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特開2024-161913ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
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  • 特開-ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161913
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20241113BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241113BHJP
   C07C 215/68 20060101ALI20241113BHJP
   C07D 333/20 20060101ALI20241113BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
G03F7/11 502
G03F7/004 501
G03F7/11 503
C07C215/68
C07D333/20
H01L21/30 573
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075833
(22)【出願日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】10-2023-0059327
(32)【優先日】2023-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】崔 世 一
【テーマコード(参考)】
2H225
4H006
5F146
【Fターム(参考)】
2H225AN11N
2H225AN26N
2H225AN28N
2H225AN42N
2H225AN65N
2H225AN89N
4H006AA03
4H006AB91
5F146NA19
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、優れた耐熱性および耐エッチング性を確保することができるハードマスク層を形成し得て、硬化時の架橋特性に優れたハードマスク組成物を提供することにある。
【解決手段】下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含むハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物から製造されるハードマスク層、ならびに前記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法に関する。

前記化学式1の定義は、明細書に記載した通りである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む、ハードマスク組成物:
【化1】

前記化学式1中、
Ar~Ar、Ar11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基であるか、あるいは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基、または1もしくは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基および1もしくは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基が、単結合または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキレン基によって連結された基であり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数4~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、
11、R21、およびR31は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基であり、
nは0、1、および2の整数のうちの1つであり、
mは1、2、3、および4の整数のうちの1つである。
【請求項2】
前記化学式1中のAr~Arは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化2】

前記グループ1中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基である。
【請求項3】
前記化学式1中のAr~Arは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1-1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化3】

前記グループ1-1中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基である。
【請求項4】
前記化学式1中のAr11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項5】
前記化学式1中のAr11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ2から選択されるのうちの少なくとも1つを有する基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化4】
【請求項6】
前記化学式1中のAr~Arは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1-2から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり、Ar11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ2-1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化5】
【請求項7】
前記化学式1中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
11、R21、およびR31は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項8】
前記化学式1中のR~R、R11、R21、およびR31は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項9】
前記化学式1中のArとArとが互いに同一であるか、Ar11とAr21とが互いに同一であるか、RとRとが互いに同一であるか、またはR11とR21とが互いに同一である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項10】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~化学式15のうちの少なくとも1つで表される、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】
【請求項11】
前記化学式1で表される化合物の分子量は、500g/mol~10,000g/molである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項12】
前記化学式1で表される化合物は、前記ハードマスク組成物の総質量を基準として、0.1質量%~30質量%含まれる、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項13】
前記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含む、ハードマスク層。
【請求項15】
基板上に材料層を形成する段階と、
前記材料層の上に請求項1~13のいずれか一項に記載のハードマスク組成物を塗布する段階と、
前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンを利用して前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出させる段階と、
前記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む、パターン形成方法。
【請求項16】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含む、請求項15に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および前記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業は、数百ナノメートルサイズのパターンから数~数十ナノメートルサイズのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像してフォトレジストパターンを形成した後、上記フォトレジストパターンをマスクとして材料層をエッチングする工程を含む。
【0004】
近年、形成しようとするパターンのサイズが減少することによって、上述した典型的なリソグラフィック技法のみでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成することは困難である。これにより、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層と呼ばれる補助層を形成して微細パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2022-0092160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れた耐熱性および耐エッチング性を確保することができるハードマスク層を形成し得て、硬化時の架橋特性に優れたハードマスク組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む:
【0010】
【化1】
【0011】
上記化学式1中、
Ar~Ar、Ar11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基であるか、あるいは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基、または1もしくは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基および1もしくは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基が、単結合または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキレン基によって連結された基であり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数4~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、
11、R21、およびR31は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基であり、
nは0、1、および2の整数のうちの1つであり、
mは1、2、3、および4の整数のうちの1つである。
【0012】
上記化学式1中のAr~Arは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であってもよい:
【0013】
【化2】
【0014】
上記グループ1中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基である。
【0015】
上記化学式1中のAr~Arは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1-1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であってもよい:
【0016】
【化3】
【0017】
上記グループ1-1中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基である。
【0018】
上記化学式1中のAr11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基であってもよい。
【0019】
上記化学式1中のAr11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ2から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であってもよい:
【0020】
【化4】
【0021】
上記化学式1中のAr~Arは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1-2から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり、Ar11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ2-1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であってもよい:
【0022】
【化5】
【0023】
上記化学式1中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
11、R21、およびR31は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基であってもよい。
【0024】
上記化学式1中、R~R、R11、R21、およびR31は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0025】
上記化学式1中のArとArとが互いに同一であるか、Ar11とAr21とが互いに同一であってもよいし、RとRとが互いに同一であるか、またはR11とR21とが互いに同一であってもよい。
【0026】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~化学式15のうちの少なくとも1つで表されてもよい:
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
上記化学式1で表される化合物の分子量は、500g/mol~10,000g/molであってもよい。
【0032】
上記化学式1で表される化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%含まれていてもよい。
【0033】
上記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0034】
本発明の他の形態によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0035】
本発明のさらに他の形態によれば、基板上に材料層を形成する段階と、上記材料層の上に上述したハードマスク組成物を塗布する段階と、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出させる段階と、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む、パターン形成方法を提供する。
【0036】
上記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含んでもよい。
【発明の効果】
【0037】
本発明によるハードマスク組成物は、硬化時の架橋特性に優れ、これから形成されたハードマスク層は、優れた耐熱性および優れた耐エッチング性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明によるハードマスク組成物の平坦化特性を評価するための計算式を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0040】
本明細書で別途の定義がない限り、「置換された」および「置換の」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基およびその塩、スルホン酸基およびその塩、リン酸基およびその塩、ビニル基、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数2~20のアルキニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数9~30のアリルアリール基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、炭素原子数3~30のヘテロシクロアルキル基、ならびにこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0041】
また、上記置換基としてのハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基もしくはその塩、スルホン酸基もしくはその塩、リン酸基もしくはその塩、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数2~30のアルケニル基、炭素原子数2~30のアルキニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、または炭素原子数2~30のヘテロ環基は、隣接した置換基と結合または縮合して、環を形成することもできる。
【0042】
本明細書で別途の定義がない限り、「芳香族炭化水素」および「アリール」は、芳香族炭化水素モイエティを1つ以上有する基を意味し、非縮合芳香族炭化水素環、縮合芳香族炭化水素環だけでなく、芳香族炭化水素モイエティが単結合で連結された形態、芳香族炭化水素モイエティが直接または間接的に縮合された非芳香族部位を有する縮合環形態、またはこれらの組み合わせを含む。
【0043】
より具体的には、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のテルフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合された形態であり得るが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S、SeおよびPから選択されるヘテロ原子を1~3個含有するものを意味する。
【0045】
本明細書で別途の定義がない限り、「芳香族複素環基」は、ヘテロアリール基を含む概念であり、芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基とシクロアルキル基との縮合環、またはこれらの組み合わせなどの環化合物内で炭素原子(C)の代わりにN、O、S、PおよびSiから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有するものを意味する。上記ヘテロ芳香族炭化水素基が縮合環である場合、上記ヘテロ環基全体またはそれぞれの環がヘテロ原子を1個以上含むことができる。
【0046】
本明細書で特に言及しない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。
【0047】
本明細書で特に言及しない限り、「分子量」は、分子中に含まれる原子の原子量の総和をいう。本明細書における「分子量」は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社製の1200seriesゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を利用して測定(カラムは株式会社レゾナック製のLF-804、標準試料は株式会社レゾナック製のポリスチレンを使用)することができる。
【0048】
半導体産業では、チップのサイズを減少させるとの要求が絶えずに持続しており、これに対応するために、リソグラフィ技術でパターニングされるフォトレジストの線幅が、数十ナノメートルのサイズであることが必要とされる。したがって、フォトレジストパターンの線幅に耐えることができるように高さが制限され、そのため、フォトレジストがエッチング段階で十分な耐性を有することができない場合が発生する。これを補完するために、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を使用する。このようなハードマスク層は、選択的エッチングを通じてフォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たす。したがって、ハードマスク層は、パターン転写時に必要なエッチング工程に耐えることができるように耐エッチング性が要求される。
【0049】
既存のハードマスク層は、化学的または物理的蒸着方法で形成していたが、これは大きな規模の設備を必要とし、工程単価が高く、経済性が低下するという問題がある。そこで、最近、スピンコーティング法でハードマスク層を形成する技術が開発されている。スピンコーティング法は、従来の方法に比べて工程が容易であり、この方法を経て製造されるハードマスク層のギャップフィル特性および平坦化特性がより優れるようになり得るが、スピンコーティング法で形成されたハードマスク層は耐エッチング性が多少低下し、必要とされる耐エッチング性を有しない場合があるという問題がある。したがって、スピンコーティング法を適用することができるハードマスク組成物であり、これから形成されたハードマスク層が化学的または物理的蒸着方法で形成されたハードマスク層と同等な耐エッチング性を有することが要求される。
【0050】
そこで、ハードマスク層の耐エッチング性を改善するために、ハードマスク組成物中に含まれる炭素含有量を増加させる研究が活発に行われている。しかしながら、ハードマスク組成物に含まれる化合物の炭素含有量が増加するほど、溶媒に対する溶解度が低下する傾向がある。したがって、ハードマスク組成物に含まれる化合物の炭素含有量を増加させ、それから形成されるハードマスク層の耐エッチング性を改善させ、かつ、上記化合物の溶媒に対する十分な溶解度を維持することが要求される。
【0051】
本発明によるハードマスク組成物は、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を有する化合物を含むため、組成物中の炭素含有量を高めることができる。したがって、上記組成物から得られるハードマスク層は優れた耐エッチング性を確保することができる。また、上記化合物は特定の官能基を含むことによって、組成物中の炭素含有量を高めながらも、溶媒に対する優れた溶解性を確保することができる。
【0052】
具体的には、本発明によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む。
【0053】
【化10】
【0054】
上記化学式1中、
Ar~Ar、Ar11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基であるか、あるいは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基、または1もしくは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基および1もしくは2以上の置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基が、単結合または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキレン基によって連結された基であり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数4~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、
11、R21、およびR31は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基であり、
nは0、1、および2の整数のうちの1つであり、
mは1、2、3、および4の整数のうちの1つである。
【0055】
上記のように、本発明の一実施形態によるハードマスク組成物に含まれる化合物は、上記化学式1のように、芳香族炭化水素環、または芳香族複素環を含み、これに結合した第3級炭素または第2級炭素を含むことによって組成物中の炭素含有量を高めることができる。また、上記芳香族炭化水素環または芳香族複素環を連結する連結基の一部が窒素原子(N)を含むことによって、上記組成物の硬化時の架橋特性が改善され、それから形成されるハードマスク層は優れた耐エッチング性を有し得る。
【0056】
また、上記化学式1は第3級炭素または第2級炭素を含み、-OR11、-OR21、または-OR31で表される置換基を含むことによって、上記化合物の溶媒に対する溶解性を改善することができ、これを含むハードマスク組成物をスピンコーティング法に効果的に適用することができる。また、上記化合物が、短時間の熱処理により、大きな分子量を有する高分子の形態へと架橋されることによって、これから形成されるハードマスク層は、優れた耐熱性および優れた耐エッチング性を有し得る。
【0057】
本発明の一実施形態では、上記化学式1中のAr~Arは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基である:
【0058】
【化11】
【0059】
上記グループ1中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基である。
【0060】
本発明の一実施形態では、上記化学式1中のAr~Arは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1-1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基である:
【0061】
【化12】
【0062】
上記グループ1-1中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基である。
【0063】
一例として、上記化学式1中のAr~Arは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1-2から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり得るが、これらに限定されない:
【0064】
【化13】
【0065】
一実施形態では、上記化学式1中のAr11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基である。一例として、上記化学式1中のAr11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ2から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり得て、他の一例として、置換または非置換の下記グループ2-1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つであり得るが、これらに限定されない。
【0066】
【化14】
【0067】
一実施形態では、上記化学式1中のAr~Arは、それぞれ独立して、置換または非置換の上記グループ1-2から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり得て、Ar11、Ar21、およびAr31は、それぞれ独立して、置換または非置換の上記グループ2-1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり得る。
【0068】
一実施形態では、上記化学式1中のR~Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
上記化学式1中のR11、R21、およびR31は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基である。
【0069】
一実施形態では、上記化学式1中のR~R、R11、R21、およびR31は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせである。一例として、水素原子、重水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、またはこれらの組み合わせであり、他の例として、水素原子、重水素原子、メチル基、フェニル基、またはこれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0070】
上記化学式1中のnは0、1、および2の整数のうちの1つであり、例えば、0または1であるが、これらに限定されない。
【0071】
上記化学式1中のmは1、2、3、および4の整数のうちの1つであり、例えば、1、2、および3の整数のうちの1つであり、例えば、1または2であるが、これらに限定されない。
【0072】
上記化学式1中、それぞれのArとArとが互いに同一であってもよく、Ar11とAr21とが互いに同一であってもよく、RとRとが互いに同一であってもよく、またはR11とR21とが互いに同一であってもよいし、それぞれのうちの一部のみが同一であってもよく、それぞれ互いに異なってもよい。それぞれのArとAr、Ar11とAr21、RとR、またはR11とR21が互いに同一であることは、ArおよびArが互いに同一であり、Ar11およびAr21が互いに同一であり、RとRが互いに同一であり、R11とR21が互いに同一であることを意味する。
【0073】
上記化学式1中、Arは、ArおよびArのうちの少なくとも1つと同一であっても異なっていてもよい。
【0074】
上記化学式1中のnが1以上の場合、Ar31がAr11およびAr21のうちの少なくとも1つと同一であってもよく、RがRおよびRのうちの少なくとも1つと同一であってもよく、R31がR11およびR21のうちの少なくとも1つと同一であってもよいが、これらに限定されない。
【0075】
上記化学式1中のmが2以上の場合、それぞれのAr、Ar、Ar11、Ar21、R、R、R11、およびR21は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0076】
一実施形態では、上記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~化学式15のうちの少なくとも1つで表される。
【0077】
【化15】
【0078】
【化16】
【0079】
【化17】
【0080】
【化18】
【0081】
上記化学式1で表される化合物は、500g/mol~10,000g/molの分子量を有し得る。例えば、500g/mol~9,500g/mol、例えば、500g/mol~9,000g/mol、例えば、600g/mol~8,500g/mol、例えば、600g/mol~8,000g/mol、例えば、700g/mol~7,500g/mol、例えば、700g/mol~7,000g/molの分子量を有することができるが、これらに限定されない。上記範囲の分子量を有することによって、上記化合物を含むハードマスク組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0082】
上記化学式1で表される化合物は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0083】
上記化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として、0.1質量%~30質量%含まれ得る。例えば、0.2質量%~30質量%、例えば、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~30質量%、例えば、1質量%~25質量%、例えば、1質量%~20質量%であり得るが、これらに限定されない。上記の範囲で化合物が含まれることによってハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化程度などを容易に調節することができる。
【0084】
本発明によるハードマスク組成物は溶媒を含み、溶媒は、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートなどから選択される少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されない。上記溶媒は、上記化合物に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば、特に限定されない。
【0085】
上記ハードマスク組成物は、界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0086】
上記界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0087】
上記架橋剤としては、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、例えば、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0088】
また、上記架橋剤としては、耐熱性が高い架橋剤を使用することができる。耐熱性が高い架橋剤としては、分子内に芳香族性を有する環(例えばベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0089】
上記熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物または/および2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他に有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに制限されない。
【0090】
本発明の他の態様によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0091】
以下、上述したハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0092】
本発明の一態様によるパターン形成方法は、基板上に材料層を形成する段階と、上記材料層の上に上述した化合物および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階と、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出させる段階と、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む。
【0093】
上記基板は、例えばシリコンウェーハ、ガラス基板または高分子基板であり得る。上記材料層は、最終的にパターンしようとする材料であり、例えばアルミニウム、銅などの金属層、シリコンなどの半導体層または酸化ケイ素、窒化ケイ素などの絶縁層であり得る。上記材料層は、例えば、化学気相蒸着法で形成され得る。
【0094】
上記ハードマスク組成物は、上述したとおりであり、溶液の形態で製造されてスピンコーティング法で塗布され得る。このとき、上記ハードマスク組成物の塗布する際の厚さは特に限定されないが、例えば50~200,000Åの厚さに塗布され得る。
【0095】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃で10秒~1時間行うことができる。一例として、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、複数の熱処理段階を含むことができ、例えば、1次熱処理段階、および2次熱処理段階を含むことができる。
【0096】
一実施形態では、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1000℃で10秒~1時間行われる1つの熱処理段階を含むことができ、一例として、上記熱処理段階は、空気もしくは窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0097】
一実施形態では、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃、例えば、100℃~800℃、例えば、100℃~500℃、例えば、150℃~400℃の温度において、例えば30秒~1時間、例えば30秒~30分、例えば30秒~10分、例えば30秒~5分間行われる1次熱処理段階を含む。
【0098】
また、例えば、100℃~1,000℃、例えば、300℃~1,000℃、例えば、500℃~1,000℃、例えば、500℃~600℃の温度において、例えば30秒~1時間、例えば30秒~30分、例えば30秒~10分、例えば30秒~5分間行われる2次熱処理段階を連続的に含むことができる。一例として、上記1次および2次熱処理段階は、空気もしくは窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0099】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階のうちの少なくとも1つの段階を200℃以上の高温で行うことによって、エッチング工程を含む後続工程で曝露に用いるエッチングガスおよび化学液に耐えることができるような高い耐エッチング性を示すことができる。
【0100】
一実施形態では、上記ハードマスク層を形成する段階は、紫外可視(UV/Vis)硬化段階および/または近赤外線(near IR)硬化段階を含むことができる。
【0101】
一実施形態では、上記ハードマスク層を形成する段階は、上記1次熱処理段階、2次熱処理段階、紫外可視(UV/Vis)硬化段階、および近赤外線(near IR)硬化段階のうちの少なくとも1つの段階を含むか、または2つ以上の段階を連続的に含むことができる。
【0102】
一実施形態では、上記ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。上記シリコン含有薄膜層は、例えばSiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiNなどの物質で形成することができる。
【0103】
一実施形態では、上記フォトレジスト層を形成する段階の前に、上記シリコン含有薄膜層上部またはハードマスク層上部に下層反射防止膜(BARC)をさらに形成することもできる。
【0104】
一実施形態では、上記フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArF、KrFまたはEUVなどを使用して行うことができる。また、露光後、100℃~700℃で熱処理工程を行うことができる。
【0105】
一実施形態では、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えば、N/O、CHF、CF、Cl、BClおよびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0106】
上記エッチングされた材料層は、複数のパターンで形成され得て、上記複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど、多様化することができ、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンとして適用され得る。
【実施例0107】
以下、実施例を通じて上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0108】
化合物の合成
合成例1
フラスコにトリフェニルアミン9.94g、ベンゾイルクロリド17.37g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム19.77gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、中間生成物A-1を得た。
【0109】
【化19】
【0110】
フラスコに上記で得られた中間生成物A-1 25.15g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム10.24gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、上記中間生成物A-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Aで表される化合物1を得た(分子量:563.70g/mol)。
【0111】
【化20】
【0112】
合成例2
フラスコにトリフェニルアミン9.21g、4-メトキシベンゾイルクロリド19.54g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム18.32gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物B-1を得た。
【0113】
【化21】
【0114】
フラスコに上記中間生成物B-1 13.00g、1-ドデカンチオール16.25g、水酸化カリウム6.76g、およびN-メチル-2-ピロリジノン144.00gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液を90℃に昇温して、上記中間生成物B-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物B-2を得た。
【0115】
【化22】
【0116】
フラスコに上記で得られた中間生成物B-2 25.15g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム10.24gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、中間生成物B-2が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩化水素溶液を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Bで表される化合物2を得た(分子量:611.69g/mol)。
【0117】
【化23】
【0118】
合成例3
フラスコに上記合成例2の中間生成物B-2 15.49g、およびテトラヒドロフラン93.74gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に27%フェニルマグネシウムクロリドのテトラヒドロフラン溶液90.77gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、上記中間生成物B-2が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Cで表される化合物3を得た(分子量:839.99g/mol)。
【0119】
【化24】
【0120】
合成例4
フラスコにトリフェニルアミン8.78g、2-ナフトイルクロリド20.82g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム17.47gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して中間生成物D-1を得た。
【0121】
【化25】
【0122】
フラスコに上記で得られた中間生成物D-1 26.79g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム8.59gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、上記中間生成物D-1が消失するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Dで表される化合物4を得た(分子量:713.88g/mol)。
【0123】
【化26】
【0124】
合成例5
フラスコにトリフェニルアミン7.46g、1-ピレンカルボニルクロリド24.76g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム14.85gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、中間生成物E-1を得た。
【0125】
【化27】
【0126】
フラスコに上記で得られた中間生成物E-1 28.44g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム6.94gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、中間生成物E-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Eで表される化合物5を得た(分子量:938.14g/mol)。
【0127】
【化28】
【0128】
合成例6
フラスコにトリフェニルアミン10.88g、1-ピレンカルボニルクロリド26.03g、および1,2-ジクロロエタン147.70gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム15.38gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、中間生成物F-1を得た。
【0129】
【化29】
【0130】
フラスコに上記で得られた中間生成物F-1 15.11g、およびN-メチル-2-ピロリジノン80.00gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム4.89gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、上記中間生成物F-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Fで表される化合物6を得た(分子量:705.86g/mol)。
【0131】
【化30】
【0132】
合成例7
フラスコにN,N-ジフェニル-2-ナフチルアミン10.66g、4-メトキシベンゾイルクロリド18.79g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム17.62gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物G-1を得た。
【0133】
【化31】
【0134】
フラスコに上記で得られた中間生成物G-1 9.27g、1-ドデカンチオール18.88g、水酸化カリウム7.85g、およびN-メチル-2-ピロリジノン144.00gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液を90℃に昇温して、上記中間生成物G-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物G-2を得た。
【0135】
【化32】
【0136】
フラスコに上記で得られた中間生成物G-2 25.20g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム10.18gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、中間生成物G-2が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Gで表される化合物7を得た(分子量:661.75g/mol)。
【0137】
【化33】
【0138】
合成例8
フラスコにN,N-ジフェニル-2-ナフチルアミン8.71g、1-ピレンカルボニルクロリド23.98g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム14.38gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、中間生成物H-1を得た。
【0139】
【化34】
【0140】
フラスコに上記で得られた中間生成物H-1 28.73g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム6.65gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、上記中間生成物H-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Hで表される化合物8を得た(分子量:986.18g/mol)。
【0141】
【化35】
【0142】
合成例9
フラスコにトリス[4-(2-チエニル)フェニル]アミン15.43g、4-メトキシベンゾイルクロリド16.33g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウ15.31gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物I-1を得た。
【0143】
【化36】
【0144】
フラスコに上記で得られた中間生成物I-1 15.78g、1-ドデカンチオール14.28g、水酸化カリウム5.94g、およびN-メチル-2-ピロリジノン144.00gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液を90℃に昇温して、上記中間生成物I-1が消失するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物I-2を得た。
【0145】
【化37】
【0146】
フラスコに上記で得られた中間生成物I-2 26.99g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム8.39gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、上記中間生成物I-2が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Iで表される化合物9を得た(分子量:858.05g/mol)。
【0147】
【化38】
【0148】
合成例10
フラスコにトリス[4-(2-チエニル)フェニル]アミン12.91g、1-ピレンカルボニルクロリド21.35g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム12.81gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、中間生成物J-1を得た。
【0149】
【化39】
【0150】
フラスコに上記で得られた中間生成物J-1 31.35g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム4.03gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、上記中間生成物J-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Jで表される化合物10を得た(分子量:1182.48g/mol)。
【0151】
【化40】
【0152】
合成例11
フラスコにN,N,N,N-テトラフェニルベンジジン12.40g、4-メトキシベンゾイルクロリド7.75g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム16.92gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物K-1を得た。
【0153】
【化41】
【0154】
フラスコに上記で得られた中間生成物K-1 15.55g、1-ドデカンチオール15.35g、水酸化カリウム5.11g、およびN-メチル-2-ピロリジノン144.00gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液を90℃に昇温して、上記中間生成物K-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物K-2を得た。
【0155】
【化42】
【0156】
フラスコに上記で得られた中間生成物K-2 26.18g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム9.20gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、上記中間生成物K-2が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Kで表される化合物11を得た(分子量:977.13g/mol)。
【0157】
【化43】
【0158】
合成例12
フラスコにN,N,N,N-テトラフェニルベンジジン10.23g、1-ピレンカルボニルクロリド22.89g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウ13.95gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して中間生成物L-1を得た。
【0159】
【化44】
【0160】
フラスコに上記で得られた中間生成物L-1 31.17g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム4.21gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、上記中間生成物L-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Lで表される化合物12を得た(分子量:1409.70g/mol)。
【0161】
【化45】
【0162】
合成例13
フラスコにN,N,N,N-テトラフェニル-1,4-フェニレンジアミン10.92g、4-メトキシベンゾイルクロリド18.51g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム17.64gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物M-1を得た。
【0163】
【化46】
【0164】
フラスコに上記で得られた中間生成物M-1 14.87g、1-ドデカンチオール15.86g、水酸化カリウム5.27g、およびN-メチル-2-ピロリジノン144.00gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液を90℃に昇温して中間生成物M-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物M-2を得た。
【0165】
【化47】
【0166】
フラスコに上記で得られた中間生成物M-2 29.20g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム6.18gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、上記中間生成物M-2が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Mで表される化合物13を得た(分子量:901.03g/mol)。
【0167】
【化48】
【0168】
合成例14
フラスコにN,N,N,N-テトラフェニル-1,4-フェニレンジアミン8.94g、1-ピレンカルボニルクロリド23.69g、および1,2-ジクロロエタン132.93gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム14.44gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、中間生成物N-1を得た。
【0169】
【化49】
【0170】
フラスコに上記で得られた中間生成物N-1 30.96g、およびN-メチル-2-ピロリジノン150.84gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム4.42gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して、上記中間生成物N-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Nで表される化合物14を得た(分子量:1333.60g/mol)。
【0171】
【化50】
【0172】
比較合成例1
フラスコにテレフタロイルクロリド21.68g、1-メトキシピレン49.37g、および1,2-ジクロロエタン399.89gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に塩化アルミニウム29.05gを常温で徐々に添加しながら10時間攪拌した。反応終了後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物P-1を得た。
【0173】
【化51】
【0174】
フラスコに上記で得られた中間生成物P-1 25.02g、1-ドデカンチオール18.88g、水酸化カリウム9.44g、およびN-メチル-2-ピロリジノン240.00gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液を90℃に昇温して、上記中間生成物P-1が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式で表される中間生成物P-2を得た。
【0175】
【化52】
【0176】
フラスコに上記で得られた中間生成物P-2 16.22g、およびN-メチル-2-ピロリジノン125.63gを入れて混合溶液を準備した。上記混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム8.67gを常温で徐々に添加し、60℃に昇温して中間生成物P-2が全て反応するまで攪拌した。攪拌後、1質量%塩酸を使用してpH7に中和した後、洗浄および減圧濃縮し、n-ヘキサンを添加した。このとき、発生した固体をろ別し、減圧乾燥して、下記化学式Pで表される比較化合物1を得た(分子量:538.65g/mol)。
【0177】
【化53】
【0178】
ハードマスク組成物の製造
実施例および比較例
合成例1~14および比較合成例1で得られたそれぞれの化合物と比較化合物をシクロヘキサノンに溶かした後、直径0.1μmのメンブレンフィルターでろ過して、化合物の含有量が10.0質量%であるハードマスク組成物を製造し、それぞれ実施例1~14および比較例1とした。
【0179】
評価1:耐熱性の評価
シリコンウェーハの上に実施例1~14、および比較例1によるハードマスク組成物をそれぞれスピンコーティング法でコーティングした後、ホットプレートの上で160℃で1分間熱処理してハードマスク層を形成した。K-MAC社製の薄膜膜厚測定装置で上記ハードマスク層の厚さを測定した。次に、上記ハードマスク層を400℃で2分間再熱処理した後、ハードマスク層の厚さを測定した。400℃で2分間再熱処理する前と後とのハードマスク層の厚さの変化率が、5%未満の場合「A(非常に良好)」、5%以上10%未満の場合「B(良好)」、10%以上の場合「C(不良)」と評価した。その結果は下記表1の通りである。
【0180】
【表1】
【0181】
上記表1を参照すると、実施例1~14による組成物から形成されたハードマスク層は、再熱処理する前と後との厚さの変化率が5%未満であり、比較例1による組成物から形成されたハードマスク層は、再熱処理する前と後との厚さ変化率が10%以上であることを確認した。つまり、実施例による組成物から形成されたハードマスク層の耐熱性が、比較例1による組成物から形成されたハードマスク層より優れていることを確認することができた。
【0182】
評価2:ギャップフィル特性
パターン化されたシリコンウェーハの上に実施例1~14、および比較例1によるハードマスク組成物をそれぞれスピンコーティング法でコーティングし、400℃で60秒間熱処理してハードマスク層を形成した。電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いてハードマスク層のパターン断面イメージを観察し、ボイド(Void)発生の有無を確認した。その結果は下記表2の通りである。
【0183】
【表2】
【0184】
上記表2を参照すると、実施例1~14によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層にボイドが発生しないを確認し、実施例によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層のギャップフィル特性は優れていることが分かった。
【0185】
評価3:平坦化特性
パターン化されたシリコンウェーハの上に実施例1~14、および比較例1によるハードマスク組成物をスピンコーティング法でコーティングし、400℃で60秒間熱処理した後、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いてパターン断面イメージを観察した。上記パターン断面イメージに現れたハードマスク層の厚さを測定し、図1の計算式により平坦化特性を数値化した。図1中のhは、パターンが形成されない任意の3つの地点で測定したハードマスク層の厚さの平均値を意味し、hは、パターンが形成された任意の3つの地点で測定したハードマスク層の厚さの平均値を意味する。平坦化特性を数値化した結果が、5未満である場合「A(非常に良好)」、5以上10未満である場合「B(良好)」、10以上である場合「C(不良)」で表し、その結果は下記表3の通りである。
【0186】
【表3】
【0187】
上記表3を参照すると、実施例1~14によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層の平坦化特性は非常に良好である反面、比較例1による組成物から形成されたハードマスク層の平坦化特性は不良であることを確認した。
【0188】
評価4:耐エッチング性
シリコンウェーハの上に実施例1~14、および比較例1によるハードマスク組成物をスピンコーティング法でコーティングした後、ホットプレートの上で、160℃で1分間熱処理してハードマスク層を形成した。上記ハードマスク層をCF/Arの混合気体を用いて30秒間乾式エッチングし、エッチング前後のハードマスクの厚さをK-MAC社製の薄膜厚さ測定装置で測定し、下記計算式2によりエッチング率(BER)を計算した。比較例1による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング率に対する実施例1~14による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング率の比で耐エッチング性を評価した。具体的には、上記比率が、0.95未満である場合「A(非常に良好)」、0.95以上1.00未満である場合「B(良好)」、1.00以上である場合「C(不良)」と評価した。その結果は下記表4の通りである。なお、比較に使用した比較例1の結果は「-」と記載した。
【0189】
【数1】
【0190】
【表4】
【0191】
上記表4を参照すると、上記比較例1による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング率に比べて、実施例1~14による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング速度が0.95未満であり、実施例1~14による組成物から形成されたハードマスク層の耐エッチング性が、比較例1による組成物から形成されたハードマスク層より優れていることが分かった。
【0192】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下に記載された特許請求の範囲で定義している発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
図1