(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162109
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】成形条件提案システム、試料評価システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
B29C 43/58 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B29C43/58
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077327
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浅野 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】北井 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】塩見 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 慧
(72)【発明者】
【氏名】米田 聡
(72)【発明者】
【氏名】東 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】関 豊光
(72)【発明者】
【氏名】匂坂 重仁
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
【テーマコード(参考)】
4F204
【Fターム(参考)】
4F204AP12
4F204AQ01
4F204AR11
4F204AR12
4F204FA01
4F204FB01
4F204FN11
4F204FQ01
(57)【要約】
【課題】圧縮成形により成形物を成形する際の圧縮成形条件を効率的に設定できる技術を提供する。
【解決手段】成形条件提案システムは、設定された圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された成形物の特徴量に関わる情報を取得する成形物情報取得部を有する。また、成形条件提案システムは、前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部と、前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された成形物の特徴量に関わる情報を取得する成形物情報取得部と、
前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部と、
前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部と、を備える、
成形条件提案システム。
【請求項2】
前記成形物の特徴量は、前記成形物の厚み、面積、円形度のうち少なくとも1つである、
請求項1に記載の成形条件提案システム。
【請求項3】
前記成形物情報取得部は、前記成形物を撮像して、前記成形物の特徴量に関わる情報として撮像情報を生成するカメラであり、
前記特徴量処理部は、前記撮像情報に含まれる前記成形物の画像から当該成形物の特徴量を抽出する、
請求項2に記載の成形条件提案システム。
【請求項4】
前記特徴量処理部は、前記撮像情報に対して画像処理を施すことで二値化した前記成形物の画像を生成する、
請求項3に記載の成形条件提案システム。
【請求項5】
前記特徴量処理部は、前記成形物の厚みと前記成形物を圧縮成形するプレス時間とを変数とした評価関数を用いて前記成形物の特徴量を評価する、
請求項2に記載の成形条件提案システム。
【請求項6】
前記成形物の特徴量は、前記成形物の色合いであり、
前記成形物情報取得部は、前記成形物の色を測定する測色計である、
請求項1に記載の成形条件提案システム。
【請求項7】
前記成形物の特徴量は、前記成形物の表面の凹凸であり、
前記成形物情報取得部は、所定の位置から前記成形物の表面までの距離を計測する変位計である、
請求項1に記載の成形条件提案システム。
【請求項8】
前記最適化処理部は、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけた複数のサンプルを読み出して前記最適化処理を実行し、前記圧縮成形条件を算出する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の成形条件提案システム。
【請求項9】
設定された圧縮成形条件に基づいて試料を自動的にプレスして成形物を作成するプレス自動化システムと、
前記プレス自動化システムに前記圧縮成形条件を提案する成形条件提案システムと、を備える試料評価システムであって、
前記成形条件提案システムは、
前記圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された前記成形物の特徴量に関わる情報を取得する成形物情報取得部と、
前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部と、
前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部と、を備える、
試料評価システム。
【請求項10】
設定された圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された成形物の特徴量に関わる情報を成形物情報取得部により取得させ、前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部、
および前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部、としてコンピュータを機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形条件提案システム、試料評価システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
成形機が試料をプレス(圧縮成形)する際は、通常、試料に応じて圧縮成形条件を変えながらプレスを複数回行い、異なる圧縮成形条件毎の成形物を評価して、最適な圧縮成形条件を探索する。このような圧縮成形条件の探索には、多大な時間がかかることになり、また作業者の負担も大きくなる。
【0003】
特許文献1には、プレスを行う機器ではないものの、射出成形機等の成形機に係る操作量(成形条件)を決定する操作量決定装置が開示されている。この操作量決定装置は、成形に係る物理量の観測データに基づいて成形機の状態を表現する状態表現マップを生成し、この状態表現マップに基づいて成形機の操作量を出力する。また、操作量決定装置は、成形機の操作量の良し悪しの基準として、成形物が正常であるか否か、不良度合、不良タイプ等の成形結果を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、圧縮成形により成形物を成形する際の圧縮成形条件を効率的に設定できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、設定された圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された成形物の特徴量に関わる情報を取得する成形物情報取得部と、前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部と、前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部と、を備える、成形条件提案システムが提供される。
【0007】
上記の成形条件提案システムによれば、圧縮成形により成形物を成形する際の圧縮成形条件を効率的に設定できる。
【0008】
また、前記成形物の特徴量は、前記成形物の厚み、面積、円形度のうち少なくとも1つである。このように成形物の特徴量として厚み、面積、円形度のうち少なくとも1つを用いることで、成形条件提案システムは、成形物の特徴量を簡単に取得して、最適な圧縮成形条件を設定できる。
【0009】
また、前記成形物情報取得部は、前記成形物を撮像して、前記成形物の特徴量に関わる情報として撮像情報を生成するカメラであり、前記特徴量処理部は、前記撮像情報に含まれる前記成形物の画像から当該成形物の特徴量を抽出する。このようにカメラを適用することで、成形条件提案システムは、成形物の特徴量をよりスムーズに取得することができる。
【0010】
また、前記特徴量処理部は、前記撮像情報に対して画像処理を施すことで二値化した前記成形物の画像を生成する。これにより、成形条件提案システムは、一層精度よく成形物の特徴量を取得することができる。
【0011】
また、前記特徴量処理部は、前記成形物の厚みと前記成形物を圧縮成形するプレス時間とを変数とした評価関数を用いて前記成形物の特徴量を評価する。これにより、成形条件提案システムは、成形物の厚みとプレス時間の評価結果に応じた圧縮成形条件を良好に取得できる。
【0012】
また、前記成形物の特徴量は、前記成形物の色合いであり、前記成形物情報取得部は、前記成形物の色を測定する測色計である。このように成形物の特徴量として成形物の色合いを用いることでも、成形条件提案システムは、適切な圧縮成形条件を得ることができる。
【0013】
また、前記成形物の特徴量は、前記成形物の表面の凹凸であり、前記成形物情報取得部は、所定の位置から前記成形物の表面までの距離を計測する変位計である。このように成形物の特徴量として成形物の表面の凹凸を用いることでも、成形条件提案システムは、適切な圧縮成形条件を得ることができる。
【0014】
また、前記最適化処理部は、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけた複数のサンプルを読み出して前記最適化処理を実行し、前記圧縮成形条件を算出する。このように複数のサンプルを用いて最適化処理を実行することで、成形条件提案システムは、より精度よく圧縮成形条件を得ることができる。
【0015】
また、本開示の他の態様は、設定された圧縮成形条件に基づいて試料を自動的にプレスして成形物を作成するプレス自動化システムと、前記プレス自動化システムに前記圧縮成形条件を提案する成形条件提案システムと、を備える試料評価システムであって、前記成形条件提案システムは、前記圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された前記成形物の特徴量に関わる情報を取得する成形物情報取得部と、前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部と、前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部と、を備える、試料評価システムが提供される。
【0016】
また、本開示の他の態様は、設定された圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された成形物の特徴量に関わる情報を成形物情報取得部により取得させ、前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部、および前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部、としてコンピュータを機能させる、プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る成形条件提案システムを有する試料評価システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】プレス自動化システムの全体構成を示す概略説明図である。
【
図3】プレス自動化システムの全体構成を示す斜視図である。
【
図5】成形条件提案システムの情報処理装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図6】ロボットのカメラによる成形物の撮像を示す斜視図である。
【
図7】
図7(A)は、撮像された成形物の一例を示す図である。
図7(B)は、撮像された成形物の別例を示す図である。
【
図8】
図8(A)は、ホットプレス装置の予熱時間およびプレス時間を変動させた場合における、第1例の評価関数の評価値を示す表である。
図8(B)は、ホットプレス装置の予熱時間およびプレス時間を変動させた場合における、第2例の評価関数の評価値を示す表である。
図8(C)は、ホットプレス装置の予熱時間およびプレス時間を変動させた場合における、第3例の評価関数の評価値を示す表である。
【
図9】圧縮成形条件を提供する処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0019】
図1は、実施形態に係る成形条件提案システム3を有する試料評価システム1の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施形態に係る試料評価システム1は、試料であるポリマーをプレス(圧縮成形)するプレス自動化システム2と、プレス自動化システム2のプレスに使用する圧縮成形条件を提案する成形条件提案システム3と、を備える。また、試料評価システム1は、プレス自動化システム2および成形条件提案システム3の各々において、各装置の制御および内部処理を行う1つの情報処理装置50を有する。試料評価システム1は、種々の分子構成からなる1または複数の試料をプレスすることで、その試料の特性(耐久性、耐圧性、温度特性、誘電率等)を評価するシステムである。
【0020】
具体的には、プレス自動化システム2は、ロボット20、ホットプレス装置30、コールドプレス装置40および情報処理装置50を含む。プレス自動化システム2は、ロボット20により試料であるポリマーを搬送し、ホットプレス装置30およびコールドプレス装置40によりポリマーのプレスを行う。この場合、情報処理装置50は、プレス自動化システム2において、各装置の動作を制御する制御装置として機能する。
【0021】
一方、成形条件提案システム3は、情報処理装置50および測定装置60を含む。測定装置60は、プレス自動化システム2でプレスされた成形物を測定して、成形物の特徴量に関わる情報を情報処理装置50に送信する。そして、情報処理装置50は、取得した成形物の特徴量に関わる情報に基づき、圧縮成形の成形条件を提案する演算装置として機能する。
【0022】
情報処理装置50は、1以上のプロセッサ51、メモリ52、通信インタフェース53および入出力インタフェース54を有するコンピュータに構成されている。1以上のプロセッサ51は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、複数のディスクリート半導体からなる回路等のうち1つまたは複数を組み合わせたものである。メモリ52は、不揮発性メモリおよび揮発性メモリ(例えば、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ハードディスク、フラッシュメモリ等)を含む。
【0023】
通信インタフェース53は、有線通信可能または無線通信可能なネットワークを介して、ロボット20、ホットプレス装置30、コールドプレス装置40および測定装置60の各々と、情報処理装置50との間で情報通信を行う。なお、ネットワークは、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、PAN(Personal Area Network)等のいずれかまたはこれらの組み合わせであってよい。WANの一例としてインターネット等があげられ、LANの一例としてIEEE802.11やイーサネット(登録商標)等があげられ、PANの一例としてBluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)等があげられる。
【0024】
また、入出力インタフェース54には、試料評価システム1の作業者が操作および認識可能な作業者インタフェースである入出力装置56が接続される。入出力装置56としては、例えば、モニタ、マウス、キーボード、タッチパネル(タブレット端末、スマートフォン等を含む)、スピーカ、マイク等を適宜採用することができる。
【0025】
ロボット20は、情報処理装置50との間で情報通信を行うと共に、当該ロボット20を動作させるロボットコントローラ29を有する。ホットプレス装置30は、情報処理装置50との間で情報通信を行うと共に、当該ホットプレス装置30を動作させるホットプレスコントローラ39を有する。コールドプレス装置40は、情報処理装置50との間で情報通信を行うと共に、当該コールドプレス装置40を動作させるコールドプレスコントローラ49を有する。
【0026】
そして、情報処理装置50のメモリ52には、試料評価システム1を制御するプログラムProが記憶されている。プログラムProは、プロセッサ51により読み出しおよび実行されることで、試料評価システム1を制御する複数の機能ブロックを情報処理装置50内に形成する。情報処理装置50は、形成された各機能ブロックにより、プレス自動化システム2(ロボット20、ホットプレス装置30、コールドプレス装置40)および成形条件提案システム3(測定装置60)に対して適宜のタイミングで制御指令を出力する。すなわち、プログラムProは、プレス自動化システム2による成形物の作成と、成形条件提案システム3による圧縮成形条件の提供と、を連動させるブリッジソフトウェアとして機能する。
【0027】
なお、
図1では、試料評価システム1の情報処理装置50として1台のコンピュータを例示しているが、複数台のコンピュータによりソフトウェア(機能部)の同一のまたは異なる一部の処理を実行してもよい。この場合、コンピュータの各々が通信し合うことで処理を実行する分散コンピューティングの形態であってもよい。一例として、情報処理装置50は、各装置に接続されるロボットオペレーティングシステム(ROS:Robot Operating System)用のコンピュータと、このROSのコンピュータに接続される複数の制御用コンピュータとにより構成することができる。また、試料評価システム1の情報処理装置50は、端末から送信された情報をクラウド上に設けられた1台または複数台のコンピュータで処理し、この処理結果を端末に送信するような構成であってもよい。
【0028】
以下では、試料評価システム1の理解の容易化のために、まずプレス自動化システム2の各構成について、
図2および
図3を参照しながら説明する。
図2は、プレス自動化システム2の全体構成を示す概略説明図である。
図3は、プレス自動化システムの全体構成を示す斜視図である。
図4は、ロボットと複数の治具を示す斜視図である。
【0029】
図2および
図3に示すように、プレス自動化システム2は、ロボット20を基準として、その周囲に、作業台10、ホットプレス装置30およびコールドプレス装置40を配置している。例えば、作業台10、ホットプレス装置30およびコールドプレス装置40は、平面視でL字状を呈するように設置されている。作業台10は、ロボット20からX軸方向に離れた位置で、Y軸方向に沿って長く延在する長方形状に形成されている。ホットプレス装置30およびコールドプレス装置40は、ロボット20からY軸方向に離れた位置で、X軸方向に沿って並ぶように設置されている。なお、プレス自動化システム2の作業台10および各装置の配置は、L字状に限らず、作業者の任意に設定してよい。
【0030】
プレス自動化システム2は、作業台10上において、ロボット20によりポリマーを保持するワークの組立を行う。そして、プレス自動化システム2は、ロボット20により2種類のプレス装置(ホットプレス装置30、コールドプレス装置40)に対してワークを順に搬送し、各プレス装置にてポリマーをプレスすることで、成形物を作成する。なお、プレス自動化システム2は、2種類のプレス装置(ホットプレス装置30、コールドプレス装置40)を備えること限定されず、1種類のプレス装置、あるいは3種類以上の装置を適用してよい。またプレス自動化システム2は、ポリマーの加熱または冷却を行わないプレス装置を適用してもよく、あるいは1つのプレス装置において複数の温度に調整して、ポリマーをプレスする構成でもよい。
【0031】
作業台10は、ロボット20によりポリマーを有するワークの組立およびワークの解体がなされる作業場所を形成している。例えば、作業台10は、基台11と、基台11上に設置される作業用小台12および搬送用小台13と、を含む。また、基台11の天板上には、作業用小台12および搬送用小台13の他に、計量器14、取出装置15等が設置されている。なお、作業台10は、1つの台(作業用小台12と搬送用小台13とが一連に連続した基台11)であってよい。
【0032】
作業用小台12は、ポリマーを保持するワークの組立および解体を行うための台である。プレス自動化システム2は、ワークの組立および解体を行う複数種類の治具16(
図4参照)を作業用小台12の上面に備える。一方、搬送用小台13は、プレス自動化システム2にてプレスされた成形物を成形条件提案システム3の測定位置に搬送するために、治具16から成形物を分離させて、この成形物を搬送まで待機させる台である。
【0033】
計量器14は、作業用小台12の隣接位置に設置され、ポリマーを計量し、ネットワークを介して情報処理装置50に計量情報(ポリマーの重量)を自動的に送信する。取出装置15は、搬送用小台13の隣接位置に設置され、成形物が治具16に付着している場合に、治具16から成形物を剥離して成形物を取り出す。この取出装置15は、周知の型抜き装置、エジェクタ装置等を適用することができる。
【0034】
プレス自動化システム2のロボット20は、動作部21と、この動作部21により目標の3次元位置に移動するエンドエフェクタ25と、動作部21およびエンドエフェクタ25を制御するロボットコントローラ29(
図1参照)と、を有する。ロボットコントローラ29は、情報処理装置50の制御指令に基づき、動作部21およびエンドエフェクタ25を動作させる。
【0035】
ロボット20の動作部21は、基部22と、基部22の上部に設置される複数のアーム23と、各アーム23同士を連結する複数の関節部24と、を有する垂直多関節タイプに構成されている。アーム23は、複数(3つ以上)設けられて、末端側に手首部231を有する。
【0036】
複数の関節部24は、相互に隣接し合うアーム23の間にそれぞれ設けられ、基部22側のアーム23に対して末端側のアーム23を相対移動させる。ロボット20は、基部22や関節部24(またはアーム23)の内部の各々に関節用モータを備える。また、ロボット20は、ロボットコントローラ29の制御下に各関節用モータに電力を給電する図示しない複数のモータドライバを有しており、各関節部24を独立して動作させる。
【0037】
エンドエフェクタ25は、手首部231(複数のアーム23の末端)に取り付けられ、把持対象物である治具16を把持する一組(一対)の把持体27を備える。詳細には、エンドエフェクタ25は、手首部231に固定される直方状の筐体26を有し、筐体26の末端面(先端面)に一対の把持体27を配置している。筐体26内には、一対の把持体27を動作させる図示しない把持体動作部が設けられている。把持体動作部は、モータおよび複数のギア等を有し、ロボットコントローラ29の制御下に、末端面の長手方向に沿って一対の把持体27の近接および離間を行う。
【0038】
図4に示すように、一対の把持体27が把持する把持対象物は、作業台10に配置された複数の治具16のうちいずれかである。エンドエフェクタ25の各把持体27は、その対向面に複数(2つ)の把持用凸部を有し、治具16に設けられたグリップを把持する。
【0039】
また、ロボット20は、エンドエフェクタ25の筐体26に測定装置60を設置している。実施形態に係る測定装置60は、カメラ61である。例えば、カメラ61は、複眼の撮像機器であり一対の把持体27よりも先の部分を撮像し、各撮像情報を情報処理装置50またはロボットコントローラ29に送信する。情報処理装置50は、基本的には、予め設定された治具16の3次元目標位置に基づき、複数の関節部24を動作してエンドエフェクタ25を移動させる。そして3次元目標位置に近づくと、情報処理装置50は、撮像情報から抽出したマーカ10mの位置に基づきエンドエフェクタ25の移動を補正する。これにより、ロボット20は、目標とする治具16に対してエンドエフェクタ25を精度よく誘導して、一対の把持体27により治具16を安定的に把持することができる。
【0040】
プレス自動化システム2の複数の治具16は、ポリマーを保持するワークを構成する、または当該ワークを組み立てるための部材である。作業用小台12には、複数の治具16として、フォーク治具16a、プレス用治具17、カップ治具18、熱電対治具16bが予めセットされる。また、プレス用治具17は、ポリマーを有するワークを構成するための主要な治具であり、下プレート治具17a、中間プレート治具17bおよび上プレート治具17cを含む。カップ治具18は、下プレート治具17aにポリマーを配置するための治具であり、供給用カップ18aおよび飛散防止カップ18bを含む。さらに、作業用小台12には、プレス後のワークを解体して成形物を取出装置15に搬送するための型抜き用搬送台19が予め設置されている。
【0041】
フォーク治具16aは、ロボット20のエンドエフェクタ25により把持されて移動操作されることで、下プレート治具17a、中間プレート治具17bおよび上プレート治具17cを選択的に保持する。
【0042】
プレス用治具17は、下プレート治具17aにポリマーを載置した後に、中間プレート治具17bおよび上プレート治具17cが順に重ねられて組み立てられることで、ポリマーを有するワークを構成する。ワークの状態では、下プレート治具17aと上プレート治具17cとの間でポリマーを挟み込み、また中間プレート治具17bによりポリマーの横方向の抜けが防止される。そして、プレス自動化システム2は、プレス用治具17によりポリマーを挟んだ状態でポリマーをホットプレス装置30およびコールドプレス装置40に搬送し、プレス時にそのままポリマーをプレスする構成としている。
【0043】
カップ治具18の供給用カップ18aは、下プレート治具17aにポリマーを載置する際に使用される。また、カップ治具18の飛散防止カップ18bは、下プレート治具17aの載置領域に配置されて、供給用カップ18aによりポリマーを供給する際にポリマーの飛散を防止する。
【0044】
また、熱電対治具16bは、ホットプレス装置30やコールドプレス装置40にワークを載置した際に、ワーク(下プレート治具17a)に挿入されることで、ポリマーの温度を測定する。
【0045】
図3に戻り、次に、ポリマーを有するワークを実際にプレスするホットプレス装置30およびコールドプレス装置40について説明する。ホットプレス装置30は、ホットプレス機体31と、このホットプレス機体31の動作を制御するホットプレスコントローラ39と、を有する。ホットプレスコントローラ39は、情報処理装置50の制御指令に基づき、ホットプレス装置30の動作を制御する。
【0046】
ホットプレス機体31は、機体用筐体31aの上面において、ワークのプレス位置を形成する載置部32と、載置部32に対して近接および離間可能なプレス体33と、を備える。機体用筐体31aの内部には、プレス体33を動作させる図示しないプレス動作機構が設けられている。載置部32およびプレス体33の内部には、ワークを加熱するヒータ機構34が設けられている。載置部32は、ワークの形状に略一致する配置用凹空間を有し、配置用凹空間の開放部分からワークを進入させることで、ワークをプレス位置に位置決めさせる。
【0047】
プレス体33は、機体用筐体31a内のプレス動作機構によって載置部32と相対的に昇降し、下降時に載置部32と協働してワーク(すなわち下プレート治具17aと上プレート治具17cに挟まれたポリマー)をプレスする。ポリマーのプレスにおいて、ホットプレスコントローラ39は、情報処理装置50から受信した制御指令の圧縮成形条件に基づき、プレス動作機構を制御する。また、プレス体33は、プレス後に上昇して載置部32から離れることで、ワークを取り出し可能とする。
【0048】
ホットプレス装置30のヒータ機構34は、図示しない温度制御ドライバを介してホットプレスコントローラ39に接続され、ホットプレスコントローラ39の制御下に加熱が制御される。ホットプレス装置30は、ポリマーをプレスする際に、載置部32の温度およびプレス体33の温度を、圧縮成形条件に応じた目標温度に調整できる。
【0049】
一方、コールドプレス装置40は、ホットプレス装置30と同様に、コールドプレス機体41と、このコールドプレス機体41の動作を制御するコールドプレスコントローラ49と、を有する。コールドプレスコントローラ49は、情報処理装置50の制御指令に基づき、コールドプレス装置40の動作を制御する。
【0050】
コールドプレス機体41は、機体用筐体41aの上面において、ワークのプレス位置を形成する載置部42と、載置部42に対して近接および離間可能なプレス体43と、を備える。機体用筐体41aの内部には、プレス体43を動作させる図示しないプレス動作機構が設けられている。コールドプレス装置40は、温度を調整する構成以外はホットプレス装置30と基本的に同様の構成を有しているため、その具体的な説明については省略する。
【0051】
コールドプレス装置40は、載置部42およびプレス体43の各々を冷却する冷却機構44を備える。例えば、冷却機構44は、載置部42およびプレス体43の各々に内部流路を形成して冷媒を循環させる構造、載置部42およびプレス体43に放熱フィンを設けて放熱フィンを空冷または水冷する構造等を採用することができる。コールドプレス装置40は、コールドプレスコントローラ49の制御下に冷却機構44を制御することで、ポリマーをプレスする際に載置部42およびプレス体43の温度を適切な目標温度に調整できる。
【0052】
情報処理装置50は、以上のプレス自動化システム2のロボット20、ホットプレス装置30およびコールドプレス装置40を相互に連動させて、ポリマーをプレスして成形物を作成する。具体的には
図2に示すように、情報処理装置50は、計量工程(ステップS1)、組立工程(ステップS2)、第1搬送工程(ステップS3)、ホットプレス工程(ステップS4)、第2搬送工程(ステップS5)、コールドプレス工程(ステップS6)、戻し搬送工程(ステップS7)、解体工程(ステップS8)を、この順に実施する。
【0053】
プレス自動化システム2は、計量工程(ステップS1)において、作業台10の計量器14を用いてポリマーの重量を計量する。例えば、情報処理装置50は、ロボット20を制御して作業台10にセットされた供給用カップ18aを取り出し、この供給用カップ18aを計量器14の測定部に配置する。さらに、情報処理装置50は、測定部の測定情報を監視しながら、図示しないポリマーの容器から供給用カップ18aにポリマーを入れる。なお、この計量工程は、目標の重量となるように作業者の手動によりポリマーを計量してもよい。
【0054】
情報処理装置50は、次の組立工程(ステップS2)において、ロボット20により作業台10上でワークを組み立てる。情報処理装置50は、まず中間プレート治具17bを下プレート治具17aに配置し、さらに飛散防止カップ18bを中間プレート治具17bの孔部に配置する。その後、情報処理装置50は、ロボット20により計量器14にある供給用カップ18aを搬送し、飛散防止カップ18b内にポリマーを供給する。そして、情報処理装置50は、供給用カップ18aおよび飛散防止カップ18bを元の位置に戻した後、ロボット20により上プレート治具17cを搬送し、下プレート治具17aに上プレート治具17cを載置する。これにより、ポリマーを挟んだワークが組み立てられる。
【0055】
情報処理装置50は、第1搬送工程(ステップS3)において、ロボット20によりホットプレス装置30にワークを搬送する。この際、ロボット20は、把持しているフォーク治具16aを下プレート治具17aに進入させることで、ワークを一体的に持ち上げる。ロボット20は、ポリマーを保持したワークを安定的に搬送でき、ホットプレス装置30の載置部32に精度よく位置決めすることができる。
【0056】
そして、ホットプレス工程(ステップS4)において、情報処理装置50は、ホットプレスコントローラ39に制御指令を出力し、ホットプレスコントローラ39の制御下にワーク(ポリマー)のホットプレスを行う。例えば、情報処理装置50は、ワークを載置部32に配置した後にフォーク治具16aを元の位置に戻すと、熱電対治具16bを搬送してワークに挿入することで、ポリマーの温度を測定する。そしてホットプレス工程では、ポリマーの温度を監視しながら、プレスを1回以上(本実施形態では2回)行う。一例として、情報処理装置50は、圧縮成形条件であるプレス時間、プレス圧、目標温度等を変えて複数回のプレスを行う。本実施形態では2回のプレスにおいて、プレス時間を変更しており、最初に予熱時間に設定してポリマーをプレスする予熱プレス処理を行い、次にプレス時間を設定してポリマーをプレスする本プレス処理を行う。これにより、ホットプレス装置30は、下プレート治具17aと上プレート治具17cとの間に挟まれたポリマーを安定してプレスできる。
【0057】
その後、第2搬送工程(ステップS5)において、情報処理装置50は、ロボット20を動作させてフォーク治具16aによりホットプレス装置30のワークを持ち上げて、コールドプレス装置40に搬送する。
【0058】
さらに、コールドプレス工程(ステップS6)において、情報処理装置50は、コールドプレスコントローラ49に制御指令を出力し、コールドプレスコントローラ49の制御下にワーク(ポリマー)のコールドプレスを行う。この際、コールドプレス装置40は、プレス体43を下降して、設定された目標プレス圧でワークを押圧しながら、ポリマーを冷却する。このポリマーの冷却において、情報処理装置50は、熱電対治具16bの測定情報に基づきポリマーの温度の監視をする。これにより、コールドプレス装置40でも、下プレート治具17aと上プレート治具17cとの間に挟まれたポリマーを安定してプレスできる。なお、冷却機構44は、冷却水を循環させる構成等を採用してもよく、フィン等のヒートシンク構造のみを有する構成でもよい。ヒートシンク構造のみでも、ホットプレスしたポリマーの熱を放熱することで、ポリマーを室温まで冷却できる。
【0059】
その後、戻し搬送工程(ステップS7)において、情報処理装置50は、ロボット20を動作させてフォーク治具16aによりコールドプレス装置40のワークを持ち上げて、作業台10に搬送する。
【0060】
解体工程(ステップS8)において、情報処理装置50は、ロボット20を動作させて、組立工程と逆に手順でワークを解体する。これにより、下プレート治具17aの上面に、プレスされた成形物が露出された状態となる。
【0061】
以上のプレス自動化システム2にて成形物を成形した後、試料評価システム1は、成形条件提案システム3において成形物の特徴量を評価し、また圧縮成形条件の最適化を図る処理に移行する。成形条件提案システム3は、上記したように、情報処理装置50と、測定装置(成形物情報取得部)60とを含んで構成される(
図1参照)。また、実施形態に係る成形条件提案システム3では、測定装置60としてカメラ61を適用しており、成形物の特徴量に関わる情報としてこのカメラ61の撮像情報を用いている。そして、撮像情報から抽出される成形物の特徴量としては、圧縮成形された成形物の厚み、面積、円形度のうち少なくとも1つであるとよい。
【0062】
次に、この成形条件提案システム3の構成について、
図5~
図7を参照しながら説明していく。
図5は、成形条件提案システム3の情報処理装置50の機能ブロックを示すブロック図である。
図6は、ロボット20のカメラ61による成形物の撮像を示す斜視図である。
図7(A)は、撮像された成形物の一例を示す図である。
図7(B)は、撮像された成形物の別例を示す図である。
【0063】
成形条件提案システム3の情報処理装置50は、メモリ52に記憶されたプログラムProをプロセッサ51が実行することで、
図5に示すように、情報処理装置50の内部に複数のフレームワークを形成する。複数のフレームワークは、プレス自動化システム2を制御するプレス制御部70と、成形物の特徴量を抽出および評価する特徴量処理部80と、評価した特徴量に基づき成形条件を最適化する最適化処理部90と、各部の処理を管理する管理部100と、を含む。
【0064】
なお、実施形態に係る試料評価システム1は、1つの情報処理装置50内においてプレス制御部70、特徴量処理部80、最適化処理部90および管理部100を構築しているが、各部の一部または全部が別の装置により構成されてもよい。例えば、試料評価システム1は、プレス自動化システム2の制御装置(プレス制御部70)と、成形条件提案システム3の演算装置(特徴量処理部80、最適化処理部90、管理部100)とを別々に備えてもよい。また例えば、試料評価システム1は、特徴量処理部80を有する評価装置と、最適化処理部90を有する最適化処理装置と、管理部100を有する管理装置とを別々に備えてもよい。
【0065】
プレス制御部70は、プレス自動化システム2の各装置に制御指令を出力することで各装置を動作させて、ポリマーを圧縮成形するフレームワークである。プレス制御部70は、例えば、ロボット制御部71、プレス装置制御部72を有する。
【0066】
ロボット制御部71は、上記した工程に応じて、ロボット20を動作させる制御指令を、ロボットコントローラ29に出力する。また、ロボット制御部71は、ロボット20から状態情報(動作状態、エンドエフェクタ25の位置、エラー等)を取得して、ロボット20の状態を認識する。
【0067】
プレス装置制御部72は、上記した工程に応じて、ホットプレス装置30を動作させる制御指令をホットプレスコントローラ39に出力し、かつコールドプレス装置40を動作させる制御指令をコールドプレスコントローラ49に出力する。また、プレス装置制御部72は、ホットプレス装置30およびコールドプレス装置40から状態情報(動作状態、実温度、実圧力、エラー等)をそれぞれ取得して、ホットプレス装置30の状態およびコールドプレス装置40の状態を認識する。
【0068】
プレス装置制御部72がホットプレス装置30やコールドプレス装置40に出力する制御指令には、圧縮成形条件が含まれる。ホットプレス装置30の圧縮成形条件としては、例えば、載置部32の目標温度、プレス体33の目標温度、プレス圧、プレス時間等があげられる。また、コールドプレス装置40の圧縮成形条件としては、例えば、冷却機構44がヒートシンク構造を採る場合にはプレス圧、プレス時間等があげられ、冷却機構44が冷却水の循環構造を採る場合には、プレス圧、プレス時間の他に、載置部32の目標温度、プレス体33の目標温度を含んでよい。
【0069】
特徴量処理部80は、測定装置60により成形物を測定し、測定情報から成形物の特徴量を抽出し、抽出した成形物の特徴量を評価するフレームワークである。特徴量処理部80は、成形物測定制御部81と、特徴量抽出部82と、特徴量評価部83とを含む。
【0070】
成形物測定制御部81は、測定装置60であるカメラ61により成形物を撮像し、その撮像情報(測定情報)を取得する。
図6に示すように、カメラ61は、ロボット20のエンドエフェクタ25に取り付けられている。例えば、成形物測定制御部81(またはロボット制御部71)は、ロボット20の動作を制御して、型抜き用搬送台19に載置された成形物Pに対向するように、カメラ61を適宜の位置に移動させる。なお、カメラ61(または図示しない照明装置)は、成形物の特徴量の認識精度を高めるため、成形物の撮像時に成形物に対して適宜の照明を照射してもよい。あるいは、成形条件提案システム3は、ロボット20とは別に、成形物の特徴量に関わる情報(また特徴量自体)を測定する図示しない測定装置(カメラ等)を測定位置に備え、圧縮成形された成形物を測定位置に搬送して測定する構成でもよい。
【0071】
カメラ61は、
図7(A)および
図7(B)に示すような成形物の撮像情報を撮像し、情報処理装置50にこの撮像情報を送信する。なお、
図7(A)では、正円に近い(円形度が高い)状態に圧縮成形された成形物P1の撮像情報CI1を例示している。また、
図7(B)では、円形が崩れた(円形度が低い)状態に圧縮成形された成形物P2の撮像情報CI2を例示している。
【0072】
特徴量抽出部82は、成形物測定制御部81によりカメラ61の撮像情報を取得すると、撮像情報に対して適宜の画像処理を施して成形物を認識し、その特徴量を抽出する。この画像処理の方法は、特に限定されず、周知の方法を採用し得る。例えば、画像処理は、撮像情報の枠の認識、マスク処理(枠の外側の除去)、HSVカラー変換処理、二値化処理およびモルフォロジー処理(ノイズ除去および穴埋め)を、この順に行うことがあげられる。特徴量抽出部82は、このような画像処理により二値化した成形物の画像を生成することで、成形物の画像を精度よく抽出できる。
【0073】
そして、特徴量抽出部82は、画像処理によって認識された成形物から、厚み、面積、円形度を含む形状等の特徴量を抽出する。例えば、特徴量抽出部82は、予め計量されたポリマーの重量、抽出した形状や面積に基づき、成形物の厚みを算出することができる。あるいは、成形物の厚みは、成形物に対して傾斜した位置から撮像を行い、その撮像情報および傾斜角等を用いて算出してもよい。
【0074】
特徴量評価部83は、成形物の特徴量の評価するための評価関数を予め保有しており、評価関数を用いてプレスされた成形物の特徴量(成形物の厚み、面積、円形度等)を評価する。この評価において、特徴量評価部83は、プレス時の圧縮成形条件のパラメータを合わせて評価してもよい。以下では、成形物の厚みおよび/またはプレス時間を評価する第1例の評価関数~第3例の評価関数について、幾つかあげて説明する。
【0075】
第1例の評価関数は、成形物の厚みを単純に評価する、つまり成形物が薄いと高評価となる関数である。具体的には、成形物の厚みをtとした場合に、以下の式(1)により評価値(評価結果)yを算出する。評価値yは、値が大きい程(1に近い程)、高い評価となる。
【0076】
〔第1例の評価関数〕
y=1-t …(1)
【0077】
第2例の評価関数は、厚み制約を満たした成形物に対しプレス時間を評価する、つまり厚み制約を満たしプレス時間が短い場合に高評価となる関数である。具体的には、成形物の厚みをt、厚み閾値をtthre、時間重みをWT、予熱時間をTpre、プレス時間をTpress、加熱時間の合計をTmaxとした場合に、以下の式(2)、(3)により評価値yを算出する。この評価値yも、値が大きい程(1に近い程)、高い評価となる。
【0078】
〔第2例の評価関数〕
y=0 [t>tthreの場合]…(2)
y=1-WT(Tpre+Tpress)/Tmax [t≦tthreの場合]…(3)
【0079】
第3例の評価関数は、厚み制約を満たした成形物に対し成形物の厚みおよびプレスの時間を評価する、つまり厚み制約を満たしプレスが短時間かつ成形物の厚みが薄いと高評価となる関数である。具体的には、成形物の厚みをt、厚み閾値をtthre、時間重みをWT、予熱時間をTpre、プレス時間をTpress、加熱時間の合計をTmax、厚み重みをWtとした場合に、以下の式(4)、(5)により評価値yを算出する。この評価値yも、値が大きい程(1に近い程)、高い評価となる。
【0080】
〔第3例の評価関数〕
y=0 [t>tthreの場合]…(4)
y=1-WT(Tpre+Tpress)/Tmax-Wtt/tthre [t≦tthreの場合]…(5)
ただし、Wt+WT=1が成立するものとする。
【0081】
図8(A)は、ホットプレス装置30の予熱時間およびプレス時間を変動させた場合における、第1例の評価関数の評価値を示す表である。
図8(B)は、ホットプレス装置30の予熱時間およびプレス時間を変動させた場合における、第2例の評価関数の評価値を示す表である。
図8(C)は、ホットプレス装置30の予熱時間およびプレス時間を変動させた場合における、第3例の評価関数の評価値を示す表である。
【0082】
図8(A)に示すように、第1例の評価関数では、予熱時間が300秒でプレス時間が400秒の場合に、最も高い評価値となっている。言い換えれば、成形物のプレスにおいては、時間をかければ成形物の厚みが薄くなる傾向にある。ただし、作業効率の面では、時間がかかることになる。
【0083】
また、
図8(B)に示すように、第2例の評価関数では、予熱時間が0秒でプレス時間が200秒の場合に、最も高い評価値となっている。なお、
図8(B)中において、予熱時間が0秒または100秒でプレス時間が100秒の場合に評価値が低いのは、成形物の厚みtが厚み閾値t
threより大きいためである。
【0084】
さらに、
図8(C)に示すように、第3例の評価関数では、予熱時間が0秒でプレス時間が200秒の場合に、やはり最も高い評価値となっている。このように、第3例の評価関数では、成形物の厚みtが厚み閾値t
thre以下であれば、時間(予熱時間、プレス時間)が短いところが、評価値が高くなることを示している。
【0085】
特徴量評価部83は、例えば、第3例の評価関数を用いて、成形物の厚みおよびプレス時間を評価することで、所定以上薄い成形物であり、かつ作業時間が短い圧縮成形条件のパラメータを算出することができる。なお、
図8(A)~
図8(C)は、ホットプレス装置30の圧縮成形条件のパラメータである予熱時間、プレス時間を例として、評価関数の例を説明したものであり、他の圧縮成形条件やコールドプレス装置40の圧縮成形条件についても同様に、評価関数を評価することができる。
【0086】
図5に戻り、最適化処理部90は、特徴量処理部80により評価した成形物の特徴量および圧縮成形条件のパラメータに基づき、最適化した圧縮成形条件を探索するフレームワークである。実施形態における最適化処理部90の最適化処理では、機械学習であるベイズ最適化処理を実行する。具体的には、最適化処理部90は、データセット部91およびベイズ最適化部92を内部に有する。
【0087】
データセット部91は、圧縮成形条件の関数を探索するためのサンプルを読み出してベイズ最適化部92に出力する。例えば、データセット部91は、特徴量処理部80により算出された成形物の特徴量の評価値と、その評価値に紐づいた圧縮成形条件のパラメータとを含むサンプルを複数種類(3種類以上)読み出す。なお、4種類以上のサンプルがメモリ52に記憶されている場合、データセット部91は、所定数(3種類以上)のサンプルをランダムサンプリングで読み出してもよい。
【0088】
ベイズ最適化部92は、例えば、成形物を3回作成することにより3種類以上のサンプルが使用可能となった段階で、これらのサンプルを用いてベイズ最適化処理を実行する。一例として、ベイズ最適化処理では、上記した第3例の評価関数、特徴量の評価結果、圧縮成形条件のパラメータを入力として、獲得関数を算出していく。この場合例えば、ベイズ最適化部92は、ベイズ最適化処理において以下の(a)(b)のルールを設定する。
(a)先に行ったサンプル番号の獲得関数が大きい場合に、次点を選択
(b)獲得関数の値が同じであれば、サンプル番号が低いものを選択
【0089】
最適化処理部90は、プレス自動化システム2により成形物を作成し、当該成形物を評価してサンプルを増やす度に、上記のベイズ最適化処理を繰り返すことで、最適化した圧縮成形条件を探索できる。ベイズ最適化処理を繰り返す回数は、成形物の特徴量および圧縮成形条件のパラメータの数にもよるが、例えば、成形物の厚みおよびプレス時間の評価関数を用いる場合には10回以下に抑えることができる。勿論、最適化処理部90は、繰り返す回数を増やすことで、より精度の高い圧縮成形条件を得ることができる。
【0090】
また、管理部100は、プレス自動化システム2および成形条件提案システム3の各動作を制御することで、成形物の作成と、成形物の特徴量の評価、および圧縮成形条件の探索(圧縮成形条件の最適化)とを繰り返して行う。この際、管理部100は、成形条件提案システム3により得られた評価結果および圧縮成形条件を、作業者の操作によらずに自動的に記憶して、次のプレス自動化システム2の圧縮成形条件に反映する。すなわち、管理部100は、プレス自動化システム2と成形条件提案システム3の圧縮成形条件のパラメータのライブラリを連携させる。これにより、試料評価システム1は、作業者の操作の介入なしに、圧縮成形条件に基づくプレス自動化システム2による成形物の作成、成形条件提案システム3による成形物の特徴量の評価、圧縮成形条件の最適化を繰り返して、適切な圧縮成形条件を得ることができる。
【0091】
本実施形態に係る成形条件提案システム3(試料評価システム1)は、基本的には、以上のように構成されるものであり、以下その動作(成形条件提案方法)について
図9を参照しながら説明する。
図9は、圧縮成形条件を提供する処理フローを示すフローチャートである。
【0092】
試料評価システム1の情報処理装置50は、試料であるポリマーをプレス(圧縮成形)することで、ポリマーを評価する。この際、情報処理装置50は、
図9に示すステップS101~ステップS107を順に制御することで、適宜の圧縮成形条件でポリマーをプレスして成形物を作成していく。
【0093】
情報処理装置50は、成形条件提案方法において、まず予め設定された圧縮成形条件に基づきポリマーのプレスを行うことで、成形物を作成する(ステップS101)。すなわち、管理部100は、プレス制御部70の制御下にプレス自動化システム2(ロボット20、ホットプレス装置30およびコールドプレス装置40)を動作させる。プレス自動化システム2による成形物の作成では、上記した各工程を行う。そして、ホットプレス装置30およびコールドプレス装置40は、プレス制御部70から受信した制御指令(圧縮成形条件)に応じてポリマーをプレスする。これにより、圧縮成形条件に応じた成形物が作成される。
【0094】
この成形物の作成後に、情報処理装置50の特徴量処理部80は、測定装置60(カメラ61)によりプレスされた成形物を測定し、成形物の測定情報(撮像情報)を取得する(ステップS102)。成形物測定制御部81は、例えば、ロボット20を制御して成形物に正対する位置にカメラ61を配置して、成形物の撮像情報を取得する。
【0095】
そして、特徴量抽出部82は、取得した撮像情報に対して適宜の画像処理を施すことで、成形物の特徴量を抽出する(ステップS103)。以下では、成形物の特徴量として成形物の厚みを用いる場合について説明する。
【0096】
特徴量評価部83は、予め保有する評価関数を用いて、抽出した成形物の特徴量、および成形物を作成した際の圧縮成形条件を評価して、そのサンプルをメモリ52に蓄積する(ステップS104)。例えば上記したように、第3例の評価関数を用いて成形物の厚みと、プレス時間とを評価し、その評価結果である評価値および圧縮成形条件を紐づけたサンプルについてメモリ52に記憶する。
【0097】
その後、情報処理装置50は、ポリマーのプレス(圧縮成形)を終了するか否かを判定する(ステップS105)。例えば、情報処理装置50は、プレスにより成形物を作成する目標回数を予め設定しており、現在の成形物の作成回数が目標回数に達したか否かを判定する。そして、作成回数が目標回数に達した場合(ステップS105:YES)には、今回の成形条件提案方法を終了する。一方、作成回数が目標回数に達しておらずポリマーのプレスを継続する場合(ステップS105:NO)には、ステップS106に進む。なお、ポリマーのプレスの終了の判定方法は、特に限定されず、例えば、作業者の操作指令に基づき終了してもよい。
【0098】
そして、ステップS106において、情報処理装置50の最適化処理部90は、蓄積した適宜のサンプルを用いて最適化処理(ベイズ最適化処理)を行い、圧縮成形条件を算出する(ステップS106)。これにより、成形条件提案システム3は、使用したサンプルに基づき最適化した圧縮成形条件をプレス自動化システム2に提供することができる。
【0099】
管理部100は、この最適化処理部90が算出(探索)した圧縮成形条件を、次のプレス自動化システム2の圧縮成形条件にセットする(ステップS107)。そして、管理部100は、ステップS101に戻り、プレス制御部70の制御下にプレス自動化システム2による成形物の作成を再び行う。情報処理装置50は、以上の処理フローを適宜の回数繰り返すことで、ポリマーに最適な圧縮成形条件を効率的に得ることができる。
【0100】
なお、本開示の成形条件提案システム3および成形条件提案方法は、上記の実施形態に限定されず種々の変形例をとり得る。例えば、上記の実施形態では、成形物の特徴量として成形物の厚みを評価した。しかしながら、成形物の特徴量は、成形物の厚みに限らず、撮像情報から抽出できる成形物の面積や円形度でもよい。すなわち、特徴量評価部83は、成形物の円形度を評価する評価関数や成形物の面積を評価する評価関数を備え、成形物の円形度の評価値、成形物の面積の評価値を得る構成でもよい。また、最適化処理部90も、成形物の円形度の評価値や成形物の面積の評価値のサンプルを用いて最適化処理を実施してよい。
【0101】
また例えば、成形条件提案システム3は、成形物の複数の特徴量を組み合わせた評価関数を用いて評価を行い、この評価結果に基づき最適化処理を行ってもよい。複数の特徴量の評価では、各特徴量について適宜重み付けすることで、ユーザが優先する特徴量を設定できる。同様に、成形条件提案システム3は、圧縮成形条件の複数のパラメータを組み合わせた評価関数を用いて評価を行い、この評価結果に基づき最適化処理を行ってもよい。複数のパラメータの評価では、各パラメータについて適宜重み付けすることで、ユーザが優先するパラメータを設定できる。さらに、成形条件提案システム3は、成形物の複数の特徴量および圧縮成形条件の複数のパラメータを組み合わせた評価関数を用いて評価を行い、この評価結果に基づき最適化処理を行ってもよい。
【0102】
また、上記の実施形態に係る成形条件提案システム3は、圧縮成形条件を探索する最適化処理としてベイズ最適化処理を行う構成とした。しかしながら、最適化処理は、ベイズ最適化処理に限定されず、強化学習等の他の機械学習手法を採ってもよい。例えば、他の最適化処理としては、最急降下法、ニュートン法、準ニュートン法、ペナルティ関数法、拡張ラグランジュ関数法、内点法、逐次2次計画法等があげられる。
【0103】
さらに、上記の実施形態に係る成形条件提案システム3は、成形物の特徴量に関わる情報の取得において、カメラ61により撮像情報を撮像する構成とした。しかしながら、成形物の特徴量は、この他にも、色合いや表面の凹凸、融点、ガラス転位温度等であってもよく、各特徴量の取得のために適宜の機器を選択してよい。
【0104】
例えば、成形条件提案システム3は、測定装置60として成形物の色合いを測定可能な測色計を適用できる。この場合、測色計は、成形物の特徴量に関わる情報として成形物の白色度合の情報またはRGBの情報等を測定する。情報処理装置50は、取得した白色度合および/またはRGBを評価する評価関数を用いて評価値を算出し、この評価結果のサンプルに基づき最適化処理を行うことで圧縮成形条件を探索できる。
【0105】
また例えば、成形条件提案システム3は、測定装置60として成形物の表面の凹凸を測定可能なレーザ変位計を適用できる。情報処理装置50は、取得した表面の凹凸を評価する評価関数を用いて評価値を算出し、この評価結果のサンプルに基づき最適化処理を行うことで圧縮成形条件を探索できる。
【0106】
以上に開示された実施形態は、例えば、以下の態様および効果を有する。
【0107】
[付記1]
設定された圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された成形物の特徴量に関わる情報を取得する成形物情報取得部と、
前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部と、
前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部と、を備える、
成形条件提案システム。
【0108】
[付記1の効果]
上記の成形条件提案システムによれば、圧縮成形された成形物の特徴量を用いて、圧縮成形条件を最適化することができる。これにより、作業者が成形物の特徴量を測定して圧縮成形条件を設定する作業負荷を抑制でき、しかも成形条件提案システムは、圧縮成形条件を効率的に設定できる。例えば、成形物の特徴量(厚み等)に基づき作業者が経験的に圧縮成形条件を設定した場合と比べて、成形条件提案システムは、より最適な圧縮成形条件を提供できるため、圧縮成形による成形物の作成と、成形物の特徴量の評価とを繰り返す回数を低減できる。その結果、圧縮成形条件の探索を大幅に短縮できる。
【0109】
[付記2]
前記成形物の特徴量は、前記成形物の厚み、面積、円形度のうち少なくとも1つである、
付記1に記載の成形条件提案システム。
【0110】
[付記2の効果]
成形物の特徴量として厚み、面積、円形度のうち少なくとも1つを用いることで、成形条件提案システムは、成形物の特徴量を簡単に取得して、最適な圧縮成形条件を設定できる。
【0111】
[付記3]
前記成形物情報取得部は、前記成形物を撮像して、前記成形物の特徴量に関わる情報として撮像情報を生成するカメラであり、
前記特徴量処理部は、前記撮像情報に含まれる前記成形物の画像から当該成形物の特徴量を抽出する、
付記2に記載の成形条件提案システム。
【0112】
[付記3の効果]
このようにカメラを適用することで、成形条件提案システムは、成形物の特徴量をよりスムーズに取得することができる。
【0113】
[付記4]
前記特徴量処理部は、前記撮像情報に対して画像処理を施すことで二値化した前記成形物の画像を生成する、
付記3に記載の成形条件提案システム。
【0114】
[付記4の効果]
これにより、成形条件提案システムは、一層精度よく成形物の特徴量を取得することができる。
【0115】
[付記5]
前記特徴量処理部は、前記成形物の厚みと前記成形物を圧縮成形するプレス時間とを変数とした評価関数を用いて前記成形物の特徴量を評価する、
付記2乃至4のいずれか1項に記載の成形条件提案システム。
【0116】
[付記5の効果]
これにより、成形条件提案システムは、成形物の厚みとプレス時間の評価結果に応じた圧縮成形条件を良好に取得できる。
【0117】
[付記6]
前記成形物の特徴量は、前記成形物の色合いであり、
前記成形物情報取得部は、前記成形物の色を測定する測色計である、
付記1乃至5のいずれか1項に記載の成形条件提案システム。
【0118】
[付記6の効果]
このように成形物の特徴量として成形物の色合いを用いることでも、成形条件提案システムは、適切な圧縮成形条件を得ることができる。
【0119】
[付記7]
前記成形物の特徴量は、前記成形物の表面の凹凸であり、
前記成形物情報取得部は、所定の位置から前記成形物の表面までの距離を計測する変位計である、
付記1乃至6のいずれか1項に記載の成形条件提案システム。
【0120】
[付記7の効果]
このように成形物の特徴量として成形物の表面の凹凸を用いることでも、成形条件提案システムは、適切な圧縮成形条件を得ることができる。
【0121】
[付記8]
前記最適化処理部は、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけた複数のサンプルを読み出して前記最適化処理を実行し、前記圧縮成形条件を算出する、
付記1乃至7のいずれか1項に記載の成形条件提案システム。
【0122】
[付記8の効果]
このように複数のサンプルを用いて最適化処理を実行することで、成形条件提案システムは、より精度よく圧縮成形条件を得ることができる。
【0123】
[付記9]
設定された圧縮成形条件に基づいて試料を自動的にプレスして成形物を作成するプレス自動化システムと、
前記プレス自動化システムに前記圧縮成形条件を提案する成形条件提案システムと、を備える試料評価システムであって、
前記成形条件提案システムは、
前記圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された前記成形物の特徴量に関わる情報を取得する成形物情報取得部と、
前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部と、
前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部と、を備える、
試料評価システム。
【0124】
[付記9の効果]
上記によれば、試料評価システムは、成形条件提案システムにおいて圧縮成形により成形物を成形する際の成形条件を効率的に設定でき、プレス自動化システムにおける試料の圧縮成形をスムーズに行うことができる。
【0125】
[付記10]
設定された圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された成形物の特徴量に関わる情報を成形物情報取得部により取得させ、前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部、
および前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部、としてコンピュータを機能させる、
プログラム。
【0126】
[付記10の効果]
上記によれば、プログラムは、圧縮成形により成形物を成形する際の成形条件を効率的に設定できる。
【0127】
今回開示された実施形態に係る成形条件提案システム3、試料評価システム1、およびプログラムProは、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。例えば、成形条件提案システム3は、試料評価システム1の圧縮成形条件を提案するものに限らず、プレスを行って目標の成形物を製造する装置の圧縮成形条件を提案する構成でもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 試料評価システム
3 成形条件提案システム
50 情報処理装置
60 測定装置
61 カメラ
80 特徴量処理部
90 最適化処理部
Pro プログラム
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された成形物の特徴量に関わる情報を取得する成形物情報取得部と、
前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部と、
前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部と、を備え、
圧縮成形による前記成形物の成形を複数回繰り返して、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけたサンプルについて当該複数回の圧縮成形毎に蓄積し、
前記最適化処理部は、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけた複数の前記サンプルを読み出して前記最適化処理を実行し、前記圧縮成形条件を算出する、
成形条件提案システム。
【請求項2】
前記成形物の特徴量は、前記成形物の厚み、面積、円形度のうち少なくとも1つである、
請求項1に記載の成形条件提案システム。
【請求項3】
前記成形物情報取得部は、前記成形物を撮像して、前記成形物の特徴量に関わる情報として撮像情報を生成するカメラであり、
前記特徴量処理部は、前記撮像情報に含まれる前記成形物の画像から当該成形物の特徴量を抽出する、
請求項2に記載の成形条件提案システム。
【請求項4】
前記特徴量処理部は、前記撮像情報に対して画像処理を施すことで二値化した前記成形物の画像を生成する、
請求項3に記載の成形条件提案システム。
【請求項5】
前記特徴量処理部は、前記成形物の厚みと前記成形物を圧縮成形するプレス時間とを変数とした評価関数を用いて前記成形物の特徴量を評価する、
請求項2に記載の成形条件提案システム。
【請求項6】
前記成形物の特徴量は、前記成形物の色合いであり、
前記成形物情報取得部は、前記成形物の色を測定する測色計である、
請求項1に記載の成形条件提案システム。
【請求項7】
前記成形物の特徴量は、前記成形物の表面の凹凸であり、
前記成形物情報取得部は、所定の位置から前記成形物の表面までの距離を計測する変位計である、
請求項1に記載の成形条件提案システム。
【請求項8】
設定された圧縮成形条件に基づいて試料を自動的にプレスして成形物を作成するプレス自動化システムと、
前記プレス自動化システムに前記圧縮成形条件を提案する成形条件提案システムと、を備える試料評価システムであって、
前記成形条件提案システムは、
前記圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された前記成形物の特徴量に関わる情報を取得する成形物情報取得部と、
前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部と、
前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部と、を備え、
圧縮成形による前記成形物の成形を複数回繰り返して、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけたサンプルについて当該複数回の圧縮成形毎に蓄積し、
前記最適化処理部は、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけた複数の前記サンプルを読み出して前記最適化処理を実行し、前記圧縮成形条件を算出する、
試料評価システム。
【請求項9】
設定された圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された成形物の特徴量に関わる情報を成形物情報取得部により取得させ、前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部、
および前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部、としてコンピュータを機能させ、
圧縮成形による前記成形物の成形を複数回繰り返して、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけたサンプルについて当該複数回の圧縮成形毎に蓄積し、
前記最適化処理部は、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけた複数の前記サンプルを読み出して前記最適化処理を実行し、前記圧縮成形条件を算出する、
プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された圧縮成形条件に基づいて試料を圧縮成形した成形物の特徴量に関わる情報を取得する成形物情報取得部と、
前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部と、
前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部と、を備え、
圧縮成形による前記成形物の成形を複数回繰り返して、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけたサンプルについて当該複数回の圧縮成形毎に蓄積し、
前記最適化処理部は、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけた複数の前記サンプルを読み出して前記最適化処理を実行し、前記成形物の特徴量に関わる情報を取得した前記試料の前記圧縮成形条件を算出する、
成形条件提案システム。
【請求項2】
前記成形物の特徴量は、前記成形物の厚み、面積、円形度のうち少なくとも1つである、
請求項1に記載の成形条件提案システム。
【請求項3】
前記成形物情報取得部は、前記成形物を撮像して、前記成形物の特徴量に関わる情報として撮像情報を生成するカメラであり、
前記特徴量処理部は、前記撮像情報に含まれる前記成形物の画像から当該成形物の特徴量を抽出する、
請求項2に記載の成形条件提案システム。
【請求項4】
前記特徴量処理部は、前記撮像情報に対して画像処理を施すことで二値化した前記成形物の画像を生成する、
請求項3に記載の成形条件提案システム。
【請求項5】
前記特徴量処理部は、前記成形物の厚みと前記成形物を圧縮成形するプレス時間とを変数とした評価関数を用いて前記成形物の特徴量を評価する、
請求項2に記載の成形条件提案システム。
【請求項6】
前記成形物の特徴量は、前記成形物の色合いであり、
前記成形物情報取得部は、前記成形物の色を測定する測色計である、
請求項1に記載の成形条件提案システム。
【請求項7】
前記成形物の特徴量は、前記成形物の表面の凹凸であり、
前記成形物情報取得部は、所定の位置から前記成形物の表面までの距離を計測する変位計である、
請求項1に記載の成形条件提案システム。
【請求項8】
設定された圧縮成形条件に基づいて試料を自動的にプレスして成形物を作成するプレス自動化システムと、
前記プレス自動化システムに前記圧縮成形条件を提案する成形条件提案システムと、を備える試料評価システムであって、
前記成形条件提案システムは、
前記圧縮成形条件に基づいて圧縮成形された前記成形物の特徴量に関わる情報を取得する成形物情報取得部と、
前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部と、
前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部と、を備え、
圧縮成形による前記成形物の成形を複数回繰り返して、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけたサンプルについて当該複数回の圧縮成形毎に蓄積し、
前記最適化処理部は、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけた複数の前記サンプルを読み出して前記最適化処理を実行し、前記成形物の特徴量に関わる情報を取得した前記試料の前記圧縮成形条件を算出する、
試料評価システム。
【請求項9】
設定された圧縮成形条件に基づいて試料を圧縮成形した成形物の特徴量に関わる情報を成形物情報取得部により取得させ、前記成形物情報取得部が取得した前記成形物の特徴量に関わる情報に基づき、前記成形物の特徴量を評価するように構成された特徴量処理部、
および前記特徴量処理部が評価した評価結果と、設定された前記圧縮成形条件とに基づき最適化処理を行い、最適化した圧縮成形条件を提供するように構成された最適化処理部、としてコンピュータを機能させ、
圧縮成形による前記成形物の成形を複数回繰り返して、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけたサンプルについて当該複数回の圧縮成形毎に蓄積し、
前記最適化処理部は、前記特徴量処理部の評価結果および前記圧縮成形条件を紐づけた複数の前記サンプルを読み出して前記最適化処理を実行し、前記成形物の特徴量に関わる情報を取得した前記試料の前記圧縮成形条件を算出する、
プログラム。