(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162525
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ウェーハ搬送装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078103
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 克年
(72)【発明者】
【氏名】西岡 明
(72)【発明者】
【氏名】小林 友和
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真志
(72)【発明者】
【氏名】清水 利彦
(72)【発明者】
【氏名】沢田 逸郎
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA02
5F131CA12
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB76
5F131GA14
5F131JA14
5F131JA16
5F131JA23
5F131JA27
5F131JA28
5F131JA32
(57)【要約】
【課題】ウェーハ搬送室内のガスの温度上昇を抑制するウェーハ搬送装置を提供する。
【解決手段】ウェーハが格納されているフープとウェーハを処理する処理装置との間でウェーハを搬送するウェーハ搬送装置であって、搬送ロボットが設置されるウェーハ搬送室と、前記ウェーハ搬送室に連通するFFU室と、前記ウェーハ搬送室の壁又は扉に設けられ、前記ウェーハ搬送室および前記FFU室の両方に連通するリターンダクトと、前記FFU室から前記ウェーハ搬送室の中にガスを送風する送風ファンと、前記FFU室、前記リターンダクト、および、前記ウェーハ搬送室で構成される内部空間を循環する前記ガスを冷却する熱交換器と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハが格納されているフープとウェーハを処理する処理装置との間でウェーハを搬送するウェーハ搬送装置であって、
搬送ロボットが設置されるウェーハ搬送室と、
前記ウェーハ搬送室に連通するFFU室と、
前記ウェーハ搬送室の壁又は扉に設けられ、前記ウェーハ搬送室および前記FFU室の両方に連通するリターンダクトと、
前記FFU室から前記ウェーハ搬送室の中にガスを送風する送風ファンと、
前記FFU室、前記リターンダクト、および、前記ウェーハ搬送室で構成される内部空間を循環する前記ガスを冷却する熱交換器と、
を備えることを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記熱交換器は、
前記内部空間の外壁に設けられ、前記ガスと接触する冷却用ヒートシンクと、
前記冷却用ヒートシンクを冷却する冷水管と、
を備えることを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記熱交換器は、
前記内部空間の外壁に設けられ、前記ガスと接触する冷却用ヒートシンクと、
前記冷却用ヒートシンクの放熱面に設けられ、前記冷却用ヒートシンクを冷却するペルチェ素子と、
を備えることを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記熱交換器は、
前記ペルチェ素子の高温面の熱を放熱させる放熱用ヒートシンクと、
前記放熱用ヒートシンクを冷却する冷却ファンと、を備える
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載のウェーハ搬送装置であって、
電装部品が収納される電装室を備え、
前記冷却用ヒートシンクは、前記FFU室の中に設けられ、
前記ペルチェ素子、前記放熱用ヒートシンク、および、前記冷却ファンは、前記電装室の中に設けられる
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記冷却用ヒートシンクと前記ペルチェ素子の低温面に挟まれる平板を備え、
前記冷却用ヒートシンク、前記平板、および、前記放熱用ヒートシンクは、前記冷却用ヒートシンク側から挿入されるボルトで一体的に固定される
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記ボルトの頭部と前記冷却用ヒートシンクに挟まれる樹脂材を備える
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項8】
請求項6に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記内部空間の外壁の一部に設けられ、前記冷却用ヒートシンクが挿入される開口を備え、
前記平板は、前記開口を外側から覆うように設置され、前記外側から挿入されるボルトで前記外壁に固定される
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記ボルトの頭部と前記平板に挟まれる樹脂材を備える
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項10】
請求項8に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記外壁と前記平板に挟まれるシール材を備える
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項11】
請求項2又は3に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記冷却用ヒートシンクは、前記FFU室の天井に設置される
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項12】
請求項2又は3に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記冷却用ヒートシンクは、前記ウェーハ搬送室の壁に設置される
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【請求項13】
請求項2又は3に記載のウェーハ搬送装置であって、
前記冷却用ヒートシンクは、前記リターンダクトの壁に設置される
ことを特徴とするウェーハ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器を内蔵したウェーハ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハ搬送装置は、フープ(FOUP(Front-Opening Unified Pod))に格納されているウェーハを処理する処理装置に搬送する装置である。具体的には、ウェーハ搬送装置は、ウェーハ搬送室内に搬送ロボットを有し、搬送ロボットによりフープと処理装置との間でウェーハを搬送する。そして、ウェーハ搬送装置は、ウェーハ搬送室の上側にFFU(ファン・フィルタ・ユニット)が設置されており、ウェーハに不純物が付着しないように、ウェーハ搬送室内にあるウェーハに対して、FFUによりガスを吹き付ける。このようなウェーハ搬送装置が特許文献1や特許文献2に記載されている。
【0003】
特許文献1では、要約に「筐体内部の搬送ロボット2を用いて処理装置側との間で被搬送物の受け渡しを行うためのEFEM装置である搬送室1において、筐体3は、搬送ロボット2を収容する搬送空間S11と、ガス処理装置(有機物除去フィルタ71、酸除去フィルタ72、アルカリ除去フィルタ73)を収容するガス処理空間S2と、搬送空間からガス処理空間に気体を帰還可能なガス帰還空間S12とを有する。搬送空間と、ガス処理空間と、ガス帰還空間と、が連通することで1つの密閉空間を形成して循環路CLが構成され、循環路に複数のファン74~77が設けられ循環流が形成される。」との記載がある。
【0004】
また、特許文献2では、段落0028に「前記換気部駆動室110はメインファン140が備えられる。前記メインファン140は下部方向に空気(または窒素ガス)をブローイングする。・・・換気部駆動室110からフープ受容室120に空気が流れるように構成されている。」との記載がある。また、段落0032に「前記換気ダクト150は前記フープ受容室120と前記換気部駆動室110を連結する。」との記載がある。そして、段落0046に「本発明による基板搬送装置200、300、400ではフープ受容室120までのみ空気が循環する構造である」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-7172号公報
【特許文献2】特開2021-34724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載のウェーハ搬送装置では、密閉化され、閉鎖されたウェーハ搬送室の中でガスを循環させるため、ファンの消費電力や搬送ロボットの消費電力が発熱源となって、ガスの温度が上昇するという課題があった。さらに、温度上昇したガスにより温められたウェーハを処理装置に搬送した場合、処理装置における処理の時間が延びるという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、ウェーハ搬送室内のガスの温度上昇を抑制するウェーハ搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のウェーハ搬送装置は、例えば、ウェーハが格納されているフープとウェーハを処理する処理装置との間でウェーハを搬送するウェーハ搬送装置であって、搬送ロボットが設置されるウェーハ搬送室と、前記ウェーハ搬送室に連通するFFU室と、前記ウェーハ搬送室の壁又は扉に設けられ、前記ウェーハ搬送室および前記FFU室の両方に連通するリターンダクトと、前記FFU室から前記ウェーハ搬送室の中にガスを送風する送風ファンと、前記FFU室、前記リターンダクト、および、前記ウェーハ搬送室で構成される内部空間を循環する前記ガスを冷却する熱交換器と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ウェーハ搬送室内のガスの温度上昇を抑制するウェーハ搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】実施例1におけるFFU室の天井壁と一体構造となった冷却用ヒートシンクを示す図
【
図7A】実施例4におけるウェーハ搬送装置の構成の一例を示す図
【
図7B】実施例4におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
【
図7C】実施例4におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
【
図8A】実施例5におけるウェーハ搬送装置の構成の一例を示す図
【
図8B】実施例5におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
【
図8C】実施例5におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
【
図8D】実施例5におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
【
図9A】実施例6におけるウェーハ搬送装置の構成の一例を示す図
【
図9B】実施例6におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
【
図10A】実施例7におけるウェーハ搬送装置の構成の一例を示す図
【
図10B】実施例7におけるウェーハ搬送装置の構成の他の例を示す図
【
図13】実施例10における冷却ユニットの固定方法を説明する図
【
図14】実施例11における冷却ユニットの固定方法を説明する図
【
図15】実施例12における冷却ユニットの固定方法を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。これらの実施例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、以下の説明において使用する各図面において、共通する各装置、各機器には同一の符号を付しており、すでに説明した各装置、機器および動作の説明を省略する場合がある。
【実施例0012】
図1は、ウェーハ搬送装置Eの全体図である。
図2は、
図1のA-A断面図である。
図2に示すようにウェーハ搬送装置Eの前方にフープ2が位置し、後方に処理装置3が位置する。ウェーハ搬送室1には、フープ2に収納されているウェーハを取り出し、ウェーハを処理する処理装置3に搬送する搬送ロボット4が設置されている。搬送ロボット4は、処理装置3で処理されたウェーハを処理装置3から取り出し、フープ2に戻す役割も担っている。ウェーハ搬送室1の上にはウェーハ搬送室1に連通するFFU室5があり、FFU室5にはFFU室5からウェーハ搬送室1の中にガスを吹き付けるための送風ファンを具備したFFU6がある。
【0013】
ウェーハ搬送装置Eは、ウェーハ搬送室1およびFFU室5の両方に連通するリターンダクト7を備える。
図3は、ウェーハ搬送室1の斜視図である。リターンダクト7は、ウェーハ搬送室1の中にある柱Pを中空にして、ガスが通るための通風路として形成される。その他、例えば、
図3に示すように、ウェーハ搬送室1に人が出入りするための扉Dと、その上側の壁とを中空にしてリターンダクト7を形成してもよい。また、ウェーハ搬送室1の壁11にリターンダクト7を形成してもよい。本実施例では、柱Pに設けられたリターンダクト7を用いて説明する。
【0014】
図2に示すように、ウェーハ搬送装置Eは、密閉化されており、ガスがウェーハ搬送装置Eの内部を循環している。具体的には、FFU室5に注入されたガスはFFU6によりウェーハ搬送室1に送風される。そして、ウェーハ搬送室1に送風されたガスは、リターンダクト7を通ってFFU室5に戻される。すなわち、ガスは、FFU室5、リターンダクト7、および、ウェーハ搬送室1で構成される内部空間を循環する。
【0015】
ウェーハ搬送装置Eは、内部空間を循環するガスを冷却する熱交換器を備える。熱交換器は、ガスの気流が発生しているところに設置される。熱交換器としては、冷却用ヒートシンク等が例示できる。
【0016】
FFU室5の中では、リターンダクト7を通ってFFU室5に戻ってきたガスがFFU6によりウェーハ搬送室1に送られる。そのため、FFU6の入り口付近は気流が発生する。そこで、
図2に示すように、FFU6の入り口付近に冷却用ヒートシンク9aを設置する。このように冷却用ヒートシンク9aを設置することで、循環するガスが冷却用ヒートシンク9aと接触して冷却され、ウェーハ搬送装置の中の温度上昇を抑制することができる。なお、冷却用ヒートシンク9aは、循環するガスの気流の速度が速いところに設置されることが好ましい。
【0017】
なお、ガスとしては、窒素ガス等の不活性ガスや、酸素等を含む空気を用いることができる。いずれを用いても、冷却用ヒートシンク9a等の熱交換器で冷却されることで温度が下がるので、ウェーハ搬送装置の中の温度上昇を抑制することができる。また、不活性ガスの場合、ウェーハへの不純物の付着を防ぐことができる。
【0018】
図4は、FFU室5の天井壁8と一体構造となった冷却用ヒートシンク9bを示す図である。
図2では、FFU室5の天井壁8と冷却用ヒートシンク9aは別素材で構成されている。例えば、FFU室5の天井壁8にはステンレスが用いられ、冷却用ヒートシンク9aにはアルミニウムが用いられる。これに対し、
図4では、FFU室5の天井壁と一体構造となった冷却用ヒートシンク9bを用いている。
図4の構成の場合、
図2の天井壁8の部分までがアルミニウム等の熱伝導性の良い素材で構成されるので、熱を外部に逃がしやすくなり、ウェーハ搬送装置Eの中の温度上昇をさらに抑制することができる。