(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161916
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ヒート・スプレッダ及び集積回路アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20241113BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H01L23/36 B
H05K7/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075996
(22)【出願日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】63/464,884
(32)【優先日】2023-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/652,527
(32)【優先日】2024-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ベイン・コックス
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA02
5E322AA11
5E322AB06
5E322AB09
5E322AB11
5E322FA04
5E322FA06
5F136BA30
5F136BC01
5F136BC02
5F136FA03
(57)【要約】
【課題】ヒート・スプレッダの応力を低減する。
【解決手段】ヒート・スプレッダ100には、第1面110と、第1面と反対側の第2面112とを有する本体102がある。ヒート・スプレッダ100は、本体102の周囲に沿って配置された複数の柱部104がある。更に、第2面112上には、ICと熱的に結合される台座部210及び212があり、これらの間には、凹部208がある。凹部208は、複数あっても良く、それぞれが異なる深さでも良い。これによって、ヒート・スプレッダの柔軟性を必要に応じて可変することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒート・スプレッダであって、
第1面と、該第1面と対向する第2面を有する本体と、
該本体の周縁に沿って上記第2面から延びる複数の柱部と、
第1発熱デバイスと接触する上記第2面上の部分と、
上記第2面上の上記部分の少なくとも1つのエッジを定める少なくとも1つの凹部と
を具えるヒート・スプレッダ。
【請求項2】
上記部分が、上記第2面上で第1及び第2部分を有し、上記第1部分は上記第1発熱デバイスと接触し、上記第2部分は第2発熱デバイスと接触し、上記第1部分は第1の厚さを有し、上記第2部分は第2の厚さを有する請求項1のヒート・スプレッダ。
【請求項3】
上記少なくとも1つの凹部が、上記第1及び第2部分の間に配置される請求項2のヒート・スプレッダ。
【請求項4】
上記少なくとも1つの凹部が、上記第2面上において2つ以上の凹部を有し、該2つ以上の凹部の夫々が上記部分の1つのエッジを定める請求項1のヒート・スプレッダ。
【請求項5】
上記2つ以上の凹部の夫々が、上記第2面に対して夫々異なる深さを有する請求項4のヒート・スプレッダ。
【請求項6】
上記少なくとも1つの凹部が、上記本体の一方のエッジから他方のエッジまで延びている請求項1のヒート・スプレッダ。
【請求項7】
上記複数の柱部が、
上記本体の第1エッジと同一平面上に側面を夫々有する第1組の柱部と、
上記本体の上記第1エッジと平行な上記本体の第2エッジと同一平面上に側面を夫々有する第2組の柱部と、
上記本体の上記第1エッジ及び上記本体の上記第2エッジと垂直な上記本体の第3エッジと同一平面上に側面を夫々有する第3組の柱部と、
上記本体の上記第1エッジ及び上記本体の上記第2エッジと垂直で上記本体の上記第3エッジと平行な上記本体の第4エッジと同一平面上に側面を夫々有する第4組の柱部と
を有する請求項1のヒート・スプレッダ。
【請求項8】
ヒート・スプレッダであって、
第1面と、該第1面と対向する第2面を有する本体と、
該本体の周縁に沿って上記第2面から延びる複数の柱部と、
該複数の柱部の中の1対の柱部の間に配置され、該1対の柱部を隔てる少なくとも1つの凹部と
を具えるヒート・スプレッダ。
【請求項9】
集積回路アセンブリであって、
基板と
該基板に結合される第1ダイと
上記基板及び上記第1ダイと熱的に結合されるヒート・スプレッダとを具え、
該ヒート・スプレッダが、
第1面と、該第1面と対向する第2面を有する本体と、
第1発熱デバイスと接触する上記第2面上の部分と、
上記第2面上の上記部分の少なくとも1つのエッジを定める少なくとも1つの凹部と、
上記第2面から上記基板へと延びる複数の柱部と
を有し、上記複数の柱部の夫々が、上記本体に結合される第1端部と、上記基板と熱的に結合される第2端部と
を有する集積回路アセンブリ。
【請求項10】
上記部分が、上記第2面上で第1及び第2部分を有し、上記第1部分は上記第1ダイと接触し、上記第2部分は第2ダイと接触し、上記第1部分は第1の厚さを有し、上記第2部分は第2の厚さを有する請求項9の集積回路アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体デバイスのパッケージングに関し、より詳細には、集積回路用のヒート・スプレッダと、そのアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
デバイスの信頼性を達成することは、集積回路パッケージが大きな熱負荷と多数のサイクルにさらされる場合、困難な要件である。放熱を補助するためには、ヒート・スプレッダ部品を集積回路ダイ上に配置することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-541615号公報
【特許文献2】特開2018-152408号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「ヒートスプレッダ」の記事、Wikipedia(日本語版)、[online]、[2024年4月23日検索]、インターネット<https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒートスプレッダ>
【非特許文献2】「材質別放熱基板」、株式会社アライドマテリアル、[online]、[2024年5月8日検索]、インターネット<https://www.allied-material.co.jp/products/heatspreader/Material.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒート・スプレッダ部品は、いくつかの機能を果たすことができるが、同時に、重要なインタフェースに大きな応力(ストレス)を与え、早期の電気的故障につながる可能性がある。従って、信頼性を向上させ、デバイスの要件を満たすためには、ヒート・スプレッダ部品の設計を最適化する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施例は、概して、フリップ・チップ・パッケージ用のヒート・スプレッダ部品に関する。
【0007】
本開示の一例は、ヒート・スプレッダ(heat spreader:熱拡散器)である。ヒート・スプレッダは、第1面と、第1面と反対側の第2面とを有する本体を含んでもよい。ヒート・スプレッダは、また、第2面から延びる複数の柱部(pillar:ピラー)と、本体の周囲に沿って配置された複数の柱部と、周囲に隣接する長辺を有する複数の柱部の各々を含んでもよい。第2面上には、集積回路を接触させる台座部分があっても良く、この台座部分は、そのエッジが少なくとも1つの凹部(channel:チャンネル、溝構造部)によって形成されても良い。この凹部は、更に、複数の柱部の中の1対の柱部の間に配置され、この一対の柱部を分離するように配置しても良い。凹部は、複数あっても良く、夫々が第2面に対して異なる深さを有していても良い。これらにより、ヒート・スプレッダの柔軟性を必要に応じて可変できる。
【0008】
本開示の一例は、蓋体である。蓋体は、第1面と、第1面と反対側の第2面とを有する本体を有してもよい。また、蓋体は、本体の周囲に沿って配置された壁、第2面から延びる壁、複数の切り欠きを有する壁を含むこともできる。蓋は更に、本体の第1エッジ(縁部)から第1エッジに平行な本体の第2エッジまで延びる少なくとも1つの凹部を含んでもよく、ここで、少なくとも1つの凹部は、壁の第1側面の第1切り欠き及び第1側面と反対側の壁の第2側面の第2切り欠きに配置される。この凹部は、集積回路を接触させる台座部分の少なくとも1つのエッジを形成しても良い。
【0009】
本開示の別の例は、基板を有する集積回路アセンブリであってもよい。この集積回路アセンブリは、基板と結合された第1ダイも有していても良い。アセンブリは、更に、基板及び第1ダイと熱的に結合されたヒート・スプレッダを含んでもよく、ヒート・スプレッダは、第1面と、第1面と反対側の第2面とを有する本体と、上記第2面から基板に向かって延びる複数の柱部と、上記各柱部は、上記本体に結合された第1端部と、上記基板に熱的に結合された第2端部とを有し、上記各柱部は、上記ヒート・スプレッダの本体のエッジ(縁部)に隣接して配置され、上記柱部の一方の側面は、上記本体のエッジと同一平面上にある。第2面上には、ダイを接触させて熱的に結合される台座部分があっても良く、この台座部分は、そのエッジが少なくとも1つの凹部(channel:チャンネル、溝構造部)によって形成されても良い。この凹部は、更に、複数の柱部の中の1対の柱部の間に配置され、この一対の柱部を分離するように配置しても良い。
【0010】
上記で述べた特徴を詳細に理解することができるように、先に簡潔に要約したものの、より具体的な説明は、実装例を参照して得られるあろう。これら実装例のいくつかは、添付図面に示されている。但し、添付の図面は、典型的な実装例のみを例示しており、従って、範囲を限定するものと考えるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、いくつかの実施例による、本願に記載のヒート・スプレッダの一例と、このヒート・スプレッダの例のクローズ・アップとを示す。
【
図2】
図2は、いくつかの実施例による、ヒート・スプレッダの一例の底面図である。
【
図3】
図3は、いくつかの実施例による、
図2のヒート・スプレッダの断面図である。
【
図4】
図4は、いくつかの実施例による、基板の例と、この基板に結合された集積回路ダイの例の上面図である。
【
図5】
図5は、いくつかの実施例による、ヒート・スプレッダの底面図と断面図を用いて各要素の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、種々の特徴を図を参照して説明する。図は、縮尺どおりに描写されていることもあるが、縮尺どおりに描写されていないこともあり、類似の構造又は機能の要素は、図全体を通して同様の参照符号で表されていることに留意されたい。なお、図は、特徴の説明を簡単にすることのみを目的としている。これらは、特徴の網羅的な説明を意図したものではないし、特許請求の範囲を限定することを意図したものもない。加えて、図示された例は、示された全ての態様又は利点を有する必要はない。特定の例と併せて説明される態様又は利点は、必ずしもその例に限定されるものではなく、そのように図示されていない場合でも又はそのように明示的に説明されていない場合でも、他の任意の例で実施することができる。
【0013】
本願の例は、集積回路(IC)パッケージ用のヒート・スプレッダ部品について説明する。本願に開示されるヒート・スプレッダ(Heat Spreader:熱拡散器)は、ICパッケージの熱膨張係数に一致するように最適化された材料を使用する。本願に開示されるヒート・スプレッダは、ヒート・スプレッダの周囲壁の部分を除去することから形成される柱部(pillars:ピラー)を使用しており、その結果、より柔軟な(しなやかな)コンポーネントが得られ、パッケージの重大な応力の低減につながる。本願に開示されるヒート・スプレッダは、複数の凹部構造(channels:チャンネル、溝構造)を使用してヒート・スプレッダの剛性を低減し、これにより、パッケージの重大な応力が更に低減される。これら複数の凹部は、夫々が第2面に対して異なる深さを有していても良い。これらにより、ヒート・スプレッダの柔軟性を必要に応じて可変できる。
【0014】
図1は、いくつかの実施例による、本願に記載のヒート・スプレッダの一例と、このヒート・スプレッダの例のクローズ・アップとを示す。ヒート・スプレッダ100は、本体102、柱部104及び凹部(channel:チャンネル、溝部、
図1には、図示せず)を有する。ヒート・スプレッダ100は、基板108に接触するように設計されており、いくつかの例では、ヒート・スプレッダ100は、基板108に熱的に結合される。いくつかの例では、ヒート・スプレッダ100は、基板108に熱的に直接結合されるか、又は、限定するものではないが、硬化性接着剤、サーマル・グリース、相変化材料(phase change materials)、テープ、導電性シート、はんだ及び焼結金属などの熱界面材料(thermal interface material:TIM、熱伝導材料)によって、基板108に熱的に結合される。いくつかの例では、ヒート・スプレッダ100は、ICダイ(図示せず)及び基板108に熱的に結合された蓋体であっても良い。ICダイ等の集積回路を含むデバイスは、発熱を伴うので、本願においては、発熱デバイスと呼ぶことがある。
【0015】
図1に図示するように、ヒート・スプレッダ100の本体102には、第1面110と第2面112とがある。第2面112は、ヒート・スプレッダ100の本体102の第1面110と対向しており、いくつかの例では、第2面112は、基板108の上面に面している。ヒート・スプレッダ100の柱部104は、ヒート・スプレッダ100の本体102の第2面112から延びている。いくつかの例では、柱部104は、本体102の第2面112から基板108の上面に向かって延びている。ヒート・スプレッダ100は、本願ではフリップ・チップ・パッケージを参照して説明されるが、ヒート・スプレッダ100は、本願に記載される例に従って、任意のタイプのIC(集積回路)パッケージと共に使用することができる。
【0016】
凹部208(
図2に図示)は、ヒート・スプレッダ100の本体102から延びる柱部104の間に配置されている。本願では、凹部(Channel:チャンネル、溝部)に関して、更に詳細に開示される。
【0017】
図2は、いくつかの実施例による、ヒート・スプレッダの例の底面図である。上述したように、ヒート・スプレッダ100は、本体102、柱部104及び凹部208を有し、
図2に図示するように、柱部104は、ヒート・スプレッダ100の本体102の周囲に沿って配置され、凹部208は、柱部104の間の本体102の第2面112に沿って配置されても良い。
【0018】
上述したように、本願に開示されるヒート・スプレッダ100は、柱部104を使用し、これによって、部品がしなやか(柔軟)になり、重大なパッケージ応力が更に低減される。いくつかの例では、柱部104は、ヒート・スプレッダ100の周囲壁(perimeter wall)206の一部分を除去することによって形成される。このような例では、周囲壁206は、ヒート・スプレッダ100の第2面112から延びて、ヒート・スプレッダ100の周囲に当接している。従って、柱部104を形成するために周囲壁206の一部分を除去することは、周囲壁206の機能を保持しつつ、ヒート・スプレッダ100をしなやか(柔軟)にでき、同時に、柱部104が基板108との熱接触や電気的接触を維持できる。
【0019】
柱部104は、外周壁206の一部を除去する以外の他の技術によって形成することもできる。柱部104は、任意のサイズ又は形状としても良く、
図1に例示されるように、各柱部104の長辺が、ヒート・スプレッダ100の本体102のエッジ(縁部)と同一平面上にあり、かつ、本体102のエッジと隣接するように配置される。外周壁206の柱部104の数は、外周壁の除去される部分に基づいて変更でき、柱部104のサイズ、形状及び配置は、ヒート・スプレッダの剛性と重大なパッケージ応力を低減するために変化させても良い。
【0020】
周囲壁206の一部分を除去すると、複数の柱部104の間に隙間106が導入される。柱部104と共に間隙106により、ヒート・スプレッダ100は、ヒート・スプレッダ100の材料に基づいて、収縮又は膨張が可能になる。間隙106は、任意の幅とすることができ、間隙106の高さは、本体102を除いた柱部104の高さに対応する。例えば、少なくとも1つの間隙は、1.6mmの間隙幅及び1.25mmの間隙高さを有していても良く、この高さは、柱部104と同じ高さでもある。いくつかの例では、ヒート・スプレッダ100の各柱部104が、同じ高さを有し、各間隙106が、柱部104と同じ高さを有する。
【0021】
また、ヒート・スプレッダ100の柱部104間の間隙106により、パッケージを洗浄する際に、洗浄ラインを通る処理(流体の流れ)が容易になる。加工性の向上により、歩留まりが向上し、パッケージの信頼性も向上する。いくつかの例では、柱部104間の間隙106は、パッケージ応力を低減するために、必要に応じて収縮又は拡張することができる充填材で選択的に充填しても良い。間隙106の間に配置される充填材は、間隙106が他のパッケージ要件に何らかの懸念を呈する場合に、間隙106を塞ぎつつも、応力低減の利点を維持するために、ヒート・スプレッダ100の材料よりも、もっと柔軟なものであっても良い。
【0022】
ヒート・スプレッダ100には、任意の数の凹部がある。いくつかの例では、凹部208は、周囲壁206の柱部104と柱部104の間に配置するようにすることで、間隙106内に配置される。図示のように、凹部208は、ヒート・スプレッダ100の第1側部202の柱部104と柱部104の間と、ヒート・スプレッダ100の第2側部204の柱部104と柱部104の間に配置される。このため、凹部208は、ヒート・スプレッダ100の第1側部202から反対側の第2側部204まで、ヒート・スプレッダ100の長さに渡って延びている。複数の凹部がある場合、第2面112における深さは、夫々異なっていても良い。
【0023】
いくつかの例では、凹部208は、ヒート・スプレッダ100の第2面112を横切って部分的に延びていても良い。凹部208は、柱部104のサイズ及び柱部104間の間隔と調和した任意の幅としても良い。いくつかの例では、ヒート・スプレッダ100の第2面112上の凹部208により、ICダイ(
図2に図示せず)が結合される1つ以上の台座部(pedestal:ペデスタル)210、212を形成しても良い。従って、凹部208の幅は、ICダイ間の距離に依存する。凹部208は、また、ヒート・スプレッダ100の剛性を低下させることができ、これにより、重大なパッケージ応力が更に低減される。
【0024】
図3は、いくつかの例による、
図2のヒート・スプレッダ100の断面図である。
図3のヒート・スプレッダ100の断面図は、
図2の3-3線に沿った断面であり、ヒート・スプレッダ100の台座210、212が図示されている。
図5は、ヒート・スプレッダの
図2の底面図と
図3の断面図とを用いて、各要素の関係を示す。
【0025】
図3及び
図5に図示するように、ヒート・スプレッダ100の台座部(pedestals:ペデスタル)210、212は、ヒート・スプレッダ100の本体102に結合されている。いくつかの例では、台座部210、212は、ヒート・スプレッダ100の本体102の一部である。ヒート・スプレッダ100の本体102は、厚さ304を有しており、一方で、台座部210、212は、ヒート・スプレッダ100の本体102に結合されているので、台座部210は厚さ306、台座部212は厚さ308を有し、これらは、いずれもヒート・スプレッダ100の本体102の厚さ304を含めたものである。
【0026】
上述したように、ヒート・スプレッダ100が基板108及びICダイに結合されると、台座部210、212は、ICダイに熱結合される。従って、台座部210、212の厚さ306、308は、基板108に結合されるICダイの高さに依存するようにしても良い。いくつかの例では、台座部210、212は、ICダイに熱的に直接結合されるか、又は、限定するものではないが、硬化性接着剤、サーマル・グリース、相変化材料、テープ、導電性シート、半田及び焼結金属などの熱界面材料(TIM、熱伝導材)によってICダイに熱的に結合される。更に、図示するように、台座部210、212の厚さ306、308は、柱部104及び本体102の高さを含むヒート・スプレッダ100の高さ302よりも小さい(薄い)。
【0027】
ヒート・スプレッダ100には、任意の数の台座部210、212があっても良く、ヒート・スプレッダ100は、ヒート・スプレッダ100の第2面112上に台座部210、212を任意に配置しても良い。いくつかの例では、台座部210、212の個数及び配置は、基板108上のICダイの個数及び配置に依存する。ICダイは、任意のサイズ又は形状であっても良く、従って、台座部210、212は、ICダイのサイズや形状に応じて、サイズ及び形状が形成される。
【0028】
いくつかの例では、ヒート・スプレッダ100の凹部208は、台座部210、212の間に配置され、ヒート・スプレッダ100の厚さを変化させ、それによって、台座部210、212に係るヒート・スプレッダ100の剛性を低下させる。ヒート・スプレッダ100には、任意の個数、向き及び配置の凹部を、台座部210、212に隣接して配置しても良い。いくつかの例では、複数の凹部が、互いに交差していても良く、更に、台座部210、212夫々の4辺を画定するように凹部を配置しても良い。また、これら凹部が、ヒート・スプレッダ100の任意の2つの柱部104の間に配置されても良い。
【0029】
ヒート・スプレッダ100は、パッケージの熱膨張係数に一致するように最適化された熱伝導性材料から形成されても良い。ヒート・スプレッダ100に使用される熱伝導性材料は、剛性(例えば、厚さ、材料、弾性率)、ICダイの形状、相互接続性、はんだバンプ、並びに、インターポーザ及びデバイスの曝露温度に依存する。上述したように、ヒート・スプレッダ100は、ICダイに熱結合されており、ICダイの熱をヒート・スプレッダ100に伝達するように設計されている。従って、ヒート・スプレッダ100の材料は、ICダイから熱を伝達するための熱伝導性材料から形成される。
【0030】
いくつかの例では、ヒート・スプレッダ100の熱伝導性材料には、銅モリブデン、銅タングステン又はその他の組み合わせが含まれる(非特許文献2参照)。いくつかの例では、ヒート・スプレッダ100は、複数の熱伝導性材料から形成され、そのような例では、ヒート・スプレッダ100に適した様々な熱伝導性材料が、基板108に結合されたICダイに従って手配される。ヒート・スプレッダ100の材料により、パッケージの反りが改善され、重要な領域における応力の低減という利点が提供される。
【0031】
図4は、いくつかの例による、基板に結合された例示的なICダイを有する例示的な基板の上面図である。図示するように、ICダイ402、404が、基板108上に配置されている。ICダイ402、404は、互いに近接しているため、熱による応力の増加が、領域406、408及び410で発生し、反り及び層間剥離(delamination)が生じる可能性がある。従って、本願に記載されるようなヒート・スプレッダ100は、基板108に結合されたとき、本願に記載されるようなパッケージされたコンポーネント内の領域406、408及び410における応力を低減することができる。例えば、台座部210、212が、ICダイ402、404に結合されれば、台座部210、212間の凹部208によって、領域406、410における応力を容易に低減できる。
【0032】
本願出願人が実験したところによれば、台座部210及び212夫々の4辺全てに凹部を設けた場合、凹部を設けなかった場合と比較して、領域406において-18%の応力低下が観測され、領域408において-14%の応力低下が観測された。更に、台座部210及び212の間にある領域410においては、-64%という顕著な応力低下が観測された。このように、本願発明によるヒート・スプレッダによれば、大きな応力低下を実現できることが観測されている。
実施例
【0033】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0034】
実施例1は、ヒート・スプレッダであって、第1面と、第1面と対向する第2面を有する本体を有する。このヒート・スプレッダは、第2面から延びる複数の柱部を有し、これら複数の柱部は、本体の周縁に沿って配置され、これら複数の柱部のそれぞれが、本体の周囲に隣接して長辺を有する。ヒート・スプレッダは、一対の柱部の間に配置され、一対の柱部を隔てる少なくとも1つの凹部を有しても良い。
【0035】
実施例2は、実施例1のヒート・スプレッダであって、本体は、第1部分と第2部分とを含み、上記第1部分は第1の厚さを有し、上記第2部分は第2の厚さを有する。
【0036】
実施例3は、実施例1のヒート・スプレッダであって、上記複数の柱部のそれぞれは、均一な厚さを有する。
【0037】
実施例4は、実施例1のヒート・スプレッダであって、上記本体が熱伝導性材料を含む。
【0038】
実施例5は、実施例1のヒート・スプレッダであって、上記少なくとも1つの凹部は、本体の一方のエッジから他方のエッジまで延びている。
【0039】
実施例6は、実施例1のヒート・スプレッダであって、上記複数の柱部が、上記本体の第1エッジと同一平面上に側面を夫々有する第1組の柱部と、上記本体の上記第1エッジと平行な上記本体の第2エッジと同一平面上に側面を夫々有する第2組の柱部と、上記本体の上記第1エッジ及び上記本体の上記第2エッジと垂直な上記本体の第3エッジと同一平面上に側面を夫々有する第3組の柱部と、上記本体の上記第1エッジ及び上記本体の上記第2エッジと垂直で上記本体の上記第3エッジと平行な上記本体の第4エッジと同一平面上に側面を夫々有する第4組の柱部とを有する。
【0040】
実施例7は、実施例1のヒート・スプレッダであって、上記複数の柱部のうちの少なくとも1つは、上記本体の上記周囲に隣接する1つの側面のみを有する。
【0041】
実施例8は、第1面と、この第1面と対向する第2面とを有する本体を具える蓋体である。この蓋体には、上記第2面から延びて、上記本体の周囲に沿って配置され、複数の切り欠き部を有する壁がある。蓋体は、上記本体の第1エッジから、この第1エッジに平行な上記本体の第2エッジまで延びる少なくとも1つの凹部を有し、この少なくとも1つの凹部は、上記壁の第1側面の第1切り欠き部の中と、上記第1側面と反対側の上記壁の第2側面の第2切り欠き部の中に配置される。
【0042】
実施例9は、実施例8の蓋体であって、上記本体が、第1部分と第2部分とを有し、上記第1部分が第1厚さを有し、上記第2部分が第2厚さを有する。
【0043】
実施例10は、実施例9の蓋体であって、上記少なくとも1つの凹部は、上記本体の上記第2部分に隣接している。
【0044】
実施例11は、実施例8の蓋体であって、上記本体が、熱伝導性材料を含む。
【0045】
実施例12は、実施例8の蓋体であって、上記壁が、少なくとも1つの周囲部を有し、上記周囲部は、上記複数の切り欠き部の中の第1切り欠き部と第2切り欠き部とによって形成される。
【0046】
実施例13は、実施例12の蓋体であって、上記少なくとも1つの周囲部の1つの側面のみが、上記本体の上記周囲部に隣接している。
【0047】
実施例14は、実施例8の蓋であって、上記壁は、第1部分と、第1部分に平行な第2部分と、上記第1部分及び上記第2部分に垂直な第3部分と、上記第1部分及び上記第2部分に垂直で上記第3部分に平行な第4部分とを有する。
【0048】
実施例15は、実施例8の蓋体であって、上記凹部の夫々が、均一な幅を有する。
【0049】
実施例16は、基板と、この基板に結合されたダイと、上記基板及び上記ダイと熱的に結合されたヒート・スプレッダとを具えるアセンブリ(assembly:組立体)である。このヒート・スプレッダは、第1面と、第1面と反対側の第2面とを有する本体を含む。上記ヒート・スプレッダは、上記第2面から上記基板に向かって延びる複数の柱部を含み、この柱部の夫々は、上記本体に結合された第1端部と、上記基板に熱的に結合される第2端部とを有し、上記柱部の夫々は、上記ヒート・スプレッダの本体のエッジに隣接して配置され、上記柱部の一方の側面は、上記本体のエッジと同一平面上にあり、凹部が、上記複数の柱部の中の少なくとも1対の柱部を隔てている。
【0050】
実施例17は、実施例16のアセンブリであって、上記本体が、第1部分と第2部分とを有し、該第2部分は、上記第1部分とは異なる厚さを有し、上記第2部分は、上記ダイに結合される。
【0051】
実施例18は、実施例17のアセンブリであって、上記凹部は、上記第2部分に隣接している。
【0052】
実施例19は、実施例16のアセンブリであって、上記凹部は、上記ヒート・スプレッダの上記本体の第1エッジから上記ヒート・スプレッダの上記本体の上記第1エッジと平行な第2エッジまで延びている。
【0053】
実施例20は、実施例16のアセンブリであって、上記複数の柱部が、上記本体の第1エッジと同一平面上に側面を夫々有する第1組の柱部と、上記本体の上記第1エッジと平行な上記本体の第2エッジと同一平面上に側面を夫々有する第2組の柱部と、上記本体の上記第1エッジ及び上記本体の上記第2エッジと垂直な上記本体の第3エッジと同一平面上に側面を夫々有する第3組の柱部と、上記本体の上記第1エッジ及び上記本体の上記第2エッジと垂直で上記本体の上記第3エッジと平行な上記本体の第4エッジと同一平面上に側面を夫々有する第4組の柱部とを有する。
【0054】
本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0055】
この説明では、第1と第2、上部と下部などの関係性を表す用語は、あるエンティティ(実体)又はアクションを別のエンティティ又はアクションと区別するためにのみ使用され、そのようなエンティティ又はアクション間の実際のそのような関係又は順序を必ずしも必要とするか又は暗示することなく使用することがある。用語「~からなる」、「~を具える」、「~を含む」、「~を有する」又はその他のバリエーションは、非排他的な包含をカバーすることが意図されており、要素のリストからなるプロセス、方法、物品又は製品が、必ずしもこれら要素だけを含むのではなく、明示的に列挙されていないか又はこうしたプロセス、方法、物品又は装置に固有の他の要素を含んでいても良い。「~を具える」で言及する要素は、より多くの制約なしに、その要素を含むプロセス、方法、物品又は装置における追加の同一要素の存在を排除するものではない。
【0056】
この説明全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「ある実施態様」、「実装(implementation)」、「態様」又は同様の用語への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本願全体を通して又は様々な場所におけるそのような語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造又は特性は、制限なしに1つ以上の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0057】
本願で使用される用語「又は」は、包括的又は任意の1つ又は任意の組み合わせを意味するものとして解釈されるべきである。従って、「A、B又はC」とは、「A」、「B」、「C」、「A及びB」、「A及びC」、「B及びC」、「A、B及びC」の中の任意のものを意味する。この定義の例外は、要素、機能、ステップ又は行為の組み合わせが本質的に相互に排他的である場合にのみ発生する。
【0058】
明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面に開示される全ての機能、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全てのステップは、そのような機能やステップの少なくとも一部が相互に排他的な組み合わせである場合を除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される機能の夫々は、特に明記されない限り、同じ、等価、又は類似の目的を果たす代替の機能によって置き換えることができる。
【0059】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0060】
100 ヒート・スプレッダ
102 ヒート・スプレッダの本体
104 柱部
106 隙間
108 基板
110 第1面
112 第2面
202 第1側部
204 第2側部
206 周囲壁
208 凹部
210 台座部
212 台座部
302 ヒート・スプレッダの高さ
304 ヒート・スプレッダの本体の厚さ
306 台座部210の厚さ
308 台座部212は厚さ
402 ICダイ
404 ICダイ