(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159774
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】反応チャンバーにおいて循環堆積プロセスにより基材上に酸化ハフニウムランタン膜を堆積させるための方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20241031BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20241031BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/40
H01L21/316 X
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024135191
(22)【出願日】2024-08-14
(62)【分割の表示】P 2020023278の分割
【原出願日】2020-02-14
(31)【優先権主張番号】62/805,345
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】タチアナ・イヴァノヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ペルットゥ・シッポラ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ユージーン・ギヴンズ
(57)【要約】
【課題】反応チャンバー内での循環堆積により基材上に酸化ハフニウムランタン膜を堆積する方法を開示する。
【解決手段】本方法は、循環堆積プロセスの第1のサブサイクルを利用して基材上に酸化ハフニウム膜を堆積することと、循環堆積プロセスの第2のサブサイクルを利用して酸化ランタン膜を堆積することと、を含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバー内で循環堆積プロセスにより基材上に酸化ハフニウムランタン膜を堆積させるための方法であって、
前記循環堆積プロセスの第1のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して、前記基材上に酸化ハフニウム膜を堆積させることであって、前記第1のサブサイクルの1回の堆積サイクルが、
前記基材を、ハフニウム気相前駆体と接触させることと、
前記基材を水(H2O)を含む第1の酸化剤前駆体と接触させることと、を含む、堆積させることと、
前記循環堆積プロセスの第2のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して、前記基材上に酸化ランタン膜を堆積させることであって、前記第2のサブサイクルの1回の堆積サイクルが、
前記基材をランタン気相前駆体と接触させることと、
前記基材を、分子状酸素(O2)を含む第2の酸化剤前駆体と接触させることとを、含む、堆積させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ハフニウム気相前駆体が、ハロゲン化ハフニウム前駆体またはハフニウム有機金属前駆体のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハロゲン化ハフニウム前駆体が、四塩化ハフニウム(HfCl4)、四ヨウ化ハフニウム(HfI4)、または四臭化ハフニウム(HfBr4)のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ハフニウム有機金属前駆体が、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム(Hf(NEtMe)4)、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(Hf(NMe2)4)、テトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム(Hf(NEt2)4)、(トリス(ジメチルアミド)シクロペンタジエニルハフニウムHfCp(NMe2)3、またはビス(メチルシクロペンタジエニル)メトキシメチルハフニウム(MeCp)2Hf(CH)3(OCH3)のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ランタン気相前駆体が、ランタンアミジネートまたはランタンシクロペンタジエニル化合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基材上に前記酸化ハフニウム膜を堆積する前に、前記基材を100℃~400℃の温度に加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化ハフニウムランタン膜におけるランタン組成の均一性が、2原子%(1シグマ)未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、10原子%未満のランタン組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、1原子%以下のランタン組成を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、20ナノメートル未満の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、3ナノメートル~10ナノメートルの厚さを有する
、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の酸化剤前駆体が、99.999%を超える純度を有する分子状酸素(O2)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の酸化剤前駆体が、5MΩ・cmを超える電気抵抗率を有する水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記酸化ハフニウム膜が、3ナノメートル未満の厚さに堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化ランタン膜が、3ナノメートル未満の厚さに堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、三級酸化ハフニウムランタン膜を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、ナノラミネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記循環堆積プロセスが、実行される第2のサブサイクルの数に対する実行される第1のサブサイクルの数の比を変えることを含み、スーパーサイクル当たりの、実行される第1のサブサイクルに対する実行される第2のサブサイクルの比率が、0.2未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記循環堆積プロセスが、第1のサブサイクルに対する実行される第2のサブサイクルの比が0.1未満であることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、2原子%未満の炭素含有量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記酸化ハフニウムランタン膜の堆積に続いて、前記酸化ハフニウムランタン膜を熱アニールすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、800℃未満の温度で熱アニールされる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記酸化ハフニウムランタン膜を熱アニールすることが、前記酸化ハフニウムランタン膜を少なくとも部分的に結晶化させることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、約600℃未満の結晶化温度を有する1原子%以下のランタンの組成を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、約450℃未満の結晶化温度を有する1原子%以下のランタンの組成を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも部分的に結晶化された酸化ハフニウムランタン膜が、主に斜方晶結晶構造を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のサブサイクルおよび前記第2のサブサイクルが、原子層堆積プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記循環堆積プロセスが、1つ以上の繰り返されるスーパーサイクルを含み、各スーパーサイクルが、前記基材上に前記酸化ハフニウム膜を堆積することと、前記基材上に前記酸化ランタン膜を堆積することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記第2のサブサイクルが、単位スーパーサイクル内で、前記第1のサブサイクルの前に実行される、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、循環堆積プロセスによって酸化ハフニウムランタン膜を堆積させる方法、および第1のサブサイクルおよび第2のサブサイクルを含む循環堆積プロセスによって酸化ハフニウムランタン膜を堆積させる特定の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたって、二酸化ケイ素(SiO2)は、トランジスタゲート誘電体およびコンデンサ誘電体などの構成要素の半導体基材で使用されてきた。しかしながら、回路構成要素の寸法が小さくなると、SiO2の電気性能特性が、漏れ電流の増加などの望ましくない影響をもたらす。高速および低電力性能を維持するための漏れ電流を制御することにより、SiO2などのより旧世代の誘電体が、次世代集積回路の形状の製造に使用されるときに課題をもたらす。
【0003】
65nm未満の製作ジオメトリを使用する特に新しいプロセスは、半導体製作に高い誘電定数(「高k(high‐k))絶縁体を含むことが開始されている。一部のチップメーカーは、特に45nm以下のプロセスジオメトリでは、高k誘電体に依存している。SiO2ゲート誘電体を高k誘電体に置き換えることは、漏れおよび他の電気的性能基準を制御しながらデバイスのジオメトリを小さくするために重要である。
【0004】
高k誘電体の使用により、トランジスタゲート誘電体などの集積回路構成要素のより小さなスケーリングが可能になる一方、新しい性能の問題はそれらの使用から生じる。例えば、従来のゲート電極が、HfO2などの高k誘電体とペアになっている場合、低収率および不十分な閾値電圧(Vth)制御などの問題を対処する必要がある。
【0005】
高k誘電体用途における三級酸化物を使用する利点に関して研究が実施されている。具体的には、酸化ハフニウムランタン酸化物(HfLaOx)から製造された膜は、HfO2などの他の高k誘電体と比較して、高い誘電率値、結晶化温度の低下、歩留まりの改善、および閾値電圧(Vth)制御の向上を提供する見込みがある。さらに、HfSiOxまたはHfAlOxなど、他のHf系非結晶質材料とは異なり、HfLaOxの誘電率は、高い値(>20)を保持する。したがって、HfLaOx誘電体は、電気性能基準の観点で望ましいが、基材上のHfLaOx誘電体に対する時間有効および費用効果の高い製造の観点では、課題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、基材上に高kの酸化ハフニウムランタン膜を堆積させるための方法は、非常に望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の概要は、概念の選択を簡略化した形で紹介するように提供する。これらの概念について、以下の本開示の例示的な実施形態の「発明を実施するための形態」において
、さらに詳細に説明される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することは意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することも意図していない。
【0008】
いくつかの実施形態では、反応チャンバー内で循環堆積プロセスにより基材上に酸化ハフニウムランタン膜を堆積させる方法が開示される。本方法は、循環堆積プロセスの第1のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して、基材上に酸化ハフニウム膜を堆積させることであって、第1のサブサイクルの1回の堆積サイクルが、基材を、ハフニウム気相前駆体と接触させることと、基材を水(H2O)を含む第1の酸化剤前駆体と接触させることと、を含む、堆積させることを含む。本方法はまた、循環堆積プロセスの第2のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して、基材上に酸化ランタン膜を堆積させることであって、第2のサブサイクルの1回の堆積サイクルが、基材を、ランタン気相前駆体と接触させることと、基材を水(O2)を含む第2の酸化剤前駆体と接触させることと、を含む、堆積させることも含み得る。
【0009】
先行技術を超えて達成される本発明および利点を要約する目的で、本発明のある特定の目的および利点が本明細書において上記に説明される。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点のすべてが本発明の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それ故に、例えば本明細書に教授または示唆するような一利点または一群の利点を達成または最適化する様態で、本明細書で教授または示唆され得るような他の目的または利点を必ずしも達成することを必要とせずに、本発明が具体化または実行されてもよいことを当業者は認識するであろう。
【0010】
これらの実施形態のすべては、本明細書に開示する本発明の範囲内であることが意図される。当業者には、これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のある特定の実施形態の詳細な説明から容易に明らかとなり、本発明は、開示されるいかなる特定の実施形態にも限定されない。
【0011】
本明細書は、本発明の実施形態とみなされるものを具体的に指摘し、明確に特許請求する特許請求の範囲で結論付ける一方で、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと、本開示の実施形態のある特定の実施例の説明から、より容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態による循環堆積プロセスの全体的なスーパーサイクルを表すプロセスフローを示す。
【
図2】本開示の実施形態による循環堆積プロセスの第1のサブサイクルを表すプロセスを示す。
【
図3】本開示の実施形態による循環堆積プロセスの第2のサブサイクルを表すプロセスを示す。
【
図4】本開示の実施形態による酸化ランタン堆積サブサイクル対酸化ハフニウム堆積サブサイクルの比に関連するいくつかの例示的な酸化ハフニウムランタン膜のランタン組成の変化を示すX線光電子分光法(XPS)データを示す。
【
図5】本開示の実施形態による、ランタン組成が増加するいくつかの例示的な酸化ハフニウムランタン膜の結晶化温度を示すデータを示す。
【
図6】本開示の実施形態による、様々な膜厚でランタン組成(原子%)が増加するいくつかの例示的な酸化ハフニウムランタン膜の結晶化温度を示すデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、それらは、本発明が具体的に開
示する本発明の実施形態および/または用途、ならびにその明白な変更および均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それ故に、開示される本発明の範囲は、以下に説明される特定の開示される実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0014】
本明細書に示される図は、任意の特定の材料、構造またはデバイスの実際の図であることを意味せず、本開示の実施形態を説明するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0015】
本明細書で使用される「循環堆積」という用語は、前駆体(反応物)を反応チャンバーに順次導入して基材上に膜を堆積することを指し、原子層堆積および循環化学気相堆積などの堆積技術を含む。
【0016】
本明細書で使用される「循環化学気相蒸着」という用語は、基材を2つ以上の揮発性前駆体に逐次曝し、その前駆体が基材上で反応および/または分解して所望の堆積物を生成する、任意のプロセスを指すことができる。
【0017】
本明細書で使用される「基材」という用語は、使用することができる、または上にデバイス、回路、もしくは膜を形成することができる、任意の下地材料または材料(複数可)を指すことができる。
【0018】
本明細書で使用される「原子層堆積」(ALD)という用語は、堆積サイクル、好ましくは複数の連続堆積サイクルが反応チャンバー内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。典型的には、各サイクルの間、前駆体は、堆積表面(例えば、基材の表面または以前に堆積させた下地の表面、例えば、以前のALDサイクルを用いて堆積させた材料など)に化学吸着し、追加の前駆体と容易に反応しない単分子層またはサブ単分子層を形成する(すなわち、自己制御反応)。その後、必要に応じて、化学吸着した前駆体を堆積表面上で所望の材料に変換するのに使用するために、反応物(例えば、別の前駆体または反応ガス)をその後プロセスチャンバー内に導入することができる。典型的には、この反応物は前駆体とさらに反応することができる。さらに、各サイクル中にパージ工程を利用して、化学吸着された前駆体の変換後に、過剰な前駆体をプロセスチャンバーから除去する、ならびに/または過剰の反応物および/もしくは反応副生成物をプロセスチャンバーから除去することができる。さらに、本明細書で使用される「原子層堆積」という用語は、関連する用語、例えば、「化学蒸着原子層堆積」、「原子層エピタキシー」(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス源MBE、または有機金属MBE、ならびに前駆体組成物(複数可)、反応性ガス、およびパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスで実行される場合の化学ビームエピタキシーなど、により示されるプロセスを含むことも意味する。
【0019】
本明細書で使用される用語「膜」というは、本明細書に開示される方法により堆積させた任意の連続的または非連続的な構造体および材料(複数可)を指すことができる。例えば、「膜」には、2D材料、ナノロッド、ナノチューブ、ナノラミネート、またはナノ粒子、またはさらに部分的もしくは完全な分子層、または部分的もしくは完全な原子層、または原子および/もしくは分子のクラスターが含まれ得る。「膜」は、ピンホールを有する材料(複数可)または層(複数可)を含み得るが、なお少なくとも部分的に連続している。
【0020】
本明細書で使用される「酸化ハフニウムランタン膜」という用語は、ハフニウム成分、ランタン成分、および酸素成分を含む膜を指し得る。
【0021】
本明細書で使用される「サブサイクル」という用語は、所定の回数の間繰り返された1つ以上の単位サイクルを含む循環堆積プロセスを指し得る。2つ以上のサブサイクルの組み合わせは、全体的な循環堆積プロセスを構成し得る。この2つ以上のサブサイクルの組み合わせは、循環堆積スーパーサイクルとして称され得る。
【0022】
本明細書で使用される「金属有機」または「有機金属」という用語は、互換的に使用され、金属種を含有する有機化合物を指すことができる。有機金属化合物は、直接的な金属‐炭素結合を有する有機金属化合物のサブクラスであると考えることができる。
【0023】
本明細書で使用される「接触する」または「曝す」という用語は、互換的に使用され、基材(および任意の堆積膜)の表面と、1つ以上の前駆体または反応物との間の相互作用を指し得る。
【0024】
本開示の実施形態を通じて多くの例示的な材料が与えられており、例示的な材料のそれぞれに与えられる化学式は限定的であると解釈されるべきではなく、与えられる非限定的な例示的な材料はある例示的な化学量論によって限定されるべきではないことに留意されたい。
【0025】
半導体などの基材上に高誘電率膜を堆積させるために、幅広い様々な方法および関連する装置が存在する。一部の方法では、真空蒸着、分子線エピタキシー、化学蒸着(CVD)の様々な変形(低圧CVD、有機金属CVD、プラズマ強化CVDなど)および原子層堆積(ALD)のような半導体上の表面反応を利用して基材上に薄膜を形成する。
【0026】
ALDは、様々な前駆体種の逐次的導入を通して基材の表面上に膜を堆積させる方法である。従来のALD装置は、反応器チャンバー、基材ホルダー、前駆体および反応物を基材表面に提供するためのガス入口を含むガス流システム、および使用済みガスを除去するための排気システムを含み得る。成長機構は、基材の活性部位への前駆体の吸着に依存し、基材上に単層が形成されないように条件を維持することが好ましく、それによりプロセスが自己終了する。基材を第1の前駆体に曝すことは通常、パージステージまたは他の除去プロセス(例えば、排出または「ポンプダウン」)が続いて行われ、任意の過剰な量の第1の前駆体および任意の反応副生成物が反応チャンバーから除去される。次に、第2の反応物または前駆体が反応チャンバーに導入され、その時点で第1の前駆体と反応し、この反応により基材上に所望の膜が作成される。この反応は、基材上に吸着された利用可能な第1の前駆体種のすべてが第2の前駆体と反応したときに終了する。次いで、第2のパージまたは他の除去段階が実行され、それにより、残りの第2の前駆体および可能な反応副生成物が反応チャンバーから除去除される。このサイクルは、膜を所望の厚さに成長させるために繰り返すことができる。
【0027】
他の堆積プロセスに対するALDの認識されている利点の1つは温度がALD窓内(前駆体の凝縮温度より上で熱分解温度より下)にある限り、自己飽和性で均一であることおよび各パルスで表面を飽和させるのに十分な量の反応物が提供されることである。したがって、均一な堆積を得るために、温度またはガス供給は、完全に均一である必要はない場合がある。
【0028】
ALDプロセスを用いて、異なる誘電性膜が堆積された。ALDプロセスを利用して堆積される既知の誘電体膜は、例えば、Al2O3、HfO2、ZrO2、La2O3、およびTa2O5などの二元酸化物を含み得る。三級酸化物はまた、ALDによって堆積され得る材料であり、例えば、HfZrO、HfAlOおよびHfLaOを含み得る。高k誘電体用途で使用するための適切な材料の選択には、特定の基材および回路環境における堆積物質の影響を考慮する必要がある。
【0029】
ハフニウムランタン酸化物のALDの場合、ハフニウム気相前駆体は、例えば四塩化ハフニウム(HfCl4)を含むことができ、ランタン気相前駆体は、La(THD)3を含むことができる。La2O3の吸湿性のため、従来のプロセスでは酸化剤としてH2Oの代わりにオゾン(O3)がよく使用されるが、残念ながら、HfCl4/O3プロセスとLa(THD)3/O3プロセスの両方は、存在するオゾンの量の小さな変化にさえも極めて敏感である。したがって、従来のALDプロセスでは、繰り返し可能なプロセスを実現することは困難である。
【0030】
したがって、本開示は、循環堆積プロセスによって酸化ハフニウムランタン膜の堆積のために用いることができる方法を含む。循環堆積プロセスは、酸化ハフニウム膜の堆積に利用される少なくとも第1のサブサイクルを含む循環堆積スーパーサイクルと、酸化ランタン膜の堆積に利用される第2のサブサイクルとを含み得る。酸化ハフニウムランタン膜は、酸化ハフニウムおよび酸化ランタンの交互膜が基材上に堆積するように、循環堆積スーパーサイクルを1回以上繰り返すことによって堆積され得る。一部の用途では、酸化ハフニウムと酸化ランタンの交互の膜は、結果として生じる膜が、実質的に組成が均一な酸化ハフニウムランタン膜、または代替的に酸化ハフニウムと酸化ランタンの識別可能な交互層を含む酸化ハフニウムランタン膜を含むナノラミネート構造のいずれかを含むような厚さまで堆積されてもよい。
【0031】
本開示は、混合酸化剤前駆体を利用することにより、酸化ハフニウムランタン膜のALDにおける先行技術の制限を克服するものであり、すなわち、酸化ハフニウム膜を堆積させるための第1のサブサイクル中に第1の酸化剤前駆体を利用することができ、第酸化ランタン膜を堆積させるための第2サブサイクル中に第2の酸化剤前駆体(第1の酸化剤前駆体とは異なる)を利用することができる。
【0032】
したがって、本明細書に開示される循環堆積プロセスは、以前の堆積プロセスによって堆積したものに対して優れた特徴を備える酸化ハフニウムランタン膜を堆積させ得る。加えて、本明細書に開示される循環堆積プロセスは、HfLaOx膜の組成の正確な制御、ならびにHfLaOx膜の組成の改善された均一性を有する酸化ハフニウムランタン膜を堆積し得る。
【0033】
したがって、反応チャンバー内での循環堆積プロセスにより基材上に酸化ハフニウムランタン膜を堆積させるための方法が開示されている。いくつかの実施形態では、循環堆積プロセスは、循環堆積プロセスの第1のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して、基材上に酸化ハフニウム膜を堆積させることであって、第1のサブサイクルの1回の堆積サイクルが、基材を、ハフニウム気相前駆体と接触させることと、基材を、水(H2O)を含む第1の酸化剤前駆体と接触させることと、を含む、堆積させることを含み得る。本開示の方法はまた、循環堆積プロセスの第2のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して、基材上に酸化ランタン膜を堆積させることであって、第1のサブサイクルの1回の堆積サイクルが、基材を、ランタン気層前駆体と接触させることと、基材を、水(O2)を含む第2の酸化剤前駆体と接触させることと、を含む、堆積させることも含み得る。
【0034】
循環堆積プロセスの非限定的な例示の実施形態は原子層堆積(ALD)を含み、ALDは典型的な自己制御反応に基づいており、それにより反応物の逐次および交互パルスを用いて、堆積サイクル当たり材料の約一原子(または分子)単層を堆積する。堆積条件および前駆体は、典型的には、1つの反応物の吸着層が同じ反応物の気相反応物と非反応性の表面終端を残すように、自己飽和反応を提供するように選択される。その後、基材を、前の終端と反応する異なる反応物と接触させ、連続的な堆積を可能にする。したがって、交
互パルスの各サイクルは、典型的には、所望の材料の約一単層以下の単層を残す。しかし、上記のように、1つ以上のALDサイクルにおいて、例えば、交互するプロセスの性質にもかかわらずいくつかの気相反応が起こる場合、材料の1つより多い単層を堆積させることができることを、当業者は認識するであろう。
【0035】
酸化ハフニウムランタン膜を堆積させるための循環堆積プロセスは、2つ以上のサブサイクルを含んでもよく、各サブサイクルは、例えば、酸化ハフニウム膜および酸化ランタン膜などの2つ以上の膜を堆積させるためのALDタイプのプロセスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のサブサイクルは、酸化ハフニウム膜を堆積させるためのALD型プロセスを含むことができ、1回の堆積サイクル、すなわち単位堆積サイクルは、基材を第1の前駆体に曝すことと、未反応の第1の前駆体および反応副産物を反応チャンバーから除去することと、基材を第2の前駆体に曝すことと、その後に続く第2の除去ステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のサブサイクルの第1の前駆体は、ハフニウム気相前駆体(「ハフニウム前駆体」)を含んでもよく、第1のサブサイクルの第2の前駆体は、第1の酸化剤前駆体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のサブサイクルはまた、酸化ランタン膜を堆積させるためのALD型プロセスを含むことができ、1回の堆積サイクル、すなわち単位堆積サイクルは、基材を第1の前駆体に曝すことと、未反応の第1の前駆体および反応副産物を反応チャンバーから除去することと、基材を第2の前駆体に曝すことと、その後に続く第2の除去ステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のサブサイクルの第1の前駆体は、ランタン気相前駆体(「ランタン前駆体」)を含んでもよく、第2のサブサイクルの第2の前駆体は、第2の酸化剤前駆体を含んでもよい。
【0036】
前駆体は、アルゴン(Ar)または窒素(N2)などの不活性ガスによって分離され得、前駆体間の気相反応を防ぎ、自己飽和表面反応を可能にする。しかし、いくつかの実施形態では、基材を移動させて、第1の気相反応物と第2の気相反応物とを、別々に接触させることができる。反応が自己飽和するので、基材の厳密な温度制御および前駆体の正確な投与量制御は必要でない場合もある。しかし、基材温度は、入射ガス種が単層に凝縮しないように、および表面で分解しないようにすることが好ましい。基材を次の反応性化学物質と接触させる前に、余分な化学物質および反応副生成物がある場合には、それらを、例えば反応空間をパージすることによりまたは基材を移動させることにより、基材の表面から除去する。望ましくない気体の分子を、不活性パージガスを用いて反応空間から効果的に排出することができる。パージを促進するために、真空ポンプを使用することができる。
【0037】
酸化ハフニウムランタン膜を堆積させるために使用することができる反応器は、本明細書に記載の循環堆積プロセスのために使用することができる。このような反応器は、前駆体を供給するように構成されたALD反応器ならびにCVD反応器を含む。いくつかの実施形態によれば、シャワーヘッド反応器を使用し得る。いくつかの実施形態によれば、クロスフロー、バッチ、ミニバッチ、または空間的ALD反応器を使用することができる。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態では、バッチ式反応器を使用し得る。いくつかの実施形態では、垂直バッチ式反応器を利用し得る。他の実施形態では、バッチ式反応器は、10枚以下のウェーハ、8枚以下のウェーハ、6枚以下のウェーハ、4枚以下のウェーハ、もしくは2枚以下のウェーハを収容するように構成されるミニバッチ式反応器を備える。バッチ式反応器が使用されるいくつかの実施形態では、ウェーハ間の不均一性は3%(1シグマ)未満、2%未満、1%未満またはさらには0.5%未満である。
【0039】
本明細書に記載の堆積プロセスを、クラスタツールに連結される反応器または反応チャンバーで任意選択的に行うことができる。クラスタツールでは、各反応チャンバーが1つ
のタイプのプロセス専用であるため、各モジュール内の反応チャンバーの温度を一定に保つことができ、各運転の前に基材をプロセス温度まで加熱する反応器と比較してスループットが向上する。付加的に、クラスタツールでは、反応チャンバーを基材間で所望のプロセス圧力レベルに排気する時間を短縮することが可能である。本開示のいくつかの実施形態では、堆積プロセスは、複数の反応チャンバーを含むクラスタツール内で実施されてもよく、各個々の反応チャンバーは、基材を、個々の前駆体ガスに曝すために使用されてもよく、基材を、複数の前駆体ガスに曝すように異なる反応チャンバー間を搬送してもよく、基材の搬送は基材の酸化/汚染を回避するために制御された周辺環境下で実施される。本開示のいくつかの実施形態では、堆積プロセスは、複数の反応チャンバーを備えるクラスタツール内で実行されてもよく、各個々の反応チャンバーは、循環堆積プロセス全体の異なるサブサイクル、すなわち循環堆積スーパーサイクルを実行するように構成されてもよい。例えば、クラスタツールの第1の反応チャンバーは、第1のサブサイクルを実行するように構成されてもよく、またクラスタツールの第2の反応チャンバーは、第2の反応チャンバーを実行するように構成されてもよく、基材は、基材およびその上の酸化膜の不要な汚染を防止するために、制御された環境下で第1の反応チャンバーと第2の反応チャンバーとの間で移動され得る。
【0040】
特定の実施形態では、反応器または反応チャンバーは、ロードロックを装備したスタンドアロン型反応器を備えてもよい。その場合、各運転の間に反応チャンバーを冷却する必要はない。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜の堆積のための堆積プロセスは、複数の堆積サイクル、すなわち複数の単位サイクル、例えばALDサイクルまたは循環CVDサイクルを含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、1つ以上の循環堆積プロセスを使用して、基材上に本開示のHfLaOx膜を堆積してもよい。いくつかの実施形態では、循環堆積プロセスは、1つ以上のALDタイププロセスを含み得る。いくつかの実施形態では、循環堆積プロセスは、1つ以上のハイブリッドALD/CVDまたは1つ以上の循環CVDプロセスを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、ALDプロセスの成長速度は、CVDプロセスと比較して低い場合がある。成長速度を増加させる1つのアプローチは、ALDプロセスにおいて典型的に用いられる温度よりも高い基材温度で動作するものであり得、結果として化学蒸着タイププロセスによって提供される堆積の少なくとも一部となるが、なお前駆体の逐次導入の利点を有する。こうしたプロセスは、循環CVDプロセスと呼ばれる場合がある。いくつかの実施形態では、循環CVDプロセスは、反応チャンバー内への2つ以上の前駆体の導入を含み得、反応チャンバー内の2つ以上の前駆体の間の重複の期間は、堆積のALD成分と堆積のCVD成分の両方をもたらす。例えば、循環CVDプロセスは、反応チャンバーへの1つの前駆体の連続的な流れ、および第2の前駆体の定期的なパルス注入を含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、循環堆積プロセスを利用して、酸化ハフニウムランタン膜を堆積させ得、そのような循環堆積プロセスの非限定的な例は、
図1~3を参照して理解され得、
図1は、循環堆積スーパーサイクルを含む例示的な循環堆積プロセス全体を示し、
図2は、酸化ハフニウム膜を堆積するための例示的な第1のサブサイクルを示し、
図3は、酸化ランタン膜を堆積させるための例示的な第2のサブサイクルを示す。
【0043】
より詳細には、
図1は、HfLaO
x膜の堆積に利用される第1のサブサイクル120および第2のサブサイクル130を含む循環堆積スーパーサイクル150を含む例示的な全体的循環堆積プロセス100を示す。より詳細には、循環堆積プロセス100は、基材を反応チャンバー内に供給することと、基材を所望の堆積温度に加熱することと、を含むプロセス110によって開始することができる。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態では、基材は、高いアスペクト比形体、例えば、トレンチ構造および/またはフィン構造を含む平面基材またはパターン付き基材を含むことができる。基材は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ゲルマニウムスズ(GeSn)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、シリコンゲルマニウムスズ(SiGeSn)、炭化シリコン(SiC)、またはIII‐V族半導体材料、例えば、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムリン(GaP)、もしくは窒化ガリウム(GaN)を含む1つ以上の材料を含むことができるが、これらに限定されない。本開示のいくつかの実施形態では、基材は設計された基材を備え得、表面半導体層は、その間に配置された介在する埋め込み酸化(BOX)によってバルク支持体上に配置される。
【0045】
パターン形成された基材は、基材の表面内または表面上に形成された半導体デバイス構造を含むことができる基材を備えることができ、例えば、パターン形成された基材は、部分的に製造された半導体デバイス構造、例えばトランジスタおよび/またはメモリ素子を含むことができる。いくつかの実施形態では、基材は、単結晶表面および/または、多結晶表面および/または非結晶表面などの非単結晶表面を含み得る1つ以上の二次表面を含み得る。単結晶表面は、例えば、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ゲルマニウムスズ(GeSn)、またはゲルマニウム(Ge)のうちの1つ以上を含み得る。多結晶または非結晶表面は、誘電体材料、例えば酸化物、酸窒化物または窒化物、例えば酸化ケイ素および窒化ケイ素などを含むことができる。
【0046】
堆積に利用される反応チャンバーは、原子層堆積反応チャンバー、または化学蒸着反応チャンバー、または本明細書で前述したような反応チャンバーのいずれかであってもよい。本開示のいくつかの実施形態では、基材は、循環堆積プロセスの間、所望の堆積温度に加熱され得る。例えば、基材は、約750℃未満、または約650℃未満、または約550℃未満、または約450℃未満、または約350℃未満、または約300℃未満、または約250℃未満、または約150℃未満の基材温度まで加熱され得る。本開示のいくつかの実施形態において、循環堆積プロセス中の基材温度は、100℃~400℃、または150℃~350℃、もしくは200℃~300℃であり得る。
【0047】
基材を所望の堆積温度に加熱すると、
図1の例示的な循環堆積プロセス100は、循環堆積スーパーサイクル150を継続することができ、これは、第1のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して酸化ハフニウム膜を堆積させることと、第2のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して酸化ランタン膜を堆積させることとのうちの1回以上の繰り返しを含む。循環堆積スーパーサイクル150は、第1のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して、酸化ハフニウム膜を堆積させることを含む、プロセスブロック120によって開始され得る。
【0048】
図2は、第1のサブサイクル120およびその構成サブプロセスをより詳細に図示する。例えば、第1のサブサイクル120は、基材をハフニウム気相反応物(「ハフニウム前駆体」)と接触または曝すことを含むサブプロセスブロック210によって開始され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、ハフニウム前駆体は、ハロゲン化ハフニウム前駆体、ハフニウム有機金属前駆体、または有機金属ハフニウム前駆体のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0050】
本明細書において後述するように、いくつかの実施形態では、ハロゲン化ハフニウム前駆体は少なくとも1つのハロゲン配位子を含んでもよく、一方残りの配位子、例えば金属有機または有機金属配位子は異なる。いくつかの実施形態では、ハロゲン化ハフニウム前駆体は、1つ、2つ、3つまたは4つのハロゲン化物配位子、例えば塩化物配位子を含ん
でもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化ハフニウム前駆体は、塩化ハフニウム、ヨウ化ハフニウム、または臭化ハフニウムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。いくつかの実施形態では、塩化ハフニウムは四塩化ハフニウム(HfCl4)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ヨウ化ハフニウムは、四ヨウ化ハフニウム(HfI4)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、臭化ハフニウムは、四臭化ハフニウム(HfBr4)を含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、ハフニウム有機金属前駆体は、ハフニウムアルキルアミド前駆体、ハフニウムシクロペンタジエニル配位子含有前駆体、または他の有機金属ハフニウム前駆体のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、ハフニウムアルキルアミド前駆体は、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム(Hf(NEtMe)4)、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(Hf(NMe2)4)、またはテトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム(Hf(NEt2)4)を含む群から選択されてもよい。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態では、ハフニウムシクロペンタジエニル配位子含有前駆体は、(トリス(アルキルアミド)シクロペンタジエニルハフニウム、例えば(トリス(ジメチルアミド)シクロペンタジエニルハフニウムHfCp(NMe2)3、またはビス(メチルシクロペンタジエニル)メトキシメチルハフニウム(MeCp)2Hf(CH)3(OCH3)またはそれらの誘導体、例えば、それらの前駆体のシクロペンタジエニル配位子に結合したアルキルなどの1つ以上の炭化水素、またはアルキルアミド配位子の他のアルキル基があるものなどを含む群から選択され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、ハフニウム前駆体は、次式を有し:
HfL1L2L3L4
式中、L1~L4までのL配位子の各々は、
a)ハロゲン化物、例えば塩化物、臭化物、またはヨウ化物、
b)アルキルアミド、例えばジメチルアミド(‐NMe2)、ジエチルアミド(‐NEt2)、エチルメチルアミド(‐NEtMe)、
c)アミジネート、例えばN,N’‐ジメチルホルムアミジネート、
d)グアニジネート、例えばN,N’‐ジイソプロピル‐2‐エチルメチルアミドグアニジネート、
e)シクロペンタジエニルまたはそれらの誘導体、例えばシクロペンタジエニルもしくはメチルシクロペンタジエニルまたは他のアルキル置換シクロペンタジエニル配位子、
f)シクロヘプタジエニルまたはシクロヘプタトリエニル系、例えばシクロヘプタトリエニルまたはシクロヘプタジエニル
g)アルキル、例えばC1~C5アルキル、例えばヘテロレプティック前駆体の場合はほとんどがメチル、
h)アルコキシド、例えばメトキシド(‐OMe)、エトキシド(‐OEt)、イソプロポキシド(‐OiPr)、n‐ブトキシド(‐OBu)またはtert‐ブトキシド(‐OtBu)
i)ベータジケトネート、例えば(2,2,6,6‐テトラメチル‐3,5‐ヘプタンジオナト)(thd)、および/または
j)ドナー官能化アルコキシド、例えばジメチルエタノールアミン、であるように独立して選択され得る。
【0056】
本開示のいくつかの実施形態では、ハフニウム前駆体は、窒素および/または酸素原子
を介してHfに結合している1つ以上の二座配位子を含む。いくつかの実施形態では、ハフニウム前駆体は、窒素、酸素、および/または炭素を介してHfに結合している1つ以上の配位子を含む。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態では、ハフニウム前駆体は、プラズマ励起前駆体を含まない、すなわち、酸化ハフニウム膜は、前駆体のプラズマ励起なしで堆積され、言い換えると、酸化ハフニウム膜は、プラズマのない環境で堆積される。
【0058】
本開示のいくつかの実施形態では、基材をハフニウム気相前駆体と接触させることは、ハフニウム前駆体を反応チャンバーにパルス注入することと、続いて、ハフニウム前駆体を基材に約0.01秒~約60秒、または約0.05秒~約10秒、または約0.1秒~約5.0秒の時間接触させることと、を含み得る。加えて、ハフニウム前駆体のパルス注入の間、ハフニウム前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、またはさらに100sccm未満とすることができる。加えて、基材上にハフニウム前駆体をパルス注入する間、ハフニウム前駆体の流量は、約1~2000sccm、または約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲とすることができる。
【0059】
図2の例示的なサブサイクル120は、反応チャンバーをパージすることによって継続することができる。例えば、過剰なレニウム前駆体および反応副生成物を(もしあれば)、例えば、不活性ガスで排出することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、またはさらに約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。過剰なハフニウム気相反応物、および任意の可能性のある反応副生成物を、反応チャンバーと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0060】
反応チャンバーをパージサイクルでパージすると、例示的な循環堆積サブサイクル120は、基材を第1の酸化剤前駆体と接触させるかまたは曝すことと、特に水(H2O)を含む第1の酸化剤前駆体と接触させることと、を含むサブプロセスブロック220により継続し得る。代替的な実施形態では、第1の酸化剤前駆体は、過酸化水素(H2O2)、オゾン(O3)、または窒素酸化物、例えば一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(N2O)、または二酸化窒素(NO2)のうちの少なくとも1つを含む。本開示のいくつかの実施形態では、酸化剤前駆体は、有機アルコール、例えばイソプロピルアルコールを含むことができる。
【0061】
本開示のいくつかの実施形態では、第1の酸化剤前駆体は、プラズマ励起前駆体を含まない、すなわち、酸化ハフニウム膜は、前駆体のプラズマ励起なしで堆積される。言い換えれば、特定の実施形態では、酸化ハフニウム膜は、プラズマのない環境で堆積される。
【0062】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を第1の酸化剤前駆体と接触させることは、第1の酸化剤前駆体、例えば水(H2O)を反応チャンバーにパルス注入することと、続いて、基材を第1の酸化剤前駆体に約0.01秒~約60秒、または約0.05秒~約10秒、または約0.1秒~約5.0秒の時間接触させることと、を含み得る。加えて、第1の酸化剤前駆体のパルス注入の間、第1の酸化剤前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、またはさらに100sccm未満とすることができる。加えて、基材上に第1の酸化剤前駆体をパルス注入する間、第1の酸化剤前駆体の流量は、約1~2000sccm、または約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲とすることができる。
【0063】
第1の酸化剤前駆体が水(H2O)を含む実施形態では、水の純度は、その電気抵抗率
によって特徴付けられてもよく、例えば、水の電気抵抗率が高いほど純度が高くなり、したがって不要な堆積膜中の汚染物質を減少させ得る。いくつかの実施形態では、第1酸化剤前駆体は、5MΩ・cmを超える、または10MΩ・cmを超える、または15MΩ・cmを超える、または20MΩ・cmを超える電気抵抗率を有する水(H2O)を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、酸化ハフニウム膜の堆積で利用される水の電気抵抗率は、5MΩ・cm~20MΩ・cmであってもよい。
【0064】
図2の例示的なサブサイクル120は、反応チャンバーをパージすることによって継続することができる。例えば、過剰な第1の酸化剤前駆体および反応副生成物を(もしあれば)、例えば、不活性ガスで排出することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、またはさらに約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。過剰な1の酸化剤前駆体、例えば水および可能性のある反応副生成物を、反応チャンバーと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0065】
図2のサブサイクル120は、決定ゲートを含むサブプロセスブロック230によって継続されてもよく、決定ゲートは、例示的な第1のサブサイクル120によって堆積される酸化ハフニウム膜の厚さに依存する。酸化ハフニウム膜がその後のプロセス工程に対して不十分な厚さである場合、循環サブサイクル120は、サブプロセスブロック210に戻り、基材を、ハフニウム気相前駆体と接触させ(サブプロセスブロック210)、第1の酸化剤前駆体と接触させてもよい(サブプロセスブロック220)。例えば、第1のサブサイクル120の単一堆積サイクル、すなわち単位堆積サイクルは、基材をハフニウム前駆体と接触させることと、反応チャンバーをパージすることと、基材を水と接触させることと、反応チャンバーを再びパージすることと、を含み得る。酸化ハフニウム膜を所望の厚さに堆積させるために、サブサイクル120は、酸化ハフニウム膜の所望の厚さが堆積するまで1回以上繰り返されてもよく、その時点で、例示的な第1のサブサイクルをサブプロセスブロック240を介して終了してもよい。
【0066】
本開示の一部の実施形態では、基材のハフニウム前駆体および第1の酸化剤前駆体との接触順序は、基材が最初に第1の酸化剤前駆体と接触してその後ハフニウム前駆体と接触するようにし得ることは理解されたい。加えて、いくつかの実施形態では、循環堆積サブサイクル120は、基材を第1の酸化剤前駆体と1回以上接触させる前に、基材をハフニウム前駆体と1回以上接触させることを含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、循環堆積サブサイクル120は、基材をハフニウム前駆体と1回以上接触させる前に、基材を第1の酸化剤前駆体と1回以上接触させることを含むことができる。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態では、例示的な循環第1のサブサイクル120は、基材をハフニウム前駆体および第1の酸化剤前駆体と交互に接触させ、ハフニウム前駆体と第1の酸化剤前駆体、例えば水との反応により基材の表面上に酸化ハフニウム膜を堆積させ得る。
【0068】
本開示のいくつかの実施形態では、例示的な循環堆積サブサイクル120を繰り返すことはできず、単位サイクル、すなわち堆積プロセスのうちの1つの堆積サイクルのみを実行することができる。例えば、基材をハフニウム前駆体と接触させ、続いて第1の酸化剤前駆体と接触させて、酸化ハフニウム膜の単一単層または単一単層未満を堆積させることができ、すなわち、いくつかの実施形態では、酸化ハフニウム膜は、単一の単層または単一の単層未満を含む。酸化ハフニウム膜の堆積に1つの堆積サイクルが利用されるこのような実施形態では、酸化ハフニウム膜は、5オングストローム未満、または2オングストローム未満、またはさらに1オングストローム未満の厚さを有し得る。いくつかの実施形
態では、酸化ハフニウム膜は、連続膜を含まないが、基材上に配置された酸化ハフニウムの複数の分離領域を含むことができる。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態では、例示的な循環堆積サブサイクル120を1回以上繰り返して、酸化ハフニウム膜を所望の厚さに堆積させることができる。本開示のいくつかの実施形態では、第1のサブサイクル120の単位堆積サイクルは、基材をハフニウム前駆体と接触させることと、反応物をパージすることと、基材を第1の酸化剤前駆体と接触させることと、再び反応チャンバーをパージすることと、を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、サブサイクル120の単位堆積サイクルは、2回を超えて、または4回を超えて、または6回を超えて、または8回を超えて、または10回を超えて、または15回を超えて、または20回を超えて実行され得る。いくつかの実施形態では、単位堆積サイクルを繰り返して、酸化ハフニウム膜を3ナノメートル未満、または2ナノメートル未満、または1ナノメートル未満、または5オングストローム未満、またはさらに2オングストローム未満の厚さまで堆積し得る。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウム膜は、連続膜を含まないが、むしろ基材上に配置された酸化ハフニウムの複数の分離領域を含むことができる。
【0070】
プロセスブロック120、すなわち、第1のサブサイクルが完了すると、循環堆積スーパーサイクル150(
図1)は、第2のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して、酸化ランタン膜を堆積させることを含むプロセスブロック130によって継続され得る。
【0071】
図3は、第2のサブサイクル130およびその構成サブプロセスをより詳細に示し、第2のサブサイクル130は、基材をランタン気相前駆体(「ランタン前駆体」)と接触または曝すことを含むサブプロセスブロック310によって開始し得る。
【0072】
本開示のいくつかの実施形態では、ランタン前駆体は、例えば、ランタンホルムアミジネート(La(FAMD)3)、またはトリス(N,N’‐ジイソプロピルアセトアミナト)ランタン(La(iPrAMD)3)などのアミジネート系前駆体を含み得る。いくつかの実施形態では、ランタン前駆体は、例えば(La(THD)3)などのジケトネート前駆体を含み得る。いくつかのの実施形態では、ランタン前駆体は、例えばトリス(イソプロピル‐シクロペンタジエニル)ランタン(La(iPrCp)3)などのCp(シクロペンタジエニル)ベースの前駆体を含み得る。いくつかの実施形態では、ランタン前駆体は、例えば、トリス(ビストリメチルシリルアミド)ランタン(La[N(SiMe3)2]3)などのアミドベースの化学物質を含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、ランタン前駆体は、上記のハイブリッド的組み合わせを含み得る。他の実施形態では、ランタン前駆体は、例えばランタンアミジネートなどの窒素間の結合を有するランタン前駆体を含み得る。アミジネート化合物は、窒素とランタンとの間の結合をもたらす非局在化電子を含み得る。他の実施形態では、ランタン前駆体は、例えばランタンシクロペンタジエニルなどの炭素の結合を有するランタン前駆体を含み得る。このような実施形態では、ランタン前駆体は、炭素とランタンの間の結合が形成される化合物であると考えられる非局在化電子を含み得る。他の実施形態では、ランタン前駆体は、例えばランタンアミジネートおよびランタンシクロペンタジエニルなどの窒素と炭素両方の結合を有するランタン前駆体を含み得る。
【0074】
本開示のいくつかの実施形態では、ランタン前駆体は、プラズマ励起前駆体を含まない、すなわち、酸化ランタン膜は、前駆体のプラズマ励起なしで堆積され得、言い換えると、酸化ランタン膜は、プラズマのない環境で堆積され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、基材をランタン気相反応物と接触させることは、ランタン前駆体を反応チャンバーにパルス注入することと、続いて、ランタン前駆体を基材に約0.01秒~約60秒、または約0.05秒~約10秒、または約0.1秒~約5.0秒の時間接触させることと、を含み得る。加えて、反応チャンバーへのランタン前駆体のパルス注入の間、ランタン前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、またはさらに100sccm未満とすることができる。加えて、基材上にランタン前駆体をパルス注入する間、ランタン前駆体の流量は、約1~2000sccm、または約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲とすることができる。
【0076】
図3の例示的なサブサイクル130は、反応チャンバーをパージすることによって継続することができる。例えば、過剰なランタン気相反応物および反応副生成物を(もしあれば)、例えば、不活性ガスで排出することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、またはさらに約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。過剰なランタン前駆体、および可能性のある反応副生成物を、反応チャンバーと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0077】
反応チャンバーをパージサイクルでパージすると、例示的な循環堆積サブサイクル130は、基材を第2の酸化剤前駆体、特に分子状酸素(O2)を含む第2の酸化剤前駆体と接触させるかまたは曝すこととを含むサブプロセスブロック320により継続し得る。代替的な実施形態では、第2の酸化剤前駆体は、水(H2O)、過酸化水素(H2O2)、オゾン(O3)、または窒素酸化物、例えば一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(N2O)、または二酸化窒素(NO2)を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、酸化剤前駆体は、有機アルコール、例えばイソプロピルアルコールを含むことができる。
【0078】
本開示のいくつかの実施形態では、第2の酸化剤前駆体、例えば分子状酸素(O2)は、プラズマ励起前駆体を含まない、すなわち、酸化ランタン膜は、前駆体のプラズマ励起なしで堆積され、言い換えると、酸化ランタン膜は、プラズマのない環境で堆積される。
【0079】
第2の酸化剤前駆体が分子状酸素(O2)を含む実施形態では、分子状酸素(O2)の高純度供給源は、堆積した酸化ランタン膜の不要な汚染を実質的に防止するために利用されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、分子状酸素(O2)は、99.99%を超える、または99.999%を超える、または99.9999%を超える、または99.99999%を超える純度を有してもよい。
【0080】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を第2の酸化剤前駆体、例えば分子状酸素(O2)と接触させることは、第2の酸化剤前駆体を反応チャンバーにパルス注入することと、続いて、基材を第2の酸化剤前駆体に約0.01秒~約60秒、または約0.05秒~約10秒、または約0.1秒~約5.0秒の時間接触させることと、を含み得る。加えて、反応チャンバーへの第2の酸化剤前駆体のパルス注入の間、第2の酸化剤前駆体の流量は、2000sccm未満、または500sccm未満、またはさらに100sccm未満とすることができる。加えて、基材上に第2の酸化剤前駆体をパルス注入する間、第2の酸化剤前駆体の流量は、約1~約2000sccm、または約5~約1000sccm、または約10~約500sccmの範囲とすることができる。
【0081】
図3の例示的なサブサイクル130は、反応チャンバーをパージすることによって継続することができる。例えば、過剰な第2の酸化剤前駆体および反応副生成物を(もしあれば)、例えば、不活性ガスで排出することにより、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく
、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、またはさらに約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。過剰な第2の酸化剤前駆体および可能性のある反応副生成物を、反応チャンバーと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0082】
図3のサブサイクル130は、決定ゲートを含むサブプロセスブロック330によって継続されてもよく、決定ゲートは、例示的な第2のサブサイクル130によって堆積される酸化ランタン膜の厚さに依存する。酸化ランタン膜がその後のプロセス工程に対して不十分な厚さである場合、循環サブサイクル130は、サブプロセスブロック310に戻り、基材を、ランタン前駆体と接触させ(サブプロセスブロック310)、第2の酸化剤前駆体、例えば分子状酸素(O
2)と接触させてもよい(サブプロセスブロック320)。例えば、第2のサブサイクル130の単一堆積サイクル、すなわち単位堆積サイクルは、基材をランタン気相前駆体と接触させることと、反応チャンバーをパージすることと、基材を第2の酸化剤前駆体と接触させることと、反応チャンバーを再びパージすることと、を含み得る。酸化ランタン膜を所望の厚さに堆積させるために、サブサイクル130は、酸化ランタン膜の所望の厚さが基材上に堆積するまで1回以上繰り返されてもよく、その時点で、例示的な第2のサブサイクル130をサブプロセスブロック340を介して終了してもよい。
【0083】
本開示の一部の実施形態では、基材のランタン前駆体および第2の酸化剤前駆体との接触順序は、基材が最初に第2の酸化剤前駆体と接触してその後ランタン前駆体と接触するようにし得ることは理解されたい。加えて、いくつかの実施形態では、循環堆積の第2のサブサイクル130は、基材を第2の酸化剤前駆体と1回以上接触させる前に、基材をランタン前駆体と1回以上接触させることを含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、循環堆積の第2のサブサイクル130は、基材をランタン前駆体と1回以上接触させる前に、基材を第2の酸化剤前駆体と1回以上接触させることを含むことができる。
【0084】
本開示のいくつかの実施形態では、例示的な循環サブサイクル130は、基材をランタン前駆体および第2の酸化剤前駆体と交互に接触させ、ランタン前駆体と第2の酸化剤前駆体との間の反応により基材上に酸化ランタン膜を堆積させ得る。
【0085】
本開示のいくつかの実施形態では、例示的な循環堆積のサブサイクル130を繰り返すことはできず、単位サイクル、すなわち堆積プロセスのうちの1つの堆積サイクルのみを実行することができる。例えば、基材をランタン前駆体と接触させ、続いて第2の酸化剤前駆体と接触させて、酸化ランタン膜の単一単層または単一単層未満を堆積させることができ、すなわち、いくつかの実施形態では、酸化ランタン膜は、単一の単層または単一の単層未満を含む。酸化ランタン膜の堆積に1つの堆積サイクルが利用されるこのような実施形態では、酸化ランタン膜は、5オングストローム未満、または2オングストローム未満、またはさらに1オングストローム未満の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、酸化ランタン膜は、連続膜を含まないが、むしろ基材上に配置された酸化ランタンの複数の分離領域を含むことができる。
【0086】
本開示のいくつかの実施形態では、例示的な循環堆積サブサイクル130を1回以上繰り返して、酸化ランタン膜を所望の厚さに堆積させることができる。本開示のいくつかの実施形態では、第2のサブサイクル130の単位堆積サイクルは、基材をランタン前駆体と接触させることと、反応物をパージすることと、基材を第2の酸化剤前駆体と接触させることと、再び反応チャンバーをパージすることと、を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、サブサイクル130の単位堆積サイクルは、2回を超えて、または4回を超えて、または6回を超えて、または8回を超えて、または10回を超えて、または15回を超えて、または20回を超えて、またはさらに超えて実行され得る。いくつかの実施形
態では、単位堆積サイクルを繰り返して、酸化ランタン膜を3ナノメートル未満、または2ナノメートル未満、または1ナノメートル未満、または5オングストローム未満、またはさらに2オングストローム未満の厚さまで堆積し得る。いくつかの実施形態では、酸化ランタン膜は、連続膜を含まないが、むしろ基材上に配置された酸化ランタンの複数の分離領域を含むことができる。
【0087】
第2のサブサイクル130が完了すると、
図1の例示的な循環堆積プロセス100は、決定ゲートを含むプロセスブロック140によって継続され得、決定ゲートは、第1のサブサイクルおよび第2のサブサイクルによって堆積された酸化ハフニウムランタン膜の合計厚さに依存する。酸化ハフニウムランタン膜の合計厚さが、所望の半導体デバイスの用途に不十分な場合、次に、循環堆積スーパーサイクル150は、プロセスブロック120に戻り、第1のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して酸化ハフニウム膜を堆積し、続いて、プロセスブロック130を利用して、第2のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して酸化ランタン膜を堆積させ、これにより、酸化ハフニウムと酸化ランタンの交互層を堆積させることにより繰り返すことができる。したがって、循環堆積スーパーサイクル150は、酸化ハフニウムランタン膜の所望の厚さが基材上に堆積されるまで1回以上繰り返されてもよい。酸化ハフニウムランタン膜の所望の厚さ達成されると、例示的な循環堆積プロセス100が、プロセスブロック160を介して終了し、その上に配置された酸化ハフニウムランタン膜を有する基材をさらなる半導体デバイス製作プロセスに供することができる。
【0088】
本開示のいくつかの実施形態では、基材上に酸化ハフニウム膜および酸化ランタン膜を堆積させる順序は、循環堆積スーパーサイクル150が最初に酸化ランタン膜を堆積し、続いて酸化ハフニウム膜を堆積し、その後必要に応じて酸化ランタン堆積および酸化ハフニウム堆積のステップを繰り返して酸化ハフニウムランタン膜の堆積をもたらすことを含むようにしてもよいことは理解されよう。
【0089】
本開示のいくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜を堆積する方法は、酸化ハフニウム膜または成分(例えば、1つ以上の第1のサブサイクル)を堆積し、酸化ランタン膜または成分(例えば、1つ以上の第2のサブサイクル)を堆積する堆積プロセスの両方を含む。例えば、本開示に包含される酸化ハフニウムランタン膜を堆積させる方法は、1つ以上の酸化ハフニウム(HfOx)堆積サブサイクルおよび1つ以上の酸化ランタン(LaOx)堆積サブサイクルを含む多数のスーパーサイクル150を含み得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、堆積された酸化ハフニウムランタン膜の特定の特性は、個々のスーパーサイクル内で実行される第1のサブサイクル(HfOxサブサイクル)の数と実行される第2のサブサイクル(LaOxサブサイクル)の数の比を変えることによって制御され得る。言い換えれば、例示的な循環堆積プロセス100は、単位スーパーサイクル当たり実行される第2のサブサイクルに対する実行される第1のサブサイクルの比を含み得る。代替的に、例示的な循環堆積プロセス100は、単位スーパーサイクル当たり実行される第1のサブサイクルに対する実行される第2のサブサイクルの比を含み得る。いくつかの実施形態では、スーパーサイクル当たり実行される第1のサブサイクル(HfOxサブサイクル)に対する実行される第2のサブサイクル(LaOxサブサイクル)の比は、0.50未満、または0.40未満、または0.30未満、または0.20未満、または0.15未満、または0.10未満、またはさらに0.05未満である。
【0091】
いくつかの実施形態では、第1のサブサイクル(LaOxサブサイクル)の1つ以上の堆積パラメータは、所与のスーパーサイクル内または連続するスーパーサイクル間で別の第1のサブサイクル(LaOxサブサイクル)のそれと異なり得る。いくつかの実施形態では、第2のサブサイクル(HfOxサブサイクル)の1つ以上の堆積パラメータは、所
与のスーパーサイクル内または連続するスーパーサイクル間で別の第2のサブサイクル(HfOxサブサイクル)のそれと異なり得る。いくつかの実施形態では、第1のサブサイクルまたは第2のサブサイクルの堆積パラメータは、堆積プロセス全体を通して、すなわち、1つ以上の連続するスーパーサイクルの上で実質的に同一であり得る。
【0092】
本開示のいくつかの実施形態において、スーパーサイクル当たり実行される第1のサブサイクル(HfO
xサブサイクル)に対する実行される第2のサブサイクル(LaO
xサブサイクル)の比は、酸化ハフニウムランタン膜の組成、例えば、酸化ハフニウムランタン膜中のランタン組成(原子%)などを制御するために利用され得る。より詳細には、
図4は、本開示の実施形態による酸化ランタン堆積サブサイクル対酸化ハフニウム堆積サブサイクルの比に関連するいくつかの例示的な酸化ハフニウムランタン膜のランタン組成(原子%)の変化を示すX線光電子分光法(XPS)データを示す。
図4の検査は、例示的なHfLaO
x膜内に存在するLaO
x:HfO
xサブサイクル比とランタン組成(原子%)との間の明確な関係を示している。例えば、LaO
x:HfO
xサブサイクル比が減少すると、例示的なHfLaO
x膜内のランタン組成も減少する。したがって、本開示の実施形態は、堆積した酸化ハフニウムランタン膜の組成をしっかりと制御する方法を提供することができる。例えば、本開示の実施形態に従って堆積させた酸化ハフニウムランタン膜は、10原子%未満、または7原子%未満、または5原子%未満、または3原子%未満、または2原子%未満、またはさらに1原子%以下のランタン組成を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示の実施形態に従って堆積させたハフニウムランタン膜中のランタン組成は、0.5原子%~3原子%、または1.0原子%~2.5原子%であり得る。
【0093】
本開示のいくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜を低濃度の不純物で堆積させ得る。例えば、酸化ハフニウムランタン膜は、10原子%未満、または5原子%未満、または2原子%未満、または1原子%未満、または0.5原子%未満、またはさらに0.2原子%未満のランタン組成を有し得る。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウム膜内の不純物は、炭素を含むが、これに限定されない。例えば、酸化ハフニウムランタン膜は、10原子%未満、または5原子%未満、または2原子%未満、または1原子%未満、または0.5原子%未満、またはさらに0.2原子%未満の炭素濃度を有し得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、酸化ハフニウム堆積サブサイクルおよび酸化ランタン堆積サブサイクルの2つの異なる酸化剤前駆体を利用することによって有効化される堆積プロセスの吸湿性の減少により、本開示の方法は、酸化ハフニウムランタン膜をより大きな組成均一性で堆積し得る。本開示のいくつかの実施形態では、本開示の実施形態に従って堆積させた酸化ハフニウムランタン膜中のランタン組成の均一性は、2原子%(1シグマ)未満、または0.5原子%(1シグマ)未満、または0.2原子%(1シグマ)未満、または0.1原子%(1シグマ)未満であり得る。本開示のいくつかの実施形態では、本開示の実施形態に従って堆積させた酸化ハフニウムランタン膜中のランタン組成の均一性は、2原子%(1シグマ)~0.1原子%(1シグマ)の間であり得る。本明細書で開示される実施形態では、元素の原子濃度は、ラザフォード後方散乱(RBS)またはx線光電子分光法(XPS)を利用して決定されうる。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に従って堆積させた酸化ハフニウムランタンは、ナノラミネート膜を含み得る。すなわち、いくつかの実施形態では、別の層および異なる層は、酸化ハフニウムランタン膜内で視認可能であり得る。例えば、酸化ハフニウムランタン膜は、酸化ハフニウムおよび酸化ランタンの交互層を含むナノラミネートを含み得る。
【0096】
いくつかの実施形態では本明細書に開示される方法に従って堆積させた酸化ハフニウムランタンは、ナノラミネート膜ではない。すなわち、いくつかの実施形態では、別の層お
よび異なる層は、本開示の実施形態に従って堆積された酸化ハフニウムランタン膜内で視認可能であり得えない。例えば、一様または実質的に組成上均一な酸化ハフニウムランタン膜は、本明細書に開示される方法によって堆積され得る。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜は、実質的に組成上均一な三級酸化ハフニウムランタン膜を含む。
【0097】
より詳細には、本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の循環堆積プロセスによって堆積させた酸化ハフニウムランタン膜は、実質的に組成上均一な酸化ハフニウムランタン膜を含み得る。例えば、本明細書に記載の循環堆積プロセスは、酸化ハフニウム膜および酸化ランタン膜を交互に堆積させることができる(またはその逆)。しかしながら、いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムおよび酸化ランタンの膜は、5オングストローム未満の厚さに堆積する可能性があるため、交互の層が相互拡散し、実質的に組成上均一な酸化ハフニウムランタン膜が得られ、すなわち、酸化ハフニウム領域と酸化ランタン領域の間には、酸化ハフニウムランタン膜の識別可能な区別は存在しない。
【0098】
いくつかの実施形態では本開示の酸化ハフニウムランタン膜は、20ナノメートル~0.5ナノメートル、または15ナノメートル~1ナノメートル、または10ナノメートル~1.5ナノメートルの厚さに堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の酸化ハフニウムランタン膜は、20ナノメートル未満、または15ナノメートル未満、または10ナノメートル未満、または8ナノメートル未満、またはさらに5ナノメートル未満の厚さまで堆積し得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜の成長速度は、約0.1Å/サイクル~約5Å/サイクル、また0.2Å/サイクル~3Å/サイクル、または0.3Å/サイクル~2.0Å/サイクルであってもよい。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜の成長速度は、0.3Å/サイクルより大きい、または0.5Å/サイクルより大きい、または0.8Å/サイクルより大きい、または1.0Å/サイクルより大きい、または1.2Å/サイクルより大きい。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜の成長速度は、1.5Å/サイクル未満、または1.0Å/サイクル未満、または0.5Å/サイクル未満、または0.3Å/サイクル未満、または0.2Å/サイクル未満である。本明細書で引用された成長速度は、HfOxおよびLaOxサブサイクルの両方の結合数に基づく、すなわち、サイクルは、HfOxまたはLaOxサブサイクルを意味する。
【0100】
本明細書に開示される循環堆積プロセスによって堆積させた酸化ハフニウムランタン膜は、連続膜であってもよい。いくつかの実施形態において、酸化ハフニウムランタン膜は、100ナノメートル未満、または60ナノメートル未満、または50ナノメートル未満、または40ナノメートル未満、または30ナノメートル未満、または20ナノメートル未満、または10ナノメートル未満、または5ナノメートル未満、または2ナノメートル未満、または1ナノメートル未満、さらには0.5ナノメートル未満の厚さで連続的であり得る。本明細書で言及される連続性は、物理的連続性または電気的連続性であることができる。本開示のいくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜が物理的に連続的であってもよい厚さは、膜が電気的に連続的である厚さと同じでなくてもよく、その逆もまた同じである。
【0101】
本開示のいくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜は、例えば三次元、非平面の基材などの、高いアスペクト比特徴を含む基材上に形成され得る。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜は、10:1を超え、または20:1を超え、または30:1を超え、またはさらに50:1を超える1つ以上のトレンチ構造および/またはフィン構造を含む基材上に堆積されてもよい。酸化ハフニウムランタン膜が高いアスペク
ト比特徴を含む基材上に堆積されるこのような実施形態では、堆積膜のステップカバレッジは、およそ90%を超え、またはおよそ95%を超え、またはおよそ99%を超え、またはさらに100%に実質的に等しい場合がある。
【0102】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示の実施形態に従って堆積させた酸化ハフニウムランタン膜を1つ以上の堆積プロセスに供し、例えば、結晶性を改善するため、または膜を濃縮するために、膜の品質をさらに改善することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の方法は、酸化ハフニウムランタン膜を堆積後に熱アニールすることをさらに含み得る。例えば、酸化ハフニウムランタン膜は、800℃未満、または700℃未満、もしくは600℃未満、もしくは500℃未満、もしくは400℃未満、もしくはさらに300℃未満の温度で、または300℃~800℃、もしくは350℃~750℃、もしくは400℃~600℃の温度で熱アニールされ得る。
【0103】
本開示のいくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜の堆積後熱アニールを、制御された環境下で反応チャンバー内で実行され得る。例えば、酸化ハフニウムランタン膜の熱アニールは、例えば、希ガス(例えば、Ar、Heなど)または窒素などの不活性ガス雰囲気中で実施され得る。さらなる例において、酸化ハフニウムランタン膜の熱アニールは、例えばフォーミングガス(H2/N2)のような水素含有雰囲気で実行され得る。さらなる例において、酸化ハフニウムランタン膜の熱アニールは、例えば、分子状酸素(O2)、水(H2O)、オゾン(O3)、過酸化水素(H2O2)などの酸素含有雰囲気で実行され得る。
【0104】
本開示のいくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜を熱アニールすることは、酸化ハフニウムランタン膜を少なくとも部分的に結晶化させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、堆積後の酸化ハフニウムランタン膜を熱アニールすることは、主に斜方晶構造を含む酸化ハフニウムランタン膜を形成させ得る。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜を熱アニールすることは、実質的に単結晶酸化ハフニウムランタン膜を形成させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、実質的に単結晶酸化ハフニウムランタン膜は、主に斜方晶構造を含む。本開示のいくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜をアモルファス状態で堆積させ得、酸化ハフニウムランタン膜を熱アニールすることは、LaHfOx膜の制御された結晶化を提供し得る。
【0105】
図5は、様々な堆積温度およびランタン組成(原子%)を増加させた本開示の実施形態に従って堆積させた複数の例示的な酸化ハフニウムランタン膜の結晶化温度を示す例示的データを示す。
図5の検査は、例示的な酸化ハフニウムランタン膜の結晶化温度が、例示的な酸化ハフニウムランタン膜のランタン組成(原子%)の減少とともに低下することを明らかにしている。非限定的な例として、酸化ハフニウムランタン膜は、600℃未満の結晶化温度を有する1原子%以下のランタンの組成を含んでもよい。はである。さらなる非限定的な例として、酸化ハフニウムランタン膜は、およそ450℃未満の結晶化温度を有する1原子以下のランタンの組成を含んでもよい。
【0106】
図5の検査は、例示的な酸化ハフニウムランタン膜の結晶化温度が、酸化ハフニウムランタン膜の堆積温度の増加とともに低下することを明らかにしている。非限定的な例として、酸化ハフニウムランタン膜は、200°C未満の堆積温度で、かつ650℃未満、600℃未満、550℃未満、または550℃~650℃の温度で対応する結晶化温度で堆積された1原子%以下のランタンの組成を含んでもよい。さらなる非限定的な例として、酸化ハフニウムランタン膜は、300°C未満の堆積温度で、かつ550℃未満、または500℃未満、または450℃未満、または450℃~550℃の温度の対応する結晶化温度で堆積された1原子%以下の濃度のランタンを含んでもよい。
【0107】
図6は、様々な膜厚でランタン組成(原子%)が増加するいくつかの例示的な酸化ハフニウムランタンの結晶化温度を示す例示的なデータを示す。
図6の検査は、前述のように、酸化ハフニウムランタン膜中のランタン含有量が減少するにつれて、結晶化温度が概ね減少することが明らかになる。さらなる
図6の検査は、酸化ハフニウムランタン膜の厚さが増加するにつれて結晶化温度も低下することが明らかになる。例えば、いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜は、およそ540℃~680℃の対応する結晶化温度を有するおよそ1.5原子%~3原子%のランタン組成を有し得る。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜は、1.5原子%未満のランタン組成、3ナノメートル未満の膜厚、および650℃未満の結晶化温度を有し得る。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜は、1.5原子%未満のランタン組成、5ナノメートル未満の膜厚、および600℃未満の結晶化温度を有し得る。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜は、1.5原子%未満のランタン組成、7ナノメートル未満の膜厚、および560℃未満の結晶化温度を有し得る。いくつかの実施形態では、酸化ハフニウムランタン膜は、1.5原子%未満のランタン組成、10ナノメートル未満の膜厚、および550℃未満の結晶化温度を有し得る。
【0108】
上に記載した本開示の例示的実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその法的等価物により定義される、本発明の実施形態の単なる例であるため、これらの実施形態によって本発明の範囲は限定されない。いかなる同等の実施形態も、本発明の範囲内にあることを意図している。実際に、記載した要素の代替の有用な組み合わせなど、本明細書に示し記載したものに加えて、本開示の様々な改変が、説明から当業者に明らかとなってもよい。このような改変および実施形態もまた、添付の特許請求の範囲に入ると意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバー内で循環堆積プロセスにより基材上に酸化ハフニウムランタン膜を堆積させるための方法であって、
前記循環堆積プロセスの第1のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して、前記基材上に酸化ハフニウム膜を堆積させることであって、前記第1のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルが、
前記基材を、ハフニウム気相前駆体と接触させることと、
前記基材を、水(H2O)を含む第1の酸化剤前駆体と接触させることと、を含む、堆積させることと、
前記循環堆積プロセスの第2のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルを利用して、前記基材上に酸化ランタン膜を堆積させることであって、前記第2のサブサイクルの少なくとも1回の堆積サイクルが、
前記基材を、ランタン気相前駆体と接触させることと、
前記基材を、分子状酸素(O2)を含む第2の酸化剤前駆体と接触させることとを、含む、堆積させることと、を含み、
前記ランタン気相前駆体および前記ハフニウム気相前駆体は、それぞれジケトン酸化合物を含む、方法。
【請求項2】
前記酸化ハフニウムランタン膜は、前記酸化ハフニウムと前記酸化ランタンの識別可能な交互層を含むナノラミネート構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材上に前記酸化ハフニウム膜を堆積する前に、前記基材を100℃~400℃の温度に加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化ハフニウムランタン膜におけるランタン組成の均一性が、2原子%(1シグマ)未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、10原子%未満のランタン組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、0.5ナノメートル~20ナノメートルの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、1.5ナノメートル~10ナノメートルの厚さを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化ハフニウム膜が、3ナノメートル未満の厚さに堆積され、前記酸化ランタン膜が、3ナノメートル未満の厚さに堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アスペクト比が50:1以上の基板上に、前記酸化ハフニウムランタン膜を堆積する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記循環堆積プロセスが、実行される前記第2のサブサイクルの数に対する実行される前記第1のサブサイクルの数の比を変えることを含み、スーパーサイクル当たりの、前記実行される第1のサブサイクルに対する前記実行される第2のサブサイクルの比率が、0.2未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化ハフニウムランタン膜を800℃未満の温度で堆積させた後、前記酸化ハフニウムランタン膜を熱アニールすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化ハフニウムランタン膜を熱アニールすることが、前記酸化ハフニウムランタン膜を少なくとも部分的に結晶化させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記酸化ハフニウムランタン膜が、600℃未満の結晶化温度を有する1原子%以下のランタンの組成物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも部分的に結晶化された酸化ハフニウムランタン膜が、主に斜方晶結晶構造を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記循環堆積プロセスが、1つ以上の繰り返されるスーパーサイクルを含み、各スーパーサイクルが、前記基材上に前記酸化ハフニウム膜を堆積することと、前記基材上に前記酸化ランタン膜を堆積することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【外国語明細書】