(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161046
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】周期的堆積プロセスによって基材の誘電体表面上にモリブデン金属膜を堆積させる方法および関連する半導体デバイス構造
(51)【国際特許分類】
C23C 16/08 20060101AFI20241108BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C23C16/08
H01L21/285 C
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024140796
(22)【出願日】2024-08-22
(62)【分割の表示】P 2019149005の分割
【原出願日】2019-08-15
(31)【優先権主張番号】16/105,802
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブーシャン・ゾープ
(72)【発明者】
【氏名】シャンカール・スワミナサン
(72)【発明者】
【氏名】キラン・シュレスタ
(72)【発明者】
【氏名】チユ・チュー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリ・トゥオマス・アンテオ・ユッシラ
(72)【発明者】
【氏名】チー・シエ
(57)【要約】
【課題】共形の周期的堆積プロセスによって誘電体材料上に低電気抵抗性金属膜を堆積し、利用するための方法および関連するデバイス構造の提供。
【解決手段】周期的堆積プロセスによって基材の誘電体表面上にモリブデン金属膜を堆積する方法が開示される。方法は、誘電体表面を備える基材を反応チャンバ内に供給することと、誘電体表面上に核形成膜を直接堆積させることと、核形成膜上にモリブデン金属膜を直接堆積させることと、を含むことができ、モリブデン金属膜を堆積させることは、基材をモリブデンハライド前駆体を含む第一の気相反応物質と接触させることと、基材を還元剤前駆体を含む第二の気相反応物質と接触させることと、を含む。中間核形成膜を有する誘電体材料の表面上に配置されるモリブデン金属膜を備える半導体デバイス構造も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的堆積プロセスによって基材の誘電体表面上にモリブデン金属膜を堆積させる方法であって、
誘電体表面を備える基材を反応チャンバ内に供給することと、
シリコン化合物材料を含む核形成膜を前記誘電体表面上に直接堆積させることと、
モリブデン金属膜を前記核形成膜上に直接堆積させることと、を含み、
前記核形成膜を堆積させることは、周期的堆積プロセスの単位サイクルを繰り返して10オングストローム未満の厚さを有する核形成膜を形成することを含み、前記単位サイクルの少なくとも一つは、
前記基材をシリコン前駆体を含む第一の気相反応物質と接触させることと、
前記基材を窒素前駆体、酸素前駆体、または炭素前駆体のうちの少なくとも一つを含む第二の気相反応物質と接触させることであって、前記窒素前駆体は、アンモニア、ヒドラジン、トリアザン、tert-ブチルヒドラジン、メチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、または窒素プラズマのうちの少なくとも一つを含み、前記酸素前駆体は、水、過酸化水素、オゾン、または、一酸化窒素、亜酸化窒素、または二酸化窒素のうちの少なくとも一つを含む窒素酸化物、のうちの少なくとも一つを含み、前記炭素前駆体は、炭化水素を含む、ことと、を含み、
前記モリブデン金属膜を堆積させることは、
前記基材をモリブデンハライド前駆体を含む第一の気相反応物質と接触させることと、
前記基材を還元剤前駆体を含む第二の気相反応物質と接触させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記シリコン化合物材料は、シリコン二成分化合物材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコン二成分化合物材料は、窒化ケイ素、炭化ケイ素、または酸化ケイ素のうちの少なくとも一つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記モリブデン金属膜は、前記モリブデン金属膜の総厚さの5パーセント未満のr.m.s.表面粗さ(Ra)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記モリブデン金属膜を堆積させることは、前記基材を600℃未満の基材温度に加熱することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モリブデン金属膜を堆積させることは、前記基材を400℃~700℃の基材温度に加熱することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記モリブデンハライド前駆体は、モリブデンカルコゲナイドハライドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記モリブデンカルコゲナイドハライドは、オキシ塩化モリブデン、オキシヨウ化モリブデン、またはオキシ臭化モリブデンを含む群から選択される、モリブデンオキシハライドを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記オキシ塩化モリブデンは、モリブデン(IV)ジクロリドジオキシド(MoO2Cl2)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記モリブデン金属膜は結晶質膜である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記誘電体表面はギャップ形体を含み、前記モリブデン金属膜はシームを形成することなく前記ギャップ形体を充填する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記モリブデンハライド前駆体は、モリブデンカルコゲナイドハライドおよびモリブデンオキシハライドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記核形成膜は不連続膜である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
モリブデン金属膜を堆積させることは、周期的堆積プロセスの単位サイクルを繰り返して50オングストローム~200オングストロームの厚さを有するモリブデン金属膜を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記基材を供給することは、設計された基材を供給することを含み、前記誘電体表面は、その間に配置された介在する埋め込み酸化(BOX)層によってバルク支持体上に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記核形成膜の厚さは5オングストローム未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記核形成膜の厚さは3オングストローム未満である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、以下の優先権を主張する:「Layer Forming Method」と題され、2017年8月30日に出願された、米国非仮特許出願第15/691,241号、「Layer Forming Method」と題され、2017年12月18日に出願された、米国仮特許出願第62/607,070号;「Deposition Method」と題され、2018年1月19日に出願された、米国仮特許出願第62/619,579号。
【0002】
本開示は、概ねモリブデン金属膜を基材の誘電体表面上に堆積させる方法、および核形成膜を誘電体表面上に直接堆積させ、モリブデン金属膜を核形成膜上に直接堆積させる特定の方法に関する。本開示はまた、概ね誘電材料の表面上に直接配置された核形成膜上に直接配置されたモリブデン金属膜を備える半導体デバイス構造に関する。
【背景技術】
【0003】
先端技術ノードにおける半導体デバイス製造プロセスは一般に、例えば、タングステン金属膜および銅金属膜などの金属膜を形成するための最先端の堆積法を必要とする。
【0004】
金属膜の堆積に対する共通要件は、堆積プロセスが極めて共形であることである。例えば、高アスペクト比特徴を含む三次元構造上に金属膜を均一に堆積するために、共形堆積が必要とされることが多い。金属膜の堆積に対する別の共通の要件は、堆積プロセスが、大きな基材領域の上に連続する超薄膜を堆積することができることである。金属膜が導電性である特定の場合において、堆積プロセスは、低電気抵抗性膜を生成するように最適化される必要があり得る。
【0005】
先端的半導体デバイス用途で一般的に利用される低電気抵抗性金属膜は、タングステン(W)および/または銅(Cu)を含み得る。しかしながら、タングステン金属膜および銅金属膜は一般に、金属膜と誘電材料との間に配置された厚いバリア層を必要とする。厚いバリア層は、下にある誘電材料への金属種の拡散を防止するために利用されてもよく、それによって装置の信頼性および装置の歩留まりが改善される。しかしながら、厚いバリア層は一般に高い電気抵抗率を示し、そのため半導体デバイス構造の全体的な電気抵抗率の増加をもたらす。
【0006】
例えば、原子層堆積(ALD)および周期的化学蒸着(CCVD)などの周期的堆積プロセスは、一つ以上の前駆体(反応物質)を反応チャンバに逐次的に導入し、そこで前駆体は逐次的に一度に一つずつ基材の表面と反応する。原子レベルの厚さ制御による優れた共形性を有する金属膜を生成する周期的堆積プロセスが実証されてきた。
【0007】
したがって、共形の周期的堆積プロセスによって誘電体材料上に堆積させた低電気抵抗性金属膜を堆積し、利用するための方法および関連するデバイス構造が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の概要は、概念の選択を簡略化した形で紹介するように提供する。これらの概念について、以下の本開示の発明を実施するための形態において、さらに詳細に記載する。本発明の概要は、請求項に記載する主題の重要な特徴も、本質的な特徴も特定することを意図しておらず、請求項に記載する主題の範囲を限定するように使用されることも意図していない。
【0009】
いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスにより基材の誘電体表面上にモリブデン金属膜を堆積させる方法が提供される。方法は、誘電体表面を備える基材を反応チャンバ内に供給することと、誘電体表面上に核形成膜を直接堆積させることと、および核形成層上にモリブデン金属膜を直接堆積させることと、を含むことができ、モリブデン金属膜を堆積させることは、基材をモリブデンハライド前駆体を含む第一の気相反応物質と接触させることと、基材を還元剤前駆体を含む第二の気相反応物質と接触させることと、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、半導体デバイス構造が提供される。半導体デバイス構造は、誘電体表面を備える基材と、誘電体表面上に直接配置される核形成膜と、核形成膜上に直接配置されるモリブデン金属膜と、を備えることができる。
【0011】
従来の技術を超えて達成される本発明および利点を要約するために、本発明のある目的および利点について、本明細書において上に記載してきた。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点の全てが本発明の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それゆえ、例えば、本明細書に教授または示唆する通り、一つの利点または利点の一群を達成または最適化する形式で、本明細書に教授または示唆されてもよい、他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本発明が具体化または実行されてもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0012】
これらの実施形態の全ては、本明細書に開示する本発明の範囲内であることが意図されている。当業者には、これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のいくつかの実施形態の発明を実施するための形態から容易に明らかとなり、本発明は、開示される全ての特定の実施形態にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書は、本発明の実施形態と見なされるものを特に指摘し、明確に主張して、特許請求の範囲で結論付けるものの、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと、本開示の実施形態のある例についての記載から、より容易に解明されてもよい。
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、誘電体表面上に核形成膜を直接堆積させ、続いて核形成膜上にモリブデン金属膜を直接堆積させる方法を説明する非限定的な例示的プロセスフローである。
【0015】
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による、誘電体表面上に核形成膜を直接堆積させる周期的堆積プロセスを説明する非限定的な例示的プロセスフローである。
【0016】
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による、核形成膜上にモリブデン金属膜を直接堆積させる周期的堆積プロセスを説明する非限定的な例示的プロセスフローである。
【0017】
【
図4】
図4A、4Bおよび4Cは、本開示の実施形態による、垂直ギャップ形体を備える誘電体表面上に核形成膜を直接堆積させ、続いて核形成膜上にモリブデン金属膜を直接堆積させるプロセスの間に形成される半導体デバイス構造の断面概略図である。
【0018】
【
図5】
図5A、5Bおよび5Cは、本開示の実施形態による、水平ギャップ形体を備える誘電体表面上に核形成膜を直接堆積させ、続いて核形成膜上にモリブデン金属膜を直接堆積させるプロセスの間に形成される半導体デバイス構造の断面概略図である。
【0019】
【
図6】
図6は、本開示の実施形態による、誘電体表面上に直接堆積させたモリブデン金属膜と、中間核形成膜を利用して誘電体表面上に堆積させたモリブデン金属膜のr.m.s.表面粗さ(R
a)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
いくつかの実施形態および実施例を以下に開示するが、本発明が、具体的に開示する本発明の実施形態および/または用途、並びにその明白な変更および均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それゆえ、開示する本発明の範囲は、以下に記載し具体的に開示する実施形態によって限定されるべきでないことが意図される。
【0021】
本明細書に示される図は、何らかの特定の材料、構造またはデバイスの実際の図であることを意味せず、本開示の実施形態について記載するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0022】
本明細書で使用する通り、「基材」という用語は、使用される場合がある、またはその上にデバイス、回路もしくはフィルムが形成される場合がある、あらゆる下層材料または複数の下層材料を指してもよい。
【0023】
本明細書で使用される「周期的堆積」という用語は、基材上に膜を堆積させるために反応チャンバに一つ以上の前駆体(反応物質)を連続的に導入することを指し、原子層堆積および周期的化学蒸着などの堆積技術を含む。
【0024】
本明細書で使用される「周期的化学蒸着」という用語は、基材を一つ以上の揮発性前駆体に逐次曝し、その前駆体が基材上で反応および/または分解して所望の堆積物を生成する、任意のプロセスを指すことができる。
【0025】
本明細書で使用される「原子層堆積」(ALD)という用語は、堆積サイクル、好ましくは複数の連続堆積サイクルが反応チャンバ内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。典型的には、各サイクルの間、前駆体は、堆積表面(例えば、基材の表面又は以前に堆積させた下地の表面、例えば、以前のALDサイクルを用いて堆積させた材料等)に化学吸着し、追加の前駆体と容易に反応しない単分子層又はサブ単分子層を形成する(即ち、自己制御反応)。その後、必要に応じて、化学吸着した前駆体を堆積表面上で所望の材料に変換するのに使用するために、反応物質(例えば、別の前駆体又は反応ガス)をその後プロセスチャンバ内に導入することができる。典型的には、この反応物質は前駆体と更に反応することができる。更に、各サイクル中にパージ工程を利用して、化学吸着した前駆体の変換後に、過剰な前駆体をプロセスチャンバから除去する、並びに/又は過剰の反応物質及び/若しくは反応副生成物をプロセスチャンバから除去することができる。更に、本明細書で使用される「原子層堆積」という用語は、関連する用語、例えば、「化学蒸着原子層堆積」、「原子層エピタキシー」(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス源MBE、または有機金属MBE、並びに前駆体組成物、反応性ガス、およびパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスで実施される場合の化学ビームエピタキシー等、により示されるプロセスを含むことも意味する。
【0026】
本明細書で使用する場合、「膜」および「薄膜」という用語は、本明細書に開示された方法により形成された任意の連続的または非連続的な構造および材料を意味することを意図する。「膜」および「薄膜」としては、例えば、2D材料、ナノラミネート、ナノロッド、ナノチューブ、またはナノ粒子、または平坦な部分的な若しくは完全な分子層、または部分的な若しくは完全な原子層、または原子および/若しくは分子のクラスター、を挙げることができる。「膜」および「薄膜」は、ピンホールを有する材料または層を含み得るが、それでも少なくとも部分的に連続している。
【0027】
本明細書で使用する場合、用語「化合物材料」は、二つ以上の異なる元素が化学的に結合した材料を指すことができる。
【0028】
本明細書で使用する場合、用語「二成分化合物材料」は、本質的に二つの異なる元素から成る材料を指すことができる。用語「二成分化合物材料」は、本質的に二つの異なる元素から成る材料を指すことができるが、二成分化合物材料はまた、微量の不純物元素を含んでもよいことに留意されたい。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「シリコン二成分化合物材料」は、本質的にシリコン原子および別の異なる元素からなる材料を指すことができる。用語「シリコン二成分化合物材料」は、本質的にシリコン原子および別の異なる元素から成る材料を指すことができるが、シリコン二成分化合物材料も微量の不純物元素も含んでもよいことに留意されたい。
【0030】
本明細書で使用する場合、用語「モリブデン二成分化合物材料」は、本質的にモリブデン原子および別の異なる元素から成る材料を指すことができる。用語「モリブデン二成分化合物材料」は、本質的にモリブデン原子および別の異なる元素から成る材料を指すことができるが、モリブデン二成分化合物材料もまた微量の不純物元素を含んでもよいことに留意されたい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「モリブデンハライド前駆体」という用語は、少なくともモリブデン成分およびハライド成分を含む反応物質を指し、ハライド成分は、塩素成分、ヨウ素成分、または臭素成分のうちの一つ以上を含み得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「モリブデンカルコゲナイドハライド」という用語は、少なくともモリブデン成分、ハライド成分、およびカルコゲナイド成分を含む反応物質を指し、カルコゲンは、酸素(O)、硫黄(S)、セレンおよびテルリウム(Te)を含む周期表のIV族の元素である。
【0033】
本明細書で使用される場合、「モリブデンオキシハライド」という用語は、少なくともモリブデン成分、酸素成分、およびハライド成分を含む反応物質を指し得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「還元剤前駆体」という用語は、酸化還元化学反応において別の種に電子を供与する反応物質を指し得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「結晶膜」という用語は、結晶構造の少なくとも短範囲規則性、または長範囲規則性をも呈する膜を指し、単結晶膜ならびに多結晶膜を含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ギャップ形体」という用語は、非平面の表面の二つの表面の間に配置された開口部またはくぼみを意味し得る。「ギャップ形体」という用語は、基材表面から垂直に延在する二つの突起部の傾斜した側壁、または基材表面の表面内に垂直に延在する刻み目の対向する傾斜した側壁の間に配置された開口部またはくぼみを指し得、このようなギャップ形体は「垂直なギャップ形体」と称され得る。「ギャップ形体」という用語はまた、二つの対向する実質的に水平な表面の間に配置された開口部またはくぼみを意味し得、水平な表面は水平な開口部またはくぼみを繋ぎ、こうしたギャップ形体は、「水平なギャップ形体」と称され得る。
【0037】
本明細書で使用する場合、用語「シーム」は、ギャップフィル金属に形成される縁の当接によって形成される線または一つもしくは複数のボイドを指すことができ、「シーム」は走査型透過電子顕微鏡法(STEM)または透過電子顕微鏡法(TEM)を使用して確認できるが、観察によって垂直なギャップフィル金属にはっきりした垂直な線または一つもしくは複数のボイド、または水平なギャップフィル金属にはっきりした水平な線または一つもしくは複数の水平なボイドが明らかになった場合、「シーム」が存在する。
【0038】
本開示の実施形態を通じて多くの例示的な材料が与えられており、例示的な材料のそれぞれに与えられる化学式は限定的であると解釈されるべきではなく、与えられる非限定的な例示的な材料はある例示的な化学量論によって限定されるべきではないことに留意されたい。
【0039】
本開示は、誘電体材料の表面上に直接配置される中間核形成膜を利用して、誘電体材料の表面上にモリブデン金属膜を堆積させる方法を含む。モリブデン金属薄膜は、例えば、低電気抵抗率ギャップフィル、3D-NAND、DRAMワード線特徴用のライナー層、またはCMOSロジック用の相互接続材料など、多くの用途で利用され得る。中間核形成膜を利用して、即ち高電気抵抗ライナー層を使用せずに誘電体表面上にモリブデン金属膜を堆積する能力は、論理用途、即ちCMOS構造、およびメモリアプリケーションのワードライン/ビットライン、例えば3D-NANDやDRAM構造における相互接続に対してより低い実効電気抵抗を可能にする。
【0040】
したがって、本開示の実施形態は、中間核形成膜を利用して基材の誘電体表面上にモリブデン金属膜を堆積する方法を含む。方法は、誘電体表面を備える基材を反応チャンバに供給することと、誘電体表面上に核形成膜を直接堆積させることと、核形成膜上にモリブデン金属膜を直接堆積させることと、を含むことができ、モリブデン金属膜を堆積することは、基材をモリブデンハライド前駆体を含む第一の気相反応物質と接触させることと、基材を還元剤前駆体を含む第二の気相反応物質と接触させることと、を含む。
【0041】
中間核形成膜を利用して誘電体表面上にモリブデン金属膜を堆積させる例示的プロセス100が、
図1を参照して例示される。例示的プロセス100は、二つの堆積プロセス、誘電体材料の表面上に核形成膜を直接堆積するための第一の堆積プロセス、および核形成膜上にモリブデン金属膜を直接堆積するための第二の堆積プロセスを含むことができる。
【0042】
より詳細に、また
図1を参照すると、例示的なプロセス100は、誘電体表面を備える基材を反応チャンバ内に供給することを含むプロセスブロック110によって開始することができる。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態では、基材は高いアスペクト比の形体、例えばトレンチ構造、水平なギャップ、および/またはフィン構造等を備えるパターン化された基材を備えることができる。例えば、基材は、一つ以上の実質的に垂直なギャップ形体および/または一つ以上の実質的に水平なギャップ形体を含み得る。「ギャップ形体」という用語は、基材表面から垂直に延在する二つの突起部の傾斜した側壁、または基材表面の表面内に垂直に延在する刻み目の対向する傾斜した側壁の間に配置された開口部またはくぼみを指し得、このようなギャップ形体は「垂直なギャップ形体」と称され得る。「ギャップ形体」という用語はまた、二つの対向する実質的に水平な表面の間に配置された開口部またはくぼみを意味し得、水平な表面は水平な開口部またはくぼみを繋ぎ、こうしたギャップ形体は、「水平なギャップ形体」と称され得る。本開示の実施形態は、垂直なギャップ形体および/または水平なギャップ形体の充填に限定されず、基材内および/または基材上に配置されたギャップの他の幾何学的形状は、本明細書に開示されるプロセスによってモリブデン金属で充填され得ることに留意されたい。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態では、基材は、
図4Aに例示すように、一つまたは複数の実質的に垂直のギャップ形体を備えることができ、
図4Aは、基材402内に配置された高アスペクト比の垂直ギャップ形体404を有する誘電体材料を含む基材402を含む半導体デバイス構造400を示す。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の垂直なギャップ形体は、2:1より大きい、または5:1より大きい、または10:1より大きい、または25:1より大きい、または50:1より大きい、または100:1よりも大きいアスペクト比(高さ:幅)を有することができ、この例で使用される場合、「より大きい」とは、ギャップ形体の高さにおけるより長い距離を意味する。
【0045】
本開示の実施形態では、基材は、
図5Aに例示するように、一つまたは複数の実質的に水平のギャップ形体を備えることができ、
図5Aは、基材502内に配置された高いアスペクト比の水平ギャップ形体504を有する誘電体材料を備える基材502を含む誘電体デバイス構造500を示す。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の水平なギャップ形体は、1:2より大きい、または1:5より大きい、または1:10より大きい、または1:25より大きい、または1:50より大きい、または1:100よりも大きいアスペクト比(高さ:幅)を有することができ、この例で使用される場合、「より大きい」とは、ギャップ形体の幅におけるより長い距離を意味する。
【0046】
基材は、限定するものではないが、半導体材料、誘電材料、および金属材料を含む、一つ以上の材料および材料表面を含み得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ゲルマニウムスズ(GeSn)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、シリコンゲルマニウムスズ(SiGeSn)、ケイ素(SigeSn)、炭化ケイ素(SiC)、またはIII-V族の半導体材料、などの半導体材料を含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、基材は、例えば、限定するものではないが、純金属、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、およびそれらの混合物などの金属材料を含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、基材は、例えば、限定するものではないが、誘電材料および金属酸化物誘電材料を含むシリコン、などの誘電材料を含み得る。いくつかの実施形態では、基材は、例えば、限定するものではないが、二酸化ケイ素(SiO2)、亜酸化ケイ素、窒化ケイ素(Si3N4)、酸窒化ケイ素(SiON)、オキシ炭化ケイ素(SiOC)、オキシ炭化ケイ素窒化物(SiOCN)、シリコン炭窒化物(SicN)、などの誘電材料を含むシリコンを含む一つ以上の誘電体表面を含み得る。いくつかの実施形態では、基材は、限定するものではないが、例えば、酸化アルミニウム((Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO)2)、酸化チタン(TiO2)、ハフニウムケイ酸塩(HfSiox)および酸化ランタン(La)2O3)、などの金属酸化物を含む一つ以上の誘電体表面を含み得る。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態では、基材は設計された基材を備え得、表面半導体層は、その間に配置された介在する埋め込み酸化(BOX)によってバルク支持体上に配置される。
【0051】
パターン化された基材は、基材表面中または基材表面上に形成された半導体デバイス構造を含むことができる基材を備えることができ、例えば、パターン化された基材は、製造された、および/または部分的に製造された半導体デバイス構造、例えばトランジスタおよび/またはメモリ素子を備えることができる。いくつかの実施形態では、基材は、単結晶表面および/または、多結晶表面および/または非結晶表面などの非単結晶表面を含み得る一つ以上の二次表面を含み得る。単結晶表面は、例えば、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ゲルマニウムスズ(gESn)、またはゲルマニウム(Ge)のうちの一つ以上を含み得る。多結晶または非晶質表面は、酸化物、酸窒化物、オキシカーバイド、オキシカーバイド窒化物、窒化物、またはそれらの混合物などの誘電材料を含み得る。
【0052】
基材は、誘電体材料の表面上に核形成膜を直接堆積させるように、および核形成膜上にモリブデン金属膜を直接堆積させるように構成される一つまたは複数の反応チャンバ内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、核形成膜は、化学蒸着(CVD)プロセス、浸漬プロセス、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)プロセス、または物理蒸着(PVD)プロセスのうちの一つまたは複数によって誘電体表面上に直接堆積されてもよい。本開示の特定の実施形態では、核形成膜およびモリブデン膜の両方を、周期的堆積プロセスを利用して達成可能な固有の共形性により、ならびに限定されないが垂直ギャップ形体および/または水平ギャップ形体を含む一つまたは複数の高いアスペクト比の形体を備える非平面の基材上に共形膜を形成するための周期的堆積プロセスの能力と、により、周期的堆積プロセスを利用して堆積することができる。
【0053】
したがって、中間核成形膜を利用してモリブデン金属膜を誘電体表面上に堆積させるために使用することができる反応器又は反応チャンバは、周期的堆積プロセス、例えば原子層堆積プロセスまたは周期化学蒸着プロセスなどを実施するように構成されることができる。したがって、本開示の実施形態を実施するのに適した反応器または反応チャンバは、前駆体を提供するように構成されたALD反応器およびCVD反応器を含み得る。いくつかの実施形態によれば、シャワーヘッド反応器を使用し得る。いくつかの実施形態によれば、クロスフロー、バッチ、ミニバッチ、または空間ALD反応器が使用され得る。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態では、バッチ式反応器を使用し得る。いくつかの実施形態では、垂直バッチ式反応器を使用し得る。他の実施形態では、バッチ式反応器は、10枚以下のウェーハ、8枚以下のウェーハ、6枚以下のウェーハ、4枚以下のウェーハ、または2枚以下のウェーハを収容するように構成されたミニバッチ反応器を備える。バッチ式反応器が使用されるいくつかの実施形態では、ウェーハ間の不均一性は3%(1シグマ)未満、2%未満、1%未満または更には0.5%未満である。
【0055】
本明細書に記載の、中間核形成膜を利用してモリブデン金属膜フィルを堆積させる例示的なプロセスは、必要に応じてクラスタツールに連結する反応器または反応チャンバ内で実行されてもよい。クラスタツールでは、各反応チャンバが一つのタイプのプロセス専用であるため、各モジュール内の反応チャンバの温度を一定に保つことができ、各運転の前に基材をプロセス温度まで加熱する反応器と比較してスループットが向上する。更に、クラスタツールでは、反応チャンバを基材間で所望のプロセス圧力レベルに排気する時間を短縮することが可能である。本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に開示される例示的プロセスは、複数の反応チャンバを含むクラスタツール内で実施されてもよく、各個々の反応チャンバは、基材を個々の前駆体ガスに曝露させるために使用されてもよく、基材を複数の前駆体ガスに曝露されるように異なる反応チャンバ間を搬送してもよく、基材の搬送は基材の酸化/汚染を回避するために制御された周辺環境下で実施される。例えば、第一の反応チャンバと第二の反応チャンバとの間の搬送を制御された環境下で行ない、基材および関連する膜の汚染または劣化を防ぎながら、核形成膜の堆積を、クラスタツールと関連付けられた第一の反応チャンバ内で周期的堆積プロセスにより行ってもよく、モリブデン膜の堆積を、同じクラスタツールと関連付けられた第二の反応チャンバ内で周期的堆積プロセスにより行ってもよい。本開示のいくつかの実施形態では、本開示のプロセスは、複数の反応チャンバを備えるクラスタツール内で実施されてもよく、各個々の反応チャンバは、基材を異なる温度に加熱するように構成されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、核形成膜を誘電体表面上に直接堆積し、モリブデン金属膜を核形成膜上に直接堆積する例示的なプロセスを、ロードロックを備えていてもよい単一の独立型反応器内で実施することができる。その場合、各運転と運転との間に反応チャンバを冷却する必要はない。
【0057】
基材が好適な反応チャンバ、例えば、周期的堆積プロセスのために構成される反応チャンバ内に堆積されると、例示的な
図1のプロセス100は、誘電体表面上に核形成膜を直接堆積することを含むプロセスブロック120によって行われることができる。プロセスブロック120およびその構成サブプロセスを、誘電体表面上に核形成膜を直接堆積するための例示的な非限定的な周期的堆積プロセスを示す
図2を参照しながらより詳細に説明する。
【0058】
より詳細には、核形成膜を誘電体表面上に直接堆積させる堆積プロセスを、基材を所望の堆積温度に加熱することを含むサブプロセス210によって行うことができる。例えば、基材は、約800℃未満、または約700℃未満、または約600℃未満、または約500℃未満、または約400℃未満、または約300℃未満、または約200℃未満の基材温度まで加熱されることができる。本開示のいくつかの実施形態では、プロセスブロック120の周期的堆積プロセスの間の基材温度は、250℃~800℃の間、または300℃~600℃の間、または550℃~600℃の間とすることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、核形成膜を堆積するための堆積温度は、堆積させる材料の組成に依存し得る。例えば、本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜は、化合物材料、即ち少なくとも二つの異なる元素を含む材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、化合物材料は、二成分化合物材料、即ち二つの異なる元素および微量の不純物元素から本質的に成る材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、化合物は、三成分化合物材料、即ち三つの異なる元素および微量の不純物元素から本質的に成る材料を含んでもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、二成分化合物材料はシリコン二成分化合物材料を含んでもよく、シリコン化合物材料は本質的にシリコン原子および微量の不純物元素を有する異なる元素から成る。例えば、いくつかの実施形態では、シリコン二成分化合物材料は、少なくとも窒化ケイ素(例えば、Si3N4)、炭化ケイ素(例えば、SiC)、または酸化ケイ素(例えば、SiO2)のうちの少なくとも一つを含むことができる。このような例示的な実施形態では、シリコン二成分化合物材料を含む核形成層の堆積中の基材の温度は、約500℃未満、または約400℃未満、または約300℃未満、または約250℃未満、または更に約200℃未満とすることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、二成分化合物材料は、モリブデン二成分化合物材料を含んでもよく、モリブデン化合物材料は、本質的にモリブデン原子および微量の不純物元素を有する異なる元素から成る。例えば、いくつかの実施形態では、モリブデン二元化合物材料は、窒化モリブデン、炭化モリブデン、酸化モリブデン、またはケイ化モリブデンのうちの少なくとも一つを含むことができる。このような例示的な実施形態では、モリブデン二成分化合物材料を含む核形成膜の堆積中の基材の温度は、約700℃未満、または約600℃未満、または約500℃未満、または約400℃未満、または更に約300℃未満とすることができる。いくつかの実施形態では、モリブデン二成分化合物材料を含む核形成膜の堆積を、300℃~600℃、または400℃~500℃の基材温度で行うことができる。
【0062】
本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜は三成分化合物、例えばシリコン三成分化合物(例えば、SiCN、SiON)、またはモリブデン三成分化合物(例えば、MoON、MoSiO)を含むことができる。このような実施形態では、三成分化合物の堆積中の基材温度は、約700℃未満、または約600℃未満、または約500℃未満、または約400℃未満、または更に約300℃未満とすることができる。
【0063】
更に、望ましい堆積温度、即ち、所望の基材温度を達成するために、核形成膜を誘電体表面上に直接堆積させる例示的な原子層堆積プロセス(即ち、プロセスブロック120)はまた、堆積中に反応チャンバ内の圧力を調整して、誘電体表面上で直接核形成膜の望ましい特性を得ることができる。例えば、本開示のいくつかの実施形態では、例示的な周期的堆積プロセスを、300Torr未満、または200Torr未満、または100Torr未満、または50Torr未満、または25Torr未満、または15Torr未満、または更に1Torr未満の反応チャンバ圧力に調節される反応チャンバ内で行うことができる。いくつかの実施形態では、核形成膜の堆積の間の反応チャンバ内の圧力は、1Torr~300Torr、または1Torr~50Torr、または1Torr~15Torr、または更に30Torr以上の圧力で調節され得る。
【0064】
基材が所望の温度まで加熱され、反応チャンバ内の圧力が所望のレベルに制御されると、誘電体表面上に核形成膜を直接堆積させる例示的なプロセスは、原子層堆積(ALD)または周期的化学気相堆積(CCVD)を含むことができる周期的堆積相205によって続けることができる。
【0065】
周期的堆積プロセスの非限定的な例示の実施形態は原子層堆積(ALD)を含み、ALDは典型的な自己制御反応に基づいており、それにより反応物質の逐次および交互パルスを用いて、堆積サイクル当たり材料の約1原子(または分子)単層を堆積する。堆積条件および前駆体は、典型的には、一つの反応物質の吸着層が同じ反応物質の気相の反応物質と非反応性の表面終端を残すように、自己飽和反応を提供するように選択される。その後、基材を、前の終端と反応する異なる反応物質と接触させ、連続的な堆積を可能にする。従って、交互パルスの各サイクルは、典型的には、所望の材料の約一層以下の単層を残す。しかし、上記のように、一つ以上のALDサイクルにおいて、例えば、交互するプロセスの性質にもかかわらずいくつかの気相反応が起こる場合、材料の一つより多い単層を堆積させることができることを、当業者は認識するであろう。
【0066】
誘電体表面上に直接核形成膜を形成するのに利用されるALD型プロセスにおいて、1単位の堆積サイクルは、基材を第一の気相反応物質に曝露することと、全ての未反応の第一の反応物質および反応副生成物を反応チャンバから除去することと、基材を第二の気相反応物質に曝露することと、を含むことができ、第二の除去工程に続く。本開示のいくつかの実施形態では、第一の気相反応物は第一のケイ素前駆体またはモリブデン前駆体のうちの少なくとも一つを含むことができ、第二の気相反応物は窒素前駆体、炭素前駆体、酸素前駆体、または第二のケイ素前駆体のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0067】
前駆体は、反応物質間の気相反応を防止し、自己飽和表面反応を可能にするように、不活性ガス、例えばアルゴン(Ar)または窒素(N2)によって分離されることができる。しかし、いくつかの実施形態では、基材を移動させて、第一の気相の反応物質と第二の気相の反応物質とを、別々に接触させることができる。反応が自己飽和するので、基材の厳密な温度制御および前駆体の正確な投与量制御は必要でない場合もある。しかし、基材温度は、入射ガス種が単層に凝縮しないように、及び表面で分解しないようにすることが好ましい。基材を次の反応性化学物質と接触させる前に、余分な化学物質及び反応副生成物がある場合には、それらを、例えば反応空間をパージすることにより又は基材を移動させることにより、基材の表面から除去する。望ましくない気体の分子を、不活性パージガスを用いて反応空間から効果的に排出することができる。パージを促進するために、真空ポンプを使用することができる。
【0068】
本開示のいくつかの非限定的実施形態によると、ALDプロセスを使用して、誘電材料表面上に直接核形成膜を堆積させることができる。本開示のいくつかの実施形態では、各ALDサイクルは、二つの別々の堆積工程または段階を含み得る。堆積サイクルの第一段階では、堆積が望まれる基材表面を、基材の表面上に化学吸着する第一のシリコン前駆体またはモリブデン前駆体のうちの少なくとも一つを含む第一の気相反応物質と接触させ、基材の表面上に反応物質種の約一層以下の単層を形成することができる。堆積の第二段階では、堆積が望まれる基材表面を、窒素前駆体、炭素前駆体、酸素前駆体、または第二のシリコン前駆体のうちの少なくとも一つを含む第二の気相反応物質と接触させることができる。
【0069】
基材を所望の堆積温度に加熱し、反応チャンバ内の圧力を調節すると、例示的な原子層堆積プロセス120は、プロセスブロック220によって周期的堆積フェーズ205を継続することができ、これは基材を第一の気相反応物質と接触させること、特に、いくつかの実施形態では、基材を第一のシリコン前駆体またはモリブデンハライド前駆体のうちの少なくとも一つを含む第一の気相反応物質と接触させることとを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、核形成膜はシリコン二成分化合物を含んでもよく、このような実施形態では第一の気相反応物質は第一のシリコン前駆体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一のシリコン前駆体は、シランジアミンN,N,N’,N-テトラエチル(C8H22N2Si)、BTBAS(ビス(ターシャリーブチルアミノ)シラン)、BDEAS(ビス(ジエチルアミノ)シラン)、TDMAS(トリス(ジメチルアミノ)シラン)、ヘキサキス(エチルアミノ)ジシラン(Si2(NHC2H5)6)、四ヨウ化ケイ素(SiI4)、四塩化ケイ素(SiCl4)、ヘキサクロロジシラン(HCDS)、またはペンタクロロジシラン(PCDS)のうちの少なくとも一つを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一のシリコン前駆体は、シラン、例えばシラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、トリシラン(Si3H8)、テトラシラン(Si4H10)、または一般的な組成式SixH(2x+2)の高次シランを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、核形成膜はモリブデン二成分化合物を含んでもよく、このような実施形態では第一の気相反応物質はモリブデンハライド前駆体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、モリブデンハライド前駆体は、塩化モリブデン前駆体、ヨウ化モリブデン前駆体、または臭化モリブデン前駆体を含んでもよい。例えば、非限定的な例として、第一の気相反応物質は、例えば、モリブデンペンタクロリド(MoCl5)などの塩化モリブデンを含み得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、モリブデンハライド前駆体は、モリブデンカルコゲナイドを含み得、特定の実施形態では、モリブデンハライド前駆体は、モリブデンカルコゲナイドハライドを含み得る。例えば、モリブデンカルコゲナイドハライド前駆体は、オキシ塩化モリブデン、オキシヨウ化モリブデン、またはオキシ臭化モリブデンを含む群から選択される、モリブデンオキシハライドを含み得る。本開示の特定の実施形態では、モリブデン前駆体は、限定するものではないが、モリブデン(VI)ジクロリドジオキシド(MoO2Cl2)を含むオキシ塩化モリブデンを含み得る。
【0073】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を、少なくとも第一のシリコン前駆体またはモリブデン前駆体を含む第一の気相反応物質と接触させることは、約0.1秒~約60秒の間、約0.1秒~約10秒の間、または約0.5秒~約5.0秒の間、第一の気相反応物質を基材に接触させることを含むことができる。更に、基材と第一の気相反応物質との接触中、前駆体の流量は、1000sccm未満、または500sccm未満、または100sccm未満、または10sccm未満、または更には1sccm未満とすることができる。更に、基材を第一の気相反応物質と接触させる間、前駆体の流量は、約1~2000sccm、約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲とすることができる。
【0074】
図2のプロセスブロック120によって例示されるように、核形成膜を誘電体表面上に直接堆積させるための例示的な原子層堆積プロセスは、反応チャンバをパージすることによって、継続することができる。例えば、過剰な第一の気相反応物質および反応副生成物(あれば)を、例えば、不活性ガスでポンプ注入することによって、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、または更に約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。例えば、過剰な第一の気相反応物質、例えば過剰な第一のシリコン前駆体またはモリブデン前駆体および任意の可能性のある反応副生成物を、反応チャンバと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0075】
パージサイクルで反応チャンバをパージすると、例示的な原子層堆積プロセスブロック120は、プロセスブロック230によって、周期的堆積フェーズ205の第二段階を続けることができ、これは基材を第二の気相反応物質と接触させること、特に、基材を窒素前駆体、炭素前駆体、酸素前駆体、または第二のシリコン前駆体のうちの少なくとも一つを含む第二の気相反応物質と接触させることとを含む。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜は、シリコン二成分化合物材料を含んでもよく、特定の実施形態では、窒化ケイ素(例えば、Si3N4)を含む。このような実施形態では、第一の気相反応物質は第一のシリコン前駆体を含んでもよく、第二の気相反応物質は窒素前駆体を含んでもよい。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜は、シリコン二成分化合物材料を含んでもよく、特定の実施形態では、酸化シリコン(例えば、SiO2)を含む。このような実施形態では、第一の気相反応物質は第一のシリコン前駆体を含んでもよく、第二の気相反応物質は酸素前駆体を含んでもよい。
【0078】
本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜は、シリコン二成分化合物材料を含んでもよく、特定の実施形態では、炭化ケイ素(例えば、SiC)を含む。このような実施形態では、第一の気相反応物質は第一のシリコン前駆体を含んでもよく、第二の気相反応物質は炭素前駆体を含んでもよい。
【0079】
本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜は、モリブデン二成分化合物材料を含んでもよく、特定の実施形態では、窒化モリブデンを含む。このような実施形態では、第一の気相反応物質はモリブデン前駆体を含んでもよく、第二の気相反応物質は窒素前駆体を含んでもよい。
【0080】
本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜は、モリブデン二成分化合物材料を含んでもよく、特定の実施形態では、酸化モリブデンを含む。このような実施形態では、第一の気相反応物質はモリブデン前駆体を含んでもよく、第二の気相反応物質は酸素前駆体を含んでもよい。
【0081】
本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜は、モリブデン二成分化合物材料を含んでもよく、特定の実施形態では、ケイ化モリブデンを含む。このような実施形態では、第一の気相反応物質はモリブデン前駆体を含んでもよく、第二の気相反応物質は第二のシリコン前駆体を含んでもよい。
【0082】
本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜は、モリブデン二成分化合物材料を含んでもよく、特定の実施形態では、炭化モリブデンを含む。このような実施形態では、第一の気相反応物質はモリブデン前駆体を含んでもよく、第二の気相反応物質は炭素前駆体を含んでもよい。
【0083】
核形成膜が、窒化物、例えば窒化ケイ素または窒化モリブデンを含む実施形態では、第二の気相反応物質は窒素前駆体を含んでもよい。本開示のこのような実施形態では、窒素前駆体は、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(N2H4)、トリアザン(N3H5)、tert-ブチルヒドラジン(C4H9N2H3)、メチルヒドラジン(CH3NHNH2)、ジメチルヒドラジン((CH3)2N2H2)、または窒素プラズマのうちの少なくとも一つを含むことでき、窒素プラズマは原子状窒素、窒素ラジカル、および励起窒素種を含む。
【0084】
核形成膜が、酸化物、例えば酸化シリコンまたは酸化モリブデンを含む実施形態では、第二の気相反応物質は酸素前駆体を含むことができる。本開示のこのような実施形態では、酸素前駆体は、水(H2O)、過酸化水素(H2O2)、オゾン(O3)、または窒素酸化物、例えば一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(N2O)、または二酸化窒素(NO2)のうちの少なくとも一つを含む。本開示のいくつかの実施形態では、酸素前駆体は、有機アルコール、例えばイソプロピルアルコールを含むことができる。いくつかの実施形態では、酸素前駆体は酸素プラズマを含むことができ、酸素プラズマは原子状酸素、酸素ラジカル、および励起酸素種を含む。
【0085】
核生成膜が、炭化物、例えば炭化ケイ素または炭化モリブデンを含む実施形態では、第二の気相反応物質は炭素前駆体を含んでもよい。本開示のこのような実施形態では、炭素前駆体は、炭化水素、例えば直鎖状または分枝状アルカンを含むことができる。
【0086】
核形成膜が、ケイ化物、例えばケイ化モリブデンを含む実施形態では、第二の気相反応物質は第二のシリコン前駆体を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、第二のシリコン前駆体は、シランジアミンN,N,N’,N-テトラエチル(C8H22N2Si)、BTBAS(ビス(ターシャリーブチルアミノ)シラン)、BDEAS(ビス(ジエチルアミノ)シラン)、TDMAS(トリス(ジメチルアミノ)シラン)、ヘキサキス(エチルアミノ)ジシラン(Si2(NHC2H5)6)、四ヨウ化ケイ素(SiI4)、四塩化ケイ素(SiCl4)、ヘキサクロロジシラン(HCDS)、またはペンタクロロジシラン(PCDS)のうちの少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、第二のシリコン前駆体は、シラン、例えばシラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、トリシラン(Si3H8)、テトラシラン(Si4H10)、または一般的な組成式SixH(2x+2)の高次シランを含む。
【0087】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を第二の気相反応物質と接触させることは、約0.01秒~約120秒の間、約0.05秒~約60秒の間、または約0.1秒~約10秒の間、基材を前駆体と接触させることを含むことができる。更に、基材の第二の気相反応物質との接触の間、第二の気相反応物質の流量は、10000sccm未満、または5000Xsccm未満、または更に1000X未満とすることができる。
【0088】
基材を、窒素前駆体、炭素前駆体、酸素前駆体、または第二のシリコン前駆体のうちの少なくとも一つを含む第二の気相反応物質と接触させると、核形成膜を誘電体表面上に直接堆積させる例示的プロセスブロック120は、反応チャンバをパージすることによって進むことができる。例えば、不活性ガスを流している間、過剰な第二の気相反応物質および(ある場合には)反応副生成物を基材の表面から例えばポンプで除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、基材表面を約0.1秒~約10秒間、または約0.5秒~約3秒間、または更には約1秒~2秒間、パージすることを含み得る。
【0089】
反応チャンバから第二の気相反応物質およびあらゆる反応副生成物のパージが完了すると、プロセスブロック120の例示的な原子層堆積の周期的堆積フェーズ205は決定ゲート240に続くことができ、決定ゲート240は堆積させた核形成膜の厚さに依存する。例えば、核形成膜が所望のデバイス用途に対して不十分な厚さで堆積された場合には、周期的堆積フェーズ205を、プロセスブロック220に戻り更なる堆積サイクルを継続することによって繰り返すことができ、一単位の堆積サイクルは、基材を少なくとも第一のシリコン前駆体またはモリブデンハライド前駆体と接触させること(プロセスブロック220)と、反応チャンバをパージすることと、基材を窒素前駆体、炭素前駆体、酸素前駆体、または第二のシリコン前駆体のうちの少なくとも一つと接触させること(プロセスブロック230)と、再び反応チャンバをパージすることと、を含むことができる。周期的堆積フェーズ205の一単位の堆積サイクルは、核形成膜の所望の厚さが基材上および特に誘電体表面上に直接堆積されるまで、一回または複数回繰り返されてもよい。核形成膜が所望の厚さに堆積されると、例示的な原子層堆積プロセス120は、プロセスブロック250により終了し、核形成膜を上に堆積させた誘電体表面を備える基材は、
図1の例示的プロセス100の更なるプロセスを受けることができる。
【0090】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を第一の気相反応物質(例えば、第一のシリコン前駆体またはモリブデン前駆体)および第二の気相反応物質(例えば、窒素前駆体、炭素前駆体、酸素前駆体、または第二のシリコン前駆体)と接触させる順序は、基材を最初に第二の気相反応物質と接触させるのに続いて、第一の気相反応物質と接触させるようにすることができることが理解されよう。更に、いくつかの実施形態では、例示的なプロセスブロック120の周期的堆積フェーズ205は、基材を第二の気相反応物質と一回または複数回接触させる前に、基材を第一の気相反応物質と一回または複数回接触させることを含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、例示的なプロセスブロック120の周期的堆積フェーズ205は、基材を第一の気相反応物質と1または複数回接触させる前に、基材を第二の気相反応物質と1または複数回接触させることを含んでもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、ハイブリッドALD/CVDまたは周期的CVDプロセスであることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ALDプロセスの成長速度は、CVDプロセスと比較して低い場合がある。成長速度を増加させる一つのアプローチは、ALDプロセスにおいて典型的に使用される温度よりも高い基材温度で動作するアプローチであり、結果として化学蒸着プロセスの部分になるが、更に前駆体の逐次導入を利用し、このようなプロセスは周期的CVDと呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、周期的CVDプロセスは、反応チャンバ内への二つ以上の前駆体の導入を含み得、反応チャンバ内の二つ以上の前駆体の間の重複の期間は、堆積のALD成分と堆積のCVD成分の両方をもたらす。例えば、周期的CVDプロセスは、一つの前駆体の連続的な流れ、および第二の前駆体の反応チャンバへの定期的なパルスを含み得る。
【0092】
本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜は、約0.05Å/サイクル~約5Å/サイクル、約0.1Å/サイクル~約5Å/サイクル、または更には約0.5Å/サイクル~約1.5Å/サイクルÅの成長速度で誘電体表面上に直接堆積することができる。
【0093】
本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜を連続膜として堆積する。例えば、
図4Bに例示のように、垂直ギャップ形体404を備える誘電体基材402上に直接配置された連続核形成膜406を備える半導体デバイス構造405を参照のこと。あるいは、例えば、
図5Bに例示のように、水平ギャップ形体を備える誘電体基材502上に直接配置された連続核形成膜506を備える半導体デバイス構造505を参照のこと。いくつかの実施形態では、連続核形成膜406/506を、20Å未満、または10Å未満、または5Å未満、または更に3Å未満の厚さに堆積させてもよい。
【0094】
本開示のいくつかの実施形態では、核形成膜は不連続膜として堆積する。例えば、
図4Bに例示のように、垂直ギャップ形体404を備える誘電体基材402上に直接配置された不連続核形成膜406’の例を含む半導体デバイス構造405の挿入
図408を参照のこと。あるいは、例えば、
図5に例示のように、水平ギャップ形体を備える誘電体基材502上に直接配置された不連続核形成膜506’の例を含む半導体デバイス構造505の挿入
図508を参照のこと。いくつかの実施形態では、不連続核形成膜406’/506’を、20Å未満、または10Å未満、または5Å未満、または更に3Å未満の厚さに堆積させてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、一つまたは複数の誘電体ギャップ形体上の核形成膜のステップカバレッジは、約50%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、または約99%以上とすることができる。
【0096】
また、本開示の核形成膜は、下層の誘電体材料への金属種の拡散を防ぐために半導体デバイス用途で一般的に使用されるようなバリア層またはバリア材料を構成しない、およびバリア層は金属コンタクトと誘電体材料との間に配置されることも留意されたい。本開示の核形成膜は、その後堆積させたモリブデン金属膜の材料品質を改善するために利用され、一般の半導体デバイス製造プロセスで利用される厚膜、高抵抗率バリア層またはバリア材料を構成しない。
【0097】
誘電体表面上に直接核形成膜を堆積させると、(
図1の)例示的プロセス100は、モリブデン金属膜を核形成膜上に直接堆積させること、およびいくつかの特定の実施形態ではモリブデン金属膜を核形成膜上に周期的堆積プロセスによって直接堆積させることを含むプロセスブロック130によって継続することができる。プロセスブロック130および関連する構成サブプロセスブロックを、モリブデン金属膜を堆積するための例示的な周期的堆積プロセスを例示した
図3を参照して更に詳細に説明する。
【0098】
更に詳細には、例示的な周期的堆積プロセスは、原子層堆積プロセスまたは周期的化学気相堆積プロセスを含んでもよい。非限定的な例として、プロセスブロック130は、原子層堆積プロセスを含んでもよく、および基材を望ましい堆積温度に加熱することを含むサブプロセスブロック310によって開始してもよい。例えば、基材を、約800℃未満、または約700℃未満、または約600℃未満、または約550℃未満、または約500℃未満、または約400℃未満、または約300℃未満、または更に約200℃未満の基材温度に加熱することができる。本開示のいくつかの実施形態では、例示的な原子層堆積プロセスブロック130の間の基材温度は、200℃~800℃の間、または300℃~700℃の間、または400℃~600℃の間、または500℃~550℃の間とすることができる。
【0099】
更に、望ましい堆積温度、即ち、所望の基材温度を達成するために、例示的な原子層堆積プロセス130はまた、反応チャンバ内の圧力を堆積中に調節し堆積させたモリブデン金属膜の望ましい特徴を得ることができる。例えば、本開示のいくつかの実施形態では、例示的な原子層堆積プロセス130を、300Torr未満、または200Torr未満、または100Torr未満、または50Torr未満、または25Torr未満、または更には10Torr未満の反応チャンバ圧力に調節される反応チャンバ内で行なうことができる。いくつかの実施形態では、堆積中の反応チャンバ内の圧力は、10Torr~300Torr、または30Torr~80Torr、または更には30Torr以上の圧力に調節され得る。
【0100】
基材を所望の堆積温度に加熱し、反応チャンバ内の圧力を調節すると、例示的な原子層堆積プロセス130は、プロセスブロック320によって周期的堆積フェーズ305を継続することができ、これは基材を第一の気相反応物質と接触させること、特に、いくつかの実施形態において、基材をモリブデンハライド前駆体、即ちモリブデン前駆体を含む第一の気相反応物質と接触させることを含む。
【0101】
本開示のいくつかの実施形態では、モリブデンハライド前駆体は、塩化モリブデン前駆体、ヨウ化モリブデン前駆体、または臭化モリブデン前駆体を含み得る。例えば、非限定的な例として、第一の気相反応物質は、例えば、モリブデンペンタクロリド(MoCl5)などの塩化モリブデンを含み得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、モリブデンハライド前駆体は、モリブデンカルコゲナイドを含み得、特定の実施形態では、モリブデンハライド前駆体は、モリブデンカルコゲナイドハライドを含み得る。例えば、モリブデンカルコゲナイドハライド前駆体は、オキシ塩化モリブデン、オキシヨウ化モリブデン、またはオキシ臭化モリブデンを含む群から選択される、モリブデンオキシハライドを含み得る。本開示の特定の実施形態では、モリブデン前駆体は、限定するものではないが、モリブデン(VI)ジクロリドジオキシド(MoO2Cl2)を含むオキシ塩化モリブデンを含み得る。
【0103】
本開示のいくつかの実施形態では、基材をモリブデンハライド前駆体を含む第一の気相反応物質と接触させることは、モリブデンハライド前駆体を基材に、約0.1秒~約60秒間、約0.1秒~約10秒間、または約0.5秒~約5.0秒間、接触させることを含み得る。更に、基材をモリブデンハライド前駆体と接触させる間、モリブデンハライド前駆体の流量は、1000sccm未満、または500sccm未満、または100sccm未満、または10sccm未満、または更に1sccm未満であり得る。更に、基材をモリブデンハライド前駆体と接触させる間、モリブデン前駆体の流量は、約1~2000sccm、約5~1000sccm、または約10~約500sccmの範囲であり得る。
【0104】
図3のプロセスブロック130によって例示される核形成膜上に直接モリブデン金属膜を堆積するための例示的な原子層堆積プロセス130は、反応チャンバをパージすることによって継続することができる。例えば、過剰な第一の気相反応物質および反応副生成物(あれば)を、例えば、不活性ガスでポンプ注入することによって、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、パージサイクルを含んでもよく、基材表面は、約5.0秒未満、または約3.0秒未満、または更に約2.0秒未満の時間にわたってパージされる。例えば、過剰なモリブデン前駆体および可能性のある反応副生成物などの過剰な第一の気相反応物質を、反応チャンバと流体連通するポンプシステムによって生成される真空を用いて除去してもよい。
【0105】
反応チャンバをパージサイクルでパージすると、例示的な原子層堆積プロセスブロック130は、基材を第二の気相反応物質と接触させること、特に基材を還元剤前駆体(「還元前駆体」)を含む第二の気相反応物質と接触させることを含むプロセスブロック330によって、周期的堆積フェーズ305の第二段階を継続することができる。
【0106】
本開示のいくつかの実施形態では、還元剤前駆体は、フォーミングガス(H2+N2)、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(N2H4)、アルキル-ヒドラジン(例えば、三級ブチルヒドラジン(C4H12N2)、水素分子(H2)、水素原子(H)、水素プラズマ、水素ラジカル、水素励起種、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、ボラン、またはアミンのうちの少なくとも一つを含むことができる。更なる実施形態では、還元剤前駆体は、少なくとも一つのシラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、トリシラン(Si3H8)、ゲルマン(GeH4)ジゲルマン(Ge2H6)、ボラン(BH3)、またはジボラン(B2H6)を含み得る。本開示の特定の実施形態では、還元剤前駆体は水素分子(H2)を含み得る。
【0107】
本開示のいくつかの実施形態では、基材を還元剤前駆体と接触させることは、基材を還元材前駆体と、約0.01秒~約180秒間、約0.05秒~約60秒間、または約0.1秒~約10.0秒間、接触させることを含み得る。更に、基材を還元剤前駆体と接触させる間、還元剤前駆体の流量は、30slm未満、または15slm未満、または10slm未満、または5slm未満、または1slm未満、または更に0.1slm未満であってもよい。更に、基材を還元剤前駆体と接触させる間、還元剤前駆体の流量は、約0.1~30slm、約5~15slm、または10slm以上の範囲であり得る。
【0108】
基材を還元剤前駆体と接触させると、核形成膜上に直接モリブデン金属膜を堆積するための例示的プロセスブロック130を、反応チャンバをパージすることによって進めることができる。例えば、過剰な還元剤前駆体および反応副生成物を、例えば、不活性ガスを流しながらポンプ注入することによって、基材の表面から除去することができる。本開示のいくつかの実施形態では、パージプロセスは、基材表面を約0.1秒~約10秒間、または約0.5秒~約3秒間、または更には約1秒~2秒間、パージすることを含み得る。
【0109】
反応チャンバから第二の気相反応物質、即ち還元剤前駆体(および任意の反応副生成物)のパージが完了すると、例示的な原子層堆積プロセスブロック130の周期的堆積フェーズ305は決定ゲート340に続き、決定ゲート340は堆積させたモリブデン金属膜の厚さに依存する。例えば、モリブデン金属膜が所望のデバイス用途に対して不十分な厚さで堆積された場合、プロセスブロック320に戻ること、および更なる堆積サイクルを継続することによって周期的堆積フェーズ305を繰り返してもよく、一単位の堆積サイクルは、基材をモリブデンハライド前駆体と接触させること(プロセスブロック320)、反応チャンバをパージすること、基材を還元剤前駆体と接触させること(プロセスブロック330)、および再び反応チャンバをパージすること、を含むことができる。周期的堆積フェーズ305の単位堆積サイクルを、所望の厚さのモリブデン金属膜が基材上に、および特に核形成膜上に直接堆積するまで一回または複数回繰り返してもよい。モリブデン金属膜を所望の厚さに堆積させると、例示的な原子層堆積プロセスブロック130は、プロセスブロック350によって終了することができ、モリブデン金属膜を上に堆積させた誘電体表面を含む基材を、デバイス構造の形成のために更に処理することができる。例えば、
図1の例示的プロセス100は、プロセスが終了するプロセスブロック140に進んでもよく、そしてモリブデン金属膜が上に配置された基材に対して更に半導体プロセスを行い、半導体デバイス構造を完成させることができる。
【0110】
当然のことながら、本開示のいくつかの実施形態では、基材を第一の気相反応物質(例えば、モリブデン前駆体)および第二の気相反応物質(例えば、還元前駆体)と接触させる順序は、基材を最初に第二の気相反応物質と接触させるのに続いて、第一の気相反応物質と接触させるようにすることができる。更に、いくつかの実施形態では、例示的なプロセスブロック130の周期的堆積フェーズ305は、基材を第二の気相反応物質と一回または複数回接触させる前に、基材を第一の気相反応物質と一回または複数回接触させることを含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、例示的なプロセスブロック130の周期的堆積フェーズ305は、基材を第一の気相反応物質と一回以上接触させる前に、基材を第二の気相反応物質と一回以上接触させることを含んでもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、核形成上に直接モリブデン金属膜を堆積するために利用される周期的堆積プロセスは、本明細書で前述したように、ハイブリッドALD/CVDまたは周期的CVDプロセスであってもよい。
【0112】
本明細書に開示される方法によって堆積されたモリブデン金属膜は、連続的膜であり得る。いくつかの実施形態では、モリブデン金属膜は、約100Å以下、または約60Å以下、または約50Å以下、または約40Å以下、または約30Å以下、または約20以下、または約10Å以下、または更には5Å以下の厚さで連続的であってもよい。本明細書で言及される連続性は、物理的連続性または電気的連続性であることができる。本開示のいくつかの実施形態では、材料膜が物理的に連続的であってもよい厚さは、膜が電気的に連続的である厚さと同じでなくてもよく、その逆もまた同じである。
【0113】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示の実施形態にしたがって形成されたモリブデン金属膜は、約20オングストローム~約250オングストローム、または約50オングストローム~約200オングストローム、または更には約100オングストローム~約150オングストロームの厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるいくつかの実施形態に従って堆積されたモリブデン金属膜は、約20Åを超える、または約30Åを超える、または約40Åを超える、または約50Åを超える、または約60Åを超える、または約100Åを超える、または約250Åを超える、または約500Åを超える、またはそれを超える、厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるいくつかの実施形態に従って堆積されたモリブデン金属膜は、約250Å未満、または約100Å未満、または約50Å未満、または約25Å未満、または約10Å未満、または更には約5Å未満の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、中間核形成膜を利用して誘電体表面上に配置されたモリブデン金属膜は、約100オングストローム~250オングストロームの厚さを有してもよい。
【0114】
本開示のいくつかの実施形態では、モリブデン金属膜が結晶膜を含んでもよいように、中間核形成膜を利用して誘電体表面上にモリブデン金属膜を堆積させてもよい。いくつかの実施形態では、モリブデン金属膜は、多結晶性膜を含んでもよく、多結晶性モリブデン金属膜を含む複数の結晶粒子は、100Åより大きい、または200Åより大きい、または更には250Åより大きい粒子サイズを有してもよい。いくつかの実施形態では、結晶性モリブデン金属膜の結晶構造は体心立方構造を含むことができる。
【0115】
本開示のいくつかの実施形態では、モリブデン金属膜を、垂直高アスペクト比の形体および/または水平高アスペクト比の形体を含む、一つまたは複数の高アスペクト比の形体を有する誘電体表面上に堆積させることができる。
【0116】
例えば、
図4Cは、垂直高アスペクト比の形体404を有する誘電体材料402を備える半導体デバイス構造410を例示する。アスペクト比(高さ:幅)は、2:1より大きい、または5:1より大きい、または10:1より大きい、または25:1より大きい、または50:1より大きい、または更に100:1より大きくてもよく、この特定の例では、「より大きい」は、ギャップ形体のより高い高さを指す。本明細書で開示される堆積方法は、モリブデン金属膜412によって例示されるように、垂直高アスペクト比ギャップ形体404の表面上にモリブデン金属膜を堆積するために利用されることができる。いくつかの実施形態では、垂直高アスペクト比の誘電体ギャップ形体上でのモリブデン金属膜のステップカバレッジは、約50%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、または約99%以上とすることができる。
【0117】
非限定的な例として、半導体デバイス構造410は部分的に作製されたCMOSロジックデバイスを表してもよく、誘電材料402は層間誘電体を備えてもよく、またモリブデン金属膜412は一つまたは複数のトランジスタ構造(図示せず)への電気接続をもたらすための金属ギャップフィルを備えてもよい。
図4Aに例示するように、モリブデン金属膜406は、誘電材料402の上に順番に直接配置される核形成膜404と直接、即ち中間バリア層材料を必要とせずに、接触し、それにより半導体デバイス構造410の全体の実効電気抵抗率を減少させる。
【0118】
いくつかの実施形態では、モリブデン金属膜412は、ギャップフィルメタライゼーションを含むことができ、モリブデン金属膜412は、シームを形成することなく、ギャップ形体、即ち垂直高アスペクト比のギャップ形体404を充填することができる。シームは、ギャップフィル材料中に形成される縁部の当接によって形成される線または一つもしくは複数のボイドを指す場合があり、走査透過形電子顕微鏡(STEM)または透過形電子顕微鏡(TEM)を用いてシームを確認することができる。観察によってギャップフィル材料中に明確な垂直線または一つもしくは複数の垂直ボイドが明らかになる場合、シームが存在する。
【0119】
更なる非限定的な例として、
図5Cは、一つまたは複数の水平高アスペクト比のギャップ形体504を有する誘電材料502を備える半導体デバイス構造510を例示し、アスペクト比(高さ:幅)は、1:2より大きく、または1:5より大きく、または1:10より大きく、または1:25より大きく、または1:50より大きく、または更には1:100より大きくてもよく、この例では、用語「より大きい」は、一つまたは複数のギャップ形体の広い幅を指す。本明細書で開示される堆積方法は、中間核形成膜506を利用して水平高アスペクト比のギャップ形体504の表面上にモリブデン金属膜512を堆積するために利用されてもよい。いくつかの実施形態では、水平高アスペクト比の誘電体ギャップ形体上に堆積させるモリブデン金属膜のステップカバレッジは、約50%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、または約99%以上とすることができる。
【0120】
非限定的な例示的な実施形態として、半導体デバイス構造510は、部分的に作製されたメモリ装置の一部分を表してもよく、誘電材料502は酸化アルミニウム(Al2O3)を含み、およびモリブデン金属膜512は金属ゲート構造の少なくとも一部を含んでもよい。
【0121】
前述のように、垂直ギャップフィルプロセスと同様に、(
図5Cの)モリブデン金属膜512をシームを形成することなく、水平高アスペクト比の形体用ギャップフィルメタライゼーションとして利用することができる。
【0122】
本開示のいくつかの実施形態では、誘電体表面上に直接配置された核形成膜上に直接堆積させたモリブデン金属膜は、低電気抵抗率モリブデン金属膜を含むことができる。いくつかの実施形態では、中間核形成膜を利用して誘電体表面上に堆積させたモリブデン金属膜は、誘電体表面上に直接、即ち中間核形成膜を全く用いることなく堆積させたモリブデン膜よりも低い電気抵抗率を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のモリブデン金属膜は、3000μΩ-cm未満、または1000μΩ-cm未満、または500μΩ-cm未満、または200μΩ-cm未満、または100μΩ-cm未満、または50μΩ-cm未満、または25μΩ-cm未満、または15μΩ-cm、または更に10μΩ-cm未満の電気抵抗率を有することができる。非限定的な例として、モリブデン金属膜を、中間核形成膜を利用して、約60オングストローム未満のモリブデン金属膜厚まで誘電体材料の表面上に堆積してもよく、モリブデン金属膜は、40μΩ-cm未満、または35μΩ-cm未満、更には30μΩ-cm未満の電気抵抗率を示すことができる。
【0123】
モリブデン金属膜の電気抵抗率を改善することに加えて、中間核形成膜の堆積はまた、堆積させたモリブデン金属膜の表面粗さを改善することができる。例えば、
図6は、二つの例示的な60オングストロームの厚さのモリブデン金属膜について、オングストロームでのr.m.s.表面粗さ(R
a)を示す。ラベル600によって示されるモリブデン金属膜を、酸化アルミニウム(Al
2O
3)誘電体表面上に直接堆積させた。対応するr.m.s.表面粗さ(R
a)は、約7.3オングストロームである。ラベル602によって示されるモリブデン金属膜を、酸化アルミニウム(Al
2O
3)誘電体表面上に直接配置した4オングストローム厚さの窒化ケイ素核形成膜上に直接堆積させた。対応するr.m.s.表面粗さ(R
a)は、約3.3オングストロームである。モリブデン金属膜のr.m.s.表面粗さ(R
a)は、原子間力顕微鏡を利用して、例えば、1ミクロン×1ミクロンの表面積にわたって測定されることができることに留意されたい。
【0124】
したがって、中間核形成膜の使用することにより、モリブデン金属膜の表面粗さを大幅に改善し、例えば、いくつかの実施形態では、中間核形成膜を利用して誘電体表面上に堆積させたモリブデン金属膜のr.m.s.表面粗さは、5オングストローム未満、または4オングストローム未満、または3オングストローム未満、または更には2オングストローム未満のr.m.s.表面粗さ(Ra)を有することができる。いくつかの実施形態では、r.m.s表面粗さ(Ra)を、総膜厚の粗さの百分率として表してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、r.m.s.表面粗さ(Ra)は、モリブデン金属膜の総厚さの10パーセント未満、または5パーセント未満、または3パーセント未満、または更には1パーセント未満とすることができる。
【0125】
本開示のいくつかの実施形態では、中間核形成膜を利用して誘電体表面上にモリブデン金属膜を堆積させる方法は、低原子百分率(原子%)の不純物を有するモリブデン金属膜を堆積することを更に含んでもよい。例えば、本開示のモリブデン金属膜は、5at.%未満、または2at.%未満、または更には1at.%未満の不純物濃度を含み得る。いくつかの実施形態では、モリブデン金属膜内に配置された不純物は、少なくとも酸素および塩素を含み得る。
【0126】
本開示の実施形態はまた、モリブデン金属膜を含む半導体デバイス構造を提供することができる。いくつかの実施形態では、半導体デバイス構造は、誘電体表面を備える基材と、誘電体表面上に直接配置される核形成膜と、核形成膜上に直接配置されるモリブデン金属膜と、を備える。非限定的な例として、(
図4Cの)半導体デバイス構造410および(
図5Cの)半導体デバイス構造510は誘電体基材402/502を含み、誘電体基材は誘電体表面を備える。誘電体基材402上に核形成膜406/506が直接配置され、核形成膜406/506上にモリブデン金属膜412/512が直接配置される。したがって、いくつかの実施形態では、核形成406/506は、モリブデン金属膜412/512と誘電材料402/502との間に直接配置される。
【0127】
いくつかの実施形態では、核形成膜406/506は連続膜を備えてもよいが、別の実施形態では、核形成膜406’/506’は不連続膜を備えてもよい。いくつかの実施形態では、連続核形成膜406/506は、20オングストローム未満、または10オングストローム未満、または5オングストローム未満、または更には3オングストローム未満の厚さであってもよい。いくつかの実施形態では、不連続核形成膜406’/506’は、20オングストローム未満、10オングストローム未満、または5オングストローム未満、または更に3オングストローム未満の厚さであってもよい。
【0128】
いくつかの実施形態では、核形成膜406/506は化合物材料を含むことができ、特定の実施形態では、核形成膜406/506は、二成分化合物材料、例えばシリコン二成分化合物材料またはモリブデン二成分化合物材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、核形成膜406/506は、三成分化合物材料、例えば、ケイ素三成分材料またはモリブデン三成分材料を含むことができる。
【0129】
非限定的な例として、シリコン二成分化合物材料は、窒化ケイ素、炭化ケイ素、または酸化ケイ素のうちの少なくとも一つを含むことができる。更なる非限定的な例として、モリブデン二成分化合物材料は、窒化モリブデン、炭化モリブデン、酸化モリブデン、またはケイ化モリブデンのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、モリブデン金属膜412/512は結晶質であってもよく、5原子%未満、または2原子%未満、または更に1原子%未満の不純物濃度を有してもよい。更に、モリブデン金属膜412/512は、60オングストローム未満の厚さで40μΩ・cm未満の電気抵抗率を有することができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、モリブデン金属膜412/512は、5オングストローム未満、または4オングストローム未満、または3オングストローム未満、または更には2オングストローム未満のr.m.s.表面粗さ(Ra)を有することができる。いくつかの実施形態では、r.m.s表面粗さ(Ra)を、総膜厚の粗さの百分率として表してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、r.m.s.表面粗さ(Ra)は、モリブデン金属膜の総厚さの10パーセント未満、または5パーセント未満、または3パーセント未満、または更には1パーセント未満とすることができる。モリブデン金属膜412および512によって例示するように、モリブデン金属膜412/512の低い表面粗さは、モリブデン金属膜が基材内および/または基材上に配置される一つまたは複数のギャップ形体、例えば垂直ギャップ形体404および/または水平ギャップ形体504をシームを形成することなく充填することを可能にすることができる。
【0132】
上に記載した本開示の例示的実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその法的等価物により定義される、本発明の実施形態の単なる例であるため、これらの実施形態によって本発明の範囲は限定されない。いかなる同等の実施形態も、本発明の範囲内にあることを意図している。実際に、記載した要素の代替の有用な組み合わせなど、本明細書に示し記載したものに加えて、本開示の様々な改変が、記載から当業者に明らかとなってもよい。このような改変および実施形態もまた、添付の特許請求の範囲に入ると意図される。
【外国語明細書】