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特開2024-160688エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物、及びエッチングマスクパターンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160688
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物、及びエッチングマスクパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 297/00 20060101AFI20241107BHJP
   C08F 8/34 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
C08F297/00
C08F8/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066934
(22)【出願日】2024-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2023075758
(32)【優先日】2023-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023216944
(32)【優先日】2023-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】瀬下 武広
(72)【発明者】
【氏名】宮城 賢
(72)【発明者】
【氏名】太宰 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】早川 晃鏡
(72)【発明者】
【氏名】前川 伸祐
(72)【発明者】
【氏名】上原 綾太
【テーマコード(参考)】
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4J026HA06
4J026HB11
4J026HE01
4J100AL08P
4J100BA03P
4J100BA04P
4J100BA16P
4J100BA29P
4J100BA51P
4J100BA64P
4J100BA72P
4J100CA04
4J100DA05
4J100DA36
4J100DA41
4J100FA02
4J100FA03
4J100FA19
4J100GA18
4J100GC02
4J100HA61
4J100HB39
4J100HC09
4J100HC27
4J100HC43
4J100HC70
4J100HC77
4J100HE05
4J100HE08
4J100HE41
4J100HG01
4J100JA43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高膜厚での垂直配向性に優れた、エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物、及びこれを用いたエッチングマスクパターンの製造方法の提供。
【解決手段】第1のブロックと第2のブロックとを有するブロックコポリマーと、数平均分子量3000未満のホモポリマーとを含有するエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物。第1のブロックは、式(b1)で表される構成単位の重合体。第2のブロックは、式(b2m)で表される構成単位と式(b2g)で表される構成単位とのランダム共重合体。第1のブロックの体積の割合は20~80体積%。ホモポリマーは、式(b1)で表される構成単位の重合体を含む。Rはアルキル基;Rb1は水素原子又はメチル基;nは0~5の整数;Rはアルキル基;Rはアルキレン基;Rb2は水素原子等;xは0超1未満。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のブロックと第2のブロックとを有するブロックコポリマーと、数平均分子量3000未満のホモポリマーと、を含有するエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物であって、
前記第1のブロックは、下記一般式(b1)で表される構成単位の繰り返し構造からなる重合体で構成され、
前記第2のブロックは、下記一般式(b2m)で表される構成単位と、下記一般式(b2g)で表される構成単位とが無秩序に配列している構造からなるランダム共重合体で構成され、
前記第1のブロックと前記第2のブロックとの合計の体積に占める、前記第1のブロックの体積の割合は、20~80体積%であり、
前記ホモポリマーは、下記一般式(b1)で表される構成単位の繰り返し構造からなる重合体を含む、
エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物。
【化1】
[式(b1)中、Rは、アルキル基である。Rb1は、水素原子又はメチル基である。nは0~5の整数である。nが2以上の整数である場合、複数のRは、それぞれ同じでもよく、異なってもよい。
式(b2g)中、Rは、ケイ素原子、フッ素原子、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基又はリン酸基を有してもよいアルキル基である。
は、ヒドロキシ基を有してもよい、炭素原子数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である。
式(b2g)及び式(b2m)中、Rb2は、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。複数のRb2は、同一でもよいし異なっていてもよい。
xは、モル比を表し、0超1未満である。]
【請求項2】
前記ホモポリマーは、前記一般式(b2m)で表される構成単位の繰り返し構造からなる重合体をさらに含む、請求項1に記載のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物。
【請求項3】
前記ホモポリマーの数平均分子量は1000以上である、請求項1又は2に記載のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物。
【請求項4】
前記ホモポリマーの含有量が、前記ブロックコポリマー100質量部に対して、前記ホモポリマー10~50質量部である、請求項1又は2に記載のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物。
【請求項5】
支持体上に、請求項1又は2に記載のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を塗布して、ブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、
前記のブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程と、
を有する、エッチングマスクパターンの製造方法。
【請求項6】
前記のブロックコポリマーを含む層を、膜厚25nm以上となるように形成する、請求項5に記載のエッチングマスクパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物、及びエッチングマスクパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)のさらなる微細化に伴い、より繊細な構造体を加工する技術が求められている。
このような要望に対し、互いに非相溶性のブロック同士が結合したブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、より微細なパターンを形成する技術の開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。
ブロックコポリマーの相分離構造を利用するためには、ミクロ相分離により形成される自己組織化ナノ構造を、特定の領域のみに形成し、かつ、所望の方向へ配列させることが必須とされる。これらの位置制御及び配向制御を実現するために、ガイドパターンによって相分離パターンを制御するグラフォエピタキシーや、基板の化学状態の違いによって相分離パターンを制御するケミカルエピタキシー等のプロセスが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
ブロックコポリマーは、相分離により規則的な周期構造の構造体を形成する。
「構造体の周期」とは、相分離構造の構造体が形成された際に観察される相構造の周期を意味し、互いに非相溶である各相の長さの和をいう。相分離構造が基板表面に対して垂直なシリンダー構造を形成する場合、構造体の周期(L0)は、隣接する2つのシリンダー構造の中心間距離(ピッチ)となる。
【0004】
構造体の周期(L0)は、重合度N、及び、フローリー-ハギンズ(Flory-Huggins)の相互作用パラメータχなどの固有重合特性によって決まることが知られている。すなわち、χとNとの積「χ・N」が大きくなるほど、ブロックコポリマーにおける異なるブロック間の相互反発は大きくなる。このため、χ・N>10.5(以下「強度分離限界点」という)のときには、ブロックコポリマーにおける異種類のブロック間の反発が大きく、相分離が起こる傾向が強くなる。そして、強度分離限界点においては、構造体の周期はおよそN2/3・χ1/6となり、下式(1)の関係が成り立つ。つまり、構造体の周期は、分子量と、異なるブロック間の分子量比と、に相関する重合度Nに比例する。
【0005】
L0 ∝ a・N2/3・χ1/6 ・・・(1)
[式中、L0は、構造体の周期を表す。aは、モノマーの大きさを示すパラメータである。Nは、重合度を表す。χは、相互作用パラメータであり、この値が大きいほど、相分離性能が高いことを意味する。]
【0006】
したがって、ブロックコポリマーの組成及び総分子量を調整することによって、構造体の周期(L0)を調節することができる。
ブロックコポリマーが形成する周期構造は、ポリマー成分の体積比等に伴ってシリンダー(柱状)、ラメラ(板状)、スフィア(球状)と変化し、その周期は分子量に依存することが知られている。このため、ブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、比較的大きい周期(L0)の構造体を形成するためには、ブロックコポリマーの分子量を大きくする方法が考えられる。
【0007】
また、汎用のブロックコポリマーである、スチレンのブロックとメタクリル酸メチルのブロックとを有するブロックコポリマーよりも大きな相互作用パラメータ(χ)をもつブロックコポリマーを用いる方法が考えられる。例えば特許文献2には、メタクリル酸メチルブロックの一部に、置換基を導入したブロック共重合体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-36491号公報
【特許文献2】特開2022-020519号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE),第7637巻,第76370G-1(2010年).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、微細パターンを形成するためには、ブロックコポリマーにより形成される相分離構造が垂直配向性を有していることが好ましい。また、前記微細パターンをエッチングマスクパターンとして用いるためには、比較的厚い膜厚(例えば、膜厚25nm以上)で垂直配向させることが好ましい。しかしながら、特許文献1に記載されたブロックコポリマーは、膜厚が大きくなると、垂直配向性を有する相分離構造を形成しにくくなる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高膜厚での垂直配向性に優れた、エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物、及びこれを用いたエッチングマスクパターンの製造方法を提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の第1の態様は、第1のブロックと第2のブロックとを有するブロックコポリマーと、数平均分子量3000未満のホモポリマーと、を含有するエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物であって、前記第1のブロックは、下記一般式(b1)で表される構成単位の繰り返し構造からなる重合体で構成され、前記第2のブロックは、下記一般式(b2m)で表される構成単位と、下記一般式(b2g)で表される構成単位とが無秩序に配列している構造からなるランダム共重合体で構成され、前記第1のブロックと前記第2のブロックとの合計の体積に占める、前記第1のブロックの体積の割合は、20~80体積%であり、前記ホモポリマーは、下記一般式(b1)で表される構成単位の繰り返し構造からなる重合体を含む、エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物である。
【0013】
【化1】
[式(b1)中、Rは、アルキル基である。Rb1は、水素原子又はメチル基である。nは0~5の整数である。nが2以上の整数である場合、複数のRは、それぞれ同じでもよく、異なってもよい。
式(b2g)中、Rは、ケイ素原子、フッ素原子、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基又はリン酸基を有してもよいアルキル基である。
は、ヒドロキシ基を有してもよい、炭素原子数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である。
式(b2g)及び式(b2m)中、Rb2は、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。複数のRb2は、同一でもよいし異なっていてもよい。
xは、モル比を表し、0超1未満である。]
【0014】
本発明の第2の態様は、支持体上に、第1の態様に記載のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を塗布して、ブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、前記のブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程と、を有する、エッチングマスクパターンの製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高膜厚での垂直配向性に優れた、エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物、及びこれを用いたエッチングマスクパターンの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】エッチングマスクパターンの製造方法の一実施形態例を説明する概略工程図である。
図2】任意工程の一実施形態例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「α位(α位の炭素原子)」とは、特に断りがない限り、ブロックコポリマーの側鎖が結合している炭素原子を意味する。メタクリル酸メチル単位の「α位の炭素原子」は、メタクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子を意味する。スチレン単位の「α位の炭素原子」は、ベンゼン環が結合している炭素原子のことを意味する。
「数平均分子量」(Mn)は、特に断りがない限り、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量である。「質量平均分子量」(Mw)は、特に断りがない限り、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される標準ポリスチレン換算の質量平均分子量である。Mn又はMwの値に、単位(g・mol)を付したものはモル質量を表す。
本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがあるが、その場合は一つの式でそれら異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0018】
(エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物)
本実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物は、第1のブロックと第2のブロックとを有するブロックコポリマーと、数平均分子量3000未満のホモポリマーと、を含有する。前記第1のブロックは、下記一般式(b1)で表される構成単位の繰り返し構造からなる重合体で構成される。前記第2のブロックは、下記一般式(b2m)で表される構成単位と、下記一般式(b2g)で表される構成単位とが無秩序に配列している構造からなるランダム共重合体で構成される。前記第1のブロックと前記第2のブロックとの合計の体積に占める、前記第1のブロックの体積の割合は、20~80体積%である。前記ホモポリマーは、下記一般式(b1)で表される構成単位の繰り返し構造からなる重合体を含む。
【0019】
【化2】
[式(b1)中、Rは、アルキル基である。Rb1は、水素原子又はメチル基である。nは0~5の整数である。nが2以上の整数である場合、複数のRは、それぞれ同じでもよく、異なってもよい。
式(b2g)中、Rは、ケイ素原子、フッ素原子、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基又はリン酸基を有してもよいアルキル基である。
は、ヒドロキシ基を有してもよい、炭素原子数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である。
式(b2g)及び式(b2m)中、Rb2は、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。複数のRb2は、同一でもよいし異なっていてもよい。
xは、モル比を表し、0超1未満である。]
【0020】
<ブロックコポリマー:(BCP)成分>
ブロックコポリマーは、複数種類のブロック(同種の構成単位が繰り返し結合した部分構成成分)が結合した高分子である。ブロックコポリマーを構成するブロックは、2種類であってもよく、3種類以上であってもよい。
本実施形態におけるブロックコポリマー(以下、「(BCP)成分」ともいう)は、第1のブロックと、第2のブロックとを有する。
【0021】
≪第1のブロック≫
第1のブロックは、下記一般式(b1)で表される構成単位(以下、構成単位(b1)ともいう)の繰り返し構造からなる重合体で構成される。
【0022】
【化3】
[式中、Rは、アルキル基である。Rb1は、水素原子又はメチル基である。nは0~5の整数である。nが2以上の整数である場合、複数のRは、それぞれ同じでもよく、異なってもよい。]
【0023】
前記式(b1)中、Rは、アルキル基である。前記アルキル基は、炭素原子数1~5が好ましく、炭素原子数1~4がより好ましく、炭素原子数1~3がさらに好ましく、エチル基又はメチル基がさらにより好ましい。Rは、メチル基が特に好ましい。
【0024】
前記式(b1)中、Rb1は、水素原子又はメチル基である。
前記式(b1)中、nは、0~3が好ましく、0~2がより好ましく、0又は1がさらに好ましい。
【0025】
≪第2のブロック≫
第2のブロックは、下記一般式(b2m)で表される構成単位(以下、構成単位(b2m)ともいう)と、下記一般式(b2g)で表される構成単位(以下、構成単位(b2g)ともいう)とが無秩序に配列している構造からなるランダム共重合体で構成される。
【0026】
【化4】
[式(b2g)中、Rは、ケイ素原子、フッ素原子、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基又はリン酸基を有してもよいアルキル基である。
は、ヒドロキシ基を有してもよい、炭素原子数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である。
式(b2g)及び式(b2m)中、Rb2は、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。複数のRb2は、同一でもよいし異なっていてもよい。
xは、モル比を表し、0超1未満である。]
【0027】
(構成単位(b2m))
構成単位(b2m)は、前記一般式(b2m)で表される構成単位である。
前記式(b2m)中、Rb2は、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。Rb2の炭素原子数1~5のアルキル基は、炭素原子数1~5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素原子数1~5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、特にフッ素原子が好ましい。
b2としては、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0028】
(構成単位(b2g))
構成単位(b2g)は、前記一般式(b2g)で表される構成単位である。
【0029】
前記式(b2g)中、Rb2は、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。Rb2は、前記式(b2m)中のRb2と同様である。
【0030】
前記式(b2g)中、Rは、ケイ素原子、フッ素原子、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基又はリン酸基を有してもよいアルキル基である。前記アルキル基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよく、環構造を含むものでもよい。前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が好ましく、直鎖状又は環状のアルキル基がより好ましい。前記アルキル基が直鎖状である場合、炭素原子数は1以上であればよいが、炭素原子数2以上が好ましい。前記直鎖状のアルキル基の炭素原子数の上限は特に限定されないが、相分離性能の観点から、炭素原子数15以下が好ましく、炭素原子数10以下がより好ましく、炭素原子数8以下がさらに好ましく、炭素原子数6以下がさらにより好ましい。前記アルキル基が分岐鎖状である場合、炭素原子数3以上であればよい。前記分岐鎖状のアルキル基の炭素原子数の上限は特に限定されないが、相分離性能の観点から、炭素原子数15以下が好ましく、炭素原子数10以下がより好ましく、炭素原子数8以下がさらに好ましく、炭素原子数6以下がさらにより好ましい。
前記アルキル基が環構造を含む場合、Rは、シクロアルキル基でもよく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基の途中にシクロアルキレン基が介在するものでもよく、直鎖状又は分岐状のアルキレン基の末端にシクロアルキル基が結合するものでもよい。前記シクロアルキル基及びシクロアルキレン基は、単環式基でもよく、多環式基でもよいが、単環式基が好ましい。前記シクロアルキル基又はシクロアルキレン基が単環式基である場合、3~8員環が好ましく、3~6員環がより好ましく、5~6員環がさらに好ましい。前記アルキル基が環構造を含む場合、Rは、炭素原子数3以上であればよい。前記環構造を含むアルキル基の炭素原子数の上限は特に限定されないが、相分離性能の観点から、炭素原子数15以下が好ましく、炭素原子数10以下がより好ましく、炭素原子数8以下がさらに好ましく、炭素原子数6以下がさらにより好ましい。
におけるアルキル基の炭素原子数としては、炭素原子数2~15が好ましく、炭素原子数2~10がより好ましく、炭素原子数2~8がさらに好ましく、炭素原子数2~6がさらにより好ましい。
のアルキル基は、炭素原子数2~6の直鎖状アルキル基又はシクロアルキル基が好ましい。
【0031】
のアルキル基は、ケイ素原子、フッ素原子、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基又はリン酸基を有してもよい。Rのアルキル基が、フッ素原子、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基又はリン酸基を有する場合、前記フッ素原子、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基又はリン酸基は、アルキル基の水素原子を置換する置換基であってよい。前記の基で置換される水素原子の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。
のアルキル基がケイ素原子を有する場合、前記ケイ素原子は、アルキル基中のメチレン基(-CH-)を置換する置換基であってもよい。ケイ素原子で置換されるメチレン基の数は、特に限定されないが、1個が好ましい。
は、好ましくは、アルキルシリル基、フルオロメチル基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、又はリン酸基で置換されてもよいアルキル基であることが好ましい。前記アルキルシリル基中のアルキル基は、炭素原子数1~3が好ましく、炭素原子数1又は2がより好ましい。前記アルキルシリル基は、トリアルキルシリル基が好ましく、トリエチルシリル基又はトリメチルシリル基がより好ましく、トリメチルシリル基がさらに好ましい。前記フルオロメチル基は、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0032】
の好ましい例を以下に示すが、これらに限定されない。下記式中、*は、前記式(b2g)中の硫黄原子(S)に結合する結合手である。
【0033】
【化5】
[式中、Yは、単結合又は炭素原子数1~15の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である。pは、1~10の整数である。]
【0034】
前記式(r2-1)~(r2-7)中、Yは、単結合又は炭素原子数1~15の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である。前記アルキレン基が直鎖状である場合、炭素原子数1~10がより好ましく、炭素原子数1~8がさらに好ましく、炭素原子数1~5が特に好ましい。前記アルキレン基が分岐鎖状である場合、炭素原子数2~10がより好ましく、炭素原子数2~8がさらに好ましく、炭素原子数2~6が特に好ましい。
のアルキレン基は、炭素原子数1~5の直鎖状アルキレン基又は炭素原子数2~6の分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
が、前記式(r2-1)~(r2-8)のいずれかで表される基である場合、Yは炭素原子数1~15の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1~5の直鎖状アルキレン基又は炭素原子数2~6の分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。Rが、前記式(r2-9)で表される基である場合、Yは単結合又は炭素原子数1~5の直鎖状アルキレン基が好ましく、単結合がより好ましい。
前記式(r2-9)中、pは、1~6の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましく、3又は4がさらに好ましい。
【0035】
の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。下記式中、*は、前記式(b2g)中の硫黄原子(S)に結合する結合手である。
【0036】
【化6】
[式中、qは、1~15の整数である。q’は、0~15の整数である。pは、1~10の整数である。p’は、それぞれ独立に、0~10の整数である。]
【0037】
前記式中、qは、1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~5が特に好ましい。
前記式(r2-18)及び(r2-19)中、q’は、0~10が好ましく、0~8がより好ましく、0~6がさらに好ましく、0~5が特に好ましい。
前記式(r2-18)中、pは、1~6の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましく、3又は4がさらに好ましい。
前記式(r2-19)中、p’は、1~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましく、1又は2が特に好ましい。
【0038】
前記式(b2g)中、Rは、ヒドロキシ基を有してもよい、炭素原子数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である。前記アルキレン基が直鎖状である場合、炭素原子数は1以上であればよいが、炭素原子数3以上が好ましい。前記直鎖状のアルキレン基の炭素原子数の上限は、相分離性能の観点から、炭素原子数8以下が好ましく、炭素原子数5以下がより好ましく、炭素原子数4以下がさらに好ましい。前記直鎖状のアルキレン基の炭素原子数は、3が特に好ましい。前記アルキレン基が分岐鎖状である場合、炭素原子数3以上であればよいが、4以上が好ましい。前記分岐鎖状のアルキレン基の炭素原子数の上限は、相分離性能の観点から、炭素原子数8以下が好ましく、炭素原子数5以下がより好ましい。前記アルキレン基の炭素原子数としては、炭素原子数3~10が好ましく、炭素原子数3~8がより好ましく、炭素原子数3~5がさらに好ましく、炭素原子数3~4がさらにより好ましく、炭素原子数3が特に好ましい。
のアルキレン基は、炭素原子数3の直鎖状アルキレン基が好ましい。
【0039】
のアルキレン基は、ヒドロキシ基を有していてもよい。前記ヒドロキシ基は、アルキレン基の水素原子を置換する置換基であってよい。前記のヒドロキシ基で置換される水素原子の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましく、1個又は2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。
【0040】
構成単位(b2g)は、好ましくは、下記一般式(b2g-1)で表される構成単位である。
【0041】
【化7】
[式中、Rは、水素原子又はヒドロキシ基である。k1及びk2は、それぞれ独立に、1~5の整数である。Rb2及びRは、前記式(b2g)におけるRb2及びRと同様である。]
【0042】
前記式(b2g-1)中、Rb2及びRは、前記式(b2g)におけるRb2及びRと同様である。Rは、前記式(r2-1)~(r2-9)で表されるものが好ましく、(r2-10)~(r2-19)で表されるものがより好ましい。
【0043】
前記式(b2g-1)中、Rは、水素原子又はヒドロキシ基である。
【0044】
前記式(b2g-1)中、k1及びk2は、それぞれ独立に、1~5の整数である。k1及びk2は、1~3が好ましく、1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。
【0045】
構成単位(b2g)の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。下記式中、Rは、メチル基又は水素原子を表し、メチル基が好ましい。
【0046】
【化8】
【0047】
【化9】
【0048】
【化10】
【0049】
【化11】
【0050】
第2のブロックは、前記構成単位(b2g)と構成単位(b2m)とが無秩序に配列している構造からなるランダム共重合体で構成される。前記式(b2g)及び(b2m)中、x及び1-xは、構成単位(b2g)及び構成単位(b2m)のモル比を表す。xは、0超1未満である。xは、目的とする相分離構造の種類に応じて適宜決定することができる。ラメラ構造の相分離構造を形成する場合、xは、0.01~0.3が好ましく、0.1~0.3が好ましい。シリンダー構造の相分離構造を形成する場合、xは、0.01~0.1が好ましく、0.01以上0.1未満がより好ましい。
【0051】
(BCP)成分において、第1のブロックと第2のブロックとの合計の体積に占める、第1のブロックの体積の割合は、20~80体積%である。第1のブロックの体積の割合は、目的とする相分離構造の種類に応じて適宜決定することができる。ラメラ構造の相分離構造を形成する場合、前記第1のブロックの体積の割合は、35~65体積%が好ましい。シリンダー構造の相分離構造を形成する場合、前記第1のブロックの体積の割合は、20~35体積%又は65~80体積%が好ましい。
【0052】
(BCP)成分における第1のブロックと第2のブロックとの合計の体積に占める、第1のブロックの体積の割合は、下記のようにして求めることができる。
H NMRの解析結果から、(BCP)成分における第1のブロック及び第2のブロックのモル%をそれぞれ算出し、さらに、各ブロックの分子量から、各ブロックの質量%をそれぞれ算出する。前記各ブロックの質量%を各ブロックの密度で割ることにより、各ブロックの体積比を算出し、前記体積比から(BCP)成分における第1のブロックの体積%を算出する。各ブロックの密度は、原子団寄与法(Fedors, R. F. Polym. Eng. Sci. 1974, 14,147-154.)により見積もることができる。なお、第1のブロックがポリスチレンブロック(PS)である場合、PSの密度としては、1.05gm-3を用いることができる。第2のブロックがポリスチレンブロック(PS)である場合、PSの密度としては、1.05gm-3を用いることができる。第2のブロックがメタクリル酸メチルから誘導される構成単位を有する場合、前記構成単位から構成される構造の密度としては、1.18gcm-3を用いることができる。第2のブロックが2-ヒドロキシ-3-(2,2,2-トリフルオロエチルスルファニル)プロピルメタクリレートから誘導される構成単位を有する場合、前記構成単位から構成される構造の密度としては、1.43gcm-3を用いることができる。各ブロックの密度に関しては、文献(Polymer Handbook, 4th ed.; Wiley: New York, 2004.)等に記載されるものを用いることもできる。
【0053】
(BCP)成分は、第1のブロック及び第2のブロックに加えて、他のブロックを有していてもよい。好ましい態様において、(BCP)成分は、第1のブロックと第2のブロックとから構成されるブロックコポリマーである。
【0054】
(BCP)成分の数平均分子量(Mn)(サイズ排除クロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、5,000~100,000が好ましく、6,000~7,000がより好ましく、8,000~40,000がさらに好ましく、10,000~40,000が特に好ましい。
(BCP)成分を構成する各ブロックの分子量分散度(Mw/Mn)は、1.0~1.5が好ましく、1.0~1.4がより好ましく、1.0~1.3がさらに好ましい。
【0055】
≪ブロックコポリマー((BCP)成分)の製造方法≫
(BCP)成分は、例えば以下に示す工程を有する製造方法により製造することができる。
工程(p1):第1のブロックと第2のブロックの前駆体とを有するブロックコポリマー(以下、「BCP前駆体」ともいう)を得る工程。
工程(p2):BCP前駆体中の第2のブロックの前駆体に、R-SHで表される化合物(Rは前記式(b2g)中のRと同様である。)を反応させて、第1のブロックと第2のブロックとを含有するブロックコポリマー((BCP)成分)を得る工程。
【0056】
工程(p1):
第2のブロックの前駆体は、構成単位(b2g)の前駆体である構成単位(b2gp)と構成単位(b2m)とが無秩序に配列している構造からなるランダム共重合体である。構成単位(b2gp)は、エポキシ基又はビニル基を含む構成単位であり、下記一般式(b2gp)で表される構成単位が挙げられる。
【0057】
【化12】
[式中、Rpは、エポキシ基又はビニル基を表す。Ypは、炭素原子数1~8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。Rb2は、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。]
【0058】
BCP前駆体は、例えば、構成単位(b1)を誘導するモノマー(例えば、スチレン又はその誘導体。以下、モノマー(b1)ともいう)の重合反応を行った後、当該重合反応液中に構成単位(b2gp)を誘導するモノマー(例えば、グリシジルメタクリレート、アリルメタクリレート等。以下、モノマー(b2gp)ともいう)及び構成単位(b2m)を誘導するモノマー(例えば、メタクリル酸メチル。以下、モノマー(b2m)ともいう)を添加してさらに重合反応を行うことにより、得ることができる。あるいは、モノマー(b2gp)及びモノマー(b2m)の混合物により重合反応を行った後、当該重合反応液中にモノマー(b1)を添加してさらに重合反応を行うことにより、得ることができる。重合反応は、狭分散で合成しやすいことから、リビング重合が好ましい。好ましいリビング重合の方法としては、リビングアニオン重合、リビングラジカル重合が挙げられ、狭分散化がより図れることから、リビングアニオン重合が特に好ましい。
【0059】
工程(p2):
-SHで表される化合物(以下、「化合物(R-SH)」ともいう)は、構成単位(b2gp)のエポキシ基又はビニル基と反応し、構成単位(b2gp)を構成単位(b2g)に変換する化合物である。
構成単位(b2gp)がエポキシ基を含む場合、BCP前駆体と化合物(R-SH)の反応は、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中において、水酸化リチウム等の触媒の存在下で行うことができる。反応温度としては、例えば、20~60℃が挙げられ、30~50℃が好ましく、35~45℃がより好ましい。反応時間は、BCP前駆体の使用量に応じて、適宜設定することができ、第2のブロックの前駆体中の構成単位(b2gp)が全て構成単位(b2g)に変換されるのに十分な時間であればよい。反応時間としては、例えば、1~10時間が挙げられる。構成単位(b2gp)がビニル基を含む場合、BCP前駆体と化合物(R-SH)の反応は、チオール・エン反応により行うことができる。チオール・エン反応は、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中において、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等の触媒の存在下で行うことができる。反応温度としては、例えば、60~90℃が挙げられ、70~90℃が好ましく、75~85℃がより好ましい。反応時間は、BCP前駆体の使用量に応じて、適宜設定することができ、第2のブロックの前駆体中の構成単位(b2gp)が全て構成単位(b2g)に変換されるのに十分な時間であればよい。反応時間としては、例えば、1~10時間が挙げられる。
【0060】
【化13】
[式中、R、Rb1、及びnは、前記式(b1)中のR、Rb1及びnとそれぞれ同じである。R及びRは、前記式(b2g)中のR及びRと同じである。Rb2及びxは、前記式(b2g)及び式(b2m)中のRb2及びxと同じである。Yp2は、炭素原子数1~8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。Rpは、エポキシ基又はビニル基を表す。]
【0061】
<ホモポリマー:(H)成分>
ホモポリマーは、数平均分子量3000未満のホモポリマー(以下、「(H)成分」ともいう)である。(H)成分は、前記一般式(b1)で表される構成単位(b1)の繰り返し構造からなる重合体を含む。
【0062】
(構成単位(b1)の繰り返し構造からなる重合体:(H1)成分)
(H)成分は、構成単位(b1)の繰り返し構造からなる重合体(以下、「(H1)成分」ともいう)を含む。(H1)成分が有する構成単位(b1)についての説明は、上記(BCP)成分の第1ブロックが有する構成単位(b1)についての説明と同じである。
(H1)成分が有する構成単位(b1)は、(BCP)成分の第1ブロックが有する構成単位(b1)と同じでもよく、異なってもよいが、同じことが好ましい。例えば、(BCP)成分の第1ブロックがポリスチレンブロックである場合、(H1)成分は、ポリスチレンであることが好ましい。
【0063】
(H1)成分の数平均分子量(Mn)(サイズ排除クロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、3,000未満であればよい。(H1)成分のMnが3,000未満であることにより、ブロックコポリマーを含む層中に(H1)成分が均一に分散しやすくなり、高膜厚(例えば、膜厚25nm以上)での垂直配向性が向上する。(H1)成分のMnの上限値としては、例えば、2,900以下、2,800以下、2,700以下、2,600以下、2,500以下、2,400以下、2,300以下、2,200以下、2,100以下、又は2,000以下が挙げられる。(H1)成分のMnの下限値としては、例えば、1,000以上、又は1,200以上が挙げられる。(H1)成分のMnの範囲としては、例えば、1,000~2,900が挙げられ、1,000~2,500が好ましく、1,200~2,000がより好ましい。
(H1)成分のMnが前記好ましい範囲内であることにより、垂直配向性に優れた相分離構造を形成しやすくなる。
【0064】
本実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物中の(H1)成分の含有量は、(BCP)成分100質量部に対して、1質量部以上が挙げられ、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。(H1)成分の含有量の上限値は、(BCP)成分100質量部に対して、100質量部以下が挙げられ、70質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。(H1)成分の含有量の範囲としては、(BCP)成分100質量部に対して、1~100質量部が挙げられ、10~70質量部が好ましく、15~50質量部がより好ましく、15~30質量部がさらに好ましい。
(H1)成分の含有量が、上記好ましい範囲内であることにより、垂直配向性に優れた相分離構造を形成しやすくなる。
【0065】
(H1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(H)成分が(H1)成分を2種以上含む場合、(H1)成分の含有量は、当該2種以上の(H1)成分の含有量の合計を意味する。
【0066】
(他のホモポリマー)
(H)成分は、(H1)成分に加えて、他のホモポリマーを含んでもよい。他のホモポリマーとしては、前記一般式(b2m)で表される構成単位(b2m)の繰り返し構造からなる重合体(以下、「(H2)成分」ともいう)が挙げられる。
【0067】
≪構成単位(b2m)の繰り返し構造からなる重合体:(H2)成分≫
(H2)成分が有する構成単位(b2m)についての説明は、上記(BCP)成分の第2ブロックが有する構成単位(b2m)についての説明と同じである。
(H2)成分が有する構成単位(b2m)は、(BCP)成分の第2ブロックが有する構成単位(b2m)と同じでもよく、異なってもよいが、同じことが好ましい。例えば、(BCP)成分の第2ブロックがポリメタクリル酸メチルブロックである場合、(H1)成分は、ポリメタクリル酸メチルであることが好ましい。
【0068】
(H2)成分の数平均分子量(Mn)(サイズ排除クロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、3,000未満であればよい。(H2)成分のMnが3,000未満であることにより、ブロックコポリマーを含む層中に(H2)成分が均一に分散しやすくなり、高膜厚(例えば、膜厚25nm以上)での垂直配向性が向上する。(H2)成分のMnの上限値としては、例えば、2,900以下、2,800以下、2,700以下、2,600以下、2,500以下、2,400以下、2,300以下、2,200以下、2,100以下、又は2,000以下が挙げられる。(H2)成分のMnの下限値としては、例えば、1,000以上、又は1,200以上が挙げられる。(H2)成分のMnの範囲としては、例えば、1,000~2,900が挙げられ、1,000~2,500が好ましく、1,200~2,000がより好ましい。
(H2)成分のMnが前記好ましい範囲内であることにより、垂直配向性に優れた相分離構造を形成しやすくなる。
【0069】
(H)成分が(H2)成分を含む場合、本実施形態エッチングマスクパターン形成用組成物中の(H2)の含有量は、(BCP)成分100質量部に対して、90質量部以下が挙げられ、70質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。(H)成分が(H2)成分を含む場合、(H2)成分の含有量は、(BCP)成分100質量部に対して、1質量部以上でもよく、5質量部以上でもよく、10質量部以上でもよく、15質量部以上でもよい。(H2)成分の含有量の範囲としては、(BCP)成分100質量部に対して、0~90質量部が挙げられ、0~70質量部が好ましく、0~50質量部がより好ましく、0~30質量部がさらに好ましく、0~25質量部がさらより好ましい。
(H2)成分の含有量が、上記好ましい範囲内であることにより、垂直配向性に優れた相分離構造を形成しやすくなる。
【0070】
(H2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(H)成分が(H2)成分を2種以上含む場合、(H2)成分の含有量は、当該2種以上の(H2)成分の含有量の合計を意味する。
【0071】
(H)成分が(H2)成分を含む場合、(H2)成分の含有量は、(H1)成分100質量部に対して、100質量部以下が好ましい。(H2)成分の含有量は、(H1)成分100質量部に対して、90質量部以下、80質量部以下、70質量部以下、60質量部以下、50質量部以下、又は40質量部以下であってもよい。
【0072】
本実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物中の(H)成分の含有量は、(BCP)成分100質量部に対して、100質量部以下が好ましい。(H)成分が、2種以上のホモポリマーを含む場合、(H)成分の含有量は、当該2種以上のホモポリマーの含有量の合計を意味する。(H)成分の含有量は、(BCP)成分100質量部に対して、5質量部以上が挙げられ、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましい。(H)成分の含有量の上限値は、(BCP)成分100質量部に対して、100質量部以下が挙げられ、70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましい。(H)成分の含有量の範囲としては、(BCP)成分100質量部に対して、5~100質量部が挙げられ、10~70質量部が好ましく、20~60質量部がより好ましく、30~50質量部がさらに好ましい。
(H)成分の含有量が、上記好ましい範囲内であることにより、垂直配向性に優れた相分離構造を形成しやすくなる。
【0073】
本実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物は、Mnが3,000以上であるホモポリマーを含んでもよく、含まなくてもよいが、含まないことが好ましい。本実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物は、Mn3,000以上のホモポリマーを含まないことにより、垂直配向性に優れた相分離構造をより形成しやすくなる。
【0074】
<有機溶剤成分>
本実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物は、上記(BCP)成分及び(H)成分を有機溶剤成分に溶解することにより調製できる。
有機溶剤成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、樹脂を主成分とする膜組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを用いることができる。
【0075】
有機溶剤成分としては、例えば、γ-ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物;前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などが挙げられる。
有機溶剤成分は、単独で用いてもよいし、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、ELが好ましい。
【0076】
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2の範囲内とすることが好ましい。
たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2、さらに好ましくは3:7~7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2、さらに好ましくは3:7~7:3である。
【0077】
また、エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物中の有機溶剤成分として、その他には、PGMEAもしくはEL、又は前記PGMEAと極性溶剤との混合溶剤と、γ-ブチロラクトンと、の混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者との質量比が好ましくは70:30~95:5とされる。
エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物に含まれる有機溶剤成分は、特に限定されるものではなく、塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定され、一般的には固形分濃度が0.2~70質量%、好ましくは0.2~50質量%の範囲内となるように用いられる。
【0078】
<任意成分>
エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物には、上記の(BCP)成分、(H)成分及び有機溶剤成分以外に、さらに、所望により、混和性のある添加剤、例えば層の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、増感剤、塩基増殖剤、塩基性化合物等を適宜、含有させることができる。
【0079】
以上説明した本実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物によれば、(BCP)成分に加えて、(H)成分を含有することにより、高膜厚(例えば、膜厚25nm以上)であっても、垂直配向性の良好な相分離構造を形成することができる。そのため、高膜厚(例えば、膜厚25nm以上、好ましくは30nm以上)で垂直配向した相分離構造を形成し、当該相分離構造をエッチングマスクパターンとして利用することができる。
【0080】
(BCP)成分は、第2ブロックが構成単位(b2g)を有することにより、スチレンのブロックとメタクリル酸メチルのブロックとを有するブロックコポリマー(PS-b-PMMA)と比較して、χの値を高くすることができる。これにより、重合度(N)がより低いブロックコポリマーを用いて、より短い周期の微細な相分離構造を形成することができる。しかしながら、χの値が高いと、垂直配向性が低下する傾向がある。特に、エッチングマスクパターンに適用可能な程度の膜厚(例えば、膜厚25nm以上、好ましくは30nm以上)では、(BCP)成分は、垂直配向した相分離構造を形成しにくくなる。
本実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物は、(BCP)成分に加えて、(H)成分を含有することにより、垂直配向性が向上し、エッチングマスクパターンに適用可能な膜厚で垂直配向した相分離構造を形成することができる。
【0081】
(エッチングマスクパターンの製造方法)
本実施形態のエッチングマスクパターンの製造方法は、支持体上に、上述した実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を塗布して、ブロックコポリマーを含む層を形成する工程(以下「工程(i)」という。)と、前記のブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程(以下「工程(ii)」という。)と、を有する。
以下、かかるエッチングマスクパターンの製造方法について、図1を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0082】
図1は、エッチングマスクパターンの製造方法の一実施形態例を示す。
図1に示す実施形態では、まず、支持体1上に下地剤を塗布して、下地剤層2を形成する(図1(I))。
次に、下地剤層2上に、上述した実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を塗布して、ブロックコポリマーを含む層(BCP層)3を形成する(図1(II);以上、工程(i))。
次に、加熱してアニール処理を行い、BCP層3を、相3aと相3bとに相分離させる(図1(III);工程(ii))。
その結果、下地剤層2が形成された支持体1上に、相分離構造を含む構造体3’が製造される。相分離構造を含む構造体3’は、エッチングマスクパターンの製造に用いることができる。
【0083】
[工程(i)]
工程(i)では、支持体1上に、エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を塗布して、BCP層3を形成する。
図1に示す実施形態においては、まず、支持体1上に、下地剤を塗布して、下地剤層2が形成されている。
支持体1上に下地剤層2を設けることによって、支持体1表面と、ブロックコポリマーを含む層(BCP層)3と、の親水疎水バランスが図れる。
すなわち、下地剤層2が、上記第1のブロックを構成する構成単位(b1)を有する樹脂成分を含有する場合、BCP層3のうち第1のブロックからなる相と支持体1との密着性が高まる。下地剤層2が、上記第2のブロックを構成する構成単位(b2)を有する樹脂成分を含有する場合、BCP層3のうち第2のブロックからなる相と支持体1との密着性が高まる。
これに伴い、BCP層3の相分離によって、支持体1表面に対して垂直方向に配向された相分離構造が形成されやすくなる。
【0084】
下地剤:
下地剤としては、樹脂組成物を用いることができる。
下地剤用の樹脂組成物は、(BCP)成分を構成するブロックの種類に応じて、薄膜形成に用いられる従来公知の樹脂組成物の中から適宜選択することができる。
下地剤用の樹脂組成物は、例えば熱重合性樹脂組成物であってもよく、ポジ型レジスト組成物やネガ型レジスト組成物等の感光性樹脂組成物であってもよい。その他、化合物を表面処理剤とし、該化合物を塗布して形成された非重合性膜を下地剤層としてもよい。たとえば、フェネチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン等を表面処理剤として形成されたシロキサン系有機単分子膜も、下地剤層として好適に用いることができる。
【0085】
このような樹脂組成物としては、例えば、第1のブロックを構成する構成単位(b1)及び第2のブロックを構成する構成単位(b2m)をいずれも有する樹脂を含有する樹脂組成物、及び(BCP)成分を構成する各ブロックと親和性の高い構成単位をいずれも有する樹脂を含有する樹脂組成物等が挙げられる。
下地剤用の樹脂組成物としては、たとえば、スチレンとメタクリル酸メチルとの両方を構成単位として有する樹脂を含有する組成物や、芳香環等のスチレンと親和性の高い部位と、メタクリル酸メチルと親和性の高い部位(極性の高い官能基等)と、の両方を含む化合物又は組成物を用いることが好ましい。
スチレンとメタクリル酸メチルとの両方を構成単位として有する樹脂としては、スチレンとメタクリル酸メチルとのランダムコポリマー、スチレンとメタクリル酸メチルとの交互ポリマー(各モノマーが交互に共重合しているもの)、スチレンとメタクリル酸メチルと(ヒドロキシエチル)メタクリレートとのランダムコポリマー等が挙げられる。BCP層に垂直配向した相分離構造を形成させる観点から、前記樹脂におけるスチレン構成単位の割合は、当該樹脂を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対し、20~90モル%が好ましく、30~85モル%がより好ましい。
また、スチレンと親和性の高い部位と、メタクリル酸メチルと親和性の高い部位と、の両方を含む組成物としては、例えば、モノマーとして、少なくとも、芳香環を有するモノマーと、極性の高い官能基を有するモノマーと、を重合させて得られる樹脂を含有する組成物が挙げられる。芳香環を有するモノマーとしては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いたアリール基、又は、これらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等を有するモノマーが挙げられる。また、極性の高い官能基を有するモノマーとしては、トリメトキシシリル基、トリクロロシリル基、エポキシ基、グリシジル基、カルボキシ基、水酸基、シアノ基、アルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基等を有するモノマーが挙げられる。BCP層に垂直配向した相分離構造を形成させる観点から、前記樹脂における芳香環を有するモノマーから誘導される構成単位の割合は、当該樹脂を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対し、20~90モル%が好ましく、30~85モル%がより好ましい。
その他、スチレンと親和性の高い部位と、メタクリル酸メチルと親和性の高い部位と、の両方を含む化合物としては、フェネチルトリクロロシラン等のアリール基と極性の高い官能基との両方を含む化合物や、アルキルシラン化合物等のアルキル基と極性の高い官能基との両方を含む化合物等が挙げられる。
【0086】
下地剤用の樹脂組成物は、前述の樹脂を溶媒に溶解させて製造することができる。
かかる溶媒としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、たとえば、上述した実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物についての説明の中で例示した有機溶剤成分と同様のものが挙げられる。
【0087】
支持体1は、その表面上に樹脂組成物を塗布し得るものであれば、その種類は特に限定されない。例えば、金属(シリコン、銅、クロム、鉄、アルミニウム等)、ガラス、酸化チタン、シリカ、マイカなどの無機物からなる基板;SiO等酸化物からなる基板;SiN等窒化物からなる基板;SiON等の酸化窒化物からなる基板;アクリル、ポリスチレン、セルロース、セルロースアセテート、フェノール樹脂などの有機物からなる基板が挙げられる。これらの中でも、金属の基板が好適であり、例えばシリコン基板(Si基板)又は銅基板(Cu基板)において、シリンダー構造の構造体が形成されやすい。中でも、Si基板が特に好適である。
支持体1の大きさや形状は、特に限定されるものではない。支持体1は、必ずしも平滑な表面を有する必要はなく、様々な形状の基板を適宜選択できる。例えば、曲面を有する基板、表面が凹凸形状の平板、薄片状などの形状の基板が挙げられる。
【0088】
支持体1の表面には、無機系及び/又は有機系の膜が設けられていてもよい。
無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
無機系の膜は、例えば、シリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を、支持体上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、例えば、該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を、基板上にスピンナー等で塗布し、好ましくは200~300℃、好ましくは30~300秒間、より好ましくは60~180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。この有機膜形成用材料は、レジスト膜のような、光や電子線に対する感受性を必ずしも必要とするものではなく、感受性を有するものであってもよく、有しないものであってもよい。具体的には、半導体素子や液晶表示素子の製造において一般的に用いられているレジストや樹脂を用いることができる。
また、BCP層3を加工して形成される、ブロックコポリマーからなるパターン、を用いて有機系の膜をエッチングすることにより、該パターンを有機系の膜へ転写し、有機系の膜パターンを形成できるように、有機膜形成用材料は、エッチング、特にドライエッチング可能な有機系の膜を形成できる材料であることが好ましい。中でも、酸素プラズマエッチング等のエッチングが可能な有機系の膜を形成できる材料であることが好ましい。このような有機膜形成用材料としては、従来、有機BARCなどの有機膜を形成するために用いられている材料であってよい。例えば、日産化学工業株式会社製のARCシリーズ、ロームアンドハース社製のARシリーズ、東京応化工業株式会社製のSWKシリーズなどが挙げられる。
【0089】
下地剤を支持体1上に塗布して下地剤層2を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により形成できる。
たとえば、下地剤を、スピンコート又はスピンナーを用いる等の従来公知の方法により支持体1上に塗布して塗膜を形成し、乾燥させることにより、下地剤層2を形成できる。
塗膜の乾燥方法としては、下地剤に含まれる溶媒を揮発させることができればよく、たとえばベークする方法等が挙げられる。この際、ベーク温度は、80~300℃が好ましく、180~270℃がより好ましく、220~250℃がさらに好ましい。ベーク時間は、30~500秒間が好ましく、60~400秒間がより好ましい。
塗膜の乾燥後における下地剤層2の厚さは、10~100nm程度が好ましく、40~90nm程度がより好ましい。
【0090】
支持体1に下地剤層2を形成する前に、支持体1の表面は、予め洗浄されていてもよい。支持体1表面を洗浄することにより、下地剤の塗布性が向上する。
洗浄処理方法としては、従来公知の方法を利用でき、例えば酸素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。
【0091】
下地剤層2を形成した後、必要に応じて、溶剤等のリンス液を用いて下地剤層2をリンスしてもよい。該リンスにより、下地剤層2中の未架橋部分等が除去されるため、ブロックコポリマーを構成する少なくとも1つのブロックとの親和性が向上し、支持体1表面に対して垂直方向に配向されたシリンダー構造からなる相分離構造が形成されやすくなる。
尚、リンス液は、未架橋部分を溶解し得るものであればよく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル(EL)等の溶剤及びこれらの2種以上混合溶剤、又は市販のシンナー液等を用いることができる。
また、該洗浄後は、リンス液を揮発させるため、ポストベークを行ってもよい。このポストベークの温度条件は、80~300℃が好ましく、90~270℃がより好ましく、100~250℃がさらに好ましい。ベーク時間は、30~500秒間が好ましく、60~240秒間がより好ましい。かかるポストベーク後における下地剤層2の厚さは、1~10nm程度が好ましく、2~7nm程度がより好ましい。
【0092】
次いで、下地剤層2の上に、(BCP)成分を含む層(BCP層)3を形成する。
下地剤層2の上にBCP層3を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えばスピンコート又はスピンナーを用いる等の従来公知の方法により、下地剤層2上に、上述した実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させる方法が挙げられる。
【0093】
BCP層3の厚さは、エッチングマスクパターンを形成するために充分な厚さであればよく、25nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、36nm以上がさらに好ましい。BCP層3の厚さの上限値は、例えば、100nm以下が挙げられ、90nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、70nm以下がさらに好ましく、60nm以下が特に好ましい。例えば、支持体1がSi基板の場合、BCP層3の厚さは、好ましくは25~100nm、より好ましくは30~90nm、さらに好ましくは30~80nm、特に好ましくは30~60nmに調整される。
【0094】
[工程(ii)]
工程(ii)では、支持体1上に形成されたBCP層3を相分離させる。
工程(i)後の支持体1を加熱してアニール処理を行うことで、ブロックコポリマーの選択除去によって、支持体1表面の少なくとも一部が露出するような相分離構造が形成する。すなわち、支持体1上に、相3aと相3bとに相分離した相分離構造を含む構造体3’が製造される。
アニール処理の温度条件は、用いられている(BCP)成分のガラス転移温度以上であり、かつ、熱分解温度未満で行うことが好ましく、例えばブロックコポリマーがポリスチレン-ポリメチルメタクリレート(PS-PMMA)ブロックコポリマー(質量平均分子量5000~100000)の場合には、180~270℃が好ましい。加熱時間は、30~3600秒間が好ましい。
また、アニール処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
【0095】
以上説明した実施形態のエッチングマスクパターンの製造方法によれば、上述した実施形態のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物が用いられているため、エッチングマスクパターンの形成に充分な程度の膜厚(例えば、膜厚25nm以上、好ましくは膜厚30nm以上)で、垂直配向した相分離構造を含む構造体を得ることができる。そのため、当該相分離構造を含む構造体を用いて、エッチングマスクパターンを製造することができる。
【0096】
[任意工程]
相分離構造を含む構造体の製造方法は、上述した実施形態に限定されず、工程(i)及び(ii)以外の工程(任意工程)を有してもよい。
【0097】
かかる任意工程としては、BCP層3のうち、前記(BCP)成分を構成する第1ブロック及び第2ブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去する工程(以下「工程(iii)」という。)、ガイドパターン形成工程等が挙げられる。
【0098】
・工程(iii)について
工程(iii)では、下地剤層2の上に形成された、BCP層のうち、前記(BCP)成分を構成する第1ブロック及び第2ブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去する。これにより、エッチングマスクパターンが形成される。
【0099】
いずれかのブロックからなる相を選択的に除去する方法としては、BCP層に対して酸素プラズマ処理を行う方法、水素プラズマ処理を行う方法等が挙げられる。
例えば、前記(BCP)成分を含むBCP層を相分離した後、該BCP層に対して酸素プラズマ処理や水素プラズマ処理等を行うことにより、第1ブロックからなる相は選択的に除去されず、第2ブロックからなる相が選択的に除去される。
【0100】
図2は、工程(iii)の一実施形態例を示す。
図2に示す実施形態においては、工程(ii)で支持体1上に製造された構造体3’に、酸素プラズマ処理を行うことによって、相3aが選択的に除去され、離間した相3bからなるエッチングマスクパターンが形成されている。この場合、相3bが第1ブロックからなる相であり、相3aが第2ブロックからなる相である。
【0101】
上記のようにして得られたエッチングマスクパターンは、そのまま支持体のエッチングに使用することもできるが、さらに加熱することにより、支持体1上のエッチングマスクパターンの形状を変更することもできる。
加熱の温度条件は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ、熱分解温度未満が好ましい。また、加熱は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
【0102】
・ガイドパターン形成工程について
相分離構造を含む構造体の製造方法においては、上述した工程(i)及び工程(ii)の前に、下地剤層上にガイドパターンを設ける工程(ガイドパターン形成工程)を有してもよい。これにより、相分離構造の配列構造制御が可能となる。
例えば、ガイドパターンを設けない場合に、ランダムな指紋状の相分離構造が形成されるブロックコポリマーであっても、下地剤層表面にレジスト膜の溝構造を設けることにより、その溝に沿って配向した相分離構造が得られる。このような原理で、下地剤層2上にガイドパターンを設けてもよい。また、ガイドパターンの表面が、上記(BCP)成分を構成するいずれかのブロックと親和性を有することにより、支持体表面に対して垂直方向に配向された相分離構造が形成しやすくなる。
【0103】
ガイドパターンは、例えばレジスト組成物を用いて形成できる。
ガイドパターンを形成するレジスト組成物は、一般的にレジストパターンの形成に用いられるレジスト組成物やその改変物の中から、上記(BCP)成分を構成するいずれかのブロックと親和性を有するものを適宜選択して用いることができる。該レジスト組成物としては、レジスト膜露光部が溶解除去されるポジ型パターンを形成するポジ型レジスト組成物、レジスト膜未露光部が溶解除去されるネガ型パターンを形成するネガ型レジスト組成物のいずれであってもよいが、ネガ型レジスト組成物であることが好ましい。ネガ型レジスト組成物としては、例えば、酸発生剤と、酸の作用により有機溶剤を含有する現像液への溶解性が酸の作用により減少する基材成分とを含有し、該基材成分が、酸の作用により分解して極性が増大する構成単位を有する樹脂成分、を含有するレジスト組成物が好ましい。
ガイドパターンが形成された下地剤層上にエッチングパターン形成用樹脂組成物が流し込まれた後、相分離を起こすためにアニール処理が行われる。このため、ガイドパターンを形成するレジスト組成物としては、耐溶剤性と耐熱性とに優れたレジスト膜を形成し得るものであることが好ましい。
【実施例0104】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0105】
(BCP前駆体の合成:BCP前駆体(1))
全てのアニオン重合は、アルゴン雰囲気下で行った。30mLのテトラヒドロフラン(THF)及び塩化リチウム(LiCl)(21.2mg、0.500mmol)を50mLシュレンク管に移し、クールニクスバスで-78°Cに冷却した。Sec-ブチルリチウム(Sec-BuLi)(1.05M ヘキサン/シクロヘキサン溶液)を、溶液の色が黄色に変わるまで前記シュレンク管に加えた。シュレンク管をクールニクスバスから取り外し、溶液が無色になるまで室温で温めた。シュレンク管を再びクールニクスバスで-78℃に冷却し、開始剤としてsec-BuLi(0.095mL、0.100mmol)を加えた。スチレン(1.03mL、9.04mmol)を加え、30分間撹拌した。その結果、鮮やかなオレンジ色の溶液を得た。1,1-ジフェニルエチレン(DPE)(0.088mL、0.50mmol)を添加し、溶液の色が濃い赤色に変わった。30分間撹拌した後、メタクリル酸メチル(MMA)(0.80mL、7.50mmol)とメタクリル酸グリシジル(GMA)(0.325mL、2.50mmol)のモノマー混合物を加え、30分間撹拌した。溶液の色は赤色から透明へと変化した。停止剤として、3mLの脱気メタノール(MeOH)をシュレンク管に加えて、重合を終了した。シュレンク管をクールニクスバスから引き上げ、溶液をMeOHへ投入し再沈殿を行った。沈殿物の固体を濾過した後、40℃で減圧乾燥を行い、BCP前駆体(1)の白色粉末を得た(1.76g、88%収率)。
【0106】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(1))
10mLのガラス管に0.2gのBCP前駆体(1)とTHF(20wt%溶液)を入れ、氷水槽に浸漬した。1wt%水酸化リチウム(LiOH)水溶液(LiOH 0.05モル当量/GMAユニット)及び2,2,2-トリフルオロエタンチオール(2モル当量/GMAユニット)を前記ガラス管に添加した。室温で20分間撹拌した後、リアクターを40℃に設定して、3時間撹拌し、BCP(1)を合成した。合成されたBCP(1)のMn及びPHFMA画分に応じて、メタノール又はメタノール/ヘキサンで数回繰り返し沈殿させて、残留試薬を除去した。生成物を、減圧下、室温で一晩乾燥させて、BCP(1)の白色粉末を得た。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(1)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ23,000g・mol-1及び1.05であった。
H NMR(400MHz,Acetone-d,δ,ppm):0.84(s,α-CH,PMMA),0.87(s,α-CH,PMMA),1.00(s,α-CH,PMMA),1.03(s,α-CH,PHFMA),1.23-1.73(br,backbone,-CH-CH-,PS),1.75-2.23(br,backbone,-CH-CH-,PS,br,backbone,-CH-C(CH)-,PHFMA and PMMA),2.78-3.00(d,CH(OH)-CH-S-,PHFMA),3.40-3.77(s,-S-CH-CF,PHFMA),3.54-3.75(s,-OCH,PMMA),3.92-4.07(d,-(C=O)O-CH-,PHFMA),4.07-4.18(m,-CH(OH)-,PHFMA)4.50-4.72(br,-CH(OH)-,PHFMA),6.36-6.84(m,o-aromatic,PS),6.85-7.35(m,m-,p-aromatic,PS).
【0107】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(2))
スチレンの使用量を2.71mL(23.8mmol)、MMAの使用量を0.91mL(8.5mmol)、GMAの使用量を0.065mL(0.5mmol)としたこと以外は、上記BCP前駆体(1)の合成と同様の方法で、BCP前駆体(2)を合成した。次いで、上記BCP前駆体(1)に替えてBCP前駆体(2)を用いたこと以外は、上記BCP(1)と同様の方法で、BCP(2)を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(2)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ33000g・mol-1及び1.05であった。
【0108】
【化14】
【0109】
(各ブロックの体積の測定)
ブロックコポリマー中の各ブロックのモル%をH NMR解析の結果から算出し、さらに、各ブロックの質量%を算出した。次いで、各ブロックの質量%を各ブロックの密度で割ることにより、各ブロックの体積比を算出した。前記体積比より、ブロックコポリマーの体積全体に占める、ポリスチレンブロックの体積の割合を算出した。各ブロックの密度は、原子団寄与法(Fedors, R. F. Polym. Eng. Sci. 1974, 14,147-154.)により見積もった。なお、ポリスチレンブロックの密度としては、1.05gm-3を用いた。メタクリル酸メチルから誘導される構成単位から構成される構造の密度としては、1.18gcm-3を用いた。2-ヒドロキシ-3-(2,2,2-トリフルオロエチルスルファニル)プロピルメタクリレートから誘導される構成単位から構成される構造の密度として、1.43gcm-3を用いた。
【0110】
上記で合成した各ブロックコポリマーの数平均分子量(Mn)、分散度(PDI=Mw/Mn)、ブロックコポリマーの体積全体に占めるポリスチレンブロック(PS)の体積の割合(体積%)、及び上記反応式中のxの値を表1にまとめた。
【0111】
【表1】
【0112】
(下地剤の調製)
表2に示す各成分を混合して溶解し、NL-1~NL-3の各下地剤(固形分濃度1質量%)をそれぞれ調製した。
【0113】
【表2】
【0114】
表2中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。各ポリマーの数平均分子量(Mn)はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により求めた。各ポリマーの共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はC-NMRにより求めた。
(P)-1:下記の化学式(P-1)で表されるポリマー。Mn=24000。l/m/n=39/56/5。
(P)-2:下記の化学式(P-1)で表されるポリマー。Mn=28000。l/m/n=49/46/5。
(P)-3:下記の化学式(P-1)で表されるポリマー。Mn=30000。l/m/n=61/34/5。
(S)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)。
【0115】
【化15】
【0116】
表2中、「水の接触角(°)」は、以下のように測定した。
後述の「下地剤層の形成」と同様の方法で下地剤層を形成した。下地剤層の表面に水(2μL)を滴下し、DROP MASTER-700(製品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、接触角(静的接触角)の測定を行った。
【0117】
(実施例1~3、比較例1)
<エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物の調製>
表3に示す各成分を混合して溶解し、各例のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物(固形分濃度1.25質量%)をそれぞれ調製した。
【0118】
【表3】
【0119】
表3中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
BCP-1:前記BCP(1)。
PS-2k:ポリスチレン。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は2000。
PMMA-2k:ポリメタクリル酸メチル。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は2000。
(S)-1:PGMEA。
【0120】
<エッチングマスクパターンの製造(1)>
ウェーハ上に上記下地剤NL-1により下地剤層を形成した後、上記の各例のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を用い、以下に示す工程(i)~(iii)を有する製造方法によって、エッチングマスクパターンを得た。
【0121】
下地剤層の形成:
シリコン基板上に、上記下地剤NL-1をスピンコートした後、大気雰囲気下、250℃で5分間加熱した。次いで、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の混合溶媒(PGME/MGMEA=7/3(質量比))によりリンスした。次いで、100℃で1分間加熱した。これにより、当該基板表面には、前記下地剤NL-1からなる膜厚5nmの下地剤層が形成された。
【0122】
工程(i):
上記下地剤層上に、各例のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を、膜厚が36nmになるようにスピンコートし、樹脂組成物層(ブロックコポリマーを含む層)を形成した。
【0123】
工程(ii):
前記下地剤層上に形成された樹脂組成物層を、窒素雰囲気下、90℃で60秒間プレベークし、その後、窒素雰囲気下、240℃で、5分間アニーリングし、相分離構造を形成した。
【0124】
工程(iii):
相分離構造が形成された基板に対し、TCA-3822(東京応化工業株式会社製)を用いて、酸素プラズマ処理(200mL/分、40Pa、40℃、200W、10秒間)を行い、PMMAからなる相を選択的に除去した。
【0125】
[解像性の評価]
得られた基板の表面(相分離状態)を、測長SEM(走査型電子顕微鏡、商品名:CG6300、日立ハイテクノロジーズ社製)で観察し、ミクロ相分離構造(ラメラ構造)の形成を確認した。
かかる観察の結果、下記評価基準に基づき、解像性を評価した。その結果を「解像性」として表4に示した。
(評価基準)
A:断線のないミクロ相分離構造が全面で観察された。
B:ミクロ相分離構造の一部に断線が観察された。
C:ミクロ相分離構造が観察されなかった。
【0126】
[垂直配向性の評価]
得られた基板の表面(相分離状態)を、測長SEM(走査型電子顕微鏡、商品名:CG6300、日立ハイテクノロジーズ社製)で観察した。
かかる観察の結果、下記評価基準に基づき、エッチングパターンの垂直配向性を評価した。その結果を「垂直配向性」として表3に示した。
(評価基準)
A:垂直ラメラパターンが全面に形成。
B:垂直ラメラパターンが部分的に形成。
C:テラス構造又はパターンなし。
【0127】
【表4】
【0128】
表4に示す結果から、実施例1~3では、解像性及び垂直配向性が良好なエッチングマスクパターンを形成できた。一方、比較例1では、垂直ラメラパターンを形成することができず、エッチングマスクパターンを形成することができなかった。
【0129】
(実施例4~8、比較例2~4)
<エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物の調製>
表5に示す各成分を混合して溶解し、各例のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物(固形分濃度1.25質量%)をそれぞれ調製した。
【0130】
【表5】
【0131】
表5中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
BCP-1:前記BCP(1)。
PS-2k:ポリスチレン。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は2000。
PS-1.5k:ポリスチレン。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は1500。
PS-3k:ポリスチレン。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は3000。
PS-5k:ポリスチレン。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は5000。
PMMA-2k:ポリメタクリル酸メチル。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は2000。
PMMA-1.5k:ポリメタクリル酸メチル。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は1500。
PMMA-3k:ポリメタクリル酸メチル。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は3000。
PMMA-5k:ポリメタクリル酸メチル。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は5000。
(S)-1:PGMEA。
【0132】
<エッチングマスクパターンの製造(2)>
下地剤として上記下地剤NL-1又はNL-2を用いたこと以外は、上記<エッチングマスクパターンの製造(1)>と同様の方法で、エッチングマスクパターンを形成した。
【0133】
[解像性の評価]
上記と同様の方法で、各例のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を用いて形成されたエッチングパターンの解像性を評価した。その結果を「解像性」として表6に示した。
【0134】
[垂直配向性の評価]
上記と同様の方法で、各例のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を用いて形成されたエッチングパターンの垂直配向性を評価した。その結果を「垂直配向性」として表6に示した。
【0135】
【表6】
【0136】
表6に示す結果から、実施例4~8では、いずれの下地剤を用いた場合にも、解像性及び垂直配向性がいずれも良好なエッチングマスクパターンを形成できた。一方、比較例1では、いずれの下地剤を用いた場合にも、垂直ラメラパターンを形成することができず、エッチングマスクパターンを形成することができなかった。
【0137】
(実施例9~10、比較例5~7)
<エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物の調製>
表7に示す各成分を混合して溶解し、各例のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物(固形分濃度1.25質量%)をそれぞれ調製した。
【0138】
【表7】
【0139】
表7中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
BCP-2:前記BCP(2)。
BCP-3:下記のブロックコポリマーBCP(3)(PS-b-PMMA)。ブロックコポリマーの数平均分子量(Mn)、分散度(PDI=Mw/Mn)、及びブロックコポリマーの体積全体に占めるポリスチレンブロック(PS)の体積の割合(体積%)を表8にまとめた。
【0140】
【化16】
【0141】
【表8】
【0142】
PS-2k:ポリスチレン。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は2000。
PMMA-2k:ポリメタクリル酸メチル。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は2000。
(S)-1:PGMEA。
【0143】
<エッチングマスクパターンの製造(3)>
下地剤として下地剤NL-3を用い、アニーリング温度を220℃としたこと以外は、上記<エッチングマスクパターンの製造(1)>と同様の方法で、エッチングマスクパターンを形成した。
【0144】
[解像性の評価]
得られた基板の表面(相分離状態)を、測長SEM(走査型電子顕微鏡、商品名:CG6300、日立ハイテクノロジーズ社製)で観察し、ミクロ相分離構造(シリンダー構造)の形成を確認した。
かかる観察の結果、下記評価基準に基づき、解像性を評価した。その結果を「解像性」として表4に示した。
(評価基準)
A:断線のないミクロ相分離構造が全面で観察された。
B:ミクロ相分離構造の一部に断線が観察された。
C:ミクロ相分離構造が観察されなかった。
【0145】
[垂直配向性の評価]
得られた基板の表面(相分離状態)を、測長SEM(走査型電子顕微鏡、商品名:CG6300、日立ハイテクノロジーズ社製)で観察した。
かかる観察の結果、下記評価基準に基づき、エッチングパターンの垂直配向性を評価した。その結果を「垂直配向性」として表9に示した。
(評価基準)
A:垂直シリンダーパターンが全面に形成。
B:垂直シリンダーパターンが部分的に形成。
C:テラス構造又はパターンなし。
【0146】
【表9】
【0147】
表9に示す結果から、実施例9~10では、解像性及び垂直配向性がいずれも良好なエッチングマスクパターンを形成できた。一方、比較例5~7では、垂直シリンダーパターンを形成することができず、エッチングマスクパターンを形成することができなかった。
【0148】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(4))
2,2,2-トリフルオロエタンチオールに替えてエタンチオールを用いたこと以外は、上記(ブロックコポリマーの合成:BCP(1))と同様の方法で、BCP(4)を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(4)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ23,000g・mol-1及び1.05であった。
H NMR(400MHz,CDCl,δ,ppm):0.85-1.02(α-CH,PMMA,PGEMA,-S-CH-CH,PGEMA,),1.23-1.69(-CH-CH-,PS backbone),1.74-2.02(-CH-CH-,PS backbone,-CH-C(CH)-,PGEMA and PMMA),2.63(-CH(OH)-CH-S-CH-CH,PGEMA),3.60(-O-CH,PMMA),3.99(-(C=O)O-CH-CH(OH),PGEMA),6.39-6.85(o-aromatic,PS),6.91-7.42(p-,m-aromatic,PS).
【0149】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(5))
2,2,2-トリフルオロエタンチオールに替えてエタンチオールを用いたこと以外は、上記(ブロックコポリマーの合成:BCP(2))と同様の方法で、BCP(5)を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(5)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ33,000g・mol-1及び1.05であった。
【0150】
【化17】
【0151】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(6))
2,2,2-トリフルオロエタンチオールに替えて1-プロパンチオールを用いたこと以外は、上記(ブロックコポリマーの合成:BCP(1))と同様の方法で、BCP(6)を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(6)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ23,000g・mol-1及び1.05であった。
H NMR(400MHz,CDCl,δ,ppm):0.85-1.02(α-CH,PMMA,PGPMA,-S-CH-CH-CH,PGPMA,),1.23-1.69(-S-CH-CH-CH,PGPMA,-CH-CH-,PS backbone),1.74-2.02(-CH-CH-,PS backbone,-CH-C(CH)-,PGPMA and PMMA),2.63(-CH(OH)-CH-S-CH-CH-,PGPMA),3.60(-O-CH,PMMA),3.99(-(C=O)O-CH-CH(OH),PGPMA),6.39-6.85(o-aromatic,PS),6.91-7.42(p-,m-aromatic,PS).
【0152】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(7))
2,2,2-トリフルオロエタンチオールに替えて1-プロパンチオールを用いたこと以外は、前記(ブロックコポリマーの合成:BCP(2))と同様の方法で、BCP(7)を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(7)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ33,000g・mol-1及び1.05であった。
【0153】
【化18】
【0154】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(8))
2,2,2-トリフルオロエタンチオールに替えて1-ヘキサンチオールを用いたこと以外は、上記(ブロックコポリマーの合成:BCP(1))と同様の方法で、BCP(8)を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(8)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ23,000g・mol-1及び1.05であった。
H NMR(400MHz,CDCl,δ,ppm):0.85-1.02(α-CH,PMMA, PGHMA,-CH-CH-CH,PGHMA,),1.23-1.69(-S-CH-CH-CH-CH-CH-,PGHMA,-CH-CH-,PS backbone),1.74-2.02(-CH-CH-,PS backbone,-CH-C(CH)-,PGHMA and PMMA),2.63(-CH(OH)-CH-S-CH-CH-,PGHMA),3.60(-O-CH,PMMA),3.99(-(C=O)O-CH-CH(OH),PGHMA),6.39-6.85(o-aromatic,PS),6.91-7.42(p-,m-aromatic,PS).
【0155】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(9))
2,2,2-トリフルオロエタンチオールに替えて1-ヘキサンチオールを用いたこと以外は、上記(ブロックコポリマーの合成:BCP(2))と同様の方法で、BCP(9)を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(9)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ33,000g・mol-1及び1.05であった。
【0156】
【化19】
【0157】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(10))
2,2,2-トリフルオロエタンチオールに替えてシクロヘキサンチオールを用いたこと以外は、上記(ブロックコポリマーの合成:BCP(1))と同様の方法で、BCP(10)を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(10)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ23,000g・mol-1及び1.05であった。
H NMR(400MHz,CDCl,δ,ppm):0.85-1.02(α-CH,PMMA,PGCMA),1.23-1.69(-S-CH(CH-CH)-CH-CH-CH-,PGCMA,-CH-CH-,PS backbone),1.74-2.02(-S-CH(CH-CH)-CH-CH-CH-,PGCMA,-CH-CH-,PS backbone,-CH-C(CH)-,PGCMA and PMMA),2.63(-CH(OH)-CH-S-CH(CH-CH)-CH-CH-CH-,PGCMA),3.60(-O-CH,PMMA),3.99(-(C=O)O-CH-CH(OH),PGCMA),6.39-6.85(o-aromatic,PS),6.91-7.42(p-,m-aromatic,PS).
【0158】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(11))
2,2,2-トリフルオロエタンチオールに替えてシクロヘキサンチオールを用いたこと以外は、前記(ブロックコポリマーの合成:BCP(2))と同様の方法で、BCP(11)を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(11)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ33,000g・mol-1及び1.05であった。
【0159】
【化20】
【0160】
(各ブロックの体積の測定)
上記と同様の方法で、各ブロックの体積比を算出した。前記体積比より、上記と同様の方法で、ブロックコポリマーの体積全体に占める、ポリスチレンブロックの体積の割合を算出した。ブロックコポリマー(4)~(11)において、構成単位(b2g)に該当する構成単位(スルフィド基を有する構成単位)から構成される構造の密度としては、全て1.18gcm-3を用いた。
【0161】
上記で合成したブロックコポリマー(4)~(11)の数平均分子量(Mn)、分散度(PDI=Mw/Mn)、ブロックコポリマーの体積全体に占めるポリスチレンブロック(PS)の体積の割合(体積%)、及び上記反応式中のxの値を表10にまとめた。
【0162】
【表10】
【0163】
(実施例11~30、比較例8~15)
<エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物の調製>
表11~12に示す各成分を混合して溶解し、各例のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物(固形分濃度1.25質量%)をそれぞれ調製した。
【0164】
【表11】
【0165】
【表12】
【0166】
表11~12中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
BCP-4~BCP-11:前記BCP(4)~BCP(11)。
PS-2k:ポリスチレン。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は2000。
PMMA-2k:ポリメタクリル酸メチル。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は2000。
(S)-1:PGMEA。
【0167】
<エッチングマスクパターンの製造>
上記<エッチングマスクパターンの製造(1)>と同様の方法で、エッチングマスクパターンを形成した。
【0168】
[解像性の評価]
上記(実施例1~3、比較例1)で記載した方法と同様の方法で、各例のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を用いて形成されたエッチングパターンの解像性を評価した。その結果を「解像性」として表13~14に示した。
【0169】
[垂直配向性の評価]
得られた基板の表面(相分離状態)を、測長SEM(走査型電子顕微鏡、商品名:CG6300、日立ハイテクノロジーズ社製)で観察した。
かかる観察の結果、下記評価基準に基づき、エッチングパターンの垂直配向性を評価した。その結果を「垂直配向性」として表13~14に示した。
(評価基準)
A:垂直ラメラパターンが全面に形成。
B:垂直ラメラパターンが部分的に形成。
C:テラス構造又はパターンなし。
【0170】
【表13】
【0171】
【表14】
【0172】
表13~14に示す結果から、実施例11~30では、解像性及び垂直配向性が良好なエッチングマスクパターンを形成できた。一方、比較例8~15では、垂直ラメラパターンを形成することができず、エッチングマスクパターンを形成することができなかった。
【0173】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(12))
2,2,2-トリフルオロエタンチオールに替えて3-メルカプト-1-ヘキサノールを用いたこと以外は、前記(ブロックコポリマーの合成:BCP(1))と同様の方法で、BCP(12)を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(12)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ23,000g・mol-1及び1.05であった。
H NMR(400MHz,CDCl,δ,ppm):0.71-1.05(α-CH,PMMA and PGOMA,-S-CH-CH-CH-CH,PGOMA),1.43-2.02(-S-CH-CH-CH-CH,PGOMA,-S-CH-CH-CH-OH,PGOMA,-CH-CH-,PS backbone,-CH-C(CH)-,PGOMA and PMMA),2.68-2.88(-CH(OH)-CH-S-CH(-,PGOMA),3.60(-O-CH,PMMA),3.73(-S-CH-CH-CH-OH,PGOMA),4.08(-(C=O)O-CH-CH(OH),PGOMA),6.39-6.85(o-aromatic,PS),6.91-7.42(p-,m-aromatic,PS).
【0174】
(ブロックコポリマーの合成:BCP(13))
2,2,2-トリフルオロエタンチオールに替えて3-メルカプト-1-ヘキサノールを用いたこと以外は、前記(ブロックコポリマーの合成:BCP(2))と同様の方法で、BCP(13)を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定したBCP(13)のMn及び分散度(PDI=Mw/Mn)は、それぞれ33,000g・mol-1及び1.05であった。
【0175】
【化21】
【0176】
(各ブロックの体積の測定)
上記と同様の方法で、各ブロックの体積比を算出した。前記体積比より、上記と同様の方法で、ブロックコポリマーの体積全体に占める、ポリスチレンブロックの体積の割合を算出した。ブロックコポリマー(12)~(13)において、構成単位(b2g)に該当する構成単位(スルフィド基を有する構成単位)から構成される構造の密度としては、全て1.18gcm-3を用いた。
【0177】
上記で合成したブロックコポリマー(12)~(13)の数平均分子量(Mn)、分散度(PDI=Mw/Mn)、ブロックコポリマーの体積全体に占めるポリスチレンブロック(PS)の体積の割合(体積%)、及び上記反応式中のxの値を表15にまとめた。
【0178】
【表15】
【0179】
(実施例31~35、比較例16、17)
<エッチングマスクパターン形成用樹脂組成物の調製>
表16、17に示す各成分を混合して溶解し、各例のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物(固形分濃度1.25質量%)をそれぞれ調製した。
【0180】
【表16】
【0181】
【表17】
【0182】
表16、17中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
BCP-12~BCP-13:前記BCP(12)~BCP(13)。
PS-2k:ポリスチレン。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は2000。
PMMA-2k:ポリメタクリル酸メチル。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した数平均分子量(Mn)は2000。
(S)-1:PGMEA。
【0183】
<エッチングマスクパターンの製造>
比較例16、及び実施例31~33については、上記<エッチングマスクパターンの製造(1)>と同様の方法で、エッチングマスクパターンを形成した。
【0184】
比較例17、及び実施例34~35については、上記<エッチングマスクパターンの製造(3)>と同様の方法で、エッチングマスクパターンを形成した。
【0185】
[解像性の評価]
上記(実施例1~3、比較例1)で記載した方法と同様の方法で、各例のエッチングマスクパターン形成用樹脂組成物を用いて形成されたエッチングパターンの解像性を評価した。その結果を「解像性」として表18、19に示した。
【0186】
[垂直配向性の評価]
得られた基板の表面(相分離状態)を、測長SEM(走査型電子顕微鏡、商品名:CG6300、日立ハイテクノロジーズ社製)で観察した。
かかる観察の結果、下記評価基準に基づき、エッチングパターンの垂直配向性を評価した。その結果を「垂直配向性」として表18、19に示した。
(評価基準)
A:垂直ラメラパターンが全面に形成。
B:垂直ラメラパターンが部分的に形成。
C:テラス構造又はパターンなし。
【0187】
【表18】
【0188】
【表19】
【0189】
表18、19に示す結果から、実施例31~35では、解像性及び垂直配向性が良好なエッチングマスクパターンを形成できた。一方、比較例16~17では、垂直ラメラパターンを形成することができず、エッチングマスクパターンを形成することができなかった。
【符号の説明】
【0190】
1…支持体、2…下地剤層、3…BCP層、3’…構造体、3a…相、3b…相。
図1
図2