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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161918
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/00 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
C08G61/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076120
(22)【出願日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2023076890
(32)【優先日】2023-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504409543
【氏名又は名称】国立大学法人秋田大学
(71)【出願人】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 和也
(72)【発明者】
【氏名】寺境 光俊
(72)【発明者】
【氏名】石川 信広
(72)【発明者】
【氏名】関口 翔也
(72)【発明者】
【氏名】三島 翔子
(72)【発明者】
【氏名】杉田 侑生
【テーマコード(参考)】
4J032
【Fターム(参考)】
4J032BA07
4J032BA25
4J032CA03
4J032CA04
4J032CA12
4J032CA14
4J032CB03
4J032CC01
4J032CG06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低誘電特性に優れ、アミド系溶媒などの種々の溶媒に可溶な新たな電子材料用のポリマーに関する技術を提供する。
【解決手段】実施形態に係るポリマーは、下記化学式(1)で表される。当該ポリマーは、電子材料として用いられる。

上記式(1)において、Xは、芳香環を有する2価の有機基である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表され、
電子材料として用いられる、ポリマー。
【化1】
上記式(1)において、Xは、芳香環を有する2価の有機基である。
【請求項2】
重量平均分子量が1,000~250,000である、請求項1に記載のポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代通信システム(5G)に代表される大容量高速通信や自動車のADAS(先進運転システム)向けミリ波レーダー等などの普及により通信機器の信号の高周波化が進んでいる。このような高周波で使用される電子機器に用いる配線板材料には、伝送損失を抑制する観点から低誘電特性が求められている。そのため、例えば特許文献1のように低誘電特性に優れたポリフェニレンエーテルが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-198780号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ACS Omega,2021,6,4921-4931.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ポリフェニレンエーテルは可溶する溶媒が限られており、特許文献1においてもトルエンなどの毒性の高い溶媒が使用されている。そのため、樹脂ワニスの取り扱いや溶媒暴露の管理が難しいという問題があった。
また、通信信号の高周波化がさらに進むに伴って、低誘電特性にさらに優れた材料が求められている。
本発明は上述のような課題を鑑みたものであり、低誘電特性に優れ、アミド系溶媒などの種々の溶媒に可溶な新たな電子材料用の樹脂材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
高周波帯における伝送損失を低減させるためには低誘電正接特性が重要である。本発明者らは、誘電正接特性は分子分極の影響を大きく受けるため、低誘電正接特性を実現させるためには、低極性なポリマーが求められることに着目した。鋭意研究の結果、例えば非特許文献1に示されるようなFriedel-Craftsポリヒドロキシアルキル化反応が、極性基であるアルデヒドまたはケトンが求核剤と反応して極性基を持たないポリマーを合成できる反応であり、これにより得られたポリマーは低誘電正接特性に優れることを新たに見出した。また、これらのポリマーは溶剤溶解性にも優れていることを見出した。
すなわち、本発明者らはFriedel-Craftsポリヒドロキシアルキル化反応によって得られたポリマーが低誘電正接特性および溶剤溶解性といった特性に優れ、電子材料用途に特に適した樹脂材料を提供できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の態様はポリマーである。当該ポリマーは、下記化学式(1)で表され、電子材料用である。
【化1】
上記化学式(1)において、Xは、芳香環を有する2価の有機基である。
上記態様のポリマーにおいて、重量平均分子量が1,000~250,000であってもよい。
本発明の別の態様は電子材料用樹脂組成物である。当該電子材料用樹脂組成物は、上記化学式(1)で表されるポリマーを含む電子材料用樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低誘電特性に優れ、アミド系溶媒などの種々の溶媒に可溶な新たな電子材料用のポリマーに関する技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下であることを表す。
【0009】
(ポリマー)
実施形態に係るポリマーは、下記化学式(1)で表される。
【化2】
上記化学式(1)において、Xは、芳香環を有する2価の有機基である。芳香環を有する2価の有機基としては、特に限定されないが、例えば下記式(2-1)~(2-8)の有機基が挙げられる。
【化3】
化学式(1)で表されるポリマーでは、後述する原料である2,2,2-トリフルオロアセトフェノンが有する極性基であるカルボニル基が脱水縮合により消失する。これにより、ポリマーの極性が低減し、好適には低極性となり低誘電正接特性に優れる。
【0010】
上記化学式(1)で表されるポリマーの重量平均分子量(Mw)は例えば1,000~500,000であり、1,000~250,000であることが好ましく、100,000~250,000であることがより好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを換算基準としたゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法によって測定される。
【0011】
実施形態に係るポリマーは、Mwが1,000~250,000であることにより、アミド系溶媒、クロロホルム、テトラヒドロフランなどの一般的な有機溶剤に対する溶解性や溶解後のワニス取り扱い性が優れるため電子材料用途において特に好適である。また、本実施形態のポリマーは、誘電特性、耐熱性および強度が優れる。
実施形態に係るポリマーの分子量分散度(Mw/Mn)は、1.2~4.0が好ましい。
【0012】
本実施形態のポリマーは、誘電特性、耐熱性および強度が優れるため、電子部品に使用される電子材料用として好適に使用されうる。
【0013】
電子部品としては、パソコン、スマートフォン、5Gなどの次世代移動通信システムに用いられるLSI(大規模集積回路)が挙げられる。本実施形態のポリマーは、LSIにおいて、絶縁膜を形成するために好適に使用され、より好適には、永久被膜を形成するために使用され、さらに好適には、ソルダーレジスト、層間絶縁層、カバーレイ、封止材を形成するために使用される。
【0014】
(ポリマーの製造方法)
実施形態に係るポリマーの製造方法は、超強酸と、有機溶媒と、2,2,2-トリフルオロアセトフェノン(以下、TFAPと呼ぶ)と、芳香族化合物と、を含む液体中で、TFAPと芳香族化合物を反応させる反応工程を含む。
【0015】
下式は上記反応工程で進行するFriedel-Crafts重縮合反応を示す一般化された反応式である。
【化4】
上記反応式に示すように、本実施形態の反応工程によって得られるポリマーは、下記化学式(1)で示される構造単位を含む。下記化学式(1)において、Xは、芳香環を有する2価の有機基である。
【化5】
【0016】
上記反応式に示すように、超強酸の存在下で、Friedel-Crafts重縮合反応が進行する。この反応により、TFAPに含まれる極性基であるカルボニル基が脱水縮合により消失する。これにより、化学式(1)で表されるポリマーにおいて、極性が低減し、好適には低極性のポリマーを得ることができる。
【0017】
上述した反応工程で用いられる各化合物について説明する。
【0018】
<芳香族化合物>
芳香族化合物としては、架橋三環式化合物、架橋二環式化合物、単環化合物、縮合多環式化合物などが挙げられる。
【0019】
架橋三環式化合物としては、p-テルフェニル、m-テルフェニルなどが挙げられる。
【0020】
架橋二環式化合物としては、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン、2,2’-ジメトキシビフェニルなどが挙げられる。
【0021】
単環化合物としては、ベンゼンなどが挙げられる。
【0022】
縮合多環式化合物としては、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンなどが挙げられる。
【0023】
<超強酸>
超強酸とは、100%硫酸よりも酸性が強い酸を指す。超強酸としては、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)、フルオロスルホン酸(FSOH)などが挙げられる。本実施形態では、Friedel-Crafts重縮合反応が超強酸と後述する有機溶媒との混合溶液中で進行する。超強酸と、有機溶媒と、2,2,2-トリフルオロアセトフェノン(以下、TFAPと呼ぶ)と、芳香族化合物と、を含む液体中、TFAPに対する超強酸のモル比(超強酸のモル数/TFAPのモル数)は、2.0~5.0であることが好ましい。これによれば、十分な強度を示す高分子量体を得ることができる。
【0024】
<有機溶媒>
有機溶媒は、上記超強酸の相溶性が得られ、上述したFriedel-Crafts重縮合反応を阻害しなければ、特に制限されない。このような有機溶媒として、ジクロロメタン、クロロホルム1,2-ジクロロエタン、ニトロメタン、トリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらのうち、超強酸の相溶性、超強酸に対する耐性または安定性、反応場としての適性の観点から、有機溶媒として、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素を用いることが好ましい。
【0025】
以上説明したポリマーの製造方法によれば、超強酸と有機溶媒との混合溶液中で、TFAPと芳香族化合物との反応を進行させることにより、使用される超強酸の量を低減することができる。これにより、超強酸のみからなる溶液中で反応を行うことに比べて、ポリマーの製造コストを低減することができる。
また、超強酸のみからなる溶液中で反応を行うことに比べて、得られるポリマーの重合度を抑制することができる。これにより、有機溶媒に対する溶解性が向上し、かつ極性が低減したポリマーを得ることができる。
以上説明したポリマーの製造方法によって得られるポリマーの特徴としては、誘電特性に優れること、高強度であること、耐熱性に優れることが挙げられる。
【0026】
(電子材料用樹脂組成物)
実施形態に係る電子材料用樹脂組成物は、上記化学式(1)で表されるポリマーを含む。また、電子材料用組成物は、その他の成分を少なくとも1種含む。
【0027】
その他の成分としては、例えば、有機溶媒、シリカ等の無機充填材、過酸化物、架橋型硬化剤、重合開始剤、マレイミド樹脂;スチレン系エラストマー;ポリフェニレンエーテル等の樹脂及びポリマー成分、増感剤、接着助剤、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、密着剤、着色剤、繊維、シランカップリング剤、難燃性剤、セルロースナノファイバー、分散剤、熱硬化触媒、増粘剤、消泡剤、酸化防止剤、防錆剤、密着性付与剤等の添加剤が挙げられる。これらの成分を含むことで、電子材料用組成物に各種特性を付与することが可能であり、電子材料用途に好ましく用いることができる。
【0028】
特に、上記化学式(1)で表されるポリマーは一般的な有機溶剤に対する溶解性に優れるため、有機溶媒を含む電子材料用樹脂組成物とすることができる。有機溶媒を含む電子材料用樹脂組成物はワニスとして容易に取り扱うことが可能であり、また、有機溶媒以外のその他の成分を配合する場合にも電子材料用樹脂組成物の調整を容易に行うことができる。その上、誘電特性等にも優れるため、電子材料用途に特に好ましく用いることができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0030】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)2.7mL(30mmol)とジクロロメタン7.5mLとを混合し、混合溶媒を作製した。この混合溶媒に、TFAP1.045g(6.0mmol)(TFAPに対するCFSOHのモル比:5.0)とp-テルフェニル1.152g(5.0mmol)を添加し、25℃で30分間撹拌した。撹拌終了後、メタノールに添加し、固形状の反応物を沈殿させた。得られた沈殿物を吸引ろ過により取り出した後、室温にて真空乾燥を一晩行った。さらに、得られた固形物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールに添加し、固形状の反応物を沈殿させた。得られた沈殿物を吸引ろ過により取り出した後、50℃で真空乾燥を一晩行い、下記化学式で表されるポリマーを得た。
【化6】
実施例1のポリマーに関し、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は100,400、Mw/Mnは1.5であった。
【0032】
(実施例2)
p-テルフェニルに代えてm-テルフェニルを用いたこと、および混合溶媒中での反応時間を2時間としたことを除き、実施例1と同様な仕込みモル比、手順にて、下記化学式で表される、実施例2のポリマーを得た。
【化7】
実施例2のポリマーに関し、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は103,700、Mw/Mnは1.8であった。
【0033】
(実施例3)
p-テルフェニルに代えてジベンゾフランを用いたこと、および混合溶媒中での反応時間を1時間としたことを除き、実施例1と同様な仕込みモル比、手順にて、下記化学式で表される、実施例3のポリマーを得た。
【化8】
実施例3のポリマーに関し、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は245,200、Mw/Mnは3.4であった。
【0034】
(実施例4)
p-テルフェニルに代えてビフェニルを用いたことおよび混合溶媒中での反応時間を24時間としたことを除き、実施例1と同様な仕込みモル比、手順にて、下記化学式で表される、実施例4のポリマーを得た。
【化9】
実施例4のポリマーに関し、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は169,100、Mw/Mnは2.6であった。
【0035】
(実施例5)
トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)1.1mL(12mmol)とジクロロメタン7.5mLとを混合し、混合溶媒を作製した。この混合溶媒に、TFAP1.045g(6.0mmol)(TFAPに対するCFSOHのモル比:2.0)とジフェニルエーテル0.851g(5.0mmol)を添加し、25℃で2時間撹拌した。撹拌終了後、メタノールに添加し、固形状の反応物を沈殿させた。得られた沈殿物を吸引ろ過により取り出した後、室温にて真空乾燥を一晩行った。さらに、得られた固形物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールに添加し、固形状の反応物を沈殿させた。得られた沈殿物を吸引ろ過により取り出した後、50℃で真空乾燥を一晩行い、下記化学式で表されるポリマーを得た。
【化10】
実施例5のポリマーに関し、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は100,400、Mw/Mnは1.5であった。
【0036】
(実施例6)
ジフェニルエーテルに代えて2,2’-ジメトキシビフェニルを用いたこと、および混合溶媒中での反応時間を25時間としたことを除き、実施例5と同様な仕込みモル比、手順にて、下記化学式で表される、実施例6のポリマーを得た。
【化11】
実施例6のポリマーに関し、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は170,500、Mw/Mnは3.2であった。
【0037】
(比較例1)
500mLのセパラブルフラスコに、原料フェノール類として、2,6-ジメチルフェノール19.8g(0.162mol)と、2-アリルフェノール2.42g(0.018mol)と、をトルエン261gに溶解させ原料溶液を調製した。さらに、ジ-μ-ヒドロキソ-ビス[(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロリド(Cu/TMEDA)が0.18wt%、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)が0.16wt%となるように調整し、反応液中に乾燥空気を75mL/minの流量で吹込みながら、攪拌速度200rpmにて攪拌、40℃で8時間反応させ、ポリフェニレンエーテルを含む反応液を得た。
反応液の加温、並びに、乾燥空気の吹込みを停止した後、ジ-μ-ヒドロキソ-ビス[(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロリド(Cu/TMEDA)を濾過にて取り除き、メタノール1,200mL、濃塩酸4.0mL、HO 27.0mLの混合液で再沈殿させて減圧濾過にて取り出し、メタノールで洗浄後、80℃で24時間乾燥させ、比較例1のポリマー(ポリフェニレンエーテル)を得た。
比較例1のポリマーに関し、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は43,400、Mw/Mnは2.7であった。
【0038】
<試験用サンプルの作製>
実施例1~4、比較例1の各ポリマー0.3gにクロロホルム5mLを添加、撹拌し、ポリマー溶液を作製した。得られたポリマー溶液を直径7cmのガラス製フラットシャーレに注ぎ、室温で溶媒を揮発させた後、シャーレからフィルムを剥がした。得られたフィルムは100℃で12時間乾燥させ、試験用サンプルとした。膜厚はおよそ50μmであった。
【0039】
<誘電特性評価>
試験用サンプルを長さ80mm、幅45mmに切断したものを試験片として、SPDR(Split Post Dielectric Resonator)共振器法により比誘電率Dkおよび誘電正接Dfをそれぞれ測定した。測定器には、キーサイトテクノロジー合同会社製のベクトル型ネットワークアナライザE5071C、SPDR共振器、計算プログラムはQWED社製のものを用いた。条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。得られた比誘電率Dkおよび誘電正接Dfを表1に示す。
【0040】
<引張強度、引張弾性率測定>
試験用サンプルをJIS8号形のダンベル片状へ成形したものを測定試料として用いた。測定装置として、島津製作所社製「EZ-LX」を用いて、引張強度および引張弾性率を測定した。測定条件は以下のとおりである。
掴み具間距離:30mm
試験速度:1mm/min
得られた引張強度および引張弾性率を表1に示す。
【0041】
<線膨張率測定>
試験用サンプルの30-100℃における線膨張率α1および150-250℃における線膨張率α2をそれぞれTMA法により測定した。得られた線膨張率α1および線膨張率α2を表1に示す。
サンプル幅:3mm
掴み具間距離:16mm
昇温速度:10℃/min
【0042】
<ガラス転移温度測定>
試験用サンプルを長さ40mm、幅10mmに切り出し、DMA装置(日立ハイテクサイエンス社製、DMA7100)を用いて、以下の測定条件にてガラス転移温度(Tg)の測定を行った。
温度範囲:25~450℃
昇温速度:5℃/min
周波数:1Hz
歪振幅:10μm
最小張力:200mN
つかみ具間距離:20mm
得られた温度プロファイルにおいて、損失弾性率が極大を示す温度をガラス転移温度(Tg)とした。
【0043】
【表1】
【0044】
<溶解性試験>
表2に示す各溶媒1mlに実施例1~6の各ポリマー0.01gを添加し、室温で30分間撹拌し、溶解性を試験した。表2において、「A」は「ポリマーが溶解したこと」を示し、「C」は「ポリマーの一部または全部が溶解せずに残存したこと」を示す。
【0045】
【表2】