IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士フイルム株式会社の特許一覧

特開2024-162306プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造
<>
  • 特開-プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造 図1
  • 特開-プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造 図2
  • 特開-プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造 図3
  • 特開-プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造 図4
  • 特開-プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造 図5
  • 特開-プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造 図6
  • 特開-プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造 図7
  • 特開-プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造 図8
  • 特開-プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造 図9A
  • 特開-プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造 図9B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162306
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】プローブケーブルフックおよびケーブル保持構造
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077681
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江田 雅斗
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE10
4C601EE11
4C601LL32
(57)【要約】
【課題】プローブケーブルをより適切に保持できるケーブルフックを提供する。
【解決手段】プローブケーブルフック10は、取付部12と、可撓性材料からなるフック部14と、前記取付部12と前記フック部14とを連結する連結部16と、を備え、前記フック部14は、プローブケーブル102を保持するループを形成可能なラッピング部20であって、係合孔22が形成されたラッピング部20と、前記ラッピング部20を挟んで前記連結部16の反対側に設けられ、前記係合孔22に係合可能なヘッド部24と、を有し、前記係合孔22に前記ヘッド部24が係合されることで、前記ループが維持され、前記ラッピング部20が前記ループの径方向外向きの力を受けることで、前記ヘッド部24が前記係合孔22から離脱する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波診断装置の一部に着脱可能に装着される取付部と、
可撓性材料からなるフック部と、
前記取付部と前記フック部とを連結する連結部と、
を備え、前記フック部は、
超音波プローブのプローブケーブルを保持するループを形成可能なラッピング部であって、係合孔が形成されたラッピング部と、
前記ラッピング部を挟んで前記連結部の反対側に設けられ、前記係合孔に係合可能なヘッド部と、
を有し、前記係合孔に前記ヘッド部が係合されることで、前記ループが維持され、前記ラッピング部が前記ループの径方向外向きの力を受けることで、前記ヘッド部が前記係合孔から離脱する、
ことを特徴とするプローブケーブルフック。
【請求項2】
請求項1に記載のプローブケーブルフックであって、
前記ヘッド部は、前記ラッピング部よりも幅広であり、
前記ヘッド部と前記ラッピング部との境界には、前記ラッピング部よりも幅の小さいクビレ部が形成されており、
前記クビレ部の幅は、前記係合孔の幅と同じ、または、前記係合孔の幅よりも小さい、
ことを特徴とするプローブケーブルフック。
【請求項3】
請求項1に記載のプローブケーブルフックであって、
前記ヘッド部は、幅方向に延びる軸を持つ略円柱形であり、
前記ヘッド部は、幅方向端部に近づくにつれて縮径している、
ことを特徴とするプローブケーブルフック。
【請求項4】
請求項1に記載のプローブケーブルフックであって、
前記係合孔は、長さ方向寸法が幅方向寸法よりも大きい長孔形状であり、
前記フック部の幅方向端部と前記係合孔の幅方向端部との間部分であるサイド部は、長さ方向寸法が幅方向寸法よりも大きい、
ことを特徴とするプローブケーブルフック。
【請求項5】
請求項1に記載のプローブケーブルフックであって、
前記連結部は、可撓性材料からなり、前記フック部より幅細である、
ことを特徴とするプローブケーブルフック。
【請求項6】
請求項1に記載のプローブケーブルフックであって、
前記連結部と、前記フック部と、前記連結部と、は可撓性材料により一体成形されている、
ことを特徴とするプローブケーブルフック。
【請求項7】
請求項1に記載のプローブケーブルフックであって、
前記プローブケーブルフックは、幅方向中心を対称軸と線対称、かつ、厚み方向中心を対称軸と線対称な形状である、
ことを特徴とするプローブケーブルフック。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のプローブケーブルフックであって、
前記取付部は、前記超音波プローブを保持するプローブホルダの底面に係合可能であり、
前記プローブケーブルフックは、前記プローブホルダから吊り下げ保持される、
ことを特徴とするプローブケーブルフック。
【請求項9】
ケーブル保持構造であって、
請求項8に記載のプローブケーブルフックと、
前記超音波プローブを、そのケーブル引き出し部が下方に向くような起立姿勢で保持するプローブホルダと、
を備え、
前記取付部は、前記連結部よりも幅方向寸法および厚み方向寸法の少なくとも一方が大きく、
前記プローブホルダは、外カップと、前記外カップの内側に配置される内カップと、を有し、
前記外カップの底面には、
前記プローブケーブルの通過を許容するケーブル孔と、
前記取付部を収容する収容凹部と、
前記ケーブル孔と前記収容凹部の底面とに跨り、前記連結部の通過を許容する連結切り欠きと、
が形成されている、
ことを特徴とするケーブル保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、超音波プローブを保持するプローブケーブルフック、および、当該プローブケーブルフックを用いたケーブル保持構造を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検体(例えば生体)に対して超音波の送受波を行い、これにより得られた受信信号に基づいて断層画像などの超音波画像を形成する超音波診断装置が広く知られている。かかる超音波診断装置には、超音波プローブが、プローブケーブルを介して接続される。通常、プローブケーブルは、超音波診断装置から離れた場所でも超音波プローブを使用できるように、ある程度の長さを有する。そのため、特段の対策を講じない場合、プローブケーブルの一部が、床面に垂れ落ちることが多い。
【0003】
プローブケーブルが床面に垂れ落ちた状態のまま、超音波診断に関する作業を行うと、プローブケーブルが、作業者によって踏みつけられたり、他のプローブケーブルと絡まったり、超音波診断装置のキャスタに巻き込まれたりする。
【0004】
こうした問題を避けるために、プローブケーブルを一時的に保持する器具が従来から提案されている。例えば、特許文献1には、操作盤に装着されるプラスティッククリップと、装着部から釣り下がるストラップと、ストラップの下端に接続されたケーブルクリップとを、有するケーブルサポートが開示されている。特許文献1において、プローブケーブルは、ケーブルクリップにより保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/207593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1において、ケーブルクリップは、上向きに開口し、弾性を有する略U字状の部材であり、プローブケーブルは、このケーブルクリップにより挟持される。この場合、プローブケーブルが強く引っ張られても、プローブケーブルがケーブルクリップから離脱できず、プローブケーブルが劣化または破損するおそれがあった。
【0007】
そこで、本明細書では、プローブケーブルをより適切に保持できるケーブルフックおよびケーブル保持構造を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示するプローブケーブルフックは、超音波診断装置の一部に着脱可能に装着される取付部と、可撓性材料からなるフック部と、前記取付部と前記フック部とを連結する連結部と、を備え、前記フック部は、超音波プローブのプローブケーブルを保持するループを形成可能なラッピング部であって、係合孔が形成されたラッピング部と、前記ラッピング部を挟んで前記連結部の反対側に設けられ、前記係合孔に係合可能なヘッド部と、を有し、前記係合孔に前記ヘッド部が係合されることで、前記ループが維持され、前記ラッピング部が前記ループの径方向外向きの力を受けることで、前記ヘッド部が前記係合孔から離脱する、ことを特徴とする。
【0009】
上記プローブケーブルによれば、プローブケーブルを保持するループは、強い力を受けることで容易に解除されるため、プローブケーブルにラッピング部が食い込むことが防止される。結果として、プローブケーブルをより適切に保持できる。
【0010】
この場合、前記ヘッド部は、前記ラッピング部よりも幅広であり、前記ヘッド部と前記ラッピング部との境界には、前記ラッピング部よりも幅の小さいクビレ部が形成されており、前記クビレ部の幅は、前記係合孔の幅と同じ、または、前記係合孔の幅よりも小さくてもよい。
【0011】
上記寸法とすることで、ヘッド部が係合孔に引っ掛かりやすくなる。結果として、ヘッド部の係合孔からの意図しない離脱が防止される。
【0012】
また、前記ヘッド部は、幅方向に延びる軸を持つ略円柱形であり、前記ヘッド部は、幅方向端部に近づくにつれて縮径してもよい。
【0013】
上記形状とすることで、プローブケーブルに過大な力が掛かる前に、係合孔からヘッド部が離脱しやすくなる。
【0014】
また、前記係合孔は、長さ方向寸法が幅方向寸法よりも大きい長孔形状であり、前記フック部の幅方向端部と前記係合孔の幅方向端部との間部分であるサイド部は、長さ方向寸法が幅方向寸法よりも大きくてもよい。
【0015】
係合孔を長さ方向に長い長孔にすることで、プローブケーブルの太さの違いをこの係合孔内で吸収できる。また、係合孔を長さ方向に長い長孔とし、サイド部も長さ方向に細長い形状とすることで、サイド部が伸びやすくなり、係合孔が変形しやすくなる。結果として、プローブケーブルに過大な力が掛かる前に、係合孔からヘッド部が離脱しやすくなる。
【0016】
また、前記連結部は、可撓性材料からなり、前記フック部より幅細でもよい。
【0017】
連結部を、補足することで、伸びやすくなる。結果として、フック部の可動範囲が広がり、フック部が、超音波プローブの動きに追従しやすくなる。
【0018】
また、前記連結部と、前記フック部と、前記連結部と、は可撓性材料により一体成形されてもよい。
【0019】
一体成形とすることで、プローブケーブルフックの製造工程を簡易化できる。
【0020】
また、前記プローブケーブルフックは、幅方向中心を対称軸と線対称、かつ、厚み方向中心を対称軸と線対称な形状でもよい。
【0021】
超音波プローブを保持するプローブホルダは、診断装置の左右に配置されることが多い。上記構成とすることで、一つのプローブケーブルフックを、方向を気にすることなく、左側および右側いずれのプローブホルダにも適用できる。
【0022】
また、前記取付部は、前記超音波プローブを保持するプローブホルダの底面に係合可能であり、前記プローブケーブルフックは、前記プローブホルダから吊り下げ保持されてもよい。
【0023】
プローブケーブルフックを、プローブホルダに装着する形態とすることで、超音波プローブ一つにつき、一つのプローブケーブルフックを取り付けることができる。これにより、複数のプローブケーブルが一箇所に集中して絡まることが防止できる。また、取付部をプローブホルダの底面に係合させることで、プローブケーブルフックが、超音波プローブをプローブホルダに抜き差しする作業を邪魔しない。
【0024】
本明細書で開示するケーブル保持構造は、上述したプローブケーブルフックと、前記超音波プローブを、そのケーブル引き出し部が下方に向くような起立姿勢で保持するプローブホルダと、を備え、前記取付部は、前記連結部よりも幅方向寸法および厚み方向寸法の少なくとも一方が大きく、記プローブホルダは、外カップと、前記外カップの内側に配置される内カップと、を有し、前記外カップの底面には、前記プローブケーブルの通過を許容するケーブル孔と、前記取付部を収容する収容凹部と、前記ケーブル孔と前記収容凹部の底面とに跨り、前記連結部の通過を許容する連結切り欠きと、が形成されている、ことを特徴とする。
【0025】
上記構成とすることで、簡易な手順でプローブケーブルフックをプローブホルダに取り付けることができる。また、外カップに収容凹部を形成しているため、プローブケーブルフックの取付部が、内カップの邪魔にならず、内カップがガタつかない。
【発明の効果】
【0026】
本明細書に開示するプローブケーブルフックおよびケーブル保持構造によれば、プローブケーブルをより適切に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】超音波診断装置の斜視図である。
図2】プローブケーブルフックの斜視図である。
図3】プローブケーブルフックの正面図である。
図4】フック部でプローブケーブルを保持する様子を示す斜視図である。
図5】プローブケーブルフックの有無によるプローブケーブルの経路の違いを示す図である。
図6】プローブケーブルの直径の違いによるループの違いを示す図である。
図7】プローブホルダの概略的な分解斜視図である。
図8】プローブホルダの概略的な断面図である。
図9A】ヘッド部の他の例を示す図である。
図9B】ヘッド部の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、プローブケーブルフック10およびケーブル保持構造の構成について図面を参照して説明する。図1は、プローブケーブルフック10が、取り付けられる超音波診断装置110の概略的な斜視図である。
【0029】
超音波診断装置110は、被検体(例えば生体)に対して超音波の送受波を行い、これにより得られた受信信号に基づいて断層画像などの超音波画像を形成する装置である。超音波診断装置110は、本体部112と、操作パネル114と、ディスプレイ116と、を有する。本体部112は、超音波診断装置110の主要部であり、操作パネル114およびディスプレイ116を支持する土台となる。本体部112は、キャスタ118により支持されており、これにより、超音波診断装置110を、床面上で容易に移動させることができる。
【0030】
超音波プローブ100は、プローブケーブル102を介して、本体部112に接続される。本体部112の前面には、プローブケーブル102の接続端子(図示せず)が接続される接続端子122が複数設けられている。
【0031】
操作パネル114は、使用者からの操作入力を受け付ける。操作パネル114は、各種の操作ボタンやトラックボールなどを含む。ディスプレイ116は、超音波画像や各種の情報を表示するものである。操作パネル114およびディスプレイ116は、いずれも、多関節アーム(図示せず)に取り付けられている。そして、使用者は、当該多関節アームの姿勢を変更することで、操作パネル114およびディスプレイ116の位置および姿勢を自由に変更できる。
【0032】
超音波診断装置110には、さらに、複数のプローブホルダ40が設けられている。プローブホルダ40は、超音波プローブ100を、そのケーブル引き出し部が下方に向くような起立姿勢で保持する。かかるプローブホルダ40は、超音波診断装置110の周囲に取り付けられる。図1の例の場合、プローブホルダ40は、操作パネル114の左右両側それぞれに、複数(図示例では3つずつ)、取り付けられている。
【0033】
プローブホルダ40は、後に詳説するように、底面に孔が形成された略カップ状である。超音波プローブ100は、起立姿勢で、このプローブホルダ40に挿し込まれる。プローブケーブル102は、プローブホルダ40の底面に形成された孔から下方に引き出される。超音波診断を行う際、診断者は、複数のプローブホルダ40それぞれに保持されている超音波プローブ100の中から、診断に適した超音波プローブ100を選択し、選択した超音波プローブ100をプローブホルダ40から抜き取る。そして、診断者は、抜き取った超音波プローブ100を、診断箇所に接触させるなどして、超音波画像を取得する。
【0034】
ここで、超音波プローブ100を超音波診断装置110から離れた箇所まで持ち運べるように、プローブケーブル102は、十分な長さを有している。そのため、特段の対策を講じない場合、プローブケーブル102の一部は、床面に垂れ落ちることが多い。このようにプローブケーブル102が床面に垂れ落ちた状態のまま、超音波診断に関する作業を行うと、プローブケーブル102が、人によって踏みつけられたり、他のプローブケーブル102と絡まったり、超音波診断装置110のキャスタ118に巻き込まれたりする。結果として、プローブケーブル102が床面に垂れ落ちた状態のまま放置すると、プローブケーブル102の劣化または破損を招くおそれがある。
【0035】
プローブケーブルフック10は、こうしたプローブケーブル102の垂れ落ちを防止するために、超音波診断装置110に取り付けられる。プローブケーブルフック10は、超音波診断装置110に取り付けられた状態で、プローブケーブル102の一部を保持することで、プローブケーブル102の垂れ落ちを防止する部材である。かかるプローブケーブルフック10の取付位置は、プローブケーブル102の一部を保持できるのであれば、特に限定されない。図1の例の場合、プローブケーブルフック10は、プローブホルダ40の底面に取り付けられる。以下、このプローブケーブルフック10の構成について詳説する。
【0036】
図2は、プローブケーブルフック10の斜視図であり、図3は、プローブケーブルフック10の正面図である。なお、以下の説明では、取付部12からフック部14に向かう方向を「長さ方向」と呼び、プローブケーブルフック10の板厚方向および長さ方向の双方に直交する方向を「幅方向」と呼ぶ。
【0037】
プローブケーブルフック10は、取付部12と、フック部14と、連結部16と、に大別される。この取付部12とフック部14と連結部16は、可撓性材料によって一体成形されている。プローブケーブルフック10を構成する可撓性材料としては、例えば、シリコーンゴムや天然ゴム等が採用可能である。本例では、プローブケーブルフック10は、伸張性に優れた高伸長性シリコーンゴムで構成される。
【0038】
取付部12は、プローブホルダ40の底面に取り付けられる部位である。かかる取付部12は、連結部16より幅広かつ肉厚のブロック状である。板厚方向における取付部12の両端面には、摩擦係数を高めるための摩擦突起30が複数(図示例では三つ)形成されている。
【0039】
連結部16は、取付部12の底面から下方に延びて、取付部12とフック部14とを連結するストラップ状の部位である。この連結部16は、幅方向寸法W2に比べて、長さ方向寸法L2が十分に長くなっている。例えば、連結部16の長さ方向寸法L2は、幅方向寸法W2の10倍以上である。このように連結部16を細長いストラップ状とすることで、連結部16が伸びやすくなるとともに、様々な方向に湾曲しやすくなる。結果として、フック部14の取付部12に対する動きの自由度が向上する。
【0040】
フック部14は、プローブケーブル102を保持する部位である。このフック部14は、さらに、ラッピング部20とヘッド部24とに大別される。ラッピング部20は、連結部16より幅広の帯状であり、プローブケーブル102の周囲に巻き付けられる部位である。ラッピング部20の上部、すなわち、連結部16との繋ぎ目に近い部分には、係合孔22が形成されている。係合孔22は、ヘッド部24が、挿し込まれて係合される孔である。この係合孔22は、ヘッド部24の挿入および係合が可能であれば、その形状は、特に限定されない。本例において、係合孔22は、長さ方向寸法L4が幅方向寸法W4より大きい略楕円形または略長方形である。このように、係合孔22を、長さ方向に長尺な長孔とすることで、様々な直径のプローブケーブル102を適切に保持できるが、これについては後述する。
【0041】
係合孔22の幅方向端部と、ラッピング部20の幅方向端部との間には、サイド部28が形成される。図3に示すように、このサイド部28は、その長さ方向寸法L4が、幅方向寸法W5よりも十分に大きい。このようにサイド部28を長さ方向に細長くすることで、当該サイド部28が、他の箇所に比べて、伸びやすくなり、係合孔22が変形しやすくなる。これにより、係合孔22へのヘッド部24の挿し込み、および、係合孔22からヘッド部24の離脱が容易となるが、これについても後述する。
【0042】
係合孔22の下端からラッピング部20の下端までの距離L5は、取り扱うプローブケーブル102の直径を考慮して決定される。例えば、取り扱うプローブケーブル102の最大直径を、Dmaxとした場合、距離L5は、このプローブケーブル102の周長、すなわち、(π×Dmax)より大きい。かかる寸法とすることで最大直径のプローブケーブル102も、プローブケーブルフック10で適切に保持できる。
【0043】
ヘッド部24は、ヘッド部24の下端に形成されており、係合孔22に挿し込まれて係合する部位である。このヘッド部24は、係合孔22より幅広であれば、その形状は、特に限定されない。本例において、ヘッド部24は、ラッピング部20よりも幅広となっている。より具体的に説明すると、ヘッド部24は、幅方向に延びる軸を持つ略円柱形状である。このヘッド部24には、幅方向端部に近づくにつれて徐々に縮径している。
【0044】
ラッピング部20とヘッド部24との間には、クビレ部26が設けられている。クビレ部26の幅方向寸法W6は、係合孔22の幅方向寸法W4とほぼ同じ、または、係合孔22の幅方向寸法W4より小さい。
【0045】
以上の構成のプローブケーブルフック10は、プローブホルダ40の底面に取り付けられ、プローブホルダ40から吊り下げ保持される。図4は、プローブケーブル102をフック部14で保持する様子を示す模式図である。図4に示すように、フック部14でプローブケーブル102を保持する場合、ラッピング部20でループを形成するように、ラッピング部20をプローブケーブル102の周囲に巻きつける。そして、その状態で、ヘッド部24を、係合孔22に挿入する。ここで、ヘッド部24は、係合孔22よりも幅広である。しかし、係合孔22の周囲の材料は、比較的容易に伸びるため、係合孔22は、ヘッド部24が通過できるように容易に変形する。ヘッド部24が、係合孔22を完全に通過すると、図4に示すように、係合孔22の内部には、クビレ部26が位置することになる。クビレ部26は、係合孔22とほぼ同幅、または、係合孔22より幅が細い。そのため、ヘッド部24が係合孔22を通過すると、係合孔22は、弾性復元力により元の形状に戻る。この状態になれば、ヘッド部24は、係合孔22に係合され、これにより、ラッピング部20によるループが維持される。そして、プローブケーブル102は、このループ内で保持される。
【0046】
このように、プローブケーブル102の中間部分を、ループ、ひいては、プローブケーブルフック10で保持することで、プローブケーブル102が床面に垂れ落ちることを防止できる。図5は、プローブケーブルフック10の有無によるプローブケーブル102の状態の違いを示す模式図である。図5の中段に示すように、プローブケーブルフック10がない場合、プローブケーブル102は、床面に垂れ落ちることが多い。上述した通り、プローブケーブル102が床面に垂れ落ちていると、人によるプローブケーブル102の踏みつけや、プローブケーブル102同士の絡まり、キャスタ118へのプローブケーブル102の巻き込み等を招く。
【0047】
一方、図5の上段に示すように、プローブケーブル102の中段部分をプローブケーブルフック10で保持した場合、プローブケーブル102は、超音波プローブ100から接続端子122に向かう過程で、ラッピング部20のループ部分を通過するように大きく迂回する。これにより、プローブケーブル102の余長部分が、床面に垂れ落ちることが効果的に防止される。
【0048】
なお、これまで、繰り返し述べる通り、プローブケーブル102は、プローブホルダ40の底面に取り付けられている。換言すれば、本例において、超音波プローブ100一つにつき、一つのプローブケーブル102が設けられている。かかる構成とすることで、診断者が、使用する超音波プローブ100を次々と交換した場合でも、プローブケーブル102の絡まりを効果的に防止できる。すなわち、従来でも、プローブケーブル102の垂れ落ちを防止するために、プローブケーブル102の余長部分を保持するU字フック150を設けることがあった。
【0049】
図5の下段は、U字フック150で、プローブケーブル102の中間部分を保持する様子を示している。U字フック150は、上方に開口した略U字状の部材である。こうしたU字フック150は、超音波診断装置110の周囲、例えば、操作パネル114の周縁に取り付けられる。使用者は、U字フック150のU字部分に、複数本のプローブケーブル102を纏めて載置する。こうしたU字フック150でも、プローブケーブル102の垂れ落ちをある程度防止できる。しかしながら、従来は、一つのU字フック150に、複数本のプローブケーブル102を載置している。そのため、使用者が、使用する超音波プローブ100を交換するたびに、換言すれば、使用者が、手元に引っ張るプローブケーブル102が変わるたびに、U字フック150において重なっているプローブケーブル102の上下関係が入れ替わる。結果として複数本のプローブケーブル102で一つのU字フック150を共有する従来技術の場合、複数本のプローブケーブル102が複雑に絡まるおそれがあった。
【0050】
一方、本例では、上述した通り、超音波プローブ100一つのにつき、一つのプローブケーブルフック10を設けている。そのため、使用者が、使用する超音波プローブ100を交換しても、プローブケーブル102同士の絡まりが効果的に防止される。
【0051】
ところで、超音波プローブ100の使用中、使用者は、超音波プローブ100を様々な場所に動かす。これに伴い、プローブケーブル102が、大きく引っ張られることがある。本例の場合、連結部16が細長いため、連結部16は、様々な方向に容易に撓むことができる。さらに、本例では、連結部16を含むプローブケーブルフック10全体を、高伸長性シリコーンゴムで構成するとともに、連結部16を、縦横比10以上の細長い形状としている。これにより、連結部16は、無負荷状態に比べて、2~6倍(例えば5倍以上)に伸びることができる。これにより、フック部14の可動範囲が広がり、フック部14が、プローブケーブル102の動きに適切に追従できる。結果として、本例のプローブケーブルフック10によれば、使用者による超音波プローブ100の操作を邪魔することなく、プローブケーブル102を適切に保持できる。
【0052】
ただし、当然ながら、フック部14の可動範囲には、限界がある。そして、この可動範囲を超えて、プローブケーブル102が強く引っ張られることもある。このとき、フック部14が、プローブケーブル102を強固に保持していると、プローブケーブル102にラッピング部20が食い込み、プローブケーブル102が、劣化や破損するおそれがある。
【0053】
一方、本例の場合、ラッピング部20が可撓性材料で構成されており、係合孔22が容易に変形できる。その結果、プローブケーブル102が、ある程度強い力で引っ張られた場合、ラッピング部20が構成するループに、径方向外側の力がかかる。こうした径方向外側の力がかかると、係合孔22とヘッド部24との係合が解除され、プローブケーブル102の保持が解除される。特に、上述した通り、本例では、係合孔22の両側に位置するサイド部28を、長さ方向に細長い形状としている。かかる形状とすることでサイド部28が伸びやすくなり、係合孔22が容易に変形する。また、本例では、ヘッド部24を、幅方向両端に近づくにつれて縮径する形状としている。かかる形状とした場合、ヘッド部24の周面に強く押し付けられるサイド部28は、当該ヘッド部24のテーパー面にガイドされて、幅方向外側に移動しやすくなる。そして、サイド部28が幅方向外側に移動することで、係合孔22が広がりやすくなる。結果として、係合孔22とヘッド部24との係合が、より解除されやすくなる。そして、これにより、プローブケーブル102の劣化および破損をより効果的に防止できる。
【0054】
また、上述した通り、係合孔22は、長さ方向に長尺な長孔である。かかる形状とすることで、様々な直径のプローブケーブル102を適切に保持できる。これについて図6を参照して説明する。図6は、フック部14周辺の模式的な断面図である。図6の上段に示すように、ヘッド部24で大径のプローブケーブル102を保持する場合、ラッピング部20は、大径のループを形成し、ヘッド部24は、係合孔22の上端近傍に位置する。一方、図6の下段に示すように、ヘッド部24で小径のプローブケーブル102を保持する場合、ラッピング部20は、小径のループを形成する。このとき、ループは、プローブケーブル102の重さによって、下方に引っ張られる。そのため、この場合、ループは、略しずく形状であり、ヘッド部24は、係合孔22の下端近傍にずり下がる。
【0055】
つまり、ラッピング部20をプローブケーブル102に巻き付けるとともに、ヘッド部24を、長孔である係合部に挿し込む構成とすることで、ループの形状およびヘッド部24の係合位置を、プローブケーブル102の直径に応じて変化させることができる。結果として、一つのプローブケーブルフック10で、様々な直径のプローブケーブル102に対応できる。換言すれば、上述の構成を有することで、プローブケーブルフック10の汎用性を向上できる。
【0056】
次に、プローブケーブルフック10のプローブホルダ40への取り付けについて、図7および図8を参照して説明する。図7は、プローブホルダ40の概略的な分解斜視図である。また、図8は、収容凹部52周辺の概略的な断面図である。
【0057】
プローブホルダ40は、上述した通り、超音波プローブ100を起立姿勢で保持する。このプローブホルダ40は、外カップ42と、内カップ60と、に大別される。なお、図7および図8では、外カップ42および内カップ60をいずれも単純化して図示しているが、実際には、外カップ42および内カップ60は、より多数の凹凸や突起等を有する複雑な形状を有している。
【0058】
外カップ42は、略円板状の底壁46と、底壁46の周縁から立脚する周壁44と、を有する略カップ形状である。底壁46の中央には、プローブケーブル102の通過を許容するケーブル孔48が、形成されている。さらに、周壁44および底壁46には、このケーブル孔48まで繋がる切り欠きである出入口切り欠き50が、形成されている。この外カップ42は、操作パネル114の左右端部に取り付けられている。
【0059】
内カップ60も、外カップ42と同様に、略円板状の底壁64と、底壁64の周縁から立脚する周壁62と、を有する略カップ形状である。また、内カップ60には、プローブケーブル102の通過を許容するケーブル孔65と、ケーブル孔65に繋がる出入口切り欠き66と、が形成されている。
【0060】
こうしたプローブホルダ40で、超音波プローブ100を保持させる場合、内カップ60を外カップ42の上に重ね、さらに、両カップ42,60の出入口切り欠き50,66の位相を一致させる。そして、使用者は、超音波プローブ100を起立姿勢で手に持った状態で、プローブケーブル102を、出入口切り欠き50,66から差し入れ、ケーブル孔48,65に通す。その後、使用者は、超音波プローブ100を、上側から内カップ60に差し入れる。これにより、超音波プローブ100が、プローブホルダ40で保持され、プローブケーブル102が、ケーブル孔48,65から下方に延びる。
【0061】
プローブケーブルフック10の取付部12は、外カップ42の底面に係合される。具体的に説明すると、外カップ42の底壁46には、さらに、収容凹部52と連結切り欠き54とが形成されている。収容凹部52は、底壁46から下方に陥没した凹部であり、取付部12を完全に収容する凹部である。連結切り欠き54は、収容凹部52とケーブル孔48とを繋ぐ切り欠きである。
【0062】
プローブケーブルフック10の取付部12は、ケーブル孔48から連結切り欠き54を通って、収容凹部52に収容される。このとき、取付部12は、収容凹部52の底面に引っかかる。そして、これにより、プローブケーブルフック10が、プローブホルダ40の底面から吊り下げ保持されることになる。ここで、取付部12を収容凹部52に収容する際、摩擦突起30が収容凹部52の内面に接触し、摩擦を発生させる。これにより、取付部12の収容凹部52内でのガタツキが抑制される。
【0063】
収容凹部52に取付部12が収容された状態で、内カップ60が、外カップ42の上に重ねられる。換言すれば、取付部12は、外カップ42および内カップ60により上下に挟まれる。これにより取付部12の上下方向の動きが規制され、取付部12の収容凹部52からの意図しない離脱、ひいては、プローブケーブルフック10のプローブホルダ40からの意図しない脱落を効果的に防止できる。
【0064】
以上の説明で明らかな通り、本例の取付部12の構成によれば、容易な手順で、また、プローブホルダ40を破壊することなく、プローブケーブルフック10をプローブホルダ40に着脱できる。また、上記の構成によれば、内カップ60の構成は従来から変える必要がなく、既存の内カップ60をそのまま利用できる。
【0065】
また、上述の構成の場合、プローブケーブルフック10は、プローブホルダ40の底面より下側に垂れ下がっている。かかる配置とした場合、使用者が超音波プローブ100をプローブホルダ40に抜き差しする際に、プローブケーブルフック10が、当該作業を邪魔しない。
【0066】
なお、上述したプローブケーブルフック10の取り付け形態は、一例であり適宜変更されてもよい。例えば、取付部12は、外カップ42または内カップ60の周壁44,62の上端縁に係合するクリップ形状でもよい。また、取付部12は、磁力を利用して外カップ42の底壁46に取り付けられてもよい。例えば、底壁46および取付部12の一方に、磁石を設け、他方に磁性体を設けてもよい。さらに、取付部12は、プローブホルダ40に限らず、他の場所に取り付けられてもよい。例えば、取付部12は、操作パネル114に、着脱自在に取り付けられてもよい。
【0067】
ところで、図1に示すように、プローブホルダ40は、超音波診断装置110の左右両側それぞれに配置されることがある。本例において、プローブケーブルフック10は、幅方向中心線を対称軸として線対称であり、厚み方向中心線を対称軸として、線対称である。換言すれば、本例のプローブケーブルフック10は、裏表の区別がない。かかる構成とすることで、プローブケーブルフック10を、左右いずれのプローブホルダ40にも取り付けることができる。結果として、プローブケーブルフック10の汎用性をより向上できる。
【0068】
また、これまで説明したプローブケーブルフック10の構成は、いずれも、一例である。プローブケーブルフック10は、請求項1に記載の構成を具備するのであれば適宜変更されてもよい。例えば、プローブケーブルフック10を構成する取付部12、連結部16、および、フック部14は、一体成形されていなくてもよい。例えば、取付部12は、金属等の別素材で構成されてもよい。さらに、プローブケーブルフック10の各部の形状およびサイズも、適宜変更されてもよい。例えば、ヘッド部24および係合孔22の形状は変更されてもよい。例えば、図9Aに示すように、ヘッド部24を、ラッピング部20に比べて、厚み方向に膨らんだ形状としてもよい。この場合、係合孔22の長さ方向寸法L4を、ヘッド部24の厚み方向寸法よりも小さくしておけばよい。また、別の形態として、図9Bに示すように、ヘッド部24に、複数の係合突起24aを間隔を開けて形成してもよい。各係合突起24aは、厚み方向に突出した略のこぎり歯形状である。かかる係合突起24aを複数設けることで、プローブケーブル102の直径に応じて、係合孔22との係合位置を自由に変更できる。
【符号の説明】
【0069】
10 プローブケーブルフック、12 取付部、14 フック部、16 連結部、20 ラッピング部、22 係合孔、24 ヘッド部、24a 係合突起、26 クビレ部、28 サイド部、30 摩擦突起、40 プローブホルダ、42 外カップ、44,62 周壁、46,64 底壁、48,65 ケーブル孔、50,66 出入口切り欠き、52 収容凹部、54 連結切り欠き、60 内カップ、100 超音波プローブ、102 プローブケーブル、110 超音波診断装置、112 本体部、114 操作パネル、116 ディスプレイ、118 キャスタ、122 接続端子、150 U字フック。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B