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特開2024-162376画像形成装置、故障検知方法及び故障検知プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162376
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像形成装置、故障検知方法及び故障検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241114BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241114BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 388
G03G21/16 176
G03G15/08 341
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077817
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山堀 俊太
(72)【発明者】
【氏名】松田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】家入 雄二
(72)【発明者】
【氏名】岡村 悠
(72)【発明者】
【氏名】近藤 友秀
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA35
2H077DA15
2H077DA24
2H077DA32
2H077DA76
2H077GA04
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA14
2H171HA23
2H171JA07
2H171JA48
2H171KA05
2H171KA16
2H171KA27
2H171QA04
2H171QB32
2H171QB35
2H270LA29
2H270LA44
2H270LA54
2H270LA58
2H270LA66
2H270LA70
2H270LA87
2H270LA97
2H270LD08
2H270LD14
2H270NB12
2H270RA03
2H270RA04
2H270RA10
2H270RB04
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】トナー残量があるトナーボトルが交換可能な状態になることを抑止する。
【解決手段】画像形成装置は、トナーボトル収納部の挿入口に開閉可能に設けられるボトルカバーと、閉状態のボトルカバーをロックするロック機構と、ボトルカバーのロック状態を解除して開状態にするロック解除部と、ロック解除部を駆動する駆動部とを含む駆動機構と、ボトルカバーの前面に開閉可能に設けられ、閉状態のときにボトルカバーが開くことを抑止する前カバーと、画像形成部が動作していないときに駆動部を動作させてもロック解除部が駆動されない場合に駆動部の故障を検知する第1故障検知処理を実施する故障検知部と、前カバーが開けられる可能性があることを検知する条件検知部と、を有し、故障検知部は、条件検知分がカバーが開けられる可能性があることを検知しているときに、第1故障検知処理を実施しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部による画像の形成に使用するトナーが充填されるトナーボトルを挿抜可能に収納するトナーボトル収納部と、
前記トナーボトル収納部の挿入口を開閉可能に設けられるボトルカバーと、
前記挿入口を覆う位置にある閉状態の前記ボトルカバーをロックするロック機構と、
前記ボトルカバーのロック状態を解除して、前記ボトルカバーを前記挿入口を覆わない開状態にするロック解除部と、前記ロック解除部を駆動する駆動部とを含む駆動機構と、
前記ボトルカバーの前面に開閉可能に設けられ、閉状態のときに前記ボトルカバーが開くことを抑止する前カバーと、
前記画像形成部が動作していないときに前記駆動部を動作させても前記ロック解除部が駆動されない場合に前記駆動部の故障を検知する第1故障検知処理を実施する故障検知部と、
前記前カバーが開けられる可能性があることを検知する条件検知部と、
を有し、
前記故障検知部は、前記条件検知部が前記可能性があることを検知しているときに、前記第1故障検知処理を実施しないこと、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記故障検知部は、前記駆動部により駆動されていないときの前記ロック解除部の動作状態が前記駆動部により駆動されていない状態以外を示す場合に前記ロック解除部の故障を検知する第2故障検知処理を、前記条件検知部が前記可能性があることを検知しているか否かにかかわりなく実施すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記前カバーの開閉状態を検知する開閉検知部を有し、
前記故障検知部は、前記開閉検知部が前記前カバーの開状態を検知している場合、前記条件検知部が前記可能性があることを検知しているか否かにかかわりなく、前記第1故障検知処理を実施しないこと、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記条件検知部は、使用者が前記前カバーの前に居ることを検知した場合、前記可能性があることを検知すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記条件検知部は、タイマ又は画像形成装置の設置環境の照度に基づいて、使用者が前記前カバーの前に居る可能性のある時間帯に前記可能性があることを検知すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記条件検知部は、前記画像形成部が動作している場合、前記条件検知部が前記可能性があることを検知しているか否かにかかわりなく、前記第1故障検知処理を実施すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記故障検知部は、前記駆動部の故障を検知した場合、故障を画像形成装置の外部に報知すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記故障検知部は、前記第1故障検知処理を所定の期間内に一度も実施しなかった場合、前記第1故障検知処理の未実施を画像形成装置の外部に報知すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像の形成に使用するトナーが充填されるトナーボトルを挿抜可能に収納するトナーボトル収納部と、前記トナーボトル収納部の挿入口を開閉可能に設けられるボトルカバーと、前記挿入口を覆う位置にある閉状態の前記ボトルカバーをロックするロック機構と、前記ボトルカバーのロック状態を解除して、前記ボトルカバーを前記挿入口を覆わない開状態にするロック解除部と、前記ロック解除部を駆動する駆動部とを含む駆動機構と、前記ボトルカバーの前面に開閉可能に設けられ、閉状態のときに前記ボトルカバーが開くことを抑止する前カバーと、を有する画像形成装置の故障検知方法であって、
前記画像形成部が動作していないときに前記駆動部を動作させても前記ロック解除部が駆動されない場合に前記駆動部の故障を検知する第1故障検知処理と、
前記前カバーが開けられる可能性があることを検知する条件検知処理と、
を実施し、
前記条件検知処理が前記可能性があることを検知しているときに、前記第1故障検知処理を実施しないこと、
を特徴とする故障検知方法。
【請求項10】
画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像の形成に使用するトナーが充填されるトナーボトルを挿抜可能に収納するトナーボトル収納部と、前記トナーボトル収納部の挿入口を開閉可能に設けられるボトルカバーと、前記挿入口を覆う位置にある閉状態の前記ボトルカバーをロックするロック機構と、前記ボトルカバーのロック状態を解除して、前記ボトルカバーを前記挿入口を覆わない開状態にするロック解除部と、前記ロック解除部を駆動する駆動部とを含む駆動機構と、前記ボトルカバーの前面に開閉可能に設けられ、閉状態のときに前記ボトルカバーが開くことを抑止する前カバーと、を有する画像形成装置の故障検知プログラムであって、
前記画像形成部が動作していないときに前記駆動部を動作させても前記ロック解除部が駆動されない場合に前記駆動部の故障を検知する第1故障検知処理と、
前記前カバーが開けられる可能性があることを検知する条件検知処理と、
をコンピュータに実施させ、
前記条件検知処理が前記可能性があることを検知しているときに、前記第1故障検知処理を実施させないこと、
を特徴とする故障検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、故障検知方法及び故障検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置のトナーボトルの収納部の挿入口にロック可能なボトルカバーを設け、トナーボトル内のトナー残量がなくなったときにボトルカバーのロックを解除することで、トナーが残っている状態でのトナーボトルの交換を抑止する技術がある。この種の画像形成装置は、ボトルカバーをトナーボトルの収納部の挿入口にロックするロック機構と、ロックを解除するロック解除機構と、ボトルカバーの開閉状態を検知する検知機構とを有する。ロック機構は、ソレノイドを利用してロックの解除を制御する。
【0003】
画像形成装置は、ロックを解除しても検知機構がボトルカバーが閉じていることを示す場合、使用者への確認メッセージを表示部に表示する。そして、表示後に使用者によりトナーボトルが交換された場合、検知機構の故障を判定し、使用者によりトナーボトルが交換されなかった場合、ロック機構の故障を判定する(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ロック機構が故障していない画像形成装置において前カバーが開いている状態で、ボトルカバーのロックを解除してロック機構の故障を判定する場合、ボトルカバーが開いてしまうため、トナー残量があるトナーボトルが交換可能な状態になってしまう。
【0005】
上記の課題に鑑み、本発明は、トナー残量があるトナーボトルが交換可能な状態になることを抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態の画像形成装置は、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像の形成に使用するトナーが充填されるトナーボトルを挿抜可能に収納するトナーボトル収納部と、前記トナーボトル収納部の挿入口を開閉可能に設けられるボトルカバーと、前記挿入口を覆う位置にある閉状態の前記ボトルカバーをロックするロック機構と、前記ボトルカバーのロック状態を解除して、前記ボトルカバーを前記挿入口を覆わない開状態にするロック解除部と、前記ロック解除部を駆動する駆動部とを含む駆動機構と、前記ボトルカバーの前面に開閉可能に設けられ、閉状態のときに前記ボトルカバーが開くことを抑止する前カバーと、前記画像形成部が動作していないときに前記駆動部を動作させても前記ロック解除部が駆動されない場合に前記駆動部の故障を検知する第1故障検知処理を実施する故障検知部と、前記前カバーが開けられる可能性があることを検知する条件検知部と、を有し、前記故障検知部は、前記条件検知部が前記可能性があることを検知しているときに、前記第1故障検知処理を実施しないこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
トナー残量があるトナーボトルが交換可能な状態になることを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図2図1の制御機構のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図1のトナーボトル収納部に設けられるボトルカバーの一例を示す部分斜視図である。
図4図1の4つのトナーボトル収納部にトナーボトルが設置される状態の一例を示す部分斜視図である。
図5図3のボトルカバーのロック状態とロック解除状態との例を示す説明図である。
図6図2のCPUの機能と図5のボトルカバー制御部との一例を示すブロック図である。
図7図6の条件検知部によりソレノイドのオン制御時及びオフ制御時の故障検知を実施するか否かを判定する判定処理の一例を示す説明図である。
図8図6のCPUによりソレノイド及びトランジスタ等の故障を検知する処理の一例を示すフロー図である。
図9図8の続きを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図である。例えば、画像形成装置100は、コピー機能、FAX機能、プリント機能、スキャナ機能等を含む複合機(MFP:Multifunction Peripheral /Printer /Product)である。なお、画像形成装置100は、単一のプリント機能を有してもよく、コピー機能、FAX機能、スキャナ機能のいずれかとプリント機能とを有してもよい。また、画像形成装置100で処理される画像は、画像を含む画像データだけでなく、画像が含まれないテキストデータを含んでもよい。
【0011】
画像形成装置100は、タンデム型で中間転写方式を採用する電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置100は、自動原稿送り装置110と、画像読み取り装置120と、操作部130と、用紙トレイ140と、作像部150と、前カバー160と、給紙カセット170とを有する。また、画像形成装置100は、ロック機構300と、駆動機構400と、画像形成装置100の全体の動作を制御する動作制御部500とを有する。なお、実際には、動作制御部500は、例えば制御基板の形態として、画像形成装置100の本体内に設けられる。
【0012】
自動原稿送り装置110は、原稿を1枚ずつ画像読み取り装置120に給送する。画像読み取り装置120は、自動原稿送り装置110から順に送られる各原稿の画像情報を光学的に読み取ることで、画像データを生成する。また、画像読み取り装置120は、透明な原稿台の上に載置された原稿を光学的に読み取ることで、画像データを生成することができる。
【0013】
操作部130は、使用者の操作に応じた各種の入力を受け付け、各種情報を表示する操作パネル132と、操作部130の前に使用者が居るか否かを検知する人感センサ134とを有する。
【0014】
例えば、操作パネル132に表示される情報は、入力を受け付けた操作を示す情報、画像形成装置100の動作状況を示す情報、画像形成装置100の設定状態を示す情報、又は、各種アラームなどである。各種アラームには、画像形成装置100が内部の機構の異常を検知した場合に、画像形成装置100のサービス拠点への修理の依頼を促すサービスコールの表示が含まれる。
【0015】
例えば、操作パネル132は、タッチパネル機能を有する液晶表示装置(LCD:Liquid Cristal Display)又は有機EL(Electro-Luminescence)表示装置を含んでもよい。さらに、操作パネル132は、タッチパネル機能を有する表示装置に加えて、ハードウェアキー等を有してもよい。
【0016】
人感センサ134は、赤外線センサ、カメラ等である。人感センサ134は、画像形成装置100の前に使用者が居るか否かを検知する。人感センサ134は、使用者が居るか居ないかの情報を動作制御部500に出力する。
【0017】
なお、画像形成装置100は、人感センサ134の代わりに照度センサ又はタイマを有してもよい。例えば、照度センサは、画像形成装置100が設置される設置環境(例えば亜、室内)が所定の照度以上の場合、画像形成装置100の前に使用者が居る可能性があることを示す情報を動作制御部500に出力する。照度センサは、設置環境が所定の照度未満の場合、画像形成装置100の前に使用者が居る可能性がないことを示す情報を動作制御部500に出力する。
【0018】
例えば、タイマは、予め設定された業務開始時刻に、画像形成装置100の前に使用者が居る可能性があることを示す情報を動作制御部500に出力する。タイマは、業務終了時刻に、画像形成装置100の前に使用者が居る可能性がないことを示す情報を動作制御部500に出力する。照度センサ又はタイマにより画像形成装置100の前に人が居る可能性が低いタイミングでソレノイド410をオン制御して故障検知処理を実施することで、故障から復帰までの緊急性が低いタイミングで故障を検知することができる。
【0019】
作像部150は、図示しない感光体ドラム、帯電装置、書き込みユニット、現像装置、搬送ベルト及び定着装置等を有する。作像部150は、画像形成部の一例である。帯電装置は、感光体ドラムの外周面を帯電させる。書き込みユニットは、画像読み取り装置120により読み取られた画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム上を露光して、感光体ドラム上に静電潜像を書き込む。
【0020】
現像装置は、感光体ドラム上に書き込まれた潜像をトナーで現像する。搬送ベルトは、トナー画像を形成する用紙を感光体ドラムに搬送し、現像により感光体ドラム上に付着しているトナー像を用紙に転写させる。定着装置は、用紙上のトナー像を用紙に定着させ、用紙上にトナー画像を形成する。そして、トナー画像が形成された用紙は、用紙トレイ140に排出される。
【0021】
作像部150は、例えば、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのトナーがそれぞれ充填されたトナーボトル10Y、10C、10M、10Kの各々を収納するトナーボトル収納部152を有する。以下では、トナーボトル10Y、10C、10M、10Kを区別なく説明する場合、トナーボトル10とも称される。
【0022】
また、作像部150は、各トナーボトル収納部152におけるトナーボトル10の挿入口152a(図3)に対して開閉可能に取り付けられたボトルカバー200と、開閉検知センサ210とを有する。開閉検知センサ210は、ボトルカバー200の開閉状態を検知する。
【0023】
ロック機構300は、ボトルカバー200をトナーボトル10の挿入口152a(図3)を覆った位置にロックする。駆動機構400は、ロック機構300によるボトルカバー200のロック状態を解除して、ボトルカバー200を開いた状態にする。トナーボトル10の例は、図4に示される。ロック機構300の例は、図3に示される。ロック機構300と駆動機構400との動作の例は、図5に示される。
【0024】
図1では、トナーボトル10Y、10C、10Mのトナーボトル収納部152の前面に取り付けられたボトルカバー200は、閉じた状態を示すが、説明を分かりやすくするため、トナーボトル収納部152が透視されるように示している。トナーボトル10Kのトナーボトル収納部152の前面に取り付けられたボトルカバー200は、開いた状態を示し、この状態で、トナーボトル10Kは、トナーボトル収納部152に対して画像形成装置100の前後方向に挿抜可能である。すなわち、トナーボトル10は、ボトルカバー200が開いた状態で交換することができる。
【0025】
前カバー160は、作像部150の前面に取り付けられており、使用者等により開閉可能である。図1は、前カバー160が開かれた状態を示しており、ボトルカバー200が露出されている。前カバー160には、前カバー160の開閉状態を検知する開閉検知センサ162が取り付けられている。開閉検知センサ162は、開閉検知部の一例である。なお、ボトルカバー200は、前カバー160が開いた状態で、完全に開くことができる。前カバー160が閉じた状態では、ボトルカバー200は、開くことが抑止される。このため、前カバー160が閉じている場合、ボトルカバー200は、ロック状態が解除されても開状態にならず、開閉検知センサ210は、ボトルカバー200の閉状態を検知する。
【0026】
動作制御部500は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のコントローラが搭載される図示しない制御基板により実現される。動作制御部500は、開閉検知センサ210から受信する情報に基づいてボトルカバー200の開閉状態を検知し、開閉検知センサ162から受信する情報に基づいて前カバー160の開閉状態を検知する。動作制御部500は、SoC(System on Chip)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等により実現されてもよい。
【0027】
例えば、動作制御部500は、操作パネル132で受け付けた操作に基づいて、画像形成装置100を制御し、コピー動作等を実施する。また、動作制御部500は、PC等の外部機器から受け付けた指示に基づいて、画像形成装置100を制御してもよい。さらに、動作制御部500は、図8及び図9で説明するように、駆動機構400の故障を検知する故障検知処理を実施する。
【0028】
給紙カセット170は、トナー画像が形成される前の用紙等を収納する。例えば、給紙カセット170は、サイズが互いに異なる用紙等を収納可能である。なお、図1では、2つの給紙カセット170が画像形成装置100に設けられる例が示されるが、給紙カセット170の数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0029】
図2は、図1の動作制御部500のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。動作制御部500は、CPU510とROM(Read Only Memory)520とRAM(Random Access Memory)530とを有する。また、動作制御部500は、入力インタフェース部540と出力インタフェース部550と入出力インタフェース部560と通信インタフェース部570とを有する。
【0030】
例えば、CPU510とROM520とRAM530と入力インタフェース部540と出力インタフェース部550と入出力インタフェース部560と通信インタフェース部570とは、バスBUSを介して相互に接続される。
【0031】
CPU510は、OS(Operating System)及びアプリケーション等の各種プログラムを実施する。ROM520は、各種プログラムをCPU510により実施可能にするための基本プログラムや各種パラメータ等を保持する。RAM530は、CPU510により実施される各種プログラムや、プログラムで使用するデータ等を記憶する。例えば、各種プログラムは、画像読み取り装置120で読み取った原稿画像の画像処理を実施する画像処理プログラム及び駆動機構400の故障を検知する故障検知プログラムを含んでもよい。
【0032】
入力インタフェース部540には、操作パネル132及び人感センサ134等の入力装置610が接続される。出力インタフェース部550には、操作パネル132の表示部及び作像部150等の出力装置620が接続される。入出力インタフェース部560には、図示しないHDD(Hard Disk Drive)及び記録媒体等の入出力装置630が接続される。
【0033】
記録媒体に画像処理プログラム又は故障検知プログラム等の各種プログラムが格納される場合、プログラムは、入出力インタフェース部560を介して記録媒体からRAM530等に転送される。通信インタフェース部570は、動作制御部500をネットワーク等に接続可能であり、画像形成装置100のサービス拠点と通信することができる。
【0034】
図3は、図1のトナーボトル収納部152に設けられるボトルカバー200の例を示す部分斜視図である。例えば、トナーボトル収納部152の前面には、ボトルカバー200を取り付ける枠部154が固定されている。枠部154は、トナーボトル収納部152におけるトナーボトル10(図1)の挿入口152aに対向する位置にトナーボトル10を挿通可能な貫通穴を有する。また、枠部154には、ロック機構300に含まれるラッチ310と開閉検知センサ210とが取り付けられている。特に限定されないが、ラッチ310と開閉検知センサ210とは、挿入口152aを挟んで、矩形状の枠部154の対角の位置に設けられている。
【0035】
ボトルカバー200は、閉じたときに挿入口152aを覆う位置に配置され、軸部材220により枠部154に回動自在に固定されている。ボトルカバー200は、軸部材220側と反対側の先端部に、先端部から突出するフック202を有する。フック202は、ボトルカバー200が挿入口152aを覆う位置にある閉状態で、ラッチ310に係合される位置に設けられる。ラッチ310及びフック202は、閉状態のボトルカバー200をロックするロック機構の一例である。ラッチ310及びフック202の詳細な形状と係合方法とは、図5で説明される。
【0036】
図4は、図1の4つのトナーボトル収納部152の各々にトナーボトル10が設置される状態を示す部分斜視図である。図4では、ボトルカバー200が省略されているが、図4は、ロック機構の解除によりボトルカバー200が開けられた状態に対応している。画像形成装置100にトナーが充填される場合、トナーボトル10(10Y、10M、10C又は10K)は、矢印方向に沿ってトナーボトル収納部152内に装着される。
【0037】
特に限定されないが、トナーボトル10は、略円筒状を有しており、トナーボトル収納部152に非回転で保持されるキャップ部11に対して相対的に回転可能に保持される。トナーボトル収納部152に収納されたトナーボトル10は、回転されながら図4の矢印方向に移動される。
【0038】
トナーボトル10の先端がキャップ受け部12にはめ込まれると、トナーボトル10は、キャップ受け部12の奥側に配置される図示しないトナー補給装置を介してトナータンクに接続される。そして、トナーボトル10内に充填されているトナーがトナータンク内に適宜貯溜される。
【0039】
例えば、トナーボトル10内のトナーが所定量以下になったことが図示しないトナー残量検知部により検知された場合、「トナー残量なし」を示す情報が操作パネル132の画面に表示される。画面を見た使用者が操作パネル132上の確認ボタンを押し、前カバー160を開けると、開閉検知センサ162により前カバー160の開き状態が検知され、ソレノイド410が駆動され、ボトルカバー200が開かれる。そして、開いたボトルカバー200に対応する位置に収納されているトナーボトル10の取り出しが可能になり、新品のトナーボトル10と交換可能になる。
【0040】
図5は、図3のボトルカバー200のロック状態とロック解除状態との例を示す説明図である。図1に示したロック機構300は、ラッチ310、軸部材320、ねじりコイルばね330、リンク340及びコイルばね350を有する。図1に示した駆動機構400は、ソレノイド410、制御線420及びボトルカバー制御部430を有する。ソレノイド410は、ボトルカバー200を挿入口152a(図3)を覆わない開状態にするロック解除部の一例である。ボトルカバー制御部430のうち、ソレノイド410を駆動する要素(例えば、図6のトランジスタQ1)は、ソレノイド410を駆動する駆動部の一例である。
【0041】
ラッチ310は、L字形状を有しており、L字の曲がり部分に設けられた軸部材320に回動自在に支持されている。軸部材320の周囲には、L字形状のラッチ310の一端をボトルカバー200側である方向Aに押圧するねじりコイルばね330が配置されている。
【0042】
ラッチ310の一端側には、ボトルカバー200のフック202の形状に対応する形状を有する凹部312が設けられている。フック202は、ラッチ310の凹部312に係合された状態で、枠部154に対して移動することが規制され、ボトルカバー200は、閉じた状態に維持される。
【0043】
ラッチ310の他端における内側は、角が鋭角なU字形状を有するリンク340の一端側の内側と接触する。リンク340の他端側は、ソレノイド410のロッド412に連結されている。リンク340には、リンク340をラッチ310側である方向Bに押圧するコイルばね350が取り付けられている。ソレノイド410は、制御線420を介してボトルカバー制御部430に接続され、ボトルカバー制御部430により駆動される。
【0044】
図5の状態(a)において、ソレノイド410がボトルカバー制御部430により駆動されていないとき、ロッド412は移動自在となる。このとき、ラッチ310は、ねじりコイルばね330の曲げ応力により方向Aに回動し、凹部312によりフック202を係合させる。リンク340は、コイルばね350の押圧力により、ラッチ310の回動に合わせて、ラッチ310の端との接触を維持しながら方向Bに移動する。そして、ボトルカバー200は、トナーボトル10の挿入口152a(図3)を覆った状態で枠部154にロックされる。
【0045】
図5の状態(b)において、ソレノイド410は、ボトルカバー制御部430により駆動されたとき、ロッド412を方向Cに引き込む。これにより、リンク340が方向Cに移動して、ラッチ310の他端が方向Cに押圧され、ラッチ310は、ねじりコイルばね330の曲げ応力に逆らって方向Dに回動する。そして、フック202は、凹部312による係合から解除され、ボトルカバー200は、枠部154によるロックから解除される。
【0046】
ボトルカバー200は、枠部154によるロックが解除された状態で、重力又はばね力等によりフック202が枠部154から離れる方向に回動する構造を有する。このため、状態(b)の後、ボトルカバー200は、自動的に開かれる。図1の前カバー160が開かれている場合、ボトルカバー200は、完全に開かれ、挿入口152a(図3)からトナーボトル10を挿抜可能な状態になる。開閉検知センサ210(図3)は、ボトルカバー200が開かれたことを検知する。
【0047】
なお、ボトルカバー制御部430は、ボトルカバー200が開かれた後にソレノイド410の駆動を停止する。これにより、リンク340及びラッチ310は、状態(a)に示す位置に戻る。また、トナーボトル10が交換され、使用者によりボトルカバー200が閉じられた場合、ラッチ310の一端は、フック202により押圧される。ラッチ310は、凹部312がフック202を係合するまで、ねじりコイルばね330の曲げ応力に逆らって状態(b)の方向Dに回動する。そして、図5の状態(a)に示すように、ボトルカバー200は、枠部154に再びロックされる。
【0048】
図6は、図2のCPU510の機能と図5のボトルカバー制御部430との一例を示すブロック図である。CPU510は、条件検知部512及び故障検知部514を有する。例えば、条件検知部512及び故障検知部514は、CPU510が実施する故障検知プログラムにより実現されてもよい。
【0049】
条件検知部512は、画像形成装置100の前に使用者が居るか居ないかの情報を人感センサ134から受信し、前カバー160が開けられる可能性があるか否かを検知する。また、条件検知部512は、前カバー160の開閉状態を示す情報を開閉検知センサ162から受信し、CPU510内で生成される作像部150の動作状態を示す情報を、印刷中であるか否かを示す情報として受信する。
【0050】
そして、条件検知部512は、前カバー160が開けられる可能性と、前カバー160の開閉状態と、印刷中であるか否かに基づいて、駆動機構400の故障検知を実施するか否かを判定し、判定結果を故障検知部514に通知する。条件検知部512による判定の例は、図7に示される。
【0051】
故障検知部514は、駆動機構400の故障検知を実施する指示を条件検知部512から受信した場合、ボトルカバー制御部430から受信した情報に基づいて駆動機構400の故障を検知する故障検知処理を実施する。
【0052】
例えば、故障検知部514は、故障検知処理により、ソレノイド410のオープン故障又はトランジスタQ1のオープン故障を検知した場合、故障の発生と修理の依頼を促すサービスコールとを含むエラーメッセージを操作パネル132の表示部に表示してもよい。故障検知部514は、通信インタフェース部570を介して画像形成装置100のサービス拠点等に故障の発生を通知してもよい。この場合、故障検知部514は、サービス拠点等に故障の発生を通知したことを示すメッセージを操作パネル132の表示部に表示してもよい。故障検知部514の動作の例は、図8及び図9に示される。
【0053】
ボトルカバー制御部430は、ソレノイド制御部431、トランジスタQ1、ダイオードD1、抵抗R1、R2、R3、R4、コンデンサC1及びコネクタCN1を有する。ソレノイド制御部431は、トランジスタQ1のゲート電圧を制御する汎用出力ポートGPOと、故障検知信号FDETを受信する汎用入力ポートGPIとを有し、CPU510との間で情報を入出力可能である。
【0054】
例えば、ソレノイド制御部431は、ボトルカバー制御部430に搭載されるマイクロコンピュータにより実現されてもよい。以下では、汎用出力ポートGPO及び汎用入力ポートGPIは、それぞれ出力ポートGPO及び入力ポートGPIと称される。出力ポートGPOは、抵抗R1を介してトランジスタQ1のゲートに接続されている。トランジスタQ1のゲートは、抵抗R2を介して接地線GNDに接続されている(プルダウン)。
【0055】
トランジスタQ1のソースは、接地線GNDに接続されている。トランジスタQ1のドレインは、ダイオードD1のアノードに接続され、ダイオードD1を介して電源線V24に接続されている。また、トランジスタQ1のドレインは、コネクタCN1を介してソレノイド410の一端に接続されている。ソレノイド410の他端は、電源線V24に接続されている。
【0056】
さらに、トランジスタQ1のドレインは、直列に接続された抵抗R3、R4を介して接地線GNDに接続されている。抵抗R3、R4の接続ノードND1には、トランジスタQ1のドレイン電圧を分圧した電圧レベルが故障検知信号FDETとして生成される。接続ノードND1は、コンデンサC1を介して接地線GNDに接続されている。
【0057】
ソレノイド制御部431は、CPU510からソレノイド410をオンしてボトルカバー200を開ける指示を受信した場合、出力ポートGPOからトランジスタQ1のゲートにトランジスタQ1をオンさせる電圧を出力する。ソレノイド制御部431は、CPU510からソレノイド410をオンしない指示を受信した場合、出力ポートGPOからトランジスタQ1のゲートにトランジスタQ1をオフさせる電圧を出力する。
【0058】
ソレノイド制御部431は、ソレノイド410のオフ制御時に、ソレノイド410の巻き断線故障、ハーネスのコネクタCN1からの抜けによる故障、又はハーネス断線故障を検知することができる。以下では、ソレノイド410の巻き断線故障、ハーネスのコネクタCN1からの抜けによる故障、又はハーネス断線故障は、まとめてソレノイドオープン故障とも称される。また、以下では、故障は、単一故障であるとして説明される。
【0059】
ソレノイド410のオフ制御時、トランジスタQ1はオフされる。このため、ソレノイド410及びコネクタCN1に接続されるハーネスが正常な場合(ソレノイドオープン故障がない場合)、接続ノードND1は、電源電圧V24を抵抗R3、R4で分圧した分圧電圧になり、故障検知信号FDETは、ハイレベルに設定される。
【0060】
一方、ソレノイドオープン故障がある場合、抵抗R3は電源線V24に接続されないため、接続ノードND1は、接地電圧GNDになり、故障検知信号FDETは、ロウレベルに設定される。したがって、ソレノイド制御部431は、ソレノイド410のオフ制御時に、故障検知信号FDETがロウレベルの場合、ソレノイドオープン故障を検知することができる。
【0061】
また、ソレノイド制御部431は、ソレノイド410のオン制御時に、トランジスタQ1のオープン故障を検知することができる。以下では、トランジスタQ1のオープン故障は、トランジスタオープン故障とも称される。ソレノイド410のオン制御時、ソレノイド制御部431は、トランジスタQ1をオンしようとする。トランジスタQ1が正常な場合、トランジスタQ1はオンし、接続ノードND1は、接地電圧GNDに設定され、故障検知信号FDETは、ロウレベルに設定される。
【0062】
一方、トランジスタQ1にオープン故障がある場合、接続ノードND1は、電源電圧V24を抵抗R3、R4で分圧した分圧電圧になり、故障検知信号FDETは、ハイレベルに設定される。したがって、ソレノイド制御部431は、ソレノイド410のオン制御時に、故障検知信号FDETがハイレベルの場合、トランジスタオープン故障を検知することができる。
【0063】
なお、トランジスタオープン故障の検知は、ソレノイド410がオン制御されるため、トランジスタQ1が正常な場合、ボトルカバー200のロックが解除され、ボトルカバー200が意図しないタイミングで開いてしまう。画像形成装置100の前に使用者が居るときに、ボトルカバー200が意図しないタイミングで開いた場合、使用者は、例えば、画像形成装置100の故障を疑ってしまうおそれがある。
【0064】
例えば、画像形成装置100の前に居る使用者は、常に前カバー160を開けられる状態にある。トランジスタオープン故障の検知時に使用者が前カバー160を開けた場合、ボトルカバー200が使用者の目の前で開いてしまう場合がある。このため、画像形成装置100の前に使用者が居る場合には、トランジスタオープン故障の検知は実施されないことが好ましい。
【0065】
なお、ソレノイドオープン故障及びトランジスタオープン故障は、故障検知部514により検知されてもよい。この場合、ソレノイド制御部431は、入力ポートGPIで受信する故障検知信号FDETの論理レベルをCPU510に出力する。
【0066】
図7は、図6の条件検知部512によりソレノイド410のオン制御時及びオフ制御時の故障検知を実施するか否かを判定する判定処理の一例を示す説明図である。ソレノイド410のオン制御時の故障検知は、第1故障検知処理の一例である。ソレノイド410のオフ制御時の故障検知は、第2故障検知処理の一例である。ソレノイド410のオン制御時及びオフ制御時の故障検知は、所定の周期で繰り返し実施される。
【0067】
作像部150が印刷動作を実施しておらず、前カバー160が閉じている場合、条件検知部512は、人感センサ134による人の検知状況に応じて、ソレノイド410のオン制御時の故障検知を実施するか否かを判定する。条件検知部512は、人感センサ134が画像形成装置100の前に人が居ないことを検知している場合、ソレノイド410のオン制御時の故障検知を実施することを判定する。この場合、条件検知部512は、ソレノイド410のオン制御時の故障検知時に、トランジスタQ1をオン制御する指示をボトルカバー制御部430に出力する。
【0068】
一方、条件検知部512は、人感センサ134が画像形成装置100の前に人が居ることを検知している場合、ソレノイド410のオン制御時の故障検知を実施しないことを判定する。この場合、条件検知部512は、ソレノイド410のオン制御時の故障検知のタイミングになった場合にも、トランジスタQ1をオン制御する指示をボトルカバー制御部430に出力しない。これにより、画像形成装置100の前に人が居るときに故障検知によりボトルカバー200が開くことが抑止することができる。
【0069】
また、作像部150が印刷動作を実施しておらず、前カバー160が開いている場合、条件検知部512は、人感センサ134による人の検知状況にかかわらず、ソレノイド410のオン制御時の故障検知を実施しないことを判定する。この場合、条件検知部512は、ソレノイド410のオン制御時の故障検知のタイミングになった場合にも、トランジスタQ1をオン制御する指示をボトルカバー制御部430に出力しない。
【0070】
これにより、前カバー160が開いているときに、故障検知によりボトルカバー200が開いてしまうことを抑止することができ、トナー残量があるトナーボトル10が交換可能な状態になることを抑止することができる。この結果、本来印刷に使用されるべきトナーが無駄に廃棄されることを抑止することができる。また、故障が発生していないにもかかわらず、使用者が画像形成装置100の故障等を疑うことを避けることができる。
【0071】
さらに、作像部150が印刷動作を実施している場合、前カバー160の開閉状態と人感センサ134による人の検知状況とにかかわらず、ソレノイド410のオン制御時の故障検知を実施することを判定する。印刷動作時は前カバー160が開けられることがないため、画像形成装置100の前に使用者が居る場合にも、ソレノイド410のオン制御時の故障検知を実施することができる。
【0072】
なお、ソレノイド410のオフ制御時の故障検知は、印刷状態、前カバー160の開閉状態及び人感センサ134による人の検知状況にかかわらず、常に実施される。すなわち、ソレノイド410のオフ制御時の故障検知のタイミングになった場合、トランジスタQ1をオフ制御する指示をボトルカバー制御部430に出力する。これにより、複数の故障原因を修理前に切り分けることができるため、修理を迅速に行うことができ、画像形成装置100の故障時のダウンタイムを低減することができる。
【0073】
図8及び図9は、図6のCPU510によりソレノイド410及びトランジスタQ1等の故障を検知する処理の一例を示すフロー図である。すなわち、図8及び図9は、画像形成装置100の故障検知方法の一例を示す。また、図8及び図9は、CPU510により実施される故障検知プログラムの一例を示す。図8及び図9に示す処理は、所定の周期で繰り返し実施される。
【0074】
まず、ステップS10において、CPU510は、出力ポートGPOからロウレベルLを出力し、トランジスタQ1をオフさせる指示をボトルカバー制御部430に出力する。次に、ステップS12において、CPU510は、入力ポートGPIで受信する故障検知信号FDETのレベルをボトルカバー制御部430から受信する。次に、ステップS14において、CPU510は、故障検知信号FDETがハイレベルHの場合、処理をステップS16に移行し、故障検知信号FDETがロウレベルLの場合、処理をステップS24に移行する。
【0075】
ステップS24において、CPU510は、ソレノイドオープン故障(ソレノイド410の巻き断線故障、ハーネスのコネクタCN1からの抜けによる故障、又はハーネス断線故障)を検知する。ソレノイドオープン故障の検知処理は、使用者の操作を伴わないため、使用者の操作ミスにより、故障原因が誤って判定されることを抑止することができ、ダウンタイムを低減することができる。CPU510は、ステップS24の処理の後、処理を図9のステップS38に移行する。ステップS16において、CPU510は、ソレノイド410及びコネクタCN1が正常であることを検知する(故障なし)。
【0076】
次に、ステップS18において、CPU510は、条件検知部512による判定結果に基づいて、印刷中であるか否かを判定し、印刷中の場合、処理を図9のステップS28に移行し、印刷していない場合、処理をステップS20に移行する。
【0077】
ステップS20において、CPU510は、条件検知部512による判定結果に基づいて、前カバー160が開いているか否かを判定し、開いている場合、処理を図9のステップS26に移行し、閉じている場合、処理をステップS22に移行する。
【0078】
ステップS22において、CPU510は、条件検知部512による判定結果に基づいて、画像形成装置100の前に人が居るか否かを判定し、人が居る場合、処理を図9のステップS26に移行し、人が居ない場合、処理を図9のステップS28に移行する。
【0079】
図9のステップS26において、CPU510は、トランジスタQ1のオープン故障の検知処理を実施していない期間が所定期間以上か否かを判定する。CPU510は、トランジスタQ1のオープン故障の検知処理を所定期間以上、実施していない場合、処理をステップS38に移行する。CPU510は、トランジスタQ1のオープン故障の検知処理を実施してから所定期間が経過していない場合、図8及び図9に示す処理を終了する。
【0080】
ステップS28において、CPU510は、出力ポートGPOからロウレベルHを出力し、トランジスタQ1をオンさせる指示をボトルカバー制御部430に出力する。次に、ステップS30において、CPU510は、入力ポートGPIで受信する故障検知信号FDETのレベルをボトルカバー制御部430から受信する。次に、ステップS32において、CPU510は、故障検知信号FDETがロウレベルLの場合、処理をステップS34に移行し、故障検知信号FDETがハイレベルHの場合、処理をステップS36に移行する。
【0081】
ステップS34において、CPU510は、トランジスタQ1が正常であることを検知し(故障なし)、図8及び図9に示す処理を終了する。ステップS36において、CPU510は、トランジスタQ1のオープン故障を検知し、処理をステップS38に移行する。トランジスタQ1のオープン故障の検知処理は、使用者の操作を伴わないため、使用者の操作ミスにより、故障原因が誤って判定されることを抑止することができ、ダウンタイムを低減することができる。
【0082】
ステップS38において、CPU510は、故障の発生等を通信インタフェース部570を介してサービス拠点等に報知し、図8及び図9に示す処理を終了する。トランジスタQ1のオープン故障又はソレノイドオープン故障の検知時に故障の発生をサービス拠点等に報知することで、画像形成装置100の修理を迅速に実施することが可能になり、ダウンタイムをさらに低減することができる。
【0083】
また、トランジスタQ1のオープン故障の検知処理を所定期間以上、実施していない場合、サービス拠点等に報知することで、例えば、保守担当者の定期訪問時等に故障の検知作業を実施することができ、故障を早期発見することができる。なお、ステップS38が実施される場合、画像形成装置100の動作が停止するため、図8及び図9の処理が繰り返されることはない。
【0084】
以上、この実施形態では、人感センサ134、照度センサ又はタイマにより画像形成装置100の前に人が居ないタイミングでソレノイド410をオン制御し、トランジスタQ1のオープン故障を検知することができる。また、前カバー160が開いている状態では、ソレノイド410のオン制御によるトランジスタQ1のオープン故障の検知処理を実施しない。これにより、前カバー160が開いているときに、故障検知によりボトルカバー200が開いてしまうことを抑止することができ、トナー残量があるトナーボトル10が交換可能な状態になることを抑止することができる。この結果、本来印刷に使用されるべきトナーが無駄に廃棄されることを抑止することができる。
【0085】
また、ソレノイド410をオフ制御することで、ソレノイドオープン故障(ソレノイド410の巻き断線故障、ハーネスのコネクタCN1からの抜けによる故障、又はハーネス断線故障)を検知することができる。複数の故障原因を修理前に切り分けることができるため、修理を迅速に行うことができ、画像形成装置100の故障時のダウンタイムを低減することができる。
【0086】
さらに、操作パネル132を介して使用者に操作を促すことなく、トランジスタQ1のオープン故障又はソレノイド410の巻き断線故障等の複数の故障モードを検知することができる。使用者の操作を伴わないため、使用者の操作ミスにより、故障原因が誤って判定されることを抑止することができる。この結果、ダウンタイムをさらに低減することができる。
【0087】
照度センサ又はタイマにより画像形成装置100の前に人が居る可能性が低いタイミングでソレノイド410をオン制御して故障検知処理を実施することで、故障から復帰までの緊急性が低いタイミングで故障を検知することができる。前カバー160が開けられることがない印刷動作中にソレノイド410のオン制御時の故障検知を実施することで、画像形成装置100の前に使用者が居る場合にも、故障を検知することができる。
【0088】
トランジスタQ1のオープン故障又はソレノイドオープン故障の検知時に故障の発生をサービス拠点等に報知することで、画像形成装置100の修理を迅速に実施することが可能になり、ダウンタイムをさらに低減することができる。
【0089】
トランジスタQ1のオープン故障の検知処理を所定期間以上、実施していない場合、サービス拠点等に報知することで、例えば、保守担当者の定期訪問時等に故障の検知作業を実施することができ、故障を早期発見することができる。
【0090】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部による画像の形成に使用するトナーが充填されるトナーボトルを挿抜可能に収納するトナーボトル収納部と、
前記トナーボトル収納部の挿入口を開閉可能に設けられるボトルカバーと、
前記挿入口を覆う位置にある閉状態の前記ボトルカバーをロックするロック機構と、
前記ボトルカバーのロック状態を解除して、前記ボトルカバーを前記挿入口を覆わない開状態にするロック解除部と、前記ロック解除部を駆動する駆動部とを含む駆動機構と、
前記ボトルカバーの前面に開閉可能に設けられ、閉状態のときに前記ボトルカバーが開くことを抑止する前カバーと、
前記画像形成部が動作していないときに前記駆動部を動作させても前記ロック解除部が駆動されない場合に前記駆動部の故障を検知する第1故障検知処理を実施する故障検知部と、
前記前カバーが開けられる可能性があることを検知する条件検知部と、
を有し、
前記故障検知部は、前記条件検知部が前記可能性があることを検知しているときに、前記第1故障検知処理を実施しないこと、
を特徴とする画像形成装置。
<2>
前記故障検知部は、前記駆動部により駆動されていないときの前記ロック解除部の動作状態が前記駆動部により駆動されていない状態以外を示す場合に前記ロック解除部の故障を検知する第2故障検知処理を、前記条件検知部が前記可能性があることを検知しているか否かにかかわりなく実施すること、
を特徴とする<1>に記載の画像形成装置。
<3>
前記前カバーの開閉状態を検知する開閉検知部を有し、
前記故障検知部は、前記開閉検知部が前記前カバーの開状態を検知している場合、前記条件検知部が前記可能性があることを検知しているか否かにかかわりなく、前記第1故障検知処理を実施しないこと、
を特徴とする<1>又は<2>に記載の画像形成装置。
<4>
前記条件検知部は、使用者が前記前カバーの前に居ることを検知した場合、前記可能性があることを検知すること、
を特徴とする<1>乃至<3>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<5>
前記条件検知部は、タイマ又は画像形成装置の設置環境の照度に基づいて、使用者が前記前カバーの前に居る可能性のある時間帯に前記可能性があることを検知すること、
を特徴とする<1>乃至<3>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<6>
前記条件検知部は、前記画像形成部が動作している場合、前記条件検知部が前記可能性があることを検知しているか否かにかかわりなく、前記第1故障検知処理を実施すること、
を特徴とする<1>乃至<5>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<7>
前記故障検知部は、前記駆動部の故障を検知した場合、故障を画像形成装置の外部に報知すること、
を特徴とする<1>乃至<6>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<8>
前記故障検知部は、前記第1故障検知処理を所定の期間内に一度も実施しなかった場合、前記第1故障検知処理の未実施を画像形成装置の外部に報知すること、
を特徴とする<1>乃至<7>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<9>
画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像の形成に使用するトナーが充填されるトナーボトルを挿抜可能に収納するトナーボトル収納部と、前記トナーボトル収納部の挿入口を開閉可能に設けられるボトルカバーと、前記挿入口を覆う位置にある閉状態の前記ボトルカバーをロックするロック機構と、前記ボトルカバーのロック状態を解除して、前記ボトルカバーを前記挿入口を覆わない開状態にするロック解除部と、前記ロック解除部を駆動する駆動部とを含む駆動機構と、前記ボトルカバーの前面に開閉可能に設けられ、閉状態のときに前記ボトルカバーが開くことを抑止する前カバーと、を有する画像形成装置の故障検知方法であって、
前記画像形成部が動作していないときに前記駆動部を動作させても前記ロック解除部が駆動されない場合に前記駆動部の故障を検知する第1故障検知処理と、
前記前カバーが開けられる可能性があることを検知する条件検知処理と、
を実施し、
前記条件検知処理が前記可能性があることを検知しているときに、前記第1故障検知処理を実施しないこと、
を特徴とする故障検知方法。
<10>
画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像の形成に使用するトナーが充填されるトナーボトルを挿抜可能に収納するトナーボトル収納部と、前記トナーボトル収納部の挿入口を開閉可能に設けられるボトルカバーと、前記挿入口を覆う位置にある閉状態の前記ボトルカバーをロックするロック機構と、前記ボトルカバーのロック状態を解除して、前記ボトルカバーを前記挿入口を覆わない開状態にするロック解除部と、前記ロック解除部を駆動する駆動部とを含む駆動機構と、前記ボトルカバーの前面に開閉可能に設けられ、閉状態のときに前記ボトルカバーが開くことを抑止する前カバーと、を有する画像形成装置の故障検知プログラムであって、
前記画像形成部が動作していないときに前記駆動部を動作させても前記ロック解除部が駆動されない場合に前記駆動部の故障を検知する第1故障検知処理と、
前記前カバーが開けられる可能性があることを検知する条件検知処理と、
をコンピュータに実施させ、
前記条件検知処理が前記可能性があることを検知しているときに、前記第1故障検知処理を実施させないこと、
を特徴とする故障検知プログラム。
【0091】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0092】
10、10C、10K、10M、10Y トナーボトル
11 キャップ部
12 キャップ受け部
100 画像形成装置
110 自動原稿送り装置
120 画像読み取り装置
130 操作部
132 操作パネル
134 人感センサ
140 用紙トレイ
150 作像部
152 トナーボトル収納部
152a 挿入口
154 枠部
160 前カバー
162 開閉検知センサ
170 給紙カセット
200 ボトルカバー
202 フック
210 開閉検知センサ
220 軸部材
300 ロック機構
310 ラッチ
312 凹部
320 軸部材
330 ねじりコイルばね
340 リンク
350 コイルばね
400 駆動機構
410 ソレノイド
412 ロッド
420 制御線
430 ボトルカバー制御部
431 ソレノイド制御部
BUS バス
CN1 コネクタ
FDET 故障検知信号
ND1 接続ノード
Q1 トランジスタ
500 動作制御部
510 CPU
512 条件検知部
514 故障検知部
520 ROM
530 RAM
540 入力インタフェース部
550 出力インタフェース部
560 入出力インタフェース部
570 通信インタフェース部
610 入力装置
620 出力装置
630 入出力装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2020-190694号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9