(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159949
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/475 20060101AFI20241031BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20241031BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61F13/475 111
A61F13/475 112
A61F13/534 100
A61F13/56 110
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024148368
(22)【出願日】2024-08-30
(62)【分割の表示】P 2022527573の分割
【原出願日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2020094871
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 純子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼阪 翔士
(57)【要約】
【課題】吸収性物品の着用時のヨレを抑えて、排泄液の漏れを抑制する。
【解決手段】吸収体は、吸収性コアよりも肌側に配置された表面シートと、吸収体の幅方向の両端部に配置されたサイドシートと、吸収体の幅方向の両端部において、サイドシートに固定された長手方向に伸縮する一対の弾性部材と、を備え、吸収性コアに含まれる高吸収性ポリマーの質量を吸収性コアの質量で除した値は、吸収性コアに含まれるパルプ繊維の質量を吸収性コアの質量で除した値よりも大きく、サイドシートは、融着している繊維と、交絡している繊維と、接合材により接合されている繊維のうちの少なくとも1つを有し、かつ、吸収性コアよりも非肌側から、吸収性コアの幅方向の両端縁を覆って、表面シートの肌側面における幅方向の両端部上に位置するように、幅方向の内側に折り返されている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
吸収性コアを備える吸収体を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、
前記吸収性コアよりも肌側に配置された表面シートと、
前記吸収体の前記幅方向の両端部に配置されたサイドシートと、
前記吸収体の前記幅方向の両端部において、前記サイドシートに固定された前記長手方向に伸縮する一対の弾性部材と、を備え、
前記吸収性コアに含まれる高吸収性ポリマーの質量を前記吸収性コアの質量で除した値は、前記吸収性コアに含まれるパルプ繊維の質量を前記吸収性コアの質量で除した値よりも大きく、
前記サイドシートは、
融着している繊維と、交絡している繊維と、接合材により接合されている繊維のうちの少なくとも1つを有し、
かつ、前記吸収性コアよりも非肌側から、前記吸収性コアの前記幅方向の両端縁を覆って、前記表面シートの肌側面における前記幅方向の両端部上に位置するように、前記幅方向の内側に折り返されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
吸収性コアを備える吸収体を有する吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、高吸収性ポリマーを備え、
前記吸収性物品の非肌側面に粘着部が設けられており、
前記吸収体は、
前記吸収体の前記幅方向の両端部に配置されたサイドシートと、
前記吸収体の前記幅方向の両端部において、前記サイドシートに固定された前記長手方向に伸縮する一対の弾性部材と、を備え、
前記サイドシートは、融着している繊維と、交絡している繊維と、接合材により接合されている繊維のうちの少なくとも1つを有し、
前記サイドシートの前記長手方向の両端部は、一対の固定部にて前記吸収性物品の何れかの部位に固定されており、
前記長手方向における前記一対の固定部間の前記サイドシートの部位は、前記弾性部材の収縮により肌側に起立可能であり、
前記厚さ方向に前記吸収性物品を平面視したとき、前記固定部は、前記粘着部と重なる部分を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記吸収体の前記幅方向の両端部には、不織布が配置され、前記吸収性コアが配置されていないことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収性物品であって、
前記吸収体の前記幅方向の両端部において前記吸収性コアが配置されていない部分では、不織布同士が接合されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性物品であって、
前記幅方向における前記吸収体の両端部であり、前記不織布同士が接合されている部分に、前記弾性部材が配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記厚さ方向において前記吸収性コアよりも非肌側に配置された第2吸収性コアを有することを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排泄液の横漏れを防止するために、吸収要素の裏面側にあって、吸収要素の両側縁より幅方向外方に延在し、使用面側に起立するギャザーフラップが設けられた生理用ナプキンが開示されている。この生理用ナプキンでは、ギャザーフラップの起立により、吸収要素の幅方向の両側部も立ち上がる。そのため、吸収要素の両側部が着用者の身体にフィットし、横漏れを防止しつつ、吸収要素の吸収性も高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の生理用ナプキンや軽失禁用パッド等の吸収性物品は、一般に、下着に貼付されて使用される。そのため、下着に固定された吸収性物品の部分に対して、下着に固定されていない吸収性物品の部分が着用者の身体の動きに追従して動き、ヨレてしまう(変形してしまう)という問題が生じていた。吸収性物品がヨレてしまうと、吸収性物品の吸収面が小さくなる等して、排泄液が漏れやすくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであって、吸収性物品の着用時のヨレを抑えて、排泄液の漏れを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、第1吸収性コアを備える第1吸収体と、第2吸収性コアを備え、前記厚さ方向において前記第1吸収体よりも非肌側に配置された第2吸収体と、を有し、前記第2吸収体の非肌側面に粘着部が設けられた吸収性物品であって、少なくとも前記長手方向の所定位置において、前記幅方向の中央部に設けられ、前記第1吸収体と前記第2吸収体とが接合されている接合部と、前記幅方向の両端部に設けられ、前記第1吸収体と前記第2吸収体とが離間している一対の離間部と、を有することを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸収性物品の着用時のヨレを抑えて、排泄液の漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】伸長状態である軽失禁パッド1を肌側から見た平面図である。
【
図2】伸長状態であるパッド1を非肌側から見た平面図である。
【
図3】
図1のII線でのパッド1の概略断面図である。
【
図5】接合部50とずれ止め部30を厚さ方向に重ねて示した図である。
【
図6】展開状態であるパッド1の個包装体70を説明する図である。
【
図7】パッド1の幅方向の端部を説明する概略断面図である。
【
図8】起立する第1吸収体10の離間部60を示すパッド1の概略断面図である。
【
図9】第1吸収性コア11と第1圧搾部41の配置を説明する図である。
【
図11】第3実施形態のパッド90の長手方向端部の概略断面図である。
【
図12】ずれ止め部30と固定部91の配置を示すパッド90の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、第1吸収性コアを備える第1吸収体と、第2吸収性コアを備え、前記厚さ方向において前記第1吸収体よりも非肌側に配置された第2吸収体と、を有し、前記第2吸収体の非肌側面に粘着部が設けられた吸収性物品であって、少なくとも前記長手方向の所定位置において、前記幅方向の中央部に設けられ、前記第1吸収体と前記第2吸収体とが接合されている接合部と、前記幅方向の両端部に設けられ、前記第1吸収体と前記第2吸収体とが離間している一対の離間部と、を有することを特徴とする吸収性物品である。
【0010】
このような吸収性物品によれば、下着に固定されている第2吸収体に対して、第1吸収体の離間部が着用者の脚の動きに合わせて自由に動くことができ、吸収性物品がヨレ難くなる。その結果、吸収性物品の吸収面の大きさを確保でき、排泄液の漏れを抑制できる。
【0011】
かかる吸収性物品であって、前記粘着部の少なくとも一部は、前記幅方向において、前記離間部の内側端よりも外側に配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【0012】
このような吸収性物品によれば、第2吸収体の離間部が下着の復元力によって元の位置に戻りやすくなる。よって、第2吸収体は幅方向に広がった状態が維持されやすく、ヨレ難くなる。
【0013】
かかる吸収性物品であって、前記厚さ方向に前記吸収性物品を平面視したとき、前記粘着部は、前記離間部と重なる部分を有することを特徴とする吸収性物品。
【0014】
このような吸収性物品によれば、第2吸収体の離間部が下着の復元力によって元の位置に戻りやすくなる。よって、第2吸収体は幅方向に広がった状態が維持されやすく、ヨレ難くなる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、前記粘着部は、前記長手方向の中央部において、前記幅方向の長さが所定長さである幅狭部を有し、前記長手方向の両端部において、前記幅狭部よりも前記幅方向の長さが長く、かつ、前記幅狭部における前記幅方向の外側端よりも前記幅方向の外側に延出した部分を備える一対の幅広部を有することを特徴とする吸収性物品。
【0016】
このような吸収性物品によれば、着用者の股下部に当接する吸収性物品の長手方向の中央部では、下着の縁近傍まで吸収性物品が固定されないため、着用者が脚を閉じやすくなる。一方、吸収性物品の長手方向の両端部では、幅方向に広く第2吸収体が下着に固定されるため、第2吸収体は幅方向に広がった状態が維持されやすく、ヨレ難くなる。
【0017】
かかる吸収性物品であって、前記幅方向における前記第1吸収体の両端部には、前記長手方向に伸縮する一対の弾性部材が配置されており、前記弾性部材の伸縮部における前記長手方向の一方側の端は、前記長手方向の前記一方側の前記幅広部における前記長手方向の中央側の端よりも、前記長手方向の外側に位置し、前記弾性部材の伸縮部における前記長手方向の他方側の端は、前記長手方向の前記他方側の前記幅広部における前記長手方向の中央側の端よりも、前記長手方向の外側に位置していることを特徴とする吸収性物品。
【0018】
このような吸収性物品によれば、弾性部材により第1吸収体の幅方向の両端部の剛性が高まり、第1吸収体が型崩れし難く、ヨレ難くなる。また、吸収性物品の長手方向の中央部では、両端部に比べると、幅方向に広がった状態が維持され難くなるが、長手方向の長い範囲に亘り、弾性部材が配置され、第1吸収体の離間部が起立でき、排泄液の漏れを抑制できる。
【0019】
かかる吸収性物品であって、前記幅方向に沿う包装時の折り部を有し、前記長手方向において、前記一対の幅広部の間に、前記折り部が設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【0020】
このような吸収性物品によれば、粘着部の幅広部に折り癖が付かないため、第2吸収体の長手方向の両端部は、幅広部によって下着にしっかりと固定される。よって、第2吸収体は、幅方向に広がった状態が維持されやすく、ヨレ難くなる。
【0021】
かかる吸収性物品であって、前記第1吸収性コアの方が、前記第2吸収性コアに比べて、パルプ繊維の坪量が低いことを特徴とする吸収性物品。
【0022】
このような吸収性物品によれば、第1吸収性コアの厚みが薄くなるため、第1吸収体がヨレ難くなる。
【0023】
かかる吸収性物品であって、前記第1吸収性コアは、前記パルプ繊維を有さず、高吸収性ポリマーを有することを特徴とする吸収性物品。
【0024】
このような吸収性物品によれば、第1吸収性コアの厚みが薄くなるため、第1吸収体がヨレ難くなる。
【0025】
かかる吸収性物品であって、前記第1吸収体は、熱融着性繊維を有し、セルロース系繊維を有さないことを特徴とする吸収性物品。
【0026】
このような吸収性物品によれば、排泄後も第1吸収体が型崩れし難く、ヨレ難くなる。
【0027】
かかる吸収性物品であって、前記第1吸収体の前記幅方向の両端部には、不織布が配置され、前記第1吸収性コアが配置されていないことを特徴とする吸収性物品。
【0028】
このような吸収性物品によれば、排泄後も、第1吸収体の幅方向の両端部が吸収性コアによって膨潤しないため、第1吸収体が型崩れし難く、ヨレ難くなる。また、着用者が脚を閉じる際の当たりが柔らかくなる。
【0029】
かかる吸収性物品であって、前記第1吸収体の前記幅方向の両端部において前記第1吸収性コアが配置されていない部分では、不織布同士が接合されていることを特徴とする吸収性物品。
【0030】
このような吸収性物品によれば、不織布同士の接合によって、第1吸収体の幅方向の両端部の剛性が高まるため、第1吸収体が型崩れし難く、ヨレ難くなる。
【0031】
かかる吸収性物品であって、前記幅方向における前記第1吸収体の両端部であり、前記不織布同士が接合されている部分には、前記長手方向に伸縮する一対の弾性部材が配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【0032】
このような吸収性物品によれば、弾性部材によって、第1吸収体の幅方向の両端部の剛性が高まるため、第1吸収体が型崩れし難く、ヨレ難くなる。
【0033】
かかる吸収性物品であって、前記第1吸収体の前記一対の離間部の前記長手方向の少なくとも一部には、前記長手方向に伸縮する一対の弾性部材が配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【0034】
このような吸収性物品によれば、弾性部材によって第1吸収体の離間部の起立性が向上する。よって、排泄液の横漏れを抑制できる。また、起立した離間部の斜面によって、排泄液を幅方向の中央部に集めることができる。
【0035】
かかる吸収性物品であって、前記離間部の最も肌側面は、疎水性部分を有することを特徴とする吸収性物品。
【0036】
このような吸収性物品によれば、起立した第1吸収体の離間部に排泄液が吸収され難く、起立した離間部の斜面を排泄液が流れやすくなり、排泄液が幅方向の中央部に集まりやすくなる。
【0037】
かかる吸収性物品であって、前記接合部は、前記長手方向の中央部において、前記幅方向にある長さを有する第2幅狭部を有し、前記長手方向の両端部において、前記第2幅狭部よりも前記幅方向の長さが長い一対の第2幅広部を有し、前記長手方向において、前記第2幅広部は、前記弾性部材の伸縮部よりも外側に配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【0038】
このような吸収性物品によれば、吸収性物品の長手方向の中央部の離間部の起立が、接合部の幅広部(第2幅広部)によって阻害されてしまうことを抑制できる。よって、着用者の股下部が当接し、排泄液が排泄される吸収性物品の長手方向の中央部において、第1吸収体の離間部が起立しやすくなり、排泄液の漏れを抑制できる。
【0039】
かかる吸収性物品であって、前記厚さ方向に前記吸収性物品を平面視したとき、前記第2幅広部の前記幅方向の端部と重なる前記第2吸収体の部位には、前記第2吸収性コアが配置されていないことを特徴とする吸収性物品。
【0040】
このような吸収性物品によれば、第1吸収体と幅広に接合される第2吸収体の幅方向の端部の剛性が低くなり、その第2吸収体の部位は、弾性部材の長手方向に収縮により撓むことができる。よって、第1吸収体の離間部の起立が第2吸収体によって阻害されてしまうことを抑制でき、排泄液の漏れを抑制できる。
【0041】
かかる吸収性物品であって、前記離間部の前記幅方向の端部では、前記第1吸収性コアが配置されておらず、疎水性の不織布同士が接合されていることを特徴とする吸収性物品。
【0042】
このような吸収性物品によれば、離間部の幅方向の端部まで第1吸収性コアが配置されている場合に比べて、離間部が起立しやすくなる。また、排泄後も離間部が膨潤することなく起立した形状が維持されやすく、排泄液の漏れを抑制できる。また、疎水性の不織布同士が接合されることで、離間部の疎水性が向上し、排泄液が幅方向の中央部に集まりやすくなる。
【0043】
かかる吸収性物品であって、前記幅方向に沿う包装時の折り部を有し、前記厚さ方向に前記吸収性物品を平面視したとき、前記弾性部材の伸縮部と、前記折り部とが重なることを特徴とする吸収性物品。
【0044】
このような吸収性物品によれば、折り部の折り癖によって立ち上がる吸収性物品の長手方向の両端部まで弾性部材が長手方向に延びていることで、弾性部材は収縮しやすくなり、第1吸収体の離間部の起立性が向上し、排泄液の漏れを抑制できる。
【0045】
かかる吸収性物品であって、前記厚さ方向における前記吸収性物品の少なくとも一部が前記厚さ方向に凹んだ溝部であって、前記長手方向に長さを有する溝部が、前記離間部よりも前記幅方向の内側に設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【0046】
このような吸収性物品によれば、幅方向の中央部に排泄された排泄液を、溝部に沿って長手方向に拡散できる。そのため、吸収性物品から排泄液が溢れて漏れてしまうことを抑制できる。
【0047】
かかる吸収性物品であって、前記溝部は、前記吸収性物品の肌側面から前記吸収性物品が前記厚さ方向に凹んだ部位であり、前記溝部の肌側面は、非疎水性であることを特徴とする吸収性物品。
【0048】
このような吸収性物品によれば、溝部に流れた排泄液は、長手方向に拡散されつつ、吸収性物品の内部に吸収される。よって、排泄液が吸収性物品から溢れて漏れてしまうことを抑制できる。
【0049】
かかる吸収性物品であって、前記溝部は、前記厚さ方向において、前記第1吸収体から前記第2吸収体に亘って設けられた圧搾部であることを特徴とする吸収性物品。
【0050】
このような吸収性物品によれば、排泄液が圧搾部によって第1吸収体から第2吸収体に移行しやすくなる。よって、第1吸収体が排泄液を吸収しきれずに、排泄液が吸収性物品から溢れて漏れてしまうことを抑制できる。
【0051】
かかる吸収性物品であって、前記溝部は、前記第1吸収性コアに設けられており、前記第1吸収性コアは、高吸収性ポリマーを有し、前記第1吸収性コアにおいて、前記溝部の方が、前記溝部の隣接部に比べて、前記高吸収性ポリマーの坪量が低いことを特徴とする吸収性物品。
【0052】
このような吸収性物品によれば、第1吸収性コアの溝部から第2吸収体に排泄液が移行しやすくなる。よって、第1吸収体が排泄液を吸収しきれずに、排泄液が吸収性物品から溢れて漏れてしまうことを抑制できる。
【0053】
かかる吸収性物品であって、前記第2吸収体の方が、前記第1吸収体に比べて、排泄液の最大吸収量が大きいことを特徴とする吸収性物品。
【0054】
このような吸収性物品によれば、第1吸収体から第2吸収体に移行した排泄液が第2吸収体で吸収、保持され、第1吸収体への排泄液の戻りを抑制できる。よって、第1吸収体が排泄液を吸収しきれずに、吸収性物品から排泄液が溢れて漏れてしまうことを抑制できる。
【0055】
かかる吸収性物品であって、前記第2吸収性コアは、パルプ繊維、及び、高吸収性ポリマーを有することを特徴とする吸収性物品。
【0056】
このような吸収性物品によれば、パルプ繊維によって排泄液が第2吸収体に引き込まれやすくなり、吸収性物品から排泄液が溢れて漏れてしまうことを抑制できる。また、高吸収性ポリマーによって、第2吸収体に移行した排泄液を吸収し保持でき、第1吸収体への排泄液の戻りを抑制できる。
【0057】
かかる吸収性物品であって、前記第2吸収性コアは、パルプ繊維を有し、高吸収性ポリマーを有さないことを特徴とする吸収性物品。
【0058】
このような吸収性物品によれば、パルプ繊維によって排泄液が第2吸収体に引き込まれやすくなり、吸収性物品から排泄液が溢れて漏れてしまうことを抑制できる。また、高吸収性ポリマーがないことで、排泄液が第2吸収性コアの平面方向に拡散されやすくなる。
【0059】
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、吸収性コアを備える吸収体を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、前記吸収性コアよりも肌側に配置された表面シートと、前記吸収体の前記幅方向の両端部に配置されたサイドシートと、前記吸収体の前記幅方向の両端部において、前記サイドシートに固定された前記長手方向に伸縮する一対の弾性部材と、を備え、前記吸収性コアに含まれる高吸収性ポリマーの質量を前記吸収性コアの質量で除した値は、前記吸収性コアに含まれるパルプ繊維の質量を前記吸収性コアの質量で除した値よりも大きく、前記サイドシートは、融着している繊維と、交絡している繊維と、接合材により接合されている繊維のうちの少なくとも1つを有し、かつ、前記吸収性コアよりも非肌側から、前記吸収性コアの前記幅方向の両端縁を覆って、前記表面シートの肌側面における前記幅方向の両端部上に位置するように、前記幅方向の内側に折り返されていることを特徴とする吸収性物品。
【0060】
このような吸収性物品によれば、パルプ繊維の質量比率が低いため、吸収体が型崩れし難くヨレ難い。一方、高吸収性ポリマーの質量比率が高いため、吸収速度が速く、漏れ難い。また、継ぎ目のないサイドシートによって吸収性コアの幅方向の両端縁が覆われるため、排泄液が滲み出し難い。また、弾性部材によって吸収体の幅方向の両端部が肌側に起立しやすく、横漏れを抑制できる。また、サイドシートを構成する繊維が融着点を有する等してほぐれにくいため、着用者の動きによって吸収体に力が掛かったり、吸収性コアが排泄液を吸収したりしても、サイドシートによって吸収体の形状が維持されやすく、ヨレ難く、吸収体の幅方向の両端部の起立が維持されやすい。
【0061】
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、吸収性コアを備える吸収体を有する吸収性物品であって、前記吸収性コアは、高吸収性ポリマーを備え、前記吸収性物品の非肌側面に粘着部が設けられており、前記吸収体は、前記吸収体の前記幅方向の両端部に配置されたサイドシートと、前記吸収体の前記幅方向の両端部において、前記サイドシートに固定された前記長手方向に伸縮する一対の弾性部材と、を備え、前記サイドシートは、融着している繊維と、交絡している繊維と、接合材により接合されている繊維のうちの少なくとも1つを有し、前記サイドシートの前記長手方向の両端部は、一対の固定部にて前記吸収性物品の何れかの部位に固定されており、前記長手方向における前記一対の固定部間の前記サイドシートの部位は、前記弾性部材の収縮により肌側に起立可能であり、前記厚さ方向に前記吸収性物品を平面視したとき、前記固定部は、前記粘着部と重なる部分を有することを特徴とする吸収性物品。
【0062】
このような吸収性物品によれば、高吸収性ポリマーによって、吸収速度が速く、漏れ難い。また、弾性部材によってサイドシートが肌側に起立するため、横漏れを抑制できる。また、長手方向におけるサイドシートの起立起点となる部位が粘着部によって下着に固定されるため、サイドシートの起立が安定する。一方、粘着部は固定部と重なる位置に設けられ、幅方向の外側に位置することになるため、下着の復元力によって、吸収性物品の幅広な形状が維持されやすい。また、サイドシートを構成する繊維が融着点を有する等してほぐれにくいため、着用者の動きによって吸収体に力が掛かったり、吸収性コアが排泄液を吸収したりしても、サイドシートによって吸収体の形状が維持されやすく、ヨレ難く、サイドシートの起立が維持されやすい。
【0063】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体の前記幅方向の両端部には、不織布が配置され、前記吸収性コアが配置されていないことを特徴とする吸収性物品。
【0064】
このような吸収性物品によれば、排泄後も、吸収体の幅方向の両端部が吸収性コアによって膨潤しないため、吸収体が型崩れし難く、ヨレ難くなる。また、着用者が脚を閉じる際の当たりが柔らかくなる。
【0065】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体の前記幅方向の両端部において前記吸収性コアが配置されていない部分では、不織布同士が接合されていることを特徴とする吸収性物品。
【0066】
このような吸収性物品によれば、不織布同士の接合によって、吸収体の幅方向の両端部の剛性が高まるため、吸収体が型崩れし難く、ヨレ難くなる。
【0067】
かかる吸収性物品であって、前記幅方向における前記吸収体の両端部であり、前記不織布同士が接合されている部分に、前記弾性部材が配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【0068】
このような吸収性物品によれば、弾性部材によって、吸収体の幅方向の両端部の剛性が高まるため、吸収体が型崩れし難く、ヨレ難くなる。
【0069】
かかる吸収性物品であって、前記厚さ方向において前記吸収性コアよりも非肌側に配置された第2吸収性コアを有することを特徴とする吸収性物品。
【0070】
このような吸収性物品によれば、吸収性能が高まり、排泄液の液戻り(リウェット)を抑制できる。
【0071】
以下、本実施形態に係る吸収性物品の一例として、軽失禁パッドを例に挙げて説明する。ただし、吸収性物品は軽失禁パッドに限定されず、他の吸収性物品として、例えば、生理用ナプキンやパンティライナ等が挙げられる。
【0072】
===第1実施形態===
===軽失禁パッド1の基本構成===
図1は、伸長状態である軽失禁パッド1(以下「パッド」とも呼ぶ)を肌側から見た平面図である。
図2は、伸長状態であるパッド1を非肌側から見た平面図である。
図3は、
図1のII線でのパッド1の概略断面図である。なお、パッド1の伸長状態とは、パッド1を皺なく伸長させた状態である。具体的には、パッド1を構成する各資材の寸法が、パッド1が有する弾性部材の影響を受けない状態で、その資材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまで、パッド1を伸長させた状態である。
【0073】
パッド1は、長手方向と幅方向と厚さ方向を有する。厚さ方向において着用者の肌に当接する側が肌側であり、その反対側が非肌側である。本実施形態のパッド1は長手方向に対称な構成となっている。そのため、パッド1の長手方向の一方側が着用者の腹側となってもよいし、着用者の背側となってもよい。
【0074】
また、パッド1は、
図3に示すように、第1吸収性コア11を備える第1吸収体10と、第2吸収性コア21を備え、厚さ方向において第1吸収体10よりも非肌側に配置された第2吸収体20と、を有する。
【0075】
第1吸収体10は、第1吸収性コア11と、第1吸収性コア11の肌側面を覆う第1肌側コアラップ12と、第1吸収性コア11の非肌側面を覆う第1非肌側コアラップ13と、第1肌側コアラップ12よりも肌側に配置された表面シート14と、表面シート14と第1肌側コアラップ12の間に配置された中間シート15と、第1吸収体10の幅方向の両端部に配置された一対の第1サイドシート16と、を有する。各資材はホットメルト等の接着剤A1~A7で接合されている。
【0076】
表面シート14、及び中間シート15は、液透過性のシートとする。液透過性のシートには、不織布(例えばエアスルー不織布やスパンボンド不織布等)や、貫通孔を有する合成樹脂フィルム等を採用できる。
【0077】
第1吸収性コア11は、高吸収性ポリマー(以下「SAP」とも呼ぶ)である。第1肌側コアラップ12及び第1非肌側コアラップ13は、液透過性のシートであり、不織布等を採用できる。以下の説明では、第1吸収性コア11と、第1肌側コアラップ12と、第1非肌側コアラップ13を合わせて、第1コア部11~13とも呼ぶ。
【0078】
第1肌側コアラップ12の幅方向の両端部は、第1吸収性コア11及び第1非肌側コアラップ13の幅方向の両端縁を巻き込むようにして、第1非肌側コアラップ13の非肌側面上の一部に折り返されている。その第1肌側コアラップ12の折返し部と、第1非肌側コアラップ13との間には、香料17が配置されている。香料17によって、排泄液の臭いをマスキングしたり、パッド1を使用することへの着用者の不安な気持ちや憂鬱さを緩和したりすることができる。
【0079】
第1サイドシート16は、液不透過性のシートであり、本実施形態では、疎水性繊維を含む不織布(例えばエアスルー不織布やスパンボンド不織布)である。第1サイドシート16の一端部は、接着剤A6にて、第1コア部11~13の非肌側面における幅方向の両端部に固定されている(具体的には第1肌側コアラップ12の折返し部に固定されている)。その固定部分から、第1サイドシート16は、第1コア部11~13と表面シート14と中間シート15の幅方向の両端縁を巻き込むようにして、表面シート14の肌側面側に向かって折り返されている。そして、第1サイドシート16の他端部は、接着剤A7にて、表面シート14の肌側面における幅方向の両端部に固定されている。
【0080】
また、第1サイドシート16の幅方向の端縁には、長手方向に伸縮する1本の糸ゴム18(弾性部材)が配置されている。つまり、糸ゴム18は長手方向に伸長した状態で第1サイドシート16に固定されている。なお、糸ゴム18(糸状の弾性部材)の代わりに、伸縮性フィルム等のシート状の弾性部材を配置してもよい。また、糸ゴム18の数は1本に限らず複数本であってもよい。また、図面では、糸ゴム18のうち、伸縮性が発現される伸縮部(
図2の18a~18b)のみを示す。
【0081】
第2吸収体20は、第2吸収性コア21と、第2吸収性コア21の肌側面を覆う第2肌側コアラップ22と、第2吸収性コア21の非肌側面を覆う第2非肌側コアラップ23と、第2非肌側コアラップ23よりも非肌側に配置されたバックシート24と、第2肌側コアラップ22の肌側面における幅方向の両端部から幅方向の外側に延出した一対の第2サイドシート25と、を有する。各資材はホットメルト等の接着剤A8~A11で接合されている。
【0082】
第2吸収性コア21は、パルプ繊維やセルロース系吸収性繊維等の液体吸収性繊維が所定の形状に成形されたものである。液体吸収性繊維に、高吸収性ポリマー(SAP)が加えられていてもよいし、加えられていなくてもよいとする。第2肌側コアラップ22及び第2非肌側コアラップ23は、液透過性のシートであり、例えば、ティッシュや不織布等を採用できる。第2肌側コアラップ22の幅方向の両端部は、第2吸収性コア21を巻き込むように、第2吸収性コア21の非肌側面における幅方向の両端部の位置に折り返されている。第2非肌側コアラップ23は、第2肌側コアラップ22の折返し部よりも非肌側から、第2吸収性コア21の非肌側面を覆うように配置されている。以下の説明では、第2吸収性コア21と、第2肌側コアラップ22と、第2非肌側コアラップ23を合わせて第2コア部21~23とも呼ぶ。
【0083】
バックシート24は、液不透過性のシートとする。液不透過性のシートには、ポリエチレン(PE)やポリポロピレン(PP)等の合成樹脂フィルムや、合成樹脂フィルム及び不織布の複合シート等を採用できる。第2サイドシート25は、第1サイドシート16と同様に、液不透過性シートであり、疎水性繊維を含む不織布等を採用できる。バックシート24及び第2サイドシート25は、第1吸収体10及び第2コア部21~23よりも幅方向の外側に延出しており、第2コア部21~23から延出した部分において互いに接合されている。
【0084】
第1吸収体10及び第2吸収体20は、第2サイドシート25の肌側面に配置された接着剤A12と、厚さ方向において第2サイドシート25と第2コア部21~23の間に配置された接着剤A8にて接合されている。具体的には、第1サイドシート16と第2サイドシート25が接着剤A12にて接合されている。また、幅方向に間隔をあけて配置された一対の第2サイドシート25の間では、第1コア部11~13と第2コア部21~23が接着剤A8にて接合されている。
【0085】
また、
図1に示すように、第1コア部11~13の平面形状は長方形状である。第2コア部21~23の平面形状は、長手方向の両端部が幅方向の外側に凸に湾曲した略長方形状である。第1コア部11~13は、第2コア部21~23に比べて、幅方向の長さが若干長く、長手方向の長さが短くなっている。
【0086】
第2吸収体20の非肌側面(つまりバックシート24の非肌側面)には、ホットメルト接着剤が塗布される等したずれ止め部30(粘着部)が設けられている。ずれ止め部30は、着用者の下着の肌側面に貼付され、パッド1は下着に固定された状態で使用される。
図2に示すように、ずれ止め部30は、幅方向に間隔をあけて配置された一対の中央粘着部31と、中央粘着部31よりも幅方向の外側に配置された4個のサイド粘着部32と、を有する。
【0087】
中央粘着部31は、長手方向に長辺を有する長方形状であり、パッド1の長手方向の一端部から他端部に亘り長手方向に連続して配置されている。サイド粘着部32は、長手方向に長辺を有する長方形状であり、中央粘着部31に比べて長手方向の長さが短い。4個のサイド粘着部32のうち2個のサイド粘着部32は、パッド1の長手方向の一端部に配置され、別の2個のサイド粘着部32は、パッド1の長手方向の他端部に配置されている。換言すると、中央粘着部31の幅方向の外側では、一対のサイド粘着部32が長手方向に間隔をあけて配置されている。
【0088】
パッド1は、パッド1が厚さ方向に凹んだ圧搾部40を有する。本実施形態の圧搾部40は、厚さ方向において第1吸収体10の表面シート14から第2コア部21~23にかけて肌側から圧搾されている。
【0089】
圧搾部40では、周囲に比べてパッド1の厚さが薄く、パッド1の繊維密度が高くなっている。これらの比較は周知の方法で行うとよい。パッド1の厚さの比較としては、目視で比較する方法や、ミツトヨ(株)製のダイアルシックネスゲージID-C1012C又はそれと同等のものを使用し、対象部位を例えば3.0gf/cm2で加圧して測定した値を取得して比較する方法を例示できる。パッド1の密度の比較としては、パッド1を厚さ方向に切った断面を電子顕微鏡等で拡大した画像に基づき比較する方法を例示できる。
【0090】
圧搾部40は、長手方向に延び、かつ、幅方向に間隔をあけて配置された一対の第1圧搾部41と、一対の第1圧搾部41の間において幅方向に延び、かつ、長手方向に間隔をあけて配置された一対の第2圧搾部42と、を有する。第1圧搾部41は、パッド1の長手方向の中央部において(つまり着用者の股下部に当接する領域において)、幅方向の内側に凸に湾曲した形状を成す。第2圧搾部42は、長手方向の外側に凸に湾曲した形状を成す。ただし、
図1に例示する圧搾部40の形状や数や配置位置は一例であり、これに限定されるものではない。また、長手方向や幅方向に延びた線状の圧搾部40(41,42)は、各方向に連続してパッド1が凹んだ溝状の圧搾部であってもよいし、複数の点状の圧搾部が線状に並んだ圧搾部であってもよい。
【0091】
以上、パッド1の基本構成を説明したが、上記のパッド1の構成は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、パッド1の平面形状が長手方向に非対称な形状であってもよいし、パッド1が中間シート15や香料17を有していなくてもよい。また、第1吸収性コア11や第2吸収性コア21がそれぞれ1枚のコアラップで包まれていてもよい。
【0092】
===パッド1のヨレ抑制について===
図4は、接合部50及び離間部60の説明図である。
図5は、接合部50とずれ止め部30を厚さ方向に重ねて示した図である。
図5では、接合部50の輪郭線を太線で示す。
図6は、展開状態であるパッド1の個包装体70を説明する図である。
図7は、パッド1の幅方向の端部を説明する概略断面図である。
図8は、起立する第1吸収体10の離間部60を示すパッド1の概略断面図である。
【0093】
パッド1は、第1吸収体10と第2吸収体20を有するが、第1吸収体10の幅方向の両端部は第2吸収体20に接合されていない。つまり、パッド1は、幅方向の中央部において、第1吸収体10と第2吸収体20とが接合されている接合部50を有し、幅方向の両端部において、第1吸収体10と第2吸収体20とが離間している一対の離間部60を有する。
【0094】
具体的には、
図3に示すように、第1吸収体10と第2吸収体20は、第1サイドシート16と第2サイドシート25の間の接着剤A12と、第1コア部11~13と第2コア部21~23の間の接着剤A8とで接合されている。そのため、
図4に示すように、接着剤A12の幅方向における外側端よりも内側の領域を接合部50とする。接合部50では、その全域に接着剤が配置されるに限らず、接着剤の塗布パターンに応じて間欠的に接着剤が配置されていてもよい。
【0095】
また、第1吸収体10は第2吸収体20に比べて、幅方向の長さが短い。そのため、厚さ方向において第1吸収体10と第2吸収体20が重なる領域のうち、接合部50以外の領域を離間部60とする。
【0096】
本実施形態のパッド1のように、ずれ止め部30によって下着に貼付されて使用される吸収性物品では、着用者の身体の動きと下着の動きのずれにより、吸収性物品がヨレやすい(ねじれたり、折れ曲がったりする)という問題がある。つまり、下着に固定されている吸収性物品の部分に対して、下着に固定されていない吸収性物品の部分が着用者の身体の動きに追従して動きヨレてしまう。特に厚みのある吸収性コアの部分がヨレやすい。
【0097】
しかし、本実施形態のパッド1では、幅方向の両端部において、一対の離間部60が設けられており、第1吸収体10と第2吸収体20とが離間している。そのため、下着に固定される第2吸収体20に対して、第1吸収体10の幅方向の両端部は自由に動くことができる。そのため、第1吸収体10の幅方向の両端部は、着用者の脚の開閉動作や前後動作に追従して動くことができ、パッド1がヨレ難くなる。つまり、肌側の第1吸収体10は着用者の動きに追従し、非肌側の第2吸収体20は下着の動きに追従しても、第1吸収体10と第2吸収体20の一部が分離していることで互いの動きが制限されず、パッド1がヨレ難くなる。このようにパッド1の着用時のヨレを抑えることで、パッドの吸収面の大きさを確保でき、排泄液の漏れを抑制できる。また、パッド1のフィット性や着け心地も向上する。
【0098】
パッド1の接合部50及び離間部60は、少なくとも長手方向の所定の位置において、幅方向に並んで設けられていればよい。ただし、本実施形態のパッド1のように(
図4)、離間部60が長手方向に長く延びていることで、第1吸収体10の幅方向の両端部が長手方向の広い範囲に亘り自由に動くことができ、パッド1がよりヨレ難くなる。
【0099】
また、パッド1において着用者の股下部に当接する部分が、着用者の脚の動きの影響を受けやすく、ヨレやすい。そのため、パッド1の長手方向において、着用者の股下部に当接するパッド1の部分に離間部60が設けられているとよい。本実施形態のように長手方向に対称なパッド1の場合、パッド1の長手方向の中央1C(パッド1の1/2の長さの位置)を含む部分が、着用者の股下部に当接すると想定されるため、その部分に離間部60が設けられているとよい。また、前側に排泄される排泄液を多く吸収するように前側に長く延び、パッド1の長手方向の中央1Cよりも後側に偏った部分に着用者の股下部が当接すると想定される場合、その部分に離間部60が設けられているとよい。逆に、後ろ漏れが抑制されるように後側に長く延び、パッド1の長手方向の中央1Cよりも前側に偏った部分に着用者の股下部が当接すると想定される場合、その部分に離間部60が設けられているとよい。
【0100】
また、本実施形態のパッド1の接合部50は、
図4に示すように、長手方向の中央部において、幅方向にある長さW3を有する幅狭部501(第2幅狭部)を有し、長手方向の両端部において、幅狭部501よりも幅方向の長さW4が長い一対の幅広部502(第2幅広部)を有する。
【0101】
そのため、着用者の股下部が当接し、着用者の脚の動きの影響を受けやすいパッド1の長手方向の中央部では、離間部60の幅が長くなる。よって、パッド1の長手方向の中央部では、第1吸収体10の幅方向の両端部が着用者の脚の動きに追従して動きやすくなり、パッド1がよりヨレ難くなる。一方、パッド1の長手方向の両端部では、第1吸収体10と第2吸収体20がしっかりと接合されるため、着用中に第1吸収体10と第2吸収体20が分離してしまうことを防止できる。また、パッド1の長手方向の両端部では、着用者の脚の動きの影響が小さくなるため、離間部60の幅が短くてもパッド1のヨレを抑制できる。
【0102】
上記のように、接合部50の幅狭部501は、パッド1において着用者の股下部に当接する部分に設けられることが好ましい。そのため、幅狭部501が設けられるパッド1の長手方向の中央部とは、パッド1の形状に応じて、長手方向の中央1Cを含む部分であっても、長手方向の中央1Cよりも前側又は後側に偏った部分であってもよい。ただし、上記に限定されず、接合部50の幅が一定であってもよい。
【0103】
また、パッド1は離間部60を有することでヨレ難くなるが、離間部60は接合部50に比べると、剛性が低いため変形しやすい。また、幅方向の端部に位置する離間部60は、着用者の脚の力を受けやすい。そこで、
図5に示すように、幅方向において、ずれ止め部30の少なくとも一部を、離間部60の内側端60aよりも外側に配置することが好ましい。本実施形態では、4個のサイド粘着部32が、離間部60の幅方向の内側端60aよりも幅方向の外側に位置している。
【0104】
そうすることで、ずれ止め部30により下着に固定される第2吸収体20の離間部60は、下着の復元力を利用して復元できる。例えば、第2吸収体20の離間部60が着用者の脚で下着と共に幅方向の内側に圧縮されたとしても、その圧縮力が解放された後、下着が元の形状に復元することによって、第2吸収体20の離間部60も元の位置(下着の縁近傍)に戻ることができ。よって、第2吸収体20は幅方向に広がった状態が維持されやすく、ヨレ難い。また、排泄液を受けるパッド1の吸収面の大きさが確保されるため、排泄液が漏れ難くなる。
【0105】
また、離間部60の長手方向の長さが短い場合等では、離間部60よりも幅方向の外側に延出するずれ止め部30の部分が、例えば、離間部60よりも長手方向の外側に配置されていてもよい。
【0106】
しかし、より好ましくは、厚さ方向にパッド1を平面視したとき、ずれ止め部30は、離間部60と重なる部分を有するとよい。本実施形態では、サイド粘着部32における長手方向中央側の部分(
図5に示す321の部分)が、離間部60と重なっている。そうすることで、第2吸収体20の離間部60は変形しても、下着の復元力によって元の位置(下着の縁近傍)に戻りやすく、第2吸収体20が幅方向に広がった状態が維持されやすくなる。
【0107】
また、
図2に示すように、ずれ止め部30は、長手方向の中央部において、幅方向の長さが所定長さ(W1)である幅狭部301を有し、長手方向の両端部において、幅狭部301よりも幅方向の長さ(W2)が長い一対の幅広部302を有するとよい。そして、幅広部302は、幅狭部301における幅方向の外側端301aよりも幅方向の外側に延出した部分を備えることが好ましい。
【0108】
具体的に、幅狭部301とは、パッド1の長手方向の中央部において、幅方向の最も一方側に配置されたずれ止め部30から幅方向の最も他方側に配置されたずれ止め部30までの領域とする。幅広部302とは、パッド1の長手方向の端部において、幅方向の最も一方側に配置されたずれ止め部30から幅方向の最も他方側に配置されたずれ止め部30まで領域とする。
【0109】
本実施形態の場合、幅狭部301は、パッド1の長手方向の両端部に設けられたサイド粘着部32の間の部位であり、幅方向の一方側の中央粘着部31から幅方向の他方側の粘着部31までの部位(点abcdで囲われた部位)となる。幅広部302は、パッド1の長手方向においてサイド粘着部32が配置された部位であり、幅方向の一方側のサイド粘着部32から幅方向の他方側のサイド粘着部31までの部位(点efghで囲われた部位)となる。幅狭部301及び幅広部302では、本実施形態のように幅方向に間欠にずれ止め部30が配置されていてもよいし(接着剤が塗布されていてもよいし)、全域にずれ止め部30が配置されていてもよい。
【0110】
ずれ止め部30が幅狭部301を有することで、着用者の股下部に当接するパッド1の長手方向の中央部では、下着の縁近傍まで第2吸収体20が固定されない。そのため、着用者が脚を閉じる際に着用者に異物感を与え難く、着用者は脚を閉じやすくなる。一方、パッド1の長手方向の両端部では、幅広部302によって下着の幅方向の広い範囲に亘り下着の縁近傍まで第2吸収体20が固定される。そのため、第2吸収体20は、下着の復元力により幅方向に広がった状態が維持されやすく、ヨレ難くなる。
【0111】
上記のように、ずれ止め部30の幅狭部301は、パッド1において着用者の股下部に当接する部分に設けられることが好ましい。そのため、幅狭部301が設けられるパッド1の長手方向の中央部とは、パッド1の形状に応じて、パッド1の長手方向の中央1Cを含む部分であっても、パッド1の長手方向の中央1Cよりも前側又は後側に偏った部分であってもよい。
【0112】
ただし、ずれ止め部30の形状は上記に限定されない。例えば、ずれ止め部30の幅方向の長さが一定であってもよい。また、離間部60の幅方向の内側端60aよりも幅方向の外側に、ずれ止め部30が延出していなくてもよい。その場合も、ずれ止め部30が長手方向の両端部に幅広部302を有することで、第2吸収体20は幅方向に広がった状態が維持されやすくなる。
【0113】
また、ずれ止め部30がパッド1の幅方向の外側に配置される程、第2吸収体20は幅方向に広がった状態が維持されやすくなる。一方で、
図8に示すように、パッド1の幅方向の両端部が糸ゴム18等によって肌側に起立することで、排泄液の横漏れを抑制できる。本実施形態では、第1吸収体10と第2吸収体20が幅方向の端部において離間しており、第1吸収体10の幅方向の端部が起立する。そのため、ずれ止め部30が離間部60と重なる程に幅方向の外側に配置されていても、第1吸収体10の幅方向の端部は起立できる。つまり、パッド1が離間部60を有することで、第1吸収体10の幅方向の端部を起立させつつ、ずれ止め部30をパッド1の幅方向の外側に配置できる。
【0114】
また、一対の中央粘着部31が、各中央粘着部31の幅の長さ以上に幅方向に間隔をあけて配置されている。つまり、パッド1の幅方向の中央部には、ずれ止め部30が配置されていない。そうすることで、ずれ止め部30同士が接着し難くなり、パッド1がヨレてしまうこと抑制できる。
【0115】
また、パッド1は、個別に包装された状態(不図示)で着用者に提供されるとよい。パッド1の個包装体70としては、
図6に示すように包装材71の上にパッド1が配置され、パッド1が幅方向に沿う2つの折り部F1,F2にて包装材71と共に折り畳まれ、止着テープ72で固定されるものを例示できる。ただしこれに限定されず、例えば、パッド1と包装材71が別に折り畳まれていてもよいし、幅方向に沿う折り部の数が3つであってもよいし、幅方向に沿う折り部と長手方向に沿う折り部でパッド1が折り畳まれていてもよい。また、パッド1は不図示の剥離紙を介して包装材71に固定されていてもよい。
【0116】
そして、ずれ止め部30が長手方向の両端部に一対の幅広部302を有する場合、長手方向において、一対の幅広部302の間に幅方向に沿う折り部F1,F2が設けられているとよい。
【0117】
そうすることで、パッド1の厚さ方向において幅広部302と折り部F1,F2が重ならないので、幅広部302には折り癖が付かない。そのため、第2吸収体20の長手方向の両端部は、幅広部302によって下着にしっかりと固定される。よって、第2吸収体20は、下着の復元力により幅方向に広がった状態が維持されやすく、ヨレ難くなる。
【0118】
なお、パッド1は厚みがあるため、折り部F1,F2は長手方向に幅を持った領域となる。山型に折り曲げられた折り部F1,F2の頂点となる位置を折り部F1,F2の中央線とする。具体的には、折り畳まれた状態の個包装体70の平面よりも大きい板を介して、個包装体70の平面上に重り(例えば200g)を載せた状態において、個包装体70が最も突出する位置が折り部F1,F2の中央線として得られる。そして、折り部F1,F2における個包装体70(パッド1+包装材71)の最大厚みtとする。その場合、折り部F1,F2の中央線からパッド1の長手方向の両側にそれぞれπt/2離れた領域を折り部F1,F2とする。
【0119】
以上のように、第2吸収体20は、ずれ止め部30の配置によってヨレを抑制する。一方、パッド1において厚みがある吸収性コアの配置部分がヨレやすくなる。そのため、第1吸収体10は、吸収性コアによってヨレを抑制する。
【0120】
つまり、第1吸収性コア11の方が、第2吸収性コア21に比べて、パルプ繊維の坪量(g/m2)を少なくするとよい。より好ましくは、第1吸収性コア11は、パルプ繊維を有さず、高吸収性ポリマー(SAP)を有するとよい。本実施形態の第1吸収性コア11はSAPのみで構成される。第1吸収性コア11においてパルプ繊維の坪量が少なくなる、又はゼロとなることで、第1吸収性コア11の厚みが薄くなる。よって、第1吸収体10はヨレ難くなる。ただし上記に限定されず、第1吸収性コア11の方が第2吸収性コア21に比べてパルプ繊維の坪量が多くてもよい。
【0121】
また、第1吸収性コア11が、パルプ繊維を有さず、SAPを有することの確認は、周知の方法で行うことができる。例えば、第1吸収性コア11の表面や断面を目視で確認したり、光学顕微鏡で投影した画像に基づいて確認したりする方法を採用できる。
【0122】
また、第1吸収性コア11や第2吸収性コア21が、平面位置によってパルプ繊維の坪量が異なる場合には、平均の坪量で比較してもよいし、最大値又は最小値の坪量で比較してもよい。第1吸収性コア11と第2吸収性コア21のパルプ繊維の坪量の比較は周知の方法で行うことができる。具体的には、第1吸収性コア11や第2吸収性コア21が、SAPを有さず、パルプ繊維のみで構成される場合、吸収性コア11,21全体の質量及び平面積を測定したり、吸収性コア11,21から所定の面積で切り出したサンプルの質量を測定したりするとよい。その後、1m2当たりのパルプ繊維の質量に換算することで、パルプ繊維の坪量を取得できる。
【0123】
また、第1吸収性コア11や第2吸収性コア21が、SAPとパルプ繊維の両方を有する場合、例えば以下の方法にてパルプ繊維の坪量を取得できる。
まず、測定対象の吸収性コア11,21から任意の質量のSAPを取り出し、1mol/Lの塩酸を用いて中和滴定を行い、検量線を作成し、当該SAPのポリマー係数を割り出す。
次に、吸収性コアからサンプルを切り出し、サンプルの平面の面積と、サンプル(SAP+パルプ繊維)の質量を測定する。
その後、適量の塩化ナトリウムを溶解させたイオン交換水に、サンプルを投入し、1mol/Lの塩酸を1mlずつ注入し、当該イオン交換水のpHを測定するpHメーターの数値が大きく変動した時点における塩酸の注入量を読み取る。その読み取った数値と上記のポリマー係数を掛けあわせたものが、サンプルに含まれていたSAPの質量となる。
上記のサンプルの質量からSAPの質量を減ずることで、サンプルに含まれていたパルプ繊維の質量を取得できる。その質量とサンプルの平面積に基づいて、パルプ繊維の坪量を取得できる。
【0124】
また、第1吸収体10は、着用者の身体に直接接触し、着用者の動きの影響を受けやすいため、型崩れしやすい。特に、排泄液の吸収後は、第1吸収体10が膨潤して型崩れしやすくなる。そこで、第1吸収体10は、熱融着性繊維を有し、セルロース系繊維を有さないことが好ましい。つまり、表面シート14、中間シート15、第1肌側コアラップ12、第1非肌側コアラップ13、及び、第1サイドシート16は、熱融着性繊維を有する不織布等のシートであるとよい。また、第1吸収性コア11は、セルロース系繊維であるパルプ繊維を有さず、SAPで構成されるとよい。なお、熱融着性繊維としては、熱可塑性樹脂を材料とする繊維が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポチエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)のようなポリエステル系樹脂、6-ナイロン等のポリアミド系樹脂を例示できる。表面シート14、中間シート、コアラップ12,13等で上記繊維を使用する場合には、親水性油剤等により親水処理を施すとよい。
【0125】
セルロース系繊維を含む資材(例えばティッシュやパルプ繊維等)は、水素結合を多く持ち、水分を含むと、結合間に水分子が存在し、崩れが発生しやすくなる。一方、熱融着性繊維は繊維同士が熱融着で結合されており、水分を含んでも崩れが発生しない。よって、第1吸収体10は排泄後も型崩れし難く、ヨレ難くなる。ただし上記に限定されず、第1吸収体10がセルロース系繊維を有してもよいし、熱融着性繊維を有さなくてもよい。
【0126】
第1吸収体10が、熱融着性繊維を有し、セルロース系繊維を有さないことの確認は、周知の方法で行うことができる。例えば、熱融着性繊維を着色する鑑別用染料(色染社製のカヤステインQ)を用いて、第1吸収体10を構成する繊維が着色されるか否かを、目視で又は光学顕微鏡で投影した画像に基づいて確認することができる。
【0127】
また、第1吸収性コア11はSAPで構成されるのに対して、第2吸収性コア21はパルプ繊維を有することが好ましい。そうすることで、第1吸収体10に排泄された排泄液が第2吸収体20に移行しやすくなる。よって、第1吸収体10が膨潤して型崩れしてヨレやすくなってしまうことを防止できる。
【0128】
また、
図3や
図7の断面図に示すように、本実施形態の第1吸収体10では、疎水性の不織布である第1サイドシート16の幅方向外側の端部が、第1コア部11~13と表面シート14と中間シート15の幅方向の両端縁を包むように配置されている。よって、第1コア部11~13が吸収した排泄液の滲み出しを、第1サイドシート16により防止できる。また、一対の第1サイドシート16は、幅方向に間隔をあけて配置さている。そのため、第1コア部11~13から第2コア部21~23へと排泄液の移行が可能となっている。
【0129】
また、第1サイドシート16の幅方向の外側の端部は、第1コア部11~13と表面シート14と中間シート15の幅方向の両端縁よりも幅方向の外側に延出している。詳しくは、第1サイドシート16の幅方向の外側の端部では、第1コア部11~13の非肌側面から延出する第1サイドシート16の部位と、その延出した部位から表面シート14の肌側面側に折り返された第1サイドシート16の部位とが、糸ゴム18を介して重なっている。このように、第1吸収体10の幅方向の両端部には、不織布(第1サイドシート16)が配置され、第1吸収性コア11が配置されていないことが好ましい。そうすることで、第1吸収体10の幅方向の両端部が、排泄後に、第1吸収性コア11によって膨潤してしまうことを抑制できる。よって、排泄後も第1吸収体10が型崩れし難く、ヨレ難くなる。
【0130】
また、第1吸収体10の幅方向の端部において、厚みのある第1吸収性コア11が第1サイドシート16の間に配置されていないことで、着用者は脚を閉じる際に異物を感じ難くなる。よって、パッド1の着け心地が向上する。また、第1サイドシート16は、液不透過性のシートであればよく、合成樹脂フィルム等であってもよい。しかし、第1サイドシート16が疎水性の不織布であることで、着用者が脚を閉じた際の当たりが柔らかくなり、パッド1の着け心地が向上する。
【0131】
さらに、第1サイドシート16が第1コア部11~13から延出した部分、つまり、第1吸収体10の幅方向の両端部において第1吸収性コア11が配置されていない部分では、不織布である2層の第1サイドシート16同士が接着剤A6,A7にて接合されていることが好ましい。そうすることで、第1吸収体10の幅方向の両端部の剛性が高まり、第1吸収体10がより型崩れし難くなり、ヨレ難くなる。
【0132】
なお、2層の第1サイドシート16同士(不織布同士)が接合されているとは、本実施形態のように1枚の第1サイドシート16が折り返されて、折り返された部位と、それに重なる非折り返し部とが接合される形態であってもよいし、表面シート14の肌側面から延出する第1サイドシートと第1コア部11~13の非肌側面から延出する第1サイドシートが別体であり、2枚の第1サイドシート同士が接合される形態であってもよい。ただし、本実施形態のように1枚の第1サイドシート16を折り返して使用する方が、不織布の継ぎ目がなく、排泄液の滲み出しをより抑制できる。また、2層の第1サイドシート16は、糸ゴム18や表面シート14や中間シート15を介して接合されていてもよい。また、不織布同士の接合とは、3層以上に重なった第1サイドシート16同士の接合であってもよい。
【0133】
また、幅方向における第1吸収体10の両端部であり、第1サイドシート16同士が接合されている部分には、長手方向に伸縮する一対の糸ゴム18が配置されていることが好ましい。そうすることで、第1吸収体10の幅方向の両端部の剛性が高まり、第1吸収体10がより型崩れし難くなり、ヨレ難くなる。特に、本実施形態では、幅方向における第1吸収体10の端に糸ゴム18が配置されているため、第1吸収体10はより型崩れし難くなる。しかし上記に限定されず、第1吸収性コア11が第1サイドシート16の幅方向の端まで配置されていてもよいし、第1サイドシート16に糸ゴム18が配置されていなくてもよい。
【0134】
また、パッド1は、
図3に示すように、厚さ方向に圧搾された圧搾部40を有することが好ましい。圧搾部40では、周囲に比べてパッド1の繊維密度が高まる。そのため、パッド1に圧搾部40が設けられることで、パッド1は型崩れし難くなり、ヨレ難くなる。
【0135】
さらに、本実施形態の圧搾部40は、表面シート14から第2コア部21~23にかけて肌側から圧搾されている。このように、厚さ方向において、第1吸収体10から第2吸収体20に亘って設けられた圧搾部40がパッド1の接合部50に設けられることが好ましい。そうすることで、第1吸収体10と第2吸収体20の一部が圧搾部40によって接合一体化され、第1吸収体10と第2吸収体20がより型崩れし難くなり、ヨレ難くなる。
【0136】
また、圧搾部40では繊維密度が高いため、排泄液が引き込まれやすくなる。そのため、第1吸収体10から第2吸収体20に亘る圧搾部40によって、排泄液が第1吸収体10から第2吸収体20へ移行しやすくなる。排泄液が第2吸収体20へ素早く移行することで、第1吸収体10は膨潤し難く、型崩れやヨレが生じ難くなる。また、第1吸収体10が排泄液を吸収しきれずに、パッド1から排泄液が溢れて漏れてしまうことを抑制できる。
【0137】
ただし、上記に限定されず、圧搾部40は、第1吸収体10と第2吸収体20を個別に圧搾するものであってもよい。また、第1吸収体10と第2吸収体20を個別に圧搾する圧搾部と、第1吸収体10から第2吸収体20に亘る圧搾部の両方がパッド1に設けられていてもよい。また、パッド1が圧搾部40を有していなくてもよい。
【0138】
===パッド1の漏れ抑制について===
前述したように、パッド1では、少なくとも長手方向の所定位置において、第1吸収体10と第2吸収体20とが接合されている接合部50が幅方向の中央部に設けられ、第1吸収体10と第2吸収体20とが離間している一対の離間部60が幅方向の両端部に設けられている。
【0139】
そのため、
図8に示すように、第1吸収体10の一対の離間部60(幅方向の両端部)は、第2吸収体20に対して肌側に起立可能となる。具体的には、
図7の断面図に示すように、第1サイドシート16と第2サイドシート25を接合する接着剤A12よりも幅方向の外側の第1吸収体10の部位が肌側に起立可能となる。
【0140】
本実施形態のパッド1には、第1吸収体10の幅方向の両端部(一対の離間部60)において、長手方向に伸縮する一対の糸ゴム18が配置されている。この糸ゴム18の収縮によって、第1吸収体10の離間部60の起立性が向上する。よって、
図8に示すように、パッド1の断面形状が受皿形状となる。
【0141】
また、本実施形態のパッド1には、一対の離間部60よりも幅方向の内側に、圧搾部40が配置されている。圧搾部40では、第1吸収体10が表面シート14から厚さ方向に圧搾されている。圧搾部40において表面シート14が厚さ方向に凹むことで、表面シート14の幅方向の端部が幅方向の内側に引っ張られる。その結果、第1吸収体10の離間部60の起立性が向上し、パッド1の断面形状が受皿形状となる。
【0142】
パッド1の断面形状が受皿形状であると、比較的に多量の排泄液が第1吸収体10に排泄された場合にも、第1吸収体10の起立した離間部60によって排泄液をせき止めることができ、排泄液の横漏れを抑制できる。また、起立した離間部60の斜面によって、排泄液を第1吸収体10の幅方向の中央部に集めることができる。つまり、第1吸収性コア11と第2吸収性コア21(以下合わせて「吸収性コア11,21」とも呼ぶ)が配置されているパッド1の幅方向の中央部に排泄液が集められるため、排泄液がパッド1の内部に吸収、保持されやすくなる。よって、パッド1からの排泄液の漏れを抑制できる。
【0143】
また、本実施形態の接合部50は、
図4に示すように、長手方向の中央部に幅狭部501を有し、長手方向の両端部において幅広部502を有する。そのため、着用者の股下部が当接し、排泄液が排泄されるパッド1の長手方向の中央部において、離間部60の幅が広くなっており、第1吸収体10の離間部60が高く起立できる。よって、排泄液の漏れを抑制できる。
【0144】
また、
図4に示すように、長手方向において、接合部50の幅広部502は、糸ゴム18の伸縮部18a~18bよりも外側に配置されていることが好ましい。つまり、パッド1の長手方向の両端部において第1吸収体10と第2吸収体20とが幅広に接合された部分まで糸ゴム18の伸縮部が長手方向に延びていないことが好ましい。そうすることで、パッド1の長手方向の中央部の離間部60の起立が、接合部50(幅広部502)によって阻害されてしまうことを防止できる。よって、排泄液が排泄されるパッド1の部分において、第1吸収体10の離間部60が起立でき、排泄液の漏れを抑制できる。
【0145】
糸ゴム18は、長手方向に長く設けられた離間部60の、長手方向の全域に亘り配置されてもよいし、本実施形態のように、離間部60の長手方向の一部に糸ゴム18が配置されていてもよい。
【0146】
また、本実施形態のパッド1では、
図7に示すように、離間部60の肌側面の大部分において、疎水性の不織布である第1サイドシート16が配置されている。このように、離間部60の最も肌側面は、疎水性部分80を有することが好ましい。
【0147】
そうすることで、起立した第1吸収体10の離間部60では、排泄液が第1吸収体10の内部に引き込まれ難く、排泄液が第1吸収体10の幅方向の中央部に移行しやすくなる。よって、排泄液の横漏れを抑制できる。また、吸収性コア11,21が配置されているパッド1の幅方向の中央部に排泄液が集まるため、排泄液がパッド1の内部に吸収,保持されやすくなる。よって、パッド1から排泄液が溢れて漏れてしまうことを抑制できる。
【0148】
なお、疎水性部分80とは、表面に液体が滴下された場合において液体が広がりにくい特性を有する部分である。詳しくは、滴下された液体が90°より大きい接触角を有する状態となる特性を有する部分である。また、疎水性の不織布(第1サイドシート16)が含む疎水性繊維としては、当技術分野で用いられているものであれば、特に制限なく採用でき、例えば、ポチエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が、単独で又は複数で採用できる。
【0149】
また、本実施形態のパッド1では、
図7に示すように、第1サイドシート16の幅方向外側の端部は、第1コア部11~13の幅方向の端縁よりも幅方向の外側に延出し、2層となる第1サイドシート16が接着剤A6,A7にて接合されている。このように、第1吸収体10の幅方向の端部である離間部60の、幅方向の端部では、第1吸収性コア11が配置されておらず、疎水性の不織布である第1サイドシート16同士が接合されていることが好ましい。
【0150】
そうすることで、離間部60の幅方向の端まで第1吸収性コア11が配置されている場合に比べて、離間部60の起立性が向上し、排泄液の漏れを抑制できる。また、排泄後も離間部60の幅方向の端部が膨潤し難く、形状が維持されやすいため、起立した離間部60により排泄液の漏れを抑制できる。また、疎水性の不織布(第1サイドシート16)が2層となるため、離間部60の疎水性が高まり、排泄液がパッド1の幅方向の中央部に流れやすくなる。
【0151】
また、
図4に示すように、厚さ方向にパッド1を平面視したとき、接合部50の幅広部502の幅方向の端部と重なる第2吸収体20の部位(201)には、第2吸収性コア21が配置されていないことが好ましい。
【0152】
そうすることで、第1吸収体10と幅広に接合される第2吸収体20の幅方向の端部(201)の剛性が低くなる。その剛性の低い第2吸収体20の部位(201)は、糸ゴム18の長手方向に収縮により撓むことができる。よって、第1吸収体10の離間部60の起立が第2吸収体20によって阻害されてしまうことを抑制でき、排泄液の漏れを抑制できる。
【0153】
また、
図6に示すように、パッド1が、幅方向に沿う包装時の折り部F1,F2を有する場合、厚さ方向にパッド1を平面視したとき、糸ゴム18の伸縮部(18a~18b)と、折り部F1,F2とが重なること(交差すること)が好ましい。
【0154】
パッド1等の吸収性物品は衛生的な観点からパッド1の肌側面を内側にして折り畳まれる。そのため、個包装体70から取り出された自然状態のパッド1では、折り部F1,F2の折り癖によって、パッド1の長手方向の両端部が長手方向の中央部に対して肌側に立ち上がりやすくなる。よって、折り部F1,F2の折り癖によって立ち上がるパッド1の長手方向の両端部まで糸ゴム18が延びていることで、糸ゴム18は長手方向に収縮しやすくなる。その結果、第1吸収体10の離間部60の起立性が向上し、排泄液の漏れを抑制できる。
【0155】
また、パッド1は、厚さ方向におけるパッド1の少なくとも一部が厚さ方向に凹んだ溝部を有する場合、その溝部が、長手方向に長さを有し、離間部60よりも幅方向の内側に設けられているとよい。本実施形態のパッド1(
図1)には、溝部として、長手方向に延びる一対の圧搾部40(第1圧搾部41)が設けられている。
【0156】
パッド1が溝部を有することで、パッド1の幅方向の中央部に排泄された排泄液や、起立した離間部60の斜面によりパッド1の幅方向の中央部に流れた排泄液を、溝部に沿ってパッド1の長手方向に拡散できる。具体的には、パッド1の肌側面から凹む溝部の場合、パッド1の肌側面上の排泄液を長手方向に拡散できる。また、パッド1の内部に設けられた溝部の場合、パッド1内に吸収された排泄液を長手方向に拡散できる。そのため、比較的に多量の排泄液が排泄された場合にも、排泄液がパッド1から溢れて漏れてしまうことを抑制できる。
【0157】
また、長手方向に延びる溝部(第1圧搾部41)は、パッド1の肌側面からパッド1が厚さ方向に凹んだ部位であり、溝部の肌側面は、非疎水性であることが好ましい。本実施形態の第1圧搾部41は、
図3に示すように、液透過性のシート(非疎水性のシート)である表面シート14から非肌側に向かって圧搾された部位である。この場合、溝部(第1圧搾部41)に流れた排泄液は、長手方向に拡散されつつ、パッド1の内部に吸収される。よって、排泄液がパッド1から溢れて漏れてしまうことを抑制できる。
【0158】
なお、非疎水性であるとは、表面に液体が滴下された場合において液体が広がりやすい特性である。詳しくは、滴下された液体が90°以下である接触角を有する状態となる特性である。
【0159】
また、本実施形態の第1圧搾部41のように、長手方向に延びる溝部は、厚さ方向において、第1吸収体10から第2吸収体20に亘って設けられた圧搾部であることが好ましい。圧搾部40では繊維密度が高いため、排泄液が引き込まれやすい。そのため、第1吸収体10から第2吸収体20に亘る圧搾部40によって、排泄液が第1吸収体10から第2吸収体20に移行しやすくなる。よって、第1吸収体10が排泄液を吸収しきれずに、排泄液がパッド1から溢れて漏れてしまうことを抑制できる。
【0160】
ただし、長手方向に延びる溝部は、パッド1の肌側面から凹むものや、圧搾部40に限定されない。例えば、溝部(圧搾部40)は、第1吸収体10にのみ設けられていてもよいし、第2吸収体20にのみ設けられていてもよい。また、溝部は、吸収性コア11,21の坪量が周囲に比べて低い部位や、吸収性コア11,21の一部が抜かれた部位(スリット)であってもよい。また、パッド1が溝部を有していなくてもよい。
【0161】
また、本実施形態では、長手方向に延びる溝部(第1圧搾部41)が、第1吸収性コア11に設けられており、第1吸収性コア11が高吸収性ポリマー(SAP)を有する。この場合、第1吸収性コア11において、溝部(第1圧搾部41)の方が、溝部の隣接部に比べて、SAPの坪量が低いことが好ましい。より好ましくは、溝部にSAPが配置されていないとよい。
【0162】
図9は、第1吸収性コア11と第1圧搾部41の配置を説明する図である。図示するように、本実施形態の第1コア部11~13では、第1圧搾部41が設けられる部分にSAPが配置されていない。そうすることで、排泄液が第1吸収体10から第2吸収体に移行しやすくなり、排泄液がパッド1内に吸収されやすくなる。よって、第1吸収体10が排泄液を吸収しきれずに、排泄液がパッド1から溢れて漏れてしまうことを抑制できる。
【0163】
なお、溝部と隣接部におけるSAPの坪量の比較は周知の方法で行うことができる。例えば、目視や電子顕微鏡で撮影した画像に基づいて行うことができる。また、溝部と隣接部からサンプルを切り出して、所定面積当たりのSAPの量を取得して坪量を算出してもよい。第1吸収性コア11がSAPのみで構成される場合には、サンプルの質量がSAPの質量となる。第1吸収性コア11がパルプ繊維とSAPを有する場合、前述した方法により、サンプル(第1吸収性コア11)におけるSAPの質量を取得できる。
【0164】
また、第2吸収体20の方が、第1吸収体10に比べて、排泄液の最大吸収量が大きいことが好ましい。そうすることで、第1吸収体10から第2吸収体20に移行した排泄液を、第2吸収体20にて吸収、保持できるため、第1吸収体10への排泄液の戻り(リウェット)を抑制できる。よって、第1吸収体10が排泄液を吸収しきれずにパッド1から排泄液が溢れて漏れてしまうことを防止できる。また、パッド1の着け心地も向上する。ただし上記に限らず、第1吸収体10の方が、第2吸収体20に比べて、排泄液の最大吸収量が大きくてもよい。
【0165】
第1吸収体10と第2吸収体20における排泄液の最大吸収量の測定は、例えば、JISK7223(1996)の高吸水性樹脂の吸水量試験方法に準じて行なうことができる。概略を説明すると、測定対象の第1,第2吸収体10,20がそれぞれ備える第1,第2吸収性コア11,21からサンプル(例:0.20g又は1.00g)を切り出す。サンプルの質量をa(g)とする。
そして、250メッシュのナイロン網で作製したティーバッグにサンプルを入れる。そのティーバッグを試験液(脱イオン水又は0.9質量%の食塩水)に1時間浸漬させる。その後、ティーバッグを吊るして(例:10分間)水切りし、水切り後のティーバッグの重さをb(g)とする。また、空のティーバッグに関しても同様に試験液に浸漬して水切りした後の重さc(g)を測定する。上記の操作を複数回(例:5回)行い、測定値の平均値a~c(g)を取得するとよい。
サンプル1g当たりの吸収量W(g/g)は式「W=(b-c-a)/a」にて算出される。各サンプルの吸収量W(g/g)に、第1吸収性コア11の質量と第2吸収性コア21の質量(g)をそれぞれ乗じた値を算出する。その算出値を、第1吸収体10と第2吸収体20それぞれの最大吸収量(飽和吸収量)として、比較するとよい。なお、吸収性コアの平面位置によって坪量等が異なる場合には、例えば吸収性コアの全てをサンプルにするとよい。
【0166】
まだ、本実施形態の第2吸収性コア21は、パルプ繊維、及び、高吸収性ポリマー(SAP)を有する。そのため、排泄液を引き込みやすいパルプ繊維により、排泄液を第1吸収体10から第2吸収体20へ素早く移行できる。よって、パッド1から排泄液が溢れて漏れてしまうことを抑制できる。また、SAPによって第2吸収体20に移行した排泄液を吸収、保持でき、第1吸収体10への排泄液の戻りを抑制できる。
【0167】
しかし、上記に限定されず、第2吸収性コア21は、パルプ繊維を有し、高吸収性ポリマー(SAP)を有していなくてもよい。この場合、排泄液を第1吸収体10から第2吸収体20へ素早く移行でき、パッド1から排泄液が溢れて漏れてしまうことを抑制できる。そして、SAPによって排泄液の拡散が阻害されないため、排泄液は第2吸収性コア21の平面方向に広く拡散される。よって、第2吸収性コア21の吸収性能が有効に利用される。
【0168】
なお、第2吸収性コア21が、パルプ繊維を有することや、SAPを有すること又はSAPを有さないことの確認は、周知の方法で行うことができる。例えば、第2吸収性コア21の表面や断面を目視で確認したり、光学顕微鏡で投影した画像に基づいて確認したりする方法を採用できる。
【0169】
また、
図2に示すように、本実施形態のパッド1のずれ止め部30は、パッド1の長手方向の中央部において幅狭部301を有し、パッド1の長手方向の両端部において一対の幅広部302を有する。そのため、パッド1の長手方向の両端部では、第2吸収体20が下着の復元力によって幅方向に広がった状態が維持されやすく、ヨレ難くなる。その結果、排泄液の漏れを抑制できる。一方、パッド1の長手方向の中央部では、着用者が脚を閉じやすくなるが、パッド1の長手方向の両端部に比べると幅方向に広がった状態が維持され難い。
【0170】
そこで、糸ゴム18の伸縮部は、ずれ止め部30の幅狭部301よりも長手方向の外側まで延びていることが好ましい。具体的には、糸ゴム18の伸縮部における長手方向の一方側の端18aは、長手方向の一方側の幅広部302における長手方向の中央側の端302aよりも、長手方向の外側に位置するとよい。また、糸ゴム18の伸縮部における長手方向の他方側の端18bは、長手方向の他方側の幅広部における長手方向の中央側の端302bよりも、長手方向の外側に位置しているとよい。
【0171】
そうすることで、パッド1の長手方向の中央部では、ずれ止め部30の幅は狭いが、その長手方向の全域に亘り、糸ゴム18の伸縮部が存在し、第1吸収体10の離間部60が起立する。よって、パッド1の長手方向の中央部では、起立する第1吸収体10の離間部60によって排泄液の漏れを抑制できる。ただし上記に限らず、糸ゴム18が幅広部302まで延びて配置されていなくてもよい。
【0172】
===第2実施形態===
図10A及び
図10Bは、第2実施形態のパッド70の長手方向中央部の概略断面図である。第2実施形態のパッド70は吸収体80を有するが、第1実施形態のパッド1のように複数の吸収性コア(吸収体)が厚さ方向に重ねて配置されていてもよいし、吸収性コア(吸収体)が1層であってもよい。
【0173】
図10Aに示すパッド70は、1層の吸収体80を有する。吸収体80が1層であることで、パッド70はごわつき難く、着け心地が向上する。吸収体80は、吸収性コア81と、肌側コアラップ82と、非肌側コアラップ83と、肌側コアラップ82(吸収性コア81)よりも肌側に配置された表面シート84と、表面シート84と肌側コアラップ82の間に配置された中間シート85と、吸収体80の幅方向の両端部に配置された一対のサイドシート86と、吸収体80の幅方向の両端部において、サイドシート86に固定された長手方向に伸縮する一対の糸ゴム87(弾性部材)を備える。また、パッド70は、吸収体80よりも非肌側に配置された液不透過性のバックシート71と、バックシート71の肌側面における幅方向の両端部に配置された一対の第2サイドシート72を有する。各資材はホットメルト等の接着剤A1~A7,A11,A12で接合されている。
【0174】
また、吸収性コア81は高吸収性ポリマー(SAP)を有し、吸収性コア81における高吸収性ポリマーの質量比率の方が、パルプ繊維の質量比率よりも高い。つまり、吸収性コア81に含まれる高吸収性ポリマーの質量を吸収性コア81の質量で除した値は、吸収性コア81に含まれるパルプ繊維の質量を吸収性コア81の質量で除した値よりも大きい。そのため、吸収性コア81の厚みが薄くなり、吸収体80はヨレ難くなる。パルプ繊維が少ない又はパルプ繊維が含まれていないということは、成形されていたパルプ繊維が着用者の動きや排泄液の吸収によって崩れることがなく、吸収体80がヨレ難いということである。一方、高吸収性ポリマーの質量比率を高くすることで、排泄液の吸収速度が速くなり、排泄液が漏れ難くなる。また、パルプ繊維の質量比率を低くしても、吸収性コア81の吸収性能が維持される。
【0175】
なお、パルプ繊維及び高吸収性ポリマーの質量比率の測定方法は、周知の方法で行うものとする。吸収性コア81が高吸収性ポリマーとパルプ繊維の両方を有する場合には、例えば第1実施形態にて説明したパルプ繊維の坪量を取得する方法において、サンプルに含まれていたSAPの質量を測定した方法(特開2018-47189号公報に記載の方法)や、特願2018-542962号公報に記載の方法が挙げられる。
【0176】
また、サイドシート86は、吸収性コア81よりも非肌側から、吸収性コア81の幅方向の両端縁を覆って、表面シート84の肌側面における幅方向の両端部上に位置するように、幅方向の内側に折り返されている。
図10Aのサイドシート86は、非肌側に折り返された肌側コアラップ82と第2サイドシート72の間から、表面シート84の肌側面上に位置するように、幅方向の内側に折り返されている。そのため、吸収性コア81の幅方向の両端縁は、継ぎ目のないサイドシート86によって覆われる。よって、排泄液はサイドシート86の外側に滲み出し難くなる。また、排泄液の滲み出しをより抑制するために、サイドシート86は疎水性のシートであることが好ましい。なお、吸収体80の幅方向の両端部に配置されるサイドシート86は、
図10Aに示すように2枚のシートであってもよいし、
図10Bに示すように1枚のシートであってもよい。
【0177】
また、サイドシート86には、長手方向に伸縮する糸ゴム87が固定されている。そのため、サイドシート86で包まれた吸収性コア81の幅方向の両端部が糸ゴム87によって肌側に起立し、吸収体80の断面形状が受皿形状となる。よって、排泄液の横漏れを抑制できる。
図10Aの場合、サイドシート86と第2サイドシート72を接合する接着剤A12よりも幅方向の外側の吸収体80の端部88が肌側に起立する。ただし、これに限らず、例えば、サイドシート86がその幅方向の端まで第2サイドシート72に接着されており、サイドシート86と共に第2サイドシート72やバックシート71も肌側に起立する構成であってもよい。
【0178】
また、サイドシート86は、融着している繊維と、交絡している繊維と、接合材により接合されている繊維のうちの少なくとも1つを有するシートとする。融着している繊維を有するシートとは、繊維ウェブの一部を熱で溶かして繊維同士を接合させたシートであり、エアスルー不織布や、スパンボンド不織布や、ポイントボンド不織布等が挙げられる。交絡している繊維を有するシートとは、高圧水流により繊維同士を絡ませたシートであり、スパンレース不織布等が挙げられる。接合材により接合されている繊維を有するシートとは、繊維ウェブを接着剤溶液に湿潤させる等して、接合材(接着剤)で繊維同士が接合されているシートであり、エアレイド不織布等が挙げられる。
【0179】
上記のようなサイドシート86であれば、構成繊維がほぐれ難く、融着点や接合材によって剛性が高まる。そのため、着用者の動きにより吸収体80に力が掛かったり、吸収性コア81が排泄液を吸収したりしても、サイドシート86によって吸収体80の形状が維持されやすく、ヨレ難くなる。よって、吸収体80の幅方向の端部88の起立も維持されやすくなる。
【0180】
また、第1実施形態のパッド1と同様に、サイドシート86は、不織布であり、吸収性コア81の幅方向の両端縁よりも幅方向の外側に延出していることが好ましい。つまり、吸収体80の幅方向の両端部には、不織布(サイドシート86)が配置され、吸収性コア81が配置されていないことが好ましい。そうすることで、吸収体80の幅方向の両端部が排泄後に吸収性コア81によって膨潤してしまうことを抑制できる。よって、排泄後も吸収体80が型崩れし難く、ヨレ難く、吸収体80の幅方向の端部88の起立が維持されやすくなる。また、吸収体80の幅方向の端部に厚みのある吸収性コア81が配置されていないことで、着用者が脚を閉じる際に着用者に異物感を与え難くなる。
【0181】
さらに、サイドシート86が吸収性コア81よりも幅方向の外側に延出した部分、つまり、吸収体80の幅方向の両端部において吸収性コア81が配置されていない部分では、折り返されて2層となっている不織布同士(サイドシート86同士)が接着剤A6,A7にて接合されていることが好ましい。そうすることで、吸収体80の幅方向の両端部の剛性が高まり、吸収体80が型崩れし難く、ヨレ難く、吸収体80の幅方向の端部88の起立が維持されやすくなる。なお、折り返されて2層となっているサイドシート86は、表面シート84や中間シート85(別の不織布)を介して接合されていてもよい。
【0182】
また、幅方向における吸収体80の両端部であり、サイドシート86同士が接合されている部分に、糸ゴム87が配置されていることが好ましい。そうすることで、吸収体80の幅方向の両端部の剛性がさらに高まり、吸収体80が型崩れし難く、ヨレ難く、吸収体80の幅方向の端部88の起立が維持されやすくなる。
【0183】
また、
図10Bに示すように、パッド70は、厚さ方向において吸収性コア81よりも非肌側に配置された第2吸収性コア89を有していてもよい。そうすることで、パッド70の吸収性能が高まる。また、第2吸収性コア89まで移行した排泄液は、パッド70の肌側面に戻り難く、パッド70の着け心地が向上する。
【0184】
複数の吸収性コアが厚さ方向に重ねて配置される場合、第1実施形態のパッド1のように、サイドシート16が肌側(又は非肌側)の吸収性コア11の幅方向の両端縁を覆うように折り返されていれば、非肌側(又は肌側)の吸収性コア21の幅方向の両端縁をサイドシートが覆っていなくてもよい。或いは、
図10Bに示すように、厚さ方向に重ねて配置された吸収性コア81,89の幅方向の両端縁を共通のサイドシート86が覆うように折り返されていてもよい。或いは、図示しないが、肌側の吸収性コアと非肌側の吸収性コアの幅方向の両端縁を個別にサイドシートが覆う構成でもよい。また、3層以上の吸収性コアが重ねて配置される場合も同様であり、少なくとも1つの吸収性コアの幅方向の両端縁をサイドシートが覆うように折り返されている構成であればよい。
【0185】
===第3実施形態===
図11は、第3実施形態のパッド90の長手方向端部の概略断面図である。
図12は、ずれ止め部30と固定部91の配置を示すパッド90の概略平面図である。第3実施形態のパッド90も、第2実施形態のパッド70と同様に、吸収体80を有し、かつ、複数の吸収性コア(吸収体)が厚さ方向に重ねて配置されていてもよいし、吸収性コア(吸収体)が1層であってもよい。
【0186】
図11に示すパッド90は、
図10Aに示す第2実施形態のパッド70と同じ構成である(
図11と
図10Aは長手方向の位置が異なる断面図である)。すなわち、パッド90が有する吸収体80は、吸収体80の幅方向の両端部に配置されたサイドシート86と、吸収体80の幅方向の両端部において、サイドシート86に固定された長手方向に伸縮する一対の糸ゴム87(弾性部材)を備える。そのため、吸収体80の幅方向の両端部が糸ゴム87によって肌側に起立し、吸収体80の断面形状が受皿形状となる。よって、排泄液の横漏れを抑制できる。
【0187】
具体的に説明すると、サイドシート86の長手方向の両端部は、一対の固定部91にてパッド90の何れかの部位に固定されている。
図11では、吸収性コア81よりも非肌側に折り返されているサイドシート86の部位が、固定部91(接着剤A12)にて第2サイドシート72に固定されている。
図12に示すように、固定部91は長手方向に離間して設けられており、長手方向における一対の固定部91間のサイドシート86の部位が、糸ゴム87の収縮により肌側に起立可能となる。例えば、
図10Aにて説明した吸収体80の幅方向の両端部88(サイドシート86で包まれた部位)が起立する。また、吸収体80の幅方向の両端部88は、長手方向における固定部91の内側端91aを起点として起立する。
【0188】
ただし、第3実施形態のパッド90では、サイドシート86が吸収性コア81の幅方向の両端縁を包むように幅方向の内側に折り返されていなくてもよい。その場合も、サイドシート86の長手方向の両端部は、一対の固定部91にてパッド90の何れかの部位(例えば表面シート84等)に固定されるようにする。また、肌側に起立するサイドシート86の部位によって、サイドシート86の幅方向の内側の部位が開くポケット形状の立体ギャザーが形成される構成であってもよい。
【0189】
また、第3実施形態のパッド90は、第1実施形態のパッド1と同様に、その非肌側面にずれ止め部30(粘着部)が設けられている。そして、
図12に示すように、厚さ方向にパッド90を平面視したとき、固定部91は、ずれ止め部30(サイド粘着部32)と重なる部分を有する。そうすることで、吸収体80の幅方向の両端部88は、ずれ止め部30にて下着に固定された部位を起点として肌側に起立できる。そのため、吸収体80の幅方向の両端部88の起立が安定し、より確実に排泄液を堰き止めることができる。
【0190】
また、固定部91と厚さ方向に重なる位置にずれ止め部30が設けられるということは、パッド90の非肌側面のうち、より幅方向の外側の部位にまで、ずれ止め部30が設けられているということである。そのため、パッド90が着用者の脚で下着と共に幅方向の内側に圧縮されたとしても、その圧縮力が解放された後、下着が元の形状に復元することによってパッド90も戻ることができる。よって、パッド90は幅方向に広がった状態が維持されやすく、ヨレ難くなる。また、排泄液を受けるパッド90の吸収面の大きさが確保されるため、排泄液が漏れ難くなる。
【0191】
また、吸収性コア81は高吸収性ポリマー(SAP)を有するものとする。そうすることで、排泄液の吸収速度が速く、排泄液が漏れ難くなる。また、吸収性コア81が有するパルプ繊維の質量を少なくして吸収性コア81をヨレ難くしつつ、吸収性コア81の吸収性能を確保することができる。好ましくは、吸収性コア81における高吸収性ポリマーの質量比率の方が、パルプ繊維の質量比率よりも高いとよいが、パルプ繊維の質量比率が高吸収性ポリマーの質量比率以上であってもよい。
【0192】
また、第2実施形態のパッド70と同様に、サイドシート86は、融着している繊維と、交絡している繊維と、接合材により接合されている繊維のうちの少なくとも1つを有するシートとする。そうすることで、構成繊維がほぐれ難く、融着点や接合材によって剛性が高まる。そのため、着用者の動きにより吸収体80に力が掛かったり、吸収性コア81が排泄液を吸収したりしても、サイドシート86によって吸収体80の形状が維持されやすく、ヨレ難くなる。よって、吸収体80の幅方向の端部88の起立も維持されやすくなる。
【0193】
また、第2実施形態のパッド70と同様に、サイドシート86は不織布であり、吸収体80の幅方向の両端部には、不織布(サイドシート86)が配置され、吸収性コア81が配置されていないことが好ましい。そうすることで、吸収体80の幅方向の両端部が排泄後に吸収性コア81によって膨潤してしまうことを抑制できる。よって、排泄後も吸収体80が型崩れし難く、ヨレ難く、吸収体80の幅方向の端部88の起立が維持されやすくなる。
【0194】
さらに、吸収体80の幅方向の両端部において吸収性コア81が配置されていない部分では、折り返されて2層となっている不織布同士(サイドシート86同士)が接着剤A6,A7にて接合されていることが好ましい。また、幅方向における吸収体80の両端部であり、サイドシート86同士が接合されている部分に、糸ゴム87が配置されていることが好ましい。そうすることで、吸収体80の幅方向の両端部の剛性が高まり、吸収体80が型崩れし難く、ヨレ難く、吸収体80の幅方向の端部88の起立が維持されやすくなる。
【0195】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0196】
1 (軽失禁用)パッド(吸収性物品)、
10 第1吸収体、11 第1吸収性コア、12 第1肌側コアラップ、
13 第1非肌側コアラップ、14 表面シート、15 中間シート、
16 第1サイドシート(不織布,疎水性の不織布)、17 香料、
18 糸ゴム(弾性部材)、
20 第2吸収体、21 第2吸収性コア、22 第1肌側コアラップ、
23 第2非肌側コアラップ、24 バックシート、
25 第2サイドシート、
30 ずれ止め部(粘着部)、301 幅広部、302 幅狭部、
31 中央粘着部、32 サイド粘着部、
40 圧搾部、41 第1圧搾部(溝部)、42 第2圧搾部、
50 接合部、
501 幅広部(第2幅広部)、502 幅狭部(第2幅狭部)、
60 離間部、
70 パッド(吸収性物品)、71 バックシート、72 第2サイドシート、
80 吸収体、81 吸収性コア、82 肌側コアラップ、83 非肌側コアラップ、
84 表面シート、85 中間シート、86 サイドシート(不織布)、
87 糸ゴム(弾性部材)、88 端部、89 第2吸収性コア、
90 パッド(吸収性物品)、91 固定部、
F1,F2 折り部