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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160833
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/20 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
G01N3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076246
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 紘英
(72)【発明者】
【氏名】小林 真
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA07
2G061AB01
2G061BA04
2G061CA20
2G061CB01
2G061CB17
2G061DA12
2G061EA01
2G061EB05
2G061EC09
(57)【要約】
【課題】異常な状態でチップが破壊されたか否かを判定することができる試験装置を提供すること。
【解決手段】試験装置1は、チップの裏面を支持する一対の支持突起を有した支持ユニットと、チップの表面を押圧する圧子24と、圧子24をチップに対して近接移動させる移動ユニット21と、制御ユニット100とを備える。制御ユニット100は、チップを圧子24が押圧して正常に破壊した際のチップの撓み具合の正常データを記憶する正常データ記憶部102と、圧子24がチップを押圧して破壊した際のチップの撓み具合と、正常データ記憶部102で記憶された正常データとを比較して圧子24がチップを押圧して破壊した際のチップの撓み具合が正常データから外れた場合にチップの破壊が異常であったと判定する異常判定部103とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップの下面を支持する一対の支持部を有した支持台と、該支持台で支持されたチップの上面を押圧する圧子と、該圧子を該支持台で支持されたチップに対して近接移動させる移動ユニットと、少なくとも該移動ユニットを制御するコントローラと、を備えた試験装置であって、
該コントローラは、
該支持台で支持されたチップを該圧子が押圧して正常に破壊した際のチップの撓み具合の正常データを記憶する正常データ記憶部と、
該圧子がチップを押圧して破壊した際のチップの撓み具合と、該正常データ記憶部で記憶された正常データと、を比較して該圧子がチップを押圧して破壊した際のチップの撓み具合が該正常データから外れた場合に該チップの破壊が異常であったと判定する異常判定部と、を備えた試験装置。
【請求項2】
該圧子がチップを押圧する際に該圧子にかかる荷重値を計測する荷重計測器を備え、
該コントローラは、該支持台で支持されたチップを該圧子が押圧して破壊した際の該荷重値を、破壊したチップ毎に記憶する荷重記憶部を有し、
該荷重記憶部は、該異常判定部で異常と判定された該チップの破壊で得られた該荷重値を異常データとして記憶する、請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
該コントローラは、該支持台で支持されたチップを該圧子が押圧して破壊した際の該荷重計測器の値をもとにチップの抗折強度を算出し、破壊したチップ毎に記憶する抗折強度記憶部を有し、
該抗折強度記憶部は、該異常判定部で異常と判定された該チップの破壊で得られた該抗折強度を異常データとして記憶する、請求項2に記載の試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップを圧子で押圧して破壊する試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスウェーハを薄化し分割して形成された半導体デバイスチップの強度を測定する手法として一般的にSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格G36-0303で既定される3点曲げが広く利用されている。そしてこの手法でチップを破壊しチップの抗折強度を算出する試験装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-190449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、チップを破壊した際に生じる微細な破片などの異物が、チップを支持する支持台やチップを破壊する圧子に付着することがある。支持台や圧子に異物が付着した異常な状態でチップを破壊すると、算出された抗折強度値は正確ではない値となる。例えば、正確ではない抗折強度値に基づいて半導体デバイスウェーハの加工条件を選定すると最適な加工条件が選定できず、問題となる。
【0005】
本発明の目的は、異常な状態でチップが破壊されたか否かを判定することができる試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の試験装置は、チップの下面を支持する一対の支持部を有した支持台と、該支持台で支持されたチップの上面を押圧する圧子と、該圧子を該支持台で支持されたチップに対して近接移動させる移動ユニットと、少なくとも該移動ユニットを制御するコントローラと、を備えた試験装置であって、該コントローラは、該支持台で支持されたチップを該圧子が押圧して正常に破壊した際のチップの撓み具合の正常データを記憶する正常データ記憶部と、該圧子がチップを押圧して破壊した際のチップの撓み具合と、該正常データ記憶部で記憶された正常データと、を比較して該圧子がチップを押圧して破壊した際のチップの撓み具合が該正常データから外れた場合に該チップの破壊が異常であったと判定する異常判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
前記試験装置において、該圧子がチップを押圧する際に該圧子にかかる荷重値を計測する荷重計測器を備え、該コントローラは、該支持台で支持されたチップを該圧子が押圧して破壊した際の該荷重値を、破壊したチップ毎に記憶する荷重記憶部を有し、該荷重記憶部は、該異常判定部で異常と判定された該チップの破壊で得られた該荷重値を異常データとして記憶しても良い。
【0008】
前記試験装置において、該コントローラは、該支持台で支持されたチップを該圧子が押圧して破壊した際の該荷重計測器の値をもとにチップの抗折強度を算出し、破壊したチップ毎に記憶する抗折強度記憶部を有し、該抗折強度記憶部は、該異常判定部で異常と判定された該チップの破壊で得られた該抗折強度を異常データとして記憶しても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、異常な状態でチップが破壊されたか否かを判定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る試験装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された試験装置の測定対象のチップを模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図2に示されたチップが製造されるウェーハを模式的に示す斜視図である。
図4図4は、図1に示された試験装置の支持台の一対の支持突起にチップが載置された状態を模式的に示す正面図である。
図5図5は、図4に示されたチップに圧子が当接して押圧した状態を模式的に示す正面図である。
図6図6は、図5に示されたチップが破壊された状態を模式的に示す正面図である。
図7図7は、図4に示された試験装置の支持台の支持突起に異物が接触した状態を模式的に示す正面図である。
図8図8は、図7に示されたチップに圧子が当接して押圧した状態を模式的に示す正面図である。
図9図9は、図8に示されたチップが破壊された状態を模式的に示す正面図である。
図10図10は、図1に示された試験装置の表示ユニットが表示する結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る試験装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る試験装置の構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示された試験装置の測定対象のチップを模式的に示す斜視図である。図3は、図2に示されたチップが製造されるウェーハを模式的に示す斜視図である。
【0013】
実施形態1に係る図1に示す試験装置1は、図2に示されたチップ200を破壊して、チップ200の強度である抗折強度σを測定する装置である。図2に示されたチップ200は、基板201と、基板201の表面202に形成されたデバイス203とを備える、所謂、半導体チップである。図2に示されたチップ200は、図3に示すウェーハ204から個々に分割されて製造される。なお、チップ200とウェーハ204の同一部分には、同一符号を付して説明する。
【0014】
(ウェーハ)
実施形態1では、ウェーハ204は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを基板201とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。ウェーハ204は、基板201の表面202(上面に相当)に格子状に形成された複数の分割予定ライン205によって格子状に区画された領域にデバイス203が形成されている。実施形態1において、ウェーハ204は、外周縁に環状フレーム206が装着された粘着テープ207が表面202の裏側の裏面208(下面に相当)に貼着されて、環状フレーム206に支持されている。また、ウェーハ204は、分割予定ライン205に沿って個々のチップ200に個片化されている。
【0015】
なお、実施形態1では、チップ200は、基板201の表面202にデバイス203が形成されているが、本発明では、表面202にデバイス203が形成されていなくても良い。
【0016】
(試験装置)
次に試験装置1を説明する。図4は、図1に示された試験装置の支持台の一対の支持突起にチップが載置された状態を模式的に示す正面図である。図5は、図4に示されたチップに圧子が当接して押圧した状態を模式的に示す正面図である。図6は、図5に示されたチップが破壊された状態を模式的に示す正面図である。図7は、図4に示された試験装置の支持台の支持突起に異物が接触した状態を模式的に示す正面図である。図8は、図7に示されたチップに圧子が当接して押圧した状態を模式的に示す正面図である。図9は、図8に示されたチップが破壊された状態を模式的に示す正面図である。図10は、図1に示された試験装置の表示ユニットが表示する結果画面の一例を示す図である。
【0017】
試験装置1は、図1に示すように、装置本体2と、図示しないウェーハ保持ユニットと、図示しないピックアップ搬送ユニットと、チップ観察機構と、下部容器3と、支持ユニット10(支持台に相当)と、押圧ユニット20と、破片排出ユニット30と、圧子移動量検出ユニット40と、コントローラである制御ユニット100とを備える。
【0018】
ウェーハ保持ユニットは、装置本体2上に設置され、環状フレーム206を保持して、環状フレーム206に支持されたウェーハ204を保持する。ピックアップ搬送ユニットは、装置本体2上に移動自在に設けられ、ウェーハ保持ユニットに保持されたウェーハ204からチップ200を一つずつピックアップし、ピックアップしたチップ200をチップ観察機構を介して支持ユニット10に搬送する。
【0019】
観察機構は、装置本体2に設置され、ピックアップ搬送ユニットによりピックアップされたチップ200の側面を撮像する側方撮像ユニットと、チップ200の表面202と裏面208とを反転する即ちチップ200を反転する反転機構と、ピックアップ搬送ユニットによりピックアップされたチップ200の下方に位置し、反転機構により反転されるチップ200の裏面208及び表面202を撮像する下方撮像ユニットとを備える。側方撮像ユニットと下方撮像ユニットは、それぞれ、撮像して取得したチップ200の側面、裏面208及び表面202の画像を制御ユニット100に出力する。
【0020】
下部容器3は、装置本体2上に配置され、上側に開口4が形成された箱状に形成されている。
【0021】
支持ユニット10は、チップ200の裏面208を支持するものである。支持ユニット10は、下部容器3内に収容されている。支持ユニット10は、図1図4図5及び図6等に示すように、チップ200の裏面208を支持する一対の長尺支持部材11と、長尺支持部材11それぞれの水平方向と平行なX軸方向における位置と一対の長尺支持部材11間の間隔12とを変更する支持部材移動機構13(図1のみに示す)とを備える。一対の長尺支持部材11は、互いにX軸方向に所定の間隔12を有して配設されている。長尺支持部材11は、図4図5及び図6に示すように、それぞれ、直方体状の支持部本体14と、支持部本体14から凸に設けられて、チップ200の裏面208を支持する支持突起15(支持部に相当)とを有している。即ち、支持ユニット10は、一対の支持突起15を有している。
【0022】
一対の長尺支持部材11の支持部本体14は、互いにX軸方向に間隔をあけて配置され、互いの間に間隔12が設けられている。支持部本体14は、上面が水平方向と平行である。
【0023】
支持突起15は、支持部本体14それぞれの上面の互いに隣接する縁部から上方に向かって突出して形成されている。即ち、支持突起15は、支持ユニット10に一対設けられ、これら一対の支持突起15は、X軸方向に所定の間隔Lを有して配設されている。なお、一対の支持突起15間の間隔Lは、支持突起15の上端151間の間隔である。実施形態1では、支持突起15は、水平方向と平行でかつX軸方向に対して直交するY軸方向に直線状に延びて、支持部本体14の前述した縁部の全長に亘って配置されている。支持突起15の上面のX軸方向の断面形状は、上方に凸の曲面に形成され、Y軸方向の全長に亘って同形状に形成されている。支持突起15は、上端151にチップ200の裏面208が載置されて、チップ200の裏面208側を支持する。
【0024】
支持部材移動機構13は、各長尺支持部材11をX軸方向に移動させるものであって、装置本体2に固定された固定板16に回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを回転するモータと、各長尺支持部材11をX軸方向に移動自在に支持するガイドレールとを備える。
【0025】
押圧ユニット20は、支持ユニット10の一対の支持突起15に裏面208が支持されたチップ200を圧子24で押圧し、チップ200の押圧時に押圧ユニット20にかかる荷重を計測するとともに、支持ユニット10に支持されたチップ200を押圧して破壊するものである。押圧ユニット20は、下部容器3の上方に設けられている。
【0026】
押圧ユニット20は、図1に示すように、移動ユニット21と、移動基台22と、圧子24と、荷重計測器であるロードセル23とを備える。
【0027】
移動ユニット21は、圧子24を、支持ユニット10の一対の支持突起15で裏面208が支持されたチップ200に対して相対的にZ軸方向に近接移動させるものである。なお、Z軸方向は、X軸方向とY軸方向に対して直交する方向である。移動ユニット21は、装置本体2から上方に延びて装置本体2に固定された支持板211と、支持板211に軸心回りに回転自在に支持されたボールねじ212と、ボールねじ212を軸心回りに回転するモータ213と、移動基台22をZ軸方向に移動自在に支持するガイドレール214とを備える。
【0028】
支持板211、ボールねじ212及びガイドレール214の長手方向は、Z軸方向と平行である。ボールねじ212は、移動基台22に設けられたねじ孔に螺合している。ガイドレール214は、支持板211に取り付けられている。移動ユニット21は、モータ213がボールねじ212を軸心回りに回転することで、移動基台22を介して圧子24をZ軸方向に移動する。
【0029】
実施形態1では、移動ユニット21は、図4に示す圧子24の先端である下端241が支持ユニット10で支持されたチップ200に接触しない退避位置から圧子24を支持ユニット10で支持されたチップ200に対してZ軸方向に沿って近接する方向に向かって等速移動させて、圧子24でチップ200を押圧して破壊するユニットでもある。なお、退避位置は、圧子24の下端241が支持ユニット10で支持されたチップ200の上面である表面から所定の間隔をあけた位置である。
【0030】
移動基台22は、直方体状に形成され、下面側に下方に延びた円筒状の第1支持部材221が接続されており、第1支持部材221の下端側にロードセル23が固定されている。ロードセル23は、支持ユニット10の一対の長尺支持部材11の支持突起15で裏面208が支持されたチップ200を圧子24が押圧する際に、圧子24にかかる荷重の値(以下、荷重値と記す)を計測し、計測結果を制御ユニット100に出力する。
【0031】
ロードセル23が計測する荷重値は、押圧ユニット20が退避位置から圧子24を支持ユニット10の支持突起15で裏面208が支持されたチップ200に近接させる際に、圧子24がチップ200に接触するまではゼロ(N)である。
【0032】
ロードセル23が計測する荷重値は、押圧ユニット20が退避位置から圧子24を支持ユニット10の支持突起15で裏面208が支持されたチップ200に近接させる際に、圧子24がチップ200に当接すると、ゼロから増加する。ロードセル23が計測する荷重値は、圧子24がチップ200に接触した位置よりも更に支持ユニット10に近接させると、圧子24の移動に伴なって徐々に増加する。
【0033】
ロードセル23が計測する荷重値は、圧子24が図6に示すように支持ユニット10の一対の支持突起15で裏面208が支持されたチップ200を破壊すると、チップ200の破壊の直前(図5に示す)の最大値(以下、破壊時の荷重値と記す)からゼロ(N)になる。破壊時の荷重値は、チップ200の抗折強度σに対応する。ロードセル23が計測する荷重値は、圧子24の下端241が支持ユニット10で支持されたチップ200に当接した位置からチップ200が破壊されるまで圧子24の移動距離と比例して増加する。なお、圧子24が、チップ200を破壊すると、図6に示すように、破片209(図6に示す)が飛散することがある。
【0034】
ロードセル23の下側には、図1に示すように、円筒状の第2支持部材222を介して挟持部材223が取り付けられている。挟持部材223は、正面視で略門型形状に形成されており、互いに対向する一対の挟持面224間に支持ユニット10の支持突起15で裏面208が支持されたチップ200を押圧する圧子24が固定されている。
【0035】
圧子24は、支持ユニット10の一対の長尺支持部材11間の間隔12より上方でかつ一対の長尺支持部材11の支持突起15の上端151のX軸方向の間隔Lの中央に配置され、支持ユニット10の一対の支持突起15で裏面208が支持されたチップ200を押圧するものである。圧子24は、支持ユニット10の支持突起15と平行に伸張し、下方に向かうにしたがって幅が狭くなる先細りの板状に形成され、下端が下側に凸の曲面に形成されている。なお、本発明では、圧子24の形状は、これに限定されない。圧子24は、下端241がY軸方向と平行に挟持部材223により支持され、下端241が支持ユニット10の一対の支持突起15間の中央の上方に配置される。
【0036】
また、移動基台22の両側面には、板状に形成された一対の接続部材225が取り付けられている。接続部材225は、移動基台22の側面から下方に向かって延び、下端が挟持部材223の下端よりも下方に配置されている。
【0037】
また、押圧ユニット20は、図1に示すように、上部容器25と、エアー供給ユニット26とを備える。上部容器25は、接続部材225の下端に取り付けられ、下方に開口部を有して、支持ユニット10の一対の長尺支持部材11を収容可能な箱状に形成されている。また、上部容器25は、挟持部材223の下方に配置され、圧子24を通すことが可能な圧子挿入孔251が設けられている。
【0038】
上部容器25は、例えば透明な材質(ガラス、プラスチック等)により構成されている。また、上部容器25は、開口4を通して下部容器3内に侵入可能な大きさに形成されている。このために、移動ユニット21によって押圧ユニット20が下方に移動されると、上部容器25は、下部容器3に挿入され、支持ユニット10の上側を覆う。上部容器25は、圧子24がチップ200は破壊する際には、下部容器3内に挿入されて、支持ユニット10の上側を覆って、破片209が外部に飛散することを抑制する。
【0039】
エアー供給ユニット26は、圧子24の下端部にエアーを吹き付けるものである。エアー供給ユニット26は、圧子24に向かってエアーを噴射するノズル261と、ノズル261に開閉弁262を介してエアーを供給するエアー供給源263とを備える。
【0040】
ノズル261は、パイプ状に形成され、上部容器25のノズル挿入口252内に通されて、先端が上部容器25内の圧子24の下端241に対向する。エアー供給ユニット26は、圧子24がチップ200を破壊した後に、ノズル261からエアーを圧子24の下端部に吹き付けて、圧子24の下端241、支持突起15の上面等に付着した破片209等の異物を除去する。
【0041】
破片排出ユニット30は、下部容器3の内部に存在するチップ200の破片209を排出するものである。破片排出ユニット30は、チップ200の破片209を排出するための経路を構成する破片排出路311と、破片排出路311の途中に設けられて破片209を収容する破片収容容器314と、破片排出路311に開閉弁312を介して接続した吸引源313とを備える。
【0042】
破片排出路311は、一端が下部容器3の底部を貫通した破片排出口315に接続し、他端が開閉弁312を介して吸引源313に接続されている。
【0043】
破片排出ユニット30は、開閉弁312が開いて、吸引源313が破片排出路311を吸引することで、破片209を下部容器3外に排出して、破片収容容器314内に収容する。
【0044】
圧子移動量検出ユニット40は、移動ユニット21で支持された圧子24の下端241のZ軸方向の位置を検出するものである。実施形態1では、圧子移動量検出ユニット40は、支持板211に取り付けられかつZ軸方向と平行なリニアスケール41と、移動基台22に取り付けられリニアスケール41のメモリを読み取って圧子24の下端241のZ軸方向の位置を検出する読み取りヘッド42とを備えている。圧子移動量検出ユニット40は、検出結果を制御ユニット100に出力する。なお、本発明では、圧子移動量検出ユニット40は、モータ213の回転子の回転を検出して、圧子24の下端241のZ軸方向の位置を検出する所謂エンコーダでも良い。
【0045】
また、試験装置1は、図1に示すように、撮像カメラ50と光源51とを備えている。撮像カメラ50は、下部容器3とY軸方向に沿って対向して、下部容器3内を撮像する。光源51は、Y軸方向に沿って撮像カメラ50との間に下部容器3を位置付けて、撮像カメラ50即ち下部容器3に向かって光を照射する。撮像カメラ50は、チップ200が破壊される際の支持ユニット210によって支持されたチップ200、圧子24の下端241等を撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0046】
制御ユニット100は、試験装置1の上述した各ユニットをそれぞれ制御して、各チップ200を破壊し、チップ200の抗折強度σを測定する測定動作を試験装置1に実施させるものである。即ち、制御ユニット100は、少なくとも移動ユニット21を制御する。
【0047】
制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、試験装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して試験装置1の上述した各ユニットに出力する。
【0048】
また、制御ユニット100は、試験動作の状態や画像などを表示する表示画面を有する表示ユニット110と、制御ユニット100に接続されかつオペレータが試験装置1の制御ユニット100に測定条件などを入力する際に用いる入力手段であるタッチパネル120と、報知ユニット130とが接続されている。即ち、試験装置1は、表示ユニット110と、タッチパネル120と、報知ユニット130とを備える。
【0049】
表示ユニット110は、液晶表示装置などにより構成される。タッチパネル120は、表示ユニット110の表示画面111に重ねられる。報知ユニット130は、光を発ししてオペレータに報知する図示しない回転灯と、オペレータに音を発して報知するスピーカ131とを備える。また、報知ユニット130は、表示ユニット110の表示画面111にオペレータに報知する画像を表示する。
【0050】
また、制御ユニット100は、図1に示すように、動作制御部101を備える。動作制御部101は、試験装置1の上述した各ユニットをそれぞれ制御して、各チップ200を破壊し、抗折強度σを測定する測定動作を試験装置1に実施させるものである。具体的には、制御ユニット100の動作制御部101は、オペレータ等がタッチパネル120を操作するなどして入力した測定条件などを受け付けて記憶する。なお、測定条件は、退避位置、退避位置からの圧子24のチップ200に近接する方向の移動速度、チップ200の厚みh、チップ200のY軸方向の幅b、一対の支持突起15のX軸方向の上端151間の間隔L等が含まれる。試験装置1は、制御ユニット100がオペレータの測定動作の開始指示を受け付けると、試験動作を開始する。
【0051】
測定動作を開始すると、制御ユニット100の動作制御部101が、開閉弁262,312を閉じ、移動ユニット21を制御して、圧子24を退避位置に位置付け、支持部材移動機構13を制御して一対の長尺支持部材11のX軸方向における位置を調整するとともに、長尺支持部材11間の間隔12を試験条件の一対の支持突起15の上端151間の間隔Lを満たす間隔にする。測定動作では、制御ユニット100の動作制御部101は、ピックアップ搬送ユニットを制御してウェーハ保持ユニットに保持されたウェーハ204から所望のチップ200をピックアップさせ、観察機構まで搬送させる。
【0052】
測定動作では、制御ユニット100の動作制御部101は、観察機構の側方撮像ユニットにピックアップされたチップ200の側面を撮像させ、下方撮像ユニット及び反転機構を制御してピックアップされたチップ200の裏面208及び表面202を撮像させて、これらの画像を取得する。測定動作では、制御ユニット100の動作制御部101は、ピックアップ搬送ユニットを制御して、移動ユニット21により圧子24が退避位置に位置した状態でピックアップされたチップ200の裏面208を支持ユニット10の一対の支持突起15上に載置させる。
【0053】
測定動作では、制御ユニット100の動作制御部101は、移動ユニット21を制御して、圧子24を図4に示す退避位置から支持ユニット10の一対の支持突起15で裏面208が支持されたチップ200に近接する方向の移動を開始する。すると、上部容器25等が圧子24とともにチップ200に近接移動を開始し、下部容器3内に侵入し、上部容器25が一対の長尺支持部材11の上側を覆う。
【0054】
測定動作では、圧子24のチップ200に近接する方向の移動を開始した後、制御ユニット100の動作制御部101が、ロードセル23で荷重が検出することで、圧子24のチップ200への当接を検知する。測定動作では、制御ユニット100の動作制御部101が、圧子24がチップ200に当接した後も更に圧子24等を移動ユニット21で近接する方向に移動させてチップ200を圧子24により押圧して、図5に示すように、一対の支持突起15上に支持したチップ200を湾曲させる。
【0055】
測定動作では、圧子24の移動とともに、ロードセル23が計測する荷重値が上昇する。試験動作では、制御ユニット100の動作制御部101が、圧子24等を更に近接する方向に移動させて、チップ200を圧子24により更に押圧し、チップ200を撓ませ、図6に示すように、チップ200を破壊する。チップ200が破壊されると、ロードセル23が計測する荷重値が上昇から下降に転じる。
【0056】
チップ200が破壊されると、制御ユニット100の動作制御部101が、支持ユニット10で支持されたチップ200を圧子24が押圧して破壊した際のロードセル23の破壊時の荷重値をもとに、チップ200の抗折強度σを算出する。動作制御部101は、一対の支持突起15の上端151間のX軸方向の間隔をL(mm)とし、チップ200の破壊時の荷重値をW(N)とし、チップ200のY軸方向の幅をbとし、チップ200の厚みをh(mm)とすると、以下の式1を用いて抗折強度σを算出する。
【0057】
【数1】
【0058】
こうして、試験装置1は、チップ200の一対の支持突起15及び圧子24を用いた3点曲げ試験を行い、この3点曲げ試験により、チップ200の抗折強度σを算出する。
【0059】
なお、圧子24によってチップ200を押圧すると、圧子24にチップ200の破片209等の異物が付着することがある。この破片209等の異物は試験の精度に影響を与えることがあるため、除去されることが好ましい。実施形態1では、制御ユニット100の動作制御部101は、試験動作の終了後、開閉弁262を開いて、エアー供給ユニット26によって圧子24にエアーを吹き付け、圧子24に付着した異物を除去する。なお、本発明では、エアー供給ユニット26を用いて圧子24等から異物を除去するタイミングに制限はない。例えば、異物の除去は、一のチップ200の試験が完了した後、次のチップ200の試験が行われるまでの間に、必要に応じて実施される。
【0060】
チップ200の試験やエアー供給ユニット26による異物の除去を繰り返すと、下部容器3の内部にはチップ200の破片209等の異物が蓄積される。そこで、実施形態1では、動作制御部101は、破片排出ユニット30を用いて下部容器3の内部に蓄積された破片209等の異物を回収する。動作制御部101は、破片排出ユニット30を用いると、下部容器3の開口4の内部を手作業で清掃することなく、破片209を素早く除去できる。
【0061】
制御ユニット100の動作制御部101は、チップ200をウェーハ204から順にピックアップし、画像の取得、破壊、抗折強度σの測定を順に実施する。制御ユニット100は、全てのチップ200の画像の取得、破壊、抗折強度σの測定を実施すると、測定動作を終了する。
【0062】
また、動作制御部101は、支持ユニット10で支持されたチップ200を圧子24が押圧して破壊した際のチップ200の撓み具合を算出するものでもある。動作制御部101は、試験条件の支持突起15の上端151間のX軸方向の間隔L、チップ200の厚みh及びチップ200が破壊される直前の圧子移動量検出ユニット40の検出結果である圧子24の下端241のZ軸方向の位置などから撓み具合であるチップ200の破壊される直前のチップ200の曲率を算出する。
【0063】
また、動作制御部101は、観察機構の下方撮像ユニットが撮像して得たチップ200の裏面208の画像から裏面208側のチップ200の外縁に生じたチッピング(欠け)を検出するとともに各チッピングの位置と大きさを算出するとともに、下方撮像ユニットが撮像して得たチップ200の表面202の画像から表面202側のチップ200の外縁に生じたチッピング(欠け)を検出するとともに各チッピングの位置と大きさを算出する。また、動作制御部101は、観察機構の下方撮像ユニットが撮像して得たチップ200の裏面208の画像からチップ200の裏面208の面粗さ(実施形態1では、算術平均粗さRa及び最大高さRy)を算出する。
【0064】
また、制御ユニット100は、図1に示すように、正常データ記憶部102と、異常判定部103と、荷重記憶部104と、抗折強度記憶部105と、データ記憶部106とを備えている。
【0065】
正常データ記憶部102は、支持ユニット10で支持されたチップ200を圧子24が押圧して正常に破壊した際のチップ200の撓み具合である曲率の正常データを記憶するものである。正常データ記憶部102は、図4図5及び図6に示すように、チップ200、支持突起15に破片209等の異物が付着していない状態で、支持ユニット10で支持されたチップ200を圧子24が押圧して破壊した際に、動作制御部101が算出した破壊される直前のチップ200(図5に示す)の撓み具合である曲率(以下、正常時曲率と記す)を、正常に破壊した際のチップ200の撓み具合である曲率の正常データとして記憶する。
【0066】
異常判定部103は、圧子24がチップ200を押圧して破壊した際のチップ200の撓み具合である曲率と、正常データ記憶部102で記憶された正常データである正常時曲率と、を比較して、圧子24がチップ200を押圧して破壊した際のチップ200の撓み具合である曲率が正常データである正常時曲率から外れた場合に、チップ200の破壊が異常であったと判定するものである。異常判定部103は、圧子24がチップ200を押圧して破壊した際に、動作制御部101が算出した曲率が、正常時曲率よりも所定値小さい下限値以上でかつ正常時曲率よりも所定値大きな上限値以下であるか否かを判定する。なお、下限値は、チップ200を正常に破壊した際の曲率よりも小さい値であり、上限値は、チップ200を正常に破壊した際の曲率よりも大きな値である。
【0067】
異常判定部103は、圧子24がチップ200を押圧して破壊した際に、動作制御部101が算出した曲率が、前述した下限値以上でかつ前述した上限値以下であると判定すると、チップ200の撓み具合である曲率が正常データである正常時曲率から外れていないと判定し、チップ200の破壊が異常ではないと判定する。異常判定部103は、圧子24がチップ200を押圧して破壊した際に、動作制御部101が算出した曲率が、前述した下限値未満、又は前述した上限値を超えると判定すると、チップ200の撓み具合である曲率が正常データである正常時曲率から外れたと判定し、チップ200の破壊が異常であると判定する。
【0068】
なお、チップ200の破壊が異常であるとは、例えば、図7に示すように、支持突起15の上端151とチップ200との一方に破片209等の異物が付着した状態で、圧子24が図8に示すように下降して、図9に示すようにチップ200が破壊されたことを示している。なお、図7図8及び図9では、チップ200の破壊が異常である場合として、支持突起15の上端151とチップ200とのうちの一方に破片209等の異物が付着して、支持突起15の上端151とチップ200との間に破片209等の異物が挟まった状態でチップ200が破壊された場合を示しているが、本発明では、この場合に限定されることなく、例えば、圧子24の下端241とチップ200とのうちの一方に破片209等の異物が付着して、圧子24の下端241とチップ200との間に破片209等の異物が挟まった状態でチップ200が破壊された場合も、チップ200の破壊が異常である場合に含まれる。
【0069】
荷重記憶部104は、支持ユニット10で支持されたチップ200を圧子24が押圧して破壊した際のロードセル23が計測した破壊時の荷重値を、破壊したチップ200毎に記憶するものである。荷重記憶部104は、各チップ200の破壊時の荷重値を、ウェーハ204における各チップ200の位置と1対1で対応付けて記憶する。なお、実施形態1では、ウェーハ204におけるチップ200の位置は、所定位置(基準位置ともいう)のチップ200を一つ目として、基準位置からのウェーハ204のX軸方向及びY軸方向にいくつ目のチップ200であるかで示している。
【0070】
また、荷重記憶部104は、異常判定部103で破壊が異常であったと判定されたチップ200の破壊で得らえた破壊時の荷重値を、異常データとして記憶する。即ち、荷重記憶部104は、異常判定部103で破壊が異常であったと判定されたチップ200の破壊時の荷重値を、異常データとして記憶する。
【0071】
抗折強度記憶部105は、支持ユニット10で支持されたチップ200を圧子24が押圧して破壊した際のロードセル23が計測した破壊時の荷重値等をもとに、動作制御部101が算出したチップ200の抗折強度σを、破壊したチップ200毎に記憶するものである。抗折強度記憶部105は、動作制御部101が算出した各チップ200の抗折強度σを、ウェーハ204における各チップ200の位置と1対1で対応付けて記憶する。
【0072】
また、抗折強度記憶部105は、異常判定部103で破壊が異常と判定されたチップ200の破壊で得らえた抗折強度を、異常データとして記憶する。即ち、抗折強度記憶部105は、異常判定部103で破壊が異常であったと判定されたチップ200の抗折強度を、異常データとして記憶する。
【0073】
データ記憶部106は、動作制御部101が算出したチップ200の裏面208側のチッピングの数、各チッピングの位置、各チッピングの大きさと、ウェーハ204における各チップ200の位置と1対1で対応付けて記憶する。データ記憶部106は、動作制御部101が算出したチップ200の表面202側のチッピングの数、各チッピングの位置、各チッピングの大きさと、ウェーハ204における各チップ200の位置と1対1で対応付けて記憶する。データ記憶部106は、動作制御部101が算出したチップ200の裏面208の粗さと、ウェーハ204における各チップ200の位置と1対1で対応付けて記憶する。
【0074】
また、制御ユニット100は、図1に示すように、表示データ設定部107を備える。表示データ設定部107は、タッチパネル120などから受け付けたオペレータの操作に基づいて表示ユニット110を制御して、観察機構及びロードセル23等の計測結果を示す図10に示す結果画面600を生成するものである。なお、生成された結果画面600は、タッチパネル120などから受け付けたオペレータの操作に基づいて動作制御部101が表示ユニット110を制御して、表示画面111に表示される。
【0075】
結果画面600は、ウェーハ204のチップ200の計測結果を示すものである。結果画面600は、図10に示すように、全体像表示領域601と、選択チップ計測結果表示領域610と、切り替え部である切り替え領域650とを備える。
【0076】
全体像表示領域601は、表示画面111の中央に設定され、チップ200毎に細分化されたウェーハ204の表面202の全体像602を表示するものである。実施形態1では、全体像表示領域601は、各チップ200がピックアップされる前のウェーハ204の表面202の全体像602を中央に配置し、各チップ200のX軸方向の位置を示すX軸方向座標603と、各チップ200のY軸方向の位置を示すY軸方向座標604とを全体像602の外側に配置している。なお、X軸方向座標603とY軸方向座標604とで示される各チップ200の位置は、荷重記憶部104が各チップ200の破壊時の荷重値と1対1で対応付けて記憶するチップ200の位置、抗折強度記憶部105が各チップ200の抗折強度と1対1で対応付けて記憶するチップ200の位置、及びデータ記憶部106がチッピングに関する情報及び裏面208の粗さと対応付けて記憶するチップ200の位置である。
【0077】
選択チップ計測結果表示領域610は、全体像表示領域601に表示されたウェーハ204の全体像602の複数のチップ200のうちオペレータにより選択されたチップ200の計測結果を表示する領域である。実施形態1では、選択チップ計測結果表示領域610は、図10に示すように、選択されたチップ200の位置、抗折強度、裏面208の粗さ(算術平均粗さRa及び最大高さRy)、チップ200の撓み具合である曲率及びチッピングの状態を示す第1結果表示領域611と、選択されたチップ200のロードセル23の計測結果を表示する第2結果表示領域621と、選択されたチップ200の側面の画像509を表示する第3結果表示領域631と、選択されたチップ200の裏面208の画像510を表示する第4結果表示領域641とを備える。
【0078】
実施形態1では、第1結果表示領域611は、全体像表示領域601の左側に設定されている。第1結果表示領域611に表示されるチッピングの状態は、例えば、第1の大きさである0μmを超え10μm以下のチッピングの個数を示す第1チッピング表示領域612と、第1の大きさよりも大きな第2の大きさである10μmを超え20μm以下のチッピングの個数を示す第2チッピング表示領域613とに分けられて表示される。なお、本発明では、チッピング表示領域612,613は、3つ以上設けられても良い。各チッピング表示領域612,613では、表面202側のX軸方向と平行な一方の外縁に形成されたチッピングの個数を図10中の「X1」で示す領域に表示し、表面202側のX軸方向と平行な他方の外縁に形成されたチッピングの個数を図10中の「X2」で示す領域に表示し、表面202側のY軸方向と平行な一方の外縁に形成されたチッピングの個数を図10中の「Y1」で示す領域に表示し、表面202側のY軸方向と平行な他方の外縁に形成されたチッピングの個数を図10中の「Y2」で示す領域に表示する。実施形態1では、各チッピング表示領域612,613に表面202側のチッピングの個数を示すが、本発明では、選択チップ計測結果表示領域610は、裏面208側のチッピングの個数を示しても良い。
【0079】
実施形態1では、第2結果表示領域621は、第1結果表示領域611の下方に設定され、第3結果表示領域631は、全体像表示領域601の下方に設定され、第4結果表示領域641は、第3結果表示領域631の右側に設定されている。第2結果表示領域621は、横軸を計測開始からの経過時間とし、ロードセル23の計測した荷重を縦軸として、ロードセル23の計測結果を表示する。なお、実施形態1において、第4結果表示領域641に表示される裏面208の画像510は、凹凸の範囲毎に異なる色で表示し、図10には、凹凸が小さくなるにしたがって密な網掛けで示し、凹凸が大きくなるにしたがって粗な網掛けで示している。
【0080】
切り替え領域650は、全体像表示領域601のウェーハ204の全体像602の各チップ200上に表示する計測結果の項目を切替えるものであって、実施形態1では、全体像表示領域601の右側に設定されている。実施形態1では、切り替え領域650は、全体像表示領域601の各チップ200上に各チップ200の項目の一例である抗折強度を表示するための抗折強度表示領域651と、全体像表示領域601の各チップ200上に各チップ200の項目の一例である面粗さを表示するための面粗さ表示領域652と、全体像表示領域601の各チップ200上に各チップ200の項目の一例であるチッピングの状態を表示するためのチッピング表示領域653と、全体像表示領域601の各チップ200上に各チップ200の項目の一例である寸法を表示するためのサイズ表示領域654と、表示領域651,652,653,654のいずれかが選択された時の各チップ200上の計測結果の範囲を示す範囲表示領域655とを備えている。
【0081】
抗折強度表示領域651は、全体像表示領域601の各チップ200上に各チップ200の抗折強度を表示する際に操作される領域である。面粗さ表示領域652は、全体像表示領域601の各チップ200上に各チップ200の面粗さを表示する際に操作される領域である。チッピング表示領域653は、全体像表示領域601の各チップ200上に各チップ200のチッピングの状態を表示する際に操作される領域である。実施形態1では、チッピング表示領域653が操作されると全体像表示領域601の各チップ200上に各チップ200のチッピングの状態である各チップ200のチッピングの合計個数を示す。サイズ表示領域654は、全体像表示領域601の各チップ200上に各チップ200の寸法を表示するための領域である。実施形態1では、サイズ表示領域654が操作されると、全体像表示領域601の各チップ200上に各チップ200の正規の寸法からの誤差の総計(X軸方向の誤差とY軸方向の誤差との和)を示す。こうして、タッチパネル120の切り替え領域650は、表示ユニット110で表示される計測結果の項目を切り替えるものである。
【0082】
範囲表示領域655は、計測結果のレベルである範囲656を複数設定している。例えば、図10に示す例では、抗折強度の範囲656を示し、800Mpa以上でかつ900Mpa未満の範囲656と、700Mpa以上でかつ800Mpa未満の範囲656と、600Mpa以上でかつ700Mpa未満の範囲656と、500Mpa以上でかつ600Mpa未満の範囲656と、400Mpa以上でかつ500Mpa未満の範囲656とが設定され、各範囲656と互いに異なる色657とを1対1で対応付けている。
【0083】
全体像表示領域601は、各チップ200の色を、範囲表示領域655において各チップ200の計測結果が含まれる範囲656と対応付けられた色657で表示する。このように、チップ観察機構及びロードセル23の計測結果は、レベルである範囲656に応じて異なる色657が設定され、結果画面600は、チップ200がピックアップされる前のウェーハ204の全体像602上の位置のチップ200を計測結果の範囲656に応じて設定された色657で表示する。こうして、結果画面600は、チップ200がピックアップされる前のウェーハ204の全体像602上の位置にチップ観察機構及びロードセル23で計測された計測結果を表示する。
【0084】
なお、図10は、各範囲656が対応付けられた色657及びチップ200の色を、計測結果が悪いもの程、粗な網掛けで示している。即ち、図10は、例えば、抗折強度が低いチップ200程、粗な網掛けで示し、抗折強度が高いチップ200程、密な網掛けで示している。また、図10では、結果画面600は、ウェーハ204の各チップ200の計測中にも表示することができ、未測定のチップ200を白地で示し、存在しなかったチップ200及びピックアップできなかったチップ200を黒地で示している。
【0085】
また、全体像表示領域601は、各チップ200のうち荷重記憶部104と抗折強度記憶部105との少なくとも一方の異常データとして破壊時の荷重値又は抗折強度σが記憶されたチップ200上に、異常データであることを示す印605(実施形態1では、バツ印)を表示する。
【0086】
なお、動作制御部101、異常判定部103及び表示データ設定部107の機能は、制御ユニット100の演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施することにより実現される。正常データ記憶部102、荷重記憶部104、抗折強度記憶部105及びデータ記憶部106の機能は、制御ユニット100の記憶装置により実現される。
【0087】
以上説明した実施形態1に係る試験装置1は、正常に破壊した際にチップ200の曲率の正常データを記憶する正常データ記憶部102と、圧子24がチップ200を押圧して破壊した際のチップ200の曲率と正常データである正常時曲率とを比較して、チップ200の破壊が異常か否かを判定する異常判定部103と、を備えた制御ユニット100を備える。
【0088】
その結果、実施形態1に係る試験装置1は、チップ200の破壊が異常か否かを判定できるので、異常な状態でチップ200が破壊されたか否かを判定することができるという効果を奏する。
【0089】
また、実施形態1に係る試験装置1は、異常な状態でチップ200が破壊されたか否かを判定することができるので、正常な状態で破壊されたチップ200の抗折強度σのみを用いることで、チップ200の抗折強度σを正確に把握することができる。
【0090】
なお、本発明は、上記実施形態等に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明では、撓み具合として、チップ200の曲率の代わりに、圧子24の下端241のZ軸方向の位置を用いても良い。また、本発明では、動作制御部101が、チップ200が破壊される直前に撮像カメラ50が撮像したチップ200の画像に基づいてチップ200の曲率を算出しても良い。
【符号の説明】
【0091】
1 試験装置
10 支持ユニット(支持台)
15 支持突起(支持部)
21 移動ユニット
23 ロードセル(荷重計測器)
24 圧子
100 制御ユニット(コントローラ)
102 正常データ記憶部
103 異常判定部
104 荷重記憶部
105 抗折強度記憶部
200 チップ
202 表面(上面)
208 裏面(下面)
σ 抗折強度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10