(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160735
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】カセット
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20241108BHJP
B65D 85/30 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L21/68 V
B65D85/30 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075971
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 敏文
【テーマコード(参考)】
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
3E096AA05
3E096BA16
3E096BB04
3E096CA02
3E096CB03
3E096DA01
3E096DA12
3E096FA09
3E096GA04
5F131AA02
5F131BA32
5F131CA09
5F131CA18
5F131DA13
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA05
5F131GA03
5F131GA63
5F131GA74
5F131GA94
5F131GA99
(57)【要約】
【課題】オペレータの不注意によって、又は加工装置の振動によってカセットが傾いても、該カセットに収容されている板状物のガタツキが抑制され、板状物がカセットの開口部からはみ出したり、カセットから脱落したりする等の問題が解消できるカセットを提供する。
【解決手段】板状物12を支持する支持溝4aが複数形成され載置面100に載置される被載置部3aを有する第一の側壁4と、第一の側壁4に形成された支持溝4aに対応する複数の支持溝5aが形成され、載置面100に載置される被載置部3bを有する第二の側壁5と、第一の側壁4と第二の側壁5とを連結して固定する上固定部6及び下固定部7と、板状物の進入及び退出を許容する開口部8と、開口部8の反対側に形成され板状物12の脱落を防止する背部9と、を含み構成され、第一の側壁4又は第二の側壁5の被載置部3a、3bが載置面100から離間した際、支持溝4a、5aに支持された板状物12のガタツキを規制するガタツキ規制部20が支持溝4a、5aに対応して形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状物を収容し載置面に載置されるカセットであって、
板状物を支持する支持溝が複数形成され該載置面に載置される被載置部を有する第一の側壁と、該第一の側壁に形成された該支持溝に対応する複数の支持溝が形成され、該載置面に載置される被載置部を有する第二の側壁と、該第一の側壁と該第二の側壁とを連結して固定する上固定部及び下固定部と、該第一の側壁と該第二の側壁と該上固定部と該下固定部とにより形成された板状物の進入及び退出を許容する開口部と、該開口部の反対側に形成され板状物の脱落を防止する背部と、を含み構成され、
該第一の側壁又は該第二の側壁の被載置部が該載置面から離間した際、該支持溝に支持された板状物のガタツキを規制するガタツキ規制部が該支持溝に対応して形成されるカセット。
【請求項2】
該ガタツキ規制部は、該第一の側壁又は該第二の側壁に沿って該上固定部から該下固定部に至り進退可能に配設されたロッドと、該ロッドの下端部が該被載置部と共に該載置面に接している際は、該支持溝に支持された板状物を開放し、該被載置部が該載置面から離間した際は、該支持溝に支持された板状物を押圧して板状物のガタツキを規制する押圧片が該支持溝に対応して該ロッドに形成されている請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
該ロッドの上端には、押圧ばねが配設され、該被載置部が該載置面から離間した際に、該ロッドを強制的に押し下げて該押圧片で該板状物を押圧してガタツキを規制する請求項2に記載のカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状物を収容し載置面に載置されるカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、研削装置によって裏面が研削されて所定の厚みに形成された後、切削装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
研削装置は、ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを研削する研削手段と、複数のウエーハを収容したカセットと、該カセットが載置される載置台と、該載置台に載置されたカセットからウエーハを搬出して該チャックテーブルまで搬送する搬送手段と、を含み構成されていて、ウエーハを高精度に所定の厚みに研削することができる(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
また、切削装置は、ウエーハが環状のフレームの開口部に位置付けられ粘着テープを介して一体とされた板状物であるウエーハユニットを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削手段と、該ウエーハユニットを複数収容したカセットを載置するカセット載置台と、該カセット載置台に載置されたカセットから該ウエーハユニットを搬出して該チャックテーブルまで搬送する搬送手段と、を含み構成されていて、ウエーハを高精度に個々のデバイスチップに分割することができる(例えば特許文献2を参照)。
【0005】
なお、レーザー加工装置は、切削装置を構成する切削手段がレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と置き換えられる点を除いて切削装置と略同様に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-021264号公報
【特許文献2】特開2015-170689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した各加工装置に採用されるカセットは、板状物の進入と退出を許容する開口部を備えていて、該カセットをカセット載置台に搬入したり、該カセット載置台から搬出したりする際のオペレータの不注意によって、又は該加工装置の振動によって傾いたりすることがあり、該カセットに収容されている板状物(ウエーハや上記したウエーハユニット)が該カセットの開口部からはみ出したり、脱落したりする等の問題がある。特に、カセット内に収容される板状物が、粘着テープを介して環状のフレームの開口部に保持されたウエーハユニットである場合は、上記したはみ出しや脱落によって該カセット内において隣接して収容されたウエーハユニットの粘着テープが他のウエーハユニットに接触して貼り付き、該貼り付きを解消するのに手間が掛かるという問題も生じる。上記した問題は、デバイスが表面に形成されたウエーハのみならず、その他の板状物であっても生じ得る問題である。
【0008】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、オペレータの不注意によって、又は加工装置の振動によってカセットが傾いても、該カセットに収容されている板状物のガタツキが抑制され、板状物がカセットの開口部からはみ出したり、カセットから脱落したりする等の問題が解消できるカセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、板状物を収容し載置面に載置されるカセットであって、板状物を支持する支持溝が複数形成され該載置面に載置される被載置部を有する第一の側壁と、該第一の側壁に形成された該支持溝に対応する複数の支持溝が形成され、該載置面に載置される被載置部を有する第二の側壁と、該第一の側壁と該第二の側壁とを連結して固定する上固定部及び下固定部と、該第一の側壁と該第二の側壁と該上固定部と該下固定部とにより形成された板状物の進入及び退出を許容する開口部と、該開口部の反対側に形成され板状物の脱落を防止する背部と、を含み構成され、該第一の側壁又は該第二の側壁の被載置部が該載置面から離間した際、該支持溝に支持された板状物のガタツキを規制するガタツキ規制部が該支持溝に対応して形成されるカセットが提供される。
【0010】
該ガタツキ規制部は、該第一の側壁又は該第二の側壁に沿って該上固定部から該下固定部に至り進退可能に配設されたロッドと、該ロッドの下端部が該被載置部と共に該載置面に接している際は、該支持溝に支持された板状物を開放し、該被載置部が該載置面から離間した際は、該支持溝に支持された板状物を押圧して板状物のガタツキを規制する押圧片が該支持溝に対応して該ロッドに形成されていることが好ましい。該ロッドの上端には、押圧ばねが配設され、該被載置部が該載置面から離間した際に、該ロッドを強制的に押し下げて該押圧片で該板状物を押圧してガタツキを規制するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカセットは、板状物を支持する支持溝が複数形成され載置面に載置される被載置部を有する第一の側壁と、該第一の側壁に形成された該支持溝に対応する複数の支持溝が形成され、該載置面に載置される被載置部を有する第二の側壁と、該第一の側壁と該第二の側壁とを連結して固定する上固定部及び下固定部と、該第一の側壁と該第二の側壁と該上固定部と該下固定部とにより形成された板状物の進入及び退出を許容する開口部と、該開口部の反対側に形成され板状物の脱落を防止する背部と、を含み構成され、該第一の側壁又は該第二の側壁の被載置部が該載置面から離間した際、該支持溝に支持された板状物のガタツキを規制するガタツキ規制部が該支持溝に対応して形成されることから、例えば、カセットを搬出しようとして持ち上げたオペレータの不注意により、又は加工装置の振動等により、載置面から被載置部が離間して、カセットが傾いた場合であっても、カセットに収容されたウエーハユニットのガタツキが規制されて、ウエーハユニットがカセットからはみ出したり、飛び出して脱落したりする等の問題が解消する。特に、上記したウエーハユニットのように、ウエーハが粘着テープを介してフレームの開口部に保持されている場合は、上下に隣接して収容されたウエーハを保持する粘着テープが他のフレームユニットに貼り付くという問題が解消する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1に示すカセットに装着されるガタツキ規制部の分解斜視図である。
【
図3】(a)
図2に示すガタツキ規制部が非規制状態にある状態を示す一部拡大断面図、(b)
図2に示すガタツキ規制部が規制状態にある状態を示す一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に基づいて構成されるカセットに係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0014】
図1には、載置面100に載置された本実施形態のカセット1の全体斜視図が示されており、該カセット1は、所定の寸法の板状物を複数収容することができる。本実施形態においてカセット1に収容される板状物は、例えば、ウエーハWを収容可能な開口部Faを備えた環状のフレームFの該開口部Faの中央にウエーハWが位置付けられ、該ウエーハWが粘着テープTを介してフレームFに保持されて一体とされたウエーハユニット12である。載置面100は、例えば、切削装置においてカセット1が載置される載置台である。なお、該載置面100は、上記した切削装置における載置台であることに限定されず、研削装置やレーザー加工装置においてカセット1が載置される載置台であってよく、さらに言えば、加工装置の載置台に搬送される前に、一時的にカセット1が載置されて保管される保管用のテーブル、棚、床等である場合も含む。
【0015】
カセット1は、上記したウエーハユニット12を支持する支持溝4aが複数形成され該載置面100に載置される被載置部3aを有する第一の側壁4と、第一の側壁4に形成された該支持溝4aに対応する複数の支持溝5aが形成され、載置面100に載置される被載置部3bを有する第二の側壁5と、第一の側壁4と第二の側壁5とを固定する上固定部6及び下固定部7と、を備えると共に、第一の側壁4と第二の側壁5と上固定部6と下固定部7とにより形成されウエーハユニット12の進入及び退出を許容する開口部8と、該開口部8の反対側に形成されウエーハユニット12の脱落を防止する背部9と、を含み構成されている。背部9は、例えば、背面側全体を閉塞する板状部材で形成されるが、本発明はこれに限定されず、カセット1に収容されたウエーハWが背部9側から脱落しないように規制する部材であれば、隙間や開口があってもよい。
【0016】
第一の側壁4に形成される支持溝4aは第一の側壁4の内側面に形成された上下に隣接する二つの棚部4b、4bによって形成され、上下方向に複数形成されており、第二の側壁5の内側面に形成される支持溝5aもこれと同様に、第二の側壁5の内側面に形成され上下に隣接する二つの棚部5b、5bによって形成され、上下方向に複数形成されている。支持溝4a、5aは、水平方向で対応する位置に形成されており、対応する支持溝4aと支持溝5aとに上記したウエーハユニット12を挿入することで、フレームFの両端が支持されて、ウエーハWを水平状態で保持する。支持溝4a、5aの上下方向の高さ寸法は、ウエーハユニット12の進入、退出を阻害しないように、フレームFの厚みに対して余裕があるように設定され、フレームFと支持溝4a、5aとの間でガタツキが生じ得る程度の寸法に設定されている。
【0017】
さらに、カセット1には、載置面100に載置される第一の側壁4の下端近傍を構成する被載置部3aと、第二の側壁5の下端近傍を構成する被載置部3bとが載置面100から離間した際、支持溝4a、5aに支持されたウエーハユニット12のガタツキを規制するガタツキ規制部20が該支持溝4a、5aに対応して形成されている。ガタツキ規制部20については、追って詳述する。
【0018】
本実施形態のカセット1では、第一の側壁4及び第二の側壁5の外側面に、オペレータがカセット1を移動する際に把持するグリップ10が形成されている(第一の側壁4の外側面は見えていないが第二の側壁5と同様のグリップ10が形成されている)。なお、グリップ10は、本実施形態のように第一の側壁4、第二の側壁5の両方に形成されることに限定されず、例えば、上固定部6の中央に1つ形成されるものであってもよい。
【0019】
図1に加え、
図2、3を参照しながら、ガタツキ規制部20について、より具体的に説明する。
【0020】
図2には、カセット1の第一の側壁4側の一部のみを拡大して、ガタツキ規制部20を分解した状態を示す斜視図が示されている。
図2に示すように、ガタツキ規制部20は、上固定部6から挿入され第一の側壁4に沿って上下方向に進退可能に配設されるロッド21(一部を省略している)と、該ロッド21を押圧する押圧ばね22と、該押圧ばね22を収容する押圧ばね保持キャップ23とを備えている。該ロッド21は、上固定部6から上記した下固定部7に至る寸法で形成され、上下方向に延びるロッド本体部21aと、ロッド本体部21aの上端に形成されるロッド上端部21bと、ロッド上端部21bの上部を構成する押圧ばね支持部21cと、ロッド本体部21aの下端に形成されるロッド下端部21dと、ロッド本体部21aの上下方向に沿って複数形成される押圧片21eと、上下方向で隣接する押圧片21e、21eによって形成される隙間部21fと、該押圧片21eの下面側に形成され、後述するガタツキ規制を実施する際に、ウエーハユニット12のフレームFを押圧する押圧面21gと、を備えている。上記した複数の押圧片21eが配設される間隔は、第一の側壁4に形成された複数の棚部4bに対応する間隔で設定される。
【0021】
該隙間部21fの高さは、カセット1に収容されるフレームFの厚み寸法に対し、十分に余裕がある寸法で設定される。該隙間部21fを形成する押圧面21gは、該隙間部21fを構成する押圧片21eの上面21hと押圧面21gとにより形成される間隔が、押圧片21eの先端に向かうに従い広がるように傾斜している。
【0022】
なお、押圧片21eの下面側を構成する押圧面21gには、フレームFを押圧してガタツキを規制する際に、フレームFが滑って水平方向に移動することをより確実に防止すべく柔軟性のある樹脂製のシート、例えば、ウレタンシート、又はゴムシートが貼付されることが好ましい。
【0023】
上記したロッド21は、
図2では一部のみが示されているカセット1の上固定部6における第一の側壁4の近傍に形成された貫通孔6aと、第一の側壁4の内側面に形成された全ての棚部4bに形成され上下方向で上記貫通孔6aと一致する位置に形成された複数の貫通孔4cと、下固定部7における第一の側壁4の近傍であって、上下方向で上記の貫通孔4cと一致する位置に形成された貫通孔7a(
図3(a)、(b)を参照)とに挿入される。
図3から理解されるように、ロッド21は、押圧ばね支持部21cと該押圧ばね22とを押圧ばね保持キャップ23の内部に収容すると共に、該押圧ばね保持キャップ23を上固定部6の上面に固着する。これにより、上記したガタツキ規制部20を構成するロッド21は、押圧ばね22によって、常時下方側に押圧されている。押圧ばね支持部21cは、上固定部6に形成された貫通孔6aよりも大きな寸法で形成されていることから、該押圧ばね22によって下方側に押圧されても、上固定部6に押圧ばね支持部21cが当接することで、それ以上、ロッド21が下方に移動しないように規制される。本実施形態のガタツキ規制部20は、
図1に示すように、第二の側壁5側にも配設され。上記したガタツキ規制部20と同一の構成で形成されている(詳細な説明は省略する)。
【0024】
本実施形態のカセット1は、概ね上記したとおりの構成を備えており、以下に、その機能、及び作用効果ついて、具体的に説明する。
【0025】
図3(a)には、本実施形態のカセット1が載置面100に載置されている状態であって、カセット1の一部を拡大しガタツキ規制部20が配設された位置で切った断面図が示されている(
図3(a)では第一の側壁4側のみが示されている)。
図1に基づき説明したように、カセット1には、ウエーハユニット12が収容され、フレームFを介して支持溝4a、5aに支持されている。
図3(a)から理解されるように、カセット1が載置面100に載置されることにより、被載置部3aが載置面100に当接し、ガタツキ規制部20を構成するロッド21のロッド下端部21dが載置面100に当接する。これにより、ロッド21が載置面100によって矢印R1で示す方向に向けて押されて移動し、ロッド21の上端にある押圧ばね支持部21cが、上固定部6の上面から離間して押圧ばね22を縮めながら押圧ばね保持キャップ23内で上方に移動する。このとき、ロッド21に形成された隙間部21fが、第一の側壁4に形成された支持溝4aと一致する位置に位置付けられると共に、該隙間部21fを構成する押圧片21eの上面21hと、第一の側壁4の支持溝4aを構成する棚部4bの上面とが上下方向でみて略一致する位置に位置付けられる。これにより、ウエーハWを支持するフレームFの角部Fbに対して、ガタツキ規制部20の押圧面21gが作用せず、カセット1からウエーハWを進入、退出させることが可能な非規制状態、すなわち、ウエーハユニット12は、ガタツキがある状態でカセット1に保持される。なお、本実施形態では、上記した非規制状態において、ガタツキ規制部20のロッド21に形成された押圧片21eの上面21hと、第一の側壁4の支持溝4aを構成する棚部4bの上面とが上下方向でみて略一致するように形成したが、本発明はこれに限定されず、非規制状態において、該上面21hが、第一の側壁4の支持溝4aを構成する棚部4bの上面よりも低い位置にあってもよい。
【0026】
上記したように、カセット1が載置面100に載置されてウエーハユニット12のフレームFのガタツキが規制されない非規制状態にある状態から、例えば、図示していないオペレータが、載置面100からカセット1を搬出すべく、上記のグリップ10を把持して持ち上げると、
図3(b)に示すように、被載置部3aが矢印R2で示す方向に浮上して、載置面100から離間した状態となる。そうすると、上記した押圧ばね22及びロッド21の自重の作用によって、矢印R3で示す方向にロッド21が押され、下方に向けて移動する。このようにロッド21が下方に移動すると、ロッド21のロッド下端部21dが下固定部7から下方に突出すると共に、ロッド21の隙間部21fも矢印R3で示す方向に移動する。これにより、該隙間部21fを形成する押圧片21eの押圧面21gが下降して、フレームFの角部Fbを上方から押圧する。
図3では、カセット1の第一の側壁4側を含む一部のみを示しているが、第二の側壁5側でも、同様に第二の側壁5側に配設されたガタツキ規制部20のロッド21の押圧面21gによってフレームFが押圧され、カセット1に収容された全てのウエーハユニット12のフレームFが、ガタツキ規制部20によって押圧されて、フレームFと支持溝4a、5aとの間にあったガタツキが規制された規制状態となる。なお、上記した実施形態では、押圧ばね22を備えてロッド21を上方から押圧して下方に向けて移動させるようにしているが、本発明はこれに限定されず、上記した押圧ばね22を備えず、ロッド21の自重のみによって下方に向けて移動させるようにしてもよい。
【0027】
上記した構成を備えていることにより、ガタツキ規制部20のロッド21の下端部21dが被載置部3a、3bと共に載置面100に接している場合は、ロッド21の押圧片21eに形成された押圧面21gがフレームFを押圧しない非規制状態となり、上記した支持溝4a、5aに支持されたウエーハユニット12を進入、退出させることが可能であり、加工装置に搬入され載置されたカセット1から、ウエーハユニット12が搬出されてウエーハWに対する所定の加工が可能であると共に、該所定の加工後のウエーハユニット12も所定の位置に収容することが可能である。これに対し、例えば、カセット1を搬出しようとして持ち上げたオペレータの不注意により、又は加工装置の振動等により、載置面100から被載置部3a、3bが離間して、カセット1が傾いた場合、カセット1に収容されたウエーハユニット12のガタツキが規制される規制状態となって、ウエーハユニット12がカセット1からはみ出したり、飛び出して脱落したりする等の問題が解消する。特に、上記したウエーハユニット12のように、ウエーハWが粘着テープTを介してフレームFの開口部Faに保持されている場合は、上下に隣接して収容されたウエーハWを保持する粘着テープTが他のフレームユニット12に貼り付くという問題が解消する。
【0028】
なお、上記した実施形態では、粘着テープTを介して環状のフレームFの開口部FaにウエーハWが保持されたウエーハユニット12がカセット1に収容された例を示したが、本発明はこれに限定されず、フレームFに保持されていないウエーハWが単体でカセット1に収容されたものでも、同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0029】
1:カセット
3a、3b:被載置部
4:第一の側壁
4a:支持溝
4b:棚部
4c:貫通孔
5:第二の側壁
5a:支持溝
5b:棚部
6:上固定部
6a:貫通孔
7:下固定部
7a:貫通孔
8:開口部
9:背部
10:グリップ
12:ウエーハユニット
20:ガタツキ規制部
21:ロッド
21a:ロッド本体部
21b:ロッド上端
21c:押圧ばね支持部
21d:ロッド下端部
21e:押圧片
21f:隙間部
21g:押圧面
21h:上面
22:押圧ばね
23:押圧ばね保持キャップ
100:載置面
F:フレーム
T:粘着テープ
W:ウエーハ