062】
下側基板搬送装置14Bは、基板W2を支持する下側基板ステージ71Bと、下側基板ステージ71Bを水平に移動させる下側ステージ移動機構72Bと、下側基板ステージ71Bおよび下側ステージ移動機構72Bの全体を覆う下側トンネルカバー75Bを有している。下側基板ステージ71Bは、下側ステージ移動機構72Bに連結されている。
【0063】
上側基板ステージ71A、上側ステージ移動機構72A、および上側トンネルカバー75Aは、下側基板ステージ71B、下側ステージ移動機構72B、および下側トンネルカバー75Bの上方に配置されている。上側ステージ移動機構72Aおよび下側ステージ移動機構72Bは、上側基板ステージ71Aおよび下側基板ステージ71Bをそれぞれ独立に移動させることが可能である。したがって、基板搬送装置14は、例えば、基板W1を第1処理ユニット101に搬送しつつ、基板W2を第2処理ユニット102に搬送することができる。結果として、基板処理のスループットを向上させることができる。
【0064】
図9は、基板搬送装置14のさらに他の実施形態を示す側面図である。
図9に示す基板搬送装置14は、
図7(a)および
図7(b)に示す基板搬送装置14を2組有している。すなわち、
図9に示す基板搬送装置14は、上側基板搬送装置14Aと下側基板搬送装置14Bを備えている。上側基板搬送装置14Aは、下側基板搬送装置14Bの上方に配置されている。
【0065】
上側基板搬送装置14Aは、基板W1を支持する上側基板ステージ71Aと、上側基板ステージ71Aを水平に移動させる上側ステージ移動機構72Aと、上側基板ステージ71Aの全体を覆う上側ステージカバー77Aを有している。下側基板搬送装置14Bは、基板W2を支持する下側基板ステージ71Bと、下側基板ステージ71Bを水平に移動させる下側ステージ移動機構72Bと、下側基板ステージ71Bの全体を覆う下側ステージカバー77Bを有している。
【0066】
上側基板ステージ71A、上側ステージ移動機構72A、および上側ステージカバー77Aは、下側基板ステージ71B、下側ステージ移動機構72B、および下側ステージカバー77Bの上方に配置されている。上側ステージ移動機構72Aおよび下側ステージ移動機構72Bは、上側基板ステージ71Aおよび下側基板ステージ71Bをそれぞれ独立に移動させることが可能である。したがって、基板搬送装置14は、例えば、基板W1を第1処理ユニット101に搬送しつつ、基板W2を第2処理ユニット102に搬送することができる。結果として、基板処理のスループットを向上させることができる。
【0067】
図8または
図9に示す実施形態において、上側基板搬送装置14Aを基板処理(研磨、洗浄、乾燥)が完了した基板Wをロード・アンロード部50に戻すための専用の搬送経路としてもよい。第1処理ユニット101の乾燥モジュール11で乾燥された基板Wは、中継搬送装置6によって取り出され、上側基板搬送装置14Aの上側基板ステージ71Aに載置され、ロード・アンロード部50へと搬送される。このように、上側基板搬送装置14Aと下側基板搬送装置14Bを、基板処理が完了した基板Wを搬送する搬送経路と、基板処理させるために基板Wを搬送する搬送経路として使い分けてもよい。結果として、基板処理のスループットを向上させることができる。
【0068】
図10(a)は、基板搬送装置14のさらに他の実施形態を示す側面図であり、
図10(b)は、
図10(a)のC-C線断面図である。
図10(a)および
図10(b)に示す基板搬送装置14は、上下に配列された上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dと、上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dを水平に移動させるステージ移動機構72と、上側基板ステージ71C、下側基板ステージ71D、およびステージ移動機構72の全体を覆うトンネルカバー75を有している。
【0069】
上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dは、ステージ移動機構72に連結されており、上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dは、ステージ移動機構72によって一体に移動される。トンネルカバー75は、第1位置P1に第1開口部O1を有し、第2位置P21に第2開口部O2を有し、第3位置P3に第3開口部O3を有している。トンネルカバー75は、ステージ移動機構72の長手方向に沿って第1位置P1から第2位置P2まで延びている。上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dは、トンネルカバー75の内部を移動可能である。
【0070】
上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dは、基板W1,W2を同時に搬送することができる。したがって、例えば、第3位置P3で基板W1が第1処理ユニット101の昇降搬送装置5によって上側基板ステージ71Cから取り出された後、下側基板ステージ71Dは、基板W2を第2位置P2に搬送し、第2処理ユニット102の中継搬送装置6は基板W2を下側基板ステージ71Dから取り出すことができる。結果として、基板処理のスループットを向上させることができる。この実施形態では、ロード・アンロード部50の搬送ロボット55(
図2参照)は、2枚の基板を同時に搬送するように構成されることが望ましい。
【0071】
図11(a)は、基板搬送装置14のさらに他の実施形態を示す側面図であり、
図11(b)は、
図11(a)のD-D線断面図である。
図11(a)および
図11(b)に示す基板搬送装置14は、上下に配列された上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dと、上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dを水平に移動させるステージ移動機構72と、上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dの全体を覆うステージカバー77を有している。
【0072】
上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dは、ステージ移動機構72に連結されており、ステージカバー77は上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dのうちの少なくとも一方に固定されている。上側基板ステージ71C、下側基板ステージ71D、およびステージカバー77は、ステージ移動機構72によって一体に移動される。
【0073】
上側基板ステージ71Cおよび下側基板ステージ71Dは、基板W1,W2を同時に搬送することができる。したがって、例えば、第3位置P3で基板W1が第1処理ユニット101の昇降搬送装置5によって上側基板ステージ71Cから取り出された後、下側基板ステージ71Dは、基板W2を第2位置P2に搬送し、第2処理ユニット102の中継搬送装置6は基板W2を下側基板ステージ71Dから取り出すことができる。結果として、基板処理のスループットを向上させることができる。この実施形態では、ロード・アンロード部50の搬送ロボット55(
図2参照)は、2枚の基板を同時に搬送するように構成されることが望ましい。
【0074】
図3に示すように、昇降搬送装置5の上方から見たときに、2つの研磨モジュール1A,1B(より具体的には、研磨モジュール1A,1Bの基板ローダー33)は、昇降搬送装置5(より具体的には、保持ハンド40のホームポジション)から同じ距離に位置している。したがって、昇降搬送装置5は、2つの研磨モジュール1A,1Bで研磨された複数の基板を、実質的に同じ搬送時間で同じ洗浄モジュール(例えば、洗浄モジュール8)に搬送することができる。
【0075】
昇降搬送装置5の上方から見たときに、第1処理ユニット101と第2処理ユニット102のそれぞれの複数の研磨モジュールから各処理ユニットの昇降搬送装置5までの距離は同じである。すなわち、昇降搬送装置5の上方から見たときに、第1処理ユニット101の研磨モジュール1A,1Bから第1処理ユニット101の昇降搬送装置5までの距離は、第2処理ユニット102の研磨モジュール1C,1Dから第2処理ユニット102の昇降搬送装置5までの距離と同じである。さらに、昇降搬送装置5の上方から見たときに、第1処理ユニット101と第2処理ユニット102のそれぞれの複数の洗浄モジュールから各処理ユニットの昇降搬送装置5までの距離も同じである。すなわち、昇降搬送装置5の上方から見たときに、第1処理ユニット101の洗浄モジュール7,8,9,10から第1処理ユニット101の昇降搬送装置5までの距離は、第2処理ユニット102の洗浄モジュール7,8,9,10から第2処理ユニット102の昇降搬送装置5までの距離と同じである。したがって、第1処理ユニット101と第2処理ユニット102の複数の研磨モジュールで研磨された複数の基板を、実質的に同じ搬送時間で洗浄モジュールに搬送することができる。
【0076】
図3に示すように、第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、第1処理ユニット101と第2処理ユニット102との間に配置されている。第1処理ユニット101の2つの研磨モジュール1A,1B、第2処理ユニット102の2つの研磨モジュール1C,1Dは等間隔で水平方向に配列されている。同様に、第1処理ユニット101の昇降搬送装置5、中継搬送装置6、第2処理ユニット102の昇降搬送装置5、および中継搬送装置6は、等間隔で配列されている。第1処理ユニット101および第2処理ユニット102の4つの研磨モジュール1A,1B,1C,1Dの配列間隔は、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102の2つの昇降搬送装置5および2つの中継搬送装置6の配列間隔と同じである。
図3に示すように、第1処理ユニット101の昇降搬送装置5は、研磨モジュール1A,1Bから同距離に位置し、第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、研磨モジュール1B,1Cから同距離に位置している。
【0077】
第1処理ユニット101の基板搬送装置14の第2位置P2は、第2処理ユニット102の基板搬送装置14の第1位置P1に隣接している。第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、第1処理ユニット101の基板搬送装置14の第2位置P2と、第2処理ユニット102の基板搬送装置14の第1位置P1の両方にアクセス可能に構成されている。したがって、第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、第1処理ユニット101の基板搬送装置14の第2位置P2にある基板ステージ71から基板Wを取り出し、第2処理ユニット102の基板搬送装置14の第1位置P1にある基板ステージ71に基板Wを置くことができる。例えば、第1処理ユニット101で第1の基板を処理し、第2の基板を第1処理ユニット101の基板搬送装置14および中継搬送装置6を経由して第2処理ユニット102に搬送して第2処理ユニット102で第2の基板を処理することができる。
【0078】
第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、第1処理ユニット101の研磨モジュール1B、洗浄モジュール10、および乾燥モジュール11と、第2処理ユニット102の研磨モジュール1Cおよび洗浄モジュール7,8にもアクセス可能に構成されている。
図3に示すように、第1処理ユニット101の中継搬送装置6の上から見たときに、第1処理ユニット101の中継搬送装置6から第1処理ユニット101の研磨モジュール1Bまでの距離は、第1処理ユニット101の中継搬送装置6から第2処理ユニット102の研磨モジュール1Cまでの距離に等しい。さらに、第1処理ユニット101の中継搬送装置6の上から見たときに、第1処理ユニット101の中継搬送装置6から第1処理ユニット101の洗浄モジュール10および乾燥モジュール11までの距離は、第1処理ユニット101の中継搬送装置6から第2処理ユニット102の洗浄モジュール7,8までの距離と同じである。
【0079】
一例では、第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、第1処理ユニット101の研磨モジュール1Bの基板ローダー33から基板Wを取り出し、第2処理ユニット102の研磨モジュール1Cの基板ローダー33に基板Wを直接搬送することができる。したがって、基板処理装置は、基板Wを、第1処理ユニット101の2つの研磨モジュール1A,1Bのうちの少なくとも1つによって研磨し、その後、第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、基板Wを基板搬送装置14を経由せずに第1処理ユニット101の研磨モジュール1Bから第2処理ユニット102の研磨モジュール1Cに直接搬送し、第2処理ユニット102の2つの研磨モジュール1C,1Dのうちの少なくとも1つによって基板Wをさらに研磨することができる。
【0080】
他の例では、第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、第1処理ユニット101の研磨モジュール1Bの基板ローダー33から基板Wを取り出し、第2処理ユニット102の洗浄モジュール7,8のいずれかに基板Wを直接搬送することができる。このような搬送経路は、第1処理ユニット101の洗浄モジュール7,8,9,10および乾燥モジュール11のいずれかが故障した場合に採用される。
【0081】
さらに他の例では、第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、第2処理ユニット102の研磨モジュール1Cの基板ローダー33から基板Wを取り出し、第1処理ユニット101の研磨モジュール1Bの基板ローダー33に基板Wを直接搬送することができる。したがって、基板処理装置は、基板Wを、第2処理ユニット102の2つの研磨モジュール1C,1Dのうちの少なくとも1つによって研磨し、その後、第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、基板Wを基板搬送装置14を経由せずに第2処理ユニット102の研磨モジュール1Cから第1処理ユニット101の研磨モジュール1Bに搬送し、第1処理ユニット101の2つの研磨モジュール1A,1Bのうちの少なくとも1つによって基板Wをさらに研磨することができる。
【0082】
図3に示すように、第1処理ユニット101の昇降搬送装置5および中継搬送装置6と、第2処理ユニット102の昇降搬送装置5および中継搬送装置6は、等間隔で交互に配列されている。さらに、第1処理ユニット101の複数の研磨モジュール1A,1Bと、第2処理ユニット102の複数の研磨モジュール1C,1Dも、等間隔で配列されている。第1処理ユニット101および第2処理ユニット102の昇降搬送装置5および中継搬送装置6の配列間隔は、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102の研磨モジュール1A,1B,1C,1Dの配列間隔と同じである。
【0083】
このような配置としたことにより、第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、基板Wを、基板搬送装置14を経由せずに、第1処理ユニット101の研磨モジュール1Bと第2処理ユニット102の研磨モジュール1Cとの間で直接搬送することができる。したがって、基板処理装置は、研磨モジュール1A,1B,1C,1Dのうちの3つまたは4つを用いて基板Wを多段階研磨することができる。第2処理ユニット102で研磨、洗浄、乾燥された基板Wは、第2処理ユニット102の基板搬送装置14および第1処理ユニット101の中継搬送装置6および基板搬送装置14によってロード・アンロード部50まで搬送される。
【0084】
図12は、基板Wの搬送経路と処理シーケンスの一例を示す図である。基板Wは、カセットストレージ100から搬送ロボット55によって第1処理ユニット101の基板搬送装置14の第1位置P1に搬送される。基板搬送装置14は、基板Wを第1位置P1から第3位置P3に搬送する。第1処理ユニット101では、基板Wは、洗浄モジュール(前洗浄モジュール)7、研磨モジュール1A、研磨モジュール1B、洗浄モジュール8,9,10の順に昇降搬送装置5によって搬送される。さらに、基板Wは、乾燥モジュール11、および基板搬送装置14の第2位置P2の順に中継搬送装置6によって搬送される。そして、第1処理ユニット101によって処理(研磨、洗浄、乾燥)された基板Wは、基板搬送装置14によって第2位置P2から第1位置P1まで搬送され、搬送ロボット55によってカセットストレージ100に戻される。
【0085】
図12に示す例では、基板Wは、2つの研磨モジュール1A,1Bによって二段階研磨が行われるが、他の例では、2つの研磨モジュール1A,1Bのうちのいずれか一方のみで基板Wが研磨されてもよい。一実施形態では、洗浄モジュール7は、前洗浄モジュールではなく、後洗浄モジュールとして使用されてもよい。一実施形態では、4つの洗浄モジュール7,8,9,10のうちの少なくとも1つが後洗浄モジュールとして使用されてもよい。
【0086】
図13は、基板Wの搬送経路と処理シーケンスの他の例を示す図である。基板Wは、カセットストレージ100から搬送ロボット55によって第1処理ユニット101の基板搬送装置14に搬送される。基板Wは、基板搬送装置14によって第1位置P1から第2位置P2まで搬送される。さらに、基板Wは、第1処理ユニット101の中継搬送装置6によって第1処理ユニット101の基板搬送装置14の第2位置P2から第2処理ユニット102の基板搬送装置14の第1位置P1に搬送される。第2処理ユニット102の基板搬送装置14は、基板Wを第1位置P1から第3位置P3まで搬送する。第2処理ユニット102では、基板Wは、洗浄モジュール(前洗浄モジュール)7、研磨モジュール1C、研磨モジュール1D、洗浄モジュール8,9,10の順に昇降搬送装置5によって搬送される。さらに、基板Wは、乾燥モジュール11、および基板搬送装置14の第2位置P2の順に中継搬送装置6によって搬送される。
【0087】
第2処理ユニット102によって処理(研磨、洗浄、乾燥)された基板Wは、第2処理ユニット102の基板搬送装置14によって第2位置P2から第1位置P1まで搬送され、さらに第1処理ユニット101の中継搬送装置6によって第1処理ユニット101の基板搬送装置14の第2位置P2に搬送される。基板Wは、第1処理ユニット101の基板搬送装置14によって第2位置P2から第1位置P1まで搬送され、搬送ロボット55によってカセットストレージ100に戻される。
【0088】
なお、中継搬送装置6は、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102の一部としてユニット化されていなくてもよい。すなわち、中継搬送装置6は第1処理ユニット101および第2処理ユニット102をユニットとして組み立てた後に、第1処理ユニット101および/または第2処理ユニット102に連結するようにしてもよい。また、第2処理ユニット102の中継搬送装置6は、第1処理ユニット101の中継搬送装置6とは異なる構造の搬送装置であってもよい。
【0089】
図13に示す例では、基板Wは、2つの研磨モジュール1C,1Dによって二段階研磨が行われるが、他の例では、2つの研磨モジュール1C,1Dのうちのいずれか一方のみで基板Wが研磨されてもよい。一実施形態では、洗浄モジュール7は、前洗浄モジュールではなく、後洗浄モジュールとして使用されてもよい。一実施形態では、4つの洗浄モジュール7,8,9,10のうちの少なくとも1つが後洗浄モジュールとして使用されてもよい。
【0090】
図12に示す第1処理ユニット101での基板の処理と、
図13に示す第2処理ユニット102での基板の処理は、並列に実行してもよく、あるいは交互に実行してもよい。
【0091】
図14は、基板Wの搬送経路と処理シーケンスのさらに他の例を示す図である。この例は、第1処理ユニット101の洗浄モジュール7,8,9,10および乾燥モジュール11のいずれかに不具合が生じた場合の救済経路を示す。基板Wが第1処理ユニット101の研磨モジュール1A,1Bによって研磨された後、第1処理ユニット101の中継搬送装置6は、基板Wを研磨モジュール1Bから取り出し、第2処理ユニット102の洗浄モジュール8に直接搬送する。第2処理ユニット102では、基板Wは、洗浄モジュール8,9,10の順に昇降搬送装置5によって搬送される。さらに、基板Wは、乾燥モジュール11、および基板搬送装置14の第2位置P2の順に中継搬送装置6によって搬送される。
【0092】
第1処理ユニット101によって研磨され、第2処理ユニット102によって洗浄および乾燥された基板Wは、第2処理ユニット102の基板搬送装置14によって第2位置P2から第1位置P1まで搬送され、さらに第1処理ユニット101の中継搬送装置6によって第1処理ユニット101の基板搬送装置14の第2位置P2に搬送される。基板Wは、第1処理ユニット101の基板搬送装置14によって第2位置P2から第1位置P1まで搬送され、搬送ロボット55によってカセットストレージ100に戻される。
【0093】
このように、第1処理ユニット101の洗浄モジュール7,8,9,10および乾燥モジュール11のいずれかが故障した場合であっても、第2処理ユニット102の洗浄モジュール7,8,9,10および乾燥モジュール11を用いて基板Wを洗浄および乾燥することができる。同様に、第2処理ユニット102の洗浄モジュール7,8,9,10および乾燥モジュール11のいずれかが故障した場合は、第1処理ユニット101の洗浄モジュール7,8,9,10および乾燥モジュール11を用いて基板Wを洗浄および乾燥することができる。
【0094】
第1処理ユニット101および第2処理ユニット102のそれぞれは、複数の消耗部品を含む。これら消耗部品の例としては、各研磨モジュールの研磨パッド、基板を研磨パッドに押し付けるためのメンブレン、各研磨ヘッドの基板を保持するためのリテーナリング、研磨パッドをドレッシングするためのドレッサディスク、基板を洗浄するためのスクラブ洗浄具などが挙げられる。これらの消耗部品は、意図した研磨性能および洗浄性能を維持するために、定期的に交換される。
【0095】
したがって、消耗部品を交換するために、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102の運転を停止して、メンテナンスを実行することが必要である。しかしながら、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102の両方の運転を同時に停止すると、その間基板処理装置は基板の処理を行うことができず、スループットが低下してしまう。
【0096】
そこで、動作制御部15は、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102のメンテナンス時期(消耗部品の交換作業時期)を予測し、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102のメンテナンス時期が重複しないように、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102のうちの少なくとも一方の稼働率を制御するように構成されている。処理ユニットの稼働率とは、単位時間あたりに処理ユニットで処理される基板の枚数である。単位時間は予め定められた期間である。
【0097】
動作制御部15は、第1処理ユニット101内の消耗部品のメンテナンスに関わる第1メンテナンス指標値と、第2処理ユニット102内の消耗部品のメンテナンスに関わる第2メンテナンス指標値を算定するように構成されている。第1メンテナンス指標値は、第1処理ユニット101内の複数の消耗部品のうち最も早く交換時期に到達すると予想される消耗部品について算定される。同様に、第2メンテナンス指標値は、第2処理ユニット102内の複数の消耗部品のうち最も早く交換時期に到達すると予想される消耗部品について算定される。
【0098】
メンテナンス指標値の例としては、以下が挙げられる。
・消耗部品の累積使用時間
消耗部品の累積使用時間が所定の使用限度時間に到達したら、その消耗部品を交換する。消耗部品の累積使用時間は、その消耗部品を用いて処理した基板の累積枚数(すなわち、基板処理累積枚数)によって表されてもよい。消耗部品の基板処理累積枚数が処理限度枚数に到達したら、その消耗部品を交換する。
・消耗部品の寿命到達時間
センサ等を用いて、消耗部品の劣化度合いを測定し、動作制御部15は、その消耗部品を用いてあと何枚基板を処理できるか、あるいは消耗部品をあとどれくらいの時間使用できるかを推定する。例えば、リテーナリングの厚さを測定器により測定し、動作制御部15は、リテーナリングが所定の厚さに減耗するまでの基板の処理枚数、または時間を推定する。あるいは、動作制御部15は、処理された基板に関する評価値(面内均一性など)に基づいて寿命到達時間を決定してもよい。
【0099】
動作制御部15は、第1メンテナンス指標値および第2メンテナンス指標値に基づいて、第1処理ユニット101のメンテナンス時期および第2処理ユニット102のメンテナンス時期を予測する。
図15は、第1メンテナンス指標値および第2メンテナンス指標値の時間に伴う変化を示すグラフである。
図15において、縦軸は第1メンテナンス指標値および第2メンテナンス指標値を表し、横軸は時間を表している。
【0100】
図15に示すように、第1メンテナンス指標値および第2メンテナンス指標値は、時間とともに第1しきい値および第2しきい値にそれぞれ近づく。第1メンテナンス指標値が第1しきい値に到達する時点は、第1処理ユニット101のメンテナンス時期M1の予想到達時点であり、第2メンテナンス指標値が第2しきい値に到達する時点は、第2処理ユニット102のメンテナンス時期M2の予想到達時点である。
図15に示す例では、第1メンテナンス指標値および第2メンテナンス指標値は、直線的に変化しているが、曲線を描いて変化することもあるし、あるいは直線と曲線の組み合わせを描いて変化することもある。さらに、
図15に示す例では、第1メンテナンス指標値および第2メンテナンス指標値は、時間とともに増加しているが、第1メンテナンス指標値および第2メンテナンス指標値の算定方法によっては、第1メンテナンス指標値および第2メンテナンス指標値は、時間とともに減少することもある。いずれの場合でも、第1メンテナンス指標値および第2メンテナンス指標値は、時間とともに変化する。
【0101】
図15に示す例では、第1処理ユニット101のメンテナンス時期M1および第2処理ユニット102のメンテナンス時期M2は、重複しない。したがって、第1処理ユニット101のメンテナンス作業中は、第2処理ユニット102は基板の処理を継続することができ、第2処理ユニット102のメンテナンス作業中は、第1処理ユニット101は基板の処理を継続することができる。
【0102】
これに対して、
図16に示す例では、第1処理ユニット101の予測されたメンテナンス時期M1が、第2処理ユニット102の予測されたメンテナンス時期M2に重複している。このような場合は、メンテナンスのために第1処理ユニット101と第2処理ユニット102の両方の運転を停止しなければならない。その間は、基板処理装置は基板を処理することができず、スループットは低下する。
【0103】
そこで、一実施形態では、動作制御部15は、第1処理ユニット101の予測されたメンテナンス時期M1が、第2処理ユニット102の予測されたメンテナンス時期M2に重複している場合は、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102のうちの少なくとも一方の稼働率を変化させることで、第1処理ユニット101の予測されたメンテナンス時期M1が、第2処理ユニット102の予測されたメンテナンス時期M2に重複しないようにする。
【0104】
第1処理ユニット101のメンテナンス時期M1の長さ、および第2処理ユニット102のメンテナンス時期M2の長さは、消耗部品を新たなものに交換するために必要な時間と、新品の交換部品の慣らし(ブレークイン)に必要な運転時間に基づいて予め定められる。さらに必要に応じて消耗部材交換後の装置の品質確認作業時間も加えてメンテナンス時期M1,M2の長さを決定してもよい。実際のメンテナンスに必要な時間は、消耗部品によって変わるが、動作制御部15においてメンテナンス時期M1,M2の予測に使用されるメンテナンス時期M1,M2の長さは、予め定められた固定の長さである。一実施形態では、メンテナンス時期M1,M2の長さは、消耗部品の種類ごとに予め定められた固定の長さであってもよい。したがって、メンテナンス時期M1の長さは、メンテナンス時期M2の長さと異なることもある。
【0105】
動作制御部15は、第1処理ユニット101のメンテナンス時期M1が、第2処理ユニット102のメンテナンス時期M2よりも先に到達すると予想されるときは、
図17に示すように、動作制御部15は、第1処理ユニット101の稼働率を上げる。このように稼働率を変化させることで、第1処理ユニット101のメンテナンス時期M1が、第2処理ユニット102のメンテナンス時期M2に重複しないようにすることができる。
【0106】
他の実施形態では、
図18に示すように、動作制御部15は、第2処理ユニット102の稼働率を下げることで、第1処理ユニット101のメンテナンス時期M1が、第2処理ユニット102のメンテナンス時期M2に重複しないようにしてもよい。あるいは、
図19に示すように、動作制御部15は、第1処理ユニット101の稼働率を上げ、かつ第2処理ユニット102の稼働率を下げることで、第1処理ユニット101のメンテナンス時期M1が、第2処理ユニット102のメンテナンス時期M2に重複しないようにしてもよい。この場合、第1処理ユニット101の稼働率を上げるタイミングと、第2処理ユニット102の稼働率を下げるタイミングは、異なってもよい。
【0107】
第2処理ユニット102のメンテナンス時期M2が、第1処理ユニット101のメンテナンス時期M1よりも先に到達すると予想される場合は、動作制御部15は、第2処理ユニット102の稼働率を上げるか、または第1処理ユニット101の稼働率を下げるか、または第2処理ユニット102の稼働率を上げ、かつ第1処理ユニット101の稼働率を下げる。このように稼働率を変化させることで、第1処理ユニット101のメンテナンス時期M1が、第2処理ユニット102のメンテナンス時期M2に重複しないようにすることができる。
【0108】
図20は、基板処理装置の他の実施形態を示す平面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図14を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図20に示す実施形態の基板処理装置は、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102に加え、第3処理ユニット103をさらに備えている。第3処理ユニット103は、第2処理ユニット102に連結されている。第1処理ユニット101、第2処理ユニット102、および第3処理ユニット103は、直列に配列されている。第3処理ユニット103は、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102と同じ構成要素を有している。
図20では、
図3を参照して説明した壁16および昇降搬送エリア17の図示は省略している。
【0109】
第1処理ユニット101、第2処理ユニット102、および第3処理ユニット103のそれぞれは、ユニット化された組立体である。一実施形態では、第3処理ユニット103は、第2処理ユニット102に着脱可能に連結されており、第3処理ユニット103の全体は、第2処理ユニット102から分離することが可能である。さらに、同様の構成を持つ1つまたは複数の追加の処理ユニットを第3処理ユニット103に連結することも可能である。すなわち、第1処理ユニット101、第2処理ユニット102、および第3処理ユニット103を含む4つ以上の処理ユニットを直列に連結することが可能である。第1処理ユニット101、第2処理ユニット102、および第3処理ユニット103を少なくとも含む複数の処理ユニットの動作は、動作制御部15によって制御される。
【0110】
重複する説明を省略するが、
図20に示す実施形態の基板処理装置は、
図12および
図13を参照して説明したように、第1処理ユニット101および第2処理ユニット102で、複数の基板を処理することができる。
図20に示す実施形態の基板処理装置は、
図14を参照して説明した救済搬送経路で基板を搬送することもできる。さらに、
図21に示すように、基板処理装置は、第3処理ユニット103で基板を処理(研磨、洗浄、乾燥)することができる。
【0111】
図21に示す例では、基板Wは、カセットストレージ100から搬送ロボット55によって第1処理ユニット101の基板搬送装置14の第1位置P1に搬送される。基板Wは、基板搬送装置14によって第1位置P1から第2位置P2まで搬送される。基板Wは、第1処理ユニット101の中継搬送装置6によって第1処理ユニット101の基板搬送装置14の第2位置P2から第2処理ユニット102の基板搬送装置14の第1位置P1に搬送される。基板Wは、第2処理ユニット102の基板搬送装置14によって第1位置P1から第2位置P2まで搬送される。さらに、基板Wは、第2処理ユニット102の中継搬送装置6によって第2処理ユニット102の基板搬送装置14の第2位置P2から第3処理ユニット103の基板搬送装置14の第1位置P1に搬送される。第3処理ユニット103の基板搬送装置14は、基板Wを第1位置P1から第3位置P3まで搬送する。
【0112】
第3処理ユニット103では、基板Wは、洗浄モジュール(前洗浄モジュール)7、研磨モジュール1E、研磨モジュール1F、洗浄モジュール8,9,10の順に昇降搬送装置5によって搬送される。さらに、基板Wは、乾燥モジュール11、および基板搬送装置14の第2位置P2の順に中継搬送装置6によって搬送される。
【0113】
一実施形態では、基板Wは、2つの研磨モジュール1E,1Fのうちのいずれか一方のみで研磨されてもよい。一実施形態では、洗浄モジュール7は、前洗浄モジュールではなく、後洗浄モジュールとして使用されてもよい。一実施形態では、4つの洗浄モジュール7,8,9,10のうちの少なくとも1つが後洗浄モジュールとして使用されてもよい。
【0114】
第3処理ユニット103によって処理(研磨、洗浄、乾燥)された基板Wは、第3処理ユニット103の基板搬送装置14によって第2位置P2から第1位置P1まで搬送され、第2処理ユニット102の中継搬送装置6によって第2処理ユニット102の基板搬送装置14の第2位置P2に搬送される。基板Wは、第2処理ユニット102の基板搬送装置14によって第2位置P2から第1位置P1まで搬送され、第1処理ユニット101の中継搬送装置6によって第1処理ユニット101の基板搬送装置14の第2位置P2に搬送される。基板Wは、第1処理ユニット101の基板搬送装置14によって第2位置P2から第1位置P1まで搬送され、搬送ロボット55によってカセットストレージ100に戻される。
【0115】
図22は、基板の搬送経路と処理シーケンスの他の例を示す図である。特に説明しない詳細な動作は、上述した実施形態と同じである。第1の基板は、第1処理ユニット101の基板搬送装置14によって第2位置P2まで搬送される。実線の矢印で示すように、第1の基板は、第1処理ユニット101の中継搬送装置6によって第2位置P2から研磨モジュール1Cに搬送され、第1処理ユニット101の中継搬送装置6によって研磨モジュール1Cから研磨モジュール1Bに搬送され、第1処理ユニット101の昇降搬送装置5によって研磨モジュール1Bから研磨モジュール1Aに搬送される。研磨モジュール1C,1B,1Aによって第1の基板の三段階研磨が実行される。
【0116】
研磨された第1の基板は、第1処理ユニット101の洗浄モジュール8,9,10および乾燥モジュール11に搬送され、洗浄および乾燥される。そして、処理された第1の基板は、第1処理ユニット101の中継搬送装置6および基板搬送装置14によって第1処理ユニット101の第1位置P1まで搬送され、搬送ロボット55によってカセットストレージ100に戻される。
【0117】
第2の基板は、第1処理ユニット101の基板搬送装置14および中継搬送装置6と、第2処理ユニット102の基板搬送装置14によって、第2処理ユニット102の第2位置P2まで搬送される。点線の矢印で示すように、第2の基板は、第2処理ユニット102の中継搬送装置6によって第2処理ユニット102の第2位置P2から研磨モジュール1Dに搬送され、第2処理ユニット102の中継搬送装置6によって研磨モジュール1Dから研磨モジュール1Eに搬送され、第3処理ユニット103の昇降搬送装置5によって研磨モジュール1Eから研磨モジュール1Fに搬送される。研磨モジュール1D,1E,1Fによって第2の基板の三段階研磨が実行される。
【0118】
研磨された第2の基板は、第3処理ユニット103の洗浄モジュール8,9,10および乾燥モジュール11に搬送され、洗浄および乾燥される。そして、処理された基板は、第3処理ユニット103の中継搬送装置6および基板搬送装置14と、第2処理ユニット102の中継搬送装置6および基板搬送装置14と、第1処理ユニット101の中継搬送装置6および基板搬送装置14によって第1処理ユニット101の第1位置P1まで搬送され、搬送ロボット55によってカセットストレージ100に戻される。
【0119】
図22に示すように、3つの処理ユニット101,102,103を備えた基板処理装置は、複数の基板を並列に処理することができる。
【0120】
処理ユニット101,102,103は互いに分離不可能に形成されてもよい。必要な基板の処理シーケンス、処理量に応じて、複数の処理ユニットを組み合わせることができ、かつ、どの処理ユニットで処理を行っても研磨後に実質的に同じ時間で洗浄処理を行うことができるので、基板の腐食に関する基板間のばらつきを減らすことができる。
【0121】
他の実施形態としては、異なる処理モジュールを有する異なる構成の処理ユニットを第1処理ユニット101および第2処理ユニット102に(すなわち第2処理ユニット102の側面の第1処理ユニットとは異なる側に)増設するようにしてもよい。異なる処理モジュールの例としては、基板のベベル部を研磨するベベル研磨装置、あるいは基板表面の一部のみを優先して研磨して基板の厚みの均一性を改善する部分修正研磨装置が挙げられる。このように異なる機能を有する処理モジュールを増設しても、第1処理モジュール101および第2処理モジュール102の構成を大幅に変えることなく、基板処理装置を多機能化することができる。
【0122】
図15乃至
図19を参照して説明したメンテナンス時期の重複を回避する実施形態は、
図20乃至
図22を参照して説明した実施形態にも適用することができる。すなわち、動作制御部15は、第1処理ユニット101内の消耗部品のメンテナンスに関わる第1メンテナンス指標値と、第2処理ユニット102内の消耗部品のメンテナンスに関わる第2メンテナンス指標値と、第3処理ユニット103内の消耗部品のメンテナンスに関わる第3メンテナンス指標値を算定し、第1メンテナンス指標値、第2メンテナンス指標値、および第3メンテナンス指標値に基づいて、第1処理ユニット101のメンテナンス時期、第2処理ユニット102のメンテナンス時期、および第3処理ユニット103のメンテナンス時期を予測する。動作制御部15は、第1処理ユニット101、第2処理ユニット102、および第3処理ユニット103うちのいずれか2つの処理ユニットの予測されたメンテナンス時期が重複するときは、2つの処理ユニットのうちの少なくとも一方の稼働率を変化させることで、2つの処理ユニットの予測されたメンテナンス時期が重複しないようにする。
【0123】
2つの処理ユニットのうちの一方のメンテナンス時期が、2つの処理ユニットのうちの他方のメンテナンス時期よりも先に到達すると予想されるときは、動作制御部15は、2つの処理ユニットのうちの上記一方の稼働率を上げるか、または2つの処理ユニットのうちの上記他方の稼働率を下げるか、または2つの処理ユニットのうちの上記一方の稼働率を上げ、かつ2つの処理ユニットのうちの上記他方の稼働率を下げる。
【0124】
例えば、第2処理ユニット102のメンテナンス時期が、第3処理ユニット103のメンテナンス時期よりも先に到達すると予想されるときは、動作制御部15は、第2処理ユニット102の稼働率を上げるか、または第3処理ユニット103の稼働率を下げるか、または第2処理ユニット102の稼働率を上げ、かつ第3処理ユニット103の稼働率を下げる。第1処理ユニット101のメンテナンス時期が、第3処理ユニット103のメンテナンス時期と重複する場合も、動作制御部15は、同様にして第1処理ユニット101および第3処理ユニット103のうちの少なくとも一方の稼働率を変化させることで、第1処理ユニット101および第3処理ユニット103のメンテナンス時期が重複しないようにすることができる。
【0125】
このように稼働率を変化させることで、3つの処理ユニット101,102,103のうちのいずれか1つのメンテナンスを実行しているときに、他の2つの処理ユニットは基板の処理を継続することができる。結果として、基板処理装置のスループットを維持することができる。
【0126】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0127】
W 基板
1A,1B,1C,1D,1E,1F 研磨モジュール
5 昇降搬送装置
6 中継搬送装置
7,8,9,10 洗浄モジュール
11 乾燥モジュール
14 基板搬送装置
15 動作制御部
17 昇降搬送エリア
16 壁(筐体)
20 研磨パッド
21 研磨テーブル
22 テーブルモータ
24 研磨液供給ノズル
25,25 研磨ヘッド
28 ヘッドアーム
29 支持軸
33 基板ローダー
40 保持ハンド
41 反転装置
42 ロボットアーム
44 昇降機構
50 ロード・アンロード部
53 カセットローダー
55 搬送ロボット
56 水平移動機構
57 上下移動機構
60 保持ハンド
61 反転装置
62 ロボットアーム
64 昇降機構
71,71A,71B,71C,71D 基板ステージ
72,72A,72B ステージ移動機構
75,75A,75B トンネルカバー
77,77A,77B ステージカバー
100 カセットストレージ
101 第1処理ユニット
102 第2処理ユニット
103 第3処理ユニット