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特開2024-160477アライメント装置、成膜装置、アライメント方法、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160477
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】アライメント装置、成膜装置、アライメント方法、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20241107BHJP
   C23C 14/24 20060101ALI20241107BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20241107BHJP
【FI】
C23C14/04 A
C23C14/24 G
H10K71/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075510
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長沼 義人
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107GG33
3K107GG54
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA62
4K029BB03
4K029CA01
4K029DB06
4K029DB18
4K029HA01
(57)【要約】
【課題】基板が撓んでも、基板に設けられたアライメント用のマークの位置を的確に測定可能なアライメント装置、成膜装置、アライメント方法、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】基板10に設けられたアライメント用の遮光性を有する基板用のマーク10mを撮影するカメラ本体41と、基板10を介してカメラ本体41と反対側に配される反射体と、を備え、カメラ本体41は、前記反射体からの反射光Lを用いて基板用のマーク10mを撮影することを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する基板と、前記基板を吸着する吸着部材との位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記基板に設けられたアライメント用の遮光性を有する基板用マークを撮影するカメラと、
前記基板を介して前記カメラと反対側に配される反射体と、
を備え、
前記カメラは、前記反射体からの反射光を用いて前記基板用マークを撮影することを特徴とするアライメント装置。
【請求項2】
前記カメラと前記基板との間に前記吸着部材が配されており、
前記吸着部材には前記反射光が通る開口部が設けられ、かつ前記開口部が前記吸着部材におけるアライメント用のマークとして機能することを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項3】
前記反射体は、前記基板を介して前記カメラと反対側に配されるマスクであることを特徴とする請求項1または2に記載のアライメント装置。
【請求項4】
前記マスクは、マスク本体と、前記マスク本体を支持するマスクフレームと、を有しており、
前記マスクフレームに、前記反射光を形成するための反射膜が設けられてることを特徴とする請求項3に記載のアライメント装置。
【請求項5】
前記カメラにより撮影された画像データに基づいて、前記基板及び前記吸着部材のうちの少なくともいずれか一方の位置を調整する調整機構を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のアライメント装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載のアライメント装置と、
前記基板に薄膜を形成する成膜源と、
を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載のアライメント装置に備えられるカメラによって前記基板用マークを撮影する撮影工程と、
調整機構によって、前記基板及び前記吸着部材のうちの少なくともいずれか一方の位置を調整する調整工程と、
を含むことを特徴とするアライメント方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載のアライメント装置に備えられるカメラによって前記基板用マークを撮影する撮影工程と、
調整機構によって、前記基板及び前記吸着部材のうちの少なくともいずれか一方の位置を調整する調整工程と、
成膜源によって、前記基板に薄膜を形成する成膜工程と、
を含むことを特徴とする成膜方法。
【請求項9】
請求項8に記載の成膜方法を用いて電子デバイスを製造することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメント装置、成膜装置、アライメント方法、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成膜装置において、基板と静電チャックとの位置合わせを行うアライメント装置を備える技術が知られている。この技術においては、基板に設けられたアライメント用のマークをカメラにより撮影することにより、静電チャックに対する基板の位置関係を測定する構成が採用されている。図7を参照して、従来技術において、基板に設けられたマークをカメラにより撮影する方法について説明する。図7(a)は従来技術に係るアライメント装置における基板に設けられたマークを撮影するための主要構成を側方から見た様子を概略的に示した図である。同図(b)は撮影画像の一例を示す概略図である。
【0003】
アライメント装置は、基板100に設けられたアライメント用のマーク100mを撮影するためのカメラユニット400を備えている。なお。基板100には複数のアライメント用のマーク100mが設けられており、どの位置に設けられたマーク100mかを特定するために方向特定用のマーク100mdも設けられている。カメラユニット400は、カメラ本体410と、カメラ本体410の前面に設けられるカメラレンズ420と、光源430とを備えている。また、静電チャック230には、カメラユニット400によって、基板100に設けられたマーク100m,100mdを撮影可能にするための開口部230Xが設けられている。この開口部230Xは、静電チャック230におけるアライメント用のマークとしても機能する。
【0004】
以上の構成により、光源430からの照明光によるマーク100m,100mdからの反射光がカメラ本体410により撮影される。図7(b)はマーク100m,100mdの撮影画像の一例を示している。この撮影画像から得られた画像データに基づいて、基板100と静電チャック230との位置ずれ量が測定されて、基板100及び静電チャック230のうちの少なくともいずれか一方の位置調整が行われる。この図示の例では、マーク100mの中心と、開口部230Xの中心(静電チャック230における仮想的なアライメントマーク230mということもできる)との距離が予め定めた閾値以内となるように位置調整が行われる。
【0005】
そして、位置調整後に静電チャック230に基板100が吸着される。これにより、基板100は、静電チャック230に対して的確な位置に吸着される。従って、その後の基板100と不図示のマスクとの位置決め精度も高められ、成膜精度も高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-99910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のアライメント装置においては、基板100は、その端部付近の複数の位置で不図示の支持部材に支持される。そのため、基板100は、重心が鉛直方向下方となるように撓んだ状態で上記の支持部材に支持された状態となる。近年、基板100の大判化が進んでおり、基板100の撓み変形量が大きくなる傾向にある。図7(a)においては、大き
く撓んだ場合の基板100Xを点線にて示している。この場合、マーク100mからの反射光(点線で示す矢印参照)が傾いてしまうため、マーク100mからの反射光がカメラ本体410からずれてしまい、マーク100mが適切に撮影されなくなってしまう。
【0008】
本発明の目的は、基板が撓んでも、基板に設けられたアライメント用のマークをより確実に撮影可能なアライメント装置、成膜装置、アライメント方法、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のアライメント装置は、
透光性を有する基板と、前記基板を吸着する吸着部材との位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記基板に設けられたアライメント用の遮光性を有する基板用マークを撮影するカメラと、
前記基板を介して前記カメラと反対側に配される反射体と、
を備え、
前記カメラは、前記反射体からの反射光を用いて前記基板用マークを撮影することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板が撓んでも、基板に設けられたアライメント用のマークをより確実に撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は有機EL表示装置の製造ラインの一部の模式図。
図2図2は成膜装置の模式図。
図3図3は実施例に係るアライメントステージの構成を示す模式図。
図4図4は実施例に係るアライメント工程を説明するための模式図。
図5図5は実施例に係る基板に設けられたマークを撮影する方法の説明図。
図6図6は有機EL表示装置の全体図及び有機EL表示装置の素子の断面図。
図7図7は従来技術に係る基板に設けられたマークを撮影する方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施例は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲はそれらの構成に限定されない。また、以下の説明における、装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、処理フロー、製造条件、寸法、材質、形状などは、特に特定的な記載がないかぎりは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
本発明は、基板の表面に真空蒸着によって薄膜(材料層)を形成する装置に好ましく適用することができる。基板の材料としては、硝子、高分子材料のフィルムなどの材料を適宜選択することができる。また、蒸着材料としては、有機材料、金属性材料(金属、金属酸化物など)などの任意の材料を選択することができる。本発明の技術は、具体的には、有機電子デバイス(例えば、有機EL表示装置、薄膜太陽電池)、光学部材などの製造装置に適用可能である。その中でも、有機EL表示装置は本発明の好ましい適用例の一つである。以下、本実施例に係るアライメント装置、このアライメント装置を備える成膜装置、アライメント装置によるアライメント方法、成膜装置による成膜方法、及び電子デバイスの製造方法について説明する。
【0014】
<電子デバイス製造ライン>
図1は、電子デバイスの製造ラインの構成の一部を模式的に示す上視図である。図1の製造ラインは、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられる。スマートフォン用の表示パネルの場合、例えば約1800mm×約1500mmのサイズの基板に有機ELの成膜を行った後、この基板をダイシングして複数の小サイズのパネルに作製される。
【0015】
電子デバイスの製造ラインは、一般に、図1に示すように、複数の成膜室11,12と、搬送室13とを有する。搬送室13内には、基板10を保持し搬送する搬送ロボット14が設けられている。搬送ロボット14は、例えば、多関節アームに、基板10を保持するロボットハンドが取り付けられた構造を持つロボットであり、各成膜室への基板10の搬入や搬出を行う。
【0016】
各成膜室11,12にはそれぞれ成膜装置(蒸着装置とも呼ぶ)が設けられている。搬送ロボット14との基板10の受け渡し、基板10とマスクの相対位置の調整(アライメント)、マスク上への基板10の固定、成膜(蒸着)などの一連の成膜プロセスは、成膜装置によって自動で行われる。以下、成膜室における成膜装置の構成について説明する。
【0017】
<成膜装置>
図2は、成膜装置2の構成を概略的に示す断面図である。以下の説明においては、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標係を用いる。成膜時に基板が水平面(XY平面)と平行に固定されることを仮定する時、基板の短辺に平行な方向をX方向(第1方向)、長辺に平行な方向をY方向(第2方向)とする。またZ軸周りの回転角をθ(回転方向)で表示する。
【0018】
成膜装置2は、成膜工程が行われる空間を有する真空チャンバ20を備えている。真空チャンバ20の内部は、真空雰囲気、或いは、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気で維持される。
【0019】
真空チャンバ20内の上部には、基板10を保持する基板保持台21、マスク221を保持するマスク保持台22、基板10を吸着する吸着部材としての静電チャック23、磁性を有するマスク221を磁気力により吸引する吸引マグネット24などが設けられている。また、真空チャンバ20内の下部には、成膜源25などが設けられている。
【0020】
基板保持台21は、搬送室13の搬送ロボット14から受取った基板10を載置するフレーム状の部材である。基板保持台21は、真空チャンバ20に固定されるように設置されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、基板保持台21は水平方向(XYθ方向)には固定され、鉛直方向(Z方向、第3方向)には昇降可能に設置されてもよい。基板保持台21は基板10の下面の周縁部を支持する支持部211,212を備えている。
【0021】
基板保持台21の下には、真空チャンバ20に固定されたフレーム状のマスク保持台22が設置され、マスク保持台22には、基板10上に形成される薄膜パターンに対応する開口パターンを有するマスク221が載置される。スマートフォン用の有機EL素子を製造するのに使われるマスクは、微細な開口パターンが形成された金属製のマスクであり、FMM(Fine Metal Mask)とも呼ばれる。マスク保持台22は、真空チャンバ20に対して水平方向には固定され、鉛直方向には昇降可能に設置されてもよい。なお、基板10とマスク221が離間した状態から、これらを重ね合わせるために、基板保持台21及びマスク保持台22のうちの少なくともいずれか一方は、鉛直方向に昇降可能に構成される。
【0022】
基板保持台21の支持部211,212の上方には、基板10を吸着して固定させるための吸着部材としての静電チャック23が設けられる。静電チャック23は、例えば、セラミックス材質のマトリックス内に金属電極などの電気回路が埋め込まれた構造を持つ静電チャックを適用できるが、そのような構成に限定されない。静電チャック23において、金属電極にプラス(+)及びマイナス(-)電圧が印加されれば、セラミックスマトリックスを通じて基板10に分極電荷が誘導され、これら基板10と静電チャック23との間の静電気的な引力によって基板10が静電チャック23に吸着される。静電チャック23は埋め込まれた電気回路の構造によって複数のモジュールに区画することができる。
【0023】
静電チャック23の上方には、マスク221の撓みを抑制し、マスク221と基板10とを密着させるための吸引マグネット24が設けられる。吸引マグネット24は、永久磁石又は電磁石から構成され、複数のモジュールに区画することができる。
【0024】
図2には図示していないが、静電チャック23と吸引マグネット24との間に基板10を冷却させる冷却板を設置することができる。冷却板は、静電チャック23又は吸引マグネット24と一体に設けることもできる。
【0025】
本実施例に係る成膜源25は、真空蒸着として用いられる蒸発源である。この蒸発源は、基板に成膜される蒸着材料が収納されるるつぼ(不図示)と、るつぼを加熱するためのヒータ(不図示)と、蒸発源からの蒸発レートが一定になるまで蒸着材料が基板10に飛散することを阻むシャッタ(不図示)などを備える。成膜源25は、点(point)蒸発源、線形(linear)蒸発源、リボルバ蒸発源など、用途によって多様な構成を持つことができる。なお、本発明の成膜源としては、上記のように成膜材料としての蒸着材料を蒸発又は昇華させる蒸発源の他、スパッタリングによって成膜を行うためのスパッタリングカソードなどを採用することができる。
【0026】
また、図2には、特に図示はしないが、一般的に、成膜装置においては、基板に蒸着された膜の厚さを測定するための膜厚モニタ、及び膜厚算出ユニットが備えられる。
【0027】
真空チャンバ20の外部上面には、静電チャック23及び吸引マグネット24などを鉛直方向(第3方向)に昇降させるための昇降機構、及び静電チャック23及び吸引マグネット24などを水平方向に(XYθ方向に)移動させるためのアライメントステージなどが設置される。本実施例では、基板10に対する静電チャック23の位置調整及びマスク221に対する吸引マグネット24の位置調整のために、静電チャック23の昇降機構及び吸引マグネット24の昇降機構が、アライメントステージ上に搭載される。
【0028】
また、本実施例の成膜装置2には、真空チャンバ20の天井に設けられた窓を通じて、基板10、静電チャック23、マスク221及び吸引マグネット24に形成されたアライメントマークを撮影するアライメント用のカメラユニット40も設けられる。
【0029】
以下、本実施例に係る成膜装置2で行われる成膜プロセスについて説明する。
【0030】
まず、成膜装置2における真空チャンバ20内に新しいマスク221が搬入されて、マスク保持台22上に載置される。次いで、搬送室13の搬送ロボット14によって、基板10が真空チャンバ20内に搬入されて基板保持台21に載置され、静電チャック23が下降して基板保持台21上の基板10を吸着して固定する。本実施例においては、基板10を静電チャック23に吸着させる前に、静電チャック23と基板10の相対的な位置を調整するアライメント動作がなされる。この静電チャック23と基板10とのアライメントに関しては後述する。
【0031】
続いて、静電チャック23に吸着された状態の基板10とマスク保持台22上に置かれているマスク221との間の相対的位置の測定及び調整を行うアライメント動作がなされる。このアライメントが完了した後に、静電チャック23が昇降機構によって下降して基板10はマスク221上に載置される。その後、吸引マグネット24が昇降機構によって下降することで、基板10とマスク221が密着する。本実施例においては、吸引マグネット24によって基板10とマスク221とを密着させる前に、吸引マグネット24とマスク221との間の相対的な位置を調整するアライメントも行われる。ただし、本発明においては、このアライメントを行わない構成を採用することもできる。
【0032】
吸引マグネット24が下降して基板10とマスク221が密着した状態で、成膜源25のシャッタが開かれて、成膜源25のるつぼから蒸発された蒸着材料が、マスク221の微細パターン開口を通して基板10に蒸着され、基板10に薄膜が形成される。
【0033】
基板10に蒸着された蒸着材料の膜厚が所定の厚さに到逹すると、成膜源25のシャッタが閉じ、その後、搬送ロボット14が、基板10を真空チャンバ20から搬送室13に搬出する。所定枚数の基板10に対して、基板搬入から基板搬出までの工程が繰り返された後、蒸着材料が堆積されて、それ以上使うことができなくなったマスク221は、成膜装置から搬出されて、新しいマスク221が成膜装置に搬入される。
【0034】
<アライメントステージ>
図3を参照して本実施例のアライメントステージ30の構成を説明する。真空チャンバ20の外部上面には、静電チャック23の基板10に対する位置調整及び吸引マグネット24のマスク221に対する位置調整のために、アライメントステージ30、第1のZ軸昇降機構31及び第2のZ軸昇降機構32などが設けられている。アライメントステージ30は、静電チャック23及び吸引マグネット24を水平方向(XYθ方向)に移動させる機能を有する。第1のZ軸昇降機構31は、静電チャック23をZ軸方向に昇降させる機能を有する。第2のZ軸昇降機構32は、吸引マグネット24をZ軸方向に昇降させる機能を有する。
【0035】
各種部材を水平方向や鉛直方向に移動させるための機構は各種公知技術を採用し得るので、ここでは、その一例を簡単に説明する。
【0036】
アライメントステージ30は、真空チャンバの外部上面に固定されたアライメントステージ駆動用モータ301からリニアガイドを通じて水平方向(XYθ方向)への駆動力を受ける。すなわち、真空チャンバ外側上面にガイドレール(不図示)が設置され、ガイドレール上にリニアブロックが移動可能に設置される。このリニアブロック上にアライメントステージベース板302が搭載される。真空チャンバの外側上面に固定されたアライメントステージ駆動用モータ301からの駆動力によって、リニアブロックを水平方向(XYθ方向)に移動させることで、リニアブロック上に搭載されたアライメントステージベース板302の動きに従って、アライメントステージ30全体を水平方向(XYθ方向)に移動させることができる。
【0037】
第1のZ軸昇降機構31及び第2のZ軸昇降機構32は、アライメントステージ30に設けられている。これにより、アライメントステージ30が水平方向(XYθ方向)に移動すると、静電チャック23及び吸引マグネット24はアライメントステージ30の移動に追従して水平方向(XYθ方向)に移動する。なお、本実施例においては、第1のZ軸昇降機構31と第2のZ軸昇降機構32を独立して水平方向(XYθ方向)に移動可能にも構成されており、静電チャック23と吸引マグネット24を独立して水平方向に移動させることもできる。
【0038】
第1のZ軸昇降機構31は、静電チャック23をZ軸方向に昇降させる機構であり、アライメントステージベース板302上に搭載される。真空チャンバ20内の静電チャック23は、真空チャンバ20の外部上面を通して第1のZ軸昇降機構31に連結されている。第1のZ軸昇降機構31は、第1の昇降駆動用モータ(不図示)と、このモータの駆動力を静電チャック23に伝達するための第1の駆動力伝達機構(不図示)とを備えている。この伝達機構としては、リニアガイド又はボールねじなど、各種公知技術を採用し得る。
【0039】
第2のZ軸昇降機構32は、吸引マグネット24をZ方向に駆動させるための駆動力を発生させる第2の駆動用モータ(不図示)と、このモータからの駆動力を吸引マグネット24に伝えるための第2の駆動力伝達機構(不図示)とを備えている。第2のZ軸昇降機構32も、アライメントステージベース板302上に搭載される。第2の駆動力伝達機構としては、リニアガイド又はボールねじなど、各種公知技術を採用し得る。
【0040】
このように、第1のZ軸昇降機構31及び第2のZ軸昇降機構32は、アライメントステージ30のベース板302上に設置される。従って、アライメントステージ30が水平方向(XYθ方向)に移動すると、これらのZ軸昇降機構も移動するため、静電チャック23と吸引マグネット24も水平方向に移動する。その結果、基板10が静電チャック23に対して相対的に位置がずれた場合には、これらの間の相対的な位置を調整することができる。同様に、マスク221が吸引マグネット24に対して相対的に位置がずれた場合にも、吸引マグネット24を水平方向に移動させてマスク221との相対的な位置を調整することができる。
【0041】
上記の通り、基板保持台21及びマスク保持台22は水平方向には固定されるように設置されるが、鉛直方向には昇降可能に設置することができる。この場合、基板保持台21及びマスク保持台22を鉛直方向に昇降させるための昇降機構は真空チャンバ20の外部上面にアライメントステージとは独立して昇降するように設ければよい。
【0042】
即ち、基板保持台21及びマスク保持台22のZ軸昇降機構(不図示)は、アライメントステージベース板302上に設置されるのではなく、アライメントステージ30から分離、独立されて、真空チャンバ20の外部上面に固定された別のベース板(不図示)に設置すればよい。従って、アライメントステージ30が水平(XYθ)方向に移動しても、基板保持台21及びマスク保持台22は水平方向には移動せず、静止した状態が維持される。
【0043】
<アライメント>
図4を参照して、基板10に対する静電チャック23のアライメント及びマスクに対する吸引マグネット24のアライメントについて説明する。
【0044】
マスク交換時期になると、成膜装置2の真空チャンバ20内に新たなマスク221が搬入されて、マスク保持台22上に載置される(図4(a)参照)。続いて、このマスク221を使用して蒸着材料が成膜される基板10が真空チャンバ20内に搬入されて、基板保持台21上に配置される(図4(b)参照)。
【0045】
この状態で、静電チャック23に形成されたアライメントマークと基板10に形成されたアライメントマークとがラフアライメント用カメラ(第1アライメント用カメラ)により撮影され、静電チャック23と基板10との相対的な位置ずれ量が測定される。この工程が撮影工程である。この撮影の詳細については後述する。
【0046】
静電チャック23と基板10の相対的な位置が予め設定された閾値超えていた場合、調
整機構としてのアライメントステージ30が水平方向に移動し、静電チャック23と基板10との水平方向の相対的な位置が調整される(図4(c)参照)。この工程が調整工程である。このように、本実施例では、アライメントステージ30を水平方向に移動させることで、静電チャック23と基板10との間の相対的な位置を調整することができる。そのため、静電チャック23と基板10との水平方向の相対的な位置が、例えば、搬送ロボット14の基板搬送誤差によってずれた場合でも、静電チャック23を基板10に対して位置調整することができる。従って、基板10の全体を静電チャック23に対して的確な位置に吸着させることができる。
【0047】
静電チャック23の基板10に対する位置調整が完了すると、静電チャック23が第1のZ軸昇降機構31によって下降し、基板10が静電チャック23に吸着される(図4(d)参照)。続いて、第1のZ軸昇降機構31によって、静電チャック23に吸着された基板10はマスク221上に下降する(図4(e)参照)。この時、基板保持台21の昇降機構によって基板保持台21を静電チャック23の下降に合わせて一緒に下降させることもできる。なお、静電チャック23に基板10が吸着した後に、基板保持台21を先に下降させてから、静電チャック23を下降させて、基板10をマスク221上に載せるようにしてもよい。ここで、基板保持台21が下降する過程で、基板10を支持する支持部211,212がマスク保持台22に干渉しないように、支持部211,212はマスク保持台22及びマスク221よりも外側を通るように構成されるか、マスク保持台22には、支持部211,222を出没可能とする溝や貫通孔(いずれも不図示)が設けられる構成が採用される。
【0048】
静電チャック23に吸着された基板10がファインアライメント工程の測定位置まで下降すると、ファインアライメント用カメラ(第2アライメント用カメラ)により基板10とマスク221のアライメントマークが撮影される。この撮影画像により得られる画像データによって、基板10とマスク221との相対的な位置ずれ量が測定される。基板10とマスク221との相対的な位置ずれ量が予め設定された閾値を超えていた場合、第1のZ軸昇降機構31が搭載されたアライメントステージ30が水平方向に移動することで、基板10とマスク221の相対的な位置が調整される(図4(f)参照)。
【0049】
基板10とマスク221の相対的位置ずれ量が閾値内に収まれば、上記の通り、吸引マグネット24を下降させる前に、吸引マグネット24とマスク221とのアライメントを行ってもよい。この場合、静電チャック23(及び静電チャック23に吸着された基板10)については静止させたまま、マスク221に対する吸引マグネット24の相対的な位置が調整される(図4(g)参照)。なお、吸引マグネット24と静電チャック23が予め位置合わせがなされている場合には、吸引マグネット24を静電チャック23と一体的に移動させることにより、マスク221に対する吸引マグネット24の相対的な位置調整がなされても良い。
【0050】
このアライメントが完了した後に、第2のZ軸昇降機構32により、吸引マグネット24が基板上に下降し、マスク221が吸引されて、基板10とマスク221が密着する(図4(h)参照)。その後、成膜源25のシャッタを開いて、成膜源25から蒸発した蒸着材料がマスク221を介して基板10の下面上に蒸着し、基板10に薄膜が形成される(図4(i)参照)。この工程が成膜工程である。
【0051】
<基板と静電チャックとのアライメントの詳細>
特に、図5を参照して、基板10と吸着部材としての静電チャック23とのアライメントの詳細について説明する。図5(a)は本実施例に係るアライメント装置における基板10に設けられたマーク10mを撮影するための主要構成を側方から見た様子を概略的に示した図である。なお、この図においては、基板10と静電チャック23とのアライメン
トを行うために、これらの位置関係(位置ずれ量)を測定するのに必要な構成についてのみ概略的に示している。同図(b)は撮影画像の一例を示す概略図である。
【0052】
本実施例に係る成膜装置2においては、基板10と静電チャック23との位置合わせを行うアライメント装置を備えている。このアライメント装置は、主として、上記の調整機構としてのアライメントステージ30(図5では不図示)とカメラユニット40とを備えている。そして、本実施例に係る基板10は透光性を有している。また、基板10には、アライメント用の遮光性を有する基板用マーク(以下、「マーク10m」と称する)が設けられている。なお。基板10には複数のアライメント用のマーク10mが設けられており、どの位置に設けられたマーク10mかを特定するために方向特定用のマーク10mdも設けられている。このマーク10mdも遮光性を有する。更に、静電チャック23には、カメラユニット40によって、基板10に設けられたマーク10m,10mdを撮影可能にするための開口部23Xが設けられている。この開口部23Xは、静電チャック23におけるアライメント用のマークとして機能する。すなわち、この開口部23Xの中心を、静電チャック23におけるアライメント用の仮想的なマーク23mとして機能をさせることができる。勿論、仮想的なマーク23mとして機能させる位置は、開口部23Xの中心以外の位置に設定しても構わない。
【0053】
そして、本実施例に係るアライメント装置においては、マーク10m,10mdを撮影するために、上記のカメラユニット40が備えられている。このカメラユニット40は、カメラ本体41と、カメラ本体41の前面に設けられるカメラレンズ42と、光源43とを備えている。
【0054】
また、本実施例においては、基板10を介してカメラ本体41と反対側に配される反射体が備えられている。本実施例においては、基板10を介してカメラ本体41と反対側に配されるマスク221に、反射体としての機能を兼備させている。例えば、マスク221の表面に反射率の高い反射膜としての薄膜221aを設けることで、マスク221に反射体としての機能を兼備させることができる。なお、一般的に、マスク221は、マスク本体221Xと、マスク本体221Xを支持するマスクフレーム221Yと、を有する構成が採用されることがある(図5(a)中、丸で囲んだ部分参照)。通常、この構成の場合においては、マスク本体の表面はマスク箔(FFM)と呼ばれる反射率の高い薄膜が形成され、マスクフレーム自体は反射率の低い材料により構成される。そこで、このような構成のマスクを採用する場合には、マスクフレーム221Yの表面の一部にもマスク本体221Xからマスク箔(薄膜221a)の一部を延長させるように設けることで、マスクのマスクフレーム221Yに反射体としての機能を設けることができる。
【0055】
以上の構成により、光源43からの照明光は静電チャック23の開口部23Xを通過して基板10を透過した後に、マスク221(の薄膜221a)により反射され、反射光Lは開口部23Xを通ってカメラ本体41により撮影される。上記のマーク10m,10mdは、遮光性を有しているため、カメラ本体41により撮影される画像においては、マーク10m,10mdは影として撮影される(図5(b)参照)。このように、本実施例においては、カメラ本体41は、反射体であるマスク221からの反射光Lを用いて、基板用のマーク10m,10mdを撮影する。
【0056】
アライメント装置は、上記の通り、カメラ本体41による撮影画像から得られた画像データに基づいて、基板10と静電チャック23との位置ずれ量を測定する。そして、静電チャック23と基板10の相対的な位置が予め設定された閾値超えていた場合、アライメントステージ30を水平方向に移動させ、静電チャック23と基板10との水平方向の相対的な位置が調整される。本実施例においては、マーク10mの中心(図心)と開口部23Xの中心(仮想的なマーク23mの中心に相当)との距離が予め定めた閾値以内となる
ように位置調整が行われる。なお、基板10に複数設けられたマーク10mの中心と、静電チャック23に複数設けられた開口部23Xの中心との距離が、いずれも予め定めた閾値以内となるように位置調整が行われる。また、本実施例においては、調整機構としてのアライメントステージ30によって、静電チャック23を移動させることで、基板10と静電チャック23との位置調整を行う構成を示した。しかしながら、本発明においては、基板と静電チャックのうちの少なくともいずれか一方の位置調整によって、アライメントを行えばよい。従って、静電チャックを移動させずに、基板を移動させることで、アライメントを行うようにしてもよいし、静電チャックと基板の双方を移動させることでアライメントを行うようにしてもよい。
【0057】
<本実施例に係るアライメント装置等の優れた点>
本実施例においては、カメラ本体41は、反射体であるマスク221からの反射光を用いて、基板用のマーク10mを撮影する構成が採用されている。すなわち、本実施例においては、マーク10mは影として撮影される。従って、従来のように、マークを、その反射光により撮影する場合には、基板が撓んで傾くと、マークの反射光が進む方向は基板の撓み変形に応じて異なるのに対して、本実施例の場合には、マスク221からの反射光Lは、基板10の傾きには影響されない。従って、図5(a)に示すように、基板10が撓んでいたとしても、反射光Lがカメラ本体41からずれてしまうことはなく、マーク10mを的確に撮影することができる。以上のように、本実施例においては、マーク10mの位置の測定に際し、基板10の傾きの影響は受けない。従って、基板10の傾きが、マーク10mの測定誤差に影響を与えることはない。このように、本実施例によれば、基板10が撓んでも、基板10に設けられたアライメント用のマーク10mをより確実に撮影することができ、この位置を的確に測定することができる。その結果、その後の基板10とマスク221とのアライメント精度も高められ、成膜精度を高めることができる。
【0058】
<電子デバイスの製造方法>
次に、本実施例に係る成膜装置を用いた電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成及び製造方法を例示する。
【0059】
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。図6(a)は有機EL表示装置60の全体図、図6(b)は1画素の断面構造を表している。
【0060】
図6(a)に示すように、有機EL表示装置60の表示領域61には、発光素子を複数備える画素62がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域61において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本実施例にかかる有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子62R、第2発光素子62G、第3発光素子62Bの組合せにより画素62が構成されている。画素62は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組合せで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン発光素子と白色発光素子の組合せでもよく、少なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。
【0061】
図6(b)は、図6(a)のA-B線における部分断面模式図である。画素62は、基板63上に、第1電極(陽極)64と、正孔輸送層65と、発光層66R、66G、66Bのいずれかと、電子輸送層67と、第2電極(陰極)68と、を備える有機EL素子を有している。これらのうち、正孔輸送層65、発光層66R、66G、66B、電子輸送層67が有機層に当たる。また、本実施例では、発光層66Rは赤色を発する有機EL層、発光層66Gは緑色を発する有機EL層、発光層66Bは青色を発する有機EL層である。発光層66R、66G、66Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。また、第1電
極64は、発光素子毎に分離して形成されている。正孔輸送層65と電子輸送層67と第2電極68は、複数の発光素子62R、62G、62Bと共通で形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、第1電極64と第2電極68とが異物によってショートするのを防ぐために、第1電極64間に絶縁層69が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層70が設けられている。
【0062】
図6(b)では正孔輸送層65や電子輸送層67が一つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によって、正孔ブロック層や電子ブロック層を含む複数の層で形成されてもよい。また、第1電極64と正孔輸送層65との間には、第1電極64から正孔輸送層65への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔注入層を形成することもできる。同様に、第2電極68と電子輸送層67の間にも電子注入層が形成することができる。
【0063】
次に、有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。
【0064】
まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)及び第1電極64が形成された基板63を準備する。第1電極64が形成された基板63の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法により、第1電極64が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層69を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
【0065】
絶縁層69がパターニングされた基板63を第1の有機材料成膜装置に搬入し、基板保持台及び吸着部材にて基板を保持し、正孔輸送層65を、表示領域の第1電極64の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層65は真空蒸着により成膜される。実際には、正孔輸送層65は表示領域61よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。
【0066】
次に、正孔輸送層65までが形成された基板63を第2の有機材料成膜装置に搬入し、基板保持台及び吸着部材にて保持する。基板とマスクとのアライメントを行い、基板をマスクの上に載置し、基板63の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層66Rを成膜する。
【0067】
本発明によると、静電チャック23及び吸引マグネット24の駆動機構を、アライメントステージ30に搭載することで、静電チャック23、吸引マグネット24、基板10、マスク221間の相対的な位置を効果的に調整することができ、これによって成膜不良を効果的に低減させることができる。
【0068】
発光層66Rの成膜と同様に、第3の有機材料成膜装置により緑色を発する発光層66Gを成膜し、さらに第4の有機材料成膜装置により青色を発する発光層66Bを成膜する。発光層66R、66G、66Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置により表示領域61の全体に電子輸送層67を成膜する。電子輸送層67は、3色の発光層66R、66G、66Bに共通の層として形成される。
【0069】
電子輸送層67まで形成された基板を金属性蒸着材料成膜装置で移動させて第2電極68を成膜する。
【0070】
その後プラズマCVD装置に移動して保護層70を成膜して、有機EL表示装置60が完成する。
【0071】
絶縁層69がパターニングされた基板63を成膜装置に搬入してから保護層70の成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気の下で行われる。
【0072】
(その他)
上記実施例においては、静電チャック23に開口部23Xを設けて、この開口部23Xが静電チャック23におけるアライメント用のマークとして機能する場合の構成を示した。しかしながら、静電チャック23において、少なくとも光源43からの照射光や反射光Lが通過する部分に透光性を持たせ、かつ静電チャック23に遮光性を有するアライメント用のマークを設ける構成を採用することもできる。この場合には、静電チャック23に設けられたアライメント用のマークも、基板10に設けられたマーク10m,10mdと同様に、反射光Lによって影として撮影することができる。従って、静電チャック23に設けられた仮想ではないアライメント用のマークと、基板10のマーク10mとの撮影画像を用いて、基板10と静電チャック23とのアライメントを行うことができる。
【符号の説明】
【0073】
2:成膜装置 10:基板 10m:マーク 11:成膜室 12:成膜室 13:搬送室 14:搬送ロボット 20:真空チャンバ 21:基板保持台 22:マスク保持台 23:静電チャック 23X:開口部 24:吸引マグネット 25:成膜源 30:アライメントステージ 31:第1のZ軸昇降機構 32:第2のZ軸昇降機構 40:カメラユニット 41:カメラ本体 42:カメラレンズ 43:光源 221:マスク 221a:薄膜 221X:マスク本体 221Y:マスクフレーム 230:静電チャック 230m:マーク 301:アライメントステージ駆動用モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7