(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162330
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】有機膜形成材料、パターン形成方法、及び有機膜用化合物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20241114BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20241114BHJP
C07C 237/06 20060101ALI20241114BHJP
C07C 237/04 20060101ALI20241114BHJP
C07C 235/20 20060101ALI20241114BHJP
C07C 235/24 20060101ALI20241114BHJP
C08F 238/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G03F7/11 502
G03F7/11 503
G03F7/039 601
C07C237/06
C07C237/04 A
C07C235/20 Z
C07C235/24 Z
C07C235/24 A
C08F238/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077725
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】郡 大佑
(72)【発明者】
【氏名】山本 靖之
【テーマコード(参考)】
2H225
4H006
4J100
【Fターム(参考)】
2H225AF24N
2H225AF24P
2H225AF44P
2H225AF78N
2H225AH17
2H225AJ13
2H225AJ54
2H225AJ59
2H225AM22N
2H225AM27P
2H225AM38N
2H225AM61N
2H225AM68P
2H225AM85N
2H225AM86N
2H225AM94N
2H225AM99N
2H225AN11N
2H225AN31N
2H225AN34P
2H225AN39N
2H225AN39P
2H225AN62P
2H225BA01N
2H225BA01P
2H225BA26P
2H225BA32P
2H225CA12
2H225CB10
2H225CC03
2H225CC15
4H006AA01
4H006AB80
4J100AT13Q
4J100AT20P
4J100BA28P
4J100BA28Q
4J100BA34P
4J100BA34Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA28
4J100JA43
(57)【要約】
【課題】耐熱性や、基板に形成されたパターンの埋め込みや平坦化特性に優れるだけでなく、基板への成膜性、密着性が良好な有機膜を形成できる有機膜用化合物、前記化合物を含有する有機膜形成材料、及び前記材料を用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】有機膜形成材料であって、下記一般式(1)で示される有機膜用化合物および有機溶剤を含有するものであることを特徴とする有機膜形成材料。
【化1】
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機膜形成材料であって、下記一般式(1)で示される有機膜用化合物および有機溶剤を含有するものであることを特徴とする有機膜形成材料。
【化1】
(式中、W
1は芳香環を含むn
1価の有機基であり、Lは芳香環上の置換基であり下記一般式(2)で示されるL
1、L
2又はその両方である。芳香環上の置換基Lの総数をn
1、L
1の個数をx、L
2の個数をyとしたとき、x+y=n
1、2≦n
1≦8、0≦y≦8、0≦x≦8の関係を満たす。)
【化2】
(式中、n
2は1~3の整数を表し、R
1は下記式(3)のいずれかであり、R
2は下記一般式(4)のいずれかである。)
【化3】
【化4】
(式中、R
3は下記式(5)のいずれかであり、n
3は0または1を表し、n
4は1または2を表す。)
【化5】
【請求項2】
前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lを構成するL
1、L
2が、下記一般式(6)で示されるものであることを特徴とする請求項1に記載の有機膜形成材料。
【化6】
(式中、R
1およびR
2は前記と同じである。)
【請求項3】
前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lを構成するL
1、L
2中のR
1、R
2が、下記一般式(7)で示される組み合わせのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の有機膜形成材料。
【化7】
(式中、R
3、n
4は前記と同じである。)
【請求項4】
前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lの総数n1が、3≦n1≦6を満たすものであることを特徴とする請求項1に記載の有機膜形成材料。
【請求項5】
前記有機膜用化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mnが、1.00≦Mw/Mn≦1.15であることを特徴とする請求項1に記載の有機膜形成材料。
【請求項6】
前記有機溶剤が、沸点が180℃未満の有機溶剤1種以上と、沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機膜形成材料。
【請求項7】
更に前記有機膜形成材料が、界面活性剤および可塑剤のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の有機膜形成材料。
【請求項8】
被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜の上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記ケイ素含有レジスト中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜の上に、有機反射防止膜(BARC)を形成し、
前記BARC上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して4層膜構造とし、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記BARCと前記ケイ素含有レジスト中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項10】
被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成し、
前記無機ハードマスク中間膜の上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記無機ハードマスク中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成し、
前記無機ハードマスク中間膜の上に、有機反射防止膜(BARC)を形成し、
前記BARC上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して4層膜構造とし、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記BARCと前記無機ハードマスク中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項12】
前記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されることを特徴とする請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
前記レジスト上層膜のパターン形成方法を、波長が10nm以上300nm以下の光リソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティングまたはこれらの組み合わせによるパターン形成方法とすることを特徴とする請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記パターン形成方法における現像方法として、アルカリ現像または有機溶剤による現像とすることを特徴とする請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記被加工体として、半導体装置基板、又は前記半導体装置基板上に金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたものを用いることを特徴とする請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
前記金属として、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、コバルト、銅、銀、金、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、マンガン、モリブデン、ルテニウムまたはこれらの合金を用いることを特徴とする請求項15に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
下記一般式(1)で示されるものであることを特徴とする有機膜用化合物。
【化8】
(式中、W
1は芳香環を含むn
1価の有機基であり、Lは芳香環上の置換基であり下記一般式(2)で示されるL
1、L
2又はその両方である。芳香環上の置換基Lの総数をn
1、L
1の個数をx、L
2の個数をyとしたとき、x+y=n
1、2≦n
1≦8、0≦y≦8、0≦x≦8の関係を満たす。)
【化9】
(式中、n
2は1~3の整数を表し、R
1は下記式(3)のいずれかであり、R
2は下記一般式(4)のいずれかである。)
【化10】
【化11】
(式中、R
3は下記式(5)のいずれかであり、n
3は0または1を表し、n
4は1または2を表す。)
【化12】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機膜形成材料、パターン形成方法、及び有機膜用化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターン寸法の微細化が急速に進んでいる。リソグラフィー技術は、この微細化に併せ、光源の短波長化とそれに対するレジスト組成物の適切な選択により、微細パターンの形成を達成してきた。その中心となったのは単層で使用するポジ型フォトレジスト組成物である。この単層ポジ型フォトレジスト組成物は、塩素系あるいはフッ素系のガスプラズマによるドライエッチングに対しエッチング耐性を持つ骨格をレジスト樹脂中に持たせ、かつ露光部が溶解するようなスイッチング機構を持たせることによって、露光部を溶解させてパターンを形成し、残存したレジストパターンをエッチングマスクとして被加工基板をドライエッチング加工するものである。
【0003】
ところが、使用するフォトレジスト膜の膜厚をそのままで微細化、即ちパターン幅をより小さくした場合、フォトレジスト膜の解像性能が低下し、また現像液によりフォトレジスト膜をパターン現像しようとすると、いわゆるアスペクト比が大きくなりすぎ、結果としてパターン崩壊が起こってしまうという問題が発生した。このため、パターンの微細化に伴いフォトレジスト膜は薄膜化されてきた。
【0004】
一方、被加工基板の加工には、通常、パターンが形成されたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして、ドライエッチングにより基板を加工する方法が用いられるが、現実的にはフォトレジスト膜と被加工基板の間に完全なエッチング選択性を取ることのできるドライエッチング方法が存在しない。そのため、基板の加工中にレジスト膜もダメージを受けて崩壊し、レジストパターンを正確に被加工基板に転写できなくなるという問題があった。そこで、パターンの微細化に伴い、より高いドライエッチング耐性がレジスト組成物に求められてきた。しかしながら、その一方で、解像性を高めるために、フォトレジスト組成物に使用する樹脂には、露光波長における光吸収の小さな樹脂が求められてきた。そのため、露光光がi線、KrF、ArFと短波長化するにつれて、樹脂もノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、脂肪族多環状骨格を持った樹脂と変化してきたが、現実的には基板加工時のドライエッチング条件におけるエッチング速度は速いものになってきてしまっており、解像性の高い最近のフォトレジスト組成物は、むしろエッチング耐性が弱くなる傾向にある。
【0005】
このことから、より薄くよりエッチング耐性の弱いフォトレジスト膜で被加工基板をドライエッチング加工しなければならないことになり、この加工工程における材料及びプロセスの確保が重要である。
【0006】
このような問題を解決する方法の一つとして、多層レジスト法がある。この方法は、フォトレジスト膜(即ち、レジスト上層膜)とエッチング選択性が異なるレジスト下層膜をレジスト上層膜と被加工基板の間に介在させ、レジスト上層膜にパターンを得た後、レジスト上層膜パターンをドライエッチングマスクとして、ドライエッチングによりレジスト下層膜にパターンを転写し、更にレジスト下層膜をドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより被加工基板にパターンを転写する方法である。
【0007】
多層レジスト法の一つに、単層レジスト法で使用されている一般的なレジスト組成物を用いて行うことができる3層レジスト法がある。この3層レジスト法では、例えば、被加工基板上にノボラック樹脂等による有機膜をレジスト下層膜として成膜し、その上にケイ素含有膜をレジスト中間膜として成膜し、その上に通常の有機系フォトレジスト膜をレジスト上層膜として形成する。フッ素系ガスプラズマによるドライエッチングを行う際には、有機系のレジスト上層膜は、ケイ素含有レジスト中間膜に対して良好なエッチング選択比が取れるため、レジスト上層膜パターンはフッ素系ガスプラズマによるドライエッチングによりケイ素含有レジスト中間膜に転写することができる。この方法によれば、直接被加工基板を加工するための十分な膜厚を持ったパターンを形成することが難しいレジスト組成物や、基板の加工に十分なドライエッチング耐性を持たないレジスト組成物を用いても、ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写することができ、続いて酸素系又は水素系ガスプラズマによるドライエッチングによるパターン転写を行えば、基板の加工に十分なドライエッチング耐性を持つノボラック樹脂等による有機膜(レジスト下層膜)のパターンを得ることができる。上述のようなレジスト下層膜としては、例えば特許文献1に記載のものなど、すでに多くのものが公知となっている。
【0008】
一方、近年においては、マルチゲート構造等の新構造を有する半導体装置の製造検討が活発化しており、これに呼応し、レジスト下層膜に対して従来以上の優れた平坦化特性及び埋め込み特性の要求が高まってきている。例えば、下地の被加工基板にホール、トレンチ、フィン等の微小パターン構造体がある場合、レジスト下層膜によってパターン内を空隙なく膜で埋め込む(gap-filling)特性が必要になる。また、下地の被加工基板に段差がある場合や、パターン密集部分とパターンのない領域が同一ウエハー上に存在する場合、レジスト下層膜によって膜表面を平坦化(planarization)する必要がある。レジスト下層膜表面を平坦化することによって、その上に成膜するレジスト中間膜やレジスト上層膜の膜厚変動を抑え、リソグラフィーのフォーカスマージンやその後の被加工基板の加工工程でのマージン低下を抑制することができる。
【0009】
また、埋め込み/平坦化特性に優れた有機膜材料は、多層レジスト用下層膜に限定されず、例えばナノインプリンティングによるパターニングに先立つ基板平坦化等、半導体装置製造用平坦化材料としても広く適用可能である。更に、半導体装置製造工程中のグローバル平坦化にはCMPプロセスが現在一般的に用いられているが、CMPは高コストプロセスであり、これに代わるグローバル平坦化法を担う材料としても期待される。
【0010】
凹凸のある半導体基板を平坦化するための平坦化膜形成のために、芳香族化合物とカルボニル基などの炭素酸素間二重結合をもつ化合物との反応により得られる重合体を含むレジスト下層膜材料が提案されている(特許文献2)。しかしながら、前記材料は、基板中の幅の広いトレンチ部位での平坦化性能などが最先端デバイスにおける要求に対しては不十分であり、より広範な基板構造上での平坦性に優れるレジスト下層膜材料が求められてきている。
【0011】
また、上記の通り被加工基板の構造は複雑化しており、さらに被加工基板の表面も歪シリコンやガリウムヒ素などを用いた電子移動度の高い新規材料やオングストローム単位で制御された超薄膜ポリシリコン等も検討されており、多種多様な非加工基板表面形状および材質に対して成膜されることが想定される。そのためプロセスマージンを確保するため優れた埋め込み、平坦化特性だけでなく被加工基板の材質、形状の依存性なく成膜できることも重要な特性となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004-205685号公報
【特許文献2】国際公開第2019/225615号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、耐熱性や、基板に形成されたパターンの埋め込みや平坦化特性に優れるだけでなく、基板への成膜性、密着性が良好な有機膜を形成できる有機膜用化合物、前記化合物を含有する有機膜形成材料、及び前記材料を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明では、有機膜形成材料であって、下記一般式(1)で示される有機膜用化合物および有機溶剤を含有するものである有機膜形成材料を提供する。
【化1】
(式中、W
1は芳香環を含むn
1価の有機基であり、Lは芳香環上の置換基であり下記一般式(2)で示されるL
1、L
2又はその両方である。芳香環上の置換基Lの総数をn
1、L
1の個数をx、L
2の個数をyとしたとき、x+y=n
1、2≦n
1≦8、0≦y≦8、0≦x≦8の関係を満たす。)
【化2】
(式中、n
2は1~3の整数を表し、R
1は下記式(3)のいずれかであり、R
2は下記一般式(4)のいずれかである。)
【化3】
【化4】
(式中、R
3は下記式(5)のいずれかであり、n
3は0または1を表し、n
4は1または2を表す。)
【化5】
【0015】
このような有機膜形成材料であれば、耐熱性や、基板に形成されたパターンの埋め込みや平坦化特性に優れるだけでなく、基板への成膜性、密着性が良好な有機膜を形成できる。
【0016】
また、本発明では、前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lを構成するL
1、L
2が、下記一般式(6)で示されるものであることが好ましい。
【化6】
(式中、R
1およびR
2は前記と同じである。)
【0017】
このような構造を導入することで熱流動性、耐熱性という相反する特性を両立すること可能となる。
【0018】
また、本発明では、前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lを構成するL
1、L
2中のR
1、R
2が、下記一般式(7)で示される組み合わせのいずれかであることが好ましい。
【化7】
(式中、R
3、n
4は前記と同じである。)
【0019】
このような組み合わせで構成することで熱硬化性を向上させ、耐熱性の良い有機膜を形成することが可能となる。
【0020】
前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lの総数n1が、3≦n1≦6を満たすものであることが好ましい。
【0021】
このような範囲で置換基である熱硬化基数を調整することにより、熱硬化基が過剰とならないので、急激な熱硬化が引き起こされず、熱流動性が低下しないため、平坦化特性が劣化せず、熱硬化基不足による溶剤耐性や耐熱性不足などを引き起こす恐れがない。
【0022】
また、本発明では、前記有機膜用化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mnが、1.00≦Mw/Mn≦1.15であることが好ましい。
【0023】
このようなMw/Mnであれば、埋め込み特性と平坦性に優れた有機膜を形成することができる。
【0024】
また、本発明では、前記有機溶剤が、沸点が180℃未満の有機溶剤1種以上と、沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上との混合物であることが好ましい。
【0025】
上記有機溶剤が上記混合物であれば、上記有機膜用化合物に高沸点溶剤の添加による有機膜の熱流動性が付与されることで、有機膜形成材料は高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つものとなる。
【0026】
また、本発明では、更に前記有機膜形成材料が、界面活性剤および可塑剤のうち1種以上を含有するものであることが好ましい。
【0027】
このような成分を含む有機膜形成材料であれば、塗布性、埋め込み/平坦化特性のより優れたものとなる。
【0028】
また、本発明では、被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、上記に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜の上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記ケイ素含有レジスト中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成するパターン形成方法を提供する。
【0029】
上記3層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0030】
また、本発明では、被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、上記に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜の上に、有機反射防止膜(BARC)を形成し、
前記BARC上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して4層膜構造とし、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記BARCと前記ケイ素含有レジスト中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成するパターン形成方法を提供する。
【0031】
上記4層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンをより一層高精度で形成することができる。
【0032】
更に、本発明では、被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、上記に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成し、
前記無機ハードマスク中間膜の上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記無機ハードマスク中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成するパターン形成方法を提供する。
【0033】
この3層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0034】
加えて、本発明では、被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、上記に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成し、
前記無機ハードマスク中間膜の上に、有機反射防止膜(BARC)を形成し、
前記BARC上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して4層膜構造とし、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記BARCと前記無機ハードマスク中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成するパターン形成方法を提供する。
【0035】
この4層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンをより高精度で形成することができる。
【0036】
この場合、前記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されることが好ましい。
【0037】
上記無機ハードマスク中間膜をCVD法又はALD法によって形成すると、被加工体に微細なパターンをより高精度で形成することができる。
【0038】
この時、前記レジスト上層膜のパターン形成方法を、波長が10nm以上300nm以下の光リソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティングまたはこれらの組み合わせによるパターン形成方法とすることが好ましい。
【0039】
上記レジスト上層膜に回路パターンを形成する方法として上記方法を用いると、被加工体に微細なパターンをより高精度で形成することができる。
【0040】
この時、前記パターン形成方法における現像方法として、アルカリ現像または有機溶剤による現像とすることが好ましい。
【0041】
現像方法として、アルカリ現像または有機溶剤による現像を用いると、被加工体に微細なパターンをより高精度で形成することができる。
【0042】
この時、前記被加工体として、半導体装置基板、又は前記半導体装置基板上に金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたものを用いることが好ましい。
【0043】
本発明では、上記被加工体として、例えば、上記のものを用いることができる。
【0044】
この時、前記金属として、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、コバルト、銅、銀、金、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、マンガン、モリブデン、ルテニウムまたはこれらの合金を用いることが好ましい。
【0045】
上記金属としてこれらのものを用いることができる。
【0046】
また、本発明では、下記一般式(1)で示されるものである有機膜用化合物を提供する。
【化8】
(式中、W
1は芳香環を含むn
1価の有機基であり、Lは芳香環上の置換基であり下記一般式(2)で示されるL
1、L
2又はその両方である。芳香環上の置換基Lの総数をn
1、L
1の個数をx、L
2の個数をyとしたとき、x+y=n
1、2≦n
1≦8、0≦y≦8、0≦x≦8の関係を満たす。)
【化9】
(式中、n
2は1~3の整数を表し、R
1は下記式(3)のいずれかであり、R
2は下記一般式(4)のいずれかである。)
【化10】
【化11】
(式中、R
3は下記式(5)のいずれかであり、n
3は0または1を表し、n
4は1または2を表す。)
【化12】
【0047】
このような有機膜用化合物であれば、耐熱性や、基板に形成されたパターンの埋め込みや平坦化特性に優れるだけでなく、基板への成膜性、密着性が良好な有機膜を形成できる有機膜形成材料に用いることができるものとなる。
【発明の効果】
【0048】
以上説明したように、本発明の有機膜形成材料は、耐熱性、埋め込み/平坦化特性などの諸特性を兼ね備え、加工基板の依存性なく成膜可能な有機膜を形成するのに有用な材料となる。そのため、例えば、2層レジストプロセス、ケイ素含有レジスト下層膜を用いた3層レジストプロセス又はケイ素含有レジスト中間膜及び有機反射防止膜を用いた4層レジストプロセスといった多層レジストプロセスにおける有機膜形成材料、あるいは、半導体装置製造用平坦化材料として極めて有用である。また、本発明のパターン形成方法であれば、多層レジストプロセスにおいて、被加工基板に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0049】
上記一般式(1)で示される本発明の有機膜用化合物は耐熱性、熱硬化性に優れるため化合物単体で有機膜材料とすることが可能であり、熱流動性に優れるため有機膜をレジスト下層膜として用いた際にパターン基板に対する埋め込み/平坦化特性にも優れる。
また、分子内にアミド構造を有すため耐熱性だけでなく、基板への密着性や成膜性なども改善することが可能である。また、アミド構造と芳香環との間にアルキレン基を導入することにより結晶性を下げ、熱流動性だけでなく成膜性も改善する。さらにW1で示される主骨格を適宜選択することにより光学特性やエッチング耐性といった有機膜をレジスト下層膜として用いた場合の諸物性を要求性能に合わせて調整することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明の3層レジストプロセスによるパターン形成方法の一例の説明図である。
【
図2】実施例における埋め込み特性評価方法の説明図である。
【
図3】実施例における平坦化特性評価方法の説明図である。
【
図4】実施例における密着性測定方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
前述通り、半導体装置製造工程における多層レジスト法による微細パターニングプロセスにおいて、幅の広いトレンチ構造(wide trench)など特に平坦化が困難な部分を有する被加工基板上であっても、成膜性、平坦性に優れた有機膜を形成できる有機膜形成材料、これを用いたパターン形成方法、及び有機膜用化合物が求められていた。
【0052】
本発明者は、本発明の特定の芳香環上の置換基を有する化合物を用いた有機膜形成材料は埋め込み/平坦化特性に優れた有機膜を形成するために有用なことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0053】
即ち、本発明は、有機膜形成材料であって、下記一般式(1)で示される有機膜用化合物および有機溶剤を含有するものである有機膜形成材料である。
【化13】
(式中、W
1は芳香環を含むn
1価の有機基であり、Lは芳香環上の置換基であり下記一般式(2)で示されるL
1、L
2又はその両方である。芳香環上の置換基Lの総数をn
1、L
1の個数をx、L
2の個数をyとしたとき、x+y=n
1、2≦n
1≦8、0≦y≦8、0≦x≦8の関係を満たす。)
【化14】
(式中、n
2は1~3の整数を表し、R
1は下記式(3)のいずれかであり、R
2は下記一般式(4)のいずれかである。)
【化15】
【化16】
(式中、R
3は下記式(5)のいずれかであり、n
3は0または1を表し、n
4は1または2を表す。)
【化17】
【0054】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
<有機膜形成材料>
本発明の有機膜形成材料は、下記一般式(1)で示される有機膜用化合物および有機溶剤を含有するものである。以下、本発明の有機膜形成材料に含まれる各成分について詳細に説明する。
【0056】
<有機膜用化合物>
本発明の有機膜用化合物は、下記一般式(1)で示されるものである。
【化18】
(式中、W
1は芳香環を含むn
1価の有機基であり、Lは芳香環上の置換基であり下記一般式(2)で示されるL
1、L
2又はその両方である。芳香環上の置換基Lの総数をn
1、L
1の個数をx、L
2の個数をyとしたとき、x+y=n
1、2≦n
1≦8、0≦y≦8、0≦x≦8の関係を満たす。)
【化19】
(式中、n
2は1~3の整数を表し、R
1は下記式(3)のいずれかであり、R
2は下記一般式(4)のいずれかである。)
【化20】
【化21】
(式中、R
3は下記式(5)のいずれかであり、n
3は0または1を表し、n
4は1または2を表す。)
【化22】
【0057】
上記一般式(1)中のW1は芳香環を含むn1価の有機基であり、具体的には下記に示される構造などを例示することができる。これらの芳香環上にはL以外の置換を有してもよく、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のアルキニル基又はアルケニル基、炭素数6~10のアリール基、ニトロ基、ハロゲン基、ニトリル基、スルホニル基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、炭素数2~10のアルカノイルオキシ基などを例示することができる。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lの総数n1が、3≦n1≦6を満たすものであることが好ましい。
【0069】
さらにW
1とLで示される上記一般式(1)の構造式は、下記一般式(8)で示される構造式、即ち芳香環上の置換基Lが、下記のようなW
2とエーテル結合を介して結合する芳香環の置換基であることが好ましい。W
2はn
6価の有機基であり、n
5は1または2を表し、n
6は1~3の整数を表す。このとき、上記一般式(1)中の芳香環上の置換基Lの置換基数であるn
1はn
5とn
6の積となり、このとき3≦n
5×n
6≦6となる関係を満たす。このようにW
2との連結基をエーテル結合を介した芳香環上の置換基とすることで耐熱性を損なわず、熱流動性を付与することが可能となる。
【化33】
【0070】
上記一般式(8)中のW
2としては下記が好ましい。このような構造が原料入手の容易さの観点から好ましい。
【化34】
(式中、破線部は結合手を表す。)
【0071】
上記一般式(2)で示される芳香環上の置換基LであるL
1またはL
2は、表される置換が酸素原子または窒素原子を介してR
1、R
2を含む置換基で構成されていて、置換基の構造はL
1の酸素原子以降とL
2の窒素原子以降は同一である。この同一構造となる末端基構造を便宜的にR
4とするとL
1、L
2は下記一般式(9)の通り示すことができる。
【化35】
(式中、R
1、R
2、n
2は前記と同じである。)
【0072】
上記一般式(9)のL1およびL2のR4としては下記の構造を例示することができる。R4中の結合手とアミド結合との間に連結されたアルキレン鎖は流動性付与と成膜性に寄与する連結基であり、末端の不飽和結合を有する架橋基の硬化性とを組み合わせることで平坦性と流動性を発現させている。アルキレン基を導入することによりW1で示される骨格を剛直な構造とした場合でも結晶性を緩和し、熱流動性、成膜性を付与することが可能となる。この中でもn2=1かつプロパルギル基、またはエチニル基を持つものが耐熱性の観点から好ましく、さらにR1が水素原子でないもの、つまり、R1、R2に水素原子以外の置換基を有する3級アミド構造を有すものが熱流動性付与、溶剤溶解性完全の観点からさらに好ましい(下記式中、n2は前記と同じであり、破線は酸素原子、窒素原子との結合手を示す)。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lを構成するL
1、L
2が、下記一般式(6)で示されるものであることが好ましい。化合物の合成面、得られる化合物の耐熱性の観点から下記であることが好ましい。
【化39】
(式中、R
1およびR
2は前記と同じである。)
【0077】
前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lを構成するL
1、L
2中のR
1、R
2が、下記一般式(7)で示される組み合わせのいずれかであることが好ましい。このような組み合わせとすることで熱硬化性と熱流動性のバランス耐熱性に優れた有機膜を形成できる。
【化40】
(式中、R
3、n
4は前記と同じである。)
【0078】
さらに芳香環族の置換基Lを構成するL1、L2上の置換基R1、R2は複数の構造を組み合わせて用いることができる。具体的には製造方法で示すが、複数の末端基を導入する試薬を組み合わせて用いることで任意の割合でL1、L2上の置換基R1、R2の割合を調整することが可能である。
【0079】
加えて、上記一般式(1)で示される有機膜用化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mnが、1.00≦Mw/Mn≦1.15であることが好ましく、1.00≦Mw/Mn≦1.10であることがより好ましい。定義上、単分子化合物であればMw/Mnは1.00となるがゲルパーミエーションクロマトグラフィー法の分離性の都合で、測定値が1.00を超える場合がある。一般的に繰り返し単位を有する重合体は特殊な重合法を用いない限り、Mw/Mn=1.00に近づけることは極めて困難であり、Mwの分布を有しMw/Mnは1を超える値となる。本発明では単分子化合物と重合体を区別するため単分子性を示す指標として1.00≦Mw/Mn≦1.15を定義した。また、前記の通り複数の末端基構造を組み合わせた化合物を用いる場合は、単一化合物とは異なりMw/Mnの分布を持つため上記のMw/Mnの範囲を設定した。また、この場合であっても重合体と異なりMw/Mnの分布は大きな値とはならない。
【0080】
有機膜用化合物のMw/Mnをこのような範囲で制御することで埋め込み特性と平坦性に優れた有機膜を形成することができる。
【0081】
本発明の有機膜用化合物に導入した置換基の組み合わせにより、熱硬化性、熱流動性、密着性を付与することができるため、本発明の有機膜用化合物を用いることで耐熱性、埋め込み/平坦化特性、成膜性などに優れた有機膜を形成することができる。
【0082】
[有機膜用化合物の製造方法]
本発明の一般式(1)で示される有機膜用化合物の製造方法の一例として、下記に示す脱離基Xを有するR1、R2を置換基としてもつ化合物(修飾化剤)と、芳香環上に水酸基を持つ化合物、所謂、フェノール類または芳香環上にアミノ基を置換基にもつ化合物、所謂、アニリン類との塩基触媒を用いた置換反応等により得る方法などが例示できる。STEP1、STEP2に用いる反応には単独または2種以上の原料を用いることも可能であり、これらは要求される特性に応じて適宜選択し組み合わせることができる。下記式中のR1、R2、W1、n1、n2は前記と同じであり、Xはハロゲン原子、トシレート基、又はメシレート基を表す。
【0083】
【0084】
【0085】
さらに芳香環上に水酸基とアミノ基を両方持つ場合は下記の通り、水酸基数をx,アミノ基数をyとしてx+y=n1、2≦n1≦8、0≦x≦8、0≦y≦8の関係を満たすように原料の置換基数を調整すればよい(パターン1)。また、芳香環上の水酸基またはアミノ基を任意の割合で複数の修飾化剤を用いて反応を行い、任意の割合で水酸基またはアミノ基上の置換基の導入率を制御することが可能である。一例として2種類の置換基R1aとR2a、R1bとR2bという異なる組み合わせの置換基を持つ場合であれば、R1a、R2aを持つ置換基の導入割合をa%、R1b、R2bを持つ置換基の導入割合をb%としたときa+b=100%となるように任意の割合で導入率を制御することができる(パターン2、パターン3)。これはパターン1の通り水酸基、アミノ基を同時に持つ場合でも導入率制御が可能である、さらに3種以上の修飾化剤を用いた場合であっても置換基導入率が100%になるように任意の割合で導入率を制御することが可能である。下記式中、W1、R1、R2は前記と同じであり、x、yはx+y=n1を満たす整数である。R1aとR2a、R1bとR2bは前記R1とR2のいずれかであるが、R1a≠R1b、R2a≠R2bの関係を満たす。n1中に含まれるR1a、R2aを置換基として持つ割合をa%、R1b、R2bを置換基として持つ割合をb%とした場合、a+b=100%を満たし、n1aはn1×a÷100、n1bはn1×b÷100を表し、n1a+n1b=n1の関係を満たす。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
上記で示される置換反応の塩基触媒としては炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、リン酸カリウム等の無機塩基化合物、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン等の有機アミン化合等が挙げられ、これらを単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。これの触媒の使用量は原料の置換基である水酸基またはアミノ基に対して0.1~20モル、好ましくは0.2~10モルの範囲である。
【0090】
このときに用いられる溶媒としては、上記反応に不活性な溶媒であれば特に制限はないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、水等、これらを単独または混合して用いることができる。これらの溶媒は、反応原料100質量部に対して0~2,000質量部の範囲で使用でき、反応温度は-50℃から溶媒の沸点程度が好ましく、室温~150℃が更に好ましい。反応時間は0.1~100時間から適宜選択される。
【0091】
反応方法としてはフェノール類またはアニリン類、修飾化剤を溶媒中に一括で仕込む方法、フェノール類またはアニリン類、修飾化剤を各々または混合し、分散または溶解したものを滴下して仕込む方法、フェノール類またはアニリン類、修飾化剤のいずれか一方を溶媒中に分散または溶解後、溶剤に分散または溶解したもう一方を滴下して仕込む方法などがある。また、フェノール類またはアニリン類、修飾化剤をそれぞれ複数種類仕込む場合は、あらかじめ混合し反応させる方法、個別に順次反応させることもできる。触媒を用いる場合は、フェノール類またはアニリン類、修飾化剤を一括に仕込む方法、触媒をあらかじめ分散または溶解した後に滴下する方法などが挙げられる。反応終了後、系内に存在する未反応の原料、触媒等を除去するために有機溶剤へ希釈後、分液洗浄や貧溶剤で晶出して粉体にすることもできる。また、有機溶剤へ希釈後、所望の有機溶剤へ溶剤置換を行い溶液として回収することも可能である。さらに晶出などにより粉体として回収した後も所望の有機溶剤に溶解し溶液として回収することもできる。
【0092】
分液洗浄を行う場合の有機溶剤としては、目的物を溶解でき、水と混合しても2層分離するものであれば特に制限はないが、例えばヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、エチルシクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエチレン等の塩素系溶剤類、及びこれらの混合物などを挙げることが出来る。この際に使用する洗浄水は、通常、脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。洗浄回数は1回以上あればよいが、10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られるとは限らないため、好ましくは1~5回程度である。
【0093】
分液洗浄の際に系内の酸性成分を除去するため、塩基性水溶液で洗浄を行ってもよい。塩基としては、具体的には、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニア、及び有機アンモニウム等が挙げられる。
【0094】
更に、分液洗浄の際に系内の金属不純物または塩基成分を除去するため、酸性水溶液で洗浄を行ってもよい。酸としては、具体的には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヘテロポリ酸等の無機酸類、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸類等が挙げられる。
【0095】
上記の塩基性水溶液、酸性水溶液による分液洗浄はいずれか一方のみでもよいが、組み合わせて行うこともできる。分液洗浄は、塩基性水溶液、酸性水溶液の順に行うのが金属不純物除去の観点から好ましい。
【0096】
上記の塩基性水溶液、酸性水溶液による分液洗浄後、続けて中性の水で洗浄してもよい。洗浄回数は1回以上行えばよいが、好ましくは1~5回程度である。中性の水としては、上記で述べた脱イオン水や超純水等を使用すればよい。洗浄回数は1回以上であればよいが、回数が少なくては塩基成分、酸性成分を除去できないことがある。10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られるとは限らないため、好ましくは1~5回程度である。
【0097】
更に、分液操作後の反応生成物は減圧又は常圧で溶剤を濃縮乾固又は晶出操作を行い粉体として回収することもできるが、有機膜形成材料を調製する際の操作性改善のため、適度な濃度の溶液状態にしておくことも可能である。このときの濃度としては、0.1~50質量%が好ましく、より好ましくは0.5~30質量%である。このような濃度であれば、粘度が高くなりにくいことから操作性が損なわれず、また、溶剤の量が過大となることがないことから経済的になる。
【0098】
このときの溶剤としては、有機膜用化合物を溶解できるものであれば特に制限はないが、具体例を挙げると、シクロヘキサノン、メチル-2-アミルケトン等のケトン類;3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル類が挙げられ、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
【0099】
この方法で得られる有機膜形成材料に用いられる有機膜用化合物の調製には、前記の通り種々の修飾化剤を要求性能に合わせて単独または複数組み合わせて用いることが可能である。例えば平坦化特性の向上に寄与する側鎖構造、エッチング耐性、耐熱性に寄与する芳香環構造などを持つものを任意の割合で組み合わせることができる。そのため、これらの有機膜用化合物を用いた有機膜形成材料は埋め込み/平坦化特性および成膜性だけでなくエッチング耐性や光学特性を高い次元で両立することが可能となる。
【0100】
以上のように、本発明の有機膜用化合物であれば、優れた埋め込み/平坦化特性および成膜性を発現できる有機膜形成材料を与えるものとなる。
【0101】
なお、本発明の上記有機膜用化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0102】
[有機溶剤]
本発明の有機膜形成材料において使用可能な有機溶剤としては、前記の本発明の有機膜用化合物、並びに任意成分である界面活性剤、可塑剤、酸発生剤、架橋剤、その他添加剤等が溶解するものであれば特に制限はない。具体的には、特開2007-199653号公報中の[0091]~[0092]段落に記載されている有機溶剤などの沸点が180℃未満の有機溶剤を使用することができる。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2-ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びこれらのうち2種以上の混合物が好ましく用いられる。
【0103】
このような有機膜形成材料であれば、回転塗布で塗布することができ、また上述のような本発明の有機膜用化合物を含有するため、耐熱性及び高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ有機膜形成材料となる。
【0104】
更に、本発明の有機膜形成材料には有機溶剤として、上記の沸点が180℃未満の有機溶剤に沸点が180℃以上の高沸点溶剤を添加する事も可能である(沸点が180℃未満の有機溶剤と沸点が180℃以上の有機溶剤との混合物)。高沸点有機溶剤としては、有機膜用化合物、並びに任意成分である界面活性剤、可塑剤、酸発生剤、架橋剤、その他添加剤等を溶解できるものであれば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、塩素系溶剤等の制限は特にはないが、具体例として1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、酢酸n-ノニル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリアセチン、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、γ-ブチロラクトン、マロン酸ジヘキシル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジヘキシル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチルなどを例示することができ、これらを単独または混合し用いても良い。
【0105】
上記高沸点溶剤の沸点は、有機膜形成材料を熱処理する温度に合わせて適宜選択すればよく、添加する高沸点溶剤の沸点は180℃~300℃であることが好ましく、更に好ましくは200℃~300℃であることが好ましい。このような沸点であれば沸点が低すぎることによってベーク(熱処理)した際の揮発が速すぎる恐れがないため、十分な熱流動性を得ることができる。また、このような沸点であれば沸点が高すぎることによってベーク後も膜中に揮発せずに残存してしまうことがないため、エッチング耐性等の膜物性に悪影響を及ぼす恐れがない。
【0106】
また、上記高沸点溶剤を使用する場合、高沸点溶剤の配合量は、沸点180℃未満の有機溶剤100質量部に対して1~30質量部とすることが好ましい。このような配合量であれば、配合量が少なすぎてベーク時に十分な熱流動性が付与することができなくなったり、配合量が多すぎて膜中に残存しエッチング耐性などの膜物性の劣化につながったりする恐れがない。
【0107】
このような有機膜形成材料であれば、上記の有機膜用化合物に高沸点溶剤の添加による熱流動性が付与されることで、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ有機膜形成材料となる。
【0108】
本発明では、更に上記有機膜形成材料が、界面活性剤および可塑剤のうち1種以上を含有するものであることが好ましい。
【0109】
[界面活性剤]
本発明の有機膜形成材料には、スピンコーティングにおける塗布性を向上させるために、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えば、特開2009-269953号公報中の[0142]~[0147]段落に記載のものを用いることができる。
【0110】
上記界面活性剤を1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。界面活性剤を添加する場合の添加量は、前記有機膜用化合物100質量部に対して好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.05~5質量部である。
【0111】
[可塑剤]
また、本発明の有機膜形成材料には、平坦化/埋め込み特性を更に向上させるために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、特に限定されることはなく、公知の種々の系統の可塑剤を広く用いることができる。一例として、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、リン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類などの低分子化合物、ポリエーテル系、ポリエステル系、特開2013-253227号公報に記載のポリアセタール系重合体などのポリマーを例示できる。可塑剤を添加する場合の添加量は、前記有機膜用化合物100質量部に対して好ましくは1~100質量部、より好ましくは5~30質量部である。
【0112】
また、本発明の有機膜形成材料には、埋め込み/平坦化特性を可塑剤と同じように付与するための添加剤として、例えば、ポリエチレングリコール、若しくはポリプロピレングリコール構造を有する液状添加剤、又は30℃から250℃までの間の重量減少率が40質量%以上であり、かつ重量平均分子量が300~200,000である熱分解性重合体が好ましく用いられる。この熱分解性重合体は、下記一般式(DP1)、(DP1a)で示されるアセタール構造を有する繰り返し単位を含有するものであることが好ましい。これらの熱分解性重合体を添加する場合の添加量は、前記有機膜用化合物100質量部に対して好ましくは1~100質量部、より好ましくは5~30質量部である。
【0113】
【化46】
(式中、R
aは水素原子又は置換されていてもよい炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の一価有機基である。Lは炭素数2~30の飽和又は不飽和の二価有機基である。)
【0114】
【化47】
(式中、R
bは炭素数1~4のアルキル基である。Zは炭素数4~10の飽和又は不飽和の二価炭化水素基であり、エーテル結合を有していてもよい。tは平均繰り返し単位数を表し、3~500である。)
【0115】
さらに上記同様の埋め込み/平坦化特性を改善するための添加剤として下記の流動性促進剤を用いることができる。流動性促進剤としては下記一般式(i)~(iii)から選択される1つ以上の化合物を用いることができる。これらの流動性促進剤を添加する場合の添加量は、前記有機膜用化合物100質量部に対して好ましくは1~100質量部、より好ましくは5~30質量部である。
【0116】
【化48】
(式中、R
cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、または置換されていてもよい炭素数1~10の有機基である。W
aは、フェニレン基、または下記一般式(i-1)で示される2価の基である。W
b、W
cは単結合または下記式(i-2)で示される2価の基である。m
aは1~10の整数であり、n
aは0~5の整数である。)
【化49】
(式中、*は結合位置を示し、R
d、R
e、R
f、R
gは、水素原子、水酸基、または炭素数1~10の有機基である。W
d、W
eはそれぞれ独立して、単結合またはカルボニル基である。m
b、m
cは0~10の整数であり、m
b+m
c≧1である。)
【化50】
(式中、*は結合位置を示す。)
【0117】
【化51】
(式中、R
hは、それぞれ独立して、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~10の有機基である。W
fは、下記一般式(ii-1)で示される2価の基である。W
gは単結合または下記式(ii-2)で示される2価の基である。m
dは2~10の整数であり、n
bは0~5の整数である。)
【化52】
(式中、*は結合位置を示し、R
i、R
j、R
k、R
lは水素原子、水酸基、または炭素数1~10の有機基である。m
e、m
fは0~10の整数であり、m
e+m
f≧1である。)
【化53】
(式中、*は結合位置を示す。)
【0118】
【化54】
(式中、R
m、R
nは、水素原子、水酸基、または置換されていてもよい炭素数1~10の有機基であり、互いに結合して環状構造を形成してもよい。R
o、R
pは炭素数1~10の有機基であり、R
oは芳香族環又は下記一般式(iii-1)で示される2価の基のどちらか一方を含む基である。W
g、W
hは、単結合または下記式(iii-2)で示される2価の基であり、少なくとも一方は下記式(iii-2)で示される2価の基である。)
【化55】
(式中、*は結合位置を示し、W
iは、炭素数1~4の有機基である。)
【化56】
(式中、*は結合位置を示す。)
【0119】
[酸発生剤]
本発明の有機膜形成材料においては、硬化反応を更に促進させるために酸発生剤を添加することができる。酸発生剤は熱分解によって酸を発生するものや、光照射によって酸を発生するものがあるが、いずれのものも添加することができる。具体的には、特開2007-199653号公報中の[0061]~[0085]段落に記載されている材料を添加することができるがこれらに限定されない。
【0120】
上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。酸発生剤を添加する場合の添加量は、前記有機膜用化合物100質量部に対して好ましくは0.05~50質量部、より好ましくは0.1~10質量部である。
【0121】
[架橋剤]
また、本発明の有機膜形成材料には、硬化性を高め、レジスト上層膜とのインターミキシングを更に抑制するために、架橋剤を添加することもできる。架橋剤としては、特に限定されることはなく、公知の種々の系統の架橋剤を広く用いることができる。一例として、メラミン系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤、ベンゾグアナミン系架橋剤、ウレア系架橋剤、β-ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤、イソシアヌレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、多核フェノール系架橋剤を例示できる。
【0122】
メラミン系架橋剤として、具体的には、ヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
グリコールウリル系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、テトラブトキシメチル化グリコールウリル、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ベンゾグアナミン系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラブトキシメチル化ベンゾグアナミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ウレア系架橋剤として、具体的には、ジメトキシメチル化ジメトキシエチレンウレア、このアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
β-ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤として具体的には、N,N,N’,N’-テトラ(2-ヒドロキシエチル)アジピン酸アミドを例示できる。
イソシアヌレート系架橋剤として具体的には、トリグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートを例示できる。
アジリジン系架橋剤として具体的には、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオナート]を例示できる。
オキサゾリン系架橋剤として具体的には、2,2’-イソプロピリデンビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)、2,2’-イソプロピリデンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-メチレンビス4,5-ジフェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-フェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-tertブチル-2-オキサゾリン、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、1,4-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2-イソプロペニルオキサゾリン共重合体を例示できる。
エポキシ系架橋剤として具体的には、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルを例示できる。
【0123】
多核フェノール系架橋剤としては、具体的には下記一般式(1A)で示される化合物を例示することができる。
【化57】
(式中、Qは単結合、又は炭素数1~20のs価の炭化水素基である。R
10は水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基である。sは1~5の整数である。)
【0124】
Qは単結合、又は炭素数1~20のs価の炭化水素基である。sは1~5の整数であり、2または3であることがより好ましい。Qとしては具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルペンタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、エチルイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、メチルナフタレン、エチルナフタレン、エイコサンからq個の水素原子を除いた基を例示できる。R10は水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基である。炭素数1~20のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基、デシル基、エイコサニル基を例示でき、水素原子またはメチル基が好ましい。
【0125】
上記一般式(1A)で示される化合物の例として、具体的には下記の化合物を例示できる。この中でも有機膜の硬化性および膜厚均一性向上の観点からトリフェノールメタン、トリフェノールエタン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンのヘキサメトキシメチル化体が好ましい。式中、R
10は前記と同じである。
【化58】
【0126】
【0127】
上記架橋剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の添加量は、前記有機膜用化合物100質量部に対して好ましくは1~100質量部、より好ましくは5~50質量部である。
【0128】
[その他の成分]
本発明の有機膜形成材料には更に別の化合物やポリマーをブレンドすることもできる。ブレンド用化合物又はブレンド用ポリマーは、本発明の有機膜形成材料と混合し、スピンコーティングの成膜性や、段差を有する基板での埋め込み特性を向上させる役割を持つ。
【0129】
このような材料としては、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、3,4-ジメチルフェノール、3,5-ジメチルフェノール、2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、3-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2-フェニルフェノール、3-フェニルフェノール、4-フェニルフェノール、3,5-ジフェニルフェノール、2-ナフチルフェノール、3-ナフチルフェノール、4-ナフチルフェノール、4-トリチルフェノール、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、カテコール、4-tert-ブチルカテコール、2-メトキシフェノール、3-メトキシフェノール、2-プロピルフェノール、3-プロピルフェノール、4-プロピルフェノール、2-イソプロピルフェノール、3-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、2-メトキシ-5-メチルフェノール、2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、ピロガロール、チモール、イソチモール、4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,2’-ジメチル-4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,2’-ジアリル-4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,2’-ジフルオロ-4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,2’-ジフェニル-4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,2’-ジメトキシ-4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,3,2’,3’-テトラヒドロ-(1,1’)-スピロビインデン-6,6’-ジオール、3,3,3’,3’-テトラメチル-2,3,2’,3’-テトラヒドロ-(1,1’)-スピロビインデン-6,6’-ジオール、3,3,3’,3’,4,4’-ヘキサメチル-2,3,2’,3’-テトラヒドロ-(1,1’)-スピロビインデン-6,6’-ジオール、2,3,2’,3’-テトラヒドロ-(1,1’)-スピロビインデン-5,5’-ジオール、5,5’-ジメチル-3,3,3’,3’-テトラメチル-2,3,2’,3’-テトラヒドロ-(1,1’)-スピロビインデン-6,6’-ジオール、1-ナフトール、2-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、4-メトキシ-1-ナフトール、7-メトキシ-2-ナフトール及び1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン、3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸メチル、インデン、ヒドロキシインデン、ベンゾフラン、ヒドロキシアントラセン、アセナフチレン、ビフェニル、ビスフェノール、トリスフェノール、ジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、4-ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、5-ビニルノルボルナ-2-エン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン等のノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルカルバゾール、ポリインデン、ポリアセナフチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロデセン、ポリテトラシクロドデセン、ポリノルトリシクレン、ポリ(メタ)アクリレート及びこれらの共重合体が挙げられる。また、特開2004-205685号公報に記載のナフトールジシクロペンタジエン共重合体、特開2005-128509号公報に記載のフルオレンビスフェノールノボラック樹脂、特開2005-250434号公報に記載のアセナフチレン共重合体、特開2006-227391号公報に記載のフェノール基を有するフラーレン、特開2006-293298号公報に記載のビスフェノール化合物及びこのノボラック樹脂、特開2006-285095号公報に記載のアダマンタンフェノール化合物及びこのノボラック樹脂、特開2010-122656号公報に記載のビスナフトール化合物及びこのノボラック樹脂、特開2008-158002号公報に記載のフラーレン樹脂化合物等をブレンドすることもできる。
【0130】
上記ブレンド用化合物又はブレンド用ポリマーの配合量は、前記有機膜用化合物100質量部に対して0~1,000質量部が好ましく、より好ましくは0~500質量部である。
【0131】
上記有機膜形成材料は有機膜材料又は半導体装置製造用平坦化材料の用途に用いることができる。
【0132】
また、本発明の有機膜形成材料は、2層レジストプロセス、ケイ素含有レジスト中間膜を用いた3層レジストプロセス、ケイ素含有無機ハードマスク中間膜及び有機反射防止膜を用いた4層レジストプロセス等といった多層レジストプロセス用有機膜材料として、極めて有用である。
【0133】
<有機膜形成方法>
また、上述の有機膜形成材料を用い、リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜の有機膜又は半導体製造用平坦化膜として機能する有機膜を形成することができる。
【0134】
本発明の有機膜形成材料を用いた有機膜形成方法では、上記の有機膜形成材料を、スピンコート法等で被加工基板(被加工体)上にコーティングすることができる。スピンコート法等を用いることで、良好な埋め込み特性を得ることができる。スピンコート後、有機溶剤を蒸発し、レジスト上層膜やレジスト中間膜とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベーク(熱処理)を行う。ベークは100℃以上600℃以下、10~600秒の範囲内で行うことが好ましく、より好ましくは200℃以上500℃以下、10~300秒の範囲内で行う。デバイスダメージやウエハーの変形への影響を考えると、リソグラフィーのウエハープロセスでの加熱温度の上限は、600℃以下とすることが好ましく、より好ましくは500℃以下である。
【0135】
また、本発明の有機膜形成材料を用いた有機膜形成方法では、被加工基板上に本発明の有機膜形成材料を、上記同様スピンコート法等でコーティングし、上記有機膜形成材料を、酸素濃度0.1%以上21%以下の雰囲気中で焼成して硬化させることにより有機膜を形成することもできる。
【0136】
本発明の有機膜形成材料をこのような酸素雰囲気中で焼成することにより、十分に硬化した有機膜を得ることができる。ベーク中の雰囲気としては空気中でも構わないが、酸素を低減させるためにN2、Ar、He等の不活性ガスを封入しておくことは、有機膜の酸化を防止するために好ましい。酸化を防止するためには酸素濃度をコントロールする必要があり、好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。ベーク中の有機膜の酸化を防止すると、吸収が増大したりエッチング耐性が低下したりすることがないため好ましい。
【0137】
このような本発明の有機膜形成材料を用いた有機膜形成方法は、その優れた埋め込み/平坦化特性により、被加工基板の凹凸に関わらず平坦な硬化膜を得ることができるため、高さ30nm以上の構造体又は段差を有する被加工基板上に平坦な有機膜を形成する場合に、極めて有用である。
【0138】
なお、この有機膜又は半導体装置製造用平坦化膜等の有機膜の厚さは適宜選定されるが、30~20,000nmとすることが好ましく、特に50~15,000nmとすることが好ましい。
【0139】
<パターン形成方法>
本発明では、このような有機膜形成材料を用いた3層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、
被加工体上に、上記に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜の上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記ケイ素含有レジスト中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成するパターン形成方法を提供する。
【0140】
上記3層レジストプロセスのケイ素含有レジスト中間膜は、酸素ガス又は水素ガスによるエッチング耐性を示すため、上記3層レジストプロセスにおいて、ケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして行う有機膜のドライエッチングを、酸素ガス又は水素ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0141】
上記3層レジストプロセスのケイ素含有レジスト中間膜としては、ポリシロキサンベースの中間膜も好ましく用いられる。ケイ素含有レジスト中間膜に反射防止効果を持たせることによって、反射を抑えることができる。特に193nm露光用としては、有機膜として芳香族基を多く含み基板とのエッチング選択性の高い材料を用いると、k値が高くなり基板反射が高くなるが、ケイ素含有レジスト中間膜として適切なk値になるような吸収を持たせることで反射を抑えることが可能になり、基板反射を0.5%以下にすることができる。反射防止効果があるケイ素含有レジスト中間膜としては、248nm、157nm露光用としてはアントラセン、193nm露光用としてはフェニル基又はケイ素-ケイ素結合を有する吸光基をペンダントし、酸あるいは熱で架橋するポリシロキサンが好ましく用いられる。
【0142】
また、有機反射防止膜を用いた4層レジストプロセスとしても好適で、この場合、少なくとも、被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、上記に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜の上に、有機反射防止膜(BARC)を形成し、
前記BARC上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して4層膜構造とし、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記BARCと前記ケイ素含有レジスト中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成するパターン形成方法を提供する。
【0143】
また、ケイ素含有レジスト中間膜の代わりに無機ハードマスク中間膜を形成してもよく、この場合には、少なくとも、被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、上記に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成し、
前記無機ハードマスク中間膜の上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記無機ハードマスク中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成するパターン形成方法を提供する。
【0144】
上記のように、有機膜の上に無機ハードマスク中間膜を形成する場合は、CVD法やALD法等で、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜(SiON膜)を形成できる。例えばケイ素窒化膜の形成方法としては、特開2002-334869号公報、国際公開第2004/066377号に記載されている。無機ハードマスク中間膜の膜厚は5~200nmが好ましく、より好ましくは10~100nmである。また、無機ハードマスク中間膜としては、反射防止膜としての効果が高いSiON膜が最も好ましく用いられる。SiON膜を形成する時の基板温度は300~500℃となるために、有機膜としては300~500℃の温度に耐える必要がある。本発明で用いる有機膜形成材料は、高い耐熱性を有しており300℃~500℃の高温に耐えることができるため、CVD法又はALD法で形成された無機ハードマスク中間膜と、回転塗布法で形成された有機膜の組み合わせが可能である。
【0145】
また、有機反射防止膜を用いた4層レジストプロセスとしても好適で、この場合、少なくとも、被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、上記に記載の有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成し、
前記無機ハードマスク中間膜の上に、有機反射防止膜(BARC)を形成し、
前記BARC上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して4層膜構造とし、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記BARCと前記無機ハードマスク中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成するパターン形成方法を提供する。
【0146】
上記のように、無機ハードマスク中間膜の上にレジスト上層膜としてフォトレジスト膜を形成してもよいが、無機ハードマスク中間膜の上に有機反射防止膜(BARC)をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト膜を形成してもよい。特に、無機ハードマスク中間膜としてSiON膜を用いた場合、SiON膜とBARCの2層の反射防止膜によって1.0を超える高NAの液浸露光においても反射を抑えることが可能となる。BARCを形成するもう一つのメリットとしては、SiON膜直上でのフォトレジストパターンの裾引きを低減させる効果があることである。
【0147】
上記3層レジストプロセスにおけるレジスト上層膜は、ポジ型でもネガ型でもどちらでもよく、通常用いられているフォトレジスト組成物と同じものを用いることができる。フォトレジスト組成物をスピンコート後、プリベークを行うが、60~180℃で10~300秒の範囲が好ましい。その後常法に従い、露光を行い、さらに、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像を行い、レジストパターンを得る。なお、レジスト上層膜の厚さは特に制限されないが、30~500nmが好ましく、特に50~400nmが好ましい。
【0148】
また、露光光としては、波長300nm以下の高エネルギー線、具体的には248nm、193nm、157nmのエキシマレーザー、3~20nmの軟X線、電子ビーム、X線等を挙げることができる。
【0149】
上記レジスト上層膜のパターン形成方法を、波長が10nm以上300nm以下の光リソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティングまたはこれらの組み合わせによるパターン形成方法とすることが好ましい。
【0150】
また、前記パターン形成方法における現像方法として、アルカリ現像または有機溶剤による現像とすることが好ましい。
【0151】
次に、得られたレジスト上層膜パターンをマスクにしてエッチングを行う。3層レジストプロセスにおけるケイ素含有レジスト中間膜や無機ハードマスク中間膜のエッチングは、フルオロカーボン系のガスを用いてレジスト上層膜パターンをマスクにして行う。これにより、ケイ素含有レジスト中間膜パターンや無機ハードマスク中間膜パターンを形成する。
【0152】
次いで、得られたケイ素含有レジスト中間膜パターンや無機ハードマスク中間膜パターンをマスクにして、有機膜のエッチング加工を行う。
【0153】
次の被加工基板(被加工体)のエッチングも、常法によって行うことができ、例えば被加工基板がSiO2、SiN、シリカ系低誘電率絶縁膜であればフロン系ガスを主体としたエッチング、p-SiやAl、Wでは塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行う。基板加工をフロン系ガスでエッチングした場合、3層レジストプロセスにおけるケイ素含有レジスト中間膜パターンは基板加工と同時に剥離される。塩素系、臭素系ガスで基板をエッチングした場合は、ケイ素含有レジスト中間膜パターンの剥離は基板加工後にフロン系ガスによるドライエッチング剥離を別途行う必要がある。
【0154】
本発明の有機膜形成材料によって得られる有機膜は、これら被加工基板エッチング時のエッチング耐性に優れる特徴がある。
【0155】
被加工体としては、半導体装置基板、又は前記半導体装置基板上に金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたものを用いることが好ましく、より具体的には、特に限定されないが、Si、α-Si、p-Si、SiO2、SiN、SiON、W、TiN、Al等の基板や、前記基板上に被加工層として、上記の金属膜等が成膜されたもの等が用いられる。
【0156】
被加工層としては、Si、SiO2、SiON、SiN、p-Si、α-Si、W、W-Si、Al、Cu、Al-Si等種々のLow-k膜及びそのストッパー膜が用いられ、通常50~10,000nm、特に100~5,000nmの厚さに形成し得る。なお、被加工層を成膜する場合、基板と被加工層とは、異なる材質のものが用いられる。
【0157】
なお、前記金属として、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、コバルト、銅、銀、金、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、マンガン、モリブデン、ルテニウムまたはこれらの合金を用いることが好ましい。
【0158】
また、被加工基板として、高さ30nm以上の構造体又は段差を有する被加工基板を用いることが好ましい。
【0159】
3層レジストプロセスの一例について、
図1を用いて具体的に示すと下記の通りである。3層レジストプロセスの場合、
図1(A)に示したように、基板1の上に積層された被加工層2上に本発明の有機膜形成材料を用いて有機膜3を形成した後、ケイ素含有レジスト中間膜4を形成し、その上にレジスト上層膜5を形成する。
【0160】
次いで、
図1(B)に示したように、レジスト上層膜5の所用部分6を露光し、PEB及び現像を行って、
図1(C)に示したようにレジスト上層膜パターン5aを形成する。この得られたレジスト上層膜パターン5aをマスクとし、CF系ガスを用いてケイ素含有レジスト中間膜4をエッチング加工して、
図1(D)に示したようにケイ素含有レジスト中間膜パターン4aを形成する。レジスト上層膜パターン5aを除去後、この得られたケイ素含有レジスト中間膜パターン4aをマスクとして有機膜3を酸素プラズマエッチングし、
図1(E)に示したように有機膜パターン3aを形成する。さらにケイ素含有レジスト中間膜パターン4aを除去後、有機膜パターン3aをマスクに被加工層2をエッチング加工し、
図1(F)に示したようにパターン2aを形成する。
【0161】
無機ハードマスク中間膜を用いる場合、ケイ素含有レジスト中間膜4が無機ハードマスク中間膜であり、BARCを敷く場合はケイ素含有レジスト中間膜4とレジスト上層膜5との間にBARCを設ける。BARCのエッチングはケイ素含有レジスト中間膜4のエッチングに先立って連続して行われる場合もあるし、BARCだけのエッチングを行ってからエッチング装置を変える等してケイ素含有レジスト中間膜4のエッチングを行うことができる。
【0162】
このように、本発明のパターン形成方法であれば、多層レジストプロセスにおいて、被加工基板に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【実施例0163】
以下、合成例、実施例、及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、分子量及び分散度としては、テトラヒドロフランを溶離液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め、分散度(Mw/Mn)を求めた。
【0164】
合成例 有機膜用化合物(A1)~(A25)および比較例用化合物(R1)~(R3)の合成
【0165】
有機膜用化合物(A1)~(A25)の合成には下記に示すアミノ基、水酸基を有する化合物(B1)~(B12)、及び修飾化剤(C1)~(C8)を用いた。また比較例用化合物(R3)の合成には比較例用化合物原料(D1)を用いた。
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
(合成例1)
有機膜用化合物(A1)の合成
【化63】
窒素雰囲気下、化合物(B1)10.0g、炭酸カリウム38.5g、DMF(ジメチルホルムアミド)140gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C1)45.8gとDMF180gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK(メチルイソブチルケトン)500g、純水500gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液200gで2回、純水200gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF110gを加え均一溶液とした後、ヘキサン700gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン200gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A1)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A1):Mw=840、Mw/Mn=1.02
【0170】
(合成例2)
有機膜用化合物(A2)の合成
【化64】
窒素雰囲気下、化合物(B1)10.0g、炭酸カリウム38.5g、DMF140gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C5)67.5gとDMF270gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK500g、純水500gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液200gで2回、純水200gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF170gを加え均一溶液とした後、メタノール1000gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール300gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A2)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A2):Mw=1,200、Mw/Mn=1.01
【0171】
(合成例3)
有機膜用化合物(A3)の合成
【化65】
窒素雰囲気下、化合物(B2)10.0g、炭酸カリウム14.2g、DMF75gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C2)22.3gとDMF70gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK300g、純水300gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液100gで2回、純水100gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF70gを加え均一溶液とした後、ヘキサン400gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A3)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A3):Mw=710、Mw/Mn=1.01
【0172】
(合成例4)
有機膜用化合物(A4)の合成
【化66】
窒素雰囲気下、化合物(B2)10.0g、炭酸カリウム14.2g、DMF75gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C5)24.8gとDMF75gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK300g、純水300gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液100gで2回、純水100gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF80gを加え均一溶液とした後、メタノール500gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A4)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A4):Mw=780、Mw/Mn=1.02
【0173】
(合成例5)
有機膜用化合物(A5)の合成
【化67】
窒素雰囲気下、化合物(B3)10.0g、炭酸カリウム20.8g、DMF120gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C3)31.9gとDMF100gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK300g、純水300gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液100gで2回、純水100gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF90gを加え均一溶液とした後、ヘキサン550gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A5)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A5):Mw=1,260、Mw/Mn=1.02
【0174】
(合成例6)
有機膜用化合物(A6)の合成
【化68】
窒素雰囲気下、化合物(B3)10.0g、炭酸カリウム20.8g、DMF120gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C6)42.0gとDMF130gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK400g、純水400gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF120gを加え均一溶液とした後、メタノール600gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール150gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A6)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A6):Mw=1,630、Mw/Mn=1.01
【0175】
(合成例7)
有機膜用化合物(A7)の合成
【化69】
窒素雰囲気下、化合物(B4)10.0g、炭酸カリウム16.2g、DMF80gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C3)24.9gとDMF75gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK200g、純水200gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液100gで2回、純水100gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF75gを加え均一溶液とした後、ヘキサン400gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A7)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A7):Mw=890、Mw/Mn=1.01
【0176】
(合成例8)
有機膜用化合物(A8)の合成
【化70】
窒素雰囲気下、化合物(B4)10.0g、炭酸カリウム16.2g、DMF80gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C4)29.0gとDMF90gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK200g、純水200gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液100gで2回、純水100gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF90gを加え均一溶液とした後、ヘキサン450gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A8)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A8):Mw=980、Mw/Mn=1.02
【0177】
(合成例9)
有機膜用化合物(A9)の合成
【化71】
窒素雰囲気下、化合物(B5)10.0g、炭酸カリウム11.5g、DMF60gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C2)18.0gとDMF75gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK200g、純水200gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液100gで2回、純水100gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF65gを加え均一溶液とした後、ヘキサン400gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A9)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A9):Mw=1,080、Mw/Mn=1.02
【0178】
(合成例10)
有機膜用化合物(A10)の合成
【化72】
窒素雰囲気下、化合物(B5)10.0g、炭酸カリウム11.5g、DMF60gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C7)29.2gとDMF90gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK300g、純水200gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液100gで2回、純水100gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF90gを加え均一溶液とした後、メタノール400gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A10)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A10):Mw=1,540、Mw/Mn=1.03
【0179】
(合成例11)
有機膜用化合物(A11)の合成
【化73】
窒素雰囲気下、化合物(B6)10.0g、炭酸カリウム21.8g、DMF100gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C3)33.4gとDMF130gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK400g、純水300gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF100gを加え均一溶液とした後、ヘキサン400gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A11)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A11):Mw=1,220、Mw/Mn=1.03
【0180】
(合成例12)
有機膜用化合物(A12)の合成
【化74】
窒素雰囲気下、化合物(B6)10.0g、炭酸カリウム21.8g、DMF100gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C8)54.0gとDMF160gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK400g、純水300gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF140gを加え均一溶液とした後、メタノール500gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール200gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A12)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A12):Mw=1,920、Mw/Mn=1.03
【0181】
(合成例13)
有機膜用化合物(A13)の合成
【化75】
窒素雰囲気下、化合物(B7)10.0g、炭酸カリウム27.8g、DMF120gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C2)43.6gとDMF130gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK400g、純水400gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF110gを加え均一溶液とした後、ヘキサン500gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン150gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A13)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A13):Mw=1,550、Mw/Mn=1.01
【0182】
(合成例14)
有機膜用化合物(A14)の合成
【化76】
窒素雰囲気下、化合物(B7)10.0g、炭酸カリウム27.8g、DMF120gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C6)56.1gとDMF170gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK500g、純水400gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF140gを加え均一溶液とした後、メタノール600gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール150gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A14)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A14):Mw=1,900、Mw/Mn=1.02
【0183】
(合成例15)
有機膜用化合物(A15)の合成
【化77】
窒素雰囲気下、化合物(B8)10.0g、炭酸カリウム26.7g、DMF130gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C7)68.0gとDMF200gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK500g、純水400gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF170gを加え均一溶液とした後、メタノール1000gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール300gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A15)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A15):Mw=2,450、Mw/Mn=1.02
【0184】
(合成例16)
有機膜用化合物(A16)の合成
【化78】
窒素雰囲気下、化合物(B8)10.0g、炭酸カリウム26.7g、DMF130gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C8)66.0gとDMF200gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK500g、純水400gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF170gを加え均一溶液とした後、メタノール1000gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール300gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A16)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A16):Mw=2,380、Mw/Mn=1.03
【0185】
(合成例17)
有機膜用化合物(A17)の合成
【化79】
窒素雰囲気下、化合物(B9)10.0g、炭酸カリウム19.7g、DMF90gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C2)30.9gとDMF90gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK200g、純水200gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液100gで2回、純水100gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF90gを加え均一溶液とした後、ヘキサン400gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A17)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A17):Mw=1,730、Mw/Mn=1.01
【0186】
(合成例18)
有機膜用化合物(A18)の合成
【化80】
窒素雰囲気下、化合物(B9)10.0g、炭酸カリウム19.7g、DMF90gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C5)34.4gとDMF100gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK200g、純水200gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液100gで2回、純水100gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF100gを加え均一溶液とした後、メタノール400gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A18)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A18):Mw=1,880、Mw/Mn=1.02
【0187】
(合成例19)
有機膜用化合物(A19)の合成
【化81】
窒素雰囲気下、化合物(B10)10.0g、炭酸カリウム37.3g、DMF150gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C3)57.2gとDMF170gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK400g、純水400gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF140gを加え均一溶液とした後、ヘキサン600gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン200gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A19)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A19):Mw=2,050、Mw/Mn=1.03
【0188】
(合成例20)
有機膜用化合物(A20)の合成
【化82】
窒素雰囲気下、化合物(B10)10.0g、炭酸カリウム37.3g、DMF150gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C5)65.3gとDMF200gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK(メチルイソブチルケトン)500g、純水500gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF160gを加え均一溶液とした後、メタノール1,000gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール300gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A20)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A20):Mw=2,460、Mw/Mn=1.02
【0189】
(合成例21)
有機膜用化合物(A21)の合成
【化83】
窒素雰囲気下、化合物(B11)10.0g、炭酸カリウム27.2g、DMF110gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C2)42.7gとDMF130gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK400g、純水400gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF110gを加え均一溶液とした後、ヘキサン500gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン200gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A21)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A21):Mw=2,310、Mw/Mn=1.03
【0190】
(合成例22)
有機膜用化合物(A22)の合成
【化84】
窒素雰囲気下、化合物(B11)10.0g、炭酸カリウム27.2g、DMF110gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C6)54.9gとDMF160gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK500g、純水500gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF140gを加え均一溶液とした後、メタノール600gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール200gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A22)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A22):Mw=2,940、Mw/Mn=1.02
【0191】
(合成例23)
有機膜用化合物(A23)の合成
【化85】
窒素雰囲気下、化合物(B12)10.0g、炭酸カリウム22.3g、DMF100gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C3)34.3gとDMF110gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK400g、純水300gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF100gを加え均一溶液とした後、ヘキサン500gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン200gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A23)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A23):Mw=2,360、Mw/Mn=1.03
【0192】
(合成例24)
有機膜用化合物(A24)の合成
【化86】
窒素雰囲気下、化合物(B12)10.0g、炭酸カリウム22.3g、DMF100gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C5)39.1gとDMF120gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK400g、純水300gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF110gを加え均一溶液とした後、メタノール500gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール200gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A24)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A24):Mw=2,840、Mw/Mn=1.04
【0193】
(合成例25)
有機膜用化合物(A25)の合成
【化87】
窒素雰囲気下、化合物(B11)10.0g、炭酸カリウム27.2g、DMF110gを加え、内温50℃で均一分散液とした。修飾化剤(C3)16.7gとDMF50gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、内温50℃で8時間反応後、飾化剤(C5)23.8gとDMF75gをあらかじめ混合し均一化させた溶液をゆっくりと滴下し、さらに16時間反応を行った。室温まで冷却後、MIBK(メチルイソブチルケトン)500g、純水500gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液150gで2回、純水150gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF100gを加え均一溶液とした後、ヘキサン500gに滴下し結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、ヘキサン200gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで有機膜用化合物(A25)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A25):Mw=1,830、Mw/Mn=1.09
【0194】
(比較合成例1)
比較例用化合物(R1)の合成
【化88】
窒素雰囲気下、m-エチニルアニリン13.7g、トリエチルアミン13.3gおよびTHF150gを攪拌し室温で均一溶液とした。THF10gとシアヌル酸クロリド10.0gをあらかじめ混合し均一溶液としたものをゆっくり滴下後、環流下で5時間反応を行った。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン150g、純水100gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液50gで2回、純水50gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF60gを加え均一溶液とした後、ヘキサン200gで結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで比較例用化合物(R1)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(R1):Mw=430、Mw/Mn=1.01
【0195】
(比較合成例2)
比較例用化合物(R2)の合成
【化89】
窒素雰囲気下、m-エチニルアニリン13.7g、トリエチルアミン13.3gおよびTHF150gを氷浴で攪拌し均一溶液とした。THF10gとトリメシン酸クロリド10.0gをあらかじめ混合し均一溶液としたものをゆっくり滴下し、氷浴で1時間、室温で3時間反応を行った。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン150g、純水100gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液50gで2回、純水50gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF60gを加え均一溶液とした後、メタノール200gで結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール100gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで比較例用化合物(R2)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(R2):Mw=520、Mw/Mn=1.01
【0196】
(比較合成3)
比較例用化合物(R3)の合成
【化90】
窒素雰囲気下、比較例用化合物原料(D1)を10.00g、炭酸カリウム4.76g、DMF50gを窒素雰囲気下、内温50℃で均一分散液とした。プロパルギルブロミド3.72gをゆっくり滴下し、内温50℃で16時間反応を行った。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン100g、純水50gを加え均一溶液とした後、水層を除去した。更に有機層を3.0%硝酸水溶液30gで2回、純水30gで5回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF30gを加え、メタノール100gで結晶を晶出させた。晶出した結晶をろ過で分別、メタノール60gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで比較例用化合物(R3)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(R3):Mw=960、Mw/Mn=1.07
【0197】
実施例に用いた有機膜用化合物(A1)~(A25)および比較例用化合物(R1)~(R3)のMw、Mw/Mnの結果一覧を表1~4に示す。
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
有機膜形成材料(UDL-1~29、比較UDL-1~3)の調製
上記有機膜用化合物(A1)~(A25)、比較例用化合物(R1)~(R3)、高沸点溶剤として(S1)1,6-ジアセトキシヘキサン:沸点260℃、(S2)トリプロピレングリコールモノメチルエーテル:沸点242℃を用い、PF-6320(オムノバ社製)を0.1質量%含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて表5に示す割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって有機膜形成材料(UDL-1~29、比較UDL-1~3)をそれぞれ調製した。
【0203】
【0204】
実施例1 溶媒耐性測定(実施例1-1~1-29、比較例1-1~1-3)
上記で調製したUDL-1~29、比較UDL-1~3をシリコン基板上に塗布し、大気中、表6に示した温度で60秒間ベークした後、膜厚を測定し、その上にPGMEA溶媒をディスペンスし、30秒間放置しスピンドライ、100℃で60秒間ベークしてPGMEAを蒸発させ、PGMEA処理前後の膜厚を測定した。成膜後の膜厚aとPGMEA処理後の膜厚bを用いて残膜率を求めた。その結果を表6に示す。
【表6】
【0205】
表6に示されるように、本発明の有機膜用化合物を用いた有機膜(実施例1-1~1-29)は、PGMEA処理後の残膜率が99.5%以上あり、熱処理により架橋反応が起き十分な溶媒耐性を発現していることがわかる。
【0206】
実施例2 耐熱特性評価(実施例2-1~2-29、比較例2-1~2-3)
上記の有機膜形成材料(UDL-1~29、比較UDL-1~3)をそれぞれシリコン基板上に塗布し、大気中、表7に記載の温度で60秒間ベークして200nmの塗布膜を形成し、膜厚aを測定した。この基板を更に酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下400℃でさらに20分間焼成して膜厚bを測定した。ベーク後の膜厚aと焼成後の膜厚bを用いて残膜率を求めた。これらの結果を表7に示す。
【表7】
【0207】
表7に示されるように、本発明の有機膜用化合物を用いた有機膜(実施例2-1~2-29)は、400℃での長時間焼成後も膜厚減少が5%未満となり、本発明の有機膜形成材料は耐熱性が優れていることがわかる。特に前記一般式(2)で表される構造がn2=1で、かつ、プロパルギル基、またはエチニル基が導入された化合物においては98%以上の残膜率を保持しており特に耐熱性に優れることがわかる。
【0208】
実施例3 埋め込み特性評価(実施例3-1~3-29、比較例3-1~3-3)
上記で調製した有機膜形成材料(UDL-1~29、比較UDL-1~3)をそれぞれ、密集ホールパターン(ホール直径0.16μm、ホール深さ0.50μm、隣り合う二つのホールの中心間の距離0.32μm)を有するSiO
2ウエハー基板上に塗布し、大気中、表8に記載の温度で60秒焼成し、有機膜を形成した。使用した基板は
図2(G)(俯瞰図)及び(H)(断面図)に示すような密集ホールパターンを有する下地基板7(SiO
2ウエハー基板)である。得られた各ウエハー基板での成膜性と埋め込み特性を評価した。
【0209】
成膜性は得られた各ウエハーを目視で観察しディウェッティングが観察されなかった場合に良好、ディウェッティングが観察された場合に不良と評価した。埋め込み特性は断面形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、ホール内部にボイド(空隙)なく、有機膜8で充填されているかどうかを確認した。結果を表8に示す。本評価において、埋め込み特性が良好な有機膜材料を用いた場合は、本評価において、
図2(I)に示されるようにホール内部にボイドなく有機膜が充填され、良好と評価する。埋め込み特性に劣る有機膜材料を用いた場合は、ホール内部にボイドが発生し、不良と評価する。
【0210】
【0211】
表8の実施例3-1~3-29で示されるように、本発明の有機膜用化合物を用いた場合、いずれの有機膜形成材料も、上記の密集ホールパターンを有するSiO2ウエハー基板上に成膜可能であり、ボイドなくホールパターンを充填することが可能で埋め込み特性に優れることが分かった。また、比較例3-3も上記基板上に成膜可能で、ボイドなくホールパターンを充填することが可能であった。一方、比較例3-1はアミド構造を持たず、比較例3-2はアミド構造と芳香環との間にアルキレン基を持たない構造であるため成膜性に劣り、基板上で成膜不良(ディウェッティング)が生じた。これら有機膜形成材料に用いた化合物の構造は共に熱流動性が高いがアミド構造を持たないことで基板との密着力が弱く、もしくはアミド構造と芳香環との間にアルキレン基を持たないことで結晶性が高いことで、凝集力が強く、上記成膜不良が発生したと考えられる。
【0212】
実施例4 平坦化特性評価(実施例4-1~4-29、比較例4-1~4-3)
上記で調製した有機膜形成材料(UDL-1~29、比較UDL-1~3)をそれぞれ、
図3(J)に示す巨大孤立トレンチパターン(トレンチ幅50μm、トレンチ深さ0.115μm)を有する下地基板9(SiO
2ウエハー基板)上に塗布し、大気中、表9に記載の温度で60秒ベークし、
図3(K)に示すトレンチ部分と非トレンチ部分の有機膜10の段差(delta 10)を、KLA-TENCOR社製Alpha-Step D-600(接触式プロファイラ)を用いて観察した。結果を表9に示す。本評価において、段差が60nm未満の場合をS、60nm以上80nm未満の場合をA、80nm以上100nm未満の場合をB、100nm以上115nm未満の場合をC、115nm以上の場合をDと評価した。本評価において、段差が小さいほど、平坦化特性が良好であるといえる。なお、本評価では、深さ0.115μmのトレンチパターンを、通常膜厚約0.2μmの有機膜形成材料を用いて平坦化しており、平坦化特性の優劣を評価するために厳しい評価条件となっている。
【0213】
【0214】
表9の実施例4-1~4-29で示されるように、本発明の有機膜用化合物を用いた場合、いずれの有機膜形成材料も、比較例4-1~4-2に比べて成膜性に優れる上に、比較例4-3に比べて、トレンチ部分と非トレンチ部分の有機膜の段差が小さく、平坦化特性に優れることが分かる。特に前記一般式(8)で示されるようなエーテル結合を有する化合物や3級アミド構造を有する化合物が熱流動性に優れてることで平坦化特性が向上しており、更にその両方の特徴を有する化合物を含む有機膜材料の平坦化特性が最も優れていた。また、高沸点溶剤を含んだ有機膜形成材料は熱流動性が付与されるために、高沸点溶剤を含まない有機膜材料よりも平坦化特性が優れていた(実施例4-26~4-29)。一方で、比較例4-1および4-2は上記巨大孤立トレンチパターン基板上で成膜不良(ディウェッティング)が生じており、これは前記密集ホールパターンを有するSiO2ウエハー基板で成膜不良が発生した理由と同じであると考えられる。また、比較例4-3の化合物は熱流動性が乏しく、平坦化特性は低い結果となった。
【0215】
実施例5 密着性試験(実施例5-1~5-29、比較例5-1~5-3)
上記の有機膜形成材料(UDL-1~29、比較UDL-1~3)を、SiO2ウエハー基板上に塗布し、ホットプレートを用いて大気中、表10に記載の温度で60秒ベークすることにより膜厚200nmの有機膜を形成した。この有機膜付のウエハーを、1×1cmの正方形に切り出し、専用治具を用いて切り出したウエハーにエポキシ接着剤付きのアルミピンを取り付けた。その後、オーブンを用いて150℃で1時間、加熱しアルミピンを基板に接着させた。室温まで冷却した後、薄膜密着強度測定装置(Sebastian Five-A)を用いて抵抗力により、初期の密着性を評価した。
【0216】
図4に密着性測定方法の説明図を示す。
図4の11はシリコンウエハー(基板)、12は硬化皮膜、13は接着剤付きアルミピン、14は支持台、15はつかみであり、16は引張方向を示す。密着力は12点測定の平均値であり、数値が高いほど有機膜の基板に対する密着性が高い。得られた数値を比較することにより密着性を評価した。その結果を表10に示す。
【0217】
【0218】
表10の実施例5-1~5-29で示されるように、本発明のアミド構造を有する有機膜用化合物を用いた有機膜形成材料は比較例5-1、5-3に比べて高い密着力を示していた。また、比較例3-2や比較例4-2で成膜不良が発生した比較ULD-2に用いた化合物はアミド構造を有するため、比較例5-2に示すように密着性は本発明の有機膜用化合物と同等であった。これらの結果からも、本発明の有機膜形成材料が優れた熱流動性を持つと同時に、アミド構造による密着力の高さ及びアミド構造と芳香環との間にアルキレン基を有することによる結晶性の緩和効果によって、優れた成膜性を示すと考えられる。
【0219】
実施例6 パターン形成試験(実施例6-1~6-29、比較例6-1)
上記の有機膜形成材料(UDL-1~29、比較UDL-3)を
図3(J)に示す巨大孤立トレンチパターン(トレンチ幅50μm、トレンチ深さ0.115μm)を有する下地基板9(SiO
2ウエハー基板)上に塗布し、大気中、Bare Si基板上で膜厚200nmになるように表14に示す条件で焼成することにより有機膜(レジスト下層膜)を形成した。その上にケイ素含有レジスト中間膜材料(SOG-1)を塗布して220℃で60秒間ベークして膜厚35nmのレジスト中間膜を形成し、レジスト上層膜材料(ArF用SLレジスト)を塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのレジスト上層膜を形成した。レジスト上層膜に液浸保護膜(TC-1)を塗布し90℃で60秒間ベークし膜厚50nmの保護膜を形成した。なお、比較例4-1、4-2で成膜不良が発生した比較UDL-1~2についてはパターン形成試験を実施できなかった。
【0220】
レジスト上層膜材料(ArF用SLレジスト)としては、ポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、塩基性化合物(Amine1)を、FC-430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表11の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0221】
【0222】
用いたポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、及び塩基性化合物(Amine1)の構造式を以下に示す。
【化91】
【0223】
液浸保護膜材料(TC-1)としては、保護膜ポリマー(PP1)を有機溶剤中に表12の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0224】
【0225】
用いた保護膜ポリマー(PP1)の構造式を以下に示す。
【化92】
【0226】
ケイ素含有レジスト中間膜材料(SOG-1)としてはArF珪素含有中間膜ポリマー(SiP1)で示されるポリマー、及び熱架橋触媒(CAT1)を、FC-4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に表13に示す割合で溶解させ、孔径0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、ケイ素含有レジスト中間膜材料(SOG-1)を調製した。
【0227】
【0228】
用いたArF珪素含有中間膜ポリマー(SiP1)、架橋触媒(CAT1)の構造式を以下に示す。
【化93】
【0229】
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR-S610C、NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光量を変えながら露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、ピッチ100nmでレジスト線幅を50nmから30nmまでのポジ型のラインアンドスペースパターン(レジスト上層膜パターン)を得た。
【0230】
次いで、東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いてドライエッチングによるレジスト上層膜パターンをマスクにしてケイ素含有中間膜(SOG-1膜)の加工、SOG-1膜をマスクにして有機膜の加工、有機膜をマスクにしてSiO2ウエハー基板の加工を行った。
【0231】
エッチング条件は下記に示すとおりである。
レジスト上層膜パターンのSOG-1膜への転写条件。
チャンバー圧力 10.0Pa
RFパワー 1,500W
CF4ガス流量 15sccm
O2ガス流量 75sccm
時間 15sec
【0232】
SOG-1膜の有機膜への転写条件。
チャンバー圧力 2.0Pa
RFパワー 500W
Arガス流量 75sccm
O2ガス流量 45sccm
時間 120sec
【0233】
有機膜のSiO2ウエハー基板への転写条件。
チャンバー圧力 2.0Pa
RFパワー 2,200W
C5F12ガス流量 20sccm
C2F6ガス流量 10sccm
Arガス流量 300sccm
O2ガス流量 60sccm
時間 90sec
【0234】
パターン断面を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)にて観察し、形状を比較し、表14にまとめた。
【0235】
【0236】
表14に示されるように、本発明の有機膜形成材料は実施例6-1~6-29の結果の通り、いずれの場合もレジスト上層膜パターンが最終的に基板まで良好に転写されており、本発明の有機膜形成材料は多層レジスト法による微細加工に好適に用いられることが確認された。一方、比較例6-1においては比較例4-3の結果の通り、上記パターン基板上の段差が大きく、露光時のフォーカスがずれる部分が発生するためにレジスト上層膜のパターニング形状の不良が発生し、パターン加工時に一部にパターン倒れが発生してしいた。
【0237】
以上のことから、本発明の有機膜用化合物や、それを含む本発明の有機膜形成材料であれば、成膜性や密着性が良好で、埋め込み/平坦化特性に優れるため多層レジスト法に用いる有機膜(レジスト下層膜)として極めて有用であり、またこれを用いた本発明のパターン形成方法であれば、被加工体が段差を有する基板であっても、微細なパターンを高精度で形成できることが明らかとなった。
【0238】
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:有機膜形成材料であって、下記一般式(1)で示される有機膜用化合物および有機溶剤を含有するものであることを特徴とする有機膜形成材料。
【化94】
(式中、W
1は芳香環を含むn
1価の有機基であり、Lは芳香環上の置換基であり下記一般式(2)で示されるL
1、L
2又はその両方である。芳香環上の置換基Lの総数をn
1、L
1の個数をx、L
2の個数をyとしたとき、x+y=n
1、2≦n
1≦8、0≦y≦8、0≦x≦8の関係を満たす。)
【化95】
(式中、n
2は1~3の整数を表し、R
1は下記式(3)のいずれかであり、R
2は下記一般式(4)のいずれかである。)
【化96】
【化97】
(式中、R
3は下記式(5)のいずれかであり、n
3は0または1を表し、n
4は1または2を表す。)
【化98】
[2]:前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lを構成するL
1、L
2が、下記一般式(6)で示されるものであることを特徴とする上記[1]の有機膜形成材料。
【化99】
(式中、R
1およびR
2は前記と同じである。)
[3]:前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lを構成するL
1、L
2中のR
1、R
2が、下記一般式(7)で示される組み合わせのいずれかであることを特徴とする上記[1]又は上記[2]の有機膜形成材料。
【化100】
(式中、R
3、n
4は前記と同じである。)
[4]:前記一般式(1)で示される有機膜用化合物の芳香環上の置換基Lの総数n
1が、3≦n
1≦6を満たすものであることを特徴とする上記[1]から上記[3]のいずれか1つの有機膜形成材料。
[5]:前記有機膜用化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mnが、1.00≦Mw/Mn≦1.15であることを特徴とする上記[1]から上記[4]のいずれか1つの有機膜形成材料。
[6]:前記有機溶剤が、沸点が180℃未満の有機溶剤1種以上と、沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上との混合物であることを特徴とする上記[1]から上記[5]のいずれか1つの有機膜形成材料。
[7]:更に前記有機膜形成材料が、界面活性剤および可塑剤のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする上記[1]から上記[6]のいずれか1つの有機膜形成材料。
[8]:被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、上記[1]から上記[7]のいずれか1つの有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜の上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記ケイ素含有レジスト中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
[9]:被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、上記[1]から上記[7]のいずれか1つの有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜の上に、有機反射防止膜(BARC)を形成し、
前記BARC上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して4層膜構造とし、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記BARCと前記ケイ素含有レジスト中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
[10]:被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、上記[1]から上記[7]のいずれか1つの有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成し、
前記無機ハードマスク中間膜の上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記無機ハードマスク中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
[11]:被加工体にパターンを形成する方法であって、
被加工体上に、上記[1]から上記[7]のいずれか1つの有機膜形成材料を用いて有機膜を形成し、
前記有機膜の上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成し、
前記無機ハードマスク中間膜の上に、有機反射防止膜(BARC)を形成し、
前記BARC上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して4層膜構造とし、
前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記BARCと前記無機ハードマスク中間膜にエッチングでパターンを転写し、
前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、
さらに、前記パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
[12]:前記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されることを特徴とする上記[10]又は上記[11]のパターン形成方法。
[13]:前記レジスト上層膜のパターン形成方法を、波長が10nm以上300nm以下の光リソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティングまたはこれらの組み合わせによるパターン形成方法とすることを特徴とする上記[8]から上記[12]のいずれか1つのパターン形成方法。
[14]:前記パターン形成方法における現像方法として、アルカリ現像または有機溶剤による現像とすることを特徴とする上記[8]から上記[13]のいずれか1つのパターン形成方法。
[15]:前記被加工体として、半導体装置基板、又は前記半導体装置基板上に金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたものを用いることを特徴とする上記[8]から上記[14]のいずれか1つのパターン形成方法。
[16]:前記金属として、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、コバルト、銅、銀、金、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、マンガン、モリブデン、ルテニウムまたはこれらの合金を用いることを特徴とする上記[15]のパターン形成方法。
[17]:下記一般式(1)で示されるものであることを特徴とする有機膜用化合物。
【化101】
(式中、W
1は芳香環を含むn
1価の有機基であり、Lは芳香環上の置換基であり下記一般式(2)で示されるL
1、L
2又はその両方である。芳香環上の置換基Lの総数をn
1、L
1の個数をx、L
2の個数をyとしたとき、x+y=n
1、2≦n
1≦8、0≦y≦8、0≦x≦8の関係を満たす。)
【化102】
(式中、n
2は1~3の整数を表し、R
1は下記式(3)のいずれかであり、R
2は下記一般式(4)のいずれかである。)
【化103】
【化104】
(式中、R
3は下記式(5)のいずれかであり、n
3は0または1を表し、n
4は1または2を表す。)
【化105】
【0239】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。