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特開2024-160765保護シート自動巻止め装置および保護シート自動巻止め方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160765
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】保護シート自動巻止め装置および保護シート自動巻止め方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/02 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
B65B11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076077
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 洋人
(72)【発明者】
【氏名】丸山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】福冨 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】水口 翔平
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA01
3E051AB02
3E051BA03
3E051EA01
3E051FB01
3E051FD07
3E051JA08
(57)【要約】
【課題】ローラ状機能部材を保護シートにより巻止める新規な保護シート自動巻止め装置を実現する。
【解決手段】
保護シート自動巻止め装置は、ローラ状機能部材10に対して、保護シートSTを有効領域の半周部分に巻付ける第1押圧部材40と、保護シートSTの第1自由端部側を有効領域の周面に巻付ける第2押圧部材41と、第2自由端部側を押圧して、第1自由端部側に重なり幅:Sの重なり幅部を形成する第3押圧部材42と、接着テープに折返し部を形成して所定の長さにカットし、重なり幅部に対向する位置へ移送するテープ保持移送手段と、移送されたテープ片を、重なり幅部において保護シートSTに接着し、保護シートの重なり部分を巻止めるテープ押圧手段と、保護シートを巻止められたローラ状機能部材を取出す取出し手段と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ状基材の周面に機能層が形成されたローラ状機能部材の前記機能層の周面の有効領域に保護シートを自動的に巻止める装置であって、
前記ローラ状機能部材の前記有効領域の軸方向長さ:L以上の長さ:LSと、前記有効領域の周長:lに対応する幅:l+Sとを有する前記保護シートを、所定位置に平面状にセットするとともに、セットされた前記保護シートに対して、前記ローラ状機能部材を、その中心軸方向を、前記保護シートの長さ方向に対応させ、且つ、前記保護シートの幅方向の略中央部に対応させて前記保護シートの裏面側にセットするセット手段と、
前記セット手段によりセットされた前記ローラ状機能部材に対して、前記セットされた前記保護シートを表面側から第1の方向に押圧して、前記有効領域の半周部分に巻付ける第1押圧手段と、
前記第1押圧手段により前記半周部分に巻付けられた前記保護シートの前記幅方向の第1自由端部側を、第2の方向から押圧して、前記保護シートの前記第1自由端部側を前記有効領域の周面に巻付ける第2押圧手段と、
前記保護シートの、前記第1自由端部と逆側の第2自由端部側を押圧して、前記幅方向の第2自由端部側を前記ローラ状機能部材の前記周面に巻付け、前記第1自由端部側に重なり幅:Sで重なり合わせ、重なり幅部を形成する第3押圧手段と、
接着テープを保持し、保持した前記接着性テープの引き出し側端部に、つまみ用の折返し部を形成するとともに、形成された前記折返し部を保持しで前記接着テープを引き出し、所定の長さにカットし、カットされたテープ片を前記重なり幅部分に対向する所定位置へ移送するテープ保持移送手段と、
前記所定位置に移送された前記テープ片を、前記重なり幅部において、前記保護シートの第2自由端部を含む領域に押圧して接着し、前記保護シートの前記重なり幅部を巻止めるテープ押圧手段と、
前記テープ片により前記保護シートを巻止められたローラ状機能部材を取出す取出し手段と、を有する保護シート自動巻止め装置。
【請求項2】
請求項1記載の保護シート自動巻止め装置において、
前記第1押圧手段は、前記ローラ状機能部材の曲率に応じた半円形状の第1押圧部分を有し、前記第1の方向に移動して、前記第1押圧部分により前記保護シートを前記有効領域の半周部分に巻付ける第1押圧部材を有し、
前記第2押圧手段は、前記ローラ状機能部材の前記曲率に応じた円弧状の第2押圧部分を有し、前記第2の方向に移動して、前記第2押圧部分により前記保護シートを前記有効領域に巻付ける機能を有する第2押圧部材を有し、
前記第3押圧手段は、前記ローラ状機能部材の前記曲率に応じた円弧状の第3押圧部分を有し、前記第2の方向と逆向きに移動して、前記第3押圧部分により前記保護シートを前記有効領域に巻付ける機能を有する第3押圧部材を有し、
前記テープ押圧手段は、前記ローラ状機能部材の曲率に応じた円弧形状の押圧部分を有し、前記第1の方向と逆向きに移動して、前記押圧部分により前記テープ片を前記保護シートの幅方向端部の重なり幅部分において、前記テープ片を前記保護シートに押圧接着するテープ押圧部材を有し、
前記第1押圧部材、第2押圧部材、第3押圧部材およびテープ押圧部材のうち、少なくとも第2押圧部材および第3押圧部材は、何れも、前記ローラ状機能部材の軸方向の複数個所において、且つ、前記第2押圧部材と前記第3押圧部材と、前記テープ押圧部材が重ならない位置に配置される2以上の押圧部を有する保護シート自動巻止め装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の保護シート自動巻止め装置であって、
前記第1の方向が鉛直上向きであり、第2および第3の方向が、左右方向において互いに逆向きである保護シート自動巻止め装置。
【請求項4】
保護シートを巻止めるべきローラ状機能部材が、薄肉の中空シリンダの周面に定着層を機能層として形成された定着スリーブである請求項1記載の保護シート自動巻止め装置。
【請求項5】
請求項1記載の保護シート巻止め装置を用いる保護シート自動巻止め方法であって、
前記ローラ状機能部材と前記保護シートを所定の位置関係にセットするセット工程と、
セットされた前記ローラ状機能部材に対して、前記セットされた前記保護シートを、前記第1押圧手段により機能層の有効領域の半周部分に巻付ける第1押圧工程と、
前記第1押圧工程後に、第2押圧手段により、前記保護シートの幅方向の第1自由端部側を、第2の方向から押圧して、前記保護シートの前記第1自由端部側を前記有効領域に巻付ける第2押圧工程と、
前記第2押圧工程後に、前記第3押圧手段により前記第2自由端部側を前記周面に巻付け、前記第1の自由端部に、幅:Sの重なり幅で重なり合わせ、重なり幅部を形成する第3押圧工程と、
前記第3押圧工程後に、前記テープ保持手段に保持された接着テープを、前記折返し部を保持して引き出して所定の長さにカットし、カットされたテープ片を前記重なり幅部に対向する所定位置へ移送するテープ移送工程と、
前記テープ移送工程後に、前記テープ押圧手段により、前記保護シートの重なり部分を巻止めるテープ巻止め工程と、
前記テープ巻止め工程後に、前記保護シートを巻止められたローラ状機能部材を取り出し手段により取り出す取り出し工程と、
を有する保護シート自動巻止め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保護シート自動巻止め装置および保護シート自動巻止め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、電子複写機やファクシミリ装置、コンピュータの出力装置や、これらの複合装置として広く実施されている。
このような画像形成装置には、光導電性の感光体ローラや現像ローラ、定着ローラ等、各種のローラ状の機能部材(以下、「ローラ状機能部材」という。)が用いられる。これらローラ状機能部材は、シリンダ状の基材(以下、「シリンダ状基材」という。)の周面に光導電層や、定着層等の層が形成されている。これらの層は静電潜像を形成され保持する機能や、トナー画像を加熱溶融してシート状の記録材に定着する機能、現像剤を保持して静電潜像を可視化する機能等を実現する層であるので、これを「機能層」と呼ぶ。
【0003】
機能層が傷等の損傷を受けると機能層としての機能が損なわれる。例えば、感光体ローラの光導電層が傷等により損傷されると、適正な静電潜像の形成が困難になり、複写画像の像質を低下させる。また、現像ローラの現像剤保持層が損傷を受けると現像された可視画像に傷等の異常が発生するし、定着ローラの定着層が損傷されると、正常な定着が妨げられて複写画像の像質が劣化する。
【0004】
ローラ状機能部材は、独立して製造され、画像形成装置本体へ組付けられ、また、メンテナンスのための交換に供されるが、製造から組付け作業や交換作業までの間や、各作業の際に機能層を保護するために、ローラ状機能部材の周面部に保護シートで巻止めることが知られている(特許文献1、2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、ローラ状機能部材を保護シートにより自動的に巻止める新規な保護シート自動巻止め装置の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の保護シート自動巻止め装置は、シリンダ状基材の周面に機能層が形成されたローラ状機能部材の前記機能層の周面の有効領域に保護シートを自動的に巻止める装置であって、前記ローラ状機能部材の前記有効領域の軸方向長さ:L以上の長さ:LSと、前記有効領域の周長:lに対応する幅:l+Sとを有する前記保護シートを、所定位置に平面状にセットするとともに、セットされた前記保護シートに対して、前記ローラ状機能部材を、その中心軸方向を、前記保護シートの長さ方向に対応させ、且つ、前記保護シートの幅方向の略中央部に対応させて前記保護シートの裏面側にセットするセット手段と、前記セット手段によりセットされた前記ローラ状機能部材に対して、前記セットされた前記保護シートを表面側から第1の方向に押圧して、前記有効領域の半周部分に巻付ける第1押圧手段と、前記第1押圧手段により前記半周部分に巻付けられた前記保護シートの前記幅方向の第1自由端部側を、第2の方向から押圧して、前記保護シートの前記第1自由端部側を前記有効領域の周面に巻付ける第2押圧手段と、前記保護シートの、前記第1自由端部と逆側の第2自由端部側を押圧して、前記幅方向の第2自由端部側を前記ローラ状機能部材の前記周面に巻付け、前記第1自由端部側に重なり幅:Sで重なり合わせ、重なり幅部を形成する第3押圧手段と、接着テープを保持し、保持した前記接着性テープの引き出し側端部に、つまみ用の折返し部を形成するとともに、形成された前記折返し部を保持しで前記接着テープを引き出し、所定の長さにカットし、カットされたテープ片を前記重なり幅部に対向する所定位置へ移送するテープ保持移送手段と、前記所定位置に移送された前記テープ片を、前記重なり幅部において、前記保護シートの第2自由端部を含む領域に押圧して接着し、前記保護シートの前記重なり幅部を巻止めるテープ押圧手段と、前記テープ片により前記保護シートを巻止められたローラ状機能部材を取出す取出し手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、ローラ状機能部材を保護シートにより自動的に巻止める新規な保護シート自動巻止め装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ローラ状機能部材を説明するための図である。
図2】保護シート自動巻止め装置を説明するための図である。
図3】保護シート自動巻止め装置を説明するための図である。
図4】セット工程を説明するための図である。
図5】第1押圧工程を説明するための図である。
図6】第1押圧工程後の状態を示す図である。
図7】第2および第3押圧工程を説明するための図である。
図8】第3押圧工程後の状態を説明するための図である。
図9】テープ巻止め工程を説明するための図である。
図10】テープ移送工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態を説明する。
先ず、図1を参照して用語について簡単に説明する。
図1は、ローラ状機能部材を説明するための図である。
図1の(a)はローラ状機能部材10を長手方向に直交する方向から見た図であり、(b)は(a)の状態を図の右方向から見た図である。
ローラ状機能部材10は、シリンダ状基材11の周面に、機能層12が形成された構造を有している。図1の例では、シリンダ状基材11は「中空シリンダ状」であるが、必ずしもこれに限らず、円柱状のシリンダ状基材であることもある。
【0010】
図1(a)において符号AXは、ローラ状機能部材10の中心を通る軸を示す。
シリンダ状基材11の周面に形成された機能層12は、軸AX方向に長さ:Lの有効領域12Aを有している。しかし、これは1例であり、機能層12は、シリンダ状基体11の軸AX方向の全長に亘って形成されることもあるし、有効領域12Aの長さが、機能層12の軸方向の長さと等しいこともある。
【0011】
図1(a)、(b)は説明図であり、各部の長さの関係は図示された関係に限らない。図1(b)でいえば、中空シリンダであるシリンダ状基材11の肉厚と機能層12の肉厚の大小関係も図示された関係に限られない。
機能層12は具体的には感光体層や定着層、現像剤保持層等であり、その有効領域は、これらの層が本来の機能を果たすべき領域であり、例えば「感光層」であれば静電潜像が形成される領域の軸AX方向の最大長さである。
図1(b)の下図に示すように、機能層12の周長をlとする。
【0012】
図1(c)は、保護シートSTを示している。
保護シートSTは、図の上下方向である長さ方向に長さ:LS、図の左右方向である幅方向に幅:l+Sを有している。幅方向がローラ状機能部材10の機能層12に巻付く方向であり、長さ方向がローラ状機能部材10の軸AXの方向に対応する。
保護シートSTによりローラ状機能部材10の機能層12の有効領域12Aを保護するためには、上記長さ:L、LS、l、l+Sの大小関係は、
LS≧L、l+S>l
である必要がある。
上記大小関係において、長さ:Lは有効領域12Aの長さであるが、有効領域は前述の如く、有効領域12Aの長さが機能層12の長さ:Lと等しいこともあるので、シートSTの長さ:LSはローラ状機能媒体10の軸AX方向の長さより大きいこともある。
逆に、有効領域12Aの長さが、機能層12の軸AX方向の長さより小さければ、保護シートSTの長さは、機能層12やシリンダ状基材11の長さよりも短くすることもできる。
【0013】
図1(c)において、保護シートSTの幅方向における左端部の幅:Sの部分は、保護シートSTがローラ状機能部材10の機能層12に巻き付いたとき、右側端部と重なりあって「重なり幅部」を形成する。この重なり幅部を接着テープにより接着することにより、巻付いた保護シートSTをローラ状機能部材10に密着状態で固定する。この状態が「保護シートSTがローラ状機能部材に巻止められた状態」である。
この状態を図1(d)に示す。
保護シートSTは、機能層Lの全域を覆い、重なり幅部分において、接着テープTPにより接着固定されている。符号TP1は接着テープTPに形成された「折返し部」を示している。
【0014】
若干、付言する。
図1に即して説明した「ローラ状機能部材10」は、シリンダ状基材11の周面に機能層12を形成したものであり、ローラ状機能部材10の用途に応じて機能層12の機能が定まる。
例えば、ローラ状機能部材10が「定着ローラ」であれば機能層12は定着層である。この場合において、実際に用いられる定着ローラは、中空シリンダ状のシリンダ状基材11内に「加熱手段」を内装され、シリンダ状基材11の軸方向両端に「画像形成装置に組込むための係合部」が設けられて「完成品としての定着ローラ」となる。
【0015】
この意味で、図1に即して説明したローラ状機能部材10は、完成品としての定着ローラの構成部品であるが、混同の恐れはないと思われるので、以下においては簡単にこれも「定着ローラ」と呼ぶことにする。
感光体ローラや、現像ローラ等についても同様に、「シリンダ状基材の周面に感光層や、現像剤保持層を形成した構成部品」を感光体ローラや現像ローラ等と呼ぶ。
【0016】
定着ローラ等の機能層の有効領域を保護するために、有効領域を覆って巻止められる保護シートは、機能層の表面を「主として機械的な外力から保護できるもの」を適宜に用いることができる。
例えば、一般に「包装紙」と呼ばれる紙製シートや、樹脂シート、紙製シートの片面又は両面にラミネート加工したもの等を保護シートとして用いることができる。
【0017】
この発明の「保護シート自動巻止め方法」は、以下の各工程からなる。
即ち、「セット工程」、「第1押圧工程」、「第2押圧工程」、「第3押圧工程」、「テープ移送工程」、「テープ巻止め工程」および「取り出し工程」である。
「セット工程」は、ローラ状機能部材と保護シートとを所定の位置関係にセットする工程である。
「第1押圧工程」は、セット工程でセットされたローラ状機能部材に対して、セットされた保護シートを、第1押圧手段により機能層の有効領域の半周部分に巻付ける工程である。
「第2押圧工程」は、第1押圧工程後に、第2押圧手段により、保護シートの幅方向の第1自由端部側を、第2の方向から押圧して、保護シートの第1自由端部側を有効領域に巻付ける工程である。
【0018】
「第3押圧工程」は、第2押圧工程後に、第3押圧手段により第2自由端部側を周面に巻付け、第1の自由端部に、幅:Sの重なり幅で重なり合わせ、重なり幅部を形成する工程である。
「テープ移送工程」は、第3押圧工程後に、テープ保持手段に保持された接着テープを、折返し部を保持して引き出し、所定の長さにカットし、カットされたテープ片を前記重なり幅部に対向する所定位置へ移送する工程である。
「テープ巻止め工程」は、テープ移送工程後に、テープ押圧手段により、保護シートの重なり幅部を巻止める工程である。
「取り出し工程」は、テープ巻止め工程後に、保護シートを巻止められたローラ状機能部材を取り出し手段により取り出す工程である。
なお、上記セット工程および取り出し工程を行うセット手段と取り出し手段の一部または全部を「手動」とすることもできる。
【0019】
「実施例」
以下、具体的な実施例に即して説明する。
以下に説明する実施例において、保護シートを巻止められるローラ状機能部材は「定着ローラ(実際には、その構成部品で、図1に即して説明した、シリンダ状基材11に機能層12として定着層を形成したものである。)」とする。
定着ローラは、組み込まれる画像形成装置により種々のサイズのものが可能であるが、一般に、金属製の中空のシリンダ状基材、その外周に「ゴム等による弾性層と表面層と」を機能層として積層構成され、サイズとしての長さは200~400mm、外径は20~50mm程度である。
以下に説明する実施例では、長さ:300mm、外径:30mmのものを想定し、これに巻付ける保護シートは、厚さ60μmの市販の包装紙を想定する。
定着ローラは前述の如く、中空シリンダ状の基材の内部に加熱用の熱源を配し、内部からの過熱により昇温させてトナー画像を記録媒体に融着させるが、加熱による昇温時間を短縮するために、シリンダ状基材は、ニッケル等の高熱伝導性の材料を用い、その肉厚を極く薄く形成されている。以下の説明では、定着ローラのシリンダ状基材は、厚さ:50μmのニッケルであり、機能層である「定着層」の厚さは160μm(ゴム層:150μm、表面層(フッ素コーテイング層):10μm)であるものを想定する。また、定着層は、シリンダ状基材の軸方向の全域にわたって形成されているものとする。
なお、以下に説明する実施例において、定着ローラのシリンダ状基材をなすニッケルの中空シリンダは、上述の如く、その肉厚が50μmと極めて薄く、このようなシリンダ状基材を有する定着ローラは、一般に「定着スリーブ」と呼ばれている。
この点を鑑みて、以下の説明においては定着ローラを、定着スリーブと称する。
【0020】
図2を参照して、保護シート自動巻止め装置の1実施例を説明する。
図2において、上下方向を「第1方向」、左右方向を「第2方向」とする。
この実施例において第1方向は「鉛直方向(図2の上下方向)」、第2方向は「左右方向」であるとし、図2の図面に直交する方向を「水平方向」とする。
図2は、保護シートSTと定着スリーブ10を所定の位置関係にセットした状態を示している。保護シートSTは、支持板50上にセットされており、図面に直交する方向(水平方向)が保護シートSTの「長さ方向」であり。左右方向が「幅方向」である。
定着スリーブ10は、中空シリンダであるシリンダ状基材11に支持軸30を嵌め込んだ状態で支持され、軸方向が水平方向となるようにセットされている。定着スリーブ10のセットについては後述する。
【0021】
保護シートSTをセットされた支持板50の下方には、第1押圧部材40が配されている。セットされた定着スリーブ10の左方には、第2押圧部材41が配されており、定着スリーブ10を介して反対側には第3押圧部材42が配されている。
また、定着スリーブ10の上方には、テープ押圧部材43が配されている。図2に示すテープ押圧部材43の位置は、後述の「テープ巻止め工程を行うときの始動位置」であり、定着スリーブ10のセットが行われるときには、図の左方に設定された待機位置に退避している。
【0022】
図3は、図2の状態から、保護シートSTと定着スリーブ10を取り除いた待機状態における保護シート自動巻止め装置の要部を鉛直上方から見た状態を示している。図の略中央部には第1押圧部材40が位置し、これを図の上下に挟むように支持板50が固定的に配置されている。
図の左側には第2押圧部材41が配置され、図の右側には第3押圧部材42が配置されている。
第2押圧部材41は、図の上下方向(即ち水平方向)に伸びた基部に押圧部411、412が形成されている。押圧部411、412は同一構造であり、そのうちの一つ押圧部411が、図2において第2押圧部材41として示されている。図3に示すように、押圧部411は細い薄板状の抑え部411A(図2の符号41A)を有している。
第3押圧部材42は、図の上下方向(即ち水平方向)に伸びた基部に押圧部421、422、423、424が形成されている。4つの押圧部421~424は同一構造で、そのうちの一つの押圧部421が、図2において第3押圧部42として示されている。
押圧部421は、細い薄板状の抑え部421A(図2の符号42A)を有している。
【0023】
図3の上下方向についてみると、第2押圧部41の2つの押圧部411、412は、第3押圧部42の4つの押圧部421~424と交互に位置している。図3は、保護シートも定着ローラもセットされていない状態であり、テープ押圧部材43は、前述した待機位置(図で第1押圧部材40の左方)の位置に退避している。
図3に示すセッター60は、保護シートを自動巻止めされる定着ローラ(定着スリーブ)を、セットする機構である。
図2に戻ると、保護シート自動巻止め装置は、駆動機構401、402、403、404および制御部500を有する。
駆動機構401は、第1押圧部材40を第1方向(鉛直上下方向)において往復移動させる。このとき、鉛直上方へ向かう方向が「第1の方向」である。
駆動機構402は、第2押圧部材41を第2方向(左右方向)に、往復動させる。このとき、右側に向かう方向が「第2の方向」である。
駆動機構403は、第3押圧部材42を第2方向(左右方向)に、往復動させる。このとき、左側に向かう方向が「第3の方向」である。従って、第2の方向と第3の方向とは互いに逆向きである。
駆動機構404は、テープ押圧部材43を駆動して移動させる。この移動は、テープ押圧部材43を、図3に示す待機位置と図2に示す始動位置との間の往復移動と共に、図2に示された始動位置に対する上下方向の移動を行わせる。この上下方向において、下方へ向かう方向は、前記第1の方向(第1押圧部材の上方への移動)と逆向きである。
【0024】
駆動機構401、402、403、404は、制御部500により動作を制御される。制御部500はマイクロコンピュータ等であり、駆動機構401~404やセッター60等をプログラミング制御する。
第1押圧部材40と駆動機構401、制御部500は「第1押圧手段」を構成し、第2押圧部材41と駆動機構402、制御部500は「第2押圧手段」、第3押圧部材42と駆動機構403、制御部500は「第3押圧手段」を構成し、テープ押圧部材43、駆動機構404、制御部500は「テープ押圧手段」を構成する。
【0025】
以下、保護シートSTを巻留めるプロセスを説明する。
このプロセスは、前述の如く、セット工程、第1押圧工程、第2押圧工程、第3押圧工程、テープ移送工程、テープ巻止め工程、取り出し工程の順に行われる。
「セット工程」につき、説明する。
セット工程では、保護シートSTのセットと、定着スリーブ10のセットが行われる。
【0026】
保護シートSTは、例えば、図2に於ける右側から、制御部500により制御される適宜のシート搬送手段により搬送され、図2に示す如く、支持板50上に配置される。このとき、図示されない適宜のストッパ等により配置位置を定められる。
これに続いて、セットされた保護シートSTを巻止められる定着スリーブ10のセットが行われる。
定着スリーブ10のセットを図4に即して説明する。
【0027】
図4(a)は、図3に示したセッター60を示している。セッター60は、図3に示すように、保護シート自動巻止め装置の図2の下方、即ち、水平方向の手前側に配備されており、嵌合軸30とこれを回動させる回動機構61とを有している。回動機構61は、嵌合軸30の一端を固定的に保持し、嵌合軸30を図4の(a)に示すように、実線の態位(鉛直上下方向)と破線の態位(水平方向)に回転させる機能を有している。
定着スリーブ10のシリンダ状基体を、図4(b)に示すように、嵌合軸30に嵌合させて、セッター60を制御部500により駆動すると、回動機構61は定着スリーブ10を90度回転させて、図4(c)の状態にする。この状態における定着スリーブ10の軸方向(図の左右方向)は、図2に於ける図面に直交する方向である。
なお、回動軸30の外径は、定着スリーブ10のシリンダ状基体の内径よりも0.1mm程度小さく、定着スリーブ10は、0.1mm程度の余裕をもって嵌合軸30に遊嵌する。
【0028】
上記の如くして「セット工程」が終了する。この状態を、図5に示す。
図5(a)は、セットされた保護シートSTと定着スリーブ10の位置関係を、図2の上方から見た状態である。定着スリーブ10の軸AXは、保護シートSTの長さ方向と平行となり、軸AXは、保護シート幅方向の、図の左端部の幅Sの部分を除く長さ;l(これは定着スリーブ10の周長に等しい。)の1/2の位置に合致して位置される。
図4(b)は、この状態を定着スリーブ10の軸方向から見た状態を示している。
図2に於いては、保護シートSTと定着スリーブ10とが上下方向に若干離れているが、実際には、定着スリーブ10は、保護シートSTに接するようにセットされる。
以上が「セット工程」である。
【0029】
続いて、「第1押圧工程」が行われる。
図2を参照すると、第1押圧工程は、第1押圧部材40を第1の方向、即ち図2において上方(鉛直上方)へ移動させることにより行われる。
第1押圧部材40は、「第1押圧部分」として、定着スリーブ10の周面の曲率に応じた半円形状の第1押圧面R1を有し、第1押圧面R1により保護シートSTを有効領域の半周部分に巻付ける。このようにして、保護シートSTを定着スリーブ10の下半周に巻き付けた状態を図6に示す。
保護シートSTと定着スリーブ10は、保護シートSTの幅方向において、図5に示す位置関係にあるので、定着スリーブ10の下半周部分に巻き付いた保護シートSTは、図6に示す如く、巻き付いていない部分が、略上方に伸び、第1自由端部E1と第2自由端部E2の間には上下方向には幅:Sの差がでる。図6において、保護シートSTの符号SE1で示す部分を「第1自由端部側」、符号SE2で示す部分を「第2自由端部側」と呼ぶ。
【0030】
以上が「第1押圧工程」である。
【0031】
この第1押圧工程に続いて「第2押圧工程」が行われる。
第2押圧工程は、第1押圧工程が終了した図6の状態において、図2に示す第2押圧部材41を図2の位置から右側、即ち第2の方向へ移動させることにより行わる。
この第2押圧工程により、第2の右方へ移動する第2押圧部材41が、図6に示す第1自由端部側SE1を右方向へ押圧する。
【0032】
第2押圧部材41は、「第2押圧部分」として、定着スリーブ10の周面の曲率に応じた1/4円形状の第2押圧面R2を有し、第2押圧面R2により保護シートSTを有効領域の左上側の1/4周部分に巻付ける。
【0033】
このようにして、第2押圧工程が終了した状態を図7(a)に示す。
第1自由端部E1の位置は、定着スリーブ10の、図7における最上部を右側に幅:Sだけ超えた位置になる。
このとき、第2押圧部材41の抑え部41Aは、定着スリーブ10の最上部を右側に超えた幅:Sを有する保護シート部分が、保護シートSTの弾性により跳ね上がるのを抑え、第3押圧工程の際の第2自由端部側SE2の巻付きの妨げにならないようにする。
【0034】
続いて、「第3押圧工程」が行われる。
第3押圧工程は、第2押圧工程が終了した図7(a)の状態において、図2に示す第3押圧部材42を、図2の位置から左方、即ち第3の方向へ移動させることにより行わる。
【0035】
この第3押圧工程により図2の左方へ移動する第3押圧部材42が、図6に示す第2自由端部側SE2を左方向へ押圧する。
【0036】
第3押圧部材42は、「第3押圧部分」として、定着スリーブ10の周面の曲率に応じた1/4円形状の第3押圧面R3を有し、この第3押圧面R3により保護シートSTを有効領域の右上側の1/4周部分に巻付ける。
【0037】
このようにして、第3押圧工程が終了した状態を図7(b)に示す。
定着スリーブ10の周面に巻付けられた第2自由端部側は、先に巻き付けられている第1自由端部側の上に重なり、第2自由端部E2は、定着スリーブ10の最上部の位置に位置する。この部分が保護シートSTの弾性により跳ね上がるのを、第3押圧部材42の抑え部42Aが抑える。
第7図(b)においては、図7(a)に示す第2押圧部材41が描かれていない。これは、第2押圧部材41による押圧部と、第3押圧部材42による押圧部とが、図面に直交する方向、即ち、定着スリーブ10の軸方向において異なっているためである。
【0038】
図8に、第3押圧工程が終了した状態における定着スリーブ10と第2押圧部材41、第3押圧部材42の位置関係を上方から見た状態を示す。図示のように、保護シートSTの第1自由端部側は、第2押圧部材41の2つの押圧部411、412により抑えられ、第2自由端部側は第3押圧部材42の4つの押圧部421~424により抑えられている。
【0039】
なお、定着スリーブ10は、外径を小さく描いている。
【0040】
この第3押圧工程後に、テープ移送工程とテープ巻止め工程と、取り出し工程が行われる。前述の如く、テープ移送工程は「テープ保持手段に保持された接着テープを、折返し部を保持して引き出して所定の長さにカットし、カットされたテープ片を重なり幅部に対向する所定位置へ移送する工程」であるが、これについては、後述することとし、先に「テープ巻止め工程」と「取り出し工程」を説明する
テープ巻止め工程は、テープ移送工程後に、テープ押圧手段により、保護シートの重なり部分を巻止める工程である。
図9(a)は、テープ巻止め工程における定着スリーブ10と接着テープ(テープ片)TPとテープ押圧部材43を示している。
接着テープTPは、定着スリーブ10に巻付けられた保護シートSTの幅方向の第2自由端部E2の上方に近接している。接着テープTPは、このとき、折返し部TP1を、図示されないテープ保持手段のチャック部により保持されている。
【0041】
テープ押圧部材43は、図3に示した待機位置から移動して、接着テープTPの上方に位置し、この位置から、図の下方、即ち、第1の方向と逆の向きに移動し、接着テープTPの、折返し部TP1を除く部分を、保護シートSTの前記重なり部における第2自由端部E2を含む部分に押圧して接着する。この状態から、仮想的にテープ押圧部材43を除いた状態を上方から見ると、図9(b)に示す如くになる。
【0042】
なお、テープ押圧部材43は、図2に示すように、「円弧状の押圧部分」として、定着スリーブ10の外径に応じた曲率半径の押圧面R4を有しており。この押圧面R4により接着テープTPの保護シートSTの重なり部の接着を行う。
【0043】
この状態から、第1押圧部材40,第2押圧部材41、第3押圧部材42を駆動手段401,492、403によりそれぞれ、その始動位置へ退避させ、テープ押圧部材43を待機位置へ退避させれば、定着スリーブ10は、図3図4に即して説明したセッター60の嵌合軸30に嵌合された状態で、その機能層の有効領域を保護シートSTにより巻止められた状態となっている。
続いて、取り出し工程において、セッター60を制御部500により作動させると、図4に示した回転機構61が嵌合軸30を、水平方向から鉛直方向へ回転させる。これに共ない嵌合保持された定着スリーブ10が立ち上がるので、この状態で、定着スリーブ10を手動で嵌合軸30から抜き出せば、図1(d)に示す如く、保護シートSTを巻止められた定着スリーブ10が得られる。
【0044】
最後に、図10を参照して「テープ移送工程」を説明する。
テープ移送工程は、第3押圧工程後に、テープ保持手段に保持された接着テープを、折返し部を保持して引き出して所定の長さにカットし、カットされたテープ片を重なり幅部に対向する所定位置へ移送する工程であり、図10に示す「テープ保持移送手段」により行われる。
【0045】
図10(a)において、符号TPRは「ロール状に巻かれた接着テープ」を示し、図示されない適宜の保持機構に保持されている。保持された接着テープTPは、その端部が引き出され、固定支持板B1と揺動支持板B2の、図で上方の自由端部に接着固定され、この部分に折返し部TP1が形成されている。なお、接着テープTPは、厚さ:0.05mmのものである。
揺動支持板B2は下端部を揺動軸ARに固装され、図示されない外部回転機構により、揺動軸ARの回りに回転動作を行うようになっている。
【0046】
テープ移送工程が行われるときには、移動機構70のチャック部(図示されず)が、図10(a)に示された位置にある折返し部TP1を保持し、図の右斜め下方へ引張る。この引張り力により、接着テープTPは、図10(b)の如くに引き出されるが、その際、揺動支持板B2は、接着テープTPの接着力により引かれ、図の如く揺動軸ARの回りに時計回りに回転する。
この回転角が図に示す最大角になると、揺動支持板B2は回転を停止し、接着テープTPはさらに引き出される。そして、図10(b)における揺動支持板B2の自由端部と折返し部TP1までの長さが「保持シートを巻止める長さ」に達すると、カッターCTが、
図10(b)に示す位置で、接着テープTPを切断する。
切断された接着テープTPは、上述の如く、図示されないチャック部により折り返し部TP1を保持され、「テープ片」として移動機構70により図9(a)に示す位置に持ち来され、前述のテープ巻止め工程が実施される。
一方、接着テープTP1がカッターCTによりカットされると、揺動支持板B2は前記回転駆動機構により、半時計方向に回転されて固定支持板B1と合わさる。
このとき、接着テープTPは、固定支持板B1と揺動支持板B2の端部に接着しているので、図10(b)に示す、固定支持板B1と揺動支持板B2の自由端部間に張られた部分TP2が湾曲して折れ曲がり、図10(C)に示すように、新たな折返し部TP2を形成する。
接着テープTPが引き出されるたびに、上のプロセスが繰り返され、固定支持板B1と揺動支持板B2の自由端部に新たな折返し部TP2が形成されることになる。
【0047】
以上、発明の実施の1例として、定着ローラとしての定着スリーブ10に保護シートSTを巻止める例を説明した。若干補足する。
上述の如く、第1押圧部材40、第2押圧部材41,第3押圧部材42、テープ押圧部材43は、何れも定着スリーブ10の外周面の曲率に応じた押圧面R1、R2、R3、R4を有している。
上に説明した実施例において、上記各押圧部材40、41、42、43は、定着スリーブ10の外径:30mmに対し、曲率半径:17mmを持つ凹面を有する基材が用いられ、この凹面に厚さ:2mmのフェルト層が形成されている。従って、フェルト層表面の曲率半径は15mmとなり、定着スリーブ10の外周面と密接する。
【0048】
厚さ:60μmの保護シートSTが巻付けられるとき、上記フェルト層が弾性により圧縮され、その反発力が保護シートSTを定着スリーブ10の周面に密着させる。
【0049】
上には、ローラ状機能部材が定着ローラである場合の実施例を説明したが、この発明におけるローラ状機能部材は、定着ローラに限定されるものではなく、例えば、感光体ローラや現像ローラに対しても適用できることは言うまでもない。
【0050】
しかし、上に説明した実施例のように、定着スリーブ10への保護シート巻止めの場合には、以下の如き顕著な効果がある。
前述の如く、上に説明した実施例における定着ローラである「定着スリーブ」は、はシリンダ状基材が数十μmと極めて薄く、そのため、機械的な外力に対して脆弱である。
【0051】
例えば、特許文献1には、保護シートを自動的に巻止める対象としてのワークの例として感光体ローラの場合が開示されているが、保護シート巻留めの対象である感光体ローラは巻止めプロセスの際に回転される。
上に説明した実施例の場合のように、定着スリーブ10への保護シートの巻留めを行う場合、この巻止めを、特許文献1記載の装置で行うと、巻留めプロセスの際の回転で、機械力に対して脆弱な定着スリーブ10が損傷を受ける恐れがある。
この発明の方法では、保護シートの巻止めが行われる際、定着スリーブは回転しないので回転の機械力による損傷の恐れがない。
【0052】
また、定着ローラに巻付けられた保護シートを巻きとめる接着テープは、つまみ用の折返し部を形成されており、接着テープを剥がすときに折返し部をつかんで容易に剥がすことができ、接着テープを剥がして定着スリーブを取り出すときに、予期せぬ力が加わって定着スリーブを損傷するのを有効に防止できる。
【0053】
この発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> シリンダ状基材の周面に機能層が形成されたローラ状機能部材の前記機能層の周面の有効領域に保護シートを自動的に巻止める装置であって、
前記ローラ状機能部材の前記有効領域の軸方向長さ:L以上の長さ:LSと、前記有効領域の周長:lに対応する幅:l+Sとを有する前記保護シートを、所定位置に平面状にセットするとともに、セットされた前記保護シートに対して、前記ローラ状機能部材を、その中心軸方向を、前記保護シートの長さ方向に対応させ、且つ、前記保護シートの幅方向の略中央部に対応させて前記保護シートの裏面側にセットするセット手段と、
前記セット手段によりセットされた前記ローラ状機能部材に対して、前記セットされた前記保護シートを表面側から第1の方向に押圧して、前記有効領域の半周部分に巻付ける第1押圧手段と、
前記第1押圧手段により前記半周部分に巻付けられた前記保護シートの前記幅方向の第1自由端部側を、第2の方向から押圧して、前記保護シートの前記第1自由端部側を前記有効領域の周面に巻付ける第2押圧手段と、
前記保護シートの、前記第1自由端部と逆側の第2自由端部側を押圧して、前記幅方向の第2自由端部側を前記ローラ状機能部材の前記周面に巻付け、前記第1自由端部側に重なり幅:Sで重なり合わせ、重なり幅部を形成する第3押圧手段と、
接着テープを保持し、保持した前記接着性テープの引き出し側端部に、つまみ用の折返し部を形成するとともに、形成された前記折返し部を保持しで前記接着テープを引き出し、所定の長さにカットし、カットされたテープ片を前記重なり幅部分に対向する所定位置へ移送するテープ保持移送手段と、
前記所定位置に移送された前記テープ片を、前記重なり幅部において、前記保護シートの第2自由端部を含む領域に押圧して接着し、前記保護シートの前記重なり幅部を巻止めるテープ押圧手段と、
前記テープ片により前記保護シートを巻止められたローラ状機能部材を取出す取出し手段と、を有する保護シート自動巻止め装置である。
【0054】
<2> <1>に記載の保護シート自動巻止め装置において、
前記第1押圧手段は、前記ローラ状機能部材の曲率に応じた半円形状の第1押圧部分を有し、前記第1の方向に移動して、前記第1押圧部分により前記保護シートを前記有効領域の半周部分に巻付ける第1押圧部材を有し、
前記第2押圧手段は、前記ローラ状機能部材の前記曲率に応じた円弧状の第2押圧部分を有し、前記第2の方向に移動して、前記第2押圧部分により前記保護シートを前記有効領域に巻付ける機能を有する第2押圧部材を有し、
前記第3押圧手段は、前記ローラ状機能部材の前記曲率に応じた円弧状の第3押圧部分を有し、前記第2の方向と逆向きに移動して、前記第3押圧部分により前記保護シートを前記有効領域に巻付ける機能を有する第3押圧部材を有し、
前記テープ押圧手段は、前記ローラ状機能部材の曲率に応じた円弧形状の押圧部分を有し、前記第1の方向と逆向きに移動して、前記押圧部分により前記テープ片を前記保護シートの幅方向端部の重なり幅部分において、前記テープ片を前記保護シートに押圧接着するテープ押圧部材を有し、
前記第1押圧部材、第2押圧部材、第3押圧部材およびテープ押圧部材のうち、少なくとも第2押圧部材および第3押圧部材は、何れも、前記ローラ状機能部材の軸方向の複数個所において、且つ、前記第2押圧部材と前記第3押圧部材と、前記テープ押圧部材が重ならない位置に配置される2以上の押圧部を有する保護シート自動巻止め装置である。
【0055】
<3> <1>または<2>記載の保護シート自動巻止め装置であって、
前記第1の方向が鉛直上向きであり、第2および第3の方向が、左右方向において互いに逆向きである保護シート自動巻止め装置である。
【0056】
<4> 保護シートを巻止めるべきローラ状機能部材が、薄肉の中空シリンダの周面に定着層を機能層として形成された定着スリーブである<1>または<2>または<3>に記載の保護シート自動巻止め装置である。
【0057】
<5>
<1>または<2>または<3>に記載の保護シート巻止め装置を用いる保護シート自動巻止め方法であって、
前記ローラ状機能部材と前記保護シートを所定の位置関係にセットするセット工程と、
セットされた前記ローラ状機能部材に対して、前記セットされた前記保護シートを、前記第1押圧手段により機能層の有効領域の半周部分に巻付ける第1押圧工程と、
前記第1押圧工程後に、第2押圧手段により、前記保護シートの幅方向の第1自由端部側を、第2の方向から押圧して、前記保護シートの前記第1自由端部側を前記有効領域に巻付ける第2押圧工程と、
前記第2押圧工程後に、前記第3押圧手段により前記第2自由端部側を前記周面に巻付け、前記第1の自由端部に、幅:Sの重なり幅で重なり合わせ、重なり幅部を形成する第3押圧工程と、
前記第3押圧工程後に、前記テープ保持手段に保持された接着テープを、前記折返し部を保持して引き出して所定の長さにカットし、カットされたテープ片を前記重なり幅部に対向する所定位置へ移送するテープ移送工程と、
前記テープ移送工程後に、前記テープ押圧手段により、前記保護シートの重なり部分を巻止めるテープ巻止め工程と、
前記テープ巻止め工程後に、前記保護シートを巻止められたローラ状機能部材を取り出し手段により取り出す取り出し工程と、
を有する保護シート自動巻止め方法である。
【0058】
以上、発明の好ましい実施の形態について説明したが、この発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、図2に示した実施例において、全体を、定着スリーブ10の軸を中心にして、任意の角度回転させた状態でも、この発明を実施できるし、定着スリーブ10の軸の方向も水平方向に限らない。
【0059】
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
10 定着ローラ(ローラ状機能部材)、定着スリーブ
ST 保護シート
30 嵌合軸
R1、R2、R3、R4 押圧面
40 第1押圧部材
41 第2押圧部材
42 第3押圧部材
43 テープ押圧部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開平11-91713号公報
【特許文献2】特開2011-31890号公報
図1
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