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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162525
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ウェーハ搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078103
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 克年
(72)【発明者】
【氏名】西岡 明
(72)【発明者】
【氏名】小林 友和
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真志
(72)【発明者】
【氏名】清水 利彦
(72)【発明者】
【氏名】沢田 逸郎
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA02
5F131CA12
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB76
5F131GA14
5F131JA14
5F131JA16
5F131JA23
5F131JA27
5F131JA28
5F131JA32
(57)【要約】
【課題】ウェーハ搬送室内のガスの温度上昇を抑制するウェーハ搬送装置を提供する。
【解決手段】ウェーハが格納されているフープとウェーハを処理する処理装置との間でウェーハを搬送するウェーハ搬送装置であって、搬送ロボットが設置されるウェーハ搬送室と、前記ウェーハ搬送室に連通するFFU室と、前記ウェーハ搬送室の壁又は扉に設けられ、前記ウェーハ搬送室および前記FFU室の両方に連通するリターンダクトと、前記FFU室から前記ウェーハ搬送室の中にガスを送風する送風ファンと、前記FFU室、前記リターンダクト、および、前記ウェーハ搬送室で構成される内部空間を循環する前記ガスを冷却する熱交換器と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハが格納されているフープとウェーハを処理する処理装置との間でウェーハを搬送するウェーハ搬送装置であって、
搬送ロボットが設置されるウェーハ搬送室と、
前記ウェーハ搬送室に連通するFFU室と、
前記ウェーハ搬送室の壁又は扉に設けられ、前記ウェーハ搬送室および前記FFU室の両方に連通するリターンダクトと、
前記FFU室から前記ウェーハ搬送室の中にガスを送風する送風ファンと、
前記FFU室、前記リターンダクト、および、前記ウェーハ搬送室で構成される内部空間を循環する前記ガスを冷却する熱交換器と、
を備えることを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記熱交換器は、
前記内部空間の外壁に設けられ、前記ガスと接触する冷却用ヒートシンクと、
前記冷却用ヒートシンクを冷却する冷水管と、
を備えることを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記熱交換器は、
前記内部空間の外壁に設けられ、前記ガスと接触する冷却用ヒートシンクと、
前記冷却用ヒートシンクの放熱面に設けられ、前記冷却用ヒートシンクを冷却するペルチェ素子と、
を備えることを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記熱交換器は、
前記ペルチェ素子の高温面の熱を放熱させる放熱用ヒートシンクと、
前記放熱用ヒートシンクを冷却する冷却ファンと、を備える
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載のウェーハ搬送装置であって、
電装部品が収納される電装室を備え、
前記冷却用ヒートシンクは、前記FFU室の中に設けられ、
前記ペルチェ素子、前記放熱用ヒートシンク、および、前記冷却ファンは、前記電装室の中に設けられる
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記冷却用ヒートシンクと前記ペルチェ素子の低温面に挟まれる平板を備え、
前記冷却用ヒートシンク、前記平板、および、前記放熱用ヒートシンクは、前記冷却用ヒートシンク側から挿入されるボルトで一体的に固定される
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記ボルトの頭部と前記冷却用ヒートシンクに挟まれる樹脂材を備える
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項8】
請求項6に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記内部空間の外壁の一部に設けられ、前記冷却用ヒートシンクが挿入される開口を備え、
前記平板は、前記開口を外側から覆うように設置され、前記外側から挿入されるボルトで前記外壁に固定される
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記ボルトの頭部と前記平板に挟まれる樹脂材を備える
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項10】
請求項8に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記外壁と前記平板に挟まれるシール材を備える
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項11】
請求項2又は3に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記冷却用ヒートシンクは、前記FFU室の天井に設置される
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項12】
請求項2又は3に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記冷却用ヒートシンクは、前記ウェーハ搬送室の壁に設置される
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項13】
請求項2又は3に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記冷却用ヒートシンクは、前記リターンダクトの壁に設置される
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器を内蔵したウェーハ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハ搬送装置は、フープ(FOUP(Front-Opening Unified Pod))に格納されているウェーハを処理する処理装置に搬送する装置である。具体的には、ウェーハ搬送装置は、ウェーハ搬送室内に搬送ロボットを有し、搬送ロボットによりフープと処理装置との間でウェーハを搬送する。そして、ウェーハ搬送装置は、ウェーハ搬送室の上側にFFU(ファン・フィルタ・ユニット)が設置されており、ウェーハに不純物が付着しないように、ウェーハ搬送室内にあるウェーハに対して、FFUによりガスを吹き付ける。このようなウェーハ搬送装置が特許文献1や特許文献2に記載されている。
【0003】
特許文献1では、要約に「筐体内部の搬送ロボット2を用いて処理装置側との間で被搬送物の受け渡しを行うためのEFEM装置である搬送室1において、筐体3は、搬送ロボット2を収容する搬送空間S11と、ガス処理装置(有機物除去フィルタ71、酸除去フィルタ72、アルカリ除去フィルタ73)を収容するガス処理空間S2と、搬送空間からガス処理空間に気体を帰還可能なガス帰還空間S12とを有する。搬送空間と、ガス処理空間と、ガス帰還空間と、が連通することで1つの密閉空間を形成して循環路CLが構成され、循環路に複数のファン74~77が設けられ循環流が形成される。」との記載がある。
【0004】
また、特許文献2では、段落0028に「前記換気部駆動室110はメインファン140が備えられる。前記メインファン140は下部方向に空気(または窒素ガス)をブローイングする。・・・換気部駆動室110からフープ受容室120に空気が流れるように構成されている。」との記載がある。また、段落0032に「前記換気ダクト150は前記フープ受容室120と前記換気部駆動室110を連結する。」との記載がある。そして、段落0046に「本発明による基板搬送装置200、300、400ではフープ受容室120までのみ空気が循環する構造である」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-7172号公報
【特許文献2】特開2021-34724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載のウェーハ搬送装置では、密閉化され、閉鎖されたウェーハ搬送室の中でガスを循環させるため、ファンの消費電力や搬送ロボットの消費電力が発熱源となって、ガスの温度が上昇するという課題があった。さらに、温度上昇したガスにより温められたウェーハを処理装置に搬送した場合、処理装置における処理の時間が延びるという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、ウェーハ搬送室内のガスの温度上昇を抑制するウェーハ搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のウェーハ搬送装置は、例えば、ウェーハが格納されているフープとウェーハを処理する処理装置との間でウェーハを搬送するウェーハ搬送装置であって、搬送ロボットが設置されるウェーハ搬送室と、前記ウェーハ搬送室に連通するFFU室と、前記ウェーハ搬送室の壁又は扉に設けられ、前記ウェーハ搬送室および前記FFU室の両方に連通するリターンダクトと、前記FFU室から前記ウェーハ搬送室の中にガスを送風する送風ファンと、前記FFU室、前記リターンダクト、および、前記ウェーハ搬送室で構成される内部空間を循環する前記ガスを冷却する熱交換器と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ウェーハ搬送室内のガスの温度上昇を抑制するウェーハ搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ウェーハ搬送装置Eの全体図
図2】実施例1における図1のA-A断面図
図3】ウェーハ搬送室の斜視図
図4】実施例1におけるFFU室の天井壁と一体構造となった冷却用ヒートシンクを示す図
図5】実施例2におけるウェーハ搬送装置の構成図
図6】実施例3におけるウェーハ搬送装置の構成図
図7A】実施例4におけるウェーハ搬送装置の構成の一例を示す図
図7B】実施例4におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
図7C】実施例4におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
図8A】実施例5におけるウェーハ搬送装置の構成の一例を示す図
図8B】実施例5におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
図8C】実施例5におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
図8D】実施例5におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
図9A】実施例6におけるウェーハ搬送装置の構成の一例を示す図
図9B】実施例6におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
図10A】実施例7におけるウェーハ搬送装置の構成の一例を示す図
図10B】実施例7におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
図11】実施例8における冷却ユニットの構成図
図12】実施例9における冷却ユニットの構成図
図13】実施例10における冷却ユニットの固定方法を説明する図
図14】実施例11における冷却ユニットの固定方法を説明する図
図15】実施例12における冷却ユニットの固定方法を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。これらの実施例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、以下の説明において使用する各図面において、共通する各装置、各機器には同一の符号を付しており、すでに説明した各装置、機器および動作の説明を省略する場合がある。
【実施例0012】
図1は、ウェーハ搬送装置Eの全体図である。図2は、図1のA-A断面図である。図2に示すようにウェーハ搬送装置Eの前方にフープ2が位置し、後方に処理装置3が位置する。ウェーハ搬送室1には、フープ2に収納されているウェーハを取り出し、ウェーハを処理する処理装置3に搬送する搬送ロボット4が設置されている。搬送ロボット4は、処理装置3で処理されたウェーハを処理装置3から取り出し、フープ2に戻す役割も担っている。ウェーハ搬送室1の上にはウェーハ搬送室1に連通するFFU室5があり、FFU室5にはFFU室5からウェーハ搬送室1の中にガスを吹き付けるための送風ファンを具備したFFU6がある。
【0013】
ウェーハ搬送装置Eは、ウェーハ搬送室1およびFFU室5の両方に連通するリターンダクト7を備える。図3は、ウェーハ搬送室1の斜視図である。リターンダクト7は、ウェーハ搬送室1の中にある柱Pを中空にして、ガスが通るための通風路として形成される。その他、例えば、図3に示すように、ウェーハ搬送室1に人が出入りするための扉Dと、その上側の壁とを中空にしてリターンダクト7を形成してもよい。また、ウェーハ搬送室1の壁11にリターンダクト7を形成してもよい。本実施例では、柱Pに設けられたリターンダクト7を用いて説明する。
【0014】
図2に示すように、ウェーハ搬送装置Eは、密閉化されており、ガスがウェーハ搬送装置Eの内部を循環している。具体的には、FFU室5に注入されたガスはFFU6によりウェーハ搬送室1に送風される。そして、ウェーハ搬送室1に送風されたガスは、リターンダクト7を通ってFFU室5に戻される。すなわち、ガスは、FFU室5、リターンダクト7、および、ウェーハ搬送室1で構成される内部空間を循環する。
【0015】
ウェーハ搬送装置Eは、内部空間を循環するガスを冷却する熱交換器を備える。熱交換器は、ガスの気流が発生しているところに設置される。熱交換器としては、冷却用ヒートシンク等が例示できる。
【0016】
FFU室5の中では、リターンダクト7を通ってFFU室5に戻ってきたガスがFFU6によりウェーハ搬送室1に送られる。そのため、FFU6の入り口付近は気流が発生する。そこで、図2に示すように、FFU6の入り口付近に冷却用ヒートシンク9aを設置する。このように冷却用ヒートシンク9aを設置することで、循環するガスが冷却用ヒートシンク9aと接触して冷却され、ウェーハ搬送装置の中の温度上昇を抑制することができる。なお、冷却用ヒートシンク9aは、循環するガスの気流の速度が速いところに設置されることが好ましい。
【0017】
なお、ガスとしては、窒素ガス等の不活性ガスや、酸素等を含む空気を用いることができる。いずれを用いても、冷却用ヒートシンク9a等の熱交換器で冷却されることで温度が下がるので、ウェーハ搬送装置の中の温度上昇を抑制することができる。また、不活性ガスの場合、ウェーハへの不純物の付着を防ぐことができる。
【0018】
図4は、FFU室5の天井壁8と一体構造となった冷却用ヒートシンク9bを示す図である。図2では、FFU室5の天井壁8と冷却用ヒートシンク9aは別素材で構成されている。例えば、FFU室5の天井壁8にはステンレスが用いられ、冷却用ヒートシンク9aにはアルミニウムが用いられる。これに対し、図4では、FFU室5の天井壁と一体構造となった冷却用ヒートシンク9bを用いている。図4の構成の場合、図2の天井壁8の部分までがアルミニウム等の熱伝導性の良い素材で構成されるので、熱を外部に逃がしやすくなり、ウェーハ搬送装置Eの中の温度上昇をさらに抑制することができる。
【実施例0019】
図5は、実施例2におけるウェーハ搬送装置Eの構成を示す。実施例2におけるウェーハ搬送装置Eは、冷却用ヒートシンク9aの位置が実施例1と異なる。具体的には、本実施例のウェーハ搬送装置Eは、図5に示すように、リターンダクト7の中、例えば、リターンダクト7の壁10に冷却用ヒートシンク9aを備える。リターンダクト7の中はガスの気流の速度が速い。そのため、リターンダクト7に冷却用ヒートシンク9aを置くことで、冷却用ヒートシンク9aとガスとの間での熱交換が促進され、ガスの温度上昇を抑制できる。その結果、ウェーハ搬送装置Eの中の温度上昇を抑制することができる。リターンダクト7がウェーハ搬送室の扉Dや壁11に設けられている場合も同様で、リターンダクト7の中に冷却用ヒートシンク9aを設置することでウェーハ搬送装置Eの中の温度上昇を抑制することができる。
【実施例0020】
図6は、実施例3におけるウェーハ搬送装置Eの構成を示す。実施例3におけるウェーハ搬送装置Eは、冷却用ヒートシンク9aの位置が実施例1と異なる。具体的には、本実施例のウェーハ搬送装置Eは、図6に示すように、ウェーハ搬送室1の中であって、FFU6の直下となるように、ウェーハ搬送室1の壁11に冷却用ヒートシンク9aを備える。FFU6の直下は、ガスがFFU6から吹き出しているので気流の速度が速くなっている。そのため、FFU6の直下に冷却用ヒートシンク9aを置くことで、冷却用ヒートシンク9aとガスとの間での熱交換が促進され、ガスの温度上昇を抑制できる。その結果、ウェーハ搬送装置Eの中の温度上昇を抑制することができる。
【実施例0021】
図7A図7Cは、実施例4におけるウェーハ搬送装置の構成を示す。実施例4におけるウェーハ搬送装置Eは、実施例1~3の冷却用ヒートシンクが冷水管を備える例である。以下では、実施例1~3と異なる点を中心に説明する。
【0022】
図7Aは、冷却用ヒートシンク9aがFFU室5の天井壁8に設置された構成を示す図である。図7Bは、冷却用ヒートシンク9aがリターンダクト7の中に設置された構成を示す図である。図7Cは、冷却用ヒートシンク9aがウェーハ搬送室1の中であってFFU6の直下に設置された構成を示す図である。
【0023】
図7A図7Cに示す冷却用ヒートシンク9aには、温度の低い液体、例えば冷水が流れる冷水管12が内蔵されている。これにより冷却用ヒートシンク9aが冷やされて、ガスの熱を奪い、ウェーハ搬送装置の温度上昇を抑制することができる。ラジエータのようなフィン・チューブが冷却用ヒートシンク9aの代わりとなっても同様の効果が得られる。ラジエータが内蔵するチューブの中を冷水が流れるため、フィンが冷却されガスの熱を奪うことができる。
【0024】
本実施例によれば、冷却用ヒートシンク9aが冷水管により冷却されるため、冷却用ヒートシンク9aと接触するガスを冷却することができる。なお、冷水管を備える冷却用ヒートシンク9aの代わりに、ラジエータに代表される冷水管を内蔵したフィン・チューブ等を用いることもできる。
【実施例0025】
図8A図8Dは、実施例5におけるウェーハ搬送装置Eの構成を示す。実施例5におけるウェーハ搬送装置Eは、実施例1~3の冷却用ヒートシンク9a、9bを冷却するペルチェ素子13を備える。以下では、実施例1~3と異なる点を中心に説明する。
【0026】
図8Aは、冷却用ヒートシンク9aがFFU室5の天井壁8に設置された構成を示す図である。図8Bは、FFU室の天井壁8と一体構造となった冷却用ヒートシンク9bを備えた構成を示す図である。図8Cは、冷却用ヒートシンク9aがリターンダクト7の中に設置された構成を示す図である。図8Dは、冷却用ヒートシンク9aがウェーハ搬送室1の中であって、FFU6の直下に設置された構成を示す図である。
【0027】
図8A図8Dに示すように、実施例5のウェーハ搬送装置Eは、冷却用ヒートシンク9aの放熱面にペルチェ素子13が設置されており、ペルチェ素子13の低温面が冷却用ヒートシンクの放熱面に接着している。ペルチェ素子13に電流を流すことで冷却用ヒートシンク9a、9bが冷やされる。これにより冷却用ヒートシンク9a,9bが冷却されて、ガスの熱を奪い、ガスの温度上昇を抑制できる。その結果、ウェーハ搬送装置Eの中の温度上昇を抑制することができる。
【実施例0028】
図9Aおよび図9Bは、実施例6におけるウェーハ搬送装置の構成を示す。実施例6におけるウェーハ搬送装置Eは、実施例5の図8A図8Bの構成に加え、ペルチェ素子の熱を放熱させるための放熱用ヒートシンク14および冷却ファン15を備える。以下では、実施例5と異なる点を中心に説明する。
【0029】
図9Aは、冷却用ヒートシンク9aがFFU室5の天井壁8に設置された構成を示す図である。図9Bは、FFU室の天井壁8と一体構造となった冷却用ヒートシンク9bを備える構成を示す図である。冷却用ヒートシンク9a、9bの外側にはペルチェ素子13が設置されている。ペルチェ素子13に電流を流すと、低温面と高温面ができる。低温面を冷却用ヒートシンク9a、9bに接着することで、冷却用ヒートシンクを冷やすことができる。ここで高温面の熱を放熱しないとペルチェ素子の冷却性能は悪くなる可能性がある。そのため、ペルチェ素子13の高温面には放熱用ヒートシンク14を接着し、放熱用ヒートシンク14を冷却するための冷却ファン15を放熱用ヒートシンク14に設ける。この構造により、ペルチェ素子の冷却性能が良くなって、冷却用ヒートシンク9a、9bをより冷やすことができる。
【実施例0030】
図10Aおよび図10Bは、実施例7におけるウェーハ搬送装置の構成を示す。実施例7におけるウェーハ搬送装置Eは、実施例6の構成に加え、FFU室5の上に電装部品(電源関係の部品や搬送ロボット4のドライバ等)が収納される電装室16を備える。以下では、実施例6と異なる点を中心に説明する。
【0031】
図10Aは、冷却用ヒートシンク9aがFFU室5の天井壁8に設置された構成を示す図である。図10Bは、FFU室の天井壁8と一体構造となった冷却用ヒートシンク9bを備える構成を示す図である。図10Aおよび図10Bの両方において、FFU室5の上にある電装室16の中に、ペルチェ素子13、放熱用ヒートシンク14、および、冷却ファン15が設けられる。
【0032】
電装室16を備えたウェーハ搬送装置Eにおいて、電装室16のスペースを有効活用することで、全体サイズを大きくすることなく、ペルチェ素子13、放熱用ヒートシンク14、および、冷却ファン15を備えることができる。
【実施例0033】
図11は、実施例8の冷却ユニットの構成図を示している。なお、冷却ユニットは、実施例6、7におけるガスを冷却するための機構のことであり、冷却用ヒートシンク9c、ペルチェ素子13、放熱用ヒートシンク14、および冷却ファン15を備える。そして、冷却ユニットは、冷却用ヒートシンク9cとペルチェ素子13の低温面とで挟まれる平板17をさらに備える。冷却用ヒートシンク9aと平板17にはそれぞれボルト18を通すための貫通穴19、20が加工されている。放熱用ヒートシンク14にはボルト18が挿入されるネジ穴21が加工されている。ボルト18を冷却用ヒートシンク9a側から挿入し締めることで、ペルチェ素子13、放熱用ヒートシンク14、および、平板17は一体的に固定され、ペルチェ素子13を平板17と放熱用ヒートシンク14で挟むことができる。これにより、ペルチェ素子13の低温面と平板17の接着度が高くなり、平板17をより冷却することができる。そして、冷却された平板17が冷却用ヒートシンク9aに接触するので、平板17により冷却用ヒートシンク9aをより冷却することができる。また、ボルト18を締めることでペルチェ素子13の高温面と放熱用ヒートシンク14の接着度が高くなり、ペルチェ素子13の熱をより放熱させることができる。
【実施例0034】
図12は、実施例9の冷却ユニットの構成図を示している。本実施例の冷却ユニットは、実施例8の構成に加え、冷却用ヒートシンク9aとボルト18の頭部の間に挟まれる熱抵抗の高い材料、例えば樹脂材22を備える。これにより、放熱用ヒートシンク14の熱がボルト18を介して冷却用ヒートシンク9aに伝わるのを防ぐことができる。
【実施例0035】
図13は、実施例10において、実施例8の冷却ユニットの固定方法を説明する図である。図13では、実施例8の冷却ユニットがFFU室5の天井壁8に固定されている様子を示している。本実施例のウェーハ搬送装置Eの天井壁8は、冷却ユニットを天井壁8に固定するために、冷却用ヒートシンク9aが挿入される開口と、ボルト23のネジ穴25が設けられている。また、平板17には、ボルト23を通すための貫通穴24が設けられている。
【0036】
天井壁8に設けられた開口を外側から覆うように平板17を設置し、平板17側からボルト23を貫通穴24及びネジ穴25に挿入して締めることで、平板17が天井壁8に固定される。なお、実施例7の図10Aに示すように、ペルチェ素子13、放熱用ヒートシンク14、および、冷却ファン15が電装室16の中に設けられる場合であっても、同様に冷却ユニットを固定することができる。
【実施例0037】
図14は、実施例8の冷却ユニットの固定方法について、実施例10と別の例を説明する図である。本実施例のウェーハ搬送装置Eは、実施例10の構成に加え、冷却ユニットを固定するボルト23の頭部と平板17の間に挟まれる熱抵抗の高い材料、例えば樹脂材26を備える。これにより、外部からの熱がボルト23を介して平板17に伝わるのを防ぐことができる。
【実施例0038】
図15は、実施例8の冷却ユニットの固定方法について、実施例10、11と別の例を説明する図である。本実施例のウェーハ搬送装置Eは、実施例10の構成に加え、平板17と天井壁8の間にシール材27を備える。シール材27を備えることにより、ウェーハ搬送装置Eの内部空間を密閉状態にすることができ、ガスの出入りを防止することができる。
【符号の説明】
【0039】
E…ウェーハ搬送装置
P…柱
D…扉
1…ウェーハ搬送室
2…フープ(FOUP)
3…処理装置
4…搬送ロボット
5…FFU室
6…FFU(ファン・フィルタ・ユニット)
7…リターンダクト
8…天井壁
9a…冷却用ヒートシンク
9b…冷却用ヒートシンクと天井壁の一体構造物
9c…冷却用ヒートシンク
10…リターンダクトの壁
11…ウェーハ搬送室の壁
12…冷水管
13…ペルチェ素子
14…放熱用ヒートシンク
15…冷却ファン
16…電装室
17…平板
18…ボルト
19…貫通穴
20…貫通穴
21…ネジ穴
22…座金
23…ボルト
24…貫通穴
25…ネジ穴
26…座金
27…シール材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15