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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162167
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G05F1/56 320C
G05F1/56 320A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077463
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉田 和亮
(72)【発明者】
【氏名】松尾 裕介
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB05
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE01
5H430LA06
5H430LA24
5H430LB03
(57)【要約】
【課題】動作の履歴をコントローラを用いず簡易に且つ不揮発に記憶する。
【解決手段】半導体装置は、N個の電子ヒューズを含む記憶回路と、切断制御回路と、を備える。記憶回路は、第1の電子ヒューズが溶断していない状態において、第1端子に第1電圧が印加された場合に、第1の電子ヒューズに閾値以上の電流を流し、第nの電子ヒューズ(nは、2以上、N以下の整数)が溶断していない状態において、第1端子に第1電圧が印加された場合に、第nの電子ヒューズに閾値以上の電流を流す。切断制御回路は、切断指示信号を受け取った場合に、第1端子に第1電圧を印加し、第(n-1)の電子ヒューズが溶断した後、第nの電子ヒューズが溶断する前に、第1端子への第1電圧の印加を停止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個(Nは、2以上の整数)の電子ヒューズを含む記憶回路と、
切断制御回路と、
を備え、
前記N個の電子ヒューズのそれぞれは、流れる電流が閾値以上の場合に溶断し、
前記記憶回路は、
前記N個の電子ヒューズのうちの第1の電子ヒューズが溶断していない状態において、第1端子に第1電圧が印加された場合に、前記第1の電子ヒューズに前記閾値以上の電流を流し、
前記N個の電子ヒューズのうちの第nの電子ヒューズ(nは、2以上、N以下の整数)が溶断しておらず、且つ、前記N個の電子ヒューズのうちの第1から第(n-1)までの電子ヒューズの全てが溶断している状態において、前記第1端子に前記第1電圧が印加された場合に、前記第nの電子ヒューズに前記閾値以上の電流を流し、
前記切断制御回路は、切断指示信号を受け取った場合に、前記第1端子に前記第1電圧を印加し、前記N個の電子ヒューズのうちの第(n-1)の電子ヒューズが溶断した後、前記第nの電子ヒューズが溶断する前に、前記第1端子への前記第1電圧の印加を停止する
半導体装置。
【請求項2】
電子回路と、
前記電子回路に予め定められた異常が発生したことを検出する検出回路と、
をさらに備え、
前記検出回路は、前記異常を検出する毎に、前記切断指示信号を前記切断制御回路に供給する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
電子回路と、
前記電子回路が起動したことを検出する検出回路と、
をさらに備え、
前記検出回路は、前記電子回路が起動する毎に、前記切断指示信号を前記切断制御回路に供給する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
電子回路と、
トリガ信号を受信するトリガ受信回路と、
をさらに備え、
前記トリガ受信回路は、前記トリガ信号を受信する毎に、前記切断指示信号を前記切断制御回路に供給する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
出力停止回路をさらに備え、
前記電子回路は、負荷へ供給する出力電圧を発生する電圧レギュレータ回路であり、
前記出力停止回路は、前記N個の電子ヒューズのうちの第Nの電子ヒューズが溶断した場合、前記電圧レギュレータ回路から前記負荷への前記出力電圧の供給を停止させる
請求項2から4の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記N個の電子ヒューズのうちの第Nの電子ヒューズが溶断した場合、外部装置へ異常を表す信号を通知する異常通知回路をさらに備える
請求項2から4の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
入力停止回路をさらに備え、
前記電子回路は、負荷に供給される出力電圧を発生する電圧レギュレータ回路であり、
前記入力停止回路は、前記N個の電子ヒューズのうちの第Nの電子ヒューズが溶断した場合、前記電圧レギュレータ回路への電圧の供給を停止させる
請求項2から4の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
定電流源と、
参照トランジスタと、
N個の溶断トランジスタと、
(N-1)個の抵抗と、
(N-1)個の連結トランジスタと、
をさらに備え、
前記参照トランジスタは、制御端子が正端子または負端子に接続され、
前記参照トランジスタにおける正端子および負端子と、前記定電流源とは、前記第1端子とグランド端子との間に直列に接続され、
前記定電流源は、前記第1端子に前記第1電圧が印加された場合に、前記参照トランジスタに第1電流を流し、
前記N個の溶断トランジスタのうちの第1の溶断トランジスタにおける正端子および負端子と、前記第1の電子ヒューズとは、前記第1端子と前記グランド端子との間に直列に接続され、
前記N個の溶断トランジスタのうちの第nの溶断トランジスタにおける正端子および負端子と、前記第nの電子ヒューズとは、前記第1端子と前記グランド端子との間に直列に接続され、
前記第1の溶断トランジスタは、前記参照トランジスタに前記第1電流が流れる場合に、制御端子を介して電圧が印加されることにより正端子と負端子との間に前記閾値以上の電流を流し、
前記第nの溶断トランジスタは、前記(N-1)個の抵抗のうちの第(n-1)の抵抗に電流が流れる場合、制御端子に前記第(n-1)の抵抗を介して電圧が印加されることにより正端子と負端子との間に前記閾値以上の電流を流し、
前記(N-1)個の連結トランジスタのうちの第(n-1)の連結トランジスタは、前記第(n-1)の電子ヒューズが溶断していない場合には、前記(N-1)個の抵抗のうちの第(n-1)の抵抗に流れる電流を0とし、前記第(n-1)の電子ヒューズが溶断している場合には、前記N個の溶断トランジスタのうちの第(n-1)の溶断トランジスタに流れる電流を前記第(n-1)の抵抗に流す
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記切断制御回路は、
第1バイアス抵抗と、
第1値または第2値を保持し、前記第1値を保持している状態においてリセットパルスが与えられた場合、保持する値を前記第2値に変化させ、前記第2値を保持している状態においてセットパルスが与えられた場合、保持する値を前記第1値に変化させるSRラッチ回路と、
前記SRラッチ回路が前記第2値を保持している場合、電源電圧を前記第1バイアス抵抗を介して前記第1端子に印加し、前記SRラッチ回路が前記第1値を保持している場合、前記第1端子への前記電源電圧の印加を停止する電圧印加回路と、
を含み、
前記電圧印加回路は、
前記切断指示信号を受け取った場合、前記リセットパルスを前記SRラッチ回路に与え、
前記電源電圧を前記第1バイアス抵抗を介して前記第1端子に印加している状態において、前記第1端子の電圧が上昇した場合、前記SRラッチ回路に前記セットパルスを与える
請求項8に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置に異常が発生した回数または装置の動作回数等を記憶するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。このようなシステムは、記憶している回数に基づき故障の原因等を解析することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-213395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、このようなシステムは、マイクロコントローラが異常または動作回数を検出し、検出した回数をメモリ装置に記憶させる。このため、従来のシステムは、マイクロコントローラを搭載していない半導体装置等に適用することができなかった。また、従来のシステムは、過電圧等によりメモリ装置が故障した場合、記憶した回数を読み出すことができず解析をすることができなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、動作の履歴をコントローラを用いず簡易に且つ不揮発に記憶することができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、N個(Nは、2以上の整数)の電子ヒューズを含む記憶回路と、切断制御回路と、を備える。前記N個の電子ヒューズのそれぞれは、流れる電流が閾値以上の場合に溶断する。前記記憶回路は、前記N個の電子ヒューズのうちの第1の電子ヒューズが溶断していない状態において、第1端子に第1電圧が印加された場合に、前記第1の電子ヒューズに前記閾値以上の電流を流し、前記N個の電子ヒューズのうちの第nの電子ヒューズ(nは、2以上、N以下の整数)が溶断しておらず、且つ、前記N個の電子ヒューズのうちの第1から第(n-1)までの電子ヒューズの全てが溶断している状態において、前記第1端子に前記第1電圧が印加された場合に、前記第nの電子ヒューズに前記閾値以上の電流を流す。前記切断制御回路は、切断指示信号を受け取った場合に、前記第1端子に前記第1電圧を印加し、前記N個の電子ヒューズのうちの第(n-1)の電子ヒューズが溶断した後、前記第nの電子ヒューズが溶断する前に、前記第1端子への前記第1電圧の印加を停止する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動作の履歴をコントローラを用いず簡易に且つ不揮発に記憶することができる半導体装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る記憶回路の構成を示す図である。
図3図3は、記憶回路の動作の順序を示す図である。
図4図4は、切断制御回路の構成を記憶回路とともに示す図である。
図5図5は、切断制御回路の動作の順序を示す図である。
図6図6は、第2実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
図7図7は、第3実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
図8図8は、第4実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
図9図9は、第5実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
図10図10は、第6実施形態に係る記憶回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置10の構成を、直流電源110および負荷120とともに示す図である。
【0010】
第1実施形態に係る半導体装置10は、電子回路20と、検出回路30と、記憶回路32と、切断制御回路34とを備える。
【0011】
電子回路20は、例えば電圧レギュレータ回路である。電圧レギュレータ回路である電子回路20は、直流電源110から直流入力電圧Vinを受け取り、安定化した直流出力電圧Voutを発生して負荷120に供給する。なお、電子回路20は、電圧レギュレータ回路に限らず、どのような回路であってもよい。
【0012】
検出回路30は、電子回路20に予め定められた異常が発生したことを検出する。例えば、検出回路30は、所定温度以上発熱したこと、所定値以上の電流が流れたこと、または、所定値以上の電圧が印加されたこと等を異常として検出する。検出回路30は、電子回路20に予め定められた異常が発生した場合、切断指示信号を切断制御回路34に与える。
【0013】
検出回路30は、電子回路20が起動したことを検出してもよい。この場合、検出回路30は、電子回路20が起動する毎に、切断指示信号を切断制御回路34に供給する。また、検出回路30は、電子回路20が予め定められた動作をしたことを検出してもよい。この場合、検出回路30は、電子回路20が予め定められた動作をする毎に、切断指示信号を切断制御回路34に供給する。
【0014】
記憶回路32は、N個の電子ヒューズ40を含む。Nは、2以上の整数である。記憶回路32は、N個の電子ヒューズ40として、第1の電子ヒューズ40-1から、第Nの電子ヒューズ40-Nを含む。
【0015】
N個の電子ヒューズ40のそれぞれは、半導体基板に半導体プロセスによって製造されるヒューズである。N個の電子ヒューズ40のそれぞれは、2端子の素子であって、流れる電流が閾値以上の場合に溶断する。すなわち、N個の電子ヒューズ40のそれぞれは、流れる電流が閾値未満の場合には、2端子間の抵抗値がほぼ0の素子であり、流れる電流が閾値以上となった後には、2端子間を電気的に切断する。なお、N個の電子ヒューズ40のそれぞれは、閾値以上の電流が所定時間流れ続けた場合に、溶断する構成であってもよい。すなわち、N個の電子ヒューズ40のそれぞれは、流れる電流が瞬時的に閾値以上となっても、溶断しない構成であってもよい。
【0016】
記憶回路32は、第1端子36に予め定められた第1電圧が印加される毎に、N個の電子ヒューズ40を1個ずつ順次に溶断する。
【0017】
より具体的には、記憶回路32は、N個の電子ヒューズ40のうちの第1の電子ヒューズ40-1が溶断していない状態において、第1端子36に第1電圧が印加された場合に、第1の電子ヒューズ40-1に閾値以上の電流を流し、N個の電子ヒューズ40のうちの第1の電子ヒューズ40-1以外に閾値以上の電流を流さない。すなわち、記憶回路32は、N個の電子ヒューズ40のうちの第1の電子ヒューズ40-1が溶断していない状態において、第1端子36に第1電圧が印加された場合に、第1の電子ヒューズ40-1のみを溶断する。
【0018】
また、記憶回路32は、N個の電子ヒューズ40のうちの第nの電子ヒューズ40-nが溶断しておらず(nは、2以上、N以下の整数)、且つ、N個の電子ヒューズ40のうちの第1から第(n-1)までの電子ヒューズ40-1~40-(n-1)が溶断している状態において、第1端子36に第1電圧が印加された場合に、第nの電子ヒューズ40-nに閾値以上の電流を流し、N個の電子ヒューズ40のうちの第nの電子ヒューズ40-n以外の電子ヒューズ40に閾値以上の電流を流さない。すなわち、記憶回路32は、第nの電子ヒューズ40-nが溶断しておらず、且つ、第1から第(n-1)までの電子ヒューズ40-1~40-(n-1)が溶断している状態において、第1端子36に第1電圧が印加された場合に、第nの電子ヒューズ40-nのみを溶断する。なお、記憶回路32は、第nの電子ヒューズ40-nに閾値以上の電流が流れたことにより第nの電子ヒューズ40-nが溶断した後、第1端子36に第1電圧が一定時間以上継続して印加され続けた場合、一定時間後において、第(n+1)の電子ヒューズ40-(n+1)を溶断する。
【0019】
切断制御回路34は、検出回路30から切断指示信号を受け取る。切断制御回路34は、切断指示信号を受け取った場合に、記憶回路32の第1端子36に第1電圧を印加し、N個の電子ヒューズのうちの第(n-1)の電子ヒューズ40-(n-1)が溶断した後、第nの電子ヒューズ40-nが溶断する前に、第1端子36への第1電圧の印加を停止する。このような切断制御回路34は、切断指示信号を受け取る毎に、N個の電子ヒューズ40のうちの1個の電子ヒューズ40を溶断させることができる。より詳しくは、このような切断制御回路34は、切断指示信号を受け取る毎に、第1の電子ヒューズ40-1から順次に1個ずつ電子ヒューズ40を溶断させることができる。
【0020】
このような構成の半導体装置10において、N個の電子ヒューズ40のうちの溶断された電子ヒューズ40の個数は、検出回路30により検出された電子回路20に発生した異常の回数、電子回路20が起動した回数、または、電子回路20において所定の動作がされた回数等の動作履歴を表す。半導体基板に形成されたN個の電子ヒューズ40のそれぞれが溶断しているか接続しているかの状態は、例えば、電子顕微鏡または各種の解析装置等を用いて半導体基板を解析することにより検出できる。従って、このような構成の半導体装置10は、電子回路20の動作履歴を不揮発に記憶することができる。
【0021】
図2は、第1実施形態に係る記憶回路32の構成を示す図である。
【0022】
記憶回路32は、N個の電子ヒューズ40と、参照トランジスタ50と、定電流源52と、N個の溶断トランジスタ54と、(N-1)個の抵抗56と、(N-1)個の連結トランジスタ58とを含む。
【0023】
記憶回路32は、N個の電子ヒューズ40として、第1の電子ヒューズ40-1~第Nの電子ヒューズ40-Nを含む。記憶回路32は、N個の溶断トランジスタ54として、第1の溶断トランジスタ54-1~第Nの溶断トランジスタ54-Nを含む。記憶回路32は、(N-1)個の抵抗56として、第1の抵抗56-1~第(N-1)の抵抗56-(N-1)を含む。記憶回路32は、(N-1)個の連結トランジスタ58として、第1の連結トランジスタ58-1~第(N-1)の連結トランジスタ58-(N-1)を含む。
【0024】
なお、参照トランジスタ50は、3端子素子であり、制御端子、正端子および負端子を含む。本実施形態において、参照トランジスタ50は、バイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタは、制御端子がベース端子であり、正端子および負端子がエミッタ端子およびコレクタ端子である。なお、正端子がエミッタ端子である場合、負端子はコレクタ端子である。また、正端子がコレクタ端子である場合、負端子がエミッタ端子である。
【0025】
また、参照トランジスタ50は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電界効果トランジスタであってもよい。電界効果トランジスタは、制御端子がゲート端子であり、正端子および負端子がドレイン端子およびソース端子である。なお、正端子がドレイン端子である場合、負端子はソース端子である。また、正端子がソース端子である場合、負端子がドレイン端子である。なお、他のトランジスタについても、参照トランジスタ50と同様である。
【0026】
参照トランジスタ50は、ダイオード接続される。すなわち、参照トランジスタ50は、バイポーラトランジスタである場合、ベース端子とコレクタ端子とが接続される。また、参照トランジスタ50は、電界効果トランジスタである場合、ゲート端子とドレイン端子とが接続される。
【0027】
定電流源52は、電力が供給された場合、一定の電流を流す。参照トランジスタ50における正端子および負端子と、定電流源52とは、第1端子36とグランド端子との間に直列に接続される。そして、定電流源52は、第1端子36に第1電圧が印加された場合に、ダイオード接続された参照トランジスタ50に予め定められた第1電流を流す。
【0028】
本実施形態において、参照トランジスタ50は、pnp型のバイポーラトランジスタであり、エミッタ端子が第1端子36に接続され、ベース端子とコレクタ端子とが接続される。定電流源52は、正側が参照トランジスタ50のコレクタ端子に接続され、負側がグランド端子に接続される。参照トランジスタ50は、第1端子36に第1電圧が印加された場合、エミッタ端子とコレクタ端子との間に、予め定められた第1電流を流す。
【0029】
N個の溶断トランジスタ54のうちの第1の溶断トランジスタ54-1における正端子および負端子と、第1の電子ヒューズ40-1とは、第1端子36とグランド端子との間に直列に接続される。また、N個の溶断トランジスタ54のうちの第nの溶断トランジスタ54-nにおける正端子および負端子と、第nの電子ヒューズ40-nとは、第1端子36とグランド端子との間に直列に接続される。
【0030】
(N-1)個の抵抗56のうちの第(n-1)の抵抗56-(n-1)は、nが偶数の場合、第nの溶断トランジスタ54-nの制御端子と、グランド端子との間に設けられる。第(n-1)の抵抗56-(n-1)は、nが奇数の場合、第nの溶断トランジスタ54-nの制御端子と、第1端子36との間に設けられる。
【0031】
本実施形態において、N個の溶断トランジスタ54のうちの奇数番目の溶断トランジスタ54-1,54-3,54-5,…は、pnp型のバイポーラトランジスタである。奇数番目の溶断トランジスタ54-1,54-3,54-5,…は、エミッタ端子が第1端子36に接続される。また、N個の電子ヒューズ40のうちの奇数番目の電子ヒューズ40-1,40-3,40-5,…は、対応する奇数番目の溶断トランジスタ54-1,54-3,54-5,…のコレクタ端子と、グランド端子との間に接続される。
【0032】
本実施形態において、N個の溶断トランジスタ54のうちの偶数番目の溶断トランジスタ54-2,54-4,54-6,…は、npn型のバイポーラトランジスタである。偶数番目の溶断トランジスタ54-2,54-4,54-6,…は、エミッタ端子がグランド端子に接続される。また、N個の電子ヒューズ40のうちの隅数番目の電子ヒューズ40-2,40-4,40-6,…は、対応する偶数番目の溶断トランジスタ54-2,54-4,54-6,…のコレクタ端子と、第1端子36との間に接続される。
【0033】
N個の溶断トランジスタ54のうちの第1の溶断トランジスタ54-1は、ダイオード接続された参照トランジスタ50に第1電流が流れる場合に、制御端子を介して電圧が印加され、正端子と負端子との間に閾値以上の電流を流す。これにより、第1の溶断トランジスタ54-1は、参照トランジスタ50に第1電流が流れた場合に、第1の電子ヒューズ40-1を溶断することができる。
【0034】
本実施形態において、第1の溶断トランジスタ54-1は、ベース端子が参照トランジスタ50のベース端子に接続される。これにより、第1の溶断トランジスタ54-1は、参照トランジスタ50とカレントミラー回路を構成し、ダイオード接続された参照トランジスタ50に流れる第1電流に応じた電流を、エミッタ端子とコレクタ端子との間に流すことができる。
【0035】
第nの溶断トランジスタ54-nは、第(n-1)の抵抗56-(n-1)に電流が流れる場合、制御端子に電圧が印加され、正端子と負端子との間に閾値以上の電流を流す。これにより、第nの溶断トランジスタ54-nは、第(n-1)の抵抗56-(n-1)に電流が流れた場合に、第nの電子ヒューズ40-nを溶断することができる。
【0036】
本実施形態において、nが偶数である場合、第nの溶断トランジスタ54-nは、ベース端子が第(n-1)の抵抗56-(n-1)を介してグランド端子に接続される。従って、nが偶数である場合、第nの溶断トランジスタ54-nのベース端子には、第(n-1)の抵抗56-(n-1)の抵抗値と、第(n-1)の抵抗56-(n-1)に流れる電流値とを乗算した電圧値の電圧が印加される。
【0037】
本実施形態において、nが奇数である場合、第nの溶断トランジスタ54-nは、ベース端子が第(n-1)の抵抗56-(n-1)を介して第1端子36に接続される。従って、nが奇数である場合、第nの溶断トランジスタ54-nのベース端子には、第1電圧から、第(n-1)の抵抗56-(n-1)の抵抗値と第(n-1)の抵抗56-(n-1)に流れる電流の電流値とを乗算した電圧値を減算した電圧値の電圧が印加される。
【0038】
このように本実施形態において、第nの溶断トランジスタ54-nは、第(n-1)の抵抗56-(n-1)に電流が流れる場合、ベース端子に電圧が印加され、エミッタ端子とコレクタ端子との間に閾値以上の電流を流す。これにより、本実施形態において、第nの溶断トランジスタ54-nは、第(n-1)の抵抗56-(n-1)に電流が流れた場合に、第nの電子ヒューズ40-nを溶断することができる。
【0039】
(N-1)個の連結トランジスタ58のうちの第(n-1)の連結トランジスタ58(n-1)は、第(n-1)の電子ヒューズ40-(n-1)が溶断していない場合には、第(n-1)の抵抗56-(n-1)に流れる電流を0とする。従って、第nの電子ヒューズ40-nは、第(n-1)の電子ヒューズ40-(n-1)が溶断していない場合には、第(n-1)の抵抗56-(n-1)に電流が流れないので、溶断しない。
【0040】
第(n-1)の連結トランジスタ58(n-1)は、第(n-1)の電子ヒューズ40-(n-1)が溶断している場合には、N個の溶断トランジスタ54のうちの第(n-1)の溶断トランジスタ54-(n-1)に流れる電流を第(n-1)の抵抗56-(n-1)に流す。第nの溶断トランジスタ54-nは、第(n-1)の抵抗56-(n-1)に電流が流れる場合、制御端子に第(n-1)の抵抗56-(n-1)を介して電圧が印加され、正端子と負端子との間に閾値以上の電流を流す。従って、第nの電子ヒューズ40-nは、(n-1)の電子ヒューズ40-(n-1)が溶断している場合には、溶断可能となる。
【0041】
本実施形態において、(N-1)個の連結トランジスタ58のうちの奇数番目の連結トランジスタ58-1,58-3,58-5,…は、pnp型のバイポーラトランジスタである。(N-1)個の連結トランジスタ58のうちの隅数番目の連結トランジスタ58-2,58-4,58-6,…は、npp型のバイポーラトランジスタである。
【0042】
本実施形態において、第(n-1)の連結トランジスタ58(n-1)は、エミッタ端子が第(n-1)の溶断トランジスタ54(n-1)のコレクタ端子に接続される。第(n-1)の連結トランジスタ58(n-1)は、コレクタ端子が第nの溶断トランジスタ54-nのベース端子に接続される。第(n-1)の連結トランジスタ58(n-1)は、ベース端子が第(n-1)の溶断トランジスタ54(n-1)のベース端子に接続される。これにより、第(n-1)の連結トランジスタ58(n-1)は、第(n-1)の電子ヒューズ40-(n-1)が溶断していない場合、オフとなり、第(n-1)の抵抗56-(n-1)に電流を流さない。また、第(n-1)の連結トランジスタ58(n-1)は、第(n-1)の電子ヒューズ40-(n-1)が溶断している場合、オンとなり、第(n-1)の抵抗56-(n-1)に電流を流すことができる。
【0043】
図3は、記憶回路32の動作の順序を示す図である。記憶回路32は、次のように動作をする。
【0044】
まず、複数の電子ヒューズ40は、溶断していない状態である。S11において、切断制御回路34は、切断指示信号を受け取ったことに応じて、第1端子36に第1電圧を印加する。第1端子36に第1電圧が印加された場合、参照トランジスタ50は、エミッタ端子とコレクタ端子との間に第1電流を流す。参照トランジスタ50に第1電流が流れた場合、S12に示すように、第1の溶断トランジスタ54-1は、エミッタ端子とコレクタ端子との間に閾値以上の電流を流す。
【0045】
第1の電子ヒューズ40-1は、溶断していない場合、抵抗値がほぼ0である。第1の電子ヒューズ40-1が溶断していない場合、第1の溶断トランジスタ54-1に流れる電流は、第1の電子ヒューズ40-1に供給される。従って、第1の電子ヒューズ40-1は、S13に示すように、溶断する。
【0046】
第1の電子ヒューズ40-1が溶断した場合、第1端子36から見た抵抗値が上昇する。従って、第1の電子ヒューズ40-1が溶断した後、S14に示すように、第1端子36の電圧は、上昇する。続いて、S15において、切断制御回路34は、第1端子36の電圧の上昇を検知した場合、第1端子36への第1電圧の印加を停止する。これにより、記憶回路32は、複数の電子ヒューズ40のうちの第1の電子ヒューズ40-1が溶断し、且つ、第2~第Nの電子ヒューズ40-2~40-Nが溶断していない状態となる。
【0047】
続いて、S16において、次の切断指示信号を受け取ったことに応じて、切断制御回路34は、第1端子36に第1電圧を印加する。第1端子36に第1電圧が印加された場合、第1の溶断トランジスタ54-1は、エミッタ端子とコレクタ端子との間に電流を流す。
【0048】
第1の電子ヒューズ40-1は、溶断している場合、抵抗値がほぼ無限大である。従って、S17に示すように、第1の溶断トランジスタ54-1に流れる電流は、第1の電子ヒューズ40-1に供給されず、第1の抵抗56-1に供給される。第1の抵抗56-1に電流が供給された場合、第2の溶断トランジスタ54-2のベース端子の電圧が上昇する。これにより、S18に示すように、第2の溶断トランジスタ54-2は、エミッタ端子とコレクタ端子との間に閾値以上の電流を流す。
【0049】
第2の電子ヒューズ40-2は、溶断していない場合、抵抗値がほぼ0である。従って、第2の電子ヒューズ40-2が溶断していない場合、第2の溶断トランジスタ54-2に流れる電流は、第2の電子ヒューズ40-2にも流れる。従って、第2の電子ヒューズ40-2は、S19に示すように、溶断する。
【0050】
第2の電子ヒューズ40-2が溶断した場合、第1端子36から見た抵抗値が上昇する。従って、S20に示すように、第1端子36の電圧は、上昇する。続いて、S21において、切断制御回路34は、第1端子36の電圧の上昇を検知した場合、第1端子36への第1電圧の印加を停止する。これにより、記憶回路32は、複数の電子ヒューズ40のうちの第1の電子ヒューズ40-1および第2の電子ヒューズ40-2が溶断し、且つ、第3~第Nの電子ヒューズ40-2~40-Nが溶断していない状態となる。
【0051】
記憶回路32は、第3の電子ヒューズ40-3以降も同様の動作を実行する。これにより、記憶回路32は、切断制御回路34から第1電圧が供給される毎に、複数の電子ヒューズ40を第1の電子ヒューズ40-1から順に1個ずつ溶断することができる。
【0052】
なお、第1の電子ヒューズ40-1が溶断した後における、切断制御回路34における第1端子36への第1電圧の印加停止タイミングは、第1端子36に第1電圧を印加し続けることにより第1の電子ヒューズ40-1に続いて第2の電子ヒューズ40-2が溶断してしまうタイミングよりも、十分に早い。第2の電子ヒューズ40-2以降が溶断した後における、切断制御回路34における第1端子36への第1電圧の印加停止タイミングも、同様である。
【0053】
第1端子36に第1電圧を印加し続けた場合、第1の電子ヒューズ40-1が溶断してから、第2の溶断トランジスタ54-2がオンするまでの時間は、容量成分等により所定の遅延時間が生じる。従って、切断制御回路34は、第1の電子ヒューズ40-1が溶断した後に、第1端子36の電圧の上昇を検知してから、第1電圧の印加を停止したとしても、第2の電子ヒューズ40-2が溶断する前に第1電圧の印加を停止することができる。
【0054】
このように、記憶回路32は、第(n-1)の電子ヒューズ40-(n-1)が溶断した後、切断制御回路34が次の切断指示信号を受け取る前に、第nの電子ヒューズ40-nを溶断しない。従って、記憶回路32は、切断制御回路34から第1電圧が与えられる毎に、N個の電子ヒューズ40を1個ずつ順次に溶断させることができる。
【0055】
図4は、切断制御回路34の構成を記憶回路32とともに示す図である。切断制御回路34は、第1バイアス抵抗62と、SRラッチ回路64と、電圧印加回路66とを含む。
【0056】
SRラッチ回路64は、第1値または第2値を保持する。例えば、第1値は、H論理であり、第2値は、L論理である。
【0057】
SRラッチ回路64は、セットパルスおよびリセットパルスが与えられる。SRラッチ回路64は、第1値(H論理)を保持している状態においてリセットパルスが与えられた場合、保持する値を第2値(L論理)に変化させる。SRラッチ回路64は、第2値(L論理)を保持している状態においてセットパルスが与えられた場合、保持する値を第1値(H論理)に変化させる。
【0058】
SRラッチ回路64は、保持している値とは反転する値を表す電圧をQB端子から出力する。例えば、SRラッチ回路64は、第2値(L論理)を保持している場合、H論理電圧をQB端子から出力する。例えば、SRラッチ回路64は、第1値(H論理)を保持している場合、L論理電圧をQB端子から出力する。
【0059】
電圧印加回路66は、SRラッチ回路64が第2値(L論理)を保持している場合、電源電圧を第1バイアス抵抗62を介して、記憶回路32の第1端子36に印加する。電圧印加回路66は、SRラッチ回路64が第1値(H論理)を保持している場合、記憶回路32の第1端子36への電源電圧の印加を停止する。
【0060】
さらに、電圧印加回路66は、検出回路30から切断指示信号を受け取る。電圧印加回路66は、切断指示信号を受け取った場合、リセットパルスをSRラッチ回路64に与える。従って、電圧印加回路66は、切断指示信号を受け取った場合、SRラッチ回路64が保持する値を第2値(L論理)に変化させ、電源電圧を第1バイアス抵抗62を介して、記憶回路32の第1端子36に印加する。これにより、電圧印加回路66は、第1電圧を記憶回路32の第1端子36に印加することができる。
【0061】
電圧印加回路66は、電源電圧を第1バイアス抵抗62を介して記憶回路32の第1端子36に印加している状態において、第1端子36の電圧が上昇した場合、SRラッチ回路64にセットパルスを与える。従って、電圧印加回路66は、電源電圧を第1バイアス抵抗62を介して記憶回路32の第1端子36に印加している状態において、第1端子36の電圧が上昇した場合、SRラッチ回路64が保持する値を第2値(L論理)から第1値(H論理)に変化させ、記憶回路32の第1端子36への電源電圧の印加を停止する。これにより、電圧印加回路66は、記憶回路32の第1端子36への第1電圧の印加を停止することができる。
【0062】
例えば、電圧印加回路66は、ワンショットパルス回路72と、電源供給トランジスタ74と、開始トランジスタ76と、電流源78と、抵抗80と、キャパシタ82と、停止トランジスタ84とを含む。
【0063】
ワンショットパルス回路72は、検出回路30から切断指示信号を受け取る。ワンショットパルス回路72は、切断指示信号を受け取った場合、所定の時間幅のパルス信号を、リセットパルスとしてSRラッチ回路64に供給する。
【0064】
電源供給トランジスタ74は、電源電圧端子と、第1バイアス抵抗62の一方の端子との間に、正端子と負端子とが接続される。第1バイアス抵抗62は、電源供給トランジスタ74が接続されていない方の端子が記憶回路32の第1端子36に接続される。従って、電源供給トランジスタ74における正端子および負端子と、第1バイアス抵抗62とは、電源電圧端子と第1端子36との間に直列に接続される。
【0065】
本実施形態において、電源供給トランジスタ74は、pnp型のバイポーラトランジスタである。電源供給トランジスタ74は、エミッタ端子が電源電圧端子に接続され、コレクタ端子が、第1バイアス抵抗62における第1端子36が接続されていない側の端子に接続される。
【0066】
開始トランジスタ76は、制御端子が、SRラッチ回路64のQB端子に接続される。開始トランジスタ76は、グランド端子と電流源78の電流流出側の端子との間に、正端子と負端子とが接続される。電流源78は、電流流入側の端子が、電源供給トランジスタ74の制御端子に接続される。従って、開始トランジスタ76における正端子および負端子と、電流源78とは、電源供給トランジスタ74の制御端子と、グランド端子との間に直列に接続される。
【0067】
本実施形態において、開始トランジスタ76は、npn型のバイポーラトランジスタである。開始トランジスタ76は、ベース端子がSRラッチ回路64のQB端子に接続される。開始トランジスタ76は、エミッタ端子がグランド端子に接続され、コレクタ端子が電流源78の電流流出側の端子に接続される。
【0068】
抵抗80は、SRラッチ回路64のセットパルスの入力端子と、グランド端子との間に接続される。キャパシタ82は、SRラッチ回路64のセットパルスの入力端子と、グランド端子との間に接続される。
【0069】
停止トランジスタ84は、記憶回路32の第1端子36と、SRラッチ回路64のセットパルスの入力端子との間に、正端子と負端子とが接続される。停止トランジスタ84は、制御端子が、電源供給トランジスタ74の制御端子に接続される。
【0070】
本実施形態において、停止トランジスタ84は、pnp型のバイポーラトランジスタである。停止トランジスタ84は、ベース端子が電源供給トランジスタ74のベース端子に接続される。停止トランジスタ84は、エミッタ端子が記憶回路32の第1端子36に接続され、コレクタ端子が、SRラッチ回路64のセットパルスの入力端子に接続される。
【0071】
図5は、切断制御回路34の動作の順序を示す図である。切断制御回路34は、次のように動作をする。
【0072】
まず、S31に示すように、初期状態において、SRラッチ回路64は、第1値(H論理)を保持する。また、初期状態において、電源供給トランジスタ74、開始トランジスタ76および停止トランジスタ84は、オフである。
【0073】
続いて、S32において、ワンショットパルス回路72は、切断指示信号を受け取り、リセットパルスをSRラッチ回路64に与える。これにより、S33に示すように、SRラッチ回路64は、保持する値を第1値(H論理)から第2値(L論理)に変化させる。
【0074】
SRラッチ回路64が保持している値が、第2値(L論理)となることにより、S34において、開始トランジスタ76は、オンとなる。開始トランジスタ76がオンとなることにより、S35において、電源供給トランジスタ74は、オンとなる。電源供給トランジスタ74がオンとなることにより、S36において、切断制御回路34は、第1バイアス抵抗62を介して、記憶回路32の第1端子36に電源電圧を供給する。
【0075】
記憶回路32は、第1端子36に第1バイアス抵抗62を介して電源電圧が与えられることにより、第1電圧が第1端子36に与えられる。これにより、記憶回路32は、複数の電子ヒューズ40のうちの何れかの電子ヒューズ40を溶断する。複数の電子ヒューズ40のうちの何れかの電子ヒューズ40を溶断した場合、記憶回路32は、第1端子36から見た抵抗値が上昇する。この結果、S37において、第1端子36は、電圧が電源電圧の近傍まで上昇する。
【0076】
第1端子36の電圧が電源電圧の近傍まで上昇した場合、S38において、停止トランジスタ84は、オンとなる。停止トランジスタ84がオンとなることにより、S39において、切断制御回路34は、SRラッチ回路64にセットパルスを与える。これにより、S40に示すように、SRラッチ回路64は、保持している値を、第2値(L論理)から第1値(H論理)に変化させる。
【0077】
SRラッチ回路64が保持している値が、第1値(H論理)となることにより、S41において、開始トランジスタ76は、オフとなる。開始トランジスタ76がオフとなることにより、S42において、電源供給トランジスタ74は、オフとなる。電源供給トランジスタ74がオフとなることにより、切断制御回路34は、記憶回路32の第1端子36への電源電圧の供給を停止する。
【0078】
このように、切断制御回路34は、切断指示信号を受け取った場合に、第1端子36に第1バイアス抵抗62を介して電源電圧を与えることによって、記憶回路32の第1端子36に第1電圧を印加することができる。また、切断制御回路34は、第1電圧を印加した後に、第1端子36の電圧が上昇した場合、第1電圧の印加を停止することができる。
【0079】
以上のように本実施形態に係る半導体装置10は、電子回路20に異常が発生した場合、電子回路20が起動した場合または電子回路20において所定の動作がされた場合に、N個の電子ヒューズ40のうちの1個の電子ヒューズ40を溶断することができる。これにより、半導体装置10は、電子回路20に発生した異常の回数、電子回路20が起動した回数、または、電子回路20において所定の動作がされた回数を、溶断された電子ヒューズ40の個数により記憶することができる。
【0080】
これにより、半導体装置10によれば、電子回路20の動作の履歴をコントローラを用いず簡易に且つ不揮発に記憶することができる。また、半導体装置10によれば、コントローラを持たないので、例えば比較的に小規模な回路、例えばLDO(Low Dropout)レギュレータ等に適用することもできる。また、半導体装置10によれば、電子回路20が故障した場合であっても、電子顕微鏡または各種の解析装置等を用いて半導体基板を解析することにより、N個の電子ヒューズ40の溶断状態を検出させることができる。
【0081】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態に係る半導体装置10について説明する。第2実施形態に係る半導体装置10は、第1実施形態に係る半導体装置10と略同一の構成および機能を有するので、略同一の構成および機能を有する回路については同一の符号を付けて、相違点を除き詳細な説明を省略する。第3実施形態以降についても同様である。
【0082】
図6は、第2実施形態に係る半導体装置10の構成を直流電源110および負荷120とともに示す図である。
【0083】
第2実施形態に係る半導体装置10は、検出回路30に代えて、トリガ受信回路90を備える。トリガ受信回路90は、外部装置からトリガ信号を受信する。外部装置は、他の半導体により形成された回路またはモジュールであってもよい。また、外部装置は、遠隔地に設けられており、無線または有線により情報を半導体装置10に送信してもよい。
【0084】
そして、トリガ受信回路90は、トリガ信号を受信する毎に、切断指示信号を切断制御回路34に与える。第2実施形態において、記憶回路32に含まれるN個の電子ヒューズ40のうちの溶断された電子ヒューズ40の個数は、トリガ信号の受信回数を表す。従って、第2実施形態に係る半導体装置10は、トリガ信号の受信回数をコントローラを用いずに且つ不揮発に記憶することができる。
【0085】
(第3実施形態)
つぎに、第3実施形態に係る半導体装置10について説明する。
【0086】
図7は、第3実施形態に係る半導体装置10の構成を直流電源110および負荷120とともに示す図である。第3実施形態に係る半導体装置10は、出力スイッチ92と、出力停止回路94とをさらに備える。
【0087】
第3実施形態において、電子回路20は、電圧レギュレータ回路である。出力スイッチ92は、オンまたはオフに切り替えられる。出力スイッチ92は、電圧レギュレータ回路である電子回路20と、負荷120との間に設けられる。出力スイッチ92は、オンの場合、電子回路20と負荷120との間を接続する。出力スイッチ92は、オフの場合、電子回路20と負荷120との間を切断する。
【0088】
出力停止回路94は、N個の電子ヒューズ40のうちの第Nの電子ヒューズ40-Nが溶断したか否かを検出する。出力停止回路94は、第Nの電子ヒューズ40-Nが溶断していない場合には、出力スイッチ92をオンにして、電子回路20から負荷120への直流出力電圧Voutの供給を可能とさせる。出力停止回路94は、第Nの電子ヒューズ40-Nが溶断している場合には、出力スイッチ92をオフにして、電子回路20から負荷120への直流出力電圧Voutの供給を停止させる。
【0089】
第3実施形態に係る半導体装置10は、電子回路20に異常が例えばN回発生した場合、電子回路20がN回起動した場合または電子回路20において所定の動作がN回された場合に、負荷120への直流出力電圧Voutの出力を停止させることができる。従って、半導体装置10は、例えば電子回路20が所定の状態となったと判断した場合に、コントローラを用いずに簡易に直流出力電圧Voutの出力を停止させることができる。なお、第3実施形態に係る半導体装置10は、第2実施形態に係る半導体装置10が、出力スイッチ92および出力停止回路94を備える構成であってもよい。
【0090】
(第4実施形態)
つぎに、第4実施形態に係る半導体装置10について説明する。
【0091】
図8は、第4実施形態に係る半導体装置10の構成を直流電源110、負荷120および制御装置130とともに示す図である。第4実施形態に係る半導体装置10は、異常通知スイッチ96と、異常通知回路98とをさらに備える。第4実施形態に係る半導体装置10は、異常通知端子100から、電子回路20の異常を通知する異常通知信号を制御装置130へと出力する。
【0092】
異常通知スイッチ96は、オンまたはオフに切り替えられる。異常通知スイッチ96は、異常通知端子100と、グランド端子との間に設けられる。異常通知スイッチ96は、オンの場合、異常通知端子100とグランド端子との間を接続する。異常通知スイッチ96は、オフの場合、異常通知端子100とグランド端子との間を切断する。
【0093】
異常通知端子100は、制御装置130に接続される。例えば、異常通知端子100は、半導体装置10の外部においてプルアップ抵抗により電源電圧端子に接続される。これにより、制御装置130は、異常通知スイッチ96がオンの場合には、グランド電位(L論理電位)、異常通知スイッチ96がオフの場合には、電源電位(H論理電位)となる異常通知信号を受け取ることができる。
【0094】
異常通知回路98は、N個の電子ヒューズ40のうちの第Nの電子ヒューズ40-Nが溶断したか否かを検出する。異常通知回路98は、第Nの電子ヒューズ40-Nが溶断していない場合には、異常通知スイッチ96をオフにして、異常通知信号をH論理電位とする。また、異常通知回路98は、第Nの電子ヒューズ40-Nが溶断している場合には、異常通知スイッチ96をオンにして、異常通知信号をL論理電位とする。
【0095】
第4実施形態に係る半導体装置10は、電子回路20に異常が例えばN回発生した場合、電子回路20がN回起動した場合または電子回路20において所定の動作がN回された場合に、制御装置130に対して異常を通知することができる。従って、半導体装置10は、例えば電子回路20が所定の状態となったと判断した場合に、コントローラを用いずに簡易に制御装置130に、電子回路20の異常を通知することができる。なお、第4実施形態に係る半導体装置10は、第2実施形態または第3実施形態に係る半導体装置10が異常通知スイッチ96および異常通知回路98を備える構成であってもよい。
【0096】
(第5実施形態)
つぎに、第5実施形態に係る半導体装置10について説明する。
【0097】
図9は、第5実施形態に係る半導体装置10の構成を、直流電源110、負荷120および外部ヒューズ140とともに示す図である。
【0098】
第5実施形態に係る半導体装置10は、入力スイッチ102と、入力停止回路104とをさらに備える。第5実施形態において、電子回路20は、電圧レギュレータ回路である。
【0099】
第5実施形態において、入力端子106と直流電源110の正側の端子との間には、外部ヒューズ140が設けられる。外部ヒューズ140は、2端子の素子であって、流れる電流が所定値以上となった場合に溶断する。
【0100】
入力スイッチ102は、オンまたはオフに切り替えられる。入力スイッチ102は、入力端子106と、グランド端子との間に設けられる。入力スイッチ102は、オンの場合、入力端子106と、グランド端子との間を接続する。入力スイッチ102は、オフの場合、入力端子106と、グランド端子との間を切断する。
【0101】
入力停止回路104は、N個の電子ヒューズ40のうちの第Nの電子ヒューズ40-Nが溶断したか否かを検出する。入力停止回路104は、第Nの電子ヒューズ40-Nが溶断していない場合には、入力スイッチ102をオフにして、入力端子106とグランド端子との間を切断する。入力停止回路104は、第Nの電子ヒューズ40-Nが溶断している場合には、入力スイッチ102をオンにして、入力端子106とグランド端子との間を接続する。
【0102】
入力スイッチ102がオンとされることにより、入力端子106とグランド端子とが接続された場合、外部ヒューズ140には、所定値以上の電流が流れる。従って、入力スイッチ102がオンとされることにより、入力端子106とグランド端子とが接続された場合、外部ヒューズ140は、溶断し、電子回路20への直流入力電圧Vinの供給を停止させる。
【0103】
第5実施形態に係る半導体装置10は、電子回路20に異常が例えばN回発生した場合、電子回路20がN回起動した場合または電子回路20において所定の動作がN回された場合に、電子回路20への直流入力電圧Vinの供給を停止させることができる。従って、半導体装置10は、例えば電子回路20が所定の状態となったと判断した場合に、コントローラを用いずに簡易に、電子回路20への直流入力電圧Vinの供給を停止させることができる。なお、第5実施形態に係る半導体装置10は、第2実施形態、第3実施形態または第4実施形態に係る半導体装置10が、入力スイッチ102および入力停止回路104を備える構成であってもよい。
【0104】
(第6実施形態)
つぎに、第6実施形態に係る半導体装置10について説明する。
【0105】
図10は、第6実施形態に係る記憶回路32の構成を示す図である。第6実施形態に係る記憶回路32は、出力回路202と、(N-1)個の遅延用キャパシタ204とを、さらに含む。
【0106】
出力回路202は、N個の電子ヒューズ40のそれぞれについて、溶断しているか導通しているかを示す信号を出力する。例えば、出力回路202は、N個の電子ヒューズ40のそれぞれについて、対応する電子ヒューズ40における両端のそれぞれの接点に接続する2本の配線であってもよい。これにより、半導体装置10は、2本の配線の間が導通しているか否かを検出させることにより、対応する電子ヒューズ40が溶断しているか否かを外部装置に検出させることができる。
【0107】
このような出力回路202を含むことにより、第6実施形態に係る半導体装置10は、電子顕微鏡または各種の解析装置等を用いて半導体基板を解析することなく、容易に、N個の電子ヒューズ40の溶断状態を検出させることができる。
【0108】
また、記憶回路32は、(N-1)個の遅延用キャパシタ204として、第1の遅延用キャパシタ204-1~第(N-1)の遅延用キャパシタ204-(N-1)を含む。
【0109】
(N-1)個の遅延用キャパシタ204のうちの第(n-1)の遅延用キャパシタ204-(n-1)は、nが偶数の場合、第nの溶断トランジスタ54-nの制御端子と、グランド端子との間に設けられる。第(n-1)の遅延用キャパシタ204-(n-1)は、nが奇数の場合、第nの溶断トランジスタ54-nの制御端子と、第1端子36との間に設けられる。
【0110】
第1の電子ヒューズ40-1が溶断した後における、切断制御回路34における第1端子36への第1電圧の印加停止タイミングは、第1端子36に第1電圧を印加し続けることにより第1の電子ヒューズ40-1が溶断した後に続けて第2の電子ヒューズ40-2が溶断してしまうタイミングよりも早い。
【0111】
第6実施形態に係る記憶回路32は、(N-1)個の遅延用キャパシタ204をさらに含むので、第1端子36に第1電圧を印加し続けることにより、第(n-1)の電子ヒューズ40-(n-1)が溶断してから、第nの溶断トランジスタ54-nがオンするまでの時間を、より長くすることができる。従って、第6実施形態において、切断制御回路34は、第(n-1)の電子ヒューズ40-(n-1)が溶断した後、第nの電子ヒューズ40-nが溶断する前において、より確実に、第1電圧の印加を停止することができる。
【0112】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0113】
10 半導体装置、20 電子回路、30 検出回路、32 記憶回路、34 切断制御回路、36 第1端子、40 電子ヒューズ
図1
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図10