(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161100
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】超音波システムおよび超音波システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024144105
(22)【出願日】2024-08-26
(62)【分割の表示】P 2022551173の分割
【原出願日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2020158336
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】越野 理子
(57)【要約】
【課題】放射線画像に含まれる乳房の関心領域と超音波画像に含まれる乳房の関心領域とが同一であるか否か判定することができる超音波システムおよび超音波システムの制御方法を提供する。
【解決手段】超音波システムおよび超音波システムの制御方法においては、第2関心領域特定部が、超音波画像に含まれる第2関心領域を特定し、同一判定部が、放射線画像に含まれる第1関心領域と、第2関心領域と、が互いに同一であるか否かを判定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブと、
前記超音波プローブを用いて被検体の乳房に超音波ビームの送受信を行うことにより得られた受信信号から、放射線画像に含まれる前記被検体の乳房の第1関心領域に対応する前記被検体の乳房の第2関心領域を含む超音波画像を生成する画像生成部と、
前記超音波画像に含まれる前記第2関心領域を特定する第2関心領域特定部と、
前記放射線画像に含まれる前記第1関心領域と、前記第2関心領域と、が互いに同一であるか否かを判定する同一判定部と、
ユーザから入力された指示を受け取る入力装置と
を備え、
前記同一判定部は、前記ユーザから入力された前記超音波画像のフリーズ動作の指示に基づいて判定を開始する、超音波システム。
【請求項2】
超音波診断装置を備え、
前記超音波診断装置は、前記超音波プローブと、前記画像生成部と、前記第2関心領域特定部と、前記同一判定部と、を有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
超音波診断装置と、
前記超音波診断装置にネットワークを介して接続された遠隔コンピュータと、を備え、
前記超音波診断装置は、前記超音波プローブと、前記画像生成部と、を有し、
前記遠隔コンピュータは、前記同一判定部を有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記超音波診断装置は、モニタと、表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記放射線画像と前記超音波画像とを並べて前記モニタに表示させる、請求項2または3に記載の超音波システム。
【請求項5】
前記遠隔コンピュータはワークステーションであり、
モニタと、表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記放射線画像と前記超音波画像とを並べて前記モニタに表示させる、請求項3に記載の超音波システム。
【請求項6】
前記遠隔コンピュータはワークステーションであり、
前記ワークステーションに前記ネットワークを介して接続されたクライアントを備え、
前記クライアントが、モニタと、表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記放射線画像と前記超音波画像とを並べて前記モニタに表示させる、請求項3に記載の超音波システム。
【請求項7】
前記遠隔コンピュータは医療用画像管理システムであり、
医療用画像管理システムが、モニタと、表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記放射線画像と前記超音波画像とを並べて前記モニタに表示させる、請求項3に記載の超音波システム。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記放射線画像に含まれる前記第1関心領域および前記超音波画像に含まれる前記第2関心領域のそれぞれを拡大して前記モニタに表示させる、請求項4ないし7のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記同一判定部による判定の結果を前記モニタに表示させる、請求項4ないし8のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項10】
前記同一判定部は、前記第1関心領域を含む1方向の放射線画像、または、前記第1関心領域を含む、互いに異なる2方向の放射線画像に基づいて判定を行う、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項11】
前記同一判定部は、前記第2関心領域を含む1断面の超音波画像、または、前記第2関心領域を含む、互いに直交する2断面の超音波画像に基づいて判定を行う、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項12】
前記同一判定部は、前記第2関心領域を含む、互いに異なる複数の断面の超音波画像からなるボリュームデータ、または、前記ボリュームデータを用いて再構成された3次元画像に基づいて判定を行う、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項13】
前記同一判定部は、前記ユーザから入力された前記第2関心領域を指定する指示に基づいて、前記超音波画像に含まれる前記第2関心領域を特定する、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項14】
前記第2関心領域特定部は、被検体の乳房の学習用超音波画像を第1教師データとして、前記学習用超音波画像と、前記学習用超音波画像に含まれる関心領域との関係を、複数の前記第1教師データについて学習した第1判定モデルを有し、
前記第1判定モデルは、前記超音波画像を入力として、前記超音波画像に含まれる前記第2関心領域を特定する、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項15】
前記超音波画像は、動画像であり、
前記第1判定モデルは、前記動画像を入力として、前記動画像に含まれる前記第2関心領域を特定する、請求項14に記載の超音波システム。
【請求項16】
前記同一判定部は、被検体の乳房の関心領域を含む学習用放射線画像および前記学習用放射線画像に含まれる関心領域と同一の被検体の乳房の関心領域を含む学習用超音波画像を1組の第2教師データとして、前記学習用放射線画像および前記学習用超音波画像と、前記学習用放射線画像に含まれる関心領域と前記学習用超音波画像に含まれる関心領域とが同一であるか否かとの関係を、複数の前記第2教師データについて学習した第2判定モデルを有し、
前記第2判定モデルは、前記放射線画像および前記超音波画像を1組の入力として、前記放射線画像に含まれる前記第1関心領域と前記超音波画像に含まれる前記第2関心領域とが同一であるか否かの判定の結果を出力する、請求項14または15に記載の超音波システム。
【請求項17】
前記同一判定部は、前記ユーザから入力された前記超音波画像のフリーズ動作の指示に基づいて前記超音波画像が生成された後に、前記ユーザから入力された前記第2関心領域を指定する指示に基づいて判定を開始する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項18】
前記同一判定部は、外部から取得された前記放射線画像の前記第1関心領域の情報に基づいて、前記放射線画像に含まれる前記第2関心領域を特定する、請求項1ないし17のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項19】
超音波プローブを用いて被検体の乳房に超音波ビームの送受信を行うことにより得られた受信信号から、放射線画像に含まれる前記被検体の乳房の第1関心領域に対応する前記被検体の乳房の第2関心領域を含む超音波画像を生成し、
前記超音波画像に含まれる前記第2関心領域を特定し、
ユーザから入力された前記超音波画像のフリーズ動作の指示に基づいて、前記放射線画像に含まれる前記第1関心領域と、前記第2関心領域と、が互いに同一であるか否かの判定を開始する、超音波システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像に含まれる乳房の関心領域と超音波画像に含まれる乳房の関心領域とが同一であるか否かを判定する機能を有する超音波システムおよび超音波システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンモグラフィ検査により、病変部である可能性がある乳房の関心領域が発見された場合、続いて、超音波検査により、マンモグラフィ画像での乳房の関心領域に対応する、超音波画像での乳房の関心領域を特定して、超音波画像に含まれる乳房の関心領域が病変部なのか否かの質的診断が行われる場合がある。
【0003】
ここで、本発明の参考となる先行技術文献として、例えば特許文献1,2等がある。
【0004】
特許文献1の治療システムでは、X線CT装置(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)およびMRI装置(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)等の画像診断装置を用いてマルチスライス画像の三次元ボリュームデータが取得され、治療部位が設定されてボリュームデータ上にマーキングされる。治療プローブには、超音波探触子の三次元的な位置及び傾きを検出する位置センサが取り付けられ、超音波探触子が被検者のどの部位に位置しているかを知るための情報が得られる。画像診断装置のボリュームデータから、治療プローブの位置に応じた超音波画像と同一断面の断層像データが抽出されてリファレンス画像とされ、マーキングされた治療部位が、リファレンス画像に重畳して表示される。そして、リアルタイムでリファレンス画像と超音波画像がモニタに表示され、マーキングされた治療部位がリファレンス画像上に現れると、治療プローブがその位置で保持されて治療が実行される。
【0005】
特許文献2は、同一の被検体を撮影して得た複数の画像を用いて被検体を診断することを支援する画像診断支援装置に関する。この画像診断支援装置では、画像上の病変の位置を用いて、画像上の基準点から病変に対するベクトルが、複数の画像上における病変それぞれについて算出される。続いて、複数の画像上における各ベクトル間の類似度が算出される。その結果、類似度が所定閾値以上であれば各ベクトルに対応する病変は同一の病変であると判定され、類似度が閾値未満であれば異なる病変であると判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-146863号公報
【特許文献2】特開2013-123528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、マンモグラフィ検査と超音波検査とでは、検査方法の違いによって検査時の被検体の姿勢が異なる。例えば、マンモグラフィ検査では、立位の被検体の乳房が圧迫板により圧迫された状態で乳房のマンモグラフィ画像が生成される。一方、超音波検査では、仰向けの被検体の乳房の超音波画像が生成される。そのため、マンモグラフィ画像に含まれる乳房の関心領域と超音波画像に含まれる乳房の関心領域とでは、その形状および大きさ等が異なって見え、超音波検査において、マンモグラフィ画像での乳房の関心領域に対応する、超音波画像での乳房の関心領域を特定するのが難しいという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、放射線画像に含まれる乳房の関心領域と超音波画像に含まれる乳房の関心領域とが同一であるか否かを判定することができる超音波システムおよび超音波システムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、超音波プローブと、
超音波プローブを用いて被検体の乳房に超音波ビームの送受信を行うことにより得られた受信信号から、放射線画像に含まれる被検体の乳房の第1関心領域に対応する被検体の乳房の第2関心領域を含む超音波画像を生成する画像生成部と、
超音波画像に含まれる第2関心領域を特定する第2関心領域特定部と、
放射線画像に含まれる第1関心領域と、第2関心領域と、が互いに同一であるか否かを判定する同一判定部と、
ユーザから入力された指示を受け取る入力装置と
を備え、
同一判定部は、ユーザから入力された超音波画像のフリーズ動作の指示に基づいて判定を開始する、超音波システムを提供する。
【0010】
ここで、超音波診断装置を備え、
超音波診断装置は、超音波プローブと、画像生成部と、第2関心領域特定部と、同一判定部と、を有することが好ましい。
【0011】
また、超音波診断装置と、
超音波診断装置にネットワークを介して接続された遠隔コンピュータと、を備え、
超音波診断装置は、超音波プローブと、画像生成部と、を有し、
遠隔コンピュータは、同一判定部を有することが好ましい。
【0012】
また、超音波診断装置は、モニタと、表示制御部と、を備え、
表示制御部は、放射線画像と超音波画像とを並べてモニタに表示させることが好ましい。
【0013】
また、遠隔コンピュータはワークステーションであり、
モニタと、表示制御部と、を備え、
表示制御部は、放射線画像と超音波画像とを並べてモニタに表示させることが好ましい。
【0014】
また、遠隔コンピュータはワークステーションであり、
ワークステーションにネットワークを介して接続されたクライアントを備え、
クライアントが、モニタと、表示制御部と、を備え、
表示制御部は、放射線画像と超音波画像とを並べてモニタに表示させることが好ましい。
【0015】
また、遠隔コンピュータは医療用画像管理システムであり、
医療用画像管理システムが、モニタと、表示制御部と、を備え、
表示制御部は、放射線画像と超音波画像とを並べてモニタに表示させることが好ましい。
【0016】
また、表示制御部は、放射線画像に含まれる第1関心領域および超音波画像に含まれる第2関心領域のそれぞれを拡大してモニタに表示させることが好ましい。
【0017】
また、表示制御部は、同一判定部による判定の結果をモニタに表示させることが好ましい。
【0018】
また、同一判定部は、第1関心領域を含む1方向の放射線画像、または、第1関心領域を含む、互いに異なる2方向の放射線画像に基づいて判定を行うことが好ましい。
【0019】
また、同一判定部は、第2関心領域を含む1断面の超音波画像、または、第2関心領域を含む、互いに直交する2断面の超音波画像に基づいて判定を行うことが好ましい。
【0020】
また、同一判定部は、第2関心領域を含む、互いに異なる複数の断面の超音波画像からなるボリュームデータ、または、ボリュームデータを用いて再構成された3次元画像に基づいて判定を行うことが好ましい。
【0021】
また、同一判定部は、ユーザから入力された第2関心領域を指定する指示に基づいて、超音波画像に含まれる第2関心領域を特定することが好ましい。
【0022】
また、第2関心領域特定部は、被検体の乳房の学習用超音波画像を第1教師データとして、学習用超音波画像と、学習用超音波画像に含まれる関心領域との関係を、複数の第1教師データについて学習した第1判定モデルを有し、
第1判定モデルは、超音波画像を入力として、超音波画像に含まれる第2関心領域を特定することが好ましい。
【0023】
また、超音波画像は、動画像であり、
第1判定モデルは、動画像を入力として、動画像に含まれる第2関心領域を特定することが好ましい。
【0024】
また、同一判定部は、被検体の乳房の関心領域を含む学習用放射線画像および学習用放射線画像に含まれる関心領域と同一の被検体の乳房の関心領域を含む学習用超音波画像を1組の第2教師データとして、学習用放射線画像および学習用超音波画像と、学習用放射線画像に含まれる関心領域と学習用超音波画像に含まれる関心領域とが同一であるか否かとの関係を、複数の第2教師データについて学習した第2判定モデルを有し、
第2判定モデルは、放射線画像および超音波画像を1組の入力として、放射線画像に含まれる第1関心領域と超音波画像に含まれる第2関心領域とが同一であるか否かの判定の結果を出力することが好ましい。
【0025】
また、同一判定部は、ユーザから入力された超音波画像のフリーズ動作の指示に基づいて超音波画像が生成された後に、ユーザから入力された第2関心領域を指定する指示に基づいて判定を開始することが好ましい。
【0026】
また、同一判定部は、外部から取得された放射線画像の第1関心領域の情報に基づいて、放射線画像に含まれる第2関心領域を特定することが好ましい。
【0027】
また、本発明は、超音波プローブを用いて被検体の乳房に超音波ビームの送受信を行うことにより得られた受信信号から、放射線画像に含まれる被検体の乳房の第1関心領域に対応する被検体の乳房の第2関心領域を含む超音波画像を生成し、
超音波画像に含まれる第2関心領域を特定し、
ユーザから入力された超音波画像のフリーズ動作の指示に基づいて、放射線画像に含まれる第1関心領域と、第2関心領域と、が互いに同一であるか否かの判定を開始する、超音波システムの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域を特定し、放射線画像に含まれる乳房の第1関心領域と、第2関心領域とが、互いに同一であるか否かの判定を、ユーザから入力された超音波画像のフリーズ動作の指示に基づいて開始することができる。そのため、ユーザは、放射線画像に含まれる乳房の第1関心領域と、超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域と、を取り違えることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の超音波システムの構成を表す一実施形態のブロック図である。
【
図2】超音波診断装置が、マンモグラフィ装置からマンモグラフィ画像を取得する場合の構成を表す一実施形態のブロック図である。
【
図3】送受信回路の構成を表す一実施形態のブロック図である。
【
図4】画像生成部の構成を表す一実施形態のブロック図である。
【
図5】関心領域処理部の構成を表す一実施形態のブロック図である。
【
図6】マンモグラフィ装置の構成を表す一実施形態のブロック図である。
【
図7】超音波画像を撮像する場合の超音波システムの動作を表す一実施形態のフローチャートである。
【
図8】右乳房の関心領域の同一判定を行う場合の超音波システムの動作を表す一実施形態のフローチャートである。
【
図9】モニタの表示画面を表す一実施形態の概念図である。
【
図10】超音波診断装置が、遠隔コンピュータからマンモグラフィ画像を取得する場合の構成を表す一実施形態のブロック図である。
【
図11】遠隔コンピュータの構成を表す一実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の超音波システムおよび超音波システムの制御方法を詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の超音波システムの構成を表す一実施形態のブロック図である。
図1に示す超音波システムは、超音波プローブ1と、この超音波プローブ1と接続される装置本体3と、を有する超音波診断装置20を備えている。超音波診断装置20は、
図2に示すように、例えば病院内のローカルネットワーク等のネットワーク40を介して、マンモグラフィ装置30と相互に接続されており、これにより、双方向にデータの受け渡しが可能である。
【0032】
超音波プローブ1は、超音波ビームにより被検体をスキャンして、超音波画像に対応する音線信号を出力する。超音波プローブ1は、
図1に示すように、振動子アレイ11と、送受信回路14と、を備えている。振動子アレイ11と送受信回路14とは双方向に接続されている。また、送受信回路14には、後述する装置制御部36が接続されている。
【0033】
振動子アレイ11は、1次元または2次元に配列された複数の超音波振動子を有している。これらの振動子は、それぞれ送受信回路14から供給される駆動信号に従って超音波を送信し、かつ、被検体からの反射波を受信してアナログの受信信号を出力する。
各振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成した素子を用いて構成される。
【0034】
送受信回路14は、装置制御部36による制御の下で、振動子アレイ11から超音波を送信させ、かつ、超音波エコーを受信した振動子アレイ11から出力される受信信号に受信フォーカス処理を施すことにより音線信号を生成する。送受信回路14は、
図3に示すように、振動子アレイ11に接続されるパルサ51と、振動子アレイ11から順次直列に接続される増幅部52、AD(Analog Digital)変換部53およびビームフォーマ54と、を有している。
【0035】
パルサ51は、例えば複数のパルス発生器を含んでおり、装置制御部36により選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ11の複数の振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の振動子に供給する。このように、振動子アレイ11の振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
【0036】
送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ1の振動子アレイ11に向かって伝搬する。振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子は、このように振動子アレイ11に向かって伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して、電気信号である受信信号を発生し、これらの受信信号を増幅部52に出力する。
【0037】
増幅部52は、振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部53に送信する。AD変換部53は、増幅部52から送信されたアナログの信号をデジタルの受信データに変換し、これらの受信データをビームフォーマ54に出力する。
【0038】
ビームフォーマ54は、装置制御部36により選択された受信遅延パターンに基づいて設定される音速または音速の分布に従い、AD変換部53により変換された各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部53で変換された各受信データが整相加算され、かつ、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が生成される。
【0039】
次に、装置本体3は、超音波プローブ1によって生成された音線信号に基づいて超音波画像を表示する。装置本体3は、
図1に示すように、画像生成部31と、画像メモリ32と、関心領域処理部35と、表示制御部33と、装置制御部36と、モニタ(表示部)34と、入力装置37と、を備えている。
【0040】
画像生成部31には、表示制御部33およびモニタ34が順次直列に接続されている。また、画像生成部31には、画像メモリ32および関心領域処理部35がそれぞれ接続され、画像メモリ32および関心領域処理部35には、表示制御部33が接続されている。前述の送受信回路14、画像生成部31、表示制御部33および関心領域処理部35には装置制御部36が接続され、装置制御部36には入力装置37が接続されている。
【0041】
画像生成部31は、装置制御部36の制御の下で、送受信回路14により生成された音線信号に基づいて超音波画像(超音波画像信号)を生成する。画像生成部31は、
図4に示すように、信号処理部16、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)18および画像処理部17が順次直列に接続された構成を有している。
【0042】
信号処理部16は、送受信回路14により生成された音線信号に基づいて、超音波画像に対応する画像情報データを生成する。より具体的には、信号処理部16は、送受信回路14のビームフォーマ54により生成された音線信号に対して信号処理、例えば超音波が反射した位置の深度に応じて伝搬距離に起因する減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施して、被検体内の組織に関する断層画像情報を表す画像情報データを生成する。
【0043】
DSC18は、信号処理部16により生成された画像情報データを、通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号にラスター変換する。
【0044】
画像処理部17は、DSC18から入力される画像信号に対して、モニタ34の表示フォーマットに従う明るさ補正、諧調補正、シャープネス補正、画像サイズ補正、リフレッシュレート補正、走査周波数補正および色補正等の各種の画像処理を施すことにより、超音波画像(超音波画像信号)を生成し、生成された超音波画像を表示制御部33および画像メモリ32に出力する。
【0045】
本実施形態の場合、画像生成部31は、超音波プローブ1(より厳密には、振動子アレイ11)を用いて被検体の乳房に超音波ビームの送受信を行うことにより得られた受信信号から、さらに言えば、送受信回路14によって受信信号から生成された音線信号から、放射線画像に含まれる被検体の乳房の第1関心領域に対応する被検体の乳房の第2関心領域を含む超音波画像を生成する。
【0046】
画像メモリ32は、画像生成部31により診断毎に生成された一連の複数フレームの超音波画像(超音波画像信号)を保持するメモリである。画像メモリ32としては、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive:ハードディスクドライブ)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)、FD(Flexible Disc:フレキシブルディスク)、MOディスク(Magneto-Optical disc:光磁気ディスク)、MT(Magnetic Tape:磁気テープ)、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、CD(Compact Disc:コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disc:デジタルバーサタイルディスク)、SDカード(Secure Digital card:セキュアデジタルカード)、USBメモリ(Universal Serial Bus memory:ユニバーサルシリアルバスメモリ)等の記録メディア、またはサーバ等を用いることができる。
【0047】
関心領域処理部35は、装置制御部36の制御の下で、マンモグラフィ画像に含まれる被検体の乳房の第1関心領域および超音波画像に含まれる被検体の乳房の第2関心領域に対し、第2関心領域の特定、および、第1関心領域と第2関心領域との同一判定等の処理を行う。関心領域処理部35は、
図5に示すように、第2関心領域特定部44と、同一判定部46と、を有する。
【0048】
第2関心領域特定部44は、第1判定モデルを有し、第1判定モデルを用いて、超音波画像に含まれる被検体の乳房の第2関心領域を特定する。
【0049】
第1判定モデルは、任意の被検体の乳房の学習用超音波画像を第1教師データとして、学習用超音波画像と、この学習用超音波画像に含まれる乳房の関心領域との関係を、複数の第1教師データについて学習した学習済みモデルである。
第1判定モデルは、その学習結果に基づいて、判定対象となる超音波画像を入力として、この超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域の判定の結果(予測結果)を出力する。つまり、第1判定モデルにより、超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域が特定される。
第1判定モデルは、乳房の正常データ(関心領域なしデータ)を第1教師データとして学習し、異常データ(関心領域ありデータ)が入力された場合に、正常ではない、つまり、第2関心領域があるという判定の結果を出力してもよい。あるいは、第1判定モデルは、乳房の異常データを第1教師データとして学習し、正常データが入力された場合に、正常である、つまり、第2関心領域はないという判定の結果を出力してもよい。判定の結果に、抽出された第2関心領域の座標および位置を合わせて出力しても良い。
【0050】
なお、第2関心領域特定部44が第1判定モデルを有することは必須ではなく、例えばユーザから入力された乳房の第2関心領域を矩形の枠線で囲んで指定する指示に基づいて、超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域を特定してもよい。また、超音波画像を解析する画像解析部を設けておき、第2関心領域特定部44が、画像解析部による超音波画像の解析の結果に基づいて、超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域を特定してもよい。
【0051】
同一判定部46は、第2判定モデルを有し、第2判定モデルを用いて、マンモグラフィ画像に含まれる乳房の第1関心領域と、超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域と、が互いに同一であるか否かを判定し、その判定の結果を出力する。
【0052】
第2判定モデルは、任意の被検体の乳房の関心領域を含む学習用マンモグラフィ画像およびこの学習用マンモグラフィ画像に含まれる乳房の関心領域と同一の被検体の乳房の関心領域を含む学習用超音波画像を1組の第2教師データとして、学習用マンモグラフィ画像および学習用超音波画像と、この学習用マンモグラフィ画像に含まれる乳房の関心領域と学習用超音波画像に含まれる乳房の関心領域とが同一であるか否かとの関係を、複数の第2教師データについて学習した学習済みモデルである。
なお、学習用マンモグラフィ画像および学習用超音波画像は、乳房の関心領域のみを含む画像でもよい。
第2判定モデルは、その学習結果に基づいて、判定対象となるマンモグラフィ画像および超音波画像を1組の入力として、このマンモグラフィ画像に含まれる乳房の第1関心領域と超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域とが同一であるか否かの判定の結果(予測結果)を出力する。つまり、第2判定モデルにより、放射線画像に含まれる乳房の第1関心領域と、超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域と、が互いに同一であるか否かが判定される。
【0053】
なお、第2判定モデルは、同一である/同一ではないという判定の結果を出力してもよいし、あるいはマンモグラフィ画像に含まれる乳房の第1関心領域と超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域との一致度が何%であるという判定の結果を出力してもよい。
【0054】
表示制御部33は、装置制御部36の制御の下で、各種の情報をモニタ34に表示させる。表示制御部33は、例えば画像メモリ32に保持されている超音波画像に対して所定の処理を施して、処理後の超音波画像をモニタ34に表示させる。また、表示制御部33は、マンモグラフィ画像と超音波画像とを並べてモニタ34に表示させたり、同一判定部46による判定の結果をモニタ34に表示させたりする。
【0055】
装置制御部36は、予め記憶されているプログラムおよび入力装置37から入力されたユーザの指示等に基づいて、装置本体3の各部の制御を行う。より詳しくは、装置制御部36は、超音波画像がモニタ34に表示されるように表示制御部33を制御する。また、装置制御部36は、マンモグラフィ画像に含まれる乳房の関心領域と超音波画像に含まれる乳房の関心領域とが同一であるか否かを判定するように関心領域処理部35を制御する。
【0056】
画像生成部31、表示制御部33、関心領域処理部35および装置制御部36によって超音波診断装置20用のプロセッサ39が構成されている。
【0057】
モニタ34は、表示制御部33の制御により、各種の情報を表示する。モニタ34は、マンモグラフィ画像、超音波画像、および、同一判定の結果等を表示する。モニタ34としては、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)および有機EL(Electro-Luminescence:エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等を例示することができる。
【0058】
入力装置37は、ユーザから入力された各種の指示を受け取るものであり、例えば判定開始ボタンおよびフリーズボタン等を含む各種のボタン、およびユーザがタッチ操作を行って各種の指示を入力するタッチパネル等を含む。
【0059】
次に、
図6は、マンモグラフィ装置の構成を表す一実施形態のブロック図である。
図6に示すマンモグラフィ装置30は、X線源60と、X線検出器62と、を備えている。マンモグラフィ検査では、例えば立位の状態の被検体の乳房が圧迫板により圧迫され、X線源60から圧迫板により圧迫された乳房にX線が照射される。そして、乳房を透過したX線がX線検出器62によって検出され、X線検出器62によって検出された検出信号から乳房のマンモグラフィ画像が生成される。
【0060】
マンモグラフィ検査では、例えば被検体の右乳房のMLO(Mediolateral-Oblique:内外斜位)方向およびCC(Cranio-Caudal:頭尾)方向のマンモグラフィ画像(R_MLO画像およびR_CC画像)が生成される。同様に、被検体の左乳房のMLO方向およびCC方向のマンモグラフィ画像(L_MLO画像およびL_CC画像)が生成される。すなわち、R_MLO画像、R_CC画像、L_MLO画像およびL_CC画像が生成される。
【0061】
マンモグラフィ画像に含まれる乳房の第1関心領域は、第1関心領域特定部によって特定される。第1関心領域特定部は、マンモグラフィ画像から第1関心領域を抽出する機能を有し、マンモグラフィ装置30、マンモグラフィ装置30に付随するコンピュータ、もしくは後述する遠隔コンピュータ等において行われるCAD(Computer-Aided-Detection:コンピュータ支援検出)である。第1関心領域特定部は、第3判定モデルを有し、第3判定モデルを用いて、マンモグラフィ画像に含まれる被検体の乳房の第1関心領域を特定する。
【0062】
第3判定モデルは、任意の被検体の乳房の学習用マンモグラフィ画像を第3教師データとして、学習用マンモグラフィ画像と、この学習用マンモグラフィ画像に含まれる乳房の関心領域との関係を、複数の第3教師データについて学習した学習済みモデルである。
第3判定モデルは、その学習結果に基づいて、判定対象となるマンモグラフィ画像を入力として、このマンモグラフィ画像に含まれる乳房の第1関心領域の判定の結果(予測結果)を出力する。つまり、第3判定モデルにより、マンモグラフィ画像に含まれる乳房の第1関心領域が特定される。
第3判定モデルは、乳房の正常データ(関心領域なしデータ)を第3教師データとして学習し、異常データ(関心領域ありデータ)が入力された場合に、正常ではない、つまり、第1関心領域があるという判定の結果を出力してもよい。あるいは、第3判定モデルは、乳房の異常データを第3教師データとして学習し、正常データが入力された場合に、正常である、つまり、第1関心領域はないという判定の結果を出力してもよい。判定の結果に、抽出された第1関心領域の座標および位置を合わせて出力しても良い。
【0063】
なお、第1関心領域特定部が第3判定モデルを有することは必須ではなく、例えばユーザから入力された乳房の第1関心領域を矩形の枠線で囲んで指定する指示に基づいて、マンモグラフィ画像に含まれる乳房の第1関心領域を特定してもよい。また、マンモグラフィ画像を解析する画像解析部を設けておき、第1関心領域特定部が、画像解析部によるマンモグラフィ画像の解析の結果に基づいて、マンモグラフィ画像に含まれる乳房の第1関心領域を特定してもよい。
【0064】
マンモグラフィ画像に含まれる第1関心領域の情報は、マンモグラフィ装置からネットワーク40を介して直接、もしくはネットワーク40上に接続されたPACS(Picture Archiving and Communication Systems:医療用画像管理システム)を介して超音波診断装置20に供給される。あるいは、超音波診断装置20においても、ユーザから入力された乳房の第1関心領域を矩形の枠線で囲んで指定する指示に基づいて、マンモグラフィ画像に含まれる乳房の第1関心領域を特定することができる。
【0065】
次に、
図7のフローチャートを参照しながら、超音波画像を撮像する場合の超音波システムの動作を説明する。
【0066】
まず、超音波プローブ1が被検体の乳房の表皮に接触された状態で、装置制御部36の制御の下で、送受信回路14により超音波の送信が開始され、音線信号が生成される(ステップS1)。
【0067】
つまり、パルサ51からの駆動信号に従って振動子アレイ11の複数の振動子から乳房に超音波ビームが送信される。
パルサ51から送信された超音波ビームに基づく乳房からの超音波エコーは、振動子アレイ11の各振動子により受信され、超音波エコーを受信した振動子アレイ11の各振動子からアナログ信号である受信信号が出力される。
振動子アレイ11の各振動子から出力されるアナログ信号である受信信号は、増幅部52により増幅され、AD変換部53によりAD変換されて受信データが取得される。
この受信データに対して、ビームフォーマ54により受信フォーカス処理が施されることにより、音線信号が生成される。
【0068】
続いて、装置制御部36の制御の下で、画像生成部31により、送受信回路14のビームフォーマ54により生成された音線信号に基づいて、乳房の超音波画像(超音波画像信号)が生成される(ステップS2)。
【0069】
つまり、ビームフォーマ54により生成された音線信号は、信号処理部16により各種の信号処理が施され、被検体内の組織に関する断層画像情報を表す画像情報データが生成される。
信号処理部16により生成された画像情報データは、DSC18によりラスター変換され、さらに画像処理部17により各種の画像処理が施され、超音波画像(超音波画像信号)が生成される。
画像処理部17により生成された超音波画像は、画像メモリ32に保持される。
【0070】
続いて、装置制御部36の制御の下で、表示制御部33により、画像メモリ32に保持された超音波画像に所定の処理が施されて、モニタ34に表示される(ステップS3)。
【0071】
次に、
図8のフローチャートを参照しながら、右乳房の関心領域の同一判定を行う場合の超音波システムの動作を説明する。
【0072】
まず、超音波診断装置20において、ユーザからの指示に応じて、装置制御部36により、マンモグラフィ装置30から、ネットワーク40を介して、好ましくはネットワーク40上のPACSを介して、マンモグラフィ画像および第1関心領域の情報が取得される(ステップS20)。本実施形態の場合、超音波診断装置20において、マンモグラフィ装置30から、R_MLO画像、R_CC画像、L_MLO画像およびL_CC画像からなる4枚のマンモグラフィ画像が取得される。
【0073】
続いて、表示制御部33により、例えばR_MLO画像が、
図9に示すように、モニタ34の表示画面の左上の表示領域に表示される。
続いて、表示制御部33により、R_MLO画像の第1関心領域の情報に基づいて、R_MLO画像に含まれる右乳房の第1関心領域が拡大されて、左上の表示領域の右下部のウィンドウ領域内に表示される。
【0074】
同様に、表示制御部33により、例えばR_CC画像が、
図9に示すように、モニタ34の表示画面の左下の表示領域に表示される。
続いて、表示制御部33により、R_CC画像の第1関心領域の情報に基づいて、R_CC画像に含まれる右乳房の第1関心領域が拡大されて、左下の表示領域の右上部のウィンドウ領域内に表示される。
【0075】
図9に示すように、左上の表示領域に表示されたR_MLO画像および左下の表示領域に表示されたR_CC画像のそれぞれに含まれる右乳房の第1関心領域は、丸枠で囲んで表示される。
【0076】
続いて、画像生成部により、例えば仰向けの状態の被検体の右乳房の第2関心領域を含む第1断面の超音波画像、例えば仰向けの状態の被検体に対して横方向(左右方向)の断面における超音波画像が生成され(ステップS23)、表示制御部33により、第1断面の超音波画像が、モニタ34の表示画面の右上の表示領域に表示される。
続いて、第2関心領域特定部44により、第1判定モデルを用いて、第1断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域が特定され(ステップS24)、表示制御部33により、第1断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域が拡大されて、右上の表示領域の左中央部のウィンドウ領域内に表示される。
【0077】
図9に示すように、右上の表示領域の右下部には、第1断面の超音波画像に対応する断面位置および超音波プローブ1の向きを示す右乳房の模式図が表示される。また、右上の表示領域に表示された第1断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域には、例えば第1の径および第1の径に直交する第2の径を示す直線およびその距離が表示される。
【0078】
続いて、画像生成部により、同様に仰向けの状態の被検体の右乳房の第2関心領域を含む第2断面の超音波画像、例えば仰向けの状態の被検体に対して縦方向(上下方向)の断面における超音波画像が生成され(ステップS25)、表示制御部33により、第2断面の超音波画像が、モニタ34の表示画面の右下の表示領域に表示される。
超音波プローブ1としては、例えば、振動子アレイが1次元に配列されている1Dプローブ、2次元に配列されている2Dプローブ、若しくは、1.5Dプローブ等、各種の超音波プローブが使用される。また、第1断面および第2断面の超音波画像の取得方法としては、例えば、超音波プローブ1を90°回転させて撮影する方法がある。また、別の取得方法としては、振動子アレイが2次元に配列されており、かつ、回転させないで撮影する事のできる超音波プローブを使用して取得することもできる。
続いて、第2関心領域特定部44により、第1判定モデルを用いて、第2断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域が特定され(ステップS26)、表示制御部33により、第2断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域が拡大されて、右下の表示領域の左中央部のウィンドウ領域内に表示される。
【0079】
図9に示すように、右下の表示領域の右下部には、第2断面の超音波画像に対応する断面位置および超音波プローブ1の向きを示す右乳房の模式図が表示される。また、右下の表示領域に表示された第2断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域には、例えば第1の径及び第2の径に直交する第3の径を示す直線およびその距離が表示される。
【0080】
続いて、ユーザにより、判定開始ボタンが押される。これに応じて、同一判定部46により、第2判定モデルを用いて、例えば外部から取得されたR_CC画像の第1関心領域の情報に基づいて特定されたR_CC画像に含まれる右乳房の第1関心領域と、第1断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域と、が互いに同一であるか否かの判定が行われる(ステップS27)。
【0081】
そして、表示制御部33により、同一判定部46による判定の結果がモニタ34に表示される(ステップS28)。例えば、同一判定部46による判定の結果として、「一致しました!」という判定の結果が表示される。ユーザは、モニタ34に表示された判定結果を見て、第1断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域が、R_CC画像に含まれる右乳房の第1関心領域と同一であるか否かを確認し、第1断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域に対して診断を行うことができる。
【0082】
このように、超音波システムは、超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域を特定し、マンモグラフィ画像に含まれる乳房の第1関心領域と、第2関心領域とが、互いに同一であるか否かの判定を自動で行うことができる。そのため、ユーザは、マンモグラフィ画像に含まれる乳房の第1関心領域と、超音波画像に含まれる乳房の第2関心領域と、を取り違えることがなくなり、例えば誤った乳房の関心領域に対して生検を実施することを防止することができる。
【0083】
なお、第1断面および第2断面の超音波画像は、第1断面および第2断面の動画像であってもよい。この場合、第2関心領域特定部44により、第1判定モデルを用いて、動画像を入力として、この動画像に含まれる乳房の第2関心領域が特定される。
【0084】
また、第2断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域が特定され、拡大されて表示されるまでの間、第1断面の超音波画像およびその右乳房の第2関心領域の拡大表示を消してもよい。言い換えると、第2断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域が特定された後、第1断面および第2断面の超音波画像を同時にモニタ34に表示させ、それぞれの右乳房の第2関心領域を拡大してモニタ34に表示してもよい。
【0085】
R_CC画像に含まれる右乳房の第1関心領域と、第1断面の超音波画像に含まれる右乳房の第2関心領域と、の同一判定を行う例を挙げて説明したが、これに限定されず、同一判定部46は、第1関心領域を含む1方向の放射線画像、または、第1関心領域を含む、互いに異なる2方向の放射線画像に基づいて判定を行ってもよい。同様に、同一判定部46は、第2関心領域を含む1断面の超音波画像、または、第2関心領域を含む、互いに直交する2断面の超音波画像に基づいて判定を行ってもよい。また、左乳房の場合も同様である。
【0086】
同一判定部46は、最低、同一乳房の1枚のマンモグラフィ画像および1枚の超音波画像を用いて、同一判定を行うことができるが、本実施形態のように、R_CC画像および第1断面の超音波画像は、観察方向が同じであるため、好ましい。一方、2方向のマンモグラフィ画像および2断面の超音波画像を用いて同一判定を行うことにより、同一判定部46による同一判定の精度をより向上させることができる。また、ユーザにとっては、2方向のマンモグラフィ画像および2断面の超音波画像を見て、第1関心領域および第2関心領域の立体像を予測しやすく、その結果、同一判定の結果を予測しやすくなる。
【0087】
さらに、同一判定部46は、乳房の第2関心領域を含む、互いに異なる複数の断面の超音波画像からなるボリュームデータ、または、ボリュームデータを用いて再構成された3次元画像に基づいて判定を行ってもよい。これにより、同一判定部46による同一判定の精度をさらに向上させることができる。
【0088】
本実施形態の場合、同一判定部46は、ユーザが判定開始ボタンを押すという、ユーザから入力された判定開始の指示に基づいて判定を開始しているが、これに限定されない。例えば、同一判定部46は、判定開始の指示とは関係のない、ユーザから入力された超音波画像のフリーズ動作の指示に基づいて判定を開始してもよいし、あるいは、ユーザから入力された超音波画像のフリーズ動作の指示に基づいて超音波画像が生成された後に、さらに、例えばユーザから入力された乳房の第2関心領域を矩形の枠線で囲んで指定する指示に基づいて判定を開始してもよい。
【0089】
また、同一判定部46は、複数の第1関心領域が放射線画像に含まれている、または、複数の第2関心領域が超音波画像に含まれていることが特定された場合に、すなわち、多発性病変である可能性がある場合に、判定を自動的に開始してもよい。この場合、複数の関心領域の中から、ユーザからの乳房の関心領域を選択する指示に基づいて選択された1つの乳房の関心領域の同一判定を行ってもよい。
【0090】
多発性病変である可能性がある場合、超音波画像を見ながら乳房の生検を行った際に、マンモグラフィ画像において特定された乳房の第1関心領域と、超音波画像において特定された乳房の第2関心領域と、を取り違えたために、誤った乳房の関心領域に対して生検が実施されたという事例が実際の医療現場で発生している。これに対し、上記のように、複数の関心領域が特定された場合に、同一判定を行う機能があれば、生検を行う場合の関心領域の取り違えを減らし、生検の実施時間の短縮が可能となる。
【0091】
また、超音波診断装置20は、マンモグラフィ装置30からマンモグラフィ画像を直接取得するのではなく、遠隔コンピュータからマンモグラフィ画像を取得してもよい。
【0092】
図10は、超音波診断装置が、遠隔コンピュータからマンモグラフィ画像を取得する場合の構成を表す一実施形態のブロック図である。
図10に示すように、超音波診断装置20および遠隔コンピュータ70の各々には、ネットワーク40を介して、マンモグラフィ装置30が接続されている。また、超音波診断装置20と遠隔コンピュータ70とは、ネットワーク40を介して相互に接続されており、これにより、双方向にデータの受け渡しが可能である。
【0093】
ここで、遠隔コンピュータ70は、超音波診断装置20およびマンモグラフィ装置30とネットワーク40を介して接続されているワークステーションまたはPACSである。
【0094】
図10に示す構成の場合、遠隔コンピュータ70は、マンモグラフィ装置30からネットワーク40を介して送信されてくるマンモグラフィ画像および超音波診断装置20からネットワーク40を介して送信されてくる超音波画像を受信して保存し、かつ管理する。超音波診断装置20は、マンモグラフィ装置30から、ネットワーク40を介して、マンモグラフィ画像を直接取得するか、あるいは遠隔コンピュータ70から、ネットワーク40を介して、マンモグラフィ画像を取得することができる。
【0095】
また、超音波診断装置20において同一判定を行ってもよいし、あるいは遠隔コンピュータ70において同一判定を行ってもよい。超音波診断装置20において同一判定を行う場合、遠隔コンピュータ70は不要であり、超音波診断装置20は、
図1に示す全ての構成要素、例えば超音波プローブ1、画像生成部および関心領域処理部35等を備える。一方、遠隔コンピュータ70において同一判定を行う場合、遠隔コンピュータ70が、同一判定部を備え、超音波診断装置20は、同一判定部以外の構成要素、例えば超音波プローブ1、画像生成部および第2関心領域特定部44等を備える。なお、第2関心領域特定部44は、超音波診断装置20が備えていてもよいし、遠隔コンピュータ70が備えていてもよい。
【0096】
図11は、遠隔コンピュータの構成を表す一実施形態のブロック図である。
図11に示す遠隔コンピュータ70は、同一判定部73と、画像保存部72と、遠隔コンピュータ制御部75と、を備える。画像保存部72には、同一判定部73が双方向に接続されている。同一判定部73および画像保存部72には、遠隔コンピュータ制御部75が接続されている。
なお、遠隔コンピュータ70は、同一判定部73だけでなく、超音波診断装置20が備える関心領域処理部35と同様の関心領域処理部を備えても良い。つまり、遠隔コンピュータ70は、第2関心領域特定部44と同様の第2関心領域特定部を備えていてもよい。
【0097】
同一判定部73は、超音波診断装置20の装置本体3が備える同一判定部46と同じものであるが、遠隔コンピュータ制御部75の制御の下で動作する。
【0098】
画像保存部72は、マンモグラフィ画像および超音波画像等の医療用画像を保存する。画像保存部72は、例えば、遠隔コンピュータ70内の医療用画像を保存する記憶装置であってもよい。あるいは、画像保存部72の代わりに、ネットワーク40上に接続されているPACS上の画像保存部を利用することもできる。
【0099】
遠隔コンピュータ制御部75は、予め記憶されているプログラム等に基づいて、遠隔コンピュータ70の各部の制御を行う。より詳しくは、遠隔コンピュータ制御部75は、同一判定が行われるように同一判定部73を制御する。また、遠隔コンピュータ制御部75は、マンモグラフィ画像および超音波画像等の医療用画像が保存されるように画像保存部72を制御する。
【0100】
遠隔コンピュータ70において同一判定を行う場合、同一判定部73により、例えば画像保存部72に保存済みの医療用画像の中から、判定対象となるマンモグラフィ画像および超音波画像が取得される。同一判定部73の動作は、超音波診断装置20において、同一判定部44が同一判定を行う場合の動作と同様である。遠隔コンピュータ70において同一判定が行われた後、同一判定の結果が遠隔コンピュータ70から超音波診断装置20へ送信される。
そして、超音波診断装置20において、表示制御部33により、同一判定の結果がモニタ34に表示される。
【0101】
なお、遠隔コンピュータ70において同一判定を行い、同一判定の結果を超音波診断装置20に送信して、超音波診断装置20の表示制御部により、超音波診断装置20のモニタ34に判定の結果を表示させているが、これに限定されない。例えば、遠隔コンピュータ70がワークステーションである場合、ワークステーションにおいて同一判定を行い、ワークステーションが備える表示制御部により、ワークステーションが備えるモニタに同一判定の結果を表示させてもよい。また、ワークステーションにネットワーク40を介して接続されたクライアントを備える場合、ワークステーションにおいて同一判定を行い、同一判定の結果をワークステーションからクライアントへ送信し、クライアントが備える表示制御部により、クライアントが備えるモニタに同一判定の結果を表示させてもよい。さらに、遠隔コンピュータ70がPACSである場合、PACSにおいて同一判定を行い、PACSが備える表示制御部により、PACSが備えるモニタに同一判定の結果を表示させてもよい。また、超音波診断装置20において同一判定を行い、超音波診断装置20の表示制御部により、超音波診断装置20のモニタ34に判定の結果を表示させてもよいし、同一判定の結果を遠隔コンピュータ70に送信して、遠隔コンピュータ70の表示制御部により、遠隔コンピュータ70のモニタ34に判定の結果を表示させてもよい。
【0102】
遠隔コンピュータ70がワークステーションである場合、ワークステーションが備える表示制御部により、同一被検体の放射線画像と超音波画像とを並べてワークステーションが備えるモニタに表示させてもよい。また、ワークステーションにネットワーク40を介して接続されたクライアントを備える場合、同一被検体の放射線画像および超音波画像をワークステーションからクライアントへ送信し、クライアントが備える表示制御部により、同一被検体の放射線画像と超音波画像とを並べてクライアントが備えるモニタに表示させてもよい。さらに、遠隔コンピュータ70がPACSである場合、PACSが備える表示制御部により、同一被検体の放射線画像と超音波画像とを並べてPACSが備えるモニタに表示させてもよい。このように、同一判定が、超音波診断装置20または遠隔コンピュータ70のどちらで行われた場合であっても、超音波診断装置20および遠隔コンピュータ70の少なくとも一方において、表示制御部により、同一被検体の放射線画像と超音波画像とを並べてモニタ34に表示させることができる。
【0103】
なお、本発明は、マンモグラフィ装置30によって生成されるマンモグラフィ画像に限らず、CT装置およびMRI装置等を含む、各種の放射線診断装置によって生成される放射線画像を利用することができる。
【0104】
また、本発明は、据置型の超音波システムに限らず、装置本体がラップトップ型の端末装置によって実現されている携帯型の超音波システム、および、装置本体がスマートフォンまたはタブレットPC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)等のハンドヘルド型の端末装置によって実現されているハンドヘルド型の超音波システムにおいても同様に適用可能である。
【0105】
本発明の装置において、送受信回路14、信号処理部16、画像生成部31、表示制御部33、関心領域処理部35、および装置制御部36等の各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構成は、専用のハードウェアであってもよいし、プログラムを実行する各種のプロセッサまたはコンピュータであってもよい。また、画像メモリ32および画像保存部72等のハードウェア的な構成は、専用のハードウェアであってもよいし、あるいは半導体メモリ等のメモリおよびHDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)およびSSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)等のストレージデバイスであってもよい。
【0106】
各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理をさせるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0107】
1つの処理部を、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成してもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ、例えば、複数のFPGAの組み合わせ、または、FPGAおよびCPUの組み合わせ等によって構成してもよい。また、複数の処理部を、各種のプロセッサのうちの1つで構成してもよいし、複数の処理部のうちの2以上をまとめて1つのプロセッサを用いて構成してもよい。
【0108】
例えば、サーバおよびクライアント等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。また、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。
【0109】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構成は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)である。
【0110】
また、本発明の方法は、例えば、その各々のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムにより実施することができる。また、このプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することもできる。
【0111】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0112】
1 超音波プローブ、3 装置本体、11 振動子アレイ、14 送受信回路、16 信号処理部、17 画像処理部、18 DSC、20 超音波診断装置、30 マンモグラフィ装置、32 画像メモリ、33 表示制御部、34 モニタ、35 関心領域処理部、36 装置制御部、37 入力装置、39 プロセッサ、40 ネットワーク、44 第2関心領域特定部、46、73 同一判定部、51 パルサ、52 増幅部、53 AD変換部、54 ビームフォーマ、60 X線源、62 X線検出器、70 遠隔コンピュータ、72 画像保存部、75 遠隔コンピュータ制御部。