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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160790
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】シート収納装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/18 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
B65H31/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076154
(22)【出願日】2023-05-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示日 令和4年10月20日 展示場所 株式会社リコー海老名事業所(神奈川県海老名市泉2-7-1) 〔刊行物等〕 設置日 令和5年1月19日 設置した場所 株式会社ワキプリントピア(神奈川県藤沢市桐原町3) 〔刊行物等〕 展示日 令和5年3月3日 展示場所 株式会社リコー海老名事業所(神奈川県海老名市泉2-7-1)
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207181
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 朋
(72)【発明者】
【氏名】石井 賢治
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AA04
3F054AA05
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA03
3F054BD02
3F054BD07
3F054BG07
3F054BG12
3F054DA16
(57)【要約】
【課題】本発明では、簡易な構成により、シートを位置精度良く積載して収納することを課題とする。
【解決手段】昇降可能に設けられ、封筒50を積載して収納する収納箱13を備えた封筒用排紙台であって、収納箱13は、収納箱13に積載された封筒50の重量により下降することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能に設けられ、シートを積載して収納するシート収納部を備えたシート収納装置であって、
前記シート収納部は、前記シート収納部に積載されたシートの重量により下降することを特徴とするシート収納装置。
【請求項2】
前記シート収納部の昇降方向は、重力方向およびその反対方向に対して傾斜している請求項1記載のシート収納装置。
【請求項3】
前記シート収納部のシート積載面は、シート搬送方向の上流側から下流側へ向けて重力方向下側へ傾斜し、前記シート収納部のシート搬送方向下流側に設けられたシート先端が当接するシート当接面は、その幅方向の一方側から他方側へ向けて、シート搬送方向下流側へ傾斜する請求項2記載のシート収納装置。
【請求項4】
前記シート収納部は、中空の箱型に形成され、前記シート当接面と反対側が開口し、
前記シート収納部の開口側から進入したシートが、前記シート収納部の前記シート当接面の幅方向他方側に連続する側面に、前記シートのシート搬送方向下流側端縁の前記シート収納部の前記側面の側の端部を最初に当接させるように、前記シート収納部が傾いて配置される請求項3記載のシート収納装置。
【請求項5】
前記シートはその厚みが部分的に大きい厚み部を有し、
前記シート収納部に設けられたシート積載面の水平面に対する傾斜角度をθ、前記シートの前記厚み部とその他の部分との厚みの差をt(mm)、前記シートの搬送方向長さをy(mm)、前記シート収納部に設定されたシートの限界積載枚数をNとすると、下記式(1)を満たす請求項2記載のシート収納装置。
θ≧tan―1(t・N/y)・・・(1)
【請求項6】
前記シート収納部を上昇方向へ付勢する付勢部材をさらに有する請求項1記載のシート収納装置であって、
前記シート収納部は、前記シートを一枚積載することによる下降量が、シート一枚の厚みと同じに設けられる請求項1記載のシート収納装置。
【請求項7】
前記シート収納部を保持する保持部をさらに有する請求項1記載のシート収納装置であって、
前記シート収納部が前記保持部に対して着脱可能に設けられるシート収納装置。
【請求項8】
前記シート収納部は、前記シート搬送方向の下流側に、衝撃吸収部を介して、シート当接面を有するシート当接部が取り付けられ、
前記衝撃吸収部は、前記シート当接部の、前記シート当接面の前記シート先端が当接する部分以外の部分の裏側に当接する請求項1記載のシート収納装置。
【請求項9】
前記シート収納部の重力方向下側に、一方側と他方側との厚みが異なり、前記収納部のシート積載面を形成するシート積載台が取り付けられる請求項1記載のシート収納装置。
【請求項10】
前記シート収納部は、前記シート収納部内の前記シートの幅方向位置を規制する規制部材を有する請求項1記載のシート収納装置。
【請求項11】
前記規制部材は、シート搬送方向上流側から下流側へ向けて、前記シートの幅方向位置を狭める傾斜面を有する請求項10記載のシート収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを積載して収納するシート収納装置として、例えば画像形成装置の排出部から排出された封筒などのシートを収納するシート収納装置が従来から存在する。
【0003】
このようなシート収納装置では、シートが収納部に積み重なっていくことで、収納部の次のシートを積載する積載位置が上昇していく。これにより、排出部から収納部までの落下高さが変化してしまい、ひいては、収納部におけるシートの収納姿勢が変化し、収納部に積載された各シートが揃わず乱雑に収納されてしまうという問題がある。
【0004】
これに対して、例えば特許文献1(特開2006-193265号公報)では、シートを積載する積載トレイが昇降可能に設けられ、紙面検知センサを有する。紙面検知センサにより積載トレイに積載されたシートの積載量を検知し、シートの積載量に応じて積載トレイを下降させる。これにより、シートの積載量に応じて積載トレイのシート積載位置を調整できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような構成では、検知センサを設けることによりシート収納装置が高コストになるという問題があった。
【0006】
このような事情から、本発明では、簡易な構成により、シートを位置精度良く積載して収納することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、昇降可能に設けられ、シートを積載して収納するシート収納部を備えたシート収納装置であって、前記シート収納部は、前記シート収納部に積載されたシートの重量により下降することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、簡易な構成により、シートを位置精度良く積載して収納できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る封筒用排紙台の斜視図である。
図2】支持フレームの側面図である。
図3】昇降部の斜視図である。
図4】ガイドロールの斜視図である。
図5】ガイド部の斜視図である。
図6】支持フレームおよびスプリングを示す斜視図である。
図7】封筒用排紙台の側面図である。
図8】画像形成装置の排出部を示す斜視図である。
図9】排出部の断面図である。
図10】封筒を示す図で、(a)図が平面図、(b)図が底面図である。
図11】封筒の側面図である。
図12】封筒を積み重ねた状態の側面図である。
図13】(a)~(c)は封筒が収納箱に落下して収納箱内の所定の位置に配置される過程を示す平面断面図である。
図14】収納箱内に封筒が積載された様子を示す側面断面図である。
図15図14の収納箱に傾斜治具を配置した場合の側面断面図である。
図16図10と異なる形態の封筒を示す図で、(a)図が平面図、(b)図が底面図である。
図17】収納箱内に図16の封筒が積載された様子を示す正面断面図である。
図18図17の収納箱に傾斜治具を配置した場合の側面断面図である。
図19】傾斜治具を示す斜視図である。
図20】収納箱内にスペーサが配置された様子を示す平面断面図である。
図21】収納箱の斜視図である。
図22】底板および緩衝材を配置した収納箱の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。以下、本発明のシート収納装置の実施形態として、画像形成装置から排出されたシートとしての封筒を積載する封筒用排紙台について説明する。
【0011】
図1に示すように、封筒用排紙台1は、支持フレーム11と、保持部としての昇降部12と、シート収納部としての収納箱13とを主に有する。図1の方向X,Y,Zは互いに直交する方向である。方向Xは封筒用排紙台1の幅方向あるいは封筒が収納箱13に進入してきた際の封筒の幅方向でもある。方向Yは封筒の搬送方向およびその反対方向でもある。方向Zは重力方向およびその反対方向でもある。ただし、これらの方向が厳密に互いに直交する必要はない。封筒の幅方向とは、封筒の搬送方向および厚み方向に直交する方向である。
【0012】
支持フレーム11には、画像形成装置と接続される接続部14が設けられる。また支持フレーム11は、昇降部12を昇降させるガイド部15を有する。接続部14を画像形成装置に接続することにより、封筒用排紙台1の画像形成装置に対する位置関係を固定できる。本実施形態では、支持フレーム11はアルミニウムにより形成される。
【0013】
収納箱13は封筒を積載して収納する。収納箱13は中空の箱形状をなし、その一方側が開口している。ただし、段ボール箱のように開口部が開閉できる形状であってもよい。本実施形態の収納箱13は、例えば長形3号、洋形3号の封筒に対応し、封筒約1000枚分、約700mmの収納高さを有する。本実施形態の収納箱13はプラスチック、特にポリプロピレン製の段ボール箱であり、その厚みが5mm、目付量が1000g/mの高剛性品である。
【0014】
昇降部12は収納箱13を保持する。昇降部12はガイド部15に沿って図1の両矢印A方向へ昇降可能に設けられる。この昇降方向は、重力方向およびその反対方向に対して傾斜した方向である。具体的に本実施形態では、図2に示すように、ガイド部15の延在方向の支持フレーム11底部に対する角度αが60度に設定される。別の言い方をすると、ガイド部15の封筒用排紙台1が載置された水平面に対する角度αが60度に設定される。昇降部12の昇降により収納箱13がガイド部15に沿った方向へ昇降する。本実施形態では、昇降部12の昇降距離はガイド部15に沿った方向に300~500mmに設定される。封筒用排紙台1には、昇降部12の支持フレーム11に対する昇降位置を固定するための固定構造が設けられる。
【0015】
図3に示すように、昇降部12は、被ガイド部16と収納箱受台17とを有する。被ガイド部16はガイド部15に沿ってガイドされる部分であり、その内側に、図4に示すガイドロール18を複数有する。このガイドロール18が、図5に示すガイド部15のガイド溝15aに嵌合することにより、被ガイド部16がガイド溝15aに沿って昇降することができる。
【0016】
図3に示すように、収納箱受台17は収納箱を保持する部分であり、被ガイド部16と一体的に昇降する。収納箱受台17は、収納箱13を傾いた状態で保持する(詳しくは後述する)。
【0017】
図6に示すように、支持フレーム11の上部に設けられた複数のフック部に、複数の付勢部材としてのスプリング19の一端部が固定される。スプリング19は昇降部12(図1参照)の昇降方向に延在し、その他端部が昇降部12に固定される。つまり、支持フレーム11は、スプリング19により昇降部12を吊り下げている。スプリング19は、一例として、自然長が300mm、最大引張長さ1000mm以上、バネ乗数0.02~0.05N/mmのものを使用している。スプリング19は適宜の数だけ設けることができる。なお、スプリング19の上方および下方は支持フレーム11に固定されたカバー部材により覆われており、スプリング19が外側から触れられないようになっている。
【0018】
本実施形態の封筒用排紙台1は、画像形成装置から排出された封筒を積載する。つまり、図7に示すように、収納箱13は画像形成装置100の排出部101側へ開口している。画像形成装置100から排出口を介して矢印B方向に排出された封筒は、排出部101を介して封筒用排紙台1の収納箱13に収納される。収納箱13に封筒が収納されていない状態で、収納箱13の封筒積載面(シート積載面)である下面13cは排出部101よりも下方に設けられる。下面13cは収納箱13の下方側の側面でもある。
【0019】
図8に示すように、排出部101は、シューター102、一対のサイドフェンス103、玉軸受ローラ105などを有する。シューター102は一例として金属板により形成される。シューター102は矢印B方向へ向けて重力方向下側へ傾斜している。画像形成装置内から排出された封筒は、サイドフェンス103によりその側端位置を規制され、シューター102上を封筒用排紙台側へ落下する。またシューター102上には潤滑剤なしの玉軸受ローラ105が設けられる。玉軸受ローラ105を設けることにより、封筒50がシューター102に沿って滑らかに落下することができる。
【0020】
図9に示すように、サイドフェンス103の下面にはマグネットシート104が取り付けられる。マグネットシート104は例えば両面テープによりサイドフェンス103に取り付けられる。サイドフェンス103は、マグネットシート104の磁力によりシューター102上の任意の位置に取り付けることができる。これにより、サイドフェンス103が封筒の幅方向位置を規制する規制位置を変更でき、封筒50の幅に合わせた配置に変更できる。またサイドフェンス103およびマグネットシート104の封筒50が通過する側にはフッ素テープ106が巻き付けられている。これにより、封筒50がサイドフェンス103のエッジに引っ掛かることを防止し、封筒50がサイドフェンス103上を滑らかに落下することができる。
【0021】
図7に示すように、シューター102から落下した封筒50は、収納箱13に収納され積載されていく。この際、下面13cの上方へ封筒が積み重なっていくほど、次の封筒50を載置する収納箱13内のシート積載面の位置が上昇していくことになる。
【0022】
そして、シューター102から収納箱13までの封筒50の落下距離が変化すると、それによって収納箱13内に積載される封筒50の姿勢も変化してしまう。これにより、収納箱13内に積載された各封筒50の姿勢が揃わず、乱れてしまうという問題がある。この場合、定期的に作業者が収納箱13内に積載された封筒の束を揃える等、余計な作業が発生してしまう。また落下高さのばらつきが大きくなり、落下高さが大きい場合に封筒50の先端が丸まる等変形してしまうという問題がある。
【0023】
これに対して本実施形態では、収納箱13に積載される封筒50の数が増えるほど、収納箱13を下降させることができる。つまり、収納箱13に封筒50が積載されていくことにより、収納箱13の重量が増加する。この重量の増加により、図6のスプリング19が伸長して昇降部12とともに収納箱13が下降する(図7参照)。つまり、収納箱13内に封筒50が積載され、収納箱13内の積載面(封筒束の上面)が上昇していくのに応じて収納箱13が下降する。これにより、画像形成装置から排出された封筒が、常に収納箱13のシート積載面(収納箱13の下面13cあるいは傾斜治具のシート
積載面)に対して上方に配置される位置関係を保つことができる。つまり、封筒ごとの画像形成装置から収納箱13までの落下距離に差が生じにくいため、落差が大きくなって封筒の先端が丸まる等の破損が生じることを防止できる。また、特別な駆動機構を設けることのない簡易な構成により、画像形成装置から排出された封筒50を収納箱13に位置精度良く積載して収納できる。
【0024】
特に本実施形態では、一枚の封筒50が積載されることによるスプリング19の伸長量と、一枚の封筒50の搬送方向上流側の厚みとが等しくなるように、スプリング19のバネ乗数などが設定される。ただし、厳密に等しくなる場合に限らず多少の誤差があってもよい。これにより、封筒50の落下距離、つまり、画像形成装置の排紙位置から収納箱13に積載された封筒束の最上位の封筒の搬送方向上流側の位置までの重力方向の距離(図14の距離L参照)を、収納箱13の封筒50の積載量に関わらずほぼ同じにすることができる。これにより、封筒50を収納箱13に位置精度良く積載して収納していくことができる。ただし、画像形成装置の排紙位置から収納箱13に積載された封筒束の最上位の封筒の搬送方向下流側の位置までの重力方向の距離を一定にしてもよい。
【0025】
ところで、図10(a)および図10(b)に示すように、本実施形態の封筒用排紙台が積載する封筒は、長手方向である封筒搬送方向の一方側(本実施形態では下流側)に、厚み部としての重ね合わせ部50aを有する。つまり、封筒50を袋状に形成するために、搬送方向の一方側に重ね合わせ部50aが設けられる。このため、図11に示すように、重ね合わせ部50aの部分で封筒50の厚みが大きくなり、その厚みが一定ではない。つまり、重ね合わせ部50aでは、封筒を形成する紙が三枚重ねになる上に接着剤が設けられるため、その他の二枚重ねの部分よりも厚みが1.5倍以上になる。このため、図12に示すように、複数枚の封筒50を水平に積載していくと、この厚みの差によって封筒50の山が傾斜していき、重ね合わせ部50aと反対側へ崩れてしまうという問題がある。なお、画像形成装置における画像形成時に封筒50内に空気が閉じ込められないように、重ね合わせ部50aを搬送方向の下流側に配置する。
【0026】
以下、封筒用排紙台1の収納箱13に封筒50を収納していく様子、および、積載した封筒50の上記のような傾きを抑制する本実施形態の構成について説明する。
【0027】
画像形成装置のシューター102(図8参照)から落下した封筒50は、図13(a)に示すように、収納箱13の開口部から収納箱13に対して矢印B方向に進入する。この方向が、封筒50の搬送方向である。断面矩形状の収納箱13は、X-Y平面上において傾いて配置されている。具体的には、収納箱13の搬送方向Bの下流側の、シート当接面である底面13bがその幅方向一方側から他方側(図13aの上側から下側)へ向けて、搬送方向Bの下流側である図13aの左側へ傾斜している。このため、封筒50の搬送方向下流側の端縁の、側面13a側の端部である角部50bが最初に収納箱13の側面13aに当接する。側面13aは底面13bと側面13aの幅方向他方側で連続する収納箱13の側面である。このように本実施形態では、画像形成装置側のシューターから排出された封筒50が、角部50bを収納箱13の側面13a最初に当接させるように、収納箱13の位置および傾きが調整され、封筒用排紙台1が接続部14によって画像形成装置100に接続されている(図7参照)。
【0028】
収納箱13、および収納箱13の特に下面13cは、封筒50の搬送方向Bの下流側へ向けて、重力方向下側へ傾斜している(図7参照)。このため、封筒50は角部50bを側面13aに当てた状態で、下面13c上を側面13aに沿って滑りながら矢印B方向へ落下し、図13(b)に示すように、封筒50の搬送方向下流側の他方側の角部50cが収納箱13の底面13bに当接する。この状態で封筒50に落下する方向の力が作用することにより、図13(c)に示すように、封筒50は角部50cを支点に矢印のように回転し、封筒50はそれぞれの端縁が収納箱13の底面13bおよび側面13aに倣った姿勢で収納箱13に収納される。
【0029】
以上のようにして、画像形成装置から排出された封筒50が収納箱13の面に倣って収納される。以降の封筒50が収納箱13へ落下するたびに図13(a)~(c)のようにして収納箱13に収納され、収納箱13内に封筒50が積載されていく。このように本実施形態では、特別な駆動機構などを設けることのなく、画像形成装置から封筒を排出するだけで収納箱13に封筒50を揃えて位置精度良く積載していくことができる。
【0030】
図14に示すように、本実施形態の収納箱13は、封筒の重ね合わせ部50aが設けられる側である図14の左側(封筒搬送方向の下流側)が重力方向下側へ傾斜しているため、収納箱13に収納された封筒束500の傾きを抑制できる。これにより、収納箱13がより多数の封筒50を収納できる。なお、図14、そして後述の図15図17図18では封筒50の厚みを便宜上誇張して表現している。
【0031】
ところで、図14では封筒束500の傾きを十分に解消できていない。具体的には、封筒束500の重ね合わせ部50a側(図14の左側)が反対側よりもZ方向の高い位置に配置される。このような状態では、封筒束500の一番上に積載された封筒50が、図14に矢印に示すように、封筒束500上を滑って落下してしまう。また、新たに積載される封筒50が封筒束500の傾きを乗り越えられず、封筒50が収納箱13内に適切に積載されないといった問題が生じる。
【0032】
このため、収納箱13の傾きθをさらに大きくすることにより、封筒束500の傾きを抑制できる。具体的には、図11に示す封筒50の厚さ偏差量をt(mm)、搬送方向長さをy(mm)、収納箱13に設定された限界の積載枚数をN(枚)とすると、下記数式(2)を満たすようにθを設定することで、封筒束500の重ね合わせ部側への傾きを防止でき、最も好ましい。一例として、本実施形態ではN=1000、θは30度に設定される。ただし、厳密に下記式を満たす必要はなく、封筒が傾いて落下しない程度の傾きが封筒束500に形成されてもよく、その分だけθの下限値に誤差を設けることもできる。
θ≧tan―1(t・N/y)・・・(2)
【0033】
ただし、θを大きくするほど収納箱13が画像形成装置から遠ざかる方向へ傾くため、封筒50を収納箱13の所定の位置(図13c参照)へ収納する精度が低下する場合がある。また本実施形態では、画像形成装置から排紙コロやシューターなどを介して、自由落下により封筒50を収納箱13に落下させるため、落下距離が大きくなると封筒50が収納箱13まで落下しない場合がある。
【0034】
このため、図15に示すように、収納箱13の重力方向下側の面である下面13cに、シート積載台としての傾斜治具20を取り付けてもよい。傾斜治具20は封筒50を積載する、シート積載面としての封筒積載面20aを有する。傾斜治具20は、封筒50の厚みが小さい側の厚みが大きくなっており、収納箱13の下面13cに対して方向Xに傾斜角θ’を有する。これにより、収納箱13の傾斜角度θを大きくすることなく封筒束500の傾きを抑制できる。特に、下記数式(3)を満たすようにθ’を設定することで、封筒束500の重ね合わせ部側への傾きを防止できる。傾斜治具20は例えば樹脂材により形成できる。ただし、傾斜治具20に代えて、収納箱13の下面13cの形状を傾斜治具20の封筒積載面20aのように加工してもよい。
θ+θ’≧tan―1(t・N/y)・・・(3)
【0035】
また、用紙搬送方向の一端側に重ね合わせ部50aを有する封筒50(図10参照)を搬送する場合を例示したが、図16(a)および図16(b)に示すように、封筒50の幅方向一方側に重ね合わせ部50aを有する構成であってもよい。
【0036】
このような封筒50を収納箱13に積載した場合、図17に示すように、重ね合わせ部50aにより封筒束500が傾斜してしまう。これにより、封筒50の下方側に傾いた端面(図17の左側端面)に折れが生じてしまう。これに対して、図18に示すように、方向Xの一方と他方で厚みが異なる傾斜治具20を収納箱13の下面13cに配置することができる。具体的には、重ね合わせ部50a側である図18の右側に傾斜治具20の厚みの小さい側を配置する。傾斜治具20は、収納箱13の下面13cに対して方向Yに傾斜角θ’’を有する。これにより、封筒束500の傾斜を抑制できる。特に、封筒50の搬送方向に直交する方向をx(mm)とすると、下記数式(4)を満たすようにθ’’を設定することで、封筒束500の重ね合わせ部側への傾きを防止できる。封筒50の搬送方向に直交する方向とは、封筒50の搬送方向および厚み方向に直交する方向で、図18の方向Xのことである。なお、画像形成装置で封筒50に両面印刷を行う場合には、表裏が逆になって重ね合わせ部50aの配置も逆になるため、傾斜治具20の配置を図18と逆にする。つまり、厚みの大きい側を図18の右側に配置する。このように、傾斜治具20を収納箱13に着脱可能とすることにより、両面印刷に対応できる。
θ’’≧tan―1(t・N/x)・・・(4)
【0037】
図19に、図15および図18の各傾斜治具20の傾斜を複合的に有する傾斜治具20を示している。具体的には、この傾斜治具20は、封筒搬送方向上流側および幅方向の一方側の厚みが大きく、封筒搬送方向下流側および幅方向の他方側の厚みが小さくなっている。この傾斜治具20を収納箱13に配置することにより、図10および図16のいずれの封筒50を収納する場合でも封筒束500の傾きを抑制できる。ただし、図15あるいは図18のいずれかの傾斜のみを有する傾斜治具20であってもよい。
【0038】
ところで、図13(c)に示すように、封筒50の収納箱13からの取り出し性を考慮して、収納箱13の幅は封筒50の幅方向に対して大きく設けられ、特に封筒50よりも10mm以上大きいことが好ましい。そして、図20に示すように、収納箱13の幅方向の封筒50を収納する側と反対側に、規制部材としてのスペーサ21を配置してもよい。スペーサ21は、収納箱13内の幅方向の一部を覆うようにして設けられる。これにより、前述の封筒50の取り出し性を確保するとともに、収納箱13に自動で収納された封筒50を精度良く図13(c)の位置に配置できる。これにより、封筒束を構成する各封筒50を揃えて積載できる。特に本実施形態では、スペーサ21が傾斜面21aを有し、封筒50の搬送方向Bの上流側から下流側へ向けて封筒50の幅方向位置を狭めることができる。これにより、封筒50を搬送するにしたがって、収納箱13内の所定の位置に納めることができる。
【0039】
スペーサ21は例えば収納箱13と同じ材料により形成し、軽量化を図ってもよい。またスペーサ21は樹脂材や金属材で形成するなど、適宜の材料により形成できる。スペーサ21は収納箱13に着脱可能に設けることが好ましく、例えばマジックテープ(登録商標)によって収納箱13に取り付けられる。これにより、例えば幅120mmの幅の長い長形3号の封筒50を収納する場合にはスペーサ21を取り除き、幅90mmの幅の短い長形4号の封筒50を収納する場合にはスペーサ21を取り付けるといった使い分けが可能になる。スペーサ21はZ方向に厚みを有してもよい。
【0040】
また収納箱13は、昇降部12の収納箱受台17(図3参照)に着脱可能に設けられる。これにより、収納箱13が満載になった場合等に、別の収納箱13を設置して次作業までの時間を短縮できる。
【0041】
図21に示すように、収納箱13は、その上下に取手13d1,13d2を有する。取手13d1,13d2を設けることにより、作業者が収納箱13を容易に持ち上げることができ、収納箱13の昇降部に対する着脱動作が容易になる。本実施形態の取手13d1,13d2は、収納箱13の壁面の一部を貫通させた孔部により形成されるが、これに限らない。例えば、下側の取手13d2を非貫通の下側に開口した袋状に形成することにより、取手13d2の部分で収納箱13の荷重を支えやすくすることができる。
【0042】
収納箱13の開口端には補強部13eが設けられ、本実施形態では特に開口端の全周に補強部13eが形成される。本実施形態の補強部13eは、収納箱13の開口端側に、樹脂製の部材を接着剤などにより固定して形成される。補強部13eを設けることにより、収納箱13の開口端の強度を高め、収納箱13の変形を抑制する。これにより、収納箱13の変形による収納箱13内に積載された封筒の乱れ、不揃いを防止できる。
【0043】
収納箱13の底面13bは、段ボールの筋目が上下に延在する。段ボールの筋目が左右に配置されると、封筒が筋目に引っかかって落下しない場合があるが、本実施形態の構成によってこれを防止できる。
【0044】
また図22に示すように、収納箱13の底面13b側に、シート当接部としての底板22を設けてもよい。底板22の面22aは、収納箱13内における封筒の先端が当接する封筒当接面(シート当接面)を構成する。底板22と底面13bとの間には、衝撃吸収部としての緩衝材23が設けられる。緩衝材23は、底板22の、封筒当接面22aに封筒が当接する範囲以外の部分に対応する裏側の面に接触して設けられる。緩衝材23は例えばスポンジにより形成される。このような構成により、封筒が収納箱13へ落下した際の衝撃を吸収し、封筒を収納箱13内の所定の位置に精度良く配置でき、ひいては収納箱13内に積載された各封筒を精度良く揃えることができる。底板22は、例えば収納箱13と同じ材料により形成できる。この際、底板22の筋目は上下方向に延在するように配置することで、落下する封筒が筋目に引っかかることを防止できる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0046】
以上の説明では、シートの一例として封筒を例示したが、本発明のシート収納装置が収納するシートはこれに限らない。シートとしては封筒の他、用紙P(普通紙)、厚紙、はがき、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。
【0047】
以上の説明では、画像形成装置から排出されたシートを積載して収納するシート収納装置を例示したが、本発明はこれに限らない。
【0048】
本発明の態様は、例えば以下の通りである。
<1>
昇降可能に設けられ、シートを積載して収納するシート収納部を備えたシート収納装置であって、
前記シート収納部は、前記シート収納部に積載されたシートの重量により下降することを特徴とするシート収納装置である。
<2>
前記シート収納部の昇降方向は、重力方向およびその反対方向に対して傾斜している<1>記載のシート収納装置である。
<3>
前記シート収納部のシート積載面は、シート搬送方向の上流側から下流側へ向けて重力方向下側へ傾斜し、前記シート収納部のシート搬送方向下流側に設けられたシート先端が当接するシート当接面は、その幅方向の一方側から他方側へ向けて、シート搬送方向下流側へ傾斜する<2>記載のシート収納装置である。
<4>
前記シート収納部は、中空の箱型に形成され、前記シート当接面と反対側が開口し、
前記シート収納部の開口側から進入したシートが、前記シート収納部の前記シート当接面の幅方向他方側に連続する側面に、前記シートのシート搬送方向下流側端縁の前記シート収納部の前記側面の側の端部を最初に当接させるように、前記シート収納部が傾いて配置される<3>記載のシート収納装置である。
<5>
前記シートはその厚みが部分的に大きい厚み部を有し、
前記シート収納部に設けられたシート積載面の水平面に対する傾斜角度をθ、前記シートの前記厚み部とその他の部分との厚みの差をt(mm)、前記シートの搬送方向長さをy(mm)、前記シート収納部に設定されたシートの限界積載枚数をNとすると、下記式(1)を満たす<2>から<4>いずれか記載のシート収納装置である。
θ≧tan―1(t・N/y)・・・(1)
<6>
前記シート収納部を上昇方向へ付勢する付勢部材をさらに有する<1>記載のシート収納装置であって、
前記シート収納部は、前記シートを一枚積載することによる下降量が、シート一枚の厚みと同じに設けられる<1>から<5>いずれか記載のシート収納装置である。
<7>
前記シート収納部を保持する保持部をさらに有する<1>から<6>いずれか記載のシート収納装置であって、
前記シート収納部が前記保持部に対して着脱可能に設けられるシート収納装置である。
<8>
前記シート収納部は、前記シート搬送方向の下流側に、衝撃吸収部を介して、シート当接面を有するシート当接部が取り付けられ、
前記衝撃吸収部は、前記シート当接部の、前記シート当接面の前記シート先端が当接する部分以外の部分の裏側に当接する<1>から<7>いずれか記載のシート収納装置である。
<9>
前記シート収納部の重力方向下側に、一方側と他方側との厚みが異なり、前記シート収納部のシート積載面を形成するシート積載台が取り付けられる<1>から<8>いずれか記載のシート収納装置である。
<10>
前記シート収納部は、前記シート収納部内の前記シートの幅方向位置を規制する規制部材を有する<1>から<9>いずれか記載のシート収納装置である。
<11>
前記規制部材は、シート搬送方向上流側から下流側へ向けて、前記シートの幅方向位置を狭める傾斜面を有する<10>記載のシート収納装置である。
【符号の説明】
【0049】
1 封筒用排紙台(シート収納装置)
11 支持フレーム
12 昇降部(保持部)
13 収納箱(シート収納部)
13a 側面(シート当接面の他方側に連続する側面)
13b 底面(シート当接面)
13c 下面(シート積載面)
19 スプリング(付勢部材)
20 傾斜治具(シート積載台)
20a 封筒積載面(シート積載面)
21 スペーサ(規制部材)
21a 傾斜面
22 底板(シート当接部)
22a 封筒当接面(シート当接面)
23 緩衝材(衝撃吸収部)
50 封筒(シート)
50a 重ね合わせ部(厚み部)
50b 角部(搬送方向下流側端縁の幅方向の一方の端部)
50c 角部(搬送方向下流側端縁の幅方向の他方の端部)
100 画像形成装置
A 収納箱の昇降方向
B 封筒の搬送方向(シート搬送方向)
Z 重力方向およびその反対方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2006-193265号公報
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図22