IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

特開2024-161435MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療
<>
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図1
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図2a
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図2b
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図3
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図4a
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図4b
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図4c
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図5
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図6
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図7
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図8
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図9
  • 特開-MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161435
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】MHCおよび腫瘍抗原を同時発現する抗原提示細胞を含む組成物およびこれを用いた癌治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/00 20060101AFI20241112BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20241112BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241112BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALI20241112BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61K39/00 H
A61P35/00 ZNA
A61P37/04
A61K35/15
C12N5/10
C12N5/0784
C12N15/12
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024133155
(22)【出願日】2024-08-08
(62)【分割の表示】P 2022542022の分割
【原出願日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0003910
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0133005
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ホ・シェン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・チョル・クォン
(72)【発明者】
【氏名】スンヘ・キム
(57)【要約】
【課題】MHC(major histocompatibility complex)および腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞(antigen presenting cell)を含む癌予防または治療用ワクチン組成物およびこれを用いた癌治療に関するものである。
【解決手段】本発明は、患者腫瘍由来細胞特異的MHC対立遺伝子および腫瘍抗原を同時に最大量で発現するバイシストロニック遺伝子コンストラクトまたはmRNA転写体を使用して、標準化された特定抗原提示細胞でも、“特異的MHC対立遺伝子および基準細胞発現量による抗原提示能の制約要素”を解決しようとするアイデアに基づいたものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MHC(major histocompatibility complex)および腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞(antigen presenting cell)を含む、
癌予防または治療用ワクチン組成物。
【請求項2】
前記抗原提示細胞が樹状細胞(dendritic cell)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗原提示細胞は、
MHC対立遺伝子(allele)および腫瘍抗原遺伝子を同時に発現する遺伝子コンストラクト;
前記遺伝子コンストラクトを含む発現ベクター;または
前記遺伝子コンストラクトから転写された、MHC対立遺伝子および腫瘍抗原遺伝子を同時に発現するRNA転写体;または
前記遺伝子コンストラクト、発現ベクターまたはRNA転写体から生成されたポリペプチドを含むことによって
MHCおよび腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
MHCは、MHCクラスIまたはMHCクラスIIである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記遺伝子コンストラクトがMHC対立遺伝子の核酸配列および腫瘍抗原をコーディングする核酸配列を含むものである、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
MHC対立遺伝子の核酸配列がそのN-末端にベータ-2-マイクログロブリン(B2M)をコーディングする配列と融合されたものである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
MHC対立遺伝子および腫瘍抗原が治療対象癌患者の腫瘍細胞に由来したものである、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
腫瘍抗原が腫瘍関連抗原(Tumor-associated antigen;TAA)、腫瘍特異的抗原(Tumor-specific antigen;TSA)または腫瘍由来新抗原(neoantigen)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
腫瘍由来新抗原(neoantigen)が癌細胞に特異的に発現される突然変異を含むものである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
腫瘍関連抗原(TAA)は、gp100、Melan-A/MART、MAGE-A、MAGE(黒色腫抗原E)、MAGE-3、MAGE-4、MAGE-A3、チロシナーゼ、TRP2、NY-ESO-1、CEA(癌胎児性抗原)、PSA、p53、ママグロビンA(Mammaglobin-A)、サバイビン(Survivin)、Muc1(ムチン1)/DF3、メタロパンスチムリン-1(metallopanstimulin-1、MPS-1)、シトクロムP450イソ型(isoform)1B1、90K/Mac-2結合タンパク質、Ep-CAM(MK-1)、HSP-70、hTERT(TRT)、LEA、LAGE-1/CAMEL、TAGE-1、GAGE、5T4、gp70、SCP-1、c-myc、サイクリンB1、MDM2、p62、Koc、IMP1、RCAS1、TA90、OA1、CT-7、HOM-MEL-40/SSX-2、SSX-1、SSX-4、HOM-TES-14/SCP-1、HOM-TES-85、HDAC5、MBD2、TRIP4、NY-CO-45、KNSL6、HIP1R、Seb4D、KIAA1416、IMP1、90K/Mac-2結合タンパク質、MDM2、NY-ESO-1、またはLMNAである、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記遺伝子コンストラクトが、
(a)5’から3’方向に、プロモーター、5’-UTR、MHC対立遺伝子の核酸配列、IRES(internal ribosome entry site)の核酸配列、腫瘍抗原をコーディングする核酸配列、および3’-UTRを含むか、
(b)5’から3’方向に、プロモーター、5’-UTR、腫瘍抗原をコーディングする核酸配列、IRES(internal ribosome entry site)の核酸配列、MHC対立遺伝子の核酸配列、および3’-UTRを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
MHC対立遺伝子の核酸配列がそのN-末端にベータ-2-マイクログロブリン(B2M)をコーディングする配列と融合されたものである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記RNA転写体がmRNA転写体である、請求項3に記載の組成物。
【請求項14】
前記発現ベクターがバイシストロニック発現ベクターである、請求項3に記載の組成物。
【請求項15】
前記遺伝子コンストラクト、発現ベクター、RNA転写体、またはポリペプチドが電気穿孔法で抗原提示細胞に導入されたものである、請求項3に記載の組成物。
【請求項16】
前記抗原提示細胞が癌患者の自己(autologous)または同種(allogenic)由来である、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2020年1月10日付大韓民国特許出願第10-2020-0003910号および2020年10月14日付大韓民国特許出願第10-2020-0133005号に基づいた優先権の利益を主張し、前記出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の参照として含まれる。
【0002】
MHC(major histocompatibility complex)および腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞(antigen presenting cell)を含む癌予防または治療用ワクチン組成物およびこれを用いた癌治療に関するものである。
【背景技術】
【0003】
抗癌目的の細胞基盤治療ワクチン(anticancer therapeutic cell vaccine)は、腫瘍抗原を特化された抗原提示細胞、例えば、樹状免疫細胞(dendritic cells)に抗原を負荷(antigen loading)して癌患者に投与することによって抗癌ワクチン役割の遂行を期待する。
【0004】
しかし、抗原負荷に普遍的に使用するエピトープペプチドインキュベーション(epitope peptide incubation)方法は、機序的に抗原提示細胞の特定MHC対立遺伝子(allele)と抗原エピトープの相補的制限原理(epitope-MHC restriction)により、抗原提示細胞に既に発現されている特定MHC対立遺伝子およびその発現量(expression level)によって抗原提示可能なエピトープ配列の範囲および全体的抗原提示効能が制限されざるをえない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
腫瘍抗原、特に、互いに異なる細胞特異的MHCを有する個別癌患者に由来した多様な患者オーダーメード型新抗原(neoantigen)を治療目的で標準化された抗癌細胞ワクチンに用いるためには、窮極的に個別抗原提示細胞のMHC制限性を克服する新たな細胞ワクチン製作技術の開発が要求されるので、これを解決しようとする。
【0006】
一例は、MHC(major histocompatibility complex)および腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞(antigen presenting cell)を含む、癌予防または治療用ワクチン組成物を提供する。
【0007】
他の例は、MHCおよび腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞を患者に投与する段階を含む、癌治療方法を提供する。
【0008】
他の例は、癌治療に使用するためのMHCおよび腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰に発現された抗原提示細胞を提供する。
【0009】
他の例は、癌治療用薬剤の製造に使用するためのMHCおよび腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰に発現された抗原提示細胞の用途を提供する。
【0010】
他の例は、MHC対立遺伝子(allele)および腫瘍抗原遺伝子を同時に発現する遺伝子コンストラクト;前記遺伝子コンストラクトを含む発現ベクター;前記遺伝子コンストラクトから転写されたRNA転写体;または前記遺伝子コンストラクト、発現ベクターまたはRNA転写体から生成されたポリペプチドを抗原提示細胞に導入する段階を含む、癌予防または治療用ワクチン組成物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、患者腫瘍由来細胞特異的MHC対立遺伝子および腫瘍抗原を同時に最大量で発現するバイシストロニック遺伝子コンストラクトまたはmRNA転写体を使用して、標準化された特定抗原提示細胞でも、“特異的MHC対立遺伝子および基準細胞発現量による抗原提示能の制約要素”を解決しようとするアイデアに基づいたものである。
【0012】
特に、本発明では患者腫瘍分析で得られた腫瘍由来新抗原配列(neoantigen sequence)および各患者の腫瘍由来MHC対立遺伝子を同時に抗原提示細胞で過量に発現させて、最大量の“epitope-MHC免疫刺激複合体”を細胞表面に発現して抗原提示細胞の腫瘍抗原提示効能を極大化し、これを患者に投与することによって、窮極的に患者オーダーメード型抗癌T細胞の増殖および活性化を最大限に触発し、新抗原特異的抗癌免疫効果を増大し極大化させようとする。
【0013】
本発明の一側面により、MHC(major histocompatibility complex)および腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞(antigen presenting cell)を含む、癌予防または治療用ワクチン組成物が提供される。
【0014】
また、MHCおよび腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞を患者に投与する段階を含む、癌治療方法が提供される。
【0015】
また、癌治療に使用するためのMHCおよび腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞が提供される。
【0016】
また、癌治療用薬剤の製造に使用するためのMHCおよび腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞の用途が提供される。
【0017】
一実施形態として、前記抗原提示細胞が樹状細胞(dendritic cell)であってもよい。
【0018】
一実施形態として、前記抗原提示細胞は、MHC対立遺伝子(allele)および腫瘍抗原遺伝子を同時に発現する遺伝子コンストラクト;前記遺伝子コンストラクトを含む発現ベクター;または前記遺伝子コンストラクトから転写された、MHC対立遺伝子および腫瘍抗原遺伝子を同時に発現するRNA転写体;または前記遺伝子コンストラクト、発現ベクターまたはRNA転写体から生成されたポリペプチドを含むことによって、MHCおよび腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現されたものであってもよい。
【0019】
一実施形態として、MHCは、MHCクラスIまたはMHCクラスIIであってもよい。
【0020】
一実施形態として、前記遺伝子コンストラクトは、MHC対立遺伝子の核酸配列および腫瘍抗原をコーディングする核酸配列を含むことができる。
【0021】
一実施形態として、MHC対立遺伝子の核酸配列は、そのN-末端にベータ-2-マイクログロブリン(B2M)をコーディングする配列と融合されたものであってもよい。
【0022】
一実施形態として、MHC対立遺伝子および腫瘍抗原は、治療対象癌患者の腫瘍細胞に由来したものであってもよい。
【0023】
一実施形態として、腫瘍抗原は、腫瘍関連抗原(Tumor-associated antigen;TAA)、腫瘍特異的抗原(Tumor-specific antigen;TSA)または腫瘍由来新抗原(neoantigen)を含むことができる。
【0024】
一実施形態として、腫瘍由来新抗原(neoantigen)は、癌細胞に特異的に発現される突然変異を含むことができる。
【0025】
一実施形態として、腫瘍関連抗原(TAA)は、gp100、Melan-A/MART、MAGE-A、MAGE(黒色腫抗原E)、MAGE-3、MAGE-4、MAGE-A3、チロシナーゼ、TRP2、NY-ESO-1、CEA(癌胎児性抗原)、PSA、p53、ママグロビンA(Mammaglobin-A)、サバイビン(Survivin)、Muc1(ムチン1)/DF3、メタロパンスチムリン-1(metallopanstimulin-1、MPS-1)、シトクロムP450イソ型(isoform)1B1、90K/Mac-2結合タンパク質、Ep-CAM(MK-1)、HSP-70、hTERT(TRT)、LEA、LAGE-1/CAMEL、TAGE-1、GAGE、5T4、gp70、SCP-1、c-myc、サイクリンB1、MDM2、p62、Koc、IMP1、RCAS1、TA90、OA1、CT-7、HOM-MEL-40/SSX-2、SSX-1、SSX-4、HOM-TES-14/SCP-1、HOM-TES-85、HDAC5、MBD2、TRIP4、NY-CO-45、KNSL6、HIP1R、Seb4D、KIAA1416、IMP1、90K/Mac-2結合タンパク質、MDM2、NY-ESO-1、またはLMNAであってもよい。
【0026】
一実施形態として、前記遺伝子コンストラクトは、(a)5’から3’方向に、プロモーター、5’-UTR、MHC対立遺伝子の核酸配列、IRES(internal ribosome entry site)の核酸配列、腫瘍抗原をコーディングする核酸配列、および3’-UTRを含むか、(b)5’から3’方向に、プロモーター、5’-UTR、腫瘍抗原をコーディングする核酸配列、IRES(internal ribosome entry site)の核酸配列、MHC対立遺伝子の核酸配列、および3’-UTRを含むことができる。好ましい実施形態として、MHC対立遺伝子の核酸配列は、そのN-末端にベータ-2-マイクログロブリン(B2M)をコーディングする配列と融合したものであってもよい。
【0027】
一実施形態として、前記RNA転写体は、mRNA転写体であってもよい。
【0028】
一実施形態として、前記発現ベクターは、バイシストロニック発現ベクターであってもよい。
【0029】
一実施形態として、前記遺伝子コンストラクト、発現ベクター、RNA転写体、またはポリペプチドが電気穿孔法で抗原提示細胞に導入されたものであってもよい。
【0030】
一実施形態として、前記抗原提示細胞は、癌患者の自己(autologous)または同種(allogenic)由来であってもよい。
【0031】
一実施形態として、前記ワクチンは、個人オーダーメード型抗癌ワクチンであってもよい。
【0032】
本発明の他側面により、MHC対立遺伝子(allele)および腫瘍抗原遺伝子を同時に発現する遺伝子コンストラクト;前記遺伝子コンストラクトを含む発現ベクター;前記遺伝子コンストラクトから転写されたRNA転写体;または前記遺伝子コンストラクト、発現ベクターまたはRNA転写体から生成されたポリペプチドを抗原提示細胞に導入する段階を含む、癌予防または治療用ワクチン組成物の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本願の一実施形態による、MHCクラスI対立遺伝子(ORF1)および腫瘍抗原(ORF2)を同時に発現する遺伝子コンストラクトおよびこれからインビトロ転写されたmRNA転写体の構造を示す。
図2a】本願の一実施形態による、基準鋳型(Reference template)“LGV1007”の全体配列構造を示す。
図2b図2aの続きである。
図3】本願の一実施形態によって基準鋳型“LGV1007”に対するインビトロ転写を行ってmRNA転写体が生産されたことを電気泳動法で確認した結果を示す。
図4a】本願の一実施形態によるLGV1007 mRNA転写体をK562細胞に電気穿孔した後、発現量が最大値に到達する条件を導出するために、LGV1007 mRNA転写体を1×10細胞当り0、3、5、または10μgの量でK562細胞に電気穿孔した後、9日間HLA-A*0201分子の発現量を確認した結果を示す。
図4b図4aの続きである。
図4c図4bの続きである。
図5】本願の一実施形態によってLGV1007 mRNA転写体のインビトロ翻訳を行って腫瘍抗原がタンパク質として発現されたことをウェスタンブロットで確認した結果を示す。
図6】(a)は本願の一実施形態によってLGV1007 mRNA転写体をK562細胞に電気穿孔した後、MHCクラスI対立遺伝子(ORF1)がタンパク質として発現されたことをウェスタンブロットで確認した結果であり、(b)は腫瘍抗原(ORF2)が全てタンパク質として発現されたことをウェスタンブロットで確認した結果を示す。
図7】LGV1007 mRNA転写体をK562細胞に電気穿孔して24時間以後にK562細胞表面での発現量をフローサイトメトリー法を用いて確認した結果を示す。
図8】LGV1007 mRNA転写体が電気穿孔されたK562抗原提示細胞によるPBMC T細胞の免疫活性を測定したELISPOT IFNγ分泌分析結果を示す。
図9】LGV1032 mRNA転写体の構造説明と個人オーダーメード型単核球由来自家樹状細胞(MoDC、monocyte derived dendritic cells)での細胞発現結果を示す。LGV1032は、LGV1007と同種のbicistronic転写体構造(transcript configuration)を有しORF2(腫瘍抗原パート)は維持し、ORF1に細胞発現マーカーとしてGFP reporterタンパク質が位置した構造である。LGV1032は、LGV1007のように、個人由来自家樹状細胞でも電気穿孔方法によって細胞内に流入後、効果的に細胞発現されることを確認した。
図10】個人由来自家樹状細胞に電気穿孔されたLGV1032が、効果的な抗原提示を通じて抗原特異的T細胞免疫活性を触発するというELISPOT IFNγ分泌検証結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0035】
本願の一例は、MHCおよび腫瘍抗原を同時に発現する核酸分子に関するものである。
【0036】
または、MHCおよび腫瘍抗原を同時に発現する核酸組成物に関するものである。
【0037】
または、MHCおよび腫瘍抗原を同時に発現する、遺伝子コンストラクトに関するものである。
【0038】
または、MHCおよび腫瘍抗原を同時に発現する遺伝子コンストラクトからのRNA転写体に関するものである。
【0039】
または、MHCおよび腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞;およびこれを含む癌予防または治療用ワクチン組成物に関するものである。
【0040】
用語、“核酸”、“核酸分子”、または“核酸配列”はDNAまたはRNA分子または配列を意味し、“核酸組成物”はこのような核酸、核酸分子または核酸配列を含む組成物を意味する。
【0041】
用語、“遺伝子コンストラクト”は、目的タンパク質をコーディングする遺伝子挿入物が発現されるように作動可能に連結された核酸構造物をいう。一実施形態として、遺伝子コンストラクトは、2以上の目的タンパク質をバイシストロニック転写体として暗号化する線形または円形、または単一鎖または二重鎖のDNA、cDNA、RNAなどであってもよい。遺伝子コンストラクトは、宿主を形質転換、形質感染またはトランスフェクションさせるために使用することができるベクターの一部を成すことができるが、これに制限されるわけではなく、それ自体でインビトロで転写および/または翻訳することができる。
【0042】
用語、“作動可能に連結された”は核酸配列間の結合が機能的に連関していることを意味する。例えば、コーディング配列(例えば、目的タンパク質をコーディングする配列)は、その複製、転写および/または翻訳が可能なように適切な調節要素と作動可能に連結できる。例えば、コーディング配列は、プロモーターがそのコーディング配列の転写を推進することができる場合、プロモーターに作動可能に連結されるものである。調節要素は、これが正しく機能しさえすればコーディング配列に隣接する必要がない。例えば、翻訳されないが転写される介在配列がプロモーター配列とコーディング配列の間に存在することがあり、プロモーター配列は依然としてコーディング配列に“作動可能に連結された”ものと見なされる。
【0043】
遺伝子コンストラクト内の各構成要素は互いに作動可能に連結されなければならず、これら構成要素配列の連結は便利な制限酵素部位でライゲーション(連結)によって行われ、そのような部位が存在しない場合、通常の方法による合成オリゴヌクレオチドアダプター(oligonucleotide adaptor)またはリンカー(linker)を使用して行われる。
【0044】
用語“バイシストロニック(bicistronic)”またはこれと互換可能な用語の“ポリシストロニック(polycistronic)”とは、真核細胞内でmRNAの内部でもリボソームがポリペプチドを合成することができるようになって一つのmRNAから様々なポリペプチドが合成可能になったシステムを意味する。本願の一実施形態の場合、MHC対立遺伝子をコーディングする核酸配列および腫瘍抗原をコーディングする核酸配列が一つのmRNAから同時に発現できるように遺伝子コンストラクトをデザインした。
【0045】
一般に、原核細胞は一つのmRNAの様々な位置にリボソームが結合して一度に様々なタンパク質を合成することができるポリシストロニック(polycistronic)システムを有するが、真核生物は原則的に一つのプロモーターで一つのmRNAが作られその遺伝子のみ翻訳されてポリペプチドが合成されるモノシストロニック(monocistronic)システムを有する。しかし、本願の遺伝子コンストラクトは、真核細胞内で一つのmRNAから様々なポリペプチドを発現させることができ、例えば、各遺伝子をそれぞれのプロモーター下に位置させて発現させるか、二つの遺伝子の間にIRES(internal ribosome entry site)を置いて一つのプロモーター下で二つの遺伝子を同時に発現させることが可能である。
【0046】
本明細書に記載されたものとして、“(所定の成分を)含む”は記載された成分以外の成分を含むことができること(comprising)または記載された成分を必須的に含む(consisting essentially of)ことを意味することができる。
【0047】
用語、“MHC(major histocompatibility complex)”または“主組織適合性複合体”は免疫細胞が自己、非自己分子を区分することができるように抗原断片を免疫細胞に提供する役割を果たすタンパク質であって、MHCクラスIとMHCクラスIIの二種類があり、MHCクラスIは核がある全ての細胞にある反面、MHCクラスIIは抗原提示細胞で発見される。本願で提供される技術的な思想はMHCクラスIまたはMHCクラスII全てに適用可能である。
【0048】
一般に、後天的(adaptive)免疫反応で、病原体または抗原が体内に入ると抗原提示細胞がこれを摂取して短いペプチド断片に分解させ、ペプチドは細胞内でMHCクラスIまたはMHCクラスII分子と結合して細胞表面に運搬することができる。このように病原体または抗原のペプチドがMHCクラスIまたはMHCクラスIIに結合して抗原提示細胞の細胞表面に提示されると、T細胞がT細胞受容体(TCR)を通じてこれを認識して活性化され免疫反応を始めるようになる。このような側面から、前記病原体または抗原のペプチドはT細胞の“エピトープ”に該当する。
【0049】
ヒトのMHCはヒト白血球抗原(HLA:Human Leukocyte antigen)といい、MHCクラスI(またはHLAクラスI)分子としてはHLA-A、HLA-BおよびHLA-Cがある。MHCクラスI分子は、アルファポリペプチド鎖とベータ-2-マイクログロブリンから構成されている。MHCクラスI分子は、CD8+細胞毒性T細胞と相互作用をし臓器移植の拒否反応や感染した細胞を破壊することに重要な役割を果たす。
【0050】
MHCクラスII(またはHLAクラスII)分子としてはHLA-DR、HLA-DQおよびHLA-DPがある。MHCクラスII分子はアルファポリペプチド鎖とベータポリペプチド鎖から構成されている。MHCクラスII分子は、CD4+補助T細胞と相互作用を通じて非自己抗原を認知して細胞性免疫を引き起こす際に重要な役割を果たす。
【0051】
MHCをコーディングする遺伝子は激しい多型性(polymorphism)を示す遺伝子であって、多様な病原体または抗原に対する免疫反応を誘導することができるように多数の対立遺伝子(allele)が存在する。例えば、人間でHLAクラスI対立遺伝子数は2020年1月基準に18、000個以上が報告されており、HLAクラスII対立遺伝子数は7、000個以上が報告されている。個別遺伝子座別には、HLA-A 5,735個、HLA-B 7,053個、HLA-C 5,653個、HLA-DRB1 2,676個、HLA-DQB1 1,771個、HLA-DPB1 1,519個などが報告された(www.ebi.ac.uk/imgt/hla/)。比較的頻度が高い対立遺伝子としては、HLA-A*2402、HLA-A*3303、HLA-A*0201、HLA-A*1101、HLA-A*0206、HLA-A*3101、HLA-A*0207、HLA-A*2601、HLA-A*2602、HLA-A*3001、HLA-A*0101、HLA-A*3004、HLA-A*0203、HLA-A*0301、HLA-A*0205、HLA-A*0215N、HLA-A*2408、HLA-A*2420、HLA-A*2610、HLA-A*2901、HLA-A*2603、HLA-A*3201、HLA-B*5101、HLA-B*1501、HLA-B*4403、HLA-B*3501、HLA-B*5801、HLA-B*4601、HLA-B*5401、HLA-B*1302、HLA-B*2705、HLA-B*0702、HLA-B*4006、HLA-B*4801、HLA-B*4001、HLA-B*5502、HLA-B*1301、HLA-B*4002、HLA-B*5201、HLA-B*5901、HLA-B*1401、HLA-B*3901、HLA-B*6701、HLA-B*0801、HLA-B*1507、HLA-B*1518、HLA-B*3701、HLA-B*3802、HLA-B*0705、HLA-B*1538、HLA-B*3511、HLA-B*4003、HLA-B*4402、HLA-B*5001、HLA-B*5102、HLA-B*5601、HLA-B*1502、HLA-B*1511、HLA-B*1527、HLA-B*3503、HLA-B*4701、HLA-B*5605、HLA-B*570、HLA-Cw*0102、HLA-Cw*0304、HLA-Cw*1402、HLA-Cw*0702、HLA-Cw*0801、HLA-Cw*0401、HLA-Cw*0302、HLA-Cw*0303、HLA-Cw*1403、HLA-Cw*0602、HLA-Cw*0701、HLA-Cw*1202、HLA-Cw*0802、HLA-Cw*0202、HLA-Cw*0704、HLA-Cw*1203、HLA-Cw*0501、HLA-Cw*1505、HLA-Cw*0103、HLA-Cw*1502、HLA-Cw*1507を例示することができるが、本願がこれに制限されるわけではない。また、HLA遺伝子は6番染色体短腕に4メガベース(megabase)にわたって互いに近接して位置するので、両親から子供に遺伝する時、一つのハプロタイプ(haplotype)で遺伝するという特徴がある。
【0052】
好ましい実施形態として、MHC対立遺伝子は、MHCクラスI対立遺伝子またはMHCクラスII対立遺伝子である。
【0053】
好ましい実施形態として、MHC対立遺伝子は、対象患者の腫瘍に由来したものである。
【0054】
また好ましい実施形態として、遺伝子コンストラクトは、MHC対立遺伝子の核酸配列および腫瘍抗原をコーディングする核酸配列を含む。
【0055】
また、MHC対立遺伝子をコーディングする核酸配列は、そのN-末端にB2M(ベータ-2-マイクログロブリン)をコーディングする配列と融合でき、これはMHC対立遺伝子が抗原提示細胞で発現時、細胞表面での構造的安定性に寄与できる。B2Mは、MHC、特にMHCクラスIのアルファポリペプチド鎖を安定化させる作用を果たす約12kDaの非糖化のタンパク質である。ヒトB2M遺伝子はリーダー配列を暗号化する20個N-末端アミノ酸を有する119個アミノ酸のタンパク質を暗号化する。成熟タンパク質は99個アミノ酸を含む。遺伝子は4個のエクソンと3個のイントロンを含み、第1エクソンは5’非解読領域、全体リーダー配列および成熟ポリペプチドの第1の2個のアミノ酸を含み;第2エクソンは成熟タンパク質の大部分を暗号化し;第3エクソンは成熟タンパク質の最後の4個のアミノ酸および終止コドンを暗号化し;第4エクソンは3’非解読領域を含む。本願では、B2Mとの融合によってMHC分子上のペプチドの安定性が増加し、抗原提示細胞で発現時、細胞表面での構造的安定性を増加させることができる。
【0056】
B2Mをコーディングする配列は、全体ヒトベータ-2-マイクログロブリン遺伝子に相応する核酸残基の全体または一部を含むことができる。
【0057】
用語“腫瘍抗原(tumor antigen)”または“癌抗原(cancer antigen)”は腫瘍(癌)で発現する抗原であって免疫反応を起こす分子をいう。このような免疫反応は、抗体生成、または特定免疫学的-適格細胞の活性化、または両方共を伴うことができる。
【0058】
腫瘍抗原は腫瘍を有する有機体、死滅するか非活性化された全体腫瘍細胞、または溶解質に由来することができ、腫瘍に由来した任意の抗原を含む。溶解質は細胞の正常構造の分裂を引き起こす過程の適用から発生する物質をいう。また、腫瘍抗原は腫瘍細胞に含まれ正常細胞とは異なるように発現される、抗原特性を有する任意のタンパク質またはその他物質を含む。
【0059】
例えば、腫瘍抗原は、腫瘍関連抗原(Tumor-associated antigen;TAA)と腫瘍特異的抗原(Tumor-specific antigen;TSA)を含む。
【0060】
腫瘍関連抗原(TAA)は正常細胞より癌細胞で多く現れるか正常細胞と異なる分化段階で現れる抗原であって、正常細胞でも微量が存在する腫瘍共有抗原(tumor shared antigen)である。したがって、これを用いた免疫反応は自己細胞の損傷を防止するための免疫抑制機序である自己寛容によって失敗に終わる可能性が高く、あるいは逆に自己免疫によって望まない臓器が攻撃を受けることがある。
【0061】
腫瘍関連抗原(TAA)の例としては、gp100、Melan-A/MART、MAGE-A、MAGE(黒色腫抗原E)、MAGE-3、MAGE-4、MAGE-A3、チロシナーゼ、TRP2、NY-ESO-1、CEA(癌胎児性抗原)、PSA、p53、ママグロビンA(Mammaglobin-A)、サバイビン(Survivin)、Muc1(ムチン1)/DF3、メタロパンスチムリン-1(metallopanstimulin-1、MPS-1)、シトクロムP450イソ型(isoform)1B1、90K/Mac-2結合タンパク質、Ep-CAM(MK-1)、HSP-70、hTERT(TRT)、LEA、LAGE-1/CAMEL、TAGE-1、GAGE、5T4、gp70、SCP-1、c-myc、サイクリンB1、MDM2、p62、Koc、IMP1、RCAS1、TA90、OA1、CT-7、HOM-MEL-40/SSX-2、SSX-1、SSX-4、HOM-TES-14/SCP-1、HOM-TES-85、HDAC5、MBD2、TRIP4、NY-CO-45、KNSL6、HIP1R、Seb4D、KIAA1416、IMP1、90K/Mac-2結合タンパク質、MDM2、NY-ESO-1、またはLMNAを含むが、これに制限されない。
【0062】
腫瘍特異的抗原(Tumor-specific antigen;TSA)は、癌細胞にのみ特異的に存在する抗原をいう。特に、癌患者において腫瘍が増殖する時、癌細胞特異的な遺伝子突然変異が発生してT細胞を刺激することができる新たな抗原エピトープが生成され、これを新抗原(neoantigen)という。即ち、新抗原(neoantigen)は癌細胞特異的な遺伝子突然変異を含み、正常細胞でも微量発現される腫瘍共有抗原とは異なり癌細胞のみで選別的に発現されるため自己免疫体系によって非自己外来エピトープ(non-self foreign epitope)として認識されて強い抗癌免疫活性を誘発する。
【0063】
変異が起こったDNAを通じて生成されたペプチドが細胞表面のMHCIに提示されると、T細胞の受容体(TCR)がこれを認識し、正常細胞や組織では突然変異が発生しないため、新抗原-特異的T細胞は自己寛容や自己免疫問題から自由である。このような長所のため、新抗原はT細胞基盤の癌免疫治療に理想的なターゲットと考えられている。
【0064】
新抗原が発生する原因としては、DNAを成すヌクレオチドが一つまたはそれ以上が欠失または挿入されることによって遺伝暗号の解読がずれるフレームシフト(frame-shift deletion or insertion)、一つのヌクレオチドが他のもので置換されることによって発生する点突然変異(point mutation)、その他スプライス部位(splice-site)突然変異、リードスルー(read-through)突然変異または遺伝子融合(gene-fusion)突然変異などがあるが、これに制限されるわけではない。
【0065】
新抗原は個別癌患者の特定癌細胞遺伝体分析を通じて予測され、一例として、患者の腫瘍から癌細胞を得てDNAを抽出した後、塩基配列を分析し、これを正常細胞の塩基配列と比較分析して変異が発生した部分を選別した後、変異が発生した様々な部分の塩基配列の中のT細胞を刺激する新抗原を同定することができる。これには、次世代塩基配列分析法(Next gene sequencing、NGS)、全エクソームシーケンシング(whole-exome sequencing、WES)またはRNAシーケンシング(RNA sequencing)のようなビックデータの処理、MHC結合予測コンピュータプログラム、または新抗原予測のための人工知能(artificial intelligence、AI)などが活用できるが、これに制限されるわけではない。患者ごとに変異形態が共有されないため、新抗原は個人オーダーメード型抗癌ワクチン(personalized cancer vaccine)として製作可能である。
【0066】
用語“負荷(loadingまたはpulsing)”とは樹状細胞のような抗原提示細胞(APC)が抗原を捕獲して分解した後、これをMHC分子にのせて表面に表出することを言い、このように抗原が搭載された細胞は強力な抗原特異的なTリンパ球の活性を誘導することができる。
【0067】
遺伝子コンストラクトは、当該遺伝子が選択された宿主内で発現されるようにする転写および解読発現調節配列を含むことができる。発現調節配列としては、転写を実施するためのプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレーター配列、および/または転写および解読の終結を調節する配列を含むことができる。開始コドンおよび終止コドンは一般に目的タンパク質をコーディングする核酸配列の一部として見なされ、遺伝子作製物が投与された時、個体で作用を示さなければならずコーディング配列とインフレーム(in frame)になければならない。
【0068】
例えば、遺伝子コンストラクトは、(a)5’から3’方向に、プロモーター、5’-UTR、MHC対立遺伝子をコーディングする核酸配列、IRES(internal ribosome entry site)の核酸配列、腫瘍抗原をコーディングする核酸配列、および3’-UTRを含むか、(b)5’から3’方向に、プロモーター、5’-UTR、腫瘍抗原をコーディングする核酸配列、IRES(internal ribosome entry site)の核酸配列、MHC対立遺伝子をコーディングする核酸配列、および3’-UTRを含むことができる。
【0069】
用語、“プロモーター”は転写調節因子が結合するDNA塩基配列部位を意味し、本発明の目的上、遺伝子発現率を高めるために強力且つ安定的な遺伝子発現を誘導することができるプロモーターを使用することができる。
【0070】
プロモーターは、構成的または誘導性であってもよい。プロモーターはこれに制限されないが、アデノウイルスの初期および後期プロモーター、猿ウイルス40(SV40)、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVの長い末端反復部(LTR)プロモーター、モロニーウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタインウイルス(EBV)プロモーター、ラウスサルコーマウイルス(RSV)プロモーター、RNAポリメラーゼ±プロモーター、T3およびT7プロモーター、ファージラムダの主要オペレーターおよびプロモーター領域などを例示することができる。
【0071】
用語、“5’-UTR(untranslated region)”または“5’-非翻訳領域”とは、mRNA転写体の5’-末端に存在するが、アミノ酸に翻訳されない領域をいう。ゲノム配列で、5’-UTRは、転写開始部位と開始コドンの間にある領域と一般に定義される。脊椎動物mRNAの5’-UTRは、数十個の塩基から数百個の塩基長さに至るものであり得る。mRNAがタンパク質に翻訳される過程は、リボソームの30Sサブユニットが5’-UTRに結合することから始まる。具体的に、リボソームの30Sサブユニット内の16S rRNA(16S ribosomal RNA)が5’-UTRのリボソーム結合部位(ribosome binding site、RBS)に結合し、tRNAがmRNAの開始コドン(AUG)を認識して結合すると、タンパク質への翻訳が始まる。5’-UTRのリボソーム結合部位と開始コドンは大略6~8ヌクレオチド距離に存在し、リボソーム結合部位の中には16S rRNAの3’末端の配列と相補的な配列が存在し、これをシャイン-ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列という。
【0072】
用語“IRES(internal ribosome entry site)”または“内部リボソーム流入部位”は、転写体の翻訳(translation)時、リボソームが翻訳進行の開始と認識する塩基配列をいう。即ち、IRESは真核細胞で、一つのmRNAから様々なポリペプチドの合成が可能なようにリボソームが直接結合するmRNA内部に存在している特定領域であって、本願の遺伝子コンストラクトがバイシストロニックになるようにする役割を果たす。即ち、翻訳が行われる過程でIRESの5’側の側面に位置したポリペプチドコーディング配列は5’末端のキャップ構造から翻訳が行われ、IRESの他側面に位置したポリペプチドコーディング配列はIRESにリボソームサブユニットが付着されて翻訳が行われるので、様々なポリペプチドをそれぞれ別途に得ることができる。
【0073】
IRESは天然からまたは合成により得ることができ、ポリオウイルス、EMCウイルスなどのウイルス由来であるか、免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)、ショウジョウバエのアンテナ遺伝子(Antp)などの細胞由来であってもよいが、これに制限されない。
【0074】
用語、“3’-UTR(untranslated region)”または“3’-非翻訳領域”とは、mRNA転写体の3’-末端に存在するが、アミノ酸に翻訳されない領域をいう。
【0075】
その他に、遺伝子コンストラクトは、アダプターまたはリンカー、エンハンサー、選別マーカー(例えば、抗生剤耐性マーカー)、複製可能単位、polyA配列、精製用タグ(例えば、GST、poly-Arg、FLAG、ヒスチジン-タグ(His-tag)またはc-myなど)または原核細胞または真核細胞またはこれらのウイルスの遺伝子の発現を調節すると知られた構成と誘導のその他の配列およびこれらの様々な組み合わせをなどを適切に含むことができる。
【0076】
本願はまた、前述の遺伝子コンストラクトから転写された、MHC対立遺伝子および腫瘍抗原を同時に発現する、RNA転写体に関するものである。RNA転写体からMHC対立遺伝子および腫瘍抗原が同時に翻訳および合成できるという点から、RNA転写体はバイシストロニック(bicistronic)である。
【0077】
RNA転写体はmRNA転写体であってもよく、前述の遺伝子コンストラクトが細胞内で転写された後、分離および精製されてもよいが、好ましくは、インビトロ転写法によって試験管内で転写できる。
【0078】
本願はまた、前記遺伝子コンストラクトを含む、バイシストロニック発現ベクターに関するものである。用語、“ベクター(vector)”は個体の細胞内で目的タンパク質をコーディングする遺伝子挿入物が発現されるように作動可能に連結された必須の調節要素を含む遺伝子作製物を言い、プラスミド、ウイルスベクター、バクテリオファージベクター、コスミドベクター、など多様な形態のベクターを使用することができる。
【0079】
発現ベクターおよびRNA転写体の各構成要素に対する説明は、前述の遺伝子コンストラクトの各構成要素に対する説明で代替する。
【0080】
本願の他の例は、前記遺伝子コンストラクト、前記遺伝子コンストラクトを含む発現ベクター、または前記遺伝子コンストラクトから転写されたRNA転写体から生成された、ポリペプチドに関するものである。
【0081】
本願の他の例は、前述の遺伝子コンストラクト;前記遺伝子コンストラクトを含む発現ベクター;前記遺伝子コンストラクトから転写されたRNA転写体;または前記遺伝子コンストラクト、発現ベクターまたはRNA転写体から生成されたポリペプチドを含む、MHC対立遺伝子および腫瘍抗原を同時に発現するための組成物に関するものである。
【0082】
本願はまた、前記遺伝子コンストラクト;前記遺伝子コンストラクトを含む発現ベクター;前記遺伝子コンストラクトから転写されたRNA転写体;または前記遺伝子コンストラクト、発現ベクターまたはRNA転写体から生成されたポリペプチドを含む、抗原提示細胞に関するものである。
【0083】
本願はまた、前記遺伝子コンストラクト、前記遺伝子コンストラクトを含む発現ベクター、前記遺伝子コンストラクトから転写されたRNA転写体;または前記遺伝子コンストラクト、発現ベクターまたはRNA転写体から生成されたポリペプチドを抗原提示細胞に導入する段階を含む、癌予防または治療用ワクチン組成物の製造方法に関するものである。
【0084】
用語“抗原提示細胞”は抗原(例えば、腫瘍抗原)に対する免疫反応の向上を促進することによって本願の目的を達成する任意の細胞をいう。抗原提示細胞は、樹状細胞(dendritic cell、DC)、大食細胞、またはB細胞を含む。抗原提示細胞は、癌患者の自己(autologous)または同種(allogenic)由来であってもよい。用語“自己(autologous)”は個体から得られて、同一個体を治療することに使用される細胞を意味し、“同種(allogenic)”は同一種の他の個体から得られた細胞を意味する。
【0085】
樹状細胞(DC)は身体の最も有効な抗原提示細胞類型であって、これは外来抗原を貪食してこれをナイーブ(naive)(CD4+またはCD8+T)および記憶T細胞に提示することができる。樹状細胞は、一般に、細胞の微飲作用および/または貪食作用によって抗原を吸収した後、このような抗原を細胞内的に加工した後、免疫系のT細胞に抗原を提示する。このような加工は一般に身体内で発生するが、身体から樹状細胞を分離して、これらを試験管内で培養し、抗原を前記試験管内で培養された樹状細胞に提供した後、前記細胞をT細胞と相互作用して関心抗原に対する増加された免疫反応を誘発させることができる身体に復帰させることが可能である。前記抗原を樹状細胞に提供する前記過程は、一般に、負荷(loadingまたはpulsing)または共同培養として言及される。
【0086】
一具体例として、対象患者または同種または異種の個体から樹状細胞の前駆細胞を得て樹状細胞に分化させた後、前述の遺伝子コンストラクト、RNA転写体、発現ベクター、またはポリペプチドを導入することができる。例えば、樹状細胞は、ワクチン投与対象患者の血液から単離された単核球の分化によって得ることができる。単核球から樹状細胞の分化のための技術は当該分野によく確立されている。非制限的な例として、典型的プロトコールで、末梢血単核細胞(PBMC)は密度勾配遠心分離によって全体血液から単離でき、PBMCから単核球を分離することは単核球の付着性を用いるか免疫-自己ビードを用いて行うことができる。分離された単核球はGM-CSFおよびIL-4の存在下で培養されて未成熟樹状細胞に分化できる。未成熟樹状細胞は、成熟因子、典型的にTLR-4作動薬、例えば、LPSの存在下で培養されるか、TNFα、IL-6、IL-1βおよびPGE2を含む単核球成熟カクテルを使用して培養されて成熟できる。樹状細胞の成熟とベクター導入は同時に行われてもよい。
【0087】
遺伝子コンストラクト、RNA転写体、または発現ベクターを細胞に導入することは、当分野で公知されたように適した標準技術、例えば、電気穿孔法(electroporation)、電気注入法(electroinjection)、微細注入法(microinjection)、リン酸カルシウム共沈殿法(calcium phosphate co-precipitation)、塩化カルシウム/塩化ルビジウム法、レトロウイルス感染(retroviral infection)、DEAE-デキストラン(DEAE-dextran)、カチオン性リポソーム(cationic liposome)法、ポリエチレングリコール沈殿法(polyethylene glycol-mediated uptake)、遺伝子銃(gene gun)などを用いることができるが、これに制限されるわけではない。この時、円形の構造物を適切な制限酵素で切断して線形の形で導入することができる。
【0088】
好ましい実施形態として、遺伝子コンストラクト、RNA転写体、発現ベクターまたはポリペプチドが電気穿孔法で導入できる。電気穿孔は、非透過性物質の細胞への進入を促進させるために細胞に電流または電場を適用させることをいう。例えば、導入しようとする非透過性物質(例えば、核酸、ベクターなど)が含まれている溶液に細胞を懸濁して直流高電圧のパルスを通過させると、電気によって細胞膜に孔が空き同時に電気泳動の作用で非透過性物質が細胞内に導入されることになる。電気穿孔装置は、静止形態の電気穿孔装置であるか流動形態の電気穿孔装置であってもよい。静止形態の電気穿孔装置は、固定量の標的細胞と接触される流体中に埋没成形された電極を含む特化されたキュベットを含む。関心分子は二つの電極の間に配置され、高電圧でパルシング(pulsing)される。
【0089】
他の例は、前述の遺伝子コンストラクト、RNA転写体、発現ベクター、またはポリペプチドを含む、癌予防または治療用ワクチン組成物およびその製造方法に関するものである。
【0090】
他の例は、前述の遺伝子コンストラクト、RNA転写体、発現ベクター、またはポリペプチドが導入された抗原提示細胞を含む、癌予防または治療用ワクチン組成物およびその製造方法に関するものである。
【0091】
他の例は、MHC対立遺伝子および腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞を含む、癌予防または治療用ワクチン組成物およびその製造方法に関するものである。
【0092】
用語“ワクチン”は、本願による抗原提示細胞を含有して被検体に投与できる形態の剤形をいう。従って、本発明のワクチン組成物は、疾患を予防するか改善させるか治療するために便利に使用できる。被検体または宿主に導入された後、ワクチンは抗体、サイトカインおよび/またはその他細胞反応の生成を含むが、これに制限されない免疫反応を誘発させることができる。
【0093】
好ましい実施形態として、MHC対立遺伝子および腫瘍抗原は、前記組成物が投与される治療対象癌患者の腫瘍細胞に由来したものであってもよい。
【0094】
本願の癌ワクチン組成物は患者腫瘍分析で得られた腫瘍抗原配列、特に新抗原配列(neoantigen sequence)および各患者の腫瘍由来MHC対立遺伝子を同時に抗原提示細胞(APC)で過量発現させることができ、これによって最大量の抗原(またはepitope)-MHC免疫刺激複合体を細胞表面に発現してAPCの腫瘍抗原提示効能を極大化することによって、窮極的に患者オーダーメード型抗癌T細胞の増殖および活性化を最大限に触発して抗癌免疫効果を増大させることができる。
【0095】
具体的に、本願の癌ワクチン組成物に含まれる抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)はMHC対立遺伝子および腫瘍抗原を同時に過量発現することができ、これによってMHC対立遺伝子および腫瘍抗原が結合して抗原提示細胞の表面に発現することによってTリンパ球に抗原を提示することができ、これを通じてTリンパ球を活性化させると、強力な癌特異的細胞毒性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocytes、CTL)が誘導されて癌細胞を破壊することによって癌を免疫学的に治療することができる。また、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)で豊富に発現される共同刺激物質がTリンパ球受容体と抗原-MHC結合体間の反応に重要な役割を担当し、Tリンパ球の分化と成長または流入に関する様々なサイトカインを分泌して免疫反応の活性を調節することができるため、抗癌免疫治療に有用に使用できる。
【0096】
本願のワクチン組成物はまた、ワクチンの有効性を増強させる追加の免疫補強剤(adjuvant)を含むことができる。適した免疫補強剤は、(1)アルミニウム塩(明礬)、例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなど;(2)水中油エマルション製剤(ムラミルペプチドまたは細菌細胞壁成分と同じ特定免疫刺激剤を含有するか含有しない)、例えば、(a)ミクロン以下の粒子に製剤化された5%スクアレン、0.5%ツイン80および0.5%スパン85(必須的ではないが、選択的に多様な量のN-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1’,2’-ジパルミトイルジ-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリールオキシ)-エチルアミン(MTP-PE)を含有する)を含むMF59(WO90/14837)、(b)ミクロン以下の粒子にマイクロ流体化されるか大きい粒子大きさのエマルションを生成するように振とうされた、10%スクアレン、0.4%ツイン80、5%プルロニックブロック化重合体およびN-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)を含むSAF、および(c)モノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)から構成された群より選択される一つ以上の細菌細胞壁成分、2%スクアレン、および0.2%ツイン80を含むRibiTM免疫補強剤システム(RAS);(3)サポニン免疫補強剤;(4)フロイントの完全免疫補強剤(CFA)および不完全免疫補強剤(IFA);(5)サイトカイン、例えば、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12など)、インターフェロン(例えば、ガンマインターフェロン)、大食細胞コロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)など;(6)細菌のADP-リボシル化毒素、例えば、コレラ毒素(CT)、百日咳毒素(PT)、または大腸菌(E.coli)の熱に不安定な毒素(LT)、特にLT-R72、CT-S109、PT-K9/G129の脱毒素化された突然変異体(WO93/13302およびWO92/19265);および(7)ワクチンの有効性を増強させる免疫刺激剤として作用するその他の物質を含むが、これに制限されるわけではない。
【0097】
ワクチン組成物は懸濁または溶解された通常の塩水または緩衝された水溶液培地を含むことができる。例えば、通常、希釈剤、例えば、水、塩水、グリセロール、エタノールなどを含むことができ、補助物質、例えば、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤などが組成物中に存在してもよい。
【0098】
注射用として適した形態は、滅菌注射用水または分散液の即席製造用滅菌水性溶液(水溶性)または分散液および滅菌粉末を含む。これらは製造条件下で安定でなければならず、細菌または真菌のような微生物の汚染に対抗して保存されなければならない。微生物の汚染は、多様な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどを使用して予防することができる。多くの場合で、等張化剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射組成物の長時間吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、アルミニウムモノステアレートまたはゼラチンを組成物中に使用することによって可能になる。
【0099】
前述の溶媒中に必要量の抗原提示細胞と前記で列挙した多様なその他の成分を結合させ、必要によって抗原提示細胞および/または熱に敏感な免疫補強剤サイトカインなどを除いた残り成分、例えば、PBSのような緩衝溶液をろ過滅菌することによって滅菌注射用水を製造する。一般に、基本的な分散培地および前述のものから必要なその他の成分を含有する滅菌ビヒクル内に多様な滅菌化活性成分を含ませることによって分散液を製造する。滅菌注射用水の製造用滅菌粉末の場合、好ましい製造方法は、真空乾燥および凍結乾燥技法である。このような技法によって活性成分、および前述のその滅菌-ろ過された溶液から任意の目的とする成分の粉末を得る。
【0100】
本発明の作用をいかなる方式にも制限せず、本発明によって樹状細胞を伝達することは免疫反応を誘導し、特に抗原に対する細胞毒性T-リンパ球の反応を誘導するのに特に有用である。前記免疫反応は、特異的(T細胞および/またはB細胞)および/または非特異的免疫反応であってもよい。
【0101】
したがって、本発明のまた他の側面は人間、特に癌患者において抗原に対する免疫反応を起こすか、誘導するか、または促進する方法に関するものであって、前記方法は前述のようなワクチン組成物または抗原提示細胞の有効量を癌患者に投与することを含む。
【0102】
前記免疫反応は細胞毒性T-リンパ球反応を含むことが好ましく、本発明の細胞毒性リンパ球反応はヘルパーT細胞反応、体液性反応またはその他の特異的または非特異的な免疫反応と共にまたは独立して起こってもよい。
【0103】
本発明のまた他の側面は、疾病状態の治療および/または予防に関連して本発明の樹状細胞を使用することに関係する。本発明の方法によって治療できる疾病の例としては、各種癌疾患および難治性癌疾患を含む。
【0104】
例えば、癌は固形癌または血液癌であってもよく、非制限的な例示としては、乳癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、脳癌、肝癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、子宮癌、結腸癌、大腸癌、結腸直腸癌、直腸癌、腎臓癌、腎芽細胞腫、皮膚癌、経口扁平上皮癌、表皮癌、鼻咽頭癌、頭頸部癌、骨癌、食道癌、膀胱癌、リンパ管癌(例えば、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫)、胃癌、すい臓癌、睾丸癌、甲状腺癌、甲状腺濾胞癌、黒色腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、中皮腫、骨肉腫、骨髄異形成症候群、間葉起源の腫瘍、軟部組織肉腫、脂肪肉腫、消化管間質腫瘍、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、間葉性軟骨肉腫、リンパ肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、奇形癌腫、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、皮膚の良性腫瘍、または白血病であってもよい。肺癌は、例えば、小細胞肺癌腫(SCLC)または非小細胞肺癌腫(NSCLC)であってもよい。白血病は、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)または慢性リンパ性白血病(CLL)であってもよい。治療される被検体は、2次的な抗過多増殖療法を受けている被検体であってもよい。例えば、2次的な抗過多増殖療法は、化学療法、放射線療法、免疫療法、光線療法、冷凍療法、毒素療法、ホルモン療法、または外科手術であってもよい。
【0105】
したがって、本発明のまた他の側面は、前記癌ワクチン組成物を用いて腫瘍特異的免疫反応を増強させることによって癌を治療する方法を提供する。ここで、前記組成物の投与は、病気状態の発病または進行を阻害するか、中止させるか、遅延させるか、予防する免疫反応を起こすか、誘導するか、または促進する。
【0106】
組成物の直接伝達は、一般に、全身的、皮下、皮内、腹腔内、血管内(静脈内)、筋肉内または局所伝達でき、または組織の間隙に伝達される。組成物はまた、病変に投与できる。投与療法は、単一用量または多重用量スケジュールであってもよい。
【0107】
用語“有効量”は、人間をはじめとする個体に投与した時、所望の結果を達成するのに十分な量、例えば、癌を治療または予防するのに効果的な量を意味する。有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重などの因子によって変わることになる。投与量または治療用法は、当業者らが理解するように、最適の治療反応を提供するように調整することができる。
【0108】
治療学的有効量を用いた個体の治療用法は1回投与から構成されるか、または他の例として、一連の適用を含むことができる。治療の期間は疾患の重症度、個体の年齢、癌ワクチンの濃度、癌ワクチンに対する患者の反応性またはこれらの組み合わせのような多様な因子によって決定される。また、治療に使用される癌ワクチンの有効投与量は個別治療用法のコースの間に高めるか低めることができるのが理解されるはずである。投与量に変化が生じることがあり、当該技術分野に公知された標準診断分析を通じて明確になり得る。本発明の癌ワクチンは、いくつかの側面で、通常の抗ガン剤、放射線治療、ホルモン治療、バイオテラピーおよび/または外科的腫瘍切除を用いた治療前に、治療中にまたは治療後に、投与することができる。
【0109】
以下、本発明を次の実施例によってより具体的に説明する。しかし、これらは本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されるわけではない。
【実施例0110】
実施例1.バイシストロニック発現ベクターの製造
MHCクラスI対立遺伝子および腫瘍抗原を同時に発現するためのバイシストロニックベクターは図1のように構成されており、具体的に、5’から3’方向にそれぞれ5’UTR-ORF1(組換えB2MおよびMHCクラスI対立遺伝子の融合を含むオープンリーディングフレーム;具体的に、N-末端にB2MおよびC-末端に腫瘍由来MHCクラスI対立遺伝子を含む融合タンパク質のコーディング配列)-IRES-ORF2(beads-on-a-string構造の多重抗原性エピトープから構成された組換えタンパク質のコーディング配列)-3’UTRの遺伝子コンストラクトを含む。具体的に、基準鋳型(Reference template)は“LGV1007”と命名し、ORF1としてN-末端からC-末端方向に信号配列、B2MおよびHLA-A*0201を含む融合タンパク質(配列番号1)をコーディングする配列を有し、ORF2としてNY-ESO1、MAGE-A3、SURVIVIN、MULTI-MAGE-A、およびMELAN-Aを含む共有抗原組換えタンパク質(配列番号2)のコーディング配列を有する。このような前記LGV1007の全体配列構造は図2に示した通りであり、前記LGV1007の5’末端のBamHIから3’末端のXbaI制限酵素位置を含む全体DNA配列(3,523bp)を配列番号3に示し、その遺伝子合成を依頼して得た(GeneArt、Thermo Fisher)。しかし、LGV1007は本願の一実施形態による代表例示に過ぎないだけであり、その塩基配列は前述のように個別癌患者によってオーダーメード型で自家由来の配列を含むようにORF1およびORF2塩基配列が変化でき、ORF1およびORF2を除いた塩基配列は当業界に広く知られた配列を用いて抗原提示のために最適化および標準化することができる。
【0111】
実施例2.インビトロ転写(in vitro transcription、IVT)を用いたmRNA転写体生成
バイシストロニックmRNA転写体を生成するために、前述の実施例1で得られたバイシストロニックベクター(DNAプラスミドベクター)を制限酵素Xbalを使用して切断することによって線形化し、線形化されたDNAをExpinTM combo GPキット(GeneAll、112-102)を使用して精製した。精製した線形化されたプラスミド鋳型を、mMessage mMachineTM T7 Ultra transcription kit(ThermoFisher)を使用したIVT(in vitro transcription)mRNA生産に使用し、製造者の指示書に従った。生成されたmRNA転写体をLiCl沈殿法を使用して最終精製した。具体的に、mRNA産物をLiCl沈殿溶液(IVT反応物20μL当り50μL)軽く混合し-20℃で30分以上インキュベーションした。その次に、サンプルを4℃で14分間20,000x gで遠心分離でスピンダウンした。その後、ペレットを70%エタノールで洗浄した。最終mRNA産物をヌクレアーゼのない脱イオン水に再懸濁した。mRNA産物の量をNanodrop2000を使用して測定した。
【0112】
図3は基準鋳型LGV1007に対するインビトロ転写を行い、mRNA転写体が生産されたことをPAGE電気泳動法で確認した結果であって、生成物の予想される正確なサイズ(~3.5Kb、レーン1)を確認した。
【0113】
実施例3.細胞内mRNA感染のための細胞電気穿孔
前述の項目2で得られたmRNA転写体を細胞電気穿孔法を使用して人間細胞に転移させた。K562ヒト骨髄由来リンパ芽球性白血病細胞(ATCC CCL-243TM)をAmaxaTM 4D-NucleofectorTM X Unit装置およびSF Cell Line NucleofectorTM Solution(Lonza)を使用して電気穿孔し、製造者のプロトコールに従った。K562細胞を電気穿孔する二日前に3×10cells/mlに新鮮に分離した。電気穿孔当日、細胞を計数し、必要な数の細胞(1~2×10cells)を室温に準備した。電気穿孔前、細胞を無血清RPMIまたはOpti-MEM(Gibco)で二回洗浄し、100μlのSF Cell Line 4D NucleofectorTM X Solution(82μlのヌクレオフェクション溶液、18μlの補充剤)内に最終的に再懸濁した。その後、0.1mlの細胞懸濁液をprogram FF-120を用いてインビトロ転写された(IVT)LGV1007 mRNA0~20μgと共に混合した。電気穿孔後、新鮮培養培地を細胞懸濁液に添加し、電気穿孔された細胞を37℃、CO細胞培養インキュベータで直ちにインキュベーションした。
【0114】
図4はLGV1007 mRNA転写体をK562細胞に電気穿孔した後、発現量が最大値に到達する条件を導出するために、LGV1007 mRNA転写体を1×10細胞当り0、3、5、または10μgの量でK562細胞に電気穿孔した後、9日間HLA-A*0201分子の発現量を確認した結果であって、転写体10μgを電気穿孔した後24時間に最大発現量(最大~65倍基準値発現量)が観察され、48時間以後には急激に減少して5~2倍基準値程度の発現量で持続的に維持された。このような、非抗原提示細胞(即ち、個別患者腫瘍オーダーメード型)MHC-I対立遺伝子の最大値過量発現は、実質的に特定抗原提示細胞のMHC-I表現型を、患者腫瘍オーダーメード型で単一化させる効果を起こして、個別患者の抗癌免疫T細胞を活性化を最大化させる作用を期待することができる。
【0115】
実施例4.mRNA産物のインビトロ翻訳(in vitro translation)
Flag-タグされたポリ抗原組換えタンパク質のインビトロ翻訳のために、LGV1007鋳型DNAプラスミドを、TnT Quick Coupled Transcription/Translationキット(Promega)または1-Step Human High-Yield Mini IVTキット(Thermo Scientific)を使用した単一チューブインビトロ転写/インビトロ翻訳反応に使用し、製造者のマニュアルに従った。反応体積を100μlから25μlにスケールダウンした。TnT Quick Coupled Transcription/Translationキット(Promega)の場合、反応混合物を30℃で60~90分間インキュベーションし、1-Step Human High-Yield Mini IVTキット(Thermo Scientific)の場合、反応時間が6~16時間であった。
図5は、LGV1007 mRNA転写体のインビトロ翻訳を行ってFlag-タグされたポリ抗原組換えタンパク質が生成されたことをウェスタンブロットで確認した結果を示す。
【0116】
実施例5.タンパク質発現分析
K562細胞へのmRNA電気穿孔後、B2MおよびHLA-A*0201が融合された組換えMHC-Iタンパク質の細胞発現に対するウェスタンブロット分析を行った。また、インビトロ翻訳されたflag-タグされたポリ抗原組換えタンパク質のウェスタンブロットを行ってポリ抗原組換えタンパク質のタンパク質発現を確認した。具体的に、LGV1007 mRNAが電気穿孔されたK562細胞を収集し、PBSで二回洗浄し、4℃でプロテアーゼ阻害剤カクテル(ATTO)を含有するRIPA溶解バッファー(ATTO)で溶解した。標準ウェスタンブロットプロトコールに従って、20~30μgのタンパク質をSDSサンプルバッファーと混合し、Tris-Glycine precast12%または4-20%ゲル(KOMABIOTECH)上でランニング(running)SDS-PAGEで分析した。免疫ブロット抗体を次のソースから得た:ベータ-2マイクログロブリン(Cell Signaling)およびFLAG(Sigma-Aldrich)。抗-ベータ-2マイクログロブリン抗体または抗-FLAG M2抗体を4℃で一晩適用した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合された2次抗体(Santa Cruz Biotechnology)を室温で1時間適用した。増強された化学発光感知キット(ECL、AmershamまたはPierce)を使用して免疫反応性タンパク質を究明した。ウェスタンブロッティングの信号はAmersham Imager680を使用して検出した。
【0117】
図6はLGV1007 mRNA転写体をK562細胞に電気穿孔した後、MHCクラスI対立遺伝子(ORF1)および腫瘍抗原(ORF2)が全てタンパク質として発現されたことをウェスタンブロットで確認した結果であって、ORF1(B2M-HLA-A*0201)タンパク質は~51kDaサイズを確認し(図6a)、ORF2(腫瘍抗原融合タンパク質)は~30kDa程度の予想される大きさで発現されることを確認した(図6b)。しかし、腫瘍抗原融合タンパク質は、細胞発現時には迅速にプロテアソームによって分解されるので、インビトロ翻訳方法によってのみ明確に発現されることを確認した。
【0118】
実施例6.フローサイトメトリー分析
Intellicyt iQueTM Screener PLUS(Sartorius)フローサイトメーターでフローサイトメトリーを行った。具体的に、ヌクレオフェクション(nucleofection)後24~72時間または最大2週に、LGVシリーズmRNAが電気穿孔されたK562細胞を収集し、300xgで5分間遠心分離した。細胞ペレットをフローサイトメトリーバッファー(1%FBSおよび2mM EDTA含有DPBS)に再懸濁した。細胞染色のために、APC接合された-マウス抗-ヒトHLA-A2(BD Pharmigen)を推奨濃度で添加した後、細胞を暗闇および室温で30分~1時間インキュベーションして染色した。染色インキュベーション後、細胞をペレット化しPBSに再懸濁した。フローサイトメトリー結果は、Intellicyt ForeCytソフトウェア(Sartorius)で分析した。
【0119】
図7はLGV1007 mRNA転写体を1×10細胞当り1ugの量でK562細胞に電気穿孔して24時間以後にK562細胞表面での発現量をフローサイトメトリー法を用いて確認した結果であって、基準値に比べて~10倍以上の過量発現を確認した。
【0120】
実施例7.ELISPOT IFNγサイトカイン分泌分析を使用した免疫細胞活性化
K562apc抗原提示細胞で、既存の伝統的な抗原搭載方法であるペプチド搭載(peptide pulse)とRNA抗原搭載間の免疫活性効能優位比較を実験した。具体的に、1日目、実施例3で製造した、LGV1007 mRNA転写体(含まれている五抗原配列:SURVIVIN、MART1、NYESO1、MAGEA3、MULTIMAGE)が電気穿孔されたK562apc細胞と、参考抗原(SURVIVIN9 amino acidsペプチド)搭載されたK562apc細胞、またはペプチド無処理K562apc対照群細胞とELISPOT IFNγ免疫活性比較実験を行った。APC 2.5×10e5 cells/mlの細胞懸濁液中の精製されたPBMC(Peripheral blood mononuclear cell)CD8+ T細胞を刺激した。100μL/ウェルのT細胞と100μLAPCs/ウェルを添加して(2:1~10:1比率でT細胞vs.APC比率で混合)細胞混合物を37℃で24時間インキュベーションした。2日目、培養培地を10U/mL IL-2および5ng/mL IL-15で交替して7日後、IL-2を再補充した。APC刺激11日後、ELISPOT IFNγプロトコール(BD Bioscience)でIFNγ分泌T細胞を分析し、製造者の指示書に従った。陽性スポット(spot)発色を注意深くモニタリングし、完全に乾燥するまで室温で2時間~一晩分析プレートを空気中に乾燥した。解剖顕微鏡で観察して直接陽性スポットを数えるかELISPOTプレートリーダーを使用して自動で陽性スポットを数えてPBMC T細胞活性化分析を行った。
【0121】
図8は、LGV1007 mRNA転写体が電気穿孔されたK562apc細胞、参考抗原(SURVIVIN9 amino acidsペプチド)搭載されたK562apc細胞、およびペプチド無処理K562apc対照群細胞によるPBMC T細胞の免疫活性をそれぞれ測定したELISPOT IFNγ分泌分析結果を示す。Reference RNAであるLGV1007の電気穿孔を通じて活性化されたK562抗原提示細胞は同種のMHCクラスI対立遺伝子型(HLA-A*0201)を有するPBMC CD8+ T細胞をプライミング活性化させて、IFNγを分泌する陽性スポットを確認することができた。反面、MHC遺伝型制限性対照群として使用した異種MHCクラスI対立遺伝子型(non-HLA-A*0201)由来のCD8 T細胞はAPCによってプライミングされなかった。本実験を通じて、LGV1007 mRNA転写体が電気穿孔されたK562apc細胞は、伝統的なペプチド抗原搭載に比べて、優れたex vivo human PBMC免疫細胞活性化を導出することを確認した。
【0122】
実施例8.LGV1032が導入された自家樹状細胞の製造およびこれを用いた免疫細胞活性化
LGV RNA抗原搭載方法が、実験室で技術的に最適化されたK562apcだけでなく、各患者から抽出後培養熟成された、多様なMHC class Iとclass IIを有する、個人オーダーメード型自家樹状細胞でも効果的に抗原搭載および抗原提示を通じて抗原特異的免疫細胞活性化を効果的に触発するかを検証する実験を行い、その結果を図9および図10に示した。
【0123】
図9は、LGV1032 mRNA転写体の構造および個人由来自家樹状細胞での細胞発現を確認したFACS分析結果を示す。LGV1032は、LGV1007(実施例1)と同種のバイシストロニック転写体構造(transcript configuration)を有しORF2(腫瘍抗原パート)は維持し、ORF1に細胞発現マーカーとしてGFPリポータータンパク質が位置した構造である。したがって、LGV1032の製造方法はLGV1007の製造方法と同一である。前述のようなフローサイトメトリーの結果、LGV1032は、LGV1007のように、個人由来自家樹状細胞でも電気穿孔方法によって細胞内に流入後、効果的に細胞発現されることを確認した。個人由来または個人オーダーメード型自家樹状細胞は、血液を採取後、単球細胞(monocytes)を樹状細胞に未熟性状態で一応分化(immature dendritic cell)させた後、成熟過程を経て熟成樹状細胞(mature dendritic cell)を得る。このような試験管内細胞分化および熟成過程は一週間程度かかるが、最終熟成樹状細胞は最大値の抗原提示能を保有すると知られている。図9のGFPリポータータンパク質のFACS分析結果から分かるように、LGV1032は効果的に全ての段階(monocyte、immature DC、mature DC)の細胞に電気穿孔され、細胞流入後、形質発現されることを確認した。
【0124】
図10は、個人由来自家樹状細胞(MoDC)に電気穿孔されたLGV1032が抗原特異的T細胞免疫活性を効果的に触発することを証明した、ELISPOT IFNγ分泌スポット増大確認結果を示す。LGV1032電気穿孔された自家樹状細胞(図10、列3&4)は、伝統的方法であるペプチド抗原が搭載(peptide pulse)された自家樹状細胞(図10、列2)に比べて、MART1抗願特異的TCRe T細胞活性化を非常に効果的に触発することを、ELISPOT IFNγ分泌スポット増大を通じて明確に検証した。
【0125】
以上の説明から、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明がその技術的な思想や必須的特徴を変更せず他の具体的な形態に実施できるということが理解できるはずである。したがって、以上で記述した実施形態は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないこととして理解しなければならない。本発明の範囲は前記詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその等価概念から導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
2024161435000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MHC(major histocompatibility complex)および腫瘍抗原の複合体が細胞表面に過剰発現された抗原提示細胞(antigen presenting cell)を含む、
癌予防または治療用ワクチン組成物。
【外国語明細書】