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特開2024-160468クリーニングブレード及びその製造方法、プロセスカートリッジ、並びに画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160468
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】クリーニングブレード及びその製造方法、プロセスカートリッジ、並びに画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
G03G21/00 318
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075485
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】東海 一真
(72)【発明者】
【氏名】庄子 直子
(72)【発明者】
【氏名】重里 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】大森 匡洋
(72)【発明者】
【氏名】木村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽介
(72)【発明者】
【氏名】山下 順
(72)【発明者】
【氏名】佐々 裕介
(72)【発明者】
【氏名】下河 満帆
(72)【発明者】
【氏名】森 俊樹
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GA06
2H134GB02
2H134HD01
2H134HD04
2H134HD05
2H134HD19
2H134HD20
2H134KD08
2H134KE02
2H134KE04
2H134KH15
(57)【要約】
【課題】クリーニング性に優れ、かつ捲れの発生を抑制することができるクリーニングブレードの提供。
【解決手段】
弾性部材、及び被覆層を有するクリーニングブレードであって、前記クリーニングブレードは、前記クリーニングブレードの先端稜線部を、被清掃部材の表面に当接して残留物を除去するクリーニングブレードであって、前記被覆層は、前記先端稜線部を含み、かつ前記弾性部材の厚み方向に平行なクリーニングブレード先端面、及び前記先端稜線部を含み、かつ前記被清掃部材と対向するクリーニングブレード下面に設けられ、前記クリーニングブレード先端面における前記被覆層の平均厚みは、前記先端稜線部から離れるにつれて増加することを特徴とするクリーニングブレードである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性部材、及び被覆層を有するクリーニングブレードであって、
前記クリーニングブレードは、前記クリーニングブレードの先端稜線部を、被清掃部材の表面に当接して残留物を除去するクリーニングブレードであって、
前記被覆層は、前記先端稜線部を含み、かつ前記弾性部材の厚み方向に平行なクリーニングブレード先端面、及び前記先端稜線部を含み、かつ前記被清掃部材と対向するクリーニングブレード下面に設けられ、
前記クリーニングブレード先端面における前記被覆層の平均厚みは、前記先端稜線部から離れるにつれて増加することを特徴とするクリーニングブレード。
【請求項2】
前記クリーニングブレード先端面の、前記先端稜線部から0.02mmの距離における前記被覆層の平均厚みは、0.5μm以上3μm以下であり、
前記クリーニングブレード先端面の、前記先端稜線部から0.1mmの距離における前記被覆層の平均厚みは、1μm以上7μm以下であり、
前記クリーニングブレード先端面の、前記先端稜線部から0.3mmの距離における前記被覆層の平均厚みは、3μm以上10μm以下である、請求項1に記載のクリーニングブレード。
【請求項3】
前記被覆層は、第一フッ素樹脂と、前記第一フッ素樹脂に非相溶の第二フッ素樹脂とを含む、請求項1に記載のクリーニングブレード。
【請求項4】
請求項1に記載のクリーニングブレードの製造方法であって、
弾性部材を被覆液に浸漬する浸漬工程と、
前記被覆液から前記弾性部材を引き上げる引き上げ工程と、を含み、
前記浸漬工程における、前記被覆液面とクリーニングブレード先端面とのなす角が5°以上45°以下であることを特徴とするクリーニングブレードの製造方法。
【請求項5】
前記被覆液は、第一フッ素樹脂と、前記第一フッ素樹脂に非相溶の第二フッ素樹脂と、フッ素系不活性液とを含む、請求項4に記載のクリーニングブレードの製造方法。
【請求項6】
前記第一フッ素樹脂及び前記第二フッ素樹脂の総含有量は、前記被覆液全量に対して5質量%以上10質量%以下であり、
前記フッ素系不活性液の含有量は、前記被覆液全量に対して90質量%以上95質量%以下である、請求項5に記載のクリーニングブレードの製造方法。
【請求項7】
前記被覆液における前記第一フッ素樹脂、前記第二フッ素樹脂、及び前記フッ素系不活性液の含有量を計測する計測工程を含み、
前記計測工程で得られた結果に基づいて、前記引き上げ工程における前記弾性部材の引き上げ速度を調整する、請求項6に記載のクリーニングブレードの製造方法。
【請求項8】
前記被覆液における前記第一フッ素樹脂、前記第二フッ素樹脂、及び前記フッ素系不活性液の含有量を計測する計測工程を含み、
前記計測工程で得られた結果に基づいて、前記フッ素系不活性液を補充し、前記被覆液における前記第一フッ素樹脂、前記第二フッ素樹脂、及び前記フッ素系不活性液の含有量を調整する、請求項6に記載のクリーニングブレードの製造方法。
【請求項9】
請求項1から3のいずれかに記載のクリーニングブレードを有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1から3のいずれかに記載のクリーニングブレードを有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングブレード及びその製造方法、プロセスカートリッジ、並びに画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、記録媒体又は中間転写体に対してトナー像転写後の像担持体(被清掃部材という場合もある)表面に付着した残留トナーは、クリーニング手段によって除去される。当該クリーニング手段としては、構成が簡単であり、かつクリーニング性能も優れていることから、クリーニングブレードが広く用いられている。
クリーニングブレードは、通常、ポリウレタンゴム等からなる弾性部材と、支持部材とから構成されており、弾性部材の基端を支持部材で支持し、弾性部材の当接部(先端稜線部)を像担持体表面に押し当てて、像担持体表面に残留するトナーを堰き止めることにより、トナーを掻き落として除去している。
【0003】
前記クリーニングブレードとしては、クリーニングブレードが像担持体に圧接する領域に、粉体潤滑剤を塗布したクリーニングブレードが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、弾性体ブレードのブレード下面の少なくとも先端稜線部付近と、先端面の少なくとも先端稜線部付近とに、それぞれマルテンス硬度が50N/mm以上600N/mm以下の樹脂材からなる表面層を形成し、ブレード下面の先端稜線部から20μm離れた位置での表面から測定したマルテンス硬度、及びブレード先端面の先端稜線部から20μm離れた位置での表面から測定したマルテンス硬度を、1.8N/mm以上12N/mm以下とするクリーニングブレードが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、クリーニング性に優れ、かつ捲れの発生を抑制することができるクリーニングブレードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明のクリーニングブレードは、
弾性部材、及び被覆層を有するクリーニングブレードであって、
前記クリーニングブレードは、前記クリーニングブレードの先端稜線部を、被清掃部材の表面に当接して残留物を除去するクリーニングブレードであって、
前記被覆層は、前記先端稜線部を含み、かつ前記弾性部材の厚み方向に平行なクリーニングブレード先端面、及び前記先端稜線部を含み、かつ前記被清掃部材と対向するクリーニングブレード下面に設けられ、
前記クリーニングブレード先端面における前記被覆層の平均厚みは、前記先端稜線部から離れるにつれて増加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、クリーニング性に優れ、かつ捲れの発生を抑制することができるクリーニングブレードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明のクリーニングブレードの一実施形態における概略斜視図、及び先端稜線部近傍の拡大図である。
図2図2は、本発明のクリーニングブレードにおける先端稜線部付近の一例を示す拡大断面図である。
図3図3は、本発明のクリーニングブレードにおける被覆層の平均厚さの測定位置の一例を示す概略図である。
図4A図4Aは、浸漬角度が0°(θ=0)であるときの浸漬工程の一例を示す説明図である。
図4B図4Bは、浸漬角度が30°(θ=30)であるときの浸漬工程の一例を示す説明図である。
図4C図4Cは、浸漬角度が50°(θ=50)であるときの浸漬工程の一例を示す説明図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るディッピング装置の概略構成図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る作像ユニットの概略構成図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
クリーニングブレードを用いたクリーニング手段では、クリーニングブレードと像担持体との間に生じる摩擦により、像担持体を回転させるために必要な力であるトルクが上昇することに起因して、像担持体の回転が停止するといった問題点が懸念されている。また、クリーニングブレードと像担持体との摺擦による当接部(先端稜線部)の摩擦抵抗に起因して、当接部が捲れ、その捲れた部分からトナーがすり抜けることで、結果的にクリーニング不良となる不具合も懸念されている。
【0009】
これらの不具合を解消する目的で、上記特許文献1に記載されている発明のように、クリーニングブレードの当接部に潤滑剤を塗布する方法や、クリーニングブレードの当接部を硬化性組成物等により改質する方法などが提案されている。また、画像形成装置の組み立て時、及び前記クリーニングブレードの交換時に、クリーニングブレードにおける当接部に対してトナー又はステアリン酸亜鉛等の金属石鹸を塗布する工程(タッチアップ)を行い、上記不具合を防ぐ方法も知られている。
【0010】
クリーニングブレードと被清掃部材との摩擦抵抗を低く保ち、捲れを防止するためには、当該クリーニングブレードに塗布される潤滑剤塗膜に適度な厚みが必要である。しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の発明を含む従来技術においては、当該クリーニングブレードの先端稜線部付近に、過度な厚みを有する潤滑剤塗膜が形成されてしまう場合がある。すると、当該クリーニングブレードと、被清掃部材との当接状態が不均一となるため、除去されるべきトナーがすり抜けてしまうという問題点が懸念されている。
【0011】
本発明者らが鋭意検討したところ、クリーニングブレード先端面における被覆層の平均厚みが、先端稜線部から離れるにつれて増加するような構成とすることで、優れたクリーニング性と、捲れ発生防止機能とを両立することができるということを知見した。
通常、画像形成装置の稼働に伴い、クリーニングブレードと像担持体との間には、徐々にトナー及びマルスが留まり、潤滑剤として機能する。そのため、当該クリーニングブレードには、画像形成装置が稼働してからクリーニングブレードの挙動が安定するまでの僅かな期間において、潤滑特性を示す程度の膜厚を持った被覆層が設けられていればよい。一方、クリーニング性の観点からは、当該クリーニングブレードの先端稜線部の当接状態を均一とするために、被覆層の膜厚は薄いほうが好ましい。
本発明は、弾性部材上に形成される被覆層の厚さを、先端稜線部からの距離に応じて傾斜を設けた構成とすることで、先端稜線部においては当接状態を均一に保ち、トナーすり抜けを防止するとともに、トナー及びマルスが当接部に十分に供給されるまでの間、クリーニングブレードと被清掃部材表面との摩擦抵抗を低く保ち、捲れの発生をも防止することができる。
【0012】
以下に、本発明の詳細を記載する。
【0013】
(クリーニングブレード)
本発明のクリーニングブレードは、弾性部材、及び被覆層を有するクリーニングブレードであって、前記クリーニングブレードは、前記クリーニングブレードの先端稜線部を、被清掃部材の表面に当接して残留物を除去するクリーニングブレードであって、前記被覆層は、前記先端稜線部を含み、かつ前記弾性部材の厚み方向に平行なクリーニングブレード先端面、及び前記先端稜線部を含み、かつ前記被清掃部材と対向するクリーニングブレード下面に設けられ、前記クリーニングブレード先端面における前記被覆層の平均厚みは、前記先端稜線部から離れるにつれて増加する。前記クリーニングブレードは、必要に応じて、その他の部材を有していてもよい。
本明細書において、当該「クリーニングブレード」は「ブレード」と称されることがあり、当該「クリーニングブレード先端面」は「ブレード先端面」と称されることがあり、当該「クリーニングブレード下面」は「ブレード下面」と称されることがあり、当該「先端稜線部」は「エッジ部」と称されることがある。
【0014】
前記被清掃部材の構造、及び大きさとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
前記被清掃部材の材質としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、プラスチック、セラミックなどが挙げられる。
前記被清掃部材の形状としては、例えば、ドラム状、ベルト状、平板状、シート状などが挙げられる。
前記被清掃部材としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、前記クリーニングブレードを画像形成装置に適用した場合には、例えば、像担持体などが挙げられる。
【0015】
前記残留物としては、前記被清掃部材の表面に付着しており、前記クリーニングブレードの除去対象となるものであれば特に制限はなく、例えば、トナー、潤滑剤、無機微粒子、有機微粒子、ゴミ、埃又はこれらの混合物などが挙げられる。
【0016】
ここで、本発明におけるクリーニングブレードの一実施形態及び他の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明のクリーニングブレードの用途は、これらの実施形態に何ら限定されるものではない。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
【0017】
図1
図1は、本発明のクリーニングブレードの一実施形態における概略斜視図、及び先端稜線部近傍の拡大図である。
クリーニングブレード62は、支持部材としての、金属や硬質プラスチック等の剛性材料からなる短冊形状のホルダー621と、弾性部材としての、短冊形状の弾性ブレード622とで構成されている。
クリーニングブレード62は、先端稜線部62cが長手方向に沿って、被清掃部材の表面に当接するように配置されている。
【0018】
弾性ブレード622は、クリーニングブレード先端面62aと、クリーニングブレード下面62bと、弾性ブレード622の自由端側の一端である先端稜線部62cと、クリーニングブレード側面62dとを有し、先端稜線部62cを含む被覆層623を有している。
被覆層623は、先端稜線部62cを含み、かつ弾性ブレード622の厚み方向に平行なクリーニングブレード先端面62a、及び先端稜線部62cを含み、かつ被清掃部材と対向するクリーニングブレード下面62bに設けられている。
弾性ブレード622は、ホルダー621の一端側に接着剤などにより固定されており、ホルダー621の他端側は、クリーニング装置のケース等に片持ち支持されている。
【0019】
図2
図2は、本発明のクリーニングブレードにおける先端稜線部付近の拡大断面図の一例である。
弾性ブレード622は、ブレード先端面62aと、ブレード下面62bと、弾性ブレード622の自由端側の一端である先端稜線部62cと、先端稜線部62cを含むブレード先端面62a、及び先端稜線部62cを含むブレード下面62bに被覆層623とを有している。
図2中のDは、クリーニングブレード先端面62aの先端稜線部62cからの距離を示す。
【0020】
<弾性部材>
前記弾性部材の形状としては、前記被清掃部材上の前記残留物を除去できる構造であればよく、目的に応じて適宜選択することができるが、当該弾性部材と当該被清掃部材との当接部における当接辺が直線状であることが好ましく、板状、短冊状であることがより好ましい。
【0021】
前記弾性部材の材質としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、被清掃部材の偏心や、被清掃部材の表面の微小なうねり等に追随できるように、高い反発弾性率を有するものが好ましい。
より具体的には、当該弾性部材のJIS K6255規格に準拠した反発弾性率としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、23℃で10%~80%であることが好ましい。
当該反発弾性係数が所望の範囲内であることにより、前記弾性部材全体の柔軟性がなくなり、像担持体の振れや粗さに追従できなくなることによって生じるクリーニング不良や、反発が強くなりすぎてブレード鳴き(異音)が生じてしまうといった不具合を解消することができ好適である。
【0022】
前記弾性部材の反発弾性率の測定方法としては、特に制限はなく、例えば、JIS K6255規格に準拠し、23℃において、No.221レジリエンステスタ(株式会社東洋精機製作所製)を用いて測定することができる。
【0023】
前記弾性材料の具体例としては、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロプレンジエンゴム(EPDM)などが挙げられる。これらの中でも、耐久性や非汚染性の観点から、ポリウレタンゴムが好ましい。
【0024】
前記弾性部材の材質がウレタンゴムである場合、当該ウレタンゴムのマルテンス硬度としては、0.6N/mm超過1.5N/mm以下であることが好ましい。
当該ウレタンゴムのマルテンス硬度が0.6N/mm超過であると、重合トナーに対するクリーニング性を向上させるため、当接圧を高く設定した場合に、クリーニングブレード62の反りを抑制することができ好適である。具体的には、当該クリーニングブレード62が反ることによって、ブレード下面62bが前記被清掃部材と当接する、所謂腹当たり現象が生じ、クリーニングブレード62と被清掃部材表面との当接面積が急激に増大した結果、当接圧は小さくなりクリーニング性が低下してしまうといった問題を解消することができる。
特に、クリーニングの先端稜線部に被覆層を有する本発明の構成においては、上記現象が顕著に生じる場合があるため、前記ウレタンゴムのマルテンス硬度は、上記の数値範囲にあることが好ましい。
【0025】
前記マルテンス硬度の測定方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ISO14577に基づき、ナノインデンター(ENT-3100、エリオニクス社製)を用いて、バーコビッチ圧子を1,000μNの荷重で10秒間押し込み、5秒間保持し、同じ荷重速度で10秒間引き抜いて測定することができる。
前記マルテンス硬度の測定場所としては、特に制限はないが、例えば、成型後のシートをブレード化した先端稜線部から20μm離れた位置とすることができる。なお、本明細書における「マルテンス硬度」は、各測定場所のマルテンス硬度を4~6点測定し、得られた数値の平均値を示したものである。
【0026】
前記弾性部材の構造としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造、積層構造、及び複数の部材を組み合わせた積層構造などが挙げられる。これらの中でも、クリーニングブレードへの加工が容易であるという観点から、単層構造、及び複数の部材を積層した積層構造であることが好ましい。
前記弾性部材が、それぞれ異なる材質からなる層を積層した2層構造である場合、前記被清掃部材に対して当接する層(当接層)、及び前記被清掃部材に対して当接しない層(反当接層)の材質としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、当該当接層の材質としては、上記の通りウレタンゴムであることが好ましい。
前記当接層、及び前記反当接層におけるマルテンス硬度は、上記の通り0.6N/mm超過1.5N/mm以下であることが好ましい。
【0027】
前記弾性部材の大きさとしては、特に制限はなく、前記被清掃部材の大きさに応じて適宜選択することができる。
【0028】
[弾性部材の製造方法]
前記弾性部材の製造方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを用いてポリウレタンプレポリマーを調製し、当該ポリウレタンプレポリマーに硬化剤、必要に応じて硬化触媒を添加後、所定の型内を用いて遠心成型し、常温で放置することで熟成(養生)させたものを所定の寸法にて、平板状に裁断することにより得ることができる。
【0029】
―ポリオール化合物―
前記ポリオール化合物としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高分子量ポリオール、低分子量ポリオールなどが挙げられる。
【0030】
前記高分子量ポリオールとしては、例えば、アルキレングリコールと脂肪族二塩基酸との縮合体であるポリエステルポリオール;エチレンアジペートエステルポリオール、ブチレンアジペートエステルポリオール、ヘキシレンアジペートエステルポリオール、エチレンプロピレンアジペートエステルポリオール、エチレンブチレンアジペートエステルポリオール、エチレンネオペンチレンアジペートエステルポリオール等のアルキレングリコールとアジピン酸とのポリエステルポリオール等のポリエステル系ポリオール;カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンエステルポリオール等のポリカプロラクトン系ポリオール;ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール等のポリエーテル系ポリオールなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記低分子量ポリオールとしては、例えば、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノン-ビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフエニルメタン、4,4’-ジアミノジフエニルメタン等の二価アルコール;1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシエトキシメチル)プロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の三価又はそれ以上の多価アルコールなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
―ポリイソシアネート化合物―
前記ポリイソシアネート化合物としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
―硬化剤―
前記硬化剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミン類、アルコール類などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化剤は、例えば、前記弾性部材の硬度を調整するために用いることもできる。
【0034】
―硬化触媒―
前記硬化触媒としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾールなどが挙げられる。
前記硬化触媒の含有量は、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、プレポリマー及び硬化剤の総質量に対して、0.01質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.3質量%以下がより好ましい。
【0035】
<被覆層>
前記被覆層は、第一フッ素樹脂と、当該第一フッ素樹脂に非相溶な第二フッ素樹脂とを含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。
前記被覆層は、前記先端稜線部を含み、かつ前記弾性部材の厚み方向に平行なクリーニングブレード先端面、及び前記先端稜線部を含み、かつ前記被清掃部材と対向するクリーニングブレード下面に設けられた層のことを示す。
前記被覆層は、前記弾性部材上において、前記ブレードと前記被清掃部材とが当接する当接辺を含む少なくとも一部に形成されていてもよく、当該当接辺の全体に形成されてもよく、当該弾性部材の全面に形成されていてもよい。
【0036】
前記クリーニングブレードにおける被覆層は、以下(1)~(3)の特徴を有することが好ましい。
(1)クリーニングブレード先端面の、先端稜線部から0.02mmの距離における被覆層の平均厚みは、0.5μm以上3μm以下である。
(2)クリーニングブレード先端面の、先端稜線部から0.1mmの距離における被覆層の平均厚みは、1μm以上7μm以下である。
(3)クリーニングブレード先端面の、先端稜線部から0.3mmの距離における被覆層の平均厚みは、3μm以上10μm以下である。
換言すると、本発明のクリーニングブレードは、前記ブレード先端面における被覆層の平均厚みが、当該クリーニングブレードの先端稜線部においては薄く、当該先端稜線部から離れるにつれて厚くなるような構成であることが好ましい。具体的には、当該被覆層は、当該先端稜線部から離れるにつれて前記被覆層の平均厚みが連続的に増加する傾斜構造を有していてもよいし、当該先端稜線部から離れるにつれて前記被覆層の平均厚みが段階的に増加する階段構造を有していてもよいが、傾斜構造が好ましい。なお、詳細は後述するが、当該被覆層の平均厚みは、例えば、前記ブレード先端面と、被覆液面とのなす角、及び当該被覆液から前記ブレードを引き上げる際の引き上げ速度を変更することによって調整することができる。
本明細書においては、「クリーニングブレード先端面の、先端稜線部からの距離」を「D」と称することがある。例えば、「Dが0.02mmであるときの被覆層の平均厚み」は、「クリーニングブレード先端面の、先端稜線部から0.02mの距離における被覆層の平均厚み」と読み替えることができる。
【0037】
前記被覆層の平均厚さの測定方法としては、特に制限はないが、例えば、スパチュラや綿棒等を用いて当該被覆層の一部を削り取り、接触式表面粗さ計(サーフテストSJ-500:ミツトヨ製)や、レーザー顕微鏡(LEXT OLS4100:オリンパス社製)等の3次元測定機を用いて形状測定を行うことで、測定することができる。より具体的な測定方法としては、例えば、図3に示す通り、クリーニングブレード先端面62aの、先端稜線部62cから0.02mm離れた位置、0.1mm離れた位置、及び0.3mm離れた位置のそれぞれにおいて、クリーニングブレード側面62dから長手方向に41mm離れた位置、110mm離れた位置、178mm離れた位置、247mm離れた位置、315mm離れた位置の5箇所を測定し、得られた数値を平均化することによって得ることができる。なお、図3において、被覆層623は省略している。
【0038】
<<第一フッ素樹脂>>
本明細書における「フッ素樹脂」とは、分子中にフッ素を含む樹脂を示す。当該フッ素樹脂は、フッ素を含むオレフィン重合体であることが好ましく、当該オレフィン重合体における水素原子がフッ素原子に置換されたものがより好ましい。
本発明の一態様として、当該第一フッ素樹脂は、前記被覆層が有する海島構造におけるドメインであることが好ましい。当該第一フッ素樹脂は、ドメインとなるように、後述する第二フッ素樹脂との間で、樹脂の種類及び添加量を選択することが好ましい。
【0039】
本明細書における「非相溶」とは、混合された複数の物質同士の間に界面が存在し、完全には混ざり合わない性質を示し、「相溶」とは、混合された複数の物質同士の間に界面が存在せず、混ざり合う性質を示す。
本明細書における「非相溶な状態」とは、第一フッ素樹脂と第二フッ素樹脂との間に界面が存在している状態であり、一部が相溶している状態であってもよい。
非相溶な状態である一つの態様としては、前記被覆層が海島構造を有することが好ましい。当該海島構造とは、クリーニングブレードに形成される被覆層に含まれる一の成分の連続相を「海(以下、マトリックスと称することがある)」と表現すると、「海」中にその他の成分が「島(以下、ドメインと称することがある)」状になる構造を意味する。
本明細書における海島構造は、ドメインである前記第一フッ素樹脂と、マトリックスである前記第二フッ素樹脂とが非相溶な状態であり、相溶している部分がない状態を示す。前記被覆層が海島構造を有する場合、当該海島構造におけるドメインは、粒子であることが好ましい。
【0040】
前記ドメインの形状としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、定形であってもよく、不定形であってもよい。これらの中でも、定形であることが好ましい。
当該ドメインの形状が定形である場合、球状であることが好ましい。当該ドメインの形状が球状である場合、粒子であることが好ましい。
前記ドメインがこのような形状であることにより、前記被覆層から脱離した第一フッ素樹脂が、被清掃部材や、クリーニングブレードにおける弾性部材を損傷させるといった不具合を防止することができるため好適である。
【0041】
前記第一フッ素樹脂の体積平均粒径(50%体積径、メジアン径)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.3μm以下がさらに好ましい。
当該第一フッ素樹脂の体積平均粒径が1μm以下であると、溶剤中で沈降しやすくなり、安定して分散することが困難になるという不具合を防止することができ好適である。
当該第一フッ素樹脂の体積平均粒径が0.5μm以下であると、非水系溶剤中でより安定に分散させることができ好適である。
【0042】
前記体積平均粒径(50%体積径、メジアン径)の測定方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法、画像イメージング法などによって測定することができる。当該体積平均粒径の測定方法の具体例としては、前記クリーニングブレードの被覆層から採取した粒子をマイクロトラック(日機装株式会社製)にかけてレーザー回折・散乱法により測定する方法、走査型電子顕微鏡(SEM)を使ってクリーニングブレード上の微粒子を直接観察して計測する方法などが挙げられる。
なお、粒子の体積平均粒径は、クリーニングブレードに塗布する分散液に添加する際のものと、被覆層に存在している際のものとでは、ほとんど変化しない。
【0043】
前記第一フッ素樹脂としては、特に制限はなく目的に応じて選択でき、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン-プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシ重合体(PFA)、クロロトリフルオロエチレン共重合体(CTFE)、テトラフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(TFE/CTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などが挙げられる。これらの中でも、クリーニングブレードの摺動性をより向上させるという点で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
【0044】
前記ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、適宜合成したものでもよいし、市販品を用いてもよい。当該ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の市販品としては、例えば、商品名で、ダイニオンTF マイクロパウダー TF-9201Z、ダイニオンTF マイクロパウダー TF-9207Z(いずれも、3M社製)、Nano FLON119N、FLUORO E(いずれも、シャムロック社製)、TLP10F-1(三井・デュポンフロロケミカル社製)、KTL-500F(株式会社喜多村社製)、Algoflon L203F(SOLVAY社製)などが挙げられる。
【0045】
<<第二フッ素樹脂>>
前記被覆層が第二フッ素樹脂を含有することで、前記弾性部材に対する第一フッ素樹脂の付着力が向上し、当該被覆層の脱離を防ぐことができる。そのため、クリーニングブレードの捲れやトルクの上昇を防止することができる。
本発明の一態様として、前記第二フッ素樹脂は、当該被覆層が有する海島構造におけるマトリックスであることが好ましい。
当該第二フッ素樹脂は、マトリックスとなるように、前記第一フッ素樹脂との間で、樹脂の種類及び添加量を選択することが好ましい。
【0046】
前記第二フッ素樹脂としては、前記第一フッ素樹脂を均一かつ安定的に分散させることができれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)などが挙げられる。これらの中でも、潤滑性や弾性部材との密着性の観点から、VdF-HFP-TFEの三元共重合体が好ましい。
【0047】
前記三元共重合体におけるVdF/HFP/TFEの組成は、ブレードの柔軟性と溶媒への溶解性とを付与する点から、それぞれの単量単位で30モル%~80モル%/10モル%~35モル%/5モル%~35モル%が好ましい。
【0048】
前記第二フッ素樹脂に対して、フッ素系オイルを添加してもよい。当該フッ素系オイルを添加することで、バインダーとしての機能だけでなく、摺動機能をさらに向上することができる。
当該フッ素系オイルとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)のオリゴマーやパーフルオロエーテルを主骨格にもつものなどが挙げられる。
主骨格にパーフルオロエーテルを有するフッ素系オイルとしては、摺動性があり前記フッ素樹脂の分散を阻害しなければ、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、動粘度の観点から、平均分子量が2,000~3,500であるものが好ましい。
【0049】
前記第二フッ素樹脂と前記フッ素系オイルとの混合物を用いる場合、前記第二フッ素樹脂の含有量は、フッ素系オイルのブリードアウトによる感光体等の汚染を防止するという点で、前記混合物全質量に対して、90質量%以上99質量%以下が好ましく、95質量%以上98質量%以下がより好ましい。
【0050】
本発明における第一フッ素樹脂と第二フッ素樹脂とには、同じ材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。同じ材料を用いる場合、前記第一フッ素樹脂と前記第二フッ素樹脂とが、非相溶状態になるように製造方法を工夫することで、前記被覆層を作製可能である。例えば、予め硬化しておいた第一フッ素樹脂に対して、第二フッ素樹脂を添加し、硬化させることで、前記第一フッ素樹脂と前記第二フッ素樹脂との間に界面ができ、一部分が非相溶な前記被覆層を作製することができる。また、第一フッ素樹脂に親水性の置換基を付加し、第二フッ素樹脂に疎水性の置換基を付加したものを混合することによっても、前記被覆層を作製することができる。
【0051】
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記フッ素樹脂ではない樹脂粒子が挙げられる。なお、本明細書においては、「フッ素樹脂ではない樹脂粒子」は「その他の樹脂粒子」と称されることがある。
前記その他の樹脂粒子としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機化合物の微粒子、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂などが挙げられる。
当該無機化合物の微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニアなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
前記その他の樹脂粒子の形状としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、球状であることが好ましい。前記その他の樹脂粒子がこのような形状であることにより、前記被覆層から脱離したその他の樹脂粒子が、被清掃部材やクリーニングブレードにおける弾性部材を損傷させるといった不具合を防止できるため好適である。
【0053】
前記その他の樹脂粒子の体積平均粒径(50%体積径、メジアン径)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.3μm以下がさらに好ましい。
当該その他の樹脂粒子の体積平均粒径が1μm以下であると、溶剤中で沈降しやすくなり、安定して分散することが困難になるという不具合を防止することができ好適である。
当該その他の樹脂粒子の体積平均粒径が0.5μm以下であると、非水系溶剤中でより安定に分散させることができ好適である。
【0054】
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持部材などが挙げられる。
【0055】
―支持部材-
前記支持部材の形状としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、短冊状などが挙げられる。
前記支持部材の構造としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
前記支持部材の大きさとしては、特に制限はなく、前記被清掃部材の大きさに応じて適宜選択することができる。
前記支持部材の材質としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、プラスチック、セラミックなどが挙げられる。これらの中でも、強度の観点から金属が好ましく、ステンレススチール等の鋼、アルミニウム、リン青銅がより好ましい。
【0056】
(クリーニングブレードの製造方法)
本発明のクリーニングブレードの製造方法は、浸漬工程と、引き上げ工程とを含み、必要に応じて、計測工程、及びその他の工程を含んでいてもよい。
本発明に関するクリーニングブレードの製造装置は、浸漬手段と、引き上げ手段とを含み、必要に応じて、計測手段、及びその他の手段を含んでいてもよい。
【0057】
<浸漬工程>
前記浸漬工程は、弾性部材を被覆液に浸漬する工程である。
前記浸漬手段は、弾性部材を被覆液に浸漬する手段である。
当該浸漬工程は、当該浸漬手段によって好適に実施することができる。
なお、当該「弾性部材」は、上述の<弾性部材>の項目に記載したものと同一であるため、説明を省略する。
【0058】
<<被覆液>>
前記被覆液は、弾性部材に対して、クリーニング性に優れ、かつ捲れの発生を抑制する被覆層を形成できるものであれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、第一フッ素樹脂、第二フッ素樹脂、及びフッ素系不活性液を含むことが好ましい。
なお、当該「第一フッ素樹脂」及び当該「第二フッ素樹脂」は、上述の(クリーニングブレード)の項目に記載したものと同一であるため、説明を省略する。
【0059】
―フッ素系不活性液―
前記フッ素系不活性液としては、フッ素を含む有機溶媒であれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、パーフルオロカーボン(PFC)、パーフルオロエーテル(PFE)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記被覆液が、前記第一フッ素樹脂、前記第二フッ素樹脂、及び前記フッ素系不活性液を含む場合、前記第一フッ素樹脂及び前記第二フッ素樹脂の総含有量は、前記被覆液全量に対して5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、前記フッ素系不活性液の含有量は、前記被覆液全量に対して90質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
前記被覆液における各成分の含有量が上記数値範囲であることにより、当該被覆液の粘度を適切に調整することができ、所望の平均厚みをもった被覆層を形成することができ好適である。
【0061】
前記被覆液の粘度としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、適切な平均厚みを有する被覆層が得られる観点から、1.75mPa・s以上1.95mPa・s以下であることが好ましい。
当該粘度の測定方法としては、特に制限されないが、例えば、振動式粘度計(株式会社セコニック製)によって測定することができる。
【0062】
本発明のクリーニングブレードの製造方法においては、前記浸漬工程における、前記被覆液面と、前記クリーニングブレード先端面とのなす角が5°以上45°以下であることを特徴とする。本明細書において「被覆液面と、クリーニングブレード先端面とのなす角」は、「浸漬角度」と称されることがある。より具体的には、当該浸漬角度は、図4A図4Cに示されている通り、被覆液600の液面と、クリーニングブレード先端面62aとのなす角(θ)を示す。
なお、図4Aは、浸漬角度が0°(θ=0)であるときの浸漬工程の一例を示す説明図であり、図4Bは、浸漬角度が30°(θ=30)であるときの浸漬工程の一例を示す説明図であり、図4Cは、浸漬角度が50°(θ=50)であるときの浸漬工程の一例を示す説明図である。
【0063】
前記浸漬角度としては、優れたクリーニング性、及び捲れの発生を防止することができるクリーニングブレードを得られる観点から、5°以上45°以下であることが好ましく、30°であることがより好ましい。
【0064】
<引き上げ工程>
前記引き上げ工程は、被覆液から弾性部材を引き上げる工程である。
前記引き上げ手段は、被覆液から弾性部材を引き上げる手段である。
当該引き上げ工程は、当該引き上げ手段によって好適に実施することができる。
なお、当該「弾性部材」は、上述の<弾性部材>の項目に記載したものと同一であり、当該「被覆液」は、上述の<<被覆液>>の項目に記載したものと同一であるため、説明を省略する。
【0065】
前記引き上げ工程における、被覆液から弾性部材を引き上げる速度としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、優れたクリーニング性、及び捲れの発生を防止することができるクリーニングブレードを得られる観点から、5mm/s以上45mm/s以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、「被覆液から弾性部材を引き上げる速度」は「引き上げ速度」と称されることがある。
【0066】
<計測工程>
前記計測工程は、被覆液における第一フッ素樹脂、第二フッ素樹脂、及びフッ素系不活性液の含有量を測定する工程である。
前記計測手段は、被覆液における第一フッ素樹脂、第二フッ素樹脂、及びフッ素系不活性液の含有量を測定する手段である。
当該計測工程は、当該計測手段によって好適に実施することができる。
なお、当該「被覆液」、当該「第一フッ素樹脂」、当該「第二フッ素樹脂」、及び当該「フッ素系不活性液」は、上述の(クリーニングブレード)及び<<被覆液>>の項目に記載したものと同一であるため、説明を省略する。
【0067】
前記計測方法としては、被覆液における各成分の含有量を計測することができれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、JIS K 5601-1-2 第2節に記載の加熱残分に基づく測定方法などが挙げられる。
【0068】
前記計測工程によって得られた結果に基づき、前記被覆液に対して、前記フッ素系不活性液を補充し、前記被覆液における前記第一フッ素樹脂、前記第二フッ素樹脂、及び前記フッ素系不活性液の含有量を調整することができる。
また、前記計測工程によって得られた結果に基づき、前記引き上げ工程における前記弾性部材の引き上げ速度を調整することができる。
前記被覆液に含まれるフッ素系不活性液は、揮発性であるため、当該被覆液における各成分の含有量(割合)は、継時で変動する。当該フッ素系不活性液が揮発し、当該被覆液における前記第一フッ素樹脂、及び前記第二フッ素樹脂の含有量(割合)が増加すると、当該被覆液の粘度が増大する場合がある。
そのため、前記被覆液に対して、前記フッ素系不活性液を補充することで、当該被覆液を適切な粘度に保つとともに、当該被覆液の粘度に応じて引き上げ速度を調整することで、より高精度かつ安定して被覆層を形成することができる。
【0069】
ここで、本発明のクリーニングブレードの製造方法の一例について図面を参照して説明する。
【0070】
図5
図5は、本発明の実施形態に係るディッピング装置の概略構成図である。
ディッピング装置は、ストレージタンク201、被覆液600、潤滑ポンプ203、塗工槽204、撹拌機205、粘度計206、フッ素系不活性液207、フィルター208、冷却ジャケット209、フード210、蒸気槽211、昇降機213などを有している。
ストレージタンク201には被覆液600が格納されており、当該被覆液600は、循環ポンプ203により塗工槽204へ送液される。塗工槽204からオーバーフローした被覆液600は、再びストレージタンク201に戻されることで循環している。循環経路上には、フィルター208が設けられており、被覆液600内の異物を除去している。
ストレージタンク201には、撹拌機205が付随し、被覆液600を撹拌することにより、第一フッ素樹脂及び第二フッ素樹脂の沈降を防いでいる。ストレージタンク201には、粘度計206が付随し、被覆液600の粘度を計測することで当該被覆液600に含まれる各成分の割合を間接的に計測している。その測定結果に応じて、被覆液600に対してフッ素系不活性液207を随時添加し、各成分の割合を一定に保つことができる。
ストレージタンク201の周囲には、冷却ジャケット209が設けられており、取り付け冷水により温度を一定に保っている。塗工槽204の周囲には、フード210を設置し、蒸気槽211を形成することでフッ素系不活性液の揮発を抑制している。
弾性部材622は昇降機213により保持されており、塗工槽204内の被覆液600に浸漬後、引き上げることによってディッピング塗装を実施する。
【0071】
(画像形成装置、及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、クリーニング手段としてクリーニングブレードを有し、必要に応じて、像担持体と、前記像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、その他の手段とを有していてもよい。
本発明に関する画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、クリーニング工程と、その他の工程とを含んでいてもよい。なお、当該帯電工程と当該露光工程とを合わせて、静電潜像形成工程と称することもある。
なお、当該「クリーニングブレード」は、上述の(クリーニングブレード)の項目に記載したものと同一であるため、説明を省略する。
当該画像形成方法は、当該画像形成装置により好適に実施することができ、当該帯電工程は当該帯電手段により好適に実施することができ、当該露光工程は当該露光手段により好適に実施することができ、当該現像工程は当該現像手段により好適に実施することができ、当該転写工程は当該転写手段により好適に実施することができ、当該定着工程は当該定着手段により好適に実施することができ、当該クリーニング工程は当該クリーニング手段により好適に実施することができ、当該その他の工程は、当該その他の手段により好適に行うことができる。
【0072】
<像担持体>
前記像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体などが挙げられる。
前記有機感光体としては、アルミドラム等の支持体上に、無金属フタロシアニンやチタニルフタロシアニン等の電荷発生材料をバインダー樹脂に分散させた層(電荷発生層)と電荷輸送材料をバインダー樹脂に分散させた層(電荷輸送層)を積み重ねた積層構造を有する積層型感光体や、支持体上に電荷発生材料及び電荷輸送材料の両方をバインダー樹脂に分散させた単層構造の感光層を有する単層型感光体などが挙げられる。当該単層型感光体では、感光層に電荷輸送材料として正孔輸送剤及び電子輸送剤を添加することもできる。また、支持体と、積層型の電荷発生層や単層型の感光層との間に、下引き層を設けてもよい。
【0073】
<帯電工程及び帯電手段>
前記帯電工程は、前記像担持体の表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段により行われる。
前記帯電手段としては、前記像担持体の表面を帯電させることができるものであれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
前記帯電手段の形状としては、例えば、ローラ、磁気ブラシ、ファーブラシ等のどのような形態をとってもよく、電子写真方式の画像形成装置の仕様及び形態にあわせて選択可能である。
前記帯電手段として磁気ブラシを用いる場合、前記磁気ブラシは、例えば、Zn-Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電手段として用い、当該帯電手段を支持させるための非磁性の導電スリーブ、前記導電スリーブに内包されるマグネットロールによって構成される。
前記帯電手段としてブラシを用いる場合、例えば、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーをファーブラシの材質として用いて、金属又は他の導電処理された芯金に巻き付けたり、張り付けたりすることで帯電器とすることができる。
【0074】
前記帯電器は、上記のような接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られる点で好ましい。
前記帯電器が像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって像担持体表面を帯電するものが好ましい。
また、前記帯電器が、像担持体にギャップテープを有し、非接触に近接配置された帯電ローラであり、前記帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって像担持体表面を帯電するものも好ましい。
【0075】
<露光工程及び露光手段>
前記露光工程は、帯電された前記像担持体の表面を露光する工程であり、前記露光手段により行われる。当該露光は、例えば、当該露光手段を用いて前記像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
露光における光学系は、アナログ光学系とデジタル光学系とに大別される。当該アナログ光学系は、原稿を光学系により像担持体の表面に直接投影する光学系である。当該デジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、当該電気信号を光信号に変換して像担持体を露光し作像する光学系である。
前記露光手段としては、帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成することができる限り、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0076】
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像を前記トナー像に現像する工程であり、前記現像手段により行われる。
前記現像手段としては、前記静電潜像をトナー像に現像することができれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に前記トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものなどが挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式又は湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器又は多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるものなどが挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと、必要に応じてキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により前記トナーが帯電し、回転する前記マグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。
前記マグネットローラは、前記像担持体の近傍に配置されているため、前記マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、前記静電潜像の電気的な吸引力によって前記像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が前記トナーにより現像されて前記像担持体の表面に前記トナー像が形成される。
前記現像器に収容させるトナーは、前記トナーを含む現像剤であってもよく、前記現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
なお、前記トナーはキャリアを使用しない一成分系の磁性トナー、或いは非磁性トナーとしても用いることができる。
【0077】
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記トナー像を記録媒体に転写する工程であり、前記転写手段により行われる。
前記転写工程としては、例えば、中間転写体を用い、前記トナー像を前記中間転写体の表面に転写して複合転写像を形成する1次転写工程と、前記複合転写像を記録媒体に転写する2次転写工程とを含む態様が好ましい。
前記転写手段としては、前記トナー像を記録媒体に転写可能であれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、前記トナー像を前記中間転写体の表面に転写して複合転写像を形成する1次転写手段と、前記複合転写像を記録媒体に転写する2次転写手段とを有する態様が好ましい。
前記1次転写手段及び前記2次転写手段としては、例えば、前記像担持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に剥離帯電させる転写器を少なくとも有するものが好ましい。
前記転写器としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。前記転写器は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0078】
前記記録媒体としては、現像後の未定着の前記トナー像を転写可能なものであれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、代表的には普通紙であるが、例えば、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0079】
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程は、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着させる工程であり、前記定着手段により行われる。なお、2色以上のトナーを用いる場合は、各色のトナーが記録媒体に転写される毎に定着させてもよいし、全色のトナーが記録媒体に転写されて積層された状態で定着させてもよい。
前記定着手段としては、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着させることができれば特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、公知の加熱加圧手段を用いた熱定着方式を採用することができる。
前記加熱加圧手段としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱ローラと加圧ローラとを組合せたもの、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとを組合せたものなどが挙げられる。
加熱温度としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、80℃~200℃が好ましい。なお、必要に応じて、前記定着手段とともに、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0080】
<クリーニング工程及びクリーニング手段>
前記クリーニング工程は、前記像担持体の表面に残留する前記トナーを除去する工程であり、前記クリーニング手段により行われる。
前記クリーニング手段としては、本発明のクリーニングブレードが支持部材に固定されたものが用いられる。
【0081】
本発明のクリーニングブレードが前記像担持体の表面に加える前記線圧としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、10N/m以上100N/m以下が好ましく、10N/m以上50N/m以下がより好ましい。
当該線圧が10N/m以上100N/m以下であると、前記トナーが前記先端稜線部と前記被清掃部材との間をすり抜けるクリーニング不良が発生しにくくなるとともに、前記クリーニングブレードの捲れを抑制することができるため好適である。
なお、前記線圧は、例えば、共和電業株式会社製の小型圧縮型ロードセルを組み込んだ測定装置を用いて測定することができる。
【0082】
本発明のクリーニングブレードにおける前記先端稜線部が当接する位置における、前記像担持体の接線と前記ブレード先端面とのなす角(以下、「クリーニング角度」と称することがある)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、65°以上85°以下であることが好ましい。
前記クリーニング角度が65°以上85°以下であると、前記ブレードの捲れの発生を抑制しやすくなるとともに、クリーニング不良の発生が抑制されるため好適である。
【0083】
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、除電工程、リサイクル工程、制御工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
【0084】
<<除電工程及び除電手段>>
前記除電工程は、前記像担持体に対し除電バイアス電圧を印加して除電を行う工程であり、前記除電手段により行われる。
前記除電手段としては、前記像担持体に対し除電バイアス電圧を印加することができれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電ランプなどが挙げられる。
【0085】
<<リサイクル工程及びリサイクル手段>>
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、前記リサイクル手段により行われる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、公知の搬送手段などが挙げられる。
【0086】
<<制御工程及び制御手段>>
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により行われる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器などが挙げられる。
【0087】
ここで、本発明における画像形成装置の一例について図面を参照して説明する。
【0088】
図6
図6は、本発明の実施形態に係るプリンタ(画像形成装置)の概略構成図である。
プリンタ500は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kとそれぞれ称することがある)用の4つの作像ユニット1Y、作像ユニット1C、作像ユニット1M、及び作像ユニット1K(これらをまとめて「各作像ユニット1」と称することがある)を備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY、M、C、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
【0089】
4つの各作像ユニット1の上方には、中間転写体としての中間転写ベルト14を備える転写ユニット60が配置されている。各作像ユニット1が備える感光体3Y、感光体3C、感光体3M、及び感光体3K(これらをまとめて「各感光体3」と称することがある)の表面上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト14の表面上に重ね合わせて転写される構成である。
【0090】
4つの各作像ユニット1の下方には、光書込ユニット40が配設されている。潜像形成手段としての光書込ユニット40は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各作像ユニット1の各感光体3に照射する。これにより、各感光体3上にY、C、M、K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット40は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー41によって偏向させながら、複数の光学レンズやミラーを介して各感光体3に照射するものである。かかる構成のものに代えて、LDEアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
【0091】
光書込ユニット40の下方には、第一給紙カセット151、及び第二給紙カセット152が鉛直方向に重なるように配設されている。これらの給紙カセット内には、それぞれ、記録媒体である転写紙Pが複数枚重ねられた紙束の状態で収容されており、一番上の転写紙Pには、第一給紙ローラ151a、第二給紙ローラ152aがそれぞれ当接している。
第一給紙ローラ151aが、図示しない駆動手段によって図6中反時計回りに回転駆動しながら、第一給紙カセット151内の一番上の転写紙Pが、カセットの図6中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路153に向けて排出される。また、第二給紙ローラ152aが、図示しない駆動手段によって図6中反時計回りに回転駆動すると、第二給紙カセット152内の一番上の転写紙Pが、給紙路153に向けて排出される。
【0092】
給紙路153内には、複数の搬送ローラ対154が配設されている。給紙路153に送り込まれた転写紙Pは、これら搬送ローラ対154のローラ間に挟み込まれながら、給紙路153内を図6中下側から上側に向けて搬送される。
給紙路153の搬送方向下流側端部には、レジストローラ対55が配設されている。レジストローラ対55は、転写紙Pを搬送ローラ対154から送られてくる転写紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の二次転写ニップに向けて送り出す。
【0093】
図7
図7は、本発明の実施形態に係る作像ユニットの概略構成図である。
図7に示すように、作像ユニット1は、像担持体としてのドラム状の感光体3を備えている。図7中、感光体3はドラム状に示されているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
感光体3の周囲には、帯電ローラ4、現像装置5、一次転写ローラ7、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10、及び不図示の除電ランプ等が配置されている。
帯電ローラ4は、帯電手段としての帯電装置が備える帯電部材であり、現像装置5は、感光体3の表面上に形成された潜像をトナー像化する現像手段である。
一次転写ローラ7は、感光体3の表面上のトナー像を中間転写ベルト14に転写する一次転写手段としての一次転写装置が備える一次転写部材である。
クリーニング装置6は、トナー像を中間転写ベルト14に転写した後の感光体3上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段である。
潤滑剤塗布装置10は、クリーニング装置6がクリーニングした後の感光体3の表面上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段である。
不図示の除電ランプは、クリーニング後の感光体3の表面電位を除電する除電手段である。
【0094】
帯電ローラ4は、感光体3に対して所定の距離を持って非接触で配置され、感光体3を所定の極性、所定の電位に帯電するものである。帯電ローラ4によって一様帯電された感光体3の表面は、潜像形成手段である光書込ユニット40から画像情報に基づいてレーザ光Lが照射され、静電潜像が形成される。
【0095】
現像装置5は、現像剤担持体としての現像ローラ51を有している。現像ローラ51には、図示しない電源から現像バイアスが印加されるようになっている。現像装置5のケーシング内には、ケーシング内に収容された現像剤を、互いに逆方向に搬送しながら攪拌する供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53が設けられている。また、現像ローラ51に担持された現像剤を規制するためのドクタ54も設けられている。
供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53の二本スクリュによって撹拌・搬送された現像剤中のトナーは、所定の極性に帯電される。そして、現像剤は、現像ローラ51の表面上に汲み上げられ、汲み上げられた現像剤は、ドクタ54により規制され、感光体3と対向する現像領域でトナーが感光体3上の潜像に付着する。
【0096】
クリーニング装置6は、ファーブラシ101、クリーニングブレード62などを有している。
クリーニングブレード62は、感光体3の表面移動方向に対してカウンタ方向で感光体3に当接している。
【0097】
潤滑剤塗布装置10は、固形潤滑剤103や潤滑剤加圧スプリング103a等を備え、固形潤滑剤103を感光体3上に塗布する塗布ブラシとしてファーブラシ101を用いている。固形潤滑剤103は、ブラケット103bに保持され、潤滑剤加圧スプリング103aによりファーブラシ101側に加圧されている。そして、感光体3の回転方向に対して連れまわり方向に回転するファーブラシ101により、固形潤滑剤103が削られて感光体3上に潤滑剤が塗布される。感光体3への潤滑剤塗布により、感光体3表面の摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持される。なお、潤滑剤塗布装置10は、無くてもよい。
【0098】
本実施形態の帯電装置は、帯電ローラ4を感光体3に近接させた非接触の近接配置方式であるが、帯電装置としては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)等の公知の構成を用いることができる。これらの帯電方式のうち、特に接触帯電方式、あるいは非接触の近接配置方式がより望ましく、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能である等のメリットを有する。
【0099】
光書込ユニット40のレーザ光Lの光源や除電ランプ等の光源には、発光物全般を用いることができる。具体的には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などを用いることができる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザは、照射エネルギーが高く、また600~800nmの長波長光を有するため、好適に使用される。
【0100】
転写手段としての転写ユニット60は、中間転写ベルト14の他、ベルトクリーニングユニット162、ベルトクリーニングブレード162a、第一ブラケット63、第二ブラケット64などを備えている。また、4つの一次転写ローラ7(一次転写ローラ7Y、一次転写ローラ7C、一次転写ローラ7M、及び一次転写ローラ7K)、二次転写バックアップローラ66、駆動ローラ67、補助ローラ68、テンションローラ69なども備えている。
中間転写ベルト14は、これら8つのローラ部材に張架されながら、駆動ローラ67の回転駆動によって図6中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの一次転写ローラ7(一次転写ローラ7Y、一次転写ローラ7C、一次転写ローラ7M、及び一次転写ローラ7K)は、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト14を、各感光体3との間に挟み込んでそれぞれ一次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト14の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト14は、その無端移動に伴ってY、C、M、K用の一次転写ニップを順次通過していく過程で、そのおもて面に各感光体3上のY、C、M、Kトナー像が重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト14上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0101】
二次転写バックアップローラ66は、中間転写ベルト14のループ外側に配設された二次転写ローラ70との間に中間転写ベルト14を挟み込んで二次転写ニップを形成している。レジストローラ対55は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを、中間転写ベルト14上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで、二次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト14上の4色トナー像は、二次転写バイアスが印加される二次転写ローラ70と二次転写バックアップローラ66との間に形成される二次転写電界や、ニップ圧の影響により、二次転写ニップ内で転写紙Pに一括二次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0102】
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト14に付着している、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーは、ベルトクリーニングユニット162によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット162は、ベルトクリーニングブレード162aを中間転写ベルト14のおもて面に当接させており、これによって中間転写ベルト14上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
【0103】
転写ユニット60の第一ブラケット63は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、補助ローラ68の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。
モノクロ画像を形成する場合、プリンタ500は、前述のソレノイドの駆動によって第一ブラケット63を図6中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、補助ローラ68の回転軸線を中心にして、Y、C、M用の一次転写ローラ7Y、C、Mを図6中反時計回りに公転させることで、中間転写ベルト14をY、C、M用の感光体3Y、感光体3C、及び感光体3Mから離間させる。そして、各作像ユニット1のうち、K用の作像ユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時における、Y、C、M用の作像ユニットの無駄な駆動に起因する作像ユニット1を構成する各部材の消耗を抑制することができる。
【0104】
二次転写ニップの図6中上方には、定着ユニット80が配設されている。定着ユニット80は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加圧加熱ローラ81と、定着ベルトユニット82とを備えている。定着ベルトユニット82は、定着部材としての定着ベルト84、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ83、テンションローラ85、駆動ローラ86、図示しない温度センサ等を有している。そして、無端状の定着ベルト84を加熱ローラ83、テンションローラ85及び駆動ローラ86によって張架しながら、図6中反時計回り方向に無端移動せしめる。このような無端移動の過程で、定着ベルト84は加熱ローラ83によって裏面側から加熱される。加熱される定着ベルト84の加熱ローラ83への掛け回し箇所には、図6中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ81がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ81と定着ベルト84とが当接する定着ニップが形成されている。
【0105】
定着ベルト84のループ外側には、図示しない温度センサが定着ベルト84のおもて面に対して、所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト84の表面温度を検知し、検知結果を図示しない定着電源回路に送信する。定着電源回路は、温度センサによる検知結果に基づいて、加熱ローラ83に内包される発熱源や、加圧加熱ローラ81に内包される発熱源に対する電源の供給をオンオフ制御する。
【0106】
上述した二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト14から分離した後、定着ユニット80内に送られる。そして、定着ユニット80内の定着ニップに挟まれながら図6中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト84によって加熱され、押圧されることによりフルカラートナー像が転写紙Pに定着される。
定着処理が施された転写紙Pは、排紙ローラ対87のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ500本体の筺体の上面には、スタック部88が形成されており、排紙ローラ対87によって機外に排出された転写紙Pは、このスタック部88に順次スタックされる。
【0107】
転写ユニット60の上方には、Y、C、M、Kトナーを収容する4つのトナーカートリッジ100Y、トナーカートリッジ100C、トナーカートリッジ100M、及びトナーカートリッジ100K(これらをまとめて「各トナーカートリッジ100」と称することがある)が配設されている。各トナーカートリッジ100内のY、C、M、Kトナーは、各作像ユニット1の現像装置5(現像装置5Y、現像装置5C、現像装置5M、及び現像装置5K)に適宜供給される。各トナーカートリッジ100は、各作像ユニット1とは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
【0108】
次に、プリンタ500における画像形成動作を説明する。
図示しない操作部等からプリント実行の信号を受信したら、帯電ローラ4及び現像ローラ51に、それぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。同様に、光書込ユニット40及び除電ランプ等の光源にも、それぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。また、これと同期して、駆動手段としての感光体駆動モータ(不図示)により感光体3が図6中矢印方向に回転駆動される。
感光体3が図6中矢印方向に回転すると、感光体3表面が、帯電ローラ4によって所定の電位に一様帯電される。そして、光書込ユニット40から画像情報に対応したレーザ光Lが感光体3上に照射され、感光体3表面上のレーザ光Lが照射された部分が除電されて静電潜像が形成される。静電潜像の形成された感光体3の表面は、現像装置5との対向部で現像ローラ51上に形成された現像剤の磁気ブラシによって摺擦される。このとき、現像ローラ51上の負帯電トナーは、現像ローラ51に印加された所定の現像バイアスによって、静電潜像側に移動し、トナー像化(現像)される。各作像ユニット1において、同様の作像プロセスが実行され、各作像ユニット1の各感光体3の表面上に各色のトナー像が形成される。
このように、プリンタ500では、感光体3上に形成された静電潜像は、現像装置5によって、負極性に帯電されたトナーにより反転現像される。本実施形態では、N/P(ネガポジ:電位が低い所にトナーが付着する)の非接触帯電ローラ方式を用いた例について説明したが、これに限るものではない。
【0109】
各感光体3の表面上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト14の表面上で重なるように、順次一次転写される。これにより、中間転写ベルト14上に4色トナー像が形成される。中間転写ベルト14上に形成された4色トナー像は、第一給紙カセット151または第二給紙カセット152から給紙され、レジストローラ対55のローラ間を経て、二次転写ニップに給紙される転写紙Pに転写される。このとき、転写紙Pはレジストローラ対55に挟まれた状態で一旦停止し、中間転写ベルト14上の画像先端と同期を取って二次転写ニップに供給される。トナー像が転写された転写紙Pは中間転写ベルト14から分離され、定着ユニット80へ搬送される。そして、トナー像が転写された転写紙Pが定着ユニット80を通過することにより、熱と圧力の作用でトナー像が転写紙P上に定着された後、プリンタ500装置外に排出されてスタック部88にスタックされる。
【0110】
一方、二次転写ニップで転写紙Pにトナー像を転写した中間転写ベルト14の表面は、ベルトクリーニングユニット162によって表面上の転写残トナーが除去される。また、一次転写ニップで中間転写ベルト14に各色のトナー像を転写した感光体3の表面は、クリーニング装置6によって転写後の残留トナーが除去され、潤滑剤塗布装置10によって潤滑剤が塗布された後、除電ランプで除電される。
プリンタ500の各作像ユニット1は、図7に示すように、感光体3、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10等が枠体2に収められている。そして、作像ユニット1は、プロセスカートリッジとしてプリンタ500本体から一体的に着脱可能となっている。プリンタ500では、作像ユニット1がプロセスカートリッジとしての感光体3とプロセス手段とを一体的に交換するようになっている。また、感光体3、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10のような単位で新しいものと交換するような構成としてもよい。
【0111】
また、本プリンタは、単一色の画像形成が可能となる構成としてもよい。また、図示しない画像読取部で読み取った画像データに基づいて、複写を行う構成としてもよい。
【0112】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、クリーニングブレード手段としてクリーニングブレードを有し、必要に応じて、像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、除電手段、潤滑剤塗布手段を有していてもよい。
なお、当該プロセスカートリッジにおける各構成は、上述の(画像形成装置、及び画像形成方法)の項目に記載したものと同一であるため、説明を省略する。
前記プロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱可能とした装置(部品)である。
【実施例0113】
以下、本発明の実施例及び比較例を説明するが、本発明は、これらの実施例及び比較例に何ら限定されるものではない。ただし、「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。
【0114】
(実施例1)
<クリーニングブレードの作製>
<<弾性部材、及び支持部材>>
弾性部材としては、遠心成形によって成形し、養生及び後架橋して得られたポリウレタンエラストマーシートを用いた。当該ポリウレタンエラストマーシートにおける平均厚み、マルテンス硬度(HM)、及び寸法は、以下の通りである。
平均厚み:2.0mm
マルテンス硬度(HM):1.0N/mm
寸法:356mm×13.5mm
また、前記ポリウレタンエラストマーシートの端部を金属板に接着させた。当該金属板における材質、寸法は以下の通りである。
材質:ステンレススチール鋼板
寸法:354mm×15.6mm
【0115】
<<被覆液の作製>>
―粒子分散体Aの調製―
第一フッ素樹脂としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)マイクロパウダー(TF9201Z、3M社製、体積平均粒径200nm)を5部、第二フッ素樹脂としてフッ化ビニリデン(VdF)と、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)と、テトラフルオロエチレン(TFE)とから成るVdF-HFP-TFEの三元共重合体を2部、及びフッ素系不活性液として1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(HFE-347;東京化成工業製)を93部を、スクリュ管に入れてスタラー等で撹拌することによって、粒子分散体Aを調製した。
また粒子分散体Aの粘度は、1.85mPa・sであった。当該粘度は、振動式粘度計(株式会社セコニック製)を用いて測定した。
【0116】
<<ディッピング>>
周側面におけるクリーニングブレードの先端として使われる一端面(クリーニングブレード先端面)を、粒子分散体Aの深さ2mm分浸漬させ、引き上げた。このとき、浸漬角度が30°、引き上げ速度が5mm/sになるように設定した。その後、常温(25℃)で30分間乾燥させることによって、実施例1のクリーニングブレードを作製した。
【0117】
<画像形成装置の組み立て>
実施例1のクリーニングブレードを、カラー複合機(imagio MP C4500、株式会社リコー製)(プリンタ部は、図6に示すプリンタ500と類似の構成)のプロセスカートリッジに取り付け、画像形成装置を組み立てた。
なお、クリーニングブレードは、線圧:20g/cm、クリーニング角:79°となるように画像形成装置に取り付けた。
【0118】
(実施例2~5、及び比較例1~4)
浸漬角度、及び引き上げ速度を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2~5、及び比較例1~4のクリーニングブレードを作製した。
【0119】
(被覆層の平均厚さの測定)
被覆層の平均厚さは、レーザー顕微鏡OLS-4100(オリンパス社製)を用いて、クリーニングブレード断面を観察することで測定した。具体的には、SEM試料作製用トリミングカミソリ(日進EM製)を用いて、クリーニングブレード表面の被覆層を、弾性材料が露出するまで部分的に削り取り、被覆層が削り取られた面(弾性材料上面)と、被覆層が削り取られていない面(被覆層上面)との高低差を測定することによって被覆層の平均厚さを算出した。なお、被覆層の平均厚さは、クリーニングブレード先端面62aの、先端稜線部62cから0.02mm離れた位置、0.1mm離れた位置、及び0.3mm離れた位置のそれぞれにおいて、クリーニングブレード側面62dから長手方向に41mm離れた位置、110mm離れた位置、178mm離れた位置、247mm離れた位置、315mm離れた位置の5箇所を測定して得られた値の平均値とした。
【0120】
(トルク評価)
実施例1~5、及び比較例1~4のクリーニングブレードのホルダ温度を測定できるよう熱電対を取り付けた上で、リコー製カラー複合機 Ricoh ProC9200に搭載した。実験室環境:29℃・60%RH、通紙条件:フリーランを実施し、クリーニングブレードのホルダ温度が上昇した後、一定温度となってから通紙を1時間継続した。通紙後のクリーニングブレード状態を目視にて確認し、以下評価基準により評価した。
―評価基準―
〇:捲れの発生が確認されなかった
×:捲れの発生が確認された
【0121】
(クリーニング評価)
実施例1~5、及び比較例1~4のクリーニングブレードをリコー製カラー複合機 Ricoh ProC9200に搭載し、実験室環境:29℃・60%RH、通紙条件:色安定チャートにて3,600枚(A4横)出力し、像担持体、ファーブラシ、及び印刷紙上への付着物の有無を目視にて確認した。以下評価基準により評価した。
―評価基準―
〇:付着物が確認されなかった
×:付着物が確認された
【0122】
【表1】
【0123】
実施例1~5においては、捲れの発生はなく、像担持体、ファーブラシ、及び印刷紙上への付着物がなく、ともに良好な結果が得られた。
比較例1においては、実施例3に対して引き上げ速度を上げているため、被覆層の厚みが増加しており、捲れの発生はなかったものの、像担持体、ファーブラシ、及び印刷紙上への付着物が発生した。
比較例2においては、実施例3に対して浸漬角度を0°にしているため、ブレード先端面における液垂れが抑制された結果、先端稜線部付近における被覆層の厚みが増加しており、捲れの発生はなかったものの、像担持体、ファーブラシ、及び印刷紙上への付着物が発生した。
比較例3においては、実施例3に対して浸漬角度を50°にしているため、ブレード先端面における液垂れが促進された結果、先端稜線部からの距離が大きくなるにつれて被覆層の厚みも増加しており、捲れの発生はなかったものの、像担持体、ファーブラシ、及び印刷紙上への付着物が発生した。
比較例4においては、実施例1に対して引き上げ速度を下げているため、被覆層の厚みが減少しており、像担持体、ファーブラシ、及び印刷紙上への付着物が発生はなかったものの、捲れが発生した。
【0124】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1>
弾性部材、及び被覆層を有するクリーニングブレードであって、
前記クリーニングブレードは、前記クリーニングブレードの先端稜線部を、被清掃部材の表面に当接して残留物を除去するクリーニングブレードであって、
前記被覆層は、前記先端稜線部を含み、かつ前記弾性部材の厚み方向に平行なクリーニングブレード先端面、及び前記先端稜線部を含み、かつ前記被清掃部材と対向するクリーニングブレード下面に設けられ、
前記クリーニングブレード先端面における前記被覆層の平均厚みは、前記先端稜線部から離れるにつれて増加することを特徴とするクリーニングブレードである。
<2>
前記クリーニングブレード先端面の、前記先端稜線部から0.02mmの距離における前記被覆層の平均厚みは、0.5μm以上3μm以下であり、
前記クリーニングブレード先端面の、前記先端稜線部から0.1mmの距離における前記被覆層の平均厚みは、1μm以上7μm以下であり、
前記クリーニングブレード先端面の、前記先端稜線部から0.3mmの距離における前記被覆層の平均厚みは、3μm以上10μm以下である前記<1>に記載のクリーニングブレードである。
<3>
前記被覆層は、第一フッ素樹脂と、前記第一フッ素樹脂に非相溶の第二フッ素樹脂とを含む、前記<1>又は前記<2>のいずれかに記載のクリーニングブレードである。
<4>
前記<1>から前記<3>のいずれかに記載のクリーニングブレードの製造方法であって、
弾性部材を被覆液に浸漬する浸漬工程と、
前記被覆液から前記弾性部材を引き上げる引き上げ工程と、を含み、
前記浸漬工程における、前記被覆液面とクリーニングブレード先端面とのなす角が5°以上45°以下であることを特徴とするクリーニングブレードの製造方法である。
<5>
前記被覆液は、第一フッ素樹脂と、前記第一フッ素樹脂に非相溶の第二フッ素樹脂と、フッ素系不活性液とを含む、前記<4>に記載のクリーニングブレードの製造方法である。
<6>
前記第一フッ素樹脂及び前記第二フッ素樹脂の総含有量は、前記被覆液全量に対して5質量%以上10質量%以下であり、
前記フッ素系不活性液の含有量は、前記被覆液全量に対して90質量%以上95質量%以下である、前記<5>に記載のクリーニングブレードの製造方法である。
<7>
前記被覆液における前記第一フッ素樹脂、前記第二フッ素樹脂、及び前記フッ素系不活性液の含有量を計測する計測工程を含み、
前記計測工程で得られた結果に基づいて、前記引き上げ工程における前記弾性部材の引き上げ速度を調整する、前記<5>又は前記<6>に記載のクリーニングブレードの製造方法である。
<8>
前記被覆液における前記第一フッ素樹脂、前記第二フッ素樹脂、及び前記フッ素系不活性液の含有量を計測する計測工程を含み、
前記計測工程で得られた結果に基づいて、前記フッ素系不活性液を補充し、前記被覆液における前記第一フッ素樹脂、前記第二フッ素樹脂、及び前記フッ素系不活性液の含有量を調整する、前記<5>から前記<7>のいずれかに記載のクリーニングブレードの製造方法である。
<9>
前記<1>から前記<3>のいずれかに記載のクリーニングブレードを有することを特徴とするプロセスカートリッジである。
<10>
前記<1>から前記<3>のいずれかに記載のクリーニングブレードを有することを特徴とする画像形成装置である。
【0125】
前記<1>から前記<3>のいずれかに記載のクリーニングブレード、前記<4>から前記<8>のいずれかに記載のクリーニングブレードの製造方法、前記<9>に記載のプロセスカートリッジ、前記<10>に記載の画像形成装置によれば、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 作像ユニット
1Y 作像ユニット(イエロー用)
1C 作像ユニット(シアン用)
1M 作像ユニット(マゼンタ用)
1K 作像ユニット(ブラック用)
10 潤滑剤塗布装置
100Y トナーカートリッジ(イエロー用)
100C トナーカートリッジ(シアン用)
100M トナーカートリッジ(マゼンタ用)
100K トナーカートリッジ(ブラック用)
101 ファーブラシ
103 固形潤滑剤
103a 潤滑剤加圧スプリング
103b ブラケット
14 中間転写ベルト
151 第一給紙カセット
151a 第一給紙ローラ
152 第二給紙カセット
152a 第二給紙ローラ
153 給紙路
154 搬送ローラ対
162 ベルトクリーニングユニット
162a ベルトクリーニングブレード
201 ストレージタンク
203 潤滑ポンプ
204 塗工槽
205 撹拌機
206 粘度計
207 フッ素系活性液
208 フィルター
209 冷却ジャケット
210 フード
211 蒸気槽
213 昇降機
2 枠体
3 感光体
3Y 感光体(イエロー用)
3C 感光体(シアン用)
3M 感光体(マゼンタ用)
3K 感光体(ブラック用)
4 帯電ローラ
40 光書込ユニット
41 ポリゴンミラー
5 現像装置
5Y 現像装置(イエロー用)
5C 現像装置(シアン用)
5M 現像装置(マゼンタ用)
5K 現像装置(ブラック用)
51 現像ローラ
52 供給スクリュ
53 攪拌スクリュ
54 ドクタ
55 レジストローラ対
6 クリーニング装置
60 転写ユニット
600 被覆液
62 クリーニングブレード
62a クリーニングブレード先端面
62b クリーニングブレード下面
62c 先端稜線部
62d クリーニングブレード側面
621 ホルダー
622 弾性ブレード
623 被覆層
63 第一ブラケット
64 第二ブラケット
66 二次転写バックアップローラ
67 駆動ローラ
68 補助ローラ
69 テンションローラ
7 一次転写ローラ
7Y 一次転写ローラ(イエロー用)
7C 一次転写ローラ(シアン用)
7M 一次転写ローラ(マゼンタ用)
7K 一次転写ローラ(ブラック用)
70 二次転写ローラ
8 帯電ローラクリーナ
80 定着ユニット
81 加圧加熱ローラ
82 定着ベルトユニット
83 加熱ローラ
84 定着ベルト
85 テンションローラ
86 駆動ローラ
87 排紙ローラ対
88 スタック部
500 プリンタ
L レーザー光
P 転写紙
D クリーニングブレード先端面の先端稜線部からの距離
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開平2-82283号公報
【特許文献2】特開2014-178441号公報
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7