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特開2024-161888ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
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  • 特開-ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161888
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20241113BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241113BHJP
   C07C 33/28 20060101ALN20241113BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/20 521
G03F7/20 501
C07C33/28
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024050812
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】10-2023-0059328
(32)【優先日】2023-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】崔 世 一
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4H006
【Fターム(参考)】
2H197CA08
2H197CA10
2H197HA03
2H225AN11N
2H225AN21N
2H225AN28N
2H225AN29N
2H225AN42N
2H225BA21N
2H225CA12
2H225CB08
2H225CB09
2H225CB14
4H006AA03
4H006AB48
4H006AB76
4H006AB90
4H006FC52
4H006FC80
4H006FE11
4H006FG29
(57)【要約】
【課題】優れた耐エッチング性および耐熱性を確保することができるハードマスク層を形成し得て、かつ架橋特性に優れたハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および前記ハードマスク組成物を使用するパターン形成方法を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含むハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物から製造されるハードマスク層、ならびに前記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法に関する。

上記化学式1の定義は、明細書に記載した通りである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む、ハードマスク組成物:
【化1】

前記化学式1中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基であるか、あるいは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基が、単結合、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルキレン基によって連結された基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
nは、2~6の整数のうちの1つである。
【請求項2】
前記化学式1中のArおよびArは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1から選択される構造のうちの少なくとも1つを有する基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化2】
【請求項3】
前記化学式1中のArおよびArは、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1-1から選択される構造のうちの少なくとも1つを有する基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化3】
【請求項4】
前記化学式1中のRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項5】
前記化学式1中のRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項6】
前記化学式1中のArおよびArは、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1-2から選択される構造のうちの少なくとも1つを有する基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、nは、2~4の整数のうちの1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化4】
【請求項7】
前記化学式1中、nは、2または3であり、この際、すべてのRは互いに同一であり、すべてのRは互いに同一であり、かつすべてのArは互いに同一である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項8】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~化学式10で表される化合物のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化5】

【化6】
【請求項9】
前記化学式1で表される化合物の分子量は、300g/mol~10,000g/molである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項10】
前記化学式1で表される化合物は、前記ハードマスク組成物の総質量を基準として、0.1質量%~30質量%含まれる、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項11】
前記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含む、ハードマスク層。
【請求項13】
基板上に材料層を形成する段階と、
前記材料層の上に請求項1~11のいずれか一項に記載のハードマスク組成物を塗布する段階と、
前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンを利用して前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出させる段階と、
前記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む、パターン形成方法。
【請求項14】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含む、請求項13に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および前記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体産業は、数百ナノメートルサイズのパターンから数~数十ナノメートルサイズのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像してフォトレジストパターンを形成した後、上記フォトレジストパターンをマスクとして材料層をエッチングする工程を含む。
【0004】
近年、形成しようとするパターンのサイズが減少することによって、上述した典型的なリソグラフィック技法のみでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成することは困難である。これにより、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層と呼ばれる補助層を形成して微細パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2022-0092160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れた耐エッチング性および耐熱性を確保することができるハードマスク層を形成し得て、かつ架橋特性に優れたハードマスク組成物を提供する。
【0007】
本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む:
【0010】
【化1】
【0011】
上記化学式1中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基であるか、あるいは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基が、単結合、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルキレン基によって連結された基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
nは、2~6の整数のうちの1つである。
【0012】
上記化学式1中のArおよびArは、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1から選択される構造のうちの少なくとも1つを有する基であることが好ましい:
【0013】
【化2】
【0014】
上記化学式1中のArおよびArは、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1-1から選択される構造のうちの少なくとも1つを有する基であってもよい:
【0015】
【化3】
【0016】
上記化学式1中のRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであることが好ましい。
【0017】
上記化学式1中のRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0018】
上記化学式1中のArおよびArは、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1-2から選択される構造のうちの少なくとも1つを有する基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、nは、2~4の整数のうちの1つであってもよい。
【0019】
【化4】
【0020】
上記化学式1中のnは、2または3であり、この際、すべてのRは互いに同一であり、すべてのRは互いに同一であり、かつすべてのArは、互いに同一であってもよい。
【0021】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~化学式10で表される化合物のうちの少なくとも1種であってもよい:
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
上記化学式1で表される化合物の分子量は、300g/mol~10,000g/molであることが好ましい。
【0025】
上記化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%含まれることが好ましい。
【0026】
上記溶媒としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明の他の態様によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0028】
本発明のさらに他の態様によれば、基板上に材料層を形成する段階と、上記材料層の上に上述したハードマスク組成物を塗布する段階と、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出させる段階と、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む、パターン形成方法を提供する。
【0029】
上記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によるハードマスク組成物は、硬化時の架橋特性に優れ、上記ハードマスク組成物から形成されたハードマスク層は、優れた耐熱性および優れた耐エッチング性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明によるハードマスク組成物の平坦化特性を評価するための計算式を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0033】
本明細書で別途の定義がない限り、「置換の」および「置換された」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基およびその塩、スルホン酸基およびその塩、リン酸およびその塩、ビニル基、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数2~20のアルキニル基、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数9~30のアリルアリール基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、炭素原子数3~30のヘテロシクロアルキル基、ならびにこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0034】
また、上記置換基としての、ハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基もしくはその塩、スルホン酸基もしくはその塩、リン酸もしくはその塩、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数2~30のアルケニル基、炭素原子数2~30のアルキニル基、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、または炭素原子数2~30のヘテロ環基は、隣接した他の置換基と結合を形成するか、または縮合して、環を形成することもできる。
【0035】
本明細書で別途の定義がない限り、「芳香族炭化水素」、「芳香族炭化水素基」、「芳香族炭化水素環」および「アリール基」は、芳香族炭化水素部位を少なくとも1つ有する基を意味し、非縮合芳香族炭化水素環、縮合芳香族炭化水素環だけでなく、芳香族炭化水素部位が単結合で連結された形態と芳香族炭化水素部位が直接または間接的に縮合された非芳香族部位を有する縮合環形態、またはこれらの組み合わせを含む。
【0036】
より具体的には、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニリル基、置換もしくは非置換のテルフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合された形態であり得るが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書において、特に言及しない限り、「分子量」は、分子中に含まれる原子の原子量の総和をいう。本明細書における「分子量」は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社製の1200seriesゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を利用して測定(カラムは株式会社レゾナック製のLF-804、標準試料は株式会社レゾナック製のポリスチレンを使用)される。
【0038】
半導体産業でチップのサイズを減少させる要求が絶えずに持続しており、これに対応するためにリソグラフィ技術でパターニングされるレジストの線幅が、数十ナノメートルサイズとすることが要求される。したがって、レジストパターンの線幅に耐えることができる高さが制限され、レジストがエッチング段階で十分な耐性を有しない場合が発生する。これを補完するためにエッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を使用する。このようなハードマスク層は、選択的エッチングを通じてフォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たす。したがって、ハードマスク層は、パターン転写時に必要なエッチング工程に耐えることができるように耐エッチング性が要求される。
【0039】
既存のハードマスク層は、化学的または物理的蒸着方法で形成したが、これは大きな規模の設備を必要とし、工程単価が高く、経済性が低下するという問題がある。そこで、最近、スピンコーティング法でハードマスク層を形成する技術が開発されている。スピンコーティング法は、従来の方法に比べて工程が容易であり、これから製造されるハードマスク層のギャップフィル特性および平坦化特性がより優れるようになり得るが、スピンコーティング法で形成されたハードマスク層は耐エッチング性が低下する場合があるという問題がある。したがって、スピンコーティング法を適用することができるハードマスク組成物であり、かつこの方法から形成されたハードマスク層が化学的または物理的蒸着方法で形成されたハードマスク層と同等な耐エッチング性を有することが要求される。
【0040】
そこで、ハードマスク層の耐エッチング性を改善するために、ハードマスク組成物が含有する炭素含有量を増加させるための研究が行われている。しかしながら、ハードマスク層に含まれる重合体の炭素含有量が増加するほど溶媒に対する溶解度が低下する傾向がある。したがって、スピンコーティング法に適用できるハードマスク層を得るために、ハードマスク層に含まれる重合体の炭素含有量を増加して、それから形成されるハードマスク層の耐エッチング性を改善すること、かつ、ハードマスク組成物中に含まれる上記重合体を形成する化合物が溶媒に十分に溶解することが要求される。
【0041】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、芳香族炭化水素環を有する化合物を含み、組成物中の炭素含有量を高めることができる。したがって、上記組成物から得られるハードマスク層は優れた耐エッチング性を確保することができる。また、上記化合物は特定の官能基を含むことによって、組成物中の炭素含有量を高めながらも、溶媒に対する優れた溶解性を確保することができる。
【0042】
具体的には、本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む。
【0043】
【化7】
【0044】
上記化学式1中、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基であるか、あるいは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基が、単結合、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルキレン基によって連結された基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
nは、2~6の整数である。
【0045】
上記のように、本発明の化合物は、上記化学式1のように芳香族炭化水素環を含むとともに、中心芳香族炭化水素環に三重結合炭素原子が直接連結されることによって、組成物中の炭素含有量を高め、上記化合物を含むハードマスク組成物の硬化時の架橋特性に優れる。
【0046】
上記化学式1で表される化合物は、-ORで表される置換基を含むことによって、上記化合物の溶媒に対する溶解性を改善することができ、これを含むハードマスク組成物をスピンコーティング法に効果的に適用することができる。また、上記化合物が、熱処理時に短時間内に大きな分子量を有する高分子形態で架橋されることによって、これから形成されるハードマスク層は優れた耐熱性、および優れた耐エッチング性を有し得る。
【0047】
上記化学式1中のArおよびArは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1から選択される構造のうちの少なくとも1つを有する基であることが好ましい:
【0048】
【化8】
【0049】
一例として、上記化学式1中のArおよびArは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1-1から選択される構造のうちの少なくとも1つを有する基である:
【0050】
【化9】
【0051】
他の一例として、上記化学式1中のArおよびArは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1-2から選択される構造のうちの少なくとも1つを有する基である。
【0052】
【化10】
【0053】
上記化学式1中のRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり得る。例えば、上記化学式1中のRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり得る。例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、またはピレニル基であり、例えば、水素原子、メチル基、およびフェニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
一実施形態では、上記化学式1で表される化合物中、上記ArおよびArは、それぞれ独立して、置換または非置換の、上記グループ1-2から選択される構造のうちの少なくとも1つを有する基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、nは、2~4の整数である。
【0055】
上記化学式1中のnは、2~6の整数のうちの1つであり、例えば、nは2~4の整数のうちの1つであり、例えば、nは2または3であるが、これらに限定されない。上記化学式1中のnが2または3である場合、一実施形態による化合物の溶媒に対する溶解度をより向上させることができ、上記化合物を含むハードマスク組成物から形成されたハードマスク層の耐エッチング性を向上させることができる。
【0056】
上記化学式1中のnが2または3であるとき、化学式1中に存在するRは互いに同一でも異なっていてもよく、化学式1中に存在するRは互いに同一でも異なっていてもよく、かつ化学式1中に存在するArは互いに同一でも異なっていてもよい。つまり、nが2または3である場合、2つまたは3つのRそれぞれは、互いに同一でも異なっていてもよく、2つまたは3つのRそれぞれは、互いに同一でも異なっていてもよく、2つまたは3つのArそれぞれは、互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。
【0057】
一実施形態では、上記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~化学式10で表される化合物のうちの少なくとも1種である:
【0058】
【化11】
【0059】
【化12】
【0060】
上記化学式1で表される化合物は、300g/mol~10,000g/molの分子量を有し得る。例えば、400g/mol~10,000g/mol、例えば、500g/mol~10,000g/mol、例えば、500g/mol~9,500g/mol、例えば、500g/mol~9,000g/mol、例えば、600g/mol~8,500g/mol、例えば、600g/mol~8,000g/mol、例えば、700g/mol~7,500g/mol、例えば、700g/mol~7,000g/molの分子量を有することができるが、これらに限定されない。上記範囲の分子量を有することによって、上記化合物を含むハードマスク組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0061】
上記化学式1で表される化合物は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0062】
上記化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%含まれ得る。例えば、0.2質量%~30質量%、例えば、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~30質量%、例えば、1質量%~25質量%、例えば、1質量%~20質量%であり得るが、これらに限定されない。上記の範囲で化合物が含まれることによって、ハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化程度などを容易に調節することができる。
【0063】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、溶媒を含むことができ、溶媒としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、アセチルアセトン、またはエチル3-エトキシプロピオネートなどから選択される少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されない。上記溶媒は、上記化合物に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば、特に限定されない。
【0064】
上記ハードマスク組成物は、界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0065】
上記界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0066】
上記架橋剤としては、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、例えば、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0067】
また、上記架橋剤としては、耐熱性が高い架橋剤を使用することができる。耐熱性が高い架橋剤としては、分子内に芳香族環(例えばベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0068】
上記熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物または/および2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに制限されない。
【0069】
本発明の他の態様によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0070】
以下、上述したハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0071】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板上に材料層を形成する段階と、上記材料層の上に上述した化合物および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階と、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出させる段階と、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む。
【0072】
上記基板は、例えば、シリコンウェーハ、ガラス基板、または高分子基板であり得る。上記材料層は、最終的にパターンしようとする材料であり、例えば、アルミニウム、銅などの金属層、シリコンなどの半導体層、または酸化ケイ素、窒化ケイ素などの絶縁層であり得る。上記材料層は、例えば、化学気相蒸着法で形成され得る。
【0073】
上記ハードマスク組成物は、上述したとおりであり、溶液の形態で製造されてスピンコーティング法で塗布され得る。このとき、上記ハードマスク組成物の塗布する厚さは特に限定されないが、例えば50~200,000Åの厚さに塗布され得る。
【0074】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃で10秒~1時間行うことができる。一例として、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、複数の熱処理段階を含むことができ、例えば、1次熱処理段階、および2次熱処理段階を含むことができる。
【0075】
一実施形態では、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1000℃で10秒~1時間行われる1つの熱処理段階を含むことができ、一例として、上記熱処理段階は、空気、または窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0076】
一実施形態では、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃、例えば、100℃~800℃、例えば、100℃~500℃、例えば、150℃~400℃において、例えば30秒~1時間、例えば30秒~30分、例えば30秒~10分、例えば30秒~5分間行われる1次熱処理段階を含む。
【0077】
また、例えば、100℃~1,000℃、例えば、300℃~1,000℃、例えば、500℃~1,000℃、例えば、500℃~600℃において、例えば30秒~1時間、例えば30秒~30分、例えば30秒~10分、例えば30秒~5分間行われる2次熱処理段階を連続的に含むことができる。一例として、上記1次および2次熱処理段階は、空気、または窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0078】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階のうちの少なくとも1つの段階を200℃以上の高温で行うことによって、エッチング工程を含む後続工程で曝露するエッチングガスおよび化学液に耐えることができる高い耐エッチング性を示すことができる。
【0079】
一実施形態では、上記ハードマスク層を形成する段階は、紫外可視(UV/Vis)硬化段階および/または近赤外線(near IR)硬化段階を含むことができる。
【0080】
一実施形態では、上記ハードマスク層を形成する段階は、上記1次熱処理段階、2次熱処理段階、紫外可視(UV/Vis)硬化段階、および近赤外線(near IR)硬化段階のうちの少なくとも1つの段階を含むか、または2つ以上の段階を連続的に含むことができる。
【0081】
一実施形態では、上記ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。上記シリコン含有薄膜層は、例えばSiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiNなどの物質で形成することができる。
【0082】
一実施形態では、上記フォトレジスト層を形成する段階の前に、上記シリコン含有薄膜層上部またはハードマスク層上部に下層反射防止膜(BARC)をさらに形成することもできる。
【0083】
一実施形態では、上記フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArF、KrF、またはEUVなどを使用して行うことができる。また、露光後、100℃~700℃で熱処理工程を行うことができる。
【0084】
一実施形態では、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えば、N/O、CHF、CF、Cl、BCl、およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0085】
上記エッチングされた材料層は、複数のパターンで形成され得て、上記複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど、多様化することができ、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンとして適用され得る。
【0086】
以下、実施例を通じて上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例0087】
化合物の合成
合成例1
窒素雰囲気で冷却した1,3-ジエチニルベンゼン12.6g、ベンズアルデヒド21.2g、およびテトラヒドロフラン(THF)200gの混合液にtert-ブトキシカリウム24.7gを加え、氷浴槽で1,3-ジエチニルベンゼンが全て反応するまで攪拌した。攪拌後、水を加えて反応を停止させた。そこに、テトラヒドロフラン(THF)200gを加え、洗浄および減圧濃縮した後、n-ヘキサンを添加し、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式2-1で表される化合物Aを得た(分子量=338.41g/mol)。
【0088】
【化13】
【0089】
合成例2
ベンズアルデヒド21.2gの代わりに、アセトフェノン24.0gを使用したことを除いて、上記合成例1と同様の方法で、下記化学式3-1で表される化合物Bを得た(分子量=366.46g/mol)。
【0090】
【化14】
【0091】
合成例3
ベンズアルデヒド21.2gの代わりに、ベンゾフェノン37.6gを使用したことを除いて、上記合成例1と同様の方法で、下記化学式4-1で表される化合物Cを得た(分子量=490.60g/mol)。
【0092】
【化15】
【0093】
合成例4
ベンズアルデヒド21.2gの代わりに、ピレンカルボキシアルデヒド46.0gを使用したことを除いて、上記合成例1と同様の方法で、下記化学式5-1で表される化合物Dを得た(分子量=586.69g/mol)。
【0094】
【化16】
【0095】
合成例5
窒素雰囲気で冷却した1,3,5-トリエチニルベンゼン12.6g、ピレンカルボキシアルデヒド58.0g、およびテトラヒドロフラン(THF)600gの混合液にtert-ブトキシカリウム31.1gを加え、氷浴槽で1,3,5-トリエチニルベンゼンが全て反応するまで攪拌した。攪拌後、水を加えて反応を停止させた。そこに、テトラヒドロフラン(THF)600gを加え、洗浄および減圧濃縮した後、n-ヘキサンを添加し、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式6-1で表される化合物Eを得た(分子量=840.98g/mol)。
【0096】
【化17】
【0097】
合成例6
窒素雰囲気で冷却したジエチニルピレン12.6g、ベンズアルデヒド21.2g、およびテトラヒドロフラン(THF)240gの混合液にtert-ブトキシカリウム18.6gを加え、氷浴槽でジエチニルピレンが全て反応するまで攪拌した。攪拌後、水を加えて反応を停止させた。そこに、テトラヒドロフラン(THF)240gを加え、洗浄および減圧濃縮した後、n-ヘキサンを添加し、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式7-1で表される化合物Fを得た(分子量=478.59g/mol)。
【0098】
【化18】
【0099】
合成例7
ベンズアルデヒド21.2gの代わりに、アセトフェノン12.1gを使用したことを除いて、上記合成例6と同様の方法で、下記化学式8-1で表される化合物Gを得た(分子量=506.64g/mol)。
【0100】
【化19】
【0101】
合成例8
ベンズアルデヒド21.2gの代わりに、ベンゾフェノン18.6gを使用したことを除いて、上記合成例6と同様の方法で、下記化学式9-1で表される化合物Hを得た(分子量=630.79g/mol)。
【0102】
【化20】
【0103】
合成例9
ベンズアルデヒド21.2gの代わりに、ピレンカルボキシアルデヒド23.2gを使用したことを除いて、上記合成例6と同様の方法で、下記化学式10-1で表される化合物Iを得た(分子量=726.88g/mol)。
【0104】
【化21】
【0105】
比較合成例1
テレフタルアルデヒド(13.4g、0.1mol)をテトラヒドロフラン(THF、300ml)に入れて溶かし、窒素雰囲気条件下で0℃まで冷却した。その後、エチニルマグネシウムブロミドを溶かしたTHF混合溶液(0.5M、30ml)を徐々に滴下しながら1時間反応させた。その後、常温に昇温させ、12時間攪拌しながらさらに反応させた後、飽和塩化アンモニウム水溶液(sat.NHCl(aq))でクエンチした。反応が終了した混合溶液を、酢酸エチルで水層と有機層とに分離して水層を除去し、有機層を得た。得られた有機層の溶媒を除去して、下記化学式12-1で表される化合物を得た(収率90%)(分子量=338.41g/mol)。
【0106】
【化22】
【0107】
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、200ml)に上記化学式12-1で表される化合物(5.3g、0.09mol)を溶かした後、ヒドロキシピレン(HO-Pyrene、43g、0.2mol)を添加した。混合溶液を90℃に加熱して、上記化学式12-1で表される化合物が消失するまで反応させた。反応後、精製して、下記化学式12で表される比較化合物Jを得た(分子量=338.41g/mol)。
【0108】
【化23】
【0109】
比較合成例2
2Lの3口フラスコに、ベンゾペリレン27.6g(0.1mol)、ナフトイルクロリド42g(0.22mol)を500gのクロロホルム/ジクロロメタン混合液と一緒に入れ、攪拌子を用いて攪拌し、塩化アルミニウム61.2g(0.35mol)を少しずつ投入して反応させた。反応終了後、水を用いて塩化アルミニウムを除去した。粉末から得られた生成物をテトラヒドロフランに溶かし、水素化リチウムアルミニウム18.98g(0.5mol)を少しずつ加えて反応させた。反応終了後、水/メタノール混合物を用いて反応に付随して生成する不純物を除去して、下記化学式13で表される比較化合物Kを得た(分子量=338.41g/mol)。
【0110】
【化24】
【0111】
ハードマスク組成物の製造
実施例および比較例
合成例1~9、比較合成例1および2で得られた化合物A~化合物I、比較化合物JおよびKをシクロヘキサノンに溶かした後、ろ過して、化合物の含有量が10.0質量%であるハードマスク組成物を製造した。
【0112】
評価1:耐熱性の評価
シリコンウェーハの上に実施例1~9、比較例1および2によるハードマスク組成物をそれぞれスピンコーティング法でコーティングした後、ホットプレートの上で160℃で1分間熱処理してハードマスク層を形成した。K-MAC社製の薄膜厚さ測定装置で上記ハードマスク層の厚さを測定した。次に、上記ハードマスク層を400℃で2分間再熱処理した後、ハードマスク層の厚さを測定した。400℃で2分間再熱処理する前と後とのハードマスク層の厚さの変化率が、5%未満の場合「A(非常に良好)」、5%以上10%未満の場合「B(良好)」、10%以上の場合「C(不良)」と評価した。その結果は下記表1の通りである。
【0113】
【表1】
【0114】
上記表1を参照すると、実施例1~9による組成物から形成されたハードマスク層は、再熱処理する前と後の厚さ変化率が5%未満であり、比較例による組成物から形成されたハードマスク層は、再熱処理する前と後の厚さ変化率が10%以上であることを確認した。つまり、実施例による組成物から形成されたハードマスク層の耐熱性が、比較例による組成物から形成されたハードマスク層より優れていることを確認することができた。
【0115】
評価2:ギャップフィル特性
パターン化されたシリコンウェーハの上に実施例1~9、比較例1および2によるハードマスク組成物をそれぞれスピンコーティング法でコーティングし、400℃で60秒間熱処理してハードマスク層を形成した。電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いてハードマスク層のパターン断面イメージを観察し、ボイド(Void)発生の有無を確認した。その結果は下記表2の通りである。
【0116】
【表2】
【0117】
上記表2を参照すると、実施例1~9によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層にはボイドが発生しない反面、比較例1によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層にはボイドが発生したことを確認した。これにより、実施例によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層のギャップフィル特性が、比較例によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層に比べて同等または優れていることが分かった。
【0118】
評価3:平坦化特性
パターン化されたシリコンウェーハの上に実施例1~9、および比較例1~2によるハードマスク組成物をスピンコーティング法でコーティングし、400℃で60秒間熱処理した後、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いてパターン断面イメージを観察した。パターン断面イメージに現れたハードマスク層の厚さを測定し、図1の計算式により平坦化特性を数値化した。図1中のhは、パターンが形成されない任意の3つの地点で測定したハードマスク層の厚さの平均値を意味し、hは、パターンが形成された任意の3つの地点で測定したハードマスク層の厚さの平均値を意味する。上記により得られた数値が、5未満である場合「A(非常に良好)」、5以上10未満である場合「B(良好)」、10以上である場合「C(不良)」で表し、その結果は下記表3の通りである。
【0119】
【表3】
【0120】
上記表3を参照すると、比較例1~2によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層の平坦化特性は「良好」または「不良」である反面、実施例1~9によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層の平坦化特性は「非常に良好」であり、平坦化特性に優れていることを確認することができた。
【0121】
評価4:耐エッチング性
シリコンウェーハの上に実施例1~9、比較例1および2によるハードマスク組成物をスピンコーティング法でコーティングした後、ホットプレート上で160℃において1分間熱処理してハードマスク層を形成した。上記ハードマスク層をCF/Arの混合気体を用いて30秒間乾式エッチングし、エッチング前後のハードマスクの厚さをK-MAC社製の薄膜厚さ測定装置で測定し、下記計算式2によりエッチング率(BER)を計算した。比較例1による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング率に対する実施例1~9、および比較例2による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング率の比で耐エッチング性を評価した。具体的には、上記エッチング率比が、0.95未満である場合「A(非常に良好)」、0.95以上1.00未満である場合「B(良好)」、1.00以上である場合「C(不良)」で表した。その結果は下記表4の通りである。
【0122】
【数1】
【0123】
【表4】
【0124】
上記表4を参照すると、上記比較例1による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング率に対し、実施例1~9による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング率は0.95未満であり、比較例2による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング率は1以上であった。この結果から、実施例による組成物から形成されたハードマスク層の耐エッチング性が、比較例による組成物から形成されたハードマスク層より優れていることを確認することができた。
【0125】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下に記載された特許請求の範囲で定義している発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
図1