(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162374
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】機器、プログラム、データ保存方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
H04N1/00 127Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077814
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 耶真人
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA35
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC22
5C062AC42
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】データの転送先の機器に保存されたデータをユーザーが使用できる技術を提供すること。
【解決手段】本発明は、他の機器とネットワークを介してデータを送信及び受信できる機器20であって、自機が使用するストレージの寿命情報を推定する寿命推定部と、前記他の機器から前記他の機器が使用するストレージの寿命情報を取得する寿命情報取得部と、自機にログインしたユーザーが前記他の機器にログイン可能か否かを前記他の機器に問い合わせるログイン可否問い合わせ部と、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報に基づいて、前記データの転送先を決定する転送先決定部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の機器とネットワークを介してデータを送信及び受信できる機器であって、
自機が使用するストレージの寿命情報を推定する寿命推定部と、
前記他の機器から前記他の機器が使用するストレージの寿命情報を取得する寿命情報取得部と、
自機にログインしたユーザーが前記他の機器にログイン可能か否かを前記他の機器に問い合わせるログイン可否問い合わせ部と、
前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報に基づいて、前記データの転送先を決定する転送先決定部と、
を有する機器。
【請求項2】
前記転送先決定部は、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報のうち、最も寿命に余裕がある前記他の機器を前記データの転送先を決定する請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記転送先決定部は、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報、及び、前記自機が使用するストレージの寿命情報のうち、最も寿命に余裕がある前記他の機器又は前記自機を前記データの転送先を決定する請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記ログイン可否問い合わせ部は、前記他の機器が連携している外部認証装置が、前記自機が連携している外部認証装置と同じか否かを問い合わせ、同じであると回答を得た場合に、ログイン可能であると回答を得たと判断する請求項1~3のいずれか1項に記載の機器。
【請求項5】
前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器がない場合、
前記転送先決定部は、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能でないと回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報、及び、前記自機が使用するストレージの寿命情報のうち、最も寿命に余裕がある前記他の機器又は前記自機を前記データの転送先を決定する請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記転送先決定部が、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器を転送先に決定した場合、
前記転送先の他の機器の識別情報を表示させる表示制御部、
を有する請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記転送先の他の機器から前記データを扱うことができる旨を表示する請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記転送先決定部が、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能でないと回答を得た前記他の機器を転送先に決定した場合、
前記転送先の他の機器の識別情報を表示させる表示制御部、
を有する請求項5に記載の機器。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記自機が前記転送先の他の機器から前記データを取得することができ、前記転送先の他の機器から前記データを扱うことができない旨を表示する請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記データは前記機器が受信するFAXデータであり、
前記ログイン可否問い合わせ部は、前記他の機器がゲストアカウントを有するか否かを前記他の機器に問い合わせ、
前記転送先決定部は、前記ログイン可否問い合わせ部がゲストアカウントを有すると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報に基づいて、前記FAXデータの転送先を決定する請求項1に記載の機器。
【請求項11】
他の機器とネットワークを介してデータを送信及び受信できる機器を、
自機が使用するストレージの寿命情報を推定する寿命推定部と、
前記他の機器から前記他の機器が使用するストレージの寿命情報を取得する寿命情報取得部と、
自機にログインしたユーザーが前記他の機器にログイン可能か否かを前記他の機器に問い合わせるログイン可否問い合わせ部と、
前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報に基づいて、前記データの転送先を決定する転送先決定部、
として機能させるプログラム。
【請求項12】
他の機器とネットワークを介してデータを送信及び受信できる機器が行うデータ保存方法であって、
自機が使用するストレージの寿命情報を推定する処理と、
前記他の機器から前記他の機器が使用するストレージの寿命情報を取得する処理と、
自機にログインしたユーザーが前記他の機器にログイン可能か否かを前記他の機器に問い合わせる処理と、
ログイン可能であると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報に基づいて、前記データの転送先を決定する処理と、
を行うデータ保存方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器、プログラム、及びデータ保存方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置などの機器は各種のデータを記憶するためのストレージを有しているが、ストレージには寿命がある。ストレージに寿命が来るとデータ不良の原因になったり、ストレージや機器を入れ換えたりする必要が生じる。
【0003】
そこで、ストレージの書込み時に寿命に余裕のある機器に書込むことにより、使用頻度の低かった機器を有効活用する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、機器が有するストレージが寿命に達した場合に、揮発性メモリや外部装置を利用する構成が開示されている。このような技術によれば、機器間での使用頻度の偏りによって早期にストレージが寿命に達するのを防ぐことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、転送先の機器に保存されたデータをユーザーが使用できない状況が生じる場合があった。例えば、機器がストレージの寿命などを考慮してストレージを有する他の機器にデータを転送しても、ユーザーが転送先の機器にログインできないと転送したデータを使用できない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、データの転送先の機器に保存されたデータをユーザーが使用できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、他の機器とネットワークを介してデータを送信及び受信できる機器であって、自機が使用するストレージの寿命情報を推定する寿命推定部と、前記他の機器から前記他の機器が使用するストレージの寿命情報を取得する寿命情報取得部と、自機にログインしたユーザーが前記他の機器にログイン可能か否かを前記他の機器に問い合わせるログイン可否問い合わせ部と、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報に基づいて、前記データの転送先を決定する転送先決定部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
データの転送先の機器に保存されたデータをユーザーが使用できる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】画像形成装置によるデータの保存方法の概略を説明する図である。
【
図2】画像形成装置システムのネットワーク構成例を示す図である。
【
図3】画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】ストレージの寿命に基づいて画像データの転送先を決定する画像形成装置の機能ブロック図の一例である。
【
図5】保存部が保存した画像データ等を管理するためのデータ管理情報の一例を示す図である。
【
図6】画像形成装置がストレージへの書き込み時に行う処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図7】画像形成装置がストレージへの書き込み時にログイン情報を使用して転送先の画像形成装置を決定する処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図8】ユーザーがログイン可能か否かの判断を外部認証装置に基づいて行い、転送先の画像形成装置を決定する処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図9】ユーザーがログイン可能でない場合に、転送先の画像形成装置を決定する処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図10】ユーザーログイン済みの画像形成装置がタッチパネルに表示するメッセージ画面(その1)の一例を示す図である。
【
図11】変形例2に示した、ユーザーがログイン可能でない場合に、画像形成装置が表示するメッセージ画面(その2)の一例を示す図である。
【
図12】画像形成装置がゲストアカウントを有するか否かに応じて、受信したFAXデータの転送先の画像形成装置を決定する処理を説明するフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、画像形成装置と画像形成装置で行われるデータ保存方法について説明する。
【0010】
<動作の概略>
図1は、本実施形態の画像形成装置20によるデータの保存方法の概略を説明する図である。
図1に示すように、ユーザーが操作する画像形成装置20Aとネットワークを介して1つ以上の画像形成装置20B,20Cが通信可能に接続されている。本実施形態の画像形成装置20Aは、自機のストレージの寿命が近づいて来たら寿命や容量に余裕がある別の画像形成装置20B,20Cにデータを転送して保存させる。転送の際、画像形成装置20Aは、自機を使用しているユーザーがログイン可能な画像形成装置20B,20Cへ優先的にデータを保存する。
【0011】
(1) ユーザーが原稿を画像形成装置20Aでスキャンし、画像形成装置20Aが画像データを生成する。この画像データが画像形成装置20A~20Cのいずれかで保存されるデータである。
【0012】
(2) 画像形成装置20Aは他の画像形成装置20B,20Cからストレージの寿命情報を取得する。寿命情報を取得するタイミングは、スキャンした後には限られず、画像形成装置20Aは予め寿命情報を取得しておいてもよい。
【0013】
(3) 画像形成装置20Aはユーザーのログイン情報と共に、他の画像形成装置20B,20Cにログインの可否を問い合わせる。ログイン情報は、ユーザーが画像形成装置20Aにログインするための情報であり、例えばユーザーIDとパスワード、ICカードのカード番号、指紋などの生体認証情報等である。ログイン情報はユーザーが画像形成装置20Aにログインできたことで特定されている。
【0014】
(4) 他の画像形成装置20B,20Cはログイン情報を受信すると、このログイン情報によりログインが可能か否か判断し、ログイン可否判断結果を画像形成装置20Aに送信する。
【0015】
(5) 画像形成装置20Aは、ログインが可能で、寿命が最も長いストレージを有する画像形成装置20B又は20Cに画像データを保存すると決定する。
【0016】
かかる構成によれば、画像形成装置20Aは画像データをストレージの寿命に余裕がある画像形成装置20B、20Cに保存できる。画像データが保存された画像形成装置20B又は20Cにもユーザーがログイン可能であることが保証されるため、ユーザーは画像データが転送された画像形成装置20B又は20Cを操作して転送された画像データを使用できる。
【0017】
<用語について>
ストレージとは、電子データを保管する記憶手段をいう。記憶手段は不揮発性であることが好ましいが、揮発性でもよい。ストレージは、ハードディスクやSSD(Solid State Drive)の他、メモリカードなど脱着型の記憶媒体でもよい。
【0018】
寿命情報とは、物がこわれずに働く残りの期間である。実際の寿命時間は壊れるまで不明なので、寿命情報は何らかの方法で推定される、物がこわれずに働く残りの期間でよい。
【0019】
ログインとは、コンピュータやインターネット上の様々なサービスを利用する際に、予め登録しておいたログイン情報を用いてシステムのリソースにアクセスする認証行為をいう。認証が成功するとユーザーはシステムにログインしたと表現される。ログインは、サインイン、ログオン、ともいう。
【0020】
機器に保存されるデータは、機器が生成、機器が受信、ユーザーが入力したどのようなデータでもよい。また、データは機器の種類によって異なってよい。本実施形態では、主に画像形成装置が生成した画像データを例に説明する。
【0021】
<システム構成例>
図2は、画像形成装置システム100のネットワーク構成を示す図である。
図2では、1つのネットワークNに複数の画像形成装置20A~20Dが通信可能に接続されている。以下では、複数の画像形成装置20を区別する場合は「画像形成装置20A」「画像形成装置20B」「画像形成装置20C」「画像形成装置20D」のように記載し、任意の画像形成装置20を「画像形成装置20」という。
【0022】
各画像形成装置20A~20Dは、それぞれストレージ40A~40Dを内蔵しているか又は外付け可能である。ストレージ40は、内蔵と共に外付けされていてもよい。外付けの場合、ストレージ40はUSBケーブル等で接続されていてよい。
【0023】
図2では、便宜上、ネットワークNに接続されている画像形成装置20A~20Dの数は4つだが、ネットワークNに接続されている画像形成装置20A~20Dの数は4つに限らず、3つ以下又は5つ以上でもよい。
【0024】
ネットワークNは例えばLANであるが、ネットワークNは社内(ファイアウォールを超えない)のネットワークであればよい。よって、複数の画像形成装置20A~20Dは1つのLANに接続されているものに限らない。1つのLANとは同じLANであることをいい、ネットワークアドレスが同じことをいう。広域イーサネット(登録商標)も1つのLANである。ネットワークアドレスは、各画像形成装置20A~20Dに設定されているIPアドレスとサブネットマスクにより決定される。1つのLANに複数の画像形成装置20A~20Dが接続されていることで、ブロードキャストが可能になり、例えば画像形成装置20Aが他の画像形成装置20B~20DのIPアドレスを知っていることが不要になる(画像形成装置20B~20Dから見た他の画像形成装置20についても同様)。
【0025】
複数の画像形成装置20A~20Dが1つのLANに接続されていない場合、画像形成装置20A~20Dがブロードキャスト通信することが困難なので、例えば画像形成装置20Aは予め他の画像形成装置20B~20DのIPアドレスを保持している。他の画像形成装置20B~20Dは、画像形成装置20Aのストレージ40の寿命が近づいて来たらデータを転送してよい画像形成装置20として予め画像形成装置20Aに設定されている。このことは、画像形成装置20B~20Dから見た他の画像形成装置20についても同様である。
【0026】
なお、1つのLANに接続されていない画像形成装置20はネットワークアドレスが異なる画像形成装置20をいうが、この画像形成装置20は、例えばルーターやL3スイッチを介して接続されている。
【0027】
画像形成装置20は、データを保存する機器の一例である。画像形成装置20は、主に印刷機能を有する機器をいうが、本実施形態では、スキャナ機能を有するとよい。画像形成装置20は、MFP(Multifunction Peripheral/Product/Printer)、複合機、印刷装置、プリンタ等と呼ばれてもよい。MFP又は複合機とは、複数の機能を搭載した複合的な周辺機器のことである。MFP又は複合機は、1台でプリンタ、スキャナ、コピー機、FAXなどの機能を兼ねる機器などが該当する。
【0028】
<ハードウェア構成例>
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示すように、画像形成装置20は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0029】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、ローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、HD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0030】
これらのうち、CPU901は、画像形成装置20の全体を制御する。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0031】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0032】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931、プリンタ部932、及びファクス部933との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースが接続されていてもよい。
【0033】
近距離通信回路920は、ICカードなどに記憶されたユーザーの認証情報などを読込むためのカードリーダ920aを有する。
【0034】
操作パネル940は、ユーザーによる入力を受け付けるタッチパネル940aとテンキー940bを有する。また、タッチパネル940aは、画像形成装置20の設定画面などを表示する。
【0035】
<機能について>
続いて、
図4を参照して、画像形成装置20の機能について説明する。
図4は、ストレージ40の寿命に基づいて画像データの転送先を決定する画像形成装置20の機能ブロック図である。
図4ではユーザーログイン済みの画像形成装置20Xと、画像データの転送先候補の画像形成装置20Yとの機能を分けて説明するが、ユーザーログイン済みの画像形成装置20Xは転送先候補の画像形成装置20Yの機能を有しており、転送先候補の画像形成装置20Yはユーザーログイン済みの画像形成装置20Xの機能を有している。
【0036】
<<ユーザーログイン済みの画像形成装置20X>>
ユーザーログイン済みの画像形成装置20Xは、ユーザーが直接ログインした後、操作することで画像データを生成した画像形成装置20である。ユーザーが保存したい画像データは、例えばユーザーが画像形成装置20に原稿をスキャンさせて生成した画像データである。
【0037】
ユーザーログイン済みの画像形成装置20Xは、通信部11、寿命推定部12、寿命情報取得部13、ログイン可否問い合わせ部14、転送先決定部15、保存要求部16、保存部17、表示制御部18及び記憶部19を有している。画像形成装置20が有するこれら各機能部は、画像形成装置20にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令を
図3に示したCPU901が実行することで実現される機能又は手段である。あるいは、各機能部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)やハード的な回路モジュール等により実現されてもよい。また、記憶部19はストレージ40により実現されている。
【0038】
通信部11は、ネットワークNを介して転送先候補の画像形成装置20Yと各種の情報を送受信する。通信部11は、寿命情報の要求とログイン可否問い合わせを転送先候補の画像形成装置20Yに送信し、転送先候補の画像形成装置20Yから寿命情報とログイン可否判断結果を受信する。また、通信部11は、転送先の画像形成装置20に画像データを送信する。
【0039】
寿命推定部12は、自機のストレージ40の寿命情報を推定する。ストレージ40の寿命情報は、例えばHDDの場合、想定寿命から積算稼働時間を減じた値である。この他、寿命情報は、読取ヘッドのオン/オフ回数、及び読取ヘッドの動作時間等の想定寿命から、これまでのオン/オフ回数、読取ヘッドの動作時間を減じた値でもよい。SSDの場合、寿命情報は、予め設定されているTBW(Total Byte Written又はTera Byte Written)から現在の書き込み回数を減じた値である。あるいは、寿命推定部12は、SSDの設置日時からの経過時間と現在の書き込み回数に基づいて単位期間の書き込み回数を算出し、TWBを単位期間の書き込み回数で割り、想定寿命を算出する。この想定寿命から経過時間を減じた値が寿命情報である。
【0040】
寿命情報取得部13は、通信部11を介して、転送先候補の画像形成装置20Yから寿命情報を取得する。寿命情報取得部13は、保存する画像データの発生の度に寿命情報を取得してもよいし、起動した画像形成装置20から直後に取得してもよいし、定期的に取得してもよい。
【0041】
ログイン可否問い合わせ部14は、通信部11を介して、自機を操作中のユーザーのログイン情報によるログインが可能かを転送先候補の画像形成装置20Yに問い合わせ、ログイン可否判断結果を取得する。ログイン可否判断結果は、ユーザーがログインできるか否かを示す。
【0042】
転送先決定部15は、ユーザーがログイン可能でストレージ40の寿命が最も長い画像形成装置20を画像データの転送先に決定する。ストレージ40の寿命が最も長い画像形成装置20でなくても、ログインが可能で、寿命が閾値以上の画像形成装置20であればよい。
【0043】
保存要求部16は、転送先決定部15が転送先候補の画像形成装置20Yに画像データを転送すると決定した場合、通信部11を介して、転送先の画像形成装置20Yに画像データの保存を要求する。
【0044】
保存部17は、転送先決定部15が自機に画像データを保存すると決定した場合、自機の記憶部19に画像データを保存する。
【0045】
表示制御部18は、転送先候補の画像形成装置20Yが画像データを保存する場合に、転送先候補の画像形成装置20Yの識別情報、画像データが転送先候補の画像形成装置20Yに保存される旨などをタッチパネル940aに表示させる。
【0046】
<<転送先候補の画像形成装置20Y>>
転送先候補の画像形成装置20Yは、通信部21、ログイン判断部22、寿命推定部23、保存部24、ログイン情報記憶部25、及び、記憶部29を有している。これらのうち、寿命推定部23と保存部24の機能はユーザーログイン済みの画像形成装置20Xと同じでよい。記憶部29はストレージ40により実現されている。
【0047】
通信部21は、ネットワークNを介してユーザーログイン済みの画像形成装置20Xと各種の情報を送受信する。通信部21は、寿命情報の要求、及び、ログイン情報と共にログイン可否問い合わせをユーザーログイン済みの画像形成装置20Xから受信し、ユーザーログイン済みの画像形成装置20Xに寿命情報とログイン可否判断結果を送信する。
【0048】
ログイン判断部22は、ログイン情報記憶部25に基づいて、ユーザーログイン済みの画像形成装置20Xから受信したログイン情報で転送先候補の画像形成装置20Yにユーザーがログインできるか否かを判断する。ログイン判断部22は、送信されたログイン情報で実際にログインできるか否か判断してもよいし、ログイン情報記憶部25に、送信されたログイン情報と同じログイン情報が保存されているか否か判断してもよい。また、ログイン判断部22は、外部の認証サーバにログインの可否を問い合わせてもよい。ログイン判断部22は、通信部21を介してログイン可否判断結果をユーザーログイン済みの画像形成装置20Xに送信する。
【0049】
ログイン情報記憶部25には、各ユーザーのログイン情報が保存されている。ログイン情報は、ユーザーIDとパスワード、ICカードのカード番号、指紋などの生体認証情報等である。ログイン情報記憶部25は、画像形成装置20が内蔵するほか、ネットワーク上のサーバやNAS(Network Attached Storage)に保存されていてもよい。
【0050】
<データ管理情報>
図5は、保存部17,24が保存した画像データ等を管理するためのデータ管理情報を示す。データ管理情報の各項目を説明する。
・データIDの項目には、保存された画像データを識別する識別情報が格納される。データIDは画像データの転送先となり得る全ての画像形成装置20において重複しないように設定されるとよい。
・保存ユーザーの項目には、画像データを保存したユーザーのユーザー名やユーザーIDが格納される。保存ユーザーとはログインしたユーザーである。
・ファイル名の項目には、保存した画像データのファイル名が格納される。ファイル名は日時等に基づいて自動で設定されてもよいし、ユーザーが設定してもよい。
・保存日時の項目には、画像データが保存された日時が格納される。
・転送先装置の項目には、画像データが保存された画像形成装置20の識別情報が格納される。
図5では、画像形成装置20の識別情報はIPアドレスであるが、画像形成装置20が転送先の画像形成装置20を特定し、特定した画像形成装置20から画像データを取得できればよい。
【0051】
ユーザーログイン済みの画像形成装置20X及び転送先候補の画像形成装置20Yは、
図5のようなデータ管理情報を保持しており、両方が画像データの保存の度に更新する。ユーザーログイン済みの画像形成装置20Xが、他の画像形成装置20に転送した場合、ユーザーログイン済みの画像形成装置20X及び転送先の画像形成装置20がデータ管理情報を更新する。転送されなかった他の画像形成装置20はデータ管理情報を更新しない。こうすることで、ユーザーが画像データを使用できる画像形成装置20を、ユーザーログイン済みの画像形成装置20X又は転送先の画像形成装置20に制限でき、セキュリティを維持しやすくなる。
【0052】
一方、ユーザーログイン済みの画像形成装置20Xが自機に画像データを保存した場合、データ管理情報を更新するのはユーザーログイン済みの画像形成装置20Xのみである。
【0053】
画像データの保存後にユーザーが、ユーザーログイン済みの画像形成装置20X(転送元)にログインすると、ユーザー名が分かるので、転送元の画像形成装置20はデータ管理情報に登録されている保存ユーザーのユーザー名で保存されたファイル名を取得し、ファイルのリストを表示する。ユーザーがファイル名を指定すると、転送元の画像形成装置20が保存先装置に応じて自機又は転送先の画像形成装置20からファイルを取得できる。ユーザーが転送先の画像形成装置20にログインした場合も同様である。
【0054】
<処理又は動作>
次に、
図6に基づいて、ストレージ40への書き込みにおける画像形成装置20の全体の流れを説明する。
図6は、画像形成装置20がストレージ40への書き込み時に行う処理を説明するフローチャート図である。
図6の処理は、画像形成装置20においてストレージ40へ保存する画像データが発生するとスタートする。
【0055】
まず、寿命推定部12は、自機のストレージ40の寿命情報を推定し、寿命情報が閾値未満か否か判断する(S11)。寿命情報の推定は、画像形成装置20の起動時などに、1日1回行われてもよいし、ストレージ40へ保存するデータが発生する度に行われてもよい。
【0056】
ステップS11の判断がNoの場合、自機のストレージ40に保存してよいので、保存部17は自機のストレージ40に画像データを保存する(S15)。
【0057】
ステップS11の判断がYesの場合、自機のストレージ40に保存すると更に寿命を縮めたり読取しかできなくなったりするおそれがあるので、寿命情報取得部13は、通信部11を介して、転送先候補の画像形成装置20Yから寿命情報を取得する(S12)。
【0058】
転送先決定部15は、転送先候補の画像形成装置20Yから取得した寿命情報を比較し、転送先を決定する(S13)。決定方法は、例えば最も寿命情報が長い画像形成装置20、自機よりも寿命情報が長い画像形成装置20、寿命情報が閾値以上で空き容量が最も大きい画像形成装置20などでよい。ステップS13の詳細は
図7にて説明する。
【0059】
保存要求部16は、通信部11を介して、転送先決定部15が決定した転送先の画像形成装置20に画像データを転送し、転送先の画像形成装置20に画像データの保存を要求する(S14)。
【0060】
転送先の画像形成装置20又は自機に保存された画像データは、ユーザーが任意のタイミングで使用できる。例えば、ユーザーが画像データの保存先の画像形成装置20にログインすれば、自分が保存した画像データを印刷したり、FAXで送信したり、表示させたりすることができる。また、ユーザーが個人のPCを使用したり、ログインによりPCを使用するユーザーが特定されたりする場合、PCが画像形成装置20にログインしてユーザーの画像データを取得できる。PCが画像データを取得する場合においても、ユーザーがログインできる画像形成装置でなければPCは画像データを取得できない。
【0061】
<<ログイン可能な画像形成装置への保存>>
次に、
図7に基づいて、ログイン情報を使用した転送先の決定方法について説明する。
図7は、画像形成装置20がストレージ40への書き込み時にログイン情報を使用して転送先の画像形成装置20を決定する処理を説明するフローチャート図である。
図7の処理は、
図6のステップS13にて実行される。
【0062】
寿命情報取得部13は、通信部11を介して、転送先候補の画像形成装置20Yからストレージ40の寿命情報を取得する(S21)。
【0063】
ログイン可否問い合わせ部14は、通信部11を介して、転送先候補の画像形成装置20Yに対し、自機にログインしたユーザーのログイン情報を送信し、転送先候補の画像形成装置20Yにログイン可能か否か問い合わせる(S22)。ログイン可否問い合わせ部14は、ログイン可能と回答した転送先候補の画像形成装置20Yのリストを作成する。
【0064】
転送先決定部15は、転送先候補の画像形成装置20Yのリストからストレージ40の寿命情報に最も余裕がある(寿命が最も長い)画像形成装置20を特定する(S23)。寿命情報に最も余裕があるものに限らず、寿命情報が閾値以上で空き容量が閾値以上の画像形成装置20が特定されてもよい。
【0065】
転送先決定部15は、ステップS23で特定した画像形成装置20と自機の寿命情報を比較し、ステップS23で特定した画像形成装置20の寿命情報の方が寿命情報に余裕があるか否か判断する(S24)。寿命情報に余裕があるとは寿命情報が長いことをいう。なお、ユーザーログイン済みの画像形成装置20Xが使用するストレージ40の寿命情報が閾値未満であると分かっているので、転送先決定部15は、ステップS23で特定した画像形成装置20を転送先に決定してもよい。
【0066】
ステップS24の判断がYesの場合、転送先決定部15はステップS23で特定した画像形成装置20を転送先に決定し、保存要求部16が通信部11を介して画像データを送信する(S25)。ステップS23で特定した画像形成装置20の通信部21は画像データを受信し、保存部24が記憶部29(ストレージ40)に保存する。
【0067】
ステップS24の判断がNoの場合、転送先決定部15は自機に保存すると決定し、保存部17が画像データを自機の記憶部19(ストレージ40)に保存する(S26)。
【0068】
このような処理によれば、画像データが保存された転送先の画像形成装置20にもユーザーがログイン可能であることが保証されるため、ユーザーは画像データが転送された転送先の画像形成装置20Yを操作して転送された画像データを使用できる。
【0069】
<<変形例1>>
図8は、ユーザーがログイン可能か否かの判断を外部認証装置に基づいて行い、転送先の画像形成装置20を決定する処理を説明するフローチャート図である。
図8の説明では主に
図7との相違を説明する。
【0070】
図8ではステップS32の処理が
図7のステップS22と異なっている。ステップS32において、ログイン可否問い合わせ部14は、転送先候補の画像形成装置20が自機と同じ外部認証装置と連携しているかどうかを問い合わせ、同じ外部認証装置と連携している画像形成装置20をリストアップする(S32)。外部認証装置とは、認証サーバやディレクトリサーバなどユーザーの認証を行う装置である。ログイン可否問い合わせ部14は、自機が連携する外部認証装置のURLを転送先候補の画像形成装置20Yに送信し、同じ外部認証装置を使用しているか否かの判断結果を取得する。あるいは、ログイン可否問い合わせ部14が転送先候補の画像形成装置20Yから連携している外部認証装置のURLを取得し、自機の外部認証装置のURLと同じか否か判断してもよい。同一の外部認証装置を利用している場合、同一の外部認証装置を利用している複数の画像形成装置20にユーザーが同じログイン情報でログインできることを意味する。したがって、ログイン可否問い合わせ部14は、ログインの可否の問い合わせと同等の情報が得られる。
【0071】
なお、一つの社内で複数の外部認証装置を利用することは多くないので、同じ外部認証装置と連携しているかどうかの問い合わせは外部認証装置を使用した認証を行っているかという問い合わせである場合がある。外部認証装置を使用した認証を行っていないという回答は、同じ外部認証装置を使用していないという回答である。
【0072】
図8の以降の処理は
図7と同様になる。
図8の処理によれば、同一の外部認証装置を利用している画像形成装置20にユーザーがログイン可能なので、ユーザーは画像データが転送された転送先の画像形成装置20Yを操作して転送された画像データを使用できる。
【0073】
<<変形例2>>
図9は、ユーザーがログイン可能でない場合に、転送先の画像形成装置20を決定する処理を説明するフローチャート図である。
図9の説明では主に
図7との相違を説明する。
図9にはステップS43、S44が追加されている。
【0074】
ステップS43では、ログイン可否問い合わせ部14はログイン可能な画像形成装置20があるか否か判断する(S43)。ステップS43の判断がYesの場合の処理は
図7と同様でよい。
【0075】
ステップS43の判断がNoの場合、転送先決定部15は、最も寿命情報に余裕がある画像形成装置20を転送先に決定し、保存部24が保存する(S44)。最も寿命情報に余裕がある画像形成装置20には転送先候補の画像形成装置20Yだけでなく、自機も含まれる。
【0076】
このような処理によれば、転送先の画像形成装置20にユーザーがログインできない場合でも、自機のストレージ40の寿命が短い場合には、画像データを転送することを優先することができる。
【0077】
<メッセージの表示例>
画像データが他の画像形成装置20に保存された場合、ユーザーはどこに保存されたのか不明である。そこで、以下のように、画像形成装置20がメッセージを表示することが好ましい。
【0078】
図10は、ユーザーログイン済みの画像形成装置20Xがタッチパネル940aに表示するメッセージ画面(その1)200の一例である。メッセージ画面(その1)200は転送の前に表示されることが好ましい。メッセージ画面(その1)200は、例えば
図8のステップS34のYesの直後に表示される。
【0079】
メッセージ画面(その1)200には、メッセージ201、転送先情報202、注意203、及び、OKボタン204が表示されている。メッセージ201は、「ストレージの寿命が近いため、文書を転送します。本機で文書を扱う場合、転送先から文書を取得し、印刷することができます。また、転送先の画像形成装置20でも文書を扱うことができます。」である。メッセージ201により、文書が転送されること、転送を行っても本機から文書を扱えること、及び、転送先の画像形成装置20からでも文書を扱うことができること、をユーザーが把握できる。
【0080】
転送先情報202は、例えばIPアドレスであるが、転送先の画像形成装置20をユーザーが識別可能であれば他の情報でもよい。転送先情報202は、例えば、画像形成装置20の設置場所(○○フロアの西側等)や画像形成装置20の商品名や機種などでもよい。注意203には、転送先の画像形成装置20と通信が行えない場合、文書を扱うことができないことが表示される。OKボタン204が押下されると、転送先の画像形成装置20に画像データが転送される。
【0081】
また、メッセージ画面(その1)200において、ユーザーが「転送を行わず、自機のストレージ40に保存すること」を選択できてもよい。また、
図10の情報を画像形成装置20がユーザーにメールで送信してもよい。
【0082】
図11は、変形例2に示した、ユーザーがログイン可能でない場合に、画像形成装置20が表示するメッセージ画面(その2)210の一例である。メッセージ画面(その2)210は転送の前に表示されることが好ましい。メッセージ画面(その2)210は、例えば
図9のステップS44の直前に表示される。
【0083】
メッセージ画面(その2)210には、メッセージ211、転送先情報212、注意213、及び、OKボタン214が表示されている。メッセージ211は、「ストレージの寿命が近いため、文書を転送します。本機で文書を扱う場合、転送先から文書を取得し、印刷することができます。また、転送先の画像形成装置20でも文書を扱うことができません。」である。メッセージ211により、文書が転送されること、転送を行っても本機から文書を扱えること、及び、転送先の画像形成装置20からは文書を扱えないこと、をユーザーが把握できる。
【0084】
転送先情報212はログインできないユーザーにとって重要でないが、仮にユーザーログイン済みの画像形成装置20が故障した場合、ユーザーはログインできない画像データの転送先の画像形成装置20を使用する必要が生じる。したがって、ユーザーは転送先情報212を指定して転送先の画像形成装置20にログインできるように管理者に依頼できる。
【0085】
注意213には、転送先の画像形成装置20と通信が行えない場合、文書を扱うことができないことが表示される。OKボタン204が押下されると、転送先の画像形成装置20に画像データが転送される。
【0086】
なお、メッセージ画面(その2)210において、ユーザーが「転送を行わず、自機のストレージ40に保存すること」を選択できてもよい。
【0087】
<画像データ以外のデータについて>
画像形成装置20が保存するデータとしては画像データ以外にも、PCが画像形成装置20に送信する印刷データ、画像形成装置20から送信するFAXデータ、及び、画像形成装置20が受信するFAXデータ等がある。このうち、印刷データについては、ユーザーがPCから画像形成装置20にログインしているため、画像形成装置20が行う処理は画像データの場合と同様でよい。画像形成装置20から送信するFAXデータについても、ユーザーが画像形成装置20で原稿をスキャンすることは同じなので、画像形成装置20が行う処理は画像データの場合と同様でよい。
【0088】
一方、画像形成装置20が受信するFAXデータが保存される設定の場合、画像形成装置20がFAXデータを保存する必要がある。FAXデータは宛先のFAX番号宛に送信され、画像形成装置20が宛先のユーザー名を特定することが困難である。しかし、画像形成装置20が受信するFAXデータについては宛先が不明なので誰もが読めるように、ゲストアカウントに保存される場合がある。そこで、画像形成装置20が受信したFAXデータについては、ゲストアカウントを有している画像形成装置20に転送することが考えられる。なお、ゲストアカウントとは、複数の社員が共通に使用するアカウントである。ゲストアカウントにより、ユーザーが出張先や他部署で画像形成装置20を使用できる。
【0089】
図12は、画像形成装置20がゲストアカウントを有するか否かに応じて、受信したFAXデータの転送先の画像形成装置20を決定する処理を説明するフローチャート図である。
図12の説明では主に
図7との相違を説明する。
図12の処理は例えば画像形成装置20がFAXデータを受信した場合に実行される。
【0090】
図12ではステップS52の処理が
図7のステップS22と異なっている。ステップS52において、ログイン可否問い合わせ部14は、転送先候補の画像形成装置20がゲストアカウントを有しているか問い合わせ、ゲストアカウントを有している画像形成装置20をリストアップする(S52)。
【0091】
図12の以降の処理は
図8と同様になる。
図12の処理によれば、画像形成装置20がFAXデータを受信した場合も、ストレージ40の寿命に余裕がある転送先にFAXデータを保存できる。
【0092】
<主な効果>
本実施形態の画像形成装置20は画像データをストレージ40の寿命に余裕がある転送先の画像形成装置20に保存できる。画像データが保存された転送先の画像形成装置20にもユーザーがログイン可能であることが保証されるため、ユーザーは画像データが転送された画像形成装置20を操作して転送された画像データを使用できる。
【0093】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0094】
例えば、本実施形態では、画像形成装置20がデータを保存する場合を説明したが、電子黒板も同様にデータを保存できる。電子黒板では、ディスプレイに表示された手書きデータや外部から取り込んだ画像が一画面ずつ保存されるスナップショットが保存されるデータである。
【0095】
また、
図4などの構成例は、画像形成装置20による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。画像形成装置20の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0096】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0097】
<付記>
[付記1]
他の機器とネットワークを介してデータを送信及び受信できる機器であって、
自機が使用するストレージの寿命情報を推定する寿命推定部と、
前記他の機器から前記他の機器が使用するストレージの寿命情報を取得する寿命情報取得部と、
自機にログインしたユーザーが前記他の機器にログイン可能か否かを前記他の機器に問い合わせるログイン可否問い合わせ部と、
前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報に基づいて、前記データの転送先を決定する転送先決定部と、
を有する機器。
[付記2]
前記転送先決定部は、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報のうち、最も寿命に余裕がある前記他の機器を前記データの転送先を決定する付記1に記載の機器。
[付記3]
前記転送先決定部は、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報、及び、前記自機が使用するストレージの寿命情報のうち、最も寿命に余裕がある前記他の機器又は前記自機を前記データの転送先を決定する付記1に記載の機器。
[付記4]
前記ログイン可否問い合わせ部は、前記他の機器が連携している外部認証装置が、前記自機が連携している外部認証装置と同じか否かを問い合わせ、同じであると回答を得た場合に、ログイン可能であると回答を得たと判断する付記1~3のいずれか1項に記載の機器。
[付記5]
前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器がない場合、
前記転送先決定部は、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能でないと回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報、及び、前記自機が使用するストレージの寿命情報のうち、最も寿命に余裕がある前記他の機器又は前記自機を前記データの転送先を決定する付記1に記載の機器。
[付記6]
前記転送先決定部が、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能であると回答を得た前記他の機器を転送先に決定した場合、
前記転送先の他の機器の識別情報を表示させる表示制御部、
を有する付記1~6のいずれか1項に記載の機器。
[付記7]
前記表示制御部は、前記転送先の他の機器から前記データを扱うことができる旨を表示する付記6に記載の機器。
[付記8]
前記転送先決定部が、前記ログイン可否問い合わせ部がログイン可能でないと回答を得た前記他の機器を転送先に決定した場合、
前記転送先の他の機器の識別情報を表示させる表示制御部、
を有する付記5に記載の機器。
[付記9]
前記表示制御部は、前記自機が前記転送先の他の機器から前記データを取得することができ、前記転送先の他の機器から前記データを扱うことができない旨を表示する付記8に記載の機器。
[付記10]
前記データは前記機器が受信するFAXデータであり、
前記ログイン可否問い合わせ部は、前記他の機器がゲストアカウントを有するか否かを前記他の機器に問い合わせ、
前記転送先決定部は、前記ログイン可否問い合わせ部がゲストアカウントを有すると回答を得た前記他の機器が使用するストレージの寿命情報に基づいて、前記FAXデータの転送先を決定する付記1に記載の機器。
【符号の説明】
【0098】
20 画像形成装置
40 ストレージ
100 画像処理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】