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2024-160785負極活物質粒子、負極活物質層、固体電池及び負極活物質粒子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160785
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】負極活物質粒子、負極活物質層、固体電池及び負極活物質粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/38 20060101AFI20241108BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20241108BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20241108BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241108BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M4/62 Z
H01M4/48
H01M4/13
H01M10/0562
H01M10/052
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076141
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 真也
(72)【発明者】
【氏名】水野 史教
(72)【発明者】
【氏名】林 晃敏
(72)【発明者】
【氏名】作田 敦
(72)【発明者】
【氏名】森 茂生
(72)【発明者】
【氏名】塚崎 裕文
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL11
5H029AM11
5H029DJ09
5H029HJ05
5H050AA07
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB11
5H050DA03
5H050DA13
5H050EA15
5H050GA06
5H050HA05
(57)【要約】
【課題】本開示は、高いサイクル特性を実現することができる負極活物質粒子、そのような負極活物質粒子を有する固体電池、及びそのような負極活物質粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】本開示の負極活物質粒子は、粒子中に金属の部分及びこの金属の酸化物の部分を含み、特に、金属の部分の平均結晶子サイズが50~200nmであり、この金属の酸化物の部分の平均結晶子サイズが30nm以下である。本開示の固体電池は、本開示の負極活物質層を有する。本開示の負極活物質層は、本開示の負極活物質粒子、及び固体電解質を含む。負極活物質粒子を製造する本開示の方法は、金属亜酸化物粒子をメカノケミカル処理することで、金属の部分及びこの金属の酸化物の部分を得ることを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子中に金属の部分及び前記金属の酸化物の部分を含む、負極活物質粒子。
【請求項2】
前記金属の部分の平均結晶子サイズが50~200nmであり、かつ前記金属の酸化物の部分の平均結晶子サイズが30nm以下である、請求項1に記載の負極活物質粒子。
【請求項3】
前記金属の部分が金属スズの部分であり、かつ前記金属の酸化物の部分が二酸化スズの部分である、請求項1又は2に記載の負極活物質粒子。
【請求項4】
請求項1に記載の負極活物質粒子、及び固体電解質を含む、負極活物質層。
【請求項5】
請求項4に記載の負極活物質層を有する、固体電池。
【請求項6】
金属亜酸化物粒子をメカノケミカル処理することで、前記金属の部分及び前記金属の酸化物の部分を得ることを含む、請求項1又は2に記載の負極活物質粒子の製造方法。
【請求項7】
前記メカノケミカル処理をボールミルによって行う、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、負極活物質粒子、負極活物質層、固体電池及び負極活物質粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リチウム、リン及び硫黄からなる硫化物系固体電解質と、周期律表の第13族、第14族のうちの少なくとも1種の元素を含む金属粉末からなる負極活物質と、を含む負極合材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-003679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体電池において、高いサイクル特性を実現することが求められている。
【0005】
本開示は、高いサイクル特性を実現することができる負極活物質粒子、そのような負極活物質粒子を有する固体電池、及びそのような負極活物質粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件開示者等は、以下の手段により、上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
〈態様1〉粒子中に金属の部分及び前記金属の酸化物の部分を含む、負極活物質粒子。
〈態様2〉
前記金属の部分の平均結晶子サイズが50~200nmであり、かつ前記金属の酸化物の部分の平均結晶子サイズが30nm以下である、態様1に記載の負極活物質粒子。
〈態様3〉
前記金属の部分が金属スズの部分であり、かつ前記金属の酸化物の部分が二酸化スズの部分である、態様1又は2に記載の負極活物質粒子。
〈態様4〉
態様1~3のいずれか1項に記載の負極活物質粒子、及び固体電解質を含む、負極活物質層。
〈態様5〉
態様4に記載の負極活物質層を有する、固体電池。
〈態様6〉
金属亜酸化物粒子をメカノケミカル処理することで、前記金属の部分及び前記金属の酸化物の部分を得ることを含む、態様1又は2に記載の負極活物質粒子の製造方法。
〈態様7〉
前記メカノケミカル処理をボールミルによって行う、態様6に記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、高いサイクル特性を実現することができる負極活物質粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の負極活物質粒子(SnO(MC))、一酸化スズ(SnO)、スズ(Sn)、及び二酸化スズ(SnO)のX線回折(XRD)パターンを示すグラフである。
図2図2は、本開示の負極活物質粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)による高分解能像及び各領域の高速フーリエ変換(FFT)パターンを示す画像である。
図3図3は、本開示の負極活物質粒子についての、(a)電子線回折図形、及び(b)強度プロファイルを示すグラフである。
図4図4は、本開示の負極活物質粒子についての、(a)Sn領域の暗視野像、及び(b)画像解析により定量化した結晶子サイズの分布を示すグラフである。
図5図5は、本開示の負極活物質粒子についての、(a)SnO領域の暗視野像、及び(b)画像解析により定量化した結晶子サイズの分布を示すグラフである。
図6図6は、負極活物質粒子としてSnを用いた場合の充放電曲線を示すグラフである。
図7図7は、負極活物質粒子として未処理のSnOを用いた場合の充放電曲線を示すグラフである。
図8図8は、負極活物質粒子としてメカノケミカル処理したSnOを用いた場合の充放電曲線を示すグラフである。
図9図9は、負極活物質粒子としてSnを用いた場合の、サイクルに伴う充放電容量及びクーロン効率の推移を示すグラフである。
図10図10は、負極活物質粒子として未処理のSnOを用いた場合の、サイクルに伴う充放電容量及びクーロン効率の推移を示すグラフである。
図11図11は、負極活物質粒子としてメカノケミカル処理したSnOを用いた場合の、サイクルに伴う充放電容量及びクーロン効率の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について詳述する。なお、本開示は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、開示の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0011】
《負極活物質粒子》
本開示の負極活物質粒子は、粒子中、特に一次粒子中に、金属の部分及びこの金属の酸化物の部分を含む。
【0012】
好ましくは、本開示の負極活物質粒子では、金属の部分の平均結晶子サイズが50~200nmであり、かつこの金属の酸化物の部分の平均結晶子サイズが30nm以下である。なお、本開示に関して、平均結晶子サイズの測定においては、X線回折装置を用いて、負極活物質粒子のXRDパターンを測定し、負極活物質粒子内の結晶相を同定し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて高分解能像を得るともに、金属及びこの金属の酸化物のデバイリングを選択した暗視野像を取得し、暗視像から各結晶像の結晶子サイズを見積もることができる。
【0013】
本件開示者等は、金属の部分及びこの金属の酸化物の部分を含む粒子を負極活物質粒子として用いることで、高いサイクル特性を実現することができることを見出した。この理由としては、何らの理論に束縛されることを意図しないが、本開示の負極活物質粒子では、金属の部分及びこの金属の酸化物の部分の組み合わせによって、粒子内部でリチウムイオンの脱挿入に伴う膨張・収縮を緩和し、負極活物質層内で生じる剥離・割れなどの機械劣化が抑制されるためであると考えられる。
【0014】
本開示の負極活物質粒子は、粒子中に、特に一次粒子中に、金属の部分、及びこの金属の酸化物の部分を含む。
【0015】
(金属の部分)
本開示において、金属の部分とは、負極活物質粒子中における金属からなる領域のことをいう。金属としては、スズ(Sn)、シリコン(Si)、及び銀(Ag)が例示され、金属は、スズであることが好ましい。
【0016】
金属の部分の平均結晶子サイズは、好ましくは50~200nmである。この平均結晶子サイズは、60nm以上、70nm以上、80nm以上、90nm以上、100nm以上、110nm以上、120nm以上、又は130nm以上であってよく、また190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、又は140nm以下であってよい。
【0017】
(金属の酸化物の部分)
本開示において、金属の酸化物の部分とは、負極活物質粒子中における上記金属の部分と同一の金属の酸化物からなる領域のことである。金属の酸化物としては、二酸化スズ(SnO)、二酸化ケイ素(SiO)、及び酸化銀(III)(Ag)が例示され、金属の酸化物は、二酸化スズであることが好ましい。
【0018】
金属の酸化物の部分の平均結晶子サイズは、好ましくは30nm以下である。この平均結晶子サイズは、1nm以上、3nm以上、5nm以上、7nm以上、9nm以上、10nm以上、11nm以上、12nm以上、又は13nm以上であってよく、また25nm以下、20nm以下、18nm以下、16nm以下、15nm以下、又は14nm以下であってよい。
【0019】
《負極活物質粒子の製造方法》
負極活物質粒子を製造する本開示の方法は、金属亜酸化物粒子をメカノケミカル処理することで、金属の部分及びこの金属の酸化物の部分を得ることを含む。
【0020】
本開示において、金属亜酸化物粒子とは、金属の部分及びこの金属の酸化物の部分との中間の酸化度を有する粒子のことをいう。金属亜酸化物粒子としては、一酸化スズ(SnO)、一酸化ケイ素(SiO)、及び酸化銀(I)(Ag0)が例示され、好ましくは一酸化スズである。
【0021】
メカノケミカル処理は、ボールミルによって行うことができる。メカノケミカル処理をボールミルによって行う場合、ボールミルの回転数は、100rpm以上、200rpm以上、又は300rpm以上であってもよい。また、処理時間は、1時間以上、10時間以上、又は30時間以上であってもよい。
【0022】
《負極活物質層》
本開示において、負極活物質層は、負極活物質粒子、及び固体電解質、並びに随意に導電助剤、及びバインダーを含む。
【0023】
〈負極活物質粒子〉
負極活物質粒子については、本開示の負極活物質粒子に関する上記の記載を参照できる。
【0024】
〈固体電解質〉
固体電解質の例としては、硫化物非晶質固体電解質、例えば、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、及びLiS-P等;硫化物結晶質固体電解質、例えば、Li11、LiPS、及びLi3.250.75等;並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0025】
〈導電助剤〉
導電助剤としては、炭素材、例えば、VGCF(気相成長法炭素繊維、Vapor Grown Carbon Fiber)、カーボンブラック、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、及びカーボンナノファイバー(CNF)等、及び金属材等、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0026】
〈バインダー〉
バインダーとしては、特に限定されないが、ポリマー樹脂、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、及びスチレンブタジエンゴム(SBR)等、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0027】
《固体電池》
本開示において、固体電池は、本開示の負極活物質層を有する。本開示の固体電池は、負極集電体層、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層、及び正極集電体層をこの順で有することができる。以下では、本開示の固体電池を構成する各層について説明する。
【0028】
なお、本開示に関して、「固体電池」は、電解質として少なくとも固体電解質を用いる電池を意味しており、したがって固体電池は、電解質として、固体電解質と液体電解質との組み合わせを用いていてもよい。また、本開示の固体電池は、全固体電池、すなわち電解質として固体電解質のみを用いる電池であってもよい。
【0029】
〈負極集電体層〉
負極集電体層の例としては、特に限定されることなく、各種金属、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、及びチタン等、並びにこれらの合金を挙げることができる。
【0030】
〈負極活物質層〉
負極活物質層については、本開示の負極活物質層に関する上記の記載を参照できる。
【0031】
〈固体電解質層〉
固体電解質層は、固体電解質、及び随意にバインダーを含有している。固体電解質層の固体電解質及びバインダーについては、本開示の負極活物質層に関する上記の記載を参照できる。
【0032】
〈正極活物質層〉
正極活物質層は、正極活物質粒子及び固体電解質、並びに随意に導電助剤及びバインダーを含有している。
【0033】
正極活物質粒子の例としては、マンガン、コバルト、ニッケル、及びチタンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属及びリチウムを含むリチウム金属酸化物粒子、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)粒子、ニッケル酸リチウム(LiNO)粒子、マンガン酸リチウム(LiMn)粒子、Li1+xMn2-x-y(M=Al、Mg、Fe、Cr、Co、Ni、Zn)で表される組成の異種元素置換スピネル型マンガン酸リチウム、チタン酸リチウム(LiTiO)、リン酸金属リチウム(LiMPO:M=Fe、Mn、Co、Ni)、及びニッケルコバルトマンガン酸リチウム(Li1+xNi1/3Co1/3Mn1/3)粒子等、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0034】
正極活物質層の固体電解質、導電助剤、及びバインダーについては、本開示の負極活物質層に関する上記の記載を参照できる。
【0035】
〈正極集電体層〉
正極集電体層については、本開示の負極集電体層に関する上記の記載を参照できる。
【実施例0036】
《サンプルの作製》
〈負極活物質粒子の作製〉
SnO粉末を酸化ジルコニウム(ZrO)製のボールとともにZrO製ポットに投入し、遊星型ボールミルを用いて370rpm、40時間にわたってメカノケミカル(MC)処理することにより、負極活物質粒子を作製した。
【0037】
〈硫化物固体電解質の作製〉
硫化リチウム(LiS)、五硫化リン(P)を75mol%:25mol%の比率になるように秤量し、メカノケミカル処理により、硫化物固体電解質を作製した。
【0038】
〈負極合材の作製〉
上記負極活物質粒子、上記硫化物固体電解質、及びアセチレンブラックを8:10:1の重量比になるように秤量し、乳鉢で混合することによって負極合材を作製した。なお、比較としてSn単体及びメカニカル処理を行っていないSnOを用いた負極合材も、同様に作製した。
【0039】
〈評価用セルの作製〉
上記負極合材9.5mg及び上記硫化物固体電解質80mgを10mmΦの円筒容器に投入して積層し、積層物を一軸加圧成形した後に、リチウム箔およびインジウム箔を張り付けることで評価用セルを作製した(実施例)。なお、比較用にSn単体(比較例1)、メカニカル処理なしのSnO(比較例2)からなる負極合材を用いたセルも、同様に作製した。
【0040】
《評価》
〈負極活物質粒子の評価〉
X線回折装置を用いて、作製した負極活物質粒子のXRDパターンを測定し、負極活物質粒子内の結晶相を同定した。また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて高分解能像を得るともに、Sn及びSnOのデバイリングを選択した暗視野像を取得し、暗視像から各結晶像の結晶子サイズを見積もった。
【0041】
〈サイクル特性評価〉
作製した評価用セルについて、25℃、-0.62~1.38Vvs.Li-Inの電位範囲において、0.13mA/cmの条件で定電流充放電測定を行った。
【0042】
《結果》
〈粒子中にSn及びSnOが存在することの確認〉
作製した負極活物質粒子(SnO(MC))、SnO、Sn、及びSnOのXRDパターンを図1に示す。図1に示されるように、メカノケミカル処理によって得られた負極活物質粒子には、Sn及びSnOの2相が存在した。
【0043】
〈粒子中のSn及びSnOの状態の確認〉
作製した負極活物質粒子の、TEMによる高分解能像及び各領域の高速フーリエ変換(FFT)パターンを図2に示す。図2に示されるように、粒子内におけるSn及びSnOは、ナノレベルで高分散な状態であった。
【0044】
〈Sn及びSnOの平均結晶子サイズ〉
Sn及びSnOの平均結晶子サイズを暗視野像から見積もった。作製した負極活物質粒子から得られた電子線回折図形及びその強度プロファイルを図3に示す。この強度プロファイルにおけるピークは各結晶相からの回折に対応する。これらのピークを基にSnのみ及びSnOのみの回折からなるデバイリングを選択し暗視野像を取得した。暗視野像および画像解析により定量化した結晶子サイズの分布を図4及び5に示す。図4及び5に示されるように、Snは約130nmの平均結晶子サイズを有し、SnOは約13nmの平均結晶子サイズを有していた。
【0045】
〈サイクル特性〉
メカノケミカル処理を行ったSnO(本開示の負極活物質粒子)、並びに比較用としてのSn単体及びメカノケミカル処理なしのSnOを用いた評価用セルの充放電曲線を図6~8に示す。また、サイクルに伴う充放電容量及びクーロン効率の推移を図9~11に示す。図6~8及び9~11に示されるように、メカノケミカル処理を行ったSnO(本開示の負極活物質粒子)を用いた場合、Sn単体及びメカノケミカル処理なしのSnOを用いた場合と比較して、サイクルに伴う充電容量の低下が抑制された。
【0046】
表1に、実施例及び比較例のセルにおける初期充電容量、20サイクル後の充電容量及び20サイクル後の容量維持率を示す。表1に示されるように、実施例のセルのサイクル特性は、比較例のセルのサイクル特性に比べて高かった。
【0047】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11