IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-開閉装置 図1
  • 特開-開閉装置 図2
  • 特開-開閉装置 図3
  • 特開-開閉装置 図4
  • 特開-開閉装置 図5
  • 特開-開閉装置 図6
  • 特開-開閉装置 図7
  • 特開-開閉装置 図8A
  • 特開-開閉装置 図8B
  • 特開-開閉装置 図8C
  • 特開-開閉装置 図9
  • 特開-開閉装置 図10
  • 特開-開閉装置 図11
  • 特開-開閉装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161527
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20241112BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
F16K31/06 305L
H01L21/68 A
F16K31/06 305N
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024137761
(22)【出願日】2024-08-19
(62)【分割の表示】P 2021043858の分割
【原出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】李 東偉
(72)【発明者】
【氏名】新藤 健弘
(57)【要約】      (修正有)
【課題】開口部を開閉する開閉装置を提供する。
【解決手段】移動体20は、弁体21と、ベース22と、を備える。弁体21は、バルブプレート211と、シール部材212と、拡大部213と、シール部材214と、支持部と、を備える。バルブプレート211は、拡大部213より突出して形成される。バルブプレート211は、開口部121を閉塞する部材であり、開口部121よりも大きく形成されている。バルブプレート211には、バルブプレート211が開口部121を閉塞した際にシールするシール部材212が設けられている。拡大部213は、開口部を閉塞する部材であり、開口部よりも大きく形成されている。拡大部213には、拡大部213が開口部を閉塞した際にシールするシール部材214が設けられている。支持部は、拡大部213とベース22とを接続する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1室と前記第1室に隣接する第2室とを連通する開口部を開閉する開閉装置であって、
前記第1室に配列されたコイルを有する平面モータ上を移動し、前記開口部を閉塞する弁体を搬送する移動体を有し、
前記移動体は、前記コイルにより生成される磁場によって前記平面モータ上の前記移動体を移動し、前記開口部を開閉し、
前記弁体は、
第1のシール部材が設けられ、前記開口部を閉塞するバルブプレートと、
第2のシール部材が設けられ、前記バルブプレートよりも拡大する拡大部と、を有する、
開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処理室と搬送室の間に開閉可能な開閉装置を備える搬送室が知られている。
【0003】
特許文献1には、平面モータを用いて基板を搬送する半導体処理設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2018-504784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一の側面では、本開示は、開口部を開閉する開閉装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、第1室と前記第1室に隣接する第2室とを連通する開口部を開閉する開閉装置であって、前記第1室に配列されたコイルを有する平面モータ上を移動し、前記開口部を閉塞する弁体を搬送する移動体を有し、前記移動体は、前記コイルにより生成される磁場によって前記平面モータ上の前記移動体を移動し、前記開口部を開閉し、前記弁体は、第1のシール部材が設けられ、前記開口部を閉塞するバルブプレートと、第2のシール部材が設けられ、前記バルブプレートよりも拡大する拡大部と、を有する、開閉装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、開口部を開閉する開閉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る基板処理システムの一例の構成を示す平面図。
図2】開口部及び開閉装置の一例を示す斜視図。
図3】開閉装置の一例を示す斜視図。
図4】開閉装置の駆動原理を説明する斜視図。
図5】開口部を閉塞した際の開閉装置の一例を示す水平断面図。
図6】シール部材をメンテナンスする際の開閉装置の一例を示す水平断面図。
図7】シール部材をメンテナンスする際の開閉装置の他の一例を示す水平断面図。
図8A】シール部材をメンテナンスする際の開閉装置の更に他の一例を示す水平断面図。
図8B】シール部材をメンテナンスする際の開閉装置の更に他の一例を示す水平断面図。
図8C】シール部材をメンテナンスする際の開閉装置の更に他の一例を示す水平断面図。
図9】他の移動体を備える開閉装置における、シール部材をメンテナンスする際の開閉装置の一例を示す水平断面図。
図10】内壁面を移動する移動体の一例を示す斜視図。
図11】内壁面を移動する移動体を備える開閉装置における、開口部を閉塞した際の開閉装置の一例を示す水平断面図。
図12】複数の弁体を有する移動体の一例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
<基板処理システム100>
一実施形態に係る基板処理システム100の全体構成の一例について、図1を用いて説明する。図1は、一実施形態に係る基板処理システム100の一例の構成を示す平面図である。
【0011】
図1に示す基板処理システム100は、クラスタ構造(マルチチャンバタイプ)のシステムである。基板処理システム100は、複数の処理室110、真空搬送室120、ロードロック室130、大気搬送室140及び制御部150を備えている。
【0012】
処理室110は、所定の真空雰囲気に減圧され、その内部にて半導体ウェハW(以下、「ウェハW」ともいう。)に所望の処理(エッチング処理、成膜処理、クリーニング処理、アッシング処理等)を施す。処理室110は、真空搬送室120に隣接して配置される。処理室110は、ウェハWを載置する載置台111を有する。なお、処理室110における処理のための各部の動作は、制御部150によって制御される。
【0013】
真空搬送室120は、所定の真空雰囲気に減圧されている。真空搬送室120は、処理室110と真空搬送室120とを連通する開口部121を有している。また、真空搬送室120は、ロードロック室130と真空搬送室120とを連通する開口部122を有している。また、真空搬送室120には、開口部121,122を開閉する開閉装置(平面モータ10、移動体20)を有する。なお、開閉装置については、図2等を用いて後述する。
【0014】
真空搬送室120は、外部と連通する開口部123を有している。開口部123は、閉塞部材124によって開閉可能に閉塞されている。
【0015】
また、真空搬送室120の内部には、ウェハWを搬送する基板搬送装置(図示せず)が設けられている。基板搬送装置は、開口部121を介して、処理室110と真空搬送室120との間でウェハWの搬入及び搬出を行う。また、基板搬送装置は、開口部122を介して、ロードロック室130と真空搬送室120との間でウェハWの搬入及び搬出を行う。なお、基板搬送装置は、制御部150によって制御される。
【0016】
ロードロック室130は、真空搬送室120と大気搬送室140との間に設けられている。ロードロック室130は、ウェハWを載置する載置台131を有する。ロードロック室130は、大気雰囲気と真空雰囲気とを切り替えることができるようになっている。ロードロック室130と真空雰囲気の真空搬送室120とは、開閉装置によって開閉可能な開口部122を介して連通する。ロードロック室130と大気雰囲気の大気搬送室140とは、開閉装置(図示せず)によって開閉可能な開口部(図示せず)を介して連通する。なお、ロードロック室130内の真空雰囲気または大気雰囲気の切り替えは、制御部150によって制御される。
【0017】
大気搬送室140は、大気雰囲気となっており、例えば清浄空気のダウンフローが形成されている。また、大気搬送室140の内部には、ウェハWを搬送する搬送装置(図示せず)が設けられている。搬送装置(図示せず)は、ロードロック室130と大気搬送室140との間でウェハWの搬入及び搬出を行う。なお、搬送装置(図示せず)の動作は、制御部150によって制御される。
【0018】
また、大気搬送室140の壁面には、ロードポート(図示せず)が設けられている。ロードポートは、ウェハWが収容されたキャリア(図示せず)又は空のキャリアが取り付けられる。キャリアとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)等を用いることができる。
【0019】
大気搬送室140の搬送装置(図示せず)は、ロードポートに取り付けられたキャリアに収容されたウェハWを取り出して、ロードロック室130の載置台131に載置することができる。また、大気搬送室140の搬送装置(図示せず)は、ロードロック室130の載置台131に載置されたウェハWを取り出して、ロードポートに取り付けられたキャリアに収容することができる。
【0020】
制御部150は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)を有する。制御部150は、HDDに限らずSSD(Solid State Drive)等の他の記憶領域を有してもよい。HDD、RAM等の記憶領域には、プロセスの手順、プロセスの条件、搬送条件が設定されたレシピが格納されている。
【0021】
CPUは、レシピに従って各処理室110におけるウェハWの処理を制御し、ウェハWの搬送を制御する。HDDやRAMには、各処理室110におけるウェハWの処理やウェハWの搬送を実行するためのプログラムが記憶されてもよい。プログラムは、記憶媒体に格納して提供されてもよいし、ネットワークを通じて外部装置から提供されてもよい。
【0022】
次に、開口部121,122を開閉する開閉装置について、図2から図5を用いて説明する。図2は、開口部121及び開閉装置の一例を示す斜視図である。図3は、開閉装置の移動体20の一例を示す斜視図である。
【0023】
開閉装置は、平面モータ10と、移動体20と、を備える。
【0024】
平面モータ10は、真空搬送室120の床面に配置される。
【0025】
移動体20は、弁体21と、ベース22と、を備える。弁体21は、バルブプレート211と、シール部材212と、拡大部213と、シール部材214と、支持部215と、を備える。バルブプレート211は、拡大部213より突出して形成される。バルブプレート211は、開口部121,122を閉塞する部材であり、開口部121,122よりも大きく、開口部123よりも小さく形成されている。バルブプレート211には、バルブプレート211が開口部121,122を閉塞した際にシールするシール部材212が設けられている。拡大部213は、開口部123を閉塞する部材であり、開口部123よりも大きく形成されている。拡大部213には、拡大部213が開口部123を閉塞した際にシールするシール部材214が設けられている。支持部215は、拡大部213とベース22とを接続する。
【0026】
平面モータ10及び移動体20のベース22について、図4を用いて更に説明する。図4は、開閉装置の駆動原理を説明する斜視図である。
【0027】
平面モータ10は、複数のコイル10aが配列されている。コイル10aは、電流が供給されることにより、磁場を発生する。制御部150(図1参照)は、各コイル10aに通電する電流値を個別に制御可能に構成されている。
【0028】
ベース22は、複数の永久磁石22aが配列されている。コイル10aが生成する磁場によって、ベース22は、平面モータ10上で磁気浮上する。また、コイル10aが生成する磁場によって、ベース22は、平面モータ10上を移動する。
【0029】
この様な構成により、制御部150(図1参照)は、平面モータ10の各コイル10aの電流値を制御することで、ベース22の位置、向き、浮上量を制御することができるように構成されている。
【0030】
制御部150は、ベース22の位置が所望の位置となるように、平面モータ10の各コイル10aの通電を制御することで、真空搬送室120内で移動体20を移動および/または旋回させることができる。換言すれば、制御部150は、平面モータ10上の移動体20を移動させることにより、弁体21で開口部121,122を開閉することができる。
【0031】
図5は、開口部121を閉塞した際の開閉装置の一例を示す水平断面図である。
【0032】
制御部150は、移動体20を移動させ、弁体21のバルブプレート211と真空搬送室120の内壁面に当接させることにより、バルブプレート211が開口部121を閉塞することができる。また、シール部材212によって、真空搬送室120の内壁面とバルブプレート211とがシールされ、処理室110が密閉される。
【0033】
また、移動体20を開口部121を閉塞する位置(図5参照)から移動させることにより、開口部121を開放することができる(図1参照)。これにより、処理室110と真空搬送室120との間にゲートバルブ(図示せず)等の機械駆動によって開閉する開閉装置を設ける構成と比較して、基板処理システム100の占有面積を削減することができる。
【0034】
このように、本実施形態の開閉装置は、開口部121を開閉することができる。同様に、開閉装置は、開口部122を開閉することができる。
【0035】
なお、弁体21のバルブプレート211を真空搬送室120の内壁面に当接させ、開口部121,122を閉塞した際にバルブプレート211と真空搬送室120の内壁面との当接力を補助する機構部(図示せず)を設けてもよい。例えば、真空搬送室120の内壁面に弁体21を当接させた際、弁体21を真空搬送室120の内壁面に固定するロック機構部を設けてもよい。これにより、開口部121の閉塞を確実に行うことができる。
【0036】
また、弁体21は、真空搬送室120の壁面に吸着するマグネット(図示せず)を有していてもよい。これにより、開口部121,122を弁体21で塞ぐ際、弁体21をマグネット(図示せず)によって真空搬送室120の壁面に吸着させることができる。
【0037】
図6は、シール部材212をメンテナンスする際の開閉装置の一例を示す水平断面図である。例えば、シール部材212は、処理室110の処理ガスに曝される等によってシール性が低下する。シール部材212のシール性が低下すると、シール部材212のメンテナンス(交換、清掃等)が行われる。
【0038】
シール部材212をメンテナンスする際、制御部150は、移動体20を移動させ、弁体21の拡大部213と真空搬送室120の内壁面に当接させることにより、拡大部213が開口部123を真空搬送室120の内側から閉塞することができる。また、シール部材214によって、真空搬送室120の内壁面と拡大部213とがシールされ、真空搬送室120が密閉される。この際、バルブプレート211は、開口部123内に挿入されている。
【0039】
そして、閉塞部材124(図1参照)を真空搬送室120の外壁面から取り外すことにより、真空搬送室120を真空雰囲気に保ったまま、真空搬送室120の外部からシール部材212をメンテナンス(交換、清掃等)することができる。
【0040】
このように、本実施形態の開閉装置によれば、真空搬送室120の真空雰囲気を保ったままシール部材214をメンテナンスすることができる。これにより、メンテナンス作業の作業時間を削減することができる。
【0041】
また、真空搬送室120の内部には、各開口部121,122を開閉する移動体20に加えて、交換用の移動体20が配置されていてもよい。これにより、各開口部121,122を開閉する移動体20を交換用の移動体20と交換することで、シール性を確保することができる。また、一の移動体20のシール部材212をメンテナンスする際、交換用の移動体20を用いて開口部121,122を開閉することができるので、基板処理システム100を停止させることなくシール部材212をメンテナンスすることができる。
【0042】
なお、基板処理システム100は、閉塞部材124の開閉及びシール部材214のメンテナンスを行う装置が設けられていてもよい。これにより、シール部材214のメンテナンスを自動化することができる。
【0043】
図7は、シール部材212をメンテナンスする際の開閉装置の他の一例を示す水平断面図である。
【0044】
真空搬送室120の壁面には、固定装置125及び固定装置126が設けられていてもよい。固定装置125は、閉塞部材124を真空搬送室120の外壁面に着脱可能に固定する。固定装置126は、弁体21を真空搬送室120の内壁面に着脱可能に固定する。なお、図7の例において、固定装置125,126は、着脱可能なボルトであるものとして図示している。
【0045】
シール部材212をメンテナンスする際、制御部150は、移動体20を移動させ、弁体21の拡大部213を真空搬送室120の内壁面に当接させることにより、拡大部213が開口部123を真空搬送室120の内側から閉塞する。次に、固定装置126を用いて、弁体21を真空搬送室120の内壁面に固定する。次に、固定装置125を解除し、閉塞部材124を移動させ、開口部123を真空搬送室120の外側から開け、シール部材212をメンテナンスする。これにより、真空雰囲気となる真空搬送室120の内部と大気雰囲気となる真空搬送室120の外部との差圧で、弁体21がズレることを防止することができ、真空搬送室120を気密に保つことができる。
【0046】
なお、図7において、固定装置125,126は、ボルトであるものとして図示しているが、これに限られるものではなく、ロックピン等の固定装置であってもよい。
【0047】
図8Aから図8Cは、シール部材212をメンテナンスする際の開閉装置の更に他の一例を示す水平断面図である。
【0048】
図8Aに示すように、閉塞部材124には、ベント装置127が設けられていてもよい。ベント装置127は、ベントライン127aと、バルブ127bと、接続部127cと、を備える。ベントライン127aは、ガスが通流可能に形成される。ベントライン127aの一端は、開口部123の空間(閉塞部材124とバルブプレート211との間の空間)に接続される。また、ベントライン127aには、開閉可能なバルブ127bが設けられている。なお、バルブ127bは、通常閉じられている。ベントライン127aの他端には、後述する接続部128cと接続可能な接続部127cが設けられている。
【0049】
ここで、シール部材212をメンテナンスする際、制御部150は、移動体20を移動させ、弁体21の拡大部213を真空搬送室120の内壁面に当接させることにより、拡大部213が開口部123を真空搬送室120の内側から閉塞する。次に、固定装置126を用いて、弁体21を真空搬送室120の内壁面に固定する。ここで、開口部123の空間は、真空雰囲気となっている。次に、バルブ127bを開け、ベントライン127aを介して、開口部123の空間と大気雰囲気となる真空搬送室120の外部とを連通させる。次に、固定装置125を解除し、閉塞部材124を移動させ、開口部123を真空搬送室120の外側から開け、シール部材212をメンテナンスする。これにより、開口部123の空間と真空搬送室120の外部との圧力差を減少させることができ、閉塞部材124を真空搬送室120の外壁面から容易に取り外すことができる。
【0050】
また、図8Bに示すように、真空搬送室120の外壁面には、真空引き装置128が設けられていてもよい。真空引き装置128は、真空引きライン128aと、バルブ128bと、接続部128cと、を備える。真空引きライン128aは、ガスが通流可能に形成される。真空引きライン128aの一端は、真空搬送室120内に接続される。また、真空引きライン128aには、開閉可能なバルブ128bが設けられている。なお、バルブ128bは、通常閉じられている。真空引きライン128aの他端には、接続部127cと接続可能な接続部128cが設けられている。なお、真空引きライン128aの少なくとも一部は、フレキシブルな配管等で形成され、接続部127cと接続部128cとが、着脱可能に構成されている。
【0051】
ここで、シール部材212をメンテナンスした後、閉塞部材124を真空搬送室120の外壁面に取り付けることにより、閉塞部材124が開口部123を真空搬送室120の外側から閉塞する。次に、固定装置125を用いて、閉塞部材124を真空搬送室120の外壁面に固定する。ここで、開口部123の空間は、大気雰囲気となっている。次に、接続部127cと接続部128cを接続し、バルブ127b及びバルブ128bを開け、ベントライン127a及び真空引きライン128aを介して、開口部123の空間と真空雰囲気となる真空搬送室120の内部とを連通させる。これにより、真空搬送室120の真空ポンプ(図示せず)によって、開口部123の空間を緩やかに減圧させ、開口部123の空間を真空雰囲気に近づける。なお、開口部123の空間を減圧した後、バルブ127b及びバルブ128bを閉じ、接続部127cと接続部128cとの接続を解除してもよい。次に、固定装置126を解除する。次に、制御部150は、移動体20を移動させ、弁体21が開口部123から離れる。これにより、弁体21が開口部123から離れた際に、真空搬送室120の内部の真空度が大きく低下することを防止することができる。
【0052】
また、図8Cに示すように、真空引きライン128aは真空ポンプ129に接続してもよい。これにより、真空ポンプ129によって、開口部123の空間を真空雰囲気に減圧することができる。
【0053】
図9は、他の移動体20Aを備える開閉装置における、シール部材212をメンテナンスする際の開閉装置の一例を示す水平断面図である。図9に示す移動体20Aは、シール部材212が設けられるバルブプレート211がシール部材214が設けられる拡大部213に対して着脱可能に設けられ、固定装置216によってバルブプレート211が拡大部213に固定されている。なお、図9の例において、固定装置216は、着脱可能なボルトであるものとして図示しているが、これに限られるものではなく、ロックピン等の固定装置であってもよい。これにより、開口部123は、シール部材214が設けられる拡大部213によって真空搬送室120の内側から閉塞されている。また、シール部材212をメンテナンスする際は、固定装置216を取り外して、バルブプレート211ごとシール部材212を交換する。これにより、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0054】
以上、一実施形態に係る開閉装置について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0055】
平面モータ10は、真空搬送室120の床面に設けられるものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、真空搬送室120の天面に平面モータ10が設けられ、平面モータ10の磁力よって移動体20が真空搬送室120の天面を移動する構成であってもよい。なお、移動体20は、真空搬送室120の天面に設けられた平面モータ10によって磁気で吸引され、真空搬送室120の天面との間に間隔を有して浮上している。これにより、例えば、真空搬送室120の床面に基板搬送装置を配置することができる。
【0056】
また、真空搬送室120の内壁面に平面モータ10が設けられ、平面モータ10の磁力よって移動体20Bが真空搬送室120の内壁面を移動する構成であってもよい。図10は、内壁面を移動する移動体20Bの一例を示す斜視図である。図11は、内壁面を移動する移動体20Bを備える開閉装置における、開口部121を閉塞した際の開閉装置の一例を示す水平断面図である。
【0057】
開閉装置は、平面モータ10と、移動体20Bと、を備える。
【0058】
図11に示すように、平面モータ10は、開口部121が形成される真空搬送室120の壁面に配置される。平面モータ10は、複数のコイル10aが配列されている。コイル10aは、電流が供給されることにより、磁場を発生する。制御部150(図1参照)は、各コイル10aに通電する電流値を個別に制御可能に構成されている。
【0059】
図10に示すように、移動体20Bは、弁体部21Bと、ベース部22Bと、を備える。即ち、移動体20Bは、開口部121,122を閉塞する弁体部21Bと平面モータ10上を移動するベース部22Bとが、一体に形成されている。
【0060】
弁体部21Bは、バルブプレート211Bと、シール部材212Bと、拡大部213Bと、シール部材214Bと、を備える。バルブプレート211Bは、拡大部213Bより突出して形成される。バルブプレート211Bは、開口部121,122を閉塞する部材であり、開口部121,122よりも大きく、開口部123よりも小さく形成されている。バルブプレート211Bには、バルブプレート211Bが開口部121,122を閉塞した際にシールするシール部材212Bが設けられている。拡大部213Bは、開口部123を閉塞する部材であり、開口部123よりも大きく形成されている。拡大部213Bには、拡大部213Bが開口部123を閉塞した際にシールするシール部材214Bが設けられている。
【0061】
ベース部22Bは、複数の永久磁石22Baが配列されている。なお、図10に示す移動体20Bでは、バルブプレート211Bの当接面に垂直な方向からみて、弁体部21Bの拡大部213Bを挟んで移動体20Bの長手方向の両側にベース部22Bが設けられるものとして図示しているが、これに限られるものではない。例えば、拡大部213Bの全面に複数の永久磁石22Baが配列され、ベース部22Bが構成されていてもよい。
【0062】
コイル10aが生成する磁場によって、ベース部22Bは、平面モータ10上で磁気浮上する。また、コイル10aが生成する磁場によって、ベース部22Bは、平面モータ10上を移動する。
【0063】
この様な構成により、制御部150(図1参照)は、平面モータ10の各コイル10aの電流値を制御することで、移動体20B(ベース部22B)の位置、向き、浮上量を制御することができるように構成されている。即ち、移動体20B(ベース部22B)の位置、向きを制御することで、真空搬送室120の内壁面で移動体20Bを移動および/または旋回させることができる。また、移動体20B(ベース部22B)の浮上量を制御することで、移動体20B(弁体部21B)による開口部121,122の開閉を制御することができる。
【0064】
また、処理室110と真空搬送室120との開口部121、真空搬送室120とロードロック室130との開口部122とを開閉する開閉装置を例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、ロードロック室130と大気搬送室140とを連通する開口部(図示せず)を開閉する開閉装置(平面モータ10、移動体20)に適用してもよい。なお、平面モータ10は、大気搬送室140の天面、側面、床面の少なくともいずれかに設けられていてもよい。また、大気搬送室140の側に移動体20が配置されるので、移動体20のシール部材212の交換を容易とすることができる。
【0065】
また、1つの移動体20は、図3に示すように、1つの弁体21(バルブプレート211、シール部材212)を有するものとして説明したが、これに限られるものではない。図12は、複数の弁体21を有する移動体20Cの一例を示す側面図である。移動体20Cは、複数(2つ)の弁体21と、1つのベース22と、を有する。これにより、開口部121,122を開閉する弁体21を切り替えることで、シール部材212のメンテナンス頻度を削減することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 平面モータ
10a コイル
20,20A~20C 移動体
21 弁体
21B 弁体部
22 ベース
22B ベース部
22a,22Ba 永久磁石
211,211B バルブプレート
212,212B シール部材(第1シール部材)
213,213B 拡大部
214,214B シール部材(第2シール部材)
215 支持部
216 固定装置
100 基板処理システム
110 処理室(第2室、室)
111 載置台
120 真空搬送室(第1室)
121 開口部(第1の開口部)
122 開口部(第1の開口部)
123 開口部(第2の開口部)
124 閉塞部材
125 固定装置
126 固定装置
127 ベント装置
128 真空引き装置
130 ロードロック室(第2室、室)
131 載置台
140 大気搬送室(第1室)
150 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12