(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161438
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】半導体処理のためのチャンバ構成部品のインサイチュ保護被膜
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20241112BHJP
H01L 21/205 20060101ALN20241112BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
C23C16/44 J
H01L21/205
H01L21/31 C
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024133711
(22)【出願日】2024-08-09
(62)【分割の表示】P 2021521275の分割
【原出願日】2019-10-08
(31)【優先権主張番号】62/748,194
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンハル・アキル
(72)【発明者】
【氏名】スミス・デイビッド・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】リーサー・カール・フレデリック
(57)【要約】 (修正有)
【課題】反応チャンバに保護被膜を堆積させる方法を提供する。
【解決手段】インサイチュ保護被膜は、高温で反応チャンバのチャンバ構成部品の表面に堆積される。インサイチュ保護被膜は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、またはヨウ素系種などの特定の種類のハロゲン化学物質に耐性がある高品質の被膜を提供するために、約200℃よりも高温で堆積されてよい。続いてインサイチュ保護被膜の上に、下にあるインサイチュ保護被膜とは異なるエッチング選択率を有する被膜または層が堆積されてよい。インサイチュ保護被膜は、チャンバ壁を含むチャンバ構成部品の表面に堆積させるために反応チャンバ全体に堆積されてよい。
【選択図】
図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
気相の第1の反応物を反応チャンバに導入して複数のチャンバ構成部品の表面に吸着させる工程であって、前記複数のチャンバ構成部品は、前記反応チャンバの一部である、工程と、
気相の第2の反応物を前記反応チャンバに導入する工程であって、前記第1の反応物および前記第2の反応物が反応して、約200℃よりも高温で前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に保護被膜を堆積させる、工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の反応物は、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスにおいて前記第2の反応物と反応する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、さらに、
前記第2の反応物のプラズマグロー放電の大部分が上部電極と下部電極との間の領域外の1つ以上の領域で形成するように、前記反応チャンバに供給される高周波(RF)信号を制御する工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記上部電極に供給される前記RF信号の第1の位相と前記下部電極に供給される前記RF信号の第2の位相との間の位相差は、約180度から0度の位相外れである、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記位相差は、約0度の位相外れである、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の反応物は、熱ALDプロセスにおいて前記第2の反応物と反応する、方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記保護被膜は、酸化物、窒化物、炭化物、またはこれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記保護被膜は、酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化スズ(SnO2)、または窒化シリコン(Si3N4)を含む、方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記複数のチャンバ構成部品の1つ以上の材料は、アルミニウム(Al)を含む、方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記複数のチャンバ構成部品は、少なくとも前記反応チャンバのチャンバ壁を含む、方法。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、さらに、
膜材料を前記反応チャンバのウエハおよび前記保護被膜に堆積させる工程と、
前記ウエハ上および前記保護被膜上の前記膜材料をエッチングする工程であって、前記膜材料は、前記保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる、工程と、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記膜材料をエッチングするために用いられるエッチング液は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、ヨウ素系種、またはこれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、さらに、
前記膜材料のエッチング後に、前記反応チャンバの前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に前記保護被膜を再堆積させる工程を含む、方法。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の反応物は前記第2の反応物と反応して、約250℃から約650℃の温度で前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に前記保護被膜を堆積させる、方法。
【請求項15】
方法であって、
反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜を堆積させる工程であって、前記複数のチャンバ構成部品は前記反応チャンバの一部であり、前記保護被膜はプラズマ強化化学蒸着(PECVD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、または熱原子層堆積(熱ALD)によって約200℃よりも高温で堆積される、工程を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
前記反応チャンバの前記複数のチャンバ構成部品の前記表面において、前記保護被膜に膜材料を堆積させる工程であって、前記膜材料は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、またはヨウ素系種への暴露の間に、前記保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる、工程を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、さらに、
前記フッ素系種、前記塩素系種、前記臭素系種、または前記ヨウ素系種への暴露の後に、前記反応チャンバの前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に前記保護被膜を再堆積させる工程を含む、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、
前記保護被膜は、PECVDまたはPEALDによって堆積され、前記方法は、さらに、
プラズマグロー放電の大部分が上部電極と下部電極との間の領域外の1つ以上の領域で形成するように、前記反応チャンバに供給される高周波(RF)信号を制御する工程を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記上部電極に供給される前記RF信号の第1の位相と前記下部電極に供給される前記RF信号の第2の位相との間の位相差は、約0度の位相外れである、方法。
【請求項20】
請求項15~19のいずれか一項に記載の方法であって、
前記保護被膜は、酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化スズ(SnO2)、または窒化シリコン(Si3N4)を含み、前記複数のチャンバ構成部品の1つ以上の材料は、アルミニウム(Al)を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[参照による援用]
本願の一部として、本明細書と同時にPCT出願書が提出される。同時に出願されたPCT出願書に認められる利益または優先権を本願が主張する各出願は、その全てが全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
半導体産業および他の産業が進歩するにつれて、デバイス寸法はますます小さくなっている。革新的に小型化するこれらの形状は高均一な堆積手順を必要とし、膜不純物の存在または他の不均一性は、半導体デバイスの不良を頻繁に生じさせる可能性がある。
【0003】
本明細書に記載の背景技術は、本開示の内容を一般に提示するためである。現在挙げられている発明者の発明は、本背景技術だけでなく、出願時に先行技術に該当しない記載の態様に記載される範囲において、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、反応チャンバに保護被膜を堆積させる方法が記載される。この方法は、気相の第1の反応物を反応チャンバに導入して、反応チャンバの一部である複数のチャンバ構成部品の表面に吸着させる工程と、気相の第2の反応物を反応チャンバに導入する工程であって、第1の反応物および第2の反応物が反応して、約200℃よりも高温で複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜を堆積させる、工程と、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1の反応物は、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスにおいて第2の反応物と反応する。いくつかの実施形態では、この方法はさらに、第2の反応物のプラズマグロー放電の大部分が、上部電極と下部電極との間の領域外の1つ以上の領域で形成するように、反応チャンバに供給される高周波(RF)信号を制御する工程を含む。上部電極に供給されるRF信号の第1の位相と下部電極供給されるRF信号の第2の位相との間の位相差は、約180度から0度の位相外れであってよい。いくつかの実施形態では、第1の反応物は、熱ALDプロセスにおいて第2の反応物と反応する。いくつかの実施形態では、保護被膜は酸化物、窒化物、炭化物、またはこれらの組み合わせを含む。保護被膜は、酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化スズ(SnO2)、または窒化シリコン(Si3N4)を含んでよい。いくつかの実施形態では、この方法はさらに、反応チャンバ内のウエハおよび保護被膜に膜材料を堆積させる工程と、ウエハ上および保護被膜上の膜材料をエッチングする工程であって、膜材料は保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる、工程と、を含む。膜材料のエッチングに用いられるエッチング液は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、ヨウ素系種、またはこれらの組み合わせを含んでよい。いくつかの実施形態では、この方法はさらに、膜材料のエッチング後に、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜を再堆積させる工程を含む。
【0006】
別の態様は、反応チャンバに保護被膜を堆積させる方法を含む。この方法は、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜を堆積させる工程であって、複数のチャンバ構成部品は反応チャンバの一部であり、保護被膜は、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、または熱原子層堆積(熱ALD)によって約200℃よりも高温で堆積される工程を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、この方法はさらに、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面において保護被膜に膜材料を堆積させる工程であって、膜材料は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、またはヨウ素系種への暴露の間に、保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる、工程を含む。いくつかの実施形態では、この方法はさらに、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、またはヨウ素系種への暴露の後に、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜を再堆積させる工程を含む。いくつかの実施形態では、保護被膜はPECVDまたはPEALDによって堆積され、この方法はさらに、プラズマグロー放電の大部分が上部電極と下部電極との間の領域外の1つ以上の領域で形成するように、反応チャンバに供給される高周波(RF)信号を制御する工程を含む。上部電極に供給されるRF信号の第1の位相と下部電極供給されるRF信号の第2の位相との間の位相差は、約0度の位相外れである。いくつかの実施形態では、保護被膜は酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化スズ(SnO2)、または窒化シリコン(Si3N4)を含み、複数のチャンバ構成部品の1つ以上の材料は、アルミニウム(Al)を含む。
【0008】
別の態様は、複数のチャンバ構成部品を含む反応チャンバを備えるプラズマ装置を含む装置に関する。プラズマ装置はさらに、気相の第1の反応物を反応チャンバに導入して、反応チャンバの一部である複数のチャンバ構成部品の表面に吸着させる動作と、気相の第2の反応物を反応チャンバに導入する動作であって、第1の反応物および第2の反応物が反応して、約200℃よりも高温で複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜を堆積させる、動作と、を実施するための命令が構成されたコントローラを備える。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の反応物は、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスにおいて第2の反応物と反応する。いくつかの実施形態では、プラズマ装置はさらに、コントローラに結合されたRF電源であって、コントローラはさらに、第2の反応物のプラズマグロー放電の大部分が上部電極と下部電極との間の領域外の1つ以上の領域で形成するように、反応チャンバに供給される高周波(RF)信号を制御する動作を実施するための命令が構成されている、RF電源を備える。いくつかの実施形態では、上部電極に供給されるRF信号の第1の位相と下部電極供給されるRF信号の第2の位相との間の位相差は、約180度から0度の位相外れである。いくつかの実施形態では、位相差は0度の位相外れである。いくつかの実施形態では、第1の反応物は熱ALDプロセスにおいて第2の反応物と反応する。いくつかの実施形態では、保護被膜は酸化物、窒化物、炭化物、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、複数のチャンバ構成部品は、少なくとも反応チャンバのチャンバ壁を含む。いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、反応チャンバ内のウエハおよび保護被膜に膜材料を堆積させる動作と、ウエハ上および保護被膜上の膜材料をエッチングする動作であって、膜材料は保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる、動作と、を実施するための命令が構成されている。
【0010】
別の態様は、複数のチャンバ構成部品を含む反応チャンバを備えるプラズマ装置を含む装置に関する。プラズマ装置はさらに、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜を堆積させる動作であって、複数のチャンバ構成部品は反応チャンバの一部であり、保護被膜は、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、または熱原子層堆積(熱ALD)によって約200℃よりも高温で堆積される、動作と、を実施するための命令が構成されたコントローラを備える。
【0011】
いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面において保護被膜に膜材料を堆積させる動作であって、膜材料は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、またはヨウ素系種への暴露の間に、保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる、動作を実施するための命令が構成されている。いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、またはヨウ素系種への暴露の後に、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜を再堆積させる動作を実施するための命令が構成されている。いくつかの実施形態では、保護被膜はPECVDまたはPEALDによって堆積され、コントローラはさらに、プラズマグロー放電の大部分が上部電極と下部電極との間の領域外の1つ以上の領域で形成するように、反応チャンバに供給される高周波(RF)信号を制御する動作を実施するための命令が構成されている。
【0012】
これらの態様または他の態様は、図面を参照して以下にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】いくつかの実施形態による、反応チャンバのチャンバ構成部品のインサイチュ被覆を実施するための例示的装置の略断面図。
【0014】
【
図2A】いくつかの実施形態による、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品を被覆する例示的原子層堆積(ALD)法のフロー図。
【0015】
【
図2B】いくつかの実施形態による、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品を被覆する例示方法のフロー図。
【0016】
【
図3A】いくつかの実施形態による、上部電極と下部電極との間にプラズマグロー放電が発生する反応チャンバを備える例示的プラズマ装置の略断面図。
【0017】
【
図3B】いくつかの実施形態による、反応チャンバのチャンバ壁に隣接してプラズマグロー放電が発生する
図3Aの反応チャンバを備える例示的プラズマ装置の略断面図。
【0018】
【
図3C】いくつかの実施形態による、反応チャンバのチャンバ壁に保護被膜が堆積した
図3Aおよび
図3Bの反応チャンバを備える例示的プラズマ装置の略断面図。
【0019】
【
図4A】いくつかの実施形態による、膜材料がウエハおよび保護被膜に堆積した例示的反応チャンバの略断面図。
【0020】
【
図4B】いくつかの実施形態による、膜材料がウエハからエッチングされた、および保護被膜から選択的にエッチングされた
図4Aの例示的反応チャンバの略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示では、用語「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、および「半製品集積回路」は同義で用いられる。当業者は、用語「半製品集積回路」が集積回路製造の多くの段階のうちのいずれかにおけるシリコンウエハを意味しうることを理解するだろう。半導体デバイス産業で用いられるウエハまたは基板は通常、200mm、または300mm、または450mmの直径を有する。以下の発明を実施するための形態は、本開示がウエハ上で実施されることを前提とするが、本開示はこれに限定されない。ワークピースは、様々な形状、寸法、および材料を有してよい。半導体ウエハに加えて本開示を活かすことができる他のワークピースは、プリント回路基板などの様々な物品を含む。
序文
【0022】
半導体デバイスを製造するときは、製造プロセスが正確で繰り返し性があることが有利である。あいにく、半導体製造装置がさらなるウエハを経時的に処理するにつれて、装置内の処理条件および化学物質は変化する。処理条件および化学物質は、ウエハにおいて汚染および不具合の問題を引き起こし、半導体製造装置の反応チャンバの劣化をもたらしうる。
【0023】
半導体デバイスは、汚染および不具合の問題にますます影響を受けやすくなっている。粒子および膜不純物は、反応チャンバの内面から生じる可能性がある。例えば粒子および膜不純物は、内側チャンバ壁、天井、シャワーヘッド、基板支持体、リフトピン、ガスライン、ノズルなどから生じる可能性がある。特定の例では、反応チャンバおよび/またはチャンバ構成部品は、アルミニウム6061-T6(アルミニウムならびに少量の他の材料(クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、シリコン、チタン、銀など)を含みうる)などのアルミニウムから作られてよい。多くの場合、粒子および膜不純物は、反応チャンバがプラズマまたは他の厳しい処理条件に曝されたときに発生し、これらの粒子および膜不純物は、処理の間にウエハ表面上に落ちる可能性がある。例えば、堆積中にインサイチュ(in situ)プラズマに曝露されたチャンバ構成部品が剥がれ、処理中のウエハ上に望ましくない不純物が落ちる可能性がある。これによりウエハの汚染が生じ、デバイス不良の可能性が高まる。
【0024】
処理条件および化学物質は、装置内で処理されるウエハだけでなく、半導体製造装置の反応チャンバの内面にも影響を及ぼす。反応チャンバは一連のウエハに経時的に成膜するのに用いられるため、様々な膜副生成物が反応チャンバの内面に堆積する。反応チャンバは、堆積膜を除去するためにエッチングプロセスが施されてよい。いくつかの場合では、エッチングプロセスは、ウエハおよび反応チャンバをハロゲン系種に暴露する工程であって、ハロゲン系種はフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)を含みうる、工程を含んでよい。反応チャンバは、その内面から膜副生成物を除去するために洗浄プロセスが施されてよい。いくつかの場合では、洗浄プロセスは、反応チャンバを前記のハロゲン系種の1つ以上に暴露する工程を含む。反応チャンバは、ウエハに成膜するために堆積プロセスが施されてよい。いくつかの場合では、堆積プロセスは、反応チャンバを前記のハロゲン系種の1つ以上に暴露する工程を含む。チャンバ構成部品およびチャンバ壁を備える反応チャンバは、アルミニウムなどの金属材料で作られることが多い。金属材料で作られたチャンバ構成部品およびチャンバ壁は、ハロゲン系種に攻撃され、すぐに揮発性塩を形成する可能性がある。例えばアルミニウムチャンバ構成部品は、フッ素ラジカルに攻撃され、適切な条件下では揮発性であるフッ化アルミニウム(AlF3)を形成する可能性がある。これらの種類の反応は、チャンバ構成部品の表面積を大幅に増加させて、チャンバ構成部品の表面特性を変化させることにより、反応チャンバで処理されるウエハの堆積または他の処理の結果を経時的に変化させる。さらにこれらの種類の反応は、チャンバ構成部品およびチャンバ壁の腐食、ならびに、反応チャンバの経時劣化をもたらす可能性がある。
【0025】
粒子の発生に対抗するための1つの技術は、反応チャンバの表面をアンダーコートで被覆することである。アンダーコートは、調整層または保護層とも呼ばれてよい。アンダーコートは一般に、反応チャンバの内面にインサイチュで形成される材料層である。アンダーコートは、露出した内面からの金属汚染物を最小限にするように機能してよい。アンダーコートは通常、反応チャンバにウエハがないときに堆積される。アンダーコートについては、その全てが全ての目的のために参照により援用される、2013年11月25日出願の「CHAMBER UNDERCOAT PREPARATION METHOD FOR LOW TEMPERATURE ALD FILMS」と題した米国特許出願第14/089,653号にさらに記載されている。
【0026】
アンダーコートは、粒子の発生および関連する汚染を低減するのに役立つ一方で、一定の課題も提示する。第1に、アンダーコートは、反応チャンバの内面の一部に不完全な被覆を提供することが多い。反応チャンバの一定部分は、膜形成に必要な反応物に曝されない可能性がある。第2に、アンダーコートは一般に、熱エネルギへの暴露の結果として形成されるが、厳しい処理条件に耐えるために適温まで加熱されない。かかるアンダーコートは長持ちせず、熱応力およびプラズマストレスによる劣化の影響を受けやすい。第3に、いくらかのアンダーコートは、反応チャンバの内面に堆積する微細多孔構造をもたらす。微細多孔構造は、プラズマに曝露されると大幅な減少が起こる可能性がある。微細多孔で、不完全な被覆を提供する、または厳しい処理条件に耐えるのに適さないかかるアンダーコートは、反応チャンバを劣化させるだろう。反応チャンバは、高温および/もしくはプラズマ、またはハロゲン系化学物質に曝されると経時劣化する可能性がある。
【0027】
粒子の発生またはチャンバの劣化に対抗するための別の技術は、エクスサイチュ堆積によって保護被膜を提供することである。保護被膜は、保護被膜が第1の反応チャンバのチャンバ構成部品に堆積され、次にチャンバ構成部品が除去され、第2の反応チャンバに取り付けられるエクスサイチュで堆積されると考えられる。これらの場合には、チャンバ構成部品は、第1の反応チャンバにあるときは被覆された基板として機能し、第2の反応チャンバに取り付けられたときはその意図した機能を果たす。エクスサイチュ被膜については、その全てが全ての目的のために参照により援用される、2018年4月16日出願の「EX SITU COATING OF CHAMBER COMPONENTS FOR SEMICONDUCTOR PROCESSING」と題した米国特許出願第15/954,454号にさらに記載されている。
【0028】
エクスサイチュ被膜は、粒子汚染の制限、チャンバ構成部品の表面のより完全な被覆の提供、およびチャンバ劣化に対する保護において有効だが、一定の課題も提示する。第1に、エクスサイチュ被膜は別々の反応チャンバで堆積され、スループットを増加させる。被覆チャンバ構成部品が別の反応チャンバへの移送工程および取り付け工程を必要とするだけでなく、チャンバ構成部品は、定期的に再被覆するためにより多くの除去工程、移送工程、および再取り付け工程を経るだろう。第2に、エクスサイチュ被膜は通常、プラズマ溶射、溶射、または物理蒸着(PVD)などの従来の堆積技術を用いて堆積される。これらの堆積技術は、約200℃未満などの低温で実施される。これにより、保護被膜が厳しい処理条件に曝されたときに保護被膜の品質が制限される。よって、かかる保護被膜は、プラズマまたは高温に曝されると割れや劣化を生じやすい。保護被膜が役立たなくなると、ウエハは粒子汚染および処理結果のドリフトを受けやすくなり、反応チャンバは劣化および腐食を受ける。
装置
【0029】
本明細書に記載の方法は、任意の適した装置で実施されてよい。適した装置は、プロセス動作を実行するためのハードウェア、および、本実施形態に従ってプロセス動作を制御するための命令を有するシステムコントローラを備える。例えばいくつかの実施形態では、ハードウェアはプロセスツールに含まれる1つ以上の処理ステーションを備えてよい。
【0030】
本明細書に記載のチャンバ構成部品にインサイチュ保護被膜を提供するための堆積技術は、任意のプラズマ強化化学蒸着(PECVD)装置または原子層堆積(ALD)装置で実施されてよい。装置は多くの形態を取ってよく、1つ以上のチャンバまたはリアクタ(処理ステーションと呼ばれることもある)を備えるプロセスツールの一部であってよい。特定の動作については、VECTOR(商標)製品ファミリまたはStriker(商標)製品ファミリ(各々、カリフォルニア州フレモント所在のラム・リサーチ・コーポレーションから入手可能)などの例示的装置が適した装置であってよい。
【0031】
図1は、いくつかの実施形態による、反応チャンバのチャンバ構成部品のインサイチュ被覆を実施するための例示的装置の略断面を表す。装置100は反応チャンバ102を備えてよく、本明細書に記載のように反応チャンバ102の複数のチャンバ構成部品に保護被膜を堆積させてよい。装置100は、半導体処理のために反応チャンバ102において膜を堆積させ、膜をエッチングし、および/または、膜の副生成物を洗浄するのに用いられてもよいことが理解されるだろう。いくつかの実施形態では、装置100はALD技術またはPECVD技術を用いてウエハ上に成膜してよく、装置100はALD技術またはPECVD技術を用いて反応チャンバ102のチャンバ構成部品に保護被膜を堆積させてよい。簡素化のため、装置100は低圧環境を維持するための反応チャンバ102を有する単体のリアクタとして描かれている。しかし、一般のプロセスツール環境では、装置100が複数含まれてよいことがわかるだろう。さらにいくつかの実施形態では、以下に詳細に説明されるものを含む装置100の1つ以上のハードウェアパラメータが、1つ以上のシステムコントローラによってプログラムに従って調整されてよいことがわかるだろう。
【0032】
反応チャンバ102は、プロセスガスを分配シャワーヘッド106に供給するための反応物供給システム101と流体連通する。反応物供給システム101は、シャワーヘッド106に供給するためのプロセスガスを混合および/または調整するための混合容器を備える。1つ以上の混合容器入口弁120は、混合容器104へのプロセスガスの導入を制御してよい。同様に、シャワーヘッド入口弁105は、シャワーヘッド106へのプロセスガスの導入を制御してよい。
【0033】
いくつかの反応物は、反応チャンバ102への供給以降の蒸発までは液状で保管されてよい。例えば
図1の実施形態は、混合容器104に供給される液体反応物を蒸発させる蒸発点103を含む。蒸発点103は、反応物が全て気体の場合は省略されてよい。いくつかの実施形態では、蒸発点103は加熱蒸発器であってよい。かかる蒸発器から生成された反応物蒸気は、下流の供給配管で凝縮してよい。凝縮反応物への不適合なガスの暴露は、小粒子を生成する可能性がある。これらの小粒子は、配管を詰まらせ、弁動作を妨げ、ウエハを汚染するなどの可能性がある。これらの問題に対処するいくつかの手法は、残留反応物を除去するために供給配管を清掃および/または真空引きすることを含む。しかし、供給配管の清掃は反応チャンバのサイクルタイムを延ばし、反応チャンバのスループットを低下させる可能性がある。よっていくつかの実施形態では、蒸発点103の下流の供給配管はヒートトレースされてよい。いくつかの例では、混合容器104もヒートトレースされてよい。非限定的な一例では、蒸発点103の下流の配管は、混合容器104において約100℃から約150℃に上昇する温度プロファイルを有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、液体反応物は液体注入器において蒸発してよい。例えば液体注入器は、混合容器104の上流のキャリアガス流に液体反応物のパスルを注入してよい。一実施形態では、液体注入器は、液体を高圧から低圧に素早く切り換えることで反応物を蒸発させてよい。別の実施形態では、液体注入器は、液体を後に加熱供給配管で蒸発する分散微小滴に霧化してよい。小さい液滴は大きい液滴よりも速く蒸発し、液体注入と完全蒸発との間の遅延を低減してよいことがわかるだろう。蒸発が速いと、蒸発点103から下流の配管の長さが低減できる。1つのシナリオでは、液体注入器は混合容器104に直接取り付けられてよい。別のシナリオでは、液体注入器はシャワーヘッド106に直接取り付けられてよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、蒸発および反応チャンバ102への供給のために液体の質量流量を制御するために、蒸発点103の上流に液体流量コントローラ(LFC)が設けられてよい。例えばLFCは、その下流に設置された熱式質量流量計(MFM)を備えてよい。MFMと電気連通する比例積分微分(PID)コントローラによって提供されるフィードバック制御信号に応答して、次にLFCのプランジャ弁が調節されてよい。しかし、フィードバック制御を用いて液体流量を安定させるには1秒以上かかるかもしれない。これにより、液体反応物を投入する時間が延びる可能性がある。よっていくつかの実施形態では、LFCはフィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えられてよい。いくつかの実施形態では、LFCのセンスチューブおよびPIDコントローラを停止させることによって、LFCはフィードバック制御モードから直接制御モードに動的に切り替えられてよい。
【0036】
反応チャンバ102は、外部環境から反応チャンバ102を閉じ込めるチャンバ壁109を備える。チャンバ壁109は、チャンバ側壁、天井、床などを含む。反応チャンバ102はさらに、プロセスガスを分配するためのシャワーヘッド106を備える。シャワーヘッド106は、任意の適した形状を有してよく、反応チャンバ102にプロセスガスを分配するためのポートを任意の数および配置で有してよいことがわかるだろう。反応チャンバ102はさらに、ウエハ112を支持するためのチャックまたは台座108を備える。
図1に示す実施形態では、台座108およびウエハ112はシャワーヘッド106の下に位置し、ウエハ112は台座108のリフトピン130に載っていることが示されている。本明細書に記載のように、反応チャンバ102のチャンバ構成部品上への保護被膜の堆積は、反応チャンバ102にウエハ112がないときに生じてよいことが理解されるだろう。しかし、本明細書に記載のように、反応チャンバ102のチャンバ構成部品への保護被膜の堆積は、反応チャンバ102にウエハ112があるときに生じてもよいことがわかるだろう。保護被膜が堆積されうるチャンバ構成部品は、チャンバ壁109(側壁、天井、床などを含む)、台座108、シャワーヘッド106、およびリフトピン130を含むが、それらに限定されない。
【0037】
いくつかの実施形態では、シャワーヘッド106と台座108との間に区域107が位置する。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド106の位置または台座108の位置は、シャワーヘッド106と台座108との間の区域107の大きさを変更するために調節されてよい。シャワーヘッド106および/または台座108の垂直位置は、任意の適した機構によって変更できることがわかるだろう。区域107の大きさの例は、約0.1リットルから約2リットルの容積を含むが、それに限定されない。比較的大きいチャンバ構成部品を収容するために、大規模の区域が必要になるかもしれない。いくつかの実施形態では、チャンバ構成部品に保護被膜を堆積させるために、区域107のシャワーヘッド106と台座108との間でプラズマグロー放電が生じてよい。いくつかの実施形態では、チャンバ構成部品に保護被膜を堆積させるために、区域107の外側のチャンバ壁109に隣接した領域でプラズマグロー放電が生じてよい。
【0038】
図1が示すように、シャワーヘッド106および台座108は、プラズマに給電するためにRF電源114および整合網116と電気連通してよい。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギは、処理ステーション圧、ガス濃度、RF電源、RF源周波数、RF信号の位相差、およびプラズマ電力パルスのタイミングのうちの1つ以上を制御することにより制御されてよい。例えば、RF電源114および整合網116は、所望の組成のラジカル種を有するプラズマを生成するために任意の適した電力で動作してよい。同様にRF電源114は、任意の適した周波数のRF電力を提供してよい。いくつかの実施形態では、RF電源114は、互いに独立した高周波RF電源および低周波RF電源を制御するように構成されてよい。低周波RF周波数の例は、50kHzから700kHzの周波数を含んでよいが、それに限定されない。高周波RF周波数の例は、1.8MHzから2.45GHzの周波数を含んでよいが、それに限定されない。またRF電源114は、下部電極および上部電極の両方に供給されるRF信号の位相差を制御してよい。例えば位相差は、約180度から0度の間のいずれかの位相外れでありうる。表面反応のためのプラズマエネルギを提供するために、任意の適したパラメータが非連続的または連続的に調整されてもよいことがわかるだろう。非限定的な一例では、プラズマ電力は断続的にパルス化されてよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、プラズマは1つ以上のプラズマモニタでインサイチュで監視されてよい。1つのシナリオでは、プラズマ電力は1つ以上の電圧電力センサ(例えば、VIプローブ)で監視されてよい。別のシナリオでは、プラズマ密度および/またはプロセスガス濃度は、1つ以上の発光分光分析(OES)センサで測定されてよい。さらに別のシナリオでは、プラズマ位置は、1つ以上の位相センサで監視および測定されてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のプラズマパラメータは、かかるインサイチュプラズマモニタからの測定値に基づいてプログラムに従って調整されてよい。他のプラズマモニタは、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力変換器を含んでよいが、それらに限定されない。
【0040】
いくつかの実施形態では、プラズマは入出力制御(IOC)配列命令によって制御されてよい。一例では、プラズマプロセス段階のプラズマ条件を設定するための命令は、堆積プロセスレシピの対応するプラズマ励起レシピ段階に含まれてよい。いくつかの場合では、プロセスレシピ段階は、堆積プロセス段階の全ての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるように連続して配置されてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のプラズマパラメータを設定するための命令は、プラズマプロセス段階前のレシピ段階に含まれてよい。例えば第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応ガスの流量を設定するための命令、プラズマ発生器を電力設定点に設定するための命令、および第1のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでよい。続く第2のレシピ段階は、プラズマ発生器を起動するための命令、および、第2のレシピ段階の時間遅延命令を含んでよい。第3のレシピ段階は、プラズマ発生器を停止するための命令、および、第3のレシピ段階の時間遅延命令を含んでよい。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内の任意の適した方法でさらに細分化されてよい、および/または繰り返されてよいことがわかるだろう。
【0041】
いくつかの実施形態では、RF電源114および整合網116は、保護被膜がプラズマ駆動反応ではなく熱駆動反応によって形成される場合には省略されてよい。例えば、保護被膜は熱ALDによって形成されてよい。それでもRF電源114および整合網116は、洗浄動作および処理動作などの非堆積関連プロセスに有効であってよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、台座108は加熱器110によって温度制御されてよい。さらにいくつかの実施形態では、反応チャンバ102の圧力制御は排気弁118によって提供されてよい。
図1に示すように、排気弁118は下流の真空ポンプシステム(図示せず)によって提供される真空を調節する。真空ポンプシステムは、粗引ポンプおよび/またはターボ分子ポンプを備えてよい。しかしいくつかの実施形態では、反応チャンバ102の圧力制御は、反応チャンバ102に導入される1つ以上のガスの流量を変更することによって調節されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、コントローラ150は、装置100の一部でありうるシステムの一部である。かかるシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理構成部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を備える半導体処理装置を含みうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と統合されてよい。この電子機器は「コントローラ」と呼ばれ、システムの様々な構成部品または副部品を制御してよい。コントローラは、処理条件および/またはシステムの種類に応じて、プロセスガスの供給、温度設定、圧力設定、真空設定、電力設定、RF発生器の設定、RF整合回路の設定、位相差設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツールに対するウエハ搬入出、ならびに/または、特定のシステムに接続もしくは結合されたロードロックに対するウエハ搬入出を含む、本明細書に開示されたあらゆるプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0044】
コントローラ150は、装置100と操作的に連通してよい。いくつかの実施形態では、コントローラ150は、データシステム(例えば、メモリ)に保持された命令を実行するように構成されたプロセッサシステム(例えば、マイクロプロセッサ)を備える。いくつかの実施形態では、コントローラ150は、プラズマパラメータおよび/またはプラズマ条件を制御するためにプラズマ発生器コントローラと連通してよい。いくつかの実施形態では、コントローラ150は、台座の昇降および温度を制御するために台座108と連通してよい。コントローラ150は、装置100の動作のプロセス条件を制御するための命令を含んでよい。コントローラ150は通常、1つ以上の記憶装置および1つ以上のプロセッサを備えるだろう。プロセッサは、CPUまたは計算機、アナログおよび/またはデジタルの入出力接続、ステッパモータコントローラ基板などを含んでよい。適切な制御動作を実施するための命令は、プロセッサで実行される。これらの命令は、コントローラ150に関連付けられた記憶装置に格納されてよい、または、ネットワークを通じて提供されてよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、コントローラ150は、装置100の全てまたはほとんどの動作を制御してよい。例えばコントローラ150は、反応チャンバ102において保護被膜を堆積する際のプラズマ生成、プラズマ位置、およびパラメータ(例えば、ガス流の組成および温度)を制御するための命令のセットを含むシステム制御ソフトウェアを実行してよい。いくつかの実施形態では、コントローラ150は、チャンバ圧、ガス流量、RF信号の位相差、および他のパラメータ(保護被膜によるチャンバ構成部品の被覆を含む)を制御するための命令のセットを含む制御ソフトウェアを実行してよい。いくつかの実施形態では、コントローラ150に関連付けられた記憶装置に格納された他のコンピュータプログラム、スクリプト、またはルーチンが用いられてよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、コントローラ150は、反応チャンバ102の複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜を堆積させる動作であって、複数のチャンバ構成部品は反応チャンバ102の一部であり、保護被膜はプラズマ強化化学蒸着(PECVD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、または熱原子層堆積(熱ALD)によって約200℃よりも高温で堆積される、動作を実施するための命令が構成されてよい。いくつかの実施形態では、コントローラ150はさらに、反応チャンバ102の複数のチャンバ構成部品の表面において保護被膜に膜材料を堆積させる動作であって、膜材料はフッ素系エッチング、塩素系エッチング、臭素系エッチング、またはヨウ素系エッチングへの暴露の間に、保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる、動作を実施するための命令が構成されてよい。いくつかの実施形態では、コントローラ150はさらに、プラズマグロー放電の大部分が台座108に隣接する領域外の1つ以上の領域で形成するように、反応チャンバに供給されるRF信号を制御する動作を実施するための命令が構成されてよい。
【0047】
概してコントローラ150は、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの、様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形式でコントローラに伝達される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、1または複数の層、材料、表面、回路、および/または、ウエハダイの製造中における1または複数の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって定義されたレシピの一部であってよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、コントローラ150は、システムと統合または結合された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、もしくはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに結合されてよい。例えばコントローラ150は、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする、「クラウド」内にあってよい、または、ファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または性能基準を調査して、現在の処理のパラメータを変更、現在の処理に続く処理工程を設定、または、新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じてシステムにプロセスレシピを提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを備えてよい。いくつかの例では、コントローラ150は、1または複数の動作中に実施される各処理工程のパラメータを特定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、コントローラ150が接続するまたは制御するように構成されたツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。よって上述のように、コントローラ150は、例えば互いにネットワーク接続された1または複数の個別のコントローラを含むことと、本明細書に記載のプロセスおよび制御などの共通の目的に向けて協働することとによって分散されてよい。かかる目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として)設置され、協働してチャンバにおけるプロセスを制御する1または複数の集積回路と連通するチャンバの1または複数の集積回路だろう。
【0049】
上記のように、ツールによって実施されるプロセス工程に応じて、コントローラ150は、他のツール回路もしくはツールモジュール、他のツール構成部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つまたは複数と連通してよい。
【0050】
上記の装置/プロセスは、例えば半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽電池パネルなどの製作または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたはプロセスと共に用いられてよい。かかるツール/プロセスは通常(必ずしもではない)、共通の製作施設で共に用いられるまたは実行されるだろう。膜のリソグラフィパターニングは通常、(1)スピンオンツールまたはスプレイオンツールを用いてワークピース(すなわち、基板)にフォトレジストを塗布する動作、(2)ホットプレート、炉、またはUV硬化ツールを用いてフォトレジストを硬化させる動作、(3)ウエハステッパなどのツールによりフォトレジストを可視光、UV光、またはX線光に露光する動作、(4)ウェットベンチなどのツールを用いてレジストを選択的に除去するようにフォトレジストを現像し、これによりパターニングする動作、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを用いて下地膜またはワークピースにレジストパターンを転写する動作、および(6)RFまたはマイクロ波のプラズマレジスト剥離剤などのツールを用いてレジストを除去する動作、のいくつかまたは全てを含み、各動作はいくつかの可能なツールで実施される。
インサイチュ保護被膜
【0051】
本開示は、反応チャンバにおけるチャンバ構成部品の保護被膜のインサイチュ堆積に関する。インサイチュ保護被膜は、反応チャンバにおいてチャンバ壁およびチャンバ構成部品の他の露出した内面に堆積してよい。インサイチュ保護被膜は、続くプラズマ処理、高温処理、および他の厳しい処理条件に耐えうるように、高温環境および/またはプラズマ環境下で堆積される。例えばインサイチュ保護被膜は、約200℃よりも高温、または約250℃から約650℃の温度で反応チャンバに堆積されてよい。インサイチュ保護被膜の材料は、1つ以上のハロゲン系化学物質に高い耐性があってよい。インサイチュ保護被膜上に次に堆積した層は、インサイチュ保護被膜とは異なるエッチング選択率を有してよい。いくつかの実施形態では、インサイチュ保護被膜は、反応チャンバにおけるウエハ処理の使用前に堆積される。いくつかの実施形態では、in-situ保護被膜は、1つ以上のウエハが反応チャンバで処理された後に堆積または再堆積される。反応チャンバは、
図1の装置100などの処理装置の一部であってよい。
【0052】
本明細書では、保護被膜は、反応チャンバの一部であるチャンバ構成部品に堆積される「インサイチュ」で堆積すると考えられる。つまり保護被膜の堆積は、チャンバ構成部品が反応チャンバに取り付けられたときは、その意図した目的に(シャワーヘッド、リフトピンなどとして)役立つチャンバ構成部品に実施される。よってチャンバ構成部品は、チャンバ構成部品が製作プロセスに関わる同じ反応チャンバで被覆される。チャンバ構成部品は、その一部である別のチャンバで被覆される必要はない。本明細書では、本開示のインサイチュ保護被膜は、保護被膜、表面被膜、インサイチュ被膜、アンダーコート、調整層、保護層、表面層、インサイチュ層などと呼ばれてもよい。
【0053】
上記のように本開示の保護被膜は、PECVD技術またはALD技術を用いて堆積されてよい。いくつかの実施形態では、保護被膜は、熱ALDまたはプラズマ強化ALD(PEALD)によって堆積されてよい。蒸着プロセスは、プラズマ環境または熱環境において反応を誘発し、材料の膜を形成するために、反応ガスをウエハ表面に供給してよい。PECVDは、膜堆積機構を強化するためにプラズマを用い、材料の高速成長および高スループットを提供できる。ALDは、交互に連続して導入される2つ以上のプロセスガスを用いる。ALDは、層ごとに成膜するために表面自己制御反応を用いる。PECVDは成膜のために活性気相反応を用い、ALDは層ごとの成膜のために表面媒介堆積反応を用いる。通常のALDサイクルは、(i)基板表面上に前駆体材料を供給し吸着させるドーズ
、(ii)チャンバからの余剰前駆体材料のパージ、および基板表面上に自己制御単層を残すこと、(iii)吸着した前駆体材料と反応する反応材料の供給、および(iv)チャンバからの未反応反応物または反応副生成物のパージ、を含んでよい。ALDサイクルの堆積反応は、熱誘起またはプラズマ誘起されてよい。ALDは、高共形膜を形成するのに用いられてよい。
【0054】
保護被膜またはアンダーコートは、反応チャンバのチャンバ構成部品の表面に堆積されてよい。保護被膜はインサイチュで堆積され、ウエハ処理における粒子汚染および不具合の問題を低減してよい。保護被膜は、高品質の被膜を提供するために反応チャンバ内で高温および/またはプラズマ条件下で形成されてよい。
【0055】
図2Aは、いくつかの実施形態による、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品を被覆する例示的ALD法のフロー図を示す。
図2Aのプロセス200aの動作は、追加の動作、より少ない動作、または異なる動作を含んでよい。ALD法は、熱ALDまたはPEALDを含んでよい。
【0056】
プロセス200aのブロック210では、第1の反応物が反応チャンバに気相で導入されて、反応チャンバの一部である複数のチャンバ構成部品の表面に吸着する。第1の反応物は、チャンバ構成部品の露出面に自己制御的に吸着する。第1の反応物は、ALDサイクルのドーズ段階で反応チャンバに提供され、第1の反応物の例示的ドーズ時間は約1秒から約30秒であってよい。いくつかの実施形態では、ブロック210においてドーズ段階の次にパージ段階が続いてよく、パージ段階は、反応チャンバから全ての余剰の第1の反応物をパージできる。いくつかの実施形態では、第1の反応物は、金属含有前駆体および/またはシリコン含有前駆体を含むことができる。
【0057】
プロセス200aのブロック220では、第2の反応物が反応チャンバに気相で導入される。そこで第1の反応物および第2の反応物は反応して、約200℃よりも高温で複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜の層を堆積させる。いくつかの場合では反応は熱駆動され、いくつかの場合では反応はプラズマ駆動される。いくつかの実施形態では、堆積反応は高温環境で起こる。高温環境は、約200℃よりも高温、約225℃から約700℃、約250℃から約650℃、または約300℃から約600℃を含む。いくつかの保護被膜の堆積において、高温環境は必ずしも高品質の膜を堆積させるためではないことがわかるだろう。高温環境は、反応チャンバが高温に達してそれを維持することを確保することにより、または少なくとも、基板支持体(例えば、台座)などのチャンバ構成部品が高温に達してそれを維持することを確保することにより反応の間は持続してよい。
【0058】
第2の反応物はチャンバ構成部品の露出面に吸着し、吸着制御量の保護被膜を形成する。第2の反応物は、ALDサイクルの反応段階で反応チャンバに提供される。ALDサイクルの反応段階は、複数のチャンバ構成部品の表面をプラズマおよび/または高温に暴露してよく、かかる暴露は、約0.5秒から約20分の期間で続いてよい。いくつかの実施形態では、ブロック220での反応の次にパージ段階が続いてよく、パージ段階は、反応チャンバから全ての余剰の第2の反応物および副生成物をパージできる。いくつかの実施形態では、第2の反応物は酸素含有ガス(例えば、O2)、窒素含有ガス(例えば、N2もしくはNH3)、または炭素含有ガスを含んでよい。第2の反応物のプラズマ活性種は、第2の反応物のラジカルおよび/またはイオンを含んでよい。
【0059】
保護被膜は、反応チャンバ内にウエハがない状態で複数のチャンバ構成部品の表面に堆積されてよい。よって保護被膜を堆積させるためのALDサイクルは、反応チャンバ内にウエハがない状態で生じる。しかし、いくつかの場合では、反応チャンバ内にウエハがある状態で複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜が堆積されてよいことがわかるだろう。いくつかの実施形態では、所望の厚さの保護被膜を形成するために複数のALDサイクルが実施されるように、ブロック210および220は繰り返される。いくつかの実施形態では、保護被膜の厚さは約0.1μmから約4μm、または約0.5μmから約3μm、または約0.5μmから約2μmである。
【0060】
保護被膜は、少なくともいくつかのハロゲン系化学物質に耐性があってよく、ハロゲン系化学物質は、フッ素系種(例えば、F2、HF3、ClF3)、塩素系種(例えば、Cl2、ClF3、BCl3)、臭素系種(例えば、HBr)、ヨウ素系種(例えば、I2)、またはこれらの組み合わせを含んでよい。ハロゲン系化学物質への暴露は、堆積プロセス、エッチングプロセス、および/または洗浄プロセスの間に起こってよい。ハロゲン系化学物質は、ハロゲン含有エッチング液、ハロゲン含有前駆体、およびハロゲン含有副生成物を含んでよい。保護被膜は、複数のチャンバ構成部品を衝突から保護するために、チャンバ構成部品の表面に堆積されてよい。いくつかの実施形態では、特定のハロゲン系化学物質への保護被膜の耐性は、そのエッチング速度によって測定または決定されてよい。いくつかの実施形態では、保護被膜のエッチング速度は、1つ以上のハロゲン系化学物質に暴露されたときに約10Å/分未満、約5Å/分未満、約3Å/分未満、約1Å/分未満、または約0.01Å/分から約1Å/分である。エッチング速度は、ハロゲン系化学物質の種類に応じて変化してよい。例えば保護被膜は、フッ素系種に耐性があっても塩素系種には耐性がなくてよい。いくつかの実施形態では、保護被膜の除去は、チャンバ構成部品の下地材料(例えば、アルミニウム)に損傷を与えない別の化学物質を用いて生じてよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、保護被膜は、酸化物、窒化物、炭化物、またはこれらの組み合わせを含む。例えば保護被膜は、酸化シリコン(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化スズ(SnO
2)、または窒化シリコン(Si
3N
4)を含んでよい。保護被膜は、二元金属酸化物、窒化物、または炭化物に限定されないが、ハロゲン系化学物質に耐性を示す他類の材料を含んでよいことがわかるだろう。保護被膜のエッチング速度は、その組成および暴露される化学物質に依存する。例えば、Al
2O
3は塩素系種に高い耐性があってよく、ZrO
2はフッ素系種および臭素系種に高い耐性があってよく、HfO
2は塩素系種に高い耐性があってよく、SnO
2は塩素系種に耐性がなくてよく、SiO
2はフッ素系種に耐性がなくてよい。よってSiO
2の堆積層は、塩素系種に暴露されたときは高エッチング速度で除去されてよいが、Al
2O
3の保護被膜は、同じ塩素系種に暴露されたときは非常に低いエッチング速度で除去されてよい。表1は、保護被膜と、特定のハロゲン系化学物質に暴露されたときのそれぞれの相対的なエッチング速度との一覧を示す。
【表1】
特定のハロゲン系化学物質に対して低エッチング速度を有する保護被膜は、特定のハロゲン系化学物質にエッチングされたときにエッチングされた膜が高エッチング速度を有する場合に保護被膜として有望である。
【0062】
特定の処理条件下における保護被膜の堆積は、被膜の品質を向上させる。いくつかの実施形態では、被膜の品質は少なくともその密度と相関性があってよい。よって、インサイチュで、本明細に記載の処理条件(例えば、高温)に基づいて堆積した保護被膜は、エクスサイチュ(ex situ)で、および/または異なる処理条件(例えば、低温)に基づいて堆積した被膜よりも高い密度を有してよい。これは、被膜が同一の組成を共有する場合でも同様でありうる。向上した密度により、保護被膜は実質的にピンホールがなくてよい。いくつかの実施形態では、高品質の被膜を堆積させるための処理条件は、高温範囲(例えば、約200℃よりも高い)を含む。いくつかの実施形態では、高品質の被膜を堆積させるための処理条件は、低チャンバ圧(例えば、約10Torr未満)を含む。いくつかの実施形態では、高品質の被膜は、エクスサイチュで、および/または異なる処理条件下で堆積された被膜と比べてより長持ちし、熱応力およびプラズマストレスを持続できる。
【0063】
ALDによる保護被膜の堆積は通常、高い共形性を提供する。いくつかの実施形態では、共形性は、フィーチャの底面、側壁、または上面の堆積膜の平均厚さを、フィーチャの底面、側壁、または上面の堆積膜の平均厚さと比較することにより計算されてよい。例えば共形性は、側壁の堆積膜の平均厚さをフィーチャの上面の堆積膜の平均厚さで割り、100を掛けて割合を出すことにより計算されてよい。いくつかの実施形態では、保護被膜の共形性は、約50%から約100%、約80%から約100%、または約85%から約100%である。
【0064】
いくつかの実施形態では、複数のチャンバ構成部品の表面は、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の露出した内面を含む。ブロック210および220で実施されたALDプロセスの条件は、高品質のインサイチュ保護被膜の共形堆積が複数のチャンバ構成部品の露出した内面で起こることを促すように調整できる。いくつかの実施形態では、複数のチャンバ構成部品はチャンバ壁を含み、チャンバ壁は反応チャンバの側壁、床、および天井を含みうる。いくつかの実施形態では、プラズマグロー放電は、プラズマをチャンバ壁に向けるために反応チャンバのチャンバ壁に隣接する領域で生成されてよい。いくつかの場合では、プラズマグロー放電は、反応チャンバのシャワーヘッドと台座との間の領域外の領域で生成されてよい。プラズマをチャンバ壁に向けることにより、複数のチャンバ構成部品の露出した内面により均一で、より完全な、より共形の保護被膜の堆積が促進されてよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、プラズマは、反応チャンバのシャワーヘッドおよび台座の各々に提供されるRF信号間、またはより一般的には、反応チャンバの上部電極および下部電極の各々に提供されるRF信号間の位相を制御することによりチャンバ壁に向けられてよい。上部電極および下部電極に供給されるRF信号間の位相差の制御は、反応チャンバで生成されるプラズマグロー放電の位置を制御するのに役立つ。上部電極に供給されるRF信号の第1の位相と下部電極に供給されるRF信号の第2の位相との間の位相差は、約180度から0度の位相外れであってよい。例えば、上部電極と下部電極との間の位相差は、プラズマグロー放電がチャンバ壁近くで集中するように、実質的に0度の位相外れであってよい。
【0066】
プロセス200aのいくつかの実施形態では、膜材料は、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に堆積され、フッ素系エッチング、塩素系エッチング、臭素系エッチング、またはヨウ素系エッチングへの暴露の間に、保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる。膜材料は、保護被膜を除去することなく反応チャンバから除去されてよい。いくつかの実施形態では、膜材料は反応において、反応チャンバ内のウエハ上およびどこにでも堆積する。いくつかの実施形態では、膜材料は追加の保護層として保護被膜に堆積される。反応チャンバが提供することが予想される堆積/エッチング/洗浄化学物質に応じて、チャンバ構成部品の表面に複数の保護被膜が堆積するように選択されてよい。第1の保護被膜は第1のエッチング液に耐性があってよく、第2の保護被膜は第2のエッチング液に耐性があってよい。例えば、第2の保護被膜は塩素系エッチング液に耐えるようにAl2O3を含んでよく、第1の保護被膜はフッ素系エッチング液に耐えるようにZrO2を含んでよい。反応チャンバにおいて実施されることが予想されるエッチング/洗浄動作に応じて、複数のチャンバ構成部品の表面に追加の保護被膜が堆積されてよいことがわかるだろう。各保護被膜は、特定のエッチング/洗浄化学物質への耐性で選択されてよい。
【0067】
プロセス200aのブロック240では、必要に応じて反応チャンバのウエハおよび保護被膜に膜材料が堆積される。複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜が堆積した後に、ウエハは処理のために反応チャンバに導入されてよい。膜材料は、保護被膜の材料とは異なる材料で形成されてよい。例えば膜材料は、金属、金属酸化物、誘電材料、半導電性材料などを含みうる。ウエハに膜材料を堆積させるときは、複数のチャンバ構成部品の表面に膜材料の堆積が起こってもよい。ウエハ上の膜材料の厚さは、複数のチャンバ構成部品の表面上の膜材料の厚さよりも大きくてよい。
【0068】
プロセス200aのブロック250では、保護被膜上の膜材料は必要に応じてエッチングされ、膜材料は保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる。本明細書において実質的により高速度とは、5倍よりも速い、10倍よりも速い、または100倍よりも速いエッチング速度であってよい。いくつかの実施形態では、膜材料は、複数のチャンバ構成部品の表面からエッチングされるのに加えて、ウエハからもエッチングされてよい。膜材料はハロゲン系エッチング液を用いてエッチングされてよく、ハロゲン系エッチング液は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、ヨウ素系種、またはこれらの組み合わせを含む。ハロゲン系エッチング液は、反応チャンバから膜材料を除去するために洗浄プロセスの一部として用いられてよい。膜材料は、下にある保護被膜とは異なるエッチング選択率を有する。エッチング液は、保護被膜に対して膜材料に選択的であってよい。いくつかの実施形態では、保護被膜に対する膜材料のエッチング選択率は、ハロゲン系エッチング液に暴露されたときは約10:1よりも大きい。このように保護被膜は、反応チャンバから膜を洗浄するときは保護されてよい。いくつかの実施形態では、エンドポイントエッチングは、保護被膜がエッチングされないように、ハロゲン系エッチング液がいつ膜材料のエッチングを完了したかを決定するのに用いられてよい。いくつかの実施形態では、保護被膜の組成は、チャンバ構成部品の表面が特定の種類の堆積化学物質または洗浄化学物質に暴露されたときに必要な耐性の性質に応じて選択されてよい。
【0069】
プロセス200aのブロック260では、必要に応じて反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜が再堆積される。反応チャンバにおける1つ以上のウエハの処理後に、ブロック210および220で最初に堆積した保護被膜は、時間と共に劣化または腐食する可能性がある。保護被膜は、反応チャンバの使用開始時に堆積されてよい、または、反応チャンバの使用後に複数のチャンバ構成部品の表面に堆積/再堆積されてよいことがわかるだろう。いくつかの実施形態では、保護被膜は、ブロック210および220に記載したのと同じ処理条件を用いて再堆積される。これにより、反応チャンバを使用した後に保護被膜の「治癒」が可能となる。いくつかの実施形態では、保護被膜は、何十万ものウエハを処理した後に複数のチャンバ構成部品の表面に再堆積される。いくつかの実施形態では、保護被膜の再堆積は定期的かつ自動的に起こってよい。
【0070】
図2Bは、いくつかの実施形態により、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品を被覆する例示方法のフロー図を示す。
図2Bのプロセス200bの動作は、追加の動作、より少ない動作、または異なる動作を含んでよい。
【0071】
プロセス200bのブロック230では、反応チャンバの一部である複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜が堆積される。保護被膜は、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、または熱原子層堆積(熱ALD)によって約200℃よりも高温で堆積される。保護被膜は、反応チャンバ内にウエハがある状態またはない状態で、複数のチャンバ構成部品の表面に堆積されてよい。いくつかの実施形態では、保護被膜の厚さは約0.1μmから約4μm、または約0.5μmから約3μm、または約0.5μmから約2μmである。
【0072】
PEALDおよび熱ALDによって複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜を堆積させる態様は、
図2Aのブロック210および220に記載されている。PECVDが用いられる実施形態では、保護被膜は、ALD法よりも高いスループットで複数のチャンバ構成部品の表面に堆積するかもしれないが、ALD法よりも高い共形性は達成できないだろう。
【0073】
いくつかの実施形態では、保護被膜は約200℃よりも高温、約225℃から約700℃、約250℃から約650℃、または約300℃から約600℃の高温で堆積されてよい。高温環境は、反応チャンバが高温に達してそれを維持することを確保することにより、または少なくとも、基板支持体などのチャンバ構成部品が高温に達してそれを維持することを確保することにより反応の間に持続されてよい。
【0074】
保護被膜は、少なくともいくつかのハロゲン系化学物質に耐性があってよく、ハロゲン系化学物質は、フッ素系種(例えば、F2、NF3、ClF3)、塩素系種(例えば、Cl2、ClF3)、臭素系種(例えば、HBr)、ヨウ素系種(例えば、I2)、またはこれらの組み合わせを含んでよい。ハロゲン系化学物質への暴露は、堆積プロセス、エッチングプロセス、および/または、洗浄プロセスの間に起こってよい。ハロゲン系化学物質は、ハロゲン含有エッチング液、ハロゲン含有前駆体、およびハロゲン含有副生成物を含んでよい。いくつかの実施形態では、保護被膜のエッチング速度は、1つ以上のハロゲン系化学物質に暴露されたときに約10Å/分未満、約5Å/分未満、約3Å/分未満、約1Å/分未満、または約0.01Å/分から約1Å/分である。エッチング速度は、ハロゲン系化学物質の種類に応じて変化してよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、保護被膜は、酸化物、窒化物、炭化物、またはこれらの組み合わせを含む。例えば保護被膜は、SiO2、Al2O3、ZrO2、HfO2、SnO2、またはSi3N4を含んでよい。保護被膜は、二元金属酸化物、窒化物、または炭化物に限定されないが、ハロゲン系化学物質に耐性を示す他類の材料を含んでよいことがわかるだろう。保護被膜のエッチング速度は、その組成および暴露される化学物質に依存する。
【0076】
インサイチュで、本明細に記載の処理条件により堆積された保護被膜は、同一の組成を共有する場合であっても、ex situで、および/または異なる処理条件により堆積された被膜よりも高い密度を有してよく、そのためより高い品質を有してよい。向上した密度により、保護被膜は実質的にピンホールがなくてよい。保護被膜は、ex situで、および/または異なる処理条件下で堆積された被膜と比べてより長持ちし、熱応力およびプラズマストレスを持続できる。
【0077】
いくつかの実施形態では、複数のチャンバ構成部品の表面は、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の露出した内面を含む。いくつかの実施形態では、複数のチャンバ構成部品はチャンバ壁を含み、チャンバ壁は反応チャンバの側壁、床、および天井を含みうる。いくつかの実施形態では、プラズマグロー放電は、プラズマをチャンバ壁に向けるために反応チャンバのチャンバ壁に隣接する領域で生成されてよい。プラズマグロー放電は、反応チャンバのシャワーヘッドと台座との間の領域外の領域で生成されてよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、プラズマは、反応チャンバのシャワーヘッドおよび台座の各々に提供されるRF信号間、またはより一般的には、反応チャンバの上部電極および下部電極の各々に提供されるRF信号間の位相を制御することによりチャンバ壁に向けられてよい。上部電極および下部電極に供給されるRF信号間の位相差の制御は、反応チャンバで生成されるプラズマグロー放電の位置を制御するのに役立つ。上部電極に供給されるRF信号の第1の位相と下部電極に供給されるRF信号の第2の位相との間の位相差は、約180度から0度の位相外れであってよい。例えば、上部電極と下部電極との間の位相差は、プラズマグロー放電がチャンバ壁近くで集中するように、実質的に0度の位相外れであってよい。
【0079】
プロセス200bのいくつかの実施形態では、膜材料は、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に堆積され、フッ素系エッチング、塩素系エッチング、臭素系エッチング、またはヨウ素系エッチングへの暴露の間に、保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる。反応チャンバが提供することが予想される堆積/エッチング/洗浄化学物質に応じて、チャンバ構成部品の表面に複数の保護被膜が堆積するように選択されてよい。1つの保護被膜は第1のエッチング液に耐性があってよく、別の保護被膜は第2のエッチング液に耐性があってよい。例えば、第2の保護被膜は塩素系エッチング液に耐えるようにAl2O3を含んでよく、ブロック230で堆積した保護被膜はフッ素系エッチング液に耐えるようにZrO2を含んでよい。反応チャンバにおいて実施されることが予想される堆積/エッチング/洗浄動作に応じて、複数のチャンバ構成部品の表面に追加の保護被膜が堆積されてよいことがわかるだろう。各保護被膜は、特定の化学物質への耐性で選択されてよい。
【0080】
図2Bのプロセス200bに示すように、ブロック240、250、および260は、必要に応じてブロック230の後に実施されてよい。ブロック240、250、および260の態様は、
図2Aのプロセス200aに記載されている。膜材料はブロック240において、反応チャンバ内のウエハおよび保護被膜に堆積されてよい。保護被膜上の膜材料はブロック250において、保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされてよい。保護被膜はブロック260において、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に再堆積されてよい。
【0081】
本開示に記載のインサイチュ保護被膜の不完全な被覆は、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に堆積を進めることにより回避されてよい、そうでなければ軽減されてよい。より完全な被覆は、通常のアンダーコートほど多孔質でない、より均一に堆積した保護被膜を提供できる。いくつかの実施形態では、より完全な被覆は、プラズマが複数のチャンバ構成部品の表面にもっと向けられるように、プラズマグロー放電の位置を制御するように構成された装置を用いて実現されうる。熱ALDが提供されるいくつかの実施形態では、より完全な被覆は、反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面を高温に加熱するように構成された装置を用いて実現されうる。
【0082】
図3A~3Cは、保護被膜が少なくとも反応チャンバのチャンバ壁に堆積するようにプラズマを向けるよう構成された反応チャンバを備える例示的プラズマ装置を示す。かかるプラズマ装置の態様は、その全てが全ての目的のために参照により援用される、2017年10月17日出願の「METHODS AND SYSTEMS FOR CONTROLLING PLASMA GLOW DISCHARGE IN A PLASMA CHAMBER」と題した米国特許出願第15/786,497号により詳細に記載されている。
【0083】
図3Aは、いくつかの実施形態により、プラズマグロー放電が上部電極と下部電極との間で生成される反応チャンバを備える例示的プラズマ装置の略断面を表す。反応チャンバ300は、チャンバ壁302を備える。チャンバ壁302は、電気接地310により接地されてよい。上部電極304は、プロセスガスを反応チャンバ300に分配するためのシャワーヘッドとして機能してよく、下部電極306は、反応チャンバ300においてウエハを支持するための台座として機能してよい。いくつかの実施形態では、RF電源320は、電極304および306、ならびに接地308の1つにおいて結合され、上部電極304および下部電極306の両方に共に結合されている。RF電源320は、位相変更制御部を含みうるコントローラ322に接続されてよい。コントローラ322は、RF電源320から出力されたRF信号の位相を変調するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、コントローラ322は、上部電極304に供給される第1の位相と下部電極306に供給される第2の位相との間の位相差を変調するように構成されてよい。プラズマグロー放電330の位置は位相差に影響される可能性があり、位相差は約0度から180度のいずれかの位相外れでありうる。
【0084】
図3Aに示すように、反応チャンバ300は、上部電極304と下部電極306との間に集中するプラズマグロー放電330を提供してよい。いくつかの実施形態では、上部電極304および下部電極306に供給されたRF信号間の位相差は、実質的に180度の位相外れであってよい。位相差を位相外れになるように制御することで、上部電極304と下部電極306との間にプラズマグロー放電330をより多く含むことができる。しかし、位相差を180度未満で0度に近い位相外れになるように制御することにより、プラズマグロー放電330はチャンバ壁302に向かって移動してよい。
【0085】
図3Bは、いくつかの実施形態により、プラズマグロー放電が反応チャンバのチャンバ壁に隣接して生成された
図3Aの反応チャンバを備える例示的プラズマ装置の略断面を表す。反応チャンバ300では、プラズマグロー放電340は、電気接地310への経路を提供するチャンバ壁302に向かって押される、または移動する。プラズマは、上部電極304と下部電極306との間では点火されず、または実質的に点火されず、チャンバ壁302の電気接地310に向けられる。言い換えると、プラズマグロー放電340は、下部電極306に隣接する領域外の領域に位置する。いくつかの実施形態では、上部電極304および下部電極306に供給されるRF信号間の位相差は、実質的に0度の位相外れであってよい。つまりRF信号は、実質的に同相で上部電極304および下部電極306に供給される。位相差が同相になるように制御することで、プラズマグロー放電340が反応チャンバ300の側壁、床、および天井を含むチャンバ壁302に隣接できる。
【0086】
図3Cは、いくつかの実施形態による、保護被膜が反応チャンバのチャンバ壁に堆積した
図3Aおよび3Bの反応チャンバを備える例示的プラズマ装置の略断面を表す。プラズマグロー放電340の位置がチャンバ壁302に隣接するように制御することで、プラズマは、チャンバ壁302を含む複数のチャンバ構成部品の露出した内面に優先的に向けられてよい。かかる表面は、そうでなければプラズマに曝露することが困難な側壁、床、天井、シャワーヘッドの一部、基板支持体の一部、リフトピンの一部、ガスラインの一部、および/またはノズルの一部を含んでよい。いくつかの実施形態では、プラズマは、反応チャンバ300全体のどこにでも優先的に向けられてよい。かかる方法によりプラズマを向けることで、そうでなければ被覆が難しい複数のチャンバ構成部品の露出した内面に保護被膜を堆積できる。これにより、反応チャンバ300全体に保護被膜350のより完全な保護被膜350の被覆が可能になる。
図3Cに示すように、保護被膜350は、チャンバ壁302、上部電極304の表面、および下部電極306の表面に形成される。上部電極304および下部電極306の表面の保護被膜350の厚さは、チャンバ壁302の保護被膜350の厚さよりも薄くてよいことがわかるだろう。保護被膜350は、約200℃よりも高くてよい高温環境で堆積される。保護被膜350は、様々なハロゲン系化学物質に対して選択的である。保護被膜350は、本開示に記載されたように高品質のインサイチュ保護被膜である。
【0087】
図4Aは、いくつかの実施形態による、膜材料がウエハおよび保護被膜に堆積した例示的反応チャンバの略断面を表す。反応チャンバ400は、保護被膜444が堆積したチャンバ壁402を備える。保護被膜444は、反応チャンバ400に次に堆積される膜に対するエッチング選択率の観点から、および、反応チャンバ400が暴露されるだろう堆積/エッチング/洗浄用化学物質の観点から選択されてよい。
図4Aでは、台座406に支持されたウエハ436に膜材料442aが堆積される。膜材料442bもチャンバ壁402に堆積され、ウエハ436に堆積した膜材料442aと同じ組成を有する。いくつかの実施形態では、膜材料442aおよび442bは金属、金属酸化物、誘電材料、または半導電性材料を含む。チャンバ壁402に堆積した膜材料442bは、保護被膜444に堆積する。
【0088】
図4Bは、いくつかの実施形態により、膜材料がウエハからエッチングされ、保護被膜から選択的にエッチングされた
図4Aの例示的反応チャンバの略断面を表す。膜材料442aはウエハ436からエッチングされ、チャンバ壁402の膜材料442bは、保護被膜444がチャンバ壁402に維持されるように選択的にエッチングされる。いくつかの実施形態では、エッチングプロセスを実施するのにハロゲン系エッチング液が用いられ、保護被膜444はハロゲン系エッチング液の化学物質に耐性がある。従って膜材料442bは、エッチングプロセスの間、保護被膜444よりも実質的に高速度でエッチングされる。ハロゲン系エッチング液は、反応チャンバ400から膜材料442aおよび442bを除去するためのエッチング/洗浄動作の一部として選択されてよく、保護被膜444は、ハロゲン系エッチング液に耐性があるように選択されてよい。
結論
【0089】
前記の説明では、本実施形態の十分な理解を提供するために多くの特定の詳細が記載されている。開示の実施形態は、これらの特定の詳細の一部または全てなしで実行されてよい。他の場合では、開示の実施形態を必要以上に分かりにくくしないように、周知のプロセス動作は詳細には説明されていない。開示の実施形態は特定の実施形態と併せて説明されているが、開示の実施形態を限定する意図はないことが理解されるだろう。
【0090】
前記の実施形態は明確な理解のためにいくらか詳細に記載されたが、特定の変更および修正は添付の特許請求の範囲内で実行されてよいことが明らかだろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置を実行する多くの別の方法があることに注意されたい。従って、本実施形態は制限的ではなく例示的とみなされるべきであり、本明細書に記載の詳細に限定されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
気相の第1の反応物を反応チャンバに導入して複数のチャンバ構成部品の表面に吸着させる工程であって、前記複数のチャンバ構成部品は、前記反応チャンバの一部である、工程と、
気相の第2の反応物を前記反応チャンバに導入する工程であって、前記第1の反応物および前記第2の反応物が反応して、前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に第1の保護被膜を堆積させる、工程と、
前記反応チャンバ内で、前記第1の保護被膜上に第2の保護被膜を堆積させる、工程であって、前記第1の保護被膜は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、および/またはヨウ素系種への暴露時に、前記第2の保護被膜とは異なるエッチング速度を有する、工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の反応物は、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスにおいて前記第2の反応物と反応する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、さらに、
前記第2の反応物のプラズマグロー放電の大部分が上部電極と下部電極との間の領域外の1つ以上の領域で形成するように、前記反応チャンバに供給される高周波(RF)信号を制御する工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記上部電極に供給される前記RF信号の第1の位相と前記下部電極に供給される前記RF信号の第2の位相との間の位相差は、約180度から0度の位相外れである、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記位相差は、約0度の位相外れである、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の反応物は、熱ALDプロセスにおいて前記第2の反応物と反応する、方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の保護被膜および前記第2の保護被膜のそれぞれは、酸化物、窒化物、炭化物、またはこれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記第1の保護被膜および前記第2の保護被膜のぞれぞれは、酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化スズ(SnO2)、または窒化シリコン(Si3N4)を含む、方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記複数のチャンバ構成部品の1つ以上の材料は、アルミニウム(Al)を含む、方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記複数のチャンバ構成部品は、少なくとも前記反応チャンバのチャンバ壁を含む、方法。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、さらに、
前記第1の保護被膜に前記第2の保護被膜が堆積されるように、膜材料を前記反応チャンバのウエハに堆積させる工程と、
前記ウエハ上、および、前記第1の保護被膜および前記第2の保護被膜上の前記膜材料をエッチングする工程であって、前記第2の保護被膜は、前記第1の保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる、工程と、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記膜材料をエッチングするために用いられるエッチング液は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、ヨウ素系種、またはこれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、さらに、
前記膜材料のエッチング後に、前記反応チャンバの前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に前記第1の保護被膜を再堆積させる工程を含む、方法。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の反応物は前記第2の反応物と反応して、約250℃から約650℃の温度で前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に前記第1の保護被膜を堆積させる、方法。
【請求項15】
方法であって、
反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に第1の保護被膜を堆積させる工程であって、前記複数のチャンバ構成部品は前記反応チャンバの一部であり、前記第1の保護被膜はプラズマ強化化学蒸着(PECVD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、または熱原子層堆積(熱ALD)によって堆積される、工程と、
前記反応チャンバ内で、前記第1の保護被膜上に第2の保護被膜を堆積させる、工程であって、前記第1の保護被膜は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、および/またはヨウ素系種への暴露時に、前記第2の保護被膜とは異なるエッチング速度を有する、工程と、
を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
前記第2の保護被膜は、前記フッ素系種、前記塩素系種、前記臭素系種、および/または前記ヨウ素系種への暴露の間に、前記第1の保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる、工程を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、さらに、
前記フッ素系種、前記塩素系種、前記臭素系種、および/または前記ヨウ素系種への暴露の後に、前記反応チャンバの前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に前記第1の保護被膜を再堆積させる工程を含む、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、
前記第1の保護被膜は、PECVDまたはPEALDによって堆積され、前記方法は、さらに、
プラズマグロー放電の大部分が上部電極と下部電極との間の領域外の1つ以上の領域で形成するように、前記反応チャンバに供給される高周波(RF)信号を制御する工程を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記上部電極に供給される前記RF信号の第1の位相と前記下部電極に供給される前記RF信号の第2の位相との間の位相差は、約0度の位相外れである、方法。
【請求項20】
請求項15~19のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の保護被膜および前記第2の保護被膜のそれぞれは、酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化スズ(SnO2)、または窒化シリコン(Si3N4)を含み、前記複数のチャンバ構成部品の1つ以上の材料は、アルミニウム(Al)を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
前記の実施形態は明確な理解のためにいくらか詳細に記載されたが、特定の変更および修正は添付の特許請求の範囲内で実行されてよいことが明らかだろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置を実行する多くの別の方法があることに注意されたい。従って、本実施形態は制限的ではなく例示的とみなされるべきであり、本明細書に記載の詳細に限定されるべきではない。本開示は以下の適用例を含む。
[請求項1]
方法であって、
気相の第1の反応物を反応チャンバに導入して複数のチャンバ構成部品の表面に吸着させる工程であって、前記複数のチャンバ構成部品は、前記反応チャンバの一部である、工程と、
気相の第2の反応物を前記反応チャンバに導入する工程であって、前記第1の反応物および前記第2の反応物が反応して、約200℃よりも高温で前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に保護被膜を堆積させる、工程と、
を含む、方法。
[適用例2]
適用例1に記載の方法であって、
前記第1の反応物は、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスにおいて前記第2の反応物と反応する、方法。
[適用例3]
適用例2に記載の方法であって、さらに、
前記第2の反応物のプラズマグロー放電の大部分が上部電極と下部電極との間の領域外の1つ以上の領域で形成するように、前記反応チャンバに供給される高周波(RF)信号を制御する工程を含む、方法。
[適用例4]
適用例3に記載の方法であって、
前記上部電極に供給される前記RF信号の第1の位相と前記下部電極に供給される前記RF信号の第2の位相との間の位相差は、約180度から0度の位相外れである、方法。
[適用例5]
適用例4に記載の方法であって、
前記位相差は、約0度の位相外れである、方法。
[適用例6]
適用例1に記載の方法であって、
前記第1の反応物は、熱ALDプロセスにおいて前記第2の反応物と反応する、方法。
[適用例7]
適用例1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記保護被膜は、酸化物、窒化物、炭化物、またはこれらの組み合わせを含む、方法。
[適用例8]
適用例7に記載の方法であって、
前記保護被膜は、酸化シリコン(SiO
2
)、酸化アルミニウム(Al
2
O
3
)、酸化ジルコニウム(ZrO
2
)、酸化ハフニウム(HfO
2
)、酸化スズ(SnO
2
)、または窒化シリコン(Si
3
N
4
)を含む、方法。
[適用例9]
適用例1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記複数のチャンバ構成部品の1つ以上の材料は、アルミニウム(Al)を含む、方法。
[適用例10]
適用例1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記複数のチャンバ構成部品は、少なくとも前記反応チャンバのチャンバ壁を含む、方法。
[適用例11]
適用例1~6のいずれか一項に記載の方法であって、さらに、
膜材料を前記反応チャンバのウエハおよび前記保護被膜に堆積させる工程と、
前記ウエハ上および前記保護被膜上の前記膜材料をエッチングする工程であって、前記膜材料は、前記保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる、工程と、
を含む、方法。
[適用例12]
適用例11に記載の方法であって、
前記膜材料をエッチングするために用いられるエッチング液は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、ヨウ素系種、またはこれらの組み合わせを含む、方法。
[適用例13]
適用例11に記載の方法であって、さらに、
前記膜材料のエッチング後に、前記反応チャンバの前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に前記保護被膜を再堆積させる工程を含む、方法。
[適用例14]
適用例1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の反応物は前記第2の反応物と反応して、約250℃から約650℃の温度で前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に前記保護被膜を堆積させる、方法。
[適用例15]
方法であって、
反応チャンバの複数のチャンバ構成部品の表面に保護被膜を堆積させる工程であって、前記複数のチャンバ構成部品は前記反応チャンバの一部であり、前記保護被膜はプラズマ強化化学蒸着(PECVD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、または熱原子層堆積(熱ALD)によって約200℃よりも高温で堆積される、工程を含む、方法。
[適用例16]
適用例15に記載の方法であって、さらに、
前記反応チャンバの前記複数のチャンバ構成部品の前記表面において、前記保護被膜に膜材料を堆積させる工程であって、前記膜材料は、フッ素系種、塩素系種、臭素系種、またはヨウ素系種への暴露の間に、前記保護被膜よりも実質的に高速度でエッチングされる、工程を含む、方法。
[適用例17]
適用例16に記載の方法であって、さらに、
前記フッ素系種、前記塩素系種、前記臭素系種、または前記ヨウ素系種への暴露の後に、前記反応チャンバの前記複数のチャンバ構成部品の前記表面に前記保護被膜を再堆積させる工程を含む、方法。
[適用例18]
適用例16に記載の方法であって、
前記保護被膜は、PECVDまたはPEALDによって堆積され、前記方法は、さらに、
プラズマグロー放電の大部分が上部電極と下部電極との間の領域外の1つ以上の領域で形成するように、前記反応チャンバに供給される高周波(RF)信号を制御する工程を含む、方法。
[適用例19]
適用例18に記載の方法であって、
前記上部電極に供給される前記RF信号の第1の位相と前記下部電極に供給される前記RF信号の第2の位相との間の位相差は、約0度の位相外れである、方法。
[適用例20]
適用例15~19のいずれか一項に記載の方法であって、
前記保護被膜は、酸化シリコン(SiO
2
)、酸化アルミニウム(Al
2
O
3
)、酸化ジルコニウム(ZrO
2
)、酸化ハフニウム(HfO
2
)、酸化スズ(SnO
2
)、または窒化シリコン(Si
3
N
4
)を含み、前記複数のチャンバ構成部品の1つ以上の材料は、アルミニウム(Al)を含む、方法。
【外国語明細書】